従来、この種の洗濯機は、洗濯機本体内部に洗濯と脱水を行う洗濯槽を有し、洗濯機本体上部には、洗濯機本体の一部を構成する上部筐体を有し、上部筐体に、洗濯槽に衣類を出し入れする衣類投入口を有し、衣類投入口を開閉自在に覆う蓋体を有していた。衣類投入口近傍には、洗剤収容ケースを配置し、洗剤収容ケースの上方には、洗剤収容ケースに給水する流路構造部を、洗剤収容ケースの下方には、水と洗剤とを混ぜながら流下して、洗剤水溶液を洗濯槽に供給する洗剤溶解手段を有していた。また、流路構造部の一部と洗剤溶解手段とを一体に成型して、洗濯槽の反対側を有底にして、洗濯槽側を開口した有底筒形状となるよう構成し、開放側から洗剤水溶液を洗濯槽に流していた(例えば、特許文献1参照)。
図13は、一般的なトップロード洗濯機で洗剤収容ケースが閉じたときの主要な断面図を示す。図14は、一般的なトップロード洗濯機の給水部の要部断面斜視図を示す。図15は、一般的なトップロード洗濯機の洗剤収容ケースを引き出したときの主要な断面図を示す。図16は、一般的なフロントロード洗濯機の要部分解斜視図を示す。図17は、一般的なトップロード洗濯機の要部断面図を示す。
以下、図13から図17に基づいて、一般的なトップロード洗濯機の構成について説明する。
洗濯機本体102は、内部に洗濯槽101を回転自在に収納し、洗濯機本体102の上部には、洗濯機本体102の上部全体をほぼ覆う上部筐体103が装着されている。上部筐体103の略中央には、上部筐体103に一体に成形され、洗濯槽101の上方に向けて下方向に伸延して構成した衣類投入口104を形成している。上部筐体103には、衣類投入口104の上方全体を覆う蓋体105を開閉自在に装着している。洗濯槽101は、モータ110により、回転、停止させる。
上部筐体103には、衣類投入口104の近傍位置に、洗剤を収容する洗剤収容ケース106を引き出し自在に配設している。洗剤収容ケース106の上方には、流路構造部107を構成し、流路構成107により水道水を導いて、洗剤収容ケース106の各部に流下する構成としている。流路構造部107は、流路構造部107の上面を構成し、流路構造部107からの水漏れを防止する流路構造部上面107aと、流路構造部107の下面を構成し、洗剤収容ケース106に供給する水を流下する流路構造部下面107bとからなる。洗剤収容ケース106の下方には、洗剤溶解手段108を構成している。洗剤収容ケース106により、水道水と洗剤とが混合され、洗剤水溶液109が作られる。
流路構造部上面107aと洗剤溶解手段108とは、一体に構成し、洗濯槽101側に開口し、洗濯槽101の反対側で有底になるように構成している。
これにより、水道水圧が高く、流路構造部107を流れる流量が多い場合でも、洗剤収容ケース106、および、洗剤溶解手段108から溢れた洗剤水溶液109が、洗濯機本体102や上部筐体103に溢れ出ることを防止するので、モータ110などの電気部品に水がかかって絶縁不良になることを防止している。
洗剤収容ケース106には、衣類投入口104とは反対側に位置する一方の端に第1の排水部111を形成し、洗剤水溶液109は、第1の排水部111から洗剤溶解手段108に排水している。
洗剤溶解手段108には、衣類投入口104側に位置する一方の端に第2の排水部112を形成している。洗剤溶解手段108表面を流下した洗剤水溶液109は、第2の排水部112から衣類投入口104に排水される。
洗剤溶解手段108は、第1の排水部111から第2の排水部112に向かって下降傾斜している。第2の排水部112は、衣類投入口104より外側で、かつ、洗濯槽101の衣類投入口104側の開口端の洗濯槽開口部内壁113より内側に配置される。
これにより、洗剤水溶液109は、第2の排水部112から洗濯槽開口部内壁113の内側に排水されるので、洗剤水溶液109が洗濯槽101と洗濯機本体102との間を伝って、モータ110などの電気部品に水がかかって絶縁不良になることを防止している。
洗剤溶解手段108は、保持部材114により下方から保持されている。保持部材114は、洗剤溶解手段108の他、図示しないリード線、センサーなどの電気部品をあらかじめ組み立てて、ユニット状態にした後、図示しないツメ、ねじ等により、上部筐体103に取り付けられる。
これにより、保持部材114、洗剤溶解手段108他をユニット状態にして上部筐体103に組み立てられるので、容易に製造できる。
図14に示すように、洗剤溶解手段108には、リブ120を洗剤溶解手段108の有底側から開放側の方向に伸延して配置している。洗剤収容ケース106の底部には、スリット121を開口し、スリット121内にリブ120を挿入している。
リブ120とスリット121との間の隙間に洗剤水溶液109を通すことにより、洗剤を効率よく溶かし、洗浄性能を向上している。また、使用者が、洗剤収容ケース106を出し入れするたびに、リブ120がスリット121内を摺動するので、リブ120とスリット121との間に洗剤が固着し、目詰まりすることを防止できる。また、洗剤溶解手段108は、第1の排水部111から第2の排水部112に向かって、下降傾斜するとともに、リブ120は、洗剤溶解手段108の有底側から、開放側の方向に伸延して配置しているので、洗剤溶解手段108を作成するとき、金型の抜き方向とリブ120の伸延方向を同じにすることができ、容易に成型することができる。
図15に示すように、洗剤溶解手段の摺動面130上に洗剤収容ケースの摺動面131を摺動自在に支持している。流路構造部107の左右に配置した流路構造部のツメ135a、135bは、洗剤収容ケース106を最も引き出したときに、洗剤収容ケースの縁部134に当たるように配置している。
これにより、洗剤収容ケース106内に洗剤を投入する際に、流路構造部107のツメ135a、135bと洗剤収容ケース106の縁部134とを当接させることによって洗剤収容ケース106の位置を規制して、がたつきを無くして洗剤を入れやすくしている。洗剤収納ケース106を手入れする際は、洗剤収容ケース106を引き出した後、斜め上方に持ち上げて洗剤収容ケース106の縁部134を流路構造部107のツメ135a、135bからはずして、洗剤収容ケース106を取り外せるようにしている。
従来の別の洗濯機、例えば、フロントローディングの洗濯機を図16に示す。流路構造部107のツメ135が流路構造部107の中央、洗剤収容ケース106に対向する面に設けられ、洗剤収容ケース106を一番引き出した際に、洗剤収容ケースのツメ137に当接する。洗剤収容ケース106は、縦長の形状をしている。
これにより、洗剤収容ケース106のツメ137に当てる位置まで引いたとき、洗剤収容ケース106の後方部分の左右壁面を、洗剤溶解手段108の内壁で位置を規制して、がたつきを無くすことにより、洗剤を入れやすくしている。洗剤収容ケース106を取り外すときは、洗剤収容ケース106のツメ137を弾性的に保持する洗剤収容ケース106のはり部36を押し下げ、洗剤収容ケース106のツメ137を流路構造部107のツメ135から外して取り外している。
図17に示すように、洗濯槽101上方に、衣類にシャワー水150a、150bをかける給水手段151が設けられている。洗濯槽101内の水をポンプ(図示せず)でくみ上げ、加圧して給水手段151に送っている。給水手段151には、さらに、底面に設けた円形の第1の吐出口152と、外周面に略水平方向に開口した第2の吐出口153とを有している。第1の吐出口152と第2の吐出口153の手前には、絞り部154を有していて、絞り部154により流速をあげている。
これにより、第1の吐出口152から噴出し、下方向に広がるシャワー水150aと、第2の吐出口153から噴出し水平方向に広がるシャワー水150bとによって、洗濯槽101内の洗濯物155に均一にシャワー水150a、150bをかけて、効率よく洗浄できるようにしている。
第1の発明は、衣類を洗浄する洗浄動作を行う洗濯槽と、前記洗濯槽上部を覆う上部筐体と、前記上部筐体の略中央部に一体に形成された衣類投入口と、前記衣類投入口の近傍に引き出し自在に配設され洗剤を収容する洗剤収容ケースと、前記洗剤収容ケースの上方に配置され、前記洗剤収容ケースへ水を供給するための流路を規定する流路構造部と、水、または洗剤を含む洗剤水溶液を前記洗濯槽に流下させる洗剤溶解手段と、を備え、前記洗剤溶解手段は、前記上部筐体の一部を前記衣類投入口に向けて下方向に傾斜させて一体に構成され、前記流路構造部は、前記上部筐体に固定され、前記洗剤収容ケースは、前記洗剤溶解手段と前記流路構造部との間に収容する洗濯機としたことにより、保持部材などがなくても、流路構造部や、電気部品を直接上部筐体に組み立てることができるので、洗剤収容ケースと上部筐体との位置がずれにくく、上部筐体の流水面より高い位置に電気部品を配置できるので、洗剤収容ケース、または流路構造部から溢れた水がかかるのを防止でき、さらに、洗濯槽に洗剤水溶液を供給する前に、洗剤溶解手段で洗剤を充分溶解して、洗濯性能を向上させる場合にも、洗剤溶解手段と上部筐体とを一体にすることによって、隙間からの水漏れを防止できる。
第2の発明は、特に、第1の発明の洗濯機において、前記洗剤収容ケースの一部を構成し、前記洗剤水溶液を前記洗剤溶解手段に排水する第1の排水部と、前記洗剤溶解手段の
一部を構成し、前記洗剤水溶液を前記洗濯槽に排水する第2の排水部と、前記洗剤収容ケースと前記流路構造部との間に構成し、前記第1の排水部以外から前記洗剤水溶液が前記洗剤溶解手段に排水されるのを抑制する第1の防水手段と、前記洗剤溶解手段と前記流路構造部との間に構成し、前記第2の排水部以外から前記洗剤水溶液が前記洗濯槽に排水されるのを抑制する第2の防水手段と、を備え、上方より前記第2の防水手段、前記第1の防水手段、前記第1の排水部、前記第2の排水部の順に配置した洗濯機としたことにより、第2の排水部より、第1の排水部の位置が高いため、洗剤水溶液が第1の排水部で充分に排水できて、水漏れしにくく、第1の排水部より、第1の防水手段の位置が高いため、第1の排水部で排水しやすいので、第1の防水手段から水漏れしにくく、第1の防水手段より、第2の防水手段の位置が高いため、第1の防水手段を超えて洗剤水溶液が溢れても、第2の防水手段まで水位が上がりにくいので、第2の防水手段からの水漏れを防止できる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の洗濯機において、前記洗剤収容ケースの一部と、前記洗剤溶解手段の一部を構成し、前記洗剤収容ケースを摺動自在に支持する第1の支持手段と、前記第1の支持手段よりも前方の位置で、前記洗剤収容ケースを摺動自在に支持する第2の支持手段とを備え、前記第2の支持手段は、前記流路構造部の一部を前記洗剤収容ケースの左右に近接して下方に前記第1の支持手段の近傍まで延設して構成した洗濯機としたことにより、洗剤収容ケースは、第1の支持手段だけでなく、第2の支持手段によっても摺動自在に支持されるので、洗剤溶解手段を上部筐体と一体化するために、洗剤溶解手段の奥行き寸法を短くしなければならない場合でも、洗剤収容ケースを大きく引き出すことができ、使用者が洗剤を確実に投入できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における洗濯機の側断面図である。図2は、同洗濯機の洗剤収容ケースを装着した状態を示す要部断面図である。図3は、同洗濯機の洗剤収容ケースを装着した状態を示す要部断面図である。図4は、同洗濯機の洗剤収容ケースを装着した状態を示す要部断面斜視図である。図5は、同洗濯機の洗剤収容ケースを外した状態を示す要部断面斜視図である。図6は、同洗濯機の洗剤収容ケースを引き出した状態を示す要部断面斜視図である。図7は、同洗濯機の要部斜視図、図8は、同洗濯機の概略構成説明図、図9、図10は、同洗濯機の動作説明図である。図11は、同洗濯機の要部断面斜視図である。図12は、同洗濯機の概略的なブロック図である。
図において、洗濯機本体2は、洗濯槽1を回転自在に支持して収納し、洗濯機本体2の上部には、洗濯機本体2の上部全体をほぼ覆うポリプロピレンで成形した上部筐体3が装着されている。上部筐体3の略中央には、衣類投入口4が上部筐体3に一体に成形され、衣類投入口4は、洗濯槽1の上方に向けて下方向に伸延して構成している。上部筐体3には、衣類投入口4の上方全体を覆う蓋体5を開閉自在に装着している。
上部筐体3には、衣類投入口4の近傍位置に、洗剤を収容する洗剤収容ケース6を引き出し自在に配設している。洗剤収容ケース6の上方には、流路構造部7を構成し、流路構
造部7は、水道水を導いて、洗剤収容ケース6の各部に流下する構成としている。流路構造部7は、流路構造部7の上面を構成し、流路構造部7からの水漏れを防止している流路構造部上面7aと、流路構造部7の下面を構成し、洗剤収容ケース6に供給する水を流下する流路構造部下面7bとからなる。流路構造部上面7aと流路構造部下面7bとは、流路構成に必要な比較的短いリブを平面上に形成した略板状の形状に形成している。
洗剤収容ケース6の下方には、上部筐体3を一部下方に伸延して洗剤溶解手段8を構成している。洗剤溶解手段8は、洗剤収容ケース6の下方に配置し、衣類投入口4に向かって下方向に傾斜する洗剤溶解手段の流水面8aと、洗剤溶解手段の流水面8aの周囲で、衣類投入口4に向いた面以外の面に略垂直に立てた洗剤溶解手段の周囲壁8bとから構成される。流路構造部上面7aと流路構造部下面7bとは、水密に溶着して一体化し、洗剤溶解手段8の上部を覆うように配置し、上部筐体3に図示しないツメやねじ等により固定される。洗剤収容ケース6により、水道水と洗剤とが混合されて、洗剤水溶液9が生成される。洗濯槽1は、モータ10により、回転、停止される。
洗剤収容ケース6には、衣類投入口4とは反対側に位置する一方の端を一部下方に下げて第1の排水部11を構成している。第1の排水部11から洗剤溶解手段8に洗剤水溶液9が排水される。洗剤水溶液9は、洗剤溶解手段8の流水面8aの衣類投入口4側に位置する一方の端である第2の排水部12から衣類投入口4に排水される。洗剤溶解手段8の流水面8aは、第1の排水部11から第2の排水部12に向かって下降傾斜している。第2の排水部12は、洗濯槽1中心から見て衣類投入口4より外側で、かつ、洗濯槽1の衣類投入口4側の開口端の洗濯槽開口部内壁13より内側に配置される。
洗剤収容ケース6は、粉末洗剤を収容する第1収容室14と、液体の柔軟剤を収容する第2収容室15とを含む。流路構造部下面7bの一部は、第1収容室14の周囲壁面に向けて下方に伸延して第1の防水壁16を構成している。第1の防水壁16は、第1の排水部11を除くほぼ全周で、第1収容室14周囲壁面上部に近接している。流路構造部下面7bの一部は、洗剤溶解手段8の周囲壁8bに向けて下方に伸延して、第2の防水壁17を構成している。流路構造部下面7bは、第2の防水壁(防水手段)17、第2の排水部12を除くほぼ全周で、洗剤溶解手段の周囲壁8b上部に近接している。
流路構造部7の上方には、流路構造部7に水道水を開閉自在に流下させる給水弁18、洗濯機の給水、洗濯、脱水を制御する制御手段、使用者の指示を受け付ける入力手段、使用者に運転状況を知らせる表示手段を含む操作部19などの電気部品を配置している。給水弁18と、操作部19とは、ともに上部筐体3の後方に配置しており、図示しない配線により装着している。給水弁18と、操作部19とが近接しているので、配線は短くすることができ、製造しやすく、外部からの電磁波などの影響による操作部19の誤動作を防止しやすくすることができる。
流路構造部下面7bには、複数の第1流下孔25を形成しており、第1収容室14に収容した洗剤が溶け残ることなく、確実に水と混合するように構成している。第1収容室14により水と洗剤とが混合して生成した洗剤水溶液9は、第1の排水部11から第2の排水部12に向かう間に、上部筐体3と継ぎ目なく一体に構成した洗剤溶解手段の流水面8aにより、さらに水と洗剤との溶解を促進して、洗浄性能を向上している。
上方より第2の防水壁17、第1の防水壁16、第1の排水部11、第2の排水部12の順に配置している。
洗剤溶解手段8の流水面8aには、複数のピン20が、上方の洗剤収容ケース6に向けて伸延して配置されている。洗剤収容ケース6の一部は、第1の排水部11よりさらに後
方に伸延し、洗剤水溶液9を下方に流下するスリット21を含む粉砕室22が構成されている。第1収容室14は、第1の排水部11を含む仕切壁23によって、粉砕室22と、使用者が洗剤を投入した後の洗剤と水と混合する混合室24とを仕切っている。流路構造部下面7bの混合室24の上方には、混合室24の洗剤に水を流下する複数の第1流下孔25を形成し、粉砕室22の上方には、粉砕室22に水を流下する第2流下孔26を形成している。第1流下孔25と、第2流下孔26とは、流路構造部7内部の流路で連通している。
使用者が混合室24に洗剤を投入した後、洗濯機が運転を開始すると、給水弁18が開いて第1流下孔25から混合室24の洗剤に水が流下し、洗剤と水とが混合する。第1流下孔25から水が供給されて、洗剤と混合しながら混合室24内の水位が上昇し、仕切壁23の高さまで達すると、水と洗剤の混合液は、仕切壁23を越えて粉砕室22に流れ込む。粉砕室22では、第2流下孔26の水が上方からかけられ、下方のスリット21から下方に洗剤水溶液9が排出される。スリット21の開口より大きな洗剤の塊は、スリット21を通過せず、粉砕室22にとどまる。粉砕室22にとどまった大きな洗剤の塊は、さらに第2流下孔26からかけられる水によって、徐々に溶解がすすみ、洗剤がスリット21の開口より小さくなるまで溶解がすすむと、下方に流下する。
スリット21の長手方向は、洗剤収容ケース6の摺動方向と略同一にしている。ピン20の先端は、スリット21を貫通している。洗剤収容ケース6は、前後に摺動可能に形成されており、洗剤を第1収容室14に投入する際には、使用者が洗剤収容ケース6を引き出し、洗剤投入後には、使用者が洗剤収容ケース6を閉じることによって、洗濯運転開始時に、洗濯機が給水弁18を開いて、洗剤水溶液9を洗濯槽1に流下するように構成している。
仕切壁23より下流側には、粉砕室22の領域の上方位置で、第2流下孔26より上流側に、洗剤水溶液速度調整壁27を、流路構造部下面7bから下方に伸延して一体に構成しており、洗剤水溶液速度調整壁27により、洗剤水溶液速度を制限するよう構成している。
洗剤溶解手段の流水面8a上には、水跳ね抑制壁28aを設けている。水跳ね抑制壁28aは、前後に二つ並んだ第1流下孔25の直下近傍の位置で、かつ、洗剤溶解手段の流水面8a全体の中央よりの一方に、前後方向、つまり、洗剤収容ケース6の摺動方向であり、洗剤水溶液9が洗剤溶解手段の流水面8a上を流下する方向に向かって伸延して、第2の排水部12側の一端で、略J字に、第1流下孔25の一つの直下部分を囲うように曲げている。
このように、水跳ね抑制壁28aは、一部が洗剤水溶液9の流水する方向に、一部が洗剤水溶液9の流水を遮る方向に伸延して構成されている。さらに、洗剤溶解手段の流水面8a上に、第2の水跳ね抑制壁28bと第3の水跳ね抑制壁28cとが設けられている。第2の水跳ね抑制壁28bと第3の水跳ね抑制壁28cは、第2流下孔26の直下近傍を略C字に、左右から、すなわち第2流下孔26に対向する部位を、洗剤水溶液9の流水する方向以外の方向から囲うように伸延して構成し、洗剤水溶液9の流水する方向を開口している。
第2の排水部12側の一端で略J字に曲げている水跳ね抑制壁28a近傍の洗剤溶解手段8の流水面8aに、洗濯槽1に向けて連通する排水孔29が設けられている。排水孔29は、洗濯槽1中心から見て、洗濯槽開口部内壁13より内側の範囲に開口している。排水孔29は、第1流下孔25の一つと対向する位置に開口している。
洗剤溶解手段8の流水面8aと洗剤溶解手段8の周囲壁8bとの間には、洗剤収容ケース6の摺動方向に階段状の断面形状に伸延した洗剤溶解手段8の摺動面30を左右に構成している。洗剤収容ケース6の左右端であり、洗剤溶解手段8の摺動面30に対向する位置は、洗剤収容ケース6の摺動面31を構成しており、摺動面31は、下方に伸延したのち左右方向に伸延して平面に形成されている。洗剤溶解手段8の摺動面30と洗剤収容ケース6の摺動面31とにより、第1の支持手段を構成し、第1の支持手段により、洗剤収容ケース6を上部筐体3に対して摺動自在に支持する。
洗剤溶解手段8は、衣類投入口4側に開口部32を形成し、開口部32から洗剤収容ケース6を出し入れするよう構成している。
洗剤溶解手段8は、操作部19により覆われ、操作部19は、上部筐体3の上部に図示しないツメやねじ等により固定している。操作部19は、前縁部33を上部筐体3の衣類投入口4と、開口部32との間に当接している。
流路構造部下面7bは、流路構造部7の左右の洗剤収容ケース6の摺動範囲外では、一部を下方に伸延している。流路構造部下面7bは、先端付近を洗剤収容ケース6に向けて伸延し、流路構造部7の摺動面34を構成している。流路構造部7の摺動面34と洗剤収容ケース6の摺動面31とにより、第2の支持手段を構成し、洗剤収容ケース6は、第2の支持手段により、上部筐体3に固定した流路構造部7に対して摺動自在に支持される。
このように、洗濯槽1中心側から見て、衣類投入口4、流路構造部7の摺動面34、操作部の前縁部33、開口部32、洗剤溶解手段の摺動面30の前縁、第2の排水部12、洗濯槽開口部内壁13、洗剤溶解手段の流水面8aの順に配置している。
流路構造部下面7bの略中央から洗剤収容ケース6に向かって伸延する流路構造部7のツメ35(第2の係止手段)は、洗剤収容ケース6を引き出したときに、洗剤収容ケース6の第1収容室14と第2収容室15との間に位置する。洗剤収容ケース6のはり部36の一部には、流路構造部7に向かって洗剤収容ケース6のツメ37(第1の係止手段)が弾性的に上下可能に伸延される。ツメ35は、洗剤収容ケース6を引き出した状態で、ツメ37に当接する。
洗剤収容ケース6のツメ37と流路構造部7のツメ35は、それぞれ当接する面に、洗剤収容ケース6の摺動方向に略垂直な平面を有しており、洗剤収容ケース6を引き出した際に、当接面を当接させて、洗剤収容ケース6を、それ以上引き出せないように位置規制している。
洗剤収容ケース6を取り外して手入れなどをする際には、使用者は、洗剤収容ケース6のはり部36を押し下げることにより、ツメ37を弾性変形させてツメ35との当接を外し、洗剤収容ケース6を取り外すことができる。
ツメ35とツメ37の当接する面の反対側の面は、洗剤収容ケース6の摺動方向に対し傾斜している。これにより、洗剤収容ケース6を流路構造部7に取り付ける際に、ツメ35とツメ37の傾斜面が当接し、洗剤収容ケース6を挿入するにしたがって、洗剤収容ケース6のはり部36が弾性的に下方にたわみ、ツメ37がツメ35を乗り越えて洗剤収容ケース6のツメ37と流路構造部のツメ35とが係止する。
流路構造部7の左右端には、流路構造部7の支持手段38が洗剤収容ケース6の摺動方向にそって下方に伸延して形成され、支持手段38の内側の面は、第1収容室14、第2収容室15の外側の壁に近接させている。
洗剤収容ケース6の左右端には、洗剤収容ケース6の位置抑制手段39が洗剤収容ケース6の摺動方向にそって上方に伸延して形成され、位置抑制手段39の内側の面は、流路構造部7の支持手段38の外側の壁に近接させている。
外側から内側へ向かって、洗剤収容ケース6の位置抑制手段39、流路構造部の支持手段38、第1収容室14と第2収容室15の外側の壁、第1収容室14と第2収容室15、さらにその間に挟むように洗剤収容ケース6のツメ37と流路構造部のツメ35が順に配置されている。
このように、洗剤収容ケース6の略中央には、洗剤収容ケース6のツメ37(第1の係止手段)と、流路構造部7のツメ35(第2の係止手段)とが位置し、ツメ35及びツメ37から離れた位置である洗剤収容ケース6の左右端側に、流路構造部7の支持手段38と洗剤収容ケース6の位置抑制手段39とが近接して位置している。
流路構造部7の支持手段38は、流路構造部下面7bに一体に形成され、流路構造部下面7bの前後方向、すなわち、洗剤収容ケース6の摺動方向に流路構造部下面7bの全長分の長さにわたって延設され、略同一断面を有したレール形状に形成している。
これにより、流路構造部下面7b、流路構造部7の摺動面34、流路構造部7のツメ35、および流路構造部7の支持手段38は、一体に構成される。また、洗剤収容ケース6、洗剤収容ケース6の摺動面31、洗剤収容ケース6の位置抑制手段39、洗剤収容ケース6のはり部36、および洗剤収容ケース6のツメ37は、一体に構成される。
第1収容室14の底面は、一部を開口して、粉末洗剤の排水孔40を形成している。粉末洗剤の排水孔40は、水跳ね抑制壁28aの排水孔29側の洗剤溶解手段8の流水面8aに対向している。
洗濯の際に、流路構造部7から第1収容室14に給水して、粉末洗剤を流す際には、水と洗剤の一部は、粉末洗剤の排水孔40から流下し、洗剤溶解手段8の流水面8aを通り、排水孔29から洗濯槽1に供給される。
所定の水を洗濯槽1に供給したのち、流路構造部7からの給水が終了すると、第1収容室14に残った水が粉末洗剤の排水孔40から流下し、洗濯槽1に供給する。第1収容室14の排水側に仕切壁23があっても、第1収容室14に残水させないので、次回使用者が第1収容室14に粉末洗剤を入れる際、第1収容室14表面が乾いているので、洗剤を入れやすく、使い勝手をよくすることができる。
流路構造部7の衣類投入口4側の一端の流路は、横方向流路41を構成し、横方向流路41は、洗濯槽1を中心にして洗剤収容ケース6の左右端まで横方向に伸延して形成される。
給水弁18から給水した水は、流路構造部7内の第1流下孔25と第2流下孔26とを含む流路を通った後、流路絞り部42を通って、横方向流路41に給水する。横方向流路41の左右端は、それぞれ下方に伸延して第1の水管部43と、第2の水管部44を構成している。
第1の水管部43と、第2の水管部44の下端近傍は、球面部45を有しており、球面部45は、第1の水管部43、第2の水管部44の中心軸を中心に、内面まで略同一半径に形成している。球面部45の一部は、洗濯槽1側に向けて斜め下方向に開口して、第1
の水平開口部46と第2の水平開口部47とを形成している。第1の水管部43と、第1の水平開口部46は、第1の給水手段48を構成し、第2の水管部44と第2の水平開口部47は、第2の給水手段49を構成している。
第1の給水手段48と第2の給水手段49は、洗剤収容ケース6の左右に隣接して配置される。これにより、第1の水平開口部46、第2の水平開口部47から洗濯槽1に向けて、シャワー水50を洗濯槽1内の洗濯物55に流す。
第1の水平開口部46と第2の水平開口部47は、水管部43、水管部44の中心軸を中心にした球面部45に洗濯槽1側に向けて斜め下方向に開口しており、水管部43、水管部44の中心軸を中心に第1の水平開口部46と第2の水平開口部47に対して垂直に水が流れる。球面部45と第1の水平開口部46と第2の水平開口部47とは、それぞれ水の噴出方向を決定する付勢手段を構成している。
洗濯槽1は、モータ10により、時計方向に回転する第1の回転状態と、反時計方向に回転する第2の回転状態とを備えており、洗い、すすぎの際、給水弁18が開いて、これらの回転時にシャワー水50を洗濯槽1内の洗濯物55に供給している。
これにより、第1の回転状態では、洗濯槽1の左側にある洗濯物55は、同じく洗濯槽1の左側にある第1の給水手段48に向かって近づく方向に移動する。同様に第2の回転状態では、洗濯槽1の右側にある洗濯物55は、同じく洗濯槽1の右側にある第2の給水手段49に向かって近づく方向に移動する。
第1の水平開口部46、および第2の水平開口部47の左右端には、端部開口部51が形成されている。端部開口部51は、略円形に形成され、第1の水平開口部46、および第2の水平開口部47の縦方向開口寸法より大きい開口寸法に形成されている。第1の水平開口部46と端部開口部51、および第2の水平開口部47と端部開口部51は、両端部の開口面積の大きい長孔形状に形成される。これにより、ゴムホースの先端を指でつまんで水を扇形に広げて放水する際の、ゴムホース先端開口形状に似た開口形状に形成される。
第1の水平開口部46と、その左右の端部開口部51とを加えた開口面積S1は、第1の水管部43の流路断面積S2よりも小さく、流路絞り部42の開口面積より大きく設定している。第1の水管部43の流路断面積S2は、横方向流路41の流路断面積と略同一に設定されている。
これにより、流路絞り部42を介して、横方向流路41、第1の水管部43、第1の水平開口部46へと流れる水は、絞られた部分がなく、すなわち流路断面が狭くなるところがなく、流路内の水圧が下がりにくくすることができる。水道水圧がひくく、流量が少ない場合は、第1の水平開口部46からのシャワー水50の速度も小さくなり、第1の水管部43内の水の減少も遅くなる。
第1の水平開口部46と、その左右の端部開口部51とを加えた開口面積S1は、第1の水管部43の流路断面積S2よりも小さく設定しているので、シャワー水50の速度より、第1の水管部43内を流れる流速は、断面積S2に反比例して遅くなる。第1の水管部43内の水位による圧力と、シャワー水50の速度のバランスが取れたところで、第1の水管部43内の水位が安定し、第1の水平開口部46には、水位に応じた一定の水圧がかかり続ける。これは、第2の水平開口部47についても同様である。
第1の水平開口部46には、下半分を構成する顎部52を有している。顎部52の内側
は、球面部45の一部を第1の水平開口部46の縁まで伸延し、流水経路断面積を絞る絞り面53を有している。顎部52の外側は、第1の水平開口部46の縁から第1の水管部43の伸延方向に対し、下方に後退する後退面54を有している。これは、第2の水平開口部47についても同様である。
洗濯槽1の下方には、洗濯物に回転力を与えて洗浄する攪拌翼56を有している。攪拌翼56の下方には、洗濯槽1の開口に向けて放射状のリブを伸延して構成した洗剤溶解翼57を有している。洗濯運転中は、洗濯槽1は、回転させずに、攪拌翼56をモータ10により回転する。これにより、洗剤溶解翼57も回転する。
洗濯槽1の側壁には、洗濯槽の洗剤投入口58が支持される。洗濯槽の洗剤投入口58を開放した状態では、洗濯槽の洗剤投入口58の一方の端部は、洗濯槽1の開口部から外に向かって伸延し、投入した洗剤を、洗濯槽1の外側に流下させる。洗剤は、洗濯槽1の外側の隙間に形成される洗剤流下経路59を通って流下し、洗剤溶解翼57に対向する位置まで落下する。
以上のように構成した洗濯機について、その動作、作用を説明する。
図1および図2において、洗剤収容ケース6は、上部筐体3の一部を下方に伸延して構成する洗剤溶解手段8と流路構造部7との間に収容されるので、洗剤水溶液9は、洗剤溶解手段8の流水面8aを流れ、流路構造部上面7aを越えることはない。これにより、上部筐体3の洗剤溶解手段8の流水面8aより高い位置に配置した給水弁18や操作部19などの電気部品に洗剤収容ケース6から溢れた水がかかって絶縁不良になることを防止することができる。流路構造部上面7aと流路構造部下面7bとは、略板状の形状に形成しているので、溶着する装置を小型化しやすく、製造しやすく、凹凸が少ないので、溶着品質も安定しやすい。
洗剤溶解手段8は、上部筐体3と一体に構成しているので、水漏れを防止でき、洗剤溶解手段8の流水面8aを流れる間に洗剤水溶液9の水と洗剤との溶解が促進し、洗浄性能を向上できる。
上方より順に、第2の防水壁17、第1の防水壁16、第1の排水部11、第2の排水部12を配置しているので、第1の排水部11が第2の排水部12より高い位置に位置する。このため、洗剤水溶液9は、洗剤溶解手段8の流水面8aに滞留せず洗濯槽1に流下するので、第1の排水部11を通過するときの排水が充分でき、第1の排水部11以外からは、洗剤収容ケース6から水または洗剤水溶液9が溢れないので、水漏れしにくい。第1の防水壁16は、第1の排水部11より高い位置に位置する。このため、万一、洗剤収容ケース6から水または洗剤水溶液9が溢れても、第1の排水部11で排水しやすいので、第1の防水壁16から水漏れしにくい。さらに、第2の防水壁17は、第1の防水壁16より高い位置に位置する。このため、万一、第1の防水壁16を超えて水または洗剤水溶液9が溢れても、第2の防水壁17まで水位が上がりにくいので、第2の防水壁17からの水漏れを防止でき、上部筐体3に配置した、給水弁18や、操作部19、また、モータ10などの電気部品に水がかかって絶縁不良になることを防止できる。
洗濯槽1中心側から見て、順に、衣類投入口4、流路構造部7の摺動面34(第2の支持手段)、操作部の前縁部33、開口部32、洗剤溶解手段の摺動面30(第1の支持手段)の前縁、第2の排水部12、洗濯槽開口部内壁13、洗剤溶解手段8の流水面8aを配置している。洗剤収容ケース6は、洗剤溶解手段8の摺動面30(第1の支持手段)だけでなく、流路構造部7の摺動面34(第2の支持手段)によっても摺動自在に支持される。これにより、洗剤溶解手段8を上部筐体3と一体化するために、洗剤溶解手段8の奥
行き寸法を短くしなければならない場合、すなわち、洗剤溶解手段8の摺動面30(第1の支持手段)が短く開口部32より外側でしか、洗剤収容ケース6を支持できない場合でも、洗剤収容ケース6を流路構造部7の摺動面34まで大きく引き出したときに流路構造部7の摺動面34で支持することができ、洗剤収容ケース6が脱落しないため、使用者が洗剤を確実に投入することができる。
流路構造部7の摺動面34(第2の支持手段)は、流路構造部7の一部を構成したことにより、洗剤収容ケース6を、洗剤溶解手段8と流路構造部7のみで、摺動自在に支持することができるので、ツメやねじ等により洗剤溶解手段8と流路構造部7の位置決めをするだけで、洗剤溶解手段8の摺動面30(第1の支持手段)と、流路構造部7の摺動面34(第2の支持手段)と、洗剤収容ケース6の摺動面31の相対位置がずれて、洗剤収容ケース6を引き出しにくくなることを防止することができる。
図1において、洗濯槽1の洗剤投入口58に洗剤を投入することによって、洗剤を洗剤溶解翼57まで流下させ、洗濯中に攪拌翼56を回転させることにより、攪拌翼56とともに回転する洗剤溶解翼57によって洗剤を溶解することができる。水道水圧が高いときには、上部筐体3に開閉自在に収容した洗剤収容ケース6に洗剤を投入して水道水の給水時に洗剤を溶解して洗濯槽1に供給し、水道水圧が低いときや、水道を使わずにバケツなどで給水するときには、洗濯槽1の洗剤投入口58に洗剤を投入して、洗濯運転中の攪拌翼56の回転により洗剤を溶解できるので、使い勝手がよい。
図3において、混合室24と粉砕室22との間を、仕切壁23で仕切り、混合室24へ水を流下する第1流下孔25と、粉砕室22へ水を流下する第2流下孔26とを流路構造部7に連通して設け、粉砕室22の底部に洗剤水溶液9を下方向に流出するスリット21から流す構成としている。これにより、洗剤の状況によらず、たとえば、洗剤が湿って塊状になっているような場合でも、洗剤水溶液9中の洗剤は、スリット21よりも確実に小さくなるまで溶解を促進して、洗濯槽1に供給することができ、洗浄性能を向上することができる。
水道水圧が低く、流路構造部7の水圧が低く、第1流下孔25と第1流下孔25に連通する第2流下孔26から出る水の流速が低いときには、混合室24の水位もゆっくり上昇し、混合室24内の洗剤が一度に仕切壁23を超えることなく、第1流下孔25からの水によって、充分な時間をかけて溶解した後に粉砕室22に送られる。このため、水道水圧が低くい場合でも、溶解を促進して、洗濯槽1に供給することができ、洗浄性能を向上することができる。
水道水圧が高く、流路構造部7の水圧が高く、第1流下孔25と第1流下孔25に連通する第2流下孔26から出る水の流速が早いときは、混合室24の水位が早く上昇し、混合室24内の洗剤が仕切壁23を短時間で超える。この場合でも、仕切壁23を超えるまでの間は、水と洗剤とが混合される時間を有することができる。第2流下孔26からの水の流速も高いので、粉砕室22で洗剤が勢いよく粉砕され、短時間で洗剤溶解することができる。このため、水道水圧が高くても、溶解を促進して、洗濯槽1に供給することができ、洗浄性能を向上することができる。
洗剤溶解手段8の流水面8aに、スリット21に向けてピン20を立設し、ピン20の先端は、スリット21に挿入している。これにより、スリット21を通るまでに細かく粉砕された洗剤は、洗剤溶解手段8の流水面8a上で、ピン20の間を通る間にさらに細かく粉砕されるので、効率よく洗剤を溶解できる。スリット21の長手方向は、洗剤収容ケース6の摺動方向と略同一にしているので、使用者が、洗濯機に洗剤を入れる度に洗剤収容ケース6を出し入れすることにより、スリット21に固着した洗剤を、摺動するピン2
0によって剥離することができ、スリット21に洗剤が固着して、目詰まりすることを防止できるので、効率よい洗剤溶解を、長期にわたって実現できる。
洗剤水溶液速度調整壁27は、粉砕室22領域の上方に備えている。これにより、水道水圧が高く流路構造部7の第1流下孔25から流下する流量が大きい場合でも、仕切壁23を勢いよく超えた洗剤水溶液9の流れを、洗剤水溶液速度調整壁27によって粉砕室22の方向に、図3では下向きに変えて流すことができる。よって、洗剤水溶液9が粉砕室22の範囲にとどまりやすく、洗剤溶解が進む前に粉砕室22を越えて洗剤水溶液9が流下するのを抑制できるので、洗剤を効率よく溶かすことができ、洗浄性能を向上することができる。
図5において、水跳ね抑制壁28aは、洗剤溶解手段8の流水面8aの第1流下孔25に対向する位置近傍に、流水方向に伸延させて形成している。これにより、洗剤収容ケース6を取り付け忘れて運転した場合に、第1流下孔25から流下して、洗剤溶解手段8の流水面8a上で四方に水が跳ねるが、一部は水跳ね抑制壁28aに当たり、上方向に流れがかわる。このため、洗剤溶解手段8の流水面8aの第2の排水部12側開口から機器前方に跳ねるのを抑制することができる。
水跳ね抑制壁28aの第2の排水部12側の一端は、流水方向と異なる方向に略J字に伸延しているので、第1流下孔25から流下して、水が洗剤溶解手段の流水面8a上で四方に跳ねる場合には、水が排水部12側から跳ねることを抑制することができる。水跳ね抑制壁28b、28cは、流水方向と異なる方向に略C字に、第2流下孔26に対向する位置を囲うように伸延している。これにより、第2流下孔26からの水が洗剤溶解手段の流水面8a上で四方に跳ねる場合には、一部は水跳ね抑制壁28b、28cに当たり、上方向に流れがかわる。このため、機器前方に跳ねることを抑制できるので、洗剤収容ケース6をとりはずした状態でも、機器前方の使用者をぬらすことがない。
水跳ね抑制壁28b、28cの洗剤水溶液9の流水する方向は、開口しているので、洗剤水溶液9が残水することがない。第2の排水部12側の一端で略J字に曲げている水跳ね抑制壁28a近傍の洗剤溶解手段8の流水面8aには、洗濯槽1に向けて連通する排水孔29を、洗濯槽1の洗濯槽開口部内壁13より内側の範囲に開口している。これによって、洗剤溶解手段の流水面8aを流れる水の一部を、洗濯槽1以外の場所に溢れさせることなく、洗濯槽1にむけて排水でき、また、水跳ね抑制壁28aでせき止められ、あるいは、流れの方向を抑制された洗剤水溶液9が、洗剤溶解手段8の流水面8aにとどまり、その後乾燥して洗剤だけが洗剤溶解手段8の流水面8aに固着するのを防止することができる。
洗剤溶解手段8の流水面8aは、上部筐体3の一部下方に伸延して構成し、その周囲を洗剤溶解手段8の周囲壁8bで囲い、その上部を流路構造部7で覆って、さらに流路構造部7一体に構成した第2の防水壁17で防水している。これにより、洗剤溶解手段8と、水跳ね抑制壁28a、28b、28cは、金型により成型時に、図5の上下方向、すなわち、上部筐体3の成型金型の開き方向と同一方向に金型を移動することによって成型できるので、スライド金型などを使わなくても、簡単に成型できる。
さらに、図4において、排水孔29は、第1流下孔25の一つと対向する位置に開口しているので、第1流下孔25から流下した水は、洗剤溶解手段8の流水面8aにあたることがなく、直接洗濯槽1に流下させることができるため、洗剤収容ケース6を装着していなくても、水が洗剤溶解手段8の流水面8aで機器前方に跳ねることを抑制できる。
図6において、洗剤収容ケース6を引き出すときに、洗剤収容ケース6のツメ37と、
流路構造部7のツメ35とで位置規制している。これにより、毎回、所定の引き出し量で第1収容室14、第2収容室15に洗剤、柔軟剤を入れることができ、使い勝手がよい。さらに、使用者が、洗剤収容ケース6のはり部36を押し下げるだけで洗剤収容ケース6を取り外すことができるので、使い勝手がよい。洗剤収容ケース6のツメ37と、流路構造部のツメ35の係り代を大きくしても、洗剤収容ケース6のはり部36を押し下げるだけで外せるので、使い勝手をよくできる。
洗剤収容ケース6のツメ37と、流路構造部のツメ35は、洗剤収容ケース6の略中央一箇所にあるため、洗剤収容ケース6が左右にがたつきにくい上、洗剤収容ケース6のはり部36を押し下げる操作は片手で行なうことができ、簡単に取り外せるので使い勝手がよい。洗剤収容ケース6を引き出した状態で、洗剤収容ケース6のはり部36を視認できるので、洗剤収容ケース6の取り外し方法を、視覚的に容易に判断でき、使い勝手がよくなる。
洗剤収容ケース6を取り付ける際には、洗剤収容ケース6のはり部36が弾性的に下方にたわんで、乗り越えることで、洗剤収容ケース6のツメ37と流路構造部7のツメ35とが係止する。使用者は、洗剤収容ケース6を押し込むだけで所定の位置に装着できるので、洗剤収容ケース6の摺動方向以外に力を入れる必要がなく、使い勝手がよい。
洗剤収容ケース6の略中央には、洗剤収容ケース6のツメ37(第1の係止手段)と、流路構造部7のツメ35(第2の係止手段)とを有しており、ツメ37及びツメ35から離れた位置、すなわち、洗剤収容ケース6の左右端に、流路構造部7の支持手段38と洗剤収容ケース6の位置抑制手段39とを近接して有している。これにより、衣類投入口4を大きくするために、洗剤収容ケース6のツメ37から洗剤収容ケース6の後方端面までの距離が短くなった場合でも、洗剤を投入しやすいように洗剤収容ケース6を開いた際に、流路構造部7の支持手段38と洗剤収容ケース6の位置抑制手段39とが近接しているため、洗剤収容ケース6のがたつきが少なく、洗剤を投入しやすい。
流路構造部7の支持手段38は、流路構造部下面7bの前後方向、すなわち、洗剤収容ケース6の摺動方向に流路構造部下面7bの全長分の長さにわたって同一断面を有したレール形状に形成して、洗剤収容ケース6の第1収容室14と第2収容室15の左右端部に当接させている。これにより、投入する洗剤の量を多くするために、洗剤収容ケース6を横長に設計する場合でも、洗剤収容ケース6を前後に摺動する際、洗剤収容ケース6左右端部の動きが抑制されるので、洗剤収容ケース6のがたつきが少なく、洗剤を投入しやすくできる。
流路構造部下面7b、流路構造部7の摺動面34、流路構造部7のツメ35、および流路構造部7の支持手段38は、一体に構成しているので、流路構造部7のツメ35と、流路構造部7の支持手段38とは、一つの部品で構成でき、位置ずれしにくくなり、洗剤収容ケース6のがたつきを少なくするために、流路構造部7の支持手段38と洗剤収容ケース6の位置抑制手段39との隙間を小さく設計しても、洗剤収容ケース6の摺動が妨げられることを防止できる。
図7、図8、図9、図10において、第1の給水手段48は、洗濯槽1の中心から左側に偏心した位置に給水し、第2の給水手段49は、第1の給水手段48とは略対称の右側に偏心した位置に給水するので、水道水圧が低くてシャワー水50を扇形に広げられない場合でも、洗濯物55全体に均一にシャワー水50をしみこませることができ、洗濯性能を向上することができる。第1の給水手段48と、第2の給水手段49とは、横方向流路41の左右端に配置し、給水弁18、流路構造部7を共有化できるので、洗濯機本体をコンパクトに設計することができる。
洗濯槽1が時計方向に回転する第1の回転状態では、洗濯槽1の左側に位置する洗濯物55は、洗濯槽1の左側に位置する第1の給水手段48に向かって近づく方向に動き、第1の水平開口部46(第1の付勢手段)により、シャワー水50は、洗濯槽1に向かって、すなわち、洗濯物55の移動方向の略反対方向に付勢される。図9のように、第1の給水手段48からのシャワー水50は、洗濯物55の移動に合わせて、右下から順に上方向に移動しながら洗濯物55にかけられる。
洗濯槽1が反時計方向に回転する第2の回転状態では、図10のように、第2の給水手段49によって、洗濯物55の反対側、左下から順に上方向に移動しながら、シャワー水50が洗濯物55にかけられる。これにより、第1の回転状態、第2の回転状態を繰り返す間に、洗濯物55全体に均一にシャワー水50をしみこませることができ、洗濯性能を向上することができる。
特に、脱水運転の後、すすぎ運転をする際には、洗濯槽1が高速回転することによって遠心力により、洗濯槽1の周囲に洗濯物55が張り付いた状態になるので、第1の水平開口部46と第2の水平開口部47を洗濯槽1の周囲方向に向けることにより、洗濯物55全体に均一にシャワー水50をしみこませることができ、洗濯性能を向上することができる。
図2に示すように、第1の給水手段48と第2の給水手段49とは、洗剤収容ケース6の左右に隣接して配置され、流路構造部7、給水弁18を共有化できるので、洗濯機本体をコンパクトに設計できるうえ、洗剤水溶液9とシャワー水とを同時に洗濯槽1に投入することにより、洗濯時間を短縮することができる。なお、給水手段は、2つ備えることで説明したが、2つに限定するものではなく、2つ以上給水手段を備えても、同様の効果がある。
図11において、端部開口部51は、略円形に開口していて、第1の水平開口部46および第2の水平開口部47の縦方向開口寸法より大きい開口寸法を有しているので、水流が太くなり、表面張力などの影響を受けにくい水流を両端から放射状に噴出でき、端部開口部51の間に第1の水平開口部46と第2の水平開口部47からの水を膜状に広げることができるので、水道水圧が低いときでも、シャワー水50を扇形に広げやすい。
第1の水平開口部46と、第1の水平開口部46の左右の端部開口部51とを加えた開口面積S1は、第1の水管部43の流路断面積S2よりも小さく設定しているいので、水道水圧が低くても、第1の水平開口部46には、水位に応じた一定の水圧がかかり続けるので、シャワー水50を安定して噴出し続けることができ、シャワー水50を扇形に広げやすくできる。
顎部52の内側は、絞り面53により、球面部45の一部を第1の水平開口部46の縁まで伸延して形成しているので、水圧は、球面部45の面に垂直にかかり、水平開口部46からシャワー水50をまっすぐ噴出しやくなり、シャワー水50を扇形に広げやすい。顎部52の外側は、第1の水平開口部46の縁から第1の水管部43の伸延方向に対して下方に後退する後退面54を有しているので、金型抜き方向のみで第1の水平開口部46を成型でき、金型にスライド機構を追加せずに成型できるので、容易に製造することができる。