以下、本発明による局部洗浄装置の一実施形態について説明する。なお、本明細書においては説明の便宜上、図1における上側および下側をそれぞれ局部洗浄装置1の上方および下方とし、同じく右下側および左上側をそれぞれ局部洗浄装置1の前方および後方とし、同じく左下側および右上側を、それぞれ局部洗浄装置1の右方および左方として説明する。また、図2を除いた各図1,3〜10には、各方向を示す矢印を示している。
局部洗浄装置1は、水道配管3(本発明の給水源に相当;図2参照)から導入した洗浄水を噴出することにより、人体を洗浄する洗浄機能を有するものである。また、本実施形態の局部洗浄装置1は、洗浄機能を動作させる場合において電力を不要とするものである。
局部洗浄装置1は、図1に示すように腰掛式便器2に取り付けられている。局部洗浄装置1は、洗浄装置本体部10、便座20および便座20を覆う便蓋30を備えている。便座20および便蓋30は、洗浄装置本体部10に回動可能に保持されている。
洗浄装置本体部10は、図1および図2に示すように、ケーシング11、切替弁12(40)、おしり洗浄ノズル13、ビデ洗浄ノズル14および操作レバー15を備えている。
ケーシング11は、切替弁12を少なくとも収容するものである。ケーシング11は、中空の箱状に形成されている。ケーシング11は、具体的には、切替弁12、おしり洗浄ノズル13およびビデ洗浄ノズル14を収容する。
切替弁12は、水道配管3から供給される洗浄水の止水と、洗浄水のおしり洗浄ノズル13への導出と、洗浄水のビデ洗浄ノズル14への導出との切替を行うものである。切替弁12は、水道配管3に取り付けられた分岐水栓3aに、洗浄水が流れる第一洗浄水路L1を介して接続されている。分岐水栓3aは、水道配管3に流れる上水を洗浄水として第一洗浄水路L1に導出する。第一洗浄水路L1は、例えば給水ホースである。
また、切替弁12は、第二洗浄水路L2を介して洗浄水をおしり洗浄ノズル13へ導出するとともに、第三洗浄水路L3を介して洗浄水をビデ洗浄ノズル14へ導出する。第二,第三洗浄水路L2,L3は、例えばシリコンゴムで形成されたホースである。切替弁12の詳細は後述する。
おしり洗浄ノズル13は、第二洗浄水路L2からの洗浄水を噴出して、おしり洗浄を行うものである。ビデ洗浄ノズル14は、第三洗浄水路L3からの洗浄水を噴出して、ビデ洗浄を行うものである。
操作レバー15は、直方体状に形成されるとともに、図1に示すように、ケーシング11の外部に設けられている。操作レバー15は、具体的には、ケーシング11の右側面の外側に配置されている。操作レバー15は、使用者が便座20に着座した状態にて手動にて操作可能な位置に設けられている。
また、操作レバー15は、図3に示すように、使用者によって回動軸線Aの回りの第一方向D1または第一方向D1と逆方向の第二方向D2に手動にて回動操作可能に設けられている。回動軸線Aは、操作レバー15の後側にて左右方向に沿って延びるように設けられている(図3および図5参照)。第一方向D1は、操作レバー15を洗浄装置本体部10の右側から見た場合に、操作レバー15が時計回りに回動する方向である。第二方向D2は、操作レバー15を洗浄装置本体部10の右側から見た場合に、操作レバー15が反時計回りに回動する方向である。
操作レバー15は、止水位置Ps1、おしり洗浄位置Ps2およびビデ洗浄位置Ps3を有している。止水位置Ps1は、切替弁12が水道配管3からの洗浄水を止水する位置である。操作レバー15は、止水位置Ps1に位置する場合、長手方向を前後方向とするように設けられている。
おしり洗浄位置Ps2は、止水位置Ps1から第一方向D1側に位置し、切替弁12が洗浄水をおしり洗浄ノズル13に導出する位置である。操作レバー15は、止水位置Ps1から第一方向D1に回動することにより、おしり洗浄位置Ps2に位置する(図3の一点破線を参照)。
ビデ洗浄位置Ps3は、止水位置Ps1から第二方向D2側に位置し、切替弁12が洗浄水をビデ洗浄ノズル14に導出する位置である。操作レバー15は、止水位置Ps1から第二方向D2に回動することにより、ビデ洗浄位置Ps3に位置する(図3の二点破線を参照)。
このように、操作レバー15は、切替弁12による水道配管3からの洗浄水の止水と、洗浄水のおしり洗浄ノズル13への導出と、洗浄水のビデ洗浄ノズル14への導出との切替を手動にて実行可能とするものである。
次に、切替弁40について詳細に説明する。
切替弁40は、図4に示すように、切替弁本体部50(本発明の本体部に相当)、自動戻し機構部60およびクリック機構部70(図5参照)を備えている。切替弁本体部50は、内部に洗浄水を流通させるものである。切替弁本体部50は、給水ポート部50a、接続部50bおよび水路切替部50cを備えている。
給水ポート部50aは、第一洗浄水路L1に接続され、第一洗浄水路L1からの洗浄水を接続部50bに導出する洗浄水路を構成するものである。接続部50bは、給水ポート部50aからの洗浄水を水路切替部50cに導出する洗浄水路を構成するものである。接続部50bには、ストレーナ(図なし)、逆止弁(図なし)および定圧弁(図なし)が、給水ポート部50a側から水路切替部50c側に向けてこの順に設けられている。
ストレーナは、上水に含まれるゴミ等を除去するものである。ストレーナは、接続部50bに着脱可能に設けられている。逆止弁は、分岐水栓3aから各洗浄ノズル13,14への洗浄水の流れを許容するが、逆方向の流れを規制するものである。定圧弁は、水道配管3からの洗浄水の圧力値をおよそ一定に調整するものである。
水路切替部50cは、接続部50bからの洗浄水の止水と、洗浄水の第二洗浄水路L2への導出と、洗浄水の第三洗浄水路L3への導出との切替を行うものである。水路切替部50cは、図5に示すように、第一ハウジング51、第二ハウジング52、弁座53、弁体54および軸部材55を備えている。
第一ハウジング51は、一端に開口部51aを有する円筒状に形成されている。第一ハウジング51は、回動軸線Aと同軸に、かつ、右方に向けて開口するように配置されている。第一ハウジング51は、導入口51b、第一導出ポート51c(図4参照)および第二導出ポート51dを有している。
導入口51bは、第一ハウジング51の周側壁に形成され、接続部50bからの洗浄水を第一ハウジング51の内部に導入する穴である。第一導出ポート51cは、第一ハウジング51の内部と第二洗浄水路L2とを接続するものである。第二導出ポート51dは、第一ハウジング51の内部と第三洗浄水路L3とを接続するものである。
第二ハウジング52は、第一ハウジング51の開口部51aに、例えばOリングによって液密に、ネジ等によって固定されている。第二ハウジング52は、第一ハウジング51の開口部51aを覆う板状の蓋部52a、第一保持部52b、第二保持部52c、凸部52d、第一突出部52eおよびストッパ部52fを有している。
蓋部52aは、板状に形成され、第一ハウジング51の開口部51aを覆うように配置されている。第一保持部52bは、軸部材55を回動軸線Aの回りに回動可能に保持するものである。第一保持部52bは、蓋部52aから第一ハウジング51の内部に向けて突出する円筒状に、回動軸線Aと同軸に設けられている。
第二保持部52cは、後述するトーションバネ61を保持するものである。第二保持部52cは、蓋部52aから右方に向けて突出する円筒状に、回動軸線Aと同軸に設けられている。凸部52dは、第二保持部52cの内側にて、蓋部52aから右方に向けて凸状に、かつ、上下方向に延びるように形成されている(図8参照)。
第一突出部52eは、蓋部52aの上端部にて回動軸線Aに沿って右方向(後述する軸部材55の他端部)に向けて突出するように形成されている。第一突出部52eは、断面円弧状に形成されている(図7参照)。また、第一突出部52eは、後述するように、コイル部61aの径方向外側にて、第一アーム部61bおよび第二アーム部61cに接触可能に軸部材55の他端部側に向けて突出するように形成されている。
ストッパ部52fは、蓋部52aの下端部にて右方向に向けて突出するように、かつ、断面円弧状(図7参照)に形成されている。ストッパ部52fは、後述する第一回動部材62の回動を規制するものである。
弁座53は、第一ハウジング51内に収容されている。弁座53は、円板状に形成されている(図5および図6参照)。弁座53は、左側面を第一ハウジング51の左側壁の内面に液密に接触するように、第一ハウジング51に対して相対回転不能に固定されている。弁座53は、洗浄水が流れる流路である、第一貫通穴53a、第二貫通穴53b、第一溝53cおよび第二溝53dが形成されている。
第一貫通穴53aは、図6に示すように、右側面の前下側に形成され、第一ハウジング51の内部と第一導出ポート51cとを接続する貫通穴である。第二貫通穴53bは、右側面の後下側に形成され、第一ハウジング51の内部と第二導出ポート51dとを接続する貫通穴である。
第一溝53cは、弁座53の右側面の前側にて上下方向に延びるように、かつ、下端が第一貫通穴53aに接続する平面視円弧状に形成されている。第二溝53dは、弁座53の右側面の後側にて上下方向に延びるように、かつ、下端が第二貫通穴53bに接続する平面視円弧状に形成されている。また、第一溝53cおよび第二溝53dは、上端から下端に向けて流路断面積が大きくなるように形成されている。
弁体54は、図5に示すように、第一ハウジング51内に収容されている。弁体54は、円板状に形成されている(図5および図6参照)。また、弁体54は、軸部材55と回動軸線Aの回りに一体回転するように、軸部材55の一端部(左端部)が嵌合する有底の断面D字形状の穴部54aが形成されている。
弁体54は、左側面が弁座53の右側面に、回動軸線Aの回りに液密に摺動可能に配置されている。弁体54は、軸部材55を介して操作レバー15によって、回動軸線Aの回りに第一方向D1または第二方向D2に回動するように配置されている(詳細は後述する)。
弁体54は、左側面に洗浄水が流れる流路である第三溝54bが形成されている。第三溝54bは、左側面の中央部から径方向外側に向けて一定の深さにて延びるように、かつ、周側面54cにて開口するように形成されている。
弁体54は、図6に示すように、基準位置Pb1、第一連通位置Pb2および第二連通位置Pb3を有している。弁体54が基準位置Pb1に位置する場合、第三溝54bが弁座53の第一溝53cと第二溝53dとの間における、第一溝53cおよび第二溝53dと連通しない位置に位置する(図6の破線を参照)。
第一連通位置Pb2は、第三溝54bが基準位置Pb1から第一方向D1に回動することにより、第三溝54bと第一溝53cひいては第一貫通穴53aとが連通する位置である(図6の一点破線を参照)。第二連通位置Pb3は、第三溝54bが基準位置Pb1から第二方向D2側に回動することにより、第三溝54bと第二溝53dひいては第二貫通穴53bとが連通する位置である(図6の二点破線を参照)。
軸部材55は、図5に示すように、軸状に設けられ、一端部(左端部)が弁体54に一体回転するように固定されている。また、軸部材55は、回動軸線Aの方向に沿って各ハウジング51,52ひいてはケーシング11の外部に延びるように設けられている。軸部材55は、複数の段差を有するように形成され、一端部から他端部(右端部)に向けて順に、弁体固定部55a、大径部55b、中径部55cおよび小径部55dが形成されている。
弁体固定部55aは、弁体54の穴部54aに嵌る断面D字形状に形成されている。大径部55bおよび中径部55cは、断面円状に形成されている。中径部55cは、第二ハウジング52の第一保持部52bの内側に、例えばOリングによって液密に保持されるとともに、軸部材55が回動軸線Aの回りに回動可能に保持されている。小径部55dは、断面D字形状に形成されている。
また、軸部材55(小径部55d)は、他端部に操作レバー15が一体回転するように、かつ着脱可能に配置されている。操作レバー15には、軸部材55(小径部55d)の他端部と回動軸線Aの回りに一体回転するように嵌合する断面D字状の穴部(図示なし)が形成されている。この穴部に軸部材55の他端部が差し込まれることにより、操作レバー15が軸部材55に取り付けられる。一方、この穴部から軸部材55の他端部が引抜かれることにより、操作レバー15が軸部材55から取り外される。
このように軸部材55が形成されることにより、操作レバー15が第一方向D1に回動された場合、軸部材55を介して弁体54が第一方向D1に回動する。また、操作レバー15が第二方向D2に回動された場合、軸部材55を介して弁体54が第二方向D2に回動する。
また、操作レバー15が止水位置Ps1に位置する場合、弁体54が基準位置Pb1に位置するように軸部材55が設けられている。すなわち、操作レバー15が止水位置Ps1から第一方向D1に回動しておしり洗浄位置Ps2に位置する場合、弁体54が基準位置Pb1から第一方向D1に回動して第一連通位置Pb2に位置する。また、操作レバー15が止水位置Ps1から第二方向D2に回動してビデ洗浄位置Ps3に位置する場合、弁体54が基準位置Pb1から第二方向D2に回動して第二連通位置Pb3に位置する。
自動戻し機構部60は、操作レバー15を、おしり洗浄位置Ps2またはビデ洗浄位置Ps3から止水位置Ps1に自動にて戻すように回動させるものである。自動戻し機構部60は、図4に示すように、トーションバネ61および第一回動部材62(本発明の回動部に相当)を備えている。
トーションバネ61は、第二ハウジング52の右側に配置されている(図4および図5参照)。トーションバネ61は、図5に示すように、コイル部61a、および、コイル部61aの両端に設けられ、コイル部61aの径方向外側に向かって延びるように形成された第一アーム部61bおよび第二アーム部61cを有している(図7参照)。
コイル部61aは、第二保持部52cの径方向外側に、回動軸線Aと同軸に配置されている。コイル部61aは、内側に軸部材55を同軸に配置する。
第一アーム部61bは、図7に示すように、第一突出部52eの第一方向D1側の第一端52e1に着脱可能に接触するように配置されている。また、第一アーム部61bは、第一突出部52eを第二方向D2に向けて付勢するように配置されている。
第二アーム部61cは、第一突出部52eの第二方向D2側の第二端52e2に着脱可能に接触するように配置されている。また、第二アーム部61cは、第一突出部52eを第一方向D1に向けて付勢するように配置されている。
第一回動部材62は、図5に示すように、軸部材55にコイル部61aより軸部材55の他端部側に、第二保持部52cの右端が接触するように配置されている。第一回動部材62は、円板部62aおよび第二突出部62bを有している。
円板部62aは、円板状に形成され、中心部に、軸部材55の小径部55dが貫通する断面D字形状の貫通穴62a1を有している。これにより、第一回動部材62は、軸部材55と一体回転するように設けられている。第一回動部材62は、回動軸線Aの回りに第一方向D1および第二方向D2に、軸部材55と共に回動する。
第二突出部62bは、コイル部61aの径方向外側にて、第一アーム部61bおよび第二アーム部61cに接触可能に軸部材55の一端部側に向けて突出するように形成されている。第二突出部62bは、断面円弧状(図7参照)にて、円板部62aから突出するように設けられている。
また、第二突出部62bは、操作レバー15が止水位置Ps1に位置する場合、第一アーム部61bと第二アーム部61cとの間に、かつ、回動軸線Aの回りにおいて第一突出部52eと重なる位置(以下、原位置Pt1とする。)となるように配置されている。第一回動部材62が第一方向D1または第二方向D2に回動して、第二突出部62bとストッパ部52fとが接触した場合、第一回動部材62の回動量が規制される。
クリック機構部70は、操作レバー15がおしり洗浄位置Ps2またはビデ洗浄位置Ps3から回動して止水位置Ps1に位置した時、クリック感を発生させるものである。クリック機構部70は、図5に示すように、第二回動部材71、スプリング72および蓋部材73を備えている。
第二回動部材71は、円板状に形成され(図5および図8参照)、コイル部61aおよび第二ハウジング52の第二保持部52cの内側にて、左側面が第二ハウジング52の蓋部52aの右側面に押し付けられるように配置されている。
第二回動部材71は、軸部材55(小径部55d)が貫通する断面D字形状の貫通穴71aを有している。これにより、第二回動部材71は、軸部材55と一体回転するように設けられている。第二回動部材71は、回動軸線Aの回りに第一方向D1および第二方向D2に、軸部材55と共に回動する。
また、第二回動部材71は、左側面に凹部71bが形成されている。凹部71bは、左側面の中央部から径方向に向けて周側面まで延びる溝である。凹部71bは、操作レバー15が止水位置Ps1に位置する場合、第二ハウジング52の凸部52dが離脱可能に嵌る位置に形成されている(図8の破線を参照)。
操作レバー15が、止水位置Ps1から第一方向D1または第二方向D2に回動して、止水位置Ps1以外の位置(おしり洗浄位置Ps2およびビデ洗浄位置Ps3)に位置する場合、凹部71bが凸部52dに嵌らない(図8の一点破線および二点破線を参照)。この場合、第二回動部材71の左側面が、凸部52dに乗り上げた状態になっている。
スプリング72は、第二回動部材71を切替弁本体部50の第二ハウジング52に向けて付勢するコイルスプリングである。スプリング72は、回動軸線Aの径方向において、軸部材55と、コイル部61aかつ第二ハウジング52の第二保持部52cとの間に配置されている。
蓋部材73は、スプリング72の右端を支持するものである。蓋部材73は、第二保持部52cの右端部の内側に、例えばスナップフィットを用いて固定されている。蓋部材73は、中央部に軸部材55が回動軸線Aの回りに相対回転するように貫通する貫通穴73bを有している。
次に、上述した切替弁40の動作について、操作レバー15が止水位置Ps1に位置している状態から説明する。なお、切替弁40は、給水ポート部50aが第一洗浄水路L1および分岐水栓3aを介して水道配管3に接続されているため、洗浄水が、給水ポート部50a、接続部50bを介して水路切替部50cの第一ハウジング51の内部に導入されるとともに、洗浄水が弁体54の周側面54cから第三溝54bに導入される。
操作レバー15が止水位置Ps1に位置する場合、上述したように、弁体54が基準位置Pb1に位置する。この場合、弁体54の第三溝54bが弁座53の第一溝53cおよび第二溝53dと連通しないため、洗浄水が第三溝54bにて止水される。また、この場合、自動戻し機構部60においては、第一回動部材62の第二突出部62bが原位置Pt1に位置する(図5および図7参照)。さらに、この場合、クリック機構部70においては、第二回動部材71の凹部71bが凸部52dに嵌っている(図5および図8参照)。
操作レバー15が使用者によって止水位置Ps1から第一方向D1に回動されて、おしり洗浄位置Ps2に位置した場合(図3参照)、軸部材55を介して弁体54が基準位置Pb1から第一方向D1に回動されて第一連通位置Pb2に位置する(図6参照)。この場合、第三溝54bと第一溝53cとが連通する。よって、洗浄水が第三溝54bから第一溝53c、第一貫通穴53aを介して第一導出ポート51cから第二洗浄水路L2に導出される。なお、第一溝53cが、上述したように上端から下端に向かって流路断面積が増加するように形成されているため、操作レバー15の第一方向D1への操作量が大きくなるに従って、第二洗浄水路L2に導出される洗浄水の流量(単位時間当たりの流量)が増加する。
また、この場合、自動戻し機構部60においては、図9に示すように、第一回動部材62の第二突出部62bが原位置Pt1から軸部材55と共に第一方向D1に回動されるため、第二突出部62bが第一アーム部61bをトーションバネ61の付勢力に抗して、第一突出部52eの第一端52e1から離すとともに第一方向D1に回動させる。この場合、第一アーム部61bの第二突出部62bに対する第二方向D2への付勢力が増加する。また、このとき、第二アーム部61cは、第一突出部52eの第二端52e2に接触したままである。
さらに、この場合、クリック機構部70においては、図8に示すように、第二回動部材71が軸部材55と共に第一方向D1に回動されるため、凹部71bから凸部52dが外れる。よって、第二回動部材71の左側面が、凸部52dに乗り上げるとともに、スプリング72によって凸部52dに押し付けられる。
操作レバー15がおしり洗浄位置Ps2に位置する場合において、使用者の手が操作レバー15から放されたとき、自動戻し機構部60においては、第一アーム部61bからのトーションバネ61の付勢力によって、第二突出部62bが第一アーム部61bと共に第二方向D2に回動する。そして、第一アーム部61bが第一端52e1に戻ったとき、第二突出部62bが原位置Pt1に復帰する(図7参照)。
このとき、第一回動部材62ひいては軸部材55が共に自動にて第二方向D2に回動するため、操作レバー15がおしり洗浄位置Ps2から第二方向D2に自動で回動する。そして、第二突出部62bが原位置Pt1に復帰したとき、操作レバー15が止水位置Ps1に復帰する。また、このとき、軸部材55を介して弁体54が第一連通位置Pb2から自動で回動し、基準位置Pb1に復帰するため、洗浄水が止水される。
さらに、このとき、クリック機構部70においては、軸部材55を介して第二回動部材71が第二方向D2に回動して、凹部71bが凸部52dに嵌る。この時、第二回動部材71の左側面が、凸部52dに乗り上げた状態から、スプリング72の付勢力によって蓋部52aの右側面に打ち付けられるため、振動および衝突音が発生する。よって、使用者が、衝突音によってクリック感を感じる。また、この振動が軸部材55を介して操作レバー15に伝播するため、使用者が操作レバー15に触れている場合、この振動によって使用者がクリック感を感じる。このように、クリック機構部70は、クリック感を発生させる。
一方、操作レバー15が使用者によって止水位置Ps1から第二方向D2に回動されてビデ洗浄位置Ps3に位置した場合(図3参照)、軸部材55を介して弁体54が基準位置Pb1から第二方向D2に回動されて第二連通位置Pb3に位置する(図6参照)。この場合、第三溝54bと第二溝53dとが連通する。よって、洗浄水が第三溝54bから第二溝53d、第二貫通穴53bを介して第二導出ポート51dから第三洗浄水路L3に導出される。なお、第二溝53dが、上述したように上端から下端に向かって流路断面積が増加するように形成されているため、操作レバー15の第二方向D2への操作量が大きくなるに従って、第三洗浄水路L3に導出される洗浄水の流量(単位時間当たりの流量)が増加する。
また、この場合、自動戻し機構部60においては、図10に示すように、第一回動部材62の第二突出部62bが原位置Pt1から軸部材55と共に第二方向D2に回動されるため、第二突出部62bが第二アーム部61cをトーションバネ61の付勢力に抗して、第一突出部52eの第二端52e2から離すとともに第二方向D2に回動させる。この場合、第二アーム部61cの第二突出部62bに対する第一方向D1への付勢力が増加する。また、このとき、第一アーム部61bは、第一突出部52eの第一端52e1に接触したままである。
さらに、この場合、クリック機構部70においては、図8に示すように、第二回動部材71が軸部材55と共に第二方向D2に回動されるため、凹部71bから凸部52dが外れる。よって、第二回動部材71の左側面が凸部52dに乗り上げるとともに、スプリング72によって凸部52dに押し付けられる。
操作レバー15がビデ洗浄位置Ps3に位置する場合において、使用者の手が操作レバー15から放されたとき、自動戻し機構部60においては、第二アーム部61cからのトーションバネ61の付勢力によって、第二突出部62bが第二アーム部61cと共に第一方向D1に回動する。そして、第二アーム部61cが第二端52e2に戻ったとき、第二突出部62bが原位置Pt1に復帰する(図7参照)。
このとき、第一回動部材62ひいては軸部材55が共に自動にて第一方向D1に回動するため、操作レバー15がビデ洗浄位置Ps3から第一方向D1に自動で回動する。そして、第二突出部62bが原位置Pt1に復帰したとき、操作レバー15が止水位置Ps1に復帰する。また、このとき、軸部材55を介して弁体54が第二連通位置Pb3から自動で回動し、基準位置Pb1に復帰するため、洗浄水が止水される。
さらに、このとき、クリック機構部70においては、軸部材55を介して第二回動部材71が第一方向D1に回動して、凹部71bが凸部52dに嵌る。この時、上述したように、振動および衝突音が発生するため、使用者がクリック感を感じることができる。
本実施形態によれば、局部洗浄装置1は、水道配管3から供給される洗浄水の止水と、洗浄水のおしり洗浄ノズル13への導出と、洗浄水のビデ洗浄ノズル14への導出との切替を行う切替弁40と、切替弁40を少なくとも収容するケーシング11と、ケーシング11の外部に、使用者によって回動軸線Aの回りの第一方向D1または第一方向D1と逆方向の第二方向D2に回動操作可能に設けられ、切替を手動にて実行可能とする操作レバー15と、を備えている。操作レバー15は、切替弁40が洗浄水を止水する止水位置Ps1、止水位置Ps1から第一方向D1側に位置し、切替弁40が洗浄水をおしり洗浄ノズル13に導出するおしり洗浄位置Ps2、および、止水位置Ps1から第二方向D2側に位置し、切替弁40が洗浄水をビデ洗浄ノズル14に導出するビデ洗浄位置Ps3を有している。切替弁40は、内部に洗浄水を流通させる切替弁本体部50と、切替弁本体部50に収容され、第一方向D1または第二方向D2に回動されることにより切替を行う弁体54と、軸状に設けられ、一端部が弁体54に一体回転するように固定されるとともに、回動軸線Aの方向に沿ってケーシング11の外部に延びるように設けられ、他端部に操作レバー15が一体回転するように配置された軸部材55と、操作レバー15を、おしり洗浄位置Ps2またはビデ洗浄位置Ps3から止水位置Ps1に自動にて戻すように回動させる自動戻し機構部60と、を備えている。自動戻し機構部60は、切替弁本体部50の外側に配置されたトーションバネ61であって、内側に軸部材55を同軸に配置するコイル部61aと、コイル部61aの両端に設けられ、コイル部61aの径方向外側に向かって延びるように形成された第一アーム部61bおよび第二アーム部61cと、を有するトーションバネ61と、軸部材55にコイル部61aより軸部材55の他端部側に一体回転するように設けられ、軸部材55と共に回動する第一回動部材62と、を備えている。第一アーム部61bは、切替弁本体部50からコイル部61aの径方向外側にて回動軸線Aに沿って軸部材55の他端部側に向けて突出する第一突出部52eの第一方向D1側の第一端52e1に、第一突出部52eを第二方向D2に向けて付勢するように配置されている。第二アーム部61cは、第一突出部52eの第二方向D2側の第二端52e2に、第一突出部52eを第一方向D1に向けて付勢するように配置されている。第一回動部材62は、コイル部61aの径方向外側にて軸部材55の一端部側に向けて突出するように設けられるとともに、操作レバー15が止水位置Ps1に位置する場合、第一アーム部61bと第二アーム部61cとの間に、かつ、回動軸線Aの回りにおいて第一突出部52eと重なるように配置される第二突出部62bが設けられている。
これによれば、使用者によって操作レバー15が回動操作された場合、軸部材55を介して弁体54および第一回動部材62の第二突出部62bが回動する。また、使用者が手動により操作レバー15を、止水位置Ps1から第一方向D1に回動させて、おしり洗浄位置Ps2に位置するように操作した場合、第二突出部62bが第一アーム部61bを第一突出部52eの第一端52e1からトーションバネ61の付勢力に抗して第一方向D1に回動させる。また、この場合、第二アーム部61cは、第一突出部52eの第二端52e2に位置する。この状態において使用者の手が操作レバー15から放された場合、第一アーム部61bからのトーションバネ61の付勢力によって、第二突出部62bが第一アーム部61bと共に第二方向D2に回動する。このとき、第一回動部材62および軸部材55が第二方向D2に回動するため、操作レバー15がおしり洗浄位置Ps2から第二方向D2に向けて自動で回動する。第一アーム部61bが第一端52e1に戻ったとき、操作レバー15が止水位置Ps1に自動で復帰する。
一方、使用者が手動により操作レバー15を、止水位置Ps1から第二方向D2に回動させて、ビデ洗浄位置Ps3に位置するように操作した場合、第二突出部62bが第二アーム部61cを第一突出部52eの第二端52e2からトーションバネ61の付勢力に抗して第二方向D2に回動させる。また、この場合、第一アーム部61bは、第一突出部52eの第一端52e1に位置する。この状態において使用者の手が操作レバー15から放された場合、第二アーム部61cからのトーションバネ61の付勢力によって、第二突出部62bが第二アーム部61cと共に第一方向D1に回動する。このとき、第一回動部材62および軸部材55が第一方向D1に回動するため、操作レバー15がビデ洗浄位置Ps3から第一方向D1に向けて自動で回動する。第二アーム部61cが第二端52e2に戻ったとき、操作レバー15が止水位置Ps1に自動で復帰する。
よって、洗浄水の止水と、洗浄水のおしり洗浄ノズル13への導出と、洗浄水のビデ洗浄ノズル14への導出との切替が、操作レバー15によって手動にて行われる切替弁40を備える局部洗浄装置1において、トーションバネ61および第一回動部材62から構成される自動戻し機構部60によって、操作レバー15がおしり洗浄位置Ps2およびビデ洗浄位置Ps3から止水位置Ps1に自動で復帰することができる。
また、局部洗浄装置1が、おしり洗浄ノズル13およびビデ洗浄ノズル14を独立して有する場合においても、洗浄水のおしり洗浄ノズル13への導出とビデ洗浄ノズル14への導出との切替を比較的簡便に行うことができる。
また、切替弁40は、操作レバー15がおしり洗浄位置Ps2またはビデ洗浄位置Ps3から回動して止水位置Ps1に位置した時、クリック感を発生させるクリック機構部70をさらに備えている。
これによれば、使用者が操作レバー15を操作して、操作レバー15が止水位置Ps1に位置した時、クリック機構部70がクリック感を発生するため、操作レバー15が止水位置Ps1に位置したことを使用者が確実に検知することができる。よって、使用者は、洗浄水の止水を確実に行うことができる。
なお、上述した実施形態において、局部洗浄装置の一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、局部洗浄装置1には電力が供給されていないが、これに代えて、局部洗浄装置1に電力を供給するようにしても良い。この場合、局部洗浄装置1が、例えば、洗浄水を加熱するヒータをさらに備えるようにしても良い。
また、上述した実施形態において、切替弁40は、クリック機構部70を備えているが、これに代えて、クリック機構部70を備えないようにしても良い。
また、上述した実施形態において、局部洗浄装置1は、第一回動部材62と軸部材55とが別体に設けられているが、これに代えて、第一回動部材62と軸部材55とを一体に設けるようにしても良い。
また、上述した実施形態において、おしり洗浄ノズル13とビデ洗浄ノズル14とが別体に設けられているが、これに代えて、おしり洗浄ノズル13とビデ洗浄ノズル14とを一体に設けるようにしても良い。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、第一突出部52eおよび第二突出部62bの位置や形状、凸部52dおよび凹部71bの位置や形状、並びに、弁体54および弁座53の各溝の位置および形状を変更しても良い。