JP6754738B2 - 空間音響解析方法及びそのシステム - Google Patents

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Description

本発明は、空間における音響解析方法及びそのシステムに関し、特に、空間内の音源と観測位置との間の伝達経路解析を含む音響解析方法及びそのシステムに関する。
自動車や鉄道車両、航空機の内部やその他の空間内にいる搭乗者がどのような騒音(振動音)を感じているか、あるいは騒音が空間内にどのように伝搬しているか、該空間についての音響解析が必要となる。かかる音響解析の1つの方法として、音源と搭乗者の頭部に対応する観測位置との間の空気を介したエネルギー伝達経路を評価する伝達経路解析(TPA;Transfer Path Analysis)が行われる。例えば、空気伝搬経路による音圧は、壁などの音源表面からの体積加速度に伝達関数を掛けて求められる。
例えば、非特許文献1では、鉄道車両の台車等の音源から車内での騒音・振動の伝搬経路ごとの寄与度を把握する伝達経路解析において、実際に走行している鉄道車両のデータを用いた方法について述べている。複数箇所に取り付けた振動加速度センサにより、各地点で3方向の振動加速度を観測するとともに、入力点(音源)と評価点(観測位置)との間で定義される伝達関数を用いた解析を行っている。
ところで、音波の強さは音圧と粒子速度で表される。この音圧はマイクロフォンにより加速度としても観測できるが、その場に作用する力などの各種情報までを得るには粒子速度の考慮も必要となる。
例えば、特許文献1では、音圧に変えて音を伝達する空気粒子としての「音響粒子」を考慮し、この速度観測を観測位置で行って、音源から観測位置(受音側)への伝達関数を求めることを開示している。音源から観測位置までの構造伝搬経路及び空気伝搬経路からなる音経路において、構造伝搬経路では力センサや加速度センサによって構造支持体に付加されている力を測定するとともに、空気伝搬経路では音源の放射面近くに取り付けた体積加速度センサによって体積加速度を測定する。そして、観測位置に音響粒子速度センサを配置して粒子速度ベクトルを決定し、この粒子速度ベクトルへの音源からの各経路の寄与を三次元ベクトル法によって解析し得るとしている。
また、非特許文献2では、観測位置にマイクロフォンのような観測器を配置するのではなく、逆に、観測位置に模擬音源を配置し音源側にマイクロフォンを配置して観測を行って、伝達関数の相反性から伝達経路解析を行う方法について述べている。相反定理を利用した音響加振法によれば、音源側に小型のマイクロフォンを配置することができて、300Hz程度以下の騒音(振動音)の発生源を局所的に絞って詳細に解析し得るとしている。
特開2013−79953号公報
M. Asahina, T. Tomioka, S. Matsuo, T. Yoshimura:"Application of transfer path analysis to the vibration and noise of a railway vehicle", The International Symposium on Speed-up and Sustainable Technology for Railway and Maglev System (STECH2015), 2015 丸山新一 学位論文、「構造−音響系の相反定理を活用した車両の騒音低減技術に関する研究」、1998年3月16日発行
上記したように、相反定理を利用した音響加振法によれば、騒音(振動音)の発生源を局所的に絞って観測でき、空間内の音源と観測位置との間の伝達経路解析を含む音響解析を詳細に行うことが可能となる。一方、模擬音源としては無指向性のものが必要となり、特に、低周波数域では模擬音源が大きくなってしまうことから、観測位置への音響的な影響を無視できず、かつ点音源と見なせなくなって解析精度を低下させる原因となる。
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであって、その目的は、自動車や鉄道車両、航空機の内部やその他の空間内の音源と観測位置との間の伝達経路解析を含む音響解析方法及びそのシステムの提供にある。
本発明による音響解析方法は、空間内に形成される音場を解析する音響解析方法であって、前記空間内の観測位置に音響センサを配置し、設定される仮想音源面に沿ってスピーカを移動させつつ前記スピーカの前方に配置した音響粒子速度センサによって前記スピーカから発せられる音の音響粒子速度を測定して、前記観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得する伝達関数取得工程を含むことを特徴とする。
かかる発明によれば、観測位置の音響センサとスピーカの前方の音響粒子速度センサとで観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得するので、スピーカを仮想音源面に沿って移動させることで観測位置と仮想音源面の各部分とのそれぞれの間の伝達関数を得ることができる。そして、これらの伝達関数によって空間内における音源と観測位置との間の伝達経路解析を含む音響解析を可能とする。
上記した発明において、所定周波数範囲の音を前記音響粒子速度センサで測定するよう前記スピーカを駆動させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、伝達関数を精度よく取得できる。
上記した発明において、前記スピーカは面振動スピーカであり、前記所定周波数範囲は前記スピーカの(1,1)モードの振動での固有振動数を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、得られる伝達関数の精度を向上させ得る。
上記した発明において、前記音響センサはマイクロフォンであり音圧を測定することを特徴としてもよい。また、上記した発明において、前記音響センサは音響粒子速度センサであり音響粒子速度を測定することを特徴としてもよい。さらに、上記した発明において、前記音響センサはさらに音の強さを測定することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、それぞれ音圧、音響粒子速度、音の強さについての伝達関数を得ることができる。
上記した発明において、前記仮想音源面は前記空間内に突出する部位の表面を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、空間内に突出する部位があってもこれを仮想音源面として音響解析ができる。
上記した発明において、前記伝達関数取得工程において、前記仮想音源面をN個に分割した分割面のそれぞれについてその位置x(n=1〜N)から前記観測位置rまでの伝達関数G(x/r)を決定しておき、その後、前記位置xで測定される音響粒子速度v(x)から前記観測位置rの音響特性p(r)を
(但しΔS(x)を前記位置xに対応した前記分割面の面積とする。)で解析することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、伝達関数から観測位置の音圧などの音響特性を推定する音響解析を行うことができる。
本発明による音響解析システムは、空間内に形成される音場を解析する音響解析システムであって、前記空間内の観測位置に配置された音響センサと、設定される仮想音源面上に配置されるスピーカと、前記スピーカの前方に配置した音響粒子速度センサと、を含み、前記仮想音源面に沿って前記スピーカを移動させつつ前記音響粒子速度センサによって前記スピーカから発せられる音の音響粒子速度を測定して、前記観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得する伝達関数取得部を含むことを特徴とする。
かかる発明によれば、観測位置の音響センサとスピーカの前方の音響粒子速度センサとで観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得するので、スピーカを仮想音源面に沿って移動させることで観測位置と仮想音源面の各部分とのそれぞれの間の伝達関数を得ることができる。そして、これらの伝達関数によって空間内における音源と観測位置との間の伝達経路解析を含む音響解析を可能とする。
上記した発明において、所定周波数範囲の音を前記音響粒子速度センサで測定するよう前記スピーカを駆動させることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、伝達関数を精度よく取得できる。
上記した発明において、前記スピーカは面振動スピーカであり、前記所定周波数範囲は前記スピーカの(1,1)モードの振動での固有振動数を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、得られる伝達関数の精度を向上させ得る。
上記した発明において、前記音響センサはマイクロフォンであり音圧を測定することを特徴としてもよい。また、上記した発明において、前記音響センサは音響粒子速度センサであり音響粒子速度を測定することを特徴としてもよい。さらに、上記した発明において、前記音響センサはさらに音の強さを測定することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、それぞれ音圧、音響粒子速度、音の強さについての伝達関数を得ることができる。
上記した発明において、前記仮想音源面は前記空間内に突出する部位の表面を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、空間内に突出する部位があってもこれを仮想音源面として音響解析ができる。
上記した発明において、前記伝達関数取得部において、前記仮想音源面をN個に分割した分割面のそれぞれについてその位置x(n=1〜N)から前記観測位置rまでの伝達関数G(x/r)を決定しておき、その後、前記位置xで測定される音響粒子速度v(x)から前記観測位置rの音響特性p(r)を
(但しΔS(x)を前記位置xに対応した前記分割面の面積とする。)で解析することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、伝達関数から観測位置の音圧などの音響特性を推定する音響解析を行うことができる。
本発明の実施例における音響解析方法を示すフロー図である。 音響解析方法を説明する空間のモデルを示す図である。 本発明の実施例における音響解析システムのブロック図である。 検証試験に用いた装置の斜視図である。 検証試験の結果を示す推定と実測の音圧レベルを示すグラフである。
本発明による音響解析方法について図1及び図2を用いて説明する。ここでは、音響解析の一部として観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得することを主として含むものであるが、説明を簡単にするために、音響解析の例として、周囲に騒音のある空間の中の観測位置における音圧を推定する場合を説明する。
図1に図2を併せて参照すると、まず、音響解析すべき空間1を設定する(S1)。空間1としては、例えば、列車等の車両の内部や自動車の室内など、外部から空間1の内部に音を伝搬させる壁面等の音源となる面を有する空間を想定する。
ここで、空間1は、全面を物理的な壁面によって区画されている必要はなく、例えば外部と通じる開口部分のある開空間でもよい。このような場合には、かかる開口部分にも音を内部に伝搬させる面が連続して存在するものとする。そして、壁面や開口部分を含め、空間1内部に音を伝搬させるこれらの面を空間1内の音源となる仮想音源面2として設定する。また、車両の内部に備えられる座席や、自動車のコンソールボックスなど、室内に突出して備えられる備品などのある場合において、仮想音源面2はかかる備品などに沿って、つまり空間1の内部に突出する部位の表面を含むように設定されるとよい。また、室内に音源のある場合などは、その音源の表面に仮想音源面2を設定して、かかる音源を仮想音源面2の外側に配置する。なお、明らかに外部からの音の伝搬のない部分や音の伝搬を無視できる部分については仮想音源面2を設定する必要はない。
続いて、仮想音源面2上の各位置x(n=1〜N)を移動するスピーカと、これに伴って前面で移動する音響粒子速度センサとを配置し、各位置xにおける音響粒子速度と、空間1内の観測位置rの音響特性とを測定し、これらの関係によって位置xから観測位置rまでの音響特性の大きさの比と位相差を表す周波数応答関数、すなわち伝達関数(グリーン関数)G(x/r)を取得する(S2)。ここで音響特性としては、音圧や音響粒子速度、音の強さ(音響インテンシティ、単位:W/m)など、音響に関わる周波数特性を有する各種物理量を用い得る。ここでは音圧についての伝達関数を得たものとする。なお、各位置xは、仮想音源面2の全面をN個に分割した分割面のそれぞれの位置である。また、この伝達関数取得工程(S2)についての詳細は後述する。
続いて、仮想音源面2が空間1内に騒音等の音を伝搬させている状態で、分割面の位置xの音響粒子速度を測定する(S3)。ここでは、音響粒子速度センサを仮想音源面2に沿って移動させて、nを1からNまで変化させて位置xの音響粒子速度をそれぞれ測定する。ここで、音響粒子速度センサとしては、上記したスピーカの前方に配置したものを取り外して使用してもよいし、別の音響粒子速度センサを用いてもよい。
そして、仮想音源面2に沿って測定した音響粒子速度から観測位置rの音圧p(r)を推定する(S4)。各位置xにおいて測定した音響粒子速度v(x)を上記した伝達関数に乗じたものを、さらに全ての位置xについて加算すればよい。すなわち、観測位置rの音圧p(r)は、ΔS(x)を各位置xに対応させて仮想音源面2を分割した分割面の面積として、以下の「式1」で表すことができる。
以上のように、音の伝搬している空間1の中の観測位置rにおける音圧を伝達関数から推定する音響解析のできることを示した。このように、仮想音源面2上の各位置xから観測位置rまでの伝達関数を取得しておくことで、例えば観測位置rの音圧に対する各位置xからの寄与の大小を順序づけたり、空間1内の音圧分布を推定したりするなど、空間1内における他の音響解析をすることもできる。音圧の代わりに他の音響特性に関する伝達関数を得ても同様に式1によってそれぞれの音響特性p(r)を推定する音響解析が可能である。
次に、本発明による音響解析システムを用いた音響解析方法として、特に上記した伝達関数取得工程(S2)の詳細について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、音響解析システム10は、空間1内に形成される音場を解析するシステムであり、空間1内に設定された仮想音源面2に沿って配置されるスピーカ3と、空間1内の観測位置rに配置される観測位置音響センサ4と、スピーカ3の前方に配置されるスピーカ前音響粒子速度センサ5とを含む。また、スピーカ3、観測位置音響センサ4及びスピーカ前音響粒子速度センサ5は演算処理装置12に接続される。演算処理装置12は、例えば、スピーカ前音響粒子速度センサ5で測定したスピーカ3から発生させた音の音響粒子速度の信号と、観測位置音響センサ4で受信した音による信号との大きさの比と位相差を計測できる。また、演算処理装置12は、伝達関数を取得することのできる伝達関数取得部を含む。
スピーカ3は、演算処理装置12からの信号によって所定の周波数の音を発生させることができる。つまり、演算処理装置12は少なくとも発振器及びアンプの機能も有する。スピーカ3としては、出力のない状態で空間1に与える音響に関する影響を極力少なくすることが好ましく、測定に使用する音の波長に対して十分小さく、薄いことが好ましい。このようなスピーカ3としては、例えば、面振動スピーカなどが好適である。また、スピーカ3を面振動スピーカとし、これによって発生する音をスピーカ前音響粒子速度センサ5によって代表して測定する場合には、面振動を発生させる振動板は0〜1次モードで一様に振動できるものが好ましい。このような面振動スピーカとしては、例えば圧電スピーカを用い得る。その他、所定の周波数帯域幅の音を発生できるものであれば、小型スピーカや、スマートフォンなども使用し得る。特に、スマートフォンであれば、アンプ等を別に設ける必要もなく、音を発生させるためのアプリケーションをインストールしておけば演算処理装置12の発振器及びアンプの機能を不要とでき、取り回しにおいても有利とし得る。
観測位置音響センサ4は、例えば音圧を測定できるマイクロフォンなど、得ようとする伝達関数に用いられる特定の音響特性を測定できるものや、かかる特定の音響特性に換算可能な音響特性を測定できるものである。また、スピーカ前音響粒子速度センサ5は音響粒子速度を測定可能なセンサであり、特定の方向の感度が高く、意図しない方向からの騒音の影響を受けづらい。そのため、音響粒子である媒質(空気)の粒子速度を高い精度で測定できる。
ここで、スピーカ3から帯域幅を有する周波数の音を発生させて、スピーカ前音響粒子速度センサ5によって発生された音の音響粒子速度を測定するとともに、観測位置音響センサ4によって観測位置rでの音圧などの音響特性を測定する。演算処理装置12の伝達関数取得部では、スピーカ前音響粒子速度センサ5によって測定された音響粒子速度と、観測位置音響センサ4で測定された音の音響特性との位相差及び大きさの比から、周波数応答関数である伝達関数を算出する。これによって、スピーカ3を位置xに配置したときの伝達関数G(x/r)を取得できる。
ここで、音響特性の測定にあたっては、周囲に騒音のないことが好ましいが、騒音の発生している場合であっても、かかる騒音に対して十分大きい音をスピーカ3から発生させれば、伝達関数を取得できる。
さらに、スピーカ3の位置を仮想音源面2に沿って移動させ、同様に位置xに配置したときの観測位置rでの音響特性を測定し、伝達関数G(x/r)を取得する。つまり、面振動スピーカ3の位置を移動させつつnを1からNまで変化させた位置xのそれぞれに配置し、伝達関数G(x/r)〜G(x/r)を取得する。これによって、上記したような伝達関数を用いた音響解析が可能となる。
ここで、スピーカ3の移動に合せてスピーカ前音響粒子速度センサ5も移動させているので、それぞれの位置xでの音の反響する周囲の壁面等の影響を含めて音響粒子速度を測定でき、これを用いて伝達関数を求めることで、正確な伝達関数を得ることができて、正確な音響解析を可能とする。
なお、観測位置音響センサ4は例えば音圧の測定できるマイクロフォンであるが、これを音響粒子速度センサとすることで、観測位置rの音響粒子速度を測定でき、その場に作用する力などの各種情報までを得ることもできる。例えば、これを音圧や音圧レベルに変換できる。また、上記したように、音の強さなどの他の音響特性を測定してもよく、それぞれにあった音響センサを用いることができる。
また、伝達関数の取得に際し、仮想音源面2に沿って移動させるスピーカ3をカメラで撮影しておいて、その位置を画像解析によって求めてもよい。これにより、多数の位置のそれぞれに対応する伝達関数の取得を連続的に処理することが容易になる。
[検証試験]
上記した音響解析方法に関し、簡単なモデルで行った検証試験について、図4及び図5を用いて説明する。
図4に示すように、内部を空洞とする直方体形状の箱20の内部に音源スピーカ27を配置し、観測位置rには観測位置音響センサ4を配置する。観測位置音響センサ4としては、音圧を測定できるマイクロフォンを用いた。また、床面に接していない箱20の面21〜25は、それぞれ仮想音源面2の一部とし、他の仮想音源面を考慮しなくてよいように騒音のない室内に載置した。箱20としては、段ボール箱の各面に厚さ1.0mmのアルミ板を外側から張り付けたものを使用した。また、箱20の内部の音源スピーカ27としては、振動板をコーン型とする一般的なスピーカを使用した。
まず、図4(a)に示すように、箱20の面21に沿った位置にスピーカ3を配置し、所定の帯域幅を有する周波数の音を発生させて、スピーカ3の前面に配置したスピーカ前音響粒子速度センサ5で音響粒子速度を測定した。スピーカ3としては小型の面振動スピーカを用いた。同時に、観測位置rの観測位置音響センサ4で音圧を測定した。上記した例と同様に、スピーカ前音響粒子速度センサ5と、観測位置音響センサ4との測定結果から、これらの間の伝達関数を取得した。同様に、面22〜25についても観測位置rまでの伝達関数をそれぞれ取得した。
次いで、図4(b)に示すように、箱20の内部のスピーカ27で所定の帯域幅を有する周波数の音を発生させて、各面21〜25の前面に配置した音響粒子速度センサによる音源面前音響粒子速度センサ6によって音響粒子速度を測定した。音源面前音響粒子速度センサ6としては、スピーカ前音響粒子速度センサ5を代用させることもできる。音源面前音響粒子速度センサ6で測定した音響粒子速度を用いて、各面21〜25から観測位置rまでの伝達関数によって観測位置rの音圧レベルを推定した。つまり、上記した音響解析の例と同様に、仮想音源面2を箱20の5つの面に分割したと仮定して、5つの面についての伝達関数と音響粒子速度との積を得てこれらを加算し、簡易的に観測位置rの音圧レベルを推定するのである。
一方、箱20の内部のスピーカ27で上記と同様に所定の帯域幅を有する周波数の音を発生させて、観測位置音響センサ4によって音圧レベルを測定した。つまり、箱20内部からの音による観測位置rの音圧レベルを実測するのである。
図5には、伝達関数を用いて推定した観測位置rの音圧レベルの周波数特性に併せて、観測位置rで実測した音圧レベルの周波数特性を示した。両者の音圧レベルは、150〜250Hzの周波数範囲においてほぼ同じとなった。つまり、仮想音源面2を箱20の5つの面のみに分割した簡易的なモデルであるにも関わらず、少なくとも上記した周波数範囲においては音響解析に用いることのできる伝達関数を精度よく取得できていることが判る。
ところで、本検証試験ではスピーカ前音響粒子速度センサ5に測定させる音の周波数範囲を50〜400Hzに定めて、同周波数範囲を含む帯域幅の音を発生させるようスピーカ3を駆動させて伝達関数を取得している。このように、周囲の環境により発生し得る音や解析の対象とする音の周波数範囲に合わせて、伝達関数を取得する周波数範囲を定めておくと演算処理を省力化できて好ましい。また、より精度の高い伝達関数を得られる周波数範囲に絞って音響解析を行うこともできる。
特に、スピーカ3として本検証試験に使用した面振動スピーカの(1,1)モードの振動での固有振動数は180Hzである。また、上記したようにこの固有振動数を含む150〜250Hzにおいてより正確な音圧レベルの推定ができた。つまり、伝達関数を得るために使用する音の周波数範囲を、面振動スピーカの(1,1)モードの振動での固有振動数を含む特定の周波数範囲に定めると、伝達関数をより精度よく取得することができると考えられる。例えば、測定に使用する面振動スピーカの選択に際して、測定したい音の周波数範囲に上記した固有振動数が含まれるようにすることで、得られる伝達関数の精度を向上させ得る。
ここまで本発明による代表的な実施例及びこれに伴う変形例について述べたが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1 空間
2 仮想音源面
3 スピーカ
4 観測位置音響センサ
5 スピーカ前音響粒子速度センサ
10 音響解析システム
r 観測位置

Claims (16)

  1. 空間内に形成される音場を解析する音響解析方法であって、
    前記空間内の観測位置に音響センサを配置し、設定される仮想音源面に沿ってスピーカを移動させつつ前記スピーカの前方に配置した音響粒子速度センサによって前記スピーカから発せられる音の音響粒子速度を測定して、前記観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得する伝達関数取得工程を含むことを特徴とする音響解析方法。
  2. 所定周波数範囲の音を前記音響粒子速度センサで測定するよう前記スピーカを駆動させることを特徴とする請求項1記載の音響解析方法。
  3. 前記スピーカは面振動スピーカであり、前記所定周波数範囲は前記スピーカの(1,1)モードの振動での固有振動数を含むことを特徴とする請求項2記載の音響解析方法。
  4. 前記音響センサはマイクロフォンであり音圧を測定することを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の音響解析方法。
  5. 前記音響センサは音響粒子速度センサであり音響粒子速度を測定することを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の音響解析方法。
  6. 前記音響センサはさらに音の強さを測定することを特徴とする請求項4又は5に記載の音響解析方法。
  7. 前記仮想音源面は前記空間内に突出する部位の表面を含むことを特徴とする請求項1乃至6のうちの1つに記載の音響解析方法。
  8. 前記伝達関数取得工程において、前記仮想音源面をN個に分割した分割面のそれぞれについてその位置x(n=1〜N)から前記観測位置rまでの伝達関数G(x/r)を決定しておき、
    その後前記位置xで測定される音響粒子速度v(x)から前記観測位置rの音響特性p(r)を
    (但し、ΔS(x)を前記位置xに対応した前記分割面の面積とする。)で解析することを特徴とする請求項1乃至7のうちの1つに記載の音響解析方法。
  9. 空間内に形成される音場を解析する音響解析システムであって、
    前記空間内の観測位置に配置された音響センサと、
    設定される仮想音源面上に配置されるスピーカと、
    前記スピーカの前方に配置した音響粒子速度センサと、を含み、
    前記仮想音源面に沿って前記スピーカを移動させつつ前記音響粒子速度センサによって前記スピーカから発せられる音の音響粒子速度を測定して、前記観測位置とその周囲との間の伝達関数を取得する伝達関数取得部を含むことを特徴とする音響解析システム。
  10. 所定周波数範囲の音を前記音響粒子速度センサで測定するよう前記スピーカを駆動させることを特徴とする請求項9記載の音響解析システム。
  11. 前記スピーカは面振動スピーカであり、前記所定周波数範囲は前記スピーカの(1,1)モードの振動での固有振動数を含むことを特徴とする請求項10記載の音響解析システム。
  12. 前記音響センサはマイクロフォンであり音圧を測定することを特徴とする請求項9乃至11のうちの1つに記載の音響解析システム。
  13. 前記音響センサは音響粒子速度センサであり音響粒子速度を測定することを特徴とする請求項9乃至11のうちの1つに記載の音響解析システム。
  14. 前記音響センサはさらに音の強さを測定することを特徴とする請求項12又は13に記載の音響解析システム。
  15. 前記仮想音源面は前記空間内に突出する部位の表面を含むことを特徴とする請求項9乃至14のうちの1つに記載の音響解析システム。
  16. 前記伝達関数取得部において、前記仮想音源面をN個に分割した分割面のそれぞれについてその位置x(n=1〜N)から前記観測位置rまでの伝達関数G(x/r)を決定しておき、
    その後、前記位置xでの音響粒子速度v(x)から前記観測位置rの音響特性p(r)を
    (但し、ΔS(x)を前記位置xに対応した前記分割面の面積とする。)で解析することを特徴とする請求項9乃至15のうちの1つに記載の音響解析システム。

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