以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態にかかるゲーミングマシンについて説明する。なお、各図において同一または相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
本実施形態にかかるゲーミングマシンは、所定の遊技価値をプレイヤーから受け付けてゲーム結果を生成し、ゲーム結果に応じた配当をプレイヤーへ提供するものである。図1は本実施形態にかかるゲーミングマシン1の斜視図ある。図1に示すように、このゲーミングマシン1は、上部ディスプレイ21を備えた第1キャビネット20、下部ディスプレイ26を備えた第2キャビネット25、プレイヤートラッキングユニット57を収容した第3キャビネット30、および、コントロールパネル41を備えるとともに各部を制御する制御部50を収容した第4キャビネット40から構成された筐体10を有している。以下、各構成について説明する。
筐体10の上部には第1キャビネット20が設けられており、第1キャビネット20の下に第2キャビネット25が設けられている。第1キャビネット20に設けられた上部ディスプレイ21および第2キャビネット25に設けられた下部ディスプレイ26は、いずれも液晶表示装置や有機EL表示装置等のフラットパネルディスプレイ装置であり、それぞれ制御部50に制御されることにより後述するゲーム画面をプレイヤーへ提供する表示部27として機能する。
第3キャビネット30は、第2キャビネット25の下に設けられている。第3キャビネット30の前面左右にはスピーカ31が設けられており、制御部50に制御されることによりサウンドをプレイヤーへ提供する。また、第3キャビネット30の前面中央には、プレイヤートラッキングユニット57が収容されている。プレイヤートラッキングユニット57は、プレイヤー識別カードを認識するカードリーダ81と、プレイヤーに情報を提示するディスプレイ82と、プレイヤーによる入力を受け付けるキーパッド83とを有している。このようなプレイヤートラッキングユニット57は、後述する制御部50または外部システムと協調動作することにより、プレイヤーがカードリーダ81に挿入したプレイヤー識別カードに記録された情報を読み取って、当該情報または外部システムと通信することにより取得した情報をディスプレイ82に表示する。また、プレイヤーからの入力をキーパッド83で受け付け、入力に応じてディスプレイ82の表示を変化させ、必要に応じて外部システムとの通信を行う。
第4キャビネット40は、第3キャビネット30の下側に配置されている。第4キャビネット40には、一部がその前側に張り出すようにして、コントロールパネル41が設けられている。コントロールパネル41には、紙幣/チケット識別ユニット42、プリンタユニット43および操作部44が設けられている。
紙幣/チケット識別ユニット42は、紙幣またはチケットが挿入される挿入口を露出させた状態でコントロールパネル41に配置されており、挿入口の奥には各種センサで紙幣/チケットを識別する識別部が設けられ、第4キャビネット40内部の識別部出側には紙幣/チケット貯留部が設けられている。紙幣/チケット識別ユニット42は、ゲームを実行する対価としての遊技価値である紙幣、チケット(バウチャー、クーポンを含む)を受け付けて識別し、後述する制御部50へ通知する。
プリンタユニット43は、チケットが出力されるチケット出力口を露出させた状態でコントロールパネル41に配置されており、チケット出力口の奥には印刷用紙に所定の情報を印刷する印刷部が設けられ、印刷部の用紙入側には印刷用紙を収容した収容部が設けられている。プリンタユニット43は、後述する制御部50の制御下で、ゲーミングマシン1からのクレジット払い出し処理に対応した情報を用紙に印刷してチケットを出力する。出力されたチケットは、他のゲーミングマシンの紙幣/チケット識別ユニットに挿入することで払い出されたクレジットをゲームプレイに利用することも可能であり、または、カジノ内のキオスク端末やカジノケージで換金することも可能である。
操作部44は、ゲーミングマシン1に対するプレイヤーの各種の指示を受け付けるボタン群である。操作部44は、例えば、スピンボタン45と、設定ボタン群46とを有している。スピンボタン45は、後述するゲームの開始(リールの回転開始)の指示を受け付ける。設定ボタン群46は、ベットボタン群、ライン指定ボタン群、マックスベットボタン、ペイアウトボタン等を含む。ベットボタン群は、ベットするクレジット量(ベット数)に関する指示操作をプレイヤーから受け付ける。ライン指定ボタン群は、後述するライン判定の対象とされるべきライン(以下、有効ラインと呼ぶ。)を指定する指示操作をプレイヤーから受け付ける。マックスベットボタンは、一度にベットすることができる最大クレジット量のベットに関する指示操作をプレイヤーから受け付ける。ペイアウトボタンは、ゲーミングマシン1に蓄積されたクレジットの払い出しを指示する指示操作をプレイヤーから受け付ける。
また、第4キャビネット40の内部には、制御部50をなす中央処理装置(以下、CPUと略称する。)51、インタフェース部52、メモリ53およびストレージ54等を搭載した制御ボードが内蔵されている。制御ボードは、第1キャビネット20、第2キャビネット25、第3キャビネット30および第4キャビネット40に搭載された上記構成要素のそれぞれと、インタフェース部52を介して通信可能に構成され、CPU51でメモリ53またはストレージ54に記録されたプログラムを実行することで各部の動作を制御して、プレイヤーにゲームを提供する。
図2は本実施形態にかかるゲーミングマシン1の機能ブロック図を示している。ゲーミングマシン1は、制御部50を備えている。制御部50は、CPU51と、CPUに接続されてメモリバス、各種拡張バス、シリアル、USB、イーサネット(登録商標)等の通信機能を提供するチップセットを含んだインタフェース部52と、インタフェース部52を介してCPU51が参照可能なメモリ53およびストレージ54とを備えたコンピュータユニットとして構成されている。メモリ53は、揮発性の記憶媒体であるRAM、不揮発性の記憶媒体であるROM、書き換え可能な不揮発性の記憶媒体であるEEPROMを含む構成とすることができる。ストレージ54は、外部記憶装置としての機能を制御部50に提供するものであり、取り外し可能な記憶媒体であるメモリカード、光磁気ディスク等の読み取り装置を使用することができ、ハードディスクを利用することも可能である。
インタフェース部52には、CPU51およびメモリ53およびストレージ54の他に、紙幣/チケット識別ユニット55、プリンタユニット56、プレイヤートラッキングユニット57、グラフィックコントローラ58、入力コントローラ84およびサウンドアンプ85が接続されている。なお、ゲーミングマシン1に装飾的な照明を提供するイルミネーションが設けられている場合には、インタフェース部52に、当該イルミネーションを制御部50の制御下で制御して装飾的な照明効果を提供するイルミネーションコントローラが接続されていてもよい。
以上のようなメモリ53およびストレージ54を有する制御部50は、メモリ53およびストレージ54に格納されたプログラムを実行することにより各部を制御して、プレイヤーにゲームを提供するものである。ここで、例えばメモリ53のEEPROMに制御部50の基本機能を提供するオペレーティングシステムおよびサブシステムのプログラムならびにデータを格納し、ストレージ54にゲームを提供するアプリケーションのプログラムおよびデータを格納する構成としても良い。このような構成によれば、ストレージ54を交換することでゲームの切り替えまたは更新を容易に行うことが可能である。なお、制御部50は複数のCPUを有するマルチプロセッサ構成としてもよい。
以下、制御部50に接続された各ブロックについて説明する。
紙幣/チケット識別ユニット55は、上述した紙幣/チケット識別ユニット42に対応し、紙幣またはチケットを挿入口で受け付けて紙幣種別またはクレジット払い出し処理に対応した情報を識別すると制御部50へ通知する部分である。紙幣/チケット識別ユニット55が制御部50へ上記情報を通知すると、制御部50は通知された内容に応じてゲーム内で使用可能なクレジット量を増加させる。プリンタユニット56は、上述したプリンタユニット43に対応し、上述した設定ボタン群46のペイアウトボタンの操作を受け付けた制御部50の制御下で、ゲーミングマシン1からのクレジット払い出し処理に対応した情報が印刷されたチケットを印刷して出力する。
プレイヤートラッキングユニット57は、制御部50と協調動作して、プレイヤーの情報等をカジノ管理システムとの間で送受信する。グラフィックコントローラ58は、制御部50の制御下で、上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御して各種グラフィックデータを含むディスプレイイメージを表示する。サウンドアンプ85は、制御部50の制御下でスピーカ31を駆動し、アナウンス、効果音、BGM等の各種サウンドを提供する。
また、インタフェース部52は、ゲーミングマシン1の外部と通信を行うための各種通信インタフェースを有しており、例えばイーサネット86、87、シリアル出力88により外部ネットワークと通信を行うことが可能である。本実施形態では、一例として公知のサーバサイドゲーミングネットワーク(図2のServer Based Gaming)、G2Sネットワーク(図2のGame to System)、スロット情報システム(図2のSlot Data System)とそれぞれ通信を行う場合を示す。
図3は、本実施形態にかかるゲーミングマシン1が提供するゲーム画面を模式的に示した図である。このようなゲーム画面は、制御部50が所定のプログラムを実行することにより、表示部27(上部ディスプレイ21および/または下部ディスプレイ26)に表示される。本実施形態では、下部ディスプレイ26にゲーム画面が表示される態様を示す。図3に示されるように、このゲーム画面は複数の仮想的なリールおよび当該リールに含まれるシンボルを表示するためのシンボル表示領域60を有している。このようなゲーム画面を使用して、本実施形態のゲーミングマシン1は、所定の遊技価値を代償としてシンボル表示領域60に表示した複数のリールを仮想的に回転および停止させてゲーム結果であるシンボルの組み合わせを形成し、ゲーム結果に含まれるシンボルの入賞組合せに応じた配当を支払うスロットマシンとして動作する。
なお、図3では省略しているが、表示部27には、シンボル表示領域60以外に、クレジット量、ベット数、入賞により得られたクレジット量(WIN数)等を表示する領域、装飾領域も設けることができる。
本実施形態では、一例として、各リール61は、長方形状のシンボル表示領域60において、3行5列の格子状に配置されている。なお、以下においては、表示部27の横方向を行方向と、縦方向を列方向と呼ぶことがある。また、シンボル表示領域60の各リール61が表示される領域(3行5列の格子状の各領域)のことをセルとも呼ぶ。
各リール61は、所定のシンボルからなるシンボル配列を有している。具体的には、各リール61には、図4に示すような仮想リールストリップ70が関連付けられている。ここで、仮想リールストリップ70とは、制御部50がメモリ53またはストレージ54に有するプログラムの使用するデータ構造であって、図4に示すように複数のシンボルが一列に並べられた状態を表現したものである。仮想リールストリップ70のシンボル配列は、リール61毎に個別に定義されてもよい。つまり、リール61毎に異なるシンボル配列を有する仮想リールストリップ70が関連付けられていてもよい。
シンボル表示領域60の各セルには、各リール61に関連付けられた仮想リールストリップ70のシンボルが部分的に表示される。より具体的には、本実施形態のリール61は、表面に2個のシンボルが連続して配置され、その軸方向を画面の左右方向とする円柱状オブジェクトである。そして、このようなリール61は各セルに停止した状態で、それぞれ1個のシンボルを表示する。このような円柱状オブジェクトであるリール61を軸方向を中心として画面の上方向または下方向に回転させることにより、シンボル表示領域60の各セルにおいてシンボルは変動する。この際、円柱状オブジェクトの表面に配置されるシンボルは、仮想リールストリップ70に規定されたシンボル配列に従って順次入れ替えられる。
ゲームを開始した制御部50は、複数のリール61のそれぞれを回転および停止させる。具体的には、制御部50は、各リール61に関連付けられた仮想リールストリップ70についてランダムに停止位置を決定し、仮想リールストリップ70が現在位置から回転を開始して停止位置で停止する動作を、表示部27(例えば下部ディスプレイ26)を用いて表現する。これにより、シンボル表示領域60の各セルにおいては、各リール61に関連付けられた仮想リールストリップ70のシンボル配列に従って、順次シンボルを入れ替えながら円筒状オブジェクトであるリール61が回転し、一つのシンボルがセルに表示されるように停止する。全てのリール61が停止した後には、シンボル表示領域60には、15個のシンボルが3行5列の格子状に表示されることとなる。
シンボル表示領域60には、入賞を判定する際に使用するペイラインが設定されている。ペイラインは、左端の列のセルから右端の列のセルに跨るように設定され、入賞判定の対象となる複数のセルを組み合わせたラインである。設定されているペイラインのうち有効なラインの数は、プレイヤーによる操作部44の設定ボタン群46に含まれるライン指定ボタン群の操作によって選択される。制御部50は、ゲーム結果であるシンボルの組み合わせ(以下、単に「ゲーム結果」とも呼ぶ。)について、例えば設定されたペイライン上に同一シンボルが所定の数を超えて並んでいる場合に入賞したと判定し、シンボルの種類および数に応じた配当をプレイヤーに支払う。本実施形態のゲーミングマシン1においては、シンボル表示領域60の3行5列のセルについて所定数のペイライン(LINE1〜40)が設定されている(図5参照)。なお、入賞判定の方式は、左端の列のセルから所定数の同一シンボルが所定のペイライン上に並んでいる場合を入賞と判定するものでもよいし、右端の列のセルから所定数の同一シンボルが所定のペイライン上に並んでいる場合を入賞と判定するものでもよく、所定のペイライン上の隣接する列のいずれかに所定数の同一シンボルが並んでいる場合を入賞と判定するものであっても構わない。
なお、セルの境界線(すなわち、隣り合う2つのリール61を隔てる観念的な境界線)は、プレイヤーが視覚を通じて把握できる態様で表示部27上に表示されてもよいし、表示が省略されてもよい。すなわち、セルはシンボル停止位置としてゲーミングマシン1の内部で論理的に、あるいは観念的に規定されていれば足り、それらの境界が視認できることは必ずしも必要とされない。
本実施形態のゲーミングマシン1は、所定の条件を満たしていない場合に提供される通常ゲーム(メインゲーム、ベースゲーム、プライマリゲームとも称される。)と、所定の条件を満たした場合に提供される特別ゲーム(ボーナスゲーム、フィーチャーゲームとも称され、遊技対価を消費することなく提供されるフリーゲームを含む。)との二種類のゲームを提供する。
次に、複数のリール61の回転を開始させてからゲーム結果を形成するまでの間に行われる本実施形態におけるリールの入替処理について、図6〜12を参照しつつ説明する。
図6および図7に示すように、制御部50は、所定の条件が満たされたことに応じて、複数のリール61の回転を開始させてからゲーム結果を形成するまでの間に、複数のリール61のうち一部のリール61を当該リール61とは異なるシンボル配列を有する特別リール62に入れ替える。所定の条件は、予め定められた条件であればよい。所定の条件としては、例えば、取得した乱数が所定値であることまたは所定の範囲に含まれること、ベット額が所定値を超えていること、現在時刻が所定の時刻になること、現在の遊技回数が所定の遊技回数に達したこと、特別ゲームの提供中であること、特定のシンボルが表示されたこと/表示されること、およびこれらの組み合わせ等が挙げられる。以下では、リールの入替処理の提供が、乱数により決定される場合を一例として説明する。この場合、制御部50は、リールの入替処理を実行するトリガ条件の成否を決定するために、乱数を取得し、当該乱数が所定の範囲に含まれている場合にトリガ条件を成立したものと判断する。そして、トリガ条件が成立したものと判断された場合には、制御部50は、特別リール62の出現パターンの決定のために、さらに乱数を取得して、複数のリール61のうち特別リール62に入れ替えるリールをランダムに決定する。ここでの決定は、例えば特別リール62に入れ替えられるリール61の組み合わせ(単独の場合を含む)を複数準備しておき、いずれか一つの組み合わせを乱数により選択する構成とすることができる。このような決定はシンボル表示領域60をなすセル全体について行ってもよいし、シンボル表示領域60にセルがなす行または列ごとに行ってもよい。また、シンボル表示領域60をなすセルのそれぞれについて乱数を取得して、特別リール62に入れ替えるか否かを個々に決定してもよい。そして、制御部50は、さらに乱数を取得して特別リール62が停止する位置をランダムに決定する。
本実施形態では、一例として、特別リール62は、マルチプライヤーワイルドシンボルのみを含むシンボル配列を有する。マルチプライヤーワイルドシンボルとは、ワイルドシンボルおよびマルチプライヤーシンボルの両方の機能を有するシンボルである。ワイルドシンボルとは、後述する入賞判定の際に他のシンボルとして通用するシンボル(すなわち、他のシンボルとして代用されるシンボル)である。マルチプライヤーシンボルとは、入賞時のシンボルの組み合わせ(入賞組み合わせ)の配当に掛け合わされる所定の倍数が関連付けられたシンボルである。
また、本実施形態では、一例として、特別リール62はシンボル表示領域60の列毎に同じシンボル配列の仮想リールストリップを使用し、制御部50は特別リール62が停止するシンボルを列毎に決定する。つまり、本実施形態では、同じ列の複数の特別リール62は同じシンボル(同じ倍数のマルチプライヤーシンボル)を表示しながら変動し、同じシンボル(同じ倍数のマルチプライヤーシンボル)で停止する。これにより、特別リール62が何れのシンボルを表示しつつ変動して停止するかをプレイヤーに視認容易な態様で表示し、プレイヤーにマルチプライヤーシンボルの倍数が変動することを分かり易く提示することができる。また、シンボル表示領域60の列毎に同じ倍数のマルチプライヤーシンボルが停止するので、配当計算が容易となり、プレイヤーにゲーム結果を把握することが容易なゲームを提供することができる。本実施形態では、一例として、シンボル表示領域60の左から二列目、三列目、四列目のセルに表示されたリール61が特別リール62に入れ替えられる。図8(a)は左から二列目のセルに出現する特別リールの仮想リールストリップの一例を示したものである。当該仮想リールストリップには、2倍のマルチプライヤーシンボルを示す「2X」と、3倍のマルチプライヤーシンボルを示す「3X」とが交互に配置されている。図8(b)は左から三列目のセルに出現する特別リールの仮想リールストリップの一例を示したものである。当該仮想リールストリップには、2倍のマルチプライヤーシンボルを示す「2X」と、4倍のマルチプライヤーシンボルを示す「4X」とが交互に配置されている。図8(c)は左から四列目のセルに出現する特別リールの仮想リールストリップの一例を示したものである。当該仮想リールストリップには、2倍のマルチプライヤーシンボルを示す「2X」と、5倍のマルチプライヤーシンボルを示す「5X」とが交互に配置されている。図9の例は、4つの特別リール62が、いずれも2倍のマルチプライヤーワイルドシンボルである「2X」で停止した状態を示している。
リールの入替処理の演出の態様は、特定の態様に限られないが、本実施形態では、一例として、図6および図7に示すような立体的な表示演出が実行される。すなわち、リールの入替処理においては、まず、図6に示すように、特別リール62に入れ替えられる対象のリール61(ここでは一例として4つのリール61)が、仮想的にゲーム画面手前側に押し出されてゲーム画面下方に落下するように表示部27に表示される。そして、図7に示すように、当該4つのリール61が配置されていた各セルに、ゲーム画面奥側から出現した特別リール62が配置される。このような表示演出により、リールの入替処理を視覚的に迫力のある態様でプレイヤーに提示することができる。
リールの入替処理は、リール61の回転を開始させてからゲーム結果を形成するまでの間の任意のタイミングで行われてもよい。本実施形態では、一例として、制御部50は、後述するリール停止前およびリール停止後のうち一方のタイミングで、リールの入替処理を実行する。リール停止前のタイミングでリールの入替処理を行う場合は、リール61が回転している間に一部のリール61を特別リール62に入れ替える。また、リール停止後のタイミングでリールの入替処理を行う場合は、全てのリール61を停止させた後に一部のリール61を特別リール62に入れ替える。
リール停止前のタイミングでリール入替処理を実行する場合には、制御部50は、複数のリール61の回転を開始させてから当該複数のリール61を停止させる前に、少なくとも一つのリール61を、回転している状態の特別リール62に入れ替える。つまり、図6および図7の例では、複数のリール61が回転している間に、前述の方法により決定された4つのリール61が回転している状態の特別リール62に入れ替えられる。その後、制御部50は、特別リール62以外のリール61を停止させた後に特別リール62を停止させてゲーム結果を形成し、形成されたゲーム結果について配当を支払う。このようなリール停止前のタイミングでのリール入替処理によれば、リールの回転を開始した時点におけるリールの組み合わせとは異なる組み合わせのリール(すなわち、特別リール62に入れ替えられずに残っているリール61と特別リール62との組み合わせ)を回転させて、ゲーム開始時とは異なる状態でのゲーム進行をプレイヤーに提示することが可能となる。
ここで、リールの停止順序は、上述のように特別リール62以外のリール61を停止させた後に特別リール62を停止させる順序でもよいし、特別リール62を停止させた後に特別リール62以外のリール61を停止させる順序でもよい。ただし、本実施形態のように特別リール62に含まれるシンボルが全てマルチプライヤーワイルドシンボルである場合には、上述のように特別リール62以外のリール61を停止させた後に特別リール62を停止させることで、以下のような心理効果をプレイヤーに与えることができる。すなわち、まず特別リール62以外のリール61が停止した時点で、プレイヤーは、入賞組み合わせが成立し得るか否かを把握することができる。これにより、入賞組み合わせが成立し得る場合には、プレイヤーに入賞への期待感および興奮を抱かせることができる。続いて、プレイヤーは特別リール62の回転によりマルチプライヤーシンボルの倍数が変動する態様を視認することで、配当が倍増される程度に対する期待感を高めることができる。このように、上述の停止順序によれば、プレイヤーの入賞に対する期待感および興奮、ならびに配当が倍増される程度に対する期待感を段階的に高めることが可能となるため、プレイヤーのゲームに対する興味を効果的に向上させることができる。
リール停止後のタイミングでリール入替処理を実行する場合には、制御部50は、複数のリール61の回転を開始させてから当該複数のリール61を停止させた後に、少なくとも一つのリール61を、回転している状態の特別リール62に入れ替える。つまり、図6および図7の例では、複数のリール61が停止した後に、前述の方法により決定された4つのリール61が回転している状態の特別リール62に入れ替えられる。その後、制御部50は、特別リール62を停止させてゲーム結果を形成し、形成されたゲーム結果について配当を支払う。このようなリール停止後のタイミングで行うリール入替処理によれば、一度は終了したかのように表示されたゲームを異なる状態に移行させてさらに進行させ、意外性のあるゲーム進行をプレイヤーに提示することが可能となる。
制御部50は、リール停止前およびリール停止後のいずれのタイミングでリールの入替処理を実行するかについて、乱数を利用してランダムに決定してもよいし、その他の状況に応じて適切なタイミングを選択してもよい。
例えば、特別リール62に入れ替えられるリール61の停止位置が、プレイヤーに有利な特定シンボル(例えば後述するスキャッタシンボル等)が表示される位置に決定された場合を説明する。このような場合において、リール61を停止させる前に特別リール62に入れ替えてしまうと、本来表示されるはずの特定シンボルが表示されない。ここで、表示されない特定シンボルの効果を無効なものとして扱うことは、プレイヤーにとって不利に働く。一方、表示されない特定シンボルの効果を有効なものとして扱い、これにより例えば特別ゲームに当選させた場合には、プレイヤーは特定シンボルが特別ゲームの当選契機となったことを把握することができないため、プレイヤーを混乱させてしまうおそれがある。
そこで、このような場合には、制御部50は、リール停止後のタイミングでリール入替処理を実行するようにしてもよい。すなわち、制御部50は、一旦リール61を停止させて、プレイヤーに特定シンボルが表示されたことをプレイヤーに提示した後に、当該リール61を特別リール62に入れ替えてもよい。これにより、プレイヤーは、特定シンボルが表示されたことを把握することができ、特別ゲームに当選した場合等においても、混乱することなくゲームを楽しむことが可能となる。さらに、制御部50は、特別リール62に入れ替える対象として決定されたリール61の特定シンボルを、特別リール62のシンボルに重畳させて引き続き表示させることで、特定シンボルの効果が有効であることをプレイヤーに提示してもよい。これにより、プレイヤーに対して、特定シンボルが表示されたことをより明確に把握させることができる。
制御部50は、上述のリール入替処理によって特別リール62に入れ替えられる複数のリール61が互いに隣接している場合には、当該複数のリール61を、当該複数のリール61と同じサイズの特別リール62に入れ替えてもよい。一例として、制御部50は、図9に示すように、シンボル表示領域60に含まれる2行2列の領域において互いに隣接する4つのリール61を、当該4つのリール61と同じサイズ(2行2列)の特別リール62に入れ替えてもよい。つまり、制御部50は、複数のリール61のそれぞれと入れ替えられる個々の特別リール(すなわち、リール61と同じサイズのリール)の代わりに、当該個々の特別リールを合体させたリールとして、図9に示すような大型の特別リール62(以下、大型特別リールとも呼ぶ。)をシンボル表示領域60に表示してもよい。同様に、制御部50は、図10に示すように、シンボル表示領域60に含まれる3行3列の領域において互いに隣接する9つのリール61を、当該9つのリール61と同じサイズ(3行3列)の特別リール62に入れ替えてもよい。
上述のように、隣接する複数のリール61を入れ替える場合に、複数隣接しているリール61と同じサイズの特別リール62に入れ替えることにより、大型の特別リール62を用いて視覚的に迫力のあるゲーム進行を提供することができる。また、この場合には、大型の特別リール62が配置された位置には同じシンボルが停止することになるので、視覚的に迫力があることに加えて入賞確率の高い刺激的なゲームを提供することができる。
図9および図10に示すように、本実施形態では、一例として、大型の特別リール62は、シンボル表示領域60において複数隣接して配置されていたリール61のそれぞれと入れ替えられる個々の特別リール62に含まれるマルチプライヤーシンボルの倍数を合成した倍数のマルチプライヤーシンボルを有している。
図11(a)は、シンボル表示領域60の左から2番目の列に表示される2個のリール61および左から3番目の列に表示される2個のリール61と入れ替えられる個々の特別リール62の代わりに用いられる大型特別リールの仮想リールストリップである。図8(a)および(b)に示したように、左から2番目の列に表示されるリール61と入れ替えられる特別リール62は2倍(2X)および3倍(3X)のマルチプライヤーシンボルを有しており、左から3番目の列に表示されるリール61と入れ替えられる特別リール62は2倍(2X)および4倍(4X)のマルチプライヤーシンボルを有している。このためペイラインに適用されるマルチプライヤーシンボルの組み合わせは、2倍(2X)と2倍(2X)、2倍(2X)と3倍(3X)、2倍(2X)と4倍(4X)または3倍(3X)と4倍(4X)である。これらの組み合わせとの数学的等価性を維持するため、この大型特別リールの仮想リールストリップは、4倍(4X)、6倍(6X)、8倍(8X)および12倍(12X)の大型マルチプライヤーシンボルを有している。
また、図11(b)は、シンボル表示領域60の左から3番目の列に表示される2個のリール61および左から4番目の列に表示される2個のリール61と入れ替えられる個々の特別リール62の代わりに用いられる大型特別リールの仮想リールストリップである。図8(b)および(c)に示したように、この場合にペイラインに適用されるマルチプライヤーシンボルの組み合わせは、2倍(2X)と2倍(2X)、2倍(2X)と4倍(4X)、2倍(2X)と5倍(5X)または4倍(4X)と5倍(5X)である。このため、この大型特別リールの仮想リールストリップは、数学的等価性を維持するために、4倍(4X)、8倍(8X)、10倍(10X)および20倍(20X)の大型マルチプライヤーシンボルを有している。
さらに、図12は、シンボル表示領域60の左から2番目の列に表示される3個のリール61、左から3番目の列に表示される3個のリール61および左から4番目の列に表示される3個のリール61と入れ替えられる個々の特別リール62の代わりに用いられる大型特別リールの仮想リールストリップである。この大型特別リールの仮想リールストリップは、この場合にペイラインに適用されるマルチプライヤーシンボルの組み合わせとの数学的等価性を維持するために、8倍(8X)、12倍(12X)、16倍(16X)、20倍(20X)、24倍(24X)、30倍(30X)、40倍(40X)および60倍(60X)の大型マルチプライヤーシンボルを有している。
これらの大型特別リールが停止する位置は、個々の特別リール62について決定された停止位置で表示されるマルチプライヤーシンボルの倍数を互いに乗算することにより得られる倍数値と等価な倍数値を有する大型マルチプライヤーシンボルの位置に決定される。これにより、大型特別リールを用いる場合と、通常の特別リール62を用いる場合との数学的等価性は維持される。ただし、ペイラインによっては上述した大型特別リールの一部のみが入賞に関与する場合があり、この場合には入賞に関与した位置の特別リール62に表示されていたはずのマルチプライヤーシンボルの倍数を適用してもよいし、大型特別リールが表示したマルチプライヤーシンボルの倍数をそのまま適用してもよい。
図9の例では、一例として、左から3列目のリール61に入れ替えられる特別リール62が2倍(2X)のマルチプライヤーシンボルに停止し、左から4列目のリール61に入れ替えられる特別リール62が2倍(2X)のマルチプライヤーシンボルに停止すると決定された場合に、それらに代えて表示される大型の特別リール62が4倍(4X)のマルチプライヤーシンボルで停止した状態を示している。また、図10の例では、左から2列目、3列目、4列目のリール61に入れ替えられる特別リール62がそれぞれ2倍(2X)、4倍(4X)、5倍(5X)のマルチプライヤーシンボルに停止すると決定された場合に、それらに代えて表示される大型の特別リール62が40倍(40X)のマルチプライヤーシンボルで停止した状態を示している。
上述のように、大型の特別リール62を用いることにより、プレイヤーに対してマルチプライヤーシンボルの効果を分かりやすく、視覚的に迫力のある態様で提示することができる。なお、ここでは一つのペイラインに複数のマルチプライヤーシンボルを適用する場合に、マルチプライヤーシンボルの倍数を互いに乗算する場合を示したが、マルチプライヤーシンボルの倍数を加算して適用する構成としてもよい。その場合には、個々の特別リールが有するマルチプライヤーシンボルの倍数を加算した倍数のマルチプライヤーシンボルを大型の特別リールに設けることで数学的等価性を維持することができる。
次に、本実施形態にかかるゲーミングマシン1の動作について図13を参照しながら説明する。図13は、以上のように構成された本実施形態にかかるゲーミングマシン1の状態遷移図を示すものである。図13に示される通り、ゲーミングマシン1は、停止状態、入力待ち状態、クレジット払い出し状態、クレジット蓄積状態、アトラクト動作状態、ゲーム提供状態の各状態をとる。以下各状態について説明する。
停止状態とはゲーミングマシン1が起動されていない状態のことである。停止状態のゲーミングマシン1は、所定の起動操作を受け付けると起動および初期化され、所定のプログラムが制御部50により実行されて下部ディスプレイ26にゲーム画面が表示され、入力待ち状態となる。
入力待ち状態のゲーミングマシン1は、紙幣/チケット識別ユニット55が紙幣またはチケットを識別すると、対応するクレジットの情報をゲーミングマシン1内に蓄積するクレジット蓄積状態へ移行し、クレジットの蓄積が終了すると入力待ち状態に復帰する。また、入力待ち状態のゲーミングマシン1は、クレジットの情報が蓄積された状態でペイアウトボタンの操作を受け付けると、蓄積されたクレジットの払い出し処理を行うクレジット払い出し状態へ移行し、クレジット払い出し処理に対応した情報を印刷したチケットをプリンタユニット56から出力するとともに、ゲーミングマシン1内に蓄積されたクレジットをゼロに戻す。これらの処理を終えたゲーミングマシン1は、入力待ち状態へ復帰する。
入力待ち状態にあるゲーミングマシン1は、所定時間操作されなかった場合に、上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26にアトラクト画面を表示するアトラクト動作状態へ移行する。アトラクト動作状態にあるゲーミングマシン1は、何らかの操作を受け付けると入力待ち状態へ復帰する。なお、アトラクト画面とは、カジノ内の顧客に対してゲーミングマシン1の存在をアピールする画面であり、所定の画像および/または動画からなるものである。
入力待ち状態のゲーミングマシン1は、クレジットが内部に蓄積された状態でライン選択ボタン、ベット数選択ボタンまたはマックスベットボタンの操作を受け付けることによりゲームのライン数およびベット数を設定し、スタートボタンの操作を受け付けることにより設定されたライン数×クレジット量だけクレジット量を減少させるとともにゲーム提供状態へ移行する。ゲーム提供状態においては、図14に示すフローチャートに従ってゲームを提供する。
以下、ゲーミングマシン1によるゲームの提供方法として、ゲーム提供状態における動作を、図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。
入力待ち状態でライン数およびベット数を設定され、スタートボタンの操作を受け付けることによりゲーム提供状態に移行したゲーミングマシン1は、制御部50で上部ディスプレイ21および下部ディスプレイ26を制御することにより、通常ゲームを開始する。
まず、S01では、シンボル表示領域60に表示されているリール61(リール(1)〜リール(15))のスピンを開始する。より具体的には、シンボル表示領域60に表示されている各リール61のシンボルを、それぞれ対応する仮想リールストリップ70に規定された順番でスクロールさせて、リールが回転している状態を仮想的に表示する。続いてS02の処理では、制御部50が初期処理としてパラメーターであるn=1を設定する。
次にS03の処理では、制御部50が乱数を取得する。制御部50が乱数を取得する方法はゲーミングマシン1が設置される地域の規定に従うものであればよく、特定の方法には限られない。乱数の取得後には、S04へと処理が進められる。S04の処理では、S03の処理で取得された乱数に基づいて、制御部50がリール(n)の停止位置を決定する。ここでリール(n)の停止位置は、対応する仮想リールストリップ70の停止位置に相当する。したがって、その停止位置は、例えば仮想リールストリップ70のシンボルのそれぞれに数値または数値範囲を関連付けて規定し、取得した乱数を含む数値または数値範囲が関連付けられたシンボルの位置として決定することができる。この場合に、各シンボルに関連付けられた数値または数値範囲を不均一に規定することにより、停止位置となる確率に勾配または偏りを設けることもできる。リール(n)の停止位置を決定した後、S05へと処理が進められる。
S05の処理では、制御部50がn=n+1とする。設定後、S06へと処理が進められる。S06の処理では、制御部50がn>15を満たすか否かを判定する。n>15を満たさない場合には、S03へと処理が進められる。これにより、n>15を満たすまで、S03〜S06の処理が繰り返し実行される。これによりリール(1)からリール(15)について停止位置が決定される。S06でn>15を満たす場合には、リール(1)からリール(15)の全てについて停止位置が決定したことを意味するため、S07へと処理が進められる。
S07の処理では、制御部50がS03の処理と同様に乱数を取得する。乱数の取得後には、S08へと処理が進められる。S08の処理では、制御部50が、S07で取得された乱数に基づいて、リール入替処理のトリガが発生したか否かを判定する。トリガが発生したと判定された場合には、S09におけるリール入替処理が進められる。
S09におけるリール入替処理の一例の手順について、図15のフローチャートを参照しつつ説明する。S101の処理では、制御部50がS03,S07の処理と同様に乱数を取得する。乱数の取得後には、S102へと処理が進められる。S102の処理では、制御部50が、S101で取得された乱数を用いて、特別リールの出現パターンを決定する。制御部50による上記決定は、例えば、メモリ53またはストレージ54に予め記憶させたテーブル(すなわち、各出現パターン等と各々の発生確率とを関連付けたテーブル)を利用することにより実現することができる。S102の処理が終了した後には、S103へと処理が進められる。
S103の処理では、制御部50がS03,S07,S101の処理と同様に乱数を取得する。乱数の取得後には、S104へと処理が進められる。S104の処理では、制御部50が、S103で取得された乱数により特別リール62の停止位置を決定し、停止するマルチプライヤーシンボルの倍数を決定する。上述の通り、本実施形態では、一例として、特別リール62の停止位置(すなわち、停止するマルチプライヤーシンボルの倍数)はシンボル表示領域60の列毎に決定される。例えば、制御部50は、シンボル表示領域60の列毎に特別リール62に同じ仮想リールストリップを適用して同じシンボルが表示されるように同期回転させ、S104で取得した乱数により列毎に同じシンボルで停止させる構成とすることができる。このように停止するマルチプライヤーシンボルを決定することで、マルチプライヤーシンボルの倍数を決定することができる。特別リール62のマルチプライヤーシンボルの倍数が決定された後には、S105の処理が進められる。
S105の処理では、制御部50が、S102で決定された特別リールの出現パターンに大型の特別リール62を出現させるパターンが含まれているか否かを判定する。特別リールの出現パターンに大型の特別リール62を出現させるパターンが含まれていない場合には、S107の処理が進められる。一方、特別リールの出現パターンに大型の特別リール62を出現させるパターンが含まれている場合には、制御部50は、特別リールの出現パターンを大型の特別リール62を含むものに変更するS106の処理を行う。この際、個々の特別リールについて決定されたマルチプライヤーシンボルの倍数を合成して、大型の特別リール62に停止させるマルチプライヤーシンボルの倍数を求め、その停止位置を決定する。
S107の処理では、制御部50が、リール61を特別リール62に入れ替えるタイミングをリール停止前にするか否かを判定する。ここでの判定は前述のようにランダムに行ってもよいし、リール61が特定シンボルで停止する場合にはリール停止後に特別リール62に入れ替えるようにしてもよく、得られる配当に応じて判定する構成としても構わない。リールを入れ替えるタイミングをリール停止前にすると判定された場合には、S108〜S110の処理が進められる。まずS108の処理では、制御部50が、S102で決定された特別リールの出現パターンに応じた位置のリール61を、回転している状態の特別リール62に入れ替える。続いて、S109の処理では、制御部50が、特別リール62以外のリール61を停止させる。より具体的には、制御部50が、シンボル表示領域60においてスクロール表示されている各リール61のシンボルを、それぞれの仮想リールストリップ70についてS04で決定された停止位置で停止させる。続いて、S110の処理では、制御部50が、S102で決定された停止位置で特別リール62を停止させる。これにより、シンボル表示領域60においてゲーム結果が形成される。
S107の判定により、リールを入れ替えるタイミングをリール停止後にすると判定された場合にはS111〜S113の処理が進められる。まずS111の処理では、制御部50がリール(1)〜リール(15)を停止させる。より具体的には、制御部50が、シンボル表示領域60においてスクロール表示されている各リール61のシンボルを、それぞれの仮想リールストリップ70についてS04で決定された停止位置で停止させる。続いて、S112の処理では、制御部50が、S102で決定された特別リールの出現パターンに応じた位置のリール61を、回転している状態の特別リール62に入れ替える。続いて、S113の処理では、制御部50が、S102で決定された停止位置で特別リール62を停止させる。これにより、シンボル表示領域60においてゲーム結果が形成される。
一方、図14のS08においてトリガが発生したと判定されなかった場合には、S10の処理が進められる。S10の処理では、制御部50がリール(1)〜リール(15)を停止させる。より具体的には、制御部50が、シンボル表示領域60においてスクロール表示されている各リール61のシンボルを、それぞれの仮想リールストリップ70についてS04で決定された停止位置で停止させる。これにより、シンボル表示領域60においてゲーム結果が形成される。
S09またはS10の処理に引き続いて、S11の処理が進められる。S11の処理では、制御部50は、シンボル表示領域60に表示されたシンボルが特別ゲームを提供する所定の条件を満たしているかを判定する。特別ゲームの当選条件としては、例えば、ペイライン上に所定のシンボルの入賞組合せが成立したこと(ライン判定)、および/または、シンボル表示領域60内に所定数以上の特定シンボル(スキャッタシンボル)が出現したこと(スキャッタ判定)を挙げることができる。
S11で特別ゲームを提供する所定の条件を満たしていると判定された場合には、S12で特別ゲーム提供フラグZがZ=1にセットされる。S12でフラグをセットした後、S13では特別ゲームが提供されることを上部ディスプレイ21または下部ディスプレイ26に予告表示する。
S11で特別ゲームを提供する所定の条件を満たしていると判定された場合にはS13の後で、満たしていると判定されなかった場合はS11の後に、S13において制御部50はシンボル表示領域60に表示されたシンボルが入賞しているかを判定する。例えば、上記ライン判定および/またはスキャッタ判定が特別ゲームを提供する所定の条件とは別の条件で適用され、入賞しているか否かが判定される。入賞していると判定された場合には、S14の処理で、後述する手順に従って所定の遊技価値(クレジット)である配当が算出され、算出された配当をプレイヤーへ付与するために、その配当に相当するクレジットがゲーミングマシン1に蓄積されているクレジットに加算される。
S13で入賞していると判定された場合にはS14の後で、入賞していると判定されなかった場合にはS13の後に、続いてS15の処理でフラグZがZ=1にセットされているかが判定され、Z=1に設定されていると判定されている場合には、S16へと処理が進められて、制御部50が特別ゲームを提供する。本実施形態においては、特別ゲームとして、遊技価値を消費しないフリーゲームを所定回数提供する。フリーゲーム中に所定の条件を満たしている場合、特別ゲームを提供することに替えて、別の所定の条件を満たしている場合にフリーゲームの回数を追加する等の修正を加えて処理を進める。
所定回数のフリーゲームが終了すると、S16に続くS17でフラグZをZ=0にリセットし、ゲーミングマシン1はゲーム提供状態を終了し、入力待ち状態へ戻る。また、S15でフラグZがZ=1にセットされていないと判定された場合も、ゲーミングマシン1はゲーム提供状態を終了し、入力待ち状態へ戻る。以上でゲーム提供状態における動作は終了する。
上述したゲーミングマシン1の制御部50の機能は、コンピュータによりプログラムが実行されることでも実現され得る。すなわち、1または複数のコンピュータを、上述した制御部50と同様に機能させるプログラムが作成可能である。このようなプログラムを実行させることにより実現される機能は、上述した制御部50と同様であり、すなわち、所定の条件が満たされたことに応じて、リール61の回転を開始させてからゲーム結果を形成するまでの間に、表示部27に表示された複数のリール61のうち一部のリール61を当該リール61とは異なるシンボル配列を有する特別リール62に入れ替える機能が実現される。
上記プログラムは、例えば、ROMまたは半導体メモリ等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録されて、提供され得る。
上述したとおり、実施形態にかかるゲーミングマシン1は、プレイヤーの操作を受け付ける操作部44と、それぞれ所定のシンボルからなるシンボル配列を有する複数のリール61を表示する表示部27と、前記操作部44および前記表示部27と接続され、前記操作部44がプレイヤーの操作を受け付けたことに応じて、前記表示部27において前記複数のリール61を回転および停止させてゲーム結果であるシンボルの組み合わせを形成し、形成されたゲーム結果について配当を支払う制御部50とを備え、前記制御部50は、所定の条件が満たされたことに応じて、前記リール61の回転を開始させてから前記ゲーム結果を形成するまでの間に、前記表示部27に表示された複数のリール61のうち一部のリール61を当該リール61とは異なるシンボル配列を有する特別リール62に入れ替える。
このようなゲーミングマシン1によれば、リール61の回転を開始してからゲーム結果であるシンボルの組み合わせが形成されるまでの間に一部のリール61を所定の特別リール62と入れ替えるので、リール61の回転を開始した時点におけるリールの組み合わせとは異なるリールの組み合わせ(すなわち、当初表示されていたリール61のうちの一部のリール61と特別リール62とを含む組み合わせ)でゲームを進行させ、ゲーム結果を提供することができる。これによりプレイヤーに予測し難い展開で進行するゲームを提供することができる。また、本実施形態にかかるゲーミングマシン1は、リール61に新たなシンボルを追加したり、リール61に含まれるシンボルの一部を異なるシンボルに入れ替えたりするのではなく、リール自体を入れ替える構成としているので、ゲーム開始時とは異なる状態へゲームが移行したことをプレイヤーに分かりやすく示すことができる。
また、制御部50は、複数のリール61のうち特別リール62に入れ替えるリール61をランダムに決定してもよい。このように、複数のリール61のいずれを特別リール62に入れ替えるかをランダムに決定することにより、プレイヤーにゲームの進行および結果を提供する態様を、さらに予測し難いものとすることができる。
また、特別リール62は、他のシンボルとして代用されるワイルドシンボルを有してもよい。このように、複数のリール61の一部と入れ替えられる特別リール62にワイルドシンボルを含む構成とすることにより、リールの入替によりゲーム開始時よりも入賞率の高い状態へゲームを移行させる構成としてもよい。このような構成では、リールの入替により入賞する可能性が高いチャンスが到来したことをプレイヤーに明示することができる。
また、特別リール62は、入賞組み合わせの配当に適用される所定の倍数が関連付けられたマルチプライヤーシンボルを有してもよい。このように、複数のリール61の一部と入れ替えられる特別リール62に、マルチプライヤーシンボルを含む構成とすることにより、リールの入替によりゲーム開始時よりも入賞時の配当が高くなる状態へゲームを移行させる構成としてもよい。このような構成では、リールの入替により配当が高くなるチャンスが到来したことをプレイヤーに明示することができる。
また、制御部50は、複数のリール61を停止させる前に少なくとも一つのリール61を特別リール62に入れ替えてもよい。これにより、リール61の回転を開始した時点におけるリールの組み合わせとは異なる組み合わせのリールを回転させて、ゲーム開始時とは異なる状態でのゲーム進行をプレイヤーへ提示することができる。
また、制御部50は、複数のリール61の回転を停止させた後に、複数のリール61のうち少なくとも一つのリール61を特別リール62に入れ替えるとともに、当該特別リール62を回転および停止させてゲーム結果を形成してもよい。これにより、一度は終了したかのように表示されたゲームを異なる状態に移行させてさらに進行させ、意外性のあるゲーム進行をプレイヤーに提示することが可能となる。
また、制御部50は、特別リール62に入れ替えられるリール61が複数隣接している場合には、当該複数隣接しているリール61を、当該複数隣接しているリール61と同じサイズの特別リール62に入れ替えてもよい。このように、隣接する複数のリール61を入れ替える場合に、複数隣接しているリール61と同じサイズの特別リール62に入れ替えることにより、大型の特別リール62を用いて視覚的に迫力のあるゲーム進行を提供することができる。また、この場合には、大型の特別リール62が配置された位置には同じシンボルが停止することになるので、視覚的に迫力があることに加えて入賞確率の高い刺激的なゲームを提供することができる。
また、特別リール62は、入賞組み合わせの配当に適用される所定の倍数が関連付けられたマルチプライヤーシンボルを有し、複数隣接しているリール61と同じサイズの特別リール62は、複数隣接しているリール61のそれぞれと入れ替えられる特別リール62に含まれるマルチプライヤーシンボルの倍数を合成した倍数のマルチプライヤーシンボルを含んでもよい。このように、複数隣接しているリール61と同じサイズの特別リール62に含まれるマルチプライヤーシンボルの倍数を、複数隣接しているリール61のそれぞれと入れ替えられる特別リールに含まれるマルチプライヤーシンボルの倍数を合成した値とすることで、プレイヤーに対してマルチプライヤーシンボルの効果を分かりやすく、視覚的に迫力のある態様で提示することができる。
また、複数のリール61は、それぞれ一つのシンボルを表示する独立リールを含んでもよい。例えば、複数のリール61のそれぞれを一つのシンボルを表示する独立リールとして表示部27に格子状に配列して表示することで、一部のリール61が特別リール62に変更されたことが視覚的にわかり易くなる。また、表示部27に表示させるリール61の数を増やすことができるため、一部のリール61が特別リール62に変更する態様のバリエーションを増やすことができ、演出の幅を広げることができる。
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、種々変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、各リールを停止させる位置の決定、リールの入替処理を提供するトリガ条件の成否判定、特別リールの出現パターンの決定、および特別リールを停止させる位置の決定のそれぞれに用いられる乱数を逐次的に取得するものとして説明したが(図14のS03,S07および図15のS101,S103)、乱数の取得手順はこれに限られない。例えば、制御部50は、ゲーム開始時(例えば図14のS03)に、これらの乱数を一括で取得し、それぞれの乱数を停電発生時にも消去されないメモリ53またはストレージ54の記憶領域に記憶してもよい。このようにした場合、ゲーム中に停電等が発生しても、制御部50は、停電復旧後にゲームを再開する際に、停電発生前のゲーム開始時に取得された乱数をメモリ53またはストレージ54から取得することで、ゲームの進行を再現することができる。例えば、高い配当が得られるゲーム結果が形成される直前に停電が発生した場合において、停電復旧後に同様のゲームの進行がなされなければ、プレイヤーは大きな不満を抱くこととなる。しかし、上述のようにゲーム開示時に全ての乱数を一括で取得し、これらの乱数をメモリ53またはストレージ54に退避させておくことで、停電復旧後に停電発生前と同様のゲームの進行を再現することができるため、プレイヤーに上述のような大きな不満を抱かせてしまうことを回避できる。
また、上記実施形態では、特別リール62がシンボル表示領域60の列毎に同じシンボル配列の仮想リールストリップを使用する場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、シンボル表示領域60の同じ列に表示される複数の特別リール62は、互いに異なるシンボル配列を有してもよい。また、特別リール62は、ワイルドシンボルのみを含むワイルドリールであってもよいし、同種類のシンボルが隣接して配置された特殊なシンボル配列(例えば、通常のリール61に含まれるシンボル配列よりもプレイヤーに有利なシンボル配列)のリールであってもよい。このような場合でも、ゲームの途中で一部のリール61を特別リール62に入れ替えることで、プレイヤーに予測し難い展開で進行するゲームを提供することができる。
また、上記実施形態では、それぞれ一つのシンボルを表示する独立リールである15個のリール61が、3行5列の格子状に配置される場合について説明したが、リールの配置は、これに限られるものではない。例えば、複数のリールは、独立リール以外のリール(すなわち、複数のシンボルを表示するリール)であってもよいし、独立リールと独立リール以外のリールが混在していてもよい。また、複数のリールは格子状以外の形状(例えばハニカム状等)に配置されてもよいし、リールの個数は15個より多くても少なくてもよい。
また、例えば、上記実施形態ではスロットマシンの態様でゲームを提供するゲーミングマシンについて説明したが、これに限られるものではなく、ポーカー、ブラックジャックといったビデオカードゲーム、ビンゴ、キノ、ホイールゲーム等の態様でゲームを提供してもよい。また、本発明をパチンコ機やパチスロ機に適用することも可能である。
また、上記実施形態では、遊技価値として紙幣またはチケットを示し、これらを紙幣/チケット識別装置で受け付けて、プリンタユニットでチケットを出力する態様について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。遊技価値は、硬貨、紙幣、コイン、メダル、チケット等の有体物、またはこれらと同等の価値を有する電子データを含む概念である。例えば、コインアクセプターでコインを受け付けて、コインホッパーからコインを支払う態様であっても構わない。プレイヤーを識別してサーバ上のアカウントに蓄積されたクレジットを使用し、アカウントへクレジットを払い出す態様であってもよく、磁気カード、ICカード等の記憶媒体に記録されたクレジットの情報を読み取って使用し、記憶媒体へ書き込むことでクレジットを払い出す態様であってもよい。
また、上記実施形態では特別ゲームとしてフリーゲームを提供する場合を示したが、通常ゲームとは異なる仮想リールストリップを使用したボーナスゲームを提供してもよい。また、通常ゲーム中に取得された乱数の値に応じて提供されるフィーチャーゲームとすることもできる。
また、特別ゲームを提供する所定の条件についても、スキャッタ判定またはライン判定に限られるものではなく、例えばベット数が所定の値を超えている場合に特別ゲームを提供する構成としてもよい。通常ゲーム中に取得された乱数の値に応じて特別ゲームを提供する構成とすることも可能である。
また、上記実施形態では特別ゲームとして所定回数のフリーゲームを提供する態様を示したが、回数を限定することなく特別ゲームを提供してもよい。この場合には、特定シンボルの組み合わせ、乱数に基づく判定を特別ゲームの終了条件とし、終了条件を満たすまで特別ゲームを提供する構成とすることができる。