<第一の実施形態>
以下、本発明の第一の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態に係るカッター機能付きハサミ(以下、ハサミと記す)Aは、例えば刃を有した第一のブレードたる第一ブレード1と第二のブレードたる第二ブレード2とを開閉動作させて、両刃11、21間に配された被切断物である紙S等のシート状をなすものを鋏み切るようにしたものである。
このハサミAは、第一ブレード1、第二ブレード2に加え、これら両ブレード1、2の基端側の領域1c、2cに設けられた第一ハンドル3、第二ハンドル4と、中間の領域1b、2bでこれら両ブレード1、2を枢着する枢着ピン6と、第一ブレード1の先端側の領域1aに取り付けられたブレードガード7とを有している。
しかして本実施形態に係るハサミAは、両刃11、21の刃線12、22が露出しない、具体的には第一ブレード1の刃線12が第二ブレード2の刃峰24から突出せず且つ第二ブレード2の刃線22が第一ブレード1の刃峰14から突出しない閉じ姿勢(R1)から両刃11、21の刃線12、22が開いた状態で露出する開き姿勢(Q1)までの間でのみブレード1、2を開閉動作させることができるハサミモード(Q)と、少なくとも第一ブレード1の刃の刃先部分17が第二ブレード2の刃峰24側に露出するカッター姿勢(P1)をとることを許容するカッターモード(P)のいずれかを選択することができるように構成されたモード切替え機構5とを備えている。
このハサミAは、第一ハンドル3と第二ハンドル4との間に設けられたモード切替え機構5を備えることで、第一ブレード1の刃線12が第二ブレード2の刃峰24から突出せず且つ第二ブレード2の刃線22が第一ブレード1の刃峰14から突出しない閉じ姿勢(R1)から両刃11、21の刃線12、22が開いた状態で露出する開き姿勢(Q1)までの間でのみブレード1、2を開閉動作させることができるハサミモード(Q)と、少なくとも第一ブレード1の刃の刃先部分17が第二ブレード2の刃峰24側に露出するカッター姿勢(P1)をとることを許容するカッターモード(P)と、両ブレード1、2を閉じ姿勢(R1)にロックするロックモード(R)とのいずれかを選択することができるように構成されている。
加えてこのハサミAは特に図3に示すように、カッターモード(P)において人差し指でブレードガード7を押圧するとき、第一ブレード1が最も適した姿勢で被切断物たる紙Sに接することができる。以下、ハサミAの各構成要素について具体的に説明する。
第一ブレード1は、図1〜図7に示すように、例えばステンレス鋼板等の金属板を素材としたものであり、この実施形態のものはプレスにより成形されるものである。この第一ブレード1は、紙S等を鋏み切る際に上方に位置する。また本実施形態では、この第一ブレード1は、刃11を有した先端側の領域1aと刃11を開閉動作させるための第一ハンドル3を設けた基端側の領域1cとの中間の領域1bにおいて枢着ピン6を介して第二ブレード2に枢結されたものである。先端側の領域1aに設けられた刃11は、第二ブレード2と摺動可能かつ平坦な刃裏面16と、第一ブレード1と反対側に向かう面である外面すなわち刃表面15と、これら刃裏面16、刃表面15間に形成された刃線12とを有している。この刃線12の全長は、本実施形態では例えば約70mmに設定している。これら刃裏面16と刃表面15との間の刃線12における刃角度は40°〜50°の範囲で任意に設定してよいが、本実施形態では例えば約50°に設定している。さらにこの第一ブレード1は、刃線12と反対側の端縁に形成した刃峰14と、先端部に位置する刃先部分17とを具備する。なお本実施形態では、刃先部分17よりも基端側における刃峰14側にブレードガード7を取り付けている。また、この第一ブレード1の基端側の領域1cには第一ハンドル3を取り付けている。加えてこの第一ブレード1は少なくとも刃先部分17近傍の先端部形状を、使用中の如何なる状態であっても第二ブレード2の刃先部分27が刃峰14側に露出するのを防止することができる形状とすべく、第二ブレード2よりも短寸方向における刃裏面16のサイズを大きく設定している。
第二ブレード2は、紙Sの下方に挿入されるものである。この第二ブレード2は第一ブレード1同様、ステンレスにより構成した金属板を素材とし、全体を一体的にプレス成形することにより形成してなる板状のものである。この金属板の厚さ寸法は任意であり、本実施形態では例えば約1.8mmに設定している。この第二ブレード2は、刃21を有した先端側の領域2aと刃21を開閉動作させるための第二ハンドル4を設けた基端側の領域2cとの中間の領域2bにおいて枢着ピン6を介して第一ブレード1に枢結されたものである。先端側の領域2aに設けられた刃21は、第一ブレード1と摺動可能かつ平坦な刃裏面26と、第一ブレード1と反対側に向かう面である外面すなわち刃表面25と、これら刃裏面26、刃表面25間に形成された刃線22とを有している。この刃線22の全長は、本実施形態では例えば約70mmに設定している。これら刃裏面26と刃表面25との間の刃線22における刃角度は、本実施形態では例えば約50°に設定している。さらにこの刃21は、刃線22と反対側の側端縁に形成した刃峰24と、先端部に位置する刃先部分27と、この刃先部分27の刃峰24を凹ませて形成した凹み部分28とを具備する。すなわちこの凹み部分28を形成することで第二ブレード2は、第一ブレード1の刃先部分17が刃峰24側に露出するのを許容するための先端部形状を有することになる。加えて本実施形態では、凹み部分28における下面に定規を当てれば、自ずとカッター姿勢(P1)としての使用時に真っ直ぐ直線状に紙Sを切断できる形状に設定してある。
第一ハンドル3は、前端側に第一ブレード1の基端側の領域1cを挿入して取り付けるようにしたハンドル本体31を主体としたもので、このハンドル本体31と、使用者の人差し指、中指、又は薬指をかけておくための指掛け32と、第二ハンドル4と協働してスムーズな開閉動作を促すための案内凹所33と、第二ハンドル4側から突出する後述するピン55を収容するためのピン収容部35とを有している。この第一のハンドルは、本実施形態では例えば硬質の樹脂により一体成形されたものとしているが勿論、指掛け32を構成する部分のみ別体の軟質樹脂を用い、使用者の手指によりフィットし易くする態様を妨げない。また第一ハンドル3は第二ハンドル4に対し略対称形状をなしているが、非対称であっても良い。
第二ハンドル4は、前端側に第二ブレード2の基端側の領域2cを挿入して取り付けるようにしたハンドル本体41を主体としたもので、このハンドル本体41と、使用者の親指をかけておくための指掛け42と、第一ハンドル3と協働してスムーズな開閉動作を促すための摺動突条44とを有している。すなわち、両ブレード1、2が開閉動作を行う際、第一ハンドル3の案内凹所33内をこの摺動突条44が摺動することが、これら両ブレード1、2のスムーズな開閉動作に寄与している。また第二ハンドル4の外側の形状は、第一ブレード1の刃峰14が延びる方向の仮想の延長線から大きく突出しないような形状となっている。当該第二ハンドル4の外側の形状をこのように直線に近いなだらかな湾曲形状とすることにより、図3に示すように、カッターナイフを握るような持ち方をした場合、第二ハンドル4は手の掌に程よくフィットし得る。またハサミモード(Q)での使用時から同図の態様への相互の持ち替えもスムーズに行うことができる。
ブレードガード7は、図3〜図5に示すように、第一ブレード1の刃先部分17よりも若干基端側から枢着ピン6近傍に至る刃11の最も基端側における刃峰14側から刃表面15、刃裏面16の短寸寸法の約三分の一程度を覆うように取り付けられている。このブレードガード7は、ハサミモード(Q)としての使用時に使用者がブレードガード7越しの紙S等の被切断物を良好に視認し得るよう大き過ぎないサイズに設定してある。これにより、ブレードガード7を紙Sよりも上側に位置させながらハサミモード(Q)として使用してもブレードガード7が邪魔にならない。このことは、ハサミモード(Q)からカッターモード(P)とすべくハサミAを持ち替えるときに、ハサミAを上下反転させることなく速やかに持ち替えて使用できることを意味する。また勿論、ハサミモード(Q)での紙Sへの視認性をさらに向上させたければ、ブレードガード7の大きさを更に小さくすればよい。またこのブレードガード7は、もし刃峰14に直接指を置いて押圧すると指が痛くなることを回避すべく、人差し指を添えて押圧しても痛くないように成形されている。このブレードガード7の厚み寸法は、第一ハンドル3、第二ハンドル4の厚み寸法と同程度か、若干大きい寸法に設定されている。ブレードガード7は、第一ブレード1の一端部に形成された平面である押圧操作面71と、第一ブレード1の刃裏面16側における他端縁において第二ブレード2の刃21の厚みよりも大きく厚み寸法に突出させて形成したガード面72とを有している。このガード面72を設けることにより、使用者が手指を第一ブレード1の刃峰14側に添えたとき、ハサミAが何れの姿勢をとっても第二ブレード2の刃線22が手指に当たることはない。具体的には、ガード面72が閉じ姿勢(R1)及びカッター姿勢(P1)にあるときに第二ブレード2の刃線22に近接する位置となるようにしているため、使用者はこれらの姿勢にあるガード面72に対面した第二ブレード2の刃線22に触れることができない。なお本実施形態ではブレードガード7は第一ブレード1とは異なる素材である樹脂素材を適用したが勿論、用いる素材は問わない。例えば第一ブレード1と同じ素材としても良い。その場合、第一ブレード1の刃峰14側の一部を平坦面となるようにプレス成形することによりブレードガード7を設けても良い。
そして押圧操作面71は、第一ブレード1の刃峰14の端面よりも、例えば25°程度刃表面15寄りに傾斜した角度をなした平面である。そしてこの押圧操作面71を有するブレードガード7が、姿勢誘導手段に相当する。当該姿勢誘導手段たるブレードガード7を利用したカッターモード(P)におけるハサミAの取り扱いについては後に説明する。
モード切替え機構5は、本実施形態では第一ブレード1及び第二ブレード2の基端側の領域1c、2cにおいて第一ハンドル3及び第二ハンドル4の間に設けられている。このモード切替え機構5は第二ハンドル4に対しスライド可能に取り付けられた作動子51の位置を調整することにより、上記の通りハサミモード(Q)、カッターモード(P)及びロックモード(R)を任意に切り替え得るものである。以下、このモード切替え機構5の構成について、図1〜図3、図6〜図8を用いて説明する。
モード切替え機構5は、第二ハンドル4にスライド可能に設けられた作動子51と、作動子51と係り合って第一ハンドル3に対する相対動作を許容又は制限するための係合部52と、作動子51を所要の位置に位置決めし得るように作動子51を支持しているスライド案内部53とを有している。
スライド案内部53は、作動子51側に一体に形成され第二ハンドル4側に突出した第一取付爪53aと、第二ハンドル4側にスリット状に設けられ第一取付爪53aをスライド可能に支持する第一スライド溝53bと、作動子51側に一体に且つ第一取付爪53aに対向する位置に形成された第二取付爪53cと、第二取付爪53cをスライド且つ位置決めし得る第二スライド溝53dとを有している。第二取付爪53cは、第二スライド溝53d側に突出した節度突条53eを有している。第二取付溝は、内面側両端付近及び中央箇所の三箇所において節度突条53eに凹凸嵌合し得る節度凹所53fを有している。そしてこのスライド案内部53により、作動子51は、カッターモード(P)、ハサミモード(Q)、ロックモード(R)に相当する正確な位置で樹脂素材を凹凸嵌合させることで、精度の高い節度機構を実現している。
作動子51は、使用者の手指からの操作力を受けるスライド操作体51aと、スライド操作体51aを基端として板状に延び弾性変形可能に形成された弾性付勢部材たる板ばね54と、この板ばね54の先端に設けられた概略円筒形状をなすピン55とを有している。スライド操作体51aは、使用者の手指から操作力を滑り無く受け得るよう、表面に細かな凹凸が形成されている。板ばね54は、スライド操作体51aの位置により、弾性変形を許容及び禁止され得るものであり、本実施形態ではカッターモード(P)でのみ、この板ばね54が弾性変形可能なように構成されている。ピン55は、板ばね54の先端からさらに第一ハンドル3側にまで突出している。そしてピン55の突出端は第一ハンドル3側のピン収容部35及び案内凹所33内に収容され、ピン収容部35のカッター部分及びロック部分にピン55の突出端が位置しているときは、ピン55に対する第一ハンドル3の動作が禁止される。
係合部52は、作動子51に係り合ってハサミモード(Q)、カッターモード(P)及びロックモード(R)を切替えるためのものである。この係合部52は、カッターモード(P)で両ブレード1、2が開き姿勢(Q1)をとることを禁止すべく作動子51に係り合う規制部分56と、ハサミモード(Q)で閉じ姿勢(R1)から開き姿勢(Q1)までの間でのみブレード1、2が開閉動作を行い得るよう作動子51に係り合う開閉許容部分57と、ブレード1、2をロックモード(R)にロックするロック部分58と、閉じ姿勢(R1)からカッター姿勢(P1)への姿勢変更に伴うピン55の動作を許容する変形許容部分59とを有している。規制部分56は、板ばね54を挟み込むように収容し得る規制スリット56aを有している。開閉許容部分57は、ハサミモード(Q)にあるピン55に当接することによりピン55と第二ハンドル4との相対移動を禁止し得るピン支持面57aを有している。ロック部分58は、規制スリット56aの縁部においてロックモード(R)にあるピン55の外面に外嵌し得る部分円筒面状に凹ませて形成したピン固定面58aを有している。このピン固定面58aに接したピン55は、規制スリット56aに板ばね54が収容されていることも作用し、第二ハンドル4に対して動作し得ない状態にある。変形許容部分59は、ピン55をカッターモード(P)としたときに一方側にのみ隙間を形成すべく第二ハンドル4を構成する素材を凹ませて設けたものである。すなわちカッターモード(P)にあるピン55は変形許容部分59への方向のみ弾性変形可能となることで、これによるピン55と第二ハンドル4との相対移動が許容される。
続いて、図8を主に参照しつつ、モード切替え機構5によるハサミモード(Q)、カッターモード(P)及びロックモード(R)にすべく作動子51を動作させたときの各部の挙動について説明する。同図は、各モードにおける構成要素の態様をそれぞれ、作動子51、係合部52及びハンドルに着目した要部を図示している。
ハサミモード(Q)として作動子51を動作範囲中央にセットしたとき、板ばね54は一部が規制スリット56aから露出しているもののピン55が開閉部分のピン支持面57aに当接しているため、ピン55と第二ハンドル4との相対動作は禁止されている。しかしピン55は第一ハンドル3に対してピン収容部35から案内凹所33を経て第一ハンドル3の内外を移動できるようになっている、これによりハサミAは両刃11、21の刃線12、22が露出しない閉じ姿勢(R1)から両刃11、21の刃線12、22が開いた状態で露出する開き姿勢(Q1)までの間でのみブレード1、2を開閉動作させることができるハサミモード(Q)が実現される。ここで、特に第一ブレード1の刃線12が第二ブレード2の刃峰24から突出せず且つ第二ブレード2の刃線22が第一ブレード1の刃峰14から突出しない当該閉じ姿勢(R)としたときは同図中央に示すようにピン55の図示上方向への移動が禁止されているため、ハサミモード(Q)では閉じ姿勢(R1)から開き姿勢(Q1)とは逆側への動作が禁止される。これによりハサミモード(Q)はカッター姿勢(P1)をとることが禁止される。すなわち当該ハサミモード(Q)は、閉じ姿勢(R1)から開き姿勢(Q1)までの間で「のみ」両ブレード1、2の開閉動作が許容される。
カッターモード(P)として作動子51を動作範囲における図示一旦側にセットしたとき、板ばね54は規制スリット56aから露出し、ピン55は変形許容部分59が設けられた図示上側でのみ第二ハンドル4に対し動作可能である。このときピン55はカッター端35pに位置し第一ハンドル3に対して動作することができない。ピン55が第二ハンドル4に対し図示上側へ移動するということは、第一ブレード1に対し第二ブレード2は閉じ姿勢(R1)から開き姿勢(Q1)とは反対方向へ、変形許容部分59のスペースのみ回動し得る。換言すれば、このカッターモード(P)において使用者が両ハンドルが合い寄るように握る等の動作を行えば開き方向とは逆に両ブレード1、2が相対回動するために図3〜図5に示すカッター姿勢(P1)を取ることができる。本実施形態では変形許容部分59内をピン55が侵入することで両ブレード1、2が3°相対回動する。そして図8に示すようにカッター姿勢(P1)においてピン55が変形許容部分59内に侵入するときは板ばね54が弾性変形する。すなわちカッター姿勢(P1)から使用者がハンドルへの把持を中止する等により外力を解除すれば板ばね54の弾性復帰によりハサミAは閉じ姿勢(R1)へ自己復帰する。
ロックモード(R)として作動子51を動作範囲における図示他端側にセットしたとき、板ばね54は規制スリット56a内に略全域が収容されるとともにピン55はロック部分58におけるピン固定面58aに嵌り込むため、ピン55と第二ハンドル4との相対動作は禁止されている。併せてピン55は第一ハンドル3に設けたピン収容部35のロック端35rに収容され第一ハンドル3に対して動作することができない。つまりロックモード(R)では、ピン55が第一ハンドル3に対しても第二ハンドル4に対しても動作し得ない状態となるため、ハサミAが閉じ姿勢(R1)から動作し得ないロックされた状態が実現される。
しかして本実施形態では、上記カッターモード(P)でのみ実現されるカッター姿勢(P1)にて使用者が操作するための操作部たるブレードガード7を備えている。そしてこのブレードガード7が、両ブレード1、2の姿勢を矯正するのに適した形に造形されたものである。
つまり、図3〜図5に示すように、第一ブレード1の刃峰14の端面は刃裏面16の面方向に対し直交する向きに面している。そしてこの刃峰14の端面よりも、上述したように、例えば約50°に設定された第一ブレード1の刃角度の半分の角度である25°だけ傾斜させている。換言すれば押圧操作面71は、第一ブレード1の刃先部分17の刃表面15と刃裏面16との間に想定される二等分仮想面Xに対し直交する方向に面している。
特に図5に示すように、この押圧操作面71を使用者が被切断物である紙Sの表面へ向けて押圧するとき、第一ブレード1の刃先部分17の刃表面15と刃裏面16との間に想定される二等分仮想面Xが紙Sの表面に直交するようにブレード1、2の姿勢を誘導されながら刃先部分17が紙Sに接する。その結果、使用者はカッター姿勢(P1)としたハサミAをカッターとして用いたとき、両刃形状をなす刃を有する他の市販のカッターナイフ同様の使い心地を得ることができる。加えて本実施形態では上述の通り、凹み部分28における下面に定規を当てて、カッター姿勢(P1)において定規に沿って正確に紙Sを切断することも可能である。
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係るカッター機能付きハサミAは、使用者が紙Sを鋏み切る目的で使用しているハサミモード(Q)ではカッター姿勢(P1)をとることがない。これにより、ハサミモード(Q)における閉じ姿勢(R1)にあるハサミAの両ブレード1、2を握る動作をしても、第一ブレード1の刃11の刃先部分17が誤って使用者の手指等に触れてしまうという不具合を有効に回避せしめている。またモード切替え機構5を使用者が操作してカッターモード(P)としたときにはじめてカッターのように使用することができるので、モード切替え機構5をカッターモード(P)に切り替えた使用者自身に第一ブレード1の刃先部分17を十分に認識させることができ、上記不具合を未然に回避している。
取り扱いし易いモード切替え機構5の一態様として本実施形態では、両ブレード1、2が、刃11、21を有した先端側の領域1a、2aと、刃11、21を開閉動作させるためのハンドルを設けた基端側の領域1c、2cとの中間の領域1b、2bにおいて相互に枢結されたものであり、モード切替え機構5が、ブレード1、2の基端側の領域1c、2cに設けられたものとしている。
また、使用者にとって、不要なときに第一ブレード1の刃11の刃先部分17に触れてしまう可能性をより有効に低減するために本実施形態では、モード切替え機構5を、ハサミモード(Q)と、カッターモード(P)と、両ブレード1、2を閉じ姿勢(R1)にロックするロックモード(R)のいずれかを選択することができるように構成している。
使用者の明確な意志によってのみカッター姿勢(P1)を取り得るようにして、カッター姿勢(P1)において刃先部分17が被切断物以外のものに触れてしまうことを有効に回避するために本実施形態では、モード切替え機構5を、両ブレード1、2をカッター姿勢(P1)から閉じ姿勢(R1)に向けて自己復帰させるための弾性付勢部材たる板ばね54を設けている。
より取り扱い易いモード切替え機構5を実現するために本実施形態では、モード切替え機構5が、第二ブレード2側に操作可能に保持された作動子51と、作動子51に係り合ってハサミモード(Q)とカッターモード(P)とを切替える係合部52とを備えたものとしている。
カッターモード(P)での使用中に刃先部分17が使用者の手指に触れてしまうことをより有効に回避しつつ使用しやすいものとするために本実施形態では、第一ブレード1が、カッターモード(P)において第二ブレード2の刃先部分27が刃峰14側に露出するのを防止することができる先端部形状を有したものとし、第二ブレード2が、カッターモード(P)において第一ブレード1の刃先部分17が刃峰24側に露出するのを許容するための先端部形状を有するために凹み部分28を設けた。
<第二の実施形態>
以下、本発明の第二の実施形態について説明する。当該実施形態において上記第一の実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
図9及び図10に示す本実施形態に係るハサミAは、上記第一の実施形態に係るハサミAに対し、両ハンドル3、4の外形が大きく異なる点、ブレードガード7が第一ハンドル3に一体に形成されている点、第二ブレード2に凹み部分28を有していない点、は異なるものの、これらの相違点から上記第一の実施形態から大きく機能、作用が変更されるものではない。
しかして実施形態に係るハサミAは、作動子51が第二ハンドル4のハンドル本体41から突没させ得る態様とすることにより、両ブレード1、2を両刃11、21の刃線12、22が刃峰24、14から突出しない閉じ姿勢(R1)から両刃11、21の刃線12、22が開いた状態で露出する開き姿勢(Q1)までの間でのみブレード1、2を開閉動作させることができるハサミモード(Q)と、少なくとも第一ブレード1の刃11の刃先部分17が第二ブレード2の刃峰24側に露出するカッター姿勢(P1)をとることを許容するカッターモード(P)のいずれかを選択することができるように構成されたモード切替え機構5を実現している。なお同実施形態において、第二ハンドル4のハンドル本体41が作動子51を突没可能に支持し得る具体的な構成については既存の種々の構成を適用し得るため、説明を省略する。
具体的に説明すると、モード切替え機構5は、作動子51が第二ハンドル4のハンドル本体41から第一ハンドル3側へ突出した図9に示すハサミモード(Q)と、作動子51が第二ハンドル4内に没入し当該作動子51が第一ハンドル3に係り合わずに図10に示すカッター姿勢(P1)をとり得るカッターモード(P)とを切り替えることができるものである。
このモード切替え機構5は、第一ハンドル3側に設けられ作動子51に当接し得る当たり面51cと、この当たり面51cに当接し得るカッター禁止面51bを有し上述の如く第二ハンドル4のハンドル本体41に突没可能に設けられた作動子51とを有している。
図9に示すハサミモード(Q)では、ハサミAを開き姿勢(Q1)から両ブレード1、2を閉じていっても、当たり面51cとカッター禁止面51bとが当接する閉じ姿勢(R)から、それ以上両ブレード1、2を回動させることができない。
図10に示すカッターモード(P)は、当たり面51cとカッター禁止面51bとが当接せずにハサミAは開き姿勢(Q1)から閉じ姿勢(R1)を超え、さらにブレード1、2を相対回動させたカッター姿勢(P1)である。本実施形態では同図に示すカッターモード(P)においてハサミAを開き姿勢(Q1)とすることができる点で上記第一の実施形態とは異なる。しかし勿論、カッターモード(P)において開き姿勢(Q1)への動作を禁止する別異の構成を付与することを妨げない。
本実施形態のようなものであっても、上記第一の実施形態に係るハサミAと同様の作用効果を奏する。
<第三の実施形態>
以下、本発明の第三の実施形態について説明する。当該実施形態において上記第一の実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
図11〜図24に示す本実施形態に係るハサミAは、上記第一の実施形態に係るハサミAに対し、第一ブレード1の刃先の形状が特に異なる点、両ハンドル3、4の外形及び構造が異なる点、ブレードガード7の形状が異なる点、モード切替え機構5がハサミモード(Q)とカッターモード(P)との間の切り替え機能のみを有しているとともに前記カッターモード(Q)で手を離すと自動的にハサミモード(Q)に自己復帰する点で相違点が存在するものの、基本的には上記第一の実施形態から大きく機能、作用が変更されるものではない。
すなわち、本実施形態のハサミAは、刃11、21を有した第一ブレード1と第二ブレード2とを開閉動作させて、前記両刃間に配された被切断物を鋏み切るようにしたハサミであって、前記第一ブレード1の刃11の刃線12が前記第二ブレード2の刃峰24側から突出せず且つ前記第二ブレード2の刃21の刃線22が前記第一ブレード1の刃峰14側から突出しない閉じ姿勢R1から前記両刃11、21の刃線12、22が開いた状態で露出する開き姿勢Q1までの間でのみ前記ブレード1、2を開閉動作させることができるハサミモード(Q)と、前記第一ブレード1の刃11の刃先部分17が前記第二ブレード2の刃峰24側に露出するカッター姿勢P1をとることを許容するカッターモード(P)とのいずれかを選択することができるように構成されており、何らの操作が加えられないときにはカッターモード(P)以外のモードすなわちこの実施形態ではハサミモード(Q)に自己復帰するモード切替え機構5を備えている。
第一ブレード1は、基本的には前記第一の実施形態と同様な構成をなすが、刃先部分17の形状が異なっている。すなわち、この第一ブレード1の刃先部分17には、図16、図20、図21及び図22に示すように、該刃先部分17の最先端17aにおける刃角度をより小さくするための鋭利化処理部101を設けている。この鋭利化処理部101は、刃表面15の先端及びその近傍に、研削加工を施すことにより形成されたもので、外観的には、三角形状をなしている。
第一ブレード1の基端側の領域1cに設けられた第一ハンドル3は、図16に示すように、硬質材料により作られたハンドル本体301と、このハンドル本体301に設けられ軟質材料により作られた指当て部材302とを備えている。前記ハンドル本体301は、第一ブレード1の基端部を保持するためのもので、指掛孔301aを形成するための環状部305を備えている。この実施形態においては、前記ハンドル本体301は、右硬質部品303と、左硬質部品304とを備えたもので、前記第一ブレード1の基端部を挟持している。左右の硬質部品303、304は、それぞれ合成樹脂成形品であり、前記各硬質部品303、304は、成型の都合によりそれぞれ1又は複数の小部品を結合して作ることができる。なお、左右の硬質部品303、304は、一体に成形するようにしてももちろんよい。前記指当て部材302は、右軟質部品306と、左軟質部品307とを備えたもので、前記環状部305に装着されている。各軟質部品306、307は、それぞれ軟質樹脂成形品であり、前記環状部305の内周に装着される内周被覆部308、309と、前記環状部305の外周の一部に添接される外周被覆部310、311とを備えている。各軟質部品306、307は、成型の都合によりそれぞれ1又は複数の小部品を結合して作ることができる。なお、左右の軟質部品306、307は、一体に成形するようにしてももちろんよい。
第二ブレード2の基端側の領域2cに設けられた第二ハンドル4は、図17に示すように、硬質材料により作られたハンドル本体401と、このハンドル本体401に設けられ軟質材料により作られた指当て部材402とを備えている。前記ハンドル本体401は、第二ブレード2の基端部を保持するためのもので、指掛孔401aを形成するための環状部405を備えている。この実施形態においては、前記ハンドル本体401は、右硬質部品403と、左硬質部品404とを備えたもので、前記第二ブレード2の基端部を挟持している。左右の硬質部品403、404は、それぞれ合成樹脂成形品であり、前記各硬質部品403、404は、成型の都合によりそれぞれ1又は複数の小部品を結合して作ることができる。なお、左右の硬質部品403、404は、一体に成形するようにしてももちろんよい。前記指当て部材402は、右軟質部品406と、左軟質部品407とを備えたもので、前記環状部405に装着されている。各軟質部品406、407は、それぞれ軟質樹脂成形品であり、前記環状部405の内周に装着される内周被覆部408、409と、前記環状部405の外周の一部に添接される外周被覆部410、411とを備えている。各軟質部品406、407は、成型の都合によりそれぞれ1又は複数の小部品を結合して作ることができる。なお、左右の軟質部品406、407は、一体に成形するようにしてももちろんよい。
以上説明した指当て部材302、402の内周被覆部308、309、408、409は、ハサミモード(Q)の際に指が触れる位置に設けられたものであり、外周被覆部310、311、410、411は、カッターモード(P)の際に指が触れる位置に設けられたものである。
前記ブレードガード7は、前記第一の実施形態と同様にして第一ブレード1の刃峰14に装着されたものであるが、前記第一の実施形態のものとはその横断面形状が異なっている。すなわち、図24に示すように、このブレードガード7の押圧操作面701は平坦ではなく、緩やかな円筒面をなしている。
モード切替え機構5は、本実施形態では第一ブレード1及び第二ブレード2の基端側の領域1c、2cにおいて第一ハンドル3及び第二ハンドル4の間に設けられている。このモード切替え機構5は第二ハンドル4に対しスライド可能に取り付けられた作動子501の位置を調整することにより、上記の通りハサミモード(Q)及びカッターモード(P)を任意に切り替え得るものである。以下、このモード切替え機構5の構成について、図17〜図22を用いて説明する。
モード切替え機構5は、第二ハンドル4に設けられハサミモード位置(Q0)とカッターモード位置(P0)との間でスライド可能な作動子501と、この作動子501を前記ハサミモード位置(Q0)からカッターモード位置(P0)までの間で往復動作可能に支持するスライド案内部503と、前記作動子501をハサミモード位置方向に付勢する弾性付勢部材である圧縮コイルスプリング504と、前記作動子501に係り合って第二ハンドル4の第一ハンドル3に対する動作を許容又は制限するための係合部502とを有している。
前記作動子501は、前記第二ハンドル4の外面側に配されたスライド操作体505と、前記第二ハンドル4の内面側に配され前記スライド操作体505と一体的にスライド動作するスライダ506と、このスライダ506の表面に突設されたピン507とを備えている。
前記スライド操作体505は、使用者の手指から操作力を滑り無く受け得るよう、表面に細かな凹凸が形成されたもので、前記スライダ506を結合させるための係合窓508を有するとともに、裏面にスライド案内用の突条509を有している。前記係合窓508は蓋体510により閉塞されている。
前記スライダ506は、前記第二ハンドル4の内面側に配されるスライダ本体511と、このスライダ本体511の裏面から突設された対をなす弾性爪512とを備えたもので、前記弾性爪512を前記第二ハンドル4を貫通させて前記スライド操作体505の係合窓508に係り合わせることにより前記スライド操作体505に結合されるようになっている。
前記ピン507は、前記スライダ506のスライダ本体511の表面に一体に突設されたもので、第一ブレード1の基端側の領域1cにおける刃峰14側に対面する下向きの係止面513と、前記下向きの係止面513に対して傾斜させて設けられた後下向きのカム面514とを有している。
前記スライド案内部503は、前記第二ハンドル4の外面に形成され前記スライド操作体505をスライド可能に案内する外側凹陥部515と、前記第二ハンドル4の内面に形成され前記スライダをスライド可能に案内する内側凹陥部516と、この内側凹陥部516と前記外側凹陥部との間に設けられた隔壁517とを備えたもので、前記隔壁517には、前記弾性爪が貫通する貫通窓518と、前記スライド操作体505の突条509がスライド可能に嵌合するスライド案内溝519とが設けられている。そして、前記隔壁517には、前記圧縮コイルスプリング504の一端を保持するスプリングリテーナ520が設けられている。前記圧縮コイルスプリング504の他端は、前記スライド操作体505の前記貫通窓518を形成する窓形成壁521に当接させてある。
前記係合部502は、前記第一ブレード1の基端側の領域1cにおける刃峰14側に突起を設けたもので、この突起には、ハサミモード(Q)において前記ピン507の下向きの係止面513に当接する上向きの係止面522と、この上向きの係止面522に対して傾斜させて設けられ主としてカッターモード(P)からハサミモード(Q)に自己復帰する際に前記ピン507の後下向きのカム面514に摺接する前上向きのカム面523とが形成されている。そして、前記第一ハンドル3には、前記係合部502の上方に前記ピン507を位置させるための空間を形成すべく、肉盗み部312が設けられている。
また、第一ハンドル3には、前記カッターモード(P)において前記第二ハンドル4の下面に当接する係止突起313が設けられている。
この実施形態では、操作を加えない通常時は、作動子501が圧縮コイルスプリング504の付勢力により、ハサミモード位置(Q0)に保持されている。そのため、第一、第二のハンドル3、4に指を掛けて通常のハサミとして使用することができる。すなわち、第一、第二ハンドル3,4を相寄る方向に付勢すると、図20に示すように、前記モード切替え機構5における係合部502の上向きの係止面522が前記ピン507の下向きの係止面513に当接し、ハサミAが閉じ姿勢(R1)となる。第一、第二のハンドル3,4を離間方向に付勢すると、図21に示すように、ハサミが開き姿勢(Q1)となる。一方、閉じ姿勢(R1)から作動子501のスライド操作体505を圧縮コイルスプリング504の付勢力に抗してハサミモード位置(Q0)からカッターモード位置(P0)までスライド操作するとともに、第一、第二のハンドル3,4を相寄る方向に付勢すると、ピン507と係合部502とが食い違った位置で相対回動し、上向きの係止面522と下向きの係止面513とが係り合うことがない。そのため、ハサミAは、図15及び図22に示すようなカッターモード(P)となる。この操作は、第一ハンドル3の指当て部材302の外周被覆部310、311と、第二ハンドル4の指当て部材402の外周被覆部410、411とに指を掛けて行うのが望ましい。
このカッターモード(P)から第一、第二ハンドル3,4を相寄る方向に付勢する操作を中止すると、前記作動子501が圧縮コイルスプリング504の付勢力により強制的にカッターモード位置(P0)からハサミモード位置(Q0)に移動し、ハサミAがカッターモード(P)からハサミモード(Q)に自己復帰する。すなわち、作動子501がハサミモード位置(Q0)に向かう方向に強制移動する過程で作動子501の後下向きカム面514が係合部502の前上向きカム面523を押圧しつつ摺動し、第一ブレード1がカッター姿勢(P1)から閉じ姿勢(Q1)に強制的に復帰させられる。
このようなものであれば、特別な操作を加え続けない限りカッターモード(P)を維持することができないため、このハサミAを手渡す際等に刃線12が露出しない状態で取り扱うことができ、このようなハサミを安全に取り扱うことができる。
また、本実施形態では、第一ブレード1の刃先部分17に、該刃先部分17の最先端17aにおける刃角度をより小さくするための鋭利化処理部101を設けているので、第一のブレード1における刃先部分17の最先端17aを紙に当ててカッターとして使用する際の切れ味をより高めることができる。
さらに、本実施形態の構成によっても、上記第一の実施形態に係るハサミAにおけるもののうち、最も重要な作用効果を得ることができる。すなわち、ハサミモード(Q)における閉じ姿勢(R1)にあるハサミAの両ブレード1、2を握る動作をしても、第一ブレード1の刃11の刃先部分17が誤って使用者の手指等に触れてしまうという不具合を有効に回避せしめることができるという効果を得ることができる。また、モード切替え機構5を使用者が操作してカッターモード(P)としたときにはじめてカッターのように使用することができるので、モード切替え機構5をカッターモード(P)に切り替えた使用者自身に第一ブレード1の刃先部分17を十分に認識させ、上記不具合を未然に回避させることができるという効果も得ることができる。
以上、本発明の第一、第二及び第三の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態ではモード切替え機構をハンドルに設けた態様を開示したが勿論、ブレード側に設けたり、両ブレードの枢着位置近傍に設けたり、両ブレードの枢着位置をずらすようにブレードを動作させることによりモード切替え機構を実現する等、モード切替え機構の構成は種々変更が可能である。またハンドルやブレードの具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。よって勿論、ブレードの仕様として所謂グルーレス仕様を適用しても良い。具体的には、両ブレードの刃裏面に凹みを設けることによりグルーレス仕様を実現したものや、両ブレードの表面にチタンコートやフッ素コートといった加工を施すことによって仕様を実現したものであっても良い。また刃の構造として、刃線をアーチ状に湾曲させてなる所謂「アーチ刃」の構造としたものや、刃線から刃表面に亘る部分を鋸歯形状に成形した所謂「ギザ刃」と称される構造としたものであっても良い。また当該「ギザ刃」の構造を適用した場合、カッターモードでの使用時における安全性の向上に資する。
また、上記第一の実施形態では、モード切替え機構が、ハサミモードと、カッターモードと、ロックモードとのうちのいずれかを選択することができるように構成されたものであるが、第一の実施形態に係るものと同様の構成を有するハサミにおいて、モード切替え機構を、ハサミモードと、カッターモードとのうちのいずれか一方のみを選択することができるように構成されたものとしてもよい。逆に、上記第二及び第三の実施形態では、モード切替え機構が、ハサミモードと、カッターモードとのうちのいずれか一方のみを選択することができるように構成されたものであるが、第二又は第三の実施形態に係るものと同様の構成を有するハサミにおいて、モード切替え機構を、ハサミモードと、カッターモードと、ロックモードとのうちのいずれかを選択することができるように構成されたものとしてもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。