JP6743372B2 - 光広角照射装置 - Google Patents
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Description
コヒーレント性を有するレーザ光を広角度に拡散させる方法としては、例えば、回折光学素子(DOE(Diffractive Optical Element))としてホログラフィック拡散板を使用して拡散する方法(特許文献1等)、レーザ光源の操作と反射光学系を組み合わせて拡散する方法(特許文献2等)が提案されている。
また、反射光学系を使用して拡散する方法では、光軸合わせが必要であり、機構が複雑となって装置コストが高いものとなり、また、小型化に限界があるという問題があった。
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、光源から照射された光を均一に広角度で照射可能であり、かつ、光の利用効率が高く、構造が簡易である光広角照射装置を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、2種以上の前記シリンドリカルレンズの配列には規則性が存在しないような構成とした。
本発明の他の態様として、前記光源と前記マイクロレンズアレイとの間にランダム位相板が位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記回折光学素子と前記マイクロレンズアレイとの間にランダム位相板が位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記マイクロレンズアレイを介して前記光源と反対側に拡散シートが位置するような構成とした。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らず、また、同じ部材等を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比が異なって表される場合もある。
図1は、本発明の光広角照射装置の一実施形態を示す構成図である。図1において、本発明の光広角照射装置11は、光源12と、この光源から出射された光を受光するマイクロレンズアレイ14とを備えている。
光源12は、半導体レーザ等のコヒーレント性を有する光を出射する光源、例えば、赤外レーザ光や可視領域のレーザ光を発生する半導体レーザ等であってよく、光広角照射装置の使用目的に応じて適宜決定することができる。
また、マイクロレンズアレイ14は、光の屈折現象を利用して光の進行方向を変える光学素子であり、光源12から出射された光との光軸合わせが不要であり、入射した光を広角に拡散させることができる。例えば、図1に示されるθを70°程度とすることができる。
このようなマイクロレンズアレイ14を構成する基部15、複数のレンズ要素16の材質は、ガラス、樹脂等であってよく、屈折率は、例えば、1.4〜1.8の範囲で適宜設定することができる。
図6に示される例では、3種のレンズ要素16A,16B,16Cにおける断面形状の外郭線16aは、基本となる放物線をX軸方向、Z軸方向で等倍に縮小したものとなっているが、X軸方向、Z軸方向で縮小拡大の倍率が異なるものであってもよい。図7は、このような例を示す図6相当のレンズ要素16の軸方向Yに垂直な断面図である。図7に示される例では、レンズ要素16Aの断面形状の外郭線16aは、基本となる放物線(Z= - 0.3X2 + 7.5)をX軸方向、Z軸方向で0.5倍したものであり、レンズ要素16Bの断面形状の外郭線16aは、基本となる放物線をX軸方向で0.5倍、Z軸方向で0.4倍したものであり、レンズ要素16Cの断面形状の外郭線16aは、基本となる放物線をX軸方向で0.5倍、Z軸方向で0.3倍したものである。図7では、便宜的にレンズ要素16Aの断面形状の外郭線16aを示す放物線をXZ座標軸で示している。
例えば、レンズ要素の幅Wは、レンズとして機能するためには、使用する光源の波長λ以上の幅が必要であり、光源の波長が1μmであればレンズ要素の幅Wは1μm以上となる。一方、マイクロレンズアレイとして機能するには光源の幅(例えば半導体レーザのビーム径)に対しレンズ要素が少なくとも10個以上含まれる必要があり、ビーム径が1mmであればレンズ要素の幅Wは100μm以下となる。すなわちレンズ要素の幅Wの値は1μm〜100μmの範囲であれば使用可能ある。一方、1つのマイクロレンズアレイに含まれるレンズ要素の焦点距離fの変化の程度は、光の強度分布を均一にするために焦点距離fに変化を与えるという目的を考慮すると、10倍以内が適当である。
上記のように、マイクロレンズアレイ14が焦点距離fの異なる2種以上のレンズ要素16で構成される場合、マイクロレンズアレイ14の透過光における干渉縞の発生が抑制さ、照射光の強度の均一性がより優れたものとなるとともに、広角拡散、例えば、±70°の広角拡散が可能となる。
尚、レンズ要素の焦点距離fは、レンズ要素16の断面形状の外郭線16aのレンズの中心部での曲率半径をrとし、レンズの材質の屈折率をnとすれば、f=r/(n−1)で求まる。たとえばレンズ要素16の断面形状の外郭線16aを0.5倍(X軸方向、Z軸方向で等倍)とすると、曲率半径rも0.5倍となり、レンズ要素16の焦点距離fも0.5倍となる。すなわち、レンズの形状を変更したレンズ要素16を並べることは、焦点距離fの異なる複数のレンズ要素16を並べてマイクロレンズアレイ14を構成することと言える。
上述の例において、レンズ要素16の断面形状の外郭線16aを放物線として説明したが、例えば、外郭線16aを円の一部、楕円の一部、円弧の周辺部分(すなわちレンズの周辺部分)を円に接する直線で置き換えた形状としても同様の効果が得られる。
このような回折光学素子17としては、例えば、溝の形状を三角形状にして、特定の次数の光の回折効率をあげたブレーズド型の回折光学素子、計算ホログラムにより作製される位相型の体積ホログラム素子等を挙げることができる。回折光学素子17は、回折効率が高い範囲で使用することが好適であり、例えば、拡散角20°以下、好ましくは10°以下で使用することが好適である。尚、回折光学素子17は、図13に示すように、マイクロレンズアレイ14と一体となっていてもよい。
上述の光広角照射装置の実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、本発明の光広角照射装置は、マイクロレンズアレイを介して光源と反対側に拡散シートを備えるものであってもよい。
光源とマイクロレンズアレイを備えた光広角照射装置において拡散して照射される光の強度分布をシミュレーションにより求めた。シミュレーションは、波動光学に基づく波動解析によるシミュレーションであり、例えば、「導波光学」(共立出版、左貝潤一著)に記載のビーム伝播法(Beam Probagation Method)に基づいて行った。使用した光の波長は1064nmとした。
ここで、マイクロレンズアレイは、構成するレンズ要素が凸形状のシリンドリカルレンズであり、複数のレンズ要素が軸方向を同一とし並行して配列しているものとした。そして、レンズ要素であるシリンドリカルレンズの軸方向に垂直な断面の外郭線を半円、あるいは、放物線とし、下記のような試料1〜試料6−2の10種のマイクロレンズアレイを設定した。
断面の外郭線が半径5μmの半円形であり、同じ断面形状のシリンドリカルレンズ11個を配列してマイクロレンズアレイを構成した。
<試料2>
図4に示されるように、断面の外郭線が、放物線(Z= - 0.4325X2 + 5.0)であり、このシリンドリカルレンズの高さを5.0μm、幅を6.8μmとし、断面形状の外郭線が同じ放物線であるシリンドリカルレンズ11個を配列してマイクロレンズアレイを構成した。
断面の外郭線を、半径1μm〜6μmの範囲で1μmステップで相違する6種の半円形とし、この焦点位置が異なる6種のシリンドリカルレンズを、図15に示すように、5μm→6μm→5μm→4μm→3μm→2μm→1μm→2μm→3μm→4μmとなる繰り返しで配列してマイクロレンズアレイを構成した。尚、図15では、Z軸に対してX軸を80%縮尺しているため、外郭線は見かけ上、半円形となっていない。
マイクロレンズアレイを、図8に示すように、レンズ要素であるシリンドリカルレンズの軸方向に沿って等分の区画に分割し、一方の区画では、試料3−1と同様に、断面形状の外郭線が相違する6種の半円であるシリンドリカルレンズの配列とし、他方の区画では、隣接する区画における高さ6μmのシリンドリカルレンズの位置に、高さ1μmのシリンドリカルレンズが位置するように、繰り返し単位を半分ずらしてシリンドリカルレンズを配列した。
断面の外郭線が放物線であり、この放物線は、基本の放物線 Z= - 0.3X2 + 7.5を、1.2倍、1.0倍、0.8倍、0.6倍、0.4倍、0.2倍(X軸方向、Z軸方向で等倍)した6種の放物線とし、この6種のシリンドリカルレンズの高さを、9μm、7.5μm、6μm、4.5μm、3μm、1.5μmとして、焦点位置が異なるものとした。そして、図16に示すように、シリンドリカルレンズの高さが7.5μm→9μm→7.5μm→6μm→4.5μm→3μm→1.5μm→3μm→4.5μm→6μmとなる繰り返しでシリンドリカルレンズを配列してマイクロレンズアレイを構成した。尚、図16では、Z軸に対してX軸を62%縮尺しているため、外郭線は見かけ上、実際の放物線とは異なっている。
マイクロレンズアレイを、図8に示すように、レンズ要素であるシリンドリカルレンズの軸方向に沿って等分の区画に分割し、一方の区画では、試料4−1と同様に、断面形状の外郭線が異なる6種の放物線であるシリンドリカルレンズの配列とし、他方の区画では、隣接する区画における高さ9μmのシリンドリカルレンズの位置に、高さ1.5μmのシリンドリカルレンズが位置するように、繰り返し単位を半分ずらしてシリンドリカルレンズを配列した。
断面の外郭線が放物線であり、この放物線は、基本の放物線 Z= - 0.25X2 + 6.25を、1.2倍、1.0倍、0.8倍、0.6倍、0.4倍、0.2倍(X軸方向、Z軸方向で等倍)した6種の放物線とし、この6種のシリンドリカルレンズの高さを、7.5μm、6.25μm、5μm、3.75μm、2.5μm、1.25μmとして、焦点位置が異なるものとした。そして、図17に示すように、シリンドリカルレンズの高さが6.25μm→7.5μm→6.25μm→5μm→3.75μm→2.5μm→1.25μm→2.5μm→3.75μm→5μmとなる繰り返しでシリンドリカルレンズを配列してマイクロレンズアレイを構成した。尚、図17では、Z軸に対してX軸を45%縮尺しているため、外郭線は見かけ上、実際の放物線とは異なっている。
マイクロレンズアレイを、図8に示すように、レンズ要素であるシリンドリカルレンズの軸方向に沿って等分の区画に分割し、一方の区画では、試料5−1と同様に、断面形状の外郭線が異なる6種の放物線であるシリンドリカルレンズの配列とし、他方の区画では、隣接する区画における高さ7.5μmのシリンドリカルレンズの位置に、高さ1.25μmのシリンドリカルレンズが位置するように、繰り返し単位を半分ずらしてシリンドリカルレンズを配列した。
断面の外郭線が放物線であり、この放物線は、基本の放物線 Z= - 0.35X2 + 8.75を、1.2倍、1.0倍、0.8倍、0.6倍、0.4倍、0.2倍(X軸方向、Z軸方向で等倍)した6種の放物線とし、この6種のシリンドリカルレンズの高さを、10.5μm、8.75μm、7μm、5.25μm、3.5μm、1.75μmとして、焦点位置が異なるものとした。そして、図18に示すように、シリンドリカルレンズの高さが8.75μm→10.5μm→8.75μm→7μm→5.25μm→3.5μm→1.75μm→3.5μm→5.25μm→7μmとなる繰り返しでシリンドリカルレンズを配列してマイクロレンズアレイを構成した。尚、図18では、Z軸に対してX軸を90%縮尺しているため、外郭線は見かけ上、実際の放物線とは異なっている。
マイクロレンズアレイを、図8に示すように、レンズ要素であるシリンドリカルレンズの軸方向に沿って等分の区画に分割し、一方の区画では、試料6−1と同様に、断面形状の外郭線が異なる6種の放物線であるシリンドリカルレンズの配列とし、他方の区画では、隣接する区画における高さ10.5μmのシリンドリカルレンズの位置に、高さ1.75μmのシリンドリカルレンズが位置するように、繰り返し単位を半分ずらしてシリンドリカルレンズを配列した。
尚、X軸方向において光強度分布を求める範囲は、図19(B)に二点鎖線で示される範囲であり、したがって、マイクロレンズアレイから450μm離間した位置では、照射角度が約±50°の範囲における光強度分布が求められた。また、図20〜図29において、Z=50μm、Z=200μm、Z=450μmは、それぞれマイクロレンズアレイからZ軸方向に50μm離間した位置、200μm離間した位置、450μm離間した位置での光強度分布であることを示している。
図20 : 試料1
図21 : 試料2
図22、図32 : 試料3−1
図23 : 試料3−2
図24 : 試料4−1
図25 : 試料4−2
図26、図33 : 試料5−1
図27 : 試料5−2
図28 : 試料6−1
図29 : 試料6−2
図30 : 比較試料
一方、図21(B)に示した各レンズ要素の断面形状の外郭線が放物線であるマイクロレンズアレイの拡散照射光の強度分布を見ると、光強度の積算値が63%を超える光拡散範囲は約±39°であり、図20の半円形の断面形状を有するマイクロレンズアレイの光拡散範囲(約±32°)より広い角度であり、広角照射特性がさらに改善されていることがわかる。この光拡散範囲の改善はレンズ要素の断面形状の輪郭線形状を半円形から放物線としたことにより得られた特性である。すなわち、断面形状の外郭線が半円形の場合、レンズ要素の外周付近はレンズの面と光軸の成す角度がほぼ平行となりレンズとして機能しないのに対し、断面形状の外郭線が放物線の場合、レンズ要素の外周付近のレンズの面と光軸の成す角度は比較的自由に選択できるため、レンズ要素の外周付近を光拡散に寄与するように設計できるためと考えられる。
また、図22〜図29に示されるように、試料3−1〜試料6−2のマイクロレンズアレイを備える場合、マイクロレンズアレイから照射される光は±70°まで拡散することが確認された。これに対して、図30に示されるように、比較試料の断面形状が半円形である単レンズを用いた場合、0°近傍の光強度が強く、光強度の積算値が63%を超える光拡散範囲は約±22°までで、広角照射にはならないことが確認された。
さらに、図22、図24、図26、図28と、図23、図25、図27、図29とを対比すると、マイクロレンズアレイを2つの区画に分割し、隣接する区画間で、シリンドリカルレンズの繰り返し単位を半分ずらした場合(図23、図25、図27、図29)、干渉縞のような光強度分布のバラツキが更に低減することが確認された。
12…光源
14…マイクロレンズアレイ
15…基部
16,16A,16B,16C…レンズ要素
16′…レンズ要素
Claims (7)
- 光源と、
前記光源から出射された光を受光するマイクロレンズアレイと
を備え、
前記マイクロレンズアレイは、一平面に配列している複数の凸形状のシリンドリカルレンズを有し、
前記複数のシリンドリカルレンズは、当該シリンドリカルレンズの軸方向を同一とし並行して配列されており、
前記シリンドリカルレンズの前記軸方向に垂直な断面の外郭線は、二次曲線であり、
前記マイクロレンズアレイは、焦点距離が異なる2種以上の前記シリンドリカルレンズで構成され、前記シリンドリカルレンズの軸方向に沿って並ぶ複数の区画を有し、隣接する区画では、2種以上の前記シリンドリカルレンズの配列が異なることを特徴とする光広角照射装置。 - 2種以上の前記シリンドリカルレンズの配列には規則性が存在することを特徴とする請求項1に記載の光広角照射装置。
- 2種以上の前記シリンドリカルレンズの配列には規則性が存在しないことを特徴とする請求項1に記載の光広角照射装置。
- 前記光源と前記マイクロレンズアレイとの間に回折光学素子が位置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光広角照射装置。
- 前記光源と前記マイクロレンズアレイとの間にランダム位相板が位置することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光広角照射装置。
- 前記回折光学素子と前記マイクロレンズアレイとの間にランダム位相板が位置することを特徴とする請求項4に記載の光広角照射装置。
- 前記マイクロレンズアレイを介して前記光源と反対側に拡散シートが位置することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光広角照射装置。
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