以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。 図1は本発明の実施形態に係るインテリジェントターゲット100の正面図である。また、図2は本発明の実施形態に係るインテリジェントターゲット100の斜視図である。また、図3は本発明の実施形態に係るインテリジェントターゲット100のブロック図である。
本発明の実施形態に係るインテリジェントターゲット100は、第1面105と、この第1面105と対向する第2面106とを含む直方体状の筐体104を本体部として有している。この筐体104には、各電子機器類が内蔵されている。このような電子機器類のブロック図が図3に示される物である。
本発明に係るインテリジェントターゲット100の筐体104の第1面105は、レーザー計測装置10から出射されたレーザー光の反射面として機能する。また、筐体104の第2面106は、計測対象物に取り付けられたり、計測対象物上に置かれたりする面として機能する。
本発明に係るインテリジェントターゲット100を、例えば鉄骨などの磁性材料からなる計測対象物に取り付けるため、筐体104の第2面106の両端部付近には、それぞれマグネット250が内蔵されている。なお、本発明に係るインテリジェントターゲット100を、計測対象物に取り付けるための取り付け手段としては、このようなマグネット250に限らず、その他の手段も用い得るようにすることができる。当該その他の手段の例としては、螺旋などを挙げることができる。
本発明に係るインテリジェントターゲット100は、屋外において風雨の中でも使用できるように、筐体104にはOリングによる密閉構造など気密性を高めるための構造が採用されている。このため、電子機器類の電源として用いる電池などを交換して利用することは想定していない。
本発明に係るインテリジェントターゲット100においては、繰り返し充放電が可能な二次電池210が電源として用いられるようになっており、筐体104内に収納されている。二次電池210は、例えばリチウムイオン二次電池などによって構成することができる。
さらに、筐体104の外部から非接触で二次電池210の充電を行うことを可能とする電磁誘導コイル203が筐体104に内蔵されている。また、光エネルギーによって発電を行う発電パネル205が筐体104の第1面105に設けられており、発電パネル205で発電された電力も二次電池210に充電することができるようになっている。
本発明に係るインテリジェントターゲット100を屋外で利用するような場合には、初期使用においては、電磁誘導コイル203によって二次電池210を充電しておく。そして、屋外設置後には太陽光によって発電パネル205で発電される電力を二次電池210に充電し、これを電子機器類の電源として用いるようにする。
一方、本発明に係るインテリジェントターゲット100を屋内専用で利用するような場合には、必要に応じて、電磁誘導コイル203によって二次電池210を充電して、電子機器類の電源として用いるようにする。
本発明に係るインテリジェントターゲット100の筐体104の第1面105は、レーザー計測装置10などによって出射されたレーザー光を反射する反射面として利用されることが想定されている。レーザー計測装置10は、インテリジェントターゲット100からの反射光を受光し、インテリジェントターゲット100の方位(水平角、鉛直角)を計測すると共に、インテリジェントターゲット100との間の距離も計測する。
本発明に係るインテリジェントターゲット100の筐体104の第1面105においては、円周上に複数配される単位照明141からなる照明部140が設けられている。前記円周の中心の位置が、インテリジェントターゲット100の照準位置(位置合わせ点や、一般的には十字線の中心位置)であり、この位置にレーザー計測装置10から出射されるレーザー光が入射し、反射される状態を照準が合った状態と称する。ここで、前記円周の中心である前記照準位置には、照度センサー170が配されている。この照度センサー170の利用方法については後述する。
本発明の実施形態に係るインテリジェントターゲット100においては、筐体104の中に、概略、図3に示すブロック構成の電子回路がパッケージングされている。
制御部110は、例えば、マイクロコンピューターなどにより構成することでき、所定の演算を行うと共に、制御部110と接続している構成からデータを受信したり、検出信号を受信したり、或いは、制御部110と接続している構成に対してデータを送信したり、制御信号を送信したりする。また、制御部110には、ブロック図に示す構成を、本発明の実施形態に係るインテリジェントターゲット100としての動作を実行させるためのプログラムも記憶されている。
無線通信部200は、図3には不図示のパーソナルコンピューターなどが備える無線通信部(不図示)との間で、無線によるデータ通信を行う。このような無線通信部200で用いる得る通信規格に特に制限はなく、適宜適切なものを用いることができる。
本実施形態に係るインテリジェントターゲット100では 無線通信部200による無線でパーソナルコンピューターとの間でデータ通信を行うように構成されているが、有線によってパーソナルコンピューターとの間でデータ通信を行うように構成してもよい。
無線通信部200で受信したデータは制御部110に転送される。また、無線通信部200は、制御部110からの制御指令に基づいて、所定のデータを無線通信部200から送信するようになっている。
照明部140は、複数の単位照明141から構成されている。この単位照明141としては、LED(Light Emitting Diode)を用いると消費電力を低減することができ好ましいが、その他の照明手段を用いることもできる。
単位照明141は、物理的には筐体104の第1面105において、円周上に配置されている。なお、本実施形態においては、照明部140における単位照明141が12個用いられる例に基づいて説明を行うが、単位照明141の数は複数であればよく、単位照明141の数をどのように設定するかは任意である。
照明部140における複数の単位照明141の点滅は、上位装置である制御部110からの制御指令に基づいて行われる。
本発明に係るインテリジェントターゲット100においては、典型的には、無線通信部200が外部のパーソナルコンピューターなどから点滅指令データを受信すると、当該点滅指令データは制御部110に転送され、さらに、制御部110が照明部140における単位照明141の点滅を制御するようになっている。
また、本発明に係るインテリジェントターゲット100の照準位置(レーザー計測装置10から出射されるレーザー光の照準位置)には、照度センサー170が設けられている。この照度センサー170の位置は、筐体104の第1面105において単位照明141が配されている円周の中心点でもある。照度センサー170で、検出される照度データは、制御部110に転送されるようになっている。
本発明に係るインテリジェントターゲット100においては、典型的には、無線通信部200が外部のパーソナルコンピューターなどから照度検出指令データを受信すると、当該検出指令データは制御部110に転送され、さらに、制御部110が照度センサー170で照度を検出するように照度センサー170を制御するようになっている。さらに、照度センサー170で検出した照度検出データは無線通信部200から、外部のパーソナルコンピューターなどに対して送信されるようになっている。
次に、本発明に係るインテリジェントターゲット100が用いられるレーザー計測装置10についての説明を行う。図4はレーザー計測装置10の概略構成の一例について説明する図である。このようなレーザー計測装置10としては、例えばLeica社製の3D Disto(登録商標)を用いることができる。
レーザー計測装置10は、基台部11と、この基台部11を中心として回動する回動部13を有している。回動部13の回動軸は図中X−X’によって示されている。回動部13の回動角度は、水平角度θとして計測される。また、レーザー計測装置10は、水平角度をθとするよう制御指令を受信すると、そのように回動部13を動作させることができるようになっている。
また、レーザー計測装置10の回動部13は2つの立設部15を有しており、これらの立設部15の間に回動するヘッド部20を有している。ヘッド部20の回動軸は図中Y−Y’によって示されている。ヘッド部20の回動角度は、鉛直角φとして計測される。また、レーザー計測装置10は、鉛直角度をφとするよう制御指令を受信すると、そのようにヘッド部20を動作させることができるようになっている。
ヘッド部20には、レーザー出入射部23が設けられている。レーザー計測装置10は、レーザー出入射部23はレーザー光で出射する。このレーザー光が物体で反射され、再びレーザー出入射部23で入射されることで、レーザー計測装置10は物体までの距離rを計測することができるようになっている。
また、ヘッド部20には、レーザー出入射部23に隣接して、画像撮像レンズ開口部22が設けられている。この画像撮像レンズ開口部22により、レーザー計測装置10は、レーザー出入射部23がレーザー光を出射する方向の画像を撮像することができるようになっている。レーザー計測装置10による画像の撮像は、1秒間で複数の画像データを取得できる程度のものが想定されている。また、このようなレーザー計測装置10における撮像機能では、光学ズームによる画像の拡大を行うことができることが好ましい。
レーザー計測装置10は、不図示の無線通信手段を備えており、例えばパーソナルコンピューターに対して計測データを送信したり、或いは、パーソナルコンピューターから制御指令を受信したりすることができるようになっている。
上記のような無線通信手段によって、例えば、レーザー計測装置10で計測した物体の(r,θ,φ)に係るデータをパーソナルコンピューターに対して送信することができたり、或いは、パーソナルコンピューターから指令された位置に対してレーザー光を照射したりすることが可能となる。
また、レーザー計測装置10の無線通信手段は、画像撮像レンズ開口部22により取得された撮像画像データを、パーソナルコンピューターなどに対して送信することができるようになっている。
次に、以上のようなレーザー計測装置10と、そのターゲットとなる本発明に係るインテリジェントターゲット100と用いた計測事例を説明する。図5は本発明に係るインテリジェントターゲット100を用いた計測例を説明する図である。
本発明に係るインテリジェントターゲット100は、パーソナルコンピューター50と無線により通信を行い、パーソナルコンピューター50から制御指令を受信したり、また、パーソナルコンピューター50に対して検出データなどを送信したりすることができるようになっている。
同様に、レーザー計測装置10も、パーソナルコンピューター50と無線により通信を行い、パーソナルコンピューター50から制御指令を受信したり、また、パーソナルコンピューター50に対して検出データなどを送信したりすることができるようになっている。
パーソナルコンピューター50としては、CPU(Central Processing Unit)などの演算部や、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶部、ディスプレイ、キーボードなどの入出力部、通信部などを有する一般的なものを用いることができる。本実施形態に係るインテリジェントターゲット100による計測事例では、情報処理装置としてパーソナルコンピューター50を用いるようにしたが、タブレット端末、スマートフォンなどの情報処理装置を用いるようにしもよい。
図5の計測事例では、レーザー計測装置10及びレーザー計測装置10’の2台のレーザー計測装置を用いることを想定している。いずれのレーザー計測装置も、初期の段階では、それらの設置位置の座標は不明である。
そこで、第1の既知点にインテリジェントターゲット100を設置して、レーザー計測装置10によって、当該第1の既知点の第1座標データを取得する。次に、第2の既知点にインテリジェントターゲット100を設置して、レーザー計測装置10によって、当該第2の既知点の第2座標データを取得する。そして、第1座標データ及び第2座標データから、レーザー計測装置10が設置されている位置座標を求める。同様の手順によって、もう1台のレーザー計測装置10’の位置座標も求めるようにする。
設置座標が明らかとなったレーザー計測装置10及びレーザー計測装置10’からは、建築部材の取り付け位置などの設計位置に対して、レーザー光を照射する。これにより、建築部材の取り付け位置の位置決めを行うことができる。
なお、設計位置へのレーザー光照射は、1台のレーザー計測装置10のみでも行うことができるが、2台同時にこれを行うことで、位置決めの確実性をより高めることができる。
以上のような一連の計測作業を行う上で、基本となる「照準処理」について説明する。この「照準処理」は、レーザー計測装置10のレーザー光を、インテリジェントターゲット100の照準位置に照射させるようにする処理である。
本計測事例では、図5に示すように、第1の既知点に本発明に係るインテリジェントターゲット100を設置し、位置座標が不明な点にレーザー計測装置10を設置したとき、レーザー計測装置10のレーザー光を、インテリジェントターゲット100の照準位置に照射させるようにする処理が実行されるものである。
図6は本発明に係るインテリジェントターゲット100を用いた照準処理のフローチャートである。図6のフローチャートでは、パーソナルコンピューター50、レーザー計測装置10及びインテリジェントターゲット100それぞれの処理の流れを示している。
図6において、照準処理が開始されると、ステップS101において、パーソナルコンピューター50は、インテリジェントターゲット100に対して、点滅指令を送信する。
インテリジェントターゲット100は、ステップS301で、点滅指令データを受信すると、続いて、ステップS302では、照明部140の単位照明141の点滅を開始する。照明部140の点滅においては、全ての単位照明141が同時に点灯すると共に、全ての単位照明141が同時に消灯することで、点滅が行われる。
続いて、パーソナルコンピューター50は、ステップS102において、レーザー計測装置10に対して、画像撮像指令を送信する。
これに対応する形で、レーザー計測装置10が、ステップS201で、画像撮像指令データを受信すると、ステップS202で、レーザー計測装置10はその撮像機能により、画像の撮像を実行する。このステップS202での画像撮像は複数回実行される。したがって、撮像される画像データとしては、照明部140における単位照明141が同時に点灯しているときの画像データと、照明部140における単位照明141が同時に消灯しているときの画像データの双方の画像データが取得される。
ステップS203では、レーザー計測装置10はパーソナルコンピューター50に対して、撮像した画像データを送信する。
パーソナルコンピューター50が、ステップS103で、レーザー計測装置10から撮像画像データを受信すると、続いて、ステップS104において、パーソナルコンピューター50は、インテリジェントターゲット100に対して、点滅停止指令を送信する。
インテリジェントターゲット100は、ステップS303で、点滅停止指令データを受信すると、続いて、ステップS304では、照明部140の単位照明141の点滅を停止する。
パーソナルコンピューター50は、ステップS105において、レーザー計測装置10から受信した複数の画像データを画像処理する。具体的には、照明部140における単位照明141が同時に点灯しているときの画像データと、照明部140における単位照明141が同時に消灯しているときの画像データとの差分を取ることで、画像データにおける円周上に配列された単位照明141を抽出する。
続くステップS106では、画像データにおける円周上に配列された単位照明141の中心の位置座標を求める。次のステップS107では、この中心の位置座標に対して、レーザー計測装置10から出射されるレーザー光に指向するように、レーザー計測装置10に対して中心座標指向指令データを送信する。
レーザー計測装置10がステップS204で、パーソナルコンピューター50から中心座標指向指令データを受信すると、ステップS205では、中心座標に向けてレーザー光が出射されるように方向(照準方向)を調整する。より具体的には、回動部13及びヘッド部20の位置を調整して、レーザー光の出射方向を調整する。
続いて、パーソナルコンピューター50側では、ステップS108において、画像データを参照して、照明部140をより拡大した画像データを処理することができ、かつ、レーザー計測装置10に光学ズームによる拡大余力があるか否かを判定する。
ステップS108における判定がYESであると、ステップS109に進み、レーザー計測装置10に対して、ズーム指令データを送信する。
レーザー計測装置10側では、ステップS206において、パーソナルコンピューター50からのズーム指令データを受信すると、ステップS207で、拡大ズームを実行する。パーソナルコンピューター50側では、ズームされた照明部140の画像データを得るべく、再びステップS101に戻る。このように、本発明においては、可能な限り拡大した照明部140の画像データを得るようにすることで、より精度の高く照準位置にレーザー光が照射されるように調整が繰り返される。
一方、ステップS108における判定がNOであると、これ以上拡大した画像データを得ることはできないので、ステップS110に進み、計測位置座標取得処理のルーチンを実行する。
次に、上記のような計測位置座標取得処理について説明する。図7は本発明に係るインテリジェントターゲット100を用いた計測位置座標取得処理のフローチャートである。図7のフローチャートでは、パーソナルコンピューター50、レーザー計測装置10及びインテリジェントターゲット100それぞれの処理の流れを示している。
図7において、計測位置座標取得処理が開始されると、ステップS401において、パーソナルコンピューター50はレーザー計測装置10に対して、レーザー照射指令を送信する。
レーザー計測装置10は、ステップS501で、パーソナルコンピューター50からのレーザー照射指令データを受信すると、ステップS502に進み、レーザー照射を開始する。
ここで、インテリジェントターゲット100の照準位置に照度センサー170を設けて、これにより照度を検出する意義について説明する。図8は照明部140の反射像をレーザー計測装置10が補足する状況を説明する図である。
例えば、インテリジェントターゲット100をガラス窓の近傍などに設置して用いると、図5に示すように、ガラス窓に照明部140の反射像が形成されてしまうことがある。このとき、レーザー計測装置10で取得される画像データを処理するパーソナルコンピューター50が、照明部140の反射像を、インテリジェントターゲット100の照明部140の画像データであると誤認識してしまう可能性がある。このような誤認識のまま、計測が進められると、誤った位置座標を取得してしまうこととなる。
そこで、本発明に係るインテリジェントターゲット100においては、パーソナルコンピューター50が、照明部140の反射像を、インテリジェントターゲット100の照明部140の画像データであると誤認識して、誤った位置座標を取得しないようにするための構成として、照準位置に照度センサー170を設けるようにしている。
パーソナルコンピューター50が、上記のような誤認識を行った場合に、レーザー計測装置10からレーザー光を照準位置に対して照射したとしても、照度センサー170から所定以上の照度が検出されることはない。そこで、本発明に係るインテリジェントターゲット100においては、照度センサー170から所定以上の照度が検出された場合にのみ、パーソナルコンピューター50が正しく照明部140の画像データを認識しているものと判断する。
さて、ステップS401に続き、パーソナルコンピューター50はステップS402において、インテリジェントターゲット100に対して、照度センサー検出指令を送信する。
インテリジェントターゲット100は、ステップS601において、パーソナルコンピューター50から照度センサー検出指令データを受信すると、ステップS602に進み、照度センサー170によって照度を検出して、ステップS603で、照度の検出データをパーソナルコンピューター50に対して送信する。
パーソナルコンピューター50は、インテリジェントターゲット100からステップS403 で、照度の検出データを受信すると、ステップS404に進み、レーザー計測装置10に対して、レーザー照射停止指令を送信する。
これに対応して、レーザー計測装置10では、レーザー照射停止指令データをステップS503で受信すると、続いて、ステップS504に進み、レーザーの照射を停止する。
パーソナルコンピューター50では、ステップS405で、受信した照度の検出データが所定値以上であるか否かが判定される。ステップS405における判定が、NOである場合には、パーソナルコンピューター50が、照明部140の反射像を認識していた可能性があるものとし、ステップS406に進み、エラーとして処理する。
一方、ステップS405における判定が、YESである場合には、ステップS407に進み、 レーザー計測装置10に対して、座標計測指令を送信する。
レーザー計測装置10は、ステップS505でパーソナルコンピューター50からの座標計測指令データを受信すると、ステップS506で、座標計測を実行し、ステップS507では、計測された座標データをパーソナルコンピューター50に送信する。
パーソナルコンピューター50側では、ステップS408で、座標データを受信すると、ステップS409に進み、この座標データを記憶し、ステップS410で処理を終了する。
以上のように、本発明に係るインテリジェントターゲット100は、筐体104の第1面105において円周上に複数配される単位照明141からなる照明部14と、前記照明部14における単位照明141の点滅を制御する制御部110と、外部から受信したデータを前記制御部110に転送する共に、前記制御部110から転送されたデータを外部に送信する無線通信部200と、を有しており、 このような本発明に係るインテリジェントターゲット100によれば、現場において、レーザー計測装置10によってターゲットを見つけ出し、照準を合わせる作業を、手間や時間をかけることなく、簡便に行うことが可能となる。
次に、レーザー計測装置10の設置位置の座標を、2点の既知点から算出する際の手順を説明する。図9はレーザー計測装置10の設置位置を算出する手順のフローチャートである。
図9において、ステップS700で手順が開始されると、続いて、ステップS701に進み、本発明に係るインテリジェントターゲット100を第1の既知点に設置する。
ステップS702では、レーザー計測装置10によって第1の既知点の第1座標データを取得し、パーソナルコンピューター50に第1座標データを記憶する。
続いて、ステップS703に進み、本発明に係るインテリジェントターゲット100を第2の既知点に設置する。
ステップS704では、レーザー計測装置10によって第2の既知点の第2座標データを取得し、パーソナルコンピューター50に第2座標データを記憶する。
ステップS705では、パーソナルコンピューター50に記憶された第1座標データと第2座標データとから、レーザー計測装置10の設置位置の座標データを算出する。このようなレーザー計測装置10の設置位置の座標データの算出方法には、周知のアルゴリズムを用いることができる。
以上のような手順によって、設置位置の座標が既知となったレーザー計測装置10及びレーザー計測装置10’からは、図10に示すように、建築部材の取り付け位置などの設計位置に対して、レーザー光を照射することができ、簡便に位置決めを行うことが可能となる。
次に、本発明に係るインテリジェントターゲット100の他の利用形態について説明する。本発明に係るインテリジェントターゲット100は、屋外において用い得るように気密性が高い構造が採用されていること、及び、発電パネル205が用いられているために電池交換等が不要であることは、これまでに述べた。このような本発明に係るインテリジェントターゲット100の特性を生かして、本発明に係るインテリジェントターゲット100は施工物の常時監視などにも利用することができる。
施工物の施工後において、風や地震の影響などによって、施工物が設計からずれてしまうことがあり、施工後における施工物のずれを監視しておく、というニーズが存在する。本発明に係るインテリジェントターゲット100はこのようなニーズに対応することが可能である。以下、図11に示す例に基づいてこれを説明する。
図11は本発明に係るインテリジェントターゲット100を用いた施工物の監視を説明する図である。施工物の適当な位置には、本発明に係るインテリジェントターゲット100が取り付けられている。また、施工物に取り付けられたインテリジェントターゲット100を、照準することができる位置にはレーザー計測装置10が設置される。また、インテリジェントターゲット100やレーザー計測装置10とのデータ通信が可能なパーソナルコンピューター50も配されている。
図12はインテリジェントターゲット100による施工物の監視手順のフローチャートである。ステップS800で、インテリジェントターゲット100を用いた監視手順が開始されると、次のステップS801では、例えば図11に示すように、インテリジェントターゲット100を施工物に取り付ける。
ステップS802では、レーザー計測装置10によってインテリジェントターゲット100の位置座標を取得し、ステップS803では レーザー計測装置10によって取得した位置座標をパーソナルコンピューター50に記憶する。
ステップS804では、所定時間が経過したか否かが判定される。例えば、10分おきに位置座標を取得するのであれば、このステップで、10分が経過したか否かが判定される。ステップS804の判定がYESとなるとステップS802に戻り位置座標の取得を行う。一方、ステップS804の判定がNOとなると、ステップS805に進み、監視が終了であるか否かが判定される。
ステップS805における判定がNOの間は、ステップS804に戻り、ステップS805における判定がYESとなると、ステップS806に進みフローチャートを終了する。
本発明に係るインテリジェントターゲット100を用いて、以上のような施工物の監視を行うことで、パーソナルコンピューター50には、施工物に取り付けられたインテリジェントターゲット100の位置座標のログデータが収集されることとなり、風や地震の影響などによって、施工物が設計からずれてしまっていないかを、このログデータに基づいて分析することが可能となる。
以上、本発明に係るインテリジェントターゲットは、前記筐体の第1面において円周上に複数配される単位照明からなる照明部と、前記照明部における単位照明の点滅を制御する制御部と、外部から受信したデータを前記制御部に転送する共に、前記制御部から転送されたデータを外部に送信する通信部と、を有しており、このような本発明に係るインテリジェントターゲットによれば、現場において、レーザー計測装置によってターゲットを見つけ出し、照準を合わせる作業を、手間や時間をかけることなく、簡便に行うことが可能となる。