以下、一実施形態を、図1ないし6を参照して説明する。
図1ないし図6に示すように、照明装置(照明器具)10は、停電時などの非常時に点灯する非常灯などの非常用照明装置である。この照明装置10は、天井面などの設置面に直付設置される直付形器具構造に構成されている。
照明装置10は、器具本体(シャーシ)11と、この器具本体11の下面に配設される本体ユニット12、端子台13および電池ユニット14と、器具本体11を覆う化粧枠であるカバー15と、このカバー15を器具本体11に取り付けるための一対のばね受金具16a,16bおよび一対のばね17a,17bなどを備えている。
そして、器具本体11は、例えば、金属製で、円板状に形成されている。器具本体11の中央には設置面側から電源線を引き込むための配線孔20が形成され、器具本体11の周辺部には天井に対してねじで固定するための取付孔を有する複数の取付部21が形成されている。
器具本体11の下面周辺部で器具本体11の中心に対して対称となる2箇所の位置には、一対のばね17a,17bをそれぞれ取り付けるための一対のばね取付金具22がねじ23によってそれぞれ取り付けられている。ばね取付金具22は、同一形状であって、共通部品によって構成されている。ばね取付金具22は、器具本体11の下面に例えばスポット溶接およびねじ止めによって固定される固定部24を有している。この固定部24の一側縁(器具本体11の中央側に対向する一側縁)の中央から略U字形に規制部25が折曲されているとともに、その一側縁の両端側から略L字状に立上部26がそれぞれ折曲されている。固定部24から立上部26に亘って保持部27がそれぞれ切り起こされ、これら固定部24と立上部26と保持部27との間にばね17a,17bの端部が挿通されるばね保持溝28が設けられている。
また、本体ユニット12は、放熱器31、光源部32および電源部33を有し、これらが一体的に組み合わされて構成されている。放熱器31および光源部32は器具本体11の中央部に配置されているとともに光源部32は放熱器31の下部に配置され、電源部33は放熱器31の側部に配置されている。
放熱器31は、例えばアルミダイカスト製で、ねじ止めによって器具本体11の下面中央に固定されているとともに熱的に接続されている。
光源部32は、放熱器31の下部に配置される発光モジュール34、およびこの発光モジュール34から放射された光の配光を制御するレンズ35などを有している。発光モジュール34は、例えば、基板の表面に発光素子としての複数のLEDが実装されているとともにこれらLEDが蛍光体層で一体に覆われたCOB(Chip On Board)モジュールが用いられている。また、レンズ35は、透明なガラス製または樹脂製で、一体に形成されている。レンズ35は、裏面側に凹状の入射面が設けられ、表面側に凸状の出射面が設けられており、発光モジュール34からの光を所定の配光として照明空間に出射する。
電源部33は、一対のばね17a,17bとは交差する方向において放熱器31の側部に配設されている。電源部33は、電源回路(図示せず)、およびこの電源回路を収容する電源ケース36を有している。電源回路は、端子台13から商用交流電源などの外部電源を入力する。電源回路は、外部電源により電池ユニット14(電池部37)を充電する充電回路、外部電源の停電を検出する停電検出回路、停電検出時に電池ユニット14(電池部37)の電源で発光モジュール34を点灯させる点灯回路、電池ユニット14(電池部37)の状態および発光モジュール34の状態などを点検する点検回路などを有している。さらに、電源回路は、電源部33の下部に配設される点検スイッチ、モニタランプ、受信部および送信部を有している。点検スイッチは、外部からの操作によって点検回路による点検動作を開始させる。モニタランプは、充電中、点検回路の点検動作およびこの点検回路による点検結果を表示する。受信部は、図示しないリモコンなどの端末から赤外線などの無線によって送信されてくる信号を受信するものであり、受信する信号には点検モードの開始を指令する点検信号や時間情報などが含まれている。送信部は、赤外線などの無線によって信号を端末に送信するものであり、送信する信号には点検結果の履歴などが含まれている。
また、端子台13は、一対のばね17a,17bとは交差する方向において電源部33とは反対側で器具本体11の下面に配設されている。端子台13は、電源部33に対して内部配線によって電気的に接続されており、電源部33に電源供給するための電源線が接続される。
また、電池ユニット14は、一対のばね17a,17bとは交差する方向において電源部33の側部に配設されている。電池ユニット14は、電池部(蓄電池またはバッテリ)37、器具本体11の下面に取り付けられる電池取付金具38、および電池部37を電池取付金具38に着脱可能に保持する電池固定ばね39を備えている。電池部37は、例えば、ニカド電池、ニッケル水素電池、あるいはリチウム電池などの充電可能な電池である。電池部37は、電源部33の電源回路に接続され、電源回路の充電回路から供給される電力によって充電されるとともに、非常時に電源回路の点灯回路に電力を供給する。
また、カバー15は、例えば金属製で、上面が開口した有底円筒状に形成されている。すなわち、カバー15は、円筒状の周面部41、およびこの周面部41の下側を閉塞する円板状の底面部42を有し、上面が開口されている。
カバー15の内側には、一対のばね受金具16a,16bが固定される一対のばね受金具固定部43が設けられている。一対のばね受金具固定部43は、カバー15の中心に対して対称となる2箇所の位置でかつ周面部41および底面部42の内面にそれぞれ設けられている。
底面部42には、中央に光源部32のレンズ35が挿通される光源用開口44が形成されているとともに、この光源用開口44の側部に点検用開口45および信号用開口46が形成されている。点検用開口45は、電源部33の点検スイッチおよびモニタランプに対向される。信号用開口46は、電源部33の受信部および送信部に対向される。
底面部42には、一対のばね受金具16a,16bの固定位置つまり一対のばね受金具固定部43に、ばね受金具16a,16bを嵌合固定する嵌合固定部47がそれぞれ設けられている。嵌合固定部47は、一対の略L字形の固定片部48が底面部42の径方向に沿って互いに平行に対向するように、底面部42の上面側に切り起し形成されている。なお、各固定片部48が切り起こし形成された底面部42には孔が開口するが、カバー15の下面にはこの孔部分を閉塞するように例えば製品情報などを表示したラベルが貼り付けられるため、孔部分が隠蔽されて外観が良好に保たれる。
また、一対のばね受金具16a,16b(第1ばね受金具16a、第2ばね受金具16b)は、例えば金属製で、同一形状であって、共通部品によって構成されている。ばね受金具16a,16bは、カバー15の周面部41の内面に沿って固定される周面固定部51、および底面部42の内面(上面)に沿って固定される底面固定部52を有し、一体に形成されている。なお、図1には一対のばね受金具16a,16bの形状を表すために一対のばね受金具16a,16bがカバー15から分離した状態を示すが、実際には一対のばね受金具16a,16bはカバー15に固定されている。
周面固定部51の上部には、ばね17a,17bと係合するばね受部53a,53bが設けられている。なお、以下、第1ばね17aと係合する一方のばね受部53aを第1ばね受部53a、第2ばね17bと係合する他方のばね受部53bを第2ばね受部53bと呼ぶ。
ばね受部53a,53bは、周面固定部51の両側の上端側に設けられた一対のばね受片54を有し、これら一対のばね受片54間にばね17a,17bが挿入される係合溝55が形成されている。なお、一対のばね受金具16a,16bは同一形状であるため、これら一対のばね受金具16a,16bが有する一対のばね受部53a,53bも同一形状に形成されている。
一対のばね受片54は、カバー15の中央側に向けて突出するように周面固定部51の両側から折曲された突出部56、および互いに対向するようにこれら突出部56の先端から折曲された爪部57を有している。突出部56の先端および爪部57は、上側が下側よりもカバー15の中央側に向けて突出するように斜めに設けられている。そして、ばね受部53a,53bの内側つまり一対のばね受片54間に係合溝55が形成され、この係合溝55はばね17a,17bが挿入されねる上方を含む上下方向に障害物がなく開口されている。一対のばね受片54の先端間つまり一対の爪部57間は、開口され、係合溝55に連通されている。
周面固定部51の両側には、ばね受片54よりも上方において、ばね17a,17bを一対のばね受片54間の係合溝55に案内するための一対のガイド部58が設けられている。一対のガイド部58は、一対のばね受片54よりも周面固定部51から側方に突出する延長部59、およびこの延長部59からカバー15の中央側に向けて突出するガイド片60を有している。
底面固定部52は、カバー15の一対の固定片部48間に嵌合されている。底面固定部52の中央には、底面固定部52を一対の固定片部48間に嵌合挿入する際に操作するための操作部61が切り起こされている。
そして、ばね受金具16a,16bは、底面固定部52がカバー15の一対の固定片部48間に嵌合され、周面固定部51がカバー15の周面部41に例えばスポット溶接などの溶接によって固定されている。
また、一対のばね17a,17bは、異なる形状に形成されている。以下、一方のばね17aを第1ばね17a、他方のばね17bを第2ばね17bと呼ぶ。
ばね17a,17bは、例えばステンレスなどの金属製の弾性を有する線材つまり線ばねによって構成されている。ばね17a,17bは、先端側がループ状に屈曲された略U字状に形成されている。すなわち、ばね17a,17bは、先端部71、およびこの先端部71から設けられた両側部72を有する略U字状に形成されている。
ばね17a,17bの両側部72の基端側には、器具本体11のばね取付金具22に取り付けられる取付部73がそれぞれ設けられている。これら取付部73は、両側部72から互いに反対となる外側方に向けて折曲されており、ばね取付金具22の規制部25と保持部27との間からばね保持溝28にそれぞれ挿入されている。取付部73がばね保持溝28に挿入された状態では、取付部73を中心としてばね17a,17bが回動可能となっているとともに、両側部72が規制部25と保持部27とに当接する範囲内で横方向(両側部72の幅が拡大、縮小する方向)の移動が可能となっている。
ばね17a,17bの両側部72の上下方向中間位置には、互いに反対となる外側方に向けて突出するように折曲された突出部74が設けられている。ばね17a,17bがばね取付金具22に取り付けられた状態での両側部72の突出部74間の最大幅は、ばね受部53a,53bの係合溝55の幅よりも広くなっている。そして、第1ばね17aの突出部74は、第2ばね17bの上下方向の全長の略中間位置よりも上方に位置し、また、第2ばね17bの突出部74は、第1ばね17aの上下方向の全長の略中間位置に位置している。そのため、図4および図5に示すように、器具本体11の下面から第1ばね17aの突出部74までの距離Aは、器具本体11の下面から第2ばね17bの突出部74までの距離Bよりも小さい関係を有している。なお、図4および図5はばね17a,17bがばね受部53a,53bに係合した状態での関係を示しているが、ばね17a,17bがばね受部53a,53bに係合していない状態でも同じ関係を有している。
ばね17a,17bの両側部72の突出部74よりも先端側には、係合溝55に挿入するための挿入部75が設けられている。挿入部75は、先端側に向かうほど幅が狭まるように傾斜されており、その先端間の幅はばね受部53a,53bの係合溝55の幅よりも狭くなっている。
ばね17a,17bの両側部72の突出部74よりも基端側には、ばね受部53a,53bとの係合でカバー15を上方の器具本体11に向けて付勢する係合部76が設けられている。係合部76は、突出部74から基端側の取付部73に向かうほど幅が狭まるように傾斜されている。
ばね17a,17bの先端部71は、両側部72の挿入部75の先端間を接続するように平ら状(直線状)に設けられている。
そして、第2ばね17bの両側部72には、突出部74を境に下側の挿入部75と上側の係合部76とが形成されている。
第1ばね17aの両側部72には、突出部74の上側に係合部76が形成されているが、突出部74と挿入部75との間に、第2ばね17bには設けられていない傾斜部77、嵌り部78および係止部79がそれぞれ設けられている。
傾斜部77は、突出部74から先端側に向かうほど幅が狭まるように傾斜されている。
嵌り部78は、両側部72の嵌り部78が略平行状となるように、傾斜部77の下端と係止部79との間に設けられており、第1ばね受部53aのばね受片54の内側に嵌り込み可能とされている。
係止部79は、嵌り部78の下端と挿入部75の上端との間に横方向に設けられており、第1ばね受部53aの下部が引っ掛かった状態にその第1ばね受部53aを係止可能としている。係止部79は、嵌り部78の下端に連続する係止部79の内端側が、挿入部75の上端に連続する係止部79の外端側よりも下降するように傾斜されている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
照明装置10の設置時には、設置面から引き出されている電源線を器具本体11の配線孔20に通して端子台13に接続し、この器具本体11を設置面にねじ止め固定する。
続いて、カバー15の一対のばね受部53a,53b(一対のばね受金具16a,16b)を器具本体11から垂下する一対のばね17a,17bの位置に合わせ、カバー15を器具本体11へ向けて押し上げる。このとき、一対のばね受部53a,53b(一対のばね受金具16a,16b)と一対のばね17a,17bとの位置が多少ずれていても、ばね受部53a,53bの上方に配置されているガイド部58によって、ばね受部53a,53bの係合溝55にばね17a,17bを導くことができる。
カバー15を器具本体11へ向けて押し上げていくと、ばね受部53a,53bの係合溝55にばね17a,17bの先端部71および挿入部75が挿入されていく。ばね受部53a,53bがばね17a,17bの挿入部75に接触することにより、ばね17a,17bは両側部72の間隔が狭まるように弾性変形しながらばね受部53a,53bの係合溝55に挿入されていく。
図3および図4に示すように、カバー15が器具本体11に対して所定の距離の位置(仮吊り位置)まで近付くと、第1ばね受部53aが第1ばね17aの挿入部75を乗り越えて上方に移動すると、第1ばね17aのばね力によって両側部72の間隔が広がり、係止部79が第1ばね受部53aの下側に移動し、嵌り部78が第1ばね受部53aの内側に嵌り込む。このとき、図5に示すように、第2ばね17bは、両側部72の間隔が狭まるように弾性変形した状態で、突出部74が第2ばね受部53bの内側に位置している。
さらに、カバー15を器具本体11に向けて押し上げると、第1ばね受部53aが第1ばね17aの傾斜部77に接触し、第1ばね17aは両側部72の間隔が狭まるように弾性変形しながら第1ばね受部53aの係合溝55に挿入されていく。
図2に示すように、カバー15の押し上げに伴って、第2ばね受部53bが第2ばね17bの突出部74を乗り越えて上方に移動し、その後、さらなるカバー15の押し上げに伴って、第1ばね受部53aが第1ばね17aの突出部74を乗り越えて上方に移動し、これらばね受部53a,53bがばね17a,17bの係合部76にそれぞれ接触する。ばね受部53a,53bがばね17a,17bの係合部76にそれぞれ接触することにより、ばね17a,17bのばね力によって両側部72の間隔が広がりながらばね受部53a,53bを上方に引き上げ、つまりカバー15を器具本体11に引き上げる。
ばね17a,17bによって器具本体11に引き上げられるカバー15は、底面部42が本体ユニット12の下面に当接して止まる取付状態となり、ばね17a,17bの付勢によって器具本体11への取付状態に保持される。
そして、外部電源が照明装置10に供給されている通常時には、電源部33の電源回路の充電回路が外部電源によって電池部37を充電する。この通常時には、発光モジュール34に点灯電流は供給されず、発光モジュール34は消灯状態にある。なお、電源回路が常時点灯回路を備える場合には、外部電源が供給される常時点灯回路によって所定の点灯電流を発光モジュール34に供給し、発光モジュール34を点灯させるようにしてもよい。
また、照明装置10に供給されていた外部電源の停電時などの非常時には、電源部33の電源回路の停電検出回路が外部電源の停電を検出し、電池部37から電源が供給される電源回路の点灯回路によって所定の点灯電流を発光モジュール34に供給することにより、発光モジュール34(発光素子)が点灯する。点灯した発光モジュール34からの光は、レンズ35によって所定の配光となって照明空間に照射される。
また、通常時において、点検スイッチを操作すると、電源回路の点検回路による点検モードを開始し、電池部37の寿命などの状態、発光モジュール34の故障などの状態の点検動作を行い、点検結果をモニタランプの表示状態で表示する。
また、リモコンなどの端末からの点検信号を受信部が受信した場合にも、電源回路の点検回路による点検モードを開始し、電池部37の寿命などの状態、発光モジュール34の故障などの状態の点検動作を行い、点検結果を送信部から端末に対して送信する。
そして、電池部37の寿命などによる電池部37の交換について説明する。
図2において、カバー15をばね17a,17bの付勢に抗して引き下げる。カバー15を引き下げていくと、ばね17a,17bの係合部76にそれぞれ接触しているばね受部53a,53bによって、ばね17a,17bの両側部72の間隔が狭まるように弾性変形しながら、ばね受部53a,53bがばね17a,17bの突出部74の外側に移動する。
図3および図4に示すように、カバー15を器具本体11に対して所定の距離の位置(仮吊り位置)まで引き下げると、第1ばね受部53aが第1ばね17aの突出部74を乗り越えて下方に移動し、第1ばね受部53aが第1ばね17aの傾斜部77に接触し、第1ばね17aのばね力によって両側部72の間隔が広がりながら、第1ばね受部53aを下降させる。第1ばね受部53aは第1ばね17aの係止部79に当接して下降が規制され、第1ばね受部53aの内側に第1ばね17aの嵌り部78が嵌り込む。そのため、第1ばね受部53aは、第1ばね17aに対して下降が阻止された状態に保持される。
このカバー15が器具本体11から所定の距離の位置(仮吊り位置)に離れた状態では、図5に示すように、第2ばね17bは、両側部72の間隔が狭まるように弾性変形した状態で、突出部74が第2ばね受部53bの内側に位置している。これは、距離A<距離Bの関係から、器具本体11の下面から第2ばね17bの突出部74までの距離Bが、器具本体11の下面から第1ばね17aの突出部74までの距離Aよりも大きいことによるものである。このように、第1ばね受部53aが第1ばね17aによって係止された位置で、第2ばね受部53bの内側に第2ばね17bの突出部74が位置していて、第2ばね受部53bが第2ばね17bのばね力によって上方または下方のいずれにも付勢されていない状態にあるため、カバー15が不用意に下降したり上昇することがない。
さらに、カバー15が器具本体11から所定の距離の位置(仮吊り位置)に離れた状態から、カバー15を引き下げようとすると、第1ばね受部53aが第1ばね17aに係止されたカバー15の側部は下降が規制されるが、反対側の側部は下降し、第2ばね受部53bが第2ばね17bの突出部74を乗り越えて下方に移動し、第2ばね受部53bが第2ばね17bの挿入部75に接触し、第2ばね17bのばね力によって両側部72の間隔が広がりながら第2ばね受部53bを下降させる。
図6に示すように、第2ばね受部53bが第2ばね17bから外れ、カバー15は第1ばね17aを介して斜めに吊下げられた状態となる。これにより、器具本体11の下面側が開口され、電池ユニット14が露出される。
したがって、カバー15は、器具本体11から完全に外れることがなく、第1ばね17aによって器具本体11に仮吊り状態にあるため、カバー15を床面に置くなどの作業が不要で、電池交換作業を容易に行うことができる。
そして、電池固定ばね39を外して電池部37を電池取付金具38から取り外し、電池部37と電源部33とのコネクタなどによる配線接続を解除した後、交換する新たな電池部37と電源部33とをコネクタなどによる配線接続し、その新たな電池部37を電池固定ばね39で電池取付金具38に固定する。このとき、電池ユニット14は、一対のばね17a,17bに対して交差する位置に配置されているため、電池部37の交換作業に一対のばね17a,17bが邪魔になるのを防止できる。
電池交換後は、第1ばね17aを支点としてカバー15を上方に回動させ、第2ばね受部53bの係合溝55を第2ばね17bの先端部71および挿入部75が挿入する。第2ばね受部53bが第2ばね17bの挿入部75に接触することにより、第2ばね17bは両側部72の間隔が狭まるように弾性変形しながら第2ばね受部53bの係合溝55に挿入される。
そして、上述した設置時と同様に、カバー15の全体を器具本体11に向けて押し上げると、第1ばね受部53aが第1ばね17aの傾斜部77に接触し、第1ばね17aは両側部72の間隔が狭まるように弾性変形しながら第1ばね受部53aの係合溝55に挿入されていく。
図2に示すように、カバー15の押し上げに伴って、第2ばね受部53bが第2ばね17bの突出部74を乗り越えて上方に移動し、その後、さらなるカバー15の押し上げに伴って、第1ばね受部53aが第1ばね17aの突出部74を乗り越えて上方に移動し、これらばね受部53a,53bがばね17a,17bの係合部76にそれぞれ接触する。ばね受部53a,53bがばね17a,17bの係合部76にそれぞれ接触することにより、ばね17a,17bのばね力によって両側部72の間隔が広がりながらばね受部53a,53bを上方に引き上げ、つまりカバー15を器具本体11に引き上げる。
ばね17a,17bによって器具本体11に引き寄せられるカバー15は、底面部42が本体ユニット12の下面に当接して止まる取付状態となり、ばね17a,17bの付勢によって取付状態に保持される。
以上のように、本実施形態の照明装置10によれば、一対のばね受部53a,53bは、同一形状とし、また、一対のばね17a,17bは、一方の第1ばね17aのみが係止部79を有する異なる形状とし、一対のばね受部53a,53bにそれぞれ係合されて、カバー15が器具本体11に取り付けられる状態にカバー15を器具本体11に付勢し、かつ、カバー15が器具本体11から所定の距離に離れる状態で、一方の第1ばね受部53aには係止部79が係止され、他方の第2ばね受部53bからは外れるため、設置時のカバー15の取付作業や電池交換時のカバー15の開閉作業の作業性を良好にできる。
例えば、一対のばね受部53a,53bのいずれかにばね17a,17bの引掛り部を設けた場合、カバー15を器具本体11に取り付ける作業時において、ばね17a,17bをばね受部53a,53bに挿入する際、引掛り部がばね17a,17bの挿入の障害となって、作業性に支障が生じるが、第1ばね17aが係止部79を有することにより、ばね17a,17bをばね受部53a,53bに挿入する際の挿入の障害がなく、作業性を良好にできる。
また、第1ばね17aが有する係止部79を突出部74と挿入部75との間に設けているため、カバー15を器具本体11から所定の距離まで離したときに、第1ばね17aによってカバー15を仮吊りすることができる。
また、係止部79は、嵌り部78の下端に連続する係止部79の内端側が、挿入部75の上端に連続する係止部79の外端側よりも下降するように傾斜されているため、第1ばね受部53aを確実に係止することができる。
また、器具本体11の下面から第1ばね17aの突出部74までの距離Aは、器具本体11の下面から第2ばね17bの突出部74までの距離Bよりも小さい関係を有しているため、第1ばね受部53aが第1ばね17aによって係止された位置で、第2ばね受部53bの内側に第2ばね17bの突出部74が位置していて、第2ばね受部53bが第2ばね17bのばね力によって上方または下方のいずれにも付勢されていない状態にあるため、カバー15が不用意に下降したり上昇するのを防止できる。
なお、本実施形態では、直付形の照明装置について説明したが、器具本体を天井面などの設置面に埋め込み設置する埋込形の照明装置にも適用することができる。この埋込形の照明装置の場合には、器具本体にばね受部を設け、器具本体の下面を覆うカバーにばねを取り付けてもよい。さらに、この場合、ばね受部は、ばね取付金具を別途用いるのではなく、器具本体に一体に設けてもよい。
また、本実施形態では、非常灯構造の照明装置について説明したが、一般照明用の照明装置にも適用でき、例えば器具本体の下面に取り付けるセードやグローブなどの取付構造などにも適用することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。