JP6779267B2 - 積層多孔質フィルム及び非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
を含む非水電解液二次電池に関する。
ーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末などに用いる電池として広く使用されて
いる。これらのリチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池では、通常、正
極と負極との間にセパレータが介在する。
電池の破損あるいは電池を用いている機器の破損等により内部短絡・外部短絡が生じた場
合には、大電流が流れて激しく発熱する。そのため、非水電解液二次電池には一定以上の
発熱を防止し、高い安全性を確保することが求められている。
かかる安全性の確保手段として、異常発熱の際に、セパレータにより、正−負極間のイ
オンの通過を遮断して、さらなる発熱を防止するシャットダウン機能を付与する方法が一
般的である。シャットダウン機能をセパレータに付与する方法としては、異常発熱時に溶
融する材質からなる多孔質フィルムをセパレータとして用いる方法が挙げられる。すなわ
ち、このセパレータを用いた電池は、異常発熱時に多孔質フィルムが溶融・無孔化し、イ
オンの通過を遮断し、さらなる発熱を抑制することができる。
の多孔質フィルムが用いられる。このポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータ
は、電池の異常発熱時には、溶融して無孔化することでイオンの通過を遮断(シャットダ
ウン)することにより、さらなる発熱を抑制する。しかしながら、発熱が激しい場合など
には、ポリオレフィン多孔質フィルムからなるセパレータが熱収縮することにより、正極
と負極が直接接触して、短絡を起こすおそれがある。このように、ポリオレフィン多孔質
フィルムからなるセパレータは、高温での形状安定性が不十分であり、短絡による異常発
熱を抑制できない場合があった。
した多孔質基材層の一方の面に無機フィラーを主体としたフィラー層を有し、他方の面に
融点が100〜130℃の樹脂粒子を主体とした樹脂層を有するセパレータが提案されて
いる(特許文献1参照)。特許文献1では、かかるセパレータについて、樹脂層を設ける
ことで、多孔質基材層の熱収縮温度に到達する前に樹脂粒子が溶融して多孔質基材層を無
孔被膜化し、また、フィラー層を設けることで、多孔質基材層の熱収縮温度に到達した場
合でもこのフィラー層の存在により電極間の短絡を防止することが記載されている。
孔質基材層にフィラー層及び樹脂層を積層して多層構成としたセパレータについて、具体
的なイオン透過性の評価まではなされておらず、イオン透過性について改善の余地がある
。
な積層多孔質フィルムを提供することにある。
った。
<1>ポリオレフィンを主体として含む多孔質基材層と、無機粒子を主体として含むフ
ィラー層と、メディアン径(D50)が1μmより大きい樹脂粒子を主体として含む樹脂
層を有する積層多孔質フィルム。
<2>樹脂粒子が、粒子径が0.8μm未満の樹脂粒子の含有割合が40体積%未満で
ある前記<1>に記載の積層多孔質フィルム。
<3>基材層の一方の面にフィラー層を、他方の面に樹脂層を有する前記<1>又は<
2>に記載の積層多孔質フィルム。
<4>多孔質基材層に対するフィラー層の目付比が、0.2〜3.0であり、多孔質基
材層に対する樹脂層の目付比が、0.1〜2.0である前記<1>〜<3>のいずれかに
記載の積層多孔質フィルム。
<5>無機粒子が、アルミナ、ベーマイト、シリカ及びチタニアからなる群から選ばれ
る1種以上である前記<1>〜<4>のいずれかに記載の積層多孔質フィルム。
<6>無機粒子が、α−アルミナである前記<1>〜<5>のいずれかに記載の積層多
孔質フィルム。
<7>フィラー層が、有機バインダを含む前記<1>〜<6>のいずれかに記載の積層
多孔質フィルム。
<8>有機バインダが、水溶性高分子である前記<7>に記載の積層多孔質フィルム。
<9>水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロース、アルキルセルロース、ヒドロキ
シアルキルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル酸及びアルギン酸からな
る群から選ばれる1種以上である前記<8>に記載の積層多孔質フィルム。
<10>樹脂層が、有機バインダを含む前記<1>〜<9>のいずれかに記載の積層多
孔質フィルム。
<11>有機バインダが、非水溶性高分子である前記<10>に記載の積層多孔質フィ
ルム。
<12>非水溶性高分子が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体、フッ素系ゴム及びスチレンブタジエンゴムからなる群から選ばれる1種
類以上である前記<11>に記載の積層多孔質フィルム。
<13>前記<1>〜<12>のいずれかに記載の積層多孔質フィルムを含む非水電解
液二次電池。
な積層多孔質フィルムが得られる。
、その要旨の範囲内において、自由に種々変形して実施可能である。
、「A層」と称す場合がある。)と、無機粒子を主体として含むフィラー層(以下、「B
層」と称す場合がある。)と、メディアン径(D50)が1μmより大きい樹脂粒子(以
下、「樹脂粒子」と称す場合がある。)を主体として含む樹脂層(以下、「C層」と称す
場合がある。)とを有する積層多孔質フィルムである。なお、A層は、電池が激しく発熱
した時に、溶融して無孔化することにより、積層多孔質フィルムにシャットダウンの機能
を付与する。また、B層は、シャットダウンが生じる高温における耐熱性を有しているの
で、B層を有する積層多孔質フィルムは高温でも形状安定性を有する。また、C層は、A
層の熱収縮温度に到達する前に樹脂粒子が溶融して多孔質基材層を無孔被膜化する。
本発明の積層多孔質フィルムにおけるA層について説明する。A層は、正極及び負極の
短絡を防止するセパレータ本来の機能を有している。また、後述するB層やC層の支持体
としての機能や、シャットダウン機能、例えば80℃以上(より好ましくは100℃以上
)150℃以下で、セパレータの空孔が閉塞する性質、を確保することもできる。すなわ
ち、本発明のリチウムイオン二次電池の温度がA層の主体となる成分である熱可塑性樹脂
の融点(JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定
される融解温度)以上に達したときには、A層に含まれるポリオレフィンが溶融してセパ
レータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンな
どを重合した高分子量の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これらのポリオレフィン
は、単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
上記ポリオレフィンの中でも、エチレンを主体とする高分子量ポリエチレンが好ましい
。
重量中、ポリオレフィンの含有割合が50体積%を超えることを意味する。A層における
ポリオレフィンの含有割合は、A層の構成成分の全重量中、70体積%以上であることが
好ましく、90体積%以上であることがより好ましく、95体積%以上であることがさら
に好ましい。
よい。
、電解液への溶解を防止する点から、重量平均分子量が1×105〜15×106の高分
子量成分が含まれていることが好ましく、A層に含まれるポリオレフィンの重量平均分子
量が前記所定の範囲であることが好ましい。
%である。空隙率が30体積%未満では電解液の保持量が少なくなる場合があり、80体
積%を超えるとシャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる、すなわち電
池が激しく発熱したときに電流が遮断できなくなる恐れがある。
厚みが5μm未満であると、シャットダウンが生じる高温における無孔化が不十分となる
恐れがあり、50μmを超えると、積層多孔質フィルムの厚みが厚くなり、電池の容量が
小さくなる恐れがある。
液体が透過可能である。A層の透気度は、通常、ガーレ値で50〜400秒/100cc
であり、好ましくは、50〜300秒/100ccである。A層の孔径は3μm以下が好
ましく、1μm以下がさらに好ましい。
付けが4g/m2未満であると、積層多孔質フィルムの強度が不十分となる恐れがあり、
15g/m2を超えると、積層多孔質フィルムの厚みが厚くなり、電池の容量が小さくな
る恐れがある。
すなわち、(1)超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、炭酸カルシウム等の無機充填剤100〜400重量部とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程
(2)前記ポリオレフィン樹脂組成物を用いてシートを成形する工程
(3)工程(2)で得られたシートから無機充填剤を除去する工程
(4)工程(3)で得られたシートを延伸してA層を得る工程
を含む方法、又は
(1)超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、無機充填剤100〜400重量部とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程
(2)前記ポリオレフィン樹脂組成物を用いてシートを成形する工程
(3)工程(2)で得られたシートを延伸して延伸シートを得る工程
(4)工程(3)で得られた延伸シートから無機充填剤を除去してA層を得る工程
を含む方法である。
次に、本発明の積層多孔質フィルムにおけるB層について説明する。B層は無機粒子を
主体として含む多孔質層である。B層は、無機粒子を主体として含む多孔質層であること
で、一方の面から他方の面に気体や液体が透過可能であり、さらに、積層多孔質フィルム
に高温における形状安定性を付与することが可能である。
、無機粒子の含有割合が50重量%を超えることを意味する。B層における無機粒子の含
有割合は、B層の構成成分の全重量中、70重量%以上であることが好ましく、90重量
%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましい。
イドロタルサイト、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マ
グネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム
、酸化マグネシウム、チタニア、ベーマイト、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス等
が挙げられる。無機粒子の材料としては、アルミナ、ベーマイト、シリカ、チタニアが好
ましく、アルミナがより好ましい。アルミナとしては、α−アルミナが好ましい。これら
の無機粒子の材料は、単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
形状は特に制限がなく、板状、粒状、繊維状などが好適に用いられる。
、例えば、有機バインダが含まれていてもよい。
層と無機粒子とを結着させる性能を持ち、電池の電解液に対して不溶であり、電池の使用
範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。有機バインダは、水溶性重合体であって
もよいし、非水溶性重合体であってもよいが、中でも、環境及び製造コストの点から、水
溶性重合体が好ましい。水溶性重合体としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコール、セルロースエーテル、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル
アミド、ポリメタクリル酸等が挙げられ、中でも、セルロースエーテル、ポリビニルアル
コール、アルギン酸ナトリウムが好ましく、セルロースエーテルがさらに好ましい。これ
らの有機バインダは、単独あるいは二種以上を混合して用いることができる。
セルロースエーテルとしては、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース、
ヒドロキシアルキルセルロース等が挙げられ、具体的には、カルボキシメチルセルロース
(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシエチルセルロース、メ
チルセルロース、エチルセルロース、シアンエチルセルロース、オキシエチルセルロース
等が挙げられ、長時間にわたる使用における劣化が少ないのでCMCが最も好ましい。
られる。CMCの金属塩は加熱形状維持特性に優れ、とりわけ、CMCナトリウムは汎用
的で入手が容易であるためより好ましい。
量部に対して、通常1〜100重量部であり、好ましくは10〜50重量部である。無機
粒子の重量割合が、上記特定の範囲であることで、イオン透過性を保ちつつ、強度に優れ
たB層を得ることができる。
剤等を含んでいてもよい。
以下である。厚みが1μm未満であると、電池が激しく発熱したときにA層の熱収縮に抗
しきれず積層多孔質フィルムが収縮する恐れがあり、15μmを超えると、非水電解液二
次電池を製造した場合に、該電池の出力特性が低下する恐れがある。
、より好ましくは1μm以下である。孔径の平均の大きさ又は孔径が3μmを超える場合
には、正極や負極の主成分である炭素粉やその小片が脱落したときに、短絡しやすいなど
の問題が生じる恐れがある。また、B層の空隙率は、好ましくは30体積%〜70体積%
であり、より好ましくは40体積%〜60体積%である。
次に、本発明の積層多孔質フィルムにおけるC層について説明する。本発明の積層多孔
質フィルムに用いるC層は、メディアン径(D50)が1.0μmより大きい樹脂粒子を
主体として含む。C層が樹脂粒子を主体として含むことで、C層内に適度な空隙が保たれ
ることになり、このC層を有する積層多孔質フィルムを含む非水二次電池は、電池抵抗が
低減され、出力特性が良好なものとなる。そして、C層は、シャットダウン機能を有する
ものであり、特にA層が、ポリプロピレンなどの高融点のポリオレフィンを主体として含
む層である場合に、その機能がより有効に作用するものである。本発明において、C層が
、樹脂粒子を主体として含むとは、C層の構成成分の全重量中、樹脂粒子の含有割合が5
0重量%を超えることを意味する。前記シャットダウン機能をより有効に作用させるため
に、C層における樹脂粒子の含有割合は、C層の構成成分の全重量中、70重量%以上で
あることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましく、90重量%以上である
ことがさらに好ましい。
1.1μm以上であり、より好ましくは1.5μm以上である。樹脂粒子のメディアン径
(D50)が1.0μm以下であると、C層において樹脂粒子が密に充填されることで、
積層多孔質フィルムの透気度が低下し、かかる積層多孔質フィルムを含む非水電解液二次
電池において、電池抵抗が高くなり、出力特性が低下する。また、樹脂粒子のメディアン
径(D50)は、膜厚制御の点から、3.0μm以下であることが好ましい。
0体積%未満であることが好ましい。粒子径が0.8μm未満の樹脂粒子の含有割合が4
0体積%以上であると、上述の理由と同様に、C層において樹脂粒子が密に充填されるこ
とで、積層多孔質フィルムの透気度が低下し、かかる積層多孔質フィルムを含む非水電解
液二次電池において、電池抵抗が高くなり、出力特性が低下することがある。
、アイオノマー等が挙げられる。これらの樹脂粒子の材料は、単独あるいは二種以上を混
合して用いることができる。
例えば、有機バインダを含んでいてもよい。
層と樹脂粒子とを結着させる性能を持ち、電池の電解液に対して不溶であり、電池の使用
範囲で電気化学的に安定であるものが好ましい。有機バインダは、水溶性重合体であって
もよいし、非水溶性重合体であってもよいが、中でも、樹脂粒子との結着性の点から、非
水溶性重合体が好ましい。非水溶性重合体としては、スチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−アクリル酸エステル共重合体、フッ素系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙
げられ、中でも、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。これらの有機バインダは、単独
あるいは二種以上を混合して用いることができる。
量部に対して、通常1〜100重量部であり、好ましくは10〜50重量部である。樹脂
粒子の重量割合が、上記特定の範囲であることで、イオン透過性を保ちつつ、強度にすぐ
れたC層を得ることができる。
で、上述のB層に含まれるものと同様の無機粒子を、シャットダウン機能に支障がない程
度に含まれていてもよいし、分散剤、可塑剤、pH調製剤等が含まれていてもよい。
本発明の積層多孔質フィルムは、A層と、B層と、C層を有する積層多孔質フィルムで
あり、A層の一方の面にB層を、他方の面にC層を有していることが好ましい。
層目付(g/m2)」)が、0.2〜3.0であることが好ましい。A層に対するB層の
目付比が、前記範囲であることで、良好な透気度を維持することができる。
)/A層目付(g/m2))が、0.1〜2.0であることが好ましい。A層に対するC
層の目付比が、前記範囲であることで、高いシャットダウン特性を付与しつつ、良好な透
気度を維持することができる。
範囲とすることで、出力特性に優れた積層多孔質フィルムを得ることができる。
ましくは10〜50μmである。積層多孔質フィルム全体の厚みが5μm未満であると、
積層多孔質フィルムが破膜しやすくなる恐れがあり、75μmを超えると、積層多孔質フ
ィルムの厚みが厚くなり、電池の容量が小さくなる恐れがある。
透気度が500sec/100ccを超えると、電池特性(イオン透過性、負荷特性)を
損なうことになる。
C層以外の、例えば、接着層、保護層等の多孔質層が含まれていてもよい。
法としては、A層、B層及びC層を別々に製造してそれぞれを積層する方法、A層の一方
の面に、無機粒子を主体として含有する塗工液を塗工してB層を形成し、他方の面に、樹
脂粒子を主体として含有する塗工液を塗工してC層を形成する方法等が挙げられるが、よ
り簡便であることから後者の方法が好ましい。
方の面に、樹脂粒子を主体として含有する塗工液を塗工してC層を形成する方法として、
例えば、以下の各工程を含む方法が挙げられる。
(1)無機粒子、有機バインダ及び媒体を含むスラリー(B層形成用スラリー)をA層上
に塗工し、得られた塗工膜から媒体を除去する
(2)樹脂粒子、有機バインダ及び媒体を含むスラリー(C層形成用スラリー)をA層上
に塗工し、得られた塗工膜から媒体を除去する
ここで、塗工膜とは、A層上に塗工された膜である。塗工膜から媒体を除去することに
より、B層及びC層が得られ、このB層及びC層はA層上に積層される。上記工程(1)
及び工程(2)の実施順序に特に制限はない。
塗工が可能であるのならば有機バインダが膨潤した液でもよい。)、さらに無機粒子又は
樹脂粒子をそれに添加して均一になるまで混合する方法によって得ることができる。混合
の方法としては特に制限はなく、例えば、スリーワンモーター、ホモジナイザー、メディ
ア型分散機、圧力式分散機など従来公知の分散機を使用することができる。また、混合順
序も、沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り、特に限定されない。
及び有機バインダとして上述したものと同じものを用いることができる。媒体は、無機粒
子が均一かつ安定に分散させることができる媒体あればよい。具体的には、水、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、トルエン、キシレン
、ヘキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミドなどを単独、又は相溶する範囲で複数混合することが挙げられる。中でも、
プロセスや環境負荷の点から、媒体の80重量%以上が水であることが好ましく、水のみ
がより好ましい。
子及び有機バインダとして上述したものと同じものを用いることができる。媒体は、樹脂
粒子が均一かつ安定に分散させることができる媒体あればよい。具体的には、水、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセトン、トルエン、キシレ
ン、ヘキサン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチ
ルホルムアミドなどを単独、又は相溶する範囲で複数混合することが挙げられる。中でも
、プロセスや環境負荷の点から、媒体の80重量%以上が水であることが好ましく、水の
みがより好ましい。
整剤、分散剤、可塑剤を添加することができる。
00重量%に対して、通常0.2重量%〜3.0重量%であり、好ましくは0.2重量%
〜2.5重量%である。有機バインダの濃度が0.2重量%未満であると、無機粒子間や
A層とB層の界面の密着性が低下し、塗工膜の剥がれが生じ、A層上に連続膜としてのB
層を形成できなくなるおそれがあり、3.0重量%を超えると、得られた積層多孔質フィ
ルムの透気度が悪化してしまう場合がある。また、塗工に適したスラリー粘度を得るよう
、有機バインダの分子量等を適宜選択することができる。
くは9〜40重量%である。固形分濃度が、6重量%未満では、スラリーから媒体を除去
しにくくなる場合があり、50重量%を越えると、形成されるB層の厚みが厚くなりやす
くなるため、所望する厚みのB層を形成するために、A層上に該スラリーを薄く塗らなけ
ればならなくなる場合がある。
00重量%に対して、通常0.2重量%〜3.0重量%であり、好ましくは0.2重量%
〜2.5重量%である。有機バインダの濃度が0.2重量%未満であると、樹脂粒子間や
A層とC層の界面の密着性が低下し、塗工膜の剥がれが生じ、A層上に連続膜としてのC
層を形成できなくなるおそれがあり、3.0重量%を超えると、得られた積層多孔質フィ
ルムの透気度が悪化してしまう場合がある。また、塗工に適したスラリー粘度を得るよう
、有機バインダの分子量等を適宜選択することができる。
くは9〜40重量%である。固形分濃度が、6重量%未満では、スラリーから媒体を除去
しにくくなる場合があり、50重量%を越えると、形成されるC層の厚みが厚くなりやす
くなるため、所望する厚みのC層を形成するために、A層上に該スラリーを薄く塗らなけ
ればならなくなる場合がある。
に制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。例えば、キャピラリーコート法
、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ロールコート法、スクリ
ーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法な
どを採用することができる。形成されるB層又はC層の厚さは、スラリーの塗布量、スラ
リー中の有機バインダの濃度、有機バインダに対する無機粒子又は樹脂粒子の重量比を調
節することによって制御することができる。
処理を行うことが好ましい。A層を親水化処理することにより、より塗布性が向上し、よ
り均質なB層又はC層を得ることができる。この親水化処理は、特に媒体中の水の濃度が
高いときに有効である。
A層の親水化処理は、いかなる方法でもよく、具体的には酸やアルカリ等による薬剤処
理、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
ここで、コロナ処理は、比較的短時間でA層を親水化できることに加え、コロナ放電に
よるポリオレフィンの改質が、A層の表面近傍のみに限られ、A層内部の性質を変化させ
ることなく、高い塗工性を確保できるという利点がある。
媒体には溶解することができるが有機バインダを溶かさない溶媒を準備し、塗工膜を該溶
媒中に浸漬して該媒体を該溶媒に置換することにより、有機バインダを析出させ、媒体を
除去し、溶媒を乾燥により除去する方法が挙げられる。なお、スラリーをA層の上に塗工
した場合、媒体又は溶媒の乾燥温度は、A層の透気度を低下させない温度が好ましい。
次に、本発明の非水電解液二次電池について説明する。本発明の非水電解液二次電池は
、本発明の積層多孔質フィルムを、セパレータとして含む。非水電解液二次電池は、正極
と、負極と、該正極と該負極の対向面間に挟まれたセパレータと、非水電解液とを備える
。以下に、本発明の非水電解液二次電池について、当該電池がリチウム電池に代表される
非水電解液二次電池である場合を例として、各構成要素について説明するが、これらに限
定されるものではない。
とができる。リチウム塩としては、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6
、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、Li2
B10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩、LiAlCl4などのうち1種又は2種
以上の混合物が挙げられる。これらの中でも、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、
LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、及びLiC(CF3SO2)3から
なる群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有リチウム塩が好ましい。
ルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、4−トリフルオロ
メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,2−ジ(メトキシカルボニルオキシ)エ
タンなどのカーボネート類;1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、
ペンタフルオロプロピルメチルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルジフ
ルオロメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエー
テル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、Y−ブチロラクトンなどのエステル類;アセトニトリ
ル、ブチロニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミドなどのアミド類;3−メチル−2−オキサゾリドンなどのカーバメート類
;スルホラン、ジメチルスルホキシド、1,3−プロパンサルトンなどの含硫黄化合物又
は前記の物質にフッ素基を導入したものを用いることができるが、通常はこれらのうちの
2種以上を混合して用いる。
ボネート、又は環状カーボネートとエーテル類の混合物がさらに好ましい。環状カーボネ
ートと非環状カーボネートの混合物としては、作動温度範囲が広く、かつ負極の活物質と
して天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を用いた場合でも難分解性であるという点で、エチ
レンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを含む混合物が
好ましい。
たものを用いる。正極集電体に正極合剤を担持させる方法としては、加圧成型する方法;
有機溶媒をさらに用いて正極合剤ペーストを得て、該ペーストを正極集電体に塗工し、乾
燥して、得られたシートをプレスして、正極合剤を正極集電体に固着する方法などが挙げ
られる。具体的には、該正極活物質として、リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材
料を含み、導電材として炭素質材料を含み、結着剤として熱可塑性樹脂などを含むものを
用いることができる。正極集電体としては、Al、Ni、ステンレスなどの導電体を用い
ることができるが、薄膜に加工しやすく、安価であるという点でAlが好ましい。該リチ
ウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材料としては、V、Mn、Fe、Co、Niなどの
遷移金属を少なくとも1種含むリチウム複合酸化物が挙げられる。中でも好ましくは、平
均放電電位が高いという点で、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウムなどのα−Na
FeO2型構造を有するリチウム複合酸化物、リチウムマンガンスピネルなどのスピネル
型構造を有するリチウム複合酸化物が挙げられる。
Fe、Co、Cu、Ag、Mg、Al、Ga、In及びSnからなる群から選ばれた少な
くとも1種の金属元素のモル数とニッケル酸リチウム中のNiのモル数との和に対して、
前記の少なくとも1種の金属元素が0.1〜20モル%であるように該金属元素を含む複
合ニッケル酸リチウムを用いると、高容量での使用におけるサイクル性が向上するので好
ましい。
テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフロロプロピレンの共重合体
、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレン
−テトラフルオロエチレンの共重合体、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレ
ン−テトラフルオロエチレンの共重合体、熱可塑性ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。
料が挙げられる。導電材として、それぞれ単独で用いてもよいし、例えば人造黒鉛とカー
ボンブラックとを混合して用いてもよい。
はリチウム合金などを用いることができる。リチウムイオンをドープ・脱ドープ可能な材
料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス類、カーボンブラック、熱分解炭素類、炭素
繊維、有機高分子化合物焼成体などの炭素質材料、正極よりも低い電位でリチウムイオン
のドープ・脱ドープを行う酸化物、硫化物等のカルコゲン化合物が挙げられる。炭素質材
料として、電位平坦性が高く、また平均放電電位が低いため正極と組み合わせた場合大き
なエネルギー密度が得られるという点で、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛材料を主成分とす
る炭素質材料が好ましい。
ウムイオン二次電池においてはリチウムと合金を作り難く、かつ薄膜に加工しやすいとい
う点でCuが好ましい。該負極集電体に負極活物質を含む負極合剤を担持させる方法とし
ては、加圧成型する方法;溶媒などをさらに用いて負極合剤ペーストを得て、該ペースト
を負極集電体に塗工、乾燥して、得られたシートをプレスして、負極合剤を負極集電体に
固着する方法等が挙げられる。
円筒型、角形などのいずれであってもよい。
適である。本発明の積層多孔質フィルムを含む非水電解液二次電池は、高い出力特性を有
し、異常発熱が起こった場合でも、積層多孔質フィルムはシャットダウン機能を発揮し、
さらなる発熱を抑制することができ、さらに、発熱が激しい場合であっても、積層多孔質
フィルムの収縮が抑制されることで、正極と負極の接触を避けることができる。
(1)A層目付(単位:g/m2)
ポリエチレン多孔質フィルムから、一辺の長さ0.08mの正方形のサンプルを切り出
し、切り出したサンプルの重量W(g)を測定して、A層の目付(=W/(0.08×0
.08))を算出した。
(2)B層目付(単位:g/m2)
コロナ処理を行ったポリエチレン多孔質フィルム(A層)の一方の面にB層形成用スラ
リーを塗工し、次いで、70℃で30秒間乾燥して、A層の一方の面にB層を有する積層
フィルムを作製した。作製した積層フィルムから、一辺の長さ0.08mの正方形のサン
プルを切り出し、切り出したサンプルの重量W(g)を測定して、該積層フィルムの目付
(=W/(0.08×0.08))を算出した。そして算出した積層フィルムの目付から
、B層塗工前のフィルムの目付を差し引くことで、B層目付を算出した。
(3)C層目付(単位:g/m2)
コロナ処理を行ったポリエチレン多孔質フィルム(A層)の一方の面にC層形成用スラ
リーを塗工し、次いで、60℃で5分間乾燥して、A層の一方の面にC層を有する積層フ
ィルムを作製した。作製した積層フィルムから、一辺の長さ0.08mの正方形のサンプ
ルを切り出し、切り出したサンプルの重量W(g)を測定して、該積層フィルムの目付(
=W/(0.08×0.08))を算出した。そして算出した積層フィルムの目付から、
C層塗工前のフィルムの目付を差し引くことで、C層目付を算出した。
(4)透気度(単位:sec/100cc)
積層多孔質フィルムの透気度は、JIS P8117に基づいて、株式会社東洋精機製
作所製のデジタルタイマー式ガーレ式デンソメータで測定した。
(5)樹脂粒子のメディアン径(D50)
日揮装株式会社製MICROTRAC(MODEL:MT−3300EXII)で測定
した。
(6)粒子径が0.8μm未満の樹脂粒子の含有割合(体積%)
日揮装株式会社製MICROTRAC(MODEL:MT−3300EXII)で測定
した。
(7)厚み測定(単位:μm)
積層多孔質フィルムの厚みは、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機で測定した
。
の通りである。
<A層>
多孔質層:市販のポリエチレン多孔質フィルム(膜厚:12μm、目付:7.2g/m
2、透気度:212sec/100cc)
<B層>
無機粒子:市販のα−アルミナ(住友化学株式会社製「AKP3000」)
有機バインダ:市販のカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)(株式会社ダ
イセル製「CMC1110」)
<C層>
樹脂粒子1:市販の低分子量ポリエチレンワックス(メディアン径(D50):1.6
4μm)
樹脂粒子2:市販の低分子量ポリエチレンワックス(メディアン径(D50):0.6
7μm)
樹脂粒子3:市販の低分子量ポリエチレンワックス(メディアン径(D50):0.8
5μm)
有機バインダ:市販のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)(日本エイアンドエル株式
会社製「AL2001」)
<B層形成用スラリーの作製>
α−アルミナ、CMC及び水を、α−アルミナ100重量部に対して、CMCが3重量
部、固形分濃度(CMC+α−アルミナ)が27.7重量%となるように混合し、混合液
を得た。高圧分散装置(株式会社スギノマシン製「スターバースト」)を用いた高圧分散
条件(100MPa×3パス)にて該混合液を処理することで、B層形成用スラリーを調
製した。
樹脂粒子1、SBR、水及びイソプロピルアルコールを、樹脂粒子100重量部に対し
て、SBRが3重量部、固形分濃度(SBR+樹脂粒子)が20.0重量%、かつ、溶媒
組成が水80重量%、イソプロピルアルコール20重量%となるように混合し、C層形成
用スラリーを調製した。
コロナ処理を行ったポリエチレン多孔質フィルム(A層)の一方の面にB層形成用スラ
リーを、他方の面にC層形成用スラリーを塗工し、次いで、乾燥して、A層の一方の面に
B層を、他方の面にC層を有する積層多孔質フィルムを得た。得られた積層多孔質フィル
ムの物性を評価した結果を表1に示す。
C層形成用スラリーの作製において、樹脂粒子1の代わりに樹脂粒子2を用いた以外は
、実施例1と同様の操作をして、積層多孔質フィルムを得た。得られた積層多孔質フィル
ムの物性を評価した結果を表1に示す。なお、得られた積層多孔質フィルムの透気度は、
測定に過度の時間を要し測定不能であった。
C層形成用スラリーの作製において、樹脂粒子1の代わりに樹脂粒子3を用いた以外は
、実施例1と同様の操作をして、積層多孔質フィルムを得た。得られた積層多孔質フィル
ムの物性を評価した結果を表1に示す。
本発明によれば、イオン透過性に優れる、非水電解液二次電池用セパレータとして好適
な積層多孔質フィルム、及びこの積層多孔質フィルムを含む非水電解液二次電池を得るこ
とができる。
Claims (8)
- ポリオレフィンを主体として含む多孔質基材層と、無機粒子を主体として含むフィラー層と、メディアン径(D50)が1μmより大きい樹脂粒子を主体として含む樹脂層を有し、
前記多孔質基材層の一方の面に前記フィラー層を、他方の面に前記樹脂層を有し、
前記樹脂層が有機バインダを含み、
前記樹脂層は、前記有機バインダ1重量部に対して10〜50重量部の前記樹脂粒子を含み、
前記樹脂粒子が、粒子径が0.8μm未満の樹脂粒子の含有割合が40体積%未満であり、
前記フィラー層が、水溶性高分子である有機バインダを含む、積層多孔質フィルム。 - 前記多孔質基材層に対する前記フィラー層の目付比が、0.2〜3.0であり、前記多孔質基材層に対する前記樹脂層の目付比が、0.1〜2.0である請求項1に記載の積層多孔質フィルム。
- 前記無機粒子が、アルミナ、ベーマイト、シリカ及びチタニアからなる群から選ばれる1種以上である請求項1または2に記載の積層多孔質フィルム。
- 前記無機粒子が、α−アルミナである請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層多孔質フィルム。
- 前記水溶性高分子が、カルボキシアルキルセルロース、アルキルセルロース及びヒドロキシアルキルセルロースからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層多孔質フィルム。
- 前記樹脂層に含まれる有機バインダが、非水溶性高分子である請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層多孔質フィルム。
- 前記非水溶性高分子が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、フッ素系ゴム及びスチレンブタジエンゴムからなる群から選ばれる1種類以上である請求項6に記載の積層多孔質フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層多孔質フィルムを含む非水電解液二次電池。
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