JP6757307B2 - 回折素子の設計方法 - Google Patents

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本発明は、光の強度パターンを変換する機能を有する回折素子の設計方法に関する。
フレネルレンズに代表される光回折素子は、光の波動としての性質を利用して、光強度のパターンを変換する光学部品であり、様々な産業領域で用いられている。フレネルレンズは、一定の波長をもつ光について、波長のピッチでの周期性があることを利用し、一般的には肉厚のレンズを薄型化したもので、光を集光する機能を有する。フレネルレンズ以外にも、現在では波動光学を活用して、光ビームの形をさまざまに変換するような回折素子が多く開発され、用いられている。
光ビームを高い自由度で波面変換する技術に、ホログラフィーがある。ホログラフィーでは、物体光と呼ばれる多くの情報を含んだ光と、参照光と呼ばれる光とを干渉させ、このときの干渉縞を感光媒体に写し取る。この写し取られた干渉縞をホログラムと呼ぶ。このホログラムに先に用いた参照光のみを照射すると、強度と位相が変調され、作製時に用いた物体光を再生する光が生成される。つまり、この一種の回折素子により、参照光から物体光へと光ビームが変換される。ホログラフィーの原理を用いた回折素子は、非常に忠実度高く、元の物体光を再生することができる。
しかし、前述のように、ホログラフィーでは入射光(参照光)の位相を変調するとともに、強度も変調する。物体光を忠実に再生するために不要な光は、吸収したり散乱したりして、取り除かれる。このため、入射光のトータルのパワーに対し、出射光(再生物体光)のパワーは減衰することは避けられず、パワーの点では、変換の効率は必ずしも十分に高くはならない。
一方、上述したホログラフィーを実現する回折素子であるホログラムとは異なり、光位相の変調のみを行い、光強度は変化させない回折素子があり、この回折素子は一般的にキノフォームと呼ばれている(非特許文献1)。キノフォームは、ガラス基板の表面に凹凸パターンを加工し、この基板に概ね垂直に入射した光の光路長に変調をかけ、これによって光位相の変調を行うが、これによって強度の変調は起こらない。前述のフレネルレンズは、このキノフォームの特殊例ともいえる。高いパワーの光を入射する場合、ホログラムのように光吸収がある回折素子では、吸収したパワーによる発熱で素子が破壊されることも想定され、強度変調を行わないキノフォームの方が有利なことがある。
一岡芳樹,"キノフォームとその応用,"光学第2巻第3号, pp. 133−152, 1973.
上記のように、位相の変調のみを行うキノフォームは、強度変調を行うホログラムよりも優れる点があるが、その代わりに、位相変調のみに制約されるため、ホログラムと同様な波面の変換は困難であり、それがパワーの変換の効率を制限していた。
本発明は、係る従来の問題に鑑みなされたものである。本発明の目的は、強度変調を行わないキノフォームにおいて、目的の光強度パターンを高い充実度で実現し、且つ、高いパワー変換効率を実現する回折素子の設計方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、一実施形態に記載された発明は、回折素子面において第1の光強度分布で入射する所定の波長λの入射光を結像面において第2の光強度分布を有する出射光となるように変換する回折素子の設計方法であって、前記第1の光強度分布と前記第2の光強度分布とに基づいて前記回折素子の面上の1点を始点とし結像面の面上の1点を終点とする光線を定義したときの始点の座標と終点の座標との間の対応関係である一対一の写像関係を決定する工程と、前記始点の座標における波面の法線が前記終点の座標に達するように前記写像関係に基づいて前記回折素子面における第1の波面の関数を決定する工程と、前記第1の波面の関数と前記入射光の位相とから回折素子によっておこなうべき位相変調を算出する工程と、前記算出した回折素子によっておこなうべき位相変調の分布から前記回折素子における厚さの分布を算出する工程と、を含み、直交xyz座標系は、前記回折素子面上に原点があり、且つ、当該回折素子面上にx軸とy軸とがあり、直交x’y’z’座標系は、前記結像面の面上に原点があり、且つ、当該結像面の面上にx’軸とy’軸があり、直交xyz座標系上の座標と直交x’y’z’座標上の座標との変換が、回転を表す直交行列<C>及び<C‘>と平行移動を表すベクトル<b>及び<b’>とを用いて、(x,y,z)=<C>(x’,y’,z’)+<b>及び(x’,y’,z’)=<C’>(x,y,z)+<b’>で表されるとき、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記始点の座標が(x1,y1)であり、前記第1の光強度分布がI(x1,y1)であり、前記終点の座標が(x’1,y’1)であり、前記第2の光強度分布がI’(x’1,y’1)であるときに、I(x1,y1)dx1dy1=I’(x’1,y’1)dx’1dy’1なる関係が常に成り立つように前記対応関係を決定し[但し、ここではdx’1を始点の座標x1がdx1だけ動いたときに対応する終点の座標x’1が動く距離、dy’1を始点の座標y1がdy1だけ動いたときに対応する終点の座標y’1が動く距離とする]、さらに、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記第1の光強度分布I 0 (x,y)がxy変数分離可能であり、且つ、前記第2の光強度分布I’(x’,y’)がx’y’変数分離可能な場合、当該回折素子の面上のxとyとの変数に分離して得られるxのみの関数I 0x (x)とyのみの関数I 0y (y)、および、当該結像面の面上のx’とy’との変数に分離して得られるx’のみの関数I’ x (x’)とy’のみの関数I’ y (y’)とにおいて、当該関数I 0x (x)をx上で0からx 1 まで積分した結果のJ 0x (x 1 )、及び当該関数I’ x (x’)をx’上で0からx’ 1 まで積分した結果のJ’ x (x’ 1 )と、当該関数I 0y (y)をy上で0からy 1 まで積分した結果のJ 0y (y 1 )、及び当該関数I’ y (y’)をy’上で0からy’ 1 まで積分した結果のJ’ y (y’ 1 )と、がJ 0x (x 1 )=J’ x (x’ 1 )、J 0y (y 1 )=J’ y (y’ 1 )となる関係に基づいて、前記始点の座標(x1,y1)と前記終点の座標(x’1,y’1)との一対一の写像関係を決定することを特徴とする。
他の実施形態に記載された発明は、回折素子面において第1の光強度分布で入射する所定の波長λの入射光を結像面において第2の光強度分布を有する出射光となるように変換する回折素子の設計方法であって、前記第1の光強度分布と前記第2の光強度分布とに基づいて前記回折素子の面上の1点を始点とし結像面の面上の1点を終点とする光線を定義したときの始点の座標と終点の座標との間の対応関係である一対一の写像関係を決定する工程と、前記始点の座標における波面の法線が前記終点の座標に達するように前記写像関係に基づいて前記回折素子面における第1の波面の関数を決定する工程と、前記第1の波面の関数と前記入射光の位相とから回折素子によっておこなうべき位相変調を算出する工程と、前記算出した回折素子によっておこなうべき位相変調の分布から前記回折素子における厚さの分布を算出する工程と、を含み、直交xyz座標系は、前記回折素子面上に原点があり、且つ、当該回折素子面上にx軸とy軸があり、直交x’y’z’座標系は、前記結像面の面上に原点があり、且つ、当該結像面の面上にx’軸とy’軸があり、直交xyz座標系上の座標と直交x’y’z’座標上の座標との変換が、回転を表す直交行列<C>及び<C‘>と平行移動を表すベクトル<b>及び<b’>とを用いて、(x,y,z)=<C>(x’,y’,z’)+<b>及び(x’,y’,z’)=<C’>(x,y,z)+<b’>で表されるとき、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記始点の座標が(x1,y1)であり、前記第1の光強度分布がI(x1,y1)であり、前記終点の座標が(x’1,y’1)であり、前記第2の光強度分布がI’(x’1,y’1)であるときに、I(x1,y1)dx1dy1=I’(x’1,y’1)dx’1dy’1なる関係が常に成り立つように前記対応関係を決定し[但し、ここではdx’1を始点の座標x1がdx1だけ動いたときに対応する終点の座標x’1が動く距離、dy’1を始点の座標y1がdy1だけ動いたときに対応する終点の座標y’1が動く距離とする]、前記回折素子の面上で強度分布を有する領域がxについて、x l1 <x<x l2 であり、結像面の面上で強度分布を有する領域がx’について、x’ l1 <x’<x’ l2 である場合、さらに、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記第1の光強度分布I 0 (x,y)をyを固定した上で変数xについてx l1 からx l2 までの範囲を積分して得られるyのみの関数P 0 (y)と、前記第2の光強度分布I’(x’,y’)をy’を固定した上で変数x’についてx’ l1 からx’ l2 の範囲を積分して得られるy’のみの関数P’(y’)とにおいて、当該関数P 0 (y)をy上で0からy 1 まで積分した結果のQ 0 (y 1 )と、当該関数P’(y’)をy’上で0からy’ 1 まで積分した結果のQ’(y’ 1 )とがQ 0 (y 1 )=Q’(y’ 1 )となる関係に基づいて、y 1 とy’ 1 との対応関係を求め、且つ、yをy’ 1 に対応したy 1 に固定してx上で0からx 1 まで積分して得られるJ 0 (x 1 ,y 1 )に対し、y’をy’ 1 に固定してx’上で0からx’ 1 まで積分して得られるJ’(x’ 1 ,y’ 1 )を等しくした条件下のy=y 1 ,y’=y’ 1 でのx 1 とx’ 1 との対応関係を求めることにより、前記始点の座標(x1,y1)と前記終点の座標(x’1,y’1)との一対一の写像関係を決定することを特徴とする。
回折素子が配置される回折素子面と結像面との座標の関係を説明する図である。 図1の回折素子面における光の振幅分布の不整合を説明する図である。 直進性の高い光線の始点と終点との関係を説明する図である。 変数分離が可能な場合の一対一の写像関係を決定する処理フローを示す図である。 回折素子面上の波面を決定することにより回折素子によって行うべき位相変調を求める処理フローを示す図である。 結像面上での波面を決定することにより回折素子によって行うべき位相変調を求める処理フローを示す図である。 変数分離を前提とせずに光線の始点と終点の2点の座標の間の写像を決める手順を説明する図である。 実施例1で生成することを目的とした光強度パターンの図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(回折素子面における光の振幅分布の不整合について)
図1は回折素子と結像面との座標の関係を説明する図であり、図2は回折素子面における光の振幅分布の不整合を説明する図である。図1においては、回折素子面1に配置された回折素子に光が入射すると、この回折素子で位相変調が加えられてから右方向に進み、結像面2において所望の像を結ぶ場合を考える。
図1に示すように、回折素子面1の面内にxyの直交座標をおいており、さらにこれに直交するz座標を設定する。また、同様にして結像面2の面内にx’y’の直交座標をおき、これに直交するz’座標を設定する。このような説明ではxy座標の軸とx’y’座標の軸は平行で、原点がz方向にずれているだけ、とするのが分かりやすく、よく用いられているが、回折素子が光を反射するタイプの場合、回折素子面1と結像面2とは平行にならない場合もあるので、本実施形態では図1に示すように、回折素子面1と結像面2とが平行でない場合のものを表している。また、本明細書では、「ベクトル」をブロック体で表したり、<>で囲んで表したりする。
ここで、任意の点Pの座標をxyz座標系で<r>=(x,y,z)、x’y’z’座標系で<r’>=( x’,y’,z’)としたとき、これらの座標系同士への変換は直交行列Cによる回転とベクトル<b>による平行移動で可能であるとする。つまり、
Figure 0006757307
とする。ここで、回折素子面1でのスカラー電磁場を複素振幅でU(x,y)とすると、結像面2でのスカラー電磁場U’(x’,y’)は、
Figure 0006757307
と表される。積分は、回折素子面内全域について行う。また、
Figure 0006757307
は、回折素子面1上の1点<rp>= (x,y,0)と結像面2上の1点<rp’>=(x’,y’,0)との相関を表す関数であり、
Figure 0006757307
である。ここで、jは虚数単位、λ0は波長、kは波数であり、k=2π/λ0である。簡単な例として、x’軸とx軸、y’軸とy軸が平行であり、z’軸とz軸は重なっていてz0のずれがある場合、
Figure 0006757307
となるから、
Figure 0006757307
であるので、
Figure 0006757307
と書くことができる。もうひとつの例として、x’軸とx軸が平行であるが、y’軸とz’軸とはy軸z軸に対して45度の傾きがあり、また、z0のずれがある場合は、
Figure 0006757307
となるから、
Figure 0006757307
と書くことができる。
以上で、回折素子面1での電磁場から結像面2での電磁場を求める方法について述べたが、逆に結像面2の電磁場から回折素子面1での電磁場を求めることも同様にできる。
Figure 0006757307
ここで、*は複素共役を表し、また、
Figure 0006757307
である。あるいは、
Figure 0006757307
としてもよい。(2)式などの積分は、いわゆるホイヘンスの原理を式で表したものと考えてもよい。すなわちG(x,y:x’,y’)は、1点から周囲に放射状に伝搬してゆく球面波を表しており、回折素子面1の面上の全ての点から発生する球面波を重ねあわされたものが、結像面2の面内で形成される電磁場であると考える。あるいは、(8)によれば、結像面2の面上の点光源から発生する球面波を重ねあわせて回折素子面1の面内の電磁場を計算する。回折素子面1に左側から入射するスカラー電磁場U0(x,y)なる光を、結像面2でU’(x’,y’)となるような光に変換するためには、まず結像面2のU’(x’,y’)から回折素子面1のU(x,y)を計算する。ここから、
Figure 0006757307
となるような光変調H(x,y)をする機能を回折素子に持たせればよい。ところで、U0(x,y)などは複素数であるから、これらを実関数二つを使って極座標表示する。
Figure 0006757307
AとΦなどが実関数である。すると(11)より、
Figure 0006757307
となるように回折素子を設計すればよいことが分かる。この(13)の後者のΦHの方は、前述のようにガラス板などの表面を凹凸加工すれば実現できる。例えば、屈折率nのガラス板の表面に凹凸がついており、その厚さがd(x,y)なる分布をもっている場合、このガラス板に垂直に光を入射して透過させることにより、
Figure 0006757307
のように位相が変調される。前者のAHについても、クロム膜などを用いた変調が可能である。すなわちガラス板にクロム膜を形成して、光の強度を変調する(減衰させる)ことができる。しかしこのとき、光の強度を増幅することは困難であるので、減衰させることになる(AH<1)。その結果、光パワーの変換効率を下げることになるし、高いパワーのレーザを用いる場合には、減衰させた光パワーによる発熱で素子が破壊されてしまう。
ここで、当然のことながら、光パワーを減衰させない最適解はAH=1であるといえる。しかしながら前述のように、回折素子面1の面内の電磁場U(x,y)は、結像面2の面上の点光源から発生する光波を重ねあわせたものであるので、干渉縞が発生する。干渉縞が発生すると、U(x,y)の振幅部分であるA(x,y)は、図2の計算で得られるA(x,y)として示されるように空間的に細かいピッチで大きく揺らぐ関数になるのが一般的である。これに対し、入射光にはガウシアンビームが用いられることが多いので、図2に示すように、入射光の振幅部分であるA0(x,y)の形はA(x,y)とは大きく異なる。その結果、目的通りのU’(x’,y’)を結像面2の上で生成することができない。そこで、本実施形態では、このような回折素子における光の振幅分布の不整合がないように以下のような工程により決定された回折素子面における位相変調を実現するように回折素子を設計する。
(電磁場の一致から振幅の一致へ)
ここまでは、結像面2でU’(x’,y’)なる電磁場を実現することを直接の目的としていたが、ほとんどの回折素子の用途では、光電磁場分布そのものよりも光強度分布が所望のものになればよい。光強度分布I’(x’,y’)は、光電磁場分布とは、下記(15)式に示す関係で結ばれている。
Figure 0006757307
つまり、光強度分布を所望のものにするために目的の値に合わせることが必要なのはA’(x’,y’)のみであり、位相部分であるΦ’(x’,y’)については、高い自由度で選択可能である。これは、光強度分布I’(x’,y’)は直接観測することができるが、Φ’(x’,y’)は特別の測定系でも用いなければ観測できないことからである。すなわち、Φ’(x’,y’)はどんな形であっても問題にならないことが多いといえる。そこで、A0(x,y)がA(x,y)に一致するように、Φ’(x’,y’)の形状を設計すればよいといえる。(15)式と同様に、
Figure 0006757307
であるから、これは、(10)式の計算で得られるU(x,y)が、U(x,y)U*(x,y)=I(x,y)が、I0(x,y)に一致するようにΦ’(x’,y’)を設計することを意味する。
したがって、U0(x,y)なる光をU’(x’,y’)なる光に効率よく変換するような回折素子を作製するためには、入射光の電磁場U0(x,y)の振幅部分であるA0(x,y)に回折格子面1の面内の電磁場U(x,y)の振幅部分であるA(x,y)を一致させることを考えればよいといえる。したがって、本実施形態においては光の振幅部分を変調せずに位相部分の変調のみで光の変換を行うことができるような回折素子を作製することを考える。
また、U’(x’,y’)が高い空間周波数成分を持つ場合、言い換えると、U’(x’,y’)が空間的に細かいピッチで大きく変動するような場合、光は回折の影響が大きくなる。この場合、(10)式で回折素子面1の面内の電磁場U(x,y)を計算するとき、結像面2の面上の各点光源から発生する光波は大きく回折して周囲に広がり、相互の干渉が強くなるため、回折素子面1の面内で干渉縞による強度I(x,y)のゆらぎを抑えるのが困難である。そこで、U’(x’,y’)として空間的に緩やかにしか変動しないものを選び、空間周波数を低く抑えると、光波は回折が小さく、直進性が高まり、幾何光学的に光線を使った解析も可能となり、I(x,y)の空間的なゆらぎを抑制することもやりやすくなる。
したがって本実施形態では、回折素子面1上の任意の点を始点とする光線が、結像面2上の1つの終点に到達するような周波数の光、すなわち直進性の高い光について、回折素子において位相変調を行なうことを考える。この場合、U’(x’,y’)は、2πD/(λ00)を大きく超える空間周波数成分を含まないようなものであることが必要である。ただし、Dは入射光のサイズ、z0は回折素子面1と結像面2との間の距離である。したがって、本実施形態の回折素子では、かかる限定された空間周波数成分よりなるU’(x’,y’)が結像面にて生成する電磁場分布として用いられるものとして考える。
(一対一の写像関係の決定)
図3は、直進性の高い光線の始点と終点との関係を説明する図である。本実施形態における回折素子面から結像面へ進む光線の始点と終点の関係は図3を用いて説明することができる。図3では、説明の便宜のため、以降はyとy’を省略し、1次元の関数として示している。図3(a)の曲線は回折素子面1の面内での入射光の強度分布I0(x)を示し、図3(b)の曲線は結像面2の面内での光強度分布I’(x’)を示している。
本実施形態では、所定の周波数の光、すなわち空間的に緩やかに変動するU’(x’)を用いるので、その振幅の2乗であるI’(x’)も空間的に緩やかに変動する。この場合、回折素子面1の上の特定の一点(x=x1)から発した光線は球面波のように広がらずに直線的に進み、結像面2の上の特定の一点(x’=x’1)に到達すると考えられる。逆に、結像面2上のx’=x’1の近傍到達する光線は、全て回折素子面1上のx=x1の近傍から発し、他の領域からx’=x’1に到達する光線はないと考えられる。つまり、図3に示すように、回折素子面1上の光線始点の座標x=x1と結像面2上の光線終点の座標x’=x’1との間に、一対一の写像関係が成り立っているといえる。
したがって、x’=x’1近傍の微小領域の光エネルギーは全て、x=x1近傍の微小領域からの光エネルギーで賄うことになる。数式で表すと、
Figure 0006757307
となる。これより、
Figure 0006757307
とJ0(x)とJ’(x’)とを定義して、
Figure 0006757307
なる条件が必要となる。したがって、J0とJ’の逆関数をそれぞれJ0 -1とJ’-1と書くとして、
Figure 0006757307
または、
Figure 0006757307
なる写像関係がx1とx’1との間に必要となる。回折素子面1上の座標x1から発する光線は、(21)式を用いて計算される座標x’1で表される結像面2上の点に向かうように、あるいは、結像面2上の座標x’1に到達する光線は、(20)式を用いて計算される座標x1で表される回折素子面1上の点の方向から来るように、回折素子を設計すればよい。
以上の説明では、便宜上、y等を省略してx等のみに依存する1次元の分布を扱ったが、これをx,yの2次元の関数に適用する方法はいくつかある。多くの場合、もっとも単純な変数分離の方法によることができる。これは、目的とするI’(x’,y’)も入射光の強度分布I0(x,y)も、x’,y’それぞれの個別の関数の積で表せる場合である。
Figure 0006757307
この場合、I0x(x)とI’x(x’)とから、(18)式から(21)式を用いてx1とx’1との間の写像関数を計算し、I0y(y)とI’y(y’)とからy1とy’1との間の写像関数を計算する。これにより、光線の始点の座標(x1,y1)と光線の終点の座標(x’1, y’1)との間の1対1の写像関係が導かれる。ただし、3次元の座標で表すと、これらの点の座標はそれぞれ、<r1>=(x1,y1,0)と<r’1>=(x’1,y’1,0)である。つまり、(18)式と同様に定義したJ0x(x)、J’x(x’)、J0y(y)、J’y(y’)を用いて、
Figure 0006757307
または、
Figure 0006757307
である。
図4は、変数分離が可能な場合の一対一の写像関係を決定する処理フローを示す図である。図4に示すように、入射光の回折素子面上での光強度分布I0(x,y)は、回折素子面上の変数x、yに変数分離を行って(S401)xのみの関数I0x(x)とyのみの関数I0y(y)に分離する。xのみの関数について0からx1まで定積分して(S402)J0x(x1)を求め、yのみの関数についても0からy1まで定積分して(S403)J0y(y1)を求める。結像面で生成することを目的とする光強度分布I’(x’,y’)についても同様にJ’0(x’1)とJ’y(y’1)とを求める(S404からS406)。
以上求めたJ0x(x1)、J0y(y1)、J’0(x’1)、J’y(y’1)から、J0x(x1)=J’0(x’1)、J0y(y1)=J’y(y’1)とおいて、回折素子面1上の光線の始点座標(x1,y1)と結像面2上の終点座標(x’1,y’1)との間の写像関係を決定する(S407)。
(回折素子によって行うべき位相変調の決定)
本実施形態ではさらに、上記のように決定された始点・終点の関係を成立させるための回折素子面1上または結像面2上での波面を決定して回折素子面1上で発生させるべき電磁場の位相を特定することにより、回折素子によって行うべき位相変調を求める。
図5は回折素子面上の波面を決定することにより回折素子によって行うべき位相変調を求める処理フローを示す図である。まず、図5に基づいて回折素子面1上の波面を決定して位相変調を求める方法について述べる。回折素子面1での波面を表す曲面をz=s(x,y)と書くと、曲面z=s(x,y)の接線ベクトル(1,0,∂s/∂x)と(0,1,∂s/∂y)との両方が始点と終点との写像関係を示す位置ベクトル<r’1>−<r1>に直交する条件から、下記(25)式を導く(S501)。
Figure 0006757307
したがって、この(25)式を満足するよう、s(x,y)を導くことによって波面が求められる。ただし、C11などは座標変換の直交行列Cの成分である。またbxなどは前述のベクトル<b>の成分である。このようにすると、回折素子面1上の点<r1>=(x1,y1,0)における波面の法線が、結像面2上の点<r’1>=(x’1,y’1,0)を通るため、<r1>を発する光線が<r’1>に達することになる。(25)式から、積分によってs(x,y)を計算する(S502)。計算されたs(x,y)より、
Figure 0006757307
により、回折素子面1上で発生させるべき電磁場の位相部分Φ(x,y)が求まる。したがって(13)式より、
Figure 0006757307
が回折素子によって行うべき位相変調となる(S503)。
図6は、結像面上の波面を決定することにより回折素子によって行うべき位相変調を求める処理フローを示す図である。図6に示す例では、直交行列Cの逆行列C’を用いて(1)を書き直して
Figure 0006757307
Figure 0006757307
とし、さらに、結像面2での波面を表す曲面を表す曲面もz’=s’(x’,y’)と書いて、下記(30)式が導ける(S601)。
Figure 0006757307
したがって、上記(30)式を満足するよう、S’(x’,y’)を定める(S602)。ただし、C’11などはC’の成分、b’xなどはベクトル<b’>の成分である。この場合は、結像面2上の点<r’1>=(x’1,y’1,0)における波面の法線が、回折素子面1上の点<r1>=(x1,y1,0)を通るため、<r’1>に達する光線は<r1>を始点とすることになる。(26)式と同様にして、
Figure 0006757307
となるから、
Figure 0006757307
とによって(12)式を用いてU’(x’,y’)を構成し、そこから(8)式または(10)式を用いてU(x,y)を計算し(S603)、この位相部分としてΦ(x,y)を得ることも可能である(S604)。あとは(13)式を用いて、(27)式と同様な、回折素子によって行うべき位相変調をえることができる(S605)。
図5の処理フローによる位相変調の1例として、回折素子面1と結像面2とが平行で(5)式がなりたつとき、(25)式は、
Figure 0006757307
となる(S501により導く)。この場合、s(x、y)でも変数分離ができて、
Figure 0006757307
が得られる(S502)。上記(34)式に示すような回折素子面1上の波面を表す曲面の関数s(x、y)がわかると、回折素子面1上で発生させるべき電磁場の位相部分がわかるので、(34)式により、(27)式を用いて回折素子(キノフォーム)で行うべき位相変調が求められる。
また、図6の処理フローによる位相変調の一例についても、上記と同じく(5)式が成り立つとき、
Figure 0006757307
となる(S601)ので、
Figure 0006757307
(S602)より、(12)式、(31)式、(32)式を用いてU’(x’,y’)を構成し、さらに(8)式などを用いてU(x,y)を計算する(S603)方法で、回折素子によって行うべき位相変調Φ(S604、S605)を得ることができる
回折素子面1の面内でU0(x,y)なる電磁場関数で表される入射光から結像面2の面内でI’(x’,y’)なる強度分布を有する光を生成しようとする場合、以上のようにしてU(x,y)を計算すると、回折素子面1上での入射光の振幅A0(x,y)とA(x,y)とが一致するため、位相変調のみでの光変換でも、パワー効率のよい変換が可能となる。
以上の工程により決定された回折素子によっておこなうべき位相変調ΦH(x,y)を用いて回折素子を設計する。例えば、透過型の回折素子を構成する材料の屈折率がnである場合は、(14)式を満たすように回折素子の厚さd(x、y)の分布を決定することができる。
(代替手法:変数分離されていない場合の写像関係の決定)
図4に示した例では、(22)式で示したような変数分離型の関数で表現できる入射光と出射光の場合について、回折素子の位相変調パターンを設計する方法にして詳細に説明したが、本発明の本質は、入射光の光強度分布を連続的に出射光の光強度分布に再配列するために、光線の始点と終点とを対応付ける写像を用いて回折素子パターンを計算することであり、変数分離型の関数に限定されるものではない。本質は、
Figure 0006757307
が満たされるように始点座標x1、y1と終点座標x’1、y’1との間に写像関係を決めることである。(ここでdx’1とは、始点座標dx1だけ動いたとき、それに対応する終点の座標x’1が動く距離を表し、dy’1も同様である。)ただし、ここから(18)式と同様にして一度に2次元の積分を行ってしまって(20)式のような対応関係を求めようとしても、方程式が一つしかないので、(x1,y1)と(x’1,y’1)との2次元の対応関係を決めることはできない。
図7は変数分離されていない場合の写像関係の決定の処理フローを示す図である。(x1、y1)と(x’1、y’1)との対応関係は図7に示す方法で決めてもよい。以下、図7を用いて変数分離されていない光強度分布を有する入射光における座標変換を行う方法の一つについて説明する。
回折素子面1内で光強度を有する領域がxl1<x<xl2、yl1<y<yl2であり、結像面2で光強度を有する領域がx’l1<x’<x’l2、y’l1<y’<y’l2であったとする。このときまず、
Figure 0006757307
を計算し(S701)、(S703)、引き続いて
Figure 0006757307
を計算する(S702)、(S704)。これより、
Figure 0006757307
なる変換関数を計算する(S705)。さらに、
Figure 0006757307
を、それぞれのy’1毎に計算する(S707)とともに、各y’1に(40)式で対応づけられたy1に対して
Figure 0006757307
を計算する(S706)。これより、
Figure 0006757307
として、
Figure 0006757307
を計算する。ただし、J0 -1(α;y1)は、y1を固定して
Figure 0006757307
とおいたときの、S(x1)の逆関数、S-1(α)=x1である。このようにして、各y1、y’1の組ごとにx1、x’1の組を決定し、(x1、y1)と(x’1、y’1)との対応関係を決める(S708)。なお、当然であるが、xとyとの役割を入れ替えてもよい。すなわち、(38)でx方向の定積分を初めに行ったが、y方向の定積分から先に行ってもよい。
図8に示すような光強度パターンを生成するような回折素子を、本発明の手法を用いて作製した。図8(a)はx’軸方向のプロファイルであり、図8(b)はy’軸方向のプロファイルである。図8(a)の光パターン部の横幅は1cm、図8(b)の横幅も1cmであった。このパターンを、回折素子から光軸上で20cm離れたところに発生させる。入射光は、波長1.06μm、1/e2直径1.5cmのコリメートガウシアンビームである。
結像面における図8のパターンも入射光も変数分離ができるので、図4の手順によって(x1,y1)と (x’1,y’1)との対応関係を決めた。
さらに、図5の手順によってΦH(x,y)を決めた。この位相変調を行う透過型の回折素子を、ガラス基板を用いて作製した。求めたΦH(x,y)から(14)によって決定した厚さ分布となるよう、表面の微細加工を行った。ただし、光の周期性を利用し、位相変調は0から2πまでとした。すなわち、整数Nを用いて下記(45)式を満たすような、0から2πまでに限定された位相変調ΦHRを用いた。
Figure 0006757307
ガラス板の微細加工によって作製された板状の回折素子に、波長1.06μm、1/e2直径1.5cmのコリメートガウシアンビームを垂直に入射すると、目的とした図7の光パターンが、素子から20cm離れたところに生成された。光パワーの変換効率は95%であった。
実施例1と同じ条件だが、光軸に対して45°傾いた板状の素子に光を反射させるタイプの回折素子を作製した。図4の手順によって(x1,y1)と (x’1,y’1)との対応関係を決め、図5の手順によってΦH(x,y)を決めるところまでは同じである。
この位相変調を行う回折素子を、ガラス基板上に反射用の金の膜を蒸着した構造にて作製した。光の周期性を用いて0から2πまでの位相変調を行うのは実施例1と同じであるが、ΦH(x,y)から厚さ分布への換算は反射型であるので実施例1とは異なって、下記(46)式とした。
Figure 0006757307
上記構造で作製された板状の回折素子に、波長1.06μm、1/e2直径1.5cmのコリメートガウシアンビームを45°の入射角で入射すると、90°反射し、素子から20cm離れたところに目的とした図8の光パターンが生成された。光パワーの変換効率は92%であった。

Claims (6)

  1. 回折素子面において第1の光強度分布で入射する所定の波長λの入射光を結像面において第2の光強度分布を有する出射光となるように変換する回折素子の設計方法であって、
    前記第1の光強度分布と前記第2の光強度分布とに基づいて前記回折素子の面上の1点を始点とし結像面の面上の1点を終点とする光線を定義したときの始点の座標と終点の座標との間の対応関係である一対一の写像関係を決定する工程と、
    前記始点の座標における波面の法線が前記終点の座標に達するように前記写像関係に基づいて前記回折素子面における第1の波面の関数を決定する工程と、
    前記第1の波面の関数と前記入射光の位相とから回折素子によっておこなうべき位相変調を算出する工程と、
    前記算出した回折素子によっておこなうべき位相変調の分布から前記回折素子における厚さの分布を算出する工程と、を含み、
    直交xyz座標系は、前記回折素子面上に原点があり、且つ、当該回折素子面上にx軸とy軸とがあり、直交x’y’z’座標系は、前記結像面の面上に原点があり、且つ、当該結像面の面上にx’軸とy’軸があり、直交xyz座標系上の座標と直交x’y’z’座標上の座標との変換が、回転を表す直交行列<C>及び<C‘>と平行移動を表すベクトル<b>及び<b’>とを用いて、(x,y,z)=<C>(x’,y’,z’)+<b>及び(x’,y’,z’)=<C’>(x,y,z)+<b’>で表されるとき、
    前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記始点の座標が(x1,y1)であり、前記第1の光強度分布がI(x1,y1)であり、前記終点の座標が(x’1,y’1)であり、前記第2の光強度分布がI’(x’1,y’1)であるときに、I(x1,y1)dx1dy1=I’(x’1,y’1)dx’1dy’1なる関係が常に成り立つように前記対応関係を決定し[但し、ここではdx’1を始点の座標x1がdx1だけ動いたときに対応する終点の座標x’1が動く距離、dy’1を始点の座標y1がdy1だけ動いたときに対応する終点の座標y’1が動く距離とする]、
    さらに、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記第1の光強度分布I 0 (x,y)がxy変数分離可能であり、且つ、前記第2の光強度分布I’(x’,y’)がx’y’変数分離可能な場合、当該回折素子の面上のxとyとの変数に分離して得られるxのみの関数I 0x (x)とyのみの関数I 0y (y)、および、当該結像面の面上のx’とy’との変数に分離して得られるx’のみの関数I’ x (x’)とy’のみの関数I’ y (y’)とにおいて、当該関数I 0x (x)をx上で0からx 1 まで積分した結果のJ 0x (x 1 )、及び当該関数I’ x (x’)をx’上で0からx’ 1 まで積分した結果のJ’ x (x’ 1 )と、当該関数I 0y (y)をy上で0からy 1 まで積分した結果のJ 0y (y 1 )、及び当該関数I’ y (y’)をy’上で0からy’ 1 まで積分した結果のJ’ y (y’ 1 )と、がJ 0x (x 1 )=J’ x (x’ 1 )、J 0y (y 1 )=J’ y (y’ 1 )となる関係に基づいて、前記始点の座標(x1,y1)と前記終点の座標(x’1,y’1)との一対一の写像関係を決定する
    ことを特徴とする回折素子の設計方法。
  2. 回折素子面において第1の光強度分布で入射する所定の波長λの入射光を結像面において第2の光強度分布を有する出射光となるように変換する回折素子の設計方法であって、
    前記第1の光強度分布と前記第2の光強度分布とに基づいて前記回折素子の面上の1点を始点とし結像面の面上の1点を終点とする光線を定義したときの始点の座標と終点の座標との間の対応関係である一対一の写像関係を決定する工程と、
    前記始点の座標における波面の法線が前記終点の座標に達するように前記写像関係に基づいて前記回折素子面における第1の波面の関数を決定する工程と、
    前記第1の波面の関数と前記入射光の位相とから回折素子によっておこなうべき位相変調を算出する工程と、
    前記算出した回折素子によっておこなうべき位相変調の分布から前記回折素子における厚さの分布を算出する工程と、を含み、
    直交xyz座標系は、前記回折素子面上に原点があり、且つ、当該回折素子面上にx軸とy軸があり、直交x’y’z’座標系は、前記結像面の面上に原点があり、且つ、当該結像面の面上にx’軸とy’軸があり、直交xyz座標系上の座標と直交x’y’z’座標上の座標との変換が、回転を表す直交行列<C>及び<C‘>と平行移動を表すベクトル<b>及び<b’>とを用いて、(x,y,z)=<C>(x’,y’,z’)+<b>及び(x’,y’,z’)=<C’>(x,y,z)+<b’>で表されるとき、
    前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記始点の座標が(x1,y1)であり、前記第1の光強度分布がI(x1,y1)であり、前記終点の座標が(x’1,y’1)であり、前記第2の光強度分布がI’(x’1,y’1)であるときに、I(x1,y1)dx1dy1=I’(x’1,y’1)dx’1dy’1なる関係が常に成り立つように前記対応関係を決定し[但し、ここではdx’1を始点の座標x1がdx1だけ動いたときに対応する終点の座標x’1が動く距離、dy’1を始点の座標y1がdy1だけ動いたときに対応する終点の座標y’1が動く距離とする]、
    前記回折素子の面上で強度分布を有する領域がxについて、x l1 <x<x l2 であり、結像面の面上で強度分布を有する領域がx’について、x’ l1 <x’<x’ l2 である場合、
    さらに、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記第1の光強度分布I 0 (x,y)におけるyを固定した上で変数xについてx l1 からx l2 までの範囲を積分して得られるyのみの関数P 0 (y)と、前記第2の光強度分布I’(x’,y’)におけるy’を固定した上で変数x’についてx’ l1 からx’ l2 の範囲を積分して得られるy’のみの関数P’(y’)とにおいて、当該関数P 0 (y)をy上で0からy 1 まで積分した結果のQ 0 (y 1 )と、当該関数P’(y’)をy’上で0からy’ 1 まで積分した結果のQ’(y’ 1 )とがQ 0 (y 1 )=Q’(y’ 1 )となる関係に基づいて、y 1 とy’ 1 との対応関係を求め、且つ、yをy’ 1 に対応したy 1 に固定してx上で0からx 1 まで積分して得られるJ 0 (x 1 ,y 1 )に対し、y’をy’ 1 に固定してx’上で0からx’ 1 まで積分して得られるJ’(x’ 1 ,y’ 1 )を等しくした条件下のy=y 1 ,y’=y’ 1 でのx 1 とx’ 1 との対応関係を求めることにより、前記始点の座標(x1,y1)と前記終点の座標(x’1,y’1)との一対一の写像関係を決定する
    ことを特徴とする回折素子の設計方法。
  3. 回折素子面において第1の光強度分布で入射する所定の波長λの入射光を結像面において第2の光強度分布を有する出射光となるように変換する回折素子の設計方法であって、
    前記第1の光強度分布と前記第2の光強度分布とに基づいて前記回折素子の面上の1点を始点とし結像面の面上の1点を終点とする光線を定義したときの始点の座標と終点の座標との間の対応関係である一対一の写像関係を決定する工程と、
    前記終点の座標における波面の法線が前記始点の座標から達したように前記写像関係に基づいて前記結像面における第2の波面の関数を決定する工程と、
    前記第2の波面の関数に基づいて前記結像面における電磁場関数を決定する工程と、
    前記決定された結像面の電磁場関数に対応する前記回折素子面における電磁場関数を求める工程と、
    前記求めた回折素子面における電磁場関数から始点の座標における位相を決定する工程と、
    前記決定された始点の座標における位相と前記入射光の位相とから回折素子によっておこなうべき位相変調を算出する工程と、
    前記算出した回折素子によっておこなうべき位相変調の分布から前記回折素子における厚さの分布を算出する工程と、を含み、
    直交xyz座標系は、前記回折素子の面上に原点があり、且つ、当該回折素子の面上にx軸とy軸があり、直交x’y’z’座標系は、前記結像面の面上に原点があり、且つ、当該結像面の面上にx’軸とy’軸があり、直交xyz座標系上の座標と直交x’y’z’座標上の座標との変換が、回転を表す直交行列<C>及び<C‘>と平行移動を表すベクトル<b>及び<b’>とを用いて(x,y,z)=<C>(x’,y’,z’)+<b>及び(x’,y’,z’)=<C’>(x,y,z)+<b’>で表されるとき、
    前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記始点の座標が(x 1 ,y 1 )であり、前記第1の光強度分布がI(x 1 ,y 1 )であり、前記終点の座標が(x’ 1 ,y’ 1 )であり、前記第2の光強度分布がI’(x’ 1 ,y’ 1 )であるときに、I(x 1 ,y 1 )dx 1 dy 1 =I’(x’ 1 ,y’ 1 )dx’ 1 dy’ 1 なる関係が常に成り立つように前記対応関係を決定し[但し、ここではdx’ 1 を始点の座標x 1 がdx 1 だけ動いたときに対応する終点の座標x’ 1 が動く距離、dy’ 1 を始点の座標y 1 がdy 1 だけ動いたときに対応する終点の座標y’ 1 が動く距離とする]、
    さらに、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記第1の光強度分布I 0 (x,y)がxy変数分離可能であり、且つ、前記第2の光強度分布I’(x’,y’)がx’y’変数分離可能な場合、当該回折素子の面上のxとyとの変数に分離して得られるxのみの関数I 0x (x)とyのみの関数I 0y (y)、および、当該結像面の面上のx’とy’との変数に分離して得られるx’のみの関数I’ x (x’)とy’のみの関数I’ y (y’)とにおいて、当該関数I 0x (x)をx上で0からx 1 まで積分した結果のJ 0x (x 1 )、及び当該関数I’ x (x’)をx’上で0からx’ 1 まで積分した結果のJ’ x (x’ 1 )と、当該関数I 0y (y)をy上で0からy 1 まで積分した結果のJ 0y (y 1 )、及び当該関数I’ y (y’)をy’上で0からy’ 1 まで積分した結果のJ’ y (y’ 1 )と、がJ 0x (x 1 )=J’ x (x’ 1 )、J 0y (y 1 )=J’ y (y’ 1 )となる関係に基づいて、前記始点の座標(x 1 ,y 1 )と前記終点の座標(x’ 1 ,y’ 1 )との一対一の写像関係を決定する
    ことを特徴とする回折素子の設計方法。
  4. 回折素子面において第1の光強度分布で入射する所定の波長λの入射光を結像面において第2の光強度分布を有する出射光となるように変換する回折素子の設計方法であって、
    前記第1の光強度分布と前記第2の光強度分布とに基づいて前記回折素子の面上の1点を始点とし結像面の面上の1点を終点とする光線を定義したときの始点の座標と終点の座標との間の対応関係である一対一の写像関係を決定する工程と、
    前記終点の座標における波面の法線が前記始点の座標から達したように前記写像関係に基づいて前記結像面における第2の波面の関数を決定する工程と、
    前記第2の波面の関数に基づいて前記結像面における電磁場関数を決定する工程と、
    前記決定された結像面の電磁場関数に対応する前記回折素子面における電磁場関数を求める工程と、
    前記求めた回折素子面における電磁場関数から始点の座標における位相を決定する工程と、
    前記決定された始点の座標における位相と前記入射光の位相とから回折素子によっておこなうべき位相変調を算出する工程と、
    前記算出した回折素子によっておこなうべき位相変調の分布から前記回折素子における厚さの分布を算出する工程と、を含み、
    直交xyz座標系は、前記回折素子の面上に原点があり、且つ、当該回折素子の面上にx軸とy軸があり、直交x’y’z’座標系は、前記結像面の面上に原点があり、且つ、当該結像面の面上にx’軸とy’軸があり、直交xyz座標系上の座標と直交x’y’z’座標上の座標との変換が、回転を表す直交行列<C>及び<C‘>と平行移動を表すベクトル<b>及び<b’>とを用いて(x,y,z)=<C>(x’,y’,z’)+<b>及び(x’,y’,z’)=<C’>(x,y,z)+<b’>で表されるとき、
    前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記始点の座標が(x 1 ,y 1 )であり、前記第1の光強度分布がI(x 1 ,y 1 )であり、前記終点の座標が(x’ 1 ,y’ 1 )であり、前記第2の光強度分布がI’(x’ 1 ,y’ 1 )であるときに、I(x 1 ,y 1 )dx 1 dy 1 =I’(x’ 1 ,y’ 1 )dx’ 1 dy’ 1 なる関係が常に成り立つように前記対応関係を決定し[但し、ここではdx’ 1 を始点の座標x 1 がdx 1 だけ動いたときに対応する終点の座標x’ 1 が動く距離、dy’ 1 を始点の座標y 1 がdy 1 だけ動いたときに対応する終点の座標y’ 1 が動く距離とする]、
    前記回折素子の面上で強度分布を有する領域がxについて、x l1 <x<x l2 であり、前記結像面の面上で強度分布を有する領域がx’について、x’ l1 <x’<x’ l2 である場合、
    さらに、前記一対一の写像関係を決定する工程では、前記第1の光強度分布I 0 (x,y)におけるyを固定した上で変数xについてx l1 からx l2 までの範囲を積分して得られるyのみの関数P 0 (y)と前記第2の光強度分布I’(x’,y’)におけるy’を固定した上で変数x’についてx’ l1 からx’ l2 の範囲を積分して得られるy’のみの関数P’(y’)とにおいて、当該関数P 0 (y)をy上で0からy 1 まで積分した結果のQ 0 (y 1 )と、当該関数P’(y’)をy’上で0からy’ 1 まで積分した結果のQ’(y’ 1 )とがQ 0 (y 1 )=Q’(y’ 1 )となる関係に基づいて、y 1 とy’ 1 との対応関係を求め、且つ、yをy’ 1 に対応したy 1 に固定してx上で0からx 1 まで積分して得られるJ 0 (x 1 ,y 1 )に対し、y’をy’ 1 に固定してx’上で0からx’ 1 まで積分して得られるJ’(x’ 1 ,y’ 1 )を等しくした条件下のy=y 1 ,y’=y’ 1 でのx 1 とx’ 1 との対応関係を求めることにより、前記始点の座標(x1,y1)と前記終点の座標(x’1,y’1)との一対一の写像関係を決定する
    ことを特徴とする回折素子の設計方法。
  5. 前記第1の波面の関数を決定する工程では、前記回折素子の面上の前記始点の座標が前記直交xyz座標系の表記で(x,y,z)であり、前記結像面の面上の前記始点に一対一で対応する終点の座標が前記直交x’y’z’座標系の表記で(x’,y’,z’)であり、さらに、前記回折素子の面上の波面を表す曲面をz=s(x,y)として、前記回折素子の面上の前記始点の座標における曲面s(x,y)のx方向とy方向との接線ベクトルがそれぞれ(1,0,∂s/∂x)と(1,0,∂s/∂y)とであるとき、
    (<C>・(x’,y’,z’)+<b>−(x,y,z))・(1,0,∂s/∂x)=0に基づいて∂s/∂xを算出し、且つ、(<C>・(x’,y’,z’)+<b>−(x,y,z))・(1,0,∂s/∂y)=0に基づいて∂s/∂yを算出し、さらに、前記∂s/∂xのx方向の積分による算出結果と前記∂s/∂yのy方向の積分による算出結果との和に基づいて前記s(x,y)を算出する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回折素子の設計方法。
  6. 前記第2の波面の関数を決定する工程では、前記回折素子の面上の前記始点の座標が前記直交xyz座標系の表記で(x,y,z)であり、前記結像面の面上の前記始点に一対一で対応する終点の座標が前記直交x’y’z’座標系の表記で(x’,y’,z’)であり、前記結像面の面上の波面を表す曲面をz’=s’(x’,y’)として、前記結像面の面上の前記終点の座標における波面s’ (x’,y’)のx’方向とy’方向との接線ベクトルがそれぞれ(1,0,∂s’/∂x’)と(1,0,∂s’/∂y’)とであるとき、
    (<C’>・(x,y,z)+<b’>−(x’,y’,z’))・(1,0,∂s’/∂x’)=0に基づいて∂s’/∂x’を算出し、且つ、(<C’>・(x,y,z)+<b’>−(x’,y’,z’))・(1,0,∂s’/∂y’)=0に基づいて∂s’/∂y’を算出し、さらに、前記∂s’/∂x’のx’方向の積分による算出結果と前記∂s’/∂y’のy’方向の積分による算出結果との和に基づいて前記s’(x’,y’)を算出する
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の回折素子の設計方法。
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