JP6756515B2 - 造形物の製造方法及び造形物 - Google Patents

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本発明は、造形物の製造方法及び造形物に関する。
三次元設計データに基づいて造形物を製造する三次元造形装置が、例えば特許文献1により知られている。このような三次元造形装置の方式としては、光造形法、粉末焼結法、インクジェット法、溶融樹脂押し出し造形法など、様々な方式が提案され、製品化されている。
このような三次元造形装置において、三次元造形の材料として、光硬化樹脂、熱可塑性樹脂、金属、石膏といった材料が一般に用いられている。しかし、いずれの三次元造形装置においても、造形材料としてゲルを用いる方法は未だ確立されていない。一般にゲルの成形は、溶液を型に流し込んで固めることにより行われるが、このような方法では、複雑な構造を有するゲルの構造体を得ることができない。
また、三次元造形の材料としてセラミックを用いる場合、鋳造や機械加工等の造形方法では、小型且つ複雑な構造を有する造形物を得ることが難しい。セラミック材料を用いて複雑な構造の構造体を得るための装置として、例えば特許文献2のように、セラミックの粉末に直接レーザー光を照射し、焼結させて三次元造形物を得る方式の三次元造形装置や、特許文献3のように、粉末状のセラミック材料と樹脂との混合粉末に対し、レーザー光を照射して樹脂を溶解させてセラミック材料を結合させる方式の三次元造形装置が開示されている。
特開2002−307562号公報 特開2015−196164号公報 特開2007−16312号公報
本発明は、ゲルの三次元構造体の製造方法、及びゲルの三次元構造体を提供することを目的とする。
また、本発明は、新規な無機物の井桁構造体の製造方法、及び無機物の井桁構造体を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る造形物の製造方法では、まず、第1の層において、第1材料を第1方向に連続的に形成し且つ前記第1方向と交差する第2方向において隙間を空けて配列するとともに、前記第1の層の上部の第2の層において、前記第1材料を、前記第1方向とは交差する第3方向に連続的に形成し且つ前記第3方向と交差する第4方向において隙間を空けて配列することにより、第1井桁構造体を形成する。そして、前記第1井桁構造体に、架橋を形成し得る第2材料の水溶液を含浸させて第2井桁構造体を形成し、前記第2井桁構造体に含浸された前記第2材料を架橋させる。
本発明の第2の態様に係る造形物の製造方法では、まず、第1の層において、第1材料を第1方向に連続的に形成し且つ前記第1方向と交差する第2方向において隙間を空けて配列するとともに、前記第1の層の上部の第2の層において、前記第1材料を、前記第1方向とは交差する第3方向に連続的に形成し且つ前記第3方向と交差する第4方向において隙間を空けて配列することにより、第1井桁構造体を形成する。そして、前記第1井桁構造体に無機物スラリーを含浸させて第2井桁構造体を形成し、続いて前記第2井桁構造体を焼成して前記第1材料を除去し、無機物からなる第3井桁構造体を形成する。
第1の実施の形態に係る造形物の製造に用いる製造装置の概略構成を示すブロック図である。 第1の実施の形態に係る三次元造形装置(3Dプリンタ100)の概略構成を示す斜視図である。 第1の実施の形態に係る三次元造形装置の概略構成を示す正面図である。 XYステージ12の構成を示す斜視図である。 昇降テーブル14の構成を示す平面図である。 第1の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第1の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第1の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第1の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第1の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第1の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第2の実施の形態に係る造形物の製造に用いる製造装置の概略構成を示すブロック図である。 第2の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第2の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第2の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第2の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第3の実施の形態に係る造形物の製造に用いる製造装置の概略構成を示すブロック図である。 第3の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第3の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第3の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。 第3の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する工程図である。
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1のブロック図を参照して、第1の実施の形態に係る造形物を製造するための製造装置の構成を説明する。
この製造装置は、3Dプリンタ100と、水溶液容器101と、乾燥機102と、溶解液容器103とを備える。3Dプリンタ100は、第1材料R1を用いて造形物を造形するための装置であり、本実施の形態においては、溶融樹脂押し出し造形法を適用する3Dプリンタ100について説明する。後述するように、第1材料R1は、第1の層では第1方向を長手方向として所定の間隔を空けて形成される。一方、第1の層の上方の第2の層では、第1方向と交差する第2方向を長手方向として所定の間隔を空けて形成される(いわゆる井桁構造)。以下では、このような井桁構造を有する構造体を、井桁構造体と称する。ここで、3Dプリンタ100により第1材料R1を用いて造形された井桁構造体を、第1井桁構造体A1とする。
第1材料R1として、例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。本実施の形態においては、一例として、第1材料R1としてポリスチレンを使用する場合について説明する。
水溶液容器101は、第2材料R2の水溶液を貯留する容器である。3Dプリンタ100により形成された第1井桁構造体A1(第1材料R1)を水溶液容器101に投入し、第2材料R2の水溶液を含浸させることで、第1材料R1と第2材料R2との複合体である第2井桁構造体A2を得ることができる。第2材料R2として、分子間に架橋を形成してゲル化し得る材料が用いられ、例えば高分子ゲル、低分子ゲル、有機ゲル、無機ゲル、粒子ゲル等が挙げられる。高分子ゲルを形成する材料としては、例えば多糖類やタンパク質等が挙げられる。本実施の形態においては、一例として、第2材料R2として多糖類であるスイゼンジノリ由来多糖体(サクラン(登録商標))を使用する場合について説明する。
サクランは、藍藻類であるスイゼンジノリから抽出される多糖類である。サクラン分子の重量平均分子量は約2000万であり、その分子は10μm以上の長さを有する高分子である。また、サクランの水溶液においては、サクランは分子間で架橋を形成していない状態であるが、サクラン水溶液を60℃〜80℃の温度で乾燥すると、サクラン分子間で物理的架橋を形成しながら水分が蒸発して体積が減少する。架橋が形成されたサクランは、ネットワーク(分子間に架橋が形成された網目構造)中に自身の体積の6000倍もの水を保持することができ、吸湿させることでゲル化する。
乾燥機102は、第2井桁構造体A2を加熱・乾燥して第2井桁構造体A2’を得るための装置である。乾燥機102として、例えばオートクレーブを使用することができる。オートクレーブを用いることで、乾燥と同時に滅菌処理を行うことができる。ただし、これはあくまで一例であり、乾燥機102は、第2井桁構造体A2を乾燥させる機能を有する装置であればよい。
溶解液容器103は、第1材料R1を溶解するための溶解液Mを貯留する容器である。第2井桁構造体A2’を溶解液容器103に投入し、溶解液Mに浸漬させて第1材料R1を溶解することで、第2材料R2からなる第3井桁構造体A3が得られる。溶解液Mとして、第1材料R1のみを溶解し、第2材料R2を溶解しないものを用いることができる。本実施の形態においては、ポリスチレンを溶解し、サクランを溶解しないリモネンを溶解液Mとして用いることができる。
次に、3Dプリンタ100の構成の一例を、図2〜図5を参照して説明する。
図2は、第1の実施の形態で用いる3Dプリンタ100の概略構成を示す斜視図である。3Dプリンタ100は、フレーム11と、XYステージ12と、造形ステージ13と、昇降テーブル14と、ガイドシャフト15とを備えている。
この3Dプリンタ100を制御する制御装置としてコンピュータ200が、この3Dプリンタ100に接続されている。また、3Dプリンタ100中の各種機構を駆動するためのドライバ300も、この3Dプリンタ100に接続されている。
(フレーム11)
フレーム11は、図2に示すように、例えば直方体の外形を有し、アルミニウム等の金属材料の枠組を備えている。このフレーム11の4つの角部に、例えば4本のガイドシャフト15が、図2のZ方向、すなわち造形ステージ10の平面に対し垂直な方向に延びるように形成されている。ガイドシャフト15は、後述するように昇降テーブル14を上下方向に移動させる方向を規定する直線状の部材である。ガイドシャフト15の本数は4本には限られず、昇降テーブル14を安定的に維持・移動させることができる本数に設定される。
(造形ステージ13)
造形ステージ13は、造形物Sが載置される台であり、後述する造形ヘッドから吐出される熱可塑性樹脂が堆積される台である。
(昇降テーブル14)
昇降テーブル14は、図2及び図3に示すように、その4つの角部においてガイドシャフト15を貫通させており、ガイドシャフト15の長手方向(Z方向)に沿って移動可能に構成されている。昇降テーブル14は、ガイドシャフト15と接触するローラ34,35を備えている。ローラ34,35は昇降テーブル14の2つの角部に形成されたアーム部33において回動可能に設置されている。このローラ34,35がガイドシャフト15上と接触しつつ回動することで、昇降テーブル14はZ方向にスムーズに移動することが可能とされている。また、昇降テーブル14は、図3に示すように、モータMzの駆動力をタイミングベルト、ワイヤ、プーリ等からなる動力伝達機構により伝達することにより、上下方向に所定間隔(例えば0.1mmピッチ)で移動する。モータMzは、例えば、サーボモータ、ステッピングモータなどが好適である。なお、実際の昇降テーブル14の高さ方向の位置を連続的又は間欠的にリアルタイムで、図示しない位置センサを用いて測定し、適宜補正をかけることによって、昇降テーブル14の位置精度を高めるようにしてもよい。後述する造形ヘッド25A、25Bについても同様である。
(XYステージ12)
XYステージ12は、この昇降テーブル14の上面に載置されている。図4は、このXYステージ12の概略構成を示す斜視図である。XYステージ12は、枠体21と、Xガイドレール22と、Yガイドレール23と、リール24A、24Bと、造形ヘッド25A、25Bと、造形ヘッドホルダHを備えている。Xガイドレール22は、その両端がYガイドレール23に嵌め込まれ、Y方向に摺動自在に保持されている。リール24A、24Bは、造形ヘッドホルダHに固定されており、造形ヘッドホルダHによって保持された造形ヘッド25A、25Bの動きに追従してXY方向を移動する。造形物Sの材料となる熱可塑性樹脂は、径が3〜1.75mm程度の紐状の樹脂(フィラメント38A、38B)であり、通常リール24A,24Bに捲かれた状態で保持されているが、造形時には後述する造形ヘッド25A,25Bに設けられたモータ(エクストルーダ)によって造形ヘッド25A,25B内に送り込まれる。
なお、リール24A、24Bを造形ヘッドホルダHに固定せずに枠体21等に固定し、造形ヘッド25の動きに追従させない構成とすることもできる。また、フィラメント38A、38Bを露出した状態で造形ヘッド25内に送り込まれる構成としたが、ガイド(例えば、チューブ、リングガイド等)を介在させて造形ヘッド25A,25B内に送り込むようにしても良い。なお、フィラメント38A、38Bは、それぞれ異なる材料とすることができる。一例として、一方がポリスチレン、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂のうちのいずれかである場合、他方は、その一方の樹脂以外の樹脂とすることができる。あるいは、同じ材料の樹脂であっても、その内部に含まれるフィラーの材料の種類や割合が異なるようにすることもできる。
なお、図2〜図4では、造形ヘッド25Aは、フィラメント38Aを溶融・吐出するよう構成され、造形ヘッド25Bは、フィラメント38Bを溶融し吐出するよう構成され、異なるフィラメントのためにそれぞれ独立の造形ヘッドが用意されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、単一の造形ヘッドのみを用意し、単一の造形ヘッドにより単一の樹脂材料を吐出させるような構成や、単一の造形ヘッドにより複数種類のフィラメント(樹脂材料)を選択的に溶融・吐出させるような構成も採用することができる。
フィラメント38A、38Bは、リール24A、24BからチューブTbを介して造形ヘッド25A、25B内に送り込まれる。造形ヘッド25A、25Bは、造形ヘッドホルダHにより保持され、リール24A、25Bと共にX,Yのガイドレール22,23に沿って移動可能に構成されている。また、図3及び図4では図示を省略するが、造形ヘッド25A、25B内には、フィラメント38A,38BをZ方向下方へ送り込むためのエクストルーダモータが配置される。造形ヘッド25A,25Bは、XY平面内においては互いに一定の位置関係を保って造形ヘッドホルダHと共に移動可能とされていればよいが、XY平面においても、互いの位置関係が変更可能なように構成されていてもよい。
なお、図3及び図4では図示を省略するが、造形ヘッド25A、25BをXYテーブル12に対し移動させるためのモータMx、Myも、このXYステージ12上に設けられている。モータMx、Myは、例えば、サーボモータ、ステッピングモータなどが好適である。
(ドライバ300)
次に、図5のブロック図を参照してドライバ300の構造の詳細について説明する。ドライバ300は、CPU301、フィラメント送り装置302、ヘッド制御装置303、電流スイッチ304、及びモータドライバ306を含んでいる。
CPU301は、コンピュータ200から入出力インタフェース307を介して各種信号を受信して、ドライバ300の全体の制御を行う。フィラメント送り装置302は、CPU301からの制御信号に従い、造形ヘッド25A,25B内のエクストルーダモータに対して、フィラメント38A、38Bの造形ヘッド25A、25Bに対する送り量(押し込み量又は退避量)を指令し制御する。
電流スイッチ304は、ヒータ26に流れる電流量を切換えるためのスイッチ回路である。電流スイッチ304のスイッチング状態が切り替わることにより、ヒータ26に流れる電流が増加又は減少し、これにより造形ヘッド25A,25Bの温度が制御される。また、モータドライバ306は、CPU301からの制御信号に従い、モータMx、My、Mzを制御するための駆動信号を発生させる。
本実施の形態の3Dプリンタ100は、材料が延引する方向(造形方向)が層毎に異なるよう、制御装置200が動作する。
次に、この第1の実施の形態の製造装置による造形物の製造方法を、図1及び図6〜図10を参照して説明する。
最初に、図6に示すように、第1材料R1としてポリスチレンを用いて、3Dプリンタ100により第1井桁構造体A1を形成する。3Dプリンタ100は、第1材料R1を溶融させた後、造形ヘッド25A又は25Bから吐出させて造形を行う。このとき、1つの層(第1の層)において、第1材料R1が例えばY方向を長手方向として、且つX方向に所定の間隔を空けて形成されるよう、造形ヘッド25A又は25Bが駆動される。一方、第1の層よりも1つ上の第2の層では、第1の層とは異なり、第1材料R1が例えばX方向を長手方向として、且つY方向に所定の間隔を空けて形成されるよう、造形ヘッド25A又は25Bが駆動される。上記の工程が所定回数繰り返されることにより、第1材料R1が複数層に亘り形成され、上下に隣接する2つの層で第1材料R1の長手方向が異なる第1井桁構造体A1が完成する。なお、図6において、第1の層及び第2の層における第1材料R1は、その交差部において直交するように形成されているが、この交差角は直角でなくともよい。
続いて、図7に示すように、この第1井桁構造体A1を水溶液容器101に移動させる。水溶液容器101には、0.5%サクラン水溶液が貯留されている。水溶液容器101の中に、第1井桁構造体A1を所定の時間浸漬することにより、図8に示すように、第1井桁構造体A1の隙間にサクランの水溶液が含浸した第2井桁構造体A2が得られる。なお、水溶液の濃度は適宜変更可能である。
このとき、必要に応じて、サクラン水溶液への浸漬の前に、前処理として、第1井桁構造体A1の表面に対し、脱脂工程(樹脂表面の油状成分の除去)や、粗面化工程(樹脂表面に微細な穴の形成)を行ってもよい(図示せず)。前者の例としては、トリクロロエチレンやジクロロメタンの代替炭化水素系溶剤や代替フロン、各種アルコールを用いた脱脂工程が挙げられる。また後者の例としては、クロム酸水溶液、クロム混酸水溶液などを用いた粗面化工程が挙げられる。
なお、図7において、第1井桁構造体A1を取り囲む直方体は、水溶液容器101の内壁と液面とを図示したものであり、第1井桁構造体A1自体の形状を意味するものではない。
このようにして含浸が実行されると、第1材料R1の隙間がいわゆる井桁構造を有しているため、そこに埋め込まれる第2材料R2も井桁構造を有する。すなわち、第1の層での第2材料R2は、例えばY方向を長手方向として形成され且つX方向に所定の間隔を空けて配置される一方、この第1の層よりも上層の第2の層での第2材料R2は、例えばX方向を長手方向として形成され且つY方向に所定の間隔を空けて配置される。そして、第1の層の第2材料R2と第2の層の第2材料R2とは、その上下面において接合し、いわゆる井桁構造を構成している。
サクラン水溶液の含浸が終了したら、第2井桁構造体A2を乾燥機102に移動させ、60〜80℃の温度で所定時間加熱し、乾燥させる。このとき、水分が抜けて体積が減少するとともに、サクランは分子間で物理的架橋を形成する。さらに、図9に示すように、サクランがポリスチレンの井桁構造体の表面に張り付くように乾燥し、これにより、サクランの内部がパイプ状の中空部Hを形成して第2井桁構造体A2’が得られる。図示は省略しているが、サクランは上下に接する層の交点においても中空部Hを形成しており、中空部Hが、交点も含めた構造体A2’の内部ですべて連続した構造となり得る。
ここで、ポリスチレンの井桁構造体の隙間に含浸されたサクランが中空部Hを形成しながら乾燥するのは、ポリスチレンとサクランとの間に親和性を有するためである。本実施の形態においては、乾燥の工程において、サクラン水溶液の体積が5分の1になった時点、すなわちサクラン水溶液の濃度が2.5%になった時点で、ポリスチレンとサクランとの親和性が特に高くなり、サクランがポリスチレンの表面に沿うように水分が抜けていくことで中空部Hが形成された。このように、第1材料R1、第2材料R2として、各々の間に親和性のある材料を選択することで、第2材料R2が中空となった構造体を得ることができる。
続いて、図10に示すように、第2井桁構造体A2’を溶解液容器103に移動させて、ポリスチレン(第1材料R1)をリモネン(溶解液M)により溶解する。これにより、図11に示すように、中空部Hを形成した第2材料R2のみが残った第3井桁構造体A3が得られる。
第1材料R1の溶解が終了した後、第3井桁構造体A3は、溶解液容器103から取り出され、洗浄液による洗浄処理を受けてもよい。これにより、表面に付着した溶解液Mが除去される。洗浄液として、サクランのネットワーク中に吸収されない液体を使用することができ、本実施の形態においては、例えばアセトンを使用することができる。
なお、構造体A1〜A3の積層数や、形状、大きさは例として図示したものであり、図示される構造に限定されない。また、図6に示した第1井桁構造体A1のように、全ての層において第1材料R1と隙間とが1:1の割合で形成される場合について説明したが、この第1材料R1と隙間との割合は任意に設定可能である。さらに、上下の層でこの割合が異なっていてもよい。
以上の図6〜図10で説明した工程により得られた第2井桁構造体A2’及び第3井桁構造体A3は、サクランの分子間に架橋が形成されているため、水分を与えることによってゲル化し、これによりゲルの三次元構造体を得ることができる。このとき、与える水分量を調節することで、ゲルの三次元構造体の体積や、中空部Hの径の大きさを制御することができる。
上述のようにして得られたサクランの中空井桁構造体(第3井桁構造体A3)は、水だけでなく食塩水、肉汁、液体培地など、様々な液体を保持することができる。このようにして得られたサクランの中空井桁構造体は、あらゆる分野において利用可能である。例えば、吸湿させたサクランの中空井桁構造体の中空部Hに細胞核を入れて培養することで、細胞構造体を形成することができる。また、例えば肉汁を含ませることで肉様食品を作成し、調理することも可能であり、摂食・嚥下障害のための嚥下食として使用することができる。このようにして得られた肉様食品は、実際の肉と異なりゲル状であるので、固形物を摂取することが困難な人でも容易に飲み込むことができる。
なお、乾燥したサクランの中空井桁構造体は非常に軽く、壊れやすい。従って、サクランの構造体を製品として出荷する際には、中空状のサクランとポリスチレンとの複合体である第2井桁構造体A2’の状態でパッケージングを行い、使用者の使用の都度第1材料R1を除去させるようにしてもよい。また、サクランの構造体は、第2井桁構造体A2’又は第3井桁構造体A3の状態で、例えばアセトンなどの有機溶媒に浸漬させた状態で製品化してもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1材料R1からなる第1井桁構造体A1を作成し、その隙間に第2材料R2の水溶液を含浸させて第1材料R1と第2材料R2との複合体である第2井桁構造体A2を得て、さらに乾燥させることで、第2材料R2が中空部Hを形成した第2井桁構造体A2’を得ることができる。その後、第1材料R1を溶解することで、第2材料R2からなる第3井桁構造体A3を得ることができる。さらに第3井桁構造体A3を吸湿させることによりゲル化し、これにより、ゲルの三次元構造体を得ることができる。
例えば、押し出し造形法の三次元造形装置において、ゲル化した材料を造形ヘッドから吐出して三次元構造体を造形しようとする場合、吐出圧により吐出口からゲルを押し出すことは可能である。しかし、吐出の際にゲルのネットワークが圧縮され、吐出後にはゲルのネットワークの復元力により吐出直後の形状を保つことができず、うまく造形できないことが想定される。また、1つの層において、仮に、ゲルのネットワークが圧縮された状態を維持しながら吐出して造形できたとしても、圧縮によりネットワークの自由度が下がっているため、次層に吐出されたゲルとのネットワークを形成することが難しくなり、積層を行うことは困難である。このように、従来は溶液を型に入れて固めることでしかゲルの成形を行えなかったものが、本実施の形態によれば、ゲルの三次元構造体を得ることができ、さらに、中空部Hを有するゲルの三次元構造体を得ることができるようになった。
なお、第1井桁構造体A1を造形するための3Dプリンタ100は、前述の溶融樹脂押し出し法のものに限定されず、後の工程で溶解液Mにより溶解可能な第1材料R1を用いて第1井桁構造体A1を造形することができるものであればよい。例えば、第1材料R1として光硬化樹脂を用いて、光造形法の3Dプリンタを使用して第1井桁構造体A1を造形することもできる。その場合は、第1材料R1の溶解液Mとして、光硬化樹脂を溶解できる樹脂溶解剤を使用すればよい。
[第2の実施の形態]
次に、図12のブロック図を参照して、第2の実施の形態に係る造形物を製造するための製造装置の構成を説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成を有する箇所には同様の符号を付して、その説明を省略する。第2の実施の形態の製造装置は、図12に示すように、3Dプリンタ100’と、水溶液容器101’と、乾燥機102’とを備える。本実施の形態においては、3Dプリンタ100’により造形される第1井桁構造体A1の形状及び材料が第1の実施の形態と異なっている。
3Dプリンタ100’は、第1の実施の形態の3Dプリンタ100と同様のものとすることができる。この3Dプリンタ100’は、第3材料R3として、ポリスチレンよりもサクランとの親和性の低い材料を用いて、第4井桁構造体A4を造形可能に構成されている。後述のように、第4井桁構造体A4は、後の工程で引き抜いて除去できるような形状に造形される。
第3材料R3は、3Dプリンタ100’が溶融樹脂押し出し法の装置である場合、例えばABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂のうち、第2材料R2と親和性の低いものを選択して用いることができる。
水溶液容器101’は、第1の実施の形態と同様に、第2材料R2の水溶液を貯留する容器である。3Dプリンタ100’により形成された第4井桁構造体A4の隙間に、第2材料R2の水溶液を含浸させることで、第5井桁構造体A5を得ることができる。第2材料R2として、分子間に架橋を形成してゲル化し得る材料が用いられ、例えば高分子ゲル、低分子ゲル、有機ゲル、無機ゲル、粒子ゲル等が挙げられる。高分子ゲルを形成する材料としては、例えば多糖類やタンパク質等が挙げられる。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、第2材料R2として多糖類であるサクラン(登録商標)を使用する場合について説明する。
乾燥機102’は、第1の実施の形態と同様に、第2材料R2が含浸された第4井桁構造体A4を加熱、乾燥するための装置である。乾燥機102として、例えばオートクレーブが用いられる。オートクレーブを用いることで、乾燥と同時に滅菌処理を行うことができる。ただし、これはあくまで一例であり、乾燥機102は、第4井桁構造体A4を乾燥させる機能を有する装置であればよい。図12に示すように、乾燥後、第4井桁構造体A4から第3材料R3を引き抜いて除去することで、第2材料R2からなる第6井桁構造体A6が得られる。
次に、この第2の実施の形態の製造装置を用いた造形物の製造方法を、図13〜図16を参照して説明する。図13〜図16は、第2の実施の形態に係る造形物の製造方法を説明する平面図である。
最初に、図13に示すように、3Dプリンタ100’において、第3材料R3を用いて、第4井桁構造体A4を造形する。3Dプリンタ100’は、第3材料R3を溶融させた後、造形ヘッド25A又は25Bから吐出させて造形を行う。このとき、1つの層(第1の層)において、第3材料R3が互いに噛み合う2つの櫛歯形状に形成され、櫛歯部分が例えばY方向を長手方向として、且つX方向に所定の間隔を空けて形成されるよう、造形ヘッド25A又は25Bが駆動される。第1の層よりも1つ上の第2の層においても、第3材料R3が互いに噛み合う2つの櫛歯形状に形成されるが、第1の層とは異なり、櫛歯部分が例えばX方向を長手方向として、且つY方向に所定の間隔を空けて形成されるよう、造形ヘッド25A又は25Bが駆動される。上記の工程が所定回数繰り返されることにより、第3材料R3からなる第4井桁構造体A4が完成する。このように、互いに噛み合う櫛歯形状を形成することで、後の工程で第3材料R3を引き抜くことができる。換言すると、第4井桁構造体A4は、第2材料R2からなる井桁構造体を得るためのスライド型となっている。なお、図13において、第1の層及び第2の層における第3材料R3は、櫛歯部分がその交差部において直交する方向に形成されているが、この交差角は直角でなくともよい。
続いて、図14に示すように、この第4井桁構造体A4を水溶液容器101’に移動させる。水溶液容器101’には、0.5%サクラン水溶液が貯留されている。水溶液容器101’の中に、第4井桁構造体A4を所定の時間浸漬することにより、図15に示すように、第4井桁構造体A4の第3材料R3の隙間にサクラン(第2材料R2)の水溶液が含浸した第5井桁構造体A5が得られる。なお、水溶液の濃度は適宜変更可能である。
なお、必要に応じて、サクラン水溶液への浸漬の前に、前処理として、第4井桁構造体A4の表面に対し、脱脂工程(樹脂表面の油状成分の除去)や、粗面化工程(樹脂表面に微細な穴の形成)を行ってもよい(図示せず)。前者の例としては、トリクロロエチレンやジクロロメタンの代替炭化水素系溶剤や代替フロン、各種アルコールを用いた脱脂工程が挙げられる。また後者の例としては、クロム酸水溶液、クロム混酸水溶液などを用いた粗面化工程が挙げられる。
なお図14において、第4井桁構造体A4を取り囲む正方形は、水溶液容器101’の壁面を図示したものであり、構造体A4自体の形状を意味するものではない。
このようにして含浸が実行されると、図15に示すように、第4井桁構造体A4の隙間が第2材料R2で埋められた第5井桁構造体A5が得られる。第3材料R3の隙間がいわゆる井桁構造を有しているため、そこに埋め込まれる第2材料R2も井桁構造を有する。すなわち、第1の層での第2材料R2は、例えばY方向を長手方向として形成され且つX方向に所定の間隔を空けて形成される一方、この第1の層よりも上層の第2の層での第2材料R2は、例えばX方向を長手方向として形成され且つY方向に所定の間隔を空けて形成される。そして、第1の層の第2材料R2と第2の層の第2材料R2とは、その上下面において接合し、いわゆる井桁構造を構成している。
サクラン水溶液の含浸が終了したら、第5井桁構造体A5を、乾燥機102’に移動させ、60〜80℃の温度で所定時間乾燥させて第5井桁構造体A5’を得る(図示せず)。このとき、サクランは分子間で物理的架橋を形成しながら乾燥し、体積が減少する。なお、本実施の形態の乾燥の工程においては、第1の実施の形態と異なり、第3材料R3と第2材料R2とは親和性の低い材料であるため、第2材料R2は第3材料R3に張り付いて乾燥せず、中空部Hは形成されない。
続いて、第5井桁構造体A5を乾燥して得られた第5井桁構造体A5’から第3材料R3を引き抜いて除去することで、図16に示すように、サクランからなる第6井桁構造体A6が得られる。この第3材料R3の引き抜きは、例えばピンセット等を用いて人の手により行うことができる。このとき、第2材料R2と第3材料R3との親和性が高いと、乾燥の工程で第2材料R2が第3材料R3の表面に張り付いた状態になり、引き抜きを行うことで第6井桁構造体A6の構造が崩れてしまう虞がある。
なお、乾燥したサクランの井桁構造体は非常に軽く、壊れやすい。従って、出荷の際には、サクラン(第2材料R2)と第3材料R3との複合体である第5井桁構造体A5’の状態でパッケージングを行い、使用者の使用の都度第3材料R3を除去させるようにしてもよい。また、サクランの構造体は、第5井桁構造体A5’又は第6井桁構造体A6の状態で、例えばアセトンなどの有機溶媒に浸漬させた状態で製品化してもよい。
以上の図13〜図16で説明した工程により得られた第6井桁構造体A6は、サクランの分子間に架橋が形成されているため、水分を与えることによってゲル化し、これによりゲルの構造体を得ることができる。また、この第6井桁構造体A6に与える水分量を調節することで、第6井桁構造体A6の体積を制御することができる。
上述のようにして得られたサクランの井桁構造体(第6井桁構造体A6)は、第1の実施の形態と同様に、水だけでなく食塩水、肉汁、液体培地など、様々な液体を保持することができ、あらゆる分野において利用可能である。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第3材料R3からなる第4井桁構造体A4に第2材料R2を含浸させて、第2材料R2と第3材料R3との複合体である第5井桁構造体A5を形成し、乾燥させる。さらに第5井桁構造体A5から第3材料R3を引き抜いて除去することで、第2材料R2からなる第6井桁構造体A6を得ることができる。上述のように、乾燥の際に第2材料R2が分子間で物理的架橋を形成するので、第6井桁構造体A6に水分を与えることで、ゲルの三次元構造体が得られる。
なお、構造体A4〜A6の形状や大きさ、積層数は例として図示したものであり、図示の構造に限定されない。図12〜図16において、櫛歯部分がテーパ状に形成される構造体を例に説明したが、例えば櫛歯部分が直線状に形成されていてもよい。また、櫛歯部分の本数も図示するものに限定されないことは言うまでもない。
また、第4井桁構造体A4を造形するための3Dプリンタ100’は、前述の溶融樹脂押し出し法のものに限定されず、第2材料R2と親和性の低い第3材料R3を用いて、後の工程で引き抜くことが可能な形状に第4井桁構造体A4を造形することができるものであればよい。
[変形例]
次に、第2の実施の形態におけるゲルの三次元構造体の製造方法の変形例について説明する。図示は省略しているが、まず、第3材料R3を用いて、3Dプリンタ100’により第4井桁構造体A4を造形する。第4井桁構造体A4は、前述のように、例えば櫛歯形状など、引き抜きが可能な形状に形成される。次に、第4井桁構造体A4を水溶液容器101’に移動させてサクラン水溶液に浸漬させる。以上の工程までは第2の実施の形態と同様であるが、本変形例においては、サクラン水溶液への浸漬の後、例えば硬化促進剤や重合開始剤等の架橋剤を水溶液容器101’に加える。これにより、乾燥機102’による乾燥を行わなくともサクランが架橋を形成することができ、水溶液の水分によりゲル化する。その後、第3材料R3を引き抜いて除去することで、サクランからなるゲルの三次元構造体を得ることができる。なお、硬化促進剤を水溶液容器101’に加える前に、予め食塩などの塩類や、肉汁、培地の栄養分など、任意の成分を添加してもよい。なお、本実施の形態において、ゲル化する材料である第2材料R2が架橋を形成できる方法であれば、乾燥や架橋剤の添加に限定されるものではなく、使用される第2材料R2に応じて任意に変更可能である。
[第3の実施の形態]
次に、図17のブロック図を参照して、第3の実施の形態に係る造形物を製造するための製造装置について説明する。第3の実施の形態の製造装置は、図17に示すように、3Dプリンタ100”と、無機物スラリー容器104と、焼成炉105とを備える。3Dプリンタ100”は、第1の実施の形態の3Dプリンタ100と同様のものとすることができ、第1井桁構造体A1と同様の構成を有する第7井桁構造体A7を造形可能に構成されている。
第7井桁構造体A7を構成する材料(第4材料R4)として、3Dプリンタ100”がいわゆる溶融樹脂押し出し法を用いたものである場合、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。本実施の形態においては、第4材料R4として、ポリカーボネートを使用する例について説明する。
無機物スラリー容器104は、第5材料R5としての無機物スラリーを貯留するための容器である。3Dプリンタ100”により造形された第7井桁構造体A7を無機物スラリー容器104に投入して含浸させることで、第4材料R4と第5材料R5の複合体である第8井桁構造体A8を得ることができる。第5材料R5の無機物として、セラミックやガラスを用いることができる。無機物としては、例えば、酸化アルミニウム、ジルコニア、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのセラミックの粒子や、二酸化ケイ素、酸化ホウ素、五酸化二リン、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等のガラスの原料となる物質が挙げられる。スラリーとは、上記のような無機物が水等の液体に分散したもののことである。本実施の形態においては、無機物スラリー(第5材料R5)として、セラミックスラリーである太陽金網株式会社製のResbond989を用いる。Resbond989は、酸化アルミニウム(Al)を主成分とする接着剤である。
焼成炉105は、第8井桁構造体A8を所定の温度で所定時間焼成させるための装置である。焼成を行うことで、第8井桁構造体A8から第4材料R4や、第5材料R5中の水分、有機化合物が焼却除去され、酸化アルミニウムからなる第9井桁構造体A9が得られる。
次に、この第3の実施の形態の製造装置を用いた造形物の製造方法を、図18〜図21を参照して説明する。
最初に、図18に示すように、第4材料R4としてポリカーボネートを用いて、3Dプリンタ100”により第7井桁構造体A7を形成する。3Dプリンタ100”は、第4材料R4を溶融させた後、造形ヘッド25A又は25Bから吐出させて造形を行う。このとき、1つの層(第1の層)において、第4材料R4が、例えばY方向を長手方向として、且つX方向に所定の間隔を空けて形成されるよう、造形ヘッド25A又は25Bが駆動される。一方、第1の層よりも1つ上の第2の層では、第1の層とは異なり、第4材料R4が、例えばX方向を長手方向として、且つY方向に所定の間隔を空けて形成されるよう、造形ヘッド25A又は25Bが駆動される。上記の工程が所定回数繰り返されることにより、第4材料R4が複数層に亘り形成され、上下に隣接する2つの層で第4材料R4の長手方向が異なる第7井桁構造体A7が完成する。なお、図18において、第1の層及び第2の層における第4材料R4は、その交差部において直交するように形成されているが、この交差角は直角でなくともよい。
続いて、図19に示すように、この第7井桁構造体A7を無機物スラリー容器104に移動させ、第7井桁構造体A7を所定の時間浸漬する。これにより、図20に示すように、第7井桁構造体A7の隙間にセラミックスラリーが含浸した第8井桁構造体A8が得られる。なお、図19において、第7井桁構造体A7を取り囲む直方体は、無機物スラリー容器104の内壁と液面とを図示したものであり、構造体A7自体の形状を意味するものではない。
このようにして含浸が実行されると、図20に示すように、第7井桁構造体A7の隙間が第5材料R5で埋められ、第8井桁構造体A8が得られる。第7材料R7の隙間がいわゆる井桁構造を有しているため、そこに埋め込まれる第5材料R5も井桁構造を有する。すなわち、第1の層での第5材料R5は、例えばY方向を長手方向として形成され且つX方向に所定の間隔を空けて形成される一方、この第1の層よりも上層の第2の層での第5材料R5は、例えばX方向を長手方向として形成され且つY方向に所定の間隔を空けて形成される。そして、第1の層の第5材料R5と第2の層の第5材料R5とは、その上下面において接合し、いわゆる井桁構造を構成している。
セラミックスラリーの含浸が終了したら、第8井桁構造体A8を焼成炉105に移動させる。焼成炉105において、例えば5℃/分の割合で昇温し、まず250℃で1時間、次に500℃で1時間、続いて1100℃で6時間焼成を行う。これにより、図21に示すように、第4材料R4、第5材料R5中の有機化合物、水分が焼却除去され、酸化アルミニウムからなる第9井桁構造体A9が得られる。
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、第4材料R4からなる第7井桁構造体A7を造形し、その隙間に第5材料R5としてのセラミックスラリーを含浸させて第4材料R4と第5材料R5との複合体である第8井桁構造体A8を得て、さらに所定の条件で焼成させることで第4材料R4を除去することで、セラミックからなる第9井桁構造体A9を得ることができる。このセラミックからなる第9井桁構造体A9は、3Dプリンタ100”により造形される第7井桁構造体A7の隙間と同様の形状、大きさを有している。
なお、構造体A7〜A9の積層数や、形状、大きさは例として図示したものであり、図示の構造に限定されるものではない。また、図18に示した第7井桁構造体A7のように、全ての層において、第4材料R4と隙間とが1:1の割合で形成される場合について説明したが、この第4材料R4と隙間との割合は任意に設定可能である。また、上下の層でこの割合が異なっていてもよい。
また、第4材料R4は、焼成時に焼却除去される材料であればよく、ポリカーボネートに限定されないことは言うまでもない。また、焼成温度や時間等の焼成条件も適宜変更することができる。
以上説明したように、本発明によれば、材料としてゲル化する多糖類や無機物を用いて、従来造形が困難であった井桁構造体を得ることができる。これらの材料からなる井桁構造体は、あらゆる分野における様々な用途で使用することができる。
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100・・・3Dプリンタ、200・・・コンピュータ、300・・・ドライバ、11・・・フレーム、12・・・XYステージ、13・・・造形ステージ、14・・・昇降テーブル、15・・・ガイドシャフト、21・・・枠体、22・・・Xガイドレール、23・・・Yガイドレール、24A、24B・・・フィラメントホルダ、25A、25B・・・造形ヘッド、31・・・枠体、34、35・・・ローラ、38A、38B・・・フィラメント、A1〜A9・・・井桁構造体、H・・・中空部。

Claims (5)

  1. 第1の層及び第2の層の繰り返し構造を有し、
    前記第1の層は、
    第1方向に連続的に延び、且つ前記第1方向と交差する第2方向において隙間を空けて配列する第1材料を有し、
    前記第1の層の上部の前記第2の層は、
    前記第1方向とは交差する第3方向に連続的に延び且つ前記第3方向と交差する第4方向において隙間を空けて配列する前記第1材料を有し、
    前記第1材料は、分子間に架橋を有するスイゼンジノリ由来多糖体である
    ことを特徴とする造形物。
  2. 第1材料と第2材料とを含む第1の層及び第2の層の繰り返し構造を有する造形物であって、
    前記第1の層は、
    第1の方向に連続的に延び、且つ前記第1の方向と交差する第2の方向において隙間を空けて配列される前記第1材料と、
    前記第1の方向に連続的に延び、且つ前記隙間に配列される部分を含む前記第2材料とを有し、
    前記第1の層の上部の前記第2の層は、
    前記第1の方向とは交差する第3の方向に連続的に延び且つ前記第3の方向と交差する第4の方向において隙間を空けて配列される前記第1材料と、
    前記第3の方向に連続的に延び且つ前記隙間に配列される部分を含む前記第2材料とを有し、
    前記第1材料は、分子間に架橋を有するスイゼンジノリ由来多糖体である
    ことを特徴とする造形物。
  3. 前記第1材料は、内部に中空部を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の造形物。
  4. 前記第1材料は、水分を含有してゲル化している
    ことを特徴とする、請求項1乃至いずれか1項記載の造形物。
  5. 第1の層及び第2の層の繰り返し構造を有し、
    前記第1の層は、
    第1方向に連続的に延び、且つ前記第1方向と交差する第2方向において隙間を空けて
    配列する第1材料を有し、
    前記第1の層の上部の前記第2の層は、
    前記第1方向とは交差する第3方向に連続的に延び且つ前記第3方向と交差する第4方向において隙間を空けて配列する前記第1材料を有し、
    前記第1材料は、セラミック又はガラスである
    ことを特徴とする造形物。
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