以下に添付図面を参照して、本発明に係る紙通し装置及び印刷機並びに印刷準備作業方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、複数の実施形態がある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
まず、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機の構成を簡単に説明する。図1は、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。
本実施形態において、図1に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機(以下、単に印刷機と称する。)Pは、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとから構成されている。給紙装置Rは、複数(本実施形態では、5台)の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5を有し、インフィード装置Iは、複数(本実施形態では、5台)のインフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5を有し、印刷装置Uは、複数(本実施形態では、5台)の印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を有し、ウェブパス装置Dは、1台のウェブパスユニットD1を有し、折機Fは、2台の折ユニットF1,F2を有している。なお、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5、インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の台数は、5台に限定されるものではなく、ウェブパスユニットD1、折ユニットF1,F2は、複数台としてもよい。
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブ(巻取紙)Wがロール状に巻かれた3個の巻取紙を保持する保持アームを有し、この保持アームを回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。また、この各給紙ユニットR1〜R5は、図示しない紙継装置を有しており、給紙位置で繰り出されている巻取紙が残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙に対して、待機位置にある巻取紙を紙継することができる。
インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に送り込むウェブWのテンションを調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWのテンションを適正値に安定して維持するようにしている。例えば、各インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5は、インフィードローラ、ダンサローラ、ガイドローラなどを有している。そして、ダンサローラをウェブWの張り方向に付勢することでウェブWのテンションを適正にし、このダンサローラの揺動に応じてインフィードローラの周速を変更し、ウェブWの適正なテンションを維持している。
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5は、ほぼ同様の構成をなし、印刷ユニットU1,U2,U3は、2色刷りが可能であり、印刷ユニットU4,U5は、4色刷りが可能である。但し、印刷ユニットU4,U5は、上下に分割することで、それぞれを2色刷りの印刷ユニットとして使用することができる。印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5は、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有している。
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に対して設けられている。ウェブパスユニットD1は、ウェブWを縦(ウェブWの天地長手方向、ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタD11と、縦裁断したウェブWの走行経路を設定するターンバーD12と、ウェブWにおける天地長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータD13などを有している。
折機Fにて、折ユニットF1,F2は、ほぼ同様の構成をなしている。ウェブパスユニットD1から複数のウェブWが重ねられて導入されると、折ユニットF1,F2は、それぞれウェブWを縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。
次に、印刷機Pの駆動制御系統について説明する。図2は、新聞用オフセット輪転印刷機の駆動制御系統を表す概略構成図、図3は、新聞用オフセット輪転印刷機の駆動制御系統の詳細を表す概略構成図である。
図2に示すように、印刷機P(主機側)において、各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5は、それぞれ主機盤11,12,13,14,15が接続されている。ウェブパスユニットD1は、主機盤16が接続され、折ユニットF1,F2は、主機盤17が接続されている。各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5(及び各インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5)、ウェブパスユニットD1、折ユニットF1,F2は、それぞれ主機モータを有し、各主機盤11,12,13,14,15,16,17に設けられたアンプにより駆動制御可能となっている。そして、各主機盤11,12,13,14,15,16,17は、主幹コントローラを有する主幹盤(制御装置)18に接続されている。主幹盤18は、各主機盤11,12,13,14,15,16,17を駆動制御可能となっている。
補機側において、印刷機ユニットPLC(プログラマブルロジックコントローラ)31,32,33,34,35と、ウェブパスユニットPLC36と、折機ユニットPLC37が主幹盤18に接続されている。また、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5に対応する給紙ユニットPLC38,39,40,41,42と、コンソールPLC43が主幹盤18に接続されている。そして、ウェブ運転パネル(ウェブ運転操作装置)51と、紙通しパネル(紙通し調整装置、紙通し操作装置)52と、表示パネル53と、各印刷機ユニット運転パネル(ユニット運転操作装置)54,55,56,57,58が接続されている。
ウェブ運転パネル51は、印刷機運転停止スイッチ51aと、紙通しスイッチ51bが設けられている。印刷機運転停止スイッチ51aは、印刷機Pによる印刷作業の運転と停止を操作するものであり、紙通しスイッチ51bは、紙通し作業の運転と停止を操作するものである。紙通しパネル52は、5個の紙通し経路に対してそれぞれ5個の選択スイッチ52a,52b,52c,52d,52eと、5個の自動選択スイッチ52f,52g,52h,52i,52jが設けられると共に、自動選択スイッチ52k、排出スイッチ52m、自動選択スイッチ52nが設けられている。各選択スイッチ52a,52b,52c,52d,52eは、ウェブWの紙通し時にスリッタD11まで紙通しを実施する紙通し経路を選択するものであり、各自動選択スイッチ52f,52g,52h,52i,52jは、ウェブWの紙通し時に折ユニットF1,F2まで紙通しを実施する紙通し経路を選択するものである。
自動選択スイッチ52kは、スリッタD11まで紙通しされたウェブWの折ユニットF1,F2まで紙通しを実施する順序を自動的に設定するものである。排出スイッチ52mは、折機Fまで到達したウェブWの走行体を排出するものであり、自動選択スイッチ52nは、折ユニットF1,F2まで紙通しを実施する紙通し経路を自動的に選択するものである。表示パネル53は、ウェブWの紙通し時におけるウェブWの先端部の走行位置など、紙通し作業の実施状態を表示するものである。各印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58は、各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の単独運転と単独停止を操作するものである。
また、ウェブパスユニットPLC36は、紙通し用走行体モータ61と、スリッタ走行体検出センサ(第1センサ)62と、折機走行体検出センサ(第2センサ)63と、仕立準備完了位置走行体検出センサ(第3センサ)64が接続されている。紙通し用走行体モータ61は、各紙通し経路に対して複数設けられており、走行体を介してウェブWを牽引して紙通しする駆動装置203のモータである。スリッタ走行体検出センサ62は、各紙通し経路に対してスリッタD11の手前に設けられ、走行体を検出するものである。折機走行体検出センサ63は、各紙通し経路に対して折ユニットF1,F2の手前に設けられ、走行体を検出するものである。仕立準備完了位置走行体検出センサ64は、インフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5と印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5との間に設けられ、仕立て処理が完了したウェブWに連結された走行体を検出するものである。
図3に示すように、印刷ユニットU5は、インフィードモータ71と、4個の印刷ユニットモータ72,73,74,75と、出口モータ76とを有している。インフィードモータ71は、インフィードユニットI1に設けられたインフィードローラを駆動するものである。4個の印刷ユニットモータ72,73,74,75は、印刷ユニットU1における各インキローラ、版胴、ブランケット胴などを同期して駆動するものである。出口モータ76は、印刷ユニットU1とウェブパスユニットD1におけるスリッタD11との間に配置されるドラグローラを駆動するものである。印刷ユニットU5に接続される主機盤15は、印刷ユニットU5におけるインフィードモータ71と、4個の印刷ユニットモータ72,73,74,75と、出口モータ76を駆動制御するアンプ77,78,79,80,81,82を有している。
なお、図示しないが、印刷ユニットU4及び主機盤14は、印刷ユニットU5及び主機盤15とほぼ同様の構成となっている。また、印刷ユニットU1,U2,U3は、2色刷りであることから、2個の印刷ユニットモータとなっており、その他の構成と主機盤11,12,13は、印刷ユニットU5及び主機盤15とほぼ同様の構成となっている。
ウェブパスユニットD1は、複数のウェブモータ91,92,93,94,95,96を有している。この各ウェブモータ91,92,93,94,95,96は、ガイドローラなどを駆動するものである。ウェブパスユニットD1に接続される主機盤16は、各ウェブモータ91,92,93,94,95,96を駆動制御するアンプ97,98,99,100,101,102を有している。折ユニットF1,F2は、RTFモータ111、折機モータ112,113を有している。RTFモータ111は、折機Fの上部の三角板に配置され、ウェブWを三角板へ導くドラグローラを駆動するものである。折機モータ112,113は、縦折りされたウェブWの横折りや裁断を行う鋸胴や折胴などを駆動するものである。
主幹盤18は、印刷機Pにおける各モータの駆動モードを変更可能となっている。主幹盤18は、メインプログラム121に対して、バーチャルマスター(VM)指令モード(同期運転モード)122、紙通し用単独駆動指令モード123、版替え用単独駆動指令モード124に変更可能となっている。バーチャルマスター(VM)指令モード122は、ウェブ運転パネル51の操作により、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dと折機Fの全てのモータを同期して駆動停止するモードである。紙通し用単独駆動指令モード123は、紙通し時に、VM指令モードと同様に、ウェブ運転パネル51により給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dと折機Fの全てのモータを同期して駆動停止することができると共に、紙通しパネル52により印刷装置Uの各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5及びこの各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に関連するモータを単独で駆動停止することができるモードである。版替え用単独駆動指令モード124は、版交換時に、各印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58により印刷装置Uの各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5のモータを単独で駆動停止することができるモードである。
主幹盤18は、バーチャルマスター(VM)指令モード122、紙通し用単独駆動指令モード123、版替え用単独駆動指令モード124に切替えるための切替スイッチ122a,123a,124aが設けられている。この場合、図示しないが、主機盤15だけでなく、他の主機盤11,12,13,14に対しても、切替スイッチが設けられ、VM指令モード、紙通し用単独駆動指令モード、版替え用単独駆動指令モードに変更可能となっている。
ここで、本実施形態の印刷機Pにおける紙通し装置について説明する。図4は、紙通し装置を表す概略図、図5は、紙通し装置に用いる走行体を表す正面図、図6は、紙通し装置に用いる駆動装置を表す概略図、図7は、紙通し装置の要部を表す斜視図である。
図4に示すように、印刷形態に応じて予めウェブWが走行する走行経路(紙通し経路)が設定されており、紙通し装置200は、給紙装置Rにおける給紙ユニットR1(R2,R3,R4,R5)に支持された各ウェブWがこのウェブパスルートを通るように、インフィード装置I、印刷装置U、ウェブパス装置D、折機Fに導くものである。この紙通し装置200は、給紙装置Rの各給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5に対応して設けられており、以下では、代表して給紙ユニットR1に装着された紙通し装置200について説明する。
紙通し装置200は、給紙ユニットR1から折ユニットF1までのウェブパスルートに沿って付設されるガイドレール201と、このガイドレール201に沿って移動自在な走行体202(図5参照)と、この走行体202を駆動する複数の駆動装置203とを有している。
ガイドレール201は、給紙ユニットR1の給紙位置にある巻取紙の近傍に始端部(入口)201aが配置され、この始端部201aからインフィードユニットI1を介して印刷ユニットU1まで第1ガイドレール201bが配置されている。この第1ガイドレール201bの終端位置に仕立準備完了位置走行体停止センサ64が設けられている。また、ガイドレール201は、印刷ユニットU1の出口から連続してウェブパスユニットD1におけるスリッタD11まで第2ガイドレール201cが配置されている。更に、ガイドレール201は、スリッタD11から折ユニットF1まで2個の第3ガイドレール201dが配置されている。即ち、給紙ユニットR1から送られたウェブWは、インフィードユニットI1及び印刷ユニットU1を通ってウェブパスユニットD1に至り、スリッタD11で縦裁断された後、ターンバーD12により2個のウェブパスルートに分岐して折ユニットF1に送られて重ねられる。
また、ガイドレール201は、2個の第3ガイドレール201dが、折ユニットF1の直前で合流され、1個の第4ガイドレール201eとなる。そして、ガイドレール201は、折ユニットF1の下流側に下流端(出口)201fが配置される。
このガイドレール201にて、給紙ユニットR1からウェブパスユニットD1のスリッタD11までの第1、第2ガイドレール201b,201cは、ウェブパスルートの両側にそれぞれ配置され、ウェブパスユニットD1のスリッタD11から折ユニットF1までの第3ガイドレール201dと折ユニットF1の第4ガイドレール201eは、ウェブパスルートの一側に配置されている。
走行体202は、図5に示すように、可撓性を有する帯状のプレート部材202aであり、ガイドレール201から外れずに移動できるように、ガイドピン202bが長手方向に所定間隔で複数設けられている。また、走行体202は、中間部が幅広となるように一方側に突出する突出部202cが設けられており、この突出部202cにウェブWの先端部と連接するための後述する紐213,214(図7参照)を結合する連結孔202dが形成されている。
この走行体202は、紙通し作業前に、給紙ユニットR1のガイドレール201の始端部201aから挿入され、紙通し作業後に、折ユニットF1の下流端201fから排出される。また、走行体202は、ガイドレール201内を移動するとき、突出部202c(連結孔202d)がウェブW側を向き、ガイドレール201の切欠(図示略)からウェブW側に突出している。
駆動装置203は、図6に示すように、駆動モータ203a(紙通し用走行体モータ61)と、この駆動モータ203aにより駆動回転される一対の駆動ローラ203b,203cを有している。そして、この駆動ローラ203b,203cは、ガイドレール201内の走行体202の上下両面を挟み込みながら同期して逆方向に回転することで、走行体202を駆動してガイドレール201に沿って移動することができる。なお、ガイドレール201は、駆動ローラ203b,203cが設けられている位置に開口(図示略)が形成されている。
この駆動装置203は、ガイドレール201の長手方向に沿って所定間隔で複数配置されており、駆動装置203の配置間隔は、走行体202の長さよりも短い間隔となっている。そのため、ガイドレール201に沿って所定間隔で配置された複数の駆動装置203は、少なくとも1個が必ずガイドレール201内の走行体202を挟持して駆動可能となっている。
上述した紙通し装置200によりウェブWの紙通し作業を実施する前に、ウェブWの先端部に走行体202を連結する仕立て作業を実施する。即ち、図7に示すように、給紙ユニットR1から繰り出されたウェブWは、ガイドローラ210により案内された後、インフィードローラにより搬送される。そのため、ガイドレール201(第2ガイドレール201c)は、ガイドローラ210に案内されるウェブWの走行経路(紙通し経路)の両側に沿って配置されている。ウェブWの仕立処理とは、給紙ユニットR1から繰り出されたウェブWの先端部に、紙通しを行うための2個の案内部材211,212を固定するものであり、各案内部材211,212は、連結部材としての紐213,214により左右の走行体202に連結される。
ウェブWが連結された走行体202は、印刷ユニットU1の手前の仕立準備完了位置まで導入されると、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が走行体202を検出し、走行体202と共にウェブWが停止することで仕立作業が完了する。そのため、作業者は、この状態から紙通しするウェブWの選択が可能となる。
その後、駆動装置203により走行体202をガイドレール201に沿って走行させると、走行体202に紐213,214及び案内部材211,212を介して連結されたウェブWがガイドレール201に沿って牽引され、給紙ユニットR1から折ユニットF1まで紙通しが行われる。
また、紙通し装置200は、ウェブWの紙通し経路に紙通し異常検出装置が設けられている。図8は、紙通し装置におけるウェブWの断紙を検出する紙通し異常検出装置を表す概略図である。
図8に記すように、インフィードユニットI1は、インフィードローラ221、フローティングローラ222、ガイドローラ223、テンションピックアップローラ224、ガイドローラ225を有している。インフィードローラ221は、主機モータにより駆動回転可能であって、ウェブWを走行させることができる。フローティングローラ222は、ウェブWにおける急激なテンションの変動を吸収すると共に、ローラの角度変位を検出してブレーキ力を制御する。テンションピックアップローラ224は、テンション値の変位を電気信号として取り出し、予め設定したテンションに保つようにブレーキ力を制御する。
紙通し異常としては、ウェブWの断紙、走行体の詰まり、走行体の滑り、走行体駆動装置の故障などがある。ウェブWの断紙における紙通し異常検出装置は、フローティングローラ222とテンションピックアップローラ224を適用して機能する。即ち、紙通し時に断紙すると、ウェブWのテンションが急激に低下することから、フローティングローラ222の角度変位、または、テンションピックアップローラ224によるテンション値の変位が予め設定された所定値より低下すると、ウェブWの断紙を検出する。
なお、ウェブWの断紙における紙通し異常検出装置の装着位置としては、インフィード装置Iに限らず、印刷装置U、ウェブパス装置D、折機Fなどに配置してもよい。また、検出器としては、接触式センサだけでなく、レーザセンサ、距離センサ、超音波センサ、近接センサ、受光センサ、反射式センサなどの非接触式センサを適用してもよい。
走行体の異常を検出する紙通し異常検出装置は、仕立準備完了位置走行体停止センサ64、スリッタ走行体検出センサ62、折機走行体検出センサ63を適用して機能する。即ち、走行体に異常があると、走行体が紙通しの途中で速度低下するか停止することから、予め、仕立準備完了位置からスリッタ手前までの区間、及びスリッタ手前から折機までの区間について、ウェブW(走行体202)の速度とウェブ長からそれぞれの区間の所要時間を演算しておく。そして、それら区間での紙通し時間が予め設定した所定時間(所要時間に余裕を持たせた時間)をタイムオーバーしたら紙通しが正常に行われていないことを検出する。具体的には、仕立準備完了位置走行体停止センサ64がウェブW(走行体202)走行開始を検出してからスリッタ走行体検出センサ62がウェブW(走行体202)の到着を検出するまでの時間、及びスリッタ走行体検出センサ62がウェブW(走行体202)の走行開始を検出してから折機走行体検出センサ63がウェブW(走行体202)の到着を検出するまでの時間が紙通し時間である。
上述した説明では、給紙ユニットR1、インフィードユニットI1、印刷ユニットU1、ウェブパスユニットD1、折ユニットF1に対する紙通し装置200について説明したが、他の給紙ユニットR2,R3,R4,R5、インフィードユニットI2,I3,I4,I5、印刷ユニットU2,U3,U4,U5、折ユニットF2に対しても、ほぼ同様の紙通し装置が設けられている。
本実施形態の印刷機Pは、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uが複数組(本実施形態では、5組)のユニットを有していることから、給紙装置Rからウェブパス装置DまでにウェブWにおける5個の紙通し経路(走行経路)が設定されている。そして、ウェブパス装置DのスリッタD11によりウェブWが縦裁断されることから、ウェブパス装置Dから折機FまでにウェブWにおける10個の紙通し経路(走行経路)が設定されている。本実施例では、このウェブWにおける5個の紙通し経路に対する紙通し作業を同時に実施可能としている。
即ち、印刷機Pは、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの1つの給紙ユニット(例えば、給紙ユニットR5)から繰り出されたウェブWを折機Fに通すと共に、残りの複数の給紙ユニット(例えば、給紙ユニットR1,R2,R3,R4)から繰り出された複数のウェブWをスリッタD11の手前に通す第1紙通しモードと、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを折機Fに順次通す第2紙通しモードとが設けられている。
この場合、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうち、ウェブWを折機Fまで通す給紙ユニット(紙通し経路)をどれにするかは、印刷する新聞の形態に応じて適宜設定することができる。但し、ウェブWを折機Fまで通す給紙ユニット(紙通し経路)は、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から折機F(スリッタD11)までの紙通し経路が最も短い紙通し経路に設定することが望ましい。
本実施形態の紙通し装置200は、制御装置としての主幹盤18により駆動制御可能となっている。主幹盤18は、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dを同期して駆動することで、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの1つの給紙ユニットから繰り出されたウェブWを折機Fに通すと共に、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの残りの複数の給紙ユニットから繰り出された複数のウェブWをスリッタD11の手前に通す第1紙通しモードと、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを折機Fに順次通す第2紙通しモードを有している。
また、主幹盤18は、給紙装置Rとインフィード装置Iとウェブパス装置Dの同期駆動に対して印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5及び各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に関連するインフィードユニットI1,I2,I3,I4,I5などのモータを単独駆動可能とする紙通し用単独駆動指令モード123と、印刷装置Uの各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を単独で駆動可能とする版替え用単独駆動指令モード(印刷単独駆動指令モード)124を有している。
そして、主幹盤18は、第1紙通しモード(紙通し用単独駆動指令モード123)の実行時に、ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5またはウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の同期駆動を解除し、版替え用単独駆動指令モード124を実行する。また、主幹盤18は、第1紙通しモード(紙通し用単独駆動指令モード123)の完了後に、版交換作業が終了すると、紙通し用単独駆動指令モード123で第2紙通しモードを実行する。
なお、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを折機Fに通す順序は、印刷する新聞の形態や作業者の好みなどに応じて適宜設定することができる。図9は、紙通し順序を説明するための概略図である。図9に示すように、折機Fで重ねられるウェブWの順序は、例えば、カラー面のページ位置など新聞の形態に応じて設定されている。ここでは、ウェブWがスリッタD11により縦裁断されることから、10枚のウェブW1a,W1b,W2a,W2b,W3a,W3b,W4a,W4b,W5a,W5bが所定の順序で重ねられる。この重ね順序は、ウェブパス装置DのターンバーD12により実施される。この場合、ウェブWの重ね順序が、下からウェブW5a,W4a,W1a,W1b,W2a,W2b,W3a,W3b,W4b,W5bに設定されるとき、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWをどの順序で折機Fに通すかは、作業者により適宜設定することができる。例えば、折機Fでの重ね順序が下側に位置するウェブWから順に通したり、折機Fでの重ね順序が上側に位置するウェブWから順に通したり、あるいは、所定のウェブWから通したりすることができる。作業者は、紙通しパネル52を用いてウェブWを折機Fに通す順序設定する。
以下、本実施形態の印刷機Pにおける紙通し作業について説明する。図10は、紙通し作業を表すフローチャート、図11は、同時紙通し開始処理を表すフローチャート、図12は、ウェブのスリッタ到着処理を表すフローチャート、図13は、ウェブの折機到着処理を表すフローチャート、図14は、残りのウェブの折機到着処理を表すフローチャート、図15は、版交換を実施する場合のウェブのスリッタ到着処理を表すフローチャートである。
本実施形態の印刷機Pにおける紙通し作業において、図10に示すように、ステップS11にて、まず、同時紙通し開始処理を実行する。この同時紙通し開始処理において、図2及び図3、図11に示すように、ステップS21にて、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4.L5の走行体202を全て検出したかどうかを判定する。ここで、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を全て検出しないと判定(No)すると、ステップS21の処理を継続して行う。一方、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を全て検出したと判定(Yes)すると、ステップS22にて、作業者は、紙通しパネル52により折機FまでウェブWを通す折機紙通し経路を給紙ユニットR5からウェブWが給紙される紙通し経路L5に設定すると共に、スリッタD11までウェブWを通す同時紙通し経路を給紙ユニットR1,R2,R3,R4からウェブWが給紙される紙通し経路L1,L2,L3,L4に設定する。即ち、作業者は、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の手前の仕立準備完了位置まで導入されたウェブWにつき、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5からウェブWが給紙される紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5に対応する自動選択スイッチ52f,52g,52h,52i,52jをONとし、選択スイッチ52a,52b,52c,52d,52eのうち、選択スイッチ52a,52b,52c,52dをスリッタ止まりとし、選択スイッチ52eを折機止まりとする。
すると、紙通しパネル52からの指令が主幹盤18に入力され、ステップS23にて、自動紙通し経路に設定された紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の印刷ユニットモータ72,73,74,75をVM指令122から紙通し用単独駆動指令モード123に切替えられる。続いて、ステップS23にて、作業者は、ウェブ運転パネル51の紙通しスイッチ51bを操作し、印刷機Pの運転操作を行い、紙通し作業を開始する。すると、ウェブ運転パネル51からの指令が主幹盤18に入力され、VM指令122に接続された印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に関連するインフィードモータ71、印刷ユニットモータ72,73,74,75、出口モータ76がこのVM指令122に基づいて駆動回転する。このとき、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の印刷ユニットモータ72,73,74,75は、紙通し用単独駆動指令モード123に接続されているものの、VM指令122に連動して駆動する。
そのため、図4に示すように、紙通し装置200により、走行体202がガイドレール201に沿って移動することで、各給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5からウェブWが繰出され、各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を通ってウェブパスユニットD1へ送られる。なお、この場合の紙通し速度は、7rpm〜24rpmの間で調整可能となっている。紙通経路の複雑な箇所(例えば、給紙装置から仕立準備完了位置(紙通しの待機位置)まで)は、7rpmの低速とし、ウェブWに弛みが生じたときや増速操作を行うときには、24rpmに増速する。紙切れが生じにくい安定した紙通し速度としては、14rpmが好適である。
図10に戻り、ステップS12にて、紙通し経路L1,L2,L3,L4を走行するウェブWがスリッタD11の手前まで到達したかどうかを判定する。スリッタ走行体検出センサ62は、各紙通し経路L1,L2,L3,L4におけるスリッタD11の手前に配置されており、スリッタ走行体検出センサ62が走行体202を検出すると、検出信号を主幹盤18に出力する。主幹盤18は、スリッタ走行体検出センサ62から走行体202の検出信号が入力する(Yes)と、ステップS13にて、紙通し経路L1,L2,L3,L4のウェブWのスリッタD11における到着処理を実行する。
図2及び図3、図12に示すように、ステップS31にて、スリッタ走行体検出センサ62が紙通し経路L1,L2,L3,L4の走行体202を検出したかどうかを判定する。ここで、スリッタ走行体検出センサ62が紙通し経路L1,L2,L3,L4の走行体202を検出しないと判定(No)すると、ステップS31の処理を継続して行う。一方、スリッタ走行体検出センサ62が紙通し経路L1,L2,L3,L4の走行体202を検出したと判定(Yes)すると、ステップS32にて、スリッタ走行体検出センサ62が検出した走行体202の紙通し経路L1,L2,L3,L4を特定し、特定した紙通し経路L1,L2,L3,L4では、ウェブWがスリッタD11の手前に到達したとして紙通し用走行体モータ61の駆動を停止する。
ここで、ウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4に対してランプが点灯(または、点滅)して作業者に知らされる。ステップS33にて、作業者は、紙通しパネル52により、ウェブWがスリッタD11の手前に到達してランプが点灯している紙通し経路L1,L2,L3,L4の同時紙通し経路の選択を解除(OFF)する。即ち、作業者は、ウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する選択スイッチ52a,52b,52c,52d及び自動選択スイッチ52f,52g,52h,52i,52jをOFFにする。
すると、ステップS34にて、主幹盤18は、ウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4の印刷ユニットモータ72,73,74,75を紙通し用単独駆動指令モード123により停止する。また、ステップS35にて、主幹盤18は、停止する印刷ユニットU1,U2,U3,U4に関連するインフィードモータ71及び出口モータ76の駆動を停止する。なお、スリッタ走行体検出センサ62が紙通し経路L1,L2,L3,L4の走行体202を検出すると、紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する選択スイッチ52a,52b,52c,52d及び自動選択スイッチ52f,52g,52h,52i,52jを自動的にOFFにするように構成してもよい。
すると、ステップS36にて、ウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4が停止する。但し、ステップS37にて、ウェブWが折機Fに到達していない紙通し経路L5に対応する印刷ユニットU5は継続して運転される。
なお、紙通し経路L1,L2,L3,L4は、その長さが相違することから、短い紙通し経路L1,L2,L3,L4から順にウェブWがスリッタD11の手前に到達し、印刷ユニットU1,U2,U3,U4が順に停止していく。
図10に戻り、ステップS12にて、スリッタ走行体検出センサ62が走行体202を検出せず、(No)または、ステップS13にて、紙通し経路L1,L2,L3,L4のウェブWのスリッタにおける到着処理が完了すると、ステップS14にて、紙通し経路L5を走行するウェブWが折機Fまで到達したかどうかを判定する。折機走行体検出センサ63は、各紙通し経路L5における折機Fに配置されており、折機走行体検出センサ63が走行体202を検出すると、検出信号を主幹盤18に出力する。主幹盤18は、折機走行体検出センサ63から走行体202の検出信号が入力する(Yes)と、ステップS15にて、紙通し経路L5のウェブWの折機Fにおける到着処理を実行する。一方、主幹盤18は、折機走行体検出センサ63から走行体202の検出信号が入力しない(No)と、ステップS12〜S14の処理を繰り返し実行する。
図2及び図3、図13に示すように、ステップS41にて、折機走行体検出センサ63が紙通し経路L5の走行体202を検出したかどうかを判定する。ここで、折機走行体検出センサ63が紙通し経路L5の走行体202を検出しないと判定(No)すると、ステップS41の処理を継続して行う。一方、折機走行体検出センサ63が紙通し経路L5の走行体202を検出したと判定(Yes)すると、ステップS42にて、折機走行体検出センサ63が検出した走行体202の紙通し経路L5では、ウェブWが折機Fに到達したとして紙通し用走行体モータ61の駆動を停止する。
ここで、ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L5に対してランプが点灯(または、点滅)して作業者に知らされる。ステップS43にて、作業者は、紙通しパネル52により、ウェブWが折機Fに到達してランプが点灯している紙通し経路L5の折機紙通し経路の選択を解除(OFF)する。即ち、作業者は、ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L5に対応する選択スイッチ52e及び自動選択スイッチ52kをOFFにする。
すると、ステップS44にて、主幹盤18は、ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L5に対応する印刷ユニットU5の印刷ユニットモータ72,73,74,75を紙通し用単独駆動指令モード123により停止する。また、ステップS45にて、主幹盤18は、停止する印刷ユニットU5に関連するインフィードモータ71及び出口モータ76の駆動を停止する。なお、折機走行体検出センサ63が紙通し経路L5の走行体202を検出すると、紙通し経路L5に対応する選択スイッチ52e及び自動選択スイッチ52kを自動的にOFFにするように構成してもよい。
すると、ステップS46にて、ウェブWが折機Fに到達したら、ウェブパスモータ及び折機Fが停止する。そして、ステップS47にて、印刷機P全体が停止する。なお、ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L5にて、ウェブWに結合された走行体202は、折機走行体検出センサ63により検出されて停止している。ここで、作業者は、ウェブWと走行体202との結合を解除し、図示しない走行体排出用駆動装置により走行体202だけを第4ガイドレール201eに沿って移動し、下流端201fから外部に排出する。
図10に戻り、ステップS15にて、紙通し経路L5のウェブWの折機Fにおける到着処理が完了すると、ステップS16にて、折機Fまで紙通しが完了していない紙通し経路があるかどうかを判定する。ここで、折機Fまで紙通しが完了していない紙通し経路があると判定(Yes)されると、ステップS17にて、折機Fまで紙通しが完了していない紙通し経路L1,L2,L3,L4に対する紙通し処理を実行する。
図2及び図3、図14に示すように、紙通し経路L1,L2,L3,L4に対する紙通し処理において、ステップS51にて、作業者は、紙通しパネル52によりスリッタD11から折機LまでウェブWを通す折機紙通し経路を紙通し経路L1,L2,L3,L4に設定する。即ち、作業者は、ウェブWが折機Fまで紙通しする紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する選択スイッチ52a,52b,52c,52dを選択する。すると、紙通しパネル52からの指令が主幹盤18に入力され、ステップS52にて、折機紙通し経路に設定された紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4の印刷ユニットモータ72,73,74,75をVM指令122から紙通し用単独駆動指令モード123に切替えられる。続いて、ステップS53にて、作業者は、ウェブ運転パネル51の紙通しスイッチ51bを操作し、印刷機Pの運転操作を行い、紙通し作業を開始する。すると、ウェブ運転パネル51からの指令が主幹盤18に入力され、VM指令122に接続された印刷ユニットU1,U2,U3,U4に関連するインフィードモータ71、印刷ユニットモータ72,73,74,75、出口モータ76がこのVM指令122に基づいて駆動回転する。このとき、印刷ユニットU1,U2,U3,U4の印刷ユニットモータ72,73,74,75は、紙通し用単独駆動指令モード123に接続されているものの、VM指令122に連動して駆動する。
そのため、紙通し装置200(図4参照)により、走行体202がガイドレール201に沿って移動することで、スリッタD11の手前まで通されたウェブWが走行を開始し、折機Fまで通される。そして、折機走行体検出センサ63が紙通し経路L1,L2,L3,L4の走行体202を検出すると、折機走行体検出センサ63が検出した走行体202の紙通し経路L1,L2,L3,L4では、ウェブWが折機Fに到達したとして紙通し用走行体モータ61の駆動を停止する。
この場合、スリッタD11までウェブWが到達している紙通し経路L1,L2,L3,L4では、各紙通し経路L1,L2,L3,L4ごとに順番に折機Fまでの紙通し作業を実施する。即ち、作業者は、紙通しパネル52を用いてウェブWを折機Fに通す順序設定する。例えば、下紙順選択、上紙順選択、自動順選択ボタンを設け、作業者が選択可能となっている。
即ち、紙通し経路L1,L2,L3,L4の順でウェブWを折機Fまで移動する紙通し作業を実施するとき、作業者がウェブ運転パネル51によりスリッタD11から折機Fまでの紙通し作業が開始されると、まず、紙通し経路L1のウェブW(走行体202)が折機Fまでの移動を開始する。そして、紙通し経路L1にて、ウェブWに結合された走行体202が折機Fの手前まで移動して折機走行体検出センサ63により検出されると、紙通し用走行体モータ61による走行体202の駆動が停止される。そして、紙通し経路L1にて、ウェブWが折機Fの手前まで移動して走行体202の駆動が停止されると、次に、紙通し経路L2のウェブW(走行体202)が折機Fまでの移動を開始する。このようにして紙通し経路L1,L2,L3,L4の各ウェブWが折機Fまで移動する。
但し、ウェブWは、走行体202が結合されており、先に折機Fの手前まで移動して停止している走行体202が邪魔となり、次に、走行体が折機Fの手前まで移動できないことがある。そのため、紙通し経路L1にて、ウェブWに結合された走行体202が折機Fの手前まで移動して折機走行体検出センサ63により検出されると、紙通し用走行体モータ61による走行体202の駆動が停止される。ここで、作業者は、紙通し経路L1にて、ウェブWと走行体202との結合を解除し、走行体排出用駆動装置により走行体202だけをガイドレール201の下流端201fから外部に排出する。走行体202が移動して外部に排出されると、折機走行体検出センサ63が走行体202を検出しなくなり、この折機走行体検出センサ63の検出信号に基づいて、次の紙通し経路L2のウェブW(走行体202)が折機Fまでの移動を開始する。このようにして紙通し経路L1,L2,L3,L4の各ウェブWが折機Fまで移動する。
図10に戻り、ステップS16にて、折機Fまで紙通しが完了していない紙通し経路がないと判定(No)されると、印刷機Pの紙通し作業が終了する。
ところで、給紙ユニットR5から紙通し経路L5を経て折機Lまで紙通しを行うと同時に、給紙ユニットR1,R2,R3,R4から紙通し経路L1,L2,L3,L4を経てスリッタD11まで紙通しを行うとき、ウェブWは、経路の短い給紙ユニットR1,R2,R3,R4,L5から順にスリッタD11の手前または折機Fに到達して停止する。このとき、走行が停止した給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に対して版交換を実施することができる。
図15に示すように、ステップS61〜S67の処理は、図12のステップS31〜S37の処理と同様であり、ステップS67までに、例えば、経路長さの短い紙通し経路L1のウェブWがスリッタD11の手前に到達して停止すると、ステップS68にて、スリッタD11の手前に到達して停止した紙通し経路L1に対応する印刷ユニットU1と折機Fとの連結を解除する。具体的には、作業者が各印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58を操作し、連結解除信号を折機に送り、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5と折機Fとの連結を解除する。または、スリッタ走行体検出センサ62、折機走行体検出センサ63が走行体202を検出し、ウェブWがスリッタD11の手前や折機Fに到達したことを検知すると、自動的に連結解除信号が主幹盤18から折機Fに送信され、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5と折機Fとの連結を解除する。
続いて、ステップS69にて、主幹盤18は、ウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1に対応する印刷ユニットU1の印刷ユニットモータ72,73,74,75を紙通し用単独駆動指令モード123から版替え用単独駆動指令モード124に切替える。そのため、ステップS70にて、印刷ユニットU1の印刷ユニットモータ72,73,74,75は、各印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58により版胴やブランケット胴を単独で回転可能となり、版交換作業を実施することができる。
ステップS71にて、版交換作業を実施する版胴またはスタックを選択し、ステップS72にて、版交換作業を実施する。この版交換作業は、ウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4の順に実施される。ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L5に対応する印刷ユニットU5の版交換作業は、最後に実施してもよいし、印刷ユニットU1,U2,U3,U4の版交換作業の間に、ウェブWが折機Fに到達した場合、このウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L5に対応する印刷ユニットU5の版交換作業を割り込んで実施してもよい。なお、この場合の版胴の回転速度は、4.33rpmである。その後、ステップS74にて、各印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58を操作し、印刷ユニットU1の印刷ユニットモータ72,73,74,75を版替え用単独駆動指令モード124からVM指令モード122に切替える。
そして、全ての印刷ユニットU1,U2,U3,U4の版交換作業が完了すると、図14に示すように、ステップS51,S52,S53の処理が実施される。
なお、上述の実施形態では、ステップS21にて、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を全て検出したと判定すると、折機FまでウェブWを通す折機紙通し経路とスリッタD11までウェブWを通す同時紙通し経路を設定し、紙通し作業を開始するように構成したが、この構成に限定されるものではない。図16は、同時紙通し開始処理の変形例を表すフローチャートである。
本変形例は、仕立準備が完了した紙通し経路から順次(段階的に)紙通しするものである。作業者は、紙通しパネル52を用いて、始めに紙通しする紙通し経路の数(所定数)を事前に設定することができる。
図2及び図3、図16に示すように、ステップS71にて、作業者は、紙通しパネル52により折機FまでウェブWを通す折機紙通し経路を給紙ユニットR5からウェブWが給紙される紙通し経路L5に設定すると共に、スリッタD11までウェブWを通す同時紙通し経路を給紙ユニットR1,R2,R3,R4からウェブWが給紙される紙通し経路L1,L2,L3,L4に設定する。すると、紙通しパネル52からの指令が主幹盤18に入力され、自動紙通し経路に設定された紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5に対応する印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の印刷ユニットモータ72,73,74,75がVM指令122から紙通し用単独駆動指令モード123に切替えられる。
ステップS72にて、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4.L5の走行体202を所定数検出したかどうかを判定する。この所定数とは、折機FまでウェブWを通す紙通し経路を含むものである。ここで、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を所定数検出しないと判定(No)すると、ステップS71の処理を継続して行う。一方、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を所定数検出したと判定(Yes)すると、ステップS73に移行する。
ステップS73にて、主幹盤18は、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が検出した紙通し経路に対して、印刷機Pの運転操作を行い、紙通し作業を開始する。VM指令122に接続された印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に関連するインフィードモータ71、印刷ユニットモータ72,73,74,75、出口モータ76がこのVM指令122に基づいて駆動回転し、所定数の紙通し経路における紙通し作業が実施される。ステップS74にて、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4.L5の走行体202を所定数検出したかどうかを判定する。この所定数とは、ステップS72で検出していない残りの紙通し経路である。ここで、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を所定数検出しないと判定(No)すると、ステップS74の処理を継続して行う。一方、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の走行体202を所定数検出したと判定(Yes)すると、ステップS75に移行する。
ステップS75にて、主幹盤18は、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が検出した紙通し経路に対して、印刷機Pの運転操作を行い、紙通し作業を開始する。VM指令122に接続された印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5に関連するインフィードモータ71、印刷ユニットモータ72,73,74,75、出口モータ76がこのVM指令122に基づいて駆動回転し、所定数の紙通し経路における紙通し作業が実施される。
なお、この同時紙通し開始処理の変形例では、ステップS73にて、作業者が紙通しパネル52を用いて事前に設定した所定数の紙通し経路に対して紙通し作業を開始する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、仕立準備完了位置走行体検出センサ64が検出した紙通し経路の中から作業者が所望する紙通し経路を適宜選択して、紙通し作業を開始してもよい。
このように本実施形態の紙通し装置にあっては、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dを同期して駆動することで、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの1つの給紙ユニットから繰り出されたウェブWを折機Fに通すと共に、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの残りの複数の給紙ユニットから繰り出された複数のウェブWをスリッタD11の手前に通す第1紙通しモードと、給紙装置Rとウェブパス装置Dの同期駆動に対して印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を単独駆動可能とする版替え用単独駆動指令モード124を設け、第1紙通しモードの実行時にウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5またはウェブWがスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の同期駆動を解除して版替え用単独駆動指令モード124を実行する。
従って、第1紙通しモードにて、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から繰り出された各ウェブWは、対応する各印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を通ってウェブパス装置Dへ供給され、1つのウェブWがウェブパス装置Dを通過して折機Fまで供給されて停止し、残りのウェブWがスリッタD11の手前まで供給されて停止する。このとき、各給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5からスリッタD11までの紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の長さが相違することから、複数のウェブWは折機FまたはスリッタD11の手前に順番に到達する。そして、ウェブWが折機FまたはスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5から順に同期駆動が解除されて版替え用単独駆動指令モード124となる。この版替え用単独駆動指令モード124は、給紙装置Rとウェブパス装置Dに対して印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5が単独駆動可能であるため、例えば、ウェブWが折機FまたはスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5から順に版交換作業を実施することができる。その結果、紙通し作業と版交換作業などを同時に実施することができ、印刷準備時間を短縮することで作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の紙通し装置では、第1紙通しモードの実行指令を出力するウェブ運転パネル51と、版替え用単独駆動指令モード124の実行指令を出力する印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58と、ウェブ運転パネル51と印刷機ユニット運転パネル54,55,56,57,58からの指令が入力することで給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dを駆動制御する主幹盤18とを設けている。従って、第1紙通しモードと版替え用単独駆動指令モード124との切替を容易に行うことができると共に、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を単独で容易に駆動することができる。
本実施形態の紙通し装置では、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dを同期して駆動するバーチャルマスターモード122と、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dを同期して駆動可能であると共に印刷ユニットだけを単独駆動可能である紙通し用単独駆動指令モード123とを設け、主幹盤18は、第1紙通しモードの実行指令が入力すると、バーチャルマスターモード122から紙通し用単独駆動指令モード123に切り替えて第1紙通しモードを実行する。従って、給紙装置Rとインフィード装置Iと印刷装置Uとウェブパス装置Dを同期して駆動するとき、ウェブWが折機FやスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5から順に停止することができる。
本実施形態の紙通し装置では、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを折機Fに通す第2紙通しモードを設け、主幹盤18は、第1紙通しモードの完了後に紙通し用単独駆動指令モード123で第2紙通しモードを実行する。従って、スリッタD11の手前に到達した各ウェブWを容易に折機Fまで通すことができる。
本実施形態の紙通し装置では、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを折機Fに通す順序を設定する紙通しパネル52を設けている。従って、紙通しパネル52によりスリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを折機Fに通す順序を設定することから、作業者は、印刷形態などに応じてウェブWを折機Fに通す順序を適宜決めることができ、作業性を向上することができる。
本実施形態の紙通し装置では、主幹盤18は、紙通しパネル52からの入力指令により版替え用単独駆動指令モード124から第2紙通しモードに切り替える。従って、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWをスリッタD11から折機Fに適切に通すことができる。
本実施形態の紙通し装置では、ウェブWを折機Fに通す紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5と、ウェブWをスリッタD11の手前に通す紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5を設定する紙通しパネル52を設けている。従って、紙通しパネル52によりウェブWを折機Fに通す紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5とスリッタD11の手前に通す紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5を設定することができ、印刷形態などに応じてウェブWを折機Fに通す紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5、つまり、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5や印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を決めることができ、作業性を向上することができる。
本実施形態の紙通し装置では、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から繰り出されたウェブWを折機Fに通す紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5は、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から折機Fまでの紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5が最も短い紙通し経路に設定される。従って、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から折機Fに通す紙通し時間を短くすることができ、待ち時間を短縮して紙通し作業の作業性を向上することができる。
本実施形態の紙通し装置では、スリッタD11の手前に最初に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5を、ウェブWを折機Fまで紙通しを行う紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5に設定している。従って、給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から折機Fに通す紙通し時間を短くすることができ、また、紙通し開始前に、紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5の選択が不要となり、待ち時間を短縮して紙通し作業の作業性を向上することができる。
本実施形態の紙通し装置では、給紙装置Rから折機FまでのウェブWの紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5に沿って配設されるガイドレール201と、ウェブWの先端部が結合されてガイドレール201に沿って走行自在な走行体202と、走行体202をガイドレール201に沿って走行駆動する駆動装置203と、走行体202がスリッタD11の手前に到達したことを検出するスリッタ走行体検出センサ62と、走行体202が折機Fに到達したことを検出する折機走行体検出センサ63を設け、主幹盤18は、スリッタ走行体検出センサ62及び折機走行体検出センサ63の検出信号に基づいて駆動装置203を制御する。従って、スリッタ走行体検出センサ62及び折機走行体検出センサ63がスリッタD11の手前や折機Fに到達した走行体202を検出すると、主幹盤18は、各センサ62,63が設けられたガイドレール201を走行する走行体202の駆動を停止することとなり、スリッタD11の手前や折機Fに到達したウェブWを高精度に停止することができる。
本実施形態の紙通し装置では、第2紙通しモードは、スリッタD11の手前に到達した複数のウェブWを順に折機Fに通すモードであり、スリッタD11に停止する1つのウェブWに結合された走行体202が移動を開始し、折機Fに到達して折機走行体検出センサ63が走行体202を検出すると、駆動装置203により折機Fに到達した走行体202を停止し、スリッタD11に停止している次のウェブWに結合された走行体202の移動を開始する。従って、スリッタD11に停止しているウェブWを連続して紙通しすることができ、作業性を向上することができる。
本実施形態の紙通し装置では、スリッタD11に停止する1つのウェブWに結合された走行体202が移動を開始し、折機Fに到達して折機走行体検出センサ63が走行体202を検出すると、駆動装置203により折機Fに到達した走行体202を停止し、走行体202がガイドレール201から排出されると、スリッタD11に停止している次のウェブWに結合された走行体202の移動を開始する。従って、スリッタD11に停止しているウェブWを連続して紙通しすることができると共に、走行体202同士の衝突を防止してスムースにウェブWの紙通しを行うことができ、作業性を向上することができる。
本実施形態の紙通し装置では、走行体202が印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5の手前に到達したことを検出する仕立準備完了位置走行体停止センサを設け、仕立準備完了位置走行体停止センサが所定数の走行体202を検出すると、第1紙通しモードを実行する。紙通し作業をグループ単位で実施することで、版交換作業を一部先行して実施することができ、作業性の向上を図ることができる。
本実施形態の紙通し装置では、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から折機Fまでの紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5におけるウェブWにおける紙通しの異常を検出する紙通し異常検出装置を設けている。従って、各給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から折機Fまでの紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にウェブWが走行して紙通し作業が実施されるとき、紙通し異常検出装置が走行するウェブW(走行体202)の異常として、例えば、断紙を検出することができる。このとき、ウェブWが切断された紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5のウェブWの走行を停止することで、紙詰まりを容易に抑制することができる。また、異常が検出された紙通し経路を表示パネル53に表示したり、音で報知することで、紙通し作業の異常個所を容易に確認することができ、異常を検出したユニットについて即座に回復することができる。本実施形態の紙通し装置では、複数の給紙ユニットU1,U2,U3,U4,U5からウェブWが繰り出されるので、紙通しの異常を監視することは重要であり、異常を検出したユニットについて即座に回復することで、紙通し作業を遅延することなく、作業の効率化を図ることができる。
また、本実施形態の印刷機にあっては、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fと、紙通し装置200とを備えている。従って、印刷開始前に、ウェブWの紙通し作業を実行するとき、複数のウェブWは、折機FまたはスリッタD11の手前に順番に到達するため、ウェブWが折機FまたはスリッタD11に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5から順に同期駆動が解除されて版替え用単独駆動指令モード124となる。この版替え用単独駆動指令モード124は、給紙装置Rとウェブパス装置Dに対して印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5が単独駆動可能であるため、例えば、ウェブWが折機FまたはスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5から順に版交換作業を実施することができる。その結果、紙通し作業と版交換作業などを同時に実施することができ、印刷準備時間を短縮することで作業性の向上を図ることができる。
また、本実施形態の印刷準備作業方法にあっては、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの1つの給紙ユニットから繰り出されたウェブWを折機Fに通すと共に、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5のうちの残りの複数の給紙ユニットから繰り出された複数のウェブWをスリッタD11の手前に通す第1紙通しステップと、ウェブWが折機Fに到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5またはスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を単独駆動可能とするステップと、単独駆動可能となった印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5における版胴の版交換作業を実施するステップと、版胴の版交換作業が完了した印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5がある紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5のウェブWを折機Fに通す第2紙通しステップとを有する。
従って、ウェブWが折機FまたはスリッタD11の手前に到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5から順に版交換作業を実施することができる。その結果、紙通し作業と版交換作業などを同時に実施することができ、印刷準備時間を短縮することで作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態では、複数の給紙ユニットR1,R2,R3,R4,R5から繰り出された複数のウェブWがスリッタD11の手前または折機Fに到達した紙通し経路L1,L2,L3,L4,L5にある印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5を単独駆動可能とし、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5における版胴の版交換作業を実施するように構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、版胴の版交換作業の代わりに、各種のメンテナンス作業を実施してもよい。
例えば、印刷ユニットU1,U2,U3,U4,U5にて、インキローラ洗浄作業やブランケット洗浄作業がある。また、折機Fにて、折機調整(折り込みローラやニッピングローラなどのローラ間の隙間調整)、折機の清掃(チリ、ゴミの除去)などがある。
また、ウェブWがスリッタD11の手前または折機Fに到達したときの停止方法は、本実施形態のように、単独駆動で止めると、精度良く停止するためにより好適であるが、モータを制御から切り離してフリーランとしてもよい。また、バーチャルマスタ(VM)をウェブWごとに設定して運転してもよい。
更に、紙通し調整装置、紙通し操作装置は、パネルで構成されたものに限らず、コンピュータを用いた演算記憶装置であってもよい。
また、上述した実施形態では、印刷機として新聞用オフセット輪転印刷機Pを適用したが、商業用オフセット輪転印刷機やオフセット枚葉印刷機などに適用してもよい。