JP6773532B2 - 極低温冷却装置 - Google Patents
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Description
メンテナンス又は供給熱量の調整等の観点から、Wシリンダ構造を有する冷凍機の開発がなされている。
切り離し部分は、例えば、いずれも伝熱性の高い金属で組成された伝熱ヘッド及びこの伝熱ヘッドに接触する伝熱ブロックで構成される。
スリーブ内を真空にすることで、冷凍機シリンダのみ常温にして引き抜くことができる。
また、冷凍機を空気などの混入を防ぐガスバッグを利用すれば、装置本体の真空断熱を破ることなく極低温冷凍機を引き抜くことができる。
また、冷凍機が多段式の場合、全ての伝熱ヘッドを対応する伝熱ブロックに密着させることが困難であった。
よって、2段冷却ステージにおいては、伝熱ヘッドと伝熱ブロックとの隙間をHeなどのガスで充填してこのガスによる熱伝導を用いていたため、伝熱効率が低下していた。
図1は、第1実施形態に係る極低温冷却装置10(以下、単に「冷却装置10」という)の概略構成図である。
第1実施形態に係る冷却装置10は、図1に示されるように、第1ベローズ11と、第1フレキシブル伝熱部材12と、を備える。
冷却装置10は、真空容器13の内部に熱シールド14が設けられ、この熱シールド14の内部に収容された超電導コイル16を冷却する。
熱シールド14は、真空容器13との温度差を考慮して、真空容器13の天井面から断熱体17で吊り下げられる。
冷凍機18は、真空容器13の外部から内部閉空間Ψに差し込まれて固定される。
なお、超電導コイル16も同様に断熱体で吊り下げられるが、図示は省略する。
1段冷却ステージ19は外部閉空間Ωに配置され、50K伝熱ヘッド(第2伝熱ヘッド)22が設けられる。
2段冷却ステージ21は内部閉空間Ψに配置され、4K伝熱ヘッド(第1伝熱ヘッド)23が設けられる。
ただし、これら「50K」及び「4K」の表記は温度を限定するものではない。例えば、50K伝熱ヘッド22は、最適冷却温度が70Kや、100Kであることもある。
4K伝熱ブロック24は、4Kフレキシブル伝熱部材12を介して超電導コイル16に熱的に接続される。
50K伝熱ブロック27は、例えば熱シールド14の外表面に直接接触して固定される。
50K伝熱ブロック27を介した1段冷却ステージ19の冷熱の伝熱により、熱シールド14は、50K前後に冷却される。
スリーブ29は、真空容器13外に有する一端をフランジ付きの上蓋28で、他端を4K伝熱ブロック24で気密に封止される。
スリーブ29は、例えば、4K側スリーブメンバ(第1スリーブメンバ)29a、50K側スリーブメンバ(第2スリーブメンバ)29b、及びスリーブメンバ29cの、この順に並んだ3つの部材で構成される。
50K側スリーブメンバ29bは、50K伝熱ブロック27から真空容器13までの、主に外部閉空間Ω内のスリーブ区間を構成する。
スイッチ切替用スリーブメンバ29cは、主に真空容器13外において、50K側スリーブメンバ29b及び上蓋28のそれぞれとフランジ31で接続される。
スリーブメンバ29cの胴部にベローズ等を設けて上下に伸縮させることで、冷凍機シリンダ15がシリンダ空間32の気密性を維持してスリーブ29に沿って変位可能にされる。
この伝熱ブロック27,24と伝熱ヘッド22,23との接触/非接触が、冷凍機18の熱スイッチ機能のON/OFFになる。
また、第1実施形態に係る冷却装置10では、超電導コイル16に固定的に接続された4Kフレキシブル伝熱部材12が4K伝熱ブロック24に追従して4K伝熱ブロック24との接触を維持する。
4Kフレキシブル伝熱部材12は、図2に示されるように、30枚程度の薄く柔軟な長寸のアルミ板33を束ねたものである。
アルミ板33は、長手方向両端部から1/3程度が毎葉ハンダ付けにより結束されて、固定端領域34(34a,34b)を形成する。
一方の固定端領域34aが4K伝熱ブロック24に接続され、他方の固定端領域34bが超電導コイル16に接続される。
冷凍機シリンダ15の押し込みの際、4Kフレキシブル伝熱部材12の中央部が撓むことで、固定端領域34との接触を維持して4K伝熱ブロック24を変位させることができる。
図3に示されるように、図2の4Kフレキシブル伝熱部材12の形状を維持して、薄く柔軟なアルミ板33に代えて、平編線30で4Kフレキシブル伝熱部材12aを構成してもよい。
超電導コイル16上に例えば、伝熱板37、ヒートパイプ39、及び4K伝熱ブロック24をこの順に積層して、4K伝熱ブロック24の冷熱を超電導コイル16に伝熱する。
ヒートパイプ39は、4K程度に冷却されるパイプ39aの内部にHeを充填することで、Heが気化と液化とを繰り返して伝熱板37に熱を運ぶ。
例えば、パイプ39aの垂直部の一部にS字状の屈曲部41を設けることで、4K伝熱ブロック24が変位しても、パイプ39aが撓んで接触を維持させることができる。
つまり、4Kベローズ11と4Kフレキシブル伝熱部材12とを組み合わせることで、各部材の熱収縮の差異や、4Kベローズ11の水平方向への撓みを吸収して4K伝熱ヘッド23と4K伝熱ブロック24とを全面で密着させることができる。
4K伝熱ヘッド23と4K伝熱ブロック24との熱接触面を大きくするため、例えば4K伝熱ヘッド23が凸形状で4K伝熱ブロック24が凹形状の錘形状に設計される。
4K伝熱ヘッド23が大きな熱接触面を有して4K伝熱ブロック24に嵌り込むことで、4K伝熱ブロック24への伝熱効率を向上させることができる。
図6(A)は、第1実施形態に係る冷却装置10のON時の冷凍機18周辺の拡大図である。
図6(B)は、第1実施形態に係る冷却装置10のOFF時の冷凍機18周辺の拡大図である。
熱スイッチのON時には、供給弁26が開放され、調節管42からシリンダ空間32にヘリウム43が供給される。
両部材を高展性金属ごと強固にネジ止めすることで、高展性金属が変形して両部材に密着して両部材間の伝熱ロスを軽減し、伝熱効率を向上させている。
そこで、4K伝熱ヘッド23と4K伝熱ブロック24との接触面44にできる微小な空隙にヘリウム43を流入させて、4K伝熱ヘッド23による伝熱効率を向上させる。
このように、熱スイッチの切り替えに合わせて真空調整をすることで、OFF時の熱遮断性を維持しながら、4K伝熱ヘッド23と4K伝熱ブロック24との伝熱効率をより向上させることができる。
冷却装置10Aは、図7に示されるように、4Kベローズ11をブリッジして4K側スリーブメンバ29aに設けられるスタッド46と、スタッド46に4Kベローズ11の収縮力と同じ向きに反発力を発生させるバネ47と、を備えてもよい。
十分な反発力が付与されない場合、4K伝熱ヘッド23と4K伝熱ブロック24との間の隙間が広がる。
そこで、スタッド46に設けられたバネ47で4Kベローズ11の収縮力を補強することで、4K伝熱ヘッド23と4K伝熱ブロック24とを十分に密着させることが望ましい。
図8は、第2実施形態に係る冷却装置10Bの概略構成図である。
熱スイッチのOFF時には、熱遮断性を高めるため、4K伝熱ヘッド23から4K伝熱ブロック24への伝熱を補助するヘリウム43を調節管42から排出してシリンダ空間32を真空にする。
しかし、熱スイッチのOFF後に冷凍機18が停止され室温へ上昇すると、これに伴って超電導コイル16も温度上昇してしまうことが確認された。
この温度上昇は、冷凍機シリンダ15からの輻射熱によるものと考えられる。
つまり、熱スイッチを有する補助冷凍機18aを必要時にのみONにして、常時稼働する主冷凍機18bによる冷却の補助に用いる場合である。
このような冷却装置10Bでは、低熱負荷時には補助冷凍機18aの熱スイッチをOFFにした後に稼働を停止させることで、省エネ運転を実現する。
そこで、第2実施形態では、熱スイッチのOFF時には、4K伝熱ヘッド23のヘッド先端を、4Kベローズ11の下端より上まで引き抜いて熱輻射の影響を低減させる必要がある。
また、図10は、4K伝熱ヘッド23からスリーブ29への熱侵入を説明する図である。
さらに、図11は、4Kベローズ11における4K伝熱ヘッド23の高さと、4Kベローズ11の各地点の温度との関係を示す図である。
この結果は、図10で示されるように、輻射によって4K伝熱ヘッド23からスリーブ29へ侵入した熱が、スリーブ29を伝導する過程で熱が上下に分かれて減衰したものと理解できる。
この現象に基づくと、侵入熱Qradは、侵入箇所Sにおける4Kベローズ11の長さの逆比に従ってスリーブ29を伝熱する。
つまり、50K伝熱ブロック27側へ上昇する伝熱量をQ1、4K伝熱ブロック24側へ下降する伝熱量をQ2とし、4Kベローズ11を50K伝熱ブロック27側からL1:L2に分ける点を熱の侵入箇所Sとすると次式(1)が成り立つ。
Q1:Q2 = L2:L1 (1)
よって、熱の侵入箇所Sから4Kベローズ11の下端までの長さL2を大きな値にすることで、4K伝熱ブロック24に下降する伝熱量Q2を小さくすることができる。
4K伝熱ヘッド温度が300Kである場合、4K伝熱ヘッド23と同地点のスリーブ29の温度は、300K程度になる。
スリーブ29の温度は、この地点を最高温度にこの地点からの距離に比例して、小さくなる。
特に、ヘッド先端を4Kベローズ11の下端から1/2以上に引き上げると、過半数の熱が上昇し、熱侵入量は4Kベローズ11の範囲で大きく変化する。
横軸は4K伝熱ヘッド23及び伝熱板37の平均温度、縦軸は熱抵抗を示す。
一方、4Kベローズ11及び4Kフレキシブル伝熱部材12を備えた冷却装置10Bの同条件での実施例では、4.1K〜4.9Kの温度帯で0.4[K/W]〜0.3[K/W]の熱抵抗であった。
計測できた温度帯は多少異なるものの、熱抵抗が有意に低くなっていることが確認することができた。
つまり、4Kベローズ11を設けることで、4K伝熱ヘッド23を押し付けた時の熱抵抗の低減効率を大きくすることができることが確認された。
4K側スリーブメンバ29aと同様に、50K側スリーブメンバ29bの腹部にもベローズ(第2ベローズ:50Kベローズ)51を設けてもよい。
この場合、50Kベローズ51の位置は、OFF時の50K伝熱ヘッド22のヘッド先端の定位置が50Kベローズ51の下端より上になるように設計される。
50Kベローズ51は、4Kベローズ11と同様に、50K伝熱ヘッド22からの輻射熱が50K伝熱ブロック27に伝熱することを防止する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
図13は、第3実施形態に係る冷却装置10Cの概略構成図である。
しかし、50K伝熱ブロック27も変位可能にすることで、50K伝熱ブロック27と50K伝熱ヘッド22とをより強固に密着させることができる。
そして、50K伝熱ヘッド22との接触等で変位する50K伝熱ブロック27と、熱シールド14と、を50Kフレキシブル伝熱部材54で接続する。
50Kフレキシブル伝熱部材54は、図2〜図5で例示される4Kフレキシブル伝熱部材12と同様な構成を有する。
図面においても、共通の構成または機能を有する部分は同一符号で示し、重複する説明を省略する。
これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。
これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
Claims (8)
- 真空容器の外部から内部の熱シールドで包囲された内部閉空間に差し込まれる冷凍機と、
前記内部閉空間内で前記冷凍機の第1伝熱ヘッドに接触して冷却される第1伝熱ブロックと、
前記冷凍機のディスプレーサを包囲する筒状のスリーブのうち前記第1伝熱ヘッドに接続される第1スリーブメンバと、
前記第1スリーブメンバの胴部に設けられる第1ベローズと、
変位する前記第1伝熱ブロックに追従して接触を維持して前記第1伝熱ブロックから超電導コイルへ伝熱する第1フレキシブル伝熱部材と、
前記熱シールドの外部閉空間に配置された前記冷凍機の第2伝熱ヘッドに接触する第2伝熱ブロックと、
前記スリーブのうち前記第2伝熱ブロックに接続される第2スリーブメンバと、
前記第2スリーブメンバの胴部に設けられる第2ベローズと、
前記真空容器の外部において、前記第2スリーブメンバに一端が接続されて他端が蓋閉可能であるとともにその胴部にベロ―ズを有する第3スリーブメンバと、を備えることを特徴とする極低温冷却装置。 - 前記第1伝熱ヘッドのヘッド先端は、前記第1ベローズの下端より上まで引き抜かれた位置を熱切断時の定位置とする請求項1に記載の極低温冷却装置。
- 前記真空容器と前記熱シールドとで閉じられた外部閉空間に配置される前記冷凍機の第2伝熱ヘッドと、
前記第2伝熱ヘッドに接触して冷却される第2伝熱ブロックと、
変位する前記第2伝熱ブロックに追従して接触を維持して前記第2伝熱ブロックから前記熱シールドへ伝熱する第2フレキシブル伝熱部材と、を備える請求項1または請求項2に記載の極低温冷却装置。 - 前記第1伝熱ブロックと前記第1伝熱ヘッドとは錐形状を有して嵌り合う請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の極低温冷却装置。
- 前記スリーブで包囲されたシリンダ空間に接続されて前記シリンダ空間の真空調整をする調節管を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の極低温冷却装置。
- 前記第2伝熱ヘッドのヘッド先端は、前記第2ベローズの下端より上まで引き抜かれた位置を熱切断時の定位置とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の極低温冷却装置。
- 前記第1スリーブメンバに前記第1ベローズをブリッジして設けられるスタッドと、
前記スタッドに前記第1ベローズの収縮力と同じ向きに反発力を発生させるバネと、を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の極低温冷却装置。 - 前記超電導コイルに熱的に常時接続される主冷凍機を備える請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の極低温冷却装置。
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