JP6768538B2 - 連結部材 - Google Patents

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Description

本発明は、送電線を把持するクランプ本体と鉄塔に支持されたがいし装置とを連結する連結部材に関する。
くさびクランプや懸垂クランプ等における送電線を把持するクランプ本体と、鉄塔に支持されたがいし装置とを連結する連結部材が用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
特許文献1に記載された連結部材は、それぞれが長尺な板材を屈曲させて形成した一対の連結板からなり、これら一対の連結板は、クランプ本体からがいし装置のリンク部材にかけて延在し、送電線を内側にして対向して配置されている。以下、連結板における、クランプ本体側を一端側と称することがあり、がいし装置側を他端側と称することがある。
一対の連結板それぞれは、一端側に挿通孔が設けられ、この挿通孔に取付ボルトが挿通されることでクランプ本体に回動自在に取り付けられている。また、一対の連結板それぞれは、一端側から他端側に向けて送電線の線路方向(送電線の延在方向)に沿って延在する直線状部と、この直線状部の他端側の端部から内側に傾斜した傾斜部と、この傾斜部の他端側の端部から送電線の線路方向に沿って延在する挟持部とを有している。挟持部にも挿通孔が設けられており、一対の挟持部によってリンク部材が挟まれた状態で挿通孔にコッタボルトが挿通され、これによって連結板がリンク部材に取り付けられている。
特許文献1に記載された連結部材は、一対の連結板から構成されるため部品点数が少ないという利点がある。しかしながら、連結部材に対して他端側(鉄塔側)に引っ張られる方向の荷重がかかると、屈曲した部分、すなわち、直線状部と傾斜部との接続部分や傾斜部と挟持部との接続部分に真っ直ぐになろうとする力が働き、これらの接続部分に高い応力がかかる。特にくさびクランプ等が大型の場合など、連結部材に対して大きな荷重がかかる場合には、その分、屈曲した接続部分にかかる応力も大きくなる。このため、大きな応力に耐えられるように連結板の厚みや幅を大きくする必要があり、この結果、連結部材の重量が増加し作業性が悪化してしまう。
そこで、特に連結部材に対して大きな荷重がかかる場合には、連結板の一部に応力が集中しない工夫がなされた連結部材が採用される場合がある(例えば、特許文献2等参照)。
特許文献2に記載された連結部材は、一対の連結板と、接続金具と、一対の連結板と接続金具とを締結するコッタボルトとを有している。一対の連結板それぞれは、送電線の線路方向に沿って延在した平板状のものであり、一端側と他端側それぞれに挿通孔が設けられ、一端側の挿通孔にボルトが挿通されることでクランプ本体に回動自在に取り付けられる。
接続金具は、幅の広いクレビス部と幅の狭いクレビス部とを有する平行クレビスである。接続金具の幅の広いクレビス部が、一対の連結板間の他端側に挿入された状態で、連結板の他端側の挿通孔にコッタボルトが挿通され、一対の連結板に接続金具が取り付けられる。接続金具の幅の狭いクレビス部には、がいし装置のリンク部材が挿入され、幅の狭いクレビス部にリンク部材が挟まれた状態でコッタボルトによって接続金具とリンク部材が連結される。
特許文献2に記載された連結部材によれば、連結板は送電線の線路方向に沿って延在した平板状のものであるため、連結部材に対して大きな荷重がかかっても、連結板の一部に応力が集中することが抑えられる。このため、連結板の厚みや幅を大きくする必要がなくなり連結部材の重量を抑えることができる。この結果、連結部材の重量の増加に起因する作業性の悪化を回避することが可能になる。
特許第5645140号公報 特許第5697035号公報
しかしながら、特許文献2に記載された連結部材では、接続金具や、この接続金具を連結板に取り付けるコッタボルトが必要になり、部品点数が増加してしまう。
本発明は上記事情に鑑み、重量の増加に起因する作業性の悪化を回避しつつ、部品点数の増加も抑えることができる連結部材を提供することを目的とする。
上記目的を解決する本発明の連結部材は、送電線を把持するクランプ本体と鉄塔に支持されたがいし装置とを、該送電線を内側にして対向した一対の連結板によって連結する連結部材であって、
前記一対の連結板それぞれは、
前記クランプ本体に取り付けられる第1取付部と、
前記がいし装置のリンク部材に取り付けられる第2取付部と、
前記第1取付部と前記第2取付部とを真っ直ぐ接続する本体部と、
前記第2取付部から内側に向けて突出した突出部とが一体に形成されたものであり、
前記一対の連結板は、ぞれぞれの前記突出部の突出した先端部分によって前記リンク部材を挟むものであることを特徴とする。
ここで、前記第1取付部は挿通孔によって構成され、取付ボルトや取付ピンによって前記クランプ本体に回動自在に取り付けられるものであってもよい。また、前記第2取付部も挿通孔によって構成され、コッタボルトによって前記リンク部材に回動自在に取り付けられるものであってもよい。さらに、前記一対の連結板それぞれの前記突出部の突出した先端部分によって前記リンク部材が挟まれた状態は、該先端部分と該リンク部材との間に多少の遊び(隙間)を有する状態も含むものである。
本発明の連結部材によれば、前記一対の連結板それぞれの前記本体部が、前記第1取付部と前記第2取付部とを真っ直ぐ接続するものであるため、該連結部材に対して大きな荷重がかかっても、該連結板の一部に高い応力が集中することを回避できる。このため、前記連結板の厚みや幅を小さくすることが可能となる。この結果、前記連結部材の重量を減少させ作業性を向上することができる。また、本発明の連結部材は、前記突出部等が一体に形成された前記一対の連結板によって構成されるため、特許文献2に記載された連結部材における接続金具等が不要になり部品点数の増加も抑えることができる。
本発明の連結部材において、前記第2取付部は、ボルトによって前記リンク部材に取り付けられるものであり、
前記突出部は、前記ボルトにおける前記がいし装置側に位置する部分に当接するがいし装置側部分を有するものであることが好ましい。
ここでいう前記ボルトには、例えば、コッタボルトやコッタピン等の締結部材が含まれる。
前記がいし装置側部分を有する態様を採用すれば、前記ボルトに対してがいし装置側に引っ張られる方向の荷重がかかると、該ボルトにおける該がいし装置側に位置する部分が該がいし装置側部分によって押さえられる。これにより、前記ボルトにかかる応力が低減され、該ボルトについても軽量化を図ることが可能になる。
また、本発明の連結部材において、前記突出部は、前記ボルトの挿通孔が設けられたものであってもよい。
本発明の連結部材によれば、重量の増加に起因する作業性の悪化を回避しつつ、部品点数の増加も抑えることができる。
(a)は、本発明の第1実施形態の連結部材と、この連結部材によって連結された、くさびクランプとがいし装置のリンク部材を上から見た図であり、(b)は、(a)の側面図である。 (a)は、図1(b)に示す連結板を抜き出して示したものであり、(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。 (a)は、第1変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、(b)は、(a)のB−B線断面図である。 (a)は、第2変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、(b)は、(a)のC−C線断面図である。(c)および(d)は、別の態様を示す(b)に対応する断面図である。 (a)は、第3変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、(b)は、(a)のD−D線断面図である。 (a)は、第4変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、(b)は、第4変形例の連結部材を用いた図1(b)に対応する図であり、(c)は、(a)を他端側から見た図である。 (a)は、本発明の第2実施形態の連結部材と、この連結部材によって連結された、懸垂クランプとがいし装置のリンク部材を線路幅方向に見た図であり、(b)は、(a)のE−E線断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の連結部材は、送電線を把持するクランプ本体と鉄塔に支持されたがいし装置とを連結するものである。クランプ本体は、くさびクランプのクランプ本体であってもよいし、懸垂クランプのクランプ本体であってもよく、クランプの種類は限定されない。また、本発明の連結部材は、くさびクランプや懸垂クランプを構成する部品の一つであってもよいし、くさびクランプや懸垂クランプとは別の部材であってもよい。以下の説明では、第1実施形態において、くさびクランプとがいし装置とを連結する態様を例に挙げて説明し、第2実施形態においては、懸垂クランプとがいし装置とを連結する態様を例に挙げて説明する。
図1(a)は、本発明の第1実施形態の連結部材と、この連結部材によって連結された、くさびクランプとがいし装置のリンク部材を上から見た図であり、同図(b)は、同図(a)の側面図である。
図1(a)では、図の左側にクランプ本体が配置され、図の右側に位置する不図示の鉄塔に支持されたがいし装置についてはリンク部材の一部のみを示している。すなわち、図の左側がクランプ本体側になり、図の右側ががいし装置側になる。以下の説明では、クランプ本体側を一端側と称することがあり、がいし装置側を他端側と称することがある。また、図1(b)では、図面を簡略化するため、リンク部材と、後述する一対の連結板のうち手前側の連結板を省略するとともに、取付ボルトとコッタボルトも省略している。なお、図1では、送電線を一点鎖線で示しており、左右方向が送電線の線路方向になり、同図(a)では、上下方向が、線路幅方向(線路方向と水平方向に直交する方向)になり、同図(b)では、紙面に対して直交する方向が線路幅方向になる。
図1(a)および同図(b)に示すように、くさびクランプ3は、クランプ本体31と、クランプ本体31に挿入されたくさび体32と、くさび体32に取り付けられた案内腕部33と、案内腕部33に設けられた押え具34とを備えている。
クランプ本体31は、一対のクランプ片31a,31bが線路幅方向に接合されて構成され、一対のクランプ片31a,31bが接合されたクランプ本体31の他端側には、くさび体32が挿入される挿入部が形成されている。また、一対のクランプ片31a,31bそれぞれには、線路幅方向における外側に突出した支持腕311が設けられ、後述する連結板1a,1bの一端側が挿入される挿入部311bが形成されている。なお、それぞれの支持腕311には、挿通孔311aが形成されている。
くさび体32は、上下一対のくさび片32a,32bによって構成され、これら一対のくさび片32a,32b間に送電線Wを挟み込んだ状態で、クランプ本体31の挿入部に挿入されている。これにより、送電線Wがクランプ本体31に把持される。
図1(b)に示すように、案内腕部33は、下側のくさび片32bに取り付けられ、クランプ本体31に把持された送電線Wにおける、くさび体32よりも他端側に延びている部分(ジャンパ線)を案内するものである。送電線W(ジャンパ線)における、案内腕部33に支持されている部分は、押え具34によって案内腕部33に固定される。なお、図1(a)では、図面を簡略化するため、案内腕部33の他端側の部分と押え具34は省略している。
図1(a)に示すように、連結部材1は、送電線Wを内側にして対向した一対の連結板1a,1bを有している。以下の説明では、送電線Wを中心にして、線路幅方向における送電線W側を内側と称し、その反対側を外側と称して説明することがある。また、一対の連結板1a,1bについては、線路幅方向の寸法が厚みになり、上方方向の寸法が幅になる。なお、一対の連結板1a,1bは同一の構成であるため、以下の説明では、一方(例えば連結板1a)のみについて説明する場合がある。図1(b)では、くさび体32等を明確にするため図面手前側に位置する連結板1bを省略している。
図2も参照しつつ、連結部材1を詳細に説明する。
図2(a)は、図1(b)に示す連結板1aを抜き出して示したものであり、図2(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、一対の連結板1a,1bそれぞれは、線路方向に延在した本体部11と、この本体部11における他端側の部分において内側に向けて突出した突出部14とを備えている。また、この突出部14は、後述する他端側挿通孔13から内側に向けて突出するものである。なお、本体部11と突出部14は一体に構成されたものであるが、図では、その境界線を便宜的に二点鎖線で示している。このように、本体部11と突出部14が一体に構成されることによって部品点数の増加を抑えることができる。なお、一対の連結板1a,1bそれぞれは鋳造品または鍛造品であってもよいし、金属の削り出しで形成してもよい。さらには、本体部11と突出部14とを溶接して一体に形成してもよい。
図1(a)および図2(a)に示すように、本体部11の一端側部分には、一端側挿通孔12が形成されている。図1(a)に示すように、本体部11の他端側部分には、他端側挿通孔13が形成されている。また、図1および図2に示すように、本実施形態の突出部14には、他端側挿通孔13につながる突出部挿通孔14aが形成されている。
図1(a)に示すように、一対の連結板1a,1bそれぞれは、クランプ本体31における支持腕311によって形成された挿入部311bに挿入され、支持腕311の挿通孔311aと一端側挿通孔12に挿通された取付ボルト41によってクランプ本体31に回動自在に取り付けられている。すなわち、一端側挿通孔12が、第1取付部の一例に相当する。
また、一対の連結板1a,1bそれぞれは、突出部14の突出した先端部分141によってがいし装置のリンク部材2を挟んでいる。この状態で、一対の連結板1a,1bそれぞれの他端側挿通孔13と突出部挿通孔14a、およびリンク部材2の挿通孔21にコッタボルト42が挿通され、一対の連結板1a,1bそれぞれがリンク部材2に回動自在に取り付けられている。すなわち、他端側挿通孔13が、第2取付部の一例に相当する。本体部11は、送電線Wの線路方向に延在するものであり、すなわち、一端側挿通孔12(第1取付部)と他端側挿通孔13(第2取付部)とを真っ直ぐ接続するものである。これらにより、送電線Wを把持するクランプ本体31と、不図示の鉄塔に支持されたがいし装置とが、連結部材1によって連結される。
本発明の連結部材1では、一対の連結板1a,1bそれぞれの本体部11が、一端側挿通孔12と他端側挿通孔13とを真っ直ぐ接続するものであるため、図1(a)の直線の矢印で示すように、連結部材1に対して他端側に引っ張られる方向の荷重がかかっても、本体部11の一部に高い応力が集中することを回避できる。このため、本体部11の厚みや幅を大きくする必要がなくなり連結部材1の重量を抑えることができる。この結果、重量の増加に起因する作業性の悪化を回避することができる。図1(b)および図2(b)に示すように、本実施形態の本体部11では、一端側挿通孔12と他端側挿通孔13が形成された部分、くさび体32を押し込む際に使用する押込機用の取付孔111が形成された部分を除き、幅を小さくしている。これにより連結部材1のさらなる軽量化を図っている。
本実施形態の突出部14は突出部挿通孔14aが形成されたものであり、図2(b)において矢印で示すように、連結部材1に対して他端側に引っ張られる方向の荷重がかかるとコッタボルト42に接触するがいし装置側部分143を有している。このため、コッタボルト42に対して他端側に引っ張られる方向の荷重がかかると、コッタボルト42における他端側に位置する部分が、がいし装置側部分143によって押さえられる。これによりコッタボルト42にかかる応力が低減され、コッタボルト42等の締結部材についても軽量化を図ることが可能になる。
また、図1(a)および図2(b)に示すように、本実施形態の突出部14は、一端側に向けて徐々に厚みが小さくなる傾斜部分142を有している。これにより連結部材1の重量の増加を抑えつつ、本体部11と突出部14との接続部分を補強することができる。
次に、図1および図2に示す第1実施形態の連結部材1の変形例について説明する。以下に説明する変形例は、図1および図2に示す第1実施形態とは突出部14の構成が主に相違するものである。したがって、この相違点を中心に説明し、図1および図2に示す実施形態における構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
図3(a)は、第1変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、図3(b)は、同図(a)のB−B線断面図である。
図3に示すように、第1変形例の連結部材1における突出部14は略円筒状のものであり、図1(a)に示す傾斜部分142を有していない。図1および図2に示す第1実施形態よりもさらに軽量化を図る場合には、第1変形例のように円筒状の突出部14を採用することも可能である。また、第1変形例の連結部材によれば、第1実施形態に比べて形状がより単純になり、その製造がより容易になる。
図4(a)は、第2変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、図4(b)は、同図(a)のC−C線断面図である。また、図4(c)および同図(d)は、別の態様を示す同図(b)に対応する断面図である。
図4(a)および同図(b)に示すように、第2変形例の連結部材1における突出部14は、図3に示す第1変形例の円筒状の突出部14における一端側の半分を省略した半円筒状のものである。このように、突出部14は、必ずしも突出部挿通孔14aを有する必要ななく、少なくとも、他端側挿通孔13から内側に向けて突出し、本体部11に一体に形成されるとともに、リンク部材2を挟む先端部分141を有するものであれば足りる。このため、図4(c)に示すように、がいし装置側部分143を残して、突出部14をさらに小さく形成してもよい。また、図4(d)に示すように、突出部14を他端側と一端側に複数に分割する態様としてもよい。なお、突出部14は、3つ以上に分割して設けてもよいし、分割した突出部14の位置も上下に配置する等、適宜変更することができる。これらの第2変形例によれば、図3に示す第1変形例と比べてさらに軽量化を図ることができる。
図5(a)は、第3変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、図5(b)は、同図(a)のD−D線断面図である。
図5に示すように、第3変形例の連結部材1における突出部14は、図1および図2に示す第1実施形態の突出部14における、コッタボルト42の中心よりも他端側に位置する部分を省略したものである。この第3変形例においても、突出部14は他端側挿通孔13を有しておらず、第1実施形態と比べて軽量化が図られている。また、第3変形例の突出部14は、図2(b)に示すがいし装置側部分143を有していない。このため、コッタボルト42に対して他端側に引っ張られる方向の荷重がかかった際に、コッタボルト42にかかる応力を低減する効果は有しないが、本体部11にかかる応力は低減することができる。
図6(a)は、第4変形例の連結部材を用いた図1(a)に対応する図であり、図6(b)は、第4変形例の連結部材を用いた図1(b)に対応する図であり、図6(c)は、同図(a)を他端側から見た図である。なお、図6(c)では、同図(a)に示す、がいし装置のリンク部材2とくさびクランプ3を省略し、緊線工具のリンク部材6と、このリンク部材6に連結部材1を取り付けるコッタボルト45を一点鎖線で示している。また、図6(c)では、紙面に対して直交する方向が線路方向になり、左右方向が線路幅方向になる。
図6に示すように、第4変形例における一対の連結板1a,1bは、本体部11の他端側部分が上側に延び、この他端側部分の上下方向の寸法が大きく形成されている。これに対応して、突出部14の上下方向の寸法も大きく形成され、図6(b)に示すように、先端部分141の外形形状が上下に長い長円状に形成されている。
図6(c)に示すように、本体部11における他端側挿通孔13の上側には、他端側挿通孔13と同じく線路幅方向に貫通する緊線工具用挿通孔15が形成されている。また、突出部14には、緊線工具用挿通孔15につながる第2突出部挿通孔14bが形成されている。すなわち、図6(b)および同図(c)に示すように、他端側挿通孔13および突出部挿通孔14aと、緊線工具用挿通孔15および第2突出部挿通孔14bとは、上下方向に所定の間隔をあけて平行に配置されている。なお、図6(a)では、他端側挿通孔13および突出部挿通孔14aを示す破線は、緊線工具用挿通孔15および第2突出部挿通孔14bを示す破線に隠れている。
緊線工事を行う際には、図6(c)の一点鎖線で示すように、一対の連結板1a,1bそれぞれの先端部分141,141間に緊線工具のリンク部材6を挿入する。この緊線工具のリンク部材6は、図6(a)に示すがいし装置のリンク部材3と同様に、線路方向に略沿って延在するものである。次いで、緊線工具用挿通孔15と第2突出部挿通孔14b、および緊線工具のリンク部材6の挿通孔61にコッタボルト45を挿入する。これによって、くさびクランプ3と緊線工具とを連結することができる。なお、ここでいう緊線工事とは、延線された送電線を鉄塔間で所定の張力でがいし装置に取り付ける作業をいう。
本変形例によれば、緊線工事において、緊線工具のリンク部材6と連結部材1とを連結する緊線用金具が不要になる。また、図6(a)に示すように、緊線工具用挿通孔15と一端側挿通孔12とは、本体部11によって線路方向に真っ直ぐ接続されている。このため、緊線時に連結部材1に対して引張荷重がかかっても、本体部11の一部に応力が集中することが抑えられ、結果として、連結部材1の軽量化を図ることが可能になる。
次に、本発明の連結部材の第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明においても、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。第2実施形態の連結部材は、懸垂クランプとがいし装置とを連結するものである。
図7(a)は、本発明の第2実施形態の連結部材と、この連結部材によって連結された、懸垂クランプとがいし装置のリンク部材を線路幅方向に見た図であり、同図(b)は、同図(a)のE−E線断面図である。
図7(a)では、図の下側にクランプ本体51が配置され、図の上側に位置するがいし装置についてはリンク部材2の一部のみを示している。すなわち、図7においては、図の下側が一端側(クランプ本体側)になり、図の上側が他端側(がいし装置側)になる。また、図7(a)では、左右方向が送電線Wの線路方向になり、紙面に対して直交する方向が線路幅方向になる。図7(b)では、紙面に対して直交する方向が送電線Wの線路方向になり、左右方向が線路幅方向になる。
図7(a)および同図(b)に示すように、懸垂クランプ5は、クランプ本体51と、押え金具52とを備えている。クランプ本体51は、線路幅方向に見て中央部分が上方に凸に湾曲するように形成された支持部512を有しており、この支持部512に送電線Wが巻き掛けられた状態で支持されている。支持部512に支持された送電線Wは、押え金具52によって上方から押さえられ締付ボルト44によって固定されている。これにより、送電線Wがクランプ本体51に把持される。
また、クランプ本体51は、線路幅方向における外側にそれぞれ突出した支持腕511が設けられ、連結板1a,1bの一端側が挿入される挿入部511bが形成されている。なお、それぞれの支持腕511には、挿通孔511aが形成されている。
図7(b)に示すように、連結部材1は、送電線Wを内側にして対向した一対の連結板1a,1bを有している。図7(a)および同図(b)に示すように、本体部11の一端側部分には、一端側挿通孔12が形成され、本体部11の他端側部分には、他端側挿通孔13が形成されている。また、本実施形態においても、突出部14には突出部挿通孔14aが形成されている。
図7(b)に示すように、一対の連結板1a,1bそれぞれは、その一端側部分が、クランプ本体51における支持腕511によって形成された挿入部511bに挿入され、支持腕511の挿通孔511aと一端側挿通孔12に挿通された取付ピン43によってクランプ本体51に回動自在に取り付けられている。また、一対の連結板1a,1bそれぞれは、突出部14の突出した先端部分141によってがいし装置のリンク部材2を挟んでいる。この状態で、一対の連結板1a,1bそれぞれの他端側挿通孔13と突出部挿通孔14a、およびリンク部材2の挿通孔21にコッタボルト42が挿通され、一対の連結板1a,1bそれぞれがリンク部材2に回動自在に取り付けられている。本実施形態の本体部11も、一端側挿通孔12(第1取付部)と他端側挿通孔13(第2取付部)とを真っ直ぐ接続するものであるため、図7(a)の直線の矢印で示すように、連結部材1に対して他端側に引っ張られる方向の荷重がかかっても、本体部11の一部に高い応力が集中することを回避できる。このため、本体部11の厚みや幅を大きくする必要がなくなり連結部材1の重量を抑えることができる。この結果、重量の増加に起因する作業性の悪化を回避することができる。図7(a)に示すように、本実施形態の本体部11では、一端側挿通孔12と他端側挿通孔13が形成された部分を除き、幅を小さくしている。これにより、連結部材1のさらなる軽量化を図っている。また、本実施形態の突出部14は、図3に示す第1変形例と同様に略円筒状のものであるが、本体部11との接続部分における一端側に第1変形例よりも大きなR部144を設けている。これにより本体部11と突出部14との接続部分の強度の向上が図られている。
以上説明した本発明の連結部材によれば、重量の増加に起因する作業性の悪化を回避しつつ、部品点数の増加も抑えることができる。
本発明は前述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。なお、以上説明した各実施形態や各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
1 連結部材
1a,1b 連結板
11 本体部
12 一端側挿通孔
13 他端側挿通孔
14 突出部
141 先端部分
142 傾斜部
15 緊線工具用挿通孔
2 リンク部材
3 くさびクランプ
31 クランプ本体
41 取付ボルト
42 コッタボルト
43 取付ピン
5 懸垂クランプ
51 クランプ本体

Claims (3)

  1. 送電線を把持するクランプ本体と鉄塔に支持されたがいし装置とを、該送電線を内側にして対向した一対の連結板によって連結する連結部材であって、
    前記一対の連結板それぞれは、
    前記クランプ本体に取り付けられる第1取付部と、
    前記がいし装置のリンク部材に取り付けられる第2取付部と、
    前記第1取付部と前記第2取付部とを真っ直ぐ接続する本体部と、
    前記第2取付部から内側に向けて突出した突出部とが一体に形成されたものであり、
    前記一対の連結板は、それぞれの前記突出部の突出した先端部分によって前記リンク部材を挟むものであることを特徴とする連結部材。
  2. 前記第2取付部は、ボルトによって前記リンク部材に取り付けられるものであり、
    前記突出部は、前記ボルトにおける前記がいし装置側に位置する部分に当接するがいし装置側部分を有するものであることを特徴とする請求項1記載の連結部材。
  3. 前記突出部は、前記ボルトの挿通孔が設けられたものであることを特徴とする請求項2記載の連結部材。
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