A.直接形電力変換器の構成.
実施の形態の特徴的な技術を具体的に説明する前に、当該技術が適用される直接形電力変換器の構成を説明する。但し、当該構成それ自体の基本的な動作は、特許文献1において公知であるので、ここではその詳細を省略する。
図1に示すように、本直接形電力変換器は、ダイオード整流器2と、LCフィルタ3と、充放電回路4と、インバータ5とを備えている。直流電源線LH,LLはインバータ5と充放電回路4との間で直流リンクとして機能する。直流電源線LHには直流電源線LLよりも高い電位が印加される。
ダイオード整流器2は単相交流電源1から単相交流電圧Vinが印加される入力側と、出力側とを有する。
ダイオード整流器2は単相交流電圧Vinを単相全波整流して電圧Vr(=|Vin|)に変換し、これを出力側から出力する。但し、後述する変形ではダイオード整流器2の出力が電圧|Vin|であるとは限らない。
また、ダイオード整流器2の入力側には、単相交流電源1から交流電流Iin(以下「入力電流Iin」と称す)が流れ込む。
ダイオード整流器2はダイオードD21〜D24を備えている。ダイオードD21〜D24はブリッジ回路を構成する。
LCフィルタ3はリアクトルL3とコンデンサC3とを備えている。コンデンサC3は直流電源線LH,LLの間に設けられる。リアクトルL3は、コンデンサC3よりもインバータ5から離れて、直流電源線LH又は直流電源線LLに(図1の例示ではダイオード整流器2の出力側で直流電源線LHに)直列に接続される。
コンデンサC3は例えばフィルムコンデンサであって、電解コンデンサの静電容量に比べて小さい静電容量を有する。このようなコンデンサC3はダイオード整流器2が出力する電圧Vrをほとんど平滑しない。よってコンデンサC3の両端電圧(以下「コンデンサ電圧」と仮称)V3は、直流電圧ではあって極性は変動いないものの、電圧Vrの脈動の周期と同じ周期で脈動する。
ダイオード整流器2とLCフィルタ3との組み合わせは、単相交流電圧Vinが印加される入力側と、直流電源線LH,LLの間に接続される出力側とを有する整流回路203として把握できる。図1ではリアクトルL3とコンデンサC3との直列接続に電圧Vrが印加されるので、リアクトルL3には電圧(以下「リアクトル電圧」と称す)VL(=Vr−V3)が印加される。但し、整流回路203の構成によってはダイオード整流器2の出力がリアクトルL3を介することなくコンデンサC3に印加される。このような整流回路の変形については後述する。
充放電回路4はコンデンサC3に対してインバータ5側に設けられ、バッファ回路4aと昇圧回路4bと電流阻止部4cとを有する。バッファ回路4aはコンデンサC4を含み、直流電源線LH,LLとの間で電力を授受する。
バッファ回路4aはダイオードD42と逆並列接続されたトランジスタ(ここでは絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:以下「IGBT」と略記)Scを更に含んでいる。トランジスタScは、直流電源線LH,LLの間において、コンデンサC4に対して直流電源線LH側でコンデンサC4に直列に接続されている。ここで逆並列接続とは、順方向が相互に逆となるような並列接続を指す。具体的にはトランジスタScの順方向は直流電源線LLから直流電源線LHへと向かう方向であり、ダイオードD42の順方向は直流電源線LHから直流電源線LLへと向かう方向である。トランジスタScとダイオードD42とはまとめて一つのスイッチ素子(第1スイッチ)として把握することができる。コンデンサC4は、第1スイッチを介して、直流電源線LH,LLの間に設けられると言える。
昇圧回路4bはコンデンサ電圧V3(図1の構成ではこれは整流回路203が出力する整流電圧である)を昇圧してコンデンサC4を充電する。例えば昇圧回路4bは、ダイオードD40と、リアクトルL4と、トランジスタ(ここではIGBT)Slとを含んでいる。ダイオードD40は、カソードと、アノードとを備え、当該カソードは第1スイッチとコンデンサC4との間に接続される。リアクトルL4は直流電源線LHとダイオードD40のアノードとの間に接続される。トランジスタSlは直流電源線LLとダイオードD40のアノードとの間に接続される。トランジスタSlにはダイオードD41が逆並列接続されており、両者をまとめて一つのスイッチ素子(第2スイッチ)として把握することができる。トランジスタSlの順方向は直流電源線LHから直流電源線LLへと向かう方向であり、ダイオードD41の順方向は直流電源線LLから直流電源線LHへと向かう方向である。かかる構成はいわゆる昇圧チョッパとして知られている。
コンデンサC4は、昇圧回路4bにより充電され、コンデンサ電圧V3よりも高い両端電圧Vcを支持する。具体的には直流電源線LHから第2スイッチを経由して直流電源線LLへと電流IL2を流すことによってリアクトルL4にエネルギーを蓄積し、その後に第2スイッチをオフすることによって当該エネルギーがダイオードD40を経由してコンデンサC4に蓄積される。電流IL2は直流電源線LHから直流電源線LLへと流れるので、その極性は反転せず、従って直流である。
両端電圧Vcはコンデンサ電圧V3より高いので、基本的にはダイオードD42には電流が流れない。従って第1スイッチの導通/非導通は専らトランジスタScのそれに依存する。よって、以下、トランジスタScのみならず、これとダイオードD42とをまとめた第1スイッチについて、スイッチScと称することがある。
スイッチScの導通によりコンデンサC4が直流リンクへ放電する。このスイッチScが導通する時比率は放電デューティdcと称される。放電デューティdcは可制御である。
また、直流電源線LHの方が直流電源線LLよりも電位が高いので、基本的にはダイオードD41には電流が流れない。従って第2スイッチの導通/非導通は専らトランジスタSlのそれに依存する。よって、以下、トランジスタSlのみならず、これとダイオードD41とをまとめた第2スイッチについて、スイッチSlと称することがある。
電流IL2をコンデンサC4に流すか否かが、昇圧回路4bによって決定される。具体的にはスイッチSlによって時比率たる昇圧デューティdlでチョッパリングが行われる。このチョッパリングは、昇圧デューティdlと後述するキャリヤC2との比較に基づいて行われる。
電流阻止部4cはコンデンサC3,C4の間で直流電源線LH又は直流電源線LLに設けられ、コンデンサC4からコンデンサC3へと流れる電流を阻止する。コンデンサC4の両端電圧Vcは昇圧回路4bによってコンデンサ電圧V3よりも大きくなる。しかし電流阻止部4cは、コンデンサC4からコンデンサC3へと流れる電流を阻止する。よって、コンデンサ電圧V3が両端電圧Vcの影響を受けることが回避される。
電流阻止部4cは例えばダイオードD43で実現される。図1の例示では、ダイオードD43は直流電源線LHに設けられ、その順方向はダイオード整流器2からインバータ5へと向かう方向である。
インバータ5は充放電回路4よりもインバータ5側の直流電源線LH,LLの間に発生する直流電圧Vdcを交流電圧に変換し、これを出力端Pu,Pv,Pwに出力する。
インバータ5は6つのスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnを含む。スイッチング素子Sup,Svp,Swpはそれぞれ出力端Pu,Pv,Pwと直流電源線LHとの間に接続され、スイッチング素子Sun,Svn,Swnはそれぞれ出力端Pu,Pv,Pwと直流電源線LLとの間に接続される。インバータ5はいわゆる電圧形インバータを構成し、6つのダイオードDup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnを含む。
ダイオードDup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnはいずれもそのカソードを直流電源線LH側に、そのアノードを直流電源線LL側に向けて配置される。ダイオードDupは、出力端Puと直流電源線LHとの間で、スイッチング素子Supと並列に接続される。同様にして、ダイオードDvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnは、それぞれスイッチング素子Svp,Swp,Sun,Svn,Swnと並列に接続される。
例えばスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,SwnにはIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)が採用される。この場合、ダイオードDup,Dvp,Dwp,Dun,Dvn,Dwnは、それぞれスイッチング素子Sup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnに採用されるIGBTに対して、逆並列に接続されることになる。
誘導性負荷6は例えば回転機であり、インバータ5からの交流電圧に応じて回転する。
B.コンデンサ電圧V3に基づく制御.
図2は、上述の本直接形電力変換器を制御する制御装置10の概念的な構成の一例を示すブロック図である。制御装置10は、充放電回路4の制御装置として機能するブロック10aと、インバータ5の制御装置として機能するブロック10bとを有する。
ブロック10aは、電流分配率生成部11と、共振抑制制御部15と、加算器13,17と、チョッパ制御部16と、比較器12,14と、キャリヤ生成部23,24とを備える。
ブロック10bは、出力電圧指令生成部31と、演算部32,33と、比較器34,35と、論理和/論理積演算部36とを備える。
電流分配率生成部11は単相交流電圧Vinの振幅Vmと、入力電流Iinの振幅Imと、インバータ5に入力する直流電流Idcについての指令値Idc*と、両端電圧Vcについての指令値Vc*と、電源角速度ωとを入力する。振幅Vm,Im及び電源角速度ωは例えば公知の検出部を設けることで、検出されて電流分配率生成部11に入力される。指令値Idc*,Vc*は不図示の外部構成から入力される。
電流分配率生成部11は、整流デューティdrec、放電デューティdc、零デューティdz、及び電流指令値Ib*を出力する。
整流デューティdrecは整流回路203から(LCフィルタ3は通常、電源角速度ωよりも非常に高いカットオフ周波数を有するローパスフィルタであるので、「ダイオード整流器2から」ということもできる)直流リンクへと電力が供給される時比率である。両端電圧Vcがコンデンサ電圧V3よりも高いので、スイッチScが導通している時には、整流回路203から直流リンクへと電流が流れず、よって整流デューティdrecと放電デューティdcとの和は1より小さい。零デューティdzは整流回路203からも充放電回路4からも直流リンクへと電力が供給されない時比率であり、零デューティdzと整流デューティdrecと放電デューティdcとの和が1となる。
電流指令値Ib*は、LCフィルタ3の共振の抑制を考慮しない場合に、昇圧回路4bに入力する、より具体的にはリアクトルL4に流す電流IL2の指令値である。
整流デューティdrec、放電デューティdc、零デューティdz、電流指令値Ib*を決定する手法については特許文献1,3,4に詳述されているので、ここではその詳細を省略する。
共振抑制制御部15はコンデンサ電圧V3を入力する。図1に示されるように、コンデンサC3が直流電源線LHと、直流電源線LLとの間に直接に接続される場合には、コンデンサ電圧V3は直流電源線LLの電位を基準とする。換言すれば、コンデンサ電圧V3の極性は、直流電源線LLから直流電源線LHに向かう方向が正に採用される。
リアクトル電圧VLの極性は、コンデンサC3とリアクトルL3との接続箇所から単相交流電源1に向かう方向が正に採用される。
コンデンサ電圧V3は公知の技術によって検出される。共振抑制制御部15はコンデンサ電圧V3が高いほど大きい補正値を出力する。例えばコンデンサ電圧V3と所定値k(>0)との積を補正値k・V3として出力する。この補正値k・V3はコンデンサ電圧V3に正比例する、とも言える。
加算器17は電流指令値Ib*に補正値k・V3を加算し、補正された電流指令値(Ib*+k・V3)を出力する。これはリアクトルL4に流す抑制電流の指令値として値k・V3を採用することに相当する。このようにしてコンデンサ電圧V3が高いほど、電流IL2の目標値となる電流指令値(Ib*+k・V3)が増大し、以て電流IL2を増大する制御が行われる。
整流デューティdrecと零デューティdzとは加算器13において加算され、その結果(drec+dz)が比較器12においてキャリヤC1と比較される。キャリヤC1はキャリヤ生成部23で生成され、例えば最小値0、最大値1を採る三角波である。
比較器12の比較結果はスイッチScへ与えるスイッチング信号SScとして出力される。例えば比較器12はキャリヤCが値(drec+dz)以上となる期間で活性化した信号をスイッチング信号SScとして出力する。スイッチScは、スイッチング信号SScの活性によってオンする。
チョッパ制御部16は両端電圧Vc及び単相交流電圧Vin(より正確にはそれぞれを示す値)を入力し、補正された電流指令値(Ib*+k・V3)に基づいて昇圧デューティdlを出力する。与えられた電流指令値に基づいて、両端電圧Vc及び単相交流電圧VinとリアクトルL4のインダクタンスLmとから昇圧デューティdlを決定する技術も、特許文献1,3,4等で公知の技術であるので、ここでは詳細を省略する。
昇圧デューティdlは比較器14においてキャリヤC2と比較される。キャリヤC2はキャリヤ生成部24で生成され、例えば最小値0、最大値1を採る三角波である。比較器14の比較結果はスイッチSlの開閉を制御する制御信号SSlとして出力される。例えば比較器14はキャリヤC2が昇圧デューティdl以下となる期間で活性化した信号を制御信号SSlとして出力する。スイッチSlは、制御信号SSlの活性によってオンする。
出力電圧指令生成部31は相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を生成する。図2の例示では、出力電圧指令生成部31は誘導性負荷6の回転速度ωmと、その指令値ωm*とを入力する。回転速度ωmは公知の検出部によって検出され、指令値ωm*は不図示の外部構成によって入力される。出力電圧指令生成部31は回転速度ωmとその指令値ωm*との偏差が低減するように、公知の手法によって相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を生成する。
演算部32は整流デューティdrecと零デューティdzと放電デューティdcと相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*とを入力する。演算部32は値(drec+dz+dc・Vx*)(但しxはu,v,wを代表する)を算出してこれらを出力する。演算部33は整流デューティdrecと相電圧指令Vu*,Vv*,Vw*とを入力し、値(drec・(1−Vx*))を算出してこれらを出力する。
値(drec+dz+dc・Vx*)は比較器34においてキャリヤC1と比較され、値(drec・(1−Vx*))は比較器35においてキャリヤC1と比較される。比較器34は例えばキャリヤC1が値(drec+dz+dc・Vx*)以上となる期間で活性化する信号を出力し、比較器35は例えばキャリヤC1が値(drec・(1−Vx*))以下となる期間で活性化する信号を出力する。
このようにキャリヤC1はブロック10a,10bのいずれに対しても用いることができるので、図2においてキャリヤ生成部23はブロック10a,10bの境界を跨がって設けられているように示した。
比較器34,35の比較結果は論理和/論理積演算部36に入力される。比較器34,35の比較結果の論理和が、スイッチング素子Sup,Svp,Swpへとそれぞれ与えるスイッチング信号SSup,SSvp,SSwpとして出力され、これらの否定論理が、スイッチング素子Sun,Svn,Swnへとそれぞれ与えるスイッチング信号SSun,SSvn,SSwnとして出力される。
上記のように補正値k・V3で電流指令値を補正することにより、LCフィルタ3の共振が抑制されることを以下に説明する。
図3は、図1に示された直接形電力変換器の等価回路を示す回路図である。但し、リアクトルL3を流れる電流IL、コンデンサC3を流れる電流I3を導入した。電流ILはダイオード整流器2から出力され、その向きはリアクトル電圧VLと逆向きである。よってこの等価回路が、リアクトルL3がダイオード整流器2とコンデンサC3との間で直流電源線LH,LLのいずれに対して直列に接続されている場合であっても妥当することは、前述のコンデンサ電圧V3の基準(あるいはコンデンサ電圧V3の極性の正の方向)に鑑みて明白である。
図1から理解されるように、LCフィルタ3から流出する電流は、昇圧回路4bと電流阻止部4cへと分岐する。よってインバータ5に流れるインバータ電流I4を導入すると、昇圧回路4bに流れる直流の電流IL2と、インバータ5へ出力するインバータ電流I4とは、コンデンサC3に対していずれも並列に接続された電流源として等価的に示すことができる。但し、電流IL2は電流Ibに補正値k・V3を加えた値として把握される。k=0の場合を想定することにより、電流Ibは電流指令値Ib*を指令値としてリアクトルL4に流れる電流であることが理解される。
図4は図3の等価回路を、これが制御系を構成すると把握して示すブロック線図である。当該ブロック線図を特許文献5に倣って変形することにより、順次に図5、図6、図7のブロック線図へと変形することができる。但し、図5から図6への変形においては、共振を抑制するための制御系を抽出すべく、共振成分に関与しない電流Ib,I4を除外して変形した。よって共振成分についてみればコンデンサ電圧V3の指令値V3*は値0を採る。
そして図7に示されたブロック線図から、図1に示された直接形電力変換器は、電圧Vr(=|Vin|)を外乱とする、コンデンサ電圧V3についてのフィードバック系として把握できることがわかる。共振成分についてみれば、指令値V3*がコンデンサ電圧V3の目標値となっており、コンデンサ電圧V3の共振成分が電圧Vrに依らずに、指令値V3*の共振成分に追随することにより、コンデンサ電圧V3が電圧Vrと一致するように制御されることがわかる。これにより、LCフィルタ3の共振による電圧の変動が抑制されることになる。
このように、本実施の形態の制御では抑制電流(これは電流Ibの補正値k・V3に相当する)をインバータ電流I4に重畳するのではなく、電流IL2をコンデンサ電圧V3で制御する。電流IL2は昇圧回路4bの動作、即ちスイッチSlのチョッパリングによって制御されるので、その制御周期はインバータ5の制御周期よりも短い。図2に即して言えば、キャリヤC2はキャリヤC1よりも周期が短く、コンデンサ電圧V3による電流IL2の制御はインバータ5の制御よりも高い周波数で行われる。
以上のことから、本実施の形態によれば、抑制電流を用いてLCフィルタ3の共振を抑制しても、インバータ5を制御する制御系のサンプリング、指令値の更新を劣化させないことがわかる。
図8乃至図11は、直流電圧Vdcが一定値に制御されているときの、入力電流Iin、電流IL2、コンデンサ電圧V3、リアクトル電圧VLの波形を示すグラフである。
図8及び図9は、特許文献3に開示されるような、コンデンサC4を充電する期間(特許文献3にいう「受納期間」であって、放電デューティdcは零、昇圧デューティdlが正)と、コンデンサC4を放電させる期間(特許文献3にいう「授与期間」であって放電デューティdcは正)とが電圧Vrの半周期毎(即ち単相交流電圧Vinの四分の一周期毎)に入れ替わる制御方法(以下、「半周期制御」と仮称する)を採用した場合を示す。
なお、授与期間は、単相交流電圧Vinの位相ωtを導入し、位相ωtの二倍の余弦値cos(2ωt)が正となる期間として、受納期間はこの余弦値cos(2ωt)が負となる期間として、それぞれ捉えることもできる。
図10及び図11は、特許文献4に開示されるような、放電デューティdcが0より大きな期間の少なくとも一部において電流IL2がコンデンサC4を充電する制御方法(以下、「充放電制御」と仮称する)を採用した場合を示す。
図8及び図10は、いずれも補正値k・V3を用いた補正を行わない場合を示す。図8では、半周期制御を反映し、電流IL2が受納期間T2においてのみ流れ、授与期間T1において流れない様子が示されている。図10では、充放電制御を反映し、電流IL2は特許文献4にいう充電期間と充放電期間との合計となる期間(昇圧デューティdlが正となる期間)T3においてのみ流れ、特許文献4にいう放電期間(昇圧デューティdlが零となる期間)T4において流れない様子が示されている。
図9及び図11は、いずれも補正値k・V3を用いた補正を行った場合を示す。図9からは電流IL2が、図8で示した授与期間T1においても流れることが示されている。また、図11からは電流IL2が、図10で示した放電期間T4においても流れることが示されている。
よって、チョッパ制御部16(図2参照)の処理により、昇圧デューティdlは、補正値k・V3の影響を受け、必ずしも特許文献3にいう授与期間/受納期間や、特許文献4にいう充電期間/放電期間/充放電期間についての定義通りには設定されていない。しかし、以下では簡単のため、補正値k・V3を用いた補正の有無に拘わらず、「半周期制御」「充放電制御」との仮称を採用する。
図8と図9の比較から理解されるように、半周期制御において補正値k・V3を用いた補正を導入することにより、入力電流Iinにおけるリンギングが低減される。同様に、図10と図11の比較から理解されるように、充放電制御において補正値k・V3を用いた補正を導入することにより、入力電流Iinにおけるリンギングが低減される。
このように、半周期制御を採用するか、充放電制御を採用するかに拘わらず、補正値k・V3を用いた補正を導入することにより、LCフィルタ3の共振による影響を低減できることが視認される。
なお、半周期制御を採用した場合、授与期間T1では電流指令値Ib*は零に設定される。よって授与期間T1では抑制電流が断続的に流れる(図9参照)。
他方、充放電制御を採用した場合、電流指令値Ib*は多くの期間において正となる。よってコンデンサ電圧V3に依らず、リアクトルL4には抑制電流が流れ、LCフィルタ3の共振を抑制する効果が高まる(図11参照)。
[種々の変形]
C.LCフィルタ3の位置についての変形.
整流回路203において、ダイオード整流器2と、コンデンサC3と、リアクトルL3との位置関係は上述の例に限定されることはない。ダイオード整流器2それ自体のリアクトル成分、コンデンサ成分は無視できるので、以下の種々の変形が可能である。
図12はリアクトルL3とダイオード整流器2との位置関係の変形を示す回路図である。上述の例示ではリアクトルL3はコンデンサC3よりもインバータ5から離れて、直接に直流電源線LHへ直列に接続されていた(もちろんリアクトルL3は直流電源線LLへ直接に接続されてもよい)。しかし図12に示された構成では、リアクトルL3はコンデンサC3よりもインバータ5から離れて、ダイオード整流器2を介して間接に直流電源線LHへ直列に接続される。具体的にはリアクトルL3はダイオード整流器2の入力側に対して単相交流電源1と直列に接続される。
かかる構成では、リアクトルL3がダイオード整流器2よりもインバータ5から離れており、Vr=|Vin|−VL=V3が成立する。そこで図4〜図7における電圧Vrを電圧|Vin|に読み替えることにより、図12に示される変形においても上記の実施の形態と同様に図7で示された等価回路が妥当し、上述の作用・効果が得られることは明白である。上記の実施の形態でもこの変形でも電圧|Vin|を外乱として捉えることができるからである。
図13は図12を更に変形した回路を示す回路図であり、リアクトルL3とコンデンサC3とダイオード整流器2との位置関係の変形を示す。上述の例示ではコンデンサC3は直流電源線LH,LLの間へ直接に接続されていた。しかし図13に示された構成では、コンデンサC3はダイオード整流器2よりもインバータ5から離れる。具体的にはコンデンサC3はダイオード整流器2の入力側に設けられ、コンデンサC3とリアクトルL3との直列接続に単相交流電圧Vinが印加される。
このような構成においては、コンデンサC3に流れる電流は交流であって、コンデンサ電圧V31の極性は交番する。しかしながら単相交流電圧Vinの極性がいずれであっても、コンデンサ電圧V31の正の向きを単相交流電圧Vinの低電位から高電位に向かう方向に採ることによって上記実施の形態にいうコンデンサ電圧V3を得ることができる。よってこの構成においても、図4〜7の等価回路における電圧Vrを電圧|Vin|と読み替えることによって、図7の等価回路が妥当することは明白である。
しかも図13に示された構成では、ダイオード整流器2が電流阻止部4c、例えばダイオードD43の機能をも担うので、電流阻止部4cが不要となる利点がある。
図14は図13を更に変形した回路を示す回路図であり、ダイオード整流器2の変形を示す回路図である。ここではダイオード整流器2のうち、高電位側の一対のダイオードが充放電回路4に入力するものと、インバータ5に接続されるものとの二組に分かれている。
具体的には、ダイオード整流器2は、ダイオードD21a,D21b,D22,D23a,D23b,D24を備えている。ダイオードD21a,D21bのアノードは共通してコンデンサC3の一端に接続され、ダイオードD23a,D23bのアノードは共通してコンデンサC3の他端に接続される。ダイオードD21a,D23aのカソードは共通して直流電源線LHに接続され、ダイオードD21b,D23bのカソードはいずれも、リアクトルL4を介してスイッチSlに接続される。つまり、図13に示された構成では、図14に示された回路に対し、ダイオードD21がダイオードD21a,D21bを兼用し、ダイオードD23がダイオードD23a,D23bを兼用している。但し、充放電回路4において、リアクトルL4は直流電源線LHと直接には接続されない。
かかる構成では、ダイオードD21a,D23a,D22,D24は直流電源線LHへと電圧Vrを印加するブリッジ回路を構成し、ダイオードD21b,D23b、D22,D24は直流電源線LHへと電圧Vrを印加するブリッジ回路を構成し、ダイオード整流器2はこれら二つのブリッジ回路を含む、と把握できる。このような構成においても上記の各実施の形態の作用・効果が得られることは明白である。
図15は、図13及び図14のいずれでも示されるように、コンデンサC3がダイオード整流器2よりもインバータ5から離れ、具体的にはダイオード整流器2の入力側に設けられた場合に、図2で示された共振抑制制御部15と代替して採用される共振抑制制御部151の構成及びLCフィルタ3の周辺を例示するブロック図である。
ここではコンデンサ電圧V31は、コンデンサC3とダイオードD23のアノードとダイオードD24のカソードとの接続点の電位を基準とした、コンデンサC3とダイオードD21のアノードとダイオードD22のカソードとの接続点の電位として採用される。
共振抑制制御部151にはコンデンサ電圧V31及び単相交流電圧Vin(より正確にはそれぞれの値)が入力される。共振抑制制御部151は極性判定部15bを有し、これは単相交流電圧Vinの、一方向における(例えば図15において矢印で示される単相交流電圧Vinの方向)極性を判断し、その正負に応じてそれぞれ値1,−1を出力する。かかる判断には単相交流電圧Vinの正負を用いてもよいし、その位相を用いてもよい。ここでは単相交流電圧Vinの基準には、ダイオードD23のアノードとダイオードD24のカソードとの接続点の電位が採用される。
共振抑制制御部151は乗算器15a,15cをも有している。乗算器15aはコンデンサ電圧V31に対して極性判定部15bの出力を乗算する。これにより乗算器15aからは上述の実施の形態にいうコンデンサ電圧V3が得られる。乗算器15cはコンデンサ電圧V3と所定値kとの積を乗算し、補正値k・V3が得られる。
もちろん極性判定部15bが単相交流電圧Vinの極性を判断し、その正負に応じてそれぞれ値k,−kを出力することもでき、その場合には乗算器15cは不要である。また、上述の実施の形態での共振抑制制御部15は、乗算器15aと極性判定部15bとを削除した構成であると見ることもできる。
このような構成においても上記の実施の形態の作用・効果が得られることは明白である。
D.コンデンサ電圧V3の脈動分についての変形.
上述の様に、コンデンサ電圧V3が増大するほど電流IL2を増大させることにより、抑制電流を用いてLCフィルタ3の共振を抑制することができる。そして図6及び図7の等価回路では、共振成分に着目しており、指令値V3*の共振成分の値を0とする制御を採用した。
しかしながら、コンデンサ電圧V3は、上述の様に電圧Vrの脈動の周期と同じ周期で脈動する。具体的には単相交流電圧Vinは振幅Vmと正弦値sin(ωt)との積(但しtは時間)で表せて、コンデンサ電圧V3は絶対値|sin(ωt)|に比例して脈動する。
よってこの脈動について考慮しないまま、コンデンサ電圧V3が増大するほど電流IL2を増大させることは、共振抑制に無関係な電流IL2を増大させることになる。よって当該変形では、コンデンサ電圧V3から絶対値|sin(ωt)|に比例して脈動する値を減じた値に所定値kを乗算して補正値を求めることを提案する。もちろん、この場合においても、その共振成分の値は0である。
図16は図1又は図12で示された直接形電力変換器の制御に採用される制御装置10の構成(図2)のうち、共振抑制制御部15と代替して採用される共振抑制制御部152の構成を例示するブロック図である。図17は共振抑制制御部15として共振抑制制御部152を採用した場合の、図5に対応するブロック線図である。
共振抑制制御部152は、乗算器15c、減算器15d、脈動値生成部15eを備える。但し当該変形では、共振抑制制御部152はコンデンサ電圧V3のみならず、電源角速度ωも入力する。
脈動値生成部15eは、電源角速度ωに基づいて脈動値V3**を生成する。脈動値V3**は絶対値|sin(ωt)|と比例係数V^との積であり、比例係数V^は適宜の正値に選定される。
減算器15dはコンデンサ電圧V3から脈動値V3**を減じることにより、電圧Vrの脈動に起因した脈動成分が低減された電圧V30を得る。乗算器15cは電圧V30に対して所定値kを乗算し、補正値k・V30が得られる。このようにして得られた補正値k・V30は、上記実施の形態の補正値k・V3に代替して用いられる。
従って、電圧Vrの脈動に起因した電流IL2の変動は、その抑制される程度が比例係数V^に依存するものの、脈動値V3**を上述のように設定することで抑制される。
もちろん、比例係数V^に負値を採用し、減算器15dに代替して加算器を採用しても上記の電流IL2についての効果を得ることができることは明白である。
図18は図15で示された共振抑制制御部151に代替して採用できる共振抑制制御部153の構成を示すブロック図である。共振抑制制御部153は、共振抑制制御部151に対して、共振抑制制御部152が有していた減算器15dと脈動値生成部15eとを追加した構成を備えている。
コンデンサ電圧V31(図13、図14参照)と、極性判定部15bの出力は乗算器15aで乗算され、電圧V3が得られる。電圧V3から、乗算器15c、減算器15d、脈動値生成部15eを用いて補正値k・V30が得られることは図16を用いて説明したとおりである。
このようにして、図13又は図14で示された直接形電力変換器に対しても、共振抑制に無関係な電流IL2の増大を抑制することができる。
脈動値V3**として、絶対値|sin(ωt)|に比例して脈動する値に限らず、正弦値sin(2ωt)など、電源角速度ωの二倍の角速度で変動する値を採用しても、電圧Vrの脈動に起因した電流IL2の変動を抑制できることは明白である。
E.補正値についての変形.
前節では、コンデンサ電圧V3が絶対値|sin(ωt)|に比例して脈動することに着目し、これが電流IL2の共振抑制に影響しない技術を提案した。これはいわば、コンデンサ電圧V3の周波数成分のうち、電源角速度の二倍の成分を小さくして補正値を求めた技術であると言える。
通常、LCフィルタ3の共振周波数は電源角速度周波数の二倍よりも高いので、共振成分について電流IL2を制御する観点では、共振周波数よりも低い周波数成分を補正値から除去すれば、前節と同様の効果が得られる。
よって当該変形では、コンデンサ電圧V3のフィードバックにおいて、共振周波数よりも低い周波数をカットすることを提案する。
図19は図1又は図12で示された直接形電力変換器の制御に採用される制御装置10の構成(図2)のうち、共振抑制制御部15として採用される共振抑制制御部154の構成を例示するブロック図である。図20は共振抑制制御部15として共振抑制制御部154を採用した場合の、図5に対応するブロック線図である。
共振抑制制御部154は、乗算器15c、ハイパスフィルタ15fを備える。ハイパスフィルタ15fのカットオフ周波数は電源角速度ωの二倍に対応する周波数(ω/π)よりも高く、LCフィルタ3の共振周波数よりも低く設定される。
ハイパスフィルタ15fはコンデンサ電圧V3の低域成分を低減して電圧V32を得る。乗算器15cは電圧V32に所定値kを乗算して補正値k・V32を得る。
電圧V32は電圧Vrの脈動の影響を受けないので、補正値k・V32も電圧Vrの脈動の影響を受けない。よって共振抑制に無関係な電流IL2の増大を抑制することができる。
図21は図15で示された共振抑制制御部151に代替して採用できる共振抑制制御部155の構成を示すブロック図である。共振抑制制御部155は、共振抑制制御部151に対して、共振抑制制御部154が有していたハイパスフィルタ15fを追加した構成を備えている。
コンデンサ電圧V31(図13、図14参照)と、極性判定部15bの出力は乗算器15aで乗算され、電圧V3が得られる。電圧V3から、乗算器15c、ハイパスフィルタ15fを用いて補正値k・V32が得られることは図19を用いて説明したとおりである。
このようにして、図13又は図14で示された直接形電力変換器に対しても、共振抑制に無関係な電流IL2の増大を抑制することができる。
F.リアクトル電圧VLを用いた変形.
VL=Vr−V3の関係があるので、リアクトル電圧VLを用いて、更に補正値q・VL(q>0)を用いた補正を導入することができる。リアクトル電圧VLは公知の技術によって検出される。
図22は当該変形における、ブロック10aのうち、共振抑制制御部15及びチョッパ制御部16の近傍のみを示すブロック図である。当該変形におけるブロック10aは、図2に示されたブロック10aに対して、共振抑制制御部18を追加し、加算器17を加減算器17aに置換した構成を有している。
共振抑制制御部18はリアクトル電圧VLが高いほど大きい補正値を出力する。例えばリアクトル電圧VLと所定値qとの積を補正値q・VLとして出力する。この補正値q・VLはリアクトル電圧VLに正比例する、とも言える。
加減算器17aは上述の補正値k・V30もしくは補正値k・V32と電流指令値Ib*とを加算し、更に補正値q・VLを減算する。ここで補正値q・VLを加算ではなく減算に供するのは、ある電圧Vrに対してリアクトル電圧VLとコンデンサ電圧V3とはその変動する方向が逆だからである。
加減算器17aは、補正された電流指令値(Ib*+k・V30−q・VL)または補正された電流指令値(Ib*+k・V32−q・VL)をチョッパ制御部16に入力する。チョッパ制御部16は当該補正された電流指令値に基づいて昇圧デューティdlを出力する。
この変形は、上述の実施の形態あるいは他の変形において、電流指令値Ib*が、リアクトル電圧VLが大きいほど低減される指令値(Ib*−q・VL)に置換されて採用されたものと把握することができる。
図23は図22に示された構成を採用し、かつ共振抑制制御部15が補正値k・V30を出力する場合の、図5に対応するブロック線図である。
図24及び図25は当該変形において直流電圧Vdcが一定値に制御されているときの、入力電流Iin、電流IL2、コンデンサ電圧V3、リアクトル電圧VLの波形を示すグラフである。図24は半周期制御が、図25は充放電制御が、それぞれ採用された場合の波形を示す。
このような補正値q・VLを採用することは、補正値k・V30、あるいは補正値k・V32の採用で招来される効果を高める観点で望ましい。リアクトル電圧VLはコンデンサ電圧V3よりも、単相交流電圧Vinや電圧Vrの基本周波数成分の脈動の影響を受けにくいからである。
逆に、補正値k・V30、あるいは補正値k・V32を採用することは、補正値q・VLのみを採用する場合と比較して、単相交流電圧Vinに重畳するサージの影響を受けにくい観点で望ましい。リアクトル電圧VLよりもコンデンサ電圧V3の方が、サージの影響を受けにくいからである。
この変形においても「E.補正値についての変形.」で説明したように、コンデンサ電圧V3のフィードバックにおいて、共振周波数よりも低い周波数をカットして補正値k・V32を得てもよい。図26は図22に示された構成を採用し、かつ共振抑制制御部15が補正値k・V32を出力する場合の、図5に対応するブロック線図である。
G.上位概念としての説明.
以上の実施の形態、変形について上位概念として述べると以下のように表現することができる。
直接形電力変換器は、第1電源線(LH)と;前記第1電源線よりも低い電位が印加される第2電源線(LL)と;単相交流電圧(Vin)が印加される入力側と、前記第1電源線及び前記第2電源線が接続される出力側とを有する整流回路(203)と、前記整流回路の前記出力側で前記第1電源線と前記第2電源線との間に設けられた充放電回路(4)と;前記第1電源線と前記第2電源線との間の電圧たる直流電圧(Vdc)が入力されるインバータ(5)とを備える。
前記整流回路は、単相全波整流を行うダイオード整流器(2)と;前記第1電源線と前記第2電源線との間へ直接もしくは前記ダイオード整流器を介して間接に接続される第1コンデンサ(C3)と;前記第1電源線もしくは前記第2電源線に対して、前記第1コンデンサよりも前記インバータから離れて、直接もしくは前記ダイオード整流器を介して直列に接続される第1リアクトル(L3)とを有する。
前記充放電回路は、前記第1電源線と前記第2電源線との間に設けられる第2コンデンサ(C4)を含み、可制御の時比率(dc)で前記第2コンデンサを放電するバッファ回路(4a)と;前記整流回路が出力する整流電圧(V3,Vr)を昇圧して前記第2コンデンサを充電する昇圧回路(4b)とを有する。前記充放電回路の制御方法の第1の態様では、前記昇圧回路に入力する直流電流(IL2)を、前記第1コンデンサの電圧(V3)が高いほど増大する。
前記放電回路の制御方法の第2の態様では、その第1の態様において、前記第1コンデンサ(C3)は前記第1電源線(LH)と前記第2電源線(LL)との間へ直接に接続され、前記第1コンデンサの電圧(V3)の極性は、前記第2電源線から前記第1電源線に向かう方向が正に採用される。
前記放電回路の制御方法の第3の態様では、その第1の態様において、前記第1コンデンサ(C3)は前記ダイオード整流器(2)よりも前記インバータ(5)から離れ、前記第1コンデンサの電圧(V3)の極性は、前記単相交流電圧(Vin)の低電位から高電位へ向かう方向が正に採用される。
前記放電回路の制御方法の第4の態様では、その第1〜第3の態様のいずれかにおいて、前記直流電流(IL2)の第1指令値(Ib*;Ib*−q・VL)に、前記第1コンデンサ(C3)の電圧(V3)に比例する補正値(k・V3)を加えて得られる第2指令値(Ib*+k・V3)を目標値として、前記直流電流(IL2)が制御される。
前記放電回路の制御方法の第5の態様では、その第1〜第3の態様のいずれかにおいて、前記直流電流(IL2)の第1指令値(Ib*:Ib*−q・VL)に、前記第1コンデンサ(C3)の電圧(V3)から前記単相交流電圧(Vin)の角速度(ω)の二倍の値の角速度の成分を低減した電圧(V30,V32)に比例する補正値(k・V30,k・V32)を加えて得られる第2指令値(Ib*+k・V30,Ib*+k・V32)を目標値として、前記直流電流(IL2)が制御される。
前記放電回路の制御方法の第6の態様では、その第4の態様または第5の態様において、前記第1指令値(Ib*−q・VL)は、前記第1リアクトルの電圧(VL)が高いほど低減される。
前記放電回路の制御方法の第7の態様では、その第4〜第6の態様のいずれかにおいて、前記昇圧回路(4b)は前記直流電流(IL2)が流れる第2リアクトル(L4)を有し、前記直流電流を前記第2コンデンサ(C4)へ出力するか否かのチョッパリングを行う。前記第2指令値(Ib*+k・V3)と、前記第2コンデンサ(C4)の電圧(Vc)と、前記単相交流電圧(Vin)と、前記第2リアクトルのインダクタンス(Lm)とを用いて決定される時比率(dl)を、所定のキャリヤ(C2)と比較した結果に基づいて、前記チョッパリングが行なわれる。
前記放電回路の制御方法の第8の態様では、その第1〜第7の態様のいずれかにおいて、前記バッファ回路(4a)は、前記単相交流電圧(Vin)の位相(ωt)の二倍の余弦値(cos(2ωt))が負となる期間において前記第1コンデンサ(C3)を充電し、前記余弦値が正となる期間において前記第1コンデンサを放電する。
前記放電回路の制御方法の第9の態様では、その第1〜第7の態様のいずれかにおいて、前記バッファ回路(4a)による前記第1コンデンサ(C3)の充電は、少なくとも、前記時比率(dc)が0よりも大きい期間の一部において行われる。
前記放電回路の制御方法の第7の態様によって制御される前記充放電回路(4)を制御する装置(10)は、前記第1指令値(Ib*)に前記補正値(k・V3)を加えて前記第2指令値(Ib*+k・V3)を得る加算器(17)と、前記第2指令値と前記第2コンデンサ(C4)の電圧(Vc)と、前記単相交流電圧(Vin)と、前記第2リアクトルのインダクタンス(Lm)とを用いて前記時比率(dl)を決定するチョッパ制御部(16)と、前記時比率と前記キャリヤ(C2)とを比較して、前記チョッパリングを制御する制御信号(SSl)を出力する比較器(14)とを備える。
前記放電回路の制御方法の第1〜第9の態様のいずれかによって制御される前記充放電回路は、前記第1電源線又は前記第2電源線に設けられ、前記バッファ回路(4a)から前記第1コンデンサ(C3)へと電流が流れることを阻止する電流阻止部(4c)を更に有する。
前記直接形電力変換器は、前記充放電回路(4)と、前記第1電源線(LH)と、前記第2電源線(LL)と、前記ダイオード整流器(2)と、前記第1コンデンサ(C3)と、前記第1リアクトル(L3)と、前記インバータ(5)とを備える。