JP6773357B1 - 風車翼の修理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度が強く軽い材料を使用して、安定かつ強固に補修部材を損傷部に固定し、風車翼の強度を保つことができる風車翼の修理方法を提供する。【解決手段】本発明の修理方法は、風力発電装置の風車翼における損傷部の修理方法であって、損傷部を含む所定の範囲を削り取り、所定の範囲に第1の補修部材を積層して固定する又はパテ塗りで固定する第1の修理工程と、第1の補修部材で固定された部分又はパテ塗りで固定された部分に、シート状の第2の補修部材を用いて、風車翼の周方向に巻き付けて固定する第2の修理工程を有する。第1の補修部材には、繊維強化プラスチックを使用し、第2の補修部材には、炭素繊維シートを使用することができる。【選択図】図2

Description

本発明は、風力発電装置の風車翼の修理方法に関する。
風力発電装置の風車翼は、繊維強化プラスチック(FRP)を主材として製造されており、建設後、年数が経つにつれて、風圧、落雷等により、外面に亀裂が生じ、或いは劣化して風車翼の機能を損ねるばかりでなく、周辺に風車翼の破片が飛散して重大な事故が発生する可能性がある。そのため、風車翼の修理又は補強する様々な方法がとられている。
例えば、特許文献1には、複合材構造物(例えば風車翼)の母材における欠陥を削り取り、その削除穴の周囲の母材を削って開口部を広げ、母材と同じ樹脂を含む補修部材により削除穴を埋めて補修部材の樹脂を硬化させる硬化工程を有する修理方法が開示されている。この方法によると、開口部の拡大幅を均一にする場合と比較して、母材の削除範囲を少なくするとともに、風車翼の強度を回復できるとされている。
また、特許文献2には、風車翼の補修、補強又は付属部品の取り付け方法として、欠陥部分表面の被膜を除去した後に、補修部材(強化繊維とUV硬化型樹脂を含む部材)を載せて、紫外線を照射することにより硬化させる方法が開示されている。この方法によると、張り付けた後の補修部材の強度を判断できるとされている。
風車翼の修理の際には、風車翼を本体から取り外して地上で修理する場合もあるが、費用が高額となるため、風車翼を本体に付けた状態でゴンドラ装置等を使用して修理する場合が多い。そのためのゴンドラ装置も多く開発されており、例えば、特許文献3には、風車翼のメンテナンス用のゴンドラ装置が開示されている。このゴンドラ装置によると、水平維持が容易になるとされている。
特開2009−285917号公報 特許第658819号公報 特許第6154921号公報
特許文献1、2の風車翼の修理方法は、風車翼の外面の亀裂や破損などの損傷部の範囲が狭い場合には有効な場合もあるが、損傷部が広い場合や損傷原因が不明な場合等には部分的な修理では貼り付け強度が充分ではなく剥がれる可能性もある。そのため、より安定して強固に補修部材を損傷部に固定する方法が望まれる。また、従来技術では、補修部材の材料に繊維強化プラスチックを使用することが多いが、より強度が強く、軽い材料(例えば炭素繊維シート)を使用することが望まれる。
更に、風車翼の損傷部が広い場合等には、風車翼の交換や地上に下ろしての本格的な修理を行うこともあるが、風車翼を本体から取り外す費用や、修理にかかる費用が高額になるため、風車翼を取り外さず、より安価な修理方法が望まれる。特許文献3に示すような風車翼のメンテナンス用のゴンドラ装置は、風車翼を本体から取り外さずに行う修理の際に、迅速に風車翼にたどり着けるため有用であるが、強風によって揺れる可能性がある。そのため、風車翼の修理作業が長時間に及ぶ場合や、複数人で作業するための足場面積が必要な場合等には、より安定なゴンドラ装置又は他の手段が必要である。
本発明は上記課題に鑑み、風車翼を本体から取り外さない安価な修理方法で、強度が強く軽い材料を使用して、安定かつ強固に補修部材を損傷部に固定し、風車翼の強度を保つことができる風車翼の修理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、風力発電装置の風車翼における損傷部の修理方法であって、前記損傷部を含む所定の範囲を削り取り、前記所定の範囲に第1の補修部材を積層して固定する又はパテ塗りで固定する第1の修理工程と、前記第1の補修部材で固定された部分又はパテ塗りで固定された部分に、シート状の第2の補修部材を用いて、前記風車翼の周方向に巻き付けて接着し、前記第1の補修部材で固定された部分又はパテ塗りで固定された部分を前記風車翼に固定する第2の修理工程と、を有することを特徴とする風車翼の修理方法である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の風車翼の修理方法であって、前記第1の補修部材には、繊維強化プラスチックを使用することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の風車翼の修理方法であって、前記第2の補修部材には、炭素繊維シートを使用することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の風車翼の修理方法であって、前記第2の修理工程の前に、前記風車翼の前記損傷部を囲むように足場を建設する工程を含むことを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の風車翼の修理方法であって、前記第2の修理工程において、前記第2の補修部材を複数枚使用し、1周毎に1枚とし、順次巻き付け位置をずらしながら巻き付けて固定することを特徴とする。
本発明の風車翼の修理方法は、強度が強く軽い材料を使用して、安定かつ強固に補修部材を損傷部に固定でき、風車翼の強度を保つことができる。また、本発明の風車翼の修理方法は、風車翼を本体から取り外さないため、安価に実施できる。
本発明の一実施形態に係る風力発電装置を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る全体の修理工程を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る第1の修理工程を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る第1の修理を施した後の損傷部の断面図を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る修理工程において使用される足場の模式図である。 本発明の一実施形態に係る第2の修理工程を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る修理工程における修理の様子を示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る第2の修理を施した後の損傷部の断面図を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る風車翼の修理完了後の概略図である。
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と略称する)を、図面に基づいて説明する。以下の図面において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。なお、以下では風車翼の損傷個所が1カ所にある場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔風力発電装置10の概略〕
図1は、本発明の一実施例に係る風力発電装置を示す概略図である。風力発電装置10は、風の力でタービンを回して発電する装置で、主にローター部と、発電機部と、支持部から構成される。ローター部は、図1に示すように3枚の風車翼1と、風車翼1が取り付けられるハブ4と、ハブ4に固定されるローター軸(図示せず)を含んで構成される。なお、風車翼1は図1に示したものに限定されず、何枚でもよく、どの様な形状でもよい。発電機部は、ナセル5と呼ばれる筐体に、図示しない発電機軸、発電機、制御機器、増速機等を含んで構成される。支持部は、ローター部と発電機部を支えるタワー2と基礎3を含んで構成される。風力発電装置10の設置場所は、陸上でもよいし、洋上でもよい。
風車翼1は、風力に耐える剛性が要求されるが、剛性を高めようとすると重量が増加する。特に発電効率を向上させるためには、風力を効率よく受けられるように風車翼1を大型化させる必要があるが、その場合、それに応じた剛性を確保する必要があり、重量がより増加する。そのような重量増加によって発電効率が低下するため、風車翼1は中空に形成され、母材には高剛性でありながら、軽量である材料を用いることが要求される。
その要求を満たすため、風車翼1の母材には、繊維強化プラスチック(以下、FRPと略称する)が使用されている。FRPは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などに、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維を複合して、軽量かつ強度を向上させた強化プラスチックである。風車翼1の形状に成型する際は、薄い繊維のシートを繊維方向が異なるように積み重ねた後に、エポキシ樹脂等を浸み込ませて成型される。FRPは金属材料より軽く丈夫で錆の心配もないが、風車翼1の長年の使用や、風圧、落雷等により、亀裂やボイド(気泡)などの欠陥が発生し得る。本実施例では、図1に示すように、1枚の風車翼1の表面に損傷部9(欠陥)がある場合について説明する。風車翼1の損傷部9の損傷箇所は、これに限定されず、ハブ4に取り付けられる部分(翼根部)であってもよいし、先端部であってもよい。以下、この損傷部9の修理方法について説明する。
〔風車翼1の修理方法の概略〕
まず、風車翼1の損傷部9の修理方法の概略について、図2を参照して説明する。図2は、本実施例に係る全体の修理工程を示す説明図である。
[ステップS0:調査・検討]
風車翼1の損傷部9を発見する方法として、一般に、技術者が現場で地上から目視点検を実施することが多い。しかし、損傷部9が黒い汚れなのか損傷なのかを判断するには、近距離での点検が必要である。また、過去に損傷し、修理した後に再度、損傷した箇所も多く、過去に修理が施された箇所なのか否かを詳しく検査する必要がある。損傷部9の損傷状態をより詳しく検査するために、超音波による検査機器の使用した方法やX線撮影による方法、スコープ装置を使用した方法などがとられている。本実施例では、損傷部9がある風車翼1を、地上に最も近接する低い位置まで回転させた後、技術者がその位置まで高所作業用の安全帯を付けて登り、又はゴンドラ等を使用して登り、目視で損傷部9を詳しく点検した後、必要に応じて上記の検査方法を採用する。
また、本実施例の修理方法を実施する上で、損傷部9を有する風力発電装置10の構造や、どのような立地(陸上か洋上)で、どのような環境に設置されているかを事前に調べる必要がある。なぜなら、後述するように、修理の際に風車翼1の周囲に足場を設置する場合があるからである。また、風車翼1の性能、形態、材質なども事前に調べる必要がある。それにより、どのような材料で修理するのが適切か等を判断できる。なお、本実施例では、風車翼1を風力発電装置10から取り外して(分解して)、地上で修理するのではなく、風車翼1を風力発電装置10に付けたまま修理する。それにより、修理費用を大幅に抑えることができる。
[ステップS1:第1の修理工程]
風車翼1の損傷部9の調査及び検討が完了した後、第1の修理工程に進む。第1の修理工程の詳細については後述するが、損傷部9を含む所定の範囲を削り取り、その範囲に第1の補修部材を積層して固定する工程である。但し、損傷部9が非常に軽微な場合には、第1の補修部材を積層せずに、パテ塗りを実施して硬化させることもあり得る。本実施例は、削り取った範囲に第1の補修部材を積層して、接着剤で固定する修理方法を実施する。その方法以外にも第1の修理工程には、様々な公知の方法を適用することができる。例えば、削り取った範囲に繊維を載せて真空含浸法により樹脂を削り取った部分に注入し硬化させる方法や、紫外線硬化タイプのプリプレグを削り取った範囲に載せて、紫外線を照射することにより硬化させる方法、プリプレグのパッチを削り取った範囲に載せて、熱を加えることにより硬化させる方法が適用できる(特許文献1参照)。
損傷部9の亀裂又は小孔等が比較的小さい場合には、この第1の修理工程だけで完了する場合もあり得る。しかし、安全のため、比較的小さな損傷であってもより強固に補修部材を固定する修理が必要な場合や、ある程度の大きさの損傷の場合には、第2の修理工程を実施することが望ましい。本実施例では、第1の修理工程の後に第2の修理工程を実施する場合について説明する。
[ステップS2:第2の修理工程]
第1の修理工程が完了した後、第2の修理工程に進む。第2の修理工程の詳細については後述するが、第1の補修部材で固定された部分又はパテ塗りで固定された部分を、シート状の第2の補修部材を用いて、風車翼1の周方向に巻き付けて固定する工程である。なお、本明細書において、「巻き付け」の用語は、風車翼1の周方向に1回以上巻き付けることに限定されず、風車翼1の周方向に沿って丸くする意味で使用し、半周巻き、4分の3周巻きなどが含まれる。第1の修理工程に加えて、この第2の修理工程を実施することで、より強固かつ安定した状態で、補修部材を損傷部分に固定でき、風車翼1の強度を保つことができる。
[ステップS3:仕上げ]
第1の修理工程と第2の修理工程が完了した後、ビニルエステル系樹脂等の接着剤を塗布し、その上にサーフェイスマットを敷き、再度接着剤を塗布して含浸させる。サーフェイスマットは樹脂との含浸性と親和性に優れ、空気が溜まらない平滑仕上げ用のものを使用する。サーフェイスマットを使用することで平滑性に優れた表面に仕上げ、美観を向上させることができる。また、耐食性も向上させることができる。本実施例では、ガラス繊維素材で厚さが0.1〜0.2mm程度の薄手のサーフェイスマットを使用する。
サーフェイスマットが硬化した後、サンダーを用いて表面をサンディングし、清掃後に
風車翼1用のトップコートを塗布する。それにより、風車翼1の表面をむらなく均一に仕上げることができる。なお、この仕上げ工程は、第1の修理工程のみを実施する場合にも同様に行うことができる。最後に修理部分を風車翼1と同じ色で塗装する。以上のようにして、風車翼1の損傷部9の修理が完了する。
〔風車翼1の第1の修理工程〕
次に風車翼1の第1の修理工程の詳細について、図3〜図5を参照して説明する。図3は、本実施例に係る第1の修理工程を示す説明図である。図4は、本実施例に係る風車翼1の損傷部9と、第1の修理を施した後の損傷部周辺の断面図を示す模式図である。図5は、本実施例で使用される足場の模式図である。
[ステップS10:修理設計]
風車翼1の損傷部9の調査及び検討が完了した後、その損傷部9の寸法によって、第1の補修部材の寸法と必要な枚数の準備を計画する。本実施例では第1の補修部材には、風車翼1の母材と同様にFRP材を使用する。第1の補修部材の材料はこれに限定されず、前述のプリプレグ材(ガラス繊維や炭素繊維のような補強材料に樹脂等を予め含浸させた素材)などを使用することもできる。
FRP材シート12は、損傷部9を含む所定の範囲の寸法と同じ寸法である。所定の範囲は、少なくとも損傷部9を囲んで上下100mm、左右100mm以上の範囲(面積)が必要である。損傷部9を含む母材11の削り方は、図4に示すように、断面が長方形の凹状態で削る方法や、断面が逆台形の凹状態で削る方法、段を付けて断面が略逆台形の凹状態で削る方法など様々な方法がある。本実施例では、損傷部9を含む母材11を、断面が長方形の凹状態で削る(図4)。その際の所定の範囲(底面の寸法)は、本実施例では約縦600mm、横800mmで、その大きさと同じFRP材シート12を使用する。
また、損傷部9を含む母材11の凹部を埋める様に、FRP材シート12を20〜30枚程度使用する。FRP材シート12の種類は、ガラスマットやガラスクロスなど様々な種類があるが、いかなるFRP材を使用してもよい。また、1種類だけでなく、2種類のFRP材を使用してもよい。本実施例では、ガラスマットとガラスクロスが両面に織り込まれた公知のシートを使用する。
次に、損傷部9の母材11に塗布する下塗り塗料(プライマー)と、FRP材シート12を1枚ずつ接着して積層させるための接着剤の種類と量を決定する。プライマーと接着剤の種類は、特に限定されないが、本実施例では公知のビニルエステル系樹脂を使用する。また、損傷部9の損傷の程度によって、第2の修理工程が必要か否かを判断する。前述のように、損傷部9の損傷が軽微な場合には、第1の修理工程のみ、又はパテ塗りのみで完了する場合もあり得る。その場合には、ゴンドラ等で作業が可能であるが、第2の修理工程が必要な場合には、修理作業が長時間に及び、複数人で作業するため、安定な足場が必要である。そのため、風車翼1の損傷部9を囲むような安定なゴンドラ装置や、足場を組み立てる必要である。どちらを使用してもよいが、本実施例では、安定なゴンドラ装置を使用するのではなく、足場を建設する。そのため、風車翼1の損傷部9に達するような高さと、作業員が数人乗れる足場面積を有する安定な足場を設計する。その際、足場の高さをできるだけ低い位置にするため、損傷部9を含む風車翼1を最も低い位置まで回転させた後に、足場の設計を行う。
[ステップS11:施工準備]
次に、ステップS10の修理設計に基づいて、必要な枚数のFRP材シート12と、必要な量のプライマーと接着剤(ビニルエステル系樹脂)を準備する。また、足場設計に基づいて、図5の足場20の模式図に示すように、風車翼1の損傷部9に達するような高さで、損傷部9とタワー2を囲んで建設する。損傷部9を含む風車翼1を最も低い位置まで回転させると、その風車翼1とタワー2が近接するため、本実施例では、風車翼1だけでなく、タワー2を含めて囲んだ大きさの足場20を建設する。それにより、足場20の構成が安定し、充分な足場面積が確保できる。また、風車翼1やナセル5が回転して風車翼1が足場20へ接触すると、風車翼1が更に損傷を受け、足場20も損傷を受けるため、風車翼1とナセル5は強風でも動かないように、固定する必要がある。なお、足場20の構成は、これに限定されず、風車翼1だけを囲む構成としてもよい。
[ステップS12:損傷部を含む所定の範囲を削り取る工程]
ステップS11の施工準備が完了した後、サンダーを用いて、損傷部9を含む所定の範囲の母材11を切断する。切断後、風車翼1の母材11の古い塗膜を削り落とすサンダーケレン作業を行う。サンダーケレン作業により、接着面の面荒らしができる。風車翼1の母材11と、補修材であるFRP材シート12は、全く同一の材料ではないため、接着不良になる可能性がある。そのため、少しでも接着面を増やすために、接着面の面荒らしが重要になる。この接着面の面荒らしの良否が接着面の強度に重大な影響を与えるため、サンダーケレン作業を充分に行う。なお、面荒らしの方法は、これに限定されず、ブラスト処理等でもよい。また、サンダーケレン作業後は、大量の粉塵が発生するため、清掃し、その後に溶剤を用いて脱脂処理を行う。それにより、表面に付着している異物を良好に除去でき、後の接着に適した状態にすることができる。
[ステップS13:プライマーと接着剤を塗布し、FRPを積層]
次に、損傷部9を含む所定の範囲の母材11に、準備したプライマーをローラー刷毛で塗布する。これは、FRP材シート12を積層する際、下地処理として接着剤の役目をする。次に、準備したビニルエステル系樹脂(接着剤)をローラー刷毛で塗布し、1枚目のFRP材シート12を敷く。その上に、ビニルエステル系樹脂をローラー刷毛で塗布し、よく含浸させる。その際、FRP材シート12の下に空気が混入しないよう、注意する必要がある。その後、所定の高さ(凹部が埋まる高さ)になるまで上記の作業を20〜30回繰り返し、FRP材シート12を積層する。なお、前述のように、損傷部9が軽微な場合には、FRP材シート12を積層する代わりにパテ塗りで固定してもよい。
そして、図4に示すように、所定の高さまでFRP材シート12を積層すると、第1の修理工程が完了する。このとき、積層されたFRP材シート12と、風車翼1の母材11の表面に凹凸がないよう、滑らかに仕上げることが望ましい。前述のように、第1の修理工程のみで完了する簡易な修理の場合には、この後にサーフェイスマットを敷き、硬化した後サンダーを用いて表面をサンディングし、清掃後にトップコートを塗布して表面を滑らかに仕上げる。
〔風車翼1の第2の修理工程〕
次に風車翼1の第2の修理工程の詳細について、図6〜図9を参照して説明する。図6は本実施例に係る第2の修理工程を示す説明図である。図7は、本実施例係る修理工程における修理の様子を示す説明図である。図8は、本実施例に係る風車翼1の損傷部9と、第2の修理を施した断面図を示す模式図である。図9は、本実施例に係る風車翼1の修理完了後の概略図である。
[ステップS20:修理設計]
第1の修理工程が完了した後、FRP材シート12が積層された面積又はパテ塗りで固定された面積を基に、第2の補修部材の寸法と必要な枚数の準備を計画する。本実施例では第2の補修部材には、風車翼1の母材(FRP材)とは異なる炭素繊維シート(以下、CF材シートと略称する)13を使用する。本発明の第2の補修部材の材料はこれに限定されず、ガラス繊維材やFRP材、炭素繊維を用いた複合材料(例えば炭素繊維強化プラスチック)のシートを使用することもできる。
一般に、CF材シート13(PAN系)は、引っ張り強度が2.4〜6.4(Gpa)、密度が1.7〜1.9(g/cm)である。一方、ガラス繊維は、引っ張り強度が1.5〜2.2(Gpa)、密度が2.54〜2.60(g/cm)である。CF材シート13とガラス繊維を比較すると、CF材シート13の方がガラス繊維よりも、引っ張り強度が高く、密度が低い。そのため、ガラス繊維と炭素繊維等を複合して強度を向上させた強化プラスチック(FRP)よりも、CF材シート13の方が軽量かつ強度も高く、補強材料として優れている。第1の修理工程後に、更に補強するためには、少しでも軽量かつ強度が高い材料が望まれる。従って、第2の補修部材には、CF材シート13を使用することが望ましい。
CF材シート13は、FRP材シート12が積層された又はパテ塗りで固定された所定の範囲に、風車翼1の周方向に巻き付けて固定される。ここで、風車翼1の周方向とは、風車翼1の長手方向ではなく、短手方向を意味する。本実施例では、CF材シート13を風車翼1の周方向に1回以上巻き付けるが、損傷の程度によっては、半周強く巻き付ける、又は4分の3周程巻き付けることも可能である。しかし、充分な強度にするためには、CF材シート13を1回巻き付けることが好ましく、複数回巻くことがより好ましい。また、風車翼1の周方向に巻き付ける方法は、1枚のシートをらせん状に連続して巻いてもよいが、本実施例では連続して巻くのではなく、1周毎に1枚とし、順次巻き付け位置をずらしながら複数枚を巻く。この条件のもとで、CF材シート13の必要な寸法と枚数を計算する。
風車翼1の損傷部9付近にCF材シート13を3〜6回巻き付けた場合の応力を計算した。なお、CF材シート13は、損傷部9を含む所定の範囲の上下数10cm程度の幅を覆うように巻き付ける。また、図8に示すように風車翼1の断面形状を、類似の単純な形状のものへ置き換えて、風速20m/sでの風車翼1の曲げモーメントと遠心力を考慮して応力を計算した。この応力に耐え得るようにCF材シート13の寸法と枚数、使用する接着剤を決定する。
第1の修理工程においては、母材11と同じ材質の第1の補修部材を、損傷部9の削り取った凹部分に積層したため、風車翼1の重量の増減はほとんどないと考えられるが、CF材シート13を更に巻いた場合には、重量が増加するため、できるだけ増加しないようにCF材シート13の枚数と接着剤を選定する必要がある。
詳細は省略がするが、所定の計算により、前述の応力に耐え得る強度のCF材シート13の種類とその枚数を決定した。例えば、1枚あたりの寸法が縦1800mm、横1500mm、1枚、厚さ0.25mmで、応力が500N/mmのCF材シート13を5枚使用する。このCF材シート13の場合、5枚重ねても厚さはわずか1.25mmである。また、接着剤には第1の修理工程と同様にビニルエステル系樹脂を使用する。このCF材シート13を5枚巻き付けながら固定した場合の重量の増加は、接着剤の重量も考慮して44kgであった。本実施例の1枚の風車翼1の総重量は4382kgであり、増加分を考慮すると合計で4426kgになるが、許容範囲内の増加と考えられる。以上のようにして、CF材シート13の種類、寸法、枚数と接着剤を選定する。
また、本実施例では既に足場20を建設しているが、第1の修理工程又はパテ塗りの際に、ゴンドラ装置等を使用して足場20を建設していなかった場合には、第2の修理工程の際に足場20を建設してもよい。この場合、前述のように、風車翼1の損傷部9に達するような高さで、充分な足場面積を有する安定な足場20を設計する。
[ステップS21:施工準備]
次に、ステップS20の修理設計に基づいて、CF材シート13と接着剤(ビニルエステル系樹脂)を必要な分だけ準備する。また、足場20を建設する場合には、設計に基づいて、図5の模式図に示すように、足場20を建設する。
[ステップS22:接着剤の塗布、CF巻き付け]
FRP材シート12が積層された部分又はパテ塗りで固定された部分を覆って、CF材シート13を巻きつける部分に準備したビニルエステル系樹脂をローラー刷毛で塗布する。次に、準備した1枚目のCF材シート13を敷き、その上からビニルエステル系樹脂をローラー刷毛で塗布し、よく含浸させる。その際、CF材シート13の下に空気が混入しないよう、注意する必要がある。
前述のように、本実施例では1枚のCF材シート13をらせん状に連続して巻き付けるのではなく、5枚のCF材シート13を、1周毎に1枚として順次巻き付け位置をずらしながら巻き付ける。1周毎に1枚のCF材シート13を巻き付けることで、むらなく均一に貼り付けることができ、また、巻き付け位置をずらしながら貼ることで、貼り付け又は貼り終わり部分が剥がれるのを防止できる。その後、上記と同様の作業を繰り返して、残り4枚のCF材シート13を巻き付けて固定する。図7に示すように、CF材シート13を順次、巻き付ける作業は、安定した足場20があるとその上で効率よく行うことができる。なお、図7においては作業員が1名だけであるが、複数人で作業をするとより効率よく修理ができる。
そして、図8に示すように、所定の枚数のCF材シート13を巻き付けて固定すると、第2の修理工程が完了する。このとき、巻き付けたCF材シート13の表面に凹凸がないよう、滑らかに仕上げることが望ましい。その後、図2の「仕上げ工程S3」で説明したように、サーフェイスマットを敷き、硬化した後サンダーを用いて表面をサンディングし、清掃後にトップコートを塗布して表面を滑らかに仕上げる。図9は、本実施例の風車翼1の修理完了後の概略図であるが、CF材シート13の修理部分を風車翼1と同じ色で塗装することにより、外観上、修理が目立たないようにすることができる。
以上説明した様に、本発明の風車翼の修理方法は、風車翼の損傷部にFRP材シートを積層して固定又はパテ塗りで固定するだけではなく、その上にCF材シートを巻き付けるため、安定かつ強固に補修部材を損傷部に固定でき、風車翼の強度を保つことができる。
また、本発明の風車翼の修理方法は、第1の修理工程のみを施す修理方法より修理費用は若干増加となるが、信頼性は格段に向上し、風車翼を本体から取り外さないため、安価に実施できる。
なお、上述した実施例の風車翼の修理方法は一例であり、発明の範囲を限定することは意図していない。その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
1 風車翼
2 タワー
3 基礎
4 ハブ
5 ナセル
9 損傷部
10 風力発電装置
11 風車翼の母材
12 FRP材シート
13 CF材シート
20 足場

Claims (5)

  1. 風力発電装置の風車翼における損傷部の修理方法であって、
    前記損傷部を含む所定の範囲を削り取り、前記所定の範囲に第1の補修部材を積層して固定する又はパテ塗りで固定する第1の修理工程と、
    前記第1の補修部材で固定された部分又はパテ塗りで固定された部分に、シート状の第2の補修部材を用いて、前記風車翼の周方向に巻き付けて接着し、前記第1の補修部材で固定された部分又はパテ塗りで固定された部分を前記風車翼に固定する第2の修理工程と、
    を有することを特徴とする風車翼の修理方法。
  2. 請求項1に記載の風車翼の修理方法であって、前記第1の補修部材には、繊維強化プラスチックを使用することを特徴とする風車翼の修理方法。
  3. 請求項1又は2に記載の風車翼の修理方法であって、前記第2の補修部材には、炭素繊維シートを使用することを特徴とする風車翼の修理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の風車翼の修理方法であって、前記第2の修理工程の前に、前記風車翼の前記損傷部を囲むように足場を建設する工程を含むことを特徴とする風車翼の修理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の風車翼の修理方法であって、前記第2の修理工程において、前記第2の補修部材を複数枚使用し、1周毎に1枚とし、順次巻き付け位置をずらしながら巻き付けて固定することを特徴とする風車翼の修理方法。
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