JP6755468B2 - 医用画像処理装置 - Google Patents

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本発明の実施形態は、医用画像処理装置に関する。
進行食道癌の他臓器浸潤診断は、浸潤の有無により治療方法や予後に関わる重要な因子である(非特許文献1及び2参照)。画像評価は、深吸気で撮影したCT画像を用いて、他臓器浸潤が認められない場合はT3、認められる場合はT4とし、術前の病期の決定(Staging)を行っている。現行の方法では、精度90〜98%、感度75〜100%、特異度88〜100%との報告がある(非特許文献3参照)。このうち気管・気管支への浸潤に関しては、精度93%、感度97%、特異度88%との報告である。しかしながら、実際の臨床では、現行の方法によるT3又はT4の判断を目的とした浸潤評価は難しい場合があり、手術するまで診断困難であった症例を少なからず経験している。
特開2012−213604号公報 Ando N, Kato H, Igaki H等、「A Randomized Trial Comparing Postoperative Adjuvant Chemotherapy with Cisplatin and 5-Fluorouracil Versus Preoperative Chemotherapy for Localized Advanced SquamousCell Carcinoma of the Thoracic Esophagus (JCOG9907)」、Ann Surg Oncol、2012年1月、第19(1)巻:第68−74頁 Ishida K, Ando N, Yamamoto S等「Phase II study of cisplatin and 5-fluorouracil with concurrent radiotherapy in advanced squamous cell carcinoma of the esophagus: a Japan Esophageal Oncology Group (JEOG)/Japan Clinical OncologyGroup trial (JCOG9516)」、Jpn J Clin Oncol、2004年10月、第34(10)巻、第615−619頁 Thompson WM, Halvorsen RA, Foster WL Jr等「Computed tomography for staging esophageal and gastroesophageal cancer: reevaluation」、AJR Am J Roentgenol、1983年11月、第141(5)巻、第951−958頁
実施形態の目的は、管状組織への腫瘍の浸潤をより正確に判断することが可能な医用画像処理装置を提供することにある。
本実施形態に係る医用画像処理装置は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、腫瘍の浸潤可能性のある管状組織に関する管状組織領域に交差する断面を設定する設定部と、前記複数の時相に亘り、前記管状組織領域の前記断面における形態指標値を計測する計測部と、前記複数の時相に亘る前記形態指標値の推移に基づいて前記管状組織に前記腫瘍が浸潤しているか否かを判定する判定部と、を具備する。
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図である。 図2は、食道と気管及び気管支との位置関係を模式的に示す図である。 図3は、図1の制御回路の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを示す図である。 図4は、図3のステップSA1において断面設定機能により抽出された気管支領域の一例を示す図である。 図5は、図3のステップSA1において設定された計測対象断面に関する断面画像の一例を示す図である。 図6は、図3のステップSA1において設定された計測対象断面に関する断面画像への計測領域の設定例を示す図である。 図7は、図3のステップSA3に係わり、T3とT4との各々における計測対象断面内の気管支領域の形態の時間変化を模式的に示す図である。 図8は、図3のステップSA3に係わり、T3とT4との各々における形態指標値の一つである内腔面積の時間変化を示す図である。 図9は、図3のステップSA3に係わり、T4と計測領域と正常領域との各々における、形態指標値の一つである内腔面積の時間変化を示す図である。 図10は、図3のステップSA4に係る表示回路による判定結果の表示例を示す図である。 図11は、第2実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図である。 図12は、第2実施形態に係る制御回路の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを示す図である。 図13は、第2実施形態に係る浸潤判定処理の流れを模式的に示す図である。 図14は、第3実施形態に係る制御回路の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを示す図である。 図15は、第3実施形態に係る制御回路の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを模式的に示す図である。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像処理装置を説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像処理装置1は、医用モダリティにより発生された医用画像を処理するコンピュータ装置である。医用画像処理装置1は、例えば、ネットワークを介して通信可能に医用モダリティに接続されている。本実施形態に係る医用モダリティとしては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置100と磁気共鳴イメージング装置200とが挙げられる。しかしながら、本実施形態に係る医用モダリティは、X線コンピュータ断層撮影装置100や磁気共鳴イメージング装置200に限定されず、例えば、超音波診断装置や核医学診断装置等の如何なる医用モダリティであっても良い。
なお、本実施形態に係る医用画像処理装置1は、必ずしも医用モダリティや医用画像保管装置に接続されている必要はない。また、医用モダリティを構成するコンピュータであっても良い。
図1に示すように、第1実施形態に係る医用画像処理装置1は、制御回路11を中枢として通信回路13、記憶回路15、画像処理回路17、表示回路19及び入力回路21を有する。
通信回路13は、ネットワークを介して他の装置とデータ通信するための通信インタフェースである。通信回路13は、ネットワークを介してX線コンピュータ断層撮影装置100や磁気共鳴イメージング装置200等の医用モダリティ、あるいは図示しないPACS(Picture Archiving and Communication System)等の医用画像保管装置と通信する。例えば、通信回路13は、X線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置からは複数の時相に関する複数の3次元画像(ボリュームデータ)、いわゆる4次元画像データを受信する。また、通信回路13は、図示しない医用画像保管装置等から複数の時相に関する複数の3次元画像を受信しても良い。
記憶回路15は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、記憶回路15は、可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等を有しても良い。記憶回路15は、複数の時相に関する複数の3次元画像を記憶する。当該複数の3次元画像は、被検体の食道を対象として医用モダリティにより複数の時相に亘り撮影されることにより収集される。また、記憶回路15は、後述の浸潤判定処理に関する画像処理プログラム等を記憶する。
画像処理回路17は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置(プロセッサ)とROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置(メモリ)とを有する。画像処理回路17は、複数の時相に関する3次元画像処理に対して画像処理を施し、腫瘍が発生している組織の周辺の管状組織に当該腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。以下、画像処理部17により行われる腫瘍の管状組織への浸潤の有無を判定する処理を浸潤判定処理と呼ぶことにする。画像処理回路17は、上記画像処理プログラムの実行により、断面設定機能171、計測機能173、浸潤判定機能175及び表示画像発生機能177を実現する。
断面設定機能171の実行により画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、腫瘍の浸潤可能性のある管状組織に関する画像領域(以下、管状組織領域と呼ぶ)に交差する断面(以下、設定断面と呼ぶ)を設定する。腫瘍の浸潤可能性のある管状組織としては、例えば、気管、気管支、血管等が挙げられる。
計測機能173の実行により画像処理回路17は、複数の時相に亘り、管状組織領域の設定断面における形態指標値を計測する。形態指標値、管状組織領域の幾何学的特徴に関する指標値である。
浸潤判定機能175の実行により画像処理回路17は、複数の時相に亘る形態指標値の推移に基づいて、管状組織に腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。判定結果は、表示回路19により表示される。
表示画像発生機能177の実行により画像処理回路17は、複数の3次元画像の各々に3次元画像処理を施して2次元の表示画像を発生する。表示画像発生部177は、3次元画像にボリュームレンダリングや、サーフェスボリュームレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planer Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等の3次元画像処理を施して表示画像を発生する。
表示回路19は、浸潤判定機能175による判定結果や表示画像発生機能177により発生された表示画像等の種々の情報を表示機器に表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路21は、入力機器によるユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。
制御回路11は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等の演算装置とROMやRAM等の記憶装置とを有する。制御回路11は、本実施形態に係る医用画像処理装置1の中枢として機能する。例えば、制御回路11は、記憶回路15に記憶されている画像処理プログラムを読み出して、読み出された画像処理プログラムに従い医用画像処理装置1内の各部を制御する。
以下、本実施形態に係る制御回路11の制御の下に行われる浸潤判定処理の詳細について、食道癌の他臓器診断を臨床応用例に挙げて説明する。
図2は、食道と気管及び気管支との位置関係を模式的に示す図である。図2に示すように、食道は、喉と胃とを結ぶ管状組織である。胸の上部において食道の前面側に気管が位置する。気管と食道は頸部において分岐し、気管は気管分岐部において気管支、より詳細には、2つの主気管支に分岐する。各主気管支は、末梢に行くにつれ更に複数の細気管支さらには複数の呼吸細気管支に細分化される。
食道壁は内側から外側に向かって粘膜層、粘膜下層、固有筋層、及び外膜の4層に分けられる。食道癌の病期(ステージ)は壁深達度としてT因子で示される。T1aは癌が粘膜層内に留まっている段階であり、T1bは癌が粘膜下層内に留まっている段階であり、T2は癌が固有筋層内に留まっている段階である。T3は癌が外膜まで浸潤している段階であり、T4は癌が食道周辺組織まで浸潤している段階である。食道癌が浸潤する可能性のある周辺組織としては、例えば、気管や気管支、血管等の管状組織が挙げられる。
臨床的には、T3までであれば癌を高い確度で外科的に取り除くことが出来るとされており、T4まで進行すると癌を外科的に取り除くことは困難であるとされている。術前においてT4であると診断されると外科的手術が行われない場合がある。すなわち、本来はT3であるのにT4であると診断することは避けなければならない。
第1実施形態に係る医用画像処理装置1は、複数の時相に関する複数の3次元画像に画像処理を施して、被検体の食道癌の病期がT4であるか否か、すなわち、食道癌が浸潤可能性のある管状組織に浸潤しているか否かを判定する。
図3は、第1実施形態に係る制御回路11の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを示す図である。なお、ステップS1の前段階においてX線コンピュータ断層撮影装置や磁気共鳴イメージング装置等の医用モダリティにより被検体の食道を含む撮影部位を複数の時相に亘り撮影し、複数の時相に関する複数の3次元画像が収集されているものとする。例えば、X線コンピュータ断層撮影装置は、X線管とX線検出器とを有するガントリにより被検体をX線でスキャンする。X線検出器からは複数のビューに関する生データが出力され、非接触データ伝送装置により再構成装置に伝送される。再構成装置は、ガントリから伝送された複数のビューに関する生データに基づいて複数の時相に関する複数の3次元画像を再構成する。なお、撮影期間中において被検体は繰り返し呼吸を行っている。これにより複数の時相に亘る3次元画像において呼吸に伴う気管膜様部の僅かな伸展を捕らえることができる。収集された複数の時相に関する複数の3次元画像は、ネットワークを介して医用画像処理装置1に送信され、記憶回路15に記憶される。
浸潤判定処理の開始指示がなされると制御回路11は、記憶回路15から複数の時相に関する複数の3次元画像を読み出し、画像処理回路17に供給する。図3に示すように制御回路11は、画像処理回路17に断面設定機能171を実行させる(ステップSA1)。ステップSA1において画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、食道癌の浸潤可能性の判定対象である管状組織に関する管状組織領域に交差する断面を設定する。以下、設定された断面を計測対象断面と呼ぶことにする。説明を具体的に行うため、食道癌の浸潤可能性のある管状組織は気管支であるとする。
気管支に関する画像領域(以下、気管支領域と呼ぶ)に交差する計測対象断面は、ユーザにより入力回路21を介して指定されても良いし、画像処理により自動的に設定されても良い。
ユーザにより入力回路21を介して指定する場合について説明する。表示画像発生機能177の実行により画像処理回路17は、ユーザにより入力回路21を介して又は自動的に設定された断面に関する断面画像を3次元画像に基づいて発生し、表示回路19は、発生された断面画像を表示する。例えば、左主気管支の場合、画像処理回路17は、3次元画像に対して斜位での断面変換を2回行うことにより、当該気管支に直交するダブルオブリーク画像を得ることができる。ユーザは、入力回路21を介して断面を変えながら断面画像を観察し、食道癌による気管支への浸潤を診断可能な断面を指定する。断面設定機能171の実行により画像処理回路17は、指定された断面を計測対象断面に設定する。
画像処理により自動的に設定する方法について説明する。まず、断面設定機能171の実行により画像処理回路17は、図4に示すように、3次元画像に含まれる気管支領域(より詳細には、内腔に関する画像領域(以下、内腔領域と呼ぶ))RAを領域拡張法やテンプレートマッチング法、閾値処理等の既存の画像処理により抽出する。そして画像処理回路17は、気管支領域RAの局所の形状に基づいて計測対象断面を設定する。具体的には、3次元画像について気管支領域RAの中心軸に沿って複数の直交断面を設定し、設定された各直交断面において気管支領域RAの形状を計測する。直交断面において、周囲に食道癌が存在しない気管支領域RAは略楕円形状を呈するが、食道癌が発達するにつれて気管支領域RAは歪み三日月様形状を呈することとなる。すなわち、画像処理回路17は、気管支領域RAが三日月様形状を有する直交断面を計測対象断面に設定すると良い。
画像処理による他の方法として画像処理回路17は、3次元画像に含まれる食道癌に関する画像領域(以下、食道癌領域と呼ぶ)を、ユーザによる入力回路21を介して又は既存の画像処理により特定する。そして画像処理回路17は、特定された食道癌領域の周辺にある気管支領域を特定し、特定された気管支領域の中心軸に直交する断面を計測対象断面に設定すると良い。
断面設定機能171の実行により画像処理回路17は、各時相について上記の方法により計測対象断面を設定しても良いし、一の時相については上記の方法により計測対象断面を設定し、他の時相については当該設定された計測対象断面をトラッキング法等の画像処理により追従することにより計測対象断面を設定しても良い。
上記の方法により、計測対象断面が設定されると画像処理回路17は、表示画像発生機能177を実行する。表示画像発生機能177において画像処理回路17は、計測対象断面に関する断面画像を各時相について3次元画像に基づいて発生する。図5は、ステップSA1において設定された計測対象断面に関する断面画像の一例を示す図である。図5に示すように、計測対象断面は、気管支領域RAの中心軸に直交し、当該計測対象断面に関する断面画像には気管支領域RAと食道癌領域RBとが描出されている。
ステップSA1が行われると制御回路11は、画像処理回路17の計測機能173を実行させる(ステップSA2)。ステップSA2において画像処理回路17は、複数の時相に亘り、気管支領域の断面における形態指標値を計測する。以下、形態指標値の計測について詳細に説明する。まず、画像処理回路17は、計測対象断面の気管支領域に、形態指標値の計測のための関心領域(以下、計測領域と呼ぶ)を設定する。
図6は、ステップSA1において設定された計測対象断面に関する断面画像への計測領域ROIの設定例を示す図である。図6に示すように、画像処理回路17は、気管支領域、より詳細には、内腔領域RAに計測領域ROIを、ユーザによる入力回路21を介した指示に従い又は画像処理により自動的に設定する。より詳細には、計測領域ROIは、気管支領域の内腔領域RAに内接するように設定されても良いし、内腔領域RAに外接するように設定されても良い。画像処理回路17は、各時相について上記の方法により計測領域ROIを設定しても良いし、一の時相については上記の方法により計測領域ROIを設定し、他の時相については当該設定された計測領域ROIをトラッキング法等の画像処理により追従することにより計測領域ROIを設定しても良い。
なお、上記の説明においては、一の気管支領域について一の計測領域が設定されることに限定されず、内腔領域に内接する計測領域と内腔領域に外接する計測領域との両方が設定されても良い。
計測領域が正しい位置に設定されているか確認するため表示回路19は、計測領域を明示して複数の時相に関する複数の断面画像を表示すると良い。計測領域の位置が正しくないと判断した場合、ユーザは、入力回路21を介して計測領域を調節する。ユーザは計測領域が正しいと判断した場合、入力回路21を介して以降の処理の実行を指示することとなる。入力回路21を介して当該指示が入力されたことを契機として画像処理回路17は、以降の処理を行う。なお、画像処理回路17により計測領域が設定されると自動的に以降の処理が行われても良い。
複数の時相に亘り計測領域が設定されると画像処理回路17は、各時相について気管支領域の形態指標値を計測する。気管支領域の形態指標値としては、例えば、内腔面積、内周の長さ、外周の長さ、長軸の長さ、短軸の長さ、長軸の長さと短軸の長さの比率、円形度等が挙げられる。具体的には、内腔面積は計測領域の面積として、内周の長さは気管支領域の内腔領域に内接する計測領域の長さとして、外周の長さ気管支領域の内腔領域に外接する計測領域の長さとして、長軸の長さは計測領域の長軸の長さとして、短軸の長さは計測領域の短軸の長さとして、円形度は計測領域の円形度として計測される。
ステップSA2が行われると制御回路11は、画像処理回路17に浸潤判定機能175を実行させる(ステップSA3)。ステップSA3において画像処理回路17は、複数の時相に亘る形態指標値の推移に基づいて、気管支に食道癌が浸潤しているか否かを判定する。
ここで、図7と図8とを参照しながら、形態指標値の推移と食道癌の気管支への浸潤との関係について説明する。図7は、T3とT4との各々における、計測対象断面内の気管支領域RAの形態の時間変化を模式的に示す図である。図8は、T3とT4との各々における、形態指標値の一つである内腔面積の時間変化を示す図である。図8の縦軸は内腔面積に規定され、横軸は時間に規定されている。T3の段階では食道癌が周囲の気管支に浸潤していないため、気管支は被検体の呼吸に応じて伸縮する。そのため、T3の場合、図7及び図8に示すように、計測対象断面内の気管支領域RAの形態は時間経過に伴い変化する。一方、T4の段階では食道癌が周囲の気管支に浸潤しているため、浸潤している気管支が硬化する。そのため、食道癌の周囲の気管支は被検体の呼吸に関わらず伸縮しない。すなわち、T4の場合、図7及び図8に示すように、計測対象断面内の気管支領域RAの形態は時間経過に伴い変化しない。
このようなT3とT4とにおける形態指標値の推移の態様の相違を利用して画像処理回路17は、気管支組織に食道癌が浸潤しているか否かを判定する。例えば、画像処理回路17は、ステップSA2において計測された基準時相P0の形態指標値と比較時相P1の形態指標値との差分に基づいて、気管支組織に食道癌が浸潤しているか否かを判定する。基準時相P0と比較時相P1とは、気管支の伸展の度合いと収縮の度合いとが最も大きい時相に設定されると良い。例えば、基準時相P0は、呼気に対応する時相に設定され、比較時相P1は、吸気に対応する時相に設定されると良い。T3に関する基準時相P0の形態指標値と比較時相P1の形態指標値との差分は、T4に関する基準時相P0の形態指標値と比較時相P1の形態指標値との差分に比して有意な差がある。
浸潤判定機能175において画像処理回路17は、基準時相P0の形態指標値と比較時相P1の形態指標値との差分を計算し、計算された差分を予め設定された閾値に対して比較する。閾値は、T3における標準的な差分よりも小さくT4における標準的な差分よりも大きい値に設定されると良い。そして差分が閾値よりも小さい場合、画像処理回路17は、食道癌が気管支に浸潤していないと判定し、差分が閾値よりも大きい場合、食道癌が気管支に浸潤していると判定する。
なお、気管支の伸縮の程度は、食道癌の浸潤度だけでなく、計測対象の気管支部分の解剖学的位置に応じて異なる場合がある。例えば、心臓に遠い気管支部分は近い気管支部分に比して拍動の影響を受けにくい。そのため、T3であっても形態指標値の時間経過に伴う変化が比較的小さい場合がある。このような解剖学的位置に応じた形態指標値の推移の傾向を考慮して判定処理が行われても良い。
例えば、画像処理回路17は、計測領域の形態指標値の推移と正常領域の形態指標値の推移との比較に基づいて、気管支に食道癌が浸潤しているか否かを判定しても良い。図9は、T4と計測領域と正常領域との各々における、形態指標値の一つである内腔面積の時間変化を示す図である。図9において、比較例として、解剖学的に内腔面積の時間変化が比較的大きい部位に関するT3の時間変化も示している。正常領域は、計測領域が設定された管状組織と解剖学的に同一の管状組織であって、高確度で食道癌が浸潤していない部位に対応する管状組織領域部分に設定されると良い。例えば、計測領域が気管支領域に設定されている場合、食道癌が浸潤していない事が明らかな気管支部位に対応する気管支領域部分に設定されると良い。また、計測領域と正常領域との解剖学的位置の違いに起因する形態指標値の推移の相違を低減するため、正常領域は、計測領域が設定された部位に可能な限り近い部位に設定されると良い。正常領域は、計測領域とともに計測機能173において画像処理回路17により設定される。この際、画像処理回路17は、ユーザにより入力部21を介して正常領域を設定しても良いし、画像処理により自動的に設定しても良い。画像処理の場合、画像処理回路17は、例えば、気管支領域に沿って複数の直交断面を設定し、各直交断面について気管支領域の形状を計測し、略楕円形状を有する気管支領域を正常領域に設定する。
この場合、浸潤判定機能175の実行により画像処理回路17は、正常領域について基準時相P0の形態指標値と比較時相P1の形態指標値との差分を計算し、計測領域について基準時相P0の形態指標値と比較時相P1の形態指標値との差分を計算し、正常領域に関する差分と計測領域に関する差分とを比較する。そして画像処理回路17は、計測領域に関する差分が正常領域に関する差分に対して有意な差異があると判定した場合、気管支に食道癌が浸潤していると判定する。計測領域に関する差分が正常領域に関する差分に対して有意な差異が無いと判定した場合、画像処理回路17は、気管支に食道癌が浸潤していないと判定する。
ステップSA3が行われると制御回路11は、表示回路19に表示処理を行わせる(ステップSA4)。ステップSA4において表示回路19は、ステップSA3における判定結果を表示する。
図10は、表示回路19による判定結果の表示例を示す図である。図10に示すように、表示画面は判定結果表示領域R1、画像表示領域R2、グラフ表示領域R3、及び形態計測値表示領域R4を有する。判定結果表示領域R1にはステップS3において得られた判定結果が表示される。例えば、表示回路19は、浸潤判定機能175により、気管支に食道癌が浸潤していないと判定された場合、その旨のメッセージ、例えば、図10に示すように、「食道癌の病期はT4ではありません」等を表示する。浸潤判定機能175により、気管支に食道癌が浸潤していると判定された場合、表示回路19は、その旨のメッセージ、例えば、「食道癌の病期はT4です」を表示する。これにより、ユーザは、食道癌の病期がT4であるか否か、換言すれば、食道癌が気管支に浸潤しているか否かを確認することができる。画像表示領域R2には、計測対象断面に関する断面画像が表示される。例えば、表示回路19は、複数の時相に亘り断面画像を動的に表示する。なお、画像表示領域R2に表示される画像は、計測対象断面に関する断面画像に限定されず、複数の時相に関する複数の3次元画像に基づく如何なる画像が表示されても良い。形態計測値表示領域R4にはステップSA2において計測された形態計測値が表示される。表示回路19は、計測対象断面に関する断面画像と併せて形態計測値を表示すると良い。例えば、表示回路19は、形態計測値と計測対象断面に関する断面画像とを時相を一致させて動的に重ねて表示させると良い。これにより、ユーザは、気管支領域の形態と形態計測値との関連を把握することができる。なお、形態計測値と断面画像とを並べて表示しても良い。グラフ表示領域R3には、ステップSA2において計測された計測領域に関する形態計測値の推移を示すグラフが表示される。このように、判定結果だけでなく、計測対象断面に関する断面画像と形態計測値と形態計測値の推移を示すグラフとを表示することによりユーザは、判定結果の信頼性を判断することができる。
ステップSA4が行われると、制御回路11の制御の下に行われる浸潤判定処理が終了する。
なお、本実施形態において計測領域は、気管支領域に設定されるとしたが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、計測領域は、食道癌の浸潤可能性のある血管、例えば、大血管に関する画像領域(以下、大血管領域と呼ぶ)に設定されても良い。
また、本実施形態において計測領域は、一の管状組織領域について一箇所に設定されるとしたが、本実施形態はこれに限定されず、計測領域は、一の管状組織領域について複数箇所に設定されても良い。この場合、計測機能173において画像処理回路17は、複数の計測領域の各々について複数の時相に亘り形態計測値を計測する。画像処理回路17は、複数の計測領域の各々について形態計測値の推移に基づいて個別に食道癌が管状組織に浸潤しているか否かを判定する。そして画像処理回路17は、例えば、食道癌が浸潤していると判定された計測領域が一つでもある場合、食道癌が管状組織に浸潤していると判定する。一方、画像処理回路17は、例えば、食道癌が浸潤していると判定された計測領域が一つもない場合、食道癌が管状組織に浸潤していないと判定する。なお、画像処理回路17は、食道癌が浸潤していると判定された計測領域が一つでもある場合、食道癌が管状組織に浸潤していると判定し、食道癌が浸潤していると判定された計測領域が一つもない場合、食道癌が管状組織に浸潤していないと判定しても良い。このように、一の管状組織領域について複数の計測領域を設定することにより、食道癌が管状組織に浸潤しているか否かをより正確に判定することができる。
また、本実施形態において計測領域は、一の管状組織について計測領域が設定されるとしたが、本実施形態はこれに限定されず、計測領域は、複数の管状組織に設定されても良い。例えば、計測機能173において画像処理回路17は、気管支領域と大血管領域とに計測領域を個別に設定しても良い。この場合、画像処理回路17は、気管支領域と大血管領域との各々について複数の時相に亘り形態計測値を計測する。浸潤判定機能175において画像処理回路17は、気管支領域に関する形態計測値の推移に基づいて食道癌が気管支に浸潤しているか否か、大血管領域に関する形態計測値の推移に基づいて食道癌が大血管に浸潤しているか否かを個別に判定する。画像処理回路17は、気管支と大血管との少なくとも一方に食道癌が浸潤していると判定した場合、食道癌の病期はT4であると判定する。画像処理回路17は、気管支と大血管との何れにも食道癌が浸潤していないと判定した場合、食道癌の病期はT4でないと判定する。このように、複数の管状組織領域について複数の計測領域を設定することにより、食道癌が周囲の管状組織に浸潤しているか否かをより正確に判定することができる。
上記の通り、第1実施形態に係る医用画像処理装置1は、食道癌がその周囲の管状組織に浸潤している場合としていない場合とで、管状組織の形態の時間変化態様が異なるという性質に基づく、食道癌の管状組織への浸潤の有無に関する新たな判定方法を提供する。
このために、第1実施形態に係る医用画像処理装置1は、画像処理回路17を有する。画像処理回路17は、断面設定機能171、計測機能173、及び浸潤判定機能175を有する。断面設定機能171において画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、腫瘍の浸潤可能性のある管状組織に関する管状組織領域に交差する計測対象断面を設定する。計測機能173において画像処理回路17は、複数の時相に亘り、管状組織領域の計測対象断面における形態指標値を計測する。浸潤判定機能175において画像処理回路17は、複数の時相に亘る形態指標値の推移に基づいて、管状組織に腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。
上記の構成により、従来の判定方法に比して、より高確度で管状組織に腫瘍が浸潤していないか否かを判定することができる。よって医師等のユーザは、この判定結果を参酌することにより、食道癌を外科的に除去できる可能性の有無をより正確に判断することができる。具体的には、従来判定方法によればT4と診断されてしまい手術適応から外れてしまっていた症例についても、第1実施形態によれば正しくT3と診断することができる。
かくして、第1実施形態によれば、管状組織への腫瘍の浸潤をより正確に判断することできる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。なお以下の説明において、第1実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
図11は、第2実施形態に係る医用画像処理装置1の構成を示す図である。図11に示すように、第2実施形態に係る画像処理回路17は、第2実施形態に係る浸潤判定のための画像処理プログラムの実行により、断面設定機能171、計測機能173、浸潤判定機能175、表示画像発生機能177及び関心領域設定機能179を実現する。
断面設定機能171において画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、第1の関心領域(ROI:region of interest)と第2のROIとを設定する。第1のROIは、腫瘍の浸潤可能性のある第1の周辺部位に関する画像領域(以下、第1の周辺部位領域と呼ぶ)に設定される。腫瘍が食道癌の場合、腫瘍の浸潤可能性のある第1の周辺部位としては、腫瘍の近傍に位置する気管支や大動脈、リンパ節が挙げられる。第2のROIは、第1の周辺部位とは異なる第2の周辺部位に関する画像領域(以下、第2の周辺部位領域と呼ぶ)に設定される。第2の周辺部位領域は、例えば、第1のROIが設定された気管支領域に隣接する解剖学的領域が良い。このような解剖学的領域としては、例えば、第1のROIが気管支領域に設定された場合、当該気管支領域に隣接する大動脈領域やリンパ節領域が良い。なお、第2のROIは、第1のROIに重複していなければ、第1のROIに接していても良いし、接していなくても良い。
計測機能173において画像処理回路17は、第1のROIと第2のROIとの位置変動を表す指標値を計測する。以下、当該指標値を位置変動量と呼ぶことにする。具体的には、画像処理回路17は、第1のROIに係る位置変動量と第2のROIに係る位置変動量とを計測し、第1のROIに係る位置変動量と第2のROIに係る位置変動量との類似度を算出する。
浸潤判定機能175において画像処理回路17は、複数の時相のうちの少なくとも2時相に亘る、第1のROIと第2のROIとの位置変動に基づいて、第1の周辺部位と第2の周辺部位とに腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。判定結果は、表示回路19により表示される。
図12は、第2実施形態に係る制御回路11の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを示す図である。図13は、第2実施形態に係る浸潤判定処理の流れを模式的に示す図である。図12に示すように、まず、制御回路11は、画像処理回路17に関心領域設定機能179を実行させる(ステップSB1)。ステップSB1において画像処理回路17は、時相毎に3次元画像に対して、腫瘍の周辺部位に第1のROIと第2のROIとを設定する。
例えば、図13に示すように、第1のROIは、腫瘍の浸潤可能性のある管状組織に関する管状組織領域RBに設定され、第2のROIは、当該管状組織に隣接する大動脈に関する画像領域(以下、大動脈領域と呼ぶ)RCに設定される。なお、管状組織領域RBは、腫瘍に関する画像領域(腫瘍領域)RAの周辺に存在する。腫瘍領域RAの周辺には、管状組織領域RBの他に大動脈領域RCやリンパ節に関する画像領域(リンパ節領域)RDが存在する。第1のROIとしては、腫瘍の浸潤可能性のある解剖学的組織に関する解剖学的領域であれば如何なる場所に設定されても良い。具体的には、第1のROIは、管状組織領域RBや大動脈領域RC、リンパ節領域RD等の何れに設定されても良い。第2のROIとしては、第1のROIが設定された解剖学的領域に隣接する解剖学的領域に設定されると良い。図13に示すように、第1のROIが管状組織領域RBに設定された場合、第2のROIは、管状組織領域RBに隣接する大動脈領域RCやリンパ節領域RDに設定可能である。
なお、第1のROIと第2のROIとは、全ての時相について設定されても良いし、位置変動量の計測対象の時相に限定して設定されても良い。ROIの設定対象の時相は、ユーザにより入力回路21を介して任意に設定可能である。
なお、画像処理回路17は、第1のROIと第2のROIとを3次元領域として設定しても良いし、2次元領域として設定しても良い。例えば、各時相の3次元画像の計測断面に第1のROIと第2のROIとの位置が入力回路21等を介して手動的に指定された場合、指定された位置を含む2次元領域に第1のROIと第2のROIが設定されると良い。この場合、計測断面における第1のROIと第2のROIとの位置変動が計測されることとなる。しかしながら、以下の説明においては、より簡易・確実な浸潤判定を行うため、第1のROIと第2のROIとは3次元領域を有するものとする。例えば、各時相の3次元画像の計測断面に第1のROIと第2のROIとの位置が入力回路21等を介して手動的に指定された場合、指定された位置を含む3次元領域に第1のROIと第2のROIとが設定される。あるいは、指定された位置に対応する3次元的な解剖学的領域を3次元画像から画像処理により区分し、当該解剖学的領域内に第1のROI又は第2のROIが設定されても良い。
ステップSB1が行われると制御回路11は、画像処理回路17に計測機能173を実行させる(ステップSB2)。ステップSB2において画像処理回路17は、第1のROIと第2のROIとについて、少なくとも2時相に亘る位置変動量を計測する。位置変動量としては、例えば、第1の時相と第2の時相との間における第1のROI又は第2のROIの移動量が挙げられる。なお、第2実施形態に係る移動量は、例えば、移動距離又は移動方向であっても良いし、移動距離と移動方向との組合せである移動ベクトルであっても良い。以下、位置変動量は移動ベクトルであるとする。
例えば、画像処理回路17は、複数の時相に亘り第1のROIと第2のROIとを画像処理により追従し、第1のROIと第2のROIとの位置を特定する。そして、画像処理回路17は、第1のROIと第2のROIとの各々について、複数の時相のうちの任意の2時相に亘る移動ベクトルを計測すると良い。移動ベクトルの計測対象の2時相は、比較的に位置が顕著に変動する2時相に設定されると良い。このような時相としては、図13に示すように、吸気相と呼気相とが挙げられる。画像処理回路17は、吸気相と呼気相とに亘る第1のROIの移動ベクトルを計測する。具体的には、第1のROIを構成する各画素の移動ベクトル、すなわち、移動距離と移動方向とを移動ベクトルとして計測する。そして画像処理回路17は、各画素の移動ベクトルの統計値を算出し、当該統計値を第1のROIの移動ベクトルに設定する。統計値としては、各画素の移動ベクトルの平均値や最頻値、中央値、最大値、最小値等が挙げられる。画像処理回路17は、第2のROIについても同様に、移動ベクトルを計測する。
なお、第1のROI及び第2のROIの移動ベクトルの計測方法は上記方法のみに限定されない。例えば、画像処理回路17は、各ROIの基準画素の移動ベクトルを各ROIの移動ベクトルとして計測しても良い。基準画素としては、各ROIを構成する画素のうちの中心、重心又は端点に設定されても良いし、ユーザにより指定された任意の画素に設定されても良い。
ステップSB2が行われると画像処理回路17は、第1のROIに係る位置変動量と第2のROIに係る位置変動量との類似度を算出する(ステップSB3)。類似度としては、第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの相違を示す任意の指標値が採用される。例えば、画像処理回路17は、類似度としては、第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの差分を算出する。差分が小さいほど類似度が大きいことを意味し、差分が大きいほど類似度が小さいことを意味する。なお、移動ベクトルは、移動距離と移動方向とを成分として有している。そのため、画像処理回路17は、第1のROIに係る移動距離と第2のROIに係る移動距離との差分、第1のROIに係る移動方向と第2のROIに係る移動方向との差分を算出する。
ステップSB3が行われると制御回路11は、浸潤変邸機能175を実行させる(ステップSB4)。ステップSB4において画像処理回路17は、類似度に基づいて腫瘍が周辺部位に浸潤しているか否かを判定する。
ここで、判定処理について図13を参照しながら詳細に説明する。なお、第1のROIは気管支領域に設定され、第2のROIは当該気管支領域に隣接する大動脈領域に設定されているものとする。上記の通り、類似度は、第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの相違を示すし、例えば、第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの差分である。換言すれば、類似度は、呼吸動に伴う第1のROIに対応する組織と第2のROIに対応する組織との動きの類似性を評価する。
図13の(a)に示すように、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤していない場合、すなわち、T4でない場合、気管支と大動脈とは独立に動くこととなる。従って第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの類似度は比較的低いこととなる。一方、図13の(b)に示すように、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤している場合、すなわち、T4である場合、気管支と大動脈との独立性は失われ、気管支と大動脈とは従属して動くこととなる。従って第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの類似度は比較的高い。
このような腫瘍の周辺組織同士の動きの相違を利用して画像処理回路17は、当該周辺組織に食道癌が浸潤しているか否かを判定する。具体的には、画像処理回路17は、類似度と予め設定された閾値とを比較する。閾値は、第1の周辺部位と第2の周辺部位とに食道癌が浸潤している場合において類似度が取り得る値と浸潤していない場合において類似度が取り得る値とを区別可能な値に設定されると良い。閾値は、ユーザ等により入力回路21等を介して任意の値に設定可能である。また、閾値は、各ROIが設定された解剖学的領域の種類及び場所に応じて異なる値に設定されても良い。
類似度が閾値よりも低い場合、画像処理回路17は、食道癌が第1の周辺部位と第2の周辺部位とに浸潤していない、すなわち、T4ではないと判定する。類似度が閾値よりも高い場合、画像処理回路17は、食道癌が第1の周辺部位と第2の周辺部位とに浸潤している、すなわち、T4であると判定する。
ステップSB4が行われると判定回路11は、表示回路19に表示処理を行わせる(ステップSB5)。ステップSB5において表示回路19は、ステップSB4における判定結果を表示する。例えば、図13に示すように、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤していない、すなわち、T4ではないと判定された場合、表示回路19は、その旨のメッセージ、例えば、「T4ではありません」等を表示する。食道癌が気管支と大動脈とに浸潤している、すなわち、T4であると判定された場合、表示回路19は、その旨のメッセージ、例えば、「T4である」等を表示する。これによりユーザは、食道癌の病期がT4であるか否か、換言すれば、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤しているか否かを判定することができる。
この際、表示回路19は、判定結果と共に、類似度や、第1のROIと第2のROIとを通る計測対象断面に関する断面画像を表示しても良い。当該断面画像は、3次元画像に基づいて画像処理回路17により発生されれば良い。類似度や断面画像とともに判定結果を表示することによりユーザは、判定結果の信頼性を判断することができる。
ステップSB5が行われると制御回路11の制御の下に行われる浸潤判定処理が終了する。
上記の通り、第2実施形態に係る医用画像処理装置1は、複数の時相に関する複数の3次元画像を画像処理する画像処理回路17を有する。画像処理回路17は、関心領域設定機能179と浸潤判定機能175とを有する。関心領域設定機能179において画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、腫瘍の浸潤可能性のある第1の周辺部位に関する第1の周辺部位領域を含む第1のROIと、第1の周辺部位とは異なる第2の周辺部位に関する第2の周辺部位領域を含む第2のROIとを設定する。浸潤判定機能175において画像処理回路17は、複数の時相のうちの少なくとも2時相に亘る、第1のROIと第2のROIとの位置変動に基づいて第1の周辺部位と第2の周辺部位とに腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。
上記の構成により、第2実施形態に係る医用画像処理装置1は、腫瘍の周辺組織同士の動きの相違を利用して、当該周辺組織に食道癌が浸潤しているか否かを判定することができる。これにより、腫瘍の周辺組織の形態が時間経過に応じて変化しない場合においても、当該周辺組織と他の周辺組織とに腫瘍が浸潤しているか否かを判定することができる。
かくして、第2実施形態によれば、管状組織への腫瘍の浸潤をより正確に判断することできる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る医用画像処理装置について説明する。上記の第2実施形態においては第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの位置変動量の類似度に基づいて周辺組織への腫瘍の浸潤の有無を判定するものとした。しかしながら、当該第1のROIと第2のROIとが設定された部位全体の体動が支配的である場合、第1のROIに係る移動ベクトルと第2のROIに係る移動ベクトルとの位置変動量が類似していても、周辺組織に腫瘍が浸潤しているとは言い難い。そこで、第3実施形態に係る医用画像処理装置は、第1のROIと第2のROIとを包含するROI(大ROI)を設定し、大ROIの動態を観察することにより、浸潤判定の信頼性及び正確性を向上させることができる。なお以下の説明において、第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
第3実施形態に係る画像処理回路17は、第3実施形態に係る浸潤判定のための画像処理プログラムの実行により、断面設定機能171、計測機能173、浸潤判定機能175、表示画像発生機能177及び関心領域設定機能179を実現する。
断面設定機能171において画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、第1のROIと第2のROIとを設定する。第1のROIは、腫瘍の浸潤可能性のある周辺部位に関する周辺部位領域に設定される。第3実施形態に係る周辺部位は、第2実施形態に係る周辺部位と同じなので説明は省略する。第2のROIは、第1のROIを包含するように設定される。すなわち、第2のROIは、第1のROIに比して大きい体積を有する。以下、第1のROIを小ROIと呼び、第2のROIを大ROIと呼ぶことにする。小ROIの個数は一つでも良いし、複数でも良い。複数の小ROIが設定される場合、全ての小ROIを包含するように大ROIが設定されると良い。各小ROIは、第2実施形態の第1のROI及び第2のROIと同様、腫瘍の周囲にある別々の解剖学的領域に設定されると良い。
計測機能173において画像処理回路17は、小ROIと大ROIとの位置変動を表す位置変動量を計測する。具体的には、画像処理回路17は、小ROIに係る位置変動量と大ROIに係る位置変動量とを計測し、小ROIに係る位置変動量と大ROIに係る位置変動量との類似度を算出する。
浸潤判定機能175において画像処理回路17は、複数の時相のうちの少なくとも2時相に亘る、小ROIと大ROIとの位置変動に基づいて、小ROIが設定された周辺部位に腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。判定結果は、表示回路19により表示される。
図14は、第3実施形態に係る制御回路11の制御のもとに行われる浸潤判定処理の流れを示す図である。図15は、第3実施形態に係る浸潤判定処理の流れを模式的に示す図である。図14に示すように、まず、制御回路11は、画像処理回路17に関心領域設定機能179を実行させる(ステップSC1)。ステップSC1において画像処理回路17は、時相毎に3次元画像に対して、腫瘍の周辺部位に、小ROIと当該小ROIを包含する大ROIとを設定する。
例えば、図15に示すように、小ROIは、腫瘍の周辺に位置し、当該腫瘍の浸潤可能性のある解剖学的組織に対応する解剖学的領域に設定される。小ROIは、一個であっても良いし、複数個であっても良い。以下、設定される小ROIは、2個であるとする。大ROIは、第1の小ROIと第2の小ROIとを包含するように設定される。小ROIは、当該小ROIが設定された解剖学的領域に関する局所的な動態を確認するために設定され、大ROIは、複数の小ROIが設定された複数の解剖学的領域を包含する大域的な動態を確認するために設定される。例えば、第1の小ROIが、腫瘍の浸潤可能性のある管状組織に対応する管状組織領域RBに設定され、第2の小ROIが、当該管状組織に隣接する大動脈に対応する大動脈領域RCに設定された場合、大ROIは、当該管状組織領域RBと当該大動脈領域RCとを包含する胸部領域に設定されることとなる。この場合、第1の小ROIにより管状組織の動態を、第2の小ROIにより大動脈の動態を、大ROIにより胸部の動態を確認することができる。
小ROIと大ROIとは、全ての時相について設定されても良いし、位置変動量の計測対象の時相に限定して設定されても良い。ROIの設定対象の時相は、ユーザにより入力回路21を介して任意に設定可能である。また、第2実施形態と同様、画像処理回路17は、小ROIと大ROIとを3次元領域として設定しても良いし、2次元領域として設定しても良い。
ステップSC1が行われると制御回路11は、画像処理回路17に計測機能173を実行させる(ステップSC2)。ステップSC2において画像処理回路17は、小ROIと大ROIとについて、少なくとも2時相に亘る位置変動量を計測する。位置変動量としては、第2実施形態と同様、例えば、第1の時相と第2の時相との間における小ROI又は大ROIの移動ベクトルであるとする。
ステップSC2が行われると画像処理回路17は、各小ROIに係る位置変動量と大ROIに係る位置変動量との類似度を算出する(ステップSC3)。類似度としては、第2実施形態と同様、小ROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの相違を示す任意の指標値が採用される。例えば、画像処理回路17は、類似度として、小ROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの差分を算出する。なお、第1の小ROIに係る移動ベクトル、第2の小ROIに係る移動ベクトル及び大ROIに係る移動ベクトルの類似度は、第1の小ROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの差分、第2の小ROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの差分、及び第1の小ROIに係る移動ベクトルと第2の小ROIに係る移動ベクトルとの差分のうちの少なくとも2つの差分の統計値に規定されると良い。統計値としては、平均値や加算値、積算値、最大値、最小値等が挙げられる。
ステップSC3が行われると制御回路11は、浸潤変邸機能175を実行させる(ステップSC4)。ステップSC4において画像処理回路17は、類似度に基づいて腫瘍が周辺部位に浸潤しているか否かを判定する。
ここで、判定処理について図15を参照しながら詳細に説明する。図15の(a)に示すように、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤していない場合、すなわち、T4でない場合、気管支、大動脈、及び気管支と大動脈とを包含する胸部部位は独立に動くこととなる。従って第1の小ROIに係る移動ベクトル、第2の小ROIに係る移動ベクトル及び大ROIに係る移動ベクトルの類似度は比較的低いこととなる。この場合、大ROIに係る移動ベクトルを加味せずとも、第1の小ROIに係る移動ベクトルと第2の小ROIに係る移動ベクトルとの類似度に基づいて浸潤の有無の判定を行うことが可能である。
図15の(b)に示すように、第1の小ROI、第2の小ROI及び大ROIの移動ベクトルの類似度が高い場合、第1の小ROIと第2の小ROIとに係る移動ベクトルが類似しているので、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤しているとも思える。しかしながら、気管支と大動脈とが両者を包含する胸部部位の動きに類似しているので、気管支と大動脈との動きは体動に由来するとも思える。従って、第1の小ROI、第2の小ROI及び大ROIの移動ベクトルの類似度が高い場合、浸潤の有無の判定を行うことは困難である。
一方、図15の(c)に示すように、第1の小ROIと第2の小ROIとに係る移動ベクトルが類似しており、且つ第1の小ROIと第2の小ROIとに係る移動ベクトルは大ROIに係る移動ベクトルに類似しない場合、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤していると考えられる。
このような腫瘍の周辺組織同士の動きと当該周辺組織を包含する広域的部位の動きとに基づいて画像処理回路17は、当該周辺組織に食道癌が浸潤しているか否かを判定する。具体的には、画像処理回路17は、類似度と予め設定された閾値とを比較する。例えば、画像処理回路17は、第1のROIに係る移動ベクトル、第2のROIに係る移動ベクトル及び大ROIに係る移動ベクトルの類似度を第1の閾値に対して比較する。例えば、第1の閾値は、第1の周辺部位と第2の周辺部位とに食道癌が浸潤していない場合において当該類似度が取り得る値と当該場合以外の場合において当該類似度が取り得る値とを区別可能な値に設定されると良い。第1の閾値は、ユーザ等により入力回路21等を介して任意の値に設定可能である。また、第1の閾値は、各ROIが設定された解剖学的領域の種類及び場所に応じて異なる値に設定されても良い。
第1のROIに係る移動ベクトル、第2のROIに係る移動ベクトル及び大ROIに係る移動ベクトルの類似度が第1の閾値よりも低い場合、画像処理回路17は、食道癌が第1の周辺部位と第2の周辺部位とに浸潤していない、すなわち、T4ではないと判定する。類似度が第1の閾値よりも高い場合、画像処理回路17は、食道癌が第1の周辺部位と第2の周辺部位とに浸潤していない、すなわち、T4ではないと判定する。
第1のROIに係る移動ベクトル、第2のROIに係る移動ベクトル及び大ROIに係る移動ベクトルの類似度が第1の閾値よりも高い場合、画像処理回路17は、第1のROI又は第2のROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの類似度を第2の閾値に対して比較する。例えば、第2の閾値は、体動が激しい場合において当該類似度が取り得る値と当該場合以外の場合において当該類似度が取り得る値とを区別可能な値に設定されると良い。第2の閾値は、ユーザ等により入力回路21等を介して任意の値に設定可能である。また、第2の閾値は、各ROIが設定された解剖学的領域の種類及び場所に応じて異なる値に設定されても良い。
第1のROI又は第2のROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの類似度が第2の閾値よりも低い場合、画像処理回路17は、食道癌が第1の周辺部位と第2の周辺部位とに浸潤している、すなわち、T4であると判定する。一方、第1のROI又は第2のROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの類似度が第2の閾値よりも高い場合、画像処理回路17は、浸潤の有無は不明であると判定する。
ステップSC4が行われると判定回路11は、表示回路19に表示処理を行わせる(ステップSC5)。ステップSC5において表示回路19は、ステップSC4における判定結果を表示する。例えば、図15に示すように、食道癌が気管支と大動脈とに浸潤していない、すなわち、T4ではないと判定された場合、表示回路19は、その旨のメッセージ、例えば、「T4ではありません」等を表示する。食道癌が気管支と大動脈とに浸潤している、すなわち、T4であると判定された場合、表示回路19は、その旨のメッセージ、例えば、「T4である」等を表示する。また、浸潤の有無が不明、すなわち、T4が否か不明であると判定された場合、表示回路19は、その旨のメッセージ、例えば、「不明」等を表示する。これにより表示回路19は、より信憑性の高い判定結果を提供することができる。
この際、表示回路19は、判定結果と共に、類似度や、小ROIと大ROIとを通る計測対象断面に関する断面画像を表示しても良い。当該断面画像は、3次元画像に基づいて画像処理回路17により発生されれば良い。類似度や断面画像とともに判定結果を表示することによりユーザは、判定結果の信頼性を判断することができる。
ステップSC5が行われると制御回路11の制御の下に行われる浸潤判定処理が終了する。
なお、上記の実施形態において画像処理回路17は、複数の小ROIと単一の大ROIとを設定するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、画像処理回路17は、単一の小ROIと単一の大ROIとを設定しても良い。この場合、画像処理回路17は、第2実施形態と同様、小ROIに係る移動ベクトルと大ROIに係る移動ベクトルとの類似度に基づいて、当該小ROIが設定された周辺部位に腫瘍が浸潤しているか否かを判定することができる。
また、上記の実施形態において画像処理回路17は、複数の小ROIと大ROIとを一挙に設定するものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、画像処理回路17は、まず、第2実施形態に係る浸潤判定処理を実行して第1の小ROIに係る移動ベクトルと第2の小ROIに係る移動ベクトルとの類似度が閾値よりも高いと判定された場合、第3実施形態に係る浸潤判定処理を実行しても良い。この順番で浸潤判定処理を行うことにより画像処理回路17は、腫瘍が周辺部位に浸潤していない場合、大ROIを設定することなく、腫瘍が周辺部位に浸潤していない旨の判定を行うことができる。
上記の通り、第3実施形態に係る医用画像処理装置1は、複数の時相に関する複数の3次元画像を画像処理する画像処理回路17を有する。画像処理回路17は、関心領域設定機能179と浸潤判定機能175とを有する。関心領域設定機能179において画像処理回路17は、複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、腫瘍の浸潤可能性のある周辺部位に関する第1の周辺部位領域を含む小ROIと、小ROIを包含する大ROIとを設定する。浸潤判定機能175において画像処理回路17は、複数の時相のうちの少なくとも2時相に亘る、小ROIと大ROIとの位置変動に基づいて当該周辺部位に腫瘍が浸潤しているか否かを判定する。
上記の構成により、第3実施形態に係る医用画像処理装置1は、腫瘍の周辺部位に対して局所的に設定された小ROIと、当該周辺部位に対して広域的に設定された大ROIとの動きの相違を利用して、当該周辺組織に食道癌が浸潤しているか否かを判定することができる。これにより、腫瘍の周辺組織の形態が時間経過に応じて変化しない場合においても、当該周辺組織と他の周辺組織とに腫瘍が浸潤しているか否かを判定することができる。
かくして、第3実施形態によれば、管状組織への腫瘍の浸潤をより正確に判断することできる。
なお、上記第1、第2及び第3実施形態について、管状組織または他の周辺組織への浸潤の有無の判定対象である腫瘍は食道癌であることが前提であるとした。しかしながら、これら実施形態はこれに限定されない。これら実施形態に係る医用画像処理装置1は、肺癌や胆管癌等の他の癌についても、食道癌と同様の処理により、その周囲にある管状組織または他の周辺組織への浸潤の有無を判定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…医用画像診断装置、11…制御回路、13…通信回路、15…記憶回路、17…画像処理回路、19…表示回路、21…入力回路、100…X線コンピュータ断層撮影装置、171…断面設定機能、173…計測機能、175…浸潤判定機能、177…表示画像発生機能、179…関心領域設定機能、200…磁気共鳴イメージング装置。

Claims (9)

  1. 複数の時相に関する複数の3次元画像に対して、腫瘍の浸潤可能性のある管状組織に関する管状組織領域に交差する断面を設定する設定部と、
    前記複数の時相に亘り、前記管状組織領域の前記断面における形態指標値を計測する計測部と、
    前記複数の時相に亘る前記形態指標値の推移に基づいて前記管状組織に前記腫瘍が浸潤しているか否かを判定する判定部と、
    を具備する医用画像処理装置。
  2. 前記判定部による判定結果を表示する表示部をさらに備える請求項1記載の医用画像処理装置。
  3. 前記形態指標値を前記3次元画像に基づく表示画像とともに表示する表示部をさらに備える請求項1記載の医用画像処理装置。
  4. 前記判定部は、前記複数の時相のうちの基準時相に関する形態計測値と計測対象時相に関する形態計測値との比較に基づいて前記管状組織に前記腫瘍が浸潤しているか否かを判定する、請求項1記載の医用画像処理装置。
  5. 前記判定部は、前記管状組織領域に関する前記複数の時相に亘る形態計測値の推移と、前記管状組織と解剖学的に同一の組織に対応する正常領域に関する前記複数の時相に亘る形態計測値の推移との比較に基づいて前記管状組織に前記腫瘍が浸潤しているか否かを判定する、請求項1記載の医用画像処理装置。
  6. 前記計測部は、前記管状組織領域のうちの内腔領域に計測領域を設定し、前記計測領域について前記形態指標値を計測する、請求項1記載の医用画像処理装置。
  7. 前記計測部は、複数の管状組織に関する複数の管状組織領域に複数の計測領域を設定し、前記複数の計測領域各々について前記形態指標値を計測し、
    前記判定部は、前記複数の時相に亘る前記複数の計測領域各々に関する前記形態指標値の推移に基づいて前記管状組織に前記腫瘍が浸潤しているか否かを判定する、
    請求項1記載の医用画像処理装置。
  8. 前記複数の3次元画像は、前記複数の時相に亘り、前記腫瘍が発生した食道と前記管状組織とを含む撮影領域を医用画像診断装置により撮影することにより収集され、
    前記管状組織は、前記食道に近接する気管支又は血管である、
    請求項1記載の医用画像処理装置。
  9. 前記計測部は、前記形態指標値として、前記管状組織領域の内腔面積、内周長さ、外周長さ、長軸長さ、短軸長さ、長軸長さと短軸長さの比率、及び円形度の少なくとも一つを計測する、請求項1記載の医用画像処理装置。
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