JP6755210B2 - ブラシモータ、及びワイパー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ブラシモータ、及びワイパー装置に関する。
車両のワイパー装置の作動速度は、高速と低速とに切り替え可能となっている(例えば、特許文献1)。このようなワイパー装置の作動速度の切り替えは、ワイパー装置に用いられるブラシモータの回転速度を切り替えることにより実現されている。
通常、ブラシモータの回転速度の切り替えは、電機子の通電角を制御することにより実施される。そのため、この種のブラシモータは、ワイパー装置の作動速度に対応した通電角が得られる位置に配置された高速用のブラシと低速用のブラシの2種類のブラシを備えている。また、ブラシモータには、過電流が流れた場合のモータ保護のために、ブラシの入力側または出力側近傍にサーキットブレーカを設けている。
特開2001−268852号公報
ただし、従来のフロントワイパーモータでは、低速用のブラシを作動させる場合においても高速用のブラシがセグメントに摺接するため、磁気音やEMCノイズが発生する可能性がある。この問題を解決するために、ブラシモータの回転速度の切り換えをPWM制御で行う方法が考えられる。この方法により、高速用のブラシを削減することができるため、磁気音やEMCノイズの発生を防止することができる。
ここで、上述のPWM制御を行う構成において、モータ保護の対策を行うには、低速の場合と高速の場合とのそれぞれの場合における電流保護が必要となる。しかしながら、サーキットブレーカは、一つの過電流に対して過電流保護を行う。そのため、従来のように、ブラシの入力側または出力側近傍にサーキットブレーカを配置してしまうと、低速の場合と高速の場合とのそれぞれの場合において、過電流保護を行うことができない。したがって、低速の場合と高速の場合とのそれぞれの場合の過電流保護を行うには、電流センサなどの高価なICを用いる必要があり、高コストである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、低コストで低速の場合と高速の場合とのそれぞれの場合において、過電流保護を行うことができるブラシモータ、及びワイパー装置を提供することである。
本発明の一態様は、回転電機子と、前記回転電機子に備えられた整流子と、前記整流子と接触する二つのブラシと、を備えるモータ本体部を有し、前記モータ本体部を一方向に回転させるブラシモータであって、電源から供給される駆動電流をPWM制御し、前記PWM制御した前記駆動電流を前記モータ本体部に出力することで、前記モータ本体部を二種類以上の回転速度で駆動可能なドライバICと、前記電源から前記ドライバICに接続可能な複数の電流経路と、前記複数の電流経路の各々に設けられ、それぞれ異なる電流定格のサーキットブレーカと、を備え、外部スイッチにより、前記電源から前記ドライバICに前記駆動電流が流れる有効経路を、前記複数の電流経路の間で切り替え可能である、ブラシモータ。
本発明の一態様は、上述のブラシモータであって、前記複数の電流経路には、それぞれ電流値の異なる前記駆動電流が流れる。
本発明の一態様は、上述のブラシモータであって、前記電源からの駆動電流がそれぞれ入力される複数の端子をさらに備え、前記複数の電流経路とは、前記複数の端子と、前記ドライバICとの間をそれぞれ電気的に接続する経路である。
本発明の一態様は、上述のブラシモータであって、前記ブラシモータは4極以上の磁極を有し、前記回転電機子は均圧線を有し、前記二つのブラシは第1のブラシ及び第2のブラシであり、前記ドライバICは、前記ドライバICの外部から供給される電圧信号により、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に印加する電圧パルスのデューティを選択するデューティ制御部と、前記デューティ制御部から供給される選択されたデューティに応じて、当該デューティのパルス列であるPWM信号を出力するPWM信号生成部と、前記第1のブラシ及び前記第2のブラシの何れかと前記電源及びグランドの何れかとの間に接続されており、前記PWM信号によりオンオフし、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に前記電源の電圧を前記電圧パルスとして印加する駆動トランジスタと、を備える。
本発明の一態様は、ワイパーアームを往復駆動するためのワイパーモータと、電源から供給される駆動電流をPWM制御し、前記PWM制御した駆動電流を前記ワイパーモータに出力するドライバICと、前記電源から前記ドライバICに接続可能な複数の電流経路と、前記電源から前記ドライバICに駆動電流が流れる有効経路を、前記複数の電流経路の間で切り替え可能なスイッチ部と、前記複数の電流経路の各々に設けられ、それぞれ異なる電流定格のサーキットブレーカと、を備えるワイパー装置である。
本発明の一態様は、上述のワイパー装置であって、前記ワイパーモータは、回転電機子と、前記回転電機子に備えられた整流子と、前記整流子と接触する二つのブラシと、備える。
本発明の一態様は、上述のワイパー装置であって、前記ワイパーモータは4極以上の磁極を有し、前記回転電機子は均圧線を有し、前記二つのブラシは第1のブラシ及び第2のブラシであり、前記ドライバICは、前記ドライバICの外部から供給される電圧信号により、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に印加する電圧パルスのデューティを選択するデューティ制御部と、前記デューティ制御部から供給される選択されたデューティに応じて、当該デューティのパルス列であるPWM信号を出力するPWM信号生成部と、前記第1のブラシ及び前記第2のブラシの何れかと前記電源及びグランドの何れかとの間に接続されており、前記PWM信号によりオンオフし、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に前記電源の電圧を前記電圧パルスとして印加する駆動トランジスタと、を備える。
以上説明したように、本発明によれば、低コストで低速の場合と高速の場合とのそれぞれの場合において、過電流保護を行うことができる。
本発明の一実施形態に係るブラシモータの外観図である。 本発明の一実施形態に係るブラシモータ100を用いたワイパー装置Aの概略構成の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る制御IC12及びサーキットブレーカの配置図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、図面において、同一又は類似の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省く場合がある。また、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「有する」や「備える」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
以下、本発明の一実施形態に係るブラシモータを、図面を用いて説明する。
ブラシモータ100は、一方向の回転力を発生させる(一方向に回転する)磁極が4極以上の多極のモータである。本実施形態において、ブラシモータ100は、例えば、車両のフロントワイパー装置の動力となる回転力を発生させるための多極、例えば磁極が4極の直流モータであるものとする。ただし、ブラシモータ100は、多極の直流モータであれば任意であり、その用途も車両のフロントワイパー装置に限らず、任意の装置の動力を発生させるために使用可能である。
図1に示すように、ブラシモータ100は、モータ部M及び減速機構部Gを備える。
モータ部Mには、一方向の回転力を発生させるモータ本体部110が内蔵されている。
具体的には、モータ部Mのハウジング部MHには、モータ本体部110が収容されている。
モータ本体部110は、4極以上の磁極からなる界磁部(図示なし)、均圧線(図示なし)を有する回転電機子(図示なし)、及び二つのブラシ(図示なし)を備える。均圧線を用いたことによりブラシの数が削減され、モータ本体部110のレイアウト性が向上する。したがって、ブラシモータ100の磁極の多極化を図りつつ、ブラシモータ100を小型化、ひいてはワイパー装置Aを小型化することができる。
界磁部は、ハウジング部MHに固定されている。回転電機子は、整流子を備えている。
二つのブラシは第1のブラシ及び第2のブラシであり、上記整流子と接触するように配置されている。
減速機構部Gは、モータ本体部110の回転電機子の回転数を所望の回転数に減速するためのものである。減速機構部Gのハウジング部GHには、モータ本体部110の回転軸(回転電機子のシャフト)と結合されたウォームギアや、このウォームギアと連結されたウォームホイールギア等が収容されている。
減速機構部Gにより減速された回転は、減速機構部Gから延出した出力軸Qから取り出される。なお、図1では示されていないが、出力軸Qには、モータ本体部110が発生させた一方向の回転を、ワイパー(ワイパーブレードと示す場合もある)がウインドシールドを払拭するための往復駆動に対応した正方向(例えば、時計回り方向)と逆方向(例えば、反時計回り方向)の二方向の回転に変換するためのリンク機構等が取り付けられる。
図2は、本実施形態に係るブラシモータ100を用いたワイパー装置Aの概略構成の一例を示す図である。
ワイパー装置Aは、自装置に設けられたワイパーモータ(モータ本体部110)を駆動することで、ワイパーアームをフロントガラス上における所定の範囲内で揺動動作させ、フロントガラスに付着した埃や雨滴等を払拭する。本実施形態に係るワイパー装置Aは、ワイパーモータを低速で駆動することでワイパーブレードを低速で動作させる低速作動モードと、ワイパーモータを高速で駆動することでワイパーブレードを高速で動作させる高速作動モードとを備える。以下に、本実施形態に係るワイパー装置Aの具体的な構成について、図面を用いて説明する。
ワイパー装置Aは、ブラシモータ100、ワイパスイッチ200、及びスイッチ部201,202を備える。このワイパー装置Aは、運転者によりイグニッションスイッチ301をオンされることにより電源300の電力を、スイッチ部201,202を介してブラシモータ100に供給することができる。ここで、電源300とは、例えば、バッテリである。
ワイパスイッチ200は、車両の車室内(図示せず)に設けられている。
ワイパスイッチ200は、ワイパーアームを揺動動作させるスイッチである。
具体的には、ワイパスイッチ200は、ワイパーアームを低速(例えば、予め設定された速度)で動作させる低速作動モード、ワイパーアームを低速作動モードより高速で動作させる高速作動モード、及びワイパーアームの揺動動作を停止させる停止モードの各々のモードに切り換え可能である。ここで、ワイパーアームの駆動源は、ワイパーモータであるモータ本体部110である。したがって、ワイパスイッチ200は、モータ本体部110を低速で回転させる低速作動モード、モータ本体部110を低速作動モードより高速で回転させる高速作動モード、及びモータ本体部110の回転動作を停止させる停止モードの各々モードに切り換え可能である。
このワイパスイッチ200は、スイッチ部201、及びスイッチ部202のそれぞれに接続されている。ワイパスイッチ200は、操作者の操作に基づいて、スイッチ部201、及びスイッチ部202のそれぞれを、オン状態又はオフ状態に制御する。
スイッチ部201は、一端がイグニッションスイッチ301を介して電源300の出力端子に接続され、他端がブラシモータ100に接続されている。例えば、スイッチ部201は、低速モード用のスイッチである。
スイッチ部201は、ワイパスイッチ200からオン状態に操作されることで、電源300からの駆動電流Iがブラシモータ100に供給される。
スイッチ部202は、一端がイグニッションスイッチ301を介して電源300の出力端子に接続され、他端がブラシモータ100に接続されている。例えば、スイッチ部202は、高速モード用のスイッチである。
スイッチ部202は、ワイパスイッチ200からオン状態に操作されることで、電源300からの駆動電流Iがブラシモータ100に供給される。
なお、スイッチ部201がオン状態である場合には、スイッチ部202がオフ状態になる。一方、スイッチ部202がオン状態である場合には、スイッチ部201がオフ状態になる。
ブラシモータ100は、コネクタ10、複数のサーキットブレーカ11(11−1,11−2)、制御IC12、駆動トランジスタ15、リレープレート20、及びモータ本体部110を備える。
コネクタ10は、複数の入力端子101〜105を備える。
入力端子101は、イグニッションスイッチ301を介して電源300の出力端子に電気的に接続される。また、入力端子101は、リレープレート20のブレーキ接点Bに接続される。
入力端子102は、スイッチ部201に接続される。入力端子102は、電源300から駆動電流Iがスイッチ部201を介して入力する入力端子である。すなわち、イグニッションスイッチ301がオン状態であり、且つスイッチ部201がオン状態に操作された場合には、電源300からの駆動電流Iが入力端子102に入力する。そして、入力端子102に入力した駆動電流Iは、サーキットブレーカ11−1を介して制御IC12の入力端子121に供給される。
入力端子103は、スイッチ部202に接続される。入力端子103は、電源300から駆動電流Iがスイッチ部202を介して入力する入力端子である。すなわち、イグニッションスイッチ301がオン状態であり、且つスイッチ部202がオン状態に操作された場合には、電源300からの駆動電流Iが入力端子103に入力する。そして、入力端子103に入力した駆動電流Iは、サーキットブレーカ11−2を介して制御IC12の入力端子122に供給される。
入力端子104は、リレープレート20のスタート接点Sに接続される。
入力端子105は、グランド端子である。
サーキットブレーカ11−1は、入力端子102と制御IC12の入力端子121との間に接続される。すなわち、サーキットブレーカ11−1は、入力端子102に入力した駆動電流IがドライバIC12に供給される電流経路に設けられる。
サーキットブレーカ11−2は、入力端子103と制御IC12の入力端子122との間に接続される。すなわち、サーキットブレーカ11−2は、入力端子103に入力した駆動電流IがドライバIC12に供給される電流経路に設けられる。
このサーキットブレーカ11−1と、サーキットブレーカ11−2とは、それぞれ異なる電流定格のサーキットブレーカである。すなわち、サーキットブレーカ11−1は、低速作動モードにおける電流保護用のサーキットブレーカである。一方、サーキットブレーカ11−2は、高速作動モードにおける電流保護用のサーキットブレーカである。したがって、サーキットブレーカ11−1の電流定格は、サーキットブレーカ11−2の電流定格よりも低く設定される。
制御IC12は、電源300から供給される駆動電流I,IをPWM制御し、そのPWM制御した駆動電流I,Iをモータ本体部110に出力することで、モータ本体部110の回転電機子を二種類以上の回転速度で駆動させることができる。すなわち、制御IC12は、低速作動モードにおいて、電源300から供給される駆動電流IをPWM制御し、そのPWM制御した駆動電流Iをモータ本体部110に出力することで、モータ本体部110の回転電機子を低速で駆動させる。一方、制御IC12は、高速作動モードにおいて、電源300から供給される駆動電流IをPWM制御し、そのPWM制御した駆動電流Iをモータ本体部110に出力することで、モータ本体部110の回転電機子を高速で駆動させる。なお、この制御IC12は、ディスクリートで形成されている。
制御IC12は、入力端子121,122、ダイオード13、制御部14、駆動トランジスタ15、及びダイオード16を備える。
入力端子121からモータ本体部110に向かう駆動電流Iの電流経路と、入力端子122からモータ本体部110に向かう駆動電流Iの電流経路と、はノードNで合流し、インダクタL1を介してモータ本体部110に接続される。
制御部14は、入力部141(デューティ制御部)、記憶部142、信号処理部143(PWM信号生成部)、駆動部144、及び過熱検知部145を備える。なお、図3は、本発明の一実施形態に係る制御IC12及びサーキットブレーカの配置図である。
入力部141は、入力端子121及び入力端子122のそれぞれに電気的に接続される。具体的には、入力部141は、入力端子121とノードNとの間の電流経路に接続される。また、入力部141は、入力端子122とノードNとの間の電流経路に接続される。
入力部141は、入力端子121からの電圧信号を検出すると、操作者により低速作動モードが選択されたと判定する。そして、入力部141は、低速作動モードにおける電圧パルスのデューティ比Dを選択し、信号処理部143に供給する。入力端子121からの電圧信号とは、入力端子121に印加された電圧であって、スイッチ部201がオン状態であることを示す。
一方、入力部141は、入力端子122からの電圧信号を検出すると、操作者により高速作動モードが選択されたと判定する。そして、入力部141は、高速作動モードにおける電圧パルスのデューティ比Dを選択し、信号処理部143に供給する。入力端子122からの電圧信号とは、入力端子122に印加された電圧であって、スイッチ部202がオン状態であることを示す。
このように、上記電圧信号は、ワイパー装置Aにおけるワイパスイッチ200の状態に対応して、制御IC12に出力される信号である。
信号処理部143は、低速作動信号が入力されると、低速作動モードにおけるデューティ比Dのパルス列であるPWM信号を生成し、駆動部144に対して出力する。一方、信号処理部143は、高速作動信号が入力されると、高速作動モードにおけるデューティ比Dのパルス列であるPWM信号を生成し、駆動部144に対して出力する。なお、低速作動モードのデューティ比と、高速作動モードのデューティ比とは、予め設定され、記憶部142に格納されている。
上記PWM信号のデューティ比は、モータ本体部110の特性要件に応じて設定される。例えば、モータ本体部110を高速で作動させる場合、上記PWM信号のデューティ比は100パーセントに設定され、モータ本体部110を低速で作動させる場合、上記PWM信号のデューティ比は70パーセントに設定される。ただし、この例に限定されず、上記PWM信号のデューティ比は任意に設定し得る。すなわち、本実施形態においては、高速作動及び低速作動のいずれかの作動速度とするための電圧を、モータ本体部110に対して印加するようにデューティを、それぞれのモータ本体部110の特性に対応して予め設定しておく。なお、このデューティ比の値を変更するには、書き換え用の外部装置を入力端子123に接続する。これにより、記憶部142に格納されているデューティ比の値を書き換えることができる。
駆動部144は、信号処理部143から供給されるPWM信号におけるパルスの電力増幅を行い、駆動トランジスタ15に対して出力する。例えば、上記PWM信号におけるパルスのハイレベルの区間において、駆動トランジスタ15がオン状態に駆動され、上記PWM信号におけるパルスのローレベルの区間において、駆動トランジスタ15がオフ状態に駆動される。
駆動部144は、デューティ比DのPWM信号を駆動トランジスタ15に出力することで、低速作動モードにおいて、駆動電流Iをモータ本体部110の第1のブラシと第2のブラシとの間に印加する。
一方、駆動部144は、デューティ比DのPWM信号を駆動トランジスタ15に出力することで、高速作動モードにおいて、駆動電流Iをモータ本体部110の第1のブラシと第2のブラシとの間に出力する。
過熱検知部145は、制御IC12内の温度を監視しており、その温度が閾値を超えた場合に、その旨を知らせる信号を信号処理部143に出力する。制御IC12は、その信号を取得した場合には、例えば、PWM信号の出力を停止する。
駆動トランジスタ15は、モータ本体部110の回転電機子の整流子に対し、ブラシを介して印加される電圧を発生させ、上記回転電機子の巻線を通電する。本実施形態では、駆動トランジスタ15は、nチャネル型パワーFET(Field Effective Transistor)である。また、駆動トランジスタ15として、nチャネル型パワーFETではなく、バイポーラトランジスタを用いてもよい。
ダイオード16は、モータ本体部110の回転を停止させる際に発生するエネルギーを消費させることにより、モータ本体部110を保護する。
リレープレート20は、ワイパー装置Aのワイパーブレードの往復運動の始点と終点のタイミングを得るための要素である。リレープレート20は、減速機構部Gのハウジング部GHの内部に備えられ、モータ本体部110の作動に連動して回転する。ここで、ブレーキ接点Bは、ワイパー装置Aを制動するためのタイミングを発生させる接点である(スノークラッチ機能有り)。また、スタート接点Sは、ワイパー装置Aを作動させるためのタイミングを発生させる接点である。ブレーキ接点Bおよびスタート接点Sは、モータ本体部110の回転角に応じてグランドEと電気的に接続される。したがって各接点がグランド電位になるタイミングから、ワイパー装置Aの制動のタイミングと作動のタイミングを把握することができる。なお、リレープレート20は、公知の技術を利用して実現することができる要素である。
以下に、本実施形態に係るワイパー装置Aの動作について説明する。
車両の使用者がワイパー装置Aのワイパスイッチ200を、停止状態から高速作動あるいは低速作動のいずれかの作動モードに設定すると、電源300の電圧が入力端子102または入力端子103に入力される。具体的には、車両の使用者がワイパー装置Aのワイパスイッチ200を、停止状態から低速作動モードに設定すると、電源300の電圧が入力端子102を介して入力端子121に入力される。一方、車両の使用者がワイパー装置Aのワイパスイッチ200を、停止状態から高速作動モードに設定すると、電源300の電圧が入力端子103を介して入力端子122に入力される。
したがって、制御IC12は、入力端子121及び入力端子122のうち、どちらの端子に電圧が印加されたのか判別することで、低速作動モードと高速作動モードのうち、どちらのモードでモータ本体部110を回転させるかを判定する。
制御IC12は、入力端子121に電圧が印加された場合には、低速作動モードでモータ本体部110を回転させると判定する。したがって、制御IC12は、デューティ比DのPWM信号を駆動トランジスタ15に出力する。これにより、モータ本体部110は、低速作動モードの回転速度で回転する。
一方、制御IC12は、入力端子122に電圧が印加された場合には、高速作動モードでモータ本体部110を回転させると判定する。したがって、制御IC12は、デューティ比DのPWM信号を駆動トランジスタ15に出力する。これにより、モータ本体部110は、高速作動モードの回転速度で回転する。
ここで、デューティ比DのPWM信号を駆動トランジスタ15に出力されると、駆動電流Iがモータ本体部110に供給される。この場合の駆動電流Iの電流経路(以下、「第1の電流経路」という。)は、電源300、スイッチ部201、入力端子102、入力端子121、ノードN、インダクタL1,インダクタL2、モータ本体部110、インダクタL3、駆動トランジスタ15である。そして、サーキットブレーカ11−1は、入力端子102と入力端子121との間の第1の電流経路に設けられている。これにより、サーキットブレーカ11−1は、駆動電流Iの過電流を防止することができる。
一方、デューティ比DのPWM信号を駆動トランジスタ15に出力されると、駆動電流Iがモータ本体部110に供給される。この場合の駆動電流Iの電流経路(以下、「第2の電流経路」という。)は、電源300、スイッチ部202、入力端子103、入力端子122、ノードN、インダクタL1,インダクタL2、モータ本体部110、インダクタL3、駆動トランジスタ15である。そして、サーキットブレーカ11−2は、入力端子103と入力端子122との間の第2の電流経路に設けられている。これにより、サーキットブレーカ11−2は、駆動電流Iの過電流を防止することができる。
この第1の電流経路と第2の電流経路とは、ワイパスイッチ200により切り替え可能である。
なお、サーキットブレーカ11−1は、駆動電流Iの過電流を防止することができれば、どこに設けられていてもよい。すなわち、サーキットブレーカ11−1は、第1の電流経路において、スイッチ部201からノードNまでの経路において設けられていればよい。ただし、制御IC12内において、サーキットブレーカ11−1を設けることは、現実的ではない。そのため、サーキットブレーカ11−1は、第1の電流経路において、スイッチ部201から入力端子121までの経路において設けられていればよい。
一方、サーキットブレーカ11−2は、駆動電流Iの過電流を防止することができれば、どこに設けられていてもよい。すなわち、サーキットブレーカ11−2は、第2の電流経路において、スイッチ部202からノードNまでの経路において設けられていればよい。ただし、制御IC12内において、サーキットブレーカ11−2を設けることは、現実的ではない。そのため、サーキットブレーカ11−2は、第2の電流経路において、スイッチ部202から入力端子122までの経路において設けられていればよい。
このスイッチ部202から入力端子122までの電流経路と、スイッチ部202から入力端子122までの経路と、は、電源300からドライバICに接続可能な電流経路である。そして、ワイパスイッチ200により、電源300からドライバIC12に駆動電流が流れる有効経路を、複数の電流経路(スイッチ部201から入力端子121までの電流経路と、スイッチ部202から入力端子122までの経路)の間で切り替える。
上述したように、本実施形態に係るブラシモータ100は、回転電機子と、その回転電機子に備えられた整流子と、その整流子と接触する二つのブラシと、備えるモータ本体部110を有し、モータ本体部110を一方向に回転させる。そして、ブラシモータ100は、電源300から供給される駆動電流をPWM制御し、そのPWM制御した駆動電流をモータ本体部110に出力することで、モータ本体部110を二種類以上の回転速度で駆動可能なドライバIC12と、電源300からドライバIC12に接続可能な複数の電流経路と、各電流経路に設けられ、それぞれ異なる電流定格のサーキットブレーカ11と、を備え、外部スイッチにより、電源300からドライバICに駆動電流が流れる有効経路を、複数の電流経路の間で切り替え可能である。これにより、低コストで低速の場合と高速の場合とのそれぞれの場合において、過電流保護を行うことができる。
本実施形態に係るワイパー装置Aは、雨が小降りになったり、車速が上がり、ワイパーブレードへの負荷が高負荷になっても、作動し続けられ、ブレードが凍結や積雪で拘束された場合には、過電流が流れる為、電流保護としてサーキットブレーカ11が働く。これを低速作動、高速作動のそれぞれのモードを独立して制御することで各モードの特性を最大限に引き出せる。この制御は従来基板回路を背負ったモータでは基板上に電流センサを設けて独立制御するが、本発明では、基板を使わずに、PWM制御ができる制御IC12とサーキットブレーカ11の組合わせで安価に設定することができる。
なお、本実施形態に係るブラシモータ100は、PWM制御によるモータ本体部110の作動速度の制御を行うので、従来のように高速用と低速用の各々のブラシを設け、作動速度によりこれら高速用及び低速用の各々のブラシの切り替えを行う必要がない。このため、作動速度に応じた複数のブラシの個数を備える必要がなくなる。したがって、例えば、高速用のブラシを省くことが可能となり、高速用のブラシを備えることによる騒音の増加、整流子の寿命低下、効率低下等の不都合を解消することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、本実施形態では低速作動モードおよび高速作動モードの2種類の作動モードについて記載したが、他の作動モードを追加しても良い。その場合には、作動モードの数に応じた端子および電流経路と、各作動モードにより流れる電流に応じたサーキットブレーカとを増設すればよい。
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
A ワイパー装置
10 コネクタ
11 サーキットブレーカ
12 制御IC
15 駆動トランジスタ
20 リレープレート
100 ブラシモータ
110 モータ本体部

Claims (7)

  1. 回転電機子と、前記回転電機子に備えられた整流子と、前記整流子と接触する二つのブラシと、を備えるモータ本体部を有し、前記モータ本体部を一方向に回転させるブラシモータであって、
    電源から供給される駆動電流をPWM制御し、前記PWM制御した前記駆動電流を前記モータ本体部に出力することで、前記モータ本体部を二種類以上の回転速度で駆動可能なドライバICと、
    前記電源から前記ドライバICに接続可能な複数の電流経路と、
    前記複数の電流経路の各々に設けられ、それぞれ異なる電流定格のサーキットブレーカと、
    を備え、
    外部スイッチにより、前記電源から前記ドライバICに前記駆動電流が流れる有効経路を、前記複数の電流経路の間で切り替え可能である、ブラシモータ。
  2. 前記複数の電流経路には、それぞれ電流値の異なる前記駆動電流が流れる請求項1に記載のブラシモータ。
  3. 前記電源からの駆動電流がそれぞれ入力される複数の端子をさらに備え、
    前記複数の電流経路とは、前記複数の端子と、前記ドライバICとの間をそれぞれ電気的に接続する経路である、請求項1又は請求項2に記載のブラシモータ。
  4. 前記ブラシモータは4極以上の磁極を有し、
    前記回転電機子は均圧線を有し、
    前記二つのブラシは第1のブラシ及び第2のブラシであり、
    前記ドライバICは、
    前記ドライバICの外部から供給される電圧信号により、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に印加する電圧パルスのデューティを選択するデューティ制御部と、
    前記デューティ制御部から供給される選択されたデューティに応じて、当該デューティのパルス列であるPWM信号を出力するPWM信号生成部と、
    前記第1のブラシ及び前記第2のブラシの何れかと前記電源及びグランドの何れかとの間に接続されており、前記PWM信号によりオンオフし、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に前記電源の電圧を前記電圧パルスとして印加する駆動トランジスタと
    を備えることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のブラシモータ。
  5. ワイパーアームを往復駆動するためのワイパーモータと、
    電源から供給される駆動電流をPWM制御し、前記PWM制御した駆動電流を前記ワイパーモータに出力するドライバICと、
    前記電源から前記ドライバICに接続可能な複数の電流経路と、
    前記電源から前記ドライバICに駆動電流が流れる有効経路を、前記複数の電流経路の間で切り替え可能なスイッチ部と、
    前記複数の電流経路の各々に設けられ、それぞれ異なる電流定格のサーキットブレーカと、
    を備えるワイパー装置。
  6. 前記ワイパーモータは、
    回転電機子と、
    前記回転電機子に備えられた整流子と、
    前記整流子と接触する二つのブラシと、
    備えることを特徴とする請求項5に記載のワイパー装置。
  7. 前記ワイパーモータは4極以上の磁極を有し、
    前記回転電機子は均圧線を有し、
    前記二つのブラシは第1のブラシ及び第2のブラシであり、
    前記ドライバICは、
    前記ドライバICの外部から供給される電圧信号により、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に印加する電圧パルスのデューティを選択するデューティ制御部と、
    前記デューティ制御部から供給される選択されたデューティに応じて、当該デューティのパルス列であるPWM信号を出力するPWM信号生成部と、
    前記第1のブラシ及び前記第2のブラシの何れかと前記電源及びグランドの何れかとの間に接続されており、前記PWM信号によりオンオフし、前記第1のブラシと前記第2のブラシとの間に前記電源の電圧を前記電圧パルスとして印加する駆動トランジスタと
    を備えることを特徴とする請求項6に記載のワイパー装置。
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