〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図1から図9に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るタッチパネルコントローラ10を備えるタッチパネルシステム1の構成を示す概略図である。図1の(a)はタッチパネルシステム1の構成を示す概略図であり、図1の(b)はタッチパネル20の内部の構造の一部を示す回路図である。
(タッチパネルシステム1の構成)
タッチパネルシステム1は、図1の(a)に示すように、タッチパネルコントローラ10及びタッチパネル20を備えている。また、タッチパネルコントローラ10は、マルチプレクサ105、ドライバ110、センスアンプ115、タイミングジェネレータ120、AD変換器125、容量分布計算部130、ピーク値検出回路135、指閾値フィルタ140、指周辺閾値フィルタ145、棒状体閾値フィルタ150、棒状体周辺閾値フィルタ155、タッチ認識部160を備えている。タッチパネルコントローラ10は、タッチパネル20をタッチした指示体が、指、棒状体、及びノイズのいずれであるかを判定する。棒状体とは、タッチパネル20と接触する部位が指よりも細いものである。例えば、棒状体の例としては、ペンが挙げられる。
駆動読み出し回路100は、マルチプレクサ105、ドライバ110、及びセンスアンプ115を備えている。
マルチプレクサ105は、タッチパネル20が備える信号線のうち、X方向に延びる第1信号線HL1〜HLMをドライブライン及びセンスラインの一方とし、Y方向に延びる第2信号線VL1〜VLMをドライブライン及びセンスラインの他方とする。その後、マルチプレクサ105は、ドライブラインとセンスラインとを切り替える。つまり、マルチプレクサ105はタッチパネル20、ドライバ110、及びセンスアンプ115それぞれの接続を入れ替える。第1信号線HL1〜HLM及び第2信号線VL1〜VLMは、タッチパネル20と接続切り替え部107との間の信号線である。X方向とY方向とは互いにおおむね直交する方向である。また、第1信号線HL1〜HLMは、互いに平行に配置されており、第2信号線VL1〜VLMも、互いに平行に配置されている。また、マルチプレクサ105は接続切り替え部107を複数有している。
接続切り替え部107は複数あり、接続切り替え部107それぞれは、1本の第1信号線及び1本の第2信号線と、ドライバ110及びセンスアンプ115との接続を切り替え制御する。具体的には、第1信号線HL1〜HLMはそれぞれ、ドライブ信号線DL1〜DLM又はセンス信号線SL1〜SLMと接続される。第2信号線VL1〜VLMはそれぞれ、ドライブ信号線DL1〜DLM又はセンス信号線SL1〜SLMと接続される。
ドライバ110は、ドライブ信号線DL1〜DLM及び接続切り替え部107を介して、符号系列に基づいて、第1信号線HL1〜HLM又は第2信号線VL1〜VLMに電圧を印加して各静電容量を駆動する。
センスアンプ115は、センス信号線SL1〜SLM及び接続切り替え部107を介して、第1信号線HL1〜HLM又は第2信号線VL1〜VLMからの信号に基づいて、各静電容量に対応する電圧の線形和を計算する。センスアンプ115は、ドライバ110により駆動された各静電容量に対応する電圧の線形和(線形和信号)をAD変換器125に供給する。
タイミングジェネレータ120は、接続切り替え部107の動作を規定する信号、ドライバ110の動作を規定する信号、センスアンプ115の動作を規定する信号、及びAD変換器125の動作を規定する信号を生成する。タイミングジェネレータ120は、生成した信号をそれぞれ、接続切り替え部107、ドライバ110、センスアンプ115、及びAD変換器125に供給する。
AD変換器125は、センスアンプ115から供給された、各静電容量に対応する電圧の線形和をAD変換する。AD変換器125は、AD変換した、各静電容量に対応する電圧の線形和(線形和信号)を容量分布計算部130に供給する。
容量分布計算部130は、AD変換器125から供給された、各静電容量に対応する電圧の線形和と符号系列とに基づいて、タッチパネル20上のDCマップを計算してピーク値検出回路135に供給する。DCマップとは、1フレームにおいてタッチパネル20全体の静電容量の変化量(差分値)を示す分布である。また、DCマップでは、各静電容量に対応する電圧の線形和と符号系列とに基づいて、各静電容量の変化量が計算された後、センスラインの方向に積分が行われていない。各静電容量の変化量を計算した後、センスラインの方向に積分を行うと、ノイズが大きい場合、棒状体によるタッチを検出することができない場合がある。よって、タッチパネルコントローラ10では、各静電容量の変化量が計算された後、センスラインの方向に積分が行われないDCマップを用いている。
ピーク値検出回路135は、容量分布計算部130から供給されたDCマップに基づいて、指又は棒状体によるタッチパネル20へのタッチに基づく静電容量信号のタッチパネル20上のピーク値を検出する。つまり、ピーク値検出回路135は、容量分布計算部130で計算されたDCマップから、ピーク値の座標を抽出する。
指閾値フィルタ140は、ピーク値が指ピーク値候補(後述する)であるか否かを所定の指閾値に基づいて判定する。指閾値は、指でタッチパネル20をタッチしたときに測定されると考えられる静電容量の変化量の最小値が設定された数値である。
指周辺閾値フィルタ145は、指ピーク値候補が指によるタッチに基づく指ピーク値であるか否かを所定の指周辺閾値に基づいて判定する。
棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値が棒状体ピーク値候補(後述する)であるか否かを所定の棒状体閾値に基づいて判定する。棒状体閾値は、棒状体でタッチパネル20をタッチしたときに測定されると考えられる静電容量の変化量の最小値が設定された数値である。一般的に、指でタッチしたときの静電容量の変化量は、棒状体でタッチしたときの静電容量の変化量より大きい値になる。
棒状体周辺閾値フィルタ155は、棒状体ピーク値候補が棒状体によるタッチに基づく棒状体ピーク値であるか否かを所定の棒状体周辺閾値に基づいて判定する。
タッチ認識部160は、指周辺閾値フィルタ145又は棒状体周辺閾値フィルタ155から供給された判定結果に基づいて、タッチパネル20上のタッチされた位置を認識し、かつ、指、棒状体、及びノイズのいずれであるかを区別して認識する。
タッチパネル20は、互いに平行なX方向に延びる第1信号線HL1〜HLMと、互いに平行なY方向に延びる第2信号線VL1〜VLMとを備える。タッチパネル20は、静電容量方式のタッチパネルである。
図1の(b)に示すように、第1信号線HL1〜HLMと第2信号線VL1〜VLMとは、互いにおおむね直交し、第1信号線HL1〜HLMと第2信号線VL1〜VLMとの間には、コンデンサ210が接続されている。つまり、第1信号線HL1〜HLMと第2信号線VL1〜VLMとが交差する部分にコンデンサ210が接続されている。
(タッチパネルコントローラ10の処理の手順)
次に、タッチパネルコントローラ10の処理の手順(タッチ位置検出方法)について図2〜図4に基づいて説明する。図2は、タッチパネルコントローラ10の処理の手順を示すフローチャートである。図3は、1つのセンスラインの静電容量の変化量の値を示すグラフである。図3の(a)は静電容量の変化量の値を示すグラフであり、図3の(b)はピーク値領域を示すグラフである。図4は、ピーク値領域の静電容量の変化量の値を模式的に示す模式図である。図3及び図4においては、上下方向が静電容量の変化量を示しており、左右方向がDCマップの座標においてセンスラインの方向を示している。図3及び図4は、DCマップにおいて、静電容量の変化量と、1つのセンスラインの方向とで、2次元的に表示されている。
図2に示すように、まず、ピーク値検出回路135は、容量分布計算部130から供給されたDCマップに基づいて、指又は棒状体によるタッチパネル20へのタッチに基づく静電容量信号のタッチパネル20上のピーク値を検出する(ステップS110:ピーク値検出工程)。具体的には、図3の(a)及び(b)に示すように、ピーク値検出回路135は、静電容量の変化量が、予め定めたピーク検出閾値以上になっているピーク値領域を検出する。つまり、ピーク値検出回路135は、DCマップ上においてピーク検出閾値以上である座標を抽出する。また、抽出された複数の座標が形成する領域(ピーク値領域)内で最も大きい座標の値をピーク値とする。このとき、DCマップに対して、指閾値、棒状体閾値、ピーク値検出閾値の順に大きい値になるように設定する。なお、ピーク値は複数検出される場合がある。ピーク値検出回路135は、このピーク値領域において、ピーク値を検出する。例えば、図3の(b)に示すように、ピーク値検出回路135は、静電容量の変化量がピーク検出閾値以上になっているピーク値領域X1・X2・X3を検出する。また、ピーク値検出回路135は、ピーク値領域X1・X2・X3それぞれのピーク値P1・P2・P3を検出する。ピーク値検出回路135は、検出したピーク値の情報を指閾値フィルタ140に供給する。このとき、ピーク値領域X1・X2・X3それぞれの領域内で、最も大きい値がピーク値P1・P2・P3である。
指閾値フィルタ140は、検出されたピーク値が指閾値以上であるか否かを判定する(ステップS120:指閾値フィルタ工程)。このとき、検出されたピーク値が複数ある場合、指閾値フィルタ140は、1つのピーク値を選択して判定を行う。例えば、図3の(b)に示すように、ピーク値P1・P2・P3が検出された場合、指閾値フィルタ140は、まず、ピーク値P1を選択して判定を行うとする。ピーク値P1は、図3の(b)に示すように指閾値を超えているので、指閾値フィルタ140は、ピーク値P1が指ピーク値候補であると判定する(ステップS130)。指閾値フィルタ140は、ピーク値P1を含むピーク値領域X1(指ピーク値領域)について、指フィルタ(後述する)を適用するように、指周辺閾値フィルタ145に指示する。
ピーク値P2・P3は、ピーク値P1についてステップS210の処理が終わった後に判定される。なお、ピーク値P2は指閾値を超えておらず、棒状体閾値を超えている。このため、指閾値フィルタ140がピーク値P2を選択した場合、指閾値フィルタ140は、ピーク値P2が指ピーク値候補ではないと判定する。指閾値フィルタ140は、ピーク値P2が棒状体閾値以上であるか否かを判定するように、棒状体閾値フィルタ150に指示する。ピーク値P2については、ステップS160の処理に移る。
指閾値フィルタ140によりピーク値P1が指ピーク値候補であると判定された場合、指周辺閾値フィルタ145は、カウンタが指フィルタの設定内であるか否かを判定する(ステップS140:指周辺閾値フィルタ工程)。具体的には、指フィルタとは、指周辺閾値フィルタ145が、指ピーク値候補が指によるタッチに基づく指ピーク値であるか否かを指周辺閾値に基づいて判定することである。図4に示すように、ピーク値領域X1において、指周辺閾値フィルタ145は、指によるタッチに基づく指ピーク値であるか否かを指周辺閾値A1に基づいて判定する。一般的に、タッチによる静電容量の変化量のピーク値において、指示体が指である場合のピーク値は、指示体が棒状体である場合のピーク値より大きい。しかし、棒状体の導電性が高く、持ち手と棒状体との接触抵抗が低い場合、棒状体のタッチによるピーク値が、指のタッチによるピーク値と同等である場合がある。このため、ピーク値のみで判断すると、棒状体のタッチを指のタッチと誤って判断する虞がある。そこで、指フィルタを適用して、指ピーク値候補のピーク値周辺での変化状況に基づいて最終的に指タッチを抽出する。つまり、図4に示す三角形のセンスラインの方向の幅の大きさを確認することで最終的に指タッチを抽出する。
指周辺閾値A1については以下に説明する。まず、タッチパネル20上において、タッチパネル20と指示体との接触座標を考える。ピーク値P1を示す座標において、その座標から周囲に拡大した第1領域(ピーク値を除く)と、第1領域を囲む第2領域(ピーク値及び第1領域を除く)が設定される。指周辺閾値フィルタ145は、第2領域において、指周辺閾値A1以上である値をカウントする。指周辺閾値A1は指閾値より低い値である。第1領域及び第2領域においてピーク値を中心とする範囲は、予め定められた範囲である。第1領域及び第2領域の範囲は、レジスタ等(図示せず)にデータとして記録されており、そのデータを変更することで、その範囲は変更され得る。なお、指周辺閾値フィルタ145が指周辺閾値A1以上である値をカウントするとき、その値の絶対値が、指周辺閾値A1以上であるか否かを判定する。値の絶対値で判定する理由は、静電容量の変化量には、負の値も含まれるためである。指周辺閾値フィルタ145は、第2領域において指周辺閾値A1以上である値をカウントする。ここで、棒状体フィルタ(後述する)の設定カウント値を0〜n、指フィルタの設定カウント値をn+1〜mとする(n<mであり、かつ、n及びmは自然数)。この設定カウント値は、レジスタ等(図示せず)にデータとして記録されており、そのデータを変更することで、それらの設定カウント値は変更され得る。
第2領域において指周辺閾値A1以上である値のカウント数がn+1以上m以下(指フィルタの設定カウント値内)とすると、指周辺閾値フィルタ145は、ピーク値P1を含むピーク値領域X1の指ピーク値候補が指ピーク値であると判定する(ステップS145)。指周辺閾値フィルタ145は、この判定結果をタッチ認識部160に供給する。タッチ認識部160は、この判定結果に基づいて、指示体が指である(指によるタッチである)と判定する。
なお、図4に示すピーク値領域Xaの場合、ピーク値Paが指閾値を超えているので、指閾値フィルタ140は、ピーク値Paを指ピーク値候補であると判定する。また、第2領域において指周辺閾値A1以上である値のカウント数がn以下(指フィルタの設定カウント値外)であるとする。このとき、指周辺閾値フィルタ145は、ピーク値Paを含むピーク値領域Xa(指ピーク値領域)の指ピーク値候補が指ピーク値ではないと判定する(ステップS150)。指周辺閾値フィルタ145は、ピーク値Paを含むピーク値領域Xaの指ピーク値候補において、棒状体フィルタ(後述する)を適用するように、棒状体周辺閾値フィルタ155に指示する。この後の処理は、ステップS180〜ステップS210の処理(後述する)と同様である。
タッチ認識部160は、検出された全てのピーク値の判定が終了したかを確認する(ステップS210)。ピーク値P1の判定が終了しており、ピーク値P2・P3の判定が終了していない場合、タッチ認識部160は、検出された全てのピーク値の判定が終了していないことを確認する。タッチ認識部160は、指閾値フィルタ140に、ピーク値P2かピーク値P3のどちらを判定するかを選択するように指示する。指閾値フィルタ140がピーク値P2又はピーク値P3を選択した場合、再度ステップS120〜ステップS210の処理が順に行われる。
ピーク値P1〜P3の判定が全て終了した場合、タッチ認識部160は、検出された全てのピーク値の判定が終了したことを確認する。タッチ認識部160は、ピーク値P1〜P3それぞれの接触座標において、指タッチ、棒状体タッチ、及びノイズのいずれかであると認識する。
一方、指閾値フィルタ140がピーク値P2を選択した場合、前述したように、指閾値フィルタ140は、ピーク値P2が棒状体閾値以上であるか否かを判定するように、棒状体閾値フィルタ150に指示する。棒状体閾値フィルタ150は、その指示にしたがい、ピーク値P2は棒状体閾値以上であるか否かを判定する(ステップS160:棒状体閾値フィルタ工程)。
ピーク値P2は棒状体閾値を超えているので、棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値P2が棒状体ピーク値候補であると判定する(ステップS170)。もしピーク値が棒状体閾値以下である場合、棒状体閾値フィルタ150は、そのピーク値がノイズ又はお手付きであると判定する(ステップS200)。棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値P2について、棒状体フィルタ(後述する)を適用するように、棒状体周辺閾値フィルタ155に指示する。
棒状体閾値フィルタ150によりピーク値P2が棒状体ピーク値候補であると判定された場合、棒状体周辺閾値フィルタ155は、カウンタが棒状体フィルタの設定内であるか否かを判定する(ステップS180:棒状体周辺閾値フィルタ工程)。具体的には、棒状体フィルタとは、棒状体周辺閾値フィルタ155が、棒状体ピーク値候補が棒状体によるタッチに基づく棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値に基づいて判定することである。図4に示すように、ピーク値領域X2(棒状体ピーク値領域)において、棒状体周辺閾値フィルタ155は、棒状体によるタッチに基づく棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値A2に基づいて判定する。
棒状体周辺閾値A2については以下に説明する。ピーク値P2を示す座標において、その座標から周囲に拡大した第1領域と、第1領域を囲む第2領域が設定される。棒状体周辺閾値フィルタ155は、第2領域において、棒状体周辺閾値A2以上である値をカウントする。棒状体周辺閾値A2は棒状体閾値より低い値である。なお、棒状体周辺閾値フィルタ155が棒状体周辺閾値A2以上である値をカウントするとき、その値の絶対値が、棒状体周辺閾値A2以上であるか否かを判定する。
第2領域において棒状体周辺閾値A2以上である値のカウント数がn以下(棒状体フィルタの設定カウント値内)であるとする。このとき、棒状体周辺閾値フィルタ155は、ピーク値P2を含むピーク値領域X2の棒状体ピーク値候補が棒状体ピーク値であると判定する(ステップS190)。棒状体周辺閾値フィルタ155は、この判定結果をタッチ認識部160に供給する。タッチ認識部160は、この判定結果に基づいて、指示体が棒状体である(棒状体によるタッチである)と判定する。
なお、図4に示すピーク値領域X3の場合、ピーク値P3は指閾値未満であるため、指閾値フィルタ140は、ピーク値P3を指ピーク値候補ではないと判定する。また、棒状体閾値を超えているため、棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値P3が棒状体ピーク値候補であると判定する。第2領域において棒状体周辺閾値A2以上である値のカウント数がn+1以上(棒状体フィルタの設定カウント値外)であるとする。このとき、棒状体周辺閾値フィルタ155は、ピーク値P3を含むピーク値領域X3(棒状体ピーク値領域)の棒状体ピーク値候補が棒状体タッチではない、つまり、ノイズ又はお手付きであると判定する(ステップS200)。棒状体周辺閾値フィルタ155は、この判定結果をタッチ認識部160に供給する。タッチ認識部160は、この判定結果に基づいて、ノイズ又は指示体がお手付きであると認識する。
以上により、タッチパネルコントローラ10は、指閾値フィルタ140及び棒状体閾値フィルタ150を備えているため、タッチパネルを指及び棒状体のどちらでタッチしているのかを区別することができる。また、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合、指ピーク値候補が指周辺閾値フィルタ145により指ピーク値でないと判定される。その後、棒状体周辺閾値フィルタ155は、指ピーク値候補が棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値に基づいて判定する。これにより、タッチパネルコントローラ10は、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合でも、指示体が棒状体であるか否かを判定することができる。
また、タッチパネルコントローラ10は、指ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を判定し、棒状体ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を判定する。これにより、指ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度、及び棒状体ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を参照することで、指、棒状体、及びノイズを誤った判定をすることなく区別することができる。また、手のひら等のお手付き状態では、指示体が指又は棒状体の場合より接触面積が大きく、静電容量の変化範囲が大きいため、周辺領域の静電容量の変化量を参照してノイズであると判定することができる。
(指示体の判定の具体例)
次に、タッチパネル20に接触した指示体が、指、棒状体、及びノイズのいずれであるかを判定する処理の具体例について図5〜図9に基づいて説明する。
ここでは、指閾値を650、棒状体閾値を100、指周辺閾値を60、棒状体周辺閾値を60、指フィルタの設定カウント値を5〜10、棒状体フィルタの設定カウント値を0〜4とする。また、図5の(a)、図6の(a)、図7の(a)、図8の(a)、及び図9の(a)において、右方向をX方向、下方向をY方向とする。また、第1領域は、ピーク値を中心に、X方向に3、X方向に−1、Y方向に2、Y方向に−1に移動する範囲に拡大した領域(ピーク値を除く)である。第2領域は、X方向に5、X方向に−3、Y方向に4、Y方向に−3に移動する範囲に拡大した領域からピーク値及び第1領域を除いた領域である。図5の(b)、図6の(b)、図7の(b)、図8の(b)、及び図9の(b)において、正のピーク値PX1・PX3・PX5・PX7・PX9と、負のピーク値PX2・PX4・PX6・PX8・PX10とがある。ここでは、判定されるピーク値に、正のピーク値PX1・PX3・PX5・PX7・PX9を採用しているが、負のピーク値PX2・PX4・PX6・PX8・PX10を採用してもよい。
なお、指又は棒状体でタッチパネル20がタッチされたとき、タッチパネル20は、タッチされた周辺の静電容量を接地に送る機能を有する。このため、タッチパネル20では、タッチされた狭い範囲で静電容量の変化が発生する。また、一般的に棒状体は、指が指示する範囲より小さい範囲を指示することができるように先端が細くなるため、静電容量が変化する範囲が小さい。このため、棒状体フィルタの設定カウント値は、指フィルタの設定カウント値より小さい値に設定されている。また、第1領域及び第2領域は、静電容量の変化量が大きい部分が抽出されることで設定される。DCマップの分布はタッチパネルの機種ごとに異なる場合があるため、第1領域及び第2領域の設定は、タッチパネルの機種ごとに再度行われることが望ましい。
(指示体が指である場合)
指示体が指である場合について図5に基づいて説明する。図5は、指によるタッチパネル20へのタッチにおいて、静電容量の変化量の値の分布を示す図である。図5の(a)は静電容量の変化量の値を示す図であり、図5の(b)は静電容量の変化量の値を示すグラフである。
図5の(a)に示すように、ピーク値PX1の値は945である。よって、ピーク値PX1は指閾値(650)より大きい値であるため、指閾値フィルタ140により指ピーク値候補であると判定される。指閾値フィルタ140は、ピーク値PX1を含むピーク値領域(指ピーク値領域)について、指フィルタを適用するように、指周辺閾値フィルタ145に指示する。
指周辺閾値フィルタ145は、第2領域R2の座標の中で、絶対値が、指周辺閾値の値(60)以上である値の数をカウントする。第2領域R2の座標の中で、絶対値が、指周辺閾値の値(60)以上である値は、−115、111、−134、106、−173、及び−87である。これにより、カウント値は6となるため、このカウント値は、指フィルタの設定カウント値(5〜10)に含まれる。よって、ピーク値PX1を含むピーク値領域において、指示体が指であると判定される。
(指示体が棒状体である場合)
指示体が棒状体である場合について図6に基づいて説明する。図6は、棒状体によるタッチパネルへのタッチにおいて、静電容量の変化量の値の分布を示す図である。図6の(a)は静電容量の変化量の値を示す図であり、図6の(b)は静電容量の変化量の値を示すグラフである。
図6の(a)に示すように、ピーク値PX3の値は168である。よって、ピーク値PX3は指閾値(650)より小さい値であるため、指閾値フィルタ140により指ピーク値候補ではないと判定される。指閾値フィルタ140は、ピーク値PX3が棒状体閾値以上であるか否かを判定するように、棒状体閾値フィルタ150に指示する。ピーク値PX3の値は168であるため、棒状体閾値(100)より大きい値である。よって、ピーク値PX3は、棒状体閾値フィルタ150により棒状体ピーク値候補であると判定される。棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値PX3を含むピーク値領域(棒状体ピーク値領域)について、棒状体フィルタを適用するように、棒状体周辺閾値フィルタ155に指示する。
棒状体周辺閾値フィルタ155は、第2領域R4の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値の数をカウントする。第2領域R4の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値はない。これにより、カウント値は0となるため、このカウント値は、棒状体フィルタの設定カウント値(0〜4)に含まれる。よって、ピーク値PX3を含むピーク値領域において、指示体が棒状体であると判定される。
(指示体が棒状体であり、かつ、強い接触である場合)
指示体が棒状体であり、かつ、強い接触である場合について図7に基づいて説明する。図7は、棒状体によるタッチパネルへの強いタッチにおいて、静電容量の変化量の値の分布を示す図である。図7の(a)は静電容量の変化量の値を示す図であり、図7の(b)は静電容量の変化量の値を示すグラフである。
図7の(a)に示すように、ピーク値PX5の値は912である。よって、ピーク値PX5は指閾値(650)より大きい値であるため、指閾値フィルタ140により指ピーク値候補であると判定される。指閾値フィルタ140は、ピーク値PX5を含むピーク値領域(指ピーク値領域)について、指フィルタを適用するように、指周辺閾値フィルタ145に指示する。
指周辺閾値フィルタ145は、第2領域R6の座標の中で、絶対値が、指周辺閾値の値(60)以上である値の数をカウントする。第2領域R6の座標の中で、絶対値が、指周辺閾値の値(60)以上である値はない。これにより、カウント値は0となるため、このカウント値は、指フィルタの設定カウント値(5〜10)に含まれない。よって、ピーク値PX5を含むピーク値領域において、指示体が指ではないと判定される。指周辺閾値フィルタ145は、ピーク値PX5を含むピーク値領域において、棒状体フィルタを適用するように、棒状体周辺閾値フィルタ155に指示する。
棒状体周辺閾値フィルタ155は、第2領域R6の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値の数をカウントする。第2領域R6の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値はない。これにより、カウント値は0となるため、このカウント値は、棒状体フィルタの設定カウント値(0〜4)に含まれる。よって、ピーク値PX5を含むピーク値領域において、指示体が棒状体であると判定される。
(指示体が棒状体であり、かつ、接触面積が大きい場合)
指示体が棒状体であり、かつ、接触面積が大きい場合について図8に基づいて説明する。図8は、タッチパネルへの接触面積が大きい棒状体によるタッチパネルへのタッチにおいて、静電容量の変化量の値の分布を示す図である。図8の(a)は静電容量の変化量の値を示す図であり、図8の(b)は静電容量の変化量の値を示すグラフである。
図8の(a)に示すように、ピーク値PX7の値は321である。よって、ピーク値PX7は指閾値(650)より小さい値であるため、指閾値フィルタ140により指ピーク値候補ではないと判定される。指閾値フィルタ140は、ピーク値PX7が棒状体閾値以上であるか否かを判定するように、棒状体閾値フィルタ150に指示する。ピーク値PX7の値は321であるため、棒状体閾値(100)より大きい値である。よって、ピーク値PX7は、棒状体閾値フィルタ150により棒状体ピーク値候補であると判定される。棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値PX7を含むピーク値領域(棒状体ピーク値領域)について、棒状体フィルタを適用するように、棒状体周辺閾値フィルタ155に指示する。
棒状体周辺閾値フィルタ155は、第2領域R8の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値の数をカウントする。第2領域R8の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値は、−66、101、−89、及び99である。これにより、カウント値は4となるため、このカウント値は、棒状体フィルタの設定カウント値(0〜4)に含まれる。よって、ピーク値PX7を含むピーク値領域において、指示体が棒状体であると判定される。
(指示体がノイズ又はお手付きである場合)
指示体がノイズ又はお手付きである場合について図9に基づいて説明する。図9は、お手付きによるタッチパネルへのタッチにおいて、静電容量の変化量の値の分布を示す図である。図9の(a)は静電容量の変化量の値を示す図であり、図9の(b)は静電容量の変化量の値を示すグラフである。
図9の(a)に示すように、ピーク値PX9の値は502である。よって、ピーク値PX9は指閾値(650)より小さい値であるため、指閾値フィルタ140により指ピーク値候補ではないと判定される。指閾値フィルタ140は、ピーク値PX9が棒状体閾値以上であるか否かを判定するように、棒状体閾値フィルタ150に指示する。ピーク値PX9の値は502であるため、棒状体閾値(100)より大きい値である。よって、ピーク値PX9は、棒状体閾値フィルタ150により棒状体ピーク値候補であると判定される。棒状体閾値フィルタ150は、ピーク値PX9を含むピーク値領域(棒状体ピーク値領域)について、棒状体フィルタを適用するように、棒状体周辺閾値フィルタ155に指示する。
棒状体周辺閾値フィルタ155は、第2領域R10の座標の中で、絶対値が、棒状体周辺閾値(60)以上である値の数をカウントする。第2領域R10の座標の中で、棒状体周辺閾値(60)以上である値は、−287、−365、333、423、−467、−444、423、298、444、222、334、106、−249、−391、−254、及び−354である。これにより、カウント値は16となるため、このカウント値は、棒状体フィルタの設定カウント値(0〜4)に含まれない。よって、ピーク値PX9を含むピーク値領域において、指示体がノイズ又はお手付きであると判定される。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図10及び図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図10は、本発明の実施形態2に係るタッチパネルコントローラ11を備えるタッチパネルシステム2の構成を示す概略図である。図11は、タッチパネル20上の静電容量の変化量の値を示す3次元グラフである。図11の(a)は、第2信号線VL1〜VLMをドライブラインとしたときの静電容量の変化量の値を示し、図11の(b)は、第1信号線HL1〜HLMをドライブラインとしたときの静電容量の変化量の値を示す。
また、第1信号線HL1〜HLMをドライブラインとしたときは、第2信号線VL1〜VLMがセンスラインになり、第2信号線VL1〜VLMをドライブラインとしたときは、第1信号線HL1〜HLMがセンスラインになる。なお、第1信号線HL1〜HLMをドライブラインとしたときを第1信号線駆動モードと称し、第2信号線VL1〜VLMをドライブラインとしたときを第2信号線駆動モードと称する。また、駆動読み出し回路100は、第1信号線駆動モード及び第2信号線駆動モードを有する。第1信号線駆動モードは、第1信号線HL1〜HLMを駆動してコンデンサ210の電荷に基づく第1線形和信号を第2信号線VL1〜VLMに沿って読み出す。第2信号線駆動モードは、第2信号線VL1〜VLMを駆動してコンデンサ210の電荷に基づく第2線形和信号を第1信号線HL1〜HLMに沿って読み出す。
(タッチパネルシステム2の構成)
タッチパネルシステム2は、図10に示すように、タッチパネルコントローラ11及びタッチパネル20を備えている。タッチパネルシステム2は、タッチパネルシステム1と比べて、タッチパネルコントローラ10がタッチパネルコントローラ11に変更されている点が異なる。
タッチパネルコントローラ11は、タッチパネルコントローラ10と比べて、指ピーク値選択回路165及び棒状体ピーク値採用回路170を備えている点が異なる。
図11の(a)に示すように、第2信号線駆動モードでは、タッチパネル20上の静電容量の変化量の値を示す3次元グラフには、ピーク値F1〜F5、PE1、及びPE2が表示されている。また、図11の(b)に示すように、第1信号線駆動モードでは、タッチパネル20上の静電容量の変化量の値を示す3次元グラフには、ピーク値F2、F6〜F9、及びPE1が表示されている。第1信号線駆動モードの3次元グラフ、及び第2信号線駆動モードの3次元グラフの両方には、ピーク値F2及びピーク値PE1が表示されている。
また、前述した、ステップS110からステップS210までの処理を行い、タッチ認識部160は、ピーク値F1〜F9を指ピーク値、ピーク値PE1及びPE2を棒状体ピーク値であると判定したとする。ここで、指ピーク値選択回路165は、第1信号線駆動モードの3次元グラフ、及び第2信号線駆動モードの3次元グラフの両方に表示されている指ピーク値(F2)を最終的に指ピーク値として選択する。また、棒状体ピーク値採用回路170は、第1信号線駆動モードの3次元グラフ、及び第2信号線駆動モードの3次元グラフのいずれかに表示されている棒状体ピーク値(PE1、PE2)を最終的に棒状体ピーク値として採用する。つまり、指ピーク値選択回路165はピーク値F2を指ピーク値として選択し、棒状体ピーク値採用回路170はピーク値PE1・PE2を棒状体ピーク値として採用する。そして、タッチ認識部160は、指ピーク値選択回路165及び棒状体ピーク値採用回路170からピーク値の情報を受け取り、ピーク値F2において指示体が指であると認識し、ピーク値PE1・PE2において指示体が棒状体であると認識する。このとき、指ピーク値及び棒状体ピーク値のいずれにも該当しなかったピーク値は、タッチ認識部160により、センスラインに乗ったノイズ又はお手付きであると認識される。
要約すると、指ピーク値選択回路165は、第1信号線駆動モードと第2信号線駆動モードとの双方で指ピーク値であると判定された指ピーク値候補を指ピーク値として選択する。棒状体ピーク値採用回路170は、第1信号線駆動モードと第2信号線駆動モードとのいずれかで棒状体ピーク値であると判定された棒状体ピーク値候補を棒状体ピーク値として採用する。
以上により、タッチパネルコントローラ11は、指ピーク値選択回路165により、第1信号線駆動モードと第2信号線駆動モードとの双方で指ピーク値であると判定された指ピーク値候補を指ピーク値として選択する。また、タッチパネルコントローラ11は、棒状体ピーク値採用回路170により、第1信号線駆動モードと第2信号線駆動モードとのいずれかで棒状体ピーク値であると判定された棒状体ピーク値候補を棒状体ピーク値として採用する。これにより、棒状体でタッチパネル20を強くタッチした場合、指閾値を超えて、かつ、指ではないと判定されるとき、ノイズであると判定されることなく、指示体が棒状体であると判定する。よって、タッチパネルコントローラ11では、棒状体でタッチパネル20を強くタッチした場合、誤った判定をすることがなくなる。したがって、タッチパネルコントローラ11は、ノイズの除去を行いつつ、信号強度が小さい、棒状体によるタッチの信号を確実に抽出することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るタッチパネルコントローラ(10、11)は、指又は棒状体によるタッチパネル(20)へのタッチに基づく静電容量信号の前記タッチパネル上のピーク値を検出するピーク値検出回路(135)と、前記ピーク値が指ピーク値候補であるか否かを指閾値に基づいて判定する指閾値フィルタ(140)と、前記指ピーク値候補が前記指によるタッチに基づく指ピーク値であるか否かを指周辺閾値に基づいて判定する指周辺閾値フィルタ(145)と、前記ピーク値が棒状体ピーク値候補であるか否かを棒状体閾値に基づいて判定する棒状体閾値フィルタ(150)と、前記棒状体ピーク値候補が前記棒状体によるタッチに基づく棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値に基づいて判定する棒状体周辺閾値フィルタ(155)とを備え、前記棒状体周辺閾値フィルタは、前記指周辺閾値フィルタにより前記指ピーク値でないと判定された指ピーク値候補が前記棒状体ピーク値であるか否かを前記棒状体周辺閾値に基づいて判定する。
上記の構成によれば、タッチパネルコントローラは、指閾値フィルタ及び棒状体閾値フィルタを備えているため、タッチパネルを指及び棒状体のどちらでタッチしているのかを区別することができる。また、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合、指ピーク値候補が指周辺閾値フィルタにより指ピーク値でないと判定される。その後、棒状体周辺閾値フィルタは、指ピーク値候補が棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値に基づいて判定する。これにより、タッチパネルコントローラは、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合でも、指示体が棒状体であるか否かを判定することができる。
本発明の態様2に係るタッチパネルコントローラ(11)は、上記態様1において、前記タッチパネル(20)が、複数の第1信号線(HL1〜HLM)と、前記第1信号線と交差する複数の第2信号線(VL1〜VLM)と、前記複数の第1信号線と前記複数の第2信号線との間にそれぞれ形成される複数のコンデンサ(210)とを有し、前記第1信号線を駆動して前記コンデンサの電荷に基づく第1線形和信号を前記第2信号線に沿って読み出す第1信号線駆動モードと、前記第2信号線を駆動して前記コンデンサの電荷に基づく第2線形和信号を前記第1信号線に沿って読み出す第2信号線駆動モードとを有する駆動読み出し回路(100)をさらに備え、前記第1信号線駆動モードにおいて前記指周辺閾値フィルタ(145)により指ピーク値であると判定された指ピーク値候補が複数個存在し、前記第2信号線駆動モードにおいて前記指周辺閾値フィルタにより指ピーク値であると判定された指ピーク値候補が複数個存在し、前記第1信号線駆動モードにおいて前記棒状体周辺閾値フィルタ(155)により棒状体ピーク値であると判定された棒状体ピーク値候補が複数個存在し、前記第2信号線駆動モードにおいて前記棒状体周辺閾値フィルタにより棒状体ピーク値であると判定された棒状体ピーク値候補が複数個存在し、前記第1信号線駆動モードと前記第2信号線駆動モードとの双方で指ピーク値であると判定された指ピーク値候補を指ピーク値として選択する指ピーク値選択回路(165)と、前記第1信号線駆動モードと前記第2信号線駆動モードとのいずれかで棒状体ピーク値であると判定された棒状体ピーク値候補を棒状体ピーク値として採用する棒状体ピーク値採用回路(170)とをさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルコントローラは、指ピーク値選択回路により、第1信号線駆動モードと前記第2信号線駆動モードとの双方で指ピーク値であると判定された指ピーク値候補を指ピーク値として選択する。また、タッチパネルコントローラは、棒状体ピーク値採用回路により、第1信号線駆動モードと第2信号線駆動モードとのいずれかで棒状体ピーク値であると判定された棒状体ピーク値候補を棒状体ピーク値として採用する。これにより、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合、指閾値を超えて、かつ、指ではないと判定されるとき、ノイズであると判定されることなく、指示体が棒状体であると判定する。よって、タッチパネルコントローラでは、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合、誤った判定をすることがなくなる。したがって、タッチパネルコントローラは、ノイズの除去を行いつつ、信号強度が小さい、棒状体によるタッチの信号を確実に抽出することができる。
本発明の態様3に係るタッチパネルコントローラ(10、11)は、上記態様1又は2において、前記指周辺閾値が、前記指ピーク値候補に対応する指ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を判定するために設けられて前記指閾値よりも小さく、前記棒状体周辺閾値が、前記棒状体ピーク値候補に対応する棒状体ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を判定するために設けられて前記棒状体閾値よりも低くてもよい。
上記の構成によれば、タッチパネルコントローラは、指ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を判定し、棒状体ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を判定する。これにより、指ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度、及び棒状体ピーク値領域を囲む複数の周辺領域における静電容量信号の強度を参照することで、指、棒状体、及びノイズを誤った判定をすることなく区別することができる。また、手のひら等のお手付き状態では、指示体が指又は棒状体の場合より接触面積が大きく、静電容量の変化範囲が大きいため、周辺領域の静電容量の変化量を参照してノイズであると判定することができる。
本発明の態様4に係るタッチパネルシステム(1、2)は、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記タッチパネルコントローラと、前記タッチパネル(20)とを備えていてもよい。
本発明の態様5に係るタッチパネルコントローラ(10、11)は、前記棒状体は、前記タッチパネル(20)と接触する部位が前記指よりも細くてもよい。
本発明の態様6に係るタッチ位置検出方法は、指又は棒状体によるタッチパネル(20)へのタッチに基づく静電容量信号の前記タッチパネル上のピーク値を検出するピーク値検出工程と、前記ピーク値が指ピーク値候補であるか否かを指閾値に基づいて判定する指閾値フィルタ工程と、前記指ピーク値候補が前記指によるタッチに基づく指ピーク値であるか否かを指周辺閾値に基づいて判定する指周辺閾値フィルタ工程と、前記ピーク値が棒状体ピーク値候補であるか否かを棒状体閾値に基づいて判定する棒状体閾値フィルタ工程と、前記棒状体ピーク値候補が前記棒状体によるタッチに基づく棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値に基づいて判定する棒状体周辺閾値フィルタ工程とを包含し、前記棒状体周辺閾値フィルタ工程は、前記指周辺閾値フィルタ工程により前記指ピーク値でないと判定された指ピーク値候補が前記棒状体ピーク値であるか否かを前記棒状体周辺閾値に基づいて判定する。
上記の構成によれば、タッチ位置検出方法は、指閾値フィルタ工程及び棒状体閾値フィルタ工程を備えているため、タッチパネルを指及び棒状体のどちらでタッチしているのかを区別することができる。また、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合、指ピーク値候補が指周辺閾値フィルタ工程により指ピーク値でないと判定される。その後、棒状体周辺閾値フィルタ工程では、指ピーク値候補が棒状体ピーク値であるか否かを棒状体周辺閾値に基づいて判定する。これにより、タッチ位置検出方法は、棒状体でタッチパネルを強くタッチした場合でも、指示体が棒状体であるか否かを判定することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。