JP6774668B2 - 精密電鋳法のための気泡除去方法 - Google Patents

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本発明は、精密電鋳法のための気泡除去方法に係わり、更に詳しくは陰極面上から気泡を除去して高度に平滑な転写面を得ることが可能な精密電鋳法のための気泡除去方法に関するものである。
金属イオンを大量に含む電解液内で2つの電極間に十分な電圧を印加すると、陽極表面で酸化反応が、陰極表面で還元反応が生じる。高濃度の金属イオンを含有する電解液内では、適切な電圧を印加することで陰極上で金属イオンが還元され金属単体として析出する。電鋳法は、図1に示すように、母型1を陰極として用いて分厚く金属を析出させ、電析金属層2を母型から分離することで、母型の反転形状を得る転写技術である。母型がガラスや樹脂など絶縁体である場合、はじめに母型上に薄い電極層3を形成し、これを陰極とする。本発明者は、これまで石英ガラスの母型表面においてアークプラズマガンによりクロムをバインダー層として極微量蒸着し、その後、ニッケル電極(電極層3)を電子ビーム蒸着により形成する方法を提案している(特許文献1)。図1中において、符号4は電解槽、5は陽極、6は電源、7は電解液(めっき液)をそれぞれ示している。
電析プロセスにおいて、電析金属層内には内部応力が生じる。内部応力は離型後に解放されることで転写形状を変形させるため、内部応力は小さいことが好ましい。産業的には、内部応力が小さい電析層が得られるスルファミン酸ニッケルめっき液を用いたニッケル電鋳が盛んである。スルファミン酸ニッケル電鋳では、液組成・液温度・電流密度等の電析条件を調整することで、内部応力を引張応力から圧縮応力まで広範に変化させることが可能である。通常の電鋳には、弱酸性にpHが調整されたスルファミン酸ニッケル溶液をベースとして、陽極の溶解性向上を目的として塩化ニッケルが、水素気泡生成防止を目的としてほう酸が、陰極への水素気泡付着防止を目的としてピット防止剤が添加されている。そして、液温度はほう酸の溶解度を上げる目的もあり60℃程度、電流密度は数十〜数百mA/cmが適用される。基本的な電析条件は1970年代より今に至るまで大きな変化はない。しかし、従来の電鋳法では、液の加熱・循環が必要となり液管理が手間である点、流動による電析厚さムラが生じる点などの課題がある。
また、陰極への水素気泡の付着の問題も挙げられる。スルファミン酸ニッケルめっき液中におけるニッケルイオンの還元反応Ni2++2e→Niの平衡電位は、水素イオンの還元反応2H+2e→Hの平衡電位とわずかな差しかない。そのため陰極上ではニッケルの析出とともに、副反応として水素気泡の生成を伴う。水素気泡が電析金属層2の表面に付着し、そのまま電析が進行した場合、図2に示すように、電析金属層2にはピンホール(図2(a))・ピット(図2(b))・ボイド(図2(c))といった気泡痕14が生じる。気泡痕14は電鋳製品の外観を悪化させるのみならず、転写形状にマイクロメートルレベルの変形をもたらすため、転写精度の観点からも好ましくない。例えば、真円度約200nmの円錐台形状の母型から得られた、気泡痕を有する電鋳製品の転写面(ここでは円筒内面)転写面はいびつに変形しており、その真円度は1.67μmである。気泡痕は電析層内部構造を不均一にしている。このときわずかに存在する電析層内部応力により電析層に不均一な変形が生じていると考えられる。この気泡付着の問題は、電解液を加熱せず、撹拌もしない電析の場合にとくに顕著になる。ピット防止剤を添加した場合、気泡付着の問題はやや改善されるが、十分な効果は得られていない。
常温電析においても優れた気泡除去効果を発揮する手法として、周期的減圧脱気による気泡除去がある(非特許文献1)。電解槽内雰囲気を減圧して気泡を膨張させ、浮力による脱離を促すものであり、気泡が付着しやすい微細溝内の気泡除去で効果が確認されている(非特許文献2)。これは微細溝を有さない平滑面に付着する気泡の除去にも適用可能である。電析中は常に減圧しておく必要はなく、図1に示す電析プロセス((a)−(c))を常圧25分間、減圧(0.1気圧)5分間のサイクルで繰り返すことで、常温電析においても気泡痕のない電鋳製品の作製が可能である。図3に示すように、常圧で電析金属層2の表面に気泡15が発生し(図3(a))、減圧することにより気泡15が膨張・合体し(図3(b))、気泡15の浮力が大きくなって表面から脱離し(図3(c))、そして表面から気泡15が除去される(図3(d))。
一般的に電気めっき・電析プロセスでは、表面上における溶液攪拌の方法が重要であり、陰極の回転・気泡攪拌・超音波攪拌などが提案されているが、複雑な形状を均一に攪拌することは難しいためノウハウや多くの試行錯誤が必要となる。不均一な流れのもとでは、陰極全域にわたる電析環境の均一性は確保されない。空間的に不均一な電析環境は電析膜内応力分布を不均一にする。一方、減圧による効果は電析層全面に亘って作用するため、液の撹拌が不要となり、物理的に均一な電析環境を実現できる。またピット防止剤等の添加が不要であり、液管理が容易となる利点も有する。これにより、先述の円錐台形状を有する母型から気泡痕のない電鋳製品を作製し、母型と同程度の真円度を有する転写面を得た(非特許文献1)。
一方、特許文献2には、陰極における水素の発生を抑えるために、比較的低い0.5〜1A/dm(5〜10mA/cm)程度の電流密度でNi−Fe合金の電析を行うことが記載され、更に瞬間的に高電流密度(例えば5A/dm(50mA/cm))とすることにより、低い電流密度では析出しないマンガンを共析させて合金化する技術が記載されている。
特開2009−091600号公報 特開2004−346394号公報
久米健大、江川悟、三村秀和,「電鋳法によるナノ精度形状転写プロセスの開発−常温ニッケル電析条件の検討とマンドレルの高精度転写−」,精密工学会誌,Vol.80,No. 6,p582−586(2014). Ming, Ping Mei, Y. J. Li, and W. J. Jiang. "Morphology and Microhardness of Nickel electroformed under vacuum-degassing conditions." Key Engineering Materials. Vol. 455. 2011.
しかしながら、周期的減圧による気泡除去効果は大きいものの、電析条件のパラメータを同一に設定した場合でもまれに気泡痕が生じる場合があり、産業的に利用するには徹底した付着気泡の除去を図り、生産性を向上させることが課題であった。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、非撹拌状態(静止状態)の電解液で低い電流密度で行う電析プロセスにおいて、より確実に気泡を除去でき、離型後の電析金属層の転写面の形状精度を飛躍的に高めることができるとともに、生産性を向上させることが可能な精密電鋳法のための気泡除去方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、非撹拌状態の金属イオンを含有する電解液内に、陰極となる母型と陽極を配し、これら陰極と陽極間に電圧を印加して所定の低電流密度の電析プロセス電流を流すことにより、陰極上で金属イオンが還元され金属単体として析出し、この電析金属層を母型から分離することで、母型の反転形状を得る精密電鋳法において、周期的減圧中に、前記電析プロセス電流を停止させるとともに、電析金属層表面を電解液から露出させ、水素気泡を電析金属層表面から除去した後、再び電析金属層表面を電解液に浸漬させることを特徴とする精密電鋳法のための気泡除去方法を提供する。
ここに、電解液の「非撹拌状態」とは、電析中(電析プロセス電流を流している間)に電解液を積極的に流動させる撹拌を行うことなく、電解液がほぼ静止した状態(静止状態)で電析を行うことを意味する。本発明においては、電析金属層表面の上記露出および浸漬の過程で、電解液が流動する撹拌効果が多少生じることになるが、これは電析プロセス電流を停止させている間に行うものであって、ここでいう「電析中に電解液を積極的に流動させる撹拌」には含まないものとする。本発明は、電解液が静止した状態で電析を行うことを前提とする技術である。
以上にしてなる本発明の精密電鋳法のための気泡除去方法によれば、周期的な減圧の最中に一旦電析(電析プロセス電流)を止めて電析金属層表面を露出させるだけで,電解液が常温であっても、当該表面上の気泡を確実に除去することができ、電析再開してからは、再び、非撹拌状態(静止状態)の電解液により、低電流密度の電析プロセス電流によって電析するので、緻密で母型の形状再現性が高く、高度な平滑性を備えた転写面を有する電析金属層を得ることができる。また、ピット防止剤等の添加が不要であるので、有機物等が不純物として残らない。また、一般的に電析金属層表面を途中で電解液から露出させると表面が酸化して変質してしまうが、本発明では減圧の最中に行うため、このような問題も防ぐことができる。さらに、電析の途中で中断してこのように電析金属層表面を露出および浸漬を行うと、電解液が多少なりとも流動し、電解液の均一化、電析金属層表面近傍への金属イオン供給といった付随的効果が生じるとともに、その際電析(電析プロセス電流)は止めているため、当該流動による電析厚さムラの発生の虞は防止できる。
一般的な電鋳プロセスを示し、(a)は母型の表面に電極層を形成した状態の断面図、(b)は母型と陽極間に電流を印加して電析金属層を形成する電析プロセスを示す簡略断面図、(c)は母型から電析金属層を離型した状態を示す断面図である。 気泡に起因する電析金属層の気泡痕の例を示し、(a)はピンホールを有する断面図、(b)はピットを有する断面図、(c)はボイドを有する断面図である。 減圧脱気による気泡除去のプロセスを示し、(a)は水素気泡が発生した状態の断面図、(b)は気泡が膨張・合体した状態の断面図、(c)は気泡が脱離する状態の断面図、(d)は気泡が除去された状態の断面図である。 本発明にかかる気泡除去方法を用いた精密電鋳装置の第1の実施形態を示す説明図。 本発明にかかる気泡除去のプロセスを示し、(a)は水素気泡が発生した状態の断面図、(b)は液面で膨張気泡が合体、消泡する様子を示す断面図、(c)は露出完了して気泡がすべて除去された状態の断面図、(d)は再度浸漬した状態の断面図である。 本発明にかかる気泡除去方法を用いた精密電鋳装置の第2の実施形態を示す説明図であり、(a)は電析中の説明図、(b)は電析金属層表面を電解液から露出させた状態を示す説明図である。 電析金属層表面の露出の適用のみの気泡除去効果を確認するため実証実験における露出範囲を示す説明図である。 電析金属層表面の露出の適用のみの気泡除去効果を確認するため実証実験における結果を示す表面観察画像である。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図4は、本発明にかかる気泡除去方法を用いた精密電鋳装置の第1の実施形態を示している。図中符号1は母型(陰極)、2は電析金属層、4は電解槽、5は陽極、6は電源、7は電解液(めっき液)、8はタンク、9A,9Bは送液ポンプ、10は真空容器、11は真空ポンプ、12は電磁弁をそれぞれ示している。
本発明の精密電鋳法のための気泡除去方法は、図4に示すように、非撹拌状態の金属イオンを含有する電解液(めっき液)7内に、陰極となる母型1と陽極5とを配し、これら陰極(母型1)と陽極5間に電圧を印加して所定の低電流密度の電析プロセス電流を流すことにより、陰極(母型1)上で金属イオンが還元され金属単体として析出し、この電析金属層2を母型から分離することで、母型の反転形状を得る精密電鋳法に関し、とくに周期的減圧中に、前記電析プロセス電流を停止させるとともに、電析金属層2表面を電解液7から露出させ、水素気泡を電析金属層2表面から除去した後、再び電析金属層2表面を電解液7に浸漬させ、電析プロセス電流を流して電析を再開するものである。
本実施形態では、真空容器10内に電解槽4とタンク8を並べ置き、減圧下で送液ポンプ9A,9Bにより電解槽4とタンク8間で流路13A、13B(送液チューブ)を通じて電解液を移動させるように構成されている。この電解液の移動により、電解槽4内の母型1上の電析金属層2表面を、電解液7から露出させたり、再浸漬させたりすることが行われる。すなわち、電析金属層2表面を電解液7から露出させる場合は、ポンプ9Aを動作させ、流路13Aを通じて電解槽4内の電解液をタンク8側へ移送し、電解液7に再浸漬させる場合は、ポンプ9Bを動作させ、流路13Bを通じてタンク8内の電解液を電解槽4側へ移送して戻す。
電析については、従来と同様、図1に示したように、陰極1と陽極5間に電源6から電圧を印加して、所定の低電流密度の電析プロセス電流を流すことにより、陰極上で金属イオンが還元され金属単体として析出し(図1(b))、この電析金属層2を母型1から分離することで、母型1の反転形状を得るのである(図1(c))。電解液は従来から公知のものを適宜用いることができ、液温も常温のもの以外に加熱したものや低温に設定したものを用いることもできる。図4では省略しているが、前記母型1がガラスや樹脂など絶縁体である場合は、はじめに母型1上に薄い電極層3を形成し、これを陰極とする(図1(a))。
気泡が除去される仕組みは、図5(a)に示すように、電析中に電析金属層2表面に発生した気泡15が、減圧下において、図5(b)に示すように膨張しつつ浮力で上昇せずに電析金属層2表面に残る膨張気泡を、電析金属層2表面を電解液7から露出させる過程で、当該表面に沿って移動(降下)する電解液7の液面の付近に捕捉され、当該液面付近に捕捉された膨張気泡同士が互いに合体、破裂し、図5(c)に示すように表面上の残存気泡がすべて除去されることになる。すなわち、膨張しつつも表面上に残っている気泡を移動する電解液の液面で捕捉してゆく。減圧しているため表面付近に集まった気泡は容易に破裂・消泡することになる。電析精度維持のため、電析金属層2表面を露出させる際には、電析プロセス電流を止め、電析を一旦中断する。そして、図5(d)に示すように、再び電析金属層2表面を電解液7に浸漬させ、常圧に戻し、気泡がない状態で電析を再開する。
周期的減圧は、図4に示すように、制御部19からの信号で三方電磁弁12を大気開放側から真空ポンプ11側に切り替え、真空ポンプ11を動作させて行い、真空容器10内を一定の減圧状態に維持する。常圧へは真空ポンプ11を止めて電磁弁12を大気開放流路20側に切り替えることで行われる。また、電析プロセス電流の停止、再開は、制御部19からの信号で、電源6からの電源供給のスイッチをオン/オフ制御することで行われる。電解槽4とタンク8の間で電解液を移送する送液ポンプ9A,9Bの動作も、制御部19からの信号で自動制御することができる。
減圧且つプロセス電流停止中において電析金属層表面を露出させるものであれば、具体的なタイミングは適宜決めることができる。例えば、減圧、プロセス電流の停止、及び電析金属層表面の露出開始(電解液の移動開始)を同時に行ってもよいし、減圧開始からしばらくしてから、プロセス電流停止と電析金属層表面の露出開始を行っても勿論よい。また、常圧への復帰やプロセス電流の再開についても、電析金属層表面を電解液に浸漬して戻したタイミングで行ってもよいし、しばらくしてから行っても勿論よい。さらに、プロセス電流を停止させて電析金属層表面を露出させるプロセスは、周期的減圧の際に必ず行う必要もなく、たとえば気泡の状態をカメラで自動検知する等して必要に応じて適宜行うこともできる。また、同じ1回の減圧工程においてプロセス電流の停止および電析金属層表面の露出を2回以上行うことも勿論できる。
図6は、本発明にかかる気泡除去方法を用いた精密電鋳装置の第2の実施形態を示している。本実施形態では、上述の第1実施形態の装置の電解槽4および液面調整槽としてのタンク8をそれぞれ別の真空容器101、102内に設置し、電解槽4およびタンク8内の電解液7に電解液を満たした送液チューブ130を接続し、真空容器101、102を上下方向に相対移動させることで、電解槽4とタンク8の位置を上下に相対移動させ、サイフォンの原理により電解槽4内の電解液7の液面高さを調整するように構成したものである。
本例ではタンク8側の真空容器102を固定フレーム16とこれを支持する昇降用シリンダ17で上下に昇降させるように構成されている。符号18は双方の真空容器101、102を同じ圧にする真空接続チューブであり、真空ポンプ11及び電磁弁12により真空容器101側から減圧することで真空容器102も同じく減圧される。図6(a)は電析金属層2を露出させる前の電析中の状態を示し、図6(b)は減圧下において電析プロセス電流を停止させ、昇降用シリンダ17で固定フレーム16、真空容器102とともにタンク8を降下させることで、電解槽4内の電解液7の液面を下げた状態を示している。これにより第1実施形態で必要とした送液ポンプ9A,9Bは不要となるが、真空容器を別途設けるとともに昇降手段が必要となり、装置が大型化するため、小型化の点では第1実施形態の装置構成が優れる。
本発明は、電析金属層の表面を電解液から露出させることができればよく、上述の各実施形態に例示したように電解液を移動させること以外に、母型を昇降させてもよいし、電析槽を傾ける等することも可能である。これらを組み合わせることもできる。本発明は、周期的減圧脱気手法に電析金属層の露出・再浸漬を加えるだけなので、減圧脱気による利点(常温電析への適用可、撹拌不要、添加物不要)を残したまま、気泡除去効果のみ向上させることが可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
次に、電析金属層表面の露出の適用のみの気泡除去効果を確認するため実証実験を実施した。
実験条件は、次のとおりとし、図7に示すように母型1としての試験片の上側半分の40cmの長さ領域のみ電解液7から露出させる領域とし、下側半分の領域は常に電解液7に浸漬させておく領域とした。すなわち、上側半分の40mmの範囲で液面高さを変化させた。実験には図6に示す第2実施形態の装置を用いた。陽極その他は図示省略している。本実験では、減圧法は適用していない。
(条件)
・試験片:10mm×80mmのニッケル板(株式会社ニラコ製)
・電解液:スルファミン酸ニッケル2.8mol/L、pH5、23℃
・電析プロセス電流:電流密度4.0mA/cm
・電析時間:9.3時間(片面の電析金属層厚さ46μm)
・露出周期:30分周期で4分間露出(液面を上下)
結果を図8に示す。浸漬状態を維持した下側半分の領域の金属電析層表面には多数の気泡痕生成が確認されたが、周期的に露出を行った上側半分の領域では、電流が集中しやすい端部を除いて気泡痕が生じていないことがわかる。周期的な金属電析層表面の露出により気泡痕生成が抑制されたと言える。
1 母型
2 電析金属層
3 電極層
4 電解槽
5 陽極
6 電源
7 電解液
8 タンク
9A,9B 送液ポンプ
10 真空容器
11 真空ポンプ
12 電磁弁
13A、13B 流路
14 気泡痕
15 気泡
16 固定フレーム
17 昇降用シリンダ
18 真空接続チューブ
19 制御部
20 大気開放流路
101、102 真空容器
130 送液チューブ
本発明を適用して作製した電析金属層の形状転写面は、母型の形状精度に匹敵する形状精度を有し、例えば、放射光施設等で発生させた軟X線の反射面として使用でき、回転体反射面を備えた大開口の軟X線集光ミラーを提供できる。各種の低温ニッケル電鋳にも好適である。

Claims (1)

  1. 属イオンを含有する電解液内に、陰極となる母型と陽極を配し、これら陰極と陽極間に電圧を印加して数十mA/cm よりも低い電流密度の電析プロセス電流を流すことにより、陰極上で金属イオンが還元され金属単体として析出し、この電析金属層を母型から分離することで、母型の反転形状を得る精密電鋳法において、
    前記電析プロセス電流を流している間は、電解液を積極的に流動させる攪拌を行わず、
    周期的減圧中に、電析金属層表面を電解液から露出させ、水素気泡を電析金属層表面から除去した後、再び電析金属層表面を電解液に浸漬させるものであり、
    前記露出および浸漬の過程は、前記電析プロセス電流を停止させている間に行う、
    精密電鋳法のための気泡除去方法。
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