本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態1〕
実施形態1に係る車両用電源装置1について説明する。車両用電源装置1は、車両の電池から駆動モータに電力を供給すると共に回生制御を行うことで車両の電源のエネルギー効率を向上させるものである。本実施形態では、車両用電源装置1は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッドカー(PHEV;Plug−in Hybrid Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)等の車両2に搭載される例について説明する。本実施形態1では、車両2が4輪駆動車であり、車両用電源装置1が、車両2の前後輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、前後輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う。
車両用電源装置1は、図1に示すように、第一回転電機としての前輪モータジェネレータ10A(以下、前輪MG10Aともいう。)と、第二回転電機としての後輪モータジェネレータ10B(以下、後輪MG10Bともいう。)と、蓄電池としての電池20と、第一インバータとしてのインバータ30Aと、第二インバータとしてのインバータ30Bと、マトリックスコンバータ40と、制御部50とを備える。
前輪MG10Aは、車両2の力行を行うと共に回生電力を発生させるものである。例えば、前輪MG10Aは、電力が供給されて車両2の第一車輪としての二つの前輪2Aを回転駆動させると共に前輪2Aから受ける回転力により発電する。前輪MG10Aは、車両2に搭載された電気機器の一つであり、車両2の前部に配置されている。前輪MG10Aは、ロータ軸が車両2の前輪2Aにドライブシャフトなどの連結機構3等を介して連結されている。前輪MG10Aは、供給される電力を機械的な動力に変換するモータ機能、および機械的な動力を電力に変換する発電部としての機能を有する。前輪MG10Aは、例えば、前輪2Aや図示しないエンジンから伝達される動力によって発電するオルタネータとしての機能や、後述する電池20から供給される電力を消費して車両2の走行用の動力源としての機能を有する。
後輪MG10Bは、車両2の力行を行うと共に回生電力を発生させるものである。例えば、後輪MG10Bは、電力が供給されて車両2の第二車輪としての二つの後輪2Bを回転駆動させると共に後輪2Bから受ける回転力により発電する。後輪MG10Bは、車両2に搭載された電気機器の一つであり、車両2の後部に配置されている。後輪MG10Bは、車両2の後輪2Bにドライブシャフト等の連結機構4等を介して連結されている。後輪MG10Bは、供給される電力を機械的な動力に変換するモータ機能、および機械的な動力を電力に変換する発電部としての機能を有する。後輪MG10Bは、例えば、後輪2Bやエンジンから伝達される動力によって発電するオルタネータとしての機能や、後述する電池20から供給される電力を消費して車両2の走行用の動力源としての機能を有する。
電池20は、電力を蓄電するものである。電池20は、車両2の電源であり、充電および放電が可能な直流電源である。電池20は、インバータ30Aを介して前輪MG10Aに接続され、前輪MG10Aに電力を供給すると共に前輪MG10Aからの電力を充電する。また、電池20は、インバータ30Bを介して後輪MG10Bに接続され、後輪MG10Bに電力を供給すると共に後輪MG10Bからの電力を充電する。
インバータ30Aは、直流電力を交流電力に変換するDC−AC変換器、及び、交流電力を直流電力に変換するAC−DC変換器である。インバータ30Aは、電池20及び前輪MG10Aに接続され、電池20からの直流電力を交流電力に変換して前輪MG10Aに出力する。また、インバータ30Aは、前輪MG10Aからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。インバータ30Aは、例えば、図2に示すように、三相交流を変換する。インバータ30Aは、スイッチング素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)30mを6つ備え、各IGBT30mが三相ブリッジを形成するように接続されている。インバータ30Aは、各相のIGBT30mがオンオフ制御され、電池20からの直流電力を120°の位相差で交流に変換する。インバータ30Aは、変換した三相交流を前輪MG10Aに出力する。また、インバータ30Aは、各相のIGBT30mがオンオフ制御され、前輪MG10Aからの三相交流を直流に変換する。インバータ30Aは、変換した直流電力を電池20に出力する。なお、IGBT30mは、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やバイポーラトランジスタ等のスイッチング素子でもよい。
インバータ30Bは、直流電力を交流電力に変換するDC−AC変換器、及び、交流電力を直流電力に変換するAC−DC変換器である。インバータ30Bは、電池20及び後輪MG10Bに接続され、電池20からの直流電力を交流電力に変換して後輪MG10Bに出力する。また、インバータ30Bは、後輪MG10Bからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。インバータ30Bは、インバータ30Aと同様に構成され、三相交流を変換する。インバータ30Bは、IGBT30nを6つ備え、各IGBT30nが三相ブリッジを形成するように接続されている。インバータ30Bは、各相のIGBT30nがオンオフ制御され、電池20からの直流電力を120°の位相差で交流電力に変換する。インバータ30Bは、変換した三相交流を後輪MG10Bに出力する。また、インバータ30Bは、各相のIGBT30nがオンオフ制御され、後輪MG10Bからの三相交流を直流に変換する。インバータ30Bは、変換した直流電力を電池20に出力する。
マトリックスコンバータ40は、交流電力を異なる交流電力に変換するAC−AC変換器である。例えば、マトリックスコンバータ40は、前輪MG10A及び後輪MG10Bに接続され、前輪MG10Aからの交流電力を異なる交流電力に変換して後輪MG10Bに出力する。また、マトリックスコンバータ40は、後輪MG10Bからの交流電力を異なる交流電力に変換して前輪MG10Aに出力する。マトリックスコンバータ40は、一方側の三相と他方側の三相とを9つの双方向スイッチ(例えば、IGBT)40mにより接続している。マトリックスコンバータ40は、例えば、後述する制御部50によりPWM(Pulse Width Modulation)制御され、三相交流電力を異なる三相交流電力に変換する。マトリックスコンバータ40は、交流電力を異なる交流電力に変換する一例として、例えば、交流電力の周波数を異なる交流電力の周波数に変換したり、交流電圧を異なる交流電圧に変換する。
ここで、車両2の前輪2Aに連結機構3等を介して連結された前輪MG10Aと、後輪2Bに連結機構4等を介して連結された後輪MG10Bと、電池20及び前輪MG10Aに接続されたインバータ30Aと、電池20及び後輪MG10Bに接続されたインバータ30Bと、前輪MG10A及び後輪MG10Bに接続されたマトリックスコンバータ40と、電池20とは、電源系統Hを構成する。電源系統Hは、前輪MG10Aと後輪MG10Bとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40により行うことで変換効率を向上させている。また、電源系統Hは、前輪MG10Aと電池20の間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30Aにより行うことで変換効率を向上させている。また、電源系統Hは、後輪MG10Bと電池20の間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30Bにより行うことで変換効率を向上させている。
制御部50は、電力を変換する変換器を制御するものである。制御部50は、CPU、記憶部を構成するROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部50は、車両2に搭載される上位ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)5からの指令に基づいて各変換器を制御する。制御部50は、インバータ30A、30Bに接続され、インバータ30A、30Bの各IGBT30m、30nをオンオフ制御する。また、制御部50は、マトリックスコンバータ40に接続され、マトリックスコンバータ40の双方向スイッチ40mをPWM制御する。
次に、車両用電源装置1の動作例について説明する。車両用電源装置1は、図3に示すように、前後輪力行の場合、インバータ30Aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を前輪MG10Aに出力し、前輪MG10Aがインバータ30Aから出力された交流電力により前輪2Aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1は、インバータ30Bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を後輪MG10Bに出力し、後輪MG10Bがインバータ30Bから出力された交流電力により後輪2Bを回転駆動させる。
また、車両用電源装置1は、図4に示すように、前後輪回生の場合、前輪MG10Aが前輪2Aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30Aに出力し、インバータ30Aが前輪MG10Aから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30Aから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1は、後輪MG10Bが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30Bに出力し、インバータ30Bが後輪MG10Bから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30Bから出力された直流電力を蓄電する。
また、車両用電源装置1は、図5に示すように、前輪力行、後輪回生の場合、インバータ30Aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を前輪MG10Aに出力し、前輪MG10Aがインバータ30Aから出力された交流電力により前輪2Aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1は、後輪MG10Bが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40に出力し、マトリックスコンバータ40が後輪MG10Bから出力された交流電力を異なる交流電力に変換し当該交流電力を前輪MG10Aに出力し、前輪MG10Aがマトリックスコンバータ40から出力された交流電力により前輪2Aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1は、後輪MG10Bが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30Bに出力し、インバータ30Bが後輪MG10Bから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30Bから出力された直流電力を蓄電する。これにより、車両用電源装置1は、後輪MG10Bによる回生電力を直流電力に変換することなく前輪MG10Aに供給することができるので、電力移送における損失を低減することができる。また、車両用電源装置1は、後輪MG10Bによる回生電力が前輪MG10Aに供給されるので、上述の前後輪力行の場合よりも電池20から前輪MG10Aに供給する電力を低減することができる。
また、車両用電源装置1は、図6に示すように、前輪回生、後輪力行の場合、インバータ30Bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を後輪MG10Bに出力し、後輪MG10Bがインバータ30Bから出力された交流電力により後輪2Bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1は、前輪MG10Aが前輪2Aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40に出力し、マトリックスコンバータ40が前輪MG10Aから出力された交流電力を異なる交流電力に変換し、当該交流電力を後輪MG10Bに出力し、後輪MG10Bがマトリックスコンバータ40から出力された交流電力により後輪2Bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1は、前輪MG10Aが前輪2Aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30Aに出力し、インバータ30Aが前輪MG10Aから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30Aから出力された直流電力を蓄電する。これにより、車両用電源装置1は、前輪MG10Aによる回生電力を直流電力に変換することなく後輪MG10Bに供給することができるので、電力移送における損失を低減することができる。また、車両用電源装置1は、前輪MG10Aによる回生電力が後輪MG10Bに供給されるので、上述の前後輪力行の場合よりも電池20から後輪MG10Bに供給する電力を低減することができる。
以上のように、実施形態1に係る車両用電源装置1は、電池20及び前輪MG10Aに接続されるインバータ30Aと、電池20及び後輪MG10Bに接続されるインバータ30Bと、前輪MG10A及び後輪MG10Bに接続されるマトリックスコンバータ40とを有する電源系統Hを備える。これにより、車両用電源装置1は、前輪MG10Aと電池20との間における電力変換、及び、後輪MG10Bと電池20との間における電力変換を簡略化することができる。例えば、車両用電源装置1は、前輪MG10Aと電池20との間又は後輪MG10Bと電池20との間に介在する変換器の数を必要最低限にできる。従って、車両用電源装置1は、車両2のエネルギー効率を向上させることができると共に電力変換の速度を速くすることができる。
〔実施形態1の変形例1〕
次に、実施形態1の変形例1に係る車両用電源装置1Aについて説明する。本実施形態1の変形例1では、車両2が4輪駆動車であり、車両用電源装置1Aは、車両2の4輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、4輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例1は、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Aは、図7に示すように、車両2の前輪2A側の電源系統である前輪電源系統Fと、車両2の後輪2B側の電源系統である後輪電源系統Bとを含んで構成される。
前輪電源系統Fは、車両2の前輪2Aの左側の車輪である左前輪(第一車輪)2aに連結機構3等を介して連結された第一回転電機としての左前輪MG10aと、前輪2Aの右側の車輪である右前輪(第二車輪)2bに連結機構3等を介して連結された第二回転電機としての右前輪MG10bと、電池20及び左前輪MG10aに接続された第一インバータとしてのインバータ30aと、電池20及び右前輪MG10bに接続された第二インバータとしてのインバータ30bと、左前輪MG10a及び右前輪MG10bに接続されたマトリックスコンバータ40aと、電池20とを含んで構成される。前輪電源系統Fは、左前輪MG10aと右前輪MG10bとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40aにより行うことで変換効率を向上させている。また、前輪電源系統Fは、左前輪MG10aと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30aにより行うことで変換効率を向上させている。また、前輪電源系統Fは、右前輪MG10bと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30bにより行うことで変換効率を向上させている。
左前輪MG10aは、電力が供給されて車両2の左前輪2aを回転駆動させると共に左前輪2aから受ける回転力により発電する。右前輪MG10bは、電力が供給されて車両2の右前輪2bを回転駆動させると共に右前輪2bから受ける回転力により発電する。インバータ30aは、電池20からの直流電力を交流電力に変換して左前輪MG10aに出力し、左前輪MG10aからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。インバータ30bは、電池20からの直流電力を交流電力に変換して右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。マトリックスコンバータ40aは、左前輪MG10a及び右前輪MG10bに接続され、左前輪MG10aからの交流電力を異なる交流電力に変換して右前輪MG10bに出力する。また、マトリックスコンバータ40aは、右前輪MG10bからの交流電力を異なる交流電力に変換して左前輪MG10aに出力する。
後輪電源系統Bは、車両2の後輪2Bの左側の車輪である左後輪(第一車輪)2cに連結機構4等を介して連結された第一回転電機としての左後輪MG10cと、後輪2Bの右側の車輪である右後輪(第二車輪)2dに連結機構4等を介して連結された第二回転電機としての右後輪MG10dと、電池20及び左後輪MG10cに接続された第一インバータとしてのインバータ30cと、電池20及び右後輪MG10dに接続された第二インバータとしてのインバータ30dと、左後輪MG10c及び右後輪MG10dに接続されたマトリックスコンバータ40bと、電池20とを含んで構成される。後輪電源系統Bは、左後輪MG10cと右後輪MG10dとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40bにより行うことで変換効率を向上させている。また、後輪電源系統Bは、左後輪MG10cと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30cにより行うことで変換効率を向上させている。また、後輪電源系統Bは、右後輪MG10dと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30dにより行うことで変換効率を向上させている。
左後輪MG10cは、電力が供給されて車両2の左後輪2cを回転駆動させると共に左後輪2cから受ける回転力により発電する。右後輪MG10dは、電力が供給されて車両2の右後輪2dを回転駆動させると共に右後輪2dから受ける回転力により発電する。インバータ30cは、電池20からの直流電力を交流電力に変換して左後輪MG10cに出力し、左後輪MG10cからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。インバータ30dは、電池20からの直流電力を交流電力に変換して右後輪MG10dに出力し、右後輪MG10dからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。マトリックスコンバータ40bは、左後輪MG10c及び右後輪MG10dに接続され、左後輪MG10cからの交流電力を異なる交流電力に変換して右後輪MG10dに出力する。また、マトリックスコンバータ40bは、右後輪MG10dからの交流電力を異なる交流電力に変換して左後輪MG10cに出力する。
制御部50は、インバータ30a〜30dに接続され、インバータ30a〜30dを制御する。また、制御部50は、マトリックスコンバータ40a、40bに接続され、マトリックスコンバータ40a、40bを制御する。
次に、車両用電源装置1Aの動作例について説明する。車両用電源装置1Aは、図8に示すように、前後輪力行の場合、インバータ30aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を左前輪MG10aに出力し、左前輪MG10aがインバータ30aから出力された交流電力により左前輪2aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、インバータ30cが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を左後輪MG10cに出力し、左後輪MG10cがインバータ30cから出力された交流電力により左後輪2cを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、インバータ30dが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右後輪MG10dに出力し、右後輪MG10dがインバータ30dから出力された交流電力により右後輪2dを回転駆動させる。
また、車両用電源装置1Aは、図9に示すように、前後輪回生の場合、左前輪MG10aが左前輪2aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30aに出力し、インバータ30aが左前輪MG10aから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30aから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Aは、右前輪MG10bが右前輪2bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30bに出力し、インバータ30bが右前輪MG10bから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30bから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Aは、左後輪MG10cが左後輪2cの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30cに出力し、インバータ30cが左後輪MG10cから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30cから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Aは、右後輪MG10dが右後輪2dの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30dに出力し、インバータ30dが右後輪MG10dから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30dから出力された直流電力を蓄電する。
また、車両用電源装置1Aは、図10に示すように、前輪力行、後輪回生の場合、車両用電源装置1Aは、インバータ30aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を左前輪MG10aに出力し、左前輪MG10aがインバータ30aから出力された交流電力により左前輪2aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、左後輪MG10cが左後輪2cの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30cに出力し、インバータ30cが左後輪MG10cから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30cから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Aは、右後輪MG10dが右後輪2dの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30dに出力し、インバータ30dが右後輪MG10dから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30dから出力された直流電力を蓄電する。
また、車両用電源装置1Aは、図11に示すように、右前輪2b及び右後輪2dが力行、左前輪2a及び左後輪2cが回生の場合(車両2が左旋回の場合)、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、インバータ30dが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右後輪MG10dに出力し、右後輪MG10dがインバータ30dから出力された交流電力により右後輪2dを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Aは、左前輪MG10aが左前輪2aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30aに出力し、インバータ30aが左前輪MG10aから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30aから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Aは、左後輪MG10cが左後輪2cの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30cに出力し、インバータ30cが左後輪MG10cから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30cから出力された直流電力を蓄電する。以上のように、実施形態1の変形例1に係る車両用電源装置1Aは、前輪電源系統F及び後輪電源系統Bを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例2〕
次に、実施形態1の変形例2に係る車両用電源装置1Bについて説明する。車両用電源装置1Bは、車両2の4輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、4輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例2は、実施形態1の変形例1と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Bは、図12に示すように、車両2の前後輪の左側の電源系統である左側電源系統Lと、車両2の前後輪の右側の電源系統である右側電源系統Rとを含んで構成される。
左側電源系統Lは、第一回転電機としての左前輪MG10aと、第二回転電機としての左後輪MG10cと、第一インバータとしてのインバータ30aと、第二インバータとしてのインバータ30cと、左前輪MG10a及び左後輪MG10cに接続されたマトリックスコンバータ40cと、電池20とを備える。マトリックスコンバータ40cは、左前輪MG10aからの交流電力を異なる交流電力に変換して左後輪MG10cに出力する。また、マトリックスコンバータ40cは、左後輪MG10cからの交流電力を異なる交流電力に変換して左前輪MG10aに出力する。左側電源系統Lは、左前輪MG10aと左後輪MG10cとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40cにより行うことで変換効率を向上させている。また、左側電源系統Lは、左前輪MG10aと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30aにより行うことで変換効率を向上させている。また、左側電源系統Lは、左後輪MG10cと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30cにより行うことで変換効率を向上させている。
右側電源系統Rは、第一回転電機としての右前輪MG10bと、第二回転電機としての右後輪MG10dと、第一インバータとしてのインバータ30bと、第二インバータとしてのインバータ30dと、右前輪MG10b及び右後輪MG10dに接続されたマトリックスコンバータ40dと、電源20とを備える。マトリックスコンバータ40dは、右前輪MG10bからの交流電力を異なる交流電力に変換して右後輪MG10dに出力する。また、マトリックスコンバータ40cは、右後輪MG10dからの交流電力を異なる交流電力に変換して右前輪MG10bに出力する。右側電源系統Rは、右前輪MG10bと右後輪MG10dとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40dにより行うことで変換効率を向上させている。また、右側電源系統Rは、右前輪MG10bと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30bにより行うことで変換効率を向上させている。また、右側電源系統Rは、右後輪MG10dと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30dにより行うことで変換効率を向上させている。
制御部50は、インバータ30a〜30dに接続され、インバータ30a〜30dを制御する。また、制御部50は、マトリックスコンバータ40c、40dに接続され、マトリックスコンバータ40c、40dを制御する。以上のように、実施形態1の変形例2に係る車両用電源装置1Bは、左側電源系統L及び右側電源系統Rを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例3〕
次に、実施形態1の変形例3に係る車両用電源装置1Cについて説明する。車両用電源装置1Cは、車両2の4輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、4輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例3は、実施形態1の変形例2と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Cは、図13に示すように、左側電源系統Lと、右側電源系統Rと、前輪電源系統Fとを含んで構成される。以上のように、実施形態1の変形例3に係る車両用電源装置1Cは、前輪電源系統F、左側電源系統L及び右側電源系統Rを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例4〕
次に、実施形態1の変形例4に係る車両用電源装置1Dについて説明する。車両用電源装置1Dは、車両2の4輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、4輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例4は、実施形態1の変形例3と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Dは、図14に示すように、左側電源系統L、右側電源系統R、前輪電源系統F及び後輪電源系統Bとを含んで構成される。以上のように、実施形態1の変形例4に係る車両用電源装置1Dは、前輪電源系統F、後輪電源系統B、左側電源系統L及び右側電源系統Rを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例5〕
次に、実施形態1の変形例5に係る車両用電源装置1Eについて説明する。車両用電源装置1Eは、車両2の4輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、4輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例5は、実施形態1の変形例4と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
車両用電源装置1Eは、図15に示すように、前輪電源系統Fと、左後輪MG10cと、右後輪MG10dと、左前輪MG10a及び左後輪MG10cに接続されたマトリックスコンバータ40cと、右前輪MG10b及び右後輪MG10dに接続されたマトリックスコンバータ40dと、を含んで構成される。以上のように、実施形態1の変形例5に係る車両用電源装置1Eは、前輪電源系統Fを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例6〕
次に、実施形態1の変形例6に係る車両用電源装置1Fについて説明する。車両用電源装置1Fは、前輪2Aのそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、後輪2Bにそれぞれ発電機を備える点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例6は、実施形態1の変形例5と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
車両用電源装置1Fは、図16に示すように、前輪電源系統Fと、左後輪2cに連結機構4等を介して連結された発電機10eと、右後輪2dに連結機構4等を介して連結された発電機10fと、左前輪MG10a及び発電機10eに接続されたマトリックスコンバータ40cと、右前輪MG10b及び発電機10fに接続されたマトリックスコンバータ40dと、を含んで構成される。以上のように、実施形態1の変形例6に係る車両用電源装置1Fは、前輪電源系統Fを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例7〕
次に、実施形態1の変形例7に係る車両用電源装置1Gについて説明する。車両用電源装置1Gは、前輪2Aの両輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、前輪2Aの両輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例7は、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
車両用電源装置1Gは、図17に示すように、前輪電源系統Fと、車両2の後輪2Bに連結機構4等を介して連結された後輪MG10Bと、電池20及び後輪MG10Bに接続されたインバータ30Bとを含んで構成される。以上のように、実施形態1の変形例7に係る車両用電源装置1Gは、前輪電源系統Fを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態1の変形例8〕
次に、実施形態1の変形例8に係る車両用電源装置1Hについて説明する。車両用電源装置1Hは、前輪2Aの両輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、前輪2Aの両輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態1と異なる。なお、実施形態1の変形例8は、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
車両用電源装置1Hは、図18に示すように、前輪電源系統Fと、左側電源系統Lと、右側電源系統Rと、切替SW部60とを含んで構成される。切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を切り替えるものである。切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を左前輪MG10a又は右前輪MG10bに切り替える。例えば、切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を左前輪MG10aに切り替えて当該左前輪MG10aと後輪MG10Bとの間でマトリックスコンバータ40dによりAC−AC変換を可能にする。また、切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を右前輪MG10bに切り替えて当該右前輪MG10bと後輪MG10Bとの間でマトリックスコンバータ40dによりAC−AC変換を可能にする。このように、車両用電源装置1Hは、切替SW部60によりマトリックスコンバータ40dの接続を切り替えることにより、左側電源系統Lと右側電源系統Rとで共通のマトリックスコンバータ40dを使用してAC−AC変換をすることができる。この場合、右側電源系統Rは、右前輪MG10bと、インバータ30bと、電池20と、インバータ30Bと、後輪MG10Bと、マトリックスコンバータ40dとを含んで構成される。また、左側電源系統Lは、左前輪MG10aと、インバータ30aと、電池20と、インバータ30Bと、後輪MG10Bと、マトリックスコンバータ40dとを含んで構成される。
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係る車両用電源装置1Iについて説明する。車両用電源装置1Iは、インバータの代わりに整流器を有する点で実施形態1と異なる。なお、実施形態2は、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Iは、図19に示すように、前輪MG10Aと、発電機10gと、電池20と、インバータ30Aと、整流器70と、マトリックスコンバータ40と、制御部50とを備える。
発電機10gは、車両2の回生電力を発生させるものである。例えば、発電機10gは、後輪2Bから受ける回転力により発電する。発電機10gは、車両2に搭載された電気機器の一つであり、車両2の後部に配置されている。発電機10gは、車両2の後輪2Bに連結機構4等を介して連結されている。発電機10gは、機械的な動力を電力に変換する発電部としての機能を有する。発電機10gは、例えば、後輪2Bやエンジンから伝達される動力によって発電するオルタネータとして用いられる。
整流器70は、交流電力を直流電力に変換する変換器である。例えば、整流器70は、電池20及び発電機10gに接続され、発電機10gからの交流電力を直流電力に変換して電池20に出力する。整流器70は、例えば、図20に示すように、三相交流を変換する整流回路である。例えば、整流器70は、整流素子としてのダイオード70aを三対(六つ)備え、三対のダイオード70aの各々が三相交流の各相に接続された三相全波整流回路である。整流器70は、三相交流の各相の交流電力を全波整流して直流に変換する。整流器70は、変換した直流電力を電池20に出力する。
ここで、車両2の前輪2Aに連結機構3等を介して連結された前輪MG10Aと、後輪2Bに連結機構4等を介して連結された発電機10gと、電池20及び前輪MG10Aに接続されたインバータ30Aと、電池20及び発電機10gに接続された整流器70と、前輪MG10A及び発電機10gに接続されたマトリックスコンバータ40と、電池20とは、電源系統Haを構成する。電源系統Haは、前輪MG10Aと発電機10gとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40により行うことで変換効率を向上させている。また、電源系統Haは、前輪MG10Aと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30Aにより行うことで変換効率を上げている。また、電源系統Haは、発電機10gと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずに整流器70により行うことで変換効率を上げている。
制御部50は、インバータ30A及び整流器70に接続され、インバータ30A及び整流器70を制御する。また、制御部50は、マトリックスコンバータ40に接続され、マトリックスコンバータ40の双方向スイッチをPWM制御する。
次に、車両用電源装置1Iの動作例について説明する。車両用電源装置1Iは、図21に示すように、前輪力行の場合、インバータ30Aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を前輪MG10Aに出力し、前輪MG10Aがインバータ30Aから出力された交流電力により前輪2Aを回転駆動させる。
また、車両用電源装置1Iは、図22に示すように、前後輪回生の場合、前輪MG10Aが前輪2Aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30Aに出力し、インバータ30Aが前輪MG10Aから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30Aから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Iは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力を整流器70に出力し、整流器70が発電機10gから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20が整流器70から出力された直流電力を蓄電する。
また、車両用電源装置1Iは、図23に示すように、前輪力行、後輪回生の場合、インバータ30Aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を前輪MG10Aに出力し、前輪MG10Aがインバータ30Aから出力された交流電力により前輪2Aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Iは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40に出力し、マトリックスコンバータ40が発電機10gから出力された交流電力を異なる交流電力に変換し、当該交流電力を前輪MG10Aに出力し、前輪MG10Aがマトリックスコンバータ40から出力された交流電力により前輪2Aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Iは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力を整流器70に出力し、整流器70が発電機10gから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20が整流器70から出力された直流電力を蓄電する。これにより、車両用電源装置1Iは、発電機10gによる回生電力を直流電力に変換することなく前輪MG10Aに供給することができるので、電力移送における損失を低減することができる。また、車両用電源装置1Iは、発電機10gによる回生電力が前輪MG10Aに供給されるので、上述の前輪力行の場合よりも電池20から前輪MG10Aに供給する電力を低減することができる。
以上のように、実施形態2に係る車両用電源装置1Iは、電池20及び前輪MG10Aに接続されるインバータ30Aと、電池20及び発電機10gに接続される整流器70と、前輪MG10A及び発電機10gに接続されるマトリックスコンバータ40とを含んで構成される電源系統Haを備える。これにより、車両用電源装置1Iは、前輪MG10Aと電池20との間における電力変換、及び、発電機10gと電池20との間における電力変換を簡略化することができる。例えば、車両用電源装置1Iは、前輪MG10Aと電池20との間又は発電機10gと電池20との間に介在する変換器の数を従来よりも少なくすることができる。従って、車両用電源装置1Iは、車両2のエネルギー効率を向上させることができると共に電力変換の速度を速くすることができる。
〔実施形態2の変形例1〕
次に、実施形態2の変形例1に係る車両用電源装置1Jについて説明する。車両用電源装置1Jは、前輪2Aの両輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、前輪2Aの両輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態2と異なる。なお、実施形態2の変形例1は、実施形態2と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Jは、図24に示すように、車両2の前輪2A側の電源系統である前輪電源系統Fと、車両2の後輪2Bに連結機構4等を介して連結された発電機10gと、電池20及び発電機10gに接続された整流器70と、制御部50とを含んで構成される。
前輪電源系統Fは、上述のように、車両2の前輪2Aの左側の車輪である左前輪2aに連結機構3等を介して連結された左前輪MG10aと、前輪2Aの右側の車輪である右前輪2bに連結機構3等を介して連結された右前輪MG10bと、電池20及び左前輪MG10aに接続されたインバータ30aと、電池20及び右前輪MG10bに接続されたインバータ30bと、左前輪MG10a及び右前輪MG10bに接続されたマトリックスコンバータ40aと、電池20とを含んで構成される。
次に、車両用電源装置1Jの動作例について説明する。車両用電源装置1Jは、図25に示すように、前輪力行の場合、インバータ30aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を左前輪MG10aに出力し、左前輪MG10aがインバータ30aから出力された交流電力により左前輪2aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Jは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。
また、車両用電源装置1Jは、図26に示すように、前後輪回生の場合、左前輪MG10aが左前輪2aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30aに出力し、インバータ30aが左前輪MG10aから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30aから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Jは、右前輪MG10bが右前輪2bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をインバータ30bに出力し、インバータ30bが右前輪MG10bから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20がインバータ30bから出力された直流電力を蓄電する。また、車両用電源装置1Jは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力を整流器70に出力し、整流器70が発電機10gから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20が整流器70から出力された直流電力を蓄電する。
また、車両用電源装置1Jは、図27に示すように、前輪力行、後輪回生の場合、インバータ30aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を左前輪MG10aに出力し、左前輪MG10aがインバータ30aから出力された交流電力により左前輪2aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Jは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Jは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力を整流器70に出力し、整流器70が発電機10gから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20が整流器70から出力された直流電力を蓄電する。
また、車両用電源装置1Jは、図28に示すように、右前輪2b力行、左前輪2a及び後輪2Bが回生の場合(車両2が左旋回の場合)、車両用電源装置1Jは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Jは、左前輪MG10aが左前輪2aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40aに出力し、マトリックスコンバータ40aが左前輪MG10aから出力された交流電力を異なる交流電力に変換して右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがマトリックスコンバータ40aから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Jは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力を整流器70に出力し、整流器70が発電機10gから出力された交流電力を直流電力に変換して電池20に出力し、電池20が整流器70から出力された直流電力を蓄電する。以上のように、実施形態2の変形例1に係る車両用電源装置1Jは、前輪電源系統Fを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態2の変形例2〕
次に、実施形態2の変形例2に係る車両用電源装置1Kについて説明する。車両用電源装置1Kは、前輪2Aの両輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、前輪2Aの両輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態2と異なる。なお、実施形態2の変形例2は、実施形態2の変形例1と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
車両用電源装置1Kは、図29に示すように、前輪電源系統Fと、左側電源系統Laと、右側電源系統Raと、切替SW部60とを含んで構成される。ここで、左側電源系統Laは、車両2の左前輪2aに連結機構3等を介して連結された左前輪MG10aと、左後輪2cに連結機構4等を介して連結された発電機10gと、電池20及び左前輪MG10aに接続されたインバータ30aと、電池20及び発電機10gに接続された整流器70と、左前輪MG10a及び発電機10gに接続されたマトリックスコンバータ40dと、電池20とを含んで構成される。左側電源系統Laは、左前輪MG10aと発電機10gとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40dにより行うことで変換効率を向上させている。また、左側電源系統Laは、左前輪MG10aと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30aにより行うことで変換効率を向上させている。また、左側電源系統Laは、発電機10gと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずに整流器70により行うことで変換効率を向上させている。
右側電源系統Raは、車両2の右前輪2bに連結機構3等を介して連結された右前輪MG10bと、右後輪2dに連結機構4等を介して連結された発電機10gと、電池20及び右前輪MG10bに接続されたインバータ30bと、電池20及び発電機10gに接続された整流器70と、右前輪MG10b及び発電機10gに接続されたマトリックスコンバータ40dと、電池20とを含んで構成される。右側電源系統Raは、右前輪MG10bと発電機10gとの間における電力変換を他の変換器を介さずにマトリックスコンバータ40dにより行うことで変換効率を向上させている。また、右側電源系統Raは、右前輪MG10bと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずにインバータ30bにより行うことで変換効率を向上させている。また、右側電源系統Raは、発電機10gと電池20との間における電力変換を他の変換器を介さずに整流器70により行うことで変換効率を向上させている。
切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を左前輪MG10a又は右前輪MG10bに切り替える。例えば、切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を左前輪MG10aに切り替えて当該左前輪MG10aと発電機10gとの間でマトリックスコンバータ40dによりAC−AC変換を可能にする。また、切替SW部60は、マトリックスコンバータ40dの接続を右前輪MG10bに切り替えて当該右前輪MG10bと発電機10gとの間でマトリックスコンバータ40dによりAC−AC変換を可能にする。このように、車両用電源装置1Kは、切替SW部60によりマトリックスコンバータ40dの接続を切り替えることにより、左側電源系統Laと右側電源系統Raとで共通のマトリックスコンバータ40dを使用してAC−AC変換をすることができる。
次に、車両用電源装置1Kの動作例について説明する。車両用電源装置1Kは、図30に示すように、前輪力行、後輪回生の場合、インバータ30aが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を左前輪MG10aに出力し、左前輪MG10aがインバータ30aから出力された交流電力により左前輪2aを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Kは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Kは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40dに出力し、マトリックスコンバータ40dが発電機10gから出力された交流電力を異なる交流電力に変換し、切替SW部60がマトリックスコンバータ40dから出力された交流電力を左前輪MG10a又は右前輪MG10bに出力し、左前輪MG10aがマトリックスコンバータ40dから出力された交流電力により左前輪2aを回転させ、右前輪MG10bがマトリックスコンバータ40dから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。
また、車両用電源装置1Kは、図31に示すように、右前輪2b力行、左前輪2a及び後輪2Bが回生の場合(車両2が左旋回の場合)、車両用電源装置1Kは、インバータ30bが電池20の直流電力を交流電力に変換し当該交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがインバータ30bから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Kは、左前輪MG10aが左前輪2aの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40aに出力し、マトリックスコンバータ40aが左前輪MG10aから出力された交流電力を異なる交流電力に変換して右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがマトリックスコンバータ40aから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。また、車両用電源装置1Kは、発電機10gが後輪2Bの回転力を交流電力に変換し当該交流電力をマトリックスコンバータ40dに出力し、マトリックスコンバータ40dが発電機10gから出力された交流電力を異なる交流電力に変換し、切替SW部60がマトリックスコンバータ40dから出力された交流電力を右前輪MG10bに出力し、右前輪MG10bがマトリックスコンバータ40dから出力された交流電力により右前輪2bを回転駆動させる。以上のように、車両用電源装置1Kは、前輪電源系統F、左側電源系統La及び右側電源系統Raを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
〔実施形態2の変形例3〕
次に、実施形態2の変形例3に係る車両用電源装置1Lについて説明する。車両用電源装置1Lは、前輪2Aの両輪のそれぞれにモータジェネレータ(MG)を備え、前輪2Aの両輪のそれぞれにおいて力行及び回生を行う点で実施形態2と異なる。なお、実施形態2の変形例3は、実施形態2の変形例2と同様の構成には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。車両用電源装置1Lは、図32に示すように、車両2の左側の前後輪の電源系統である左側電源系統Laと、車両2の右側の前後輪の電源系統である右側電源系統Raとを含んで構成される。
左側電源系統Laは、左前輪2aに連結機構3等を介して連結された左前輪MG10aと、左後輪2cに連結機構4等を介して連結された発電機10eと、電池20及び左前輪MG10aに接続されたインバータ30aと、電池20及び発電機10eに接続された整流器70bと、左前輪MG10a及び発電機10eに接続されたマトリックスコンバータ40cと、電池20とを備える。マトリックスコンバータ40cは、発電機10eからの交流電力を異なる交流電力に変換して左前輪MG10aに出力する。
右側電源系統Raは、右前輪2bに連結機構3等を介して連結された右前輪MG10bと、右後輪2dに連結機構4等を介して連結された発電機10fと、電池20及び右前輪MG10bに接続されたインバータ30bと、電池20及び発電機10fに接続された整流器70cと、右前輪MG10b及び発電機10fに接続されたマトリックスコンバータ40dと、電池20とを備える。マトリックスコンバータ40dは、発電機10fからの交流電力を異なる交流電力に変換して右前輪MG10bに出力する。以上のように、実施形態2の変形例3に係る車両用電源装置1Lは、左側電源系統La、右側電源系統Raを含むことにより、車両2のエネルギー効率を向上させることができる。
第一車輪は、車両2の前輪2A(左前輪2a及び右前輪2b)又は車両2の後輪2B(左後輪2c及び右後輪2d)の一方を含み、第二車輪は、車両2の前輪2A(左前輪2a及び右前輪2b)又は車両2の後輪2B(左後輪2c及び右後輪2d)の他方を含む。このように、第一車輪と第二車輪とは、前輪又は後輪に対応する。また、第一車輪は、車両2の車幅方向における左側の車輪(左前輪2a及び左後輪2c)又は車両2の車幅方向における右側の車輪(右前輪2b及び右後輪2d)の一方を含み、第二車輪は、車両2の車幅方向における左側の車輪(左前輪2a及び左後輪2c)又は車両2の車幅方向における右側の車輪(右前輪2b及び右後輪2d)の他方を含む。このように、第一車輪と第二車輪とは、左側の車輪又は右側の車輪に対応する。
なお、車両2は、4輪について説明したが、これに限定されない。例えば、車両2は、2輪や3輪、5輪以上でもよい。また、第一車輪、第二車輪、第一回転電機、第二回転電機、第一コンバータ、第二コンバータ、マトリックスコンバータ、発電機、整流器における実施形態との対応関係は、一例を示すものでありこれらに限定されず、適応する装置、機器、システムに応じて適宜対応関係を当てはめることができる。