JP6741984B2 - 流体デバイス - Google Patents

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本発明は、流体デバイスに関する。
血球などの細胞および生体組織に含まれる核酸は、生体の遺伝子情報を担っていることから、診断などに用いられている。そこで、細胞および生体組織から核酸を分離する種々の手段が提案されている(例えば、非特許文献1などを参照)。非特許文献1には、血球から核酸を分離する手段として、血球を溶解させる領域と所望の核酸を捕捉する領域とを含むマイクロ流路を有する流体デバイスが提案されている。一方、筋組織などの生体組織からの核酸の分離の際には、ホモジナイザーなどによる生体組織の物理的な破砕、不要成分の分離除去、核酸の抽出などの複雑な操作が行なわれている。
ヒューズ−チンコタ(Chantelle N. Hughes−Chinkhota)ら、「マイクロ流体チップ上でのmRNA単離およびcDNA合成のための10−(カルボメトキシ)デシル−ジメチルクロロシランを用いたオリゴヌクレオチド固定化〔Oligonucleotide immobilization using 10−(carbomethoxy)decyl−dimethylchlorosilane for mRNA isolation and cDNA synthesis on a microfluidic chip〕」、センサーズ・アンド・アクチュエーターズB:ケミカル(Sensors and Actuators B:Chemical)、第155巻、第2号、2011年7月20日、p.437−445
本発明の課題は、生体組織が粗破砕されるようにするとともに、粗破砕後の生体組織を適度に目詰まりさせるとともに生体試料を適度に流通させることである。
本発明は、1つの側面では、生体組織から核酸を単離するための流体デバイスであって、壁部と当該壁部によって囲まれた流路空間とを含み、前記生体組織を含む生体試料を流通可能な流路と、前記流路の中途に設けられ、前記生体組織との接触部に凹凸構造を有し、前記生体組織と前記接触部とが接触した状態での当該接触部に対する生体組織の相対的な移動によって当該生体組織を粗破砕する粗破砕部と、前記流路の壁部から前記流路空間に突き出した複数個の突出構造体が、前記流路における生体試料の流れ方向に沿って、当該流路の前記粗破砕部の下流側に配置された突出構造体アレイと、を備えており、前記突出構造体アレイにおいて、前記流路における生体試料の流れ方向に沿って、上流側に配置された突出構造体の間または前記流路の壁部と当該上流側に配置された突出構造体との間を通過する生体組織が接触するように、下流側の突出構造体が配置されていることを特徴とする流体デバイスに関する。
本実施形態に係る流体デバイスは、前記生体組織との接触部に凹凸構造を有する粗破砕部が前記流路の中途に設けられ、かつ当該流路の前記粗破砕部の下流側に、複数個の突出構造体が配置された突出構造体アレイが設けられており、突出構造体アレイにおいて、上流側に配置された突出構造体の間または前記流路の壁部と当該上流側に配置された突出構造体との間を通過する生体組織が接触するように、下流側の突出構造体が配置されている。そのため、本実施形態に係る流体デバイスでは、粗破砕部において、生体試料に含まれる生体組織が接触部に対する相対的に移動によって粗破砕され、粗破砕後の生体組織の断片の一部が、前記突出構造体アレイの突出構造体に接触して破砕される。一方、前記突出構造体の一部の間に、前記粗破砕後の生体組織の断片の一部が捕捉され、生体試料の流通に伴なって前記生体組織の断片がさらに破砕される。また、上流側の列の突出構造体の間を通過した前記粗破砕後の生体組織の断片の一部は、下流側の突出構造体に接触するか、当該下流側の突出構造体の間をさらに通過する。これにより、前記突出構造体アレイにおいて、生体組織を適度に目詰まりさせるとともに生体試料を適度に流通させることができる。したがって、本実施形態に係る流体デバイスによれば、生体試料を当該流体デバイスに流すという簡単な操作で生体組織から高い回収率で核酸を取得することができる。また、1つの流体デバイスにおいて、生体組織の粗破砕から核酸の分離までの一連の工程を行なうことができるため、本実施形態に係る流体デバイスによれば、生体組織からの核酸の回収率を向上させることができる。
前記流路は、前記突出構造体アレイを流通した生体試料を当該突出構造体アレイに循環させる循環流路をさらに有していることが好ましい。この場合、生体組織の破砕をより確実に行なうことができることから、核酸の回収率を一層向上させることができる。
また、前記流路において、前記突出構造体アレイよりも下流側に、生体組織から分離された核酸を回収する回収部をさらに備えることが好ましい。この場合、1つの流体デバイスにおいて、生体組織から分離された核酸を回収することができることから、核酸の分解を抑制することができ、核酸の回収率を向上させることができる。
前記粗破砕部は、前記生体組織との接触面に複数個の微細有底孔からなることが好ましい。この場合、生体試料に含まれる生体組織が接触部に対して相対的に移動する際に、複数個の微細有底孔に生体組織の表面がひっかかるので、当該生体組織が粗破砕されやすい。
前記流路における前記粗破砕部の下流側で、かつ前記突出構造体アレイの上流側には、前記粗破砕部で粗破砕されていない生体組織を濾別する濾過部をさらに有していることが好ましい。この場合、粗破砕されていない生体組織を除去することができるので、突出構造体アレイでの生体組織からの核酸の分離をより確実に行なうことができる。
前記濾過部は、複数個のピラーからなる複数列のピラー列を有しており、前記複数個のピラーは、隣接するピラーの間の配置間隔が前記生体試料の流れ方向上流から下流に向かって漸次密となるように配置されていることが好ましい。この場合、粗破砕されていない生体組織をより確実に除去することができる。
前記複数個の突出構造体は、前記複数個の突出構造体は、隣接する突出構造体の間の配置間隔が前記生体試料の流れ方向上流から下流に向かって漸次密となるように配置されていることが好ましい。この場合、生体試料が流路の下流側に流れるにしたがって当該生体試料に含まれる生体組織が徐々に破砕される。また、流路の下流側の突出構造体の間から順に、破砕された生体組織による目詰まりが生じる。したがって、かかる構成が採用された流体デバイスによれば、突出構造体アレイにおける上流側の突出構造体の間における粗大な生体組織の目詰まりによって生体試料の流通が短時間で停止するのを抑制することができるので、生体組織をより確実に破砕することができる。
前記突出構造体は、前記生体試料の流れ方向の上流側に向かって尖った尖頭形状を有することが好ましい。この場合、前記突出構造体との接触によってせん断応力が生体組織に与えられやすくなる。したがって、かかる構成が採用された流体デバイスによれば、破砕される生体組織の量を向上させることができ、生体組織からの核酸の回収率をより向上させることができる。
前記流路において、前記生体試料の流れ方向最下流に配置された前記流路の幅方向に隣接する突出構造体の間の配置間隔は、前記生体組織に含まれる細胞の大きさよりも小さい間隔であることが好ましい。この場合、個々の細胞を確実に破砕できるため、細胞からの核の流出の効率を向上させることができる。
前記突出構造体の両端は、前記流路の内面に接していることが好ましい。この場合、流体デバイスの強度を確保することができる。
本発明によれば、簡単な操作で生体組織から核酸を取得することができる新たな手段を提供することができる。
(A)は本発明の一実施形態に係る流体デバイスを模式的に示す概略平面説明図、(B)は本発明の一実施形態に係る流体デバイスを模式的に示す概略側面説明図である。 (A)は粗破砕部を分解した状態を模式的に示す概略斜視説明図、(B)は粗破砕部の要部を模式的に示す概略断面説明図である。 (A)粗破砕部の要部を模式的に示す概略平面説明図、(B)は微細孔有底孔部の一部拡大説明図、(C)はピラー構造部の一部拡大説明図である。 分離部を模式的に示す概略平面説明図である。 回収部の要部を模式的に示す概略断面説明図である。 製造例1で得られた粗破砕部の要部を模式的に示す概略平面説明図である。 製造例2で得られた分離部の一部拡大説明図である。 (A)は製造例3で得られた回収部を分解した状態を模式的に示す概略斜視説明図、(B)は回収部の要部を模式的に示す概略斜視説明図である。 (A)は試験例1において、製造例1で得られた粗破砕部を用いて粗破砕を行なう前の筋組織の状態を示す図面代用写真、(B)は試験例1において、製造例1で得られた粗破砕部を用いて粗破砕を行なった後の筋組織の状態を示す図面代用写真、(C)は図7(B)の一部を拡大した図面代用写真である。 試験例1において、製造例1で得られた粗破砕部を用いて粗破砕を行なった後の組織の粒径分布を調べた結果を示すグラフである。 (A)は試験例2において、1回目の送液時の突出構造体アレイにおける組織の状態を観察した結果を示す図面代用写真、(B)は試験例2において、2回目の送液時の突出構造体アレイにおける組織の状態を観察した結果を示す図面代用写真、(C)は試験例2において、3回目の送液時の突出構造体アレイにおける組織の状態を観察した結果を示す図面代用写真を示す。 試験例2において、3回目の送液後の試料に含まれる組織の粒径分布を調べた結果を示すグラフである。 試験例2において、分離部への送液回数と得られた試料におけるmRNA濃度との関係を調べた結果を示すグラフである。 (A)は試験例3において、ビーズ充填量とRNA回収量との関係を調べた結果を示すグラフ、(B)は試験例3において、分離時間とRNA回収量との関係を調べた結果を示すグラフである。 試験例4において、静置下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量および灌流下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量を調べた結果を示すグラフである。
[用語の説明]
本明細書において、「生体試料」とは、生体組織を含む試料をいう。生体試料は、通常、生体組織を含む。生体組織としては、例えば、筋組織、血液、肝臓組織などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、本明細書において、「生体組織の残渣」とは、生体組織における核酸以外の成分をいう。かかる生体組織の残渣としては、生体組織に含まれる細胞の細胞膜などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
さらに、本明細書において、「核酸」は、デオキシリボ核酸(DNA)およびリボ核酸(RNA)の総称をいう。RNAの概念には、mRNA、tRNAおよびrRNAが包含される。なお、本明細書において、mRNA、tRNAおよびrRNAを含むRNAを「全RNA」ともいう。
[流体デバイスの全体構成]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る流体デバイスを詳細に説明する。図1(A)は本発明の一実施形態に係る流体デバイス1の流路を模式的に示す概略平面説明図、図1(B)は本発明の一実施形態に係る流体デバイス1を模式的に示す概略側面説明図である。
本実施形態に係る流体デバイス1は、図1(A)に示されるように、流路2の中途に、生体組織の粗破砕するための粗破砕部10と、粗破砕後の組織を破砕して当該組織から核酸を分離するための分離部20と、分離された核酸を回収するための回収部30とを備えている。
流路2は、マイクロ流路である。ここで、「マイクロ流路」とは、ガラス製基板、シリコーン樹脂製基板などの基板上に微細加工された溶液を送液可能な溝であって、幅および深さが50μm〜1500μmである溝をいう。流路2は、壁部2aと、壁部2aで囲まれた流路空間とを含む。流路2の端部には、第1インレット5、第2インレット6およびアウトレット7が設けられている。流体デバイス1は、基板3と、基板3の上面に接合された天板4とから構成されている。流体デバイス1は、流体が粗破砕部10、分離部20および回収部30の順に流通し、アウトレット7から排出されるように構成されている。以下において、便宜上、流路2における第1インレット5側を「上流側」、アウトレット7側を「下流」という。基板3の材料としては、例えば、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン樹脂;ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー、シクロオレフィンコポリマーなどの汎用透明エンジニアリングプラスチック;ガラス;フォトレジストなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの材料のなかでは、精密な流路などの形成が容易であることから、ポリジメチルシロキサン、フォトレジストなどが好ましい。天板4の材料としては、例えば、ガラス、シリコーン樹脂、汎用透明エンジニアリングプラスチックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの材料のなかでは、流体デバイス1内の密封度を維持することができ、接合が容易である観点から、ガラス、シリコーン樹脂が好ましい。
流体デバイス1によれば、流路2の中途に、粗破砕部10と、分離部20と、回収部30とを有しているので、生体試料に含まれる生体組織の粗破砕、粗破砕後の組織からの核酸の分離および核酸の回収の一連の操作を1つの流体デバイス1の流路2上で行なうことができる。したがって、流体デバイス1によれば、生体組織からの核酸の単離に際して、当該核酸を分解する酵素との接触などに起因する核酸の回収量の低減を抑制することができる。
また、流体デバイス1は、粗破砕部10の上流側の流路と、分離部20の下流側の流路とが接続されるように、第1インレット5と第2インレット6との間にポンプ9を介して接続された循環流路8を有している。この場合、第2インレット6は、アウトレットとして機能する。循環流路8は、分離部20を通って破砕された生体試料を含む液体を、再度、分離部20に戻す。これにより、突出構造体アレイ22の突出構造体22a間で捕捉される生体組織の量が増加するので、流体デバイス1によれば、生体組織の破砕をより確実に行なうことができ、生体組織から核酸の回収率をより一層向上させることができる。
[粗破砕部]
粗破砕部10は、粗破砕部本体10aと、天板10bと、円筒部10cとから構成されている〔図2(A)参照〕。生体組織の粗破砕を行なう場合、粗破砕部10は、図示しない撹拌子と、例えば、必要により、生体組織を溶解させるための試薬などとともに用いられる。前記生体組織を溶解させるための試薬としては、例えば、タンパク質の溶解性を高める界面活性剤、タンパク質変性剤、酵素溶液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
粗破砕部本体10aは、流体デバイス1の基板3の一部からなる。粗破砕部本体10aは、マイクロパターン11と、マイクロパターン11の上流側に形成されたインレット12に対応する有底孔部10a1および上流側流路13と、マイクロパターン11の下流側に形成された下流側流路15とを有している。粗破砕部本体10aにおいて、マイクロパターン11の外周側には、図示しないチャンバー外流路が形成されている。
マイクロパターン11は、図3(A)に示されるように、生体組織との接触部としての微細有底孔部11aと、濾過部としてのピラー構造部11bとから構成されている。微細有底孔部11aは、図3(B)に示されるように、同心円状に複数列配置された複数個の微細有底孔101から構成されている。このように、微細有底孔部11aは、複数個の微細有底孔101を有しているので、生体試料に含まれる生体組織と微細有底孔部11aとが接触した状態で微細有底孔部11に対して生体組織が相対的に移動することにより、摩擦力によって生体組織が粗破砕される。微細有底孔部11に対する生体組織の相対的な移動は、例えば、図示しないスターラーと撹拌子とを用いることによって行なうことができる。微細有底孔101の直径D1は、粗破砕後に下流側流路15内に導入できる大きさの組織断片を得る観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。なお、微細有底孔101の直径D1の下限は、生体組織を粗破砕するのに適したマイクロパターンの微細加工精度が得られる範囲であればよい。通常、微細有底孔101の直径D1は、微細加工精度の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは20μm以上である。ピラー構造部11bは、図3(C)に示されるように、微細有底孔部11aの外周側に周方向に沿って形成された3列のピラー列16,17,18から構成されている。これにより、微細有底孔部11aで粗破砕された生体組織を含む生体試料は、微細有底孔部11aからピラー構造部11bを経て図示しないチャンバー外流路に向けて流れる。ピラー列16,17,18は、それぞれ、周方向に沿って等間隔に形成された複数個の四角柱状のピラー102からなる。ピラー102の形状は、粗破砕されていない生体組織を捕捉することができる形状であればよい。ピラー102の高さは、粗破砕されていない生体組織を効率よく捕捉する観点から、粗破砕部本体10aと天板10bとを接合させたときに、ピラー102の頂端が天板10bに接合可能な高さであることが好ましい。ピラー列16,17,18それぞれにおけるピラー102間の周方向間隔L,L,Lは、例えば、マイクロパターン11の直径D1とマイクロパターン11によって粗破砕されることによって得られる組織片の大きさなどに応じて適宜決定することができる。前記周方向間隔は、粗破砕されていない生体組織を効率よく捕捉する観点から、通常、L、LおよびLの順で小さくなるように設定されていることが好ましい。これにより、複数個のピラー102は、隣接するピラー102の間の配置間隔が前記生体試料の流れ方向上流から下流に向かって漸次密となるように配置される。周方向間隔Lは、粗破砕されていない生体組織を効率よく捕捉する観点から、好ましくは300μm以上であり、下流側流路15内に導入できる大きさの組織片によるピラー102間の流通が、ピラー102間の周方向間隔よりも大きな組織片によって妨げられるのを抑制する観点から、好ましくは500μm以下である。周方向間隔Lは、周方向間隔Lのピラー102間の間隙から周方向間隔Lのピラー102間の間隙を経て周方向間隔Lのピラー102間の間隙に向かって生体組織が流通するのにしたがって捕捉される組織片の大きさが徐々に小さくなるようにする観点から、好ましくは200μm以上であり、好ましくは400μm以下である。周方向間隔Lは、ピラー102間の周方向間隔よりも大きな組織片によって分離部流路21全体を完全に閉塞することを防ぐ観点から、好ましくは100μm以上であり、周方向間隔Lのピラー102間の間隙から周方向間隔Lのピラー102間の間隙を経て周方向間隔Lのピラー102間の間隙に向かって生体組織が流通するのにしたがって捕捉される組織片の大きさが徐々に小さくなるようにする観点から、好ましくは250μm以下である。ピラー構造部11bは、ピラー102間で粗破砕後の組織のうち、前記周方向間隔を超える粒径を有する組織を捕捉して除去する物理フィルタとして機能することができる。
天板10bは、流体デバイス1の天板4の一部からなる。天板10bは、粗破砕部本体10aのマイクロパターン11に対応する位置に形成された貫通孔部10b1と、インレット12に対応する貫通孔部10b2とを有している(図2参照)。貫通孔部10b1の内径は、粗破砕されていない生体組織をピラー構造部11bで効率よく捕捉する観点からマイクロパターン11のピラー構造部11bの内周よりも小さい径であることが好ましい。
円筒部10cは、図3(B)に示されるように、粗破砕部本体10aのマイクロパターン11の部分と、天板10bの貫通孔部10b1とともに、有底円筒状のチャンバー14を形成している。粗破砕部10の使用時には、チャンバー14内に撹拌子が収容される。円筒部10cの内径は、天板10bの貫通孔部10b1の内径と同様である。円筒部10cの材料としては、例えば、ガラス、高硬度シリコーン樹脂、汎用透明エンジニアリングプラスチックなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
[分離部]
分離部20は、生体組織を捕捉するとともに生体試料の流通によって前記生体組織を破砕し、当該生体組織に含まれる核酸含有成分を当該生体組織から分離する。分離部20は、図4に示されるように、分離部流路21と、突出構造体アレイ22とを含む。
分離部流路21は、流路2の一部であり、基板3上に形成されている。分離部流路21は、上部が天板4によって塞がれており、断面中空形状とされている。分離部流路21の幅Wは、通常、流体デバイスの製造時における微細加工の容易性を確保するとともに、送液に必要な印加圧力が小さくして送液を容易に行なう観点から、好ましくは500μm以上、より好ましくは750μm以上であり、流路の容積を小さくして必要な資料の量を低減させる観点から、好ましくは1500μm以下、より好ましくは1000μm以下である。また、分離部流路21の深さは、通常、送液に要する印加圧力を小さくして送液を容易に行なう観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、流体デバイスの製造時における微細加工の容易性を確保する観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは250μm以下である。
突出構造体アレイ22は、分離部流路21の中途に設けられている。突出構造体アレイ22においては、1または複数個の四角柱状の突出構造体22aが、分離部流路21における生体試料の流れ方向に沿って複数列配置される。また、突出構造体22aは、分離部流路21における生体試料の流れ方向に隣接する列において、分離部流路21の幅方向に互いにずれて配置されている。流体デバイス1に生体試料を流すと、生体試料に含まれる生体組織の一部が、突出構造体アレイ22の突出構造体22aに接触して破砕される。一方、突出構造体22aの一部の間に、生体試料に含まれる生体組織の一部が捕捉され、生体試料の流通に伴なって生体組織が破砕される。また、上流側の列の突出構造体22aの間を通過した生体組織の一部は、下流側の突出構造体22aに接触するか、当該下流側の突出構造体22aの間をさらに通過する。これにより、突出構造体アレイ22においては、一部の突出構造体22aの間で生体組織が適度に目詰まりを起こす一方、一部の突出構造体22aの間で生体試料を適度に流通させることができる。このように、流体デバイス1の分離部20においては、上流側に配置された突出構造体22aの間または流路2の壁部2a(分離部流路21の壁部21a)と当該上流側に配置された突出構造体22aとの間を通過する生体組織が接触するように、下流側の突出構造体22aが配置されていればよい。
本実施形態においては、突出構造体22aは、基板3における流路2の内面に相当する部分から流路2の軸心に向かって垂直方向に延びるように突き出した構造を有している。また、突出構造体22aの上端面は、天板4に接合されている。このように、突出構造体22aの両端は、流路2の内面に接している。したがって、流体デバイス1の強度を確保することができる。
突出構造体22aの対角線長さは、突出構造体22aの強度を確保し、かつ天板4との接合面積を十分に確保する観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、生体組織を捕捉するとともに生体試料の流通によって前記生体組織を破砕するのに十分な個数の突出構造体22aをマイクロ流路内に設ける観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
複数個の突出構造体22aは、分離部流路21の流れ方向に沿って等間隔になるように配置されている。分離部流路21の流れ方向における突出構造体22a間の間隔は、流体デバイスの製造時における微細加工の容易性を確保する観点から、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、生体試料を下流側に流通させやすくする観点から、好ましくは500μm以下、より好ましくは250μm以下である。
また、突出構造体22aは、分離部流路21の幅方向に沿って等間隔に配置されている。また、突出構造体アレイ22において、突出構造体22aは、分離部流路21の上流から下流に向かって分離部流路21の幅方向における複数個の突出構造体22aの配置間隔が漸次密となるように配置されている。これにより、生体試料が流路2の下流側に流れるにしたがって当該生体試料に含まれる生体組織が徐々に破砕される。また、流路2の下流側の突出構造体22aの間から順に、破砕された生体組織による目詰まりが生じる。したがって、流体デバイス1によれば、突出構造体アレイ22における上流側の突出構造体22aの間における粗大な生体組織の目詰まりによって生体試料の流通が短時間で停止するのを抑制することができるので、生体組織をより確実に破砕することができる。
突出構造体アレイ22の流れ方向最下流側において、分離部流路21の幅方向に隣接する突出構造体22aの間の間隔Wは、生体組織の破砕後の残渣の除去を容易にすることができ、生体組織から核酸をより確実に分離することができることから、生体組織に含まれる細胞の大きさよりも小さい間隔であることが好ましい。なお、細胞の大きさは、粒度分布画像解析装置を用いて細胞100個の面積を求め、円面積相当径を算出することによって求めることができる。分離部流路21の幅方向における突出構造体22a間の間隔Wは、通常、流体デバイスの製造時における微細加工の容易性を確保するとともに、送液に必要な印加圧力が小さくして送液を容易に行なう観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、生体組織の破砕をより確実に行ない、生体組織から核酸をより確実に分離する観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
突出構造体22aは、生体試料の流れ方向の上流側に向かって尖った尖頭形状を有する。これにより、突出構造体22aとの接触によって破砕される生体組織の量を向上させることができ、生体組織からの核酸の回収率をより向上させることができる。突出構造体22aの流路軸方向に沿った断面形状は、四角形状に限定されるものではない。突出構造体22aの断面形状が四角形状である場合、生体組織の捕捉を行なうとともに、生体試料に含まれる液体成分の流通を円滑に行うことができることが期待される。
[回収部]
以下において、第1層基材61、第2層基材62、フィルタ66、第3層基材63、第4層基材64および第5層基材65から構成された回収部30を例として挙げて説明するが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。本実施形態において、回収部30は、第1層基材61、第2層基材62、フィルタ66、第3層基材63、フィルタ66、第4層基材64および第5層基材65がこの順に積層された構造を有している。なお、第4層基材64は、天板4の一部である。また、第5層基材65は、基板3の一部である。
回収部30は、図1および図5に示されるように、破砕物流路31と、第2インレット流路32と、マイクロカラム部33と、回収流路35と、回収口36と、担体充填口37と、担体充填流路38とを有している。
破砕物流路31は、分離部20から導出された破砕物をマイクロカラム部33に搬送する流路である。破砕物流路31は、第5層基材65に形成された溝部である。破砕物流路31は、分離部20の分離部流路21およびマイクロカラム部33に接続されている。
第2インレット流路32は、第1層基材61に形成された第2インレット6から第2層基材62、フィルタ66、第3層基材63、フィルタ66および第4層基材64を厚さ方向に貫通する貫通孔と、第5層基材65に形成された溝部とから構成されている。第2インレット流路32は、流体デバイス1の第2インレット6、マイクロカラム部33に接続されている。
マイクロカラム部33は、核酸回収用担体34と、マイクロカラム本体39と、フィルタ66とを含む。
核酸回収用担体34は、マイクロカラム本体39内に配置されている。本実施形態では、核酸回収用担体34は、例えば、温度、pH、イオン強度などの条件に応じて核酸に可逆的に結合または吸着し、かつ他の物質には結合または吸着しない性質を有している。核酸回収用担体34としては、例えば、オリゴ(dT)を含む担体、シリカで表面がコーティングされた担体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。マイクロカラム本体39の容積に対する核酸回収用担体34の実体体積は、核酸を含む流体の流通時にマイクロカラム本体39内で核酸回収用担体34が流動する状態となる体積であることが好ましい。この場合、核酸の回収量を向上させることができる。
マイクロカラム本体39は、図5において、第3層基材63の厚さ方向に貫通した開口部である。マイクロカラム本体39は、核酸を含む液体を内部に流通させて核酸と核酸回収用担体との接触を行なうことができる内径および高さを有していればよい。マイクロカラム本体39の上側の開口部および下側の開口部は、それぞれ、フィルタ66で閉じられている。
フィルタ66は、破砕された生体試料内に含まれる不要物、例えば、細胞膜、神経、血管などを除去する。したがって、フィルタ66は、最小間隔のマイクロピラー間を通過してきた不要物、例えば、細胞膜、神経、血管などを濾別可能な内径を有する微細孔を有しているものであればよい。微細孔の内径は、通常、核酸を含む液体を容易に送液する観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、マイクロカラム本体39内の核酸回収用担体を確実に封止するとともに、不要物を確実に除去する観点から、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。フィルタ66の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ニトロセルロース、セルロースアセテートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。マイクロカラム部33において、フィルタ66は、マイクロカラム本体39の上側の開口部および下側の開口部を閉じるようにマイクロカラム本体39に接合されている。
回収流路35は、マイクロカラム部33で捕捉されなかった夾雑物質およびマイクロカラム部33で捕捉された核酸を回収口36に搬送する流路である。回収流路35は、第1層基材61に形成された溝部と第2層基材62とによって形成されている。回収流路35は、マイクロカラム部33および回収口36に接続されている。
回収口36は、流体デバイス1のアウトレット7として用いられる。
担体充填口37は、マイクロカラム本体39内への核酸回収用担体34の充填の際に用いられる。
担体充填流路38は、担体充填口37から投入された核酸回収用担体34をマイクロカラム部33に搬送する流路である。担体充填流路38は、基材63aに形成されている。
[生体組織からの核酸の単離方法]
つぎに、前述の流体デバイス1を用いて生体組織から核酸を単離する方法について、説明する。本実施形態に係る方法は、
(A)流体デバイス1の粗破砕部10において、生体試料に含まれる生体組織を粗破砕するステップ、
(B)流体デバイス1の分離部20において、粗破砕後の生体組織をさらに破砕するとともに生体組織から核酸を分離するステップ、および
(C)流体デバイス1の回収部30において、核酸を回収するステップ
を含む。生体組織からの核酸の単離は、具体的には、例えば、以下のプロセスによって行なわれる。
まず、粗破砕部10のチャンバー14内に、生体試料と、撹拌子と、必要により、前記生体組織を溶解させるための試薬(以下、「組織溶解試薬」ともいう)とを入れる。生体試料が溶媒を含まず、生体組織のみからなる試料である場合、チャンバー14内に適切な溶媒をさらに入れることができる。このように、チャンバー14内に生体組織と溶媒とを存在させることにより、粗破砕時の摩擦熱の発生を抑制し、熱による核酸の不必要な変性を抑制することができる。
前記溶媒としては、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、滅菌水、ジエチルピロカーボネート(DEPC)処理水、2−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]エタンスルホン酸(HEPES)緩衝液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記組織溶解試薬としては、例えば、タンパク質の溶解性を高める界面活性剤、タンパク質変性剤、酵素溶液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記組織溶解試薬を用いる場合、当該組織溶解試薬の使用量は、生体組織の種類および量によって異なる。したがって、前記組織溶解試薬の使用量は、生体組織の種類および量に応じて適宜決定することが好ましい。
つぎに、例えば、スターラーなどを用いることによってチャンバー14内の撹拌子を回転させ、撹拌子の回転時に当該撹拌子との間に生じる摩擦力によって生体組織を粗く破砕する。このとき、粗破砕後の組織の残渣の一部は、微細有底孔部11aの微細有底孔101内に蓄積される。また、粗破砕後の組織のうち、ピラー102間の周方向間隔を超える粒径を有する組織は、ピラー構造部11bによって捕捉される。
つぎに、流体デバイス1の第1インレット5から流路2を介して粗破砕部10のチャンバー14内に陽圧を負荷するか、または第2インレット6から流路2を介して粗破砕部10のチャンバー14内に陰圧を負荷する。これにより、粗破砕部10のチャンバー14内の粗破砕後の生体組織のうち、マイクロパターン11中のピラー102間の周方向間隔以下の粒径を有する生体組織を含む液体(以下、「粗破砕組織含有液」ともいう)を、図示しないチャンバー外流路を介して分離部20内に搬送させることができる。分離部20内に搬送された粗破砕後の生体組織の一部は、分離部20内を通過する際に、突出構造体アレイ22の突出構造体22aに接触して破砕される。また、粗破砕後の生体組織の一部は、一部の突出構造体22aの間に捕捉される。ここでは、生体試料の流通に伴なって生体組織が破砕される。一方、上流側の列の突出構造体22aの間を通過した生体組織の一部は、下流側の突出構造体22aに接触するか、当該下流側の突出構造体22aの間をさらに通過する。これにより、突出構造体アレイ22においては、生体試料を適度に流通させることができる程度に生体組織が適度に目詰まりを起こす。ここでは、生体試料の流通に伴なって、粗破砕後の生体組織が破砕され、生体組織から核酸が分離される。
つぎに、担体充填口37から担体充填流路38を介してマイクロカラム本体39内に核酸回収用担体34を充填する。その後、流体デバイス1の第2インレット6から流路2に陽圧を負荷する。このとき、突出構造体アレイ22では破砕された組織が目詰まりを起こしているため、分離された核酸を含む液体は、主に、回収部30内に導入される。これにより、核酸をマイクロカラム部33の核酸回収用担体34に捕捉される。一方、分離された核酸を含む液体に核酸以外の夾雑物質が含まれる場合には、当該夾雑物質は、核酸回収用担体34に捕捉されない。したがって、分離された核酸を含む液体を回収部30内に導入させた後、第2インレット6から回収部30に洗浄液を流すことにより、当該夾雑物質をアウトレット7(回収部30の回収口36)から排出させることができる。その後、核酸回収用担体34から所望の核酸を解離させるのに適した解離試薬を第2インレット6から回収部30に流すことにより、核酸回収用担体34に捕捉された所望の核酸をアウトレット7(回収部30の回収口36)から回収することができる。
(製造例1)
シリコン製ウェハ〔直径:7.62cm、厚さ:0.5mm〕の片面にネガ型フォトレジスト〔マイクロケム(Microchem)製、商品名:SU−8 2075〕を所望の塗り厚になるように前記ネガ型フォトレジストの取扱説明書に記載の手順にしたがってスピンコーターで塗布してレジスト塗布基材を得た。前記レジスト塗布基材を取扱説明書に記載の手順にしたがって加熱して前記レジスト塗布基材のフォトレジストを固化させた。その後、前記レジスト塗布基材のフォトレジストに対し、図6に示されるマイクロパターン51に対応するパターンを有するフォトマスクを介して紫外線を照射した。
紫外線照射後の基材をレジスト現像液〔マイクロケム(Microchem)製、商品名:SU−8 Developer〕中に浸漬させることにより、現像を行なった。現像後の基材を水で洗浄後、乾燥させ、前記パターンを有するウエハを得た。前記パターンを有するウエハに離型処理を施し、レプリカモールドを得た。
一方、東レ・ダウコーニング(株)製の商品名:Silpot 184の主剤と硬化剤とを主剤/硬化剤(体積比)が10/1となるように混合した。得られた混合物を前記レプリカモールドに流し込んだ。レプリカモールド中の混合物を120℃で1時間加熱して硬化させ、ポリジメチルシロキサン製の成型体を形成させた。前記成型体をレプリカモールドから離型させた。
プラズマリアクター〔ヤマト科学(株)製、商品名:PR−500〕を用いて前記成型体の酸素プラズマ処理を行なって成形体の表面を活性化させた。
シリコン製ウェハ〔直径:7.62cm、厚さ:0.5mm〕にマイクロパターン11に対応する位置に形成された孔部と、インレット52に対応する位置に形成された孔部とアウトレット56に対応する孔部とを形成させ、天板を得た。
表面が活性化された前記成型体と、天板と、円筒状基材〔内径12mm〕とを接合させ、図6に示される粗破砕部50aを得た。粗破砕部50aは、微細有底孔部51aおよびピラー構造部51bを有するマイクロパターン51、インレット52、インレット流路53、チャンバー54、アウトレット流路55およびアウトレット56を含む。微細有底孔部51aの微細有底孔101の直径は、80μmである。ピラー構造部51bは、図3に示されるマイクロパターン11のピラー構造部11bと同様に、3列のピラー列から構成されている。最内列のピラー列におけるピラー間の周方向間隔〔図3(C)のLに相当〕は300μm、中間列のピラー列におけるピラー間の周方向間隔〔図3(C)のLに相当〕は200μm、最外列のピラー列におけるピラー間の周方向間隔〔図3(C)のLに相当〕は100μmである。
(製造例2)
ガラス製基材〔直径:7.62cm、厚さ:1mm〕の片面にネガ型フォトレジスト〔マイクロケム(Microchem)社製、商品名:SU−8 2075〕を所望の塗り厚になるように、前記ネガフォトレジストに添付の取扱説明書の記載の手順にしたがってスピンコーターで塗布してレジスト塗布基材を得た。前記レジスト塗布基材を前記ネガ型フォトレジストに添付の取扱説明書に記載の手順にしたがって加熱して前記レジスト塗布基材のフォトレジストを固化させた。その後、前記レジスト塗布基材のフォトレジストを、図7に示される分離部20aに対応するパターンを有するフォトマスクを介して紫外線を照射した。
紫外線照射後の基材をレジスト現像液〔マイクロケム(Microchem)製、商品名:SU−8 Developer〕に浸漬させることにより、現像を行なった。現像後の基材を水で洗浄後、乾燥させ、マイクロ流路および突出構造体アレイを有する第1の中間基板を得た。
つぎに、プラズマ装置〔ヤマト科学(株)製、商品名:プラズマリアクターPR−500〕を用いて第1の中間基板のマイクロパターン形成側の表面に酸素プラズマ処理を施して当該表面に水酸基を生成させた。酸素プラズマ処理後の表面の水酸基を、シランカップリング剤である3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いてアミノプロピル基に置換した。
また、プラズマ装置〔ヤマト科学(株)製、商品名:プラズマリアクターPR−500〕を用いてシリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン)からなる天板用基材〔サイズ:20×70mm、厚さ:1mm〕の表面に酸素プラズマ処理を施した。
つぎに、プラズマ処理後の天板用基材とアミノプロピル基導入後の基板とを90℃で1時間加熱しながら接触させて接合させた。その後、マイクロ流路のインレットおよびアウトレットの部分にリザーバーを接着剤で取り付けることにより、分離部20aを得た。
なお、分離部20aは、図7に示されるように、分離部流路21と、突出構造体アレイ22と、インレット23と、アウトレット24とを含む。分離部流路21の幅(図4のW参照)は、1200μmである。また、分離部流路21の深さは、100μmである。突出構造体アレイ22において、突出構造体22aの対角線長さは、100μmである。分離部流路21の流れ方向における突出構造体22a間の間隔(図4のL参照)は、200μmである。複数個の突出構造体22aは、分離部流路21の幅方向に沿って等間隔に配置されている。また、突出構造体アレイ22においては、分離部流路21の上流から下流に向かって分離部流路21の幅方向における複数個の突出構造体22aの配置間隔が漸次密となるように、複数個の突出構造体22aが配置されている。突出構造体アレイ22の流れ方向最下流側において、分離部流路21の幅方向における突出構造体22a間の間隔(図4のW参照)は、8μmである。
(製造例3)
シリコン製ウェハ〔直径:7.62cm、厚さ:1mm〕の片面にネガ型フォトレジスト〔マイクロケム(Microchem)製、商品名:SU−8 2075〕を所望の塗り厚になるように前記ネガ型フォトレジストに添付の取扱説明書に記載の手順にしたがってスピンコーターで塗布してレジスト塗布基材を得た。前記レジスト塗布基材を前記ネガ型フォトレジストに添付の取扱説明書に記載の手順にしたがって加熱して前記レジスト塗布基材のフォトレジストを固化させた。その後、前記レジスト塗布基材のフォトレジストに対し、図8(A)に示される第1層基材61aの流路に対応するパターンを有するフォトマスクを介して紫外線を照射した。
紫外線照射後の基材をレジスト現像液〔マイクロケム(Microchem)製、商品名:SU−8 Developer〕に取扱説明書の記載にしたがって浸漬させることにより、現像を行なった。現像後の基材を水で洗浄後、乾燥させ、前記流路に対応するパターンを有するウエハを得た。前記パターンを有するウエハに離型処理を施し、レプリカモールドを得た。
一方、東レ・ダウコーニング(株)製の商品名:Silpot 184の主剤と硬化剤とを主剤/硬化剤(体積比)が10/1となるように混合した。得られた混合物を前記レプリカモールドに流し込んだ。レプリカモールド中の混合物を120℃で1時間加熱して硬化させ、ポリジメチルシロキサン製の成型体を形成させた。前記成型体をレプリカモールドから離型させ、第1層基材61aを得た。
得られた第1層基材61aは、インレット31aに対応する位置に形成された貫通孔部31a1と、マイクロカラム部33aに対応する位置に形成された有底孔部33a1と、下流側流路35aと、アウトレット36aと、担体充填口37aに対応する位置に形成された貫通孔部37a1とを含む。第1層基材61aの厚さt1は、1mmである。
また、前記において、第1層基材61aの流路に対応するパターンを有するフォトマスクを用いる代わりに、図5(A)の第3層基材63aの流路に対応するパターンを有するフォトマスクを用いたことを除き、第3層基材63aを得た。
得られた第3層基材63aは、インレット31aに対応する位置に形成された貫通孔部31a3と、マイクロカラム部33aに対応する位置に形成された貫通孔部33a3と、担体充填口37aに対応する位置に形成された有底孔部37a3と、担体充填流路38aと、アウトレット36aとを含む。第3層基材63aの厚さt3は、5.5mmである。
さらに、前記において、第1層基材61aの流路に対応するパターンを有するフォトマスクを用いる代わりに、図5(A)の第5層基材65aの流路に対応するパターンを有するフォトマスクを用いたことを除き、第5層基材65aを得た。
得られた第5層基材65aは、インレット31aに対応する位置に形成された有底孔部31a5と、上流側流路32aと、マイクロカラム部33aに対応する位置に形成された有底孔部33a5とを含む。なお、第5層基材65aの厚さt5は、1mmである。
一方、両面接着フィルム〔サイズ:20×70mm、厚さ:0.1mm〕に、図8(A)に示されるように、貫通孔部31a2,33a2,37a2を形成し、第2層基材62aを得た。また、両面接着フィルムに、図8(A)に示されるように、貫通孔部31a4および33a4を形成し、第4層基材64aを得た。貫通孔部31a2,31a4は、インレット31aに対応する位置に形成されている。貫通孔部33a2,33a4は、マイクロカラム部33aに対応する位置に形成されている。貫通孔部37a2は、担体充填口37aに対応する位置に形成されている。
メンブレンフィルタ〔厚さ:0.01mm、孔径:0.8μm〕から4.5mmの直径の円板を切り抜き、フィルタ66a,66aを得た。
上から、第1層基材61a、第2層基材62a、フィルタ66a、第3層基材63a、フィルタ66a、第4層基材64aおよび第5層基材65aをこの順に積層し、回収部30aを得た〔図8(B)参照〕。
回収部30aは、インレット31aと、上流側流路32aと、マイクロカラム部33aと、下流側流路35aと、アウトレット36aと、アウトレット36aと、担体充填口37aと、担体充填流路38aとを含む。
(試験例1)
ラットの腹直筋塊から、筋組織片20mgを分取した。得られた筋組織片を製造例1で得られた粗破砕部50aのチャンバー54内に入れた。その後、チャンバー54内に撹拌子を置いた。チャンバー54内に純水3mLを入れた後、粗破砕部50aをマグネチックスターラ上に載置した。マグネチックスターラを用いてチャンバー54中の撹拌子を500rpmで30秒間回転させ、筋組織片の粗破砕を行ない、組織粗破砕液を得た。得られた組織粗破砕液に含まれる組織を観察した。また、組織の粒径は、破砕組織を顕微鏡下で観察することによって測定した。また、粗破砕後の組織の平均粒径を求めた。なお、平均粒径は、同顕微鏡の同倍率下で得たスケール画像から換算することによって得られた値である。
試験例1において、粗破砕前の筋組織片を観察した結果を図9(A)、粗破砕後の組織を観察した結果を図9(B)、図9(B)の粗破砕後の組織を光学顕微鏡で観察した結果を図9(C)に示す。図9(A)および(B)中、スケールバーは、5mmを示す。また、図9(C)中、スケールバーは、50μmを示す。また、粗破砕後の組織の粒径分布を調べた結果を図10に示す。
図9に示された結果から、粗破砕後の筋組織片は、直径100μm未満に破砕されていることがわかる。また、図10に示された結果から、粗破砕後の組織の粒径は、30μm以上40μmが最も多くなっていることがわかる。粗破砕後の組織の平均粒径は、49.7μmであった。
(試験例2)
試験例1で得られた組織粗破砕液400μLを製造例2で得られた分離部20aのインレット23から流速0.27mL/minで分離部流路21に送液し、アウトレット24から回収した(送液1回目)。回収された試料を前記と同じインレット23に戻し、流速0.27mL/minで分離部流路21に送液し、アウトレット24から回収した(送液2回目)。さらに、2回目の送液後に回収された試料を前記と同じインレット23に戻し、分離部流路21に流速0.27mL/minで送液し、アウトレット24から回収した(送液3回目)。1回目の送液時、2回目の送液時および3回目の送液時の分離部20aの突出構造体アレイ22における組織の状態を観察した。また、送液前の組織粗破砕液、1回目送液後の試料、2回目の送液後の試料および3回目送液後の試料それぞれのmRNA濃度を、超微量分光光度計〔サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(Thermo Fisher Scientific)製、商品名:Nano drop 2000〕を用いて測定した。回収された試料に含まれる組織の粒径を試験例1と同様の操作を行なうことによって測定した。さらに、3回目の送液後に回収された試料に含まれる組織の平均粒径を求めた。
試験例2において、1回目の送液時の分離部20aの突出構造体アレイ22における組織の状態を観察した結果を図11(A)、2回目の送液時の分離部20aの突出構造体アレイ22における組織の状態を観察した結果を図11(B)、3回目の送液時の分離部20aの突出構造体アレイ22における組織の状態を観察した結果を図11(C)に示す。図11中、スケールバーは100μmを示す。また、試験例2において、3回目の送液後の試料に含まれる組織の粒径分布を調べた結果を図12に示す。さらに、試験例2において、分離部への送液回数と得られた試料におけるmRNA濃度との関係を調べた結果を図13に示す。
図11に示された結果から、送液回数が増えるほど、突出構造体アレイ22の突出構造体22aの間に捕捉される破砕組織の量が増えることがわかる。また、図11に示された結果から、1回目の送液時における圧力は20kPa、2回目の送液時における圧力は100kPa、3回目の送液時における圧力は250kPaであることがわかる。したがって、これらの結果から、分離部20aへの送液回数が増えるほど、送液の際に要する圧力が増えることがわかる。
また、図12に示された結果から、組織破砕液を分離部20aに供することにより、組織破砕液を分離部20aに供する前と比べ、粒径30μm以上の組織が減り、粒径15μm以下の組織が増加していることがわかる。
さらに、図13に示された結果から、分離部20aへの送液回数が増えるほど、mRNA濃度が増加していることがわかる。
(試験例3)
(1)mRNA含有試料の調製
mRNA精製用ビーズ〔(株)ベリタス製、商品名:Dynabeads Oligo(dT)〕付属の緩衝液〔Tris binding/lysis buffer〕400μLにラットの腹直筋20mgとジルコニアビーズ〔アズワン(株)製、商品名:ジルコニアボール、直径2.8mm〕10個とを入れた。得られた混合物を3000rpmで1分間振動させることにより腹直筋を破砕し、mRNA含有試料を得た。
(2)mRNAの回収
前記mRNA精製用ビーズ〔濃度:5μgビーズ/μL〕3μLを製造例3で得られた回収部30aの担体充填口37aから担体充填流路38aを介してマイクロカラム部33a内に充填した。つぎに、インレット31aおよびアウトレット36aのそれぞれに送液用チューブを挿入し、当該送液用チューブをマイクロチューブポンプ〔アズワン(株)製、商品名:SMP−21AS〕にセットした。その後、試験例3(1)で得られたmRNA含有試料100μLをインレット31aから流速20μL/minで5分間(分離時間)送液し、mRNA含有試料に含まれるmRNAをmRNA精製用ビーズに吸着させた。つぎに、前記mRNA精製用ビーズ付属の洗浄緩衝液100μLをインレット31aから流速20μL/minで5分間送液し、マイクロカラム部33a内のmRNA精製用ビーズを洗浄した。その後、前記mRNA精製用ビーズ付属の解離緩衝液100μLをインレット31aから流速20μL/minで5分間送液することにより、マイクロカラム部33a内のmRNA精製用ビーズからmRNAを解離させ、アウトレット36aからmRNA溶液を回収した。
また、前記において、マイクロカラム部33a内に充填されるmRNA精製用ビーズの量を3μLとする代わりに、マイクロカラム部33a内に充填されるmRNA精製用ビーズの量を10μL、20μL、35μLまたは50μLとしたことを除き、前記と同様の操作を行ない、mRNA溶液を回収した。
また、前記において、マイクロカラム部33a内に充填されるmRNA精製用ビーズの量を3μLとし、分離時間を5分間とする代わりに、マイクロカラム部33a内に充填されるmRNA精製用ビーズの量を20μLとし、かつ3分間、5分間または10分間としたことを除き、前記と同様の操作を行ない、mRNA溶液を回収した。
回収されたmRNA溶液100μLに含まれるmRNA量を、前記超微量分光光度計を用いて測定した。
試験例3において、ビーズ充填量とRNA回収量との関係を調べた結果を図14(A)、試験例3において、分離時間とRNA回収量との関係を調べた結果を図14(B)に示す。
図14(A)に示された結果から、ビーズ充填量が多いほど、RNA回収量が増加することがわかる。また、図14(B)に示された結果から、分離時間が長いほど、RNA回収量が増加することがわかる。
(試験例4)
(1)mRNA含有試料の調製
mRNA精製用ビーズ〔(株)ベリタス製、商品名:Dynabeads Oligo(dT)〕付属の緩衝液〔Tris binding/lysis buffer〕400μLに筋組織20mgとジルコニアビーズ〔アズワン(株)製、商品名:ジルコニアボール、直径2.8mm〕10個とを入れた。得られた混合物を3000rpmで10分間振動させた。さらに、得られた混合物を200×gで10分間の遠心分離に供してmRNA含有試料として上澄み液を得た。
(2)静置下でのmRNAの吸着
ウェルプレートのウェルに前記mRNA精製用ビーズ〔濃度:5μgビーズ/μL〕35μLと試験例4(1)で得られたmRNA含有試料400μLとを入れた。得られた混合物を10分間静置させた後、前記mRNA精製用ビーズ付属の洗浄緩衝液100μLでmRNA精製用ビーズを2回洗浄した。その後、前記mRNA精製用ビーズ付属の解離緩衝液100μLをmRNA精製用ビーズに接触させ、当該mRNA精製用ビーズからmRNAを解離させて、mRNA溶液を回収した。
(3)流動下でのmRNAの吸着
前記mRNA精製用ビーズ〔濃度:5μgビーズ/μL〕35μLを製造例3で得られた回収部30aの担体充填口37aから担体充填流路38aを介してマイクロカラム部33a内に充填した。つぎに、インレット31aおよびアウトレット36aのそれぞれに送液用チューブを挿入し、当該送液用チューブをマイクロチューブポンプ〔アズワン(株)製、商品名:SMP−21AS〕にセットした。その後、インレット31aおよびアウトレット36aの間において、試験例4(1)で得られたmRNA含有試料400μLを流速240μL/minで10分間循環させ、mRNA含有試料に含まれるmRNAをmRNA精製用ビーズに吸着させた。つぎに、前記mRNA精製用ビーズ付属の洗浄緩衝液100μLをインレット31aから流速20μL/minで5分間送液し、マイクロカラム部33a内のmRNA精製用ビーズを洗浄した。洗浄は、2回行なった。その後、前記mRNA精製用ビーズ付属の解離緩衝液100μLをインレット31aから流速20μL/minで5分間送液することにより、マイクロカラム部33a内のmRNA精製用ビーズからmRNAを解離させ、アウトレット36aからmRNA溶液を回収した。
(3)mRNA回収量の測定
試験例4(2)および試験例4(3)で回収されたmRNA溶液100μLに含まれるmRNA量を、前記超微量分光光度計を用いて測定した。
試験例4において、静置下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量および灌流下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量を調べた結果を図15に示す。図中、レーン1は灌流下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量、レーン2は静置下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量を示す。
図15に示された結果から、灌流下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量は、静置下でmRNA精製用ビーズにRNAを吸着させたときのmRNA回収量と比べて顕著に多いことがわかる。したがって、流体デバイスにおいて、回収部へのmRNA含有試料の送液および回収部外への排出を行なうことができる流路を設けて、回収部内におけるmRNA含有試料を流動させることにより、RNA回収量を向上させることができることが示唆される。
(試験例5)
(1)流体デバイスの作製
製造例1で得られた粗破砕部50aの下流に製造例2で得られた分離部20aを接続した流体デバイスを作製した。
(2)生体組織からのmRNAの回収およびmRNA回収量の測定
筋組織片20mgおよびmRNA精製用ビーズ〔(株)ベリタス製、商品名:Dynabeads Oligo(dT)〕付属の緩衝液〔Tris binding/lysis buffer〕300μLを試験例5(1)で得られた流体デバイスの粗破砕部50aのチャンバー54内に入れた。つぎに、チャンバー54内に撹拌子を置いた後、粗破砕部50aをマグネチックスターラ上に載置した。マグネチックスターラを用いてチャンバー54中の撹拌子を500rpmで30秒間回転させ、筋組織片の粗破砕を行なった。粗破砕部50aで得られた組織破砕液をそのまま分離部20aに送液した。分離部20aの下流側で試料を回収した。得られた試料100μLに前記mRNA精製用ビーズ〔濃度:5μgビーズ/μL〕20μLを添加した。得られた混合物を10分間静置させた後、前記mRNA精製用ビーズ付属の洗浄緩衝液100μLでmRNA精製用ビーズを2回洗浄した。その後、前記mRNA精製用ビーズ付属の解離緩衝液100μLをmRNA精製用ビーズに接触させ、溶液を回収した(実験番号:1)。
一方、筋組織片20mgおよびmRNA精製用ビーズ〔(株)ベリタス製、商品名:Dynabeads Oligo(dT)〕付属の緩衝液〔Tris binding/lysis buffer〕300μLを製造例2で得られた分離部20のインレット23から流速0.27mL/minで分離部流路21に送液し、アウトレット24から試料を回収した。得られた試料100μLに前記mRNA精製用ビーズ〔濃度:5μgビーズ/μL〕20μLを添加した。得られた混合物を10分間静置させた後、前記mRNA精製用ビーズ付属の洗浄緩衝液100μLでmRNA精製用ビーズを2回洗浄した。その後、前記mRNA精製用ビーズ付属の解離緩衝液100μLをmRNA精製用ビーズに接触させ、溶液を回収した(実験番号:2)。
粗破砕部と分離部とを併用することによって得られた実験番号:1の溶液100μLおよび粗破砕部を用いず、分離部を単独で用いることによって得られた実験番号:2の溶液100μLそれぞれに含まれるmRNA量を、前記超微量分光光度計を用いて測定した。その結果を表1に示す。
表1に示された結果から、粗破砕部と分離部とを併用した場合には、250ngのmRNAを回収できたのに対し、粗破砕部を用いず、分離部を単独で用いた場合には、検出可能な量のmRNAを得ることができないことがわかる。したがって、流体デバイスにおいて、粗破砕部と分離部とを併用することにより、RNA回収量を格段に向上させることができることが示唆される。
1 流体デバイス
2,21 流路
2a,21a 壁部
10,50a 粗破砕部
20,20a 分離部
22 突出構造体アレイ
22a 突出構造体
30,30a 回収部

Claims (10)

  1. 生体組織から核酸を単離するための流体デバイスであって、
    壁部と当該壁部によって囲まれた流路空間とを含み、前記生体組織を含む生体試料を流通可能な流路と、
    前記流路の中途に設けられ、前記生体組織との接触部に凹凸構造を有し、前記生体組織と前記接触部とが接触した状態での当該接触部に対する生体組織の相対的な移動によって当該生体組織を粗破砕する粗破砕部と、
    前記流路の壁部から前記流路空間に突き出した複数個の突出構造体が、前記流路における生体試料の流れ方向に沿って、当該流路の前記粗破砕部の下流側に配置された突出構造体アレイと、
    を備えており、
    前記突出構造体アレイにおいて、前記流路における生体試料の流れ方向に沿って、上流側に配置された突出構造体の間または前記流路の壁部と当該上流側に配置された突出構造体との間を通過する生体組織が接触するように、下流側の突出構造体が配置されていることを特徴とする流体デバイス。
  2. 前記流路は、前記突出構造体アレイを流通した生体試料を当該突出構造体アレイに循環させる循環流路をさらに有している請求項1に記載の流体デバイス。
  3. 前記流路において、前記突出構造体アレイよりも下流側に、生体組織から分離された核酸を回収する回収部をさらに備える請求項1または2に記載の流体デバイス。
  4. 前記粗破砕部の凹凸構造は、前記生体組織との接触面に複数個の微細有底孔からなる凹凸構造である請求項1〜3のいずれかに記載の流体デバイス。
  5. 前記流路における前記粗破砕部の下流側で、かつ前記突出構造体アレイの上流側に、粗破砕されていない生体組織を濾別する濾過部をさらに有している請求項1〜4のいずれかに記載の流体デバイス。
  6. 前記濾過部は、複数個のピラーからなる複数列のピラー列を有しており、前記複数個のピラーは、隣接するピラーの間の配置間隔が前記生体試料の流れ方向上流から下流に向かって漸次密となるように配置されている請求項5に記載の流体デバイス。
  7. 前記複数個の突出構造体は、隣接する突出構造体の間の配置間隔が前記生体試料の流れ方向上流から下流に向かって漸次密となるように配置されている請求項1〜6のいずれかに記載の流体デバイス。
  8. 前記流路において、前記生体試料の流れ方向最下流に配置された前記流路の幅方向に隣接する突出構造体の間の配置間隔は、前記生体組織に含まれる細胞の大きさよりも小さい間隔である請求項1〜7のいずれかに記載の流体デバイス。
  9. 前記突出構造体は、前記生体試料の流れ方向の上流側に向かって尖った尖頭形状を有する請求項1〜8のいずれかに記載の流体デバイス。
  10. 前記複数個の突出構造体の両端は、前記流路の内面に接している請求項1〜9のいずれかに記載の流体デバイス。
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