JP6771407B2 - 除熱方法及び除熱システム - Google Patents

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Description

本発明は電子機器内の半導体素子等の任意の熱源を直接除熱する方法及びシステムに関する。
液滴の蒸発潜熱を利用してサーバラック内のサーバー等の電子機器を外から冷却する技術は公知である。その一例として、消火用スプリンクラと同様の構造の噴霧ノズルをサーバルーム内に配置し、サーバルームの天井近傍から下方に向けて噴霧した水滴によって、複数のサーバラックが設置されているサーバルーム全体を冷却するように構成した冷却システムを挙げることができる。また、別の例として、個々のサーバラックの内部に水滴を噴霧することにより、サーバラック毎に冷却するように構成した冷却システムを挙げることができる。(特許文献1)。
しかし、上述した従来の冷却システムでは、消火用スプリンクラと同様の構造の噴霧ノズルを使用してサーバルーム全体を一括して冷却する構造上、サーバルーム内の場所によって温度や湿度にばらつきが生じやすく、サーバラックに収納されている全ての電子機器(サーバ、ルータ、等)をまんべんなく冷却することが難しい。また、電子機器の水濡れを防止する必要上、サーバルーム内或いはサーバラック内に噴霧された比較的大きな水滴の完全蒸発を促進する除湿手段や減圧手段が必須の要素である。
そこで、特許文献2では、微細な液滴であるミストの気化熱を利用して、サーバラックなどに収納されている全ての電子機器をまんべんなく冷却することができ、しかも、冷却対象である電子機器の水濡れを防止するための除湿手段や減圧手段を別途必要としない電子機器冷却システムが開示されている。
特開2009−110469号公報 特開2014−173805号公報
ところで、正確には、サーバー等の電子機器は全体が発熱する訳ではなく、その内部に存在するCPU等のごく一部の熱源が発熱する。しかし、特許文献2記載の手法では、熱源であるCPU等ではなく電子機器の全体を冷却するので、冷却効率を高めることに限界があった。
本発明は、電子機器等の冷却対象を冷却するにあたり、高い冷却効率を発揮することのできる手法を提供することをその目的とする。
本発明の目的は、
少なくとも1種の気化性液体からなる液体微粒子を生成する工程、
前記液体微粒子を熱源まで輸送する工程、及び、
前記液体微粒子を前記熱源近傍で前記熱源と非接触状態で気化させる工程
を含み、前記液体微粒子の気化熱によって前記熱源を除熱する、除熱方法によって達成される。
前記液体微粒子の前記輸送は気体流で行うことが好ましい。
前記気体は空気であることが好ましい。
前記液体微粒子は帯電していないことが好ましい。
前記気化性液体が水を含むことが好ましい。
前記液体微粒子の最大粒径は1μm未満であることが好ましい。
前記熱源は半導体素子であることが好ましい。
本発明の目的は、
少なくとも1種の気化性液体からなる液体微粒子を生成する少なくとも1つの液体微粒子発生装置、
前記液体微粒子発生装置により生成された前記液体微粒子を熱源まで輸送する少なくとも1つの液体微粒子輸送管、及び、
前記液体微粒子発生装置から生成される前記液体微粒子の粒径、及び/又は、前記液体微粒子の生成量、及び/又は、前記液体微粒子の輸送速度を制御可能な制御装置
を備え、
前記液体微粒子の気化熱によって前記熱源を除熱する、除熱システムによっても達成される。なお、前記液体微粒子発生装置から生成される前記液体微粒子の粒径、及び/又は、前記液体微粒子の生成量、及び/又は、前記液体微粒子の輸送速度を制御するとは、前記液体微粒子発生装置から生成される前記液体微粒子の粒径、前記液体微粒子の生成量、及び、前記液体微粒子の輸送速度のうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、或いは、全てを制御することを意味する。
前記除熱システムは、前記液体微粒子輸送管内に気体流を供給する気体流供給装置を更に備えることが好ましい。
前記制御装置が前記気体流の流速を制御可能であることが好ましい。
前記気体は空気であることが好ましい。
前記液体微粒子は帯電してないことが好ましい。
前記気化性液体が水を含むことが好ましい。
前記液体微粒子の最大粒径は1μm未満であることが好ましい。
前記熱源は半導体素子であることが好ましい。
本発明の除熱方法及び除熱システムは、気化性液体の微粒子の気化熱を利用して冷却するにあたり、当該液体微粒子を熱源近傍まで輸送して、熱源を直接除熱するので、高い冷却効率を発揮することができる。したがって、本発明により、電子機器等の各種冷却対象の効果的な除熱乃至冷却が可能である。
本発明では、液体微粒子の気化によって当該液体微粒子の気化熱に相当する熱量を熱源近傍から除去することができ、これにより熱源を除熱(又は冷却)するので、液体微粒子は熱源と直接接触しない。したがって、例えば、熱源が電子デバイスであっても電子デバイスがショート等の不都合を生じることがない。
一般に、液体微粒子を輸送する場合には当該輸送中に液体微粒子が凝集する傾向が高まるが、本発明において、最大粒径が1μm未満の液体微粒子を使用する場合、及び/又は、帯電していない液体微粒子を使用する場合は、液体微粒子を輸送する際においても、液体微粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
前記液体微粒子は気化性液体を含み、冷媒として機能することができる。前記気化性液体としては、取扱いの容易性の点では、水が好ましい。
本発明において液体微粒子を気体流で輸送する場合には、液体微粒子の輸送を容易に行うことができる。また、気体流の流速を制御することによって液体微粒子の輸送速度を制御することができる。取扱いの容易性の点からは、前記気体としては空気が好ましい。
本発明において、液体微粒子発生装置から生成される液体微粒子の粒径、及び/又は、液体微粒子の生成量、及び/又は、液体微粒子の輸送速度を制御する場合は、液体微粒子が熱源近傍で熱源と非接触状態で全て気化するように調整することがより容易である。
前記液体微粒子の最大粒径が1μm未満であることが好ましい。
本発明の除熱の対象となる前記熱源は任意であり、除熱乃至冷却可能な各種の物体とすることができる。前記熱源は、発熱体が好ましく、例えば、電気を熱に変換するような物質を挙げることができるが、ヒトを含む動物等の生体のような発熱体であってもよい。また、前記生体は植物であってもよく、その場合は、植物の温度を周囲温度よりも低減することができる。そして、更に、植物の葉の気孔等を介して植物に水分を与えることもできる。前記熱源は、非生物であってもよい。そのような熱源としては、例えば、微細な電子回路を備えた半導体素子が挙げられ、特に、パワー半導体のような発熱量の大きなものであってもよい。なお、冷却効率の更なる向上のためには、前記熱源は、それ自体が熱を発生させる物体(発熱体)であることが好ましく、単に熱を伝達している物体(例えば、伝熱体、放熱体等)、或いは、発熱体より熱を受け取った結果、周囲より温度が高い状態となっている物体(発熱体を囲っている筺体等)を冷却対象とすることは好ましくない。
本発明の一実施形態の除熱システムの概略構成図。 本発明の一実施形態の除熱システムにおける液体微粒子発生装置の概略図。 本発明の一実施形態における微粒子選別プレートの拡大正面図。 本発明の一実施形態における別の微粒子選別プレートの拡大正面図。 本発明の一実施形態における別の微粒子選別プレートの拡大正面図。 本発明の一実施形態の液体微粒子発生装置における二流体ノズルの概略図。(a)は側面図を示し、(b)は断面図を示す。 本発明の一実施形態の液体微粒子発生装置における二流体ノズルの正面図。 本発明の一実施形態における液体微粒子発生装置のシステム構成図。 本発明の実施例1及び実施例2の除熱効果を示すグラフ。縦軸は温度(℃)、横軸は時間(時:分:秒)を表す。
本発明の除熱方法及び除熱システムは、気化性液体の微粒子の気化熱を利用して熱源を冷却することを前提としつつ、液体微粒子を熱源まで輸送して、液体微粒子を熱源近傍で熱源と非接触状態で気化させることによって、液体微粒子の気化熱によって熱源を直接除熱する。ここで「近傍」とは液体微粒子の気化熱による温度低減作用が熱源に及ぶ範囲であり、熱源の状況等にもよるが、例えば、熱源から10cm以内の範囲であり、5cm以内が好ましく、1cm以内がより好ましい。このように、本発明では熱源を直接冷却するので、高い冷却効率を発揮することができる。また、本発明では、液体微粒子が熱源表面において結露することなく、高い冷却効率を発揮することができる。
本発明では、液体微粒子の最大粒径を1μm未満に制御することが好ましい。これによって、予想外に、液体微粒子の凝集を効果的に回避乃至低減することができる。特に、本発明では、液体微粒子を輸送する際においても、液体微粒子の凝集を抑制することができる。液体微粒子が帯電していない場合は、液体微粒子の凝集の回避乃至低減を更に良好に行うことができる。
本発明において液体微粒子の最大粒径を1μm未満に制御する場合は、液体微粒子の平均粒径ではなく最大粒径を1μm未満とする必要がある。液体微粒子の平均粒径が1μm未満の場合、粒度統計分布上、1μm以上の粒径を有する液体微粒子が必ず存在するが、そのような液体微粒子は比較的大きいために凝集する傾向が完全には否定できず、凝集した液体微粒子が熱源表面に接触して結露してしまう可能性が増大する。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、図示される実施形態では電子機器中の熱源を除熱乃至冷却の対象としているが、上記のとおり、熱源は除熱乃至冷却可能な任意の物体とすることができる。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る除熱システム1は、液体微粒子発生装置300、及び、液体微粒子輸送管200を備えており、更に、図1において図示を省略する制御装置をも備えている。
まず、液体微粒子発生装置について説明する。
この実施形態における液体微粒子発生装置300は、図2に示すように、下端部が閉じ上端部に蓋部310aを有する円筒形状の微粒子分別容器310を備えている。この微粒子分別容器310の蓋部310aには、気化性液体(噴霧対象物質)を空気等の気体により破砕微細化する二流体ノズル(微粒子発生ノズル)312が設けられている。ここで二流体ノズル312は、ノズルの先端部に設けられた噴出口から噴出された液体の外周部に対して気体噴出口から気体を噴出させ、液体を気体により破砕微細化することにより気化性液体の微粒子を噴出させるものである。
なお、前記液体としては、気化性であり、気化熱を生じるものであれば、どのような種類の液体も使用可能であるが、取り扱い性の点で水が好ましい。また、必要に応じて、前記液体は水以外の成分をも含むことができる。水以外の前記成分としては、例えば、香料等の揮発性物質が上げられる。使用の簡便性の点で、前記液体は水のみからなることがより好ましい。
図2に示すように、微粒子分別容器310内には、二流体ノズル312により発生された気化性液体の微粒子を微粒子分別容器310の下部まで整流して導く整流コーン(整流部材)314が設けられている。ここで整流コーン314の上部の開口部には、二流体ノズル312の先端部が配置されている。また、微粒子分別容器310内には、二次気体用コンプレッサ316から延びる二次気体供給管318が配置されており、二次気体用コンプレッサ316からの空気等の二次気体は、整流コーン314の下部の開口部付近に供給される。また、微粒子分別容器310内には、整流コーン314により微粒子分別容器310の下部まで導かれた気化性液体の微粒子の浮上を抑制し、微粒子の選別を行う3枚の微粒子選別プレート320,322,324が設けられている。
図3に示すように、微粒子選別プレート320は、中央部に整流コーン314が貫通する開口部320aが設けられた円板形状を有するプレート状部材であり、多数の微粒子通過孔320bが設けられている。また、図4に示すように、微粒子選別プレート322は、中央部に整流コーン314が貫通する開口部322aが設けられた円板形状を有するプレート状部材であり、多数の微粒子通過孔322bが設けられている。なお、微粒子通過孔322bは、微粒子選別プレート320の微粒子通過孔320bの大きさよりも大きく形成されている。更に図5に示すように、微粒子選別プレート324は、中央部に整流コーン314が貫通する開口部324aが設けられた円板形状を有するプレート状部材であり、多数の微粒子通過孔324bが設けられている。なお、微粒子通過孔324bは、微粒子選別プレート322の微粒子通過孔322bの大きさよりも大きく形成されている。
図2に示すように、微粒子分別容器310の底部には、液体貯留容器326に連通する液体排出口310bが設けられている。微粒子分別容器310の底部にたまった液体は、液体排出口310bから排出され液体貯留容器326内に貯留される。
また、微粒子分別容器310の蓋部310aには、微粒子分別容器310内において分別された微粒子を吐出する吐出部328が設けられている。ここで、吐出部328は、微粒子分別容器310の蓋部310aに噴霧口取付部328aにより取り付けられており、図1の液体微粒子輸送管200と接続されている。
図2に示す微粒子分別容器310の容器壁には補助気体用ノズル319aが設置されており、補助気体用コンプレッサ317から延びる補助気体供給管319bが接続されている。補助気体用ノズル319aの噴出口は吐出部328に向けられており、補助気体用コンプレッサ317から供給された補助気体は微粒子分別容器310内において補助気体用ノズル319aから上方に向けて吐出される。図2に示す態様では、補助気体用コンプレッサ317、補助気体供給管319b及び補助気体用ノズル319aが微粒子分別容器310内に外部から補助気体を導入する補助気体導入手段を構成する。
また、液体貯留容器326と二流体ノズル312との間には、液体を二流体ノズル12へ供給するための液体供給管330が設けられている。この液体供給管330には、二流体ノズル312への液体供給量を調整するための電磁弁332aが設けられている。なお、二流体ノズル312へは、液体貯留容器326以外からも分岐供給管330aを介して気化性液体を供給することができる。また、ノズル供給用コンプレッサ334と二流体ノズル312との間には、ノズル用気体を二流体ノズル312へ供給するための気体供給管336が設けられている。
この実施形態における二流体ノズル312は、図6に示すように、略円筒状の中空のケーシング41の内部に略円筒状の中子42を挿入し一体化させた構造になっている。ケーシング41の先端には二流体ノズル312の中心軸線Aと中心が一致した円形の開口部43が形成されている。この開口部43により、気体噴射口32bの外側輪郭が形成されている。ケーシング41の側面には二流体ノズル312の中心軸線Aに対して垂直な軸線を有するようにして気体供給口32aが設けられている。この気体供給口32aには気体供給管336が接続されている。
中子42は、その中心軸線Aに沿って内部がくり抜かれて中空になっている。また、その外径はケーシング41の中空の孔にぴったりと嵌入する寸法になっている。中子42の長手方向の中央部はやや細く形成され、ケーシング41の内面との間に円環筒状の空間50が残されている。中子42の基端には液体供給口31aが形成されている。中子42の先端には液体吐出口31bが形成されている。液体供給口31aと液体吐出口31bは、中子42の軸心部を貫く流路により互いに連通している。液体供給口31aには、液体供給管330が接続されている。液体吐出口31bの周囲には、渦流形成体56が形成されている。渦流形成体56は、円錐形状の先端面を有し、当該略円錐形状の先端面には、螺旋状の複数本の旋回溝59が形成されている(図7参照)。そして、渦流形成体56の先端面とケーシング41の先端の内面との間には渦流室57が形成されている。渦流室57を構成している中子42の先端端面58は、ケーシング41の開口部43の内壁との間に隙間を有していて、これが気体噴射口32bを成している。
図7に示すように、液体吐出口31bは、二流体ノズル312の中心に配置され、その周囲に環状の気体噴射口32bが配置されている。気体噴射口32bは渦流室57に連通している。
気体供給口32aから二流体ノズル312内に供給された気体は、空間50を通過して、渦流形成体56の旋回溝59を通り抜ける際に圧縮され高速気流となる。この高速気流は渦状の気流となって、絞られた円環状の気体噴射口32bから噴射され、二流体ノズル312の前方に高速で旋回する気流を形成する。この旋回気流(渦状の気流)はケーシング41の先端に近接した前方位置を焦点とするような先細りの円錐形に形成される。
液体供給口31aには液体供給管330を通して液体が供給される。液体供給口31aから中子42の中空部分を通って液体吐出口31bから吐出された液体は、気体噴射口32bから噴射された高速の旋回気流によって微粒子に破砕され、微細なミスト(液体微粒子)となって二流体ノズル312の前方に放出される。
必要に応じて、二流体ノズル312には、吐出部328から吐出される液体の微粒子に電荷を供給する電源装置が接続されていてもよい。この電源装置により所望の直流電圧を二流体ノズル312に給電し、吐出部から吐出される微粒子を帯電させることができる。しかし、後述するように、微粒子を帯電させないことが好ましい。
上述の二次気体用コンプレッサ316により微粒子分別容器310内に供給される二次気体の圧力、補助気体用コンプレッサ317より微粒子分別容器310内に供給される補助気体の圧力、ノズル供給用コンプレッサ334により二流体ノズル312に供給されるノズル用気体の圧力、及び、電磁弁332aを介して二流体ノズル312に供給される液体の量は、制御装置342(図8参照)によって制御される。すなわち、制御装置342は、二流体ノズル312に供給されるノズル用気体の圧力を制御するための第1の気体圧制御手段、微粒子分別容器310内に供給される二次気体の圧力を制御するための第2の気体圧制御手段、微粒子分別容器310内に供給される補助気体の圧力を制御するための補助気体圧制御手段、及び、二流体ノズル312に供給される液体の量を制御する液体量制御手段として機能する。なお、上記電源装置が存在する場合は、制御装置342により、電源装置によって二流体ノズル312に供給される電荷量(帯電量)が制御される。
また、制御装置342には、吐出部328から吐出される微粒子の粒子径を検出する粒子径検出部S1及び微粒子の粒子量を検出する粒子量検出部S2が接続され、粒子径検出部S1及び粒子量検出部S2から検出値が入力される。また、制御装置342には、吐出部328から吐出させる微粒子の粒子径を設定する粒子径設定部344a及び微粒子の粒子量を設定する粒子量設定部344bが接続されている。なお、上記電源装置が存在する場合は、制御装置342には、微粒子の帯電量(供給電荷量)を設定する帯電量設定部が接続される。
次に、液体微粒子発生装置300による微粒子の発生について説明する。なお、以下の説明においては、二流体ノズル312に液体を供給すると共に、ノズル用気体、二次気体及び補助気体として空気を供給し、液体の微粒子を発生させる場合を例として説明する。
まず、粒子径設定部344aにより吐出部328から吐出させる液体の微粒子の粒子径の設定を行い、粒子量設定部344bにより吐出部28から吐出させる液体の微粒子の粒子量を設定する。
この微粒子の粒子径の設定及び微粒子の粒子量の設定が終了した後、液体の微粒子を発生させる。すなわち、この液体微粒子発生装置300においては、ノズル供給用コンプレッサ334から気体供給管336を介して二流体ノズル312に空気(ノズル用気体)が供給されると、この空気が二流体ノズル312の先端部の気体噴出口から噴出され、この噴出力により液体貯留容器326内の液体が吸上げられ、液体供給管330を介して二流体ノズル312に供給される。
二流体ノズル312においては、液体噴出口から噴出される液体が気体噴出口から噴出される空気により破砕微細化されて、液体の微粒子が噴出される。この二流体ノズル312から噴出された液体の微粒子は、整流コーン314内を通って微粒子分別容器310の下部まで導かれる。一方、二次気体用コンプレッサ316からの空気(二次気体)が二次気体供給管318を介して整流コーン314の下部の開口部付近に供給される。また、補助気体用コンプレッサ317からの空気(補助気体)が補助気体供給管319bを介して補助気体用ノズル319aから微粒子分別容器310内に吐出部328に向けて吐出される。
微粒子分別容器310の下部まで導かれた液体の微粒子は、二流体ノズル312から噴出された空気(ノズル用気体)、二次気体及び補助気体による上昇流により、微粒子選別プレート320,322,324により浮上を抑制されつつ、微粒子選別プレート320,322,324に設けられた微粒子通過孔320b,322b,324bを通って、徐々に微粒子分別容器310内を浮上する。すなわち、まず微粒子選別プレート324を通過した液体の微粒子は、微粒子選別プレート322により浮上が抑制され、微粒子選別プレート324と微粒子選別プレート322の間に所定の粒子径を有する液体の微粒子が滞留する。ここで粒子径の大きい液体の微粒子は、重力により微粒子分別容器310の底部に落下する。
また、微粒子選別プレート322を通過した液体の微粒子は、微粒子選別プレート320により浮上が抑制され、微粒子選別プレート322と微粒子選別プレート320の間に所定の粒子径を有する液体の微粒子が滞留する。ここで粒子径の大きい液体の微粒子は、重力により微粒子分別容器310の底部に落下する。なお、微粒子選別プレート322と微粒子選別プレート320の間に滞留する液体の微粒子の粒子径は、微粒子選別プレート324と微粒子選別プレート322の間に滞留する液体の微粒子の粒子径よりも小さくなっている。
このようにして液体の微粒子が微粒子分別容器310内を浮上するにしたがい、粒子径の大きい液体の微粒子は、微粒子分別容器310の底部に落下し、均一な粒子径の液体の微粒子のみが微粒子分別容器310の吐出部328から吐出される。なお、微粒子分別容器310の底部にたまった液体は、液体排出口310bから排出され液体貯留容器326に貯留され再利用される。
吐出部328から吐出された液体の微粒子の粒子径は、粒子径検出部S1により検出され、液体の微粒子の粒子量は、粒子量検出部S2により検出される。粒子径検出部S1及び粒子量検出部S2により検出された検出値は、制御装置342に入力される。制御装置342においては、吐出部328から吐出される液体の微粒子の粒子径が粒子径設定部344aにより設定された値になるように、また液体の微粒子の粒子量が粒子量設定部344bにより設定された値になるように、二次気体用コンプレッサ316、電磁弁332a、ノズル供給用コンプレッサ334、及び、補助気体用コンプレッサ317に対して制御信号を出力し、二流体ノズル312に供給される空気(ノズル用気体)の圧力及び二流体ノズル312に供給される液体の量を制御すると共に、微粒子分別容器310内に供給される二次気体及び補助気体の圧力を制御する。
すなわち、制御装置342においては、粒子径検出部S1により検出された液体の微粒子の粒子径が粒子径設定部344aにより設定された大きさよりも大きい場合には、ノズル供給用コンプレッサ334を制御して、二流体ノズル312に供給される空気(ノズル用気体)の圧力を高くし、及び/又は、二次気体用コンプレッサ316を制御して微粒子分別容器310内に供給される空気(二次気体)の圧力を高くし、及び/又は、補助気体用コンプレッサ17を制御して微粒子分別容器10内に供給される空気(補助気体)の圧力を高くする。これにより吐出部328から吐出される液体の微粒子の粒子径を小さくする。
一方、粒子径検出部S1により検出された液体の微粒子の粒子径が粒子径設定部344aにより設定された大きさよりも小さい場合には、ノズル供給用コンプレッサ334を制御して、二流体ノズル312に供給される空気(ノズル用気体)の圧力を低くし、及び/又は、二次気体用コンプレッサ316を制御して微粒子分別容器310内に供給される空気(二次気体)の圧力を低くし、及び/又は、補助気体用コンプレッサ17を制御して微粒子分別容器10内に供給される空気(補助気体)の圧力を低くする。これにより吐出部328から吐出される微粒子の粒子径を大きくする。
なお、二流体ノズル312に供給される空気(ノズル用気体)の圧力、微粒子分別容器310内に供給される空気(二次気体及び/又は補助気体)の圧力の何れかを制御することにより、吐出部328から吐出される液体の微粒子の粒子径を制御することができるが、二流体ノズル312に供給される空気(ノズル用気体)の圧力、微粒子分別容器310内に供給される空気(二次気体)の圧力、及び、補助気体用コンプレッサ17を制御して微粒子分別容器10内に供給される空気(補助気体)の圧力の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは全てを制御することにより、より精度よく液体の微粒子の粒子径を制御することができる。
また、粒子量検出部S2により検出された液体の微粒子量が粒子量設定部344bにより設定された量よりも少ない場合には、電磁弁332aに対して制御信号を出力して、二流体ノズル312に供給される液体の量を増加させる。これにより吐出部328から吐出される液体の微粒子の粒子量が多くなる。一方、粒子量検出部S2により検出された液体の微粒子量が粒子量設定部344bにより設定された量よりも多い場合には、電磁弁332aに対して制御信号を出力して、二流体ノズル312に供給される液体の量を減少させる。これにより吐出部328から吐出される液体の微粒子の粒子量が少なくなる。
この液体微粒子発生装置300においては、粒子径検出部S1により検出された液体の微粒子の粒子径が粒子径設定部344aにより設定された粒子径となり、粒子量検出部S2により検出された液体の粒子量が粒子量設定部344bにより設定された粒子量となるまで上述の制御が繰り返される。
微粒子分別容器310の容器壁は、上記補助気体導入手段を備えていなくてもよいが、当該補助気体導入手段を備えることが好ましい。これにより、粒径の制御及び/又は吐出量の制御をより良好に行えることができる。
この液体微粒子発生装置300においては、必要な場合にのみ、吐出部328に設けた図示を省略する弁が開いて液体微粒子輸送管200への液体の微粒子の輸送を可能とすることができる。
この実施の形態にかかる液体微粒子発生装置300によれば、液体を粒子径設定手段により設定された均一な粒子径の微粒子として噴霧し、また、使用時のみ液体微粒子を吐出することができる。したがって、所望の粒子径で液体の微粒子を発生することができることから、少ない液体の量で大きな効果を得ることができる。また必要以上の液体を発生することを防止することができるため、液体の消費量を少なくすることができる。
また、この実施の形態では、微粒子選別プレート320,322,324を備えた微粒子分別容器310を使用し、且つ、上記の粒径制御を行うことにより、液体微粒子の最大粒径を設定することができ、また、粒子径設定手段により設定された均一な粒子径の微粒子として噴霧することができる。本発明では、液体微粒子の最大粒径を1μm未満に設定することが好ましい。
なお、液体微粒子については帯電させないことが好ましいが、帯電させる場合は、上記帯電量設定部により、吐出部328から吐出させる液体の微粒子を帯電させることができる。すなわち、上記帯電量設定部により帯電量を設定すると、制御装置342は、設定した値に基づいて、上記電源装置に対して制御信号を出力し、当該電源装置により二流体ノズル312に供給される電荷量の制御を行うことができる。
また、上述の実施の形態においては、二流体ノズル312に空気が供給されると、この空気が二流体ノズル312の先端部の気体噴出口から噴出され、この噴出力により液体貯留容器326内の液体が吸上げられて二流体ノズル312に供給されるが、液体の粘性が非常に高い場合においては、ポンプ等を用いて二流体ノズル312の液体噴出口まで液体を導くことにより、同様に液体の微粒子を発生させることができる。
このように、液体微粒子発生装置300は、液体吐出口31b(図6(b)、図7)から液体を吐出しつつ、その液体を気体噴射口32b(図6(b)、図7)から噴射される気体の高速渦流によって破砕することによりミストを発生する二流体ノズル312(図2)を備えている。この二流体ノズル312により発生された液体微粒子が液体微粒子輸送管200を通して輸送される。
次に、液体微粒子輸送管について説明する。
液体微粒子輸送管200は、液体微粒子発生装置300により発生させた液体微粒子(ミスト)の通路を構成しており、当該通路内の気体中に浮遊しているミストを輸送可能である。図1に示す実施態様では、液体微粒子輸送管200は液体微粒子発生装置300の(図示を省略する)吐出部328にその一端が接続されており、また、他端は電子機器100中の熱源101の近傍に開口している。したがって、液体微粒子輸送管200は液体微粒子発生装置300から発生した液体微粒子を熱源101近傍まで輸送可能である。
本発明では、前記ミストの最大粒径を1μm未満に制御することが好ましい。これによって、特に輸送中の、ミストの凝集を効果的に回避乃至低減することができる。したがって、本発明のこの態様では、ミストを微細な状態のまま熱源に効率的に輸送することができる。前記ミストが帯電していない場合は、静電力によるミストの集合を抑制できるので、ミストの凝集の回避乃至低減を更に良好に行うことができる。また、液体微粒子輸送管200の内面への付着も回避乃至低減できるので、ミストの輸送も容易となる。
図1に示す実施態様では、熱源101は基板102上に配置された半導体素子とされているが、熱源101の種類は特には限定されない。したがって、電子機器100中に存在する任意の発熱体が熱源101であってよい。
図1に示す実施態様では、熱源101はケース103によって囲まれており、ケース103には排気口103aが形成されている。そして、排気口103aには、詳細な図示を省略するファン等の強制排気手段103bが設置されており、ケース103内の雰囲気をケース103外、更には電子機器100外に強制排気可能とされている。
したがって、図1に示す実施態様では、強制排気手段103bを駆動させることによって、ケース103内の気体を外部に排気して、ケース103内を負圧とすることができる。これにより、液体微粒子輸送管200内の液体微粒子はケース103内に吸引されて、熱源101近傍まで気体流によって輸送可能である。なお、強制排気手段103bがなくとも、例えば、液体微粒子発生装置300の二流体ノズル(噴霧ノズル)312からの噴射力によって、液体微粒子輸送管200を介して液体微粒子をケース103内に輸送可能であれば、強制排気手段103bは無くともよい。
液体微粒子輸送管200は、必要に応じて、その途中の任意の箇所に、液体微粒子輸送管200内に気体流を供給する気体流供給装置を備えることができる。気体流供給装置は特に限定されるものではないが、例えば、ファン等の送風機器が挙げられる。気体流供給装置の設置個数も任意であり、1つの液体微粒子輸送管200内に必要に応じて複数の気体流供給装置を設置することもできる。気体流供給装置の存在によって、液体微粒子輸送管200内の液体微粒子の輸送を確実に行うことができ、例えば、液体微粒子輸送管200が長い場合であっても、液体微粒子を安定的に輸送することができる。
液体微粒子輸送管200内、及び/又は、ケース103内の気体の種類は限定されるものではなく、例えば、室温(25℃)で気体である任意のガス(窒素等)を使用することができるが、取り扱い性の点で、空気であることが好ましい。
図1に示す実施態様では、電子機器100中に1つの熱源101が存在するが、電子機器100中には複数の熱源が存在してもよい。その場合は、個々の熱源について図1に示す除熱システム1を設けることができる。
本発明の除熱システム1では液体微粒子の気化熱によって熱源を除熱する。したがって、例えば、ヒートポンプ、放熱板等の熱伝導を利用した除熱方法に比べて熱源を効果的に除熱することができる。
そして、本発明の除熱システム1は、電子機器100中の熱源101を直接除熱することができる。したがって、電子機器100の外部にミストを吹き付けて電子機器100を外部から除熱する場合に比べて効果的な除熱が可能である。また、電子機器100を外部から除熱する場合は比較的大量のミストが必要であるが、本発明の除熱システム1では熱源101の部分にのみミストを供給すればよいので、ミストの生成量を抑制して除熱効率を高めることができる。
図1に示す実施形態では、本発明の除熱システム1を構成する構成要素である、及び、液体微粒子発生装置300、液体微粒子輸送管200の大部分は電子機器100の外部に設けられているが、これらの構成要素の少なくとも1つは電子機器100の内部に設けられてもよく、また、これらの構成要素の全てが電子機器100の内部に設けられることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る除熱システム1を使用した除熱方法の一例について説明する。
まず、液体微粒子発生装置300によって液体微粒子(ミスト)を発生させる。液体微粒子の最大粒径は1μm未満が好ましく、例えば、0.1〜1μm未満の範囲とすることができるが、0.2〜0.9μmがより好ましく、0.3〜0.8μmが更により好ましい。なお、1μm未満の最大粒径を有する液体微粒子は、粒径が1μm以上の液体微粒子を含まない。すなわち、例えば、平均粒径が1μm未満の液体微粒子は粒径分布に応じてその一部に1μm以上の液体微粒子を含むが、最大粒子径が1μm未満の液体微粒子はそのような比較的大径の粒子を含まない。したがって、最大粒子径が1μm未満の液体微粒子は全てがナノミクロンのサイズであり、所謂ナノ微粒子の状態にある。液体微粒子の粒径が1μm未満であると、より大径の液体微粒子に比べて凝集する可能性が低減し、気流に乗って熱源101まで容易に到達できるので、熱源101の周囲の空間への液体微粒子の送達が容易である。また、液体微粒子が帯電していないと、帯電している場合に比べて液体微粒子が凝集する可能性が低減するので液体微粒子の輸送が容易である。したがって、液体微粒子は電荷を有さない(帯電していない)ことが好ましい。前記液体としては、気化性であれば特に限定されないが、水が好ましい。
次に、強制排気手段103bを駆動させることによって、ケース103内の雰囲気を外部に排気して、ケース103内を負圧とする。これにより、液体微粒子発生装置300によって発生した液体微粒子は液体微粒子輸送管200内に吸引され、液体微粒子輸送管200内の液体微粒子は気体流によって輸送され、電子機器100内に導入されて、熱源101近傍で液体微粒子輸送管200の開口端から排出される。本発明の除熱方法では、このようにして、液体微粒子を電子機器100内の熱源101まで輸送することができる。
なお、強制排気手段103bがなくとも、例えば、液体微粒子発生装置300の噴霧ノズル312からの噴射力によって、液体微粒子輸送管200を介して液体微粒子をケース103内に輸送可能であれば、強制排気手段103bを駆動させなくとも、液体微粒子を熱源101まで輸送することができる。
このようにして熱源101近傍まで輸送された液体微粒子は熱源近傍にて熱源と非接触状態で気化する。これにより、気化熱に相当する熱量が熱源101近傍から奪われるので、熱源101が除熱される。
熱源101の種類によっては、液体微粒子は熱源101と直接接触しないことが特に好ましい。例えば、熱源101が微細な電子回路を備える半導体素子の場合、液体微粒子の種類によっては、熱源101に液体微粒子が接触すると短絡等が生じるおそれがあるので、液体微粒子は熱源101と接触する前に気化して熱源101周囲から気化熱に相当する熱量を奪い除熱効果を発揮することが好ましい。
前記液体微粒子発生装置から生成される前記液体微粒子の粒径、及び/又は、前記液体微粒子の生成量、及び/又は、前記液体微粒子の輸送速度を制御することによって、熱源101との接触前に液体微粒子が全て気化するように気化位置を制御することが好ましい。気化位置の制御は、例えば、液体微粒子発生装置300から吐出される液体微粒子の粒径、量及び/又は強制排気手段103bの駆動を調整することによって行うことができる。
本発明の除熱方法では液体微粒子の気化熱によって熱源を除熱する。したがって、例えば、ヒートポンプ、放熱板等の熱伝導を利用した除熱方法に比べて熱源を効果的に除熱することができる。
また、本発明の除熱方法では、電子機器100中の熱源101を直接除熱することができる。したがって、電子機器100の外部にミストを吹き付けて電子機器100を外部から除熱する場合に比べて効果的な除熱が可能である。また、電子機器100を外部から除熱する場合は比較的大量のミストが必要であるが、本発明の除熱方法では熱源101の部分にのみミストを供給すればよいので、ミストの生成量を抑制して除熱効率を高めることができる。
本発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態では、液体微粒子発生装置300に1つの液体微粒子輸送管200が接続されているが、液体微粒子発生装置300に複数の液体微粒子輸送管200が接続されていてもよい。また、液体微粒子発生装置300に1つの液体微粒子輸送管200が接続されているものの、当該液体微粒子輸送管200が1つ又は複数の分岐を有しており、それぞれが液体微粒子を排出可能な複数の開口端を有していてもよい。また、電子機器100内の熱源101は複数存在してもよい。そして、電子機器100内に複数の熱源が存在する場合には、1つケース103内に複数の熱源101が存在してもよく、また、複数のケースのそれぞれの内部に1つ又は複数の熱源が存在してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本発明による除熱の一例として、パソコンのCPUの除熱を行った。パソコンとしては、ヒューレット・パッカード社製コンパック6000プロを使用し、CPUとして Core 2 E7500 (2.93Hz)を使用した。なお、OSはウィンドウズ(登録商標)7プロを使用した。
具体的には、まず、パソコン本体からCPUが搭載されたボードを取り出し、箱形の断熱材(ケース103に相当)により包囲した。次に、断熱材の側面の一部に穿孔してチューブ(液体微粒子輸送管200に相当)を導入し、チューブの先端をCPUの放熱板近傍に配置した。なお、断熱材の上面に排気用の開口部(排気口103aに相当)を設けてファン(強制排気手段103bに相当)を設置して強制排気可能とした。
液体微粒子発生装置として、図2〜図8に示す装置を使用し、上記チューブの他端を液体微粒子発生装置の吐出部に接続して、液体微粒子をチューブの先端から放出可能とした。液体としては水を使用し、また、チューブの先端から吐出される液体微粒子の最大粒径を100nmに設定した。そして、外気温25℃の条件にて、5分間、ファンを稼働して、CPUの周囲を負圧とすることによって、水微粒子を液体微粒子発生装置からCPUの放熱板上に導入した。目視で確認したところ、CPUの放熱板は濡れていなかった。したがって、水微粒子はCPUの放熱板上で全て気化したことが分かる。CPUの温度を測定し、その経時変化を記録した。結果を図9に示す。
[実施例2]
液体微粒子発生装置から吐出される液体微粒子の最大粒径を1μmに設定したこと以外は実施例1と同一の条件にて液体微粒子をCPUの放熱板上に導入した。目視で確認したところ、CPUの放熱板は濡れていなかった。したがって、水微粒子はCPUの放熱板上で全て気化したことが分かる。CPUの温度を測定し、その経時変化を記録した。結果を図9に示す。
[結果]
図9から明らかなように、実施例1及び実施例2ともCPUを経時的に冷却することができた。一方、実施例2におけるCPUの温度低下幅よりも、実施例1におけるCPUの温度低下幅の方がかなり大きい。実施例1では実施例2よりも微細な液体微粒子がCPU放熱板の直上にて気化することにより、気化熱による除熱が効果的に行われていることが分かる。また、使用された水の量も実施例1の方が実施例2よりも少量であった。したがって、実施例1の方が実施例2よりも技術的に優位である。
1 除熱システム
200 液体微粒子輸送管
300 液体微粒子発生装置

Claims (11)

  1. 少なくとも1種の気化性液体からなり最大粒径が100nmである液体微粒子を生成する工程、
    前記液体微粒子を熱源である半導体素子まで輸送する工程、及び、
    前記液体微粒子を前記半導体素子近傍で前記半導体素子と非接触状態で気化させる工程
    を含み、前記液体微粒子の気化熱によって前記半導体素子直接除熱する、除熱方法。
  2. 前記液体微粒子の前記輸送を気体流で行う、請求項1記載の除熱方法。
  3. 前記気体が空気である、請求項2記載の除熱方法。
  4. 前記液体微粒子が帯電していない、請求項1乃至3のいずれかに記載の除熱方法。
  5. 前記気化性液体が水を含む、請求項1乃至4のいずれかに記載の除熱方法。
  6. 少なくとも1種の気化性液体からなり最大粒径が100nmである液体微粒子を生成する少なくとも1つの液体微粒子発生装置、
    前記液体微粒子発生装置により生成された前記液体微粒子を熱源である半導体素子まで輸送する少なくとも1つの液体微粒子輸送管、及び、
    前記液体微粒子発生装置から生成される前記液体微粒子の粒径、及び/又は、前記液体微粒子の生成量、及び/又は、前記液体微粒子の輸送速度を制御可能な制御装置
    を備え、
    前記液体微粒子の気化熱によって前記半導体素子直接除熱する、除熱システム。
  7. 前記液体微粒子輸送管内に気体流を供給する気体流供給装置を更に備える、請求項記載の除熱システム。
  8. 前記制御装置が前記気体流の流速を制御可能である、請求項記載の除熱システム。
  9. 前記気体が空気である、請求項又は記載の除熱システム。
  10. 前記液体微粒子が帯電していない、請求項乃至のいずれかに記載の除熱システム。
  11. 前記気化性液体が水である、請求項乃至10のいずれかに記載の除熱システム。
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