JP6753189B2 - 歪み式腐食センサ - Google Patents
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Description
このような要求に対して、監視対象と同じ金属製の被検体を、監視対象がおかれる同じ腐食環境中に配置し、被検体の表面(腐食環境により腐食される被腐食面)の腐食状態を経時的に測定することで、代替的に監視対象の腐食状態を推定する腐食測定方法が知られている(特許文献1参照)。
特許文献2の腐食測定方法では、板状の暴露材を支持材に支持し、弾性曲げを生じさせた状態の暴露材(被検体)の表面を腐食雰囲気に暴露させるとともに、暴露材の裏側に装着された歪みゲージにより、暴露材の腐食に伴う歪みを検出し、腐食度合いを測定している。
本発明において、被検体は、表面が被腐食面とされるフランジと、このフランジに接続されたウェブとで構成された長尺材つまり梁状とされる。具体的な被検体としては、例えば断面形状がT字状、π字状、横向きのH字状(カタカナのエ字状)、□型(角筒状)、カタカナのコ字状の形鋼など、1枚または複数のウェブの端縁の、片側または両側にフランジが接続された軸状の部材が利用できる。このため、本発明の被検体では、例えば同一桁高・同一幅の充実断面の鋼材などと比べて、フランジに設けられた被腐食面が同一量腐食した際に、フランジの断面減少が曲げ剛性の変化に及ぼす影響度が大きい。その結果、被検体の曲げ歪みの変化が大きくなり、つまり同一腐食量に対する歪みの変化量が大きくなるため、計測感度・分解能が向上する。
また、曲げ歪を付与される方向におけるウェブの端部の装着位置は、曲げ歪を付与される方向におけるウェブの全長に対して、端部であることが好ましい。
なお、歪み付与機構の端部支持部および中間支持部は、被検体を曲げるための力を各部位に付与できればよく、被検体の表面(例えば被腐食面、ウェブの被腐食面から離れた側の辺縁あるいは当該ウェブに接続された他のフランジの表面)に当接ないし押圧されるもの、被検体に形成された孔(フランジの孔、ウェブの被腐食面と交差方向の面に形成された孔)に挿通されるものや、凹凸形状(フランジやウェブの被腐食面と交差方向の面に形成された凹み、突起ほか)に接続されるもの、被検体の端部を挟持するように係合されるものなど、各種の係合形態を採用することができる。
歪み付与機構が、被検体のボルト締め付け等で拘束する構成である場合、被検体に曲げ変形が与えられ、この変形は被検体の腐食が進行しても一定の状態である(変位制御)。
この方式では、被検体の変形が一定であるため、被検体の腐食が進行することで、歪みの変化として検出できる一方で、歪みが徐々に緩和されてゆき、やがて検出不能になる。
これに対し、荷重制御を行う場合、被検体の腐食が進行にともない、被検体に対する歪みを追加することになるため、歪みの緩和を防止し、検出できる腐食の程度(腐食試験の利用可能期間)を延長することができる。
図1から図3の各図には、本発明の第1実施形態である歪み式腐食センサ1が示されている。
図1に示すように、本実施形態では、被検体10として断面が横倒しのH字型の鋼材(いわゆるH型鋼)を用いる。
フランジ11は、その上面(ウェブ12が接続されない側の表面)のうち、両端近傍の当接領域(後述する歪み付与機構20の上側ローラ211,221が当接される領域)の間が、被腐食面2として腐食環境に暴露される。
さらに、被検体10には、歪みセンサ30が装着されている。歪みセンサ30の出力は、外部の図示しない測定装置に接続されており、これにより被腐食面2の腐食による被検体10の歪みの変化が検出できる。
さらに、歪み付与機構20は、これらの端部支持部21,22および中間支持部23を支持するために、ベース部材24を備えている。
ベース部材24は、被検体10の下面側に沿って延びる板状の部材である。
被検体10の上面には上側ローラ211が載置され、その上に押圧部材212が配置されている。
上側ローラ211は、丸棒状の部材で形成されている。押圧部材212には、上側ローラ211の一部を収容可能な円筒状の凹溝が形成されている。上側ローラ211および押圧部材212は、それぞれ被検体10の上面の幅寸法に合わせて形成され、被検体10の上面の全幅にわたって接触可能である。
これらの締め付けボルト213の各々を、それぞれ徐々に締め付けてゆくことで、上側ローラ211は押圧部材212によって、被検体10の上面に押し付けられた状態で固定される。
これらの端部支持部21,22により、被検体10はその両側において、それぞれ被検体10の上面(被腐食面2が形成される表面)に交差する下向きに力を加えられている。
ベース部材24の上面には、円筒状の凹溝が2本平行に形成され、各凹溝には丸棒状の鋼材で形成された下側ローラ231,232が収容されている。
下側ローラ231,232は、それぞれ被検体10の上面の幅寸法に合わせて形成され、被検体10の下面の全幅にわたって接触可能である。下側ローラ231,232は、各々を結ぶ線分の中点が、端部支持部21,22を結ぶ線分の中点に一致するように配置されている。
これらにより歪み付与機構20が構成され、歪み付与機構20により被検体10に曲げ歪みを付与した状態で、被検体10の被腐食面2の腐食測定を行うことができる。
歪みセンサ30は、被検体10の下側のフランジ13下面の、下側ローラ231,232の中点位置であって(図2参照)、下面の幅方向の中央(図3参照)に張られている。
図4から図6の各図には、本発明の第2実施形態である歪み式腐食センサ1Aが示されている。
図4に示すように、本実施形態では、断面T字状の鋼材(いわゆるT型鋼)を被検体10Aとして用いる。
被検体10Aは、フランジ11の上面に被腐食面2が形成され、フランジ11の下面にはウェブ12が接続されている。
これらの構成は、前述した第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
このような本実施形態の歪み式腐食センサ1Aによっても、前述した第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
さらに、被検体10Aが断面T字状であり、第1実施形態よりもさらにウェブ12の応力を軽減できる。
図7および図8には、本発明の第3実施形態である歪み式腐食センサ1Bが示されている。
本実施形態では、被検体10として、前述した第1実施形態と同じH型鋼を用いる。ただし、前述した第1実施形態では、被検体10の両端側を下向きに押圧し、中間部を上向きに押圧したが、本実施形態では逆に、被検体10の両端側を上向きに押圧し、中間部を下向きに押圧する。
本実施形態の歪み付与機構20Bは、被検体10の両端側を上向きに押圧し、中間部を下向きに押圧する構成であるとともに、中間部の押圧力が一定になるように荷重制御する調整機構25を備えている。
さらに、歪み付与機構20は、これらの端部支持部21B,22Bおよび中間支持部23Bを支持するために、ベース部材24Bを備えている。
中間支持部23Bは、被検体10の上面に接触する上側ローラ231B,232Bを有し、各々は押圧部材233の凹溝に収容されている。
フレーム234は、被検体10を跨ぐような門型に形成され、ベース部材24Bに固定されている。
ロードセル251は、押圧部材233からフレーム234に伝達される力の大きさを検出し、外部へ出力可能である。
ジャッキ252は、外部から入力される指令信号に応じて、伸長または収縮し、フレーム234に対する押圧部材233の高さ位置を調整可能である。
ロードセル251およびジャッキ252には、制御装置253が接続されている。
例えば、被検体10が腐食され、被検体10を曲げ変形させるために既に印加されていた荷重が減少した場合など、制御装置253が、ロードセル251により荷重の減少を検出し、ジャッキ252を伸長させて荷重を目標値に復帰させる。
これらの制御装置253、ロードセル251およびジャッキ252により、調整機構25が構成されている。
さらに、本実施形態では、制御装置253を有する調整機構25により、被検体10の腐食が進行しても、被検体10に加える力を一定に維持(荷重制御)することができる。
このため、被検体10の腐食が進行しても、被検体10に対する荷重を追加することができ、腐食の進行に伴う歪みの緩和を防止し、検出できる腐食の程度(腐食試験の利用可能期間)を延長することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは、本発明に含まれる。
例えば、前述した第1実施形態および第3実施形態では被検体10としてH型鋼を用い、第2実施形態では被検体10AとしてT型鋼を用い、これらの被検体10,10Aにおいてフランジ11,13およびウェブ12が一体化されていた。しかし、これらは別体のものを接合して形成してもよく、腐食試験が必要な材料から形成されたフランジ11に対して、別体のウェブ12あるいはフランジ13を適宜選択して接合してもよい。
例えば、被検体としては、断面形状がT字状、π字状、横向きのH字状(カタカナのエ字状)、□型(角筒状)、カタカナのコ字状の形鋼など、1枚または複数のウェブの端縁の、片側または両側にフランジが接続された軸状の部材が利用できる。
また、歪みセンサを装着する位置は、被腐食面にそった区間であって、被腐食面を有するフランジの被腐食面とは反対側の面、被腐食面を有するフランジとは別のフランジのウェブと連続する面、被腐食面を有するフランジとは別のフランジのウェブとは反対側の面、曲げ歪を付与される方向におけるウェブの端部であってもよい。
Claims (1)
- 腐食環境中に暴露される被腐食面を有する梁状の被検体と、前記被検体に曲げ歪みを付与する歪み付与機構と、前記被検体の歪みを検出する歪みセンサとを有する歪み式腐食センサであって、前記被検体は、少なくとも片面が前記被腐食面とされたフランジと、前記フランジに連続するウェブとを有し、前記ウェブは、前記フランジの幅方向の厚みが前記フランジの幅よりも狭く形成され、前記歪みセンサは、前記被腐食面にそった区間であって、前記被腐食面を有する前記フランジの前記被腐食面とは反対側の面、前記ウェブに連続しており、かつ、前記被腐食面を有する前記フランジとは別であるフランジ、または前記曲げ歪を付与される方向における前記ウェブの端部のいずれかに装着されており、
前記歪み付与機構は、互いに離れた2点で前記被検体に係合して前記被腐食面と交差方向に力を加える一対の端部支持部と、前記端部支持部の中間に配置されかつ前記端部支持部とは逆向きの力を前記被検体に加える中間支持部とを有し、
前記歪み付与機構は、前記端部支持部と前記中間支持部との少なくとも一方が、前記被検体に加える力を調整する調整機構を有し、
前記調整機構は、前記被検体に加える力を一定に制御する制御装置を有することを特徴とする歪み式腐食センサ。
Priority Applications (1)
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JP2016147132A JP6753189B2 (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 歪み式腐食センサ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016147132A JP6753189B2 (ja) | 2016-07-27 | 2016-07-27 | 歪み式腐食センサ |
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JP2018017577A JP2018017577A (ja) | 2018-02-01 |
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