JP6754030B2 - モノアシルグリセロール、抗菌剤、及びモノアシルグリセロールの製造方法 - Google Patents
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Description
実施形態のモノアシルグリセロールは、下記一般式(1)で示される化合物である。
原料となるノストコプシス・ロバツスは、天然に自生する藻体であってもよいし、人工的に培養した藻体であってもよい。なお、安定供給が可能である点や品質保持が容易である点から、人工的に培養した藻体を用いることが工業的に好適である。また、原料としてのノストコプシス・ロバツスは採取したままの状態、採取後に破砕処理した状態、採取後に乾燥処理した状態、並びに採取後に破砕処理及び乾燥処理した状態のいずれの状態であってもよい。以下、原料としてのノストコプシス・ロバツスを上記藻体と記載する。
抽出工程は、上記藻体から、上記モノアシルグリセロールを含む抽出物を抽出する工程である。抽出工程に用いる抽出溶媒としては、水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒との混合溶媒を用いることができる。上記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノールやエタノール等の低級アルコール類、アセトン、及び酢酸エチルが挙げられるが、特に低級アルコール類を用いることが好ましい。なお、抽出溶媒中に、水及び親水性有機溶媒以外の溶媒が少量含有されていてもよいし、その他の添加剤、例えば、有機塩、無機塩、緩衝剤、及び乳化剤等が溶解されていてもよい。
単離工程は、抽出工程にて得られた抽出物中に含まれる上記モノアシルグリセロールを単離する工程である。上記モノアシルグリセロールは、上記抽出物を1又は2以上のクロマトグラフィを用いて精製することにより単離される。クロマトグラフィとしては、公知のクロマトグラフィ、例えば、液体クロマトグラフィ、超臨界流体クロマトグラフィ、及び薄層クロマトグラフィを用いることができる。液体クロマトグラフィとしては、例えばカラムクロマトグラフィを用いることができ、より具体的には高速液体クロマトグラフィ(HPLC)及びオープンカラムクロマトグラフィが挙げられる。クロマトグラフィ担体としては、例えば、イオン交換クロマトグラフィ、分配クロマトグラフィ(順相・逆相クロマトグラフィ)、吸着クロマトグラフィ、及び分子排斥クロマトグラフィが挙げられる。分配クロマトグラフィとして、より具体的にはシリカゲル担体やODS担体を用いることが分離効率の観点から好ましい。それらのクロマトグラフィを適宜組み合わせて行うことにより、上記モノアシルグリセロールを単離・精製することができる。
上記モノアシルグリセロールは、抗菌活性を有していることから、抗菌剤として適用することができる。上記抗菌剤は、精製された上記モノアシルグリセロールを含有するものであってもよいし、ノストコプシス・ロバツスの抽出物の状態や粗生成物の状態で上記モノアシルグリセロールを含有するものであってもよい。
(1)上記モノアシルグリセロールは、新規化合物であり、医薬品・飲食品等の様々な用途に適用することができる。
(3)上記モノアシルグリセロールは、食用藍藻であるノストコプシス・ロバツスに含まれる成分である。そのため、副作用等の安全性の観点において、抗菌剤として生体に適用しやすい。
(イ)ノストコプシス・ロバツス由来である前記モノアシルグリセロール。
(ロ)前記モノアシルグリセロールを有効成分として含有する抗菌用組成物。
<抽出工程>
ノストコプシス・ロバツスの凍結藻体(374.76g)を70%エタノール水溶液(600ml)及びセライトの存在下、ミキサーにて破砕した後、ブフナー漏斗を用いてろ液と残渣とに分離し、ろ液を回収した。残渣に対して、エタノール(600ml)を加えてミキサーにて撹拌した後、ブフナー漏斗を用いてろ液と残渣とに分離し、ろ液を回収した。この残渣に対する再抽出操作を合計6回繰り返した。得られた全てのろ液を減圧濃縮することにより、ノストコプシス・ロバツスの第1抽出物を得た。
カラム(Φ2.7×12cm)にODS(ナカライテスク社製:Cosmosil 5C18−PREP 75μm)をメタノールで充填した後、カラム内の溶媒を50mM NaClO4含有30%アセトニトリル水溶液に置換した。ODSに第2抽出物(113mg)を吸着させた試料を、50mM NaClO4含有30%アセトニトリル水溶液に懸濁させた状態として上記カラム内のODS上に充填した。そして、50mM NaClO4含有30%アセトニトリル水溶液による溶出処理、50mM NaClO4含有45%アセトニトリル水溶液による溶出処理、50mM NaClO4含有60%アセトニトリル水溶液による溶出処理、50mM NaClO4含有75%アセトニトリル水溶液による溶出処理を順に行った。溶出処理はそれぞれ、上記カラム内のODSの体積の3倍量の溶媒を流した。50mM NaClO4含有75%アセトニトリル水溶液による溶出処理により得られた画分を回収し、減圧濃縮することにより第1精製物を得た。
実施例1について、HR−ESITOFMS分析を行った。その結果を図1に示す。m/z349.23[M+Na]+に分子量ピークが認められたことから、実施例1の組成式はC19H34O4(分子量326)であると考えられる。
1H−NMR(500MHz;CD3OH):δH5.34−5.27(m、4H、H−7、H−8、H−10、H−11)、4.13(dd、4.4Hz、11.3Hz、1H、H−1´a)、4.05(dd、6.3Hz、11.4Hz、1H、H−1´b)、3.80(m、1H、H−2´)、3.54(brs、1H、H−3´)、2.76(t、6.5Hz、2H、H2−9)、2.34(t、7.4Hz,2H、H2−2)、2.07(dt、7.0Hz、7.2Hz、2H、H2−6)、2.05(dt、7.1Hz、7.5Hz、2H、H2−12)、1.62(m、2H、H2−3)、1.37(m、2H、H2−4)、1.36(m、2H、H2−13)、1.31(m、2H、H2−15)、1.29(m、2H、H2−14)、1.28(m、2H、H2−5)、0.89(t、6.8Hz、3H、H3−16).
また、詳細は省略するが、CD励起キラリティー分析の結果、実施例1のモノアシルグリセロールは、2,3-dihydoroxypropyl(7Z,10Z)-hexadeca-7,10-dienoateのラセミ体であることが示唆された。
枯草菌(Bacillus subtilis)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する実施例1の抗菌活性をペーパーディスク法により評価した。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で示される化合物のラセミ体であることを特徴とするモノアシルグリセロール。
- 請求項1に記載のモノアシルグリセロールを有効成分として含有することを特徴とする抗菌剤。
- 下記一般式(1)で示されるモノアシルグリセロールの製造方法であって、
水、親水性有機溶媒、又は水と親水性有機溶媒との混合溶媒を用いてノストコプシス・ロバツスから前記モノアシルグリセロールを含む抽出物を抽出する抽出工程と、
前記抽出物から前記モノアシルグリセロールを単離する単離工程とを有することを特徴とするモノアシルグリセロールの製造方法。
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