以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はパチンコ遊技機に限られず、コイン遊技機、スロットマシン等のその他の遊技機であってもよく、遊技を行なうことが可能な遊技機であれば、どのような遊技機であってもよい。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は当り種別表である。
パチンコ遊技機1は、遊技媒体としての遊技球を遊技領域7に打込んで遊技が行なわれる遊技機である。パチンコ遊技機1は、縦長の方形状に形成された外枠(図示せず)と、外枠の内側に開閉可能に取付けられた遊技枠とで構成される。また、パチンコ遊技機1は、遊技枠に開閉可能に設けられている額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。遊技枠は、外枠に対して開閉自在に設置される前面枠(図示せず)と、機構部品等が取付けられる機構板(図示せず)と、それらに取付けられる種々の部品(後述する遊技盤6を除く)とを含む構造体である。パチンコ遊技機1では、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に打込んで遊技が行なわれる。
ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4、および、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5等が設けられている。また、ガラス扉枠2の背面には、遊技盤6が着脱可能に取付けられている。遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には、打込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。
余剰球受皿(下皿)4を形成する部材には、たとえば下皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえば下皿の中央部分)等に、スティック形状(棒形状)に構成され、遊技者が把持して複数方向(前後左右)に傾倒する操作が可能なスティックコントローラ122が取付けられている。なお、スティックコントローラ122には、遊技者がスティックコントローラ122の操作桿を操作手(たとえば左手等)で把持した状態において、所定の操作指(たとえば人差し指等)で押引操作すること等により所定の指示操作が可能なトリガボタン125(図3参照)が設けられ、スティックコントローラ122の操作桿の内部には、トリガボタン125に対する押引操作等による所定の指示操作を検知するトリガセンサ121(図3参照)が内蔵されている。また、スティックコントローラ122の下部における下皿の本体内部等には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニット123(図3参照)が設けられている。また、スティックコントローラ122には、スティックコントローラ122を振動動作させるためのバイブレータ用モータ126(図3参照)が内蔵されている。
打球供給皿(上皿)3を形成する部材には、たとえば上皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえばスティックコントローラ122の上方)等に、遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン120が設けられている。プッシュボタン120は、遊技者からの押下操作等による所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン120の設置位置における上皿の本体内部等には、プッシュボタン120に対してなされた遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサ124(図3参照)が設けられていればよい。図1に示す構成例では、プッシュボタン120とスティックコントローラ122の取付位置が、上皿及び下皿の中央部分において上下の位置関係にある。これに対して、上下の位置関係を保ったまま、プッシュボタン120及びスティックコントローラ122の取付位置を、上皿及び下皿において左右のいずれかに寄せた位置としてもよい。あるいは、プッシュボタン120とスティックコントローラ122との取付位置が上下の位置関係にはなく、たとえば左右の位置関係にあるものとしてもよい。なお、操作手段としては、レバースイッチ、および、ジョグダイヤル等のその他の操作手段を設けてもよい。
遊技領域7の中央付近には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄を変動表示(可変表示ともいう)可能な演出表示装置9が設けられている。遊技領域7における演出表示装置9の右側方には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8aと、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器8bとが設けられている。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、数字および文字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で構成されている。演出表示装置9は、液晶表示装置(LCD)で構成されており、表示画面において、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄の変動表示を行なう演出図柄表示領域が設けられる。演出図柄表示領域には、たとえば左,中,右の3つの装飾用(演出用)の演出図柄を変動表示する図柄表示エリアが形成される。
第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bのそれぞれは、主基板31(遊技制御基板)に搭載されている遊技制御用マイクロコンピュータ560によって制御される。演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100によって制御される。第1特別図柄表示器8aで第1特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行され、第2特別図柄表示器8bで第2特別図柄の変動表示が実行されているときに、その変動表示に伴なって演出表示装置9で演出表示が実行されるので、遊技の進行状況を把握しやすくすることができる。
第1特別図柄表示器8aに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、または、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときには、演出表示装置9においても、特定表示結果としての大当り表示結果(大当り図柄の組合せ)が導出表示される。このように変動表示の表示結果として特定表示結果が表示されたときには、遊技者にとって有利な価値(有利価値)が付与される有利状態としての特定遊技状態(大当り遊技状態)に制御される。
また、演出表示装置9において、最終停止図柄(たとえば左右中図柄のうち中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して、大当り図柄(たとえば左中右の図柄が同じ図柄で揃った図柄の組合せ)と一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動表示したり、表示図柄の位置が入れ替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これら状態をリーチ状態という。)で行なわれる演出をリーチ演出という。
ここで、リーチ状態は、演出表示装置9の表示領域において停止表示された演出図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ停止表示されていない演出図柄の変動表示が継続している表示状態、または、全部もしくは一部の演出図柄が大当り組合せの全部または一部を構成しながら同期して変動表示している表示状態である。言い換えると、リーチとは、複数の変動表示領域において識別情報が特定表示結果を構成しているが少なくとも一部の変動表示領域が変動表示中である状態をいう。この実施形態において、リーチ状態は、たとえば、左,右の図柄表示エリアで同じ図柄が停止し、中の図柄表示エリアで図柄が停止していない状態で形成される。リーチ状態が形成されるときの左,右の図柄表示エリアで停止された図柄は、リーチ形成図柄、または、リーチ図柄と呼ばれる。
そして、リーチ状態における表示演出が、リーチ演出表示(リーチ演出)である。また、リーチの際に、通常と異なる演出がランプや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(演出図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、演出表示装置9の背景画像の表示態様(たとえば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別のリーチをスーパーリーチという。
演出表示装置9の右方には、各々を識別可能な識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示部)8aが設けられている。第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字等の特別図柄を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。また、演出表示装置9の右方(第1特別図柄表示器8aの右隣)には、各々を識別可能な識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示部)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字等の特別図柄を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器(変動表示部)と総称することがある。
なお、この実施の形態では、2つの特別図柄表示器8a,8bを備える場合を示しているが、遊技機は、特別図柄表示器を1つのみ備えるものであってもよい。
第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(たとえば、遊技球が第1始動入賞口13または第2始動入賞口14を通過(入賞を含む)したこと)した後、変動表示の開始条件(たとえば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、遊技球が通過するとは、入賞口やゲート等の予め入賞領域として定められている領域を遊技球が通過したことであり、入賞口に遊技球が入った(入賞した)ことを含む概念である。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13を有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ13aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13を有する入賞装置の下方には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口14を有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)14に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口14に入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13よりも、第2始動入賞口14に遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口14に入賞しない。したがって、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、第2始動入賞口14よりも、第1始動入賞口13に遊技球が入賞しやすい。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。以下、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
第2特別図柄表示器8bの上方には、第2始動入賞口14に入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する4つの表示器からなる第2特別図柄保留記憶表示器18bが設けられている。第2特別図柄保留記憶表示器18bは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
また、第2特別図柄保留記憶表示器18bのさらに上方には、第1始動入賞口13に入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する4つの表示器からなる第1特別図柄保留記憶表示器18aが設けられている。第1特別図柄保留記憶表示器18aは、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。
遊技機には、遊技者が打球操作ハンドル5を操作することに応じて駆動モータを駆動し、駆動モータの回転力を利用して遊技球を遊技領域7に発射する打球発射装置(図示せず)が設けられている。打球発射装置から発射された遊技球は、遊技領域7を囲むように円形状に形成された打球レールを通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13に入り第1始動口スイッチ13aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13への入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口14に入り第2始動口スイッチ14aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(たとえば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口14への入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aによる第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bによる第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行なう。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
また、演出表示装置9の表示画面における下部の位置には、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計数(合算保留記憶数)を表示する保留記憶表示部(合算保留記憶表示部、保留表示エリア)が設けられる。保留表示エリアでは、保留記憶表示として保留記憶数をたとえば所定画像の表示個数により特定可能な保留記憶画像(保留記憶情報のそれぞれに対応して1つずつ保留記憶画像を表示することにより、保留記憶数を特定する。)が表示される。このように、合計数を表示する保留表示エリアが設けられていることによって、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、および、演出表示装置9のそれぞれにおいて、保留記憶数を示すための発光表示および画像表示は、保留表示、または、保留記憶表示と呼ばれる。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は開閉板を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときと、第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって開閉板が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が開放状態と閉鎖状態とを繰返す繰返し継続制御が行なわれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態が、ラウンドと呼ばれる。これにより、繰返し継続制御は、ラウンド制御とも呼ばれる。本実施の形態では、大当りの種別が複数設けられており、大当りとすることが決定されたときには、いずれかの大当り種別が選択される。
演出表示装置9の左方には、各々を識別可能な普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10が設けられている。この実施の形態では、普通図柄表示器10は、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(たとえば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、普通図柄表示器10は、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、小型の表示器は、たとえば方形状に形成されている。
遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄。たとえば、図柄「7」。)である場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ遊技者にとって不利な閉状態から遊技者にとって有利な開状態に変化する。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6の下部には、入賞しなかった打球が取込まれるアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上部および左右下部には、所定の音声出力として効果音や音声を発声する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、前面枠に設けられた枠LED28が設けられている。
また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、単に「カードユニット」ともいう。)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置される(図示せず)。
図2の当り種別表においては、大当りにおける当りの種別ごとに、大当り遊技状態の終了後の大当り確率、大当り遊技状態の終了後のベース、大当り遊技状態終了後の変動時間、大当りにおける開放回数(ラウンド数)、および、各ラウンドの開放時間が示されている。
具体的に、大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、開放状態とされた後、所定の開放状態の終了条件(開放状態において所定期間(たとえば29秒間)が経過したこと、または、所定個数(たとえば10個)の入賞球が発生したという開放終了条件)が成立したことに応じて閉鎖状態とされる。そして、開放終了条件が成立すると、継続権が発生し、特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、大当り遊技状態における開放回数が予め定められた上限値となる15ラウンド(最終ラウンド)に達するまで繰返される。
「大当り」のうち、大当り遊技状態に制御された後、特別遊技状態として、通常状態(確変状態でない通常の遊技状態)に比べて大当りとすることに決定される確率が高い状態である確変状態(確率変動状態の略語であり、高確率状態ともいう)に移行する大当りの種類(種別)は、「確変大当り」と呼ばれる。また、本実施の形態では、特別遊技状態としては、確変状態に付随して、特別図柄や演出図柄の変動時間(変動表示期間)が非時短状態よりも短縮される時短状態に制御される場合がある。なお、特別遊技状態としては、確変状態とは独立して時短状態に制御される場合があるようにしてもよい。
このように、時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、時短状態となったときには、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行なわれる可能性が高まる。なお、「大当り」のうち、15ラウンドの大当り遊技状態に制御された後、確変状態に移行しない大当りの種類(種別)は、「通常大当り」と呼ばれる。
また、特別遊技状態としては、確変状態または時短状態に付随して、可変入賞球装置15が開状態になる頻度を高くすることにより可変入賞球装置15に遊技球が進入する頻度を高くして可変入賞球装置15への入賞を容易化(高進入化、高頻度化)する電チューサポート制御状態に制御される場合がある。電チューサポート制御状態は、後述するように高ベース状態であるので、以下の説明においては、主として高ベース状態と呼ぶ。
ここで、電チューサポート制御について説明する。電チューサポート制御としては、普通図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御(普通図柄短縮制御)、普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率を高める制御(普通図柄確変制御)、可変入賞球装置15の開放時間を長くする制御(開放時間延長制御)、および、可変入賞球装置15の開放回数を増加させる制御(開放回数増加制御)が行なわれる。このような制御が行なわれると、当該制御が行なわれていないときと比べて、可変入賞球装置15が開状態となっている時間比率が高くなるので、第2始動入賞口14への入賞頻度が高まり、遊技球が始動入賞しやすくなる(特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における変動表示の実行条件が成立しやすくなる)。この制御によって第2始動入賞口14への入賞頻度が高まることにより、第2始動条件の成立頻度および/または第2特別図柄の変動表示の実行頻度が高まる遊技状態となる。
電チューサポート制御により第2始動入賞口14への入賞頻度が高められた状態(高頻度状態)は、発射球数に対して入賞に応じて賞球として払出される遊技球数の割合である「ベース」が、当該制御が行なわれないときと比べて、高い状態であるので、「高ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御が行なわれないときは、「低ベース状態」と呼ばれる。また、このような制御は、可変入賞球装置15、すなわち、電動チューリップにより入賞をサポートすることにより可変入賞球装置15への入賞を容易化する制御であり、「電チューサポート制御」と呼ばれる。
この実施の形態においては、大当り確率の状態を示す用語として、「高確率状態(確変状態)」と、「低確率状態(非確変状態)」とを用い、ベースの状態の組合せを示す用語として、「高ベース状態(電チューサポート制御状態)」と、「低ベース状態(非電チューサポート制御状態)」とを用いる。
また、この実施の形態においては、大当り確率の状態およびベースの状態の組合せを示す用語として、「低確低ベース状態」、「低確高ベース状態」、および、「高確高ベース状態」を用いる。「低確低ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が低ベース状態であることを示す状態である。「低確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が低確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。「高確高ベース状態」とは、大当り確率の状態が高確率状態で、かつ、ベースの状態が高ベース状態であることを示す状態である。
図2に示すように、15ラウンドの大当りとしては、通常大当りと確変大当りとの複数種類の大当りが設けられている。通常大当りは、15ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、非確変状態、時短状態、および、高ベース状態(低確高ベース状態)に制御される大当りである。通常大当りにおいては、非確変状態が次回の大当りが発生するまでの期間継続し、時短状態、および、高ベース状態が、変動表示が100回という所定回数実行されるまでという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのいずれか早い方の条件が成立するまでの期間継続する。なお、通常大当りは、非確変状態、非時短状態、および、非電チューサポート制御状態(低確低ベース状態)に制御される大当りとなるように制御するものであってもよい。
確変大当りは、15ラウンドの大当り遊技状態の終了後に、確変状態、時短状態、および、高ベース状態(高確高ベース状態)に移行する制御が行なわれる大当りである。確変大当りにおいては、このような高確高ベース状態が、変動表示が100回という所定回数実行されるまでという条件と、次回の大当りが発生するまでという条件とのいずれか早い方の条件が成立するまでの期間継続する。
図3は、主基板31(遊技制御基板)および演出制御基板80における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37等も示されている。主基板31には、プログラムにしたがってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)560が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムにしたがって制御動作を行なうCPU56およびI/Oポート部57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、ROM54およびRAM55が内蔵された1チップマイクロコンピュータである。遊技制御用マイクロコンピュータ560には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路503が内蔵されている。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板(図示省略)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータは、バックアップRAMに保存される。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ560においてCPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ560(またはCPU56)が実行する(または、処理を行なう)ということは、具体的には、CPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路503は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路503は、初期値(たとえば、0)と上限値(たとえば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、乱数回路503が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14a、カウントスイッチ23からの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータ560に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載されている。また、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、および大入賞口を形成する特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21を遊技制御用マイクロコンピュータ560からの指令にしたがって駆動する出力回路59も主基板31に搭載されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18bおよび普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう。
演出制御基板80は、演出制御用マイクロコンピュータ100、ROM102、RAM103、VDP109、および、I/Oポート部105等を搭載している。ROM102は、表示制御等の演出制御用のプログラムおよびデータ等を記憶する。RAM103は、ワークメモリとして使用される。ROM102およびRAM103は、演出制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されてもよい。VDP109は、演出制御用マイクロコンピュータ100と共動して演出表示装置9の表示制御を行なう。
演出制御用マイクロコンピュータ100は、主基板31から演出制御基板80の方向への一方向にのみ信号を通過させる中継基板77を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出表示装置9の変動表示制御を行なう他、ランプドライバ基板35を介して、枠側に設けられている枠LED28の表示制御を行なったり、音声出力基板70を介してスピーカ27からの音出力の制御を行なう等、各種の演出制御を行なう。
また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122のトリガボタン125に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、トリガセンサ121から、I/Oポート部105の入力ポートを介して入力する。また、演出制御用CPU101は、プッシュボタン120に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、プッシュセンサ124から、I/Oポート部105の入力ポートを介して入力する。また、演出制御用CPU101は、スティックコントローラ122の操作桿に対する遊技者の操作行為を検出したことを示す情報信号としての操作検出信号を、傾倒方向センサユニット123から、I/Oポート部105の入力ポートを介して入力する。また、演出制御用CPU101は、I/Oポート部105の出力ポートを介してバイブレータ用モータ126に駆動信号を出力することにより、スティックコントローラ122を振動動作させる。
また、演出制御基板80に搭載されたROM102には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。たとえば、ROM102には、演出制御用CPU101が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。演出制御パターンは、たとえば演出制御プロセスタイマ判定値と対応付けられた演出制御実行データ(表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、操作検出制御データ、など)や終了コードなどを含んだプロセスデータから構成されている。演出制御基板80に搭載されたRAM103には、演出動作を制御するために用いられる各種データが記憶される。
図4は、各乱数を示す説明図である。図4においては、乱数の種別、更新範囲、用途、および、加算条件が示されている。各乱数は、以下のように使用される。
(1)ランダムR:大当りにするか否かを判定する当り判定用のランダムカウンタである。ランダムRは、10MHzで1ずつ更新され、0から加算更新されてその上限である65535まで加算更新された後再度0から加算更新される。(2)ランダム1(MR1):大当りの種類(種別、通常大当り、および、確変大当りのいずれかの種別)および大当り図柄を決定する(大当り種別判定用、大当り図柄決定用)。(3)ランダム2(MR2):変動パターンの種類(種別)を決定する(変動パターン種別判定用)。(4)ランダム3(MR3):変動パターン(変動時間)を決定する(変動パターン判定用)。(5)ランダム4(MR4):普通図柄に基づく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用)。(6)ランダム5(MR5):ランダム4の初期値を決定する(ランダム4初期値決定用)。
この実施の形態では、特定遊技状態である大当りとして、通常大当り、および、確変大当りという複数の種別が含まれている。したがって、大当り判定用乱数(ランダムR)の値に基づいて、大当りとする決定がされたときには、大当り種別判定用乱数(ランダム1)の値に基づいて、大当りの種別が、これらいずれかの大当り種別に決定される。さらに、大当りの種別が決定されるときに、同時に大当り種別判定用乱数(ランダム1)の値に基づいて、大当り図柄も決定される。したがって、ランダム1は、大当り図柄決定用乱数でもある。
また、変動パターンは、まず、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)を用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を用いて、決定した変動パターン種別に含まれるいずれかの変動パターンに決定する。そのように、この実施の形態では、2段階の抽選処理によって変動パターンが決定される。変動パターン種別とは、複数の変動パターンをその変動態様の特徴にしたがってグループ化したものである。変動パターン種別には、1または複数の変動パターンが属している。変動パターン種別は、変動種別と呼ばれる場合もある。
この実施の形態では、変動パターンが、リーチを伴なわない変動パターン種別である通常変動パターン種別と、リーチを伴なう変動パターン種別であるリーチ変動パターン種別とに種別分けされている。
このような変動パターン種別は、表示結果がはずれとなる場合に、時短状態であるときと、時短状態でないときとで、変動パターン種別の選択割合が異なるように設定されていることにより、時短状態であるときには、時短状態でないときと比べて、変動時間が短縮される。たとえば、時短状態では、時短状態でないときと比べて、変動時間の平均時間を短くするために、所定の変動パターンの変動時間が時短でないときよりも短く設定されたり、変動パターン種別のうち最も変動時間が短い変動パターン種別が選択される割合が高くなり、リーチ種別が選択されるときでも変動パターン種別のうち最も変動時間が短いノーマルリーチの変動パターンが選択される割合が高くなるように設定されたりすることで、時短状態でないときと比べて、変動時間の平均時間が短くなる。
なお、このような変動パターン種別は、変動表示をする各特別図柄の保留記憶数が所定数以上であるときと、所定数未満であるときとで選択割合が異なるように設定されることにより、変動表示をする各特別図柄の保留記憶数が所定数以上であるときには、各特別図柄の保留記憶数が所定数未満であるときと比べて、変動表示時間が短縮される保留数短縮制御を実行するようにしてもよい。たとえば、保留数短縮制御状態では、保留数短縮制御状態でないときと比べて、通常変動パターン種別のような変動表示時間が短い変動パターン種別が選択される割合が高くなるように設定されることで、保留数短縮制御状態でないときと比べて、変動表示時間の平均時間が短くなるようにしてもよい。また、保留数短縮制御では、保留数短縮制御状態でないときと比べて、同じ変動パターン種別が選択される場合でも、その変動パターン種別の変動表示時間自体を短くしてもよい。
また、変動パターンは、変動パターン種別を決定してから変動パターンを決定する2段階の決定方法ではなく、1回の乱数抽選により変動パターンが決定される1段階の決定方法としてもよい。
図5は、大当り判定テーブルおよび大当り種別判定テーブルを示す説明図である。図5(A)は、大当り判定テーブルを示す説明図である。大当り判定テーブルとは、ROM54に記憶されているデータの集まりであって、ランダムRと比較される大当り判定値が設定されているテーブルである。大当り判定テーブルには、通常状態(確変状態でない遊技状態、すなわち非確変状態)において用いられる通常時(非確変時)大当り判定テーブルと、確変状態において用いられる確変時大当り判定テーブルとがある。
通常時大当り判定テーブルには、図5(A)の左欄に記載されている各数値が大当り判定値として設定され、確変時大当り判定テーブルには、図5(A)の右欄に記載されている各数値が大当り判定値として設定されている。確変時大当り判定テーブルに設定された大当り判定値は、通常時大当り判定テーブルに設定された大当り判定値と共通の大当り判定値(通常時大当り判定値または第1大当り判定値という)に、確変時固有の大当り判定値が加えられたことにより、確変時大当り判定テーブルよりも多い個数(10倍の個数)の大当り判定値(確変時大当り判定値または第2大当り判定値という)が設定されている。これにより、確変状態には、通常状態よりも高い確率で大当りとする判定がなされる。
CPU56は、所定の時期に、乱数回路503のカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数(ランダムR)の値と比較するのであるが、大当り判定用乱数値が図5(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当り(通常大当り、または、確変大当り)にすることに決定する。なお、図5(A)に示す「確率」は、大当りになる確率(割合)を示す。
図5(B),(C)は、ROM54に記憶されている大当り種別判定テーブルを示す説明図である。図5(B)は、遊技球が第1始動入賞口13に入賞したことに基づく保留記憶(第1保留記憶ともいう)を用いて大当り種別を決定する場合(第1特別図柄の変動表示が行なわれるとき)に用いる第1特別図柄大当り種別判定テーブル(第1特別図柄用)である。図5(C)は、遊技球が第2始動入賞口14に入賞したことに基づく保留記憶(第2保留記憶ともいう)を用いて大当り種別を決定する場合(第2特別図柄の変動表示が行なわれるとき)に用いる第2特別図柄大当り種別判定テーブルである。
図5(B)、および、図5(C)の第1,第2特別図柄大当り種別判定テーブルのそれぞれは、変動表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別判定用の乱数(ランダム1)に基づいて、大当りの種別を「通常大当り」と「確変大当り」とのうちのいずれかに決定するとともに、大当り図柄を決定するために参照される。
図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルには、ランダム1の値と比較される数値であって、「通常大当り」、「確変大当り」のそれぞれに対応した判定値(大当り種別判定値)が設定されている。
また、図5(B),(C)に示すように、大当り種別判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄を決定する判定値(大当り図柄判定値)としても用いられる。「通常大当り」に対応した判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の「3」に対応した判定値としても設定されている。「確変大当り」に対応した判定値は、第1特別図柄および第2特別図柄の大当り図柄の「7」に対応した判定値としても設定されている。
大当り種別判定テーブルを用いて、CPU56は、大当り種別として、ランダム1の値が一致した大当り種別判定値に対応する種別を決定するともに、大当り図柄として、ランダム1の値が一致した大当り図柄を決定する。これにより、大当り種別と、大当り種別に対応する大当り図柄とが同時に決定される。
図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルと図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルとは、確変大当りに決定される割合が同じである。このような場合には、第1特別図柄と第2特別図柄とで大当り種別判定テーブルを分けなくてもよい。また、大当り種別として、大当り遊技状態での最大ラウンド数が異なる複数種類の大当りのうちから大当り種別を選択するときには、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルの方が、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルよりも、ラウンド数が多い大当り種別が選択される割合が高くなるように設定してもよい。このようにすれば、高ベース状態において、大当りの種別選択が遊技者にとって有利となり、遊技の興趣を向上させることができる。また、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定テーブルの方が、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定テーブルよりも、確変大当りに決定される割合を高くしてもよい。そうすることにより、第2特別図柄の変動表示の方が、第1特別図柄の変動表示よりも、確変大当りとなる割合を高くすることができる。また、第1特別図柄大当り種別判定テーブルの方が、第2特別図柄大当り種別判定テーブルよりも、確変大当りに決定される割合が高くなるようにしてもよい。
次に、図6を用いて、遊技制御用マイクロコンピュータ560において、特別図柄および演出図柄の変動パターンを選択決定するために用いる変動パターンテーブルについて説明する。図6は、変動パターンを決定するために用いる変動パターンテーブルを表形式で示す図である。
図6には、(a)に通常状態はずれ時判定テーブル、(b)に時短状態はずれ時判定テーブルが示されている。また、(c)に通常大当り時判定テーブル、(d)に確変大当り時判定テーブルが示されている。図6(a)〜(d)の各判定テーブルは、ROM54に記憶されており、遊技状態に応じて選択され、変動パターン種別および変動パターンを判定(決定)するために用いられる。
図6に示す判定テーブルは、ランダム2と変動パターン種別との関係を示す変動パターン種別判定テーブルと、各変動パターン種別についてランダム3と各種別に属する変動パターンとの関係を示す変動パターン判定テーブルとを含む。
図6の各テーブルでの「変動パターン種別」または「変動パターン」の欄において、「通常」または「通常変動」は、リーチとならない通常変動パターンを示す。
また、図6の各テーブルでの「ノーマルリーチ」は、リーチ状態となったときに特に派手な演出を実行しないノーマルリーチの変動パターンを示している。「スーパーリーチ」は、リーチ状態となったときに特別な演出画像を表示するリーチ演出を行なう変動パターンを示している。
また、前述したように、「スーパーリーチ」は、「ノーマルリーチ」と比べて大当りとなるときに選択される割合が高く、大当りとなる信頼度が高い変動パターンである。さらに、「スーパーリーチ」は、「ノーマルリーチ」と比べて変動時間が長い(たとえば、ノーマルリーチ10秒、スーパーリーチ50秒〜80秒)変動パターンである。なお、スーパーリーチには、4種類の変動パターンが設定されており、第1スーパーリーチ<第2スーパーリーチ<第3スーパーリーチ<第4スーパーリーチとなるような関係で大当り期待度(大当りとなる可能性)が高いことを示す。
なお、“期待度”とは、大当りに対する期待度、確変に対する期待度等を含む概念である。具体的には、大当りに対する期待度(信頼度ともいう)とは、各リーチ変動パターンが選択された場合に大当りとなる期待度(大当りとなる割合)であり、たとえば、リーチ変動が100回行なわれた場合に60回大当りとなるのであれば、大当りに対する期待度が60%(大当りが出現する出現率(確率)が60%)となる。また、確変に対する期待度とは、確変状態に移行する期待度(確変となる割合)のことをいう。
パチンコ遊技機1では、識別情報としての演出図柄、および、第1,第2特別図柄のそれぞれの変動表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまで、演出表示装置9において、所定の演出態様としての擬似連と呼ばれる演出(以下、擬似連演出と称する)が実行される場合がある。擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものを、複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動を示す略語である。
また、擬似連とは、1の始動入賞に対して、あたかも複数回の図柄の変動表示(可変表示)が実行されたかのように見せるために、1の始動入賞に対して決定された変動時間内にて、全部の図柄列(左,中,右)について仮停止と、再変動とを所定回数実行する(繰り返す)特殊な変動パターン(変動表示パターンともいう)のことを指す。たとえば、再変動の繰返し実行回数(初回変動およびその後の再変動を含む合計の変動回数であり、擬似連変動回数ともいう)が多い程、大当りとなる信頼度(大当りとなるときとはずれとなるときとを含むすべての選択割合に対して大当りとなるときに選択される割合の度合い、大当りとなる割合の程度、すなわち、大当りとなる信頼性の度合い)が高くなる。より具体的には、大当りと決定されたときに選択される割合が高くなることで、大当り遊技状態となるか否かを擬似連演出により示唆する。擬似連の変動パターンでは、演出表示装置9において通常的に変動表示(基本的に変動表示)する演出図柄に含まれない擬似連図柄(たとえば、所定の文字またはキャラクタ等が付された図柄(数字が付されていない図柄、擬似連専用図柄とも称する))が仮停止する。なお、擬似連においては、通常的に変動表示(基本的に変動表示)する演出図柄(本実施形態では数字図柄)が仮停止してもよい。演出表示装置9において仮停止される図柄の組合せが、仮停止図柄の組合せと呼ばれる。仮停止図柄の組合せは、大当り図柄の組合せ以外の図柄の組合せよりなる複数種類のチャンス目(以下、擬似連出目(擬似連チャンス目)という)のうちからいずれかの擬似連チャンス目に決定されるようにすればよい。
また、パチンコ遊技機1では、演出図柄が滑る演出が行なわれる場合がある。ここで、滑りとは、変動表示において図柄の停止直前に図柄を停止予測位置から滑らせる演出表示をいう。第2スーパーリーチにおいては、その後、左右の図柄表示エリアにおいてはずれ出目(はずれ図柄の組合せ)で仮停止していた2つの演出図柄のうち一方が滑った後停止することによりリーチ出目(リーチ図柄の組合せ)を形成し、リーチ演出が実行されるような演出である。
なお、はずれ時判定テーブルに示される変動パターンは、変動表示の最終的な表示結果が「はずれ」の表示結果となる変動パターンである。通常大当り時判定テーブルに示される変動パターンは、変動表示の最終的な表示結果が「通常大当り」の表示結果となる変動パターンである。確変大当り時判定テーブルに示される変動パターンは、変動表示の最終的な表示結果が「確変大当り」の表示結果となる変動パターンである。
これらの情報に基づいて、たとえば、図6(a)の「変動パターン」の欄に示された「第4スーパーリーチ (80秒)」という変動パターンは、「はずれ表示結果となる変動時間が60秒で実行される第4スーパーリーチの変動パターン」であることが示される。
図6のテーブルで「ランダム2範囲」および「変動パターン種別」という記載がされた欄は、「ランダム2範囲」と「変動パターン種別」との関係を示す変動パターン種別判定テーブル部としての機能を示す欄である。たとえば、図6(a)を例にとれば、「通常」、「ノーマルリーチ」、「スーパーリーチ」というような複数の変動パターン種別のそれぞれに、ランダム2(1〜251)のすべての値が複数の数値範囲に分けて割振られている。たとえば、図6(a)を例にとれば、所定のタイミングで抽出したランダム2の値が1〜251の乱数値のうち、140〜229に割振られた判定値のいずれかの数値と合致すると、変動パターン種別として「ノーマルリーチ」とすることが決定される。
また、図6のテーブルで「ランダム3範囲」および「変動パターン」という記載がされた欄は、「ランダム3範囲」と「変動パターン」との関係を示す変動パターン判定テーブル部としての機能を示す欄である。変動パターン種別判定テーブルの各種別に対応して示されている変動パターンが、各種別に属する変動パターンである。たとえば、図6(a)を例にとれば、「スーパーリーチ」の種別に属する変動パターンは、「第1スーパーリーチ」、「第2スーパーリーチ」、「第3スーパーリーチ」、および、「第4スーパーリーチ」である。
各変動パターン種別に対応する複数の変動パターンのそれぞれに、ランダム3(1〜220)のすべての値が、複数の数値範囲に分けて割振られている。たとえば、図6(a)を例にとれば、「スーパーリーチ」の変動パターン種別とすることが決定されたときに、所定のタイミングで抽出したランダム3が1〜220の乱数値のうち、1〜70に割振られた判定値のいずれかの数値と合致すると、「第1スーパーリーチ(50秒)」の変動パターンとすることが決定される。
第1特別図柄または第2特別図柄について変動表示結果がはずれとなるときには、変動パターンを決定するために、次のように判定テーブルを選択する。非時短状態において、変動表示結果がはずれとなるときには、図6(a)の通常状態はずれ時判定テーブルを選択する。一方、時短状態において、変動表示結果がはずれとなるときには、図6(b)の時短状態はずれ時判定テーブルを選択する。なお、図6(a),図6(b)の判定テーブルを用いることで、保留数に関わらず、通常状態はずれ時、時短状態はずれ時でのリーチ割合を一定にしている。
時短状態か否かにかかわらず第1特別図柄または第2特別図柄について変動表示結果が大当りとなるときには、変動パターンを決定するために、次のように判定テーブルを選択する。変動表示結果が通常大当りとなるときには、図6(c)の通常大当り時判定テーブルを選択する。時短状態か否かにかかわらず変動表示結果が確変大当りとなるときには、図6(d)の確変大当り時判定テーブルを選択する。
図6(b)の時短状態はずれ時判定テーブルでは、図6(a)の通常状態はずれ時判定テーブルと比べて、通常変動の変動時間が短く設定されている。そして、図6(b)の時短状態はずれ時判定テーブルでは、図6(a)の通常状態はずれ時判定テーブルと比べて、リーチ変動(ノーマルリーチ変動およびスーパーリーチ変動を含む)よりも変動時間が短い通常変動(非リーチはずれ変動(リーチとならずにはずれ表示結果となる変動))に決定される割合が高く、通常変動よりも変動時間が長いリーチ変動に決定される割合が低くなるように、データが設定されている。
これにより、非時短状態(通常状態)のときと比べて、時短状態のときの方が、変動時間が短い変動パターンが選択される割合が高いので、時短状態のときの方が、非時短状態のときよりも平均的に短い変動時間で変動表示が行なわれることとなる。このように判定テーブルを選択することにより時短状態を実現することができる。また、通常変動を非時短状態よりも時短状態ときの方が変動時間が短くなるように設定することで、時短状態中の保留消化を短縮することができる。
はずれとなるときに選択される図6(a)および図6(b)の判定テーブルでは、リーチの種別の選択割合がノーマルリーチ>スーパーリーチとなるような高低関係で選択されるようにデータが設定されている。一方、大当りとなるときに選択される図6(c)および図6(d)の判定テーブルでは、リーチの種別の選択割合がノーマルリーチ<スーパーリーチというような割合の高低関係で選択されるようにデータが設定されている。これにより、大当りとなるときには、はずれとなるときと比べ、スーパーリーチのリーチ演出が行なわれる割合(リーチが選択されるときにおけるスーパーリーチのリーチ演出が占める割合)が高くなるので、スーパーリーチのリーチ演出がされることにより、遊技者の期待感を高めることができる。
また、大当りのうち確変大当りとなるときに選択される図6(d)の判定テーブルでは、大当りのうち通常大当りとなるときに選択される図6(c)の判定テーブルと比べて、ノーマルリーチに対してスーパーリーチ演出の種別が選択される割合が高くなるようにデータが設定されている。これにより、確変大当りとなるときには、通常大当りとなるときと比べて、スーパーリーチのリーチ演出が行なわれる割合(リーチが選択されるときにおけるスーパーリーチのリーチ演出が占める割合)が高くなるので、スーパーリーチのリーチ演出が行なわれることにより、遊技者の確変大当りへの期待感を高めることができる。
なお、このような変動パターンは、変動表示をする第1特別図柄および第2特別図柄の合算保留記憶数(合計値)が所定数以上であるとき(たとえば、合算保留記憶数が3以上)と、所定数未満であるときとで選択割合が異なるように設定されることにより、合算保留記憶数が所定数以上であるときには、合算保留記憶数が所定数未満であるときと比べて、変動時間が短縮される保留数短縮制御を実行するようにしてもよい。ただし、保留数短縮制御が実行される条件下でも(たとえば、合算保留記憶数が3以上)リーチ(ノーマルリーチ、スーパーリーチ含む)の割合を一定にすることで、リーチに対する期待感が保たれる。また、リーチの中でもスーパーリーチのみ変動時間が短縮されないようにして、保留数時短制御を実行するようにしてもよい。さらに、保留数時短制御は変動時間が短い通常変動が高い割合で選択されるようにすることで実行可能としてもよく、各変動パターン自体の変動時間を短くすることで実行可能としてもよいし、その組合せでもよい。
図7は、遊技制御用マイクロコンピュータ560が送信する演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。遊技制御用マイクロコンピュータ560においては、図7に示すように、遊技制御状態に応じて、各種の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100へ送信する。
図7のうち、主なコマンドを説明する。コマンド80XX(H)は、特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9において変動表示される演出図柄の変動パターンを指定する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)である(それぞれ変動パターンXXに対応)。つまり、図6に示すような使用され得る変動パターンのそれぞれに対して一意な番号を付した場合に、その番号で特定される変動パターンのそれぞれに対応する変動パターンコマンドがある。「(H)」は16進数であることを示す。また、変動パターンを指定する演出制御コマンドは、変動開始を指定するためのコマンドでもある。したがって、演出制御用CPU101は、コマンド80XX(H)を受信すると、演出表示装置9において演出図柄の変動表示を開始するように制御する。
コマンド8C01(H)〜8C03(H)は、大当りとするか否か、および大当り種別を示す表示結果指定コマンドである。
コマンド8D01(H)は、第1特別図柄の変動表示を開始することを示す第1図柄変動指定コマンドである。コマンド8D02(H)は、第2特別図柄の変動表示を開始することを示す第2図柄変動指定コマンドである。コマンド8F00(H)は、第1,第2特別図柄の変動を終了することを指定するコマンド(図柄確定指定コマンド)である。
コマンドA001〜A002(H)は、大当りの種別(通常大当り、または、確変大当り)ごとに大当り遊技状態開始を指定する大当り開始指定コマンドである。
コマンドA1XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放中の表示を示す大入賞口開放中指定コマンドである。A2XX(H)は、XXで示す回数目(ラウンド)の大入賞口開放後(閉鎖)を示す大入賞口開放後指定コマンドである。
コマンドA301〜A302(H)は、大当りの種別(通常大当り、または、確変大当り)ごとに大当り遊技状態終了を指定する大当り終了指定コマンドである。
コマンドA401(H)は、第1始動入賞があったことを指定する第1始動入賞指定コマンドである。コマンドA402(H)は、第2始動入賞があったことを指定する第2始動入賞指定コマンドである。
コマンドB000(H)は、遊技状態が通常状態(低確率状態)であることを指定する通常状態指定コマンドである。コマンドB001(H)は、遊技状態が時短状態(高ベース状態)であることを指定する時短状態指定コマンドである。コマンドB002(H)は、遊技状態が確変状態(高確率状態)であることを指定する確変状態指定コマンドである。
コマンドC0XX(H)は、第1保留記憶数を指定する第1保留記憶数指定コマンドである。コマンドC0XX(H)における「XX」が第1保留記憶数を示す。コマンドC1XX(H)は、第2保留記憶数を指定する第2保留記憶数指定コマンドである。コマンドC0XX(H)における「XX」が第2保留記憶数を示す。
なお、第1保留記憶数を示すための第1保留記憶数指定コマンドと、第2保留記憶数を示すための第2保留記憶数指定コマンドとを送信することにより、演出制御用マイクロコンピュータ100において保留記憶数を特定可能とするが、これに限らず、変動表示が実行されるごとに、第1保留記憶数または第2保留記憶数を減算するための保留記憶数減算指定コマンドを送信することにより、演出制御用マイクロコンピュータ100において、保留記憶数が特定可能となるようにしてもよい。
コマンドC2XX(H)およびコマンドC3XX(H)は、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞時における大当り判定、大当り種別判定、変動パターン種別判定等の入賞時判定結果の内容を示す演出制御コマンドである。このうち、コマンドC2XX(H)は、入賞時判定結果のうち、大当りとなるか否か、および、大当りの種別の判定結果を示す図柄指定コマンドである。また、コマンドC3XX(H)は、入賞時判定結果のうち、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲となるかの判定結果(変動パターン種別の判定結果)を示す変動種別コマンドである。
この実施の形態では、入賞時演出処理(図11のS1217,S1228参照)において、遊技制御用マイクロコンピュータ560が、始動入賞時に、大当りとなるか否か、大当りの種別、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲となるかを判定する。そして、図柄指定コマンドのEXTデータに、大当りとなることを指定する値、および、大当りの種別を指定する値を設定し、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう。変動種別コマンドのEXTデータに変動パターン種別の判定結果としての判定値の範囲を指定する値を設定し、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう。この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ100が、図柄指定コマンドに設定されている値に基づき、始動入賞時に、表示結果が大当りとなるか否か、および、大当りの種別を認識できるとともに、変動種別コマンドに基づき、変動パターン種別を認識できる。
図8は、遊技制御用マイクロコンピュータ560における保留記憶バッファの構成例を示す説明図である。
図8(A)は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)の構成例を示す説明図である。保留特定領域は、RAM55に形成(RAM55内の領域である)され、図8(A)に示すように、合算保留記憶数を計数する合計保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されている。図8(A)には、合計保留記憶数カウンタの値が5である場合の例が示されている。
図8(A)に示すように、保留特定領域には、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づいて入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。したがって、保留特定領域には、第1始動入賞口13および第2始動入賞口14への入賞順を特定可能なデータが記憶される。なお、保留特定領域は、RAM55に形成されている。
図8(B)は、保留記憶に対応する乱数等を保存する保存領域(保留記憶バッファ)の構成例を示す説明図である。図8(B)に示すように、第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファは、RAM55に形成されている。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファには、ハードウェア乱数である大当り判定用乱数(ランダムR)、および、ソフトウェア乱数である大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が記憶される。
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への入賞に基づいて、CPU56は、乱数回路503およびソフトウェア乱数を生成するためのランダムカウンタからこのような乱数値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。具体的に、第1始動入賞口13への入賞に基づいて、これら乱数値が抽出されて第1保留記憶バッファに保存される。また、第2始動入賞口14への入賞に基づいて、これら乱数値が抽出されて第2保留記憶バッファに保存される。
このように第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに前述のような始動入賞に関する情報が記憶されることを「保留記憶される」と示す場合がある。なお、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)は、始動入賞時において抽出して保存領域に予め格納しておくのではなく、後述する変動パターン設定処理(特別図柄の変動開始時)に抽出するようにしてもよい。
このように保留特定領域および保存領域に記憶されたデータは、変動表示開始時に読出されて変動表示のために用いられる。なお、保留特定領域および保存領域に記憶されたデータを始動入賞時に読出して、可変表示結果が「大当り」となる可能性などが予告される対象となる可変表示を開始するより前に、特別図柄の変動表示の保留情報などに基づいて実行可能となる先読み予告演出に用いてもよい。
第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞があったときには、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、合算保留記憶数指定コマンド等のコマンドが主基板31から演出制御基板80へと送信される。演出制御用マイクロコンピュータ100のRAM103に設けられた始動入賞時受信コマンドバッファには、受信した図柄指定コマンド、変動種別コマンド、合算保留記憶数指定コマンド等の各種コマンドを対応付けて格納できるように、受信したコマンドを特定可能なデータを記憶する記憶領域が確保されている。
この実施の形態において、第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示に対応して行なわれる演出図柄の演出制御パターンは、複数種類の変動パターンに対応して、演出図柄の変動表示動作、リーチ演出等における演出表示動作、あるいは、演出図柄の変動表示を伴わない各種の演出動作というような、様々な演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。また、予告演出制御パターンは、予め複数パターンが用意された予告パターンに対応して実行される予告演出となる演出動作の制御内容を示すデータ等から構成されている。各種演出制御パターンは、パチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて実行される各種の演出動作に対応して、その制御内容を示すデータ等から構成されている。
次に、パチンコ遊技機1の動作について説明する。パチンコ遊技機1においては、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ560が予め定められたメイン処理を実行すると、所定時間(たとえば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかりタイマ割込処理が実行されることにより、各種の遊技制御が実行可能となる。
メイン処理においては、たとえば、必要な初期設定処理、通常時の初期化処理、通常時以外の遊技状態復旧処理、乱数回路設定処理(乱数回路503を初期設定)、表示用乱数更新処理(変動パターンの種別決定、変動パターン決定等の各種乱数の更新処理)、および、初期値用乱数更新処理(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタのカウント値の初期値の更新処理)等が実行される。
図9は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込が発生すると、CPU56は、図9に示すステップS(以下、単に「S」と示す)20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(S20)。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号を入力し、それらの状態判定を行なう(スイッチ処理:S21)。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行なう表示制御処理を実行する(S22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、S32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数および大当り種別判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行なう(判定用乱数更新処理:S23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行なう(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:S24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行なう(S26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行なう(S27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグにしたがって該当する処理を実行し、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ100に演出制御コマンドを送出する処理を行なう(演出制御コマンド制御処理:S28)。さらに、CPU56は、たとえばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報等のデータを出力する情報出力処理を行なう(S29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ13a、第2始動口スイッチ14aおよびカウントスイッチ23の検出信号に基づく賞球個数の設定等を行なう賞球処理を実行する(S30)。
この実施の形態では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(S31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行なうための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行なう(S32)。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行なうための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行なう(S33)。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、S22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(S34)、処理を終了する。以上の制御によって、この実施の形態では、遊技制御処理は所定時間毎に起動されることになる。
図10は、特別図柄プロセス処理(S26)を示すフローチャートである。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理においては、始動口スイッチ通過処理を実行する(S312)。そして、内部状態に応じて、S300〜S307のうちのいずれかの処理を行なう。
遊技制御用マイクロコンピュータ560において、RAM55には、前述したように、第1始動入賞口13への始動入賞に基づいて得られる大当り判定用乱数等の保留記憶データ(第1保留記憶データ)が記憶される第1保留記憶バッファと、第2始動入賞口14への始動入賞に基づいて得られる大当り判定用乱数等の保留記憶データ(第2保留記憶データ)が記憶される第2保留記憶バッファとが設けられている。これら各保留記憶バッファには、各保留記憶の記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。
始動口スイッチ通過処理では、第1始動口スイッチ13aがオンしていれば、第1保留記憶数が上限値(たとえば、4)に達していないことを条件として、第1保留記憶データの記憶数を計数する第1保留記憶数カウンタの値を1増やし、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから数値データ(たとえば、大当り判定用乱数、変動パターン種別判定用乱数、および、変動パターン判定用乱数)を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。一方、第2始動口スイッチ14aがオンしていれば、第2保留記憶数が上限値(たとえば、4)に達していないことを条件として、第2保留記憶データの記憶数を計数する第2保留記憶数カウンタの値を1増やし、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから数値データ(たとえば、大当り判定用乱数、変動パターン種別判定用乱数、および、変動パターン判定用乱数)を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファにおける保存領域に保存(格納)する処理を実行する。
以下の保留記憶に関する説明に関しては、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに前述のような始動入賞に関する情報が記憶されることを「保留記憶される」と示す場合がある。また、第1保留記憶バッファに記憶される数値データを第1保留記憶情報と呼び、第2保留記憶バッファに記憶される数値データを第2保留記憶情報と呼ぶ場合がある。
S300〜S307の処理は、以下のような処理である。特別図柄通常処理(S300)は、変動表示の表示結果を大当りとするか否かの決定、および、大当りとする場合の大当り種別の決定等を行なう処理である。変動パターン設定処理(S301)は、変動パターンの決定(変動パターン種別判定用乱数および変動パターン判定用乱数を用いた変動パターンの決定)、および、決定された変動パターンに応じて変動時間を計時するための変動時間タイマの計時開始等の制御を行なう処理である。
表示結果指定コマンド送信処理(S302)は、演出制御用マイクロコンピュータ100に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行なう処理である。特別図柄変動中処理(S303)は、変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過すると特別図柄停止処理にプロセスを進める処理である。特別図柄停止処理(S304)は、決定された変動パターンに対応する変動時間の経過が変動時間タイマにより計時されたときに第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける変動表示を停止して停止図柄を導出表示させる処理である。
大入賞口開放前処理(S305)は、大当りの種別に応じて、特別可変入賞球装置20において大入賞口を開放する制御等を行なう処理である。大入賞口開放中処理(S306)は、大当り遊技状態中のラウンド表示演出用の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御、および、大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行なう処理である。大入賞口の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、大入賞口開放前処理(S305)に移行する。また、全てのラウンドを終えた場合には、大当り終了処理(S307)に移行する。大当り終了処理(S307)は、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ100に行なわせるための制御等を行なう処理である。
図11は、S312の始動口スイッチ通過処理を示すフローチャートである。始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、まず、第1始動口スイッチ13aがオン状態であるか否かを確認する(S1211)。第1始動口スイッチ13aがオン状態でなければ、S1222に移行する。第1始動口スイッチ13aがオン状態であれば、CPU56は、第1保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(S1212)。第1保留記憶数が上限値に達していれば、S1222に移行する。
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1213)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1214)。また、CPU56は、図8で説明した第1始動入賞口13、または、第2始動入賞口14への入賞順を記憶するための保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第1」を示すデータをセットする(S1215)。
この実施の形態では、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合(すなわち、第1始動入賞口13に遊技球が始動入賞した場合)には「第1」を示すデータをセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合(すなわち、第2始動入賞口14に遊技球が始動入賞した場合)には「第2」を示すデータをセットする。たとえば、CPU56は、図8に示す保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、第1始動口スイッチ13aがオン状態となった場合には「第1」を示すデータとして01(H)をセットし、第2始動口スイッチ14aがオン状態となった場合には「第2」を示すデータとして02(H)をセットする。なお、この場合、対応する保留記憶がない場合には、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、00(H)がセットされている。
図8(A)に示すように、保留特定領域には、合算保留記憶数カウンタの値の最大値(この例では8)に対応した領域が確保されており、第1始動入賞口13、または、第2始動入賞口14への入賞に基づき入賞順に「第1」または「第2」であることを示すデータがセットされる。したがって、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)には、第1始動入賞口13、または、第2始動入賞口14への入賞順番が記憶される。
次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図8(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(S1216)。S1216の処理では、大当り判定用乱数(ランダムR)、大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
次いで、CPU56は、検出した始動入賞に基づく変動がその後実行されたときの変動表示結果や変動パターン種別を始動入賞時に予め判定する入賞時演出処理を実行する(S1217)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果に基づいて、図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1218)とともに、変動種別コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1219)。また、CPU56は、第1始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1220)とともに、合算保留記憶数カウンタの値をEXTデータに設定して合算保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1221)。
S1218,S1219の処理を実行することによって、この実施の形態では、遊技状態(高確率状態、低確率状態、高ベース状態、低ベース状態、大当り遊技状態等の遊技状態)にかかわらず、第1始動入賞口13に始動入賞するごとに、必ず図柄指定コマンドおよび変動種別コマンドの両方が、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信される。
また、この実施の形態では、S1218〜S1221の処理が実行されることによって、第1始動入賞口13への始動入賞が発生したときに、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、第1始動入賞指定コマンドおよび合算保留記憶数指定コマンドの4つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
次いで、CPU56は、第2始動口スイッチ14aがオン状態であるか否かを確認する(S1222)。第2始動口スイッチ14aがオン状態でなければ、そのまま処理を終了する。第2始動口スイッチ14aがオン状態であれば、CPU56は、第2保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が4でるか否か)を確認する(S1223)。第2保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
第2保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1224)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(S1225)。また、CPU56は、保留記憶特定情報記憶領域(保留特定領域)において、合算保留記憶数カウンタの値に対応した領域に、「第2」を示すデータをセットする(S1226)。
次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ(図8(B)参照)における保存領域に格納する処理を実行する(S1227)。なお、S1227の処理では、大当り判定用乱数(ランダムR)、大当り種別決定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)、および、変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
次いで、CPU56は、入賞時演出処理を実行する(S1228)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果に基づいて図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1229)とともに、変動種別コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1230)。また、CPU56は、第2始動入賞指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1231)とともに、合算保留記憶数カウンタの値をEXTデータに設定して合算保留記憶数指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行なう(S1232)。
S1229,S1230の処理を実行することによって、この実施の形態では、遊技状態(高確率状態、低確率状態、高ベース状態、低ベース状態、大当り遊技状態等の遊技状態)にかかわらず、第2始動入賞口14に始動入賞するごとに、必ず図柄指定コマンドおよび変動種別コマンドの両方を演出制御用マイクロコンピュータ100に対して送信する。
また、この実施の形態では、S1229〜S1232の処理が実行されることによって、第2始動入賞口14への始動入賞が発生したときに、図柄指定コマンド、変動種別コマンド、第2始動入賞指定コマンドおよび合算保留記憶数指定コマンドの4つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
図12は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(S300)を示すフローチャートである。特別図柄通常処理において、CPU56は、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに保留記憶データがあるかどうかを確認する(S51)。第1保留記憶バッファおよび第2保留記憶バッファのどちらにも保留記憶データがない場合には、まだ客待ち状態指定コマンドを送信していなければ、客待ち状態モードを指定する客待ち状態指定コマンドを送信するための処理をし(S77)、特別図柄通常処理を終了する。ここで、客待ち状態指定コマンドを送信すると、客待ち状態指定コマンドを送信したことを示す客待ち状態指定コマンド送信済フラグをセットする。そして、客待ち状態指定コマンドを送信した後に次回のタイマ割込以降の特別図柄通常処理を実行する場合には、客待ち状態指定コマンド送信済フラグがセットされていることに基づいて、重ねて客待ち状態指定コマンドを送信しないように制御される。このような客待ち状態指定コマンド送信済フラグは、次回の特別図柄の変動表示が開始されるときにリセットされる。
第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファに保留記憶データがあるときには、CPU56は、保留特定領域(図8(A)参照)に設定されているデータのうち1番目のデータが「第1」を示すデータであるか否か確認する(S52)。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータでない(すなわち、「第2」を示すデータである)場合(S52のN)、CPU56は、特別図柄ポインタ(第1特別図柄について特別図柄プロセス処理を行なっているのか第2特別図柄について特別図柄プロセス処理を行なっているのかを示すフラグ)に「第2」を示すデータを設定する(S53)。保留特定領域に設定されている1番目のデータが「第1」を示すデータである場合(S52のY)、CPU103は、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータを設定する(S54)。
この実施の形態では、以下、特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されたか「第2」を示すデータが設定されたかに応じて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示とを、共通の処理ルーチンを用いて実行する。特別図柄ポインタに「第1」を示すデータが設定されたときには、第1保留記憶バッファに記憶された保留記憶データに基づいて、第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示が行なわれる。一方、特別図柄ポインタに「第2」を示すデータが設定されたときには、第2保留記憶バッファに記憶された保留記憶データに基づいて、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示が行なわれる。
S52〜S54の処理が実行されることによって、この実施の形態では、第1始動入賞口13と第2始動入賞口14とに遊技球が入賞した始動入賞順にしたがって、第1特別図柄の変動表示または第2特別図柄の変動表示が実行される。
次に、CPU56は、RAM55において、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する(S55)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶バッファにおける第1保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2保留記憶バッファにおける第2保留記憶数=1に対応する保存領域に格納されている各乱数値を読出してRAM55の保留記憶バッファに格納する。
そして、CPU56は、特別図柄ポインタが示す方の保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、各保存領域の内容をシフトする(S56)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、第1保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。また、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合に、第2保留記憶数カウンタのカウント値を1減算し、かつ、第2保留記憶バッファにおける各保存領域の内容をシフトする。
すなわち、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合に、RAM55の第1保留記憶バッファにおいて第1保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第1保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、特別図柄ポインタが「第2」を示す場合に、RAM55の第2保留記憶バッファにおいて第2保留記憶数=n(n=2,3,4)に対応する保存領域に格納されている各乱数値を、第2保留記憶数=n−1に対応する保存領域に格納する。また、CPU56は、保留特定領域において合算保留記憶数=m(m=2〜8)に対応する保存領域に格納されている値(「第1」または「第2」を示す値)を、合算保留記憶数=m−1に対応する保存領域に格納する。よって、各第1保留記憶数(または、各第2保留記憶数)に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各乱数値が抽出された順番は、常に、第1保留記憶数(または、第2保留記憶数)=1,2,3,4の順番と一致するようになっている。また、各合算保留記憶数に対応するそれぞれの保存領域に格納されている各値が抽出された順番は、常に、合算保留記憶数=1〜8の順番と一致するようになっている。
RAM55に形成され合算保留記憶数を計数する合計保留記憶数カウンタのカウント値を1減算する(S57)。なお、CPU56は、カウント値が1減算される前の合算保留記憶数カウンタの値をRAM55の所定の領域に保存する。
特別図柄通常処理では、最初に、第1始動入賞口13を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータすなわち第1特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第1」を示すデータ、または第2始動入賞口14を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータすなわち第2特別図柄を対象として処理を実行することを示す「第2」を示すデータが、特別図柄ポインタに設定される。そして、特別図柄プロセス処理における以降の処理では、特別図柄ポインタに設定されているデータに応じた処理が実行される。よって、S300〜S307の処理を、第1特別図柄を対象とする場合と第2特別図柄を対象とする場合とで共通化することができる。
次に、CPU56は、保留記憶バッファからランダムR(大当り判定用乱数)を読出し、大当り判定モジュールを実行する(S61)。なお、この場合、CPU56は、始動口スイッチ通過処理のS1216や始動口スイッチ通過処理のS1227で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに予め格納した大当り判定用乱数を読出し、大当り判定を行なう。大当り判定モジュールは、予め決められている大当り判定値(図5参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定の処理を実行するプログラムである。
大当り判定の処理では、遊技状態が確変状態(高確率状態)の場合は、遊技状態が非確変状態(通常遊技状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている。具体的には、予め大当り判定値の数が多く設定されている確変時大当り判定テーブル(ROM54における図5(A)の右側の数値が設定されているテーブル)と、大当り判定値の数が確変時大当り判定テーブルよりも少なく設定されている通常時大当り判定テーブル(ROM54における図5(A)の左側の数値が設定されているテーブル)とが設けられている。そして、CPU56は、遊技状態が確変状態であるか否かを確認し、遊技状態が確変状態であるときは、確変時大当り判定テーブルを使用して大当り判定の処理を行ない、遊技状態が通常遊態や時短状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当り判定の処理を行なう。すなわち、CPU56は、大当り判定用乱数(ランダムR)の値が図5(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当りとすることに決定する。大当りとすることに決定した場合には(S61のY)、S71に移行する。なお、大当りとするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、特別図柄表示器における停止図柄を大当り図柄とするか否か決定するということでもある。
なお、現在の遊技状態が確変状態であるか否かの確認は、確変フラグがセットされているか否かにより行なわれる。確変フラグは、遊技状態を確変状態に移行するときにセットされ、確変状態を終了するときにリセットされる。具体的に、確変フラグは、確変大当りとなったときに、大当り終了処理(図10のS307)においてセットされ、その後、次回の大当りが決定されたという条件、または、はずれ表示結果となる変動表示が所定回数(たとえば100回)が実行されたという条件が成立したときに、特別図柄の変動表示を終了して停止図柄を停止表示するタイミングでリセットされる。
大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれの大当り判定値にも一致しなければ(S61のN)、後述するS75に進む。
S61において大当り判定用乱数(ランダムR)の値がいずれかの大当り判定値に一致すればCPU56は、大当りであることを示す大当りフラグをセットする(S71)。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。そして、大当り種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、図5(B)の第1特別図柄大当り種別判定用テーブルおよび図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定用テーブルのうち、いずれかのテーブルを選択する(S72)。具体的に、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、図5(B)に示す第1特別図柄大当り種別判定用テーブルを選択する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合において、図5(C)の第2特別図柄大当り種別判定用テーブルを選択する。
次に、CPU56は、始動口スイッチ通過処理で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファに予め格納した大当り種別判定用乱数を読出し、S72で選択した大当り種別判定テーブルを用いて、保留記憶バッファに格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した大当り種別および大当り図柄を決定する(S73)。
図5(B),(C)に示すように、第1特別図柄および第2特別図柄については、大当り種別ごとに大当り図柄が異なるように大当り種別と大当り図柄との関係が設定されており、大当り種別と大当り図柄とが同時に決定されるので、大当り図柄と、大当り種別に応じた遊技制御との対応関係が単純化するため、遊技制御の複雑化を防ぐことができる。
また、CPU56は、決定した大当りの種別を示す大当り種別データをRAM55における大当り種別バッファに設定する(S74)。たとえば、大当り種別が「通常大当り」の場合には、大当り種別データとして「01」が設定される。大当り種別が「確変大当り」の場合には、大当り種別データとして「02」が設定される。
次に、CPU56は、特別図柄の停止図柄を設定する(S75)。具体的には、大当りフラグがセットされていない場合には、はずれ図柄となる「−」を特別図柄の停止図柄として設定する。大当りフラグがセットされている場合には、大当り種別の決定結果に応じて、S73により決定された大当り図柄を特別図柄の停止図柄に設定する。すなわち、大当り種別が「確変大当り」に決定されたときには「7」を特別図柄の停止図柄に設定する。大当り種別が「通常大当り」に決定した場合には「3」を特別図柄の停止図柄に決定する。
そして、特別図柄プロセスフラグの値を変動パターン設定処理(S301)に対応した値に更新する(S76)。
前述した表示結果指定コマンド送信処理(S302)においては、CPU56が、決定されている大当りの種類、または、はずれに応じて、表示結果を指定する表示結果1指定〜表示結果3指定コマンドのいずれかの演出制御コマンド(図7参照)を送信する制御を行なう。
また、前述した特別図柄変動中処理(S303)においては、CPU56は、変動時間タイマを1減算し、変動時間タイマがタイムアウトしたら、特別図柄プロセスフラグの値を特別図柄停止処理(S304)に対応した値に更新し、特別図柄停止処理に進む。
変動表示の結果、大当りとなるときには、大入賞口開放前処理(S305)、大入賞口開放中処理(S306)、および、大当り終了処理(S307)が実行されることにより、大当り遊技状態に制御される。大当り終了処理(S307)において、確変大当りの終了時には、確変フラグおよび時短フラグがセットされ、通常大当りの終了時には、時短フラグがセットされる。これにより、確変大当りの終了後には、確変状態および時短状態に制御され、通常大当りの終了後には、時短状態に制御される。
確変大当りおよび通常大当り後の時短状態は、変動表示が100回実行されるまでと、次の大当りが発生するまでとのいずれかの条件が成立するまで継続させる必要がある。このような変動表示100回という継続期間は、大当り終了処理(S307)において、時短状態における特別図柄の変動可能回数を示す時短回数カウンタを100回にセットし、その後に変動表示が実行されるごとに特別図柄停止処理で減算更新することにより管理され、時短回数カウンタがカウントアップしたことに基づいて、時短フラグがリセットされることにより、時短状態を終了させる制御が行なわれる。
次に、演出制御用マイクロコンピュータ100の動作を説明する。図13は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行する演出制御メイン処理を示すフローチャートである。
演出制御用CPU101は、電源が投入されると、演出制御メイン処理の実行を開始する。演出制御メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(たとえば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行なうための初期化処理を行なう(S701)。その後、演出制御用CPU101は、タイマ割込フラグの監視(S702)を行なうループ処理に移行する。タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。演出制御メイン処理において、タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(S703)、以下の演出制御処理を実行する。
演出制御処理において、演出制御用CPU101は、まず、受信した演出制御コマンドを解析し、受信した演出制御コマンドがどのようなことを指示するコマンドであるかを特定可能なフラグ等のデータをセットする処理(たとえば、RAM103に設けられた各種コマンド格納領域に受信したコマンドを特定可能なデータを格納する処理等)等を行なう(コマンド解析処理:S704)。次いで、演出制御用CPU101は、演出制御プロセス処理を行なう(S705)。演出制御プロセス処理では、S704で解析した演出制御コマンドの内容にしたがって演出表示装置9での演出図柄の変動表示等の各種演出を行なうために、制御状態に応じた各プロセスのうち、現在の制御状態(演出制御プロセスフラグ)に対応した処理を選択して演出制御を実行する。
次いで、演出制御用マイクロコンピュータ100が用いる乱数(演出図柄の左停止図柄決定用のSR1−1、演出図柄の中停止図柄決定用のSR1−2、演出図柄の右停止図柄決定用のSR1−3を含む各種乱数)を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(S706)。このような乱数のそれぞれは、ソフトウェアによりカウント値を更新するランダムカウンタのカウントにより生成されるものであり、それぞれについて予め定められた範囲内でそれぞれ巡回更新され、それぞれについて定められたタイミングで抽出されることにより乱数として用いられる。
次いで、保留表示エリアにおける保留表示の表示状態の制御(保留表示の移動、消去等)を行なう保留記憶表示制御処理を実行する(S707)。
このような演出制御メイン処理が実行されることにより、演出制御用マイクロコンピュータ100では、遊技制御用マイクロコンピュータ560から送信され、受信した演出制御コマンドに応じて、演出表示装置9、各種ランプ、および、スピーカ27L,27R等の演出装置を制御することにより、遊技状態に応じた各種の演出制御が行なわれる。
図14は、図13に示された演出制御メイン処理における演出制御プロセス処理(S705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU101は、先読み演出を実行するか否かの決定、および、先読み演出の種類の選択をする先読み演出処理(S500)を実行した後、演出制御プロセスフラグの値に応じてS800〜S807のうちのいずれかの処理を行なう。
演出制御プロセス処理では、以下のような処理が実行される。演出制御プロセス処理では、演出表示装置9の表示状態が制御され、演出図柄の変動表示が実現されるが、第1特別図柄の変動に同期した演出図柄の変動表示に関する制御も、第2特別図柄の変動に同期した演出図柄の変動表示に関する制御も、一つの演出制御プロセス処理において実行される。
先読み演出処理(S500)は、先読み演出を実行するか否か等の先読み判定、および、先読み演出を実行するときの演出態様の決定等を行なう処理である。先読み演出とは、ある保留情報(保留記憶情報)に基づいた特別図柄の変動表示(図柄変動)の順番が到来する前に、その保留情報を先読みしてその保留情報に基づいた特別図柄の変動表示の内容を判定して、将来の特別図柄の変動表示がどのようになるかを、それよりも前の段階で予告をする等の演出技術である。たとえば、保留情報が大当りであるときに、当該保留情報による変動表示が実行される前に、当該保留情報に対応する保留表示の表示態様に基づいて、後に大当りが発生する可能性のあることを予告するといった類の演出が先読み演出として行なわれる。以下では、先読み演出の対象とした保留情報に基づいた変動表示を「ターゲットの変動表示」と称する。
変動パターンコマンド受信待ち処理(S800)は、遊技制御用マイクロコンピュータ560から変動パターンコマンドを受信しているか否か確認する処理等を行なう処理である。変動パターンコマンドを受信していれば、演出図柄変動開始処理に移行する。
演出図柄変動開始処理(S801)は、演出図柄(飾り図柄)の変動表示が開始されるように制御するための処理である。演出図柄変動中処理(S802)は、変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替えタイミングを制御する処理等を行なう処理である。演出図柄変動停止処理(S803)は、演出図柄(飾り図柄)の変動表示を停止し、変動表示の表示結果(最終停止図柄)を導出表示する制御を行なう処理である。
大当り表示処理(S804)は、変動時間の終了後、演出表示装置9に大当りの発生を報知するためのファンファーレ演出を表示する制御等の表示制御を行なう処理である。ラウンド中処理(S805)は、ラウンド中の表示制御を行なう処理である。ラウンド終了条件が成立したときに、最終ラウンドが終了していなければ、ラウンド後処理に移行し、最終ラウンドが終了していれば、大当り終了処理に移行する。ラウンド後処理(S806)は、ラウンド間の表示制御を行なう処理である。ラウンド開始条件が成立したら、ラウンド中処理に移行する。大当り終了演出処理(S807)は、演出表示装置9において、大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行なう処理である。
演出制御用CPU101は、変動表示の開始時から変動表示の停止時まで、および、大当り遊技状態開始時から大当り遊技状態終了時までの予め定められた演出制御期間中に、ROM102に格納されたプロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置(演出用部品)の制御を行なう。
プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と、表示制御実行データ、ランプ制御実行データおよび音番号データの組合せが複数集まったデータとで構成されている。表示制御実行データには、演出図柄(飾り図柄)の変動表示の変動時間(変動表示時間)中の変動態様を構成する各変動の態様を示すデータ等が記載されている。具体的には、演出表示装置9の表示画面の変更に関わるデータが記載されている。また、プロセスタイマ設定値には、その変動の態様での変動時間が設定されている。演出制御用CPU101は、プロセステーブルを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ表示制御実行データに設定されている変動の態様で演出図柄を表示させる制御を行なう。このようなプロセステーブルは、各変動パターンに応じて用意されている。
[保留表示およびアクティブ表示の説明]
ここで、保留表示およびアクティブ表示について、簡単に説明する。既に説明したとおり、演出表示装置9の表示画面における下部の位置には、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計数(合算保留記憶数)を表示する保留記憶表示部(合算保留記憶表示部、保留表示エリア)が設けられる。演出図柄の変動表示が開始される際に、最も古くから表示されている保留表示(画面において最も左側に表示されている保留表示)が消去される。また、残りの保留表示は、左側に1つずつシフトされる。消去された(移動された、シフトされた)保留表示に対応する変動表示の実行中に当該変動表示に対応する変動対応表示を示すアクティブ画像(アクティブ表示)を表示するアクティブ表示エリアが画面の左下に表示される。アクティブ表示エリアにおいては、変動表示の開始に伴い消去された保留表示が、たとえば、アクティブ表示エリアに移動(シフト)される等、それまでに表示されていた保留表示に対応するものであることが特定可能な態様でアクティブ表示が表示される。なお、アクティブ表示エリアは、演出表示装置9における表示領域のうちの何れの位置に配置されてもよい。
[特定演出の説明]
本実施の形態で実行される特定演出を説明する。特定演出は、変動表示に対応する所定表示の表示態様を変化させる演出である。変動表示に対応する所定表示とは、たとえば、保留表示またはアクティブ表示のことである。したがって、特定演出は、たとえば、保留表示またはアクティブ表示の表示態様を変化させる演出である。保留表示またはアクティブ表示の表示態様を変化させることによって、その保留表示またはアクティブ表示が遊技者によって有利となることを示唆する。遊技者にとって有利とは、たとえば、その保留表示またはアクティブ表示に対応する変動表示の結果が大当りになることであり、その他、その保留表示またはアクティブ表示の変動表示が大当りの期待の高いリーチとなることである。
なお、特定演出が実行される変動表示では、特定演出が変動表示中に実行される各種の演出と被らないように、特定演出中は変動表示の表示領域を縮小するようにしてもよい。また、画面の表示領域を分割して、変動表示に関する演出が実行される領域と、特定演出が実行される領域との区別が付くようにしてもよい。また、別の画像表示装置を設け、その表示領域において特定演出が実行されるようにしてもよい。また、所定表示にボールや剣あるいは矢などが衝突あるいは刺さる如く、所定表示に作用表示が作用することによって、所定の操作手段の操作を促す操作促進表示を完成するものとしてもよい。
保留表示の表示態様を変化させる特定演出の具体例を図15に示す。また、アクティブ表示の表示態様を変化させる特定演出の具体例を図22、図29、および図30のそれぞれに示す。はじめに、保留表示の表示態様を変化させる特定演出の具体例を説明する。
[保留表示に関する特定演出(保留変化演出)]
図15は、保留変化演出を示す図である。保留変化演出は、保留表示に関する特定演出の一例である。また、保留変化演出は、ターゲットとなる保留表示の態様を変化させることによって、その保留表示に対応する変動表示に関する動作を予告する演出であるから、先読み演出のひとつとして位置付けられる。
ここで紹介する保留変化演出は、保留表示の1つに向けて投げ放たれたカラーボールが対象の保留表示にぶつかって割れることで、対象の保留表示の色が変化するか否かを見せる演出である。ここでの設定は、カラーボールは必ず対象の保留表示にぶつかることを前提とし、そのボールが割れるか否かの演出を遊技者に楽しませるというものである。もちろん、投げ放たれたボールが対象の保留表示にぶつからないような演出も発生し得るように設定してもよい。見事にボールが割れて保留表示の色が変われば演出結果は成功、ボールが割れずに保留表示の色が変わらなければ失敗である。成功したときには、失敗したときよりも、その保留表示が大当りである期待度が高い(図17参照)。保留表示の色が大当り等の期待度の高い色に変化することを“成り上がる”ともいう。
本実施の形態の保留変化演出は、保留表示の1つに向けて投げ放たれたカラーボールの速度が途中で減速する点に1つの特徴がある。特に減速する期間の長さは一様ではなく、少なくとも2種類の中から決定され、その減速期間が長い場合の方が短い場合よりも演出結果が成功となる可能性が高くなる(図18参照)。ただし、いずれの減速期間が選択された場合であっても、ボールが投げ放たれてから減速し始めるタイミングは共通である。
以下、図15に沿って、その演出を詳細に説明する。演出表示装置9の画面には、下向きの3本の矢印で示す演出図柄の変動表示中に、各種画像が表示される。下端部には、発生した保留記憶情報を表示する画像THまたはHが保留記憶情報の数に対応して表示される(以下、保留記憶画像または保留表示と呼ぶ)。これらの保留表示は、第1保留記憶数と、第2保留記憶数とを区別した形式で、保留記憶画像が表示されるようにしてもよい。画面の左下には、アクティブ表示エリアAHAが表示されている。アクティブ表示エリアAHAの上にはアクティブ表示AHが表示されている。
図15(a)を参照して、演出図柄の変動表示中に、カラーボール931を持ったキャラクタ930が登場する。キャラクタ930の登場タイミングは、様々に設定できる。ただし、キャラクタ930の登場から演出の成功・失敗の結果が出るまでの演出期間の間に保留表示がシフトして、演出が無駄にならないようにする必要がある。このため、変動表示の残り期間が演出期間に比べて十分に長い段階でキャラクタ930を登場させる。
キャラクタ930は、画面に現れている4つの保留表示のうちの左から2つめの保留表示THに向かってカラーボール931を投げる。キャラクタ930がカラーボール931を投げてから、そのカラーボール931が保留表示THにぶつかるまでの時間は所定期間である。その所定期間の長さは演出が成功する場合と失敗する場合とで異なるが、同じにしてもよい。いずれにしても、その所定期間において、カラーボール930の速度が変化する。
カラーボール931は、投球されてから一定期間が経過するまで(所定距離を移動するまで)の間、一定速度で移動するのであるが、一定期間が経過した段階で、その速度が減速する。つまり、減速期間に突入する。その様子を図15(b)に示す。このような減速制御の演出は、たとえば、スローモーション再生の演出である。減速期間は、3秒または5秒である。ただし、いずれの減速期間が設定された場合であっても、キャラクタ930がボールを投げ放ってから減速期間に突入するまでの期間は共通である。そのようなスローモーション再生による減速期間を経て、再び、カラーボールの931の速度が初速に戻り、やがてカラーボール931が対象の保留表示THに衝突する。なお、初速に戻らずに減速したまま演出が終了してもよいし、減速期間終了後の速度が初速や減速期間での速度とは異なる速度となるようにしてもよい。
その後、演出のパターンは、衝突したカラーボール931が割れて中の塗料が対象の保留表示を覆い、保留表示の色を当初とは別の色に成り上がる成功パターンと、衝突したカラーボール931が割れずに跳ね返り、保留表示の色が変化しない失敗パターンとに分かれる。図15(c)は成功パターンを示し、図15(d)は失敗パターンを示す。成功パターンの場合には、カラーボール931が割れる前にプッシュボタン120が振動し、成功パターンを遊技者に予告する(ボタン報知演出)。これにより、遊技者の期待感を向上させることができる。もちろん、プッシュボタン120が振動する場合と振動しない場合とがあるようにしてもよい。なお、このような予告報知は、プッシュボタン120に代えて、あるいは、プッシュボタン120に加えて、音声や画像によって行うものとしてもよい。また、ボタン報知演出を抽選により決定するようにしてもよい。このような場合には、プッシュボタン120が振動する場合の方が、プッシュボタン120が振動しない場合よりも大当り期待度が高くなるようにするのが望ましい。また、プッシュボタン120の振動に強弱を設けてもよい。このような場合には、ボタン報知演出の抽選の際にプッシュボタン120の強弱を含めた抽選をすればよい。そして、プッシュボタン120が強振動する場合の方が、プッシュボタン120が弱振動する場合よりも大当り期待度が高くなるようにしてもよい。
成功パターンでは、保留表示の色が元の色から複数の色のいずれかに変化する。たとえば、その色のバリエーションは、青、緑、赤である。このような色の違いは、たとえば、その保留表示に対応する変動表示が大当りになる期待度の違いを表している。たとえば、赤が最も大当りの期待度が高く、緑、青の順でそれに続く。遊技者は、成功パターンにおいて、いずれの色に変化するかという点に注目できるために、より面白みのある遊技を提供できる。なお、色の変化に対する期待をより一層に高めるために、カラーボール931が保留表示に衝突した段階、または、衝突する直前の段階で、そのボールの動きを一旦停止させてもよい。
以上、説明した保留変化演出によれば、カラーボール931が放たれてからそれが保留表示に衝突する前に、カラーボール931の速度が減速する期間が存在するため、その間で、遊技者の期待感を高めることができる。特に、カラーボール931の速度を減速させることなく、そのままの速度で保留表示に衝突させる演出に比べると、遊技者の期待感は格段に向上する。また、減速期間は複数の中から選択的に設定されるため、遊技者に減速期間に対して注目させつつバラエティに富んだ演出を提供できる。
図16は、保留変化演出実行決定テーブルを示す図である。保留変化演出実行決定テーブルは、保留変化演出を実行するか否かの決定に用いられる。特に、図16(A)は、大当り時保留変化演出実行決定テーブルを示し、図16(B)は、はずれ時保留変化演出実行決定テーブルを示す。これらのテーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。大当り時保留変化演出実行決定テーブルは、保留変化演出のターゲットとなる保留記憶が大当りのときに用いられるテーブルである。はずれ時保留変化演出実行決定テーブルは、保留変化演出のターゲットとなる保留記憶がはずれのときに用いられるテーブルである。いずれのテーブルも、保留変化演出を実行するか否かが乱数SR2によって振り分けて抽選される。その振り分けの態様は、図に示されるように、大当り時保留変化演出実行決定テーブルの方がはずれ時保留変化演出実行決定テーブルよりも「あり」が選択される割合が高くなっており、特には、保留変化演出が実行される場合の方が実行されない場合よりも大当りとなる期待度が高くなるように、乱数が振り分けられている。図16に示す保留変化演出実行決定テーブルを用いることによって、保留変化演出に対して遊技者に興味を抱かせることができる。
図17は、保留変化態様決定テーブルを示す図である。保留変化態様決定テーブルは、保留変化演出において保留表示の色の変化を決定するために用いられる。特に、図17(A)は、大当り時保留変化態様決定テーブルを示し、図17(B)は、はずれ時保留変化態様決定テーブルを示す。これらのテーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。大当り時保留変化態様決定テーブルは、保留変化演出のターゲットとなる保留記憶が大当りのときに用いられるテーブルである。はずれ時保留変化態様決定テーブルは、保留変化演出のターゲットとなる保留記憶がはずれのときに用いられるテーブルである。いずれのテーブルも、保留表示の色の変化が乱数SR3によって振り分けて抽選される。
保留変化演出には、成功パターンと失敗パターンとがある(図15参照)。成功パターンは、カラーボールが割れて保留表示の色が変化するパターンであり、その際に保留表示の色は、青、緑、赤のいずれかに変化する。失敗パターンは、カラーボールが割れないパターンであり、そのために、保留表示の色は変化しない。変化した保留表示の色は、その保留表示が大当りに対応することの期待度を示唆しており、たとえば、赤が最も大当り期待度が高く、次が緑、その次が青である。また、色が変化しない場合の大当り期待度は、色が変化するいずれの場合よりも低い。このように、色に応じて大当り期待度を示唆できるようにするため、保留変化態様決定テーブルでは、各色に対応する乱数SR3が図17に示すように割り振られている。なお、色が変化する前の保留表示の色は、青、緑、赤以外のいずれでもよく、たとえば、白である。
図17に示す保留変化態様決定テーブルを用いることによって、保留表示の色が変化するか否かという点のみならず、変化する色にも遊技者を注目させることできる。
図18は、減速期間決定テーブルを示す図である。減速期間決定テーブルは、保留変化演出においてカラーボールの減速制御を実行するときの減速期間を決定するために用いられる。減速期間とは、キャラクタによって放たれたカラーボールの速度が初速とは異なる速度に減速し始めてから、その減速を終えるまでの期間である。特に、図18(A)は、成功パターン用減速期間決定テーブルを示し、図18(B)は、失敗パターン用減速期間決定テーブルを示す。これらのテーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。成功パターン用減速期間決定テーブルは、保留変化演出を成功パターンとするときに用いられるテーブルである。失敗パターン用減速期間決定テーブルは、保留変化演出を失敗パターンとするときに用いられるテーブルである。いずれのテーブルも、減速期間を3秒および5秒のうちのいずれにするかが乱数SR4によって振り分けて抽選される。その振り分けの態様は、図に示されるように、成功パターン用減速期間決定テーブルの方が失敗パターン用減速期間決定テーブルよりも減速期間5秒が選択される割合が高くなっており、特には、減速期間が長い場合の方が短い場合よりも、その保留変化演出が成功パターンとなる期待度が高くなるように、乱数が振り分けられている。なお、ここでは、複数の減速期間として、3秒と5秒とを例示したが、それ以外の減速期間を採用してもよく、3つ以上の減速期間を採用してもよい。なお、大当りか否かにより減速期間が異なるようにしてもよい。
このように、減速期間の違いによって成功パターンとなる期待度が異なるため、遊技者に対して、減速期間に注目させることができる。特に、いずれの減速期間が設定された場合であっても、キャラクタがボールを投げ放ってから減速期間に突入するまでの期間は共通としているため、ボールが減速を開始した段階で遊技者に減速期間の長短を悟らせることがなく、遊技者の期待感を維持することができる。
図19は、演出実行タイミング決定テーブルを示す図である。このテーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。演出実行タイミング決定テーブルは、複数の保留表示が存在する場合に、保留表示が何回シフトした段階で保留変化演出を実行するかを決定するために用いられる。複数の保留表示が存在する場合には、保留変化演出の対象となる保留表示は、それらの複数の保留表示のうちの最後に消化される保留表示としている。たとえば、保留表示が3つであれば、左から3つ目の保留表示が保留変化演出の対象となり、保留表示が8つであれば、左から8つ目の保留表示が保留変化演出の対象となる。演出実行タイミング決定テーブルを用いて、対象の保留表示が何回右側シフトした段階(いくつの保留記憶を消化した段階)で、保留変化演出を実行するかが乱数抽選によって決定される。
演出実行タイミング決定テーブルには、第1特別図柄および第2特別図柄の合算保留記憶数別に、保留変化演出の各実行タイミングに対して割り当てられた乱数の割合(パーセント表示)が示されている。たとえば、合算保留記憶数が2の場合には、左から2つ目の保留表示が保留変化演出の対象となるが、この場合の演出のタイミングは、1回シフトが発生したとき(シフト回数=1)に決定される。つまり、2つの保留表示のうちの左側の保留表示がアクティブ表示に変化し、右側の保留表示が左にシフトした段階で、保留変化演出が開始されることになる。
合算保留記憶数が4の場合には、左から4つ目の保留表示が保留変化演出の対象となるが、この場合の演出のタイミングは、1回シフトが発生したとき(シフト回数=1)、2回シフトが発生したとき(シフト回数=2)、および3回シフトが発生したとき(シフト回数=3)のいずれかに乱数抽選によって決定される。その決定割合は、シフト回数=1が45%、シフト回=2が30%、シフト回数=3が25%である。
演出実行タイミング決定テーブルから理解されるとおり、合算保留記憶数がいずれの場合であっても、シフト回数が少ない段階で保留変化演出が実行される割合の方が、シフト回数が多い段階で保留変化演出が実行される割合よりも高い。これにより、保留変化演出の実行機会を極力多くすることができる。
図20は、先読み予告処理を示すフローチャートである。本フローチャートにより、保留変化演出が実現される。本フローチャートは、図14のS500のサブルーチンである。はじめに、合算保留記憶数指定コマンドおよび変動種別コマンドの受信時であるか否かが判断される(S501)。それらのコマンドの受信時でなければ処理が終了するが、それらのコマンドの受信時であれば、変化演出制限フラグがすでにセットされているか否かが判断される(S502)。変化演出制限フラグは、保留変化演出の実行有が決定されてからその演出を終えるまでにセット状態が保持されるフラグである。変化演出制限フラグは、保留変化演出を終えていないにも関わらず、新たに保留変化演出の実行が決定されることを防ぐためのフラグである。
したがって、変化演出制限フラグがセットされているときには処理が終了するが、セットされていないときには、保留合計数が2以上か否かが判断される(S503)。保留合計数が2以上でなければ、保留変化演出を行なわないので処理が終了するが、保留合計数が2以上であれば、新たな保留記憶は、リーチの変動パターン種別であるか否かが判断される(S504)。ここで、“新たな保留記憶”とは、複数ある保留記憶(S503)のうちで最新の保留記憶のことであり、換言すると、最も右側に表示されている保留表示に対応する保留記憶のことである。既に、図20を用いて説明したとおり、そのような保留記憶が保留変化演出の対象として選定され得る。したがって、S505では、保留変化演出の対象として選定され得る保留記憶が大当りか否かが判断されている。
S505において、新たな保留記憶が大当りであると判断されたときには、大当り時保留変化演出実行決定テーブルにより、保留変化演出の実行の有無が決定され(S506)、S507において保留変化する(保留変化演出有)と判断されたときには、続いて大当り時保留変化態様決定テーブルにより、保留変化態様が決定される(S508)。保留変化態様は、成功パターンと失敗パターンとに大別される。成功パターンは、保留表示にぶつかったカラーボールが割れて保留表示の色が変わるパターンであり、失敗パターンは、保留表示にぶつかったカラーボールが割れずに跳ね返り、その結果、保留表示の色が変わらないパターンである。成功パターンは、さらに、変化する保留表示の色が青、緑、赤の3つのパターンに分かれる。S508では、失敗パターンまたは3つの成功パターンのいずれにするかが決定される。S507において、保留変化しない(保留変化演出無)と判断されたときには、処理が終了する。大当り時保留変化演出実行決定テーブルは、図16(A)に示したとおりであり、大当り時保留変化態様決定テーブルは、図17(A)に示したとおりである。
S505において、新たな保留記憶がはずれであると判断されたときには、はずれ時保留変化演出実行決定テーブルにより、保留変化演出の実行の有無が決定され(S515)、S515において保留変化する(保留変化演出有)と判断されたときには、続いてはずれ時保留変化態様決定テーブルにより、保留変化態様が決定される(S517)。なお、S517では、失敗パターンまたは変化する保留表示の色が青、緑、赤の3つの成功パターンのいずれにするかが決定される。S516において、保留変化しない(保留変化演出無)と判断されたときには、処理が終了する。はずれ時保留変化演出実行決定テーブルは、図16(B)に示したとおりであり、はずれ時保留変化態様決定テーブルは、図17(B)に示したとおりである。
S508またはS517の処理において、保留変化態様が成功パターンに決定されたときには(S509でYES)、成功パターン用減速期間決定テーブルにより、減速制御される期間が決定される(S510)。一方、S508またはS517の処理において、保留変化態様が失敗パターンに決定されたときには(S509でNO)、失敗パターン用減速期間決定テーブルにより、減速制御される期間が決定される(S510)。成功パターン用減速期間決定テーブルは、図18(A)に示したとおりであり、失敗パターン用減速期間決定テーブルは、図18(B)に示したとおりである。減速制御される期間(減速期間)は、図18に示すとおり、3秒および5秒のいずれかに決定される。
S510において、成功パターンとするときの減速期間が決定された後、ボタン報知演出を実行することが決定される(S511)。ボタン報知演出は、図15を用いて説明したとおり、カラーボール931が割れる前にプッシュボタン120を振動させることによって、成功パターンを遊技者に予告する演出である。
S511またはS518の後、変化演出制限フラグがセットされる(S512)。次に、演出実行タイミング決定テーブルにより、保留変化演出の実行タイミングが決定される(S513)。演出実行タイミング決定テーブルは、図19に示したとおりである。この処理によって、保留変化演出の対象となる保留表示がいくつシフトした段階で保留変化演出を実行するかが決定される。次に、本先読み予告処理において決定された内容が記憶領域に保存され(S514)、処理が終了する。
図21は、演出制御プロセス処理における演出図柄変動開始処理(S801)を示すフローチャートである。演出図柄変動開始処理において、演出制御用CPU101は、次のような処理を行なう。
演出図柄変動開始処理においては、変動表示結果をはずれとすることに決定されているか否か確認する(S601)。はずれとすることに決定されているか否かは、たとえば、表示結果指定コマンド格納領域に表示結果1指定コマンドが格納されているか否かによって判定される。はずれとすることに決定されている場合には、変動パターンコマンドとして、非リーチ変動パターンに対応したコマンドを受信したか否か確認する(S602)。非リーチ変動パターンに対応したコマンドを受信したか否かは、たとえば、変動パターンコマンド格納領域に格納されているデータによって判定される。
非リーチ変動パターンに対応したコマンドを受信したと判定した場合、ROM102に格納されたはずれ図柄決定用データテーブルを用いて、リーチにならないはずれの表示結果を演出図柄の最終停止として決定し(S604)、S616へ進む。はずれ図柄決定用データテーブルでは、複数種類の演出図柄のそれぞれに、SR1−1〜SR1−3のそれぞれの数値データが対応付けられている。
S604の処理では、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、はずれ図柄決定用データテーブルを用い、抽出した数値データに対応する図柄がそれぞれ左,中,右の演出図柄の変動表示結果となる停止図柄の組合せとして決定される。このように非リーチはずれの図柄の組合せを決定する場合において、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然大当り図柄の組合せと一致する場合には、はずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。また、抽出された乱数に対応する停止図柄が偶然リーチ図柄となってしまう場合には、非リーチはずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、右図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。
S602の処理で非リーチ変動パターンではないと判定した場合(リーチ変動パターンであると判定した場合)は、リーチ図柄の組合せを構成する演出図柄の停止図柄を決定し(S605)、S616へ進む。S605の処理では、所定のタイミングでSR1−1〜SR1−3のそれぞれから数値データ(乱数)を抽出し、はずれ図柄決定用データテーブルを用い、SR1−1から抽出された乱数に対応する図柄がリーチ状態を形成する左,右の各演出図柄の停止図柄として決定され、SR1−2から抽出されたカウンタの値と合致する乱数に対応する図柄が中図柄の停止図柄として決定される。また、この場合も、偶然大当り図柄の組合せとなってしまうときには、はずれ図柄の組合せとなるように補正(たとえば、中図柄を1図柄ずらす補正)して各停止図柄が決定される。
また、S601の処理ではずれとすることに決定されていない場合(大当りとすることが決定された場合)に(S601のN)、演出制御用CPU101は、大当りの種別に応じて、大当り図柄の組合せを構成する演出図柄の停止図柄を決定し(S603)、S616へ進む。
S603では、次のように大当りの種別に応じて当り図柄の組合せを決定する。表示結果2指定コマンドと表示結果3指定コマンドとのうちのどの表示結果指定コマンドが表示結果特定コマンド格納領域に格納されているかに基づいて、確変大当りと、通常大当りとのうちから、大当りの種別を判定し、確変大当りにすることに決定されていると判定したときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、SR1−1と確変大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「7,7,7」等の奇数のゾロ目の組合せ)との関係が設定されたデータテーブル(確変大当り図柄決定用テーブル)を用いて、抽出値からいずれかの確変大当り図柄の組合せを選択決定する。また、通常大当りにすることに決定されていると判定したときには、所定のタイミングでSR1−1から数値データ(乱数)を抽出し、SR1−1と通常大当り図柄の組合せ(たとえば、左,中,右が「4,4,4」等の偶数のゾロ目の組合せ)との関係が設定されたデータテーブル(通常大当り図柄決定用テーブル)を用いて、抽出値からいずれかの通常大当り図柄の組合せを選択決定する。このように決定された図柄が大当り遊技状態に制御される前の変動表示結果である最終停止図柄として用いられる。
次に、変動表示における各種演出を設定するための処理(たとえば、図37に示す各種演出の内容の決定等の処理)を行なう演出設定処理(S616)を実行した後、S617に進む。演出設定処理については、後述する。
S617では、演出制御パターンを複数種類の演出制御パターンのうちのいずれかに決定する。S617においては、変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターン、および、S616の処理で決定した演出の演出制御パターン等により指定された各種演出制御(演出動作)パターンに応じて、図柄変動制御パターンテーブルに格納されている複数種類の図柄変動制御パターンのうち、指定された各種演出動作パターンに対応するいずれかの演出制御パターンを使用パターンとして選択決定する。
ROM102に記憶されている制御パターンテーブルには、たとえば、演出図柄の変動が開始されてから最終停止図柄となる確定演出図柄が停止表示されるまでの期間における、演出表示装置9の表示領域における演出図柄の変動表示動作、リーチ演出における演出表示動作、擬似連の演出による演出表示動作、および、予告演出における演出表示動作といった各種の演出動作の制御内容を示すデータが、図柄変動制御パターンとして複数種類格納されている。
また、各図柄変動制御パターンは、たとえば、演出制御プロセスタイマ設定値、演出制御プロセスタイマ判定値、演出表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、および、終了コードといった、演出図柄の変動表示に応じた各種の演出動作を制御するための制御データを含み、時系列的に、各種の演出制御の内容、および、演出制御の切替えタイミング等が設定されている。
次いで、S617で選択した演出制御パターンに応じたプロセステーブルを選択する(S618)。そして、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1におけるプロセスタイマ(演出設定プロセスタイマ)をスタートさせる(S619)。
S619の処理を実行したら、プロセスデータ1の内容(表示制御実行データ1、ランプ制御実行データ1、音番号データ1)にしたがって演出装置(演出用部品としての演出表示装置9、演出用部品としての各種ランプ、および、演出用部品としてのスピーカ27)の制御を開始する(S620)。たとえば、表示制御実行データにしたがって、演出表示装置9において変動パターンに応じた画像(演出図柄を含む。)を表示させるために、VDP109に指令を出力する。また、各種LED等の発光体を点灯/消灯制御を行なわせるために、ランプドライバ基板35に対して制御信号(ランプ制御実行データ)を出力する。また、スピーカ27からの音声出力を行なわせるために、音声出力基板70に対して制御信号(音番号データ)を出力する。
そして、変動表示時間タイマに、変動パターンコマンドで特定される変動時間に相当する値を設定し(S621)、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(S802)に対応した値にし、演出図柄変動開始処理を実行する(S622)。そして、演出図柄変動開始処理が終了する。
[保留表示に関する特定演出(保留変化演出)の変形例]
図15に示したキャラクタ930は、複数の速度のいずれかでカラーボール931を投球するよう、予め定めた複数の速度(たとえば、低速、中速、高速の3種類)のいずれかをマイクロコンピュータが都度選択するようにしてもよい。その場合、単にランダムにその速度を選択するのではなく、たとえば、選択された速度に応じて、成功パターンになるか失敗パターンになるかの割合が異なるようにしてもよい。
さらに、キャラクタ930が投球する位置を複数設定してもよい。たとえば、対象の保留表示からの距離が遠い遠距離位置と、その距離が当該遠距離位置に比較して近い近距離位置とからマイクロコンピュータが都度選択するようにしてもよい。その場合には、遠距離位置のときのカラーボール931の初速が早いほど成功パターンになりやすく、近距離位置のときのカラーボール931の初速が遅いほど成功パターンになりやすくしてもよい。遠距離位置のときのカラーボール931の初速が遅いと、カラーボール931が対象の保留表示に衝突するまでに長い時間がかかるため、演出が間延びしてしまうが、初速を早くすることで演出が間延びするとことを防止できる。一方、近距離位置のときのカラーボール931の初速が早いと、カラーボール931が短い時間で対象の保留表示に衝突するため、十分に演出を遊技者が楽しめない可能性があるが、初速を遅くすることで遊技者が十分に演出を楽しむ時間を確保することができる。
キャラクタ930が、複数の速度のいずれかでカラーボール931を投球するようにした場合であっても、減速期間に入ったときのその減速時の速度は、いずれも共通とすることが考えられる。減速時の速度を共通化することによって、減速時の速度を複数の中から選択的に設定する場合と比較して減速制御を単純化できる。
保留変化演出において、必ず減速制御を伴うのではなく、減速制御を伴わない場合があるようにしてもよい。この場合、減速制御を伴った方が、それを伴わなかった場合に比較して成功結果が得られる期待度が高くなるように設計すれば、減速制御の実行に対する遊技者の期待感を高めることができる。
カラーボールの減速期間は様々に設定できる。たとえば、保留表示にカラーボールが衝突する前に元の速度にもどしてもよい。また、成功パターンであっても、プッシュボタン120が振動しない場合があるようにしてもよい。また、失敗パターンであっても、成功パターンのときよりも低い割合であるものの、プッシュボタン120が振動する場合があるようにしてもよい。
演出結果が失敗となるパターンを実行するときには、減速制御が継続している状態でカラーボールが対象の保留表示に衝突するのではなく、衝突前にカラーボールの速度が元の速度に戻り、保留表示に衝突して跳ね返った後に落下、あるいは、保留表示に衝突することなく、通過するようにしてもよい。
所定表示に対して作用表示が作用する例として、ここでは、カラーボールが作用する例を挙げた。しかしながら、このような作用表示に代えて、たとえば、対象の保留表示の周辺が他の保留表示の周辺とは異なる色に変化するようなエフェクトを与えることを以て、作用表示としてもよい。
また、減速制御を行なう際に、減速したタイミングに合わせて、背景画像における変化対象(所定表示としての保留表示やアクティブ表示等)および作用物(作用表示としてのカラーボール)とを含む領域と、それ以外の領域とで画面の明るさを変えるようにしてもよい。具体的には、減速タイミングにおいて変化対象および作用物以外の背景画像を暗くすることで特定演出(保留変化演出や後述するアクティブ保留変化演出)に注目させることができる。逆に、変化対象および作用物を明るくすること、または、変化対象および作用物に所定のエフェクト画像を付加することで強調表示するようにしてもよい。なお、明るさの設定等は、変化対象と作用物とのうちいずれか一方のみにおいて実行されるようにしてもよい。
図15に示した保留変化演出は、保留表示の変化に関わる演出である。しかしながら、このような演出をアクティブ表示の変化に関わるアクティブ保留変化演出に流用してもよい。具体的には、図15を参照して、キャラクタ930は保留表示Hに向けてボールを投げるのではなく、アクティブ表示AHに向けてボールを投げる演出とする。演出の内容としては、図15を用いて説明したものに準じて、成功パターンと失敗パターンとに変化するものとする。また、その制御も図16〜図18に示した各テーブルを用いて実行するとよい。
保留変化演出やアクティブ保留変化演出以外で減速制御が行なわれるようにしてもよい。たとえば、変動中に画面の中央に所定の画像を表示し、当該所定の画像に作用表示が作用する際に、減速制御を行なうようにしてもよい。所定の画像は、保留表示やアクティブ表示とは関連のない画像である。そして、所定の画像に作用表示が作用することにより、成功するパターンと、失敗するパターンとを設けてもよい。成功するパターンでは、所定の画像に作用表示が作用することで、プッシュボタン120等の操作手段の操作を促す操作促進表示が完成するようにしてもよい。このような演出は、通常の遊技状態で行なわれてもよいし、高確率中や時短中で行なわれてもよい。より具体的には、高確率中に画面中央に手の画像を表示し、そこにボタンを示す画像が飛んできて、当る手前で減速制御を開始し、手の画像がボタン画像をキャッチすれば、ボタン操作を促す操作促進表示の演出へと発展し、手の画像がボタンが画像をキャッチできなければ、演出が終了するものとしてもよい。そして、操作促進表示の演出の実行中にプッシュボタンを操作することで、大当りとなったことやハズレとなったことを示す画像が表示される演出が実行されるようにすればよい。
保留表示は、画像以外のもので表されるようにしてもよい。たとえば、保留表示は、LED等の点灯で示されるようにしてもよい。そして、作用表示としてしめされる画像の減速制御を保留表示に対応するLEDの手前で行なえばよい。失敗パターンでは、LEDの点灯色は変更せず、成功パターンでは、LEDの点灯色を変更すればよい。
[アクティブ表示に関する特定演出(アクティブ保留変化演出)]
図22は、アクティブ保留変化演出を説明するための図である。アクティブ保留変化演出は、アクティブ表示に関する特定演出の一例である。また、アクティブ保留変化演出は、アクティブ表示の態様を変化させることによって、進行中の変動表示に関する動作を予告する演出のひとつとして位置付けられる。
ここで紹介するアクティブ保留変化演出は、アクティブ表示に向けて投げ放たれたカラーボールがそのアクティブ表示にぶつかって割れることで、アクティブ表示の色が変化するか否かを見せる演出である。ここでの設定は、カラーボールは必ず対象の保留表示にぶつかることを前提とし、そのボールが割れるか否かの演出を遊技者に楽しませるというものである。見事にボールが割れてアクティブ表示の色が変われば演出結果は成功、ボールが割れずにアクティブ表示の色が変わらなければ失敗である。成功したときには、失敗したときよりも、進行中の変動表示の結果が大当りとなる期待度が高く、かつ、その期待度は、変化する色によっても異なる(図24参照)。
たとえば、その色のバリエーションは、青、緑、赤である。このような色の違いは、たとえば、進行中の変動表示が大当りになる期待度の違いを表している。たとえば、赤が最も大当りの期待度が高く、緑、青の順でそれに続く。対象がアクティブ表示であるという点や減速期間が存在しない点などを除けば、図22に示すアクティブ保留変化演出は、図15を用いて説明した保留変化演出と演出内容が共通している。
特に、図22に示すアクティブ保留変化演出が図15に示す保留変化演出と大きく異なる点は、カラーボール931を投げるキャラクタ930の位置によって、成功パターン(アクティブ表示の色が変わる)となる成功率と、成功パターンのときに最も大当り期待度の段階の高い色(赤)となる率が異なる点である。なお、キャラクタ930の種類は、その位置の違いに関わらず同じである。このように、キャラクタ930が共通であるので、位置を変更したときにキャラクタ930がその場所を移動したように遊技者に感じさせることができる。ただし、位置によって異なるキャラクタを表示するようにしてもよい。
以下、図22に沿って、その演出を詳細に説明する。演出表示装置9の画面には、下向きの3本の矢印で示す演出図柄の変動表示中に、アクティブ表示エリアAHA、アクティブ表示AH、および保留表示Hが表示されている。
図22(a)を参照して、演出図柄の変動表示中に、カラーボール931を携えたキャラクタ930が位置Aに登場する。キャラクタ930が登場した段階で画面には、プッシュボタンの操作が有効である旨が表示される(図示省略)。このとき、プッシュボタン120を1回操作すると、キャラクタ930が位置Aから位置Bに移動し、さらに、プッシュボタン120を1回操作すると、キャラクタ930が位置Bから位置Cに移動し、さらにプッシュボタン120を1回操作すると、キャラクタ930が位置Cから位置Aに移動する。このように、プッシュボタン120の操作に応じて、キャラクタ930の位置がA→B→C→A→B…と繰り返して変化する。したがって、演出の開始位置を変更する面白みを遊技者に提供できる。アクティブ表示AHからは、位置Aが最も近く、位置Cが最も遠い。図22(b)には、キャラクタ930の位置として位置Cが選択されている状態が示されている。なお、操作が有効な期間は予め定めらており、その操作有効期間を画面上でカウントダウンしてもよい。
図22(c)には、アクティブ表示AHに最も近い位置Aからキャラクタ930がカラーボール931を投げている様子が示されている。そのカラーボール931はやがてアクティブ表示AHにぶつかる。続いて、図22(d)には、そのカラーボール931が見事に割れてアクティブ表示AHの色が変わった様子が示されている。
一方、図22(e)には、アクティブ表示AHから最も遠い位置Cからキャラクタ930がカラーボール931を投げている様子が示されている。そのカラーボール931はやがてアクティブ表示AHにぶつかる。続いて、図22(f)には、そのカラーボール931が割れることなく跳ね返っている様子が示されている。したがって、この時は、アクティブ表示AHの色は変化しない。
このアクティブ保留変化演出では、キャラクタ930がボールを投げる位置がアクティブ表示AHに近い程、演出が成功パターンとなる割合が高く、したがって、アクティブ表示AHの色が成り上がる割合も高い。したがって、その観点のみからすると、遊技者としては、プッシュボタン120を操作してキャラクタ930の位置を位置Aに設定することを望むことになる。しかしながら、このアクティブ保留変化演出では、キャラクタ930がボールを投げる位置がアクティブ表示AHに近い程、3種類の色のうち、最も大当り期待度の低い赤にしかアクティブ表示AHの色が成り上がらない割合が高くなっている。
つまり、アクティブ表示が大当りであるならば、本来的には成功パターンにおいて最も大当り期待度の高い赤にアクティブ表示AHの色を成り上げるべきなのであるが、そのときのキャラクタ930の位置が位置Aに設定されていると、成功パターンが選択される割合が高いものの、その際の成り上がりの色が、赤ではなく最も期待度の低い青に設定されてしまう訳である。言いかえると、位置Aは、成り上がりの演出を見易いものの、その演出が示す成り上がりの色が、本来の大当り期待度に対応した色に到達せずに、それよりも大当り期待度の観点において段階の低い色に制限されてしまう可能性が高くなるということである。この場合、遊技者は、大当り期待度に応じた本来の成り上がり色は、それよりも段階の高い色であるかもしれないという不安な気持ちを抱かざるを得ない。
一方で、キャラクタ930がボールを投げる位置がアクティブ表示AHから遠い程、演出が成功パターンとなる割合が低いために、成り上がりの演出を見ることのできる機会が減るのであるが、運よく、成功パターンを見ることができたときには、そのときの成り上がりの色は、本来の大当り期待度に対応した色である可能性が高くなるということである。たとえば、大当りが決定されているときにアクティブ表示AHから最も通り位置Cで演出を実行すると、成功パターンは発生し難いものの、もし、成功パターンが発生したときには、その時の色が実際の期待度を示すものとなる。その結果、遊技者は本来の大当り期待度をその成り上がった色から察することができる。
このように、このアクティブ保留変化演出では、その演出を開始する位置によって、成功パターンとなる割合と、成功パターンとなったときに成り上がる色の制限の度合いとが異なっている。このような演出を実現するために、本パチンコ遊技機1においては、成功パターンのときのアクティブ表示AHの成り上がりの色を2段階で決定している。
第1段階として、キャラクタ930の位置を考慮せずに、アクティブ表示が大当りであるか否かの観点から成り上がりの色を決定する。このときに決定した色を“最終色”と称する。最終色は、アクティブ表示が大当りであるか否かの観点から決定された色であるので、その色はアクティブ表示が大当りとなる期待度を忠実に反映している。ただし、決定された“最終色”が実際に演出に用いられるか、あるいは、それよりも大当り期待度の低い色が演出に用いられるかは、次の第2段階での決定によって決まる。
第2段階として、キャラクタの投球位置を考慮して、第1段階で決定した“最終色”を実際に演出に用いるか、あるいは、それに制限をかけることによって、大当り期待度を表す指標が“最終色“以下の色にするかを決定する。たとえば、“最終色”が赤である場合でも、制限をかけた場合には、実際の成り上がり色として採用する色は青とする。これら第1段階、および第2段階の決定の詳細は図24〜図28の説明によってより明らかとなる。
このアクティブ保留変化演出では、アクティブ表示AHから近い位置の方が成功パターンの期待度が高いため、近い位置の方が変化し易いのではないかという遊技者の想定に合致した演出を提供できる。なお、このアクティブ保留変化演出において、図15を用いて説明した減速制御の演出を加えてもよいし、また、失敗パターンとしては、投げ放たれたボールがアクティブ表示にぶつからないような演出も発生し得るように設定してもよい。
図23は、アクティブ保留変化演出実行決定テーブルを示す図である。アクティブ保留変化演出実行決定テーブルは、アクティブ保留変化演出を実行するか否かの決定に用いられる。アクティブ保留変化演出を実行するか否かが乱数SR5によって振り分けて抽選される。その振り分けの態様は、図に示されるように、演出ありと演出なしとの比率が2:3となるように設定されている。このテーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。
図24は、アクティブ保留最終色決定テーブルを示す図である。アクティブ保留最終色決定テーブルは、アクティブ保留変化演出においてアクティブ表示の色を変えるときの色(成り上がりの色)の種類を決定するために用いられる。すでに説明したとおり、実際に演出に用いられる成り上がり色は、ここで決定される“最終色”とは異なる場合がある。特に、図24(A)は、大当り時アクティブ保留最終色決定テーブルを示し、図16(B)は、はずれ時アクティブ保留最終色決定テーブルを示す。これらのテーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。
大当り時アクティブ保留最終色決定テーブルは、アクティブ保留変化演出のターゲットとなるアクティブ表示が大当りのときに用いられるテーブルである。はずれ時アクティブ保留最終色決定テーブルは、アクティブ保留変化演出のターゲットとなるアクティブ表示がはずれのときに用いられるテーブルである。いずれのテーブルも、“最終色”が乱数SR5によって振り分けて抽選される。その振り分けの態様は、図に示されるように、変化なしについては、はずれのときの方が大当りのときよりも選択率が高く、青、緑、赤については、その順に大当り期待度が高くなるような態様とされている。なお、“最終色”は、投球するキャラクタの位置に関わりなく、アクティブ保留最終色決定テーブルに基づいて選択される、いわば、仮決めされた成り上がり色である。
図25は、演出設定処理を示すフローチャートである。演出設定処理は、図21のS616にて実行されるサブルーチンである。はじめに、変化演出制限フラグがセットされているか否かが判断される(S901)。変化演出制限フラグがセットされているときには、重複して演出が実行されることのないよう、処理が終了する。一方、変化演出制限フラグがセットされていないときには、今回実行される変動がリーチであるか否かが判断され(S902)、リーチでないときには処理が終了し、リーチのときには、アクティブ保留変化演出実行決定テーブルにより、アクティブ保留変化演出の実行の有無が決定される(S903)。アクティブ保留変化演出実行決定テーブルは、図23に示したとおりである。
S904において、アクティブ保留変化演出の実行有と判断されたときには、今回実行されている変動表示が大当りであるか、すなわち、アクティブ表示が大当りに対応するものであるかが判断される(S905)。大当りである場合には、大当り時アクティブ保留最終色決定テーブルにより、アクティブ保留の最終色が決定され(S906)、大当りでなくはずれの場合には、はずれ時アクティブ保留最終色決定テーブルにより、アクティブ保留の最終色が決定される(S908)。大当り時アクティブ保留最終色決定テーブルおよびはずれ時アクティブ保留最終色決定テーブルは、図24に示したとおりである。これらの決定処理によって、アクティブ保留変化演出が成功したときの成り上がり色が仮決めされる。
S906またはS908の後、決定された内容が記憶領域に保存され(S907)、処理が終了する。
図26は、演出図柄変動中処理を示すフローチャートである。演出図柄変動中処理は、図14のS802にて実行されるサブルーチンである。演出図柄変動中処理において、演出制御用CPU101は、プロセスタイマの値を1減算するとともに(S841)、変動時間タイマの値を1減算する(S842)。そしてプロセスタイマがタイムアウトしているか否かを判断する(S843)。
プロセスタイマがタイムアウトするまで(S843N)は、S846に進む。S843においてプロセスタイマがタイムアウトしたと判断したときは(S843Y)、プロセスデータの切替えを行なう(S844)。すなわち、プロセステーブルにおける次に設定されているプロセスタイマ設定値をプロセスタイマに設定することによってプロセスタイマをあらためてスタートさせる(S844)。また、その次に設定されている表示制御実行データ、ランプ制御実行データ、および、音番号データ等のプロセスデータに基づいて演出装置(演出用部品)に対する制御状態を変更する等、次のプロセスデータの内容にしたがって、演出装置を制御する(S845)。
次に、プッシュボタン120の操作に応じて、操作演出処理が行なわれる(S846)。操作演出処理の詳細は図28を用いて後述する。
次に、変動時間タイマの値に基づいて、変動時間タイマがタイムアウトしたか否かを確認する(S847)。変動時間タイマがタイムアウトしていれば(S848でY)、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(S803)に応じた値に更新する(S849)。一方、変動時間タイマがタイムアウトしていないときは(S847N)、図柄確定指定コマンドを受信したことを示す確定コマンド受信フラグがセットされているか否かを確認する(S848)。確定コマンド受信フラグがセットされていないときは(S848N)、演出図柄変動中処理が終了する。一方、確定コマンド受信フラグがセットされているときは(S848Y)、S849に移行する。このように、変動時間タイマがタイムアウトしていなくても(S847N)、図柄確定指定コマンドを受信したら変動を停止させる制御に移行するので、たとえば、基板間でのノイズ等に起因して長い変動時間を示す変動パターンコマンドを受信したような場合でも、正規の変動時間経過時(特別図柄の変動終了時)に、演出図柄の変動を終了させることができる。
図27は、演出の開始位置と成功率および変化割合との関係を示す図である。図示する対応関係のデータは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。図22を用いてアクティブ保留変化演出を説明した際に併せて説明したとおり、アクティブ保留変化演出では、その演出を開始する位置によって、成功パターンとなる割合と、成功パターンとなったときに成り上がる色の制限の度合いとが異なっている。図27示す位置A,B,Cは、図22に示した画面の各位置に対応している。
アクティブ表示から最も近い位置Aでキャラクタがカラーボールを投球したとき、すなわち、位置Aでアクティブ保留変化演出が開始したときには、演出パターンとして成功パターンが選択される率(成功率、期待度)は100%である。つまり、各位置のうち、最もアクティブ表示に近い位置Aでアクティブ保留変化演出を開始させると、遊技者は、必ず、成功パターンの演出を見ることができる。ただし、そのときに、アクティブ表示の成り上がりの色が、変動表示の表示結果に応じて仮決めした“最終色”に決定される割合は20%に過ぎず、80%の割合で大当り期待度の最も低い1段階目の色、すなわち、青に決定されてしまう。
アクティブ表示から最も遠い位置Cでキャラクタがカラーボールを投球したとき、すなわち、位置Cでアクティブ保留変化演出が開始したときには、演出パターンとして成功パターンが選択される率(成功率)は20%に過ぎない。つまり、各位置のうち、最もアクティブ表示から遠い位置Cでアクティブ保留変化演出を開始させると、その他の位置で演出を開始させた場合に比較して、遊技者が成功パターンの演出を見ることのできる可能性は低くなる。しかしながら、アクティブ表示の成り上がりの色が、変動表示の表示結果に応じて仮決めした“最終色”に決定される割合は100%であり、もし、成功パターンを見ることができた場合には、そのときの成り上がり色が示す大当り期待度に対して遊技者は信頼を抱くことができる。
したがって、遊技者は、極力、成功パターンを見たいのか、あるいは、成功パターンによって示される成り上がりの色の信頼度を高めたいのか、という観点から、アクティブ保留変化演出を開始させる位置を自身の操作で選択できる。このため、演出に遊技者の意思を反映させることができ、より、面白みのある遊技者参加型の演出を提供できる。
なお、図27に示す成功率と色の変化割合とは、上述した効果を発揮し得る範囲において、様々に調整可能である。たとえば、位置Aのとき、最終色まで変化することがなく、1段階目の色にしか変化しないようにしてもよく、また、位置Cのとき、ごくわずかな割合で1段階目の色に変化する場合があるようにしてもよい。また、位置Cで変化した場合には、位置Cでしか見ることのできない特殊な態様(特殊な色)に変化するようにしてもよい。特殊な態様とは、たとえば、大当りに決定されているときにレインボーに変化する色でアクティブ表示を表示するような態様である。
図28は、操作演出処理を示すフローチャートである。操作演出処理は、図26のS846で実行されるサブルーチンである。はじめに、アクティブ保留変化演出を実行するか否かが判断される(S860)。アクティブ保留変化演出を実行しない場合には処理が終了するが、実行する場合には、プッシュボタン120の操作有効期間中であるか否かが判断される(S861)。プッシュボタン120の操作有効期間中でなければ、S865に進む。プッシュボタン120の操作有効期間中であれば、プッシュボタン120の操作が検出されたか否かが判断される(S862)。操作が検出されなければS864に進むが、操作が検出された場合には、そのボタン操作に応じて、アクティブ保留変化演出の開始位置が変更される(S863)。具体的には、操作が検出される毎に、図22に示したキャラクタ930の位置が位置A→B→C→A→B…と変更される。
次に、操作有効期間の終了時であるか否かが判断され(S864)、終了時でなければ一旦処理が終了するが、終了時の場合には、現時点で選択されている演出の開始位置から、図27に示した「演出の開始位置と成功率および変化割合との関係」に従って、アクティブ保留変化演出の内容が決定される(S865)。その結果、このステップでは、演出のパターンをアクティブ表示の色の成り上がりが生じる成功パターンとするか、アクティブ表示の色の成り上がりが生じない失敗パターンとするか、および、成功パターンとするときには、その成り上がり色を先に図25のS906またはS908で仮決めした“最終色”とするか、あるいは1段階の色(赤)とするか、が決定される。次に、決定された内容が記憶領域に保存され(S866)、処理が終了する。
[アクティブ保留変化演出の第1変形例(一発告知)]
図29は、アクティブ保留変化演出の第1変形例を示す図である。既に説明したアクティブ保留変化演出のパターンに対して、以下に説明する第1変形例の演出パターンを追加することが考えられる。第1変形例は、アクティブ保留変化演出の失敗パターンを経た後に、バトル演出が開始し、そのバトル演出の結果が出る前にボール等の作用演出を伴うことなくアクティブ表示の色がいきなり成り上がる例である。バトル演出は、その勝敗の結果によって今回の変動表示が大当りになるか否かを示す演出である。バトル演出の結果が出る前にアクティブ表示の色が成り上がるため、成り上がった色は、バトル演出の結果を予告するものとなる。
第1変形例は、図22に示したアクティブ保留変化演出の失敗パターンと同様に進行する(図29(a)〜(c))。特に、図29の例では、アクティブ表示から最も遠い位置Cから演出が開始されている例が示されている。既に説明したとおり、アクティブ表示から最も遠い位置Cから演出が開始された場合には、失敗パターンが選択される割合が高い(図27参照)。このため、位置Cを敢えて演出の開始位置として選択した遊技者は、成功パターンをみることができず、落胆してしまうかもしれない。
しかしながら、第1変形例のようなパターンも発生し得るようにすることで、一旦、落胆した遊技者を再び継続する演出の面白さに引込むことができる。すなわち、図29(c)のごとく、失敗パターンが表示された後、画面上でリーチが発生すると(図29(d))、やがて、画面上で敵味方でのバトル演出が開始する。遊技者はその結果を待つ訳であるが、そのバトル演出の途中で、いきなり何の前触れもなく、アクティブ表示の色が成り上がるのである(図29(e))。このときの成り上がりの色は、図24などを用いて説明した“最終色”とすることが望ましい。そうすれば、遊技者は、大当り期待度が反映された本来の成り上がり色を以て、大当りの可能性を推測できるからである。
あるいは、このような第1変形例のパターンでは、失敗パターン(図29(c))を経ていることを理由として、遊技者にとっては望ましい“最終色”ではなく、“最終色”よりも大当り期待度の指標が低い色にしか成り上がらないようにしてもよい。
あるいは、このような第1変形例のパターンは、表示結果が大当りである場合にのみ、実施するようにしてもよい。その場合、成り上がりの色は、大当りが確定していることを示す特殊な色(たとえば、レインボーカラー)としてもよい。
このような変形例1を加えることによって、演出の幅を広げることができる。特に、失敗パターンとなってしまったときの遊技者の失望感を軽減させることができる。なお、変形例1のパターンは、図27に示す成功率に従い、失敗パターンが選択されたときに、さらに乱数抽選することによって、選択するように制御してもよい。また、ここでは、バトル演出後に何の前触れもなくアクティブ表示の色が成り上がるものとして説明したが、その兆候となる演出を先に加えてもよい。
[アクティブ保留変化演出の第2変形例(タイマー変化演出)]
次に、図30〜図37を用いて、アクティブ保留変化演出の第2変形例を説明する。図30は、アクティブ保留変化演出の第2変形例を説明するための図である。既に説明したアクティブ保留変化演出のパターンに対して、あるいは、さらに、第1変形例を加えたものに対して、以下に説明する第2変形例の演出パターンを追加することが考えられる。もちろん、アクティブ保留変化演出としては、第2変形例のみを実行するパチンコ遊技機としてもよい。
第2変形例は、キャラクタが一定時間(たとえば、10秒)の中でボールを右手と左手とに交互に移し替えることを繰り返している間にボールの色が順次変化していき、一定時間が経過したときに、そのボールをキャラクタがアクティブ表示に向かって投げることで、アクティブ表示の色がボールの色に変化するという演出である。以下、第2変形例に関わるアクティブ保留変化演出を“タイマー変化演出”と称する。
図30(a)は、第2変形例に関わるタイマー変化演出が実行されるときの演出表示装置9の表示画面を説明するための図である。また、図30(b)〜(f)は、演出表示装置9の表示画面に表示される各種の画像のうち、タイマー変化演出に関する表示画像を拡大して示したものである。図30において、示唆表示910は、キャラクタ画像とボール画像911とからなる。示唆表示910は、アクティブ表示エリアAHAの中のアクティブ表示AHが変化することを示唆する画像である。また、タイマー表示920は、タイマー変化演出の実行時間を示す画像である。タイマー表示920の値が0秒を示す値となるときにキャラクタがボール画像911を投げることでボール画像911がアクティブ表示AHに作用し、アクティブ表示AHの表示態様が変化する演出が実行される。
図30(a)に示すように、変動表示中には、演出表示装置9の右上の表示領域において、タイマー変化演出が実行される。タイマー変化演出中は、キャラクタがお手玉をする示唆表示910と示唆表示910の下部に表示されるタイマー表示920とが演出表示装置9の表示領域に重畳表示される。示唆表示910およびタイマー表示920は、演出表示装置9の右上の表示領域にて重畳表示される画像である。このような画像は、表示に要する領域が大きくなり過ぎないので、変動表示において実行される各種演出を阻害しないようにすることができる。
また、タイマー表示920は、タイマー変化演出の実行期間を示している。具体的には、タイマー表示920は、所定タイミングで設定された計時値の初期値から、カウントダウンされる計時値の更新が実行され、最終的には、タイマー表示の値が0(0秒を示す値)となる。タイマーの表示の値が0となったことに基づいて、所定表示の表示態様が実行されていたタイマー変化演出に関連して変化される。タイマー変化演出は、このようにタイマー表示920の値が0となり、所定表示の表示態様が変化するまでの演出である。このようなタイマー表示920は、時間とともにデジタル表示がカウントダウンされる。ここで、タイマー表示920は、秒より下の位2桁についても実際はカウントダウンしているが、図面上では詳細に開示していない。また、秒以下2桁を表示せず、「10」、「9」・・・「0」と秒数のみをカウントダウンしていくようにしてもよい。
図30(b)に示すように、タイマー変化演出の開始時は、アクティブ表示AHの表示態様が変化することを示唆する示唆表示910として、キャラクタとボール画像911とが表示される。タイマー変化演出の開始時におけるボール画像911の色は、青色である。このような青色は、保留表示エリア18cに示される保留表示Hの色と同じである。保留表示Hは、青色で表示される。また、アクティブ表示AHは、通常青色で表示され、タイマー変化演出により色が変化する場合がある。アクティブ表示AHの色は、青色<黄色<緑色<赤色<虹色の順に大当り期待度が高くなる。キャラクタは、お手玉をするようにボール画像911を上方に投げる。タイマー表示920には、「10:00」と表示され、タイマー変化演出が10秒間実行されることが示される。
図30(b)の状態から3秒経過後、図30(c)のように、タイマー表示920は、タイマー変化演出の残り時間が7秒であることを示す「07:00」で表示される。このとき、ボール画像911の色が青色から緑色(図中の斜線)へと変化する。色が変化することで、大当りの期待度が向上する。その後、タイマー変化演出開始時から9秒経過後、図30(d)に示すように、タイマー表示920は、タイマー変化演出の残り時間が1秒であることを示す「01:00」で表示される。ボール画像911の色は、図30(c)の状態と同じ緑色である。
図30(d)の状態からさらに1秒経過後(タイマー変化演出から10秒経過後)、図30(e)のように、タイマー表示920が「00:00」とタイマー変化演出の残り時間が0秒であることが示される。そして、0秒となったときに、示唆表示として表示されるキャラクタがボール画像911をアクティブ表示エリアAHAに向かって投げる演出が実行される。投げられたボール画像911は、図30(f)に示すように、アクティブ表示AHに命中する。アクティブ表示AHの表示態様は、ボール画像911が命中することで青色からタイマー変化演出の関連した態様の緑色へと変化する。青色から緑色に変化することで、実行されている変動表示の期待度が向上する。
このように、タイマー変化演出の実行中は、タイマー表示920により、タイマー変化演出の実行期間を知らせることができるので、図30(e)、(f)に示すように、アクティブ表示AHの表示態様が変化するタイミングを明確にすることができる。よって、タイマー表示920が0秒となるまでの期間に遊技者にタイマー表示920の表示値に注目させることができ、遊技の興趣が向上する。
また、図30(b)、(c)に示すように、タイマー変化演出実行中に示唆表示910におけるボール画像911の色を変化させることで大当り期待度が向上するので、示唆表示910におけるボール画像911の表示態様に遊技者を注目させることができる。
図31は、タイマー変化演出の実行期間を説明するためのタイミングチャートである。タイミングチャートの横軸は、時間(t)を示し、低レベルは変動停止、高レベルは変動中を示している。本実施の形態では、図6に示すノーマルリーチとスーパーリーチとの変動パターンのうち、スーパーリーチの変動パターンにおいてタイマー変化演出が実行される。スーパーリーチの変動パターンには、第1〜第4スーパーリーチの変動パターンが設けられている。遊技制御用マイクロコンピュータ560からスーパーリーチの変動パターンを指定する変動パターンコマンドが送信されると、演出制御用CPU101は、送信されたコマンドに基づいて指定されたスーパーリーチの演出を実行する。図6の第1〜第4スーパーリーチでは、各変動パターンについて、複数種類のスペシャルリーチ(以下、単にSPリーチとも称する)の中からいずれかのSPリーチが実行される。
図31に示すように、SPリーチでは、変動表示中の演出図柄のうちいずれかの図柄でリーチとなる。その後、リーチ状態となってから所定時間経過後(ノーマルリーチ後やノーマルリーチと異なるリーチ演出後)にSPリーチへと発展する。スーパーリーチにおいて実行されるSPリーチは、SPリーチまで発展せずリーチ後に派手な演出をしないノーマルリーチに比べ、大当り表示結果となる期待度の高いリーチである。SPリーチ中は、たとえば、液晶画面上でバトル演出等の演出が実行される。バトル演出とは、味方のキャラクタと敵のキャラクタとが戦い、味方のキャラクタが勝利すると大当り表示結果が表示され、味方のキャラクタが敗北するとはずれ表示結果が表示されるような演出である。
タイマー変化演出は、このようなSPリーチが実行されるまでの期間において実行される。このようにすれば、SPリーチ前のタイマー変化演出について遊技者を注目させることができる。また、大当り期待度の高いSPリーチ演出についても、SPリーチによる演出を阻害することなく、遊技者に注目させることができる。
図32は、タイマー変化演出実行決定テーブルを示す図である。タイマー変化演出実行決定テーブルは、タイマー変化演出を実行するか否かを決定するための抽選に用いるデータテーブルである。タイマー変化演出実行決定テーブルには、図32(A)の大当り時タイマー変化演出実行決定テーブルと、図32(B)のはずれ時タイマー変化演出実行決定テーブルとが含まれている。これらのタイマー変化演出実行決定テーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。
図32(A)の大当り時タイマー変化演出実行決定テーブルは、所定のタイミングで抽出したSR2の値によって、選択割合が「タイマー変化演出を実行する>タイマー変化演出を実行しない」という大小関係となるように、タイマー変化演出を実行する決定が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。図32(B)のはずれ時タイマー変化演出実行決定テーブルは、所定のタイミングで抽出したSR2の値によって、選択割合が「タイマー変化演出を実行する<タイマー変化演出を実行しない」という大小関係となるように、タイマー変化演出を実行しない決定が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。
図32(A),(B)でのデータの設定により、タイマー変化演出の対象となる変動表示の表示結果が大当り表示結果となるときには、はずれ表示結果となるときと比べ、タイマー変化演出が実行される割合が高くなる。よって、タイマー変化演出が実行される場合には、タイマー変化演出が実行されない場合よりも、遊技者の大当りに対する期待度を高めることができる。
図33は、タイマー変化演出実行時間決定テーブルを示す図である。タイマー変化演出実行時間決定テーブルは、各変動毎にタイマー変化演出の実行される時間(秒数)を決定するための抽選に用いるデータテーブルである。タイマー変化演出実行時間決定テーブルには、図33(A)の大当り時タイマー変化演出実行時間決定テーブルと、図33(B)のはずれ時タイマー変化演出実行時間決定テーブルとが含まれている。これらのタイマー変化演出実行時間決定テーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。
図33(A)の大当り時タイマー変化演出実行時間決定テーブルは、所定のタイミングで抽出したSR3の値によって、タイマー変化演出実行時間の選択割合が「10秒<15秒<20秒」という大小関係となるように、長いタイマー変化演出実行時間(長い秒数)が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。図33(B)のはずれ時タイマー変化演出実行時間決定テーブルは、所定のタイミングで抽出したSR3の値によって、タイマー変化演出実行時間の選択割合が「10秒>15秒>20秒」という大小関係となるように、短いタイマー変化演出実行時間(短い秒数)が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。
図33(A),(B)でのデータの設定により、タイマー変化演出の対象となる変動表示の表示結果が大当り表示結果となるときには、はずれ表示結果となるときと比べ、長いタイマー変化演出の実行時間に決定される割合が高くなる。よって、タイマー変化演出の実行時間が長い場合には、タイマー変化演出の実行時間が短い場合よりも、遊技者の大当りに対する期待度を高めることができる。このようにすれば、遊技者にいずれのタイマー表示920の表示態様が表示されたかに注目させることができる。
また、図33に示すように、タイマー変化演出の実行時間は複数設けられている。よって、タイマー表示920として最初に表示される表示態様が複数あるので、タイマー表示920による演出が多様となり、遊技の興趣を向上させることができる。
図34は、タイマー変化演出のための変化回数決定テーブルを示す図である。変化回数決定テーブルでは、タイマー変化演出において、ボール画像911の色の変化の回数が決定される。変化回数決定テーブルには、図34(A)の大当り時変化回数決定テーブルと、図34(B)のはずれ時変化回数決定テーブルとが含まれる。これらの変化回数決定テーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。ボール画像911の色の変化回数によって大当り当りとなる期待度が異なる。
変化回数決定テーブルにおけるタイマー変化演出実行時間(秒)は、タイマー変化演出の実行時間を示している。本実施の形態では、10秒,15秒,20秒ごとに変化回数が2パターンずつ設定されている。タイマー変化演出の実行時間が10秒の場合には、変化回数として0回または1回のいずれかに決定される。変化回数が0回とは、タイマー変化演出においてボール画像911の色が青色から変化しないことを示している。また、タイマー変化演出の実行時間が15秒の場合には、変化回数として1回または2回のいずれかに決定される。また、タイマー変化演出の実行時間が20秒の場合には、変化回数として2回または3回のいずれかに決定される。
図34(A)の大当り時変化回数決定テーブルは、タイマー変化演出実行時間が10秒の変動表示については、所定のタイミングで抽出したSR4の値によって、選択割合が「0回<1回」という大小関係となるように、多い変化回数が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、タイマー変化演出実行時間が15秒の変動表示については、所定のタイミングで抽出したSR4の値によって、選択割合が「1回<2回」という大小関係となるように、多い変化回数が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、タイマー変化演出実行時間が20秒の変動表示については、所定のタイミングで抽出したSR4の値によって、選択割合が「2回<3回」という大小関係となるように、多い変化回数が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。
また、図34(B)のはずれ時変化回数決定テーブルは、タイマー変化演出実行時間が10秒の変動表示については、所定のタイミングで抽出したSR4の値によって、選択割合が「0回>1回」という大小関係となるように、少ない変化回数が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、タイマー変化演出実行時間が15秒の変動表示については、所定のタイミングで抽出したSR4の値によって、選択割合が「1回>2回」という大小関係となるように、少ない変化回数が選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、タイマー変化演出実行時間が20秒の変動表示については、所定のタイミングで抽出したSR4の値によって、常に2回が決定されるようにデータが設定されている。このように、はずれ時には、変化パターンとしてボール画像911が3回変化する場合がないので、3回変化することで大当りとなることが確定する。
図34(A),(B)でのデータの設定により、タイマー変化演出の対象となる変動表示の表示結果が大当り表示結果となるときには、はずれ表示結果となるときと比べ、どのタイマー変化演出実行時間についても多い方の変化回数に決定される割合が高くなる。よって、タイマー変化演出においてボール画像911の変化回数が多い場合には、変化回数が少ない場合よりも、遊技者の大当りに対する期待度を高めることができる。
図35は、タイマー変化演出のための変化パターン決定テーブルを示す図である。変化パターン決定テーブルでは、タイマー変化演出におけるボール画像911の色の変化パターンが決定される。変化パターン決定テーブルには、図35(A)の大当り時変化パターン決定テーブルと、図35(B)のはずれ時変化パターン決定テーブルとが含まれる。これらの変化パターン決定テーブルは、演出制御基板80に設けられたROM102に記憶されている。ここで、図35に示すテーブルでは、色が変化する程大当り期待度が高くなっている。大当り期待度は、青色<黄色<緑色<赤色<虹色の順に高くなる。なお、虹色は、大当りとなる場合にしか決定されない色である。
図35(A)の大当り時変化パターン決定テーブルは、変化回数が1回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR5の値によって、選択割合が「『青→黄の変化パターン』<『青→緑の変化パターン』」という大小関係となるように最終的に緑色に変化する変化パターンが選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、変化回数が2回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR5の値によって、選択割合が「『青→黄→緑の変化パターン』<『青→緑→赤の変化パターン』」という大小関係となるように最終的に赤色に変化する変化パターンが選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、変化回数が3回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR5の値によって、選択割合が「『青→黄→緑→赤の変化パターン』<『青→緑→赤→虹の変化パターン』」という大小関係となるように最終的に虹色に変化する変化パターンが選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。
図35(B)のはずれ時変化パターン決定テーブルは、変化回数が1回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR5の値によって、選択割合が「『青→黄の変化パターン』>『青→緑の変化パターン』」という大小関係となるように最終的に黄色に変化する変化パターンが選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、変化回数が2回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR5の値によって、選択割合が「『青→黄→緑の変化パターン』>『青→緑→赤の変化パターン』」という大小関係となるように最終的に緑色に変化する変化パターンが選択される割合の方が高くなるようにデータが設定されている。また、はずれの場合には3回変化する変化パターンには設けられていない。
図35(A),(B)でのデータの設定により、タイマー変化演出の対象となる変動表示の表示結果が大当り表示結果となるときには、はずれ表示結果となるときと比べ、最終的に変化するボール画像911の色が大当り期待度の高い色となる割合が高くなる。よって、最終的に変化したボール画像911の色の種類により、遊技者の大当りに対する期待度を高めることができる。
図36は、変化タイミング決定テーブルを示す図である。変化タイミング決定テーブルでは、変化回数に応じたボール画像911の変化タイミングが決定される。図36変化タイミング決定テーブルでは、タイマー変化演出実行時間が10秒でかつ、変化回数が1回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR6の値によって、変化タイミング(変化時のタイマー表示値)として、「7:00」と「2:00」とが1:1の割合で決定されるようにデータが設定されている。また、タイマー変化演出実行時間が15秒でかつ、変化回数が1回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR6の値によって、変化タイミング(変化時のタイマー表示値)として、「10:00」と「5:00」とが1:1の割合で決定されるようにデータが設定されている。
また、タイマー変化演出実行時間が15秒でかつ、変化回数が2回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR6の値によって、変化タイミング(変化時のタイマー表示値)として、1回目が「10:00」、2回目が「5:00」のタイミングと1回目が「13:00」、2回目が「7:00」のタイミングとが1:1の割合で決定されるようにデータが設定されている。また、タイマー変化演出実行時間が20秒でかつ、変化回数が2回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR6の値によって、変化タイミング(変化時のタイマー表示値)として、1回目が「15:00」、2回目が「10:00」のタイミングと1回目が「13:00」、2回目が「7:00」のタイミングとが1:1の割合で決定されるようにデータが設定されている。
また、タイマー変化演出実行時間が20秒でかつ、変化回数が3回の場合には、所定のタイミングで抽出したSR6の値によって、変化タイミング(変化時のタイマー表示値)として、1回目が「15:00」、2回目が「10:00」、3回目が「5:00」のタイミングと1回目が「13:00」、2回目が「7:00」、3回目が「2:00」のタイミングとが1:1の割合で決定されるようにデータが設定されている。
図36でのデータの設定により、タイマー変化演出実時間と変化回数とが決定されている場合に、複数の変化タイミングの中からいずれかの変化タイミングに決定することができる。また、このように変化タイミングが複数設けられているので、いずれのタイミングで示唆表示910としてのボール画像911が変化するかについて遊技者に注目させることができる。
図37は、タイマー変化演出のための演出図柄変動開始処理における演出設定処理(S616)を示すフローチャートである。図37においては、演出図柄変動開始処理における演出設定処理に含まれる各種の演出の設定に関する処理のうち、タイマー変化演出の設定に関係する処理が示されている。演出設定処理において、演出制御用CPU101は、次のような処理を行なうことによって、タイマー変化演出で実行される各種演出を決定する。
まず、今回実行される変動表示の変動パターンがスーパーリーチを指定する変動パターンであるか否かを今回の変動に際して受信した変動パターンコマンドに基づいて判定する(S901)。受信した変動パターンコマンドは、RAM103の記憶領域に設けられたコマンド格納領域に記憶されている。演出制御用CPU101は、RAM103の記憶領域を参照し、今回実行される変動表示を示す領域にスーパーリーチの変動パターンコマンドが格納されているか否かにより、スーパーリーチの変動パターンであるか否かを判定する。スーパーリーチの変動パターンでなければS908の処理へ移行する。スーパーリーチの変動パターンであれば、SR2の値を抽出し、抽出した乱数値と図32に示すタイマー変化演出実行決定テーブルとを用いて、今回の変動表示の表示結果が大当りか否か(はずれか)により、タイマー変化演出の実行の有無を決定する(S902)。今回の変動表示の表示結果が大当りか否かは、今回実行される変動表示の表示結果が大当りであるか否かを今回の変動表示を実行するときに受信された表示結果コマンド等により判定する。
S903においては、S902の決定結果に基づいて、タイマー変化演出が実行ありと決定されたか否かを判定する(S903)。タイマー変化演出を実行する決定がされていなければ、S908の処理へ移行する。タイマー変化演出を実行すると決定されていれば、S904において、SR3の値を抽出し、抽出した乱数値と図33に示すタイマー変化演出実行時間決定テーブルとにより、タイマー変化演出実行時間(タイマー変化演出を実行する秒数)を決定する。次いで、S905において、SR4の値を抽出し、抽出した乱数値と図34に示す変化回数決定テーブルとにより、タイマー変化演出中においてボール画像911の色を変化させる回数(変化回数)を決定する。
次いで、S906の処理へ移行し、SR5を抽出し、抽出した乱数値と図35に示す変化パターン決定テーブルとにより、今回の変動表示の表示結果が大当りか否か(はずれか)により、ボール画像911の色の変化パターンを決定する(S906)。次いで、S907においてSR6の値を抽出し、抽出した乱数値と図36に示す変化タイミング決定テーブルとにより、タイマー変化演出においてボール画像911の色が変化するときの変化タイミングを決定する(S907)。ボール画像911の色は、タイマー表示920が特定の表示値となったときに変化するので、変化タイミングは、変化時のタイマー表示値を決定することにもなる。
次いで、S908では、タイマー変化演出以外に今回の変動表示中に実行されるその他の演出を決定し、決定した演出を実行するように設定する。演出設定処理においては、決定した演出を実行するためのデータがRAM102に記憶される。演出設定処理において設定された演出は、演出制御パターンとして選択され、その演出制御パターンに基づいて、S802の演出図柄変動中処理において、演出図柄の変動表示中に実行される。
[タイマー変化演出の変形例]
保留変化演出が実行された保留表示Hに対してタイマー変化演出を実行してもよい。たとえば、保留変化演出において保留表示Hの色を通常態様の青色から黄色に変化させる。そして、変化した保留表示Hがアクティブ表示エリアAHAにアクティブ表示AHとして表示されたときにタイマー変化演出により、アクティブ表示AHの色をさらに変化させるようにしてもよい。
このような場合には、始動入賞が発生した際に大当りか否かにより予め定められた色の最終色を最初に決定しておき、保留変化演出では、保留表示Hの色をその途中まで変化させ、タイマー変化演出では、アクティブ表示AHの色を最終色まで変化するように制御すればよい。また、先読み演出で実行される演出は、タイマー表示920を用いた演出とは全く関連のない演出でもよく、タイマー表示920を用いた演出が実行されることを示唆する演出であってもよい。たとえば、タイマー表示920を用いた演出とは全く関連のない演出としては、所定のキャラクタを登場させ、そのキャラクタが保留変化が実行される保留表示Hを叩くなどの所定の作用を実行することにより、保留表示Hの色が変化するような演出が考えられる。また、タイマー表示920を用いた演出が実行されることを示唆する演出としては、保留表示Hの表示態様を「タイマー準備中」と記載された準備保留に変化させ、変化させた保留に対する変動表示が実行されるときに、タイマー変化演出を実行し、タイマー表示920が表示されるようにしてもよい。このようにすれば、保留表示Hの段階からタイマー変化演出が実行されることに遊技者に注目させることができる。なお、準備保留は、変動開始時に必ず実行されるものではなく、実行されない場合があるようにしてもよい。また、準備保留では、タイマー表示920を表示してもよいし(タイマー表示をするがカウントダウンはしないなど)、表示しないようにしてもよい。
アクティブ表示AHを変化させる演出としてタイマー変化演出とは別のアクティブ変化演出が実行されるようにしてもよい。アクティブ変化演出としては、たとえば、キャラクタがアクティブ表示AHに対してビームを発射する作用をする作用演出により、アクティブ表示AHの表示態様(たとえば、色)が変化するようにしてもよい。このようなアクティブ変化演出をSPリーチの前とSPリーチ中とのいずれかのタイミングにおいて実行してもよい。このような場合には、SPリーチ前のアクティブ変化演出とSPリーチ中のアクティブ変化演出とで演出期間が異なるようにしてもよい。たとえば、SPリーチ前はアクティブ変化演出の演出期間が長く、SPリーチ中は、アクティブ変化演出の演出期間が短くなるようにすればよい。このようにすれば、SPリーチ演出中には、アクティブ変化演出が短い時間で実行されるので、SPリーチ演出の実行をアクティブ変化演出により阻害することがない。よって、SPリーチ演出の演出効果を損なうことが防止され、遊技の興趣を向上させることができる。なお、SPリーチ中のアクティブ変化演出は、その変動表示についての最終の当否煽りの演出(たとえば、その後に大当りか否かが分かるリーチ終盤のカットイン演出等)までの時間に実行されることが望ましい。
また、SPリーチ中のアクティブ変化演出については、演出期間を短くするのではなく、アクティブ変化演出の表示を縮小する、SPリーチ前に比べてアクティブ変化演出の演出自体を地味にするようにしてもよい。たとえば、SPリーチ前には、演出表示装置9の画面上で派手な演出を実行したり、役物を動作させたりするが、SPリーチ中は、SPリーチ前よりも簡素な演出を実行すればよい。
また、アクティブ変化演出とタイマー変化演出とを実行可能としてもよい。このような場合には、タイマー変化演出が実行される場合には、アクティブ変化演出の実行を禁止するようにしてもよい。また、逆にアクティブ変化演出が実行される場合には、タイマー変化演出の実行を禁止するようにしてもよい。このようにすれば、演出が煩雑になってしまい、遊技者がいずれの演出に注目すればよいのかが定まらないようになることを防止することができる。なお、アクティブ変化演出とタイマー変化演出とが重複しないタイミングであれば、2つの演出を一の変動表示中に実行してもよい。
SPリーチ演出中にタイマー変化演出を実行してもよい。このような場合には、SPリーチの開始前とSPリーチ中とでタイマー変化演出の実行時間を異ならせるようにしてもよい。たとえば、SPリーチ中のタイマー変化演出の実行期間がSPリーチ前の実行期間よりも短くなるようにすればよい。このようにすれば、SPリーチ演出中には、タイマー変化演出が短い時間で実行されるので、SPリーチ演出の実行をタイマー変化演出により阻害することがない。よって、SPリーチ演出の演出効果を損なうことが防止され、遊技の興趣を向上させることができる。
リーチとなる前にタイマー変化演出を実行し、リーチ後にはタイマー変化演出を実行しないようにしてもよい。このようにすれば、リーチ後の演出に遊技者を集中させることができる。
タイマー変化演出が複数回実行されるようにしてもよい。たとえば、1回目のタイマー変化演出の実行時にアクティブ表示AHの色を変化させ、一旦示唆表示910やタイマー表示920を消去してもよい。そして、その後再びタイマー変化演出が実行され、当該タイマー変化演出により、アクティブ表示AHの色が変化するようにしてもよい。
図34に示すように、タイマー変化演出は実行時間が長い程、多い変化回数に決定される割合が高くなっていた。そして、タイマー変化演出の実行時間が短い場合には、変化しない場合(変化回数0回)もあった。しかしながら、タイマー変化演出が実行された場合には必ずアクティブ表示AHが変化するようにしてもよい。また、タイマー変化演出の実行時間として長い時間に決定されていても、変化回数が少ない場合や変化しない場合が設けられていてもよい。
図35に示すように、変化回数が1回の場合には、大当り期待度の高い赤色に変化するパターンが設けられていなかった。しかし、変化回数が少ない場合に大当り期待度の高いパターンを設けてもよい。また図35(B)に示すように、はずれの場合には、3回変化するパターンが設けられていなかったが、表示結果がはずれとなる場合にも3回変化するパターンを設けてもよい。
大当りの場合とはずれの場合とで、図36のような変化タイミング決定テーブルが異なるようにしてもよい。たとえば、変動表示の表示結果が大当り表示結果になる場合とはずれ表示結果になる場合とで、変化タイミングが異なるようにしてもよい。また、大当り表示結果となる場合にしか決定されない変化タイミング(たとえば、残り「7:77」で変化するなど)を設けてもよい。
図6に示す第1〜第4のいずれのスーパーリーチでもタイマー変化演出が実行される場合を示した。しかし、タイマー変化演出は、特定のスーパーリーチのみ実行されるようにしてもよい。たとえば、タイマー変化演出は、大当り期待度の高い第4スーパーリーチのみ実行されるようにしてもよい。
時間とともにデジタル表示がカウントダウンされるタイマー表示920について説明した。しかし、タイマー表示920は、時間とともに数字がカウントアップし、所定時間になった場合に演出が実行されるようにしてもよい。また、時間経過を示す期間表示として数字で表示するものではなく、時間経過を示す砂時計画像を表示するもの(砂時計の砂の残り具合で時間を示すもの)、または、時間経過を示すゲージ画像を用いて表示するもの(ゲージの増加または減少により時間を示すもの)等、所定期間の終了タイミングを示唆可能な情報を時間の経過とともに変化させる演出であればどのような演出が用いられてもよい。
タイマー変化演出が実行される場合に、タイマー表示920の開始時の秒数が異なる場合を示した。しかし、タイマー表示920の表示態様が異なることについて、表示される秒数が異なるのではなく、タイマー表示920の大きさが異なること、タイマー表示920の色が異なること、タイマー表示920の形(枠の形など)が異なることのいずれか、または、その組合せであってもよい。
図30(e),(f)に示すように、示唆表示910としてのボール画像911が直接アクティブ表示AHに当たりアクティブ表示AHが変化する場合を示した。しかし、キャラクタから投げられたボール画像911が一旦演出表示装置9の画面上で拡大されて表示された後に、アクティブ表示AHに当たる(作用する)ような演出が実行されてもよい。また、キャラクタから投げられたボール画像911がアクティブ表示AHに当たるときに、さらに、アクティブ表示の表示態様が変化するようにしてもよい。たとえば、黄色のボール画像911がアクティブ表示AHに当たることで、アクティブ表示AHの表示態様が赤色にさらに変化してもよい。
図33に示すようにタイマー変化演出の実行時間が長い程、大当り期待度が高くなるようにデータが設定されていた。しかし、タイマー変化演出の実行期間は、大当り期待度に関わらず一定にしてもよい(たとえば、常に10秒)。このような場合には、大当り期待度に応じてタイマー表示920の枠の色を変化させるなど、数字以外の部分で大当り期待度が異なるようにしてもよい。
図30の示唆表示910として示すキャラクタを複数種類設けてもよい。そして、キャラクタの違いにより、タイマー変化演出によりボール画像の変化する回数、タイマー表示920の秒数が異なるようにしてもよい。
タイマー変化演出中に表示されるタイマー表示920に関して次のような制御を実行してもよい。たとえば、タイマー変化演出の実行中にタイマー表示920のカウントダウンを数秒間停止する演出(以下、フリーズ演出と称する)を実行してもよい。フリーズ演出後は、タイマー表示920が再びカウントダウンするようにすればよい。また、フリーズ演出を経由する場合とフリーズ演出を経由しない場合とで、大当り期待度が異なるようにしてもよい。
タイマー変化演出中に表示されるタイマー表示920に関して次のような制御を実行してもよい。たとえば、タイマー変化演出で実行されるタイマー表示920が0秒を示す値となったときに、タイマー表示920の値が増加する特別パターンを設けてもよい。また、このような特別パターンは複数回実行されるようにしてもよい。また、特別パターンが実行される毎に、タイマー変化演出により、ボール画像911の色が変化するようにしてもよい。
変動表示中に実行されている他の演出の種類により、タイマー変化演出が実行される位置を変更するようにしてもよい。たとえば、第1の演出が実行されている場合には、演出表示装置9の右上の位置でタイマー変化演出を実行し、第2の演出が実行されている場合には演出表示装置9の左下の位置でタイマー変化演出を実行してもよい。また、演出の種類によりタイマー変化演出が実行される位置を変えるのではなく、タイマー変化演出として表示される示唆表示910の大きさを変えるようにしてもよい。
タイマー変化演出におけるタイマー表示920の表示態様を0秒となるまでに変化させてもよい。たとえば、10秒からカウントダウンが開始され、変化タイミングの7秒でタイマー表示920の数字や枠の色を変化させてもよい。また、このときの色は、ボール画像911の変化の色に対応させてもよい。
図30に示すうようにタイマー変化演出としてキャラクタがお手玉をして1つのボール画像911を変化させる演出を示した。このような、ボール画像911は1つではなく複数個表示されるようにしてもよい。また、複数のボール画像911のうち、少なくとも1個以上のボール画像911がタイマー変化演出の実行中に変化するようにしてもよい。たとえば、ボール画像911を2個用いてキャラクタがお手玉をする場合、タイマー変化演出中に一方のボール画像911を青色から緑色に変化させ、他方のボール画像911は青色から赤色に変化させるようにしてもよい。そして、タイマー表示920が0秒となったときに、キャラクタがこれらのボール画像911のうちのいずれかをアクティブ表示AHに向けて投げるようにしてもよい。このようにすれば、最終的にアクティブ表示AHの表示態様がどのような表示態様になるかが分からないので、遊技者をタイマー変化演出に注目させることができる。また、大当り期待度が高い場合には、タイマー変化演出において表示されるボール画像911の数が多くなるようにしてもよい。また、1個目のボール画像911によりアクティブ表示AHの表示態様が変化した後に、2個目のボール画像911をキャラクタが再度アクティブ表示AHに向けて投げることにより、より期待度の高い表示態様へとアクティブ表示AHが変化するようにしてもよい。
遊技機としてパチンコ機を例にしたが、前述した実施の形態に示した各種の設定は、メダルが投入されて所定の賭け数が設定され、遊技者による操作レバーの操作に応じて複数種類の図柄を回転させ、遊技者によるストップボタンの操作に応じて表示手段における図柄を停止させたときに停止図柄の組合せが特定の図柄の組合せになると、所定数のメダルが遊技者に払出されるスロットマシン(スロット機)に適用することも可能である。具体的には、スロットマシンにおいて設けられた演出表示装置等の表示装置において、タイマー変化演出が実行されるようにすればよい。スロットマシンでタイマー変化演出を実行する場合には、所定の抽選対象役に当選したときに保留表示を表示すればよい。そして、次のゲームにおいて保留表示をアクティブ表示領域に移動させ、当該ゲームにおいて、遊技者にとって有利となる有利状態(たとえば、遊技者にとって有利な操作手順を報知するAT)に当選したときに、タイマー変化演出を実行すればよい。また、このような場合のタイマー変化演出では、遊技の進行を遅延させる遅延制御とともに実行するようにしてもよい。遅延制御中に所定期間タイマー表示を表示し、タイマー表示が0秒となったことに基づいて、アクティブ表示の表示態様を変更するようにしてもよい。
[アクティブ保留変化演出のその他の変形例]
図22に示したアクティブ保留変化演出は、演出開始位置を予め定めた位置A〜Cの中から遊技者が選択可能なものとした。しかし、操作手段の操作によって、遊技者が自由にその位置を選択可能な構成としてもよい。
図22に示したアクティブ保留変化演出は、アクティブ表示の変化に関わる演出である。しかしながら、このような演出を保留表示の変化に関わる保留変化演出に流用してもよい。具体的には、図22を参照して、キャラクタ930はアクティブ表示AHに向けてボールを投げるのではなく、いずれかの保留表示Hに向けてボールを投げる演出とする。いずれの保留表示Hを対象とし、どのタイミングで演出を開始するかは任意であるが、たとえば、保留変化演出の制御に用いる演出実行タイミング決定テーブル(図19)を用いて、それらを決定してもよい。ただし、保留表示Hの場所に応じて、位置A〜Cとの距離が異なってしまう。いずれの保留表示Hが対象とされた場合であっても保留表示と位置A〜Cとの距離関係を共通にするためには、対象とされた保留表示Hの位置に応じて、位置A〜Cの位置をずらすようにしてもよい。
図22に示したアクティブ保留変化演出は、成功パターンとなったときにはアクティブ表示の色が“最終色”に成り上がるか、若しくは大当り期待度が成り上がりの色の中で最も低い1段階目の色(青)に成り上がるかのいずれかである。しかし、そのような1段階目の色に代えて、2段階目の色(緑)に成り上がるようにしてもよく、1段階目または2段階目のいずれかの色に成り上がるようにしてもよい。ただし、“最終色”が元々、1段階目の色に決定されているときには、2段階目の色に成り上がらないように規制する必要がある。
図30に示したタイマー変化演出は、アクティブ保留変化演出の第2変形例である。しかしながら、このような演出を保留表示の変化に関わる保留変化演出に流用してもよい。具体的には、保留表示Hに対して、図30のタイマー表示920を用いたタイマー変化演出が実行されるようにしてもよい。つまり、先読み演出としてタイマー変化演出が実行されるようにしてもよい。このような場合には、タイマー変化演出が実行されるまでに実行される変動表示がタイマー変化演出を実行することのできる変動時間であるか否かを判定し、タイマー変化演出を実行できる変動時間であれば、タイマー変化演出を実行すればよい。そして、タイマー変化演出により、アクティブ表示AHではなく、保留表示Hが変化するようにしてもよい。
[特定演出(保留変化演出およびアクティブ保留変化演出)のパターンの採用]
本実施の形態においては、保留表示あるいはアクティブ表示に向かって投げられたボールは、必ず対象の保留表示あるいはアクティブ表示にぶつかる演出とした。しかし、投げ放たれたボールが対象の保留表示あるいはアクティブ表示にぶつからないような演出も発生し得るように設定してもよい。たとえば、途中で横風に煽られて、ボールが上手く対象の保留表示あるいはアクティブ表示にあたらずに通過していくような失敗パターンに代えること、あるいは、そのような失敗パターンをさらに追加することが考えられる。
パチンコ遊技機1は、特定演出として、これまでに説明した保留変化演出およびアクティブ保留変化演出のうちの一方のみを採用したものとしてもよいし、双方を採用したものとしてもよい。また、保留変化演出の内容としては、これまでに説明した変形例を含むすべての演出のうちの少なくとも1つ(あるいはすべて)を採用したものとすることが考えられる。同様に、アクティブ保留変化演出の内容としては、これまでに説明した変形例を含むすべての演出のうちの少なくとも1つ(あるいはすべて)を採用したものとすることが考えられる。
[その他の変形例]
前述した実施の形態では、遊技者にとって有利な有利状態として、大当り遊技状態を代表例として説明した。しかし、これに限らず、遊技者にとって有利な有利状態としては、高確率状態(確変状態)、時短状態、および、高ベース状態等のその他の有利状態が含まれてもよい。
前述の実施の形態では、演出装置を制御する回路が搭載された基板として、演出制御基板80、音声出力基板70およびランプドライバ基板35が設けられているが、演出装置を制御する回路を1つの基板に搭載してもよい。さらに、演出表示装置9等を制御する回路が搭載された第1の演出制御基板(表示制御基板)と、その他の演出装置(ランプ、LED、スピーカ27R,27L等)を制御する回路が搭載された第2の演出制御基板との2つの基板を設けるようにしてもよい。
前述の実施の形態では、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、演出制御用マイクロコンピュータ100に対して直接コマンドを送信していたが、遊技制御用マイクロコンピュータ560が他の基板(たとえば、図3に示す音声出力基板70やランプドライバ基板35等、または音声出力基板70に搭載されている回路による機能とランプドライバ基板35に搭載されている回路による機能とを備えた音/ランプ基板)に演出制御コマンドを送信し、他の基板を経由して演出制御基板80における演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されるようにしてもよい。その場合、他の基板においてコマンドが単に通過するようにしてもよいし、音声出力基板70、ランプドライバ基板35、音/ランプ基板にマイクロコンピュータ等の制御手段を搭載し、制御手段がコマンドを受信したことに応じて音声制御やランプ制御に関わる制御を実行し、さらに、受信したコマンドを、そのまま、またはたとえば簡略化したコマンドに変更して、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータ100に送信するようにしてもよい。その場合でも、演出制御用マイクロコンピュータ100は、上記の実施の形態における遊技制御用マイクロコンピュータ560から直接受信した演出制御コマンドに応じて表示制御を行なうのと同様に、音声出力基板70、ランプドライバ基板35または音/ランプ基板から受信したコマンドに応じて表示制御を行なうことができる。このような構成の場合には、前述した実施の形態で演出制御用マイクロコンピュータ100が行なっていた各種決定については、同様に演出制御用マイクロコンピュータ100が行なうようにしてもよく、または、音声出力基板70、ランプドライバ基板35、または、音/ランプ基板に搭載したマイクロコンピュータ等の制御手段が行なうようにしてもよい。
前述した実施の形態では、変動時間およびリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータに通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターンコマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータに通知する様にしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御マイクロコンピュータは、1つ目のコマンドでは擬似連の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信する様にしてもよい。この場合、演出制御用マイクロコンピュータは2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行なうようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータの方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様については演出制御用マイクロコンピュータの方で選択を行なう様にしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信する様にしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(たとえば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信する様にしてもよい。なお、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターンコマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。このように2つのコマンドにより変動パターンを演出制御用マイクロコンピュータに通知する構成においては、1つ目のコマンドを送信した後の2つ目のコマンドにおいて、入賞時演出処理による表示結果の判定結果、および、変動パターン種別のような先読み判定情報を送信し、その2つ目のコマンドを受信したことに基づいて、先読み予告の演出を実行するようにしてもよい。ここで擬似連とは、本来は1つの保留記憶に対応する1回の変動であるものの複数の保留記憶に対応する複数回の変動が連続して行なわれているように見せる演出表示である擬似連続変動を示す略語である。また、滑りとは、変動表示において図柄の停止直前に図柄を停止予測位置から滑らせる演出表示をいう。
前述した実施の形態は、パチンコ遊技機1の動作をシミュレーションするゲーム機等の装置にも適用することができる。前述した実施の形態を実現するためのプログラム及びデータは、コンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。そして、ゲームの実施形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行なうことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
本実施の形態として、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出す遊技機を説明したが、遊技媒体が封入され、入賞の発生に応じて遊技媒体を遊技者の手元に払い出すことなく遊技点(得点)を加算する封入式の遊技機を採用してもよい。封入式の遊技機には、遊技媒体の一例となる複数の玉を遊技機内で循環させる循環経路が形成されているとともに、遊技点を記憶する記憶部が設けられており、玉貸操作に応じて遊技点が記憶部に加算され、玉の発射操作に応じて遊技点が記憶部から減算され、入賞の発生に応じて遊技点が記憶部に加算されるものである。
前述した実施の形態では、たとえば「1」〜「9」の複数種類の特別図柄や演出図柄を変動表示し表示結果を導出表示する場合を示したが、変動表示は、そのような態様にかぎられない。例えば、変動表示される図柄と導出表示される図柄とが必ずしも同じである必要なく、変動表示された図柄とは異なる図柄が導出表示されるものであってもよい。また、必ずしも複数種類の図柄を変動表示する必要はなく、1種類の図柄のみを用いて変動表示を実行するものであってもよい。この場合、例えば、その1種類の図柄表示を交互に点灯および点滅を繰り返すことによって、変動表示を実行するものであってもよい。そして、この場合であっても、その変動表示に用いられる1種類の図柄が最後に導出表示されるものであってもよいし、その1種類の図柄とは異なる図柄が最後に導出表示されるものであってもよい。
前述した実施の形態では、「割合(比率、確率)」として、0%を越える所定の値を具体例に挙げて説明した。しかしながら、「割合(比率、確率)」としては、0%であってもよい。たとえば、所定の遊技期間における所定の遊技状態1の発生割合と他の遊技状態2との発生割合とを比較して、「一方の発生割合が他方の発生割合よりも高い」とした場合には、一方の遊技状態の発生割合が0%の場合も含んでいる。
前述した実施の形態では、変動表示の表示結果を確変大当りとすることが決定されたときの変動表示結果が導出表示された後、大当り遊技状態の終了後に、無条件で確変状態に制御される確変状態制御例を示した。しかし、これに限らず、特別可変入賞球装置20における大入賞口内に設けられた特定領域を遊技球が通過したことが検出手段により検出されたときに、確変状態に制御される、確変判定装置タイプの確変状態制御が実行されるようにしてもよい。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。