JP6745489B2 - 検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、検知装置に関する。
従来、出入口付近の領域における物体(検知対象)を検知する検知装置がある(例えば、特許文献1参照)。この検知装置は、出入口に近接するように取り付けられた複数のトランスデューサ(センサ)と、プロセッサとを含む。この検知装置では、少なくとも一つのトランスデューサが、出入口付近の領域に信号を繰り返し送信するように配置されている。さらにこの検知装置では、少なくとも2つのトランスデューサが戻り信号を繰り返し受信するように配置されている。
プロセッサは、信号の送信とそれに対応する戻り信号の受信との間の時間から算出された一つもしくは複数の測定された距離に基づく物体の位置を測定する。また、プロセッサは、信号の送信と戻り信号の受信におけるドップラーシフトに基づいた物体の動きを測定することもできる。この結果、プロセッサは、出入口付近の領域における物体の接近、離脱、通過を検出することができる。
上述のように、特許文献1の検知装置は、検知領域(出入口付近の領域)における物体(検知対象)の接近、離脱、通過を検出することができる。
しかしながら、特許文献1の検知装置は、信号を送信および受信するために複数のトランスデューサ(センサ)が必要であった。したがって、特許文献1の検知装置は、部品点数が多く、高コストになっていた。
特許第5396469号公報
本発明の目的は、1つのセンサを備えて、検知領域における検知対象の接近、離脱、通過などの検知対象の状態を検知できる検知装置を提供することにある。
本発明の一態様に係る検知装置は、センサと、判定部と、出力部とを備える。前記センサは、電波を送信し、電波が検知対象で反射した反射波を受信して、前記検知対象までの距離に対応したセンサ信号を出力する。前記判定部は、前記センサ信号に基づいて前記検知対象の状態を判定する。前記出力部は、前記判定部の判定結果に基づく信号を出力する。前記センサは、前記検知対象が移動する移動平面上において前記検知対象の検出感度が一定レベル以上となる領域を検知領域とする。前記センサと前記検知領域の外縁との距離は、前記センサから見た方向に応じて変化している。前記判定部は、侵入判定部と、履歴記憶部と、認識部とを有する。前記侵入判定部が、信号強度が閾値以上である前記反射波を前記センサが受信して、前記検知対象が前記検知領域の外部から前記検知領域の外縁に到達したと判定したとする。この場合、前記侵入判定部は、前記検知領域の外縁に到達した前記検知対象までの距離に基づいて、前記検知領域の外縁における前記検知対象の位置である侵入位置を判定する。前記履歴記憶部は、前記侵入位置に存在する前記検知対象が前記検知領域内に移動した場合、前記検知対象までの距離の時間的な変化である距離履歴を記憶する。前記認識部は、前記侵入位置と前記距離履歴とに基づいて、前記検知対象の状態を判定する。
図1は、実施形態における検知装置の構成を示すブロック図である。 図2は、同上の検知装置のセンサと人体との位置関係を示す概略図である。 図3は、同上の検知装置の設置空間を上方から見た平面図である。 図4は、同上の検知装置が用いるFMCW方式の説明図である。 図5は、同上の検知装置における周波数領域のセンサ信号の説明図である。 図6は、同上の検知装置の動作を示すフローチャートである。 図7は、同上の検知装置における侵入位置の検出処理を説明する図である。 図8Aは、同上の変形例1の検知装置のセンサを示すブロック図である。図8Bは、同上の変形例2の検知装置のセンサを示すブロック図である。
本実施形態は、検知装置に関する。より詳細には、本実施形態は、電波式のセンサを用いた検知装置に関する。
本実施形態の検知装置1のブロック図を図1に示す。検知装置1は、センサ11と、信号処理部12とを備える。検知装置1は、設備機器2と組み合わせて用いられる。検知装置1に組み合される設備機器2として、自動ドア、照明装置、監視カメラ、デジタルサイネージ(Digital Signage)、自動販売機、エレベータなどが挙げられる。なお、検知装置1に組み合される設備機器2の種類は限定されない。
センサ11は、電波を送信し、検知対象で反射された電波(反射波)を受信して、検知対象までの距離に対応したセンサ信号を出力する電波式のセンサである。なお、本実施形態では、検知対象として人体200を例示する。
人体200は、図2に示すように、床面400(地面を含む)の上を移動している。そして、床面400の上方に設置されたセンサ11が電波を送信する。人体200が移動する二次元空間を移動平面300と呼ぶ。
図3は、検知装置1の設置空間を上方から見た平面図(設置空間の平面視)であり、移動平面300において、人体200に対するセンサ11の感度(検知感度)が一定レベル以上となる領域を検知領域100として表している。本実施形態において、センサ11は、送信する電波の信号強度(送信強度)が送信方向に応じて変化するように構成されており、送信強度の強弱によって送信方向に応じた検知感度が設定される。移動平面300は、床面400に沿って設定されてもよいし、床面400から上方に所定距離離れて仮想的に設定されてもよい。図2では、移動平面300が、床面400よりも上方に仮想的に設定されている。
検知領域100は、短軸に沿った基準線501で長円を2分割した一方のような形状に形成されている。そして、センサ11の設置空間の平面視(移動平面300の平面視)において、センサ11は、上述の短軸の中央に重なるように設置されている。この場合、平面視において、上述の長円の長軸に沿った基準線502の方向がセンサ11を通る基準方向となる。そして、検知領域100は、基準線502に対して線対称な形状になる。検知領域100は、基準線502に対して一方側を検知領域101とし、基準線502に対して他方側を検知領域102とする。検知領域101,102は、基準線502に対して互いに線対称となる。
検知領域100のU字状の外縁110は、センサ11までの距離が連続的に変化する。具体的に、検知領域101側の外縁110を外縁111とする。この場合、外縁110と基準線502との交点503を始点として外縁111上を移動すると、センサ11までの距離が連続的に減少する。また、検知領域102側の外縁110を外縁112とする。この場合、交点503を始点として外縁112上を移動すると、センサ11までの距離が連続的に減少する。すなわち、外縁110上の一点からセンサ11までの距離が決まれば、この距離に対応する外縁111上の位置、および外縁112上の位置のそれぞれが一義的に決まる。
したがって、人体200が検知領域100の外部から外縁110上に到達した場合、検知装置1は、センサ11から人体200までの距離が判れば、この人体200までの距離に対応する外縁111上の所定位置または外縁112上の所定位置に、人体200が到達したと判定することができる。以降、検知領域100の外部から外縁110上に到達した人体200の位置を侵入位置と呼ぶ。
検知領域100のU字状の外縁110は、センサ11が人体200を検知し始める最遠点を連続させた線である。具体的には、センサ11が送信した電波の電界強度は、外縁110上において同値となる。すなわち、外縁110は、送信された電波の電界強度が等しい点をつないだ線とみなすことができる。
そこで、検知装置1は、受信した反射波の信号強度(受信強度)が予め決められた検知閾値以上であれば、人体200が検知領域100内(外縁110上を含む)に存在すると判断する。この場合、検知閾値は、外縁110上に存在する人体200で反射した反射波の受信強度に等しくなるように設定されている。したがって、検知装置1は、外縁110上に存在する人体200による反射波を受信した場合、この反射波に基づいて求められる人体200までの距離によって、外縁111上において推定される侵入位置、外縁112上において推定される侵入位置をそれぞれ特定することができる。実際の侵入位置は、外縁111上と外縁112上とのいずれか一方である。しかし、外縁111上と外縁112上とのいずれが実際の侵入位置であるかを判定することは困難である。すなわち、検知領域101(外縁111),検知領域102(外縁112)は互いに線対称であるので、外縁110上に存在する人体200までの距離だけを用いて、外縁111上と外縁112上とのいずれが実際の侵入位置であるかを判定することはできない。
そして、検知装置1は、外縁110上の人体200の侵入位置を起点とし、人体200までの距離変化に基づいて、検知領域100内における人体200の移動軌跡をさらに求める。この結果、検知装置1が、センサ11に対する人体200の接近および離隔、さらには検知領域100内における人体200の通過を判別するのであれば、外縁111上と外縁112上とのいずれか一方に暫定的に侵入位置を設定することに問題はなくなる。
すなわち、実際の侵入位置が外縁111上および外縁112上のいずれであっても、検知装置1内の処理では、外縁111上に暫定的に侵入位置を設定することは可能である。そして、検知装置1は、外縁111上において推定される侵入位置と、以降の人体200までの距離の変化とを用いることで、検知領域100内における人体200の接近、離隔、横切りを判別することができる。もちろん、検知装置1は、外縁112上において推定される侵入位置と、以降の人体200までの距離の変化とを用いることも可能である。なお、本実施形態において、検知装置1は、外縁111上において推定される侵入位置と、以降の人体200までの距離の変化とを用いる。
以下、検知装置1の構成、および動作について詳述する(図1参照)。
センサ11は、送信制御部11a、送信部11b、送信アンテナ11c、受信アンテナ11d、及び受信部11eを備える。
送信部11bは、送信アンテナ11cを介して電波を送信する。送信制御部11aは、送信部11bが送信する電波の周波数、送信タイミング等を制御する。送信部11bが送信する電波は、10GHz〜30GHzの準ミリ波であることが好ましい。なお、送信部11bが送信する電波は、準ミリ波に限らず、ミリ波、マイクロ波でもよい。また、送信部11bが送信する電波の周波数の値は、特に限定されるものではない。
送信アンテナ11cは、図3の検知領域100を形成する指向性を有しており、電波の送信方向によって送信強度を変えている。すなわち、送信アンテナ11cの指向性によって、検知領域100が形成されている。
受信部11eは、受信アンテナ11dを介して、検知領域100内の人体200などの物体で反射された反射波を受信する。受信アンテナ11dは、無指向性であることが好ましい。受信部11eは、反射波の受信強度が予め決められた検知閾値以上であれば、人体200が検知領域100内に存在すると判断して、人体200までの距離に対応した時間領域のアナログのセンサ信号を出力する。
具体的に、センサ11は、送信する電波の周波数を時間の経過に伴って変化させる。そして、センサ11は、人体200までの距離の情報が含まれるセンサ信号を出力する。たとえば、センサ11は、FMCW(Frequency-Modulated Continuous-Wave)方式を用いる。図4に示すように、送信制御部11aは、送信部11bが送信する電波の周波数(送信周波数)fsを上昇させた後に下降させるスイープ処理を繰り返す。スイープ処理は、掃引周波数幅Δfa、掃引時間T1が決められている。
センサ11と人体200との間の距離をL、光速をCとすると、受信部11eは、T2=2L/C後に反射波を受信する(図4)。反射波の周波数(受信周波数)frは、送信周波数fsと同様に、掃引周波数幅Δfa、掃引時間T1で変化する。そして、受信部11eが、送信周波数fsと受信周波数frとの周波数差に等しい周波数fbのビート信号を生成して、センサ信号として出力する。ビート信号の周波数fbは、fb=[(Δfa・2L)/(C・T1)]となる。故に、人体200までの距離Lは、L=(fb・C・T1)/(2・Δfa)となる。したがって、信号処理部12は、距離Lの情報に基づいて、検知領域100内における人体200の状態を判定することができる。
信号処理部12は、センサ11から出力されるセンサ信号を信号処理する機能を有する。信号処理部12は、増幅部12a、A/D変換部12b、周波数分析部12c、補正部12d、判定部12e、データベース12f、及び出力部12gを備える。
増幅部12aは、センサ11から出力されたセンサ信号を増幅する。増幅部12aは、例えば、オペアンプを用いた増幅器により構成される。A/D変換部12bは、増幅部12aによって増幅されたセンサ信号を時間領域のディジタルのセンサ信号に変換して出力する。
周波数分析部12cは、A/D変換部12bから出力される時間領域のセンサ信号を周波数領域のセンサ信号(周波数軸信号)に変換する。周波数分析部12cは、センサ信号の周波数帯域を、互いに周波数帯域が異なる複数のフィルタバンク9a(図5参照)に分割している。そして、周波数分析部12cは、周波数領域のセンサ信号から、複数のフィルタバンク9aのそれぞれに対応する信号を抽出する。周波数分析部12cは、複数のフィルタバンク9aの群として、規定数(例えば、16個)のフィルタバンク9aを設定してあるが、複数のフィルタバンク9aの個数は特に限定するものではない。
具体的に、周波数分析部12cは、A/D変換部12bから出力される時間領域のセンサ信号に離散コサイン変換(Discrete Cosine Transform:DCT)を行うことで、周波数領域のセンサ信号に変換する。また、図5に示すように、複数のフィルタバンク9aの各々は、複数(図5では、5個)の周波数ビン(frequency bin)9bを有している。この場合、フィルタバンク9aの周波数ビン9bは、DCTビンとも呼ばれる。フィルタバンク9aは、周波数ビン9bの幅により分解能が決まる。フィルタバンク9aのそれぞれにおける周波数ビン9bの数は、特に限定されるものではなく、5個以外の複数でもよいし、1個でもよい。A/D変換部12bから出力される時間領域のセンサ信号を周波数領域のセンサ信号に変換する直交変換は、DCTに限らず、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transformation:FFT)でもよい。また、A/D変換部12bから出力される時間領域のセンサ信号を周波数領域のセンサ信号に変換する方式は、ウェーブレット変換(Wavelet Transform:WT)でもよい。
補正部12dは、規格化部121、平滑部122、背景信号推定部123、及び背景信号除去部124を備える。
規格化部121は、周波数分析部12cが出力するセンサ信号を規格化する。規格化部121は、周波数分析部12cにより抽出された全てのフィルタバンク9aそれぞれの信号強度の総和で、フィルタバンク9aそれぞれを通過したセンサ信号の強度を規格化する。あるいは、規格化部121は、複数(例えば、低周波側の4個)のフィルタバンク9aの各信号強度の総和で、フィルタバンク9aそれぞれを通過したセンサ信号の強度を規格化する。
平滑部122は、以下の2つの平滑機能のうち、少なくとも一方を有する。第1の平滑機能は、複数のフィルタバンク9aのそれぞれにおいて、信号強度を周波数領域(周波数軸方向)において平滑する機能である。第2の平滑機能は、複数のフィルタバンク9aのそれぞれにおいて、信号強度を時間軸方向において平滑する機能である。信号処理部12は、平滑部122の平滑機能によって雑音の影響を低減することが可能となる。平滑部122が第1の平滑機能および第2の平滑機能の両方を備えていれば、雑音の影響をより低減することが可能となる。
また、信号処理部12は、背景信号を推定する推定期間と、判定処理を行う判定期間とを交互に切り替える。推定期間において、背景信号推定部123は背景信号を推定する。判定期間において、背景信号除去部124が背景信号を除去してから、判定部12eが判定処理を行う。推定期間と判定期間とは、同じ時間長さに限らず、互いに異なる時間長さでもよい。
具体的に、背景信号推定部123は、複数のフィルタバンク9aそれぞれの信号に含まれている背景信号を推定する。背景信号は、雑音、あるいは検出対象(ここでは、人体200)以外の要因によってセンサ信号に含まれる信号成分である。背景信号推定部123は、推定期間において、複数のフィルタバンク9aそれぞれについて得られた信号を、複数のフィルタバンク9aそれぞれの背景信号であると推定する。そして、背景信号推定部123は、背景信号のデータを随時更新する。背景信号除去部124は、判定期間において、複数のフィルタバンク9aのそれぞれの信号から背景信号を除去する。
ところで、検知装置1の周囲環境によっては、比較的大きな背景信号が含まれる周波数ビン9bが既知である場合がある。例えば、検知装置1の周辺に、商用電源から電源供給される機器が存在しているとする。この場合、商用電源周波数(例えば、60Hz)の高調波成分(例えば、60Hz、120Hz等)を含む周波数ビン9bの信号には、比較的大きな背景信号が含まれる可能性が高い。
そこで、背景信号除去部124は、背景信号が定常的に含まれる周波数ビン9bを特定周波数ビンとすることが好ましい。そして、背景信号除去部124は、特定周波数ビンの信号を無効とし、この特定周波数ビンの両側の2個の周波数ビン9bの信号強度から推定した信号で、特定周波数ビンの信号を補完する。したがって、背景信号除去部124は、定常的に発生する特定周波数の背景信号を低減することができる。
また、背景信号除去部124は、周波数領域(周波数軸上)において背景信号を濾波することで背景信号を除去する適応フィルタ(Adaptive filter)を用いることもできる。この種の適応フィルタとしては、DCTを用いた適応フィルタ(Adaptive filter using Discrete Cosine Transform)が好ましい。この場合、背景信号除去部124は、適応フィルタの適応アルゴリズムとして、DCTのLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いればよい。また、適応フィルタは、FFTを用いた適応フィルタでもよい。この場合、背景信号除去部124は、適応フィルタの適応アルゴリズムとして、FFTのLMSアルゴリズムを用いればよい。
上述のように、周波数分析部12cが出力するセンサ信号は、補正部12dによって規格化、平滑化され、さらに背景信号を除去されて、判定部12eに入力される。
判定部12eは、測距部125、侵入判定部126、追跡部127、認識部128、及び履歴記憶部129を備える。そして、判定部12eは、入力されたセンサ信号に基づいて、人体200の状態を判定する判定処理を行う。判定部12eは、人体200を検出対象とするが、雨等の他の移動体を検出対象とすることもできる。
判定部12eの判定処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、判定部12eは、人体200を検知していない非検知状態とする。そして、受信部11eが検知閾値以上(または検知閾値+αの範囲内)の受信強度を有する最初の反射波を受信すると、受信部11eからセンサ信号が出力される。測距部125は、入力されたセンサ信号に基づいて、人体200までの距離を求める。なお、「検知閾値以上(または検知閾値+αの範囲内)の受信強度を有する最初の反射波」は、「検知閾値以上(または検知閾値+αの範囲内)の受信強度を有し、かつ追跡部127がまだ後述の追跡処理の対象としていない反射波」を意味している。以降、「検知閾値以上(または検知閾値+αの範囲内)の受信強度を有する最初の反射波」は、「最初の反射波」と略称する。
データベース12fは、マップデータ、外縁データなどを予め格納している。
マップデータは、図7に示すように、移動平面300においてセンサ11と検知領域100との位置関係を示すデータである。外縁データは、検知領域100の外縁111上の座標と、各座標までの距離との対応関係を示すデータである。外縁データは、たとえば、外縁111上の座標(X1,Y1)と、センサ11から座標(X1,Y1)までの距離L1との対応関係をデータテーブルまたは数式で表している。
あるいは、外縁データは、センサ11を中心とする角度θと、センサ11から外縁111までの距離L1との対応関係をデータテーブルまたは数式で表してもよい。たとえば、外縁データのデータテーブルまたは数式において、距離L1の値と角度θの値とを1対1で対応付ける。この場合、距離L1の値L11は、角度θの値θ11に対応付けられる。距離L1の値L12は、角度θの値θ12に対応付けられる。距離L1の値L13は、角度θの値θ13に対応付けられる。
または、外縁データのデータテーブルまたは数式において、距離L1の全範囲を複数の距離範囲[L11〜L12],[L12〜L13],[L13〜L14]……… に分割し、複数の距離範囲のそれぞれを、1つの角度範囲に対応付けることも可能である。この場合、距離範囲[L11〜L12]は、角度範囲[θ11〜θ12]に対応付けられる。距離範囲[L12〜L13]は、角度範囲[θ12〜θ13]に対応付けられる。距離範囲[L13〜L14]は、角度範囲[θ13〜θ14]に対応付けられる。また、距離範囲に対応付けられる角度範囲のそれぞれは、中央値などの1つの代表値で表されてもよい。
なお、図7では、外縁111上において侵入位置が設定されるので、外縁データにおける角度θの最大値は90°となる。なお、検知領域の形状によっては、外縁データにおける角度θの最大値は180°とすることも可能である。
また、信号処理部12は、外縁データにおける角度θの最大値を360°として、この外縁データを用いることも可能である。
たとえば、図7に示すマップデータの場合、基準線501側から侵入した人体200は、外縁110側から侵入した人体200に比べて、近距離で検知される。したがって、信号処理部12(判定部12e)は、外縁110側から侵入した人体200だけでなく、基準線501側から侵入した人体200も検知できる。
また、距離L1は、移動平面300上の距離ではなく、3次元空間内における距離である。
侵入判定部126は、受信部11eが最初の反射波を受信したか否かを判断する(S1)。侵入判定部126は、最初の反射波によるセンサ信号を受信した場合に、最初の反射波を受信したと判断する。侵入判定部126は、受信部11eが最初の反射波を受信した場合、測距部125が求めた人体200までの距離に基づいて、人体200の侵入位置を検出(特定)する(S2)。すなわち、人体200が検知領域100の外部から外縁110上に到達した時点で測距部125が求めた人体200までの距離に基づいて、侵入判定部126は、マップデータにおいて外縁111上における人体200の侵入位置を特定する。また、侵入判定部126は、受信部11eが最初の反射波を受信するまで、上述のステップS1の処理を繰り返す。
そして、侵入位置が特定された人体200が検知領域100内に侵入した場合、測距部125は、測距処理を行う(S3)。測距処理を行う測距部125は、この人体200によって引き続き入力されたセンサ信号に基づいて人体200までの距離を定期的に求める。そして、測距部125は、人体200までの距離の履歴(距離履歴)を履歴記憶部129に格納する。
追跡部127は、人体200までの距離の履歴に基づいて、マップデータにおいて侵入位置を起点とする人体200の追跡処理を行う(S4)。追跡部127は、人体200までの距離が求められれば、侵入位置を起点とする人体200までの距離の軌跡をマップデータ上に投影することで、マップデータ上の移動軌跡を生成する追跡処理を行うことができる。投影処理は、たとえば床面400に対するセンサ11の設置角度のデータなどを利用して実現される。
認識部128は、人体200の移動軌跡に基づいて、人体200の状態を判定する(S5)。たとえば、認識部128は、検知領域100における人体200の接近、離脱、通過、検知領域100外への人体200の脱出のそれぞれを検出することができる。接近とは、検知領域100においてセンサ11の設置位置に向く方向で、人体200がセンサ11に近付く状態と、人体200が検知領域100内に居たうえで、センサ11を中心とする一定の距離の半径の円領域以内に入ってきた状態とのいずれかである。すなわち、上述の2つの状態のうち、どちらであっても「接近」を意味するものとする。離脱とは、検知領域100においてセンサ11の設置位置から人体200が遠ざかる状態である。通過とは、検知領域100を人体200が横切る状態である。脱出とは、検知領域100内から検知領域100外へ人体200が移動した状態である。
ここで、人体200の移動軌跡は、人体200の侵入位置と距離履歴とに基づいて求められている。したがって、認識部128は、人体200の侵入位置と距離履歴とに基づいて、人体200の状態を判定しているともいえる。
そして、認識部128は、検知領域100外へ人体200が脱出したか否かを判定する(S6)。認識部128が人体200の脱出を検出した場合、判定部12eは、上述のステップS1に戻る。
認識部128が人体200の脱出を検出していなければ、出力部12gは、判定部12eの判定結果に基づいて、設備機器2を制御する制御信号を出力するか否かを判定する(S7)。出力部12gが、判定部12eの判定結果に基づいて、制御信号を出力する必要がないと判断すれば、上述のステップS3に戻って測距部125が測距処理を行う。
また、出力部12gは、判定部12eの判定結果に基づいて制御信号を出力する必要があると判断すれば、制御信号を出力する(S8)。
設備機器2が自動ドアである場合、出力部12gは、自動ドアの開制御、閉制御などの制御信号を出力する。たとえば、出力部12gは、人体200が自動ドアへ接近するときに開制御の制御信号を出力し、その後、人体200が自動ドアからの離脱するとき閉制御の制御信号を出力する。また、出力部12gは、人体200が自動ドアの周辺を通過するとき、開制御の制御信号を出力せずに、自動ドアの閉状態を維持する。
また、設備機器2が照明装置である場合、出力部12gは、照明装置の点灯、消灯、調光などの制御信号を出力する。たとえば、照明装置が玄関灯である場合、出力部12gは、人体200が玄関へ接近するときに点灯制御の制御信号を出力し、その後、人体200が玄関からの離脱するとき消灯制御の制御信号を出力する。また、出力部12gは、人体200が玄関の前を通過するとき、点灯制御の制御信号を出力せずに、玄関灯の消灯状態を維持する。
なお、設備機器2の種類および制御内容は、特定の設備機器2および制御内容に限定されない。
また、センサ11は、反射波の受信利得が受信方向に応じて変化するように構成されてもよい。具体的に、送信アンテナ11cは無指向性であり、受信アンテナ11dが指向性を有している。この場合、受信アンテナ11dは、図3の検知領域100を形成する指向性を有しており、反射波の受信方向によって利得を変えている。すなわち、受信アンテナ11dの指向性によって、検知領域100が形成される。
また、送信アンテナ11cおよび受信アンテナ11dの両方が指向性を有していてもよい。この場合、送信アンテナ11cおよび受信アンテナ11dの両方が、図3の検知領域100を形成する指向性を有している。
また、本実施形態の変形例1を図8Aに示す。
図8Aのセンサ11は、送信アンテナ11cの送信面に誘電体レンズ11fを備える。この場合、送信アンテナ11cおよび受信アンテナ11dは無指向性のアンテナである。そして、送信アンテナ11cが発した電波は、誘電体レンズ11fによって屈折し、電波の送信方向によって送信強度を変えている。すなわち、誘電体レンズ11fによって、検知領域100が形成されている。
また、本実施形態の変形例2を図8Bに示す。
図8Bのセンサ11は、受信アンテナ11dの受信面に誘電体レンズ11gを備える。この場合、送信アンテナ11cおよび受信アンテナ11dは無指向性のアンテナである。そして、反射波は誘電体レンズ11gによって屈折し、反射波の受信方向によって利得が変わる。すなわち、誘電体レンズ11gによって、検知領域100が形成されている。
また、図3に示す検知領域100の形状は、長円を短軸に沿った基準線501で2分割した一方のような形状である。しかし、検知領域100の形状として、長円を長軸で2分割した一方のような形状としてもよい。この場合、移動平面300の平面視においてセンサ11から見た方向が基準線502に対してずれるにしたがって、センサ11と検知領域100の外縁110との距離が連続的に増加する。さらに、検知領域100は、基準線502に対して非対称であってもよい。
以上のように、第1の態様の検知装置1は、センサ11と、判定部12eと、出力部12gとを備える。センサ11は、電波を送信し、電波が検知対象(たとえば人体200)で反射した反射波を受信して、検知対象までの距離に対応したセンサ信号を出力する。判定部12eは、センサ信号に基づいて検知対象の状態を判定する。出力部12gは、判定部12eの判定結果に基づく信号を出力する。センサ11は、検知対象が移動する移動平面300上において検知対象の検出感度が一定レベル以上となる領域を検知領域100とする。センサ11と検知領域100の外縁110との距離は、センサ11から見た方向に応じて変化している。判定部12eは、侵入判定部126と、履歴記憶部129と、認識部128とを有する。侵入判定部126が、信号強度が閾値以上である反射波をセンサ11が受信して、検知対象が検知領域100の外部から検知領域100の外縁110に到達したと判定したとする。この場合、侵入判定部126は、検知領域100の外縁110に到達した検知対象までの距離に基づいて、検知領域100の外縁110における検知対象の位置である侵入位置を判定する。履歴記憶部129は、侵入位置に存在する検知対象が検知領域100内に移動した場合、検知対象までの距離の時間的な変化である距離履歴を記憶する。認識部128は、侵入位置と距離履歴とに基づいて、検知対象の状態を判定する。
すなわち、検知装置1は、センサ11から見た方向に応じてセンサ11と検知領域100の外縁110との距離を変化させている。この結果、検知装置1は、検知領域100の外縁110に到達した人体200などの検知対象までの距離に基づいて、検知対象の侵入位置を判定することができる。そして、検知装置1は、侵入位置を判定された検知対象の以降の距離履歴に基づいて、侵入位置を起点とする検出対象の移動軌跡を生成する追跡処理を行うことができる。したがって、検知装置1は、電波式の1つのセンサ11を用いて、検知領域100における検知対象の接近、離脱、通過などの検知対象の状態を検知できる。
また、光学式のセンサを用いた場合、日光、車両のヘッドライト、照明などの光による誤検知が発生する可能性がある。しかし、検知装置1は、電波式のセンサ11を備えることによって、日光、車両のヘッドライト、照明などの光による誤検知を抑制できる。
また、第2の態様の検知装置1では、第1の態様において、センサ11は、電波を送信する送信アンテナ11c、および反射波を受信する受信アンテナ11dを備えている。そして、検知領域100は、送信アンテナ11cおよび受信アンテナ11dの少なくとも一方の指向性によって決定されていることが好ましい。
この場合、検知装置1は、アンテナの指向性によって検知領域100の形状を容易に設定できる。
また、第3の態様の検知装置1では、第1の態様において、センサ11は、センサ11が送信した電波とセンサ11が受信する反射波との少なくとも一方を透過させる誘電体レンズ11f,11gの少なくとも一方を備えている。そして、検知領域100は、誘電体レンズ11f,11gの少なくとも一方の指向性によって決定されていることが好ましい。
この場合、検知装置1は、誘電体レンズの電波屈折特性によって検知領域100の形状を容易に設定できる。
また、第4の態様の検知装置1では、第1乃至第3のいずれか一つの態様において、検知領域100は、電波の電界強度が一定レベル以上となる領域であることが好ましい。
この場合、検知装置1は、受信した反射波の信号強度(受信強度)が予め決められた検知閾値以上であれば、検出対象が検知領域100内に存在すると判断することができる。
また、第5の態様の検知装置1では、第1乃至第4のいずれか一つの態様において、センサ11は、移動平面300の平面視においてセンサ11を通る基準方向(基準線502)に対して線対称の形状に検知領域100を設定することが好ましい。検知領域100は、基準方向に対する一方側および他方側のそれぞれにおいて、移動平面300の平面視においてセンサ11から見た方向が基準方向に対してずれるにしたがって、センサ11と検知領域100の外縁110との距離が連続的に増加または減少する。
この場合、検知装置1は、検知領域100の形状を単純化できるので、検知領域100のサイズ、形状などの精度が向上する。
また、第6の態様の検知装置1では、第1乃至第5のいずれか一つの態様において、センサ11は、周波数変調した電波を送信して、電波と反射波とに基づくビート信号をセンサ信号として出力することが好ましい。
この場合、センサ11は、検知対象までの距離の情報を含むセンサ信号を出力することができる。
また、検知装置1は、マイクロコンピュータ等で構成されたコンピュータを搭載している。そして、このコンピュータがプログラムを実行することによって、周波数分析部12c、補正部12d、判定部12e、出力部12gの各機能が実現されることが好ましい。なお、検知装置1に搭載されるコンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサおよびインターフェースを主なハードウェア構成として備える。この種のプロセッサとしては、DSP(Digital Signal Processor)、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等を含む。そして、プロセッサがプログラムを実行することによって、周波数分析部12c補正部12d、判定部12e、出力部12gの各機能を実現することができれば、その種類は問わない。
また、プログラムの提供形態としては、コンピュータに読み取り可能なROM(Read Only Memory)、光ディスク等の記録媒体に予め格納されている形態、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給される形態等がある。
すなわち、プログラムは、コンピュータを、補正部12d、判定部12e、出力部12gのそれぞれとして機能させることが好ましい。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
1 検知装置
2 設備機器
11 センサ
11c 送信アンテナ
11d 受信アンテナ
11f,11g 誘電体レンズ
12 信号処理部
12e 判定部
12g 出力部
126 侵入判定部
128 認識部
129 履歴記憶部
100 検知領域
110 外縁
200 人体(検知対象)
300 移動平面
502 基準線(基準方向)

Claims (6)

  1. 電波を送信し、前記電波が検知対象で反射した反射波を受信して、前記検知対象までの距離に対応したセンサ信号を出力するセンサと、
    前記センサ信号に基づいて前記検知対象の状態を判定する判定部と、
    前記判定部の判定結果に基づく信号を出力する出力部とを備え、
    前記センサは、前記検知対象が移動する移動平面上において前記検知対象の検出感度が一定レベル以上となる領域を検知領域とし、前記センサと前記検知領域の外縁との距離は、前記センサから見た方向に応じて変化しており、
    前記判定部は、
    信号強度が閾値以上である前記反射波を前記センサが受信して、前記検知対象が前記検知領域の外部から前記検知領域の外縁に到達したと判定した場合、前記検知領域の外縁に到達した前記検知対象までの距離に基づいて、前記検知領域の外縁における前記検知対象の位置である侵入位置を判定する侵入判定部と、
    前記侵入位置に存在する前記検知対象が前記検知領域内に移動した場合、前記検知対象までの距離の時間的な変化である距離履歴を記憶する履歴記憶部と、
    前記侵入位置と前記距離履歴とに基づいて、前記検知対象の状態を判定する認識部とを有する
    ことを特徴とする検知装置。
  2. 前記センサは、前記電波を送信する送信アンテナ、および前記反射波を受信する受信アンテナを備えており、前記検知領域は、前記送信アンテナおよび前記受信アンテナの少なくとも一方の指向性によって決定されていることを特徴とする請求項1記載の検知装置。
  3. 前記センサは、前記センサが送信した前記電波と前記センサが受信する前記反射波との少なくとも一方を透過させる誘電体レンズを備えており、前記検知領域は、前記誘電体レンズの指向性によって決定されていることを特徴とする請求項1記載の検知装置。
  4. 前記検知領域は、前記電波の電界強度が一定レベル以上となる領域であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の検知装置。
  5. 前記センサは、平面視において前記センサを通る基準方向に対して線対称の形状に前記検知領域を設定し、
    前記検知領域は、前記基準方向に対する一方側および他方側のそれぞれについて、平面視において前記センサから見た方向が前記基準方向に対してずれるにしたがって、前記センサと前記検知領域の外縁との距離が連続的に増加または減少する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の検知装置。
  6. 前記センサは、周波数変調した前記電波を送信して、前記電波と前記反射波とに基づくビート信号を前記センサ信号として出力することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の検知装置。
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