JP6772623B2 - 電荷輸送性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送性組成物に関し、さらに詳述すると、有機光電変換素子の正孔捕集層形成に適した電荷輸送性組成物に関する。
有機太陽電池は、活性層や電荷輸送物質に有機物を使用した太陽電池素子であり、M.グレッツェルによって開発された色素増感太陽電池と、C.W.タンによって開発された有機薄膜太陽電池とがよく知られている(非特許文献1,2)。
いずれも軽量・薄膜で、フレキシブル化可能である点、ロール・トゥ・ロールでの生産が可能である点など、現在主流の無機系太陽電池とは異なる特長を持っていることから、新たな市場形成が期待されている。
中でも、有機薄膜太陽電池(以下OPVと略す場合もある)は、電解質フリー、重金属化合物フリー等の特長を持つうえに、最近、UCLAらのグループによって光電変換効率(以下PCEと略す)10.6%の報告がなされたことなどの理由から、大きな注目を集めている(非特許文献3)。
一方で有機薄膜太陽電池は、既存のシリコン系材料を使用した光電変換素子と比較して、低照度においても高い光電変換効率を示すこと、素子の薄化および画素微細化が可能であること、カラーフィルターの性質を兼ね備えることが可能であること等の特長から、太陽電池用途だけでなく、イメージセンサーをはじめとする光センサー用途としても注目されている(特許文献1,2、非特許文献4)。以下、有機薄膜太陽電池について、光センサー等の用途を含んで有機光電変換素子(以下OPVと略す場合もある)と総称する。
有機光電変換素子は、活性層(光電変換層)、電荷(正孔、電子)捕集層、および電極(陽極、陰極)等を備えて構成される。
これらの中でも活性層および電荷捕集層は、一般に真空蒸着法によって形成されているが、真空蒸着法には、量産プロセスによる複雑性、装置の高コスト化、材料の利用効率等の点で問題がある。
これらの点から、正孔捕集層用の塗布型材料として、PEDOT/PSS等のような水分散性高分子有機導電材料が用いられる場合もあるが、水分散液であるため水分の完全な除去や再吸湿の制御が難しく、素子の劣化を加速させ易いという問題がある。
しかもPEDOT/PSS水分散液は、固形分が凝集し易いという性質を有しているため、塗布膜の欠陥が生じやすい、塗布装置の目詰まりや腐食を発生させやすいという問題があるうえ、耐熱性という点でも不十分であり、量産化する上で種々の課題が残されている。
特開2003−234460公報 特開2008−258474公報
Nature, vol.353, 737-740(1991) Appl. Phys. Lett., Vol.48, 183-185 (1986) Nature Photonics Vol.6, 153-161 (2012) Scientific Reports, Vol.5:7708, 1-7 (2015)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、有機光電変換素子の正孔捕集層に適した薄膜を与える電荷輸送性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定のフェノチアジン誘導体が、高い正孔輸送性を示すとともに、これを含む薄膜をOPV素子の正孔捕集層とした場合に、高い歩留りで良好なPCEを示すOPV素子が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 式(1)または式(2)で表されるフェノチアジン誘導体からなる電荷輸送性物質と、溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性組成物、
Figure 0006772623
(式(1)および(2)中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、Ar1およびAr2は、互いに独立して、置換されていてもよい、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラジル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、およびベンゾイミダゾリル基から選ばれる芳香族基を表す。)
2. 前記式(1)および(2)中のAr1およびAr2が、互いに独立して、式(3)で表される基である1の電荷輸送性組成物、
Figure 0006772623
(式中、Ar3およびAr4は、互いに独立して、水素原子、またはアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基もしくはアルキル基で置換されていてもよい芳香族基を表し、この芳香族基は、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラジル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、およびベンゾイミダゾリル基から選ばれる基を表す。ただし、Ar3およびAr4が同時に水素原子となることはなく、また、Ar3およびAr4がともに芳香族基の場合、それらは互いに単結合で結合していても、ヘテロ原子を介して結合していてもよい。
7〜R10は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表す。)
3. 前記式(3)で表される基が、式(4)〜(6)で表されるいずれかの基である1の電荷輸送性組成物、
Figure 0006772623
(式中、R7〜R33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表す。)
4. 前記電荷輸送性物質が、式(7)で表されるフェノチアジン誘導体である1の電荷輸送性組成物、
Figure 0006772623
{式中、R1〜R10は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、X1およびX2は、水素原子、式(8)で表される基、式(9)で表される基または式(10)で表される基を表す。
Figure 0006772623
(式中、R11〜R33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表す。)}
5. 前記X1およびX2が、式(8)で表される基または式(9)で表される基である4の電荷輸送性組成物、
6. 前記R1〜R33が、水素原子である4または5の電荷輸送性組成物、
7. さらに、電子受容性ドーパント物質を含む1〜6のいずれかの電荷輸送性組成物、
8. 前記電子受容性ドーパント物質が、式(D1)で表されるアリールスルホン酸化合物である7の電荷輸送性組成物、
Figure 0006772623
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2〜4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2〜4を満たす整数である。)
9. 有機光電変換素子の正孔捕集層用である1〜8のいずれかの電荷輸送性組成物、
10. 前記有機光電変換素子が、有機薄膜太陽電池または光センサーである9の電荷輸送性組成物、
11. 9または10の電荷輸送性組成物を用いてなる有機光電変換素子の正孔捕集層、
12. 11の正孔捕集層と、それに接するように設けられた活性層とを有する有機光電変換素子、
13. 前記活性層が、フラーレン誘導体を含む12の有機光電変換素子、
14. 前記活性層が、主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む12の有機光電変換素子、
15. 前記活性層が、フラーレン誘導体および主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む12の有機光電変換素子、
16. 有機薄膜太陽電池または光センサーである12〜15のいずれかの有機光電変換素子、
17. 式(1)または式(2)で表されることを特徴とするフェノチアジン誘導体、
Figure 0006772623
(式(1)および(2)中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、Ar1およびAr2は、互いに独立して、置換フェニル基、置換されていてもよい、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラジル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、およびベンゾイミダゾリル基から選ばれる芳香族基を表す。)
18. 前記式(1)および(2)中のAr1およびAr2が、互いに独立して、式(3)で表される基である17のフェノチアジン誘導体、
Figure 0006772623
(式中、Ar3およびAr4は、互いに独立して、水素原子、またはアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリフェニルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基もしくはアルキル基で置換されていてもよい芳香族基を表し、この芳香族基は、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラジル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、およびベンゾイミダゾリル基から選ばれる基を表す。ただし、Ar3およびAr4が同時に水素原子となることはなく、また、Ar3およびAr4がともに芳香族基の場合、それらは互いに単結合で結合していても、ヘテロ原子を介して結合していてもよい。R7〜R10は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表す。)
19. 前記式(3)で表される基が、式(4)〜(6)で表されるいずれかの基である18のフェノチアジン誘導体、
Figure 0006772623
(式中、R7〜R33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表す。)
20. 式(7)で表される17のフェノチアジン誘導体、
Figure 0006772623
{式中、R1〜R10は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、X1およびX2は、式(8)で表される基、式(9)で表される基または式(10)で表される基を表す。
Figure 0006772623
(式中、R11〜R33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表す。)}
21. 式(11)または(12)で表される17のフェノチアジン誘導体
Figure 0006772623
を提供する。
本発明の電荷輸送性組成物は、公知の方法で簡便に合成できるフェノチアジン誘導体からなる電荷輸送性物質を用いて製造可能なだけでなく、それから得られる薄膜を正孔捕集層として用いた場合にPCEの良好な有機薄膜太陽電池を得ることができる。また、本発明の電荷輸送性組成物を用いることで高均一薄膜が形成可能であるため、この高均一薄膜を正孔捕集層とすることで電流リークを抑制し、逆バイアス暗電流を低く抑えることができる。したがって、本発明の電荷輸送性組成物からなる薄膜を、有機薄膜太陽電池と同様の素子構造に適用し、わずかな光子を電子に変換して検知する事が可能であるため、当該組成物から得られる正孔捕集層は、高性能なイメージセンサー用途等の光センサー用途への応用も可能である。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の電荷輸送性用組成物は、式(1)または(2)で表されるフェノチアジン誘導体からなる電荷輸送性物質と、溶媒とを含む。
本発明において、電荷輸送性とは、導電性と同義であり、正孔輸送性と同義である。電荷輸送性物質とは、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、電子受容性物質と共に用いた際に電荷輸送性があるものでもよい。また、電荷輸送性組成物とは、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、それにより得られる固形膜が電荷輸送性を有するものでもよい。
Figure 0006772623
式(1)および(2)中、R1〜R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、Ar1およびAr2は、互いに独立して、置換されていてもよい、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラジル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、およびベンゾイミダゾリル基から選ばれる芳香族基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、c−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−エイコサニルオキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のチオアルコキシ基の具体例としては、上記アルコキシ基の酸素原子を硫黄原子で置換した基等が挙げられる。
炭素数1〜20のチオアルコキシ(アルキルチオ)基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−ヘプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−エイコサニルチオ基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の鎖状アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基の具体例としては、エテニル基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基、n−1−エイコセニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル基、n−1−デシニル基、n−1−ペンタデシニル基、n−1−エイコシニル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のハロアルキル基としては、上記アルキル基中の水素原子の少なくとも1つをハロゲン原子で置換した基等が挙げられる。なお、ハロゲン原子は、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素原子のいずれでもよい。中でも、フルオロアルキル基が好ましく、パーフルオロアルキル基がより好ましい。
その具体例としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、ノナフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基、トリデカフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、p−メチルフェニルメチル基、m−メチルフェニルメチル基、o−エチルフェニルメチル基、m−エチルフェニルメチル基、p−エチルフェニルメチル基、2−プロピルフェニルメチル基、4−イソプロピルフェニルメチル基、4−イソブチルフェニルメチル基、α−ナフチルメチル基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアシル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
上記式(1)および(2)において、Ar1およびAr2は、置換されていてもよい所定の芳香族基から選ばれる一種であるが、置換基としては、アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、フェノチアジン−10−イル基、カルバゾール−9−イル基等が挙げられ、これらの基に含まれるベンゼン環の水素原子の少なくとも一部は、さらに、アミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基で置換されていてもよい。
これらの中でも、Ar1およびAr2としては、フェニル基、ジフェニルアミノ基で置換されたフェニル基、フェノチアジン−10−イルで置換されたフェニル基、カルバゾール−9−イル基で置換されたフェニル基が好ましい。なお、これらのフェニル基上の置換基の置換位置は、フェノチアジン環との間に介在するアミノ基に対してパラ位が好ましい。
特に好適なAr1およびAr2としては、例えば、下記式(3)で表される基が挙げられる。
Figure 0006772623
式(3)において、Ar3およびAr4は、互いに独立して、水素原子、またはアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基もしくはアルキル基で置換されていてもよい芳香族基を表し、この芳香族基は、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、チエニル基、フリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピラジル基、キノリル基、キノキサリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、およびベンゾイミダゾリル基から選ばれる基を表す。
ただし、Ar3およびAr4が同時に水素原子となることはなく、また、Ar3およびAr4がともに芳香族基の場合、それらは互いに単結合で結合していても、ヘテロ原子を介して結合していてもよい。ヘテロ原子を介した結合としては、−O−、−S−、−NH−等が挙げられる。本発明では、Ar3およびAr4は、単結合または−S−で結合することがより好ましい。
これらの中でも、Ar3およびAr4としては、一方がフェニル基で他方が水素原子、同時にフェニル基、2つのフェニル基が単結合で結合した基(窒素原子を含めて、カルバゾール−9−イル基を構成する)、2つのフェニル基が−S−で結合した基(窒素原子を含めて、フェノチアジン−10−イル基を構成する)が好ましい。
一方、R7〜R10は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、これらアルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R7〜R10は、いずれも水素原子が好適である。
特に、上記式(3)で表される基としては、式(4)〜(6)で表されるいずれかの基が好適である。
Figure 0006772623
式中、R7〜R33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、これらアルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R7〜R33は、いずれも水素原子が好適である。
本発明において、好適な電荷輸送性物質としては、式(7)で表されるフェノチアジン誘導体が挙げられる。
Figure 0006772623
式中、R1〜R10は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、これらアルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R1〜R10は、いずれも水素原子が好適である。
1およびX2は、水素原子、式(8)で表される基、式(9)で表される基または式(10)で表される基を表すが、式(8)で表される基、または式(9)で表される基が好ましい。
Figure 0006772623
式中、R11〜R33は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のチオアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数1〜20のハロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、または炭素数1〜20のアシル基を表し、これらアルコキシ基、チオアルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基の具体例としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R11〜R33は、いずれも水素原子が好適である。
本発明で使用可能な電荷輸送性物質の具体例としては、下記式(11)〜(14)で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、得られる薄膜の電荷輸送性および当該薄膜を備えた光電変換素子の光電変換効率等を考慮すると、式(11)または(12)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006772623
なお、本発明の電荷輸送性組成物において、電荷輸送性物質として機能する上記フェノチアジン誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて用いてもよい。
また、上記式(1)で表されるフェノチアジン誘導体は、下記スキームに示されるように、式(15)で表される3,7位に水素原子等を有するフェノチアジン化合物と、式(16)または式(17)で表されるアリールアミン化合物とを、酸化剤存在下で反応させて製造できる。
Figure 0006772623
(式中、R1〜R6、Ar1およびAr2は、上記と同じ意味を表す。)
式(15)で表されるフェノチアジン化合物と、式(16)または式(17)で表されるアリールアミン化合物との仕込み比は、物質量(mol)比で、フェノチアジン化合物1に対して、アリールアミン化合物1〜10程度が好適である。
上記反応に用いられる酸化剤としては、例えば、ヨウ素等のハロゲン系酸化剤、硝酸銀,硝酸カリウム,過マンガン酸カリウム等の無機酸化剤が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
酸化剤の使用量は、式(15)で表されるアリール化合物1molに対して、2mol程度とすることができるが、3mol程度が好適である。
原料化合物が全て固体である場合あるいは目的とするフェノチアジン誘導体を効率よく得る観点から、上記各反応は溶媒中で行う。溶媒を使用する場合、その種類は、反応に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限はない。具体例としては、脂肪族炭化水素類(ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、n−デカン、デカリン等)、ハロゲン化脂肪族炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素等)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、ニトロベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン等)、ハロゲン化芳香族炭化水素類(クロロベンゼン、ブロモベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等)、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ラクタムおよびラクトン類(N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等)、尿素類(N,N−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルウレア等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド、スルホラン等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル等)などが挙げられ、これらの溶媒は単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
反応温度は、用いる溶媒の融点から沸点までの範囲で適宜設定すればよいが、特に、0〜200℃程度が好ましく、20〜150℃がより好ましい。
反応終了後は、常法にしたがって後処理をし、目的とするフェノチアジン誘導体を得ることができる。
特に本発明では、再沈殿やイオン交換等の方法により精製したフェノチアジン誘導体を用いることが好ましい。精製したものを用いることで、当該化合物を含む組成物から得られた薄膜を備えたOPV素子の特性をより高めることができる。
また、有機薄膜太陽電池において、正孔捕集層のイオン化ポテンシャルは、活性層中におけるp型半導体材料のイオン化ポテンシャルに近接した値であることが好ましい。その差の絶対値は、0〜1eVが好ましく、0〜0.5eVがより好ましく、0〜0.2eVがより一層好ましい。
したがって、本発明の電荷輸送性組成物には、これを用いて得られる電荷輸送性薄膜のイオン化ポテンシャルを調節することを目的として、電子受容性ドーパント物質を含んでいてもよい。
電子受容性ドーパント物質としては、使用する少なくとも1種の溶媒に溶解するものであれば、特に限定されない。
電子受容性ドーパント物質の具体例としては、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機強酸;塩化アルミニウム(III)(AlCl3)、四塩化チタン(IV)(TiCl4)、三臭化ホウ素(BBr3)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・OEt2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、塩化銅(II)(CuCl2)、五塩化アンチモン(V)(SbCl5)、五フッ化砒素(V)(AsF5)、五フッ化リン(PF5)、トリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモナート(TBPAH)等のルイス酸;ベンゼンスルホン酸、トシル酸、カンファスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、国際公開第2005/000832号に記載されている1,4−ベンゾジオキサンジスルホン酸化合物、国際公開第2006/025342号に記載されているアリールスルホン酸化合物、特開2005−108828号公報に記載されているジノニルナフタレンスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸等の有機強酸;7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、ヨウ素等の有機酸化剤、国際公開第2010/058777号に記載されているリンモリブデン酸、リンタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等のヘテロポリ酸化合物等の無機酸化剤が挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記各種電子受容性ドーパント物質の中でも、本発明では、特に、H+を供与するブレンステッド酸が好ましく、アリールスルホン酸化合物がより好ましく、特に式(D1)で表されるアリールスルホン酸化合物が好適である。
Figure 0006772623
(式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2〜4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2〜4を満たす整数である。)
本発明において、好適に用いることができるアリールスルホン酸化合物の例としては、以下の化合物(式(D2))が挙げられる。
Figure 0006772623
さらに、本発明の電荷輸送性組成物には、本発明の目的を達成し得る限り、その他の添加剤を配合してもよい。
添加剤の種類としては、所望の効果に応じて公知のものから適宜選択して用いることができるが、得られる薄膜の耐溶剤性および耐水性の向上、電子ブロック性向上、並びにHOMOレベルおよびLUMOレベルを活性層に対して最適な値とするという点から、アルコキシシランやシロキサン系材料を添加することが好ましい。
アルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジアルコキシシランの中から任意の1種以上のアルコキシシランを用いることができるが、特にテトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが好ましく、テトラエトキシシランがより好ましい。
シロキサン系材料としては、上記アルコキシシランに対して加水分解等の反応により得られる、ポリ(テトラエトキシシラン)、ポリ(フェニルエトキシシラン)等のポリシロキサンが挙げられる。
アルコキシシランやシロキサン系材料の添加量としては、上記の効果が発揮される量であれば特に限定されないが、本発明で用いるフェノチアジン誘導体に対し、質量比で0.0001〜100倍が好ましく、0.01〜50倍がより好ましく、0.05〜10倍がより一層好ましい。
電荷輸送性組成物の調製に用いる溶媒としては、フェノチアジン誘導体および電子受容性ドーパント物質を良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。高溶解性溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、組成物に使用する溶媒全体に対して5〜100質量%とすることができる。
このような高溶解性溶媒としては、例えば、水;エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられる。
これらの中でも、水およびアルコール系溶媒から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水、エタノール、2−プロパノールがより好ましい。
特に、逆積層型のOPVの正孔捕集層の形成に用いる場合には、活性層に悪影響を与えない、アルコール系溶媒および水から選ばれる1種または2種以上の溶媒のみからなる溶媒を用いることが好ましい。
電荷輸送性物質および電子受容性ドーパント物質は、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、高変換効率の有機薄膜太陽電池を与える正孔捕集層を再現性よく得ることを考慮すると、これらの物質は上記溶媒に完全に溶解していることがより好ましい。
また、本発明の電荷輸送性組成物は、成膜性および塗布装置からの吐出性向上のために、25℃で10〜200mPa・s、特に35〜150mPa・sの粘度を有し、常圧で沸点50〜300℃、特に150〜250℃の高粘度有機溶媒を、少なくとも1種類含有してもよい。
高粘度有機溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられる。
本発明の電荷輸送性組成物に使用される溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は、5〜80質量%であることが好ましい。
さらに、塗布面に対する濡れ性の向上、溶媒の表面張力の調整、極性の調整、沸点の調整等の目的で、熱処理時に膜の平坦性を付与し得るその他の溶媒を、組成物に使用する溶媒全体に対して1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%の割合で混合することもできる。
このような溶媒としては、例えば、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルカルビトール、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の電荷輸送性組成物の固形分濃度は、組成物の粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1〜10.0質量%程度であり、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
また、電荷輸送性物質と電子受容性ドーパント物質の質量比も、発現する電荷輸送性、電荷輸送性物質等の種類を考慮して適宜設定されるものではあるが、通常、電荷輸送性物質1に対し、電子受容性ドーパント物質0〜10、好ましくは0.1〜3.0、より好ましくは0.2〜2.0である。
そして、本発明において用いる電荷輸送性組成物の粘度は、作製する薄膜の厚み等や固形分濃度を考慮し、塗布方法に応じて適宜調節されるものではあるが、通常25℃で0.1mPa・s〜50mPa・s程度である。
本発明の電荷輸送性組成物を調製する際、固形分が溶媒に均一に溶解または分散する限り、電荷輸送性物質、電子受容性ドーパント物質、溶媒を任意の順序で混合することができる。すなわち、例えば、溶媒にフェノチアジン誘導体を溶解させた後、その溶液に電子受容性ドーパント物質を溶解させる方法、溶媒に電子受容性ドーパント物質を溶解させた後、その溶液にフェノチアジン誘導体を溶解させる方法、フェノチアジン誘導体と電子受容性ドーパント物質とを混合した後、その混合物を溶媒に投入して溶解させる方法のいずれも、固形分が溶媒に均一に溶解または分散する限り、採用することができる。
また、通常、組成物の調製は、常温、常圧の不活性ガス雰囲気下で行われるが、組成物中の化合物が分解したり、組成が大きく変化したりしない限り、大気雰囲気下(酸素存在下)で行ってもよく、加熱しながら行ってもよい。
以上説明した電荷輸送性組成物を、有機薄膜太陽電池の陽極上等に塗布して焼成することで、本発明の正孔捕集層を形成できる。
塗布にあたっては、電荷輸送性組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、ドロップキャスト法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等といった各種ウェットプロセス法の中から最適なものを採用すればよい。
また、通常、塗布は、常温、常圧の不活性ガス雰囲気下で行われるが、組成物中の化合物が分解したり、組成が大きく変化したりしない限り、大気雰囲気下(酸素存在下)で行ってもよく、加熱しながら行ってもよい。
膜厚は、特に限定されないが、いずれの場合も0.1〜500nm程度が好ましく、さらには1〜100nm程度が好ましい。膜厚を変化させる方法としては、組成物中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の溶液量を変化させたりする等の方法がある。
以下、本発明の電荷輸送性組成物を正孔捕集層形成用組成物として用いた順積層型の有機薄膜太陽電池の製造方法について説明するが、これらに限定されるものではない。
[陽極層の形成]:透明基板の表面に陽極材料の層を形成し、透明電極を製造する工程
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の無機酸化物や、金、銀、アルミニウム等の金属、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体等の高電荷輸送性有機化合物を用いることができる。これらの中ではITOが最も好ましい。また、透明基板としては、ガラスあるいは透明樹脂からなる基板を用いることができる。
陽極材料の層(陽極層)の形成方法は、陽極材料の性質に応じて適宜選択される。通常、難溶性、難分散性昇華性材料の場合には真空蒸着法やスパッタ法等のドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
また、市販の透明陽極基板を用いることもでき、この場合、素子の歩留を向上させる観点からは、平滑化処理がされている基板を用いることが好ましい。市販の透明陽極基板を用いる場合、本発明の有機薄膜太陽電池の製造方法は、陽極層を形成する工程を含まない。
ITO等の無機酸化物を陽極材料として用いて透明陽極基板を形成する場合、上層を積層する前に、洗剤、アルコール、純水等で洗浄してから使用することが好ましい。さらに、使用直前にUVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
[正孔捕集層の形成]:形成された陽極材料の層上に正孔捕集層を形成する工程
上記方法に従い、陽極材料の層上に、本発明の電荷輸送性組成物を用いて正孔捕集層を形成する。
[活性層の形成]:形成された正孔捕集層上に活性層を形成する工程
活性層は、n型半導体材料からなる薄膜であるn層と、p型半導体材料からなる薄膜であるp層とを積層したものであっても、これら材料の混合物からなる非積層薄膜であってもよい。
n型半導体材料としては、フラーレン、[6,6]−フェニル−C61−酪酸メチルエステル(PC61BM)、[6,6]−フェニル−C71−酪酸メチルエステル(PC71BM)等が挙げられる。一方、p型半導体材料としては、レジオレギュラーポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、下記式で示されるPTB7、特開2009−158921号公報および国際公開第2010/008672号に記載されているようなチエノチオフェンユニット含有ポリマー類等の、主鎖にチオフェン骨格を含むポリマー、CuPC,ZnPC等のフタロシアニン類、テトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン類などが挙げられる。
Figure 0006772623
これらの中でも、n型材料としては、PC61BM、PC71BMが、p型材料としては、PTB7等の主鎖にチオフェン骨格を含むポリマー類が好ましい。
なお、ここでいう「主鎖にチオフェン骨格」とはチオフェンのみからなる2価の芳香環、またはチエノチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ベンゾジチオフェン、ナフトチオフェン、ナフトジチオフェン、アントラチオフェン、アントラジチオフェン等のような1以上のチオフェンを含む2価の縮合芳香環を表し、これらは上記R1〜R6で示される置換基で置換されていてもよい。
活性層の形成方法も、上記と同様、活性層材料が難溶性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
[電子捕集層の形成]:形成された活性層上に電子捕集層を形成する工程
必要に応じて、電荷の移動を効率化すること等を目的として、活性層と陰極層の間に電子捕集層を形成してもよい。
電子捕集層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al23)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、炭酸セシウム(Cs2CO3)、8−キノリノールリチウム塩(Liq)、8−キノリノールナトリウム塩(Naq)、バソクプロイン(BCP)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BPhen)、ポリエチレンイミン(PEI)、エトキシ化ポリエチレンイミン(PEIE)等が挙げられる。
電子捕集層の形成方法も、上記と同様、電子捕集材料が難溶性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
[陰極層の形成]:形成された電子捕集層の上に陰極層を形成する工程
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、銀、金等の金属や、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等の無機酸化物や、ポリチオフェン誘導体、ポリアニリン誘導体等の高電荷輸送性有機化合物が挙げられ、複数の陰極材料を積層したり、混合したりして使用することができる。
陰極層の形成方法も、上記と同様、陰極層材料が難溶性、難分散性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
[キャリアブロック層の形成]
必要に応じて、光電流の整流性をコントロールすること等を目的として、任意の層間にキャリアブロック層を設けてもよい。キャリアブロック層を設ける場合、通常、活性層と、正孔捕集層または陽極との間に電子ブロック層を、活性層と、電子捕集層または陰極との間に正孔ブロック層を挿入する場合が多いが、この限りではない。
正孔ブロック層を形成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、バソクプロイン(BCP)、4,7−ジフェニル1,10−フェナントロリン(BPhen)等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、ポリ(トリアリールアミン)(PTAA)等のトリアリールアミン系材料等が挙げられる。
キャリアブロック層の形成方法も、上記と同様、キャリアブロック層材料が難溶性、難分散性昇華性材料の場合には上述した各種ドライプロセスが選択され、溶液材料あるいは分散液材料の場合には、組成物の粘度と表面張力、所望する薄膜の厚さ等を考慮し、上述した各種ウェットプロセス法の中から最適なものが採用される。
上記で例示した方法によって作製されたOPV素子は、大気による素子劣化を防ぐために、再度グローブボックス内に導入して窒素等の不活性ガス雰囲気下で封止操作を行い、封止された状態で太陽電池としての機能を発揮させたり、太陽電池特性の測定を行ったりすることができる。
封止法としては、端部にUV硬化樹脂を付着させた凹型ガラス基板を、不活性ガス雰囲気下、有機薄膜太陽電池素子の成膜面側に付着させ、UV照射によって樹脂を硬化させる方法や、真空下、スパッタリング等の手法によって膜封止タイプの封止を行う方法などが挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)NMR
装置:Bruker社製 AVANCE III HD
測定周波数:500MHz
測定溶媒:関東化学(株)製 重クロロホルム
内部標準:テトラメチルシラン(δ=0.00ppm)
(2)LC−MS
装置:Waters社製 ZQ2000
カラム:Intersil ODS−3(3.0μm)2.1mm I.D.×750mm
溶離液:アセトニトリル/0.2%ギ酸水溶液(70:30)
(3)グローブボックス:米国VAC社製グローブボックスシステム
(4)蒸着装置:アオヤマエンジニアリング(株)製、真空蒸着装置
(5)ソーラーシミュレータ:分光計器(株)製、OTENTOSUN−III、AM1.5Gフィルター、放射強度:100mW/cm2
(6)ソースメジャーユニット:ケースレーインスツルメンツ(株)製、2612A
(7)膜厚測定装置:(株)小坂研究所製、サーフコーダ ET−4000
(8)イオン化ポテンシャル測定装置:理研計器(株)製、AC−3
[1]フェノチアジン誘導体の合成
[合成例1]フェノチアジン誘導体Aの合成
下記スキーム(1)に従い、フェノチアジン誘導体Aを合成した。
Figure 0006772623
ポリマーケミストリー(Polymer Chemistry)、2013年、第4巻、p.4182−4191に記載されている方法を基に、以下の方法に従い4−アミノトリフェニルアミンを得た。
すなわち、ジフェニルアミン5.07gと炭酸カリウム2.23gとをジメチルスルホキシド(以下、DMSO)40mLに溶解し、4−フルオロニトロベンゼン6.22gを加え、窒素雰囲気下、150℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、0℃の氷水に反応溶液を入れて固体を析出させた。得られた固体を濾過し、45℃に加熱しながら減圧乾燥した。乾燥させた固体をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム−ヘキサン(1:1))により精製し、オレンジ色固体の4−ニトロトリフェニルアミン3.52gを得た(収率40%)。1H−NMRの結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ 6.64(d,2H),6.91(t,2H),6.95(d,2H),7.02(d,4H),7.19(t,4H).
上記で得られた4−ニトロトリフェニルアミン3.31gと10%パラジウム炭素0.56gとをテトラヒドロフラン(以下、THF)70mLとエタノール21mLに溶解し、窒素置換を行った。テドラーバッグに水素ガスを充填し、水素雰囲気に置換した後、常圧常温で24時間反応させた。反応終了後、窒素置換を行い、反応溶液をセライト濾過し、得られた濾液の有機溶媒を留去して茶色固体を得た。得られた固体をクロロホルムに溶かし、ヘキサンを加えて再結晶し、茶色固体の4−アミノトリフェニルアミン2.45gを得た(収率78%)。1H−NMRの結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ 6.92(d,2H),7.18−7.22(m,6H),7.37(t,4H),8.40(d,2H).
フェノチアジン0.69gと上記で得られた4−アミノトリフェニルアミン7.21gとをフラスコに入れ、窒素置換し、脱水THF17.5mLを加えて溶解した。溶液にヨウ素2.64gを加えて、室温で24時間反応させた。反応終了後、ヘキサン200mLに反応溶液を加え、デカンテーションにより溶液を取り除き、紫色固体を得た。得られた固体をクロロホルムに溶かし、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に分液を行い、洗浄後のクロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、溶媒を留去して紫色固体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=1:1)で精製した後、紫色固体のフェノチアジン誘導体A1.11gを得た(収率45%)。
LC/MS(ESI+) 保持時間 8.4分 m/z;714[M+1]+
[合成例2]
下記スキーム(2)に従い、フェノチアジン誘導体Bを合成した。
Figure 0006772623
フェノチアジン11.9gと炭酸カリウム4.47gとをDMSO80mLに溶解し、4−フルオロニトロベンゼン12.4gを加え、窒素雰囲気下、150℃で48時間反応させた。反応終了後、室温まで放冷し、0℃の氷水に反応溶液を入れて固体を析出させた。得られた固体を少量のアセトニトリルで洗浄しながら濾過し、ろ取した固体を真空乾燥して黄色固体を得た。得られた固体にアセトニトリルを加えて昇温し、放冷することで再結晶し、黄色固体の10−(4−ニトロフェニル)−フェノチアジン15.3gを得た(収率80%)。1H−NMRの結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.02(d,2H),7.27(t,2H),7.38(t,2H),7.45(d,2H),7.50(d,2H),8.05(t,2H).
上記で得られた10−(4−ニトロフェニル)−フェノチアジン7.66gと10%パラジウム炭素1.11gとをTHF140mLとエタノール45mLに溶解し、窒素置換を行った。テドラーバッグに水素ガスを充填し、水素雰囲気に置換した後、常圧常温で24時間反応させた。反応終了後、窒素置換を行い、反応溶液をセライト濾過し、得られた濾液の有機溶媒を留去して紫色固体を得た。得られた固体をクロロホルムに溶かし、ヘキサンを加えて再結晶し、白色固体の4−(10H−フェノチアジニル)アニリン6.14gを得た(収率89%)。1H−NMRの結果を以下に示す。
1H−NMR(500MHz、CDCl3):δ 3.84(s,2H),6.24(d,2H),6.76(d,2H),6.82(t,2H),6.87(d,2H),6.96(d,2H),7.15(d,2H).
フェノチアジン0.52gとヨウ素1.97gとをフラスコに入れ、窒素置換し、脱水THF5mLを加えて溶解した。上記で得られた4−(10H−フェノチアジニル)アニリン6.01gを別のフラスコに入れ、脱水THF20mLに溶解させ、得られた溶液をフェノチアジンとヨウ素の混合溶液に滴下し、室温で24時間反応させた。反応終了後、ヘキサン300mLに反応溶液を加え、デカンテーションにより溶液を取り除き、紫色固体を得た。得られた固体をクロロホルムに溶かし、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に分液を行い、洗浄後のクロロホルム溶液を硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過した後、溶媒を留去して紫色固体を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/酢酸エチル=2:1)で精製した後、紫色固体のフェノチアジン誘導体B0.32gを得た(収率16%)。
LC/MS(ESI+) 保持時間 7.6分 m/z;774[M+1]+
[2]活性層組成物の調製
[調製例1]
PTB7(1−Material社製)20mgおよびPC61BM(フロンティアカーボン社製、製品名:nanom spectra E100)30mgが入ったサンプル瓶の中にクロロベンゼン2.0mLを加え、80℃のホットプレート上で15時間撹拌した。この溶液を室温まで放冷した後、1,8−ジヨードオクタン(東京化成工業(株)製)60μLを加えて撹拌し、溶液A1(活性層組成物)を得た。
[3]正孔捕集層用組成物の製造
[実施例1−1]
合成例1で得られたフェノチアジン誘導体A54.7mgに、国際公開第2006/025342号の記載に基づいて合成した上記式(D2)で示されるアリールスルホン酸化合物A69.2mgを加え、ジメチルアセトアミド2.00gとシクロヘキサノール2.00gの混合溶媒に溶解させて青色溶液を得た。得られた青色溶液を、孔径0.20μmのシリンジフィルターでろ過して、正孔捕集層用組成物B1を得た。
[実施例1−2]
フェノチアジン誘導体Aをフェノチアジン誘導体Bに変更した以外は、実施例1−1と同様にして、正孔捕集層用組成物B2を得た。
[4]有機薄膜太陽電池の作製
[実施例2−1]
陽極となるITO透明導電層を2mm×20mmのストライプ状にパターニングした20mm×20mmのガラス基板を15分間UV/オゾン処理した後に、基板上に実施例1−1で調製した正孔捕集層用組成物B1をスピンコート法により塗布した。このガラス基板を、ホットプレートを用いて、230℃10分間加熱して正孔捕集層を形成した。正孔捕集層の膜厚は約30nmであった。
その後、不活性ガスにより置換されたグローブボックス中で、形成した正孔捕集層上に調製例1で得られた溶液A1を滴下してスピンコート法により成膜し、膜厚100nmの活性層を形成した。
次に、有機半導体層が形成された基板と負極用マスクを真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が1×10-3Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱法によって、電子捕集層となるリチウム8−ヒドロキシキノリノラート層を1nmの厚さに蒸着した。
最後に、抵抗加熱法によって、負極となるアルミニウム層を80nmの厚さに蒸着することで、ストライプ状のITO層とアルミニウム層とが交差する部分の面積が2mm×2mmであるOPV素子を作製した。
[実施例2−2]
正孔捕集層用組成物B1の代わりに、正孔捕集層用組成物B2を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、OPV素子を作製した。
[実施例2−3]
正孔捕集層用組成物B1の代わりに、正孔捕集層用組成物B3を用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で、OPV素子を作製した。
[比較例2−1]
正孔捕集層を形成していない以外は、実施例2−1と同様の方法で、OPV素子を作製した。
[5]特性評価
上記実施例2−1〜2−2および比較例2−1で作製した各OPV素子について、短絡電流密度(Jsc〔mA/cm2〕)、開放電圧(Voc〔V〕)、曲線因子(FF)、およびPCE〔%〕の評価を行った。結果を表1に示す。
なおPCE〔%〕は、下式により算出した。
PCE〔%〕=Jsc〔mA/cm2〕×Voc〔V〕×FF÷入射光強度(100〔mW/cm2〕)×100
Figure 0006772623
表1に示される通り、本発明の正孔捕集層用組成物から得られた薄膜を正孔捕集層として備えるOPV素子は、正孔捕集層を有していないOPV素子と比較して、比較的に高いPCEを示した。
このように、本発明の正孔捕集層用組成物を用いることで、OPV素子の光電変換特性を向上できることがわかる。

Claims (20)

  1. 式(2)で表されるフェノチアジン誘導体からなる電荷輸送性物質と、溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性組成物。
    Figure 0006772623
    (式中、R1〜R6は、水素原子を表し、
    Ar1およびAr2は、互いに独立して、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、または式(3)で表される基を表す。
    Figure 0006772623
    (式中、Ar3およびAr4は、互いに独立して、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、およびペリレニル基から選ばれる基を表す。ただし、Ar3およびAr4は、互いに単結合で結合していても、OまたはSのヘテロ原子を介して結合していてもよい。
    7〜R10は、水素原子を表す。)
  2. 前記Ar1およびAr2が、互いに独立して、フェニル基、ジフェニルアミノ基で置換されたフェニル基、フェノチアジン−10−イルで置換されたフェニル基、またはカルバゾール−9−イル基で置換されたフェニル基である請求項1記載の電荷輸送性組成物。
  3. 前記式(3)で表される基が、式(4)または(5)で表される基である請求項1記載の電荷輸送性組成物。
    Figure 0006772623
    (式中、R7〜R28は、水素原子を表す。)
  4. 前記電荷輸送性物質が、式(7)で表されるフェノチアジン誘導体である請求項1記載の電荷輸送性組成物。
    Figure 0006772623
    {式中、R1〜R10は、水素原子を表し、
    1およびX2は、式(8)で表される基、または式(9)で表される基を表す。
    Figure 0006772623
    (式中、R11〜R28は、水素原子を表す。)}
  5. 前記式(2)で表されるフェノチアジン誘導体が、下記式(11)または(12)で表される請求項1〜4のいずれか1項記載の電荷輸送性組成物。
    Figure 0006772623
  6. さらに、電子受容性ドーパント物質を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の電荷輸送性組成物。
  7. 前記電子受容性ドーパント物質が、式(D1)で表されるアリールスルホン酸化合物である請求項6記載の電荷輸送性組成物。
    Figure 0006772623
    (式中、Xは、Oを表し、Aは、ナフタレン環またはアントラセン環を表し、Bは、2〜4価のパーフルオロビフェニル基を表し、lは、Aに結合するスルホン酸基数を表し、1≦l≦4を満たす整数であり、qは、BとXとの結合数を示し、2〜4を満たす整数である。)
  8. 有機光電変換素子の正孔捕集層用である請求項1〜7のいずれか1項記載の電荷輸送性組成物。
  9. 前記有機光電変換素子が、有機薄膜太陽電池または光センサーである請求項8記載の電荷輸送性組成物。
  10. 請求項8または9記載の電荷輸送性組成物を用いてなる有機光電変換素子の正孔捕集層。
  11. 請求項10の正孔捕集層と、それに接するように設けられた活性層とを有する有機光電変換素子。
  12. 前記活性層が、フラーレン誘導体を含む請求項11記載の有機光電変換素子。
  13. 前記活性層が、主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む請求項11記載の有機光電変換素子。
  14. 前記活性層が、フラーレン誘導体および主鎖にチオフェン骨格を含むポリマーを含む請求項11記載の有機光電変換素子。
  15. 有機薄膜太陽電池または光センサーである請求項11〜14のいずれか1項記載の有機光電変換素子。
  16. 式(2)で表されることを特徴とするフェノチアジン誘導体。
    Figure 0006772623
    〔式中、R1〜R6は、水素原子を表し、
    Ar1およびAr2は、互いに独立して、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、ペリレニル基、または式(3)で表される基を表す。
    Figure 0006772623
    (式中、Ar3およびAr4は、互いに独立して、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基、テルフェニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、およびペリレニル基から選ばれる基を表す。ただし、Ar3およびAr4は、互いに単結合で結合していても、OまたはSのヘテロ原子を介して結合していてもよい。
    7〜R10は、水素原子を表す。)〕
  17. 前記Ar1およびAr2が、互いに独立して、フェニル基、ジフェニルアミノ基で置換されたフェニル基、フェノチアジン−10−イルで置換されたフェニル基、またはカルバゾール−9−イル基で置換されたフェニル基である請求項16記載のフェノチアジン誘導体。
  18. 前記式(3)で表される基が、式(4)または(5)で表される基である請求項16記載のフェノチアジン誘導体。
    Figure 0006772623
    (式中、R7〜R28は、水素原子を表す。)
  19. 式(7)で表される請求項16記載のフェノチアジン誘導体。
    Figure 0006772623
    {式中、R1〜R10は、水素原子を表し、
    1およびX2は、式(8)で表される基、または式(9)で表される基を表す。
    Figure 0006772623
    (式中、R11〜R28は、水素原子を表す。)}
  20. 式(11)または(12)で表される請求項16記載のフェノチアジン誘導体。
    Figure 0006772623
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