以下、図面を参照しながら本実施形態に係る臨床検査装置を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る臨床検査装置1の例を示す斜視図である。図1に示すように、臨床検査装置1は、装置本体10、当該装置本体10の上面側に設けられた上磁場ユニット12を有する。図2は、上磁場ユニット12を取り外した場合の臨床検査装置1(すなわち、装置本体10)を示した斜視図である。なお、説明の便宜上、図1、図2に示されるように、臨床検査装置1の奥行方向、幅方向、高さ方向をそれぞれX軸方向、Y方向、Z方向とする。
装置本体10の正面側の斜面101には、出力インタフェース回路15の一部としての表示回路151、入力インタフェース回路16としての複数のボタン類が設けられている。装置本体10の上面100には、光検出ユニット11(観察部)、情報取得部13、第1の検知スイッチ141、第2の検知スイッチ142、第1の接触部102、第2の接触部103、第3の接触部104、第1の可動当接機構105が設けられている。なお、装置本体10の上面100において、射出部111及び受光部112を除く領域は、遮光のため光を吸収しやすい黒色等の暗色で構成されている。
また、第1の接触部102、第2の接触部103、第3の接触部104、第1の可動当接機構105は、光検出ユニット11及び情報取得部13を囲むように配置され、当該光検出ユニット11及び情報取得部13を含む装着領域1001を形成する。この装着領域1001には、後述するセンサデバイスが配置される。従って、装着領域1001は、センサデバイスの幅に対応した幅と、センサデバイスの奥行きに若干のマージンを加えた奥行きを有する。
第1の可動当接機構105は、図2に示す様に、上面100において光検出ユニット11及び情報取得部13よりも装置本体10の奥行き方向寄りに配置される。図3は、図2におけるB−B’断面図である。図2、図3に示す様に、第1の可動当接機構105は、外筐部1051、弾性体1052(案内部材)、及び当接部1053を有する。
外筐部1051は、臨床検査装置1の正面側に開口部を有する箱型形状の筐体であり、例えばその奥行方向と装置本体10の奥行方向とが沿うように、上面100に設置される。
当接部1053は、例えば略板形状の剛体であり、その背面において弾性体1052と接続され、正面側(装着領域1001側)において、当該装着領域1001がなす平面(装着面)に対し所定の角度αだけ傾斜する当接面10531を有する。
弾性体1052は、例えば少なくとも一つのばねによって構成され、その伸縮方向と外筐部1051の奥行方向とが沿うように、外筐部1051の内部空間に収容される。また、弾性体1052の一端は、外筐部1051の背面側の内壁(すなわち、外筐部1051の開口部と対向する面)に接続されており、他端は、当接部1053に接続されている。従って、当接部1053は、弾性体1052の伸縮に伴い、外筐部1051の奥行方向(X軸方向)に沿って移動することができる。従って、当接部1053は、装着領域1001に沿った方向に向かって延びる案内部材として機能し、装着面に沿った方向に移動自在に案内される。
第1の接触部102は、略直方体形状の剛体であり、装置本体10の幅方向に沿って、且つ装着領域1001を挟んで第1の可動当接機構105の当接部1053と対向するように、上面100において固定されている。
第2の接触部103及び第3の接触部104は、略直方体形状の剛体であり、装置本体10の奥行方向に沿って、且つ装着領域1001を挟んで対向するように、上面100において固定されている。
図3に示す様に、センサデバイスが臨床検査装置1に装着されていない状態では、当接部1053のうち、当接面10531を含む一端は外筐部1051から外側に露出され、多端は外筐部1051内に収容された状態となっている。従って、上面から装着領域1001を見た場合、その一部は、露出した当接部1053の一端によって隠れた状態となる。
光検出ユニット11は、光を射出する射出部111と、光を受光する受光部112とを有する。情報取得部13は、光学式マーク(バーコード、二次元コード等)を読み取るための光学センサである。第1の検知スイッチ141及び第2の検知スイッチ142は、押下等により鉛直上下方向に可動するボタンスイッチであり、装着領域1001において、センサデバイスのサイズに合わせた距離だけ離間して設けられている。装着領域1001にセンサデバイスが正常に装着された場合には、その底面により、第1の検知スイッチ141及び第2の検知スイッチ142が押下される。なお、図1、図2では、第1の検知スイッチ141を第1の接触部102及び第2の接触部103の近傍に、第2の検知スイッチ142を第1の接触部102及び第3の接触部104の近傍に配置した例を示した。
上磁場ユニット12は、装置本体10の上方に設けられている。上磁場ユニット12は、装置本体10に設けられたスライド機構に接続されることにより、奥行方向に沿って(X軸の正方向及び負方向に沿って)スライド可能である。
次に、臨床検査装置1に装着されるセンサデバイスについて説明する。
図4Aは、センサデバイス2の外筐部21を示す斜視図である。同図に示す様に、センサデバイス2の外筐部21は、ABS等の樹脂で構成される略直方体形状の筐体であり、例えば、遮光目的で黒色に着色される。センサデバイス2の後面205及び前面206には、それぞれフランジ部2051及びフランジ部2061が設けられている。また、センサデバイス2の上面201は、下面202よりも奥行方向に関して短く形成され、センサデバイス2の前面206は、後面205よりも低く形成されている。上面201から前面206を繋ぐように、斜面207が形成されている。
図4Bは、図4Aにおいて示したセンサデバイス2のA−A’断面図である。図4Bに示す様に、センサデバイス2は、外筐部21に加えて、透明基板24、光導波路23、保護部22を有している。
外筐部21は、第1の凹部2021、第2の凹部2022、外筐部21の上面201から第2の凹部2022にかけて貫通する孔21a、孔21bを有している。第1の凹部2021には、透明基板24と、透明基板24の表面に形成された平板状の光導波路23と、光導波路23の表面を保護するための保護部22とが配置される。
透明基板24は、臨床検査装置1の射出部111から射出された光が透過する素材により形成される。光導波路23は、透明基板24の表面に形成され、光が透過する素材、例えば、ガラス、樹脂等により形成される。光導波路23は、臨床検査装置1の射出部111から射出された光の光路となる(光ファイバでいうところの)コアとして機能する。このコアを挟む保護部22及び透明基板24は、光導波路23との境界面で光を全反射させる(同様に光ファイバでいうところの)クラッドとして機能する。また、光導波路23の表面には、被検体から採取した試料に含まれる被検物質と特異的に反応する物質が結合されている。
また、保護部22の表面と第2の凹部2022とによって形成される空間により、反応室25が形成される。反応室25には、検査時において、水溶液、試薬成分30、及び試料が混和された測定液が収容される。なお、図4Bでは、反応室25に測定液が収容された状態のセンサデバイス2を例示した。
図4Cは、センサデバイス2の下面図である。同図に示す様に、フランジ部2051及びフランジ部2061の各下面を含むセンサデバイス2の下面202は、平面となるように形成されている。また、センサデバイス2の下面202の一部には、センサデバイス2の識別情報等が記載される光学式マーク2023を設けることができる。なお、センサデバイス2の識別情報とは、例えば、製造年月日、ロット番号、及び用途等が含まれる。
次に、第1の接触部102と、第2の接触部103と、第3の接触部104と、第1の可動当接機構105とによって形成される装着部について説明する。
図5は、本実施形態に係るセンサデバイス2が装着部に装着される前の様子を示す図である。図6は、図5におけるC−C’の断面図である。
まず、操作者は、例えばセンサデバイス2の側面203及び側面204を指で挟み、フランジ部2061の下面を含むセンサデバイス2の下面202の一部を装着領域1001に接触させる。
次に、操作者は、側面203及び側面204をそれぞれ第2の接触部103及び第3の接触部104によってガイドさせつつ、且つ図4Cに描かれている下面202のフランジ部2061側の底部を装着領域1001に接触させながら、図6に示す様に、センサデバイス2を装置本体10の奥行方向(X軸の矢印と反対方向)に向かってスライドさせる。上面100から外筐部1051の開口部までの高さHは、図3、図6に示されるように、フランジ部2061の高さと等しくなるように設計されている。従って、センサデバイス2を奥行き方向にスライドさせることで、センサデバイス2の前面206と斜面207との交線によって形成される角部208を、当接部1053の当接面10531に当接させることができる。
さらに、操作者は、角部208を当接面10531に当接させた状態で、さらにセンサデバイス2を装置本体10の奥行方向(X軸の矢印と反対方向)に向かってスライドさせる。これにより、第1の可動当接機構105の弾性体1052は装置本体10の奥行方向に沿って縮み、当該第1の可動当接機構105の縮みに伴って、当接部1053が装置本体10の奥行方向に向かって移動する。その結果、センサデバイス2を透過して上方から見込んだ場合、当接部1053の全面側端部によってその一部が覆われていた装着領域1001がほぼ出現することになる。
操作者は、出現した装着領域1001とセンサデバイス2の下面202とを接触させた後、センサデバイス2を奥行き方向(X軸の矢印と反対方向)に向かって押す力を解除する。この解除により、奥行方向に沿って縮んでいた弾性体1052は、奥行き方向と反対方向(X軸の矢印方向)に沿って伸びることになる。この弾性体1052の伸びに伴う復元力により、センサデバイス2の前面側のフランジ部2061は当接部1053によって押され、センサデバイス2の後面側のフランジ部2051が第1の接触部102に当接される。その結果、センサデバイス2は、図7に示す様に、幅方向については第2の接触部103及び第3の接触部104によってガイドされ、奥行方向と反対方向(すなわち、装着面に沿ったX軸の矢印方向)に第1の可動当接機構105により付勢された状態で固定される。
さらに、第1の可動当接機構105は、当接部1053の傾斜した当接面によりセンサデバイス2を付勢している。これにより、センサデバイス2は、装着面に沿った方向のみならず、装着面の法線方向についても付勢された状態で固定されることになる。このメカニズムについて、以下詳しく説明する。
図8は、図7におけるD−D’の断面図である。図8に示す様に、当接部1053の当接面10531は、センサデバイス2の角部208(すなわち、装着されたセンサデバイス2の装着面法線方向の上方端部)に、装着面法線方向の斜め上方から当接されており、弾性体1052の弾性力によってセンサデバイス2を付勢している。このとき、外筐部1051の内部空間及び開口部の高さは、当接部1053の高さに比して高く設計されており、当接部1053と外筐部1051の内部空間の上面との間には、若干の隙間が形成されている。このため、当接部1053の当接面10531は、弾性体1052の弾性力によって角部208と当接したまま、当接部1053の背面に対してせり上がる。その結果、当接部1053は、「楔」と同様の原理により、接触領域10513を支点として外筐部1051から反力を受け、背面を力点として弾性体1052から弾性力を受け、当接面10531を作用点として、角部208に対し当接面10531の法線方向の力F0を加えることになる。この力F0は、図8に示す様に、装着面に沿った方向成分F1と、装着面の法線方向成分F2とに分解することができる。すなわち、第1の可動当接機構105によれば、センサデバイス2を装着面に沿った方向のみならず、装着面の法線方向についても付勢した状態で固定することができる。これにより、センサデバイス2の下面202は装着領域1001に押し付けられ、センサデバイス2の下面202と光検出ユニット11との間に隙間が発生することを防止できる。その結果、センサデバイス2を装着領域1001に装着したときの奥行方向(X軸方向)と高さ方向(Z軸方向)の位置再現性を確実に確保することができる。
図9は、実施形態に係る第1の可動当接機構105の装着条件を説明するため図であり、図7におけるD−D’の断面図である。同図に示す様に、弾性体1052をX軸方向、すなわち伸縮方向にスライドさせる際のがたつき、或いは当接部1053と外筐部1051の内部空間の上面との間の隙間等に起因する、設計上の当接部1053の装着面に対する最大傾斜角度をθ[deg]、当接面10531の装着面に対する傾斜角をα[deg]とする。このとき、当接面10531によるセンサデバイス2への付勢により、装着面に沿った方向成分F1のみならず、装着面の法線方向成分F2の力学的作用を生じさせるためには、0<θ+α<90[deg]という条件を満たす必要がある。
次に、本実施形態に係る臨床検査装置1の電気的、光学的構成について説明する。図10は、本実施形態に係る臨床検査装置1の構成を示すブロック図である。図10に示される臨床検査装置1は、光検出ユニット11、上磁場ユニット12、情報取得部13、装着検知器14、出力インタフェース回路15、入力インタフェース回路16、制御回路17、及び記憶回路18を具備する。
光検出ユニット11は、射出部111及び受光部112を有する。射出部111は、例えば出射窓及び光照射器を有する。出射窓は、例えば光学ガラス又は透明な樹脂等で形成される。光照射器は、出射窓を介してセンサデバイス2からレーザ、又は別途付加されたレンズなどにより概平行に整形された光線を放射するLED等の光を照射する。受光部112は、例えば受光窓及び光検出器を有する。受光窓は、例えば光学ガラス又は透明な樹脂等で形成される。光検出器は、射出部111の光照射器により照射され、センサデバイスに設けられる光導波路23を伝搬した光を、受光窓を介して検出する。
上磁場ユニット12は、磁場を発生させる電磁石などを有する。上磁場ユニット12は、センサデバイス2が備える反応室25に対して鉛直上方向への磁場を印加する。
情報取得部13は、例えば読取窓及びリーダを有する。読取窓は、例えば光学ガラス又は透明な樹脂等で形成される。リーダは、例えば、読取窓を介してセンサデバイス2の下面202の一部に設けられた光学式マーク2023を読取ることで、センサデバイス2を識別する。なお、情報取得部13は、センサデバイス2のX軸の負方向側の一端が所定の装着位置から多少ずれたとしても、光学式マーク2023を読取ることが可能である。
装着検知器14は、第1の検知スイッチ141及び第2の検知スイッチ142を有する。装着検知器14は、第1の検知スイッチ141又は第2の検知スイッチ142が押下され所定の高さになった場合、それぞれ検出信号を制御回路17に出力する。
出力インタフェース回路15は、表示回路151及び報知器152を有する。表示回路151は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。報知器152は、例えばスピーカーより警告音又は測定が完了した旨の音を発する。
入力インタフェース回路16は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース回路16は、操作者からの各種指示を受け付け、受け付けた指示を、制御回路17へ出力する。
制御回路17は、臨床検査装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路17は、記憶回路18等に記憶されている処理プログラムを実行することにより、当該プログラムに対応する機能、すなわち、システム制御機能171、解析機能172、及び装着判定機能173を実現する。システム制御機能171は、入力インタフェース回路16から入力される入力情報に基づき、臨床検査装置1における各部を統括して制御する機能である。解析機能172は、受光部112の光検出器で検出される光に基づいて、試料に含まれる被検物質の量を算出する機能である。装着判定機能173は、装着検知器14から出力された検知信号を受けて、測定ユニット3へのセンサデバイス2の装着が適正であるか否かを判定する。
次に、センサデバイス2が装着された臨床検査装置1の動作の一例について説明する。以下では、試薬成分30は、被検物質Sを抗原として結合する第1の抗体と、第1の抗体が固定化された磁性粒子とを含むものとする。また、センサデバイス2の光導波路23の表面に結合された物質O1は、被検物質Sを抗原として第1の抗体とは異なる部位で結合する第2の抗体であるとする。
図11は、センサデバイス2が臨床検査装置1に装着されてから測定が開始されるまでの動作の例を示すフローチャートである。
まず、図11に示されるように、制御回路17は、センサデバイス2が臨床検査装置1に装着されるまで待機する(ステップS1)。
センサデバイス2が臨床検査装置1に装着されると、制御回路17は、装着検知器14から出力された検知信号を受けて、第1の検知スイッチ141及び第2の検知スイッチ142から共に検知信号が出力されているか否かを判定する(ステップS2)。
制御回路17は、第1の検知スイッチ141及び第2の検知スイッチ142から共に検知信号が出力されていると判定した場合(ステップS2のYES)、制御回路17は、測定開始が可能な状態に移行する(ステップS3)。その後、所定の測定開始条件が満たされると、臨床検査装置1の測定が開始される。具体的には、所定の測定液が収容されたセンサデバイス2に対して、射出部111の光照射器から光が照射される。射出部111の光照射器から照射された光は、センサデバイス2の透明基板24を透過し、光導波路23の一端部側から入射する。入射した光は偏向されてから、光導波路23を他端部の方向へ伝播する。光は、光導波路23における反応室25の下面の領域を通過し、光導波路23の他端部側で光導波路23から出射可能な角度に偏向されてから出射する。受光部112の光検出器は、光導波路23から出射して透明基板24を透過した光を検出する。
図12は、臨床検査装置1において上磁場ユニット12がX軸の正方向へスライドされて所定の位置に移動された状態の例を示す斜視図である。
上磁場ユニット12は、図12に示されるように、X軸の正方向へスライドされて所定の位置に移動されると、制御回路が反応室25に対して、図示しない下磁場ユニットを駆動し下方向への磁場を印加する。反応室25に収容された測定液中の試薬成分30は、磁性粒子に固定化された第1の抗体との結合により被検物質Sを捕捉する。そして、下磁場ユニットによる下方向への吸引力と重力の組み合わせにより、試薬成分30に捕捉された被検物質Sは反応室25下面に到達し、そこに固定された第2の抗体と結合する。次いで、上磁場ユニット12による上方向への磁場の印加により、第2の抗体によって被検物質Sを捕捉していない試薬成分30のみが上方へ移動する。なお、上磁場ユニット12はセンサデバイス2に関して上側に配置され、磁性粒子に対して上方向の吸引力を発生する。一方、図示しない下磁場ユニットは下側に配置され、磁性粒子に対して下方向の吸引力を発生する。下磁場ユニットと上磁場ユニット12との間にはセンサデバイス2が位置し、下磁場ユニットと上磁場ユニット12とはセンサデバイス2を介して対向する。
試薬成分30に捕捉された被検物質Sが反応室25下面の第2の抗体と結合していると、光導波路23を伝播する光の強度は、反応室25下面の領域での散乱、及び吸収により低下する。そして、光導波路23から出射する光の強度は、反応室25下面の第2の抗体と結合する被検物質Sの量に応じて変化する。制御回路17は、上方向へ磁場が印加されているとき、光導波路23から出射する光の強度に基づき、測定液中の被検物質Sの量を算出する。表示回路151は、制御回路17で算出された被検物質Sの量を表示する。
なお、所定の測定開始条件は、例えば制御回路17により測定開始が可能な状態に移行されたことでもよいし、その他の自動又は手動で入力される指示があったことであってもよい。手動で入力される指示としては、センサデバイス2の光学式マーク2023の読取り操作等及び測定の開始操作等が挙げられる。
制御回路17は、第1の検知スイッチ141及び第2の検知スイッチ142から共に検知信号が出力されていないと判定した場合(ステップS2のNO)、出力インタフェース回路15の表示回路151及び報知器152を制御し、センサデバイス2の装着が異常である旨を外部へ報知し、操作者のその装着の是正を促す(ステップS4)。
以上のように、本実施形態では、装着面に対して傾斜する当接面10531により、装着面に装着されたセンサデバイス2の装着面法線方向の上方端部において、装着面法線方向の斜め上方から当接し、装着されたセンサデバイス2を、装着面に沿った方向及び装着面の法線方向に付勢することができる。これにより、センサデバイス2の下面202は装着領域1001に押し付けられ、センサデバイス2の下面202と光検出ユニット11との間に隙間が発生することを防止できる。その結果、センサデバイス2を装着領域1001に装着したときの奥行方向と高さ方向の位置再現性を確実に確保することができる。
また、本実施形態によれば、臨床検査装置1の上面100には、第1の接触部102が設置されている。第1の接触部102は、センサデバイス2が装着される装着領域1001を挟んで、第1の可動当接機構105と対向するように設けられる。第1の接触部102は、第1の可動当接機構105により付勢されるセンサデバイス2の前面206とは反対側の後面205と当接する。これにより、臨床検査装置1は、X軸方向において、センサデバイス2を所定の位置で挟持することが可能となる。
また、本実施形態によれば、臨床検査装置1の装着領域1001において、第1の可動当接機構105の近傍には、情報取得部13が設けられている。また、装着領域1001を挟んで第1の可動当接機構105とは反対側に設けられている第1の接触部102の近傍には、光検出ユニット11が設けられている。これにより、光検出ユニット11による測定の結果について、第1の可動当接機構105の当接部1053のX軸方向の往復動作に起因するがたつきの直接的な影響を受けることを回避することが可能となる。
また、本実施形態によれば、臨床検査装置1の上面100には、長辺方向がX軸方向と平行である長方形状の装着領域1001が形成される。装着領域1001の長辺方向の一端側には、第1の可動当接機構105が設けられ、他端側には第1の接触部102が設けられている。これにより、センサデバイス2の長辺方向の固定を所定の位置関係及び方向関係において高い精度で再現性よく行うことが可能となる。
また、本実施形態によれば、臨床検査装置1の上面100において、射出部111は、センサデバイス2の光導波路23における入射位置に対向するように設けられている。受光部112は、センサデバイス2の光導波路23における出射位置に対向するように設けられている。光検出ユニット11が有する受光部112は、光検出ユニット11が有する射出部111の光照射器により照射され、センサデバイスに設けられる光導波路23を伝搬した光を、受光部112の受光窓を介して受光部112の光検出器により検出する。これにより、測定対象となる試料の特性を受光部112の光検出器により検出される光に基づいて観察することが可能となる。
また、本実施形態によれば、当接面10531は、板形状である当接部1053の一端に形成されている。これにより、臨床検査装置1は、当接部1053の可動方向においてセンサデバイス2を所定の位置関係及び方向関係において高い精度で再現性よく装着することが可能となる。
また、本実施形態によれば、設計上の当接部1053のX軸方向に対する最大傾斜角度をθ[deg]、当接面10531の傾斜角をα[deg]とすると、傾斜角α[deg]は、θ+α<90[deg]を満たすように設定される。これにより、第1の可動当接機構105は、確実にセンサデバイス2を鉛直下向き方向及び弾性体1052の伸長方向に付勢することが可能となる。
(変形例1)
上記実施形態では、センサデバイス2を、一つの可動当接機構を用いて装着面に沿った方向及び装着面の法線方向に付勢する臨床検査装置を示した。これに対し、本変形例1に係る臨床検査装置は、二つの可動当接機構を用いて装着面に沿った方向及び装着面の法線方向に付勢することで、センサデバイス2を装着領域1001に装着したときの位置再現性をさらに向上させる臨床検査装置について説明する。
図13は、変形例1に係る臨床検査装置1A及びセンサデバイス2Aの例を示す上面図である。図13に示されるように、臨床検査装置1Aは、第1の接触部102、第2の接触部103、第1の可動当接機構105、及び第2の可動当接機構106を具備する。
なお、臨床検査装置1Aを用いた検査において使用されるセンサデバイス2Aは、図4A等に示したセンサデバイス2の構成に加えて、側面203、204においてそれぞれフランジ部2031、2041をさらに有する。フランジ部2031、2041の構成は、フランジ部2051、2061の構成と実質的に同一である。また、フランジ部2031、2041の下面を含めたセンサデバイス2Aの下面202は、平面となっている。
第1の可動当接機構105、第1の接触部102の機能及び構成は、それぞれ図1、図2、図3等において示した第1の可動当接機構105、第1の接触部102と同様である。
第2の可動当接機構106及び第2の接触部103は、上面100において、光検出ユニット11及び情報取得部13を挟んで対向するように、且つセンサデバイス2Aの長手方向の側面のフランジ部2031、2041を支持するものとして配置される。また、第1の接触部102、第2の接触部103、第1の可動当接機構105、第2の可動当接機構106は、装着領域1001を形成する。
図14A、図14Bは、図13に示される臨床検査装置1A及びセンサデバイス2AのE−E’断面図の例を示す図であり、第2の可動当接機構106の構成を説明するための図である。第2の可動当接機構106は、図3、図6、図8、図9等に示した第1の可動当接機構105と比較した場合、(第1の可動当接機構105の当接部1053とは異なる)当接部1063、さらなる弾性体1062aを具備する点が異なる。
当接部1063は、装着面側に傾斜した当接部の下方向き下側端面10631と、装着面上方に傾斜した当接部の上方向き上側端面10632とを有している。従って、当接部1063の弾性体1062(1062a)と反対側の端面は凸形状となっている。なお、実用上、第2の可動当接機構106からのセンサデバイス2Aの着脱を容易にしたり、センサデバイス2Aを傷つけないようにしたりするため、当接部1063の凸部の角を若干丸く削っておくことが望ましい。
センサデバイス2Aを装着する場合、図14Aに示す様に、まず、フランジ部2041の底面側の角部を当接部の下方向き下側端面10631に当接させた状態で、センサデバイス2Aの下面202が装着面に密着するように、センサデバイス2Aを装着面に向かって押し込む。このとき、センサデバイス2Aは、弾性体1062(1062a)の弾性力により、当接部の上方向き上側端面10632により、付勢された状態となっている。従って、センサデバイス2Aは、フランジ部2041の底面側の角部が当接部の上方向き上側端面10632に当接した状態を維持しながら装着面側に移動する。押し込む力によって弾性体1062(1062a)が縮んだ結果、センサデバイス2Aは、図14Bに示す様に、フランジ部2041の装着面法線方向の上端部が、当接部の下方向き下側端面10631により付勢された状態となる。一方、図14Aに示した様に、センサデバイス2Aにおいてフランジ部2041と反対側に位置するフランジ部2031は、第2の接触部103に当接されている。従って、センサデバイス2Aは、第2の可動当接機構106の当接部1063により、装着面に沿った方向(幅方向)と装着面の法線方向に沿った方向と付勢することができる。
また、センサデバイス2Aを取り出す際には、図14Bに示した状態からセンサデバイス2Aを上に持ち上げる。これにより、当接部の下方向き下側端面10631に当接した状態を維持しながら、持ち上げる力によって弾性体1062(1062a)が縮む。その結果、第2の可動当接機構106の当接部1063等の付勢から解放することができ、センサデバイス2Aを取り出すことができる。
以上述べた構成によれば、センサデバイス2Aのスムーズな脱着を実現しつつ、臨床検査装置1の奥行方向のみならず幅方向についても、位置再現性を向上させることができる。
(変形例2)
上記実施形態及び変形例1では、直方体状の第1の接触部等を上面100に設置し、区形状の装着領域1001を形成する例を示した。当然ながら、第1の接触部等の形状及び装着領域1001の形状は、センサデバイス2等の形状に対応するものである。従って、第1の接触部等の形状は、装着されたセンサデバイス2等の装着面に沿った移動を阻むものであればどのようなものであってもよい。また、その個数についても、任意に選択することができる。
さらに、センサデバイス2の装着をより安定化させるために、例えば第1の接触部102は、接触面1021にフランジ部2051と係合する係合部を有してもよい。
(変形例3)
上記実施形態では、光検出ユニット11は、1つの光送受信機能を備えていた。これに対し、1つの試料から2つの測定項目を測定するために、2つの独立した光送受信機能を備えていてもよい。すなわち、光検出ユニット11は、例えば、X軸方向に整列された独立した2つの射出部を備えている。また、光検出ユニット11は、X軸方向に整列された独立した2つの受光部を備えている。また、センサデバイス2は、センサデバイス2のX軸方向に整列された2つの独立した光導波路を備えている。
係る構成の場合、センサデバイス2の装着がX軸方向にずれると、光照射器から照射された光が光導波路上で適正に全反射できなくなる場合があるが、上記実施形態の第1の接触部102及び第1の可動当接機構105により、X軸方向においてセンサデバイス2を挟持することで、センサデバイス2を相互位置及び方向関係において高い精度で再現性よく装着することが可能となる。
上記実施形態において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、第1の実施形態及び変形例1の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図10における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として表示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。