JP6753996B2 - 固体アルカリ形燃料電池、固体アルカリ形燃料電池システム及び固体アルカリ形燃料電池の運転方法 - Google Patents

固体アルカリ形燃料電池、固体アルカリ形燃料電池システム及び固体アルカリ形燃料電池の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、固体アルカリ形燃料電池、固体アルカリ形燃料電池システム及び固体アルカリ形燃料電池の運転方法に関する。
比較的低温(例えば、250℃以下)で作動する燃料電池として、アルカリ形燃料電池が知られている。アルカリ形燃料電池は、アノードと、カソードと、アノード及びカソードの間に配置された水酸化物イオン伝導性の電解質とを備える(例えば、特許文献1参照)。
アルカリ形燃料電池では、様々な液体燃料又は気体燃料を使用することができ、例えばメタノールを燃料とした場合には、以下の電気化学反応が生じる。
・アノード: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・カソード: 3/2O+3HO+6e→6OH
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
特開2016−071948号公報
本発明者等は、アルカリ形燃料電池の作動中、カソードに供給される酸化剤(例えば、空気)にCO(二酸化炭素)が含まれている場合、COがカソード触媒に吸着すると、CO+HO→HCO+Hの反応によりプロトン(H)が生成されて、カソードにおける電極反応を阻害してしまうため、アルカリ形燃料電池の出力が低下するという知見を得た。
同様に、本発明者等は、アルカリ形燃料電池の作動中、アノードではCO及びHOが生成されるため、COがアノード触媒に吸着すると、CO+HO→HCO+Hの反応によりプロトンが生成されて、アノードにおける電極反応を阻害してしまうため、アルカリ形燃料電池の出力が低下するという知見を得た。
従って、カソード及びアノードの少なくとも一方における電極反応の阻害を低減させることによって、アルカリ形燃料電池の出力が低下することを抑制したいという要請がある。
本発明は、出力低下を抑制可能な固体アルカリ形燃料電池、固体アルカリ形燃料電池システム及び固体アルカリ形燃料電池の運転方法の提供を目的とする。
本発明に係る固体アルカリ形燃料電池は、カソードと、アノードと、カソードとアノードとの間に配置され、水酸化物イオン伝導性を有する電解質とを有する発電部を備える。固体アルカリ形燃料電池について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度は、固体アルカリ形燃料電池の作動温度以下である。
本発明によれば、出力低下を抑制可能な固体アルカリ形燃料電池、固体アルカリ形燃料電池システム及び固体アルカリ形燃料電池の運転方法を提供することができる。
固体アルカリ形燃料電池の構成を示す模式図 図1の部分拡大図 固体アルカリ形燃料電池システムの構成を示す模式図
(固体アルカリ形燃料電池10)
以下、水酸化物イオンをキャリアとするアルカリ形燃料電池(AFC)の一例として、固体アルカリ形燃料電池10について図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10の構成を模式図である。
(固体アルカリ形燃料電池10の特性)
固体アルカリ形燃料電池10は、CO(二酸化炭素)を用いた昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度(以下、「固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0」という。)が、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度以下であるという特性を有する。
固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0は、固体アルカリ形燃料電池10からのCOの脱離のし易さを示す指標である。固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0が低いほど、固体アルカリ形燃料電池10からCOが脱離し易いことを示す。
固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0が作動温度以下であることによって、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、固体アルカリ形燃料電池10から外部にCOを効率的に放出させることができる。よって、カソード12に供給される酸化剤(例えば、空気)に含まれるCOが後述するカソード触媒に吸着して、CO+HO→HCO+Hの反応によりプロトン(H)が生成されることを抑制できる。従って、プロトンの生成に伴ってカソード12のpHが低下してカソード12における電極反応が阻害されることを抑制できるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力が低下することを抑制できる。
固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0は、作動温度よりも低いほど好ましいため、特に下限値に制限はない。固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0は、COの最大脱離量が検出される温度よりも低い温度である。
なお、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度とは、固体アルカリ形燃料電池10の温度制御のために管理される温度である。作動温度としては、定常的に作動する固体アルカリ形燃料電池10に近接又は当接する所定位置における温度を用いることができる。定常的に作動するとは、1時間内における温度変化が±5度以内に収まる状態で作動することを意味する。作動温度は特に制限されないが、50℃〜250℃の範囲内に設定することができる。
ここで、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0は、以下の手順に従って、COを用いた昇温脱離法(いわゆる、CO−TPD)により検出される。
(1)固体アルカリ形燃料電池10のうち発電部の一部を切り出して試験片を準備し、TPD装置(Micromeritics社製 AutoChem II 2920)のサンプルホルダーに試験片を保持する。
(2)Arガス中で試験片を所定温度まで昇温し、3時間保持する。この際、後述する電解質16が有する多孔質基材20の耐熱温度と、COを脱離可能な温度とを考慮して、所定温度を適宜設定する。
(3)試験片を室温(50℃以下)まで冷却する。
(4)室温で試験片にCOガスを供給して、試験片にCOを物理的に吸着させる。
(5)Arガス中に試験片を30分間パージする。
(6)試験片を室温から所定温度まで10℃/minの昇温速度で昇温する。この際も、後述する電解質16が有する多孔質基材20の耐熱温度と、COを脱離可能な温度とを考慮して、所定温度を適宜設定する。
(7)ガス検出器で検出されるCOの脱離量の経時変化を示す脱離曲線において、COの最大脱離量(ピーク値)を特定する。この際、脱離曲線において2つのピークが重なり合って存在する場合には、2つのピークを多変量解析で分離して、低温側のピーク値を最大脱離量として採用する。COの脱離量は特に制限されないが、0.5μmol-CO/m以上が好ましく、1.5μmol-CO/m以上がより好ましい。このCOの脱離量(μmol-CO/m)は、BET比表面積(m/g)に対してCO−TPDにてCO脱離量を規格化することで算出される。CO脱離量の全量は、四重極質量分析器(Quadrupole Mass Spectrometer:QMS、Pfeiffer Vacuum製 ThermoStar GSD320)で測定することができる。
(8)脱離曲線において、COの最大脱離量の1/100の脱離量を最初に示した温度(すなわち、COの脱離量が最大脱離量に向かって徐々に増加する曲線上において、COの最大脱離量の1/100の脱離量を示す温度)を、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0として特定する。COの最大脱離量の1/100の脱離量は特に制限されないが、脱離特性指標温度T0までに脱離するCO量は0.005μmol-CO/m以上が好ましく0.015μmol-CO/m以上がより好ましい。
なお、昇温脱離法による脱離特性指標温度の検出方法については、住化分析センター Technical News TN136「固体触媒の酸・塩基性測定 (昇温脱離法(TPD))」、[平成30年11月22日検索]、インターネット〈URL:https://www.scas.co.jp/technical-informations/technical-news/pdf/tn136.pdf〉に詳細が記載されている。
以上のとおり、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0が、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度以下であることによって、プロトンの生成が抑制される結果、固体アルカリ形燃料電池10の出力低下を抑制できる。
さらに、固体アルカリ形燃料電池10は、COを用いた昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/10の脱離量が最初に検出される温度(以下、「固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1」という。)が、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度以下であるという特性を有することがより好ましい。
固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1は、上述した脱離特性指標温度T0と同様、固体アルカリ形燃料電池10からのCOの脱離のし易さを示す指標である。固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1が低いほど、固体アルカリ形燃料電池10からCOが脱離し易いことを示す。
従って、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1が作動温度以下であることにより、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、固体アルカリ形燃料電池10から外部にCOをより効率的に放出させることができる。よって、カソード12におけるプロトンの生成をより抑制できるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力が低下することをより抑制できる。
また、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1は、作動温度よりも低いほど好ましいため、特に下限値に制限はない。固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1は、上述した脱離特性指標温度T0より高い温度であり、かつ、COの最大脱離量が検出される温度よりも低い温度である。
固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1は、上述した脱離特性指標温度T0の検出手法において、COの最大脱離量の1/10の脱離量を最初に示した温度を特定することによって検出される。
(固体アルカリ形燃料電池10の構成)
図1に示すように、固体アルカリ形燃料電池10は、カソード12、アノード14、及び電解質16を備える。カソード12、アノード14、及び電解質16は、本発明に係る「発電部」を構成する。固体アルカリ形燃料電池10は、後述するように、この発電部内に配置された固体塩基材料をさらに備える。
固体アルカリ形燃料電池10は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃〜250℃)で発電する。ただし、下記の電気化学反応式では、燃料の一例としてメタノールが用いられている。
・カソード12: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード14: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
(カソード12)
カソード12は、電解質16に接続される。カソード12は、電解質16と接触する電解質側表面12Sを有する。カソード12は、一般的に空気極と呼ばれる陽極である。固体アルカリ形燃料電池10の発電中、カソード12には、酸化剤供給手段13を介して、酸素(O)を含む酸化剤が供給される。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。カソード12は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード12の気孔率は特に制限されない。カソード12の厚みは特に制限されないが、例えば10〜200μmとすることができる。
カソード12は、AFCに使用される公知のカソード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素(IUPAC形式での周期表において第8〜10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
カソード触媒は、担体に担持されていてもよい。担体としては、カーボン粒子が好ましい。カソード12の構成材料の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金コバルト担持カーボン(PtCo/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)などが挙げられる。カソード12における触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは、0.05〜5mg/cmである。
本実施形態に係るカソード12は、第1層12aと第2層12bとを有する。第1層12aは、カソード12のうち電解質16側の部分である。第1層12aは、電解質16と接触する。第1層12aは、カソード12のうち電解質側表面12Sから50μm以内の領域である。第2層12bは、カソード12のうち、電解質16と対向する電解質側表面12Sから50μm超の領域である。第2層12bは、カソード12のうち第1層12aを除いた領域である。第1層12aと第2層12bは、一体的に形成されていてもよい。
第1層12aは、上述したカソード触媒(所望により担体を含む)に加えて、固体塩基材料を含有していることが好ましい。
固体塩基材料とは、固体状態でその表面が塩基性を示す物質であり、例えば、金属酸化物、金属塩、担持塩基、複合酸化物、ゼオライトなどのうち表面塩基性を示す固体である。固体塩基材料としては、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩及びリン酸塩、後述する層状複水酸化物、或いは、これらの混合物などが挙げられる。より具体的には、固体塩基材料として、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸水素カリウム、酸化ケイ素−酸化マグネシウム複合酸化物、酸化ケイ素−酸化カルシウム複合酸化物、酸化ケイ素−酸化ストロンチウム複合酸化物、Naイオン交換X型ゼオライト、Kイオン交換Y型ゼオライトなどが挙げられる。
これらの固体塩基材料のうち、酸化マグネシウム、水酸化物マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウム、或いは、これらの混合物が好適であり、酸化マグネシウムが特に好適である。
固体塩基材料として酸化マグネシウムを用いる場合、酸化マグネシウムには酸化ニッケル及びニッケルの少なくとも一方が固溶していることが好ましい。これによって、酸化マグネシウムの過度な水酸化物化を抑制することができるため、後述する固体塩基材料の効果を長期間に渡って維持することができる。
固体塩基材料として酸化マグネシウムを用いる場合、酸化マグネシウムの表面には酸化ニッケル及びニッケルの少なくとも一方が析出していることが好ましい。これによって、析出した酸化ニッケル及びニッケルが電極触媒として機能するとともに、担体として機能する酸化マグネシウムに触媒が固着されて安定するため、長期間に渡って第1層12aにおける電極反応の促進効果を維持することができる。
固体塩基材料の形状は特に限られず、例えば球状や立方体状のほか複雑形状とすることができる。固体塩基材料のサイズは特に限られず、担体より小さくても大きくてもよいし、かつ、触媒より小さくても大きくてもよい。また、固体塩基材料は、担体に付着していてもよいし、電解質16に付着していてもよい。
第1層12aにおける固体塩基材料の含有率は、0.1%以上80%以下とすることができる。第1層12aにおける固体塩基材料の含有率は、0.3%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1.0%以上が特に好ましい。これによって、第1層12aにおける電極反応を更に促進できるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力を更に向上させることができる。第1層12aにおける固体塩基材料の含有率は、第1層12aの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)によって撮像した画像(倍率1000〜20000倍)において、固体塩基材料の合計面積を固相の全面積で除することによって算出される面積比である。
ここで、第1層12aが含有する固体塩基材料についてCOを用いた昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度(以下、「固体塩基材料の脱離特性指標温度T2」という。)は、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度以下であることがより好ましい。
これによって、カソード12における電極反応が阻害されることを抑制できるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力が低下することを抑制できる。また、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、固体塩基材料からCOを効率的に放出させることができるため、酸化剤に含まれるCOが固体塩基材料に吸着して、固体塩基材料の活性が低下してしまうことを抑制できる。更に、固体塩基材料が第1層12aに配置されることによって、第1層12aにおける電極反応自体が促進されるため、水酸化物イオンの生成効率及び伝導効率を向上させることができる。よって、固体アルカリ形燃料電池10の出力を向上させることができる。
固体塩基材料の脱離特性指標温度T2は、固体塩基材料からのCOの脱離のし易さを示す指標である。固体塩基材料の脱離特性指標温度T2が低いほど、固体塩基材料からCOが脱離し易いことを示す。
固体塩基材料の脱離特性指標温度T2は、固体塩基材料に含有させる不純物(例えば、NiOなど)の量を調整することによって制御でき、その結果として、上述した固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0も制御できる。例えば、固体塩基材料における不純物の濃度を大きくするほど、固体塩基材料の脱離特性指標温度T2(すなわち、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0)を低くすることができる。不純物は、固体塩基材料に固溶した形態で含まれていてもよいし、固体塩基材料の表面に付着した形態で含まれていてもよい。
固体塩基材料の脱離特性指標温度T2は、作動温度よりも低いほど好ましいため、特に下限値に制限はない。固体塩基材料の脱離特性指標温度T2は、COの最大脱離量が検出される温度よりも低い温度である。
固体塩基材料の脱離特性指標温度T2は、以下の手順に従って、COを用いた昇温脱離法により検出される。
(1)カソード12の第1層12aを波長分散型電子線プローブアナライザ(EPMA)で成分分析することで特定された固体塩基材料と同種のサンプルを準備し、TPD装置(Micromeritics社製 AutoChem II 2920)のサンプルホルダーに固体塩基材料のサンプルを保持する。
(2)サンプルをArガス中で250℃まで昇温し、3時間保持する。
(3)サンプルを室温(50℃以下)まで冷却する。
(4)室温でサンプルにCOガスを供給し、サンプルにCOを物理的に吸着させる。
(5)Arガス中にサンプルを30分間パージする。
(6)サンプルを室温から250℃まで10℃/minの昇温速度で昇温する。
(7)ガス検出器で検出されるCOの脱離量の経時変化を示す脱離曲線において、COの最大脱離量(ピーク値)を特定する。この際、脱離曲線において2つのピークが重なり合って存在する場合には、2つのピークを多変量解析で分離して、低温側のピーク値を最大脱離量として採用する。COの脱離量は特に制限されないが、0.5μmol-CO/m以上が好ましく、1.5μmol-CO/m以上がより好ましい。このCOの脱離量の測定方法は、上記脱離特性指標温度T0の検出方法にて説明したとおりである。
(8)脱離曲線において、COの最大脱離量の1/100の脱離量を最初に示した温度(すなわち、COの脱離量が最大脱離量に向かって徐々に増加する曲線上において、CO2の最大脱離量の1/100の脱離量を示す温度)を、固体塩基材料の脱離特性指標温度T2として特定する。COの最大脱離量の1/100の脱離量は特に制限されないが、脱離特性指標温度T2までに脱離するCO量は0.005μmol-CO/m以上が好ましく、0.015μmol-CO/m以上がより好ましい。
脱離特性指標温度T2が作動温度以下であるという特性を有する固体塩基材料としては、例えば、Mgを含む酸化物、Mgを含む水酸化物、MgとMg以外の元素(例えば、Ni)を含む酸化物、アルカリ金属(例えば、Li,Na,Kなど)の酸化物、アルカリ金属を含む固溶体酸化物、或いはこれらの組み合わせが挙げられる。特に、耐水性の観点から、固体塩基材料としては、MgOと、NiO等の耐水性を向上させる材料とを組み合わせて用いることが好ましい。
以上のとおり、第1層12aに含まれる固体塩基材料の脱離特性指標温度T2が、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度以下であることによって、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0を簡便に調整することができ、その結果、固体アルカリ形燃料電池10の出力低下を抑制できる。
さらに、第1層12aに含まれる固体塩基材料は、COを用いた昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/10の脱離量が最初に検出される温度(以下、「固体塩基材料の脱離特性指標温度T3」という。)が、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度以下であるという特性を有することがより好ましい。
このような特性を有する固体塩基材料を第1層12aに含有させることによって、上述したように、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1を簡便に調整することができる。固体塩基材料の脱離特性指標温度T3(すなわち、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1)は、上述した固体塩基材料の脱離特性指標温度T2(すなわち、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0)と同様、固体塩基材料に含有させる不純物(例えば、NiOなど)の量を調整することによって制御できる。
固体塩基材料の脱離特性指標温度T3は、上述した脱離特性指標温度T2の検出手法において、COの最大脱離量の1/10の脱離量を最初に示した温度を特定することによって検出される。
第2層12bは、上述したカソード触媒(所望により担体を含む)を含有する。第2層12bは、第1層12aと同様に固体塩基材料を含有していてもよいし、固体塩基材料を含有していなくてもよい。第2層12bが固体塩基材料を含有する場合、第2層12bが含有する固体塩基材料は、第1層12aが含有する固体塩基材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。第2層12bが固体塩基材料を含有する場合、第2層12bにおける固体塩基材料の含有率は、第1層12aにおける固体塩基材料の含有率以下であってもよい。
第2層12bが固体塩基材料として酸化マグネシウムを含有する場合、酸化マグネシウムには酸化ニッケル及びニッケルの少なくとも一方が固溶していることが好ましい。第2層12bが固体塩基材料として酸化マグネシウムを含有する場合、酸化マグネシウムの表面には酸化ニッケル及びニッケルの少なくとも一方が析出していることが好ましい。
カソード12の作製方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、カソード触媒(所望により担体を含む)及び固体塩基材料をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を電解質16に塗布することによって第1層12aを形成する。次に、カソード触媒(所望により担体を含む)をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を第1層12aに塗布することによって第2層12bを形成する。第2層12b用のペースト状混合物には、第1層12a用のペースト状混合物と同様、固体塩基材料を添加してもよい。
(アノード14)
アノード14は、電解質16に接続される。アノード14は、電解質16と接触する電解質側表面14Tを有する。アノード14は、一般的に燃料極と呼ばれる陰極である。固体アルカリ形燃料電池10の発電中、アノード14には、燃料供給手段15を介して、水素原子(H)を含む燃料が供給される。アノード14は、内部に燃料を拡散可能な多孔質体である。アノード14の気孔率は特に制限されない。アノード14の厚みは特に制限されないが、例えば10〜500μmとすることができる。
水素原子を含む燃料は、アノード14において水酸化物イオン(OH)と反応可能な燃料化合物を含んでいればよく、液体燃料及び気体燃料のいずれの形態であってもよい。
燃料化合物としては、例えば、(i)ヒドラジン(NHNH)、水加ヒドラジン(NHNH・HO)、炭酸ヒドラジン((NHNHCO)、硫酸ヒドラジン(NHNH・HSO)、モノメチルヒドラジン(CHNHNH)、ジメチルヒドラジン((CHNNH、CHNHNHCH)、及びカルボンヒドラジド((NHNHCO)等のヒドラジン類、(ii)尿素(NHCONH)、(iii)アンモニア(NH)、(iv)イミダゾール、1,3,5−トリアジン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等の複素環類化合物、(v)ヒドロキシルアミン(NHOH)、硫酸ヒドロキシルアミン(NHOH・HSO)等のヒドロキシルアミン類、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの燃料化合物のうち炭素を含まない化合物(すなわち、ヒドラジン、水加ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、アンモニア、ヒドロキシルアミン、硫酸ヒドロキシルアミン等)は、一酸化炭素による触媒被毒の問題が無いため特に好適である。
燃料化合物は、そのまま燃料として用いてもよいが、水及び/又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール等)に溶解させた溶液として用いてもよい。例えば、上記燃料化合物のうち、ヒドラジン、水化ヒドラジン、モノメチルヒドラジン及びジメチルヒドラジンは液体であるので、そのまま液体燃料として使用可能である。また、炭酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、カルボンヒドラジド、尿素、イミダゾール、及び3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、及び硫酸ヒドロキシルアミンは固体であるが水に可溶である。1,3,5−トリアジン及びヒドロキシルアミンは固体であるがアルコールに可溶である。アンモニアは気体であるが水に可溶である。このように、固体の燃料化合物は、水又はアルコールに溶解させて液体燃料として使用可能である。燃料化合物を水及び/又はアルコールに溶解させて用いる場合、溶液中の燃料化合物の濃度は、例えば30〜99.9重量%であり、好ましくは66〜99.9重量%である。
また、メタノール、エタノール等のアルコール類やエーテル類を含む炭化水素系液体燃料、メタン等の炭化水素系ガス、或いは純水素などは、そのまま燃料として用いることができる。特に、本実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池10に用いられる燃料としては、メタノールが好適である。メタノールは、気体状態、液体状態、及び、気液混合状態のいずれであってもよい。
アノード14は、AFCに使用される公知のアノード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。アノード触媒の例としては、Pt、Ni、Co、Fe、Ru、Sn、及びPd等の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、カーボン等の担体に担持されるのが好ましいが、金属触媒の金属原子を中心金属とする有機金属錯体の形態としてもよく、この有機金属錯体を担体として担持されていてもよい。アノード14及びそれを構成する触媒の好ましい例としては、ニッケル、コバルト、銀、白金担持カーボン(Pt/C)、白金ルテニウム担持カーボン(PtRu/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
アノード14の作製方法は特に限定されないが、例えば、アノード触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を電解質16のアノード側表面16Tに塗布することにより形成することができる。
(電解質16)
電解質16は、カソード12とアノード14との間に配置される。電解質16は、カソード12及びアノード14のそれぞれに接続される。電解質16は、カソード12と接触するカソード側表面16Sと、アノード14と接触するアノード側表面16Tとを有する。電解質16は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。
図2は、電解質16の断面を拡大して示す模式図である。電解質16は、多孔質基材20と無機固体電解質体22とを有する。
多孔質基材20は、三次元網目構造を有する。「三次元網目構造」とは、基材の構成物質が立体的かつ網目状に繋がった構造である。多孔質基材20は、連続孔20aを形成する。連続孔20aは、立体的かつ網目状に孔が繋がることによって構成されており、多孔質基材20の外表面に露出している。連続孔20aには、後述する無機固体電解質体22が含浸されている。
多孔質基材20は、金属材料、セラミックス材料及び高分子材料から選択される少なくとも1種によって構成することができる。
多孔質基材20を構成する金属材料としては、ステンレス(Fe−Cr系合金、Fe−Ni−Cr系合金など)、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、又は、チタンなどを用いることができる。このような金属材料は、セラミックス材料や高分子材料に比べて熱伝導性が高いため、多孔質基材20の放熱効率を向上させることができるとともに、多孔質基材20内の温度分布を低減させることができる。三次元網目構造を有する限り、多孔質基材20の形態は特に制限されず、例えば、多孔質金属材料(例えば、発砲金属材料)によって構成されるセル状又はモノリス状の構造物であってもよいし、細線金属材料によって構成されるメッシュ状の塊であってもよい。
また、多孔質基材20が金属材料によって構成される場合、多孔質基材20の表面には絶縁膜が形成されていてもよい。絶縁膜は、Cr、Al、ZrO、MgO、MgAlなどによって構成することができる。多孔質基材20をステンレスによって構成する場合、ステンレスを酸化処理することにより、絶縁膜としてのCr膜を簡便に形成することができる。ただし、本実施形態では、後述する第1及び第2膜状部22b,22cが、カソード12及びアノード14それぞれとの間で絶縁膜として機能するため、多孔質基材20の表面には、絶縁膜が形成されていなくてもよい。
多孔質基材20を構成するセラミックス材料としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、カルシア、コージェライト、ゼオライト、ムライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素、及びこれらの任意の組合せが挙げられる。
多孔質基材20を構成する高分子材料としては、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂(四フッ素化樹脂:PTFE等)、セルロース、ナイロン、ポリエチレン、ポリイミド及びこれらの任意の組合せが挙げられる。多孔質基材20をフレキシブル性の高分子材料で構成する場合には、連続孔20aの体積を大きくしながら厚さを薄くしやすいため、水酸化物イオン伝導性を向上させることができる。高分子材料によって構成される多孔質基材20としては、市販の微多孔膜を用いることができる。
多孔質基材20の厚さは特に制限されないが、例えば、200μm以下とすることができ、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは25μm以下であり、5μm以下が最も好ましい。多孔質基材20の厚さの下限値は、用途に応じて適宜設定すればよいが、ある程度の堅さを確保するには1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。
多孔質基材20の断面における連続孔20aの平均内径は特に制限されないが、例えば、0.001〜1.5μmとすることができ、好ましくは0.001〜1.25μm、より好ましくは0.001〜1.0μm、さらに好ましくは0.001〜0.75μm、特に好ましくは0.001〜0.5μmである。これらの範囲内とすることによって、多孔質基材20に支持体としての強度を付与しつつ、無機固体電解質体22の緻密度を向上させることができる。連続孔20aの平均内径とは、多孔質基材20の断面を電子顕微鏡で観察した場合に、観察画像上で無作為に選出した20箇所における連続孔20aの円相当径を算術平均することによって得られる。連続孔20aの円相当径とは、観察画像において、連続孔20aの断面積と同じ面積を有する円の直径である。なお、電子顕微鏡の倍率は、連続孔20aの断面サイズに応じて適宜設定すればよい。
連続孔20aの体積率は特に制限されないが、例えば、10〜60%とすることができ、好ましくは15〜55%、より好ましくは20〜50%である。これらの範囲内とすることによって、多孔質基材20に支持体としての強度を確保しつつ、無機固体電解質体22の緻密度を向上させることができる。連続孔20aの体積率は、アルキメデス法により測定することができる。
また、図2では図示されていないが、多孔質基材20は、それ自体の内部に複数の細孔を有することが好ましい。複数の細孔は、多孔質基材20の内部において、互いに繋がっていてもよい。そして、各細孔は多孔質基材20の表面に開口する開気孔であって、各細孔には無機固体電解質体22が含浸していることがより好ましい。これによって、連続孔20a→多孔質基材20内の細孔→連続孔20aという短距離イオン伝導パスや、連続孔20a→多孔質基材20内の細孔→第2膜状部22c、或いは、第1膜状部22b→多孔質基材20内の細孔→第2膜状部22cという長距離イオン伝導パスを形成することができる。その結果、複合部22a内のイオン伝導可能領域が広がるため、電解質16全体としてのイオン伝導性を向上させることができる。
無機固体電解質体22は、水酸化物イオン伝導性を有する。固体アルカリ形燃料電池10の発電中、無機固体電解質体22は、カソード12側からアノード14側に水酸化物イオン(OH)を伝導させる。無機固体電解質体22の水酸化物イオン伝導率は特に制限されないが、0.1mS/cm以上が好ましく、より好ましくは0.5mS/cm以上、さらに好ましくは1.0mS/cm以上である。無機固体電解質体22の水酸化物イオン伝導率は、高いほど好ましく、その上限値は特に制限されないが、例えば10mS/cmである。
無機固体電解質体22は、緻密であることが好ましい。アルキメデス法で算出される無機固体電解質体22の相対密度は特に制限されないが、90%以上が好ましく、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは95%以上である。無機固体電解質体22は、例えば水熱処理によって緻密化することができる。
無機固体電解質体22は、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料によって構成することができる。このようなセラミックス材料としては、水酸化物イオン伝導性を有する周知のセラミックスを用いることができるが、以下に説明する層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)が特に好適である。
LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、Anの例としてはCO 2−及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。中間層は、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
本実施形態において、無機固体電解質体22は、複合部22a、第1膜状部22b、及び第2膜状部22cを有する。
複合部22aは、第1膜状部22bと第2膜状部22cとの間に配置される。複合部22aは、多孔質基材20の連続孔20a内に配置される。複合部22aは、連続孔20a内に含浸されており、多孔質基材20と一体化している。このように、無機固体電解質体22を多孔質基材20で支持することによって、無機固体電解質体22の強度を向上できるため、無機固体電解質体22を薄くすることができる。その結果、電解質16の低抵抗化を図ることができる。
本実施形態において、複合部22aは、多孔質基材20の連続孔20a内の略全域に広がっているが、無機固体電解質体22が第1膜状部22b及び第2膜状部22cの少なくとも一方を有さない場合、複合部22aは、多孔質基材20の一部にのみ含浸されていてもよい。
第1膜状部22bは、複合部22aのカソード12側に連なる。第1膜状部22bは、膜状に形成される。第1膜状部22bは、複合部22aと一体的に形成される。第2膜状部22cは、複合部22aのアノード14側に連なる。第2膜状部22cは、膜状に形成される。第2膜状部22cは、複合部22aと一体的に形成される。第1膜状部22b及び第2膜状部22cそれぞれは、水酸化物イオン伝導性セラミックス成分によって構成される。第1膜状部22b及び第2膜状部22cそれぞれの厚さは特に制限されないが、例えば、10μm以下とすることができ、好ましくは7μm以下、より好ましくは5μm以下である。第1膜状部22b及び第2膜状部22cそれぞれは、一様な平面状に形成されていてもよいし、縞状など所望の平面形状にパターン化されていてもよい。
電解質16の作製方法は特に限定されないが、例えば、以下の手法を採用することができる。まず、アルミナ及びチタニアの混合ゾルを調製し、この混合ゾルを多孔質基材20内部の全体又は大部分に浸透させる。次に、混合ゾルが浸透した多孔質基材20を熱処理(大気雰囲気、50〜150度、1〜30分)することによって、多孔質基材20の各孔内にアルミナ・チタニア層を形成する。次に、ニッケルイオン(Ni2+)及び尿素を含む原料水溶液に多孔質基材20を浸漬させる。次に、原料水溶液中で多孔質基材20を水熱処理する。この際、水熱処理条件(100〜150度、10〜100時間)を適宜調整することによって、多孔質基材20内に複合部22aが形成されるとともに、多孔質基材20の両主面に第1膜状部22b及び第2膜状部22cが形成されて電解質16となる。
(固体アルカリ形燃料電池システム100)
以下、固体アルカリ形燃料電池システム100について図面を参照しながら説明する。図3は、実施形態に係る固体アルカリ形燃料電池システム100の構成を示す模式図である。
固体アルカリ形燃料電池システム100は、上述した固体アルカリ形燃料電池10と、作動温度制御部11とを備える。
作動温度制御部11は、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度を制御する。具体的には、作動温度制御部11は、固体アルカリ形燃料電池10の運転中、上述した固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0が作動温度以下になるように、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度を制御する。
これによって、固体アルカリ形燃料電池10から外部にCOを効率的に放出させることができるため、電極(本実施形態では、カソード12)における電極反応が阻害されることを抑制できる。従って、固体アルカリ形燃料電池10の出力が低下することを抑制できる。
また、作動温度制御部11は、固体アルカリ形燃料電池10の運転中、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1が作動温度以下になるように、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度を制御することが好ましい。
これによって、固体アルカリ形燃料電池10から外部にCOをより効率的に放出させることができるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力が低下することをより抑制できる。
なお、作動温度制御部11は、例えば、ヒーターによる外部加熱量、発電量による内部加熱量、空冷または水冷等による冷却量などを調整することによって、固体アルカリ形燃料電池10の作動温度を制御することができる。図3において、作動温度制御部11は、カソード12に近接する位置の温度を測定するように構成されているが、固体アルカリ形燃料電池10に近接又は当接する所定位置における温度を測定できるように構成されていればよい。
また、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0や脱離特性指標温度T1は、固体アルカリ形燃料電池10を作動させる前に予め測定しておけばよい。
(実施形態の変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
[変形例1]
上記実施形態では、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0や脱離特性指標温度T1を作動温度以下とするために、脱離特性指標温度T2や脱離特性指標温度T3が作動温度以下である固体塩基材料を発電部(カソード12、アノード14及び電解質16)のうちカソード12内に配置することとしたが、これに限られない。
固体塩基材料は、発電部のうち電解質16内に配置されていてもよい。この場合であっても、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0や脱離特性指標温度T1を簡便に作動温度以下にできる。また、電解質16内における水酸化物イオンの移動速度を向上させることができるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力を向上させることができる。特に、固体塩基材料は、電解質16のうち少なくともカソード12側の部分(具体的には、カソード側表面16Sから50μm以内の領域)に配置されることが好ましい。これによって、電解質16内における水酸化物イオンの移動速度を向上させることができるだけでなく、第1層12aにおける電極反応も促進できるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力を更に向上させることができる。固体塩基材料を電解質16内に配置するには、例えば、固体塩基材料としてMgOを含有させる場合であれば、多孔質基材20上に硝酸Mg水溶液を含浸し、中和滴定を行うことで多孔質基材20上に水酸化マグネシウムを得ることができ、無機固体電解質体22を合成した後に250℃以上での熱処理を行うことで、電解質16内にMgOを分散させることができる。
また、固体塩基材料は、発電部のうちアノード14内に配置されていてもよい。この場合であっても、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0や脱離特性指標温度T1を簡便に作動温度以下にできるため、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、固体アルカリ形燃料電池10から外部にCOを効率的に放出させることができる。よって、アノードで生成されたCOがアノード触媒に吸着して、CO+HO→HCO+Hの反応によりプロトンが生成されることを抑制できる。従って、プロトンの生成に伴ってアノード14のpHが低下してアノード14における電極反応が阻害されることを抑制できるため、固体アルカリ形燃料電池10の出力が低下することを抑制できる。
また、固体アルカリ形燃料電池10の作動中、固体塩基材料からCOを効率的に放出させることができるため、アノード14において生成されるCOが固体塩基材料に吸着して、固体塩基材料の活性が低下してしまうことを抑制できる。更に、固体塩基材料がアノード14に配置されることによって、アノード14における電極反応自体が促進されるため、水酸化物イオンの伝導効率を向上させることができる。よって、固体アルカリ形燃料電池10の出力を向上させることができる。
なお、固体塩基材料は、アノード14のうち少なくとも電解質16側の部分(具体的には、電解質側表面14Tから50μm以内の領域)に配置されることが好ましい。これによって、アノード14の電極反応を担う領域において電極反応が阻害されることを抑制できる。固体塩基材料をアノード14内に配置するには、固体塩基材料をカソード12内に配置するのと同様、アノード触媒に固体塩基材料を添加してアノード14を形成すればよい。
[変形例2]
上記実施形態において、カソード12は、第1層12aと第2層12bとを有する2層構造であることとしたが、これに限られない。カソード12は、1層構造であってもよい。この場合、上述した固体塩基材料を全体に含有していてもよい。また、カソード12は、3層以上の多層構造であってもよい。この場合、少なくとも1つの層に固体塩基材料を含有していてもよいし、いずれの層にも固体塩基材料を含有していなくてもよい。
[変形例3]
上記実施形態において、電解質16は、図2に示す構成を有することとしたが、これに限られない。例えば、電解質16は、無機固体電解質体22を支持する多孔質基材20を有することとしたが、多孔質基材20を有していなくてもよい。この場合、電解質16は、板状に形成された無機固体電解質体によって構成することができる。また、電解質16は、第1膜状部22b及び第2膜状部22cの少なくとも一方を有していなくてもよい。
また、電解質16は、水酸化物イオン伝導性を有する無機固体電解質体22を膜状に形成することによって形成してもよい。さらに、電解質16は、水酸化物イオン伝導性材料粉末とバインダー材料粉末との混合粉末を圧粉成形することによって形成してもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例では、上記実施形態にて説明した固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0、脱離特性指標温度T1及び作動温度それぞれの相対的な上下関係が固体アルカリ形燃料電池10の出力低下に与える影響を評価した。
(固体アルカリ形燃料電池10の作製)
実施例1〜5及び比較例1〜5に係る固体アルカリ形燃料電池10を次の通り作製した。
まず、LDH粉末を金型一軸プレスで圧粉成形することによって電解質を形成した。
次に、実施例1〜5及び比較例4,5では、表1に示す固体塩基材料と、カソード触媒としてのPt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)と、バインダーとしてのPVDF粉末と混合したカソードペーストを、電解質の一方の主面に印刷してカソードを形成した。表1に示すように、実施例1〜3では固体塩基材料としてMgOを用い、実施例4,5では固体塩基材料としてMgOとNiOとの混合物を用い、比較例4,5では固体塩基材料としてCaOを用いた。実施例4,5では、MgOに対するNiOの量を制御することによって、表1に示すように、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0及び脱離特性指標温度T1を調整した。
一方、比較例1〜3では、カソード触媒としてのPt/C(Pt担持量50wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC10E50E)と、バインダーとしてのPVDF粉末と混合したカソードペーストを、電解質の一方の主面に印刷してカソード12を形成した。比較例1〜3では、カソード12に固体塩基材料を添加しなかった。
次に、アノード触媒としてのPt−Ru/C(Pt−Ru担持量54wt%(田中貴金属工業(株)社製TEC61E54)と、バインダーとしてのPVDF粉末とを混合したアノードペーストを、電解質の他方の面に印刷してアノード14を形成した。本実施例では、実施例1〜5及び比較例1〜5のアノードに固体塩基材料を添加しなかった。
次に、N雰囲気中において180℃で4時間熱処理した。
その後、実施例1〜5及び比較例1〜5それぞれの固体アルカリ形燃料電池10について、上記実施形態にて説明した昇温脱離法による脱離特性指標温度の検出方法を用いて脱離特性指標温度T0及び脱離特性指標温度T1を測定した。測定結果を表1にまとめて示す。
なお、実施例1〜5及び比較例4,5のカソード12に添加した固体塩基材料についても、上記実施形態にて説明した昇温脱離法による脱離特性指標温度の検出方法を用いて脱離特性指標温度T2及び脱離特性指標温度T3を測定して、脱離特性指標温度T0及び脱離特性指標温度T1と同じであることを別途確認した。
(出力試験)
以下のように、実施例1〜5及び比較例1〜5に係る固体アルカリ形燃料電池10の初期出力と24時間運転後の出力とを測定した。なお、アノード12におけるCOの生成が出力に与える影響を排除するために、今回の出力試験では燃料として水素を用いた。
まず、固体アルカリ形燃料電池10のアノード14側に30℃の加湿水素を供給し、かつ、カソード12側に30℃の加湿空気を供給しながら、作動温度制御部11において外部ヒーターの加熱量を調整することによって、固体アルカリ形燃料電池10を表1に示す作動温度まで昇温した。
そして、作動温度に到達した後、アノード14側に50℃の加湿水素を供給し、かつ、カソード12側に50℃の加湿空気を供給して、電流密度0.1A/cmの条件にて運転しながら電圧値を読みとり、それを電力量に換算して初期出力値を算出した。
続いて、アノード14側に50℃の加湿水素を供給し、かつ、カソード12側に50℃の加湿空気を供給しながら24時間運転した後、電流密度0.1A/cmの条件にて運転しながら電圧値を読みとり、それを電力量に換算して24時間運転後の出力値を算出した。
表1に初期出力値及び24時間運転後の出力値とその評価結果とを示す。
表1では、実施例1〜5及び比較例4〜5それぞれの初期出力値として、比較例1〜3それぞれの初期出力値を基準値“1”として規格化した値が示されている。具体的には、作動温度が70℃である実施例1の初期出力値については作動温度が70℃である比較例1の初期出力値を基準値として規格化し、作動温度が80℃である実施例2,4及び比較例4の初期出力値については作動温度が80℃である比較例2の初期出力値を基準値として規格化し、作動温度が150℃である実施例3,5及び比較例5の初期出力値については作動温度が150℃である比較例3の初期出力値を基準値として規格化した。また、表1では、基準値に比べて10%以上出力が高かった場合を〇、基準値に比べて5%以上10%未満出力が高かった場合を△、基準値に比べて5%以上出力が高くなかった場合を×と評価した。
また、表1では、24時間運転後の出力について、実施例1〜5及び比較例1〜5それぞれの初期出力値を1として24時間運転後の出力値を規格化した場合に、出力維持率が98%以上であった場合を◎、出力維持率が95%以上98%未満であった場合を○、出力維持率が95%未満であった場合を×と評価した。
さらに、表1では、総合評価として、初期出力の評価が○であり、かつ、24時間運転後の出力の評価が◎であった場合を◎、初期出力及び24時間運転後の出力の両方の評価が○であった場合を○、初期出力及び24時間運転後の出力のいずれかで評価×があった場合を×と評価した。
Figure 0006753996
表1に示すように、カソード12に固体塩基材料を添加しなかった比較例1〜3では、作動温度に関わらず、初期出力及び24時間運転後の出力の両方が低かった。また、カソード12に固体塩基材料を添加したものの、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0が作動温度より高かった比較例4,5では、固体塩基材料の添加効果により初期出力は高まったものの、空気に含まれるCOがカソード触媒に吸着して電極反応が阻害されたため、24時間運転後には出力が低下してしまった。
一方、カソード12に固体塩基材料を添加し、かつ、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0が作動温度以下であった実施例1〜5では、固体塩基材料の添加効果により初期出力が高く、かつ、COの効率的な放出効果により24時間運転後においても出力を維持できた。
特に、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T1が作動温度以下であった実施例2,3,5では、COの効率的な放出効果を更に高めることができたため、24時間運転後の出力維持率を更に向上できた。
以上より、固体アルカリ形燃料電池10の脱離特性指標温度T0、脱離特性指標温度T1及び作動温度それぞれの相対的な上下関係を適切にすることによって、固体アルカリ形燃料電池10の出力低下を抑制できることが確認された。
具体的には、脱離特性指標温度T0や脱離特性指標温度T1が作動温度以下であるという特性を固体アルカリ形燃料電池10に持たせることによって、或いは、脱離特性指標温度T0や脱離特性指標温度T1が作動温度以下になるように運転することによって、初期出力向上と長期間運転後の出力維持率向上とを両立できることが確認された。
10 固体アルカリ形燃料電池
11 作動温度制御部
12 カソード
12S 電解質側表面
14 アノード
14T 電解質側表面
16 電解質
16S カソード側表面
16T アノード側表面
20 多孔質基材
22 無機固体電解質体
22a 複合部
22b 第1膜状部
22c 第2膜状部

Claims (11)

  1. カソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置され、水酸化物イオン伝導性を有する電解質とを有する発電部を備える固体アルカリ形燃料電池であって、
    前記発電部について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度は、作動温度以下である、
    固体アルカリ形燃料電池。
  2. 前記発電部について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/10の脱離量が最初に検出される温度は、前記作動温度以下である、
    請求項1に記載の固体アルカリ形燃料電池。
  3. 前記発電部内に配置される固体塩基材料を備える、
    請求項1又は2に記載の固体アルカリ形燃料電池。
  4. 前記固体塩基材料について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度は、前記作動温度以下である、
    請求項に記載の固体アルカリ形燃料電池。
  5. 前記固体塩基材料について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合、COの最大脱離量の1/10の脱離量が最初に検出される温度は、前記作動温度以下である、
    請求項4に記載の固体アルカリ形燃料電池。
  6. 前記固体塩基材料は、前記カソードに配置される、
    請求項乃至5のいずれかに記載の固体アルカリ形燃料電池。
  7. 前記固体塩基材料は、前記カソードのうち少なくとも前記電解質側の部分に配置される、
    請求項6に記載の固体アルカリ形燃料電池。
  8. 前記固体塩基材料は、前記アノードに配置される、
    請求項乃至5のいずれかに記載の固体アルカリ形燃料電池。
  9. 前記固体塩基材料は、前記アノードのうち少なくとも前記電解質側の部分に配置される、
    請求項8に記載の固体アルカリ形燃料電池。
  10. カソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置され、水酸化物イオン伝導性を有する電解質とを有する発電部を備える固体アルカリ形燃料電池と、
    前記固体アルカリ形燃料電池の作動温度を制御する作動温度制御部と、
    を備え、
    前記作動温度制御部は、前記発電部について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合におけるCOの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度が前記作動温度以下になるように、前記作動温度を制御する、
    固体アルカリ形燃料電池システム。
  11. カソードと、アノードと、前記カソードと前記アノードとの間に配置され、水酸化物イオン伝導性を有する電解質とを有する発電部を備える固体アルカリ形燃料電池の運転方法であって、
    前記発電部について昇温脱離法によってCOの脱離量を測定した場合におけるCOの最大脱離量の1/100の脱離量が最初に検出される温度が前記固体アルカリ形燃料電池の作動温度以下になるように前記作動温度を制御する、
    固体アルカリ形燃料電池の運転方法。
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