JP6778371B2 - 金微粒子マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞外マトリックス等の分解酵素であるマトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinase、以下、MMPとも言う。)の阻害剤に関する。
MMPは、細胞外マトリックスの分解に関与し、生理的な組織改築に重要な働きをするエンドぺプチダーゼであり、ほとんどの哺乳類に見出される亜鉛含有プロテアーゼである。
そのプロテアーゼ活性は厳密に制御されているが、病的状態ではその制御が崩れ、それによるMMPの過剰発現および活性化、あるいはMMPとMMP阻害蛋白(TIMP)間の不均衡は、細胞外マトリックスまたは結合組織の破壊に関連した疾患の病原因子として示唆され、変形性関節症や関節リウマチ等の関節疾患、骨粗鬆症等の骨疾患、う蝕、歯周病、腫瘍の浸潤や転移、角膜の潰瘍形成等を含む、多くの疾患の病因に深く関わっている。
このような疾患の予防または治療は、MMPを抑制し、それにより疾患状態を生じる結合組織の破壊を縮小または阻害することにより可能と考えられており、植物からの抽出物、カルボン酸基やヒドロキサム酸を含む有機合成物など各種のMMP阻害剤が開発されている。(特許文献1〜3)。MMP阻害剤の設計および治療応用により、分子がMMPの有効な阻害剤であるためには、酵素活性部位のZn2+イオンにキレート化することができる官能基(例えば、カルボン酸基、ヒドロキサム酸基、チオール基等)を有する必要があることが示唆されている(非特許文献1)。
MMPは、分解する細胞外結合組織の基質特異性から、コラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロメリシン群等に分類されている。上記の疾患のうち、歯周病の炎症性組織破壊には、歯周辺部細胞による組織破壊が必須であり、特に歯周結合組織の合成系の低下と分解活性の亢進は歯周組織破壊に大きく関与している。I型コラーゲンは歯肉を構成する代表的なコラーゲンであり、I型コラーゲンを分解するMMPとしては、線維芽細胞やマクロファージから産生される組織コラゲナーゼであるMMP−1、好中球コラゲナーゼであるMMP−8、および軟骨細胞から産生されるMMP−13等が知られている。これらのMMPの働きを阻害することにより、歯周軟組織を構成するコラーゲンの分解を抑制することができる。
植物からの抽出物や有機合成物の観点での検討として、歯科材料の分野でう蝕治療に用いられるクロルヘキシジンはMMPの作用を抑制することによりコラーゲンの劣化を阻止すると考えられているが、過敏症やショックを発現する危険性があるとの記載がある(特許文献4)。また、クロルヘキシジン以外にジンククロライド、テトラサイクリンについてもMMP阻害剤として有効であることが報告されているが、一方で粘膜への刺激性、胃腸障害等の副作用の危険性がある。
別途の観点から、特許文献4には、白金ナノ粒子を含む水性分散液がMMPに対して強い阻害作用を有しており、紫外線等により惹起される皮膚老化や歯周病の予防または治療に適用する技術が提案されている。
特開2014−5222号公報 特開2013−151500号公報 国際公開第2009/113320号 特開2008−069097号公報
Chem.Rev., 1999, 99, 2735‐2776
従来提案されているMMP阻害剤は、そのMMPの活性抑制作用については様々な成果が報告されているが、その多くは、細胞内に取り込まれることにより、低濃度であっても細胞毒性および遺伝毒性を発現することが懸念されることから、歯科材料のような医療用品等としての使用を制約する要因ともなっている。したがって、疾患状態の予防および治療において用いやすくするためには、細胞毒性および遺伝毒性が少なく生体安全性の高いMMP阻害剤が求められている。
特許文献4は、実施例において、白金ナノ粒子についてMMP−1への阻害作用を有することが検証されているが、その他の金属種や、細胞毒性および遺伝毒性についての検証はされていない。
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、細胞毒性および遺伝毒性が顕著に抑制されたマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を提供することを課題としている。
本発明者らは鋭意検討した結果、金ナノ粒子を使用した場合、細胞毒性および遺伝毒性が顕著に抑制される知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤は、
金ナノ粒子を含み、
前記金ナノ粒子は、マトリックスメタロプロテアーゼの酵素活性部位の亜鉛イオンと配位結合可能な官能基を含む保護剤を表面に有することを特徴としている。
好ましい態様において、前記保護剤は、複数の官能基を含む化合物であり、この複数の官能基は、前記金ナノ粒子に配位または共有結合する官能基と、前記マトリックスメタロプロテアーゼの亜鉛イオンと配位結合可能な官能基とを含む。
本発明によれば、MMP阻害作用を有するとともに、細胞毒性および遺伝毒性を顕著に抑制できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のMMP阻害剤は、金ナノ粒子を被覆する保護剤のカルボキシル基、カルボキシレート基、アミノ基および水酸基、チオール基、ホスフィノ基等の官能基がMMPの酵素活性部位のZn2+と配位結合することによりMMP活性を阻害する。
コア金属としての金ナノ粒子の表面を保護剤で被覆することにより、細胞内での金のイオン化を抑制し、細胞毒性および遺伝毒性を軽減または消滅させることが可能である。一方、コア金属を被覆しても、これを被覆している保護剤の官能基がMMPを構成するZn2+と配位結合するため、MMP抑制作用は低下しない特殊性を有している。さらに、金属等の粒径をナノサイズまでに微細化すると全く新しい機能が発現することが知られているが、金ナノ粒子は比表面積が大きく、そこに被覆している保護剤は、効率良く酵素活性部位のZn2+に作用し、マクロ径粒子と比較してMMP抑制作用は極めて大きい。
そして従来技術の白金ナノ粒子を使用した場合に比べても、細胞毒性および遺伝毒性が非常に低いことが大きな特徴である。各種薬剤が生体由来のMMP活性を抑制することは知られている。しかし、ほとんどの薬剤は低濃度でも細胞毒性(細胞に対して死、もしくは機能障害や増殖阻害の影響を与える性質を含み、遺伝毒性を含む。)を発現し、歯科材料のような医療用品等としての使用を制約する要因ともなっている。しかし、金ナノ粒子を使用した本発明のMMP阻害剤は、高濃度でも細胞毒性および遺伝毒性が顕著に抑制される。よって、MMP活性を阻害する外膜としての保護剤を有する金ナノ粒子を歯科用接着剤(レジン)、洗口剤等の歯科材料に添加することにより、歯髄細胞およびマクロファージ細胞に毒性を示すことなくMMP活性を効果的に抑制することが可能である。
コア金属としての金粒子をナノサイズにダウンサイジングすることが可能な金ナノ粒子の合成方法として、物理的方法、気相法や液相法等の化学的方法が知られているが、均一な粒径の金ナノ粒子を大量に合成することが容易であることや、コスト面を考慮すると、化学的還元による液相法が好ましい。
液相法では、トリクロロ金(III)、テトラクロロ金(III)酸、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム、ジエチルアミン金(III)三塩化物、シアン化金(I)、シアン化金(I)カリウム、ジシアノ金(I)酸カリウム等の金化合物を用いて、溶媒中で金イオンを還元し、金原子の核を少しずつ成長させていくことで、金ナノ粒子を合成する。微粒子同士が凝集しないようにするため、多くの場合、何らかの添加剤を加える。例えば、保護剤の存在下、金化合物と還元剤を溶媒中で反応させる方法が挙げられる。また、金イオンが不安定な場合や溶媒に難溶の場合には、保護剤と共に公知の錯化剤を用いてもよく、これらの存在下で金化合物と還元剤を反応させると、粒子形状が整い、凝集粒子を含まない微細な金ナノ粒子が得られやすくなる。
金化合物を溶解する溶媒には、水や、アルコール等の有機溶媒が使用されるが、水を主体とする水系溶媒が好ましく用いられる。
還元反応温度は、使用する保護剤や還元剤等の条件に依存するが、0℃から使用する溶媒の沸点までの範囲で反応できる。金化合物の沈降を抑制し、均一に反応させること等を考慮して、反応液のpHは適宜に調整される。反応時間は、還元剤等の原料の添加時間等で制御することができ、例えば、10分〜6時間程度が適当である。
このような条件下で、金化合物を含有する溶液を攪拌しながら還元剤を添加すると、Au3+イオンが金原子に還元される。金原子がいくつか結合し、過飽和状態になった後、1nm以下の金微粒子が生成する。生成した金微粒子に、未結合の金原子が次々と結合して、粒子が大きく成長する。攪拌が十分であれば、微粒子サイズの均一さを高めることができる。
還元剤は、保護剤の種類等に応じて公知のものを用いることができ、例えば、水素化ホウ素塩系還元剤、ボラン系還元剤、ヒドラジン系還元剤、クエン酸、アスコルビン酸等のカルボン酸およびその塩、アルコール、ポリオール、アルコールアミン、アルデヒド、糖類、水素、リン等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
保護剤は、形成された金ナノ粒子の表面を修飾し、分散状態を安定に維持する。保護剤としては、例えば、水、アルコール系溶剤に分散または溶解可能な金属配位性を持つ低分子化合物、高分子、界面活性剤等が挙げられる。
本発明のMMP阻害剤に使用される保護剤は、MMPの酵素活性部位の亜鉛イオンと配位結合可能な官能基を有する。
このような配位性の官能基は、N、P、O、およびSから選択される、ルイス塩基として作用する電子供与原子を有し、配位性の官能基としては、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノ基、水酸基、チオール基、ホスフィノ基等が挙げられる。
その中でも、カルボキシル基(−COOH)、カルボキシレート基(−COOM)、アミノ基、水酸基が好ましい。カルボキシレート基のカチオンMとしては、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、マグネシウムカチオン、ベリリウムカチオン、アンモニウムカチオン、低級アルカノールアミンカチオンが挙げられる。アルカリ金属カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等が挙げられる。アルカリ土類金属カチオンとして、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、ラジウムイオン等が挙げられる。アンモニウムカチオンとしては、モノ〜テトラアルキル置換アンモニウム(アルキル基の炭素数1〜8、例えばテトラメチルおよびテトラエチル)カチオン等が挙げられる。低級アルカノールアミンカチオンとしては、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)にプロトンが付加したカチオン等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属カチオンおよびアンモニウムカチオンが好ましく、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましい。
使用される保護剤は、MMP阻害作用の点から、分子量200000以下が好ましく、分子量100000未満がより好ましく、さらに好ましくは分子量10000以下、特に好ましくは分子量200以下である。分子量10000以下の保護剤を使用することにより、保護剤が立体的に小さく、MMPの酵素活性部位のZn2+を取り巻くポリペプチドに阻害されることなく、効率よく配位結合することにより、効果的にMMP活性を阻害することができる。
保護剤として使用可能な金属配位性を持つ低分子化合物としては、カルボキシル基を持つ化合物として、例えば、酢酸、プロパン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ソルビン酸、アビエチン酸、安息香酸等の有機酸および、これらの化合物のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等のカルボキシレート化合物が挙げられる。アミノ基を持つ化合物としては、例えば、トリメチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、tert-オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ピロール、サッカリン等が挙げられる。水酸基を持つ化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、へプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、フェノール、ベンジルアルコール、シトロネロール、テルピネオール、レチノール、ヒドロキシシトロネラール、ブチルヒドロキシアニソール、ボルネオール、マルトール、メントール、リナロール、トコフェロール等が挙げられる。チオール基を持つ化合物としては、例えば、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、デカンチオール、ウンデカンチオール、ドデカンチオール、テトラデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、チオフェノール、チオ安息香酸等が挙げられる。ホスフィノ基を持つ化合物としては、例えば、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ-n-プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-t-ブチルホスフィン、トリ-n-ヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、トリデシルホスフィン、トリドデシルホスフィン、トリテトラデシルホスフィン、トリオクタデシルホスフィン等が挙げられる。
上記の低分子化合物は1分子あたり配位性官能基を1つのみ有している。これらの保護剤は金ナノ粒子表面に配位した保護剤と二分子膜等を形成し、ナノ粒子表面にMMPの亜鉛イオンに配位する官能基が存在することにより、MMP阻害作用を発揮する。
さらに、効果的にMMPを阻害するためには、保護剤1分子に複数の官能基を含む化合物であり、この複数の官能基として、金ナノ粒子に配位または共有結合する官能基と、MMPの亜鉛イオンと配位結合可能な官能基との少なくとも2個の官能基を含む化合物が好ましく、このような低分子化合物としては、カルボキシル基を持つ化合物として、例えば、シュウ酸、フタル酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸等が挙げられ、さらに、これらの化合物のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等のカルボキシレート化合物が挙げられる。アミノ基を持つ化合物としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ピラジン等が挙げられ、水酸基を持つ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、グルコース、キシリトール、スクラロース、ソルビトール、マンニトール、キシロース、トレハロース、ラムノース、リボース、ルチン、タンニン酸、アスコルビン酸、ヘスペリジン等が挙げられ、チオール基を持つ化合物としては、例えば、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,5-ペンタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール、1,7-ヘプタンジチオール、1,8-オクタンジチオール、1,9-ノナンジチオール、1,10-デカンジチオール、1,11-ウンデカンジチオール、1,12-ドデカンジチオール、1,14-テトラデカンジチオール、1,16-ヘキサデカンジチオール、1,18-オクタデカンジチオール等が挙げられ、ホスフィノ基を持つ化合物としては、例えば、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル等が挙げられる。これらの中でも、シュウ酸および、その塩が好ましい。
また、カルボキシル基、カルボキシレート基、アミノ基、水酸基、チオール基、ホスフィノ基のいずれかを2つ以上持つ低分子化合物として、例えば、クエン酸、乳酸、りんご酸、酒石酸、グリコール酸、グリセリン酸、タルトロン酸、グルコン酸、フェルラ酸、メバロン酸、ヒドロアクリル酸、没食子酸、バニリン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、システイン、シスチン、ベタイン、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、ビオチン、テアニン、アスパルテーム、ネオテーム、エチレンジアミンテトラ酢酸、ナタマイシン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、3-アミノ-1-プロパノール、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール、チアミン、グルコサミン、2-メルカプトエタノール、1-メルカプト-2,3-プロパンジオール、システアミン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、トリスヒドロキシメチルホスフィン等が挙げられる。これらの中でも、クエン酸、酒石酸および、その塩が好ましい。
また、低分子化合物の保護剤として、次式(I)で表されるものを用いることができる(特許第5439468号、特許第5438994号に開示された内容が参照される。)。
Figure 0006778371
式中、Xは、次の(A)〜(C)のいずれかを示し、mは1〜5の整数を示す。
(A) (CHCOOHまたはその塩、あるいは対応するカルボキシレートイオン(nは0〜3の整数を示す。)
(B) (CHOHまたはその塩、あるいは対応するアルコキシドイオン(nは0〜3の整数を示す。)
(C)炭素数1〜20の飽和または不飽和の炭化水素基
上記のような低分子化合物の保護剤の他、次のような高分子保護剤も使用することができる。
アミノ基を有する保護剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポロビニルポリピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリアリルアミン、ポリピロール等を用いることができ、好ましくはポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)を用いることができる。
カルボキシル基またはカルボキシレート基を有する保護剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム等のアクリル酸系高分子、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、ナイシン等の天然高分子等が挙げられる。
水酸基を有する保護剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルデンプン、ペクチン、キチン、キトサン、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タンマリドガム、トラガンドガム、アガロース、アミロース、アミロペクチン、ヒアルロン酸、マンナン、グルコマンナン、カードラン、デキストラン、レバン、ジェランガム、アラビアガム、タラガム、カラヤガム、シクロデキストリン、カラギーナンシクロデキストリン、ポリソルベート、ラクトフェリン等を用いることができる。
高分子の保護剤は分散安定化の効果が高く、また上記に例示したような高分子は水、アルコール系溶剤に分散または溶解可能であることから水、アルコール系溶媒中での使用に適している。
また、低分子化合物と低分子化合物、高分子化合物と高分子化合物、さらに、低分子化合物と高分子化合物の組み合わせで保護剤を2種類以上用いても良い。
以上に、本発明のMMP阻害剤に使用される金ナノ粒子の合成法について説明したが、これらのような方法によって得られる金ナノ粒子は、保護剤が粒子表面に強固に吸着や結合して電気二重層を形成し、イオン反発が起こっているため、金ナノ粒子が液中で凝集せずに安定して分散している。本発明のMMP阻害剤に使用される金ナノ粒子は、MMP阻害作用に対して、上記のように保護剤の分子量が優位に相関を持つが、粒径に関しては、一次粒子の平均粒径が好ましくは100nm以下、より好ましくは60nm以下、さらに好ましくは40nm以下、特に好ましくは10〜30nmである。なお、ここで平均粒径は、実施例に記載の方法で求めることができる。
30nm程度の金ナノ粒子の場合、コロイドナノ粒子の近傍に伝搬する光の振動電場が自由電子と相互作用し、可視光周波数と共鳴するような振動を電荷に引き起こす表面プラズモン共鳴によって、スペクトルの青から緑の領域(約450nm)の光が吸収されて赤色(約700nm)が反射されるため、溶液の外観は概ね赤味を呈している。さらに、粒径が10nm以下に小さくなると薄黄色を呈し、粒径が大きくなると、吸収に関する表面プラズモン共鳴の波長は、長波長の赤色側にシフトし、その結果、赤色が吸収されて青色が反射されるため、溶液の外観は紫色から薄青色になる。
好ましい態様において、本発明のMMP阻害剤は、金ナノ粒子の水性もしくはエタノールやグリセリン等のアルコール分散液として提供される。これらの分散液は、上記の方法により調製された金ナノ粒子を含む分散物をそのまま用いてもよい。金ナノ粒子の分散液は、コロイド状態の微粒子の調製に用いられる上記の保護剤や、少量の添加剤等を含んでいてもよい。
また、本発明のMMP阻害剤は、乾燥微粒子の形態であってもよく、例えば医療用具の製造等に使用する場合に適している。この乾燥微粒子は、金ナノ粒子の分散液から加熱、ろ過、遠心分離、減圧留去、減圧乾燥等の操作により溶媒を除去することで得ることができる。
本発明のMMP阻害剤は、MMPに対して強い阻害作用を有することから、MMP亢進性疾患の予防、治療、および症状の改善のため用いられる。また、本発明において「MMP阻害」とは、MMP活性に対し拮抗作用を有することを意味する。
正常組織においては、MMPの活性は、潜在型酵素(pro−MMP)の産生、その潜在型酵素の活性化、活性化酵素のインヒビターによる阻害、の3つのステップで厳密に調節されている。その結果、MMPによる結合組織の分解と、新しいマトリックス組織の合成とは、ダイナミックに平衡を保っている。しかしながら、多くの病的疾患においては、MMP活性の調節不能により、MMP活性が増強し、細胞外マトリックスの分解が亢進する。これらの病的状態は、関節炎(例えば、慢性関節リウマチおよび変形性関節症)、歯周疾患、異所性脈管形成、腫瘍性浸潤および転移、組織の潰瘍形成(例えば、角膜潰瘍、胃潰瘍、あるいは表皮性潰瘍)、骨疾患(例えば、骨粗鬆症および人工関節置換術後の弛み等の骨吸収性疾患)、血管再閉塞および再狭窄、HIV感染および糖尿病合併症、等の難治性疾患の治癒を遅延させている主要な原因の一つとなっている。例えば、一般に生体は、硬い骨や歯等の硬組織と、それを包んだり、つないだりして運動を助ける柔らかい靭帯、腱、滑膜、歯根膜等の軟組織とにより、基本的な骨格が形成されている。その硬組織と軟組織とを付着構造がつないでおり、両組織を別々ではなくひとつの複合組織として機能することを助けている。また一方で、これら付着構造において、その組織の改変や再構築、炎症において、MMPが強く関与していることが知られている。そして、それらの炎症を伴う疾患としてリウマチや関節炎、歯周病等が挙げられる。特に口腔内においては、歯と軟組織との付着構造としては、歯肉からくる上皮性の付着と、歯根膜を介した結合組織性の付着がある。それらの付着構造は、歯周病等の疾患により破壊され、破壊が進むと歯周ポケットの深化として表れ、さらに進行することにより、歯の動揺、脱落へと進むことになる。したがって、MMPに対して阻害作用を有する物質は、以上のような疾患の予防および治療剤として有用であると考えられる。
また、本発明のMMP阻害剤は、長期接着耐久性に優れたレジンシステムに有用である。一般的に、歯質接着性レジンは、金属修復材料、メタルインレーやアマルガムと比較すると、耐用年数は極めて短い。その要因となる口腔内のバクテリアや唾液中の消化酵素などレジン・象牙質接着構造のコラーゲン線維加水分解による接着構造の崩壊は、食事療法や適切なブラッシングなどによる口腔衛生状態の向上により阻止することができ、レジン修復材の耐用年数を向上させることができる。しかしながら、ヒト象牙質基質に内在し、経時的に放出されるMMPによる樹脂含浸層内のコラーゲン線維の破壊による経年劣化は、人為的な口腔衛生状態の向上などで阻止することが難しい。つまり、本発明のMMP阻害剤は、口腔内におけるMMPの活性を長期間阻害することにより、レジン系の修復材料、充填材料等の長期耐久性に優れたレジンシステムを構築することが可能となる。
一方で、口腔疾患への利用も期待される。口腔の二大疾患として、う蝕と歯周疾患があり、両疾患は、歯を失う最大の原因となっている。歯周疾患の最大の原因は、グラム陰性嫌気性桿菌のようなプラーク(歯垢)中の細菌である。グラム陰性嫌気性桿菌の細胞壁の成分であるリポ多糖(LPS)等は、宿主のマクロファージを刺激する。刺激を受けたマクロファージは、サイトカインの産生が高められる。産生されたサイトカインは、種々の細胞に働きかけ、様々な影響を及ぼす。歯周組織中に存在する線維芽細胞は、様々なサイトカインの刺激によって、産生するMMPの量が変化する。
歯周疾患は、歯肉炎と歯周炎に大別される。歯肉炎は、炎症が歯肉に留まっており、組織の破壊は認められない。一方歯周炎は、炎症が深部歯周組織に波及し、組織の破壊が起こる。歯周組織は、歯を支持する組織である。歯周組織の破壊が進むと、歯の動揺が生じ、重度になると歯の保存が不可能になる。歯周組織破壊には、MMPが重要な役割を演じている。
う蝕は、口腔内の細菌による代謝産物である乳酸が、象牙質に含まれるハイドロキシアパタイト結晶を脱灰することから生じる。象牙質の侵食は、象牙質に含まれるハイドロキシアパタイトに対する乳酸による脱灰と、有機質(I型コラーゲン)の崩壊が大きく関与していることが判っており、この有機質崩壊には、MMP−1等が関与していることが明らかとなってきている。このことから、MMPに対して阻害作用を有する物質は、う蝕等の予防および治療剤として有用であると考えられる。
MMPは、酵素活性部位にZn2+イオンを有するメタロプロテアーゼの一種で、中性付近のpH条件において、細胞外に存在する多様な基質を分解する。プロドメイン、酵素活性ドメイン、ヘモペキシンドメインからなる酵素前駆体として分泌され、プロドメインの切断により活性化される。
MMPの基質は、基底膜やコラーゲン、エラスチン等の細胞外マトリックス、細胞接着分子、さらには成長因子や各種サイトカインなど多岐にわたる。MMPの異常発現が、癌や炎症、歯周病など様々な疾患の発生に関与していることが明らかになっているのは前述したとおりである。
MMPには多くの種類が知られており、基質特異性とドメイン構造の違いから分類され、分泌型MMPとしてコラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロメリシン群、MMP−7、MMP−12、MMP−20、MMP−21、MMP−28、およびその他に、細胞膜貫通型MMPとして、MMP−14、MMP−15、MMP−16、MMP−17、MMP−23A、MMP−23B、MMP−24、MMP−25等が知られている。
コラゲナーゼ群には、MMP−1(間質コラゲナーゼ)、MMP−8、MMP−13、MMP−18等が含まれる。中でもMMP−1は、真皮マトリックスの主な構成成分であるI型、III型コラーゲンや、プロテオグリカン等を基質とすることが知られている。MMP−8、MMP−13もI型コラーゲン等を基質とすることが知られている。歯周組織を構成する蛋白質の中で、量的に最も多いのが線維形成コラーゲンである(特にI型コラーゲンとIII型コラーゲンが多い)。コラゲナーゼ群は、それらのコラーゲンを分解することができることから、歯周組織破壊における最も重要な酵素と見なされている。
ゼラチナーゼ群には、MMP−2(ゼラチナーゼA)、MMP−9(ゼラチナーゼB)等が含まれる。これらはIV型コラーゲンやラミニン、エラスチン等を基質とすることが知られている。ゼラチナーゼ群は、歯周組織においては、歯根膜細胞により産生されることが知られており、ゼラチン(変性したコラーゲン)を分解することができるが、さらに、IV型(基底膜)コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンを分解することができるという特徴を有する。フィブロネクチンおよびビトロネクチンは、細胞外マトリックスを構成する細胞接着蛋白質であり、線維芽細胞の定化性の促進、組織修復等の細胞移動と保持等に関与すること、歯根膜にも存在していることが知られている。
ストロメリシン群には、MMP−3、MMP−10、MMP−11、MMP−19が含まれる。これらは、プロテオグリカンや、IV型コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチン等を基質とすることが知られている。ストロメリシン群は、コラゲナーゼ群やゼラチナーゼ群のMMPと比べると、基質が多岐にわたっていることが特徴である。ストロメリシン群のMMPも、他のMMPと同様に、組織由来のMMP阻害蛋白(TIMP)と、1:1のモル比で複合体を形成し、活性が阻害される。この機構によってMMPの活性は精密に調節を受け、結合組織である細胞外マトリックスのターンオーバーが調節されている。歯周炎における歯周組織破壊は、TIMPに比してMMPの量が増加するために、分解系に偏ってしまうということが考えられている。
本発明のMMP阻害剤が対象とするMMPは、上記の分泌型MMPのコラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群、ストロメリシン群、および細胞膜貫通型MMPのいずれも考慮されるが、分泌型のMMPが好ましく、特にコラゲナーゼ群、ゼラチナーゼ群が好ましい。
本発明のMMP阻害剤は、歯科医療の分野において、天然歯の一部分または全体を代替し、歯の欠損部や虫歯を充填修復する際の材料に好適である。このような歯科材料としては、う蝕や事故等により欠損を受けた歯と、この歯を修復するための欠損部を補う材料(例えば、重合性単量体、無機フィラーおよび重合開始剤から構成されるコンポジットレジンや、金属、セラミックス等の歯冠修復材料)とを接着するために、両者の間に介在させるもの等が挙げられる。例えば、歯科用接着剤、歯科用レジンセメント、歯科用前処理剤、自己接着性のコンポジットレジン等への使用が考慮される。その使用に際しては、本発明のMMP阻害剤を歯科材料中に混合する方法、または象牙質に塗布してからレジンを接着する方法等が挙げられる。上記方法によって使用される本発明の金ナノ粒子は、レジン中に担持され、金属ナノ粒子と強く結合した保護剤の効果により、従来の有機系MMP阻害剤と比較して、長期に渡りMMPの活性を阻害することができる。セメントを用いて修復物と歯(象牙質)を接着させた場合、長期的には象牙質からわずかに放出されるMMPにより接着界面内またはその近傍におけるコラーゲン線維が消化され、修復物の劣化につながるため、それを抑制するMMP阻害剤の使用は、修復物の耐久性を向上させる。
さらに本発明のMMP阻害剤は、抗酸化能を有するため、活性酸素が原因となって発生する歯周疾患や口腔内粘膜疾患、皮膚の老化、皮膚炎、動脈硬化、癌などを予防および治療するために有用である。歯周病等の歯周疾患では、病原菌感染により炎症が生じ、そこで産生される活性酸素が酸化ストレスとなり、サイトカイン等の炎症メディエーターの作用が加わることで歯周組織破壊が生じるが、本発明のMMP阻害剤は、金ナノ粒子の触媒的作用により、活性酸素除去作用が発揮されるため、これらの疾患を予防および治療することができる。その際、金ナノ粒子を活性酸素に効率よく作用させるために、金ナノ粒子の保護剤の立体構造が小さく、低分子量であることが好ましい。特に、金ナノ粒子表面の保護剤が単分子膜を形成することが望ましく、保護剤の分子量は10000以下が好ましい。
本発明のMMP阻害剤は、皮膚の弾性低下に伴って生じる皮膚のたるみの抑制や回復、はりの回復や維持のようなたるみの予防または改善や、長期紫外線曝露、乾燥、加齢等により、皮膚に回復し難い深い溝が形成された深いしわの他、保湿剤等を用いて改善できる小じわのようなしわの予防または改善や、あるいは、加齢に伴う生理的老化や日光暴露による光老化など、主として皮膚にはり、きめがなくなりしわやたるみが生じる皮膚老化の予防または改善のための使用が考慮される。
皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3層に主に分けられ、それらのうち真皮は皮膚の構造の維持に極めて重要であり、コラーゲンやエラスチン、プロテオグリカン、フィブロネクチンといった細胞外マトリックスが複雑に絡み合って構成され、強度や弾力性が制御されている。加齢や紫外線の曝露により、細胞外マトリックスの減少や分解、変性が起こると、皮膚は弾力性が低下し、シワやタルミの形成、肌理の消失等の老化症状を呈するようになる。皮膚の老化に伴う変化、しわ、くすみ、きめの消失、または弾力性の低下等にコラーゲンやエラスチン等の真皮マトリックスの線維減少や変性が起こっていることが知られている。この変化を誘導する因子として、特にMMPの関与が指摘されてきている。MMP−1は皮膚において真皮マトリックスの主な構成成分であるI型およびIII型コラーゲンを分解するが、その発現量は紫外線の照射量に依存して大きく増加することから、MMP−1活性が紫外線によるコラーゲン減少性変性の原因の一つとなっており、皮膚のしわの形成等の大きな要因の一つとなる。したがって、皮膚におけるMMP−1活性を阻害することにより、皮膚のコラーゲンの分解を抑制し、線維を形成するマトリックスを保護して皮膚の老化を防ぐことができる。
また本発明のMMP阻害剤は、抗癌剤への使用が考慮される。悪性の癌組織では、MMPが高発現しており、癌細胞の浸潤・転移に寄与していることが知られている。
以上のような使用に際しては、本発明のMMP阻害剤は、これを配合した組成物等を調製し、化粧品、医薬部外品、医薬品、食品等として提供される。
本発明のMMP阻害剤を化粧品や医薬部外品に使用する場合は、例えば、口腔内洗浄液、マウスウォッシュ、マウススプレー、マウスジェル、舌クリーナー、歯ブラシ、義歯用洗浄剤、リテーナー洗浄剤、歯磨剤、歯間ブラシ、デンタルフロス等の歯科用品、軟膏、乳化化粧料、クリーム、乳液、ローション、ジェル、エアゾール等の皮膚外用剤等の形態とすることができる。これらは、それぞれ一般的な製造法により、各種油剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、アルコール、水、キレート剤、増粘剤、紫外線吸収剤、乳化安定剤、pH調整剤、色素、香料等とともに混合、分散した後、所望の形態に加工することによって得ることができる。
本発明のMMP阻害剤を医薬品に使用する場合は、その投与形態は、内服組成物による経口投与、皮下、筋肉内、腹腔内等への注射投与、浸透剤を用いる経粘膜または経皮投与等による全身投与や、あるいは外用剤組成物による局所投与が挙げられる。このような投与方法には、粉末剤、細粒剤、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル、液剤、シロップ、ドライシロップ、吸入剤、口腔内崩壊剤、ロゼンジ、トローチ剤、ドロップ剤等の内服組成物、注射剤等の液剤、分散系ペースト外用剤、液体外用剤、液状外用剤、洗口剤、含嗽剤、軟膏剤、パスタ剤、ゲル剤、塗布剤、バーニッシュ剤、貼付剤等の外用剤組成物を使用できる。これらは、通常の製造方法によって製造することができ、使用形態に応じて、例えば、界面活性剤、研磨剤、湿潤剤、1価アルコール、粘結剤、香料、pH調整剤、防腐剤、色素、賦形剤、皮膜形成剤、可溶化剤、滑沢剤、甘味剤、矯味剤、矯臭剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
本発明のMMP阻害剤を食品に使用する場合には、その食品の形態に応じた可食性担体、食品素材、食品添加物等と組み合わせて、通常の方法により調製することができる。食品の形態としては、飲料等の液状の食品や、錠剤、顆粒、チュアブルタブレットのような固形の食品が挙げられる。
本発明のMMP阻害剤は、金ナノ粒子を用いることから、歯科用接着剤等の用途において、従来の有機系薬剤にはない効果が得られる。つまり、歯科用接着剤等に用いられる樹脂組成物に金ナノ粒子を添加することにより、弾性率や引張強度、圧縮強度等を高めることができるため、耐久性を良くすることができる。その際、樹脂組成物と金ナノ粒子のコア金属が直接相互作用し強度を向上させるために、金ナノ粒子の保護剤の立体構造は小さく、低分子量であることが好ましい。また、金ナノ粒子表面の保護剤が単分子膜を形成することが望ましく、保護剤の分子量は100000未満が好ましく、より好ましくは分子量10000以下、さらに好ましくは200以下である。また、歯科用接着剤を製造する際に使用される水溶性モノマーは重合速度が遅いという問題点があるが、金ナノ粒子を添加することで重合速度を速めることができる。さらに金ナノ粒子は、医療、歯科分野において、腫瘍検出等の臨床評価、治療時における作用機構、過程を捉える上で有用である。つまり、金ナノ粒子は化学的安定性に優れるため、生体機能による分解や顕微鏡観察に伴う退色が起こりにくく、さらに、白金ナノ粒子と比較して、表面プラズモンによる発色性が強く、また、金属ナノ粒子表面に分子が吸着することにより生じる表面増強ラマン散乱の増強効果が高いため、生体組織の染色観察、分光観察に広く用いることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
金属ナノ粒子中の金属純度は熱重量測定装置(セイコーインスツルメンツ製、TG/DTA6200)を用いて求めた。
また、金属ナノ粒子のゼータ電位は、金属濃度100mg/Lの水分散液を用いて、ゼータ電位測定システム(大塚電子製、ELSZ-2)により求めた。
以下の実施例において使用した金属微粒子の代表的な合成例は次のとおりである。
<合成例1>
(1)化合物1の合成
下記式で表される化合物1を合成した。
Figure 0006778371
42%テトラフルオロほう酸水溶液(152.45g、0.73mol)に、4-アミノ安息香酸(50.02g、0.36mol)を添加、攪拌した。40%亜硝酸ナトリウム水溶液(62.89g、0.36mol)を10〜15℃下、30分で滴下し、10分間攪拌した後、ろ別、再結晶等の精製を行うことにより、白色粉末を得た。
赤外線吸収スペクトル2291cm-1:N≡N+伸縮振動、1728cm-1:C=O伸縮振動、808 cm-1:C−H面外変角振動
(2)金ナノ粒子の合成
テトラクロロ金(III)酸四水和物(1.00g、2.43mmol)をイオン交換水(99.5mL)に溶解させ、N2を15分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、化合物1(0.573g、2.43mmol)を加え、5分間攪拌させた後、イオン交換水80.5mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0459g、1.21mmol)を5〜10℃、2時間で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度97.9質量%、金含有量50g/Lの黒紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長550nm、平均粒径19nm、ゼータ電位-34.77mV
<合成例2>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.264g、0.641mmol)をイオン交換水(1490mL)に溶解させ、N2を30分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、0.2Mクエン酸ナトリウム水溶液59.6mLを室温下、30分で滴下した。滴下後、80℃で25分攪拌することにより、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度99.7質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長529nm、平均粒径15nm、ゼータ電位-42.37mV
<合成例3>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.333g、0.809mmol)をイオン交換水(770mL)に溶解させ、N2を15分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリアクリル酸ナトリウム(アルドリッチ社製、分子量〜5100、0.228g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール100mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0038g、0.100mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度93.8質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長536nm、平均粒径57nm、ゼータ電位-41.80mV
<合成例4>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(1.00g、2.43mmol)をイオン交換水(2427mL)に溶解させ、N2を30分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、分子量約40000、0.808g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール303mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0114g、0.301mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度98.4質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長537nm、平均粒径37nm、ゼータ電位-41.90mV
<合成例5>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.209g、0.507mmol)をイオン交換水(1015mL)に溶解させ、N2を30分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、分子量約40000、28.24g)を加え、30分間攪拌させた後、イオン交換水63mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(2.38mg、0.0629mmol)を室温下、5分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、赤紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度99.0質量%、金含有量10g/Lの赤紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長528nm、平均粒径33nm、ゼータ電位-23.82mV
<合成例6>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.209g、0.507mmol)をイオン交換水(509mL)に溶解させ、N2を30分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、分子量約40000、0.564g)を加え、30分間攪拌させた後、イオン交換水63mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(2.38mg、0.0629mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度99.5質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長542nm、平均粒径51nm、ゼータ電位-37.19mV
<合成例7>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.167g、0.405mmol)をイオン交換水(813mL)に溶解させ、N2を20分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリビニルアルコール(岩井化学薬品製、分子量約80000、0.0352g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール50mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0019g、0.0502mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度72.0質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長545nm、平均粒径73nm、ゼータ電位-19.67mV
<合成例8>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.314g、0.762mmol)をイオン交換水(765mL)に溶解させ、N2を20分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬株式会社製、分子量100000〜110000、0.3068g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール94mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0036g、0.0952mmol)を室温下、120分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度89.7質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長537nm、平均粒径59nm、ゼータ電位-22.61mV
<合成例9>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.209g、0.507mmol)をイオン交換水(509mL)に溶解させ、N2を30分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、分子量約40000、0.564g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール63mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(1.192mg、0.0315mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、20時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金ナノ粒子中の金純度99.9質量%、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長561nm、平均粒径65nm、ゼータ電位-38.63mV
<合成例10>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.042g、0.102mmol)をイオン交換水(25.0mL)に溶解させ、N2を15分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、相間移動触媒としてテトラ-n-オクチルアンモニウムブロミド(0.131g、0.240mmol)を溶解したトルエン溶液(25.0mL)を加え、1時間攪拌した。さらに、n−オクチルアミン(0.143g、1.106mmol)を溶解したトルエン溶液(25.0mL)を加え、5分間攪拌した。イオン交換水25.0mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.059g、1.560mmol)を室温下、30分で滴下した。滴下後、24時間攪拌し、トルエン層を分取することにより、金ナノ粒子が分散した紫色分散液が得られた。得られたトルエン分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、トルエンで濃度調整することにより、金含有量10g/Lの紫色分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長527nm、平均粒径38nm
<合成例11>
(1)化合物2の合成
下記式で表される化合物2を合成した。
Figure 0006778371
42%テトラフルオロほう酸水溶液(80.0g、0.38mol)に、4-デシルアニリン(8.00g、0.034mol)、酢酸100mL、プロピオン酸100mLを添加、攪拌した。4.44%亜硝酸ナトリウム水溶液(80.0g、0.051mol)を3〜5℃下、30分で滴下し、2時間攪拌した後、イオン交換水300mLを加え、ろ別、水洗、再結晶等の精製を行うことにより、白色粉末を得た。
赤外線吸収スペクトル2917cm-1:C−H伸縮振動、2847cm-1:C−H伸縮振動、2297cm-1:N≡N+伸縮振動、820cm-1:C−H面外変角振動
(2)金ナノ粒子の合成
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.209g、0.507mmol)をイオン交換水(16.0mL)に溶解させ、N2を15分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、化合物2(0.337g、1.014mmol)を溶解したトルエン溶液(30.0mL)を加え、2時間攪拌させた後、トルエン層を分取し、水洗を2回行った。イオン交換水8.0mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0461g、1.219mmol)を室温下、40分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、トルエン層を分取することにより、金ナノ粒子が分散した紫色分散液が得られた。得られたトルエン分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、トルエンで濃度調整することにより、金含有量10g/Lの紫色分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長535nm、平均粒径55nm
<合成例12>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.314g、0.762mmol)をイオン交換水(765mL)に溶解させ、N2を20分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学株式会社製、分子量90000、0.3068g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール94mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0036g、0.0952mmol)を室温下、120分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長540nm、平均粒径64nm
<合成例13>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.209g、0.507mmol)をイオン交換水(32mL)に溶解させ、N2を15分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、分子量約250000〜700000、0.239g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール63mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0024g、0.063mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長535nm、平均粒径55nm
<合成例14>
テトラクロロ金(III)酸四水和物(0.209g、0.507mmol)をイオン交換水(32mL)に溶解させ、N2を15分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、分子量約2820000〜3760000、0.239g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール63mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0024g、0.063mmol)を室温下、80分で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、紫色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、金含有量10g/Lの紫色水分散液が得られた。金ナノ粒子の平均粒径は紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)を用いて測定した表面プラズモン共鳴のピーク波長から、J. Phys. Chem. C 2007, 111, 14664-14669記載の計算式をもとに算出した。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長540nm、平均粒径64nm
<合成例15>
特許文献4(特開2008−069097号公報)実施例2の方法を参考にして白金ナノ粒子を合成した。ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(0.345g、0.666mmol)をイオン交換水(500mL)に溶解させ、N2を10分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリアクリル酸ナトリウム(アルドリッチ社製、分子量〜5100、7.83g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール500mLを加え、N2雰囲気下を保ちながら、100℃、2時間攪拌し、黒色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、白金ナノ粒子中の白金純度64.8質量%、白金含有量10g/Lの黒色水分散液が得られた。白金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長239nm、平均粒径4nm、ゼータ電位-41.37mV
<合成例16>
特許文献4(特開2008−069097号公報)実施例1の方法を参考にして白金ナノ粒子を合成した。ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物(0.344g、0.664mmol)をイオン交換水(500mL)に溶解させ、N2を10分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、ポリビニルピロリドン(和光純薬株式会社製、分子量約40000、2.934g)を加え、30分間攪拌させた後、エタノール500mLを加え、N2雰囲気下を保ちながら、100℃、2時間攪拌し、黒色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、白金ナノ粒子中の白金純度95.8質量%、白金含有量10g/Lの黒色水分散液が得られた。白金ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長249nm、平均粒径7nm、ゼータ電位-36.19mV
<合成例17>
硝酸銀(0.2592g、1.53mmol)をイオン交換水(150mL)に溶解させ、N2を20分間フローし、脱気した。N2雰囲気下、化合物1(0.108g、0.458mmol)を加え、5分間攪拌させた後、イオン交換水45mLで溶解させた水素化ホウ素ナトリウム(0.0058g、0.153mmol)を5〜10℃、2時間で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、黒黄色分散液が得られた。得られた分散液をろ過、遠心分離、水洗、溶剤洗浄等で精製し、イオン交換水で濃度調整することにより、銀ナノ粒子中の銀純度94.0質量%、銀含有量10g/Lの黒黄色水分散液が得られた。銀ナノ粒子の平均粒径は透過型電子顕微鏡(日立製作所製、H-7500)を用いて求めた。
紫外−可視吸収スペクトルのピーク波長420nm 平均粒径16nm
<実施例1〜8>
[細胞毒性試験]
線維芽細胞L929およびマクロファージ細胞RAW264.7を理研バイオリソースセンターから入手した。細胞の培養はα-MEMに10% FBSを添加した培地を用いて行なった。細胞を1×104個/wellになるように96穴プレートに200μL播種し、37℃、5% CO2条件下で72時間培養し、合成例1〜8の各金ナノ粒子分散液を表1に示す濃度で添加し、24時間培養した。細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回洗浄した後、培地を加えたところに細胞毒性測定用試薬(Cell Counting Kit-8、同仁化学研究所)を添加し、37℃で1時間反応を行なった。反応後、分取した上澄みの吸光度(450nm)を測定し、細胞生存率を算出した。結果を表1に示す。なお、細胞生存率90%以上を細胞毒性なし、90%未満を細胞毒性ありとして、細胞毒性を評価した。
<比較例1〜3>
実施例1〜8と同様にして、合成例15〜17の白金および銀ナノ粒子分散液を表1に示す濃度で添加し細胞毒性試験を行ない、細胞生存率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0006778371
表1から、本発明の金ナノ粒子は細胞毒性が非常に低く、線維芽細胞およびマクロファージ細胞に対して、400mg/Lの高濃度においても細胞生存率が90%以上あり、細胞毒性が抑制され、生体安全性が高いことが確認された。
さらに、実施例4〜6のように保護剤が同じポリビニルピロリドンで粒径が異なる金ナノ粒子について細胞毒性試験を行った結果、100mg/Lの添加濃度において、細胞生存率がいずれも90%以上であり、粒径に関わらず金ナノ粒子は細胞毒性が抑制されていることが確認された。
一方、白金ナノ粒子は一般的に生体安全性が高いとされているが、金ナノ粒子より細胞毒性が高く100 mg/Lでも細胞生存率が85%未満であり、細胞毒性が認められた。銀ナノ粒子は、400 mg/Lにおいて細胞生存率が90%未満であり、細胞毒性があることが確認された。
また、実施例3と比較例1、実施例4と比較例2、実施例1と比較例3における同一の保護剤を用いた金属微粒子の比較においても、金ナノ粒子の方が白金ナノ粒子および銀ナノ粒子より細胞毒性が低いことが確認された。
従って、本発明のMMP阻害剤は、生体安全性が高いことが認められた。
<実施例9〜13>
[遺伝毒性試験]
実施例1〜8と同様に合成例1、2、5、6、9の各金ナノ粒子分散液を表2に示す濃度で添加し培養した線維芽細胞L929およびマクロファージ細胞RAW264.7について、コメットアッセイキット(Trevigen製)を用いて試験を行った。具体的には、細胞をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)で洗浄した後、コメットスライド上で低融点アガロースゲルと混和し、細胞溶解液(0.3M NaCl, pH 7.5)中で20分間溶解した。21V、300mAで30分間、電気泳動を行った後、スライドをバッファーおよび無水エタノールで5分間洗浄した。サイバーグリーン色素(Invitrogen製)でDNA染色した後、蛍光顕微鏡(ニコン製、TS1200-E)を用いて細胞を観察し、画像解析によりDNA損傷を受けている細胞数の解析を行った。結果を表2に示す。なお、金ナノ粒子を添加していない細胞で行った試験(コントロール試験)のDNA損傷率を100%とし、DNA損傷率110%以下を遺伝毒性なし、111%以上を遺伝毒性ありとして、遺伝毒性を評価した。
<比較例4>
実施例9〜13と同様にして、合成例15の白金ナノ粒子分散液を表2に示す濃度で添加し培養した線維芽細胞およびマクロファージ細胞について、遺伝毒性試験を行ない、DNA損傷率を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0006778371
表2から、実施例9、10の金ナノ粒子は、線維芽細胞およびマクロファージ細胞に対して、100および400mg/Lの濃度において、DNA損傷率が110%以下であり、遺伝毒性が低いことが確認された。
さらに、実施例11〜13のように保護剤が同じポリビニルピロリドンで粒径の異なる金ナノ粒子について、100mg/Lの濃度において、いずれもDNA損傷率が110%以下であり、粒径に関わらず遺伝毒性が低いことが確認された。
一方、比較例4の白金ナノ粒子は、線維芽細胞およびマクロファージ細胞に対して、100および400mg/Lの濃度において、DNA損傷率が150%以上であり、遺伝毒性が高かった。特に、マクロファージ細胞に対しては100および400mg/Lのいずれの濃度においてもDNA損傷率が200%以上であり、顕著な遺伝毒性が確認された。
本発明の金ナノ粒子は遺伝毒性が非常に低く、線維芽細胞およびマクロファージ細胞に対して、400mg/Lの高濃度においてもDNA損傷率が110%以下であり、生体安全性が高いことが確認された。一方、白金ナノ粒子は一般的に生体安全性が高いとされているが、金ナノ粒子より遺伝毒性が高く100 mg/LでもDNA損傷率が150%以上であり、遺伝毒性が高いことが認められた。
従って、本発明のMMP阻害剤は、遺伝毒性の点からも生体安全性が高いことが認められた。
<実施例14〜22>
[MMP活性測定試験]
MMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9の活性測定キット(ANASPEC製)を用いて、96穴プレートにアッセイバッファー130μL、基質溶液50μL、合成例1〜9の各金ナノ粒子分散液を表3に示す濃度で加えたところに、MMP溶液20μLを添加した。30分間反応した後、蛍光強度をPerkinElmer社製 1420 Multilabel Counter ARVO MX(測定波長 485/535nm)を用いて測定を行ない、MMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9それぞれの阻害率を算出した。結果を表3に示す。
<比較例5〜7>
実施例14〜22と同様にして、合成例15〜17の白金および銀ナノ粒子分散液を表3に示す濃度で添加しMMP−1活性測定試験を行ない、MMP−1の阻害率を算出した。結果を表3に示す。
Figure 0006778371
表3から、本発明の金ナノ粒子がMMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9に対する阻害作用を有することが確認された。特に、実施例14〜21の分子量100000未満の保護剤を用いた金ナノ粒子では、金濃度100mg/Lにおいて、MMP−1の阻害率が90%以上であり、阻害作用が強いことが認められた。さらに、実施例14〜16の分子量10000以下の保護剤を用いた金ナノ粒子では、金濃度100mg/Lにおいて、MMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9の阻害率が90%以上であり、総体的にMMPへの阻害作用が強いことから、MMP阻害剤として有用であることが認められた。その中でも、実施例14の分子量200以下の保護剤を用いた金ナノ粒子では、金濃度100mg/Lにおいて、MMP−1、MMP−2、MMP−8、MMP−9の阻害率がいずれも100%であり、阻害作用が非常に強いことが確認された。
つまり、実施例14の金ナノ粒子は、カルボキシル基(保護剤:親水層)−フェニル基(保護剤:疎水層)−M(金)の構造であることから、カルボキシル基と金ナノ粒子の間に疎水層が存在し、疎水層においてはフェニル基同士が相互作用することから、カルボキシル基が金属に配位することなく、金ナノ粒子表面にカルボキシル基が、粒子外部へ一様に配向した単分子膜を形成している。これらの金ナノ粒子表面のカルボキシル基がZn2+イオンに効率よく配位するため、MMPの阻害作用が特に強いと考えられる。
また、実施例18〜20のように保護剤が同じポリビニルピロリドンで粒径が異なる金ナノ粒子について、MMP−2およびMMP−9の活性測定試験を行った結果、実施例20(平均粒径65nm)よりも実施例19(平均粒径51nm)の方が阻害作用が強く、さらに、実施例19、20よりも実施例18(平均粒径33nm)の方が阻害作用が強いことから、粒径が小さい金ナノ粒子の方がMMP阻害作用が強いことが確認された。
一方、比較例から、比較例5,6の白金ナノ粒子のMMP−1に対する阻害作用が認められたが、比較例7の銀ナノ粒子のMMP−1に対する阻害作用はほとんど認められなかった。白金ナノ粒子は、MMPに対する阻害作用を有するが、細胞毒性および遺伝毒性が高く、一方で、銀ナノ粒子は、細胞毒性は比較的低いが、MMPに対する阻害作用を有しないことから、両ナノ粒子においては、細胞毒性および遺伝毒性を抑制し、且つMMP阻害作用を有することは困難であった。つまり、細胞毒性および遺伝毒性の抑制、MMP阻害作用を両立させることは難しいが、本発明の金ナノ粒子は400mg/Lの高濃度条件でも細胞毒性および遺伝毒性がなく、10〜100mg/Lの条件でMMP阻害作用を発現できるため、産業上、有用性が高いと言える。
なお、合成例1〜9の各金ナノ粒子のゼータ電位値は、いずれもマイナスを示し、ナノ粒子表面がZn2+に配位しやすい状況にあることが確認できた。しかしながら、ゼータ電位値とMMP阻害作用の強さには明確な相関が見られなかった。このことから、金ナノ粒子によるMMP阻害作用は、ゼータ電位値だけではなく、保護剤の分子量(サイズ)が優位にMMP阻害作用に相関を持つことが考えられる。
<実施例23〜32>
[樹脂組成物の弾性率測定]
合成例1〜4、8、10〜14の各金ナノ粒子分散液をろ過、遠心分離、減圧留去、減圧乾燥等の操作を行なうことにより、金ナノ粒子の乾燥微粒子を得た。組成物Iとして、Bis-GMA(ビスフェノールA・グリシジルメタクリル酸)30質量%、TEDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)70質量%、BPO(過酸化ベンゾイル)1質量%を混合したところに、得られた乾粉微粒子5質量%を添加した。また、組成物IIとして、Bis-GMA 30質量%、TEDMA 70質量%、DMPT(N,N-ジメチル-p-トルイジン)0.5質量%を混合した。熱分析用サンプルパン内で組成物IおよびIIを1:1(質量%)の比率で混合した後、窒素雰囲気下、23℃、30分で硬化した。硬化したサンプルについて、熱機械分析装置(セイコーインスツルメンツ製、TMA/SS6200)を用いて、25℃、0〜1400mN、100mN/min条件で測定を行ない、得られた応力・歪曲線から弾性率を求めた。結果を表4に示す。
<比較例8〜10>
実施例23〜32と同様にして、比較例8では、合成例15の白金ナノ粒子を用いて、比較例9では、合成例17の銀ナノ粒子を用いて、比較例10では、金属ナノ粒子を添加せずに、樹脂組成物の弾性率測定を行なった。結果を表4に示す。
Figure 0006778371
表4から、比較例10と比べ、実施例23〜29の分子量100000未満の保護剤を用いた金ナノ粒子では、弾性率が7.9以上であり、金ナノ粒子を添加することにより、弾性率が向上し、歯科用接着剤等の樹脂組成物の耐久性向上に有用であることが認められた。特に、実施例23〜27の分子量10000以下の保護剤を用いた金ナノ粒子では、弾性率が8.5以上であり、顕著な弾性率の向上が見られた。その中でも、実施例23、24の分子量200以下の保護剤を用いた金ナノ粒子では、弾性率が8.8以上であり、弾性率が著しく向上した。
また、実施例29、30の比較から、保護剤に分子量の異なるカルボキシメチルセルロースナトリウムを用いた金ナノ粒子において、実施例30(分子量100000〜110000)では弾性率が向上しなかったのに対して、実施例29(分子量90000)では弾性率の向上が認められた。
さらに、実施例27、31、32の比較から、保護剤に分子量の異なるポリアクリル酸ナトリウムを用いた金ナノ粒子において、実施例31(分子量250000〜700000)および実施例32(分子量2820000〜3760000)では、弾性率が向上しなかったのに対して、実施例27(分子量〜5100)では弾性率の向上が認められた。
一方、同一の保護剤としてポリアクリル酸ナトリウムを用いた実施例27と比較例8の比較から、実施例27では、金ナノ粒子を添加することにより、弾性率が向上したのに対して、比較例8では、白金ナノ粒子の添加による弾性率の向上は見られなかった。さらに、比較例9では、銀ナノ粒子の添加による弾性率の向上が認められたが、実施例23の金ナノ粒子と比較すると、弾性率が低いことから、白金、銀ナノ粒子よりも金ナノ粒子の方が樹脂への添加による耐久性向上の効果が高いと考えられる。
従って、本発明のMMP阻害剤を歯科用接着剤等に用いられる樹脂組成物に添加することで、樹脂組成物の耐久性を向上させることができる。
<実施例33〜38>
[DPPHラジカル消去法による抗酸化作用の評価]
DPPH(1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル)ラジカル試薬を溶解したエタノール溶液に、合成例1〜4、7、8の各金ナノ粒子分散液を表5に示す濃度で添加した。48時間後、遠心分離により金ナノ粒子を取り除いた後、紫外−可視分光光度計(日本分光製、V-550)による測定および目視による色差により抗酸化作用を判定した。結果を表5に示す。
Figure 0006778371
表5から、実施例33〜38の各金ナノ粒子分散液を添加したDPPHエタノール溶液は、試薬中のラジカルが減少し、目視でDPPHラジカル試薬由来の紫色が退色し、また、紫外−可視分光光度計による吸収ピーク(515nm)も減少したことから、抗酸化作用を有することが認められた。特に、実施例33〜35の分子量10000以下の保護剤を用いた金ナノ粒子は、金濃度10mg/Lにおいて抗酸化作用が確認され、活性酸素除去能が高いことが認められた。
従って、本発明のMMP阻害剤は、活性酸素が原因となって発生する歯周疾患や口腔内粘膜疾患、皮膚の老化、皮膚炎、動脈硬化、癌などを予防および治療するために有用であると言える。

Claims (2)

  1. マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤であって、
    金ナノ粒子を含み、
    前記金ナノ粒子は、平均粒径が10〜30nmであり、かつ、保護剤を表面に有し、
    前記保護剤は、マトリックスメタロプロテアーゼの酵素活性部位の亜鉛イオンと配位結合可能であり、かつ、N、P、O、およびSから選択される電子供与原子を有する官能基を含み、分子量が258以下であり、
    前記マトリックスメタロプロテアーゼが、MMP-1、MMP-2、MMP-8、MMP-9である
    マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
  2. 前記保護剤は、前記金ナノ粒子に共有結合する官能基と、前記マトリックスメタロプロテアーゼの亜鉛イオンと配位結合可能な官能基とを含む、請求項1に記載のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
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