JP6760753B2 - ピロロキノリンキノンの分析方法 - Google Patents

ピロロキノリンキノンの分析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6760753B2
JP6760753B2 JP2016074652A JP2016074652A JP6760753B2 JP 6760753 B2 JP6760753 B2 JP 6760753B2 JP 2016074652 A JP2016074652 A JP 2016074652A JP 2016074652 A JP2016074652 A JP 2016074652A JP 6760753 B2 JP6760753 B2 JP 6760753B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pqq
ipq
sample
liquid chromatography
pretreatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016074652A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017187321A (ja
Inventor
朋夫 原田
朋夫 原田
池本 一人
一人 池本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
LSI Medience Corp
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
LSI Medience Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc, LSI Medience Corp filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP2016074652A priority Critical patent/JP6760753B2/ja
Publication of JP2017187321A publication Critical patent/JP2017187321A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6760753B2 publication Critical patent/JP6760753B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

本発明は、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法を用いてピロロキノリンキノンを検出し、定量する方法に関する。
ピロロキノリンキノン(Pyrroloquinoline quinone以下、単
にPQQということがある)は、ピロール環とキノリン環が縮合したものがo−キノン構造をとる物質である。PQQは電子伝達体としての機能が知られており、必須アミノ酸リジンの代謝に関与するアミノアジピン酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼ(aminoadipate semialdehyde dehydrogenase;AASDH)中に取り込まれることで、AASDHが酸化還元反応できるようになる。すなわち、AASDHの補酵素と考えられており、このことから、ニコチンアミド(ピリジンヌクレオチド)とフラビンに次ぐ3番目の酸化還元補酵素とされ、新規のビタミンとなる可能性を有する。
またPQQは、細胞の増殖促進作用、抗白内障作用、肝臓疾患予防・治療作用、創傷治癒促進作用、抗アレルギー作用、逆転写酵素阻害作用、グリオキシラーゼI阻害作用および制癌作用などの多くの重要な生理活性を有するとされ、PQQ利用の産業上の重要性が高まっている。
PQQは、細菌並びにカビおよび酵母など真菌に広く存在していることが知られていたが、近年、細菌だけでなく、イネなどの植物や哺乳類に至るまで広く存在することが報告されている。哺乳動物でも様々な組織、器官からその検出が報告されているものの、哺乳動物はPQQの合成経路をもたないため、PQQを食物から摂取しているとされる。
一方で、PQQは生体内の物質、特にアミノ酸などと反応して様々なアミノ酸付加類縁体を生じることが知られている。(以下、このアミノ酸付加類縁体をIPQ/Rと記載し、PQQとIPQ/Rとを合わせてPQQ類とすることがある)。例えば、IPQはPQQとグリシンとが反応して生成したIPQ−グリシンを意味し、IPQ/Rの一種である。このIPQ/RもPQQと同様に様々な生理活性を有するとされているが、その詳細は明らかになっていない。これらを明らかにするためにも、生体内や食物等の試料中において、どのようなIPQ/Rがどの程度存在するのか、IPQ/Rがどのような役割を果たしているのかなど詳細な実態を正確に把握する必要がある。そのためには、試料中に含まれるPQQとIPQ/Rのそれぞれを同時に定量できる測定方法が必要である。
PQQの測定法としては、酵素活性を用いた方法(酵素法)、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を用いた方法、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)を用いた方法が知られている。
酵素法によるPQQの測定法は、大腸菌またはアシネトバクター・カルコアセチカス由来のキノプロテインであるグルコース脱水素酵素(GDH)のアポタンパク質(補酵素であるPQQを欠いたタンパク質)のPQQ依存性酵素活性を指標とした測定法であり、nMオーダーの濃度でのPQQの定量法が報告されている(非特許文献1)。しかし、抽出、精製の工程でPQQが失われることがあること、測定結果が不純物に影響を受けやすいことなどから、正確な測定が困難である。また、煩雑な工程を必要とするために、実験者の手技に依存する要素が大きく、施設間における測定結果の乖離、すなわち、施設間差を生ずる原因とされていた。
一方、GC/MS法では、13Cを導入したPQQを内部標準として用いることで定量精度を高めることができ、数十pgレベルでのPQQの定量性が報告されている(非特許文献2)。しかしながら、GC/MS法は前処理が骨格の破壊を伴う誘導体化であるため、検出物の信頼性が低いと共に前処理が煩雑であり、迅速性や簡便性の点で不利である。
HPLCを用いた方法は比較的簡便であるが、感度が低い点、アミノ酸やタンパク質が存在する溶液の場合、検出が困難となる可能性がある。
また、これらとは別の方法で、PQQを3−[1−メチル−3,5−ジ(メトキシカルボニル)ピロール−2−イル]−2,4,6−トリ(メトキシカルボニル)ピリジンに変換した後に、変換後の化合物量を測定する方法なども知られている(特許文献1)が、変換処理や測定の際に特殊な内部標準を必要とする点で、簡便な方法とは言えない。
また、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC−MS)による検出法が報告されているが(非特許文献3)、定量性を担保することができず正確な測定ができない。
更に、上記のいずれの方法であっても、血漿等の生体由来の試料中のPQQ及びそのアミノ酸付加体であるIPQ/Rを同時に測定するという要望が達成された方法は存在しない。
特開平4−145360号公報
Ameyama M. et. al., Analytical Biochemistry, 1985, Vol. 151, p263-267 Kumazawa T. et. al., Bichem. Biophys. Acta, 1992, Vol. 1156, p62-66 Noji et al. J. Agric. Food Chem. 55(18); 7258-63, 2007
これまでに多くの試みがなされているにも関わらず、PQQ及びIPQ/Rを同時に正確に測定し、PQQ類の実態を把握するという要望を達成できる測定系が確立できなかった理由としては、血漿等の生体試料は夾雑物が多く、極めて高い選択性を要求されること、またPQQ及びIPQ/Rが極めて少量であり、極めて高い感度を要求されることが考えられる。また、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法を用いる場合、生体試料由来の夾雑物によるイオンサプレッションが定量性に大きく影響するためであると考えられる。
高い選択性と感度を両立させた測定法としては、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法が知られているが、PQQはカルボキシル基を3個有する高極性の酸性化合物であるため、試料を一般的な液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法に供して測定しようとしても選択性と測定感度を同時に維持することは困難であった。それは、高極性化合物であるPQQ類はHPLCにおける逆相カラムへの保持力が極めて弱いので、生体試料中の夾雑物との分離が不十分になることや生体試料由来の夾雑物によるイオンサプレッションの影響を受け易くなることによる。また、高精度な測定を行うためには、試料からPQQ及びIPQ/Rを抽出して精製する方法が必要であることにもよる。
従って、本発明は、PQQとそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を迅速かつ簡便に
検出するだけでなく、同時に正確に測定でき、PQQ類の実態を把握するという要望を達成できる測定系を提供することを目的とする。
PQQ類はカルボキシル基を3個有し、プロトンを放出しやすい構造をとるために、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析を用いたネガティブモードにおける測定において、高感度な検出が期待される。特に、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用した測定においては、感度を決定付ける要件として、液体クロマトグラフィーでの移動相のpH、塩濃度、有機溶媒濃度等の条件が挙げられるが、移動相のpHをアルカリ性にすることによって、ESIで脱プロトンが促進され、高感度が達成されるものと期待されるためである。
しかし一方で本発明者らは、アルカリ性の溶媒を使用した場合、PQQ類はそのカルボキシル基の多さからくる極性の高さゆえに、液体クロマトグラフィーによる分離時にカラムへの保持力が弱まるというデメリットに気付いた。その結果、試料中に存在している夾雑物との分離が不十分となり、イオンサプレッションという現象が引き起こされてしまう。これは、試料中の夾雑物(マトリクス成分)がイオン化の際に測定対象物と競合するために、測定対象物のイオン化が抑制されるために起こる。従って、液体クロマトグラフィーによる分離が不十分であると、この現象が生ずることになることを見出した。
そこで、本発明者らは、生体試料からPQQ類を精製度の高い抽出方法により夾雑物を除去すること、液体クロマトグラフィーにおけるPQQ類の分離、及び質量分析におけるイオン強度を向上させることで、上記課題を解決できることを見出したものである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、PQQ及びそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を生体試料から高い精製度で抽出して、アルカリ条件下で分離して、ESIで脱プロトンを促進することで達成可能なことを見出したことにより、PQQを液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法(LC−MS/MS)により、PQQ及びそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を極めて高感度に検出し、定量できる方法を完成させた。
具体的には、生体試料中PQQ及びそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を固相抽出法により高い収率で精製/回収した後、さらに高速液体クロマトグラフィーにおいて、アルカリ条件下で分離して、タンデム型質量分析計で高感度に検出することが可能となった。高速液体クロマトグラフィーにおいて、アルカリ条件下でPQQが保持されるだけでなく、IPQ/Rもまた保持されるためにイオン化抑制の影響が少なくなり、高感度での同時測定が可能となったのは、意外なことであった。また、13C化ピロロキノリンキノンを内部標準として用いることで、前処理の誤差やイオンサプレッションの影響を少なくして定量精度を高めることで、上記問題点を克服した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1] 試料中のピロロキノリンキノン(PQQ)とそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析計によって同時に測定する方法であって、前記試料を前処理してタンデム型質量分析装置に持ち込まれる前記PQQとIPQ/Rのロスを少なくして測定を行うことを特徴とする、方法。
[2] 前記前処理が固相カラムを用いた前処理である、[1]に記載の方法。
[3] 固相カラムが、逆相系の固相カラム、陽イオン交換カラムのいずれかから選択される、[2]に記載の方法。
[4] 前記前処理が、試料中に含まれる夾雑物を除去してPQQおよびIPQ/Rを精製する処理である、[1]乃至[3]の何れかに記載の方法。
[5] 前記前処理が、試料にリン酸を添加することによって、生体試料からのPQQおよ
びIPQ/Rの回収率を向上させる処理であることを特徴とする、[1]乃至[4]の何れかに記載の方法。
[6] 前記前処理が、有機溶媒を含む酸性溶媒で試料を洗浄する工程を含む、[1]乃至[
5]の何れかに記載の方法。
[7] 前記前処理が、アルカリ性溶媒と有機溶媒でPQQおよびIPQ/Rを溶出する工程を含む、[1]乃至[6]の何れかに記載の方法。
[8] 移動相にアルカリ性溶媒を使用して液体クロマトグラフィーを実施する、[1]乃至[7]の何れかに記載の方法。
[9] 13Cが導入された、PQQ及び/又はIPQ/Rを内部標準物質として使用してPQQおよびIPQ/Rの測定を行うことを特徴とする、[1]乃至[8]の何れかに記載の方法。
本発明によれば、生体試料中のPQQ及びそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を迅速かつ簡便に検出するだけでなく、同時に正確に測定できる。結果として、PQQ類の実態を把握することができるようになる。例えば、本発明の一実施形態によれば、血中に微量しか含まれないPQQとそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)とを互いに区別して高感度かつ正確に定量することができ、生体内におけるPQQ及びIPQ/Rの正確な濃度や分布を把握することができるようになる。従って、報告されているようなPQQ類が有するとされている作用、例えば、細胞の増殖促進作用、抗白内障作用、肝臓疾患予防・治療作用、創傷治癒促進作用、抗アレルギー作用、逆転写酵素阻害作用、グリオキシラーゼI阻害作用および制癌作用について、さらなる研究開発を進める上でも有用であり、PQQ類に関連した健康食品や医薬品の開発に資することができる。
図1は、PQQをネガティブモードで測定した時のプロダクトイオンのマススペクトルである。 図2は、IPQをネガティブモードで測定した時のプロダクトイオンのマススペクトルである。 図3は、PQQ、IPQ及び13C−PQQをネガティブモードで測定した時のMRMクロマトグラムである。
[測定対象]
本発明の方法による測定対象のPQQ(酸化型PQQ)は、下記式(1)で示される化学構造を有する。
Figure 0006760753
PQQは溶液中では還元され、下記式(2)で示される化学構造を有する場合があるが、本発明の方法では式(2)で示される化学構造を有するPQQ(還元型PQQ)も式(1)で示される酸化型PQQとして検出することができる。すなわち、本発明の方法は式
(1)と式(2)で示される化学構造を有する酸化型PQQ及び還元型PQQの総量を定量する態様も含む。
Figure 0006760753
また、PQQは、様々な試料中において、他の成分と反応して類縁体を形成していることがあり、例えばアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)が良く知られている。アミノ酸付加類縁体(IPQ/R)は、式(1)で示される化学構造を有するPQQと他の構造とから構成される複合体であれば特に限定されないが、例えば、下記式(3)の化合物が挙げられる。
(IPQ/R)
Figure 0006760753
(上記式中、Rはアミノ酸残基を表す。)
式中のRはアミノ酸に由来するアミノ酸残基であるが、アミノ基(−NH2)とカルボ
キシル基(−COOH)の両方の官能基を持つ有機化合物に由来する残基であれば特に限定されるものではないが、特に生体を構成する物質である、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、システイン、メチオニン、アスパラギン、グルタミン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなどの残基が好ましい。例えば、類縁体を多く形成することが知られているグリシン、スレオニン、アルギニン等の残基が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記類縁体を、本発明の測定対象とすることが可能である。
また、式(4)で表されるIPQはPQQとグリシンとが反応して生成したIPQ−グリシンを意味し、IPQ/Rの一種である。すなわち、本発明の方法は、ピロール環、キノリン環の骨格を有し、PQQに由来すると推定されるIPQ/RやIPQなどの物質を測定対象とすることができる。
(IPQ)
Figure 0006760753
また、同位体元素が導入された13C化ピロロキノリンキノン又はその類縁体も検出対象とすることができる。導入される同位体元素としては、例えば、重水素(D)、13C、15N、18O等が挙げられるが、これらの同位体元素は1種類だけ導入されてもよいし、複数種類が組み合わせて導入されていてもよい。
その他、重水素(D)、13C、15N、18O等の同位体で標識された物質は、非標識の物質とほとんど同じ化学的性質でありながら、質量分析では異なる質量として検出できる。そのため、同位体標識したPQQまたはその類縁体を内部標準として用いることで、前処理の誤差やイオンサプレッションの影響を少なくして定量精度を高めることが可能となるため、好ましい。
同位体元素が導入された化合物としては、例えば、全ての炭素原子に13Cを導入した13C化ピロロキノリンキノンなどが挙げられる。13C化ピロロキノリンキノンを更にアミノ酸と反応させることで、13C化IPQ/Rを合成し、内部標準として用いることができる。13C化IPQ/Rを内部標準として用いることで、PQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の定量精度を高めることが可能となり、好ましい。
内部標準は標準物質と異なり、分析試料に一定量添加することで、その役割を担えること、定量に影響しないことが重要であるため、粗精製物を使用することもできる。
また、PQQアミノ酸付加類縁体だけでなく、上述したようにピロール環、キノリン環の骨格を有し、PQQに由来すると推定される物質であれば、未知のPQQ類縁体についても測定対象とすることができる。
[対象試料]
本発明において分析可能なPQQ類は、生物中に含まれる物質を対象とすることができ、微生物、植物、動物由来の試料を使用することができる。
微生物を対象とした場合にはその培養に用いた培地、微生物体、抽出試料等を使用することができる。
動物を対象とした場合には、ヒト、サルなどの霊長目、マウス、ラットなどの齧歯目、ウサギなどの重歯目、イヌなどのネコ目、ブタなどの偶蹄目を対象として使用することができる。ヒト、マウス、ラット等の哺乳動物を分析対象とすることが好ましい。
分析に使用することのできる検体の種類は、動物を対象とした場合には、上記動物生体に由来しPQQ類を含む生体試料であればよく、全血、血漿、血清、母乳、唾液、尿、糞、脳由来試料、肝臓由来試料、皮膚由来試料、筋肉由来試料が挙げられるが、例えば、全
血、血漿、血清、母乳などが好ましい。
[本発明の測定]
本発明は、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析法を用いて、試料中に含まれるPQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を迅速かつ簡便に同時に測定できる方法を提供することである。本発明において測定とは、PQQ類を検出することに加え、定量することを含む。
本発明におけるPQQ類の測定では、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析を使用して行うが、液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析としては、LC−MS/MS、LC−MS/MS/MSなど、一般的に分析用途に用いられている装置を適宜選択して使用することができる。これらの装置は一部を組み合わせて測定に使用してもよい。
[前処理]
上記生体試料を高速液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析計で測定する前に、適宜前処理に供することが望ましい。血漿や血清などの生体試料には、多くの夾雑物質が含まれるため、選択性の向上やイオンサプレッションの軽減のためにも、前処理を行うことが好ましい。
前処理としては、様々な方法が知られており、試料中の夾雑物が除去できる処理であれば特に制限されないが、本発明においては固相抽出が特に好適に用いられる。当業者であれば分析対象とするPQQ類の種類や夾雑物の種類等の諸条件に応じて、適宜条件を設定して実施することができる。固相抽出は、操作性や濃縮しやすさなどの面からも好ましい。
本明細書では一例として、血液試料を材料に測定する際に固相抽出を実施する場合を例示するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
PQQとPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を同時に測定する場合には、生体試料からの回収率を向上させるために、対象試料にリン酸を添加した後、固相カラムに吸着させ、水/メタノール/塩酸混合液などの有機溶媒を含む酸性溶媒で洗浄し、水/アセトニトリル/アンモニア水混合液などの有機溶媒を含むアルカリ性溶媒で溶出させる処理を行うことが好ましい。洗浄に使用する有機溶媒と溶出に使用する有機溶媒とは、同じものを使用することができる。例えば、上述のメタノールやアセトニトリルの他、エタノール、イソプロパノール等を使用することができる。酸性溶媒としては、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸等を使用することができる。当業者であれば、これらの有機溶媒と酸性溶媒とを適宜組み合わせて使用することができる。また、アルカリ性溶媒としては、上述のアンモニアの他、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミン等を使用することができる。当業者であれば、上述の有機溶媒とアルカリ性溶媒とを適宜組み合わせて使用することができる。
抽出、洗浄及び溶出用の溶媒の組成や固相カラムの種類は、分析対象のPQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の種類、生体試料の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。例えば、疎水性官能基が結合したポリマーや、オクタデシルシリル(ODS)等を充填したカラムや、陽イオン交換体が充填された陽イオン交換カラムを使用することができる。また、測定に供する生体試料の量を増やす場合、リン酸の添加量や固相カラムの充填剤量を適宜選択することができる。添加するリン酸の量としては、当業者であれば適宜設定することができるが、実施例にて後述するように、血清や血漿などの測定したい生体由来試料50μLに対して水/リン酸が9:1の比率(v/v)で、3000μL添加することが好ましい。また、生体由来の試料を100μL、200μLに増やして測定を実施する場合は6000μL、12000μLの水/リン酸溶液を添加すること
が好ましい。本発明において試料に添加するリン酸は、酸性、中性、アルカリ性のいずれも使用可能であり、固相カラムの充填量に応じてpHを調整することができるが、酸性のリン酸溶液が特に好適に用いられる。また、リン酸イオンを含む溶液であればよく、リン酸塩のように塩を含む溶液、また複数のリン酸塩溶液を混合した溶液でであっても使用することができる。リン酸の添加量や固相カラムの充填剤量を増やすと、測定に供する生体試料量を増やした場合でも高回収率を維持できるので、好ましい。このような固相抽出による前処理は、試料中のPQQ及びアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の同時定量において好ましく用いることができる。
PQQ類を逆相系の固相カラムに吸着させるためには、試料を酸性にしてPQQ類を分子型にする必要がある。そこで、酸を試料中に添加することによって、逆相系の固相カラムへのPQQ類の保持力向上が期待される。ここで、本発明において使用可能な酸としてはリン酸を使用することが好ましい。
前処理における回収率が低いと定量感度が低下し、精度も落ちることとなる。また、夾雑物の除去が不十分な場合には、イオン化抑制の影響が生じやすくなる。そのため、回収率の向上と夾雑物の除去とを両立できる前処理法が好ましい。今回、リン酸を使用することによって、逆相系の固相カラムへの保持力が向上するだけでなく、試料中の夾雑物との結合による破過を防ぐことが可能となるため、高い回収率で前処理を実施することができた。
[液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析]
前記前処理を施されたPQQ、13C化PQQ類を含む試料の測定は、液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析計(MS)を利用して実施することができる。液体クロマトグラフ装置と質量分析計は、互いに直列に接続されていてもよいし、それぞれ独立した装置であってもよい。本発明の方法に用いられる装置としては、例えば、液体クロマトグラフィー装置と質量分析計を直列につないで構成された、LC−MSシステムを用いることができる。LC−MSシステムを用いることにより、液体クロマトグラフィーにより分離された成分を、続けて質量分析することができる。液体クロマトグラフィーに質量分析装置を接続したLC−MSは、タンデム型のLC−MS/MS、LC−MS/MS/MSなどを使用することができる。
[液体クロマトグラフィー装置]
液体クロマトグラフィー装置は、生体試料に含まれる蛋白質を液体クロマトグラフィーにより分離できる装置であれば特に制限されないが、通常は、HPLC装置であるのが好ましい。HPLC装置は、分離カラム、および分離溶液を分離カラムに送り込むポンプを備える。HPLC装置は、それ以外の要素、例えば、オートサンプラー、ヒーター、分離された成分を検出する検出器等、を備えていてもよい。検出器としては、例えば、UV検出器や蛍光検出器が挙げられる。例えば、検出器は、カラムとイオン源(イオン化部)の間に接続することができる。
液体クロマトグラフィー(LC)は、より迅速に高感度で分離分析が可能な超高速液体クロマトグラフィー(Ultra High Performance Liquid Chromatography、以下、UHPLC、UPLCなどと記載することがある)を用いてもよい。UHPLCは100MPa程度での高圧送液が可能な液体クロマトグラフィーのことを意味し、より高速/高分離能での分析が可能な装置をさす。前記HPLCの他、本発明においては、UHPLC、UPLC等と称されるものも含まれる。これらの装置は、分離溶液を分離カラムに送り込むポンプを備える点において共通しており、それ以外の要素、例えば、デガッサー、オートサンプラー、ヒーター、検出器等、を備えていてもよい。検出器としては、例えば、UV検出器や蛍光検出器が挙げられる。
UPLCは、高圧に耐え得る粒子を充填したカラムを使用しており、HPLC装置に比べてより迅速に高感度で分離分析が可能である。UPLCによる分離条件はHPLCの条件設定を行う場合の検討と同様に行うことができ、当業者であれば適宜条件を設定できる。また、既知のHPLC分析法の条件をUPLCに適用する場合には、ACQUITY UPLC Columns Calculatorなどのソフトウェアを使用して条件検
討を行うこともできる。
[移動相]
高速液体クロマトグラフィーに用いられる分離溶液(移動相)の条件としては、質量分析計に適用可能な溶媒であることを満たすものであれば特に制限されずに使用することが可能である。例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトル、などを使用することができる。また、アルカリ、塩を添加することも可能であるが、質量分析計に適用可能である必要がある。本発明においては、pH7〜14のアルカリ条件下であることが好ましく、pH8付近で実施することが特に好ましい。
PQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の同時測定の場合には、例えば、分離溶液(移動相)として炭酸水素アンモニウムとアセトニトリルを使用して分析を行うことが好ましい。炭酸水素アンモニウムを利用することにより、PQQ類の分離を向上させつつ、質量分析におけるイオン化を促進でき、検出感度を向上できる。また、アセトニトリルを利用することにより、PQQ類の溶出時間を調節でき、且つ、質量分析における検出感度を向上できる。
液体クロマトグラフィーに用いられる分離溶液(移動相)の条件としては、pHを一定に保ちうること、有機溶媒と混合しても安定であること、試料成分と不必要な反応を起こさないこと、化学修飾基の切断や担体の溶解といった、固定相や装置を劣化させないものであること、を満たすものであれば特に制限はされずに使用することが可能であり、例えば、水、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、などを使用することができる。
LC/MSにおいて使用される場合、酢酸、蟻酸などの揮発性塩とピリジン、トリメチルアミン、アンモニアなどの揮発性塩基を組み合わせた緩衝液を使用することもできるが、緩衝剤除去の工程を考慮し、揮発性緩衝液を用いることが好ましい。
特に本発明においては炭酸水素アンモニウムとアセトニトリルを使用して分析を行うことが好ましい。炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルを含有する溶液、例えば水溶液、である。
移動相としてアルカリ性の溶媒を使用して液体クロマトグラフィーを実施することで、PQQとIPQ/Rとの分離が向上するだけでなく、質量分析装置に持ち込まれるPQQ類のロスを最小限にとどめることが可能となる。また、質量分析の際のイオン化を促進できるため、好ましい。特に、炭酸水素アンモニウムを利用することにより、適度に、液体クロマトグラフィーによる分離を向上させつつ、質量分析の際のPQQ類のイオン化を促進できる。また、アセトニトリルを利用することにより、液体クロマトグラフィーにおける溶出時間を調節でき、且つ、質量分析によるPQQ類の検出感度を向上できる。分離溶液は、アルカリ性であって、分析対象のPQQ類を分析できる限り、他の成分を含有していてもよい。
[液体クロマトグラフィー条件]
液体クロマトグラフィーに用いられる分析カラムの条件としては、特に制限されず、分析対象のPQQ類の種類、生体試料の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる
。分離カラムとしては、逆相カラムを用いることができる。逆相カラムとしては、例えば、オクタデシルシリル化シリカゲル充填剤を充填したカラム(ODSカラム、C8カラム、C2カラム)、これらにイオン交換樹脂を配合したカラムが挙げられるが、特にODSカラムが好ましい。特に、HPLCによる分析を行う場合には、粒径が5.0μm以下のオクタデシルシリル化シリカゲル充填剤を充填したカラム(ODSカラム)を使用することが好ましく、1.7〜5.0μmのODSカラムが更に好ましい。
本発明は、PQQ類と試料中の他の夾雑物とを十分に分離することが可能としたものであるが、炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルの両濃度のグラジエント勾配を調整することで、保持時間を調整することも可能である。LC−MS/MSによる測定系においては、クロマトグラム上で確認できる夾雑物と測定対象物を十分に分離する必要があることはもちろんのこと、クロマトグラム上では確認できないがマトリクス由来の成分がイオン化効率に悪影響を与える可能性がある夾雑物を除去するためにも、カラムへの保持時間を長く保つことが、好ましい。
液体クロマトグラフィーに用いられるその他の諸条件としては、特に制限されず、生体試料中に含有される分析対象のPQQ類が他の成分と分離され、且つ、分析対象の複数種類のPQQ類同士が全て分離されカラムから溶出されるように、分析対象のPQQ類の種類、生体試料の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。
すなわち、分離工程においては、分離溶液中の炭酸水素アンモニウムおよび/またはアセトニトリルなどの分離溶液の濃度を変化させることができる。炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルは、分離工程の全期間において分離溶液に含有されていてもよく、そうでなくてもよい。
溶出法は、アイソクラティック溶出法とグラジエント溶出法を適宜選択すればよいが、クロマトグラム上で確認できる夾雑物と測定対象物を十分に分離する必要があることはもちろんのこと、クロマトグラム上では確認できないがマトリクス由来の成分がイオン化効率に悪影響を与える可能性があるため、保持時間を長く保つことが、好ましい。
具体的なグラジエントの条件としては、例えば、後述する実施例に記載の条件が挙げられる。同条件は、特に、生体試料中に含まれるPQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を同時分析する際に好適に用いることができる。ただし、グラジエントの条件は特に限定されず、例えば、アセトニトリルの代わりとしてメタノール、エタノール、イソプロパノール等が、炭酸水素アンモニウムの代わりとして炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、ピリジン、アンモニア水等が使用可能である。
具体的には、分離工程は、分離溶液中のアセトニトリル濃度を増大させる工程を含んでいてよい。すなわち、例えば、分離溶液中のアセトニトリル濃度(v/v)が第1の濃度(M1)から第2の濃度(M2)まで徐々に増大するよう、アセトニトリル濃度にグラジエントをかけることができる。M1およびM2は、分析対象とするPQQ、PQQ類縁体及びPQQアミノ酸付加類縁体の種類や夾雑物の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。アセトニトリル濃度は、例えば、1%以上、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、または50%以上であってよく、99%以下、75%以下、50%以下、25%以下、20%以下、15%以下、または10%以下であってよい。アセトニトリル濃度は、具体的には、例えば、1%〜99%であってよい。具体的には、例えば、分離溶液中のアセトニトリル濃度(v/v)が1%から100%まで徐々に上昇するよう、アセトニトリル濃度にグラジエントをかけてよい。アセトニトリル濃度の変化速度は、一定であってもよく、そうでなくてもよい。アセトニトリル濃度は、M1からM2に変化するまでに、増減を繰り返してもよい。アセトニトリル濃度は、M2に到達した後、さらに変化してもよい。例えば、アセトニトリル濃度は、M2に到達した後、さらに増大してもよく、減少し
てもよく、増減を繰り返してもよい。例えば、アセトニトリル濃度は、M2に到達した後、再度M1に変化するまでに増減を繰り返してもよい。例えば、M2に到達した後、1%まで減少してもよい。
逆相系のカラムを使用した液体クロマトグラフィーにおいて、溶出時間は水と有機溶媒の濃度に依存するため、アセトニトリル濃度の増大に応じて炭酸水素ナトリウム濃度は減少させることができる。このとき、アセトニトリル濃度変化に応じて徐々に減少するように設定すればよいが、増減を繰り返してもよく、炭酸水素ナトリウム濃度が100mM以下となっていればよい。
濃度のグラジエントは、組成の異なる2種またはそれ以上の溶液を、混合比率を変化させながら混合することで、形成することができる。溶液の組み合わせは、所望のグラジエントが形成されるよう、適宜選択することができる。
グラジエントは、炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルの濃度にまとめてかけてよい。例えば、炭酸水素アンモニウムを含有しアセトニトリルを含有しない第1の溶液と、アセトニトリルを含有し炭酸水素アンモニウムを含有しない第2の溶液とを、混合比率を変化させながら混合することで、炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルの両濃度にグラジエントをかけることができる。第1の溶液としては、例えば、炭酸水素アンモニウムそのものや炭酸水素アンモニウム含有水溶液が挙げられる。第2の溶液としては、アセトニトリルそのものやアセトニトリル含有水溶液が挙げられる。
2種またはそれ以上の溶液を混合して分離溶液を調製する場合、当該2種またはそれ以上の溶液中の炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルの濃度は、混合後の分離溶液中の炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルの濃度が上記例示した分離溶液中の炭酸水素アンモニウムおよびアセトニトリルの濃度となるよう、混合比率に応じて適宜設定することができる。例えば、炭酸水素アンモニウム含有水溶液とアセトニトリルとを混合して分離溶液として用いる場合、炭酸水素アンモニウム含有水溶液中の炭酸水素アンモニウム濃度は、炭酸水素ナトリウム濃度は100mM以下であればよく、有機溶媒濃度の増減に応じて変化するように設定すればよい。
分離溶液のpHは、分析対象とするPQQ類の種類や夾雑物の種類等の諸条件に応じて適宜設定できる。分離溶液の組成及びpHの好ましい範囲は、液体クロマトグラフィーに続いて実施される質量分析において分析対象とするPQQ類のイオン化効率が高くなるように設定することができる。すなわち、具体的には、分析対象とするPQQ類がカラムから溶出される時点の分離溶液の組成及びpHが、質量分析において分析対象とするPQQ類のイオン化効率が高くなるように設定されるのが好ましい。具体的な範囲としては、例えば、pH7〜14が好ましく、pH8付近が更に好ましい。
流速は、分離カラムの内径等の諸条件に応じて適宜選択できる。分離溶液の流速は、分離工程を通じて一定であってもよく、そうでなくてもよい。例えば、エレクトロスプレー法(ESI)に合わせて0.1〜1.5mL/minの範囲で適宜選択することができる。液体クロマトグラフィーにおける分離溶液の流速は、例えば、0.2〜1.0mL/minであってよく、0.8mL/minが好ましい。
また、液体クロマトグラフィーにおけるカラム温度は、当業者であれば、分析対象や使用する分析カラムの仕様に合わせて適宜選択することができる。例えば、40〜70℃であってよく、具体的には40℃であってよい。
[質量分析装置]
液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析フラグメントイオン分析法は高速液体ク
ロマトグラフィー部と質量分析装置部からなる装置でさらには質量分析部がプリカーサーイオンを分解検出できる部分を有している。高速液体クロマトグラフィー部はカラムを備え、混合物から目的物質を分離する。
質量分析計部、公知の質量分析計が使用できるが、特にLC装置に直列に接続することが可能なものは簡便に使用できるので好ましい。用いられる質量分析計は、1つであってもよく、2つまたはそれ以上であってもよい。2つまたはそれ以上の質量分析計は、直列に接続して用いることができる。すなわち、LC−MSシステムは、例えば、直列に接続された2つまたはそれ以上の質量分析計を備える、LC−MS/MSやLC−MS/MS/MSであってよい。
検出方式としては、タンデム型質量分析計は、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型や飛行時間型、また、それらのハイブリッド型が使用できる。タンデム四重極型質量分析計が好ましい。具体的には、例えば、TQ5500やQTRAP5500(AB Sciex社製)が好ましい。
質量分析計におけるイオン化法としては、エレクトロスプレー法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、高速原子衝撃法(FAB)、光イオン化法(APPI)、および音速イオン化法(SSI)が挙げられるが、特にエレクトロスプレー法(ESI)が好ましい。
タンデム四重極型質量分析計は、イオン源、四重極(Q1)、コリジョンセル(Q2)、四重極(Q3)、検出器で構成される質量分析計である。測定対象物は、イオン源でイオン化され、プリカーサーイオンが生成され、その質量電荷比(m/z)によって、四重極(Q1)で質量分離される。次いで、コリジョンセル(Q2)内で窒素やアルゴン等の不活性ガスと衝突させることでプロダクトイオンが生成される(衝突誘起解離:CID)。プロダクトイオンの質量電荷比(m/z)によって、四重極(Q3)で再度、質量分離され、検出器で検出される。
PQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の同時測定の場合には、スキャンタイプとしてネガティブMRM(Multiple Reaction Monitoring、SRM)を選択することが好ましい。プリカーサーイオンとして、脱プロトン化された[M−H]-を選択することが好ましい。具体的には、PQQは329、IPQは3
40、13C化PQQは343となる。プロダクトイオンとしては、炭酸(CO2)が1〜
3個脱離された[M−H−nCO2-を選択することが好ましいが、他にイオン強度が高いプロダクトイオンがある場合はそれを選択してもよい。具体的には、PQQは285、241、197、IPQは296、252、208、13C化PQQは298、253、208となる。定量に用いるプロダクトイオンは、生体試料や質量分析計の種類等諸条件に応じて適宜選択することができる。
質量分析により得られるイオンの検出比率(イオン比)は物質固有の値であるため、標準品の分析により得られたイオン比と生体試料の分析により得られたイオン比を比較して、生体試料に含まれるPQQ、PQQ類縁体及びPQQアミノ酸付加類縁体を同定することができる。
PQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の標準品を所有していない場合であっても、他のスキャン法を用いることで、PQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)等の構造を推定あるいは同定することも可能である。特に、スキャンタイプとしてニュートラルロススキャンを使用すると簡便である。具体的には、質量電荷比(m/z)として44、88、132のネガティブニュートラルスキャンを行うことで、生体試料に含まれる未知のPQ
Q類縁体を推定することが可能となる。
質量分析の結果に基づき、測定対象のPQQ類を定量することができる。PQQ類の定量は、常法により行うことができる。具体的には、例えば、検出された測定対象のPQQ類のピーク面積値を濃度既知の内部標準物質のピーク面積値で除したピーク面積比に基づいて、測定対象のPQQ類を定量することができる。
[内部標準]
定量性を確保するために内部標準を使用することができるが、例えば、13C化PQQや15N化PQQなどを使用することができる。同位体置換された物質は目的の物質と同じ化学的性質でありながら、質量分析では別の質量として検出できるため、抽出等の処理により回収率が変動しても補正することができるため、好ましい。抽出工程前に13C化PQQを測定検体に添加することで内部標準として使用することができる。13C化PQQは有機合成、培養法のいずれの方法で製造したものであってもよい。微生物を使用して培養法によって合成する場合、例えば、Ameyamaら(Analytical Biochemistry,151;263−267,1985)の方法を使用して合成することができる。13C化メタノールを使用して培養することですべての炭素原子に13Cが入ったPQQを製造できるため好ましい。
また、標準品が存在しない類縁体やアミノ酸付加体等については、それが未知のPQQ類である場合には、HPLCによって分離された物質がPQQ類であることを構造推定などによって確認した上で、本発明の分析法の対象に加えることができる。未知のPQQ類を確認する方法は当業者であれば適宜選択して実施することが可能であり、例えば、単離精製などをしてPQQ類であることを確認することができる。
HPLC装置、質量分析計、それらに備わる各種要素は、上記例示した分析条件を参照して、分析対象のPQQ類の種類や夾雑物の種類等の諸条件に応じて適宜選択できる。
以上、液体クロマトグラフィー、質量分析、それらに備わる各種要素について、分析条件を例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、上記分析条件を参照して、分析対象のPQQ類の種類、生体試料の種類等の諸条件に応じて適宜選択することができる。
[実施例1:標準物質の合成]
(1)13C化ピロロキノリンキノンの作製
13C化メタノールを炭素源としてバクテリアDSM1869を250mlの培養容器で1週
間培養した。なお、この菌株はDSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen (German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)から入手できるものである。培養
液から菌体とタンパク質を遠心分離で除去した後、食塩を加えピロロキノリンキノンを析出させた。質量分析の結果、すべての炭素原子に13Cが導入されていた。
(2)IPQトリナトリウムの作成
ピロロキノリンキノンジナトリウム(三菱ガス化学製、BioPQQ)100gとグリシン200gを水0.5Lと混合した。pH4.8であった。30分後、泡が出て混合物は固まった。この混合物を70℃に加熱して、3日間反応させた。反応液に10 w/v
%NaClを1000g加え濾過した。濾過で得た固体に25w/v%NaOH120gと水30gを混合した。pH10.8で70℃に加温して一晩放置後、濾過し、2−プロパノールで洗浄し、さらに固形分をエタノール400mLで洗浄した。水500mLに固形分を加え、NaOH41.5gを混合し(pH10.3)、70℃に加温して一晩放置した。氷で冷やし、濾過、2−プロパノールで洗浄した。固体を70℃で減圧乾燥して65.8g得た。得られた固体はIPQトリナトリウムであることがLC、Naイオン分析
より分かった。
[実施例2:標準試料溶液の調製]
実施例1に記載の方法により合成した、ピロロキノリンキノンジナトリウム、IPQトリナトリウム、13C化ピロロキノリンキノンを使用し、標準試料溶液の調製は、以下の要領で実施した。また、調製した溶液は、全て冷蔵(4℃)、遮光条件下で保存した。
(1)標準試料原液
ピロロキノリンキノンジナトリウムを正確に3.74 mg量り、水/アンモニア水(
1000:1, v/v)に溶かして、正確に100 mLとし、PQQ標準試料原液(100μmol/L)を調製した。IPQトリナトリウムを正確に4.07 mg量り、水
/アンモニア水(1000:1, v/v)に溶かして、正確に100 mLとし、IPQ標準試料原液(100μmol/L)を調製した。
(2)内標準試料原液
13C化ピロロキノリンキノンを約0.10 mg量り、水/アンモニア水(1000:
1, v/v)に溶かして、10 mLとし、内標準試料原液(分子量344として29.1μmol/L)とした。
(3)標準試料溶液
PQQ標準試料原液(100μmol/L)、IPQ標準試料原液(100μmol/L)を正確に量り合せた後、水で順次希釈して、1、2、10、20、100、200、1000、1600、2000及び16000 nmol/Lの標準試料溶液を調製した
(4)内標準試料溶液
内標準試料原液(29.1μmol/L)を水で順次希釈して、内標準試料溶液(200 nmol/L)を調製した。
[実施例3:PQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の同時測定]
(1)検量線用標準試料溶液の調製
ブランク血漿50μLに標準試料溶液を25μL加えて、検量線用標準試料溶液を調製した。また、ブランク血漿50μLに水を25μL加えて、ブランクサンプル及びゼロサンプルを調製した(表1)。
Figure 0006760753
なお、使用したブランク血漿からはPQQ、IPQが検出されなかったため、検量線用標準試料溶液の調製に用いたが、内在性のそれらが定量を妨げる場合は、水や生理食塩水に代替しても良い。
(2)精度管理用既知濃度試料(QCサンプル)の調製
ブランク血漿950μLに標準試料溶液を50μL加えて、QCサンプルを調製した(表2)。
Figure 0006760753
(3)前処理条件
検量線用標準試料溶液及びゼロサンプルそれぞれ75μLに内標準試料溶液25μL及び水/リン酸(9:1, v/v)3 mLを加えて混合した。ブランクサンプル75μLに水25μL及び水/リン酸(9:1, v/v)3 mLを加えて混合した。血漿試料及びQCサンプルそれぞれ50μLに水25μL、内標準試料溶液25μL及び水/リン酸(9:1, v/v)3 mLを加えて混合した。これらの混合液をメタノール3 mL及
び水/リン酸(9:1, v/v)3 mLで平衡化したOasis HLB Extraction Cartridge(60 mg/3 cc、Waters社製)にロードした
。水/メタノール/1 mol/L塩酸(6:4:1, v/v/v)3 mLで洗浄し、
水/アセトニトリル/アンモニア水(10:10:1, v/v/v)1 mLで溶出した。溶出液を窒素気流下、50℃で乾固した。残渣に25 mmol/L炭酸水素アンモニ
ウム200μLを加えて再溶解し、これをLC/MS/MSによる測定に使用した。
なお、測定に供する試料量を増やしたい場合は、水/リン酸(9:1, v/v)の添
加量と固相カラムの充填剤量も合わせて増やすことで、高回収率を維持することができ、測定感度を上げることが可能である。
(4)液体クロマトグラフィー条件
液体クロマトグラフィー条件は、装置としてProminence UFLCシステム
(島津製作所社製)、分析カラムとしてXTerra MS C18(Waters社製)、移動相として炭酸水素アンモニウム水溶液とアセトニリルを用いた系を構築した。表3に液体クロマトグラフィー条件を記す。
Figure 0006760753
移動相として、炭酸水素アンモニウムの代わりに蟻酸アンモニウムや酢酸アンモニウムを用いることも可能であるが、エレクトロスプレーイオン化法(ESI)を使用した測定の場合、炭酸水素アンモニウムが最も高感度に検出可能となる。また、IPQのカラムへの保持力が強くなるため、分離が向上する。
(5)質量分析条件
質量分析条件は、装置としてTriple Quad5500(SCIEX社製)、イ
オン化法としてエレクトロスプレーイオン化法(ESI)、スキャンタイプとしてネガティブMRMを用いた系で実施した。表4に質量分析条件を記す。
Figure 0006760753
PQQ、IPQ、13C化PQQ(IS)のプリカーサーイオン(Q1)は、脱プロトン体である[M−H]-が検出され、PQQは329、IPQは340、13C化PQQは3
43となった。いずれのプロダクトイオン(Q3)も、CO2が1〜3個脱離したフラグ
メントイオンである[M−H−nCO2-が感度良く検出され、PQQは285、241、197、IPQは296、252、208、13C化PQQは298、253、208となった(図1〜2)。本測定系においては、PQQは329/241、IPQは340/296、13C化PQQは343/253を選択したが、対象試料や装置等の違いによる感度やバックグラウンドノイズを基に適切なイオンを選択し、他の質量のイオンを使用することも可能である。代表的なクロマトグラムを図3に示した。
[実施例5:ヒト血漿試料の測定結果]
構築したPQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)の同時測定法を用いて、ヒト血漿試料の測定を行った(表5)。
測定したヒト血漿試料としては、プラセボ及びPQQを12週間反復摂取後の被験者から採取された血漿(プラセボ群:10検体、PQQ群:10検体)を使用した。
Figure 0006760753
これら20検体をPQQ及びIPQ/Rの同時測定法により測定したところ、プラセボ群の全ての血漿試料からPQQ、IPQは検出されなかった。一方、PQQ群の全ての血漿試料からPQQが検出され、その定量値は9.49〜72.2nmol/Lであった。一部の血漿試料からIPQが検出され、その定量値は0.130〜1.90nmol/Lであった。
上記結果より、PQQを経口摂取後は、未摂取時に比べて大幅に血漿中PQQ濃度が増加し、そのほとんどはPQQとして存在し、アミノ酸付加類縁体としても一部存在することが分かる。このように様々な生体試料や飲食品等におけるPQQとそのアミノ酸付加類縁体の分布を知ることができるため、非常に有用である。
[比較例1:各種酸を使用した前処理法の検討]
実施例1〜2で調製した標準試料溶液を使用して、前処理条件の検討を行った。ブランク血漿50μLに標準試料溶液25μL及び内標準試料溶液25μLを加えた後、水または水/リン酸(9:1, v/v)または水/ぎ酸(95:5, v/v)または1mol
/L塩酸をそれぞれ3000μL加えて混合した以外は、実施例3−(3)と同様にして前処理を行った。
上記前処理によって得られた試料を、実施例3−(4)及び(5)と同様にして測定を行った。同時に、回収率算出用標準溶液として、25 mmol/L炭酸水素アンモニウ
ム150μLに標準試料溶液25μL及び内標準試料溶液25μLを加えて混合した溶液も測定を行った。回収率算出用標準溶液のPQQ類のピーク面積に対する水またはリン酸またはぎ酸または塩酸を加えた試料のPQQ類のピーク面積の割合(回収率)を算出した。
酸を使用しない方法として、水を添加した場合、PQQ類が検出されず、固相カラムへ吸着が全く見られないことが分かった。また、酸としてぎ酸または塩酸を添加した場合、いずれもPQQ類の回収率は30%未満と低い上に再現性も不良であった。酸としてリン酸を添加した場合、PQQ類の回収率は80%以上と高く再現性も良好であった。
[比較例2:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるPQQの定量]
(1)リン酸緩衝液中のPQQの定量
実施例2では、本発明のLC/MS/MS法により溶液中のPQQ濃度の定量を行ったが、本比較例では、従来技術であるHPLCを用いたPQQの定量を行った。
HPLCは、LC−20A(島津製作所製)および粒径5μmのYMC−Pack O
DS−TMSカラム(150×4.6mm I.D.)を用い、測定温度を40℃とした
。カラムに、実施例2で調製したリン酸緩衝液中のPQQジナトリウム塩を流し込んだ後に、PQQジナトリウム塩の溶出液として100mM CH3COOH/100mM CH3COONaを用い、溶出速度は1.5mL/分として、PQQジナトリウム塩を溶出させて定量を試みた。
その結果、リン酸緩衝液中のPQQジナトリウム塩は、10mM以上の濃度で検出が可能であった。
(2)血清を含む培地中のPQQの定量
リン酸緩衝液中のPQQジナトリウム塩の代わりに、血清を含む培地中のPQQジナトリウム塩をカラムに流し込む以外は、上記(1)と同様の方法により、PQQジナトリウム塩の定量を試みた。リン酸緩衝液中のPQQジナトリウム塩は10mM以上の濃度で検出が可能であったのに対して、血清を含む培地中のPQQジナトリウム塩は、10mMの濃度では検出不能であった。このように、HPLCによる測定では、操作が煩雑で時間がかかる上に、測定が血清等の培地成分により困難となることが分かった。
本方法を用いた測定系を用いて血漿等の試料中に存在している、PQQ及びPQQアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を同時に測定することが可能なことが確認された。以上より、PQQの実態を把握することが可能となり、臨床上におけるPQQの有用性の研究等への貢献が期待される。

Claims (8)

  1. 試料中のピロロキノリンキノン(PQQ)とそのアミノ酸付加類縁体(IPQ/R)を液体クロマトグラフィー/タンデム型質量分析計によって同時に測定する方法であって、
    前記試料にリン酸を添加することによって、生体試料からのPQQおよびIPQ/Rの回収率を向上させる前処理してタンデム型質量分析装置に持ち込まれる前記PQQとIPQ/Rのロスを少なくして測定を行うことを特徴とする、方法。
  2. 前記前処理が固相カラムを用いた前処理である、請求項1に記載の方法。
  3. 固相カラムが、逆相系の固相カラムおよび陽イオン交換カラムのいずれかから選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記前処理が、試料中に含まれる夾雑物を除去してPQQおよびIPQ/Rを精製する処理である、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
  5. 前記前処理が、有機溶媒を含む酸性溶媒で試料を洗浄する工程を含む、請求項1乃至の何れか一項に記載の方法。
  6. 前記前処理が、アルカリ性溶媒と有機溶媒でPQQおよびIPQ/Rを溶出する工程を含む、請求項1乃至の何れか一項に記載の方法。
  7. 移動相にアルカリ性溶媒を使用して液体クロマトグラフィーを実施する、請求項1乃至の何れか一項に記載の方法。
  8. 13Cが導入された、PQQ及び/又はIPQ/Rを内部標準物質として使用してPQQおよびIPQ/Rの測定を行うことを特徴とする、請求項1乃至の何れか一項に記載の方法。
JP2016074652A 2016-04-01 2016-04-01 ピロロキノリンキノンの分析方法 Active JP6760753B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016074652A JP6760753B2 (ja) 2016-04-01 2016-04-01 ピロロキノリンキノンの分析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016074652A JP6760753B2 (ja) 2016-04-01 2016-04-01 ピロロキノリンキノンの分析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017187321A JP2017187321A (ja) 2017-10-12
JP6760753B2 true JP6760753B2 (ja) 2020-09-23

Family

ID=60044042

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016074652A Active JP6760753B2 (ja) 2016-04-01 2016-04-01 ピロロキノリンキノンの分析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6760753B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3739334B1 (en) * 2018-01-12 2022-07-27 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. A method for quantitative analysis of pyrroloquinoline quinone or a salt thereof
CN109085269B (zh) * 2018-08-15 2021-03-09 江苏省原子医学研究所 PQQ与Lys及Arg反应行为研究的方法
JP7299586B2 (ja) * 2018-12-28 2023-06-28 株式会社Lsiメディエンス 生体試料中のエチルアミン定量法
CN117471005B (zh) * 2023-10-26 2024-04-16 山东省食品药品检验研究院 一种乳饮料中吡咯喹啉醌二钠盐的检测方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017187321A (ja) 2017-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lu et al. Extraction and quantitation of nicotinamide adenine dinucleotide redox cofactors
Visser et al. A sensitive and simple ultra-high-performance-liquid chromatography–tandem mass spectrometry based method for the quantification of d-amino acids in body fluids
Xu et al. Enhancement of the capabilities of liquid chromatography–mass spectrometry with derivatization: general principles and applications
JP6760753B2 (ja) ピロロキノリンキノンの分析方法
US20220187326A1 (en) Method for the Direct Detection and/or Quantification of at Least One Compound with a Molecular Weight of at Least 200
Meng et al. Simultaneous 3-nitrophenylhydrazine derivatization strategy of carbonyl, carboxyl and phosphoryl submetabolome for LC-MS/MS-based targeted metabolomics with improved sensitivity and coverage
EP2633325B1 (en) Lc-ms separation and detection of vitamin d metabolites
Tzing et al. Determination of melamine and cyanuric acid in powdered milk using injection-port derivatization and gas chromatography–tandem mass spectrometry with furan chemical ionization
Hényková et al. Stable isotope dilution ultra-high performance liquid chromatography–tandem mass spectrometry quantitative profiling of tryptophan-related neuroactive substances in human serum and cerebrospinal fluid
Nagao et al. Novel chiral derivatization reagents possessing a pyridylthiourea structure for enantiospecific determination of amines and carboxylic acids in high-throughput liquid chromatography and electrospray-ionization mass spectrometry for chiral metabolomics identification
Min et al. Determination of dl-amino acids, derivatized with R (−)-4-(3-isothiocyanatopyrrolidin-1-yl)-7-(N, N-dimethylaminosulfonyl)-2, 1, 3-benzoxadiazole, in nail of diabetic patients by UPLC–ESI-TOF-MS
Pucciarini et al. Development and validation of a chiral UHPLC-MS method for the analysis of cysteine enantiomers in biological samples
WO2007013679A1 (ja) 試料溶液中のアルブミンの分析方法
Schebb et al. Development of an ultra fast online-solid phase extraction (SPE) liquid chromatography electrospray tandem mass spectrometry (LC-ESI-MS/MS) based approach for the determination of drugs in pharmacokinetic studies
JP2018163155A (ja) アミノ酸の分析方法
US20060094122A1 (en) Method for determination of arginine, methylated arginines and derivatives thereof
Sadok et al. Application of the optimized and validated LC–MS method for simultaneous quantification of tryptophan metabolites in culture medium from cancer cells
CN107226804B (zh) 一种右旋硫辛酸或其氨丁三醇盐的杂质和制备方法以及它们的检测方法
US20210380503A1 (en) Method for the stereoisomerization of chiral compounds
Iwasaki et al. Comparison of fluorescence reagents for simultaneous determination of hydroxylated phenylalanine and nitrated tyrosine by high‐performance liquid chromatography with fluorescence detection
Zayed et al. Simultaneous determination of warfarin and 7-hydroxywarfarin in rat plasma by HPLC-FLD
Sanwald et al. A combined targeted/untargeted LC-MS/MS-based screening approach for mammalian cell lines treated with ionic liquids: Toxicity correlates with metabolic profile
JP6893214B2 (ja) インシュリン類似体のためのバイオ分析方法
Fang et al. A liquid chromatography–tandem mass spectrometry method for the quantification of PAC-1 in rat plasma
Shu et al. Simultaneous determination of cyclophosphamide and 4-hydroxycyclophosphamide in human plasma by high-performance liquid chromatography coupled with electrospray ionization tandem mass spectrometry–application to chinese systemic lupus erythematosus patients

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200423

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200804

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200903

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6760753

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350