JP6741158B2 - 散乱推定方法および画像処理装置 - Google Patents
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Description
本発明は、散乱推定方法および画像処理装置に関し、特に、陽電子放射断層撮影装置の計測データにおける散乱推定方法および画像処理装置に関する。
従来、陽電子放射断層撮影装置の計測データにおける散乱推定方法および画像処理装置が知られている。このような散乱推定方法は、たとえば、特許文献1および非特許文献1に開示されている。
一般に、陽電子放射断層撮影装置では、撮影する際に被写体内で放射線が散乱することにより、得られる画像にノイズが含まれることがある。そこで、上記特許文献1および上記非特許文献1のように、散乱推定を行い、計測データに対して散乱補正を行う。散乱推定としては、放射線が被写体内で1度だけ散乱した場合を想定した単一散乱分布の推定が行われる。また、放射線の散乱には、放射線が被写体内で複数回散乱する多重散乱も含まれる。
上記非特許文献1には、散乱推定方法として、単一散乱分布のコンボリューションとしてモデル化された多重散乱分布の推定方法が開示されている。すなわち、上記非特許文献1では、単一散乱分布をコンボリューションする(畳込み演算する)ことによって多重散乱分布を模擬する(シミュレートする)ことにより、散乱補正を行っている。
上記特許文献1には、単一散乱分布および多重散乱分布に対して最小二乗法によってフィッティングすることにより、振幅および幅を変動させたコンボリューションカーネルを用いて多重散乱分布を推定する方法が開示されている。すなわち、上記特許文献1では、直接多重散乱分布を推定することにより、散乱補正を行っている。
しかしながら、上記非特許文献1に開示されているコンボリューション関数のパラメータは、経験的に決定されるパラメータである。このため、パラメータが適切でない場合は、推定結果と実測値とに誤差が生じる。推定結果と実測値とに誤差が生じると、散乱線の影響を十分に除去することができず、得られる画像にノイズが発生したり、散乱補正が過剰に行われることによって、得られる画像に白抜け部分が生じるといった不都合が生じる。
また、上記特許文献1に開示されている散乱推定方法では、コンボリューションカーネルと多重散乱分布とのフィッティングを行うことにより、コンボリューションカーネルのパラメータを決定する。上記特許文献1の手法によって、多重散乱分布を推定するためには、計算コストがかかり、単一散乱分布から多重散乱分布を模擬する場合と比較して、散乱推定を行う時間が長くなるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、散乱推定にかかる時間を短縮することが可能であるとともに、散乱補正に起因する画質の低下を抑制することが可能な散乱推定方法および画像処理装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、散乱推定に用いるコンボリューションカーネルを決定する際に、コンボリューションカーネルを変化させると散乱線指標値が変化し、得られる画像の画質が変化するという知見を得た。この知見に基づき、この発明の第1の局面における散乱推定方法は、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得するステップと、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとから放射能画像を生成するステップと、放射能画像と吸収係数データとから放射能画像における放射線の単一散乱分布を推定するステップと、放射能画像の散乱線指標値に基づいて、単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定するステップと、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布を、陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるステップとを含む。なお、本明細書において、「コンボリューションカーネル」とは、畳込み処理を行うフィルタ関数の事であり、「コンボリューションフィルター」と同義である。また、「放射能画像」は、被写体内の放射線源を示す画像である。また、「吸収係数データ」とは、被写体内の構造を示す画像データである。したがって、放射能画像と吸収係数データとから、放射線の単一散乱分布を推定することができる。
この発明の第1の局面による散乱推定方法では、上記のように、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得するステップと、放射能画像を生成するステップと、放射能画像における放射線の単一散乱分布を推定するステップと、放射能画像の散乱線指標値に基づいて単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定するステップと、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布を、陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるステップとを含む。これにより、多重散乱分布を直接推定することなく、単一散乱分布を用いて多重散乱分布を模擬することができる。また、単一散乱分布を平滑化する際に用いるコンボリューションカーネルを、経験的に決定されるパラメータを用いるのではなく、放射能画像の散乱線指標値によって決定することができる。したがって、放射能画像に適切なコンボリュ―ションカーネルを用いて単一散乱分布から多重散乱分布を模擬することが可能となるので、推定結果と実測値との間に誤差が生じるのを抑制することができる。その結果、散乱推定にかかる時間を短縮することが可能であるとともに、散乱補正に起因する画質の低下を抑制することができる。
上記第1の局面による散乱推定方法において、好ましくは、散乱線指標値は、散乱フラクションであり、コンボリューションカーネルを決定するステップは、コンボリューションカーネルを特徴づける複数のパラメータを用いて平滑化を行った放射能画像の各々の散乱フラクションの比較結果に基づいて、コンボリューションカーネルを決定する。ここで、本願発明者は、コンボリュ―ションカーネルのパラメータを変化させた際の画像の変化が、散乱フラクションの変化に基づくという知見を得た。また、本願発明者は、散乱フラクションを比較することにより、容易にコンボリュ―ションカーネルの適切なパラメータを決定することができるという知見を得た。したがって、上記のように構成すれば、コンボリューションカーネルのパラメータを変動させて平滑化した放射能画像の各々の散乱フラクションを比較することにより、容易にコンボリューションカーネルを決定することができる。
この場合、好ましくは、コンボリューションカーネルを決定するステップは、複数のパラメータの変化に伴う散乱フラクションの変化の大きさに基づいて、コンボリューションカーネルを決定する。ここで、本願発明者は、コンボリュ―ションカーネルのパラメータの変化に伴う散乱フラクションの変化が大きい場合、得られる画像中のノイズが低減されているという知見を得た。したがって、上記のように構成すれば、より容易にコンボリューションカーネルを決定することができる。
上記第1の局面による散乱推定方法において、好ましくは、放射能画像と吸収係数データとから、単一散乱分布を推定するステップは、単一散乱シミュレーション法により単一散乱分布を推定する。このように構成すれば、放射能画像と吸収係数データとから、容易に放射線の単一散乱分布を推定することができる。なお、単一散乱シミュレーション法とは、放射能画像と吸収係数データとから被写体内の散乱分布を推定する方法である。
上記第1の局面による散乱推定方法において、好ましくは、放射能画像と吸収係数データとから、単一散乱分布を推定するステップは、モンテカルロシミュレーション法により単一散乱分布を推定する。このように構成しても、単一散乱シミュレーション法を用いて単一散乱分布を推定する場合と同様に、容易に放射線の単一散乱分布を推定することができる。なお、モンテカルロシミュレーションとは、乱数を用いたシミュレーションを反復することより、近似解を得る方法である。
上記第1の局面による散乱推定方法において、好ましくは、コンボリューションカーネルは、分散に関するパラメータによって特定される重み付け分布を規定し、単一散乱分布の平滑化は、コンボリューションカーネルを用いた加重平均フィルタによって行う。このように構成すれば、分散に関するパラメータによって重み付け分布を変化させたコンボリューションカーネルを用いて、放射線の単一散乱分布から放射線の多重散乱分布を模擬することができる。その結果、多重散乱分布を直接推定する場合と比較して、処理時間を短縮することが可能となる。また、実際に測定したデータを用いてコンボリューションカーネルのパラメータを決定しているため、経験的にパラメータを決定する方法と比較して、適切なコンボリュ―ションカーネルを用いて多重散乱分布を模擬できる。その結果、散乱補正の精度を向上させることができる。
この発明の第2の局面における画像処理装置は、制御部と、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得する画像データ取得部とを備え、制御部は、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとから放射能画像を生成し、放射能画像と吸収係数データとから単一散乱分布を推定し、放射能画像の散乱線指標値に基づいて、単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定し、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布を、陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるように構成されている。
この発明の第2の局面による画像処理装置では、上記のように、制御部と、画像データ取得部とを備え、制御部は、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとから放射能画像を生成し、放射能画像と吸収係数データとから単一散乱分布を推定し、放射能画像の散乱線指標値に基づいて、単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定し、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布を、陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるように構成されている。これにより、多重散乱分布を直接推定することなく、単一散乱分布を用いて多重散乱分布を模擬することができる。また、単一散乱分布を平滑化する際に用いるコンボリューションカーネルを、経験的に決定されるパラメータを用いるのではなく、放射能画像の散乱線指標値によって決定することができる。したがって、放射能画像に適切なコンボリュ―ションカーネルを用いて単一散乱分布から多重散乱分布を模擬することが可能となるので、推定結果と実測値との間に誤差が生じるのを抑制することができる。その結果、散乱推定にかかる時間を短縮することが可能であるとともに、散乱補正に起因する画質の低下を抑制することができる。
本発明によれば、上記のように、散乱推定にかかる時間を短縮することが可能であるとともに、散乱補正に起因する画質の低下を抑制することが可能な散乱推定方法および画像処理装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
(画像処理装置の構成)
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態による画像処理装置2を含む陽電子放射断層撮影システム100の構成について説明する。
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態による画像処理装置2を含む陽電子放射断層撮影システム100の構成について説明する。
図1に示すように、陽電子放射断層撮影システム100は、陽電子放射断層撮影装置1と、画像処理装置2と、表示部3とを含む。
陽電子放射断層撮影装置1は、撮影ユニット10が設けられている。また、撮影ユニット10は、筐体部11を含む。
また、陽電子放射断層撮影装置1は、複数の検出器12を備えている。具体的には、複数の検出器12は、筐体10内部に配置されている。また、複数の検出器12は、被写体Oを取り囲むように配置されている。各検出器12は、被写体Oから放出された放射線を検出する。また、各検出器12は、検出した放射線を電気信号に変換し、制御部20に送信するように構成されている。なお、本実施形態では、被写体Oには、あらかじめ放射性標識試薬が投与されており、各検出器12は、被写体Oから放出された放射線を検出する。放射性標識試薬は、たとえば、18F−FDG(フルオロデオキシグルコース)などである。
図2は、画像処理装置2の全体構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像処理装置2は、制御部20と、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得する画像データ取得部21と、記憶部22とを備える。
制御部20は、画像データ取得部21によって取得された陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとから、放射能画像5(図8参照)を生成するように構成されている。また、制御部20は、生成した放射能画像5と吸収係数データとから、単一散乱分布を推定するように構成されている。また、制御部20は、推定した単一散乱分布から、多重散乱分布を模擬するように構成されている。制御部20は、CPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)などを含む。なお、制御部20が散乱推定を行う構成については、後述する。
画像データ取得部21は、陽電子放射断層撮影装置1で取得された陽電子放射断層撮影計測データおよび断層撮影装置(CT装置)などで取得された被写体Oの形態データから変換された吸収係数データを取得するように構成されている。なお、吸収係数データは、核磁気共鳴画像撮影装置(MRI装置)で取得されたデータから変換されたデータを用いてもよい。
記憶部22は、制御部20が放射線の散乱推定を行う際に使用するプログラムなどを記憶するように構成されている。記憶部22は、HDD(ハードディスクドライブ)などを含む。
表示部3は、制御部20によって生成された放射能画像5を表示するように構成されている。表示部3は、液晶モニタなどを含む。
図3は、図1中における陽電子放射断層撮影装置1の筐体部11の200−200線に沿った断面図である。図3に示すように、検出器12は、筐体部11の内部において、円周状に配置されている。被写体Oの線源から互いに反対方向に放出される一対の放射線が線源を挟んで対向して配置される一対の検出器12により検出される。なお、図3においては、便宜上、検出器12が配置されている仮想円の中心を中心4として図示している。また、図3において、仮想円の半径をdとして図示している。また、図3において、中心4と検出器12との角度をαとして図示している。
図4は、検出器12で検出される放射線のカウント数(放射線の強度)を示すグラフPD、グラフSDおよびグラフTである。図4のグラフは、横軸が放射線源からの距離であり、縦軸が放射線のカウント数である。グラフPDは、検出器12で検出される放射線のカウント数と放射線源からの距離との関係を示すグラフである。グラフSDは、検出器12で検出される放射線のうち、散乱線に由来する放射線のカウント数と放射線源からの距離との関係を示すグラフである。グラフTは、グラフPDからグラフSDを除去したグラフである。すなわち、グラフTは、検出器12で検出される放射線のうち、散乱線を除去した放射線のカウント数と放射線源からの距離との関係を示すグラフである。
放射線は、被写体Oの内部を通過する際、被写体Oの内部の組織等によって散乱するため、実際に検出器12で検出される放射線の分布はグラフTおよびグラフSDが合成されたグラフPDに示すような分布となる。したがって、被写体Oから放出された放射線を得るためには、検出器12で検出された信号から、グラフSDに示すような散乱線を除去する散乱補正を行う必要がある。
散乱線には、被写体Oの内部の組織等で1回散乱を起こした単一散乱線と、被写体Oの内部で複数回散乱を起こした多重散乱線とが含まれる。本実施形態では、制御部20は、放射能画像5と吸収係数データとから、単一散乱シミュレーション法により、単一散乱分布を推定する。その後、制御部20は、推定した単一散乱分布から、多重散乱分布を考慮した散乱分布(グラフSD)の推定を行うことにより、散乱補正を行うように構成されている。なお、単一散乱シミュレーション法とは、放射能画像5と吸収係数データとから被写体Oの内部の散乱分布(グラフSD)を推定する方法である。
(散乱推定を行う方法)
次に、図5〜図9を参照して、本実施形態における散乱推定方法について説明する。
次に、図5〜図9を参照して、本実施形態における散乱推定方法について説明する。
まず、図5を参照して、本実施形態における散乱推定方法の流れを説明する。
ステップS1において、画像データ取得部21は、陽電子放射断層撮影計測データおよび吸収係数データを取得する。取得されるデータ形式は、リストデータ形式、サイノグラム形式などあるが、どのような形式のデータでもよい。また、使用するデータは、2次元データおよび3次元データのいずれのデータでもよい。
次に、ステップS2において、制御部20は、陽電子放射断層撮影計測データおよび吸収係数データから、放射能画像5を生成する。放射能画像5の生成手法は、どのような手法を用いてもよいが、たとえば、制御部20は、再構成技法(FBP)、逐次近似再構成技法(OSEM、MLEM)などを用いて放射能画像5を生成するように構成されている。また、制御部20は、放射能画像5を生成する際に、少なくとも、感度補正、偶発同時計数補正、吸収補正を適用するように構成されている。偶発同時計数補正は、遅延同時計数法、シングル計数による推定法など、公知技術を用いて行われる。また、制御部20は、放射能画像5を生成する際に、ノイズ低減処理を行うように構成されている。ノイズ低減処理としては、たとえば、ガウシアンフィルタやNon−Local Means Filterを適用してもよい。また、ノイズ低減処理は、投影データに適用する事前処理、再構成中の処理、および再構成後の事後処理のいずれのタイミングにおいて行ってもよい。次に、ステップS3に進む。
ステップS3において、制御部20は、生成した放射能画像5と取得した吸収係数データとから、単一散乱分布を推定する。次に、ステップS4において、放射能画像5の散乱線指標値SFに基づいて単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定する。なお、放射能画像5の散乱線指標値SFとは、検出器12で検出される全放射線のうち、散乱線に由来する放射線の割合であり、具体的には、散乱フラクションRFである。
次に、ステップS5において、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布(グラフSD)をスケーリングして、陽電子放射断層撮影計測データの裾部分にフィッティングさせる。なお、スケーリングの方法は、吸収係数データ(吸収係数画像)から生成される吸収係数サイノグラムに対して閾値処理を行い、物体内外の領域を決定する。その後、物体外領域に関心領域(ROI)を設定し、ROI中のカウント数が計測データに一致するように決定される。また、スケーリングは、スライス毎に行われるが、スライス毎でなくてもよい。
次に、ステップS6において、陽電子放射断層撮影データからフィッティングさせた散乱分布(グラフSD)を除き、放射能画像5を再構成する。
(コンボリュ―ションカーネルを決定する方法)
次に、図6および図7を参照して、制御部20がコンボリュ―ションカーネルを決定する方法について説明する。
次に、図6および図7を参照して、制御部20がコンボリュ―ションカーネルを決定する方法について説明する。
図6(A)に示すように、本実施形態では、制御部20は、陽電子放射断層撮影データと吸収係数データとから、放射能画像5を生成する。また、制御部20は、生成した放射能画像5から、単一散乱シミュレーション法によって、放射能画像5の単一散乱を推定するように構成されている。
具体的には、制御部20は、以下の式(1)によってモデル化された散乱分布(グラフSD)を用いて散乱補正を行うように構成されている。
ここで、Sは多重散乱を考慮した散乱分布(グラフSD)である。また、Ssは、単一散乱分布である。また、rは、検出器12の半径方向の順序を表す数である。また、θは、検出器12が配置されている角度方向の順序を表す数である。また、zは、スライス方向の順序を表す数である。すなわち、zは、被写体Oの体軸方向にステップさせた際の順序を表す数である。また、kはコンボリュ―ションカーネルである。
また、本実施形態では、コンボリューションカーネルは、分散に関するパラメータP(図7(E)参照)によって特定される重み付け分布を規定する。単一散乱分布の平滑化は、コンボリューションカーネルを用いた加重平均フィルタによって行われる。すなわち、本実施形態では、制御部20は、コンボリュ―ションカーネルとして、加重平均フィルタを用いて単一散乱分布を平滑化し、多重散乱分布を考慮した散乱分布(グラフSD)を求めるように構成されている。加重平均フィルタは、たとえば、ガウシアン関数(ガウシアンフィルタ)であり、以下の式(2)によって示される。
ここで、σは、ガウシアン関数の標準偏差である。
本実施形態では、制御部20は、コンボリューションカーネルを特徴づける複数のパラメータPを用いて平滑化を行った放射能画像5の各々の散乱フラクションRFの比較結果に基づいて、コンボリューションカーネルを決定する。具体的には、制御部20は、複数のパラメータPの変化に伴う散乱フラクションRFの変化の大きさに基づいて、コンボリューションカーネルを決定する。本実施形態において、コンボリュ―ションカーネルを特量付けるパラメータPとは、上記式(2)中のσのことである。また、パラメータPは、図7(E)に示すグラフSDの標準偏差(σ)である。
また、制御部20は、単一散乱分布にパラメータPを変化させたコンボリュ―ションカーネルを適用することにより、複数の放射能画像5を再構成するように構成されている。具体的には、図6(B)に示すように、制御部20は、パラメータP1〜P5を適用したコンボリュ―ションカーネルを用いて、複数の放射能画像5を再構成する。本実施形態では、パラメータP1〜P5は、所定値間隔で増加するように設定されている。また、多重散乱分布は単一散乱分布よりも広い範囲に分布することが知られているため、パラメータP1は、平滑化を行わない場合のコンボリュ―ションカーネルのパラメータPよりも大きい値に設定されることが好ましい。
また、制御部20は、隣接する放射能画像5から散乱フラクションRFを求めるように構成されている。なお、散乱フラクションRFとは、検出器12で検出される全放射線のうち、散乱線に由来する放射線の割合を示す値であり、以下の式(3)によって求めることができる。
ここで、iは平滑化パラメータPの順序を示す数である。また、Siは、推定した散乱同時計数である。また、Pcは計測した即発同時計数データ,RDはランダム計数データである。
図6(C)は、パラメータPをP1〜P5に設定して再構成した放射能画像5の散乱フラクションをプロットしたグラフ6である。グラフ6の横軸はパラメータの値(bin値)であり、縦軸は散乱フラクションである。図6(C)に示すように、制御部20は、各散乱フラクションRF1〜RF5をプロットしたグラフ6を生成するように構成されている。図6(C)における散乱フラクションRF1〜RF5は、それぞれ、パラメータP1〜P5で再構成した放射能画像5における散乱フラクションRFの値である。図6(C)に示すように、パラメータPが大きくなるにつれて、散乱フラクションRFは減少していることがわかる。なお、binの長さは、約8mmである。
また、制御部20は、各散乱フラクションRFの差分値Qを取り、図7(D)に示すグラフ7を作成するように構成されている。なお、散乱フラクションRFの差分値Qは隣接する散乱フラクションRFのうち、パラメータPの順序を表す数(上記式(1)のi)が小さいもから大きいもの差分を取った値であり、以下の式(4)によって求めることができる。
ここで、dSFiは、散乱フラクションRFの差分値Qである。
図7(D)のグラフ7に示すように、散乱フラクションRFの差分値Qは、上に凸形状を有するグラフとなる。制御部20は、散乱フラクションRFの差分値Qが最大(極大)となる際のパラメータPをコンボリュ―ションカーネルに適用するパラメータP(σ)とするように構成されている。なお、パラメータPの数が多すぎると各散乱フラクションRFの差分値Qの差が小さくなり、ノイズなどに起因して適切なパラメータPを選択することが困難となる可能性がある。また、パラメータPの数が少なすぎると実際に散乱フラクションRFの差分値Qが最大となる範囲を含まなくなり、適切なパラメータPを選択できない可能性がある。したがって、パラメータPの個数は、被写体Oの大きさによって多少変動するが、おおむね5個前後に設定することが好ましい。
制御部20は、図7(E)に示すように、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布(グラフSD)をスケーリングして、陽電子放射断層撮影計測データの裾部分にフィッティングさせるように構成されている。具体的には、制御部20は、計測データに対して閾値処理を行い、物体内外の領域を決定する。その後、制御部20は、物体外領域に関心領域(ROI)を設定し、ROI中のカウント数が計測データに一致するように散乱分布(グラフSD)をスケーリングして、陽電子放射断層撮影計測データの裾部分にフィッティングさせるように構成されている。
また、制御部20は、陽電子放射断層撮影データからフィッティングさせた散乱分布(グラフSD)を除き、放射能画像5を再構成するように構成されている。
以下、本実施形態におけるコンボリュ―ションカーネルの最適なパラメータPを決定する方法に関する知見を得た実施例について説明する。
[第1実施例]
図8を参照して、第1実施例によるコンボリュ―ションカーネルを特徴づけるパラメータPを決定した実験について説明する。
図8を参照して、第1実施例によるコンボリュ―ションカーネルを特徴づけるパラメータPを決定した実験について説明する。
第1実施例では、腹部を撮影した放射能画像5に対して、パラメータPを変化させて散乱補正を行い、複数の放射能画像5を再構成し、複数の放射能画像5を比較することにより最適なコンボリュ―ションカーネルを決定した。
図8(A)は、腹部を撮像した際のコンボリュ―ションカーネルのパラメータを変化させて散乱補正を行い、再構成した放射能画像5を示す図である。図8(A)中の行(D)に示す画像は、腹部のアキシャル(体軸断面)画像であり、行(E)に示す画像は、腹部のコロナル(冠状断面)画像である。図8(B)は、コンボリュ―ションカーネルのパラメータを変化させた際の放射能画像5における散乱フラクションの変化を示したグラフ6である。図8(B)において、横軸はコンボリュ―ションカーネルのパラメータであり、縦軸は散乱フラクションである。図8(C)は、コンボリュ―ションカーネルのパラメータPを変化させた際の散乱フラクションの差分値を示すグラフ7である。図8(C)において、横軸はコンボリュ―ションカーネルのパラメータであり、縦軸は散乱フラクションの差分値である。
第1実施例では、図8(A)に示すように、パラメータPを、平滑化なし、5.0bin、7.5bin、10bin、15binおよび20binに設定して放射能画像5を再構成した。また、平滑化なしとは、パラメータPを1.5binに設定して散乱補正を行うことである。
図8(A)に示す例では、パラメータPを、平滑化なし、5.0binおよび7.5binに設定して再構成した放射能画像5は、過剰に散乱補正がかかり、画像の輪郭がぼやけたり、画像中に白抜け部分がみられた。また、パラメータPを15binおよび20binに設定して再構成した放射能画像5は、散乱補正が十分に行えず、画像中にノイズが発生していた。
また、放射能画像5のそれぞれから散乱フラクションRFを求めたところ、図8(B)に示すような関係が得られた。また、各散乱フラクションRFの差分値Qを取り、図8(C)に示すようなグラフ7を作成した。
図8(C)に示すグラフ7と図8(A)の放射能画像5とに基づき、各放射能画像5を比較すると、散乱フラクションRFの差分値Qが大きくなるにつれて放射能画像5の画質の良くなり、散乱フラクションRFの差分値Qが最大となる時の画像が、最も画質が良いことが分かった。
なお、第1実施例では、図8に示すように、パラメータPを10binに設定した場合に、画像の輪郭がはっきり表示されるとともに、白抜け部分が見られず、また、ノイズが少ないという結果が得られた。すなわち、第1実施例では、パラメータPを10binに設定した場合に最も画質が良いという結果が得られた。
[第2実施例]
次に、図9を参照して、第2実施例によるコンボリュ―ションカーネルを特徴づけるパラメータPを決定した実験について説明する。
次に、図9を参照して、第2実施例によるコンボリュ―ションカーネルを特徴づけるパラメータPを決定した実験について説明する。
第2実施例では、第1実施例と同様の方法により、骨盤部における放射能画像50から最適なコンボリュ―ションカーネルを特徴づけるパラメータPを求めた。
図9(A)は、骨盤部を撮像した際のコンボリュ―ションカーネルのパラメータPを変化させて散乱補正を行い、再構成した放射能画像50を示す図である。図9(A)中の行(D)に示す画像は、骨盤部のアキシャル(体軸断面)画像であり、行(E)に示す画像は、骨盤部のコロナル(冠状断面)画像である。図9(B)は、コンボリュ―ションカーネルのパラメータを変化させた際の放射能画像50における散乱フラクションの変化を示したグラフ60である。図9(B)において、横軸はコンボリュ―ションカーネルのパラメータであり、縦軸は散乱フラクションである。図9(C)は、コンボリュ―ションカーネルのパラメータを変化させた際の散乱フラクションの差分値を示すグラフ70である。図9(C)において、横軸はコンボリュ―ションカーネルのパラメータであり、縦軸は散乱フラクションの差分値である。
第2実施例では、図9(A)に示すように、パラメータPを、平滑化なし(1.5bin)、5.0bin、7.5bin、10bin、15binおよび20binに設定して放射能画像50を再構成した。
第2実施例では、図9に示すように、パラメータPを、平滑化なし(1.5bin)、5.0bin、7.5binおよび10binに設定して再構成した放射能画像50は、過剰に散乱補正がかかり、画像中に白抜け部分がみられた。また、パラメータPを20binに設定して再構成した放射能画像50は、散乱補正が十分に行えず、画像中にノイズが発生していた。図9に示す例では、パラメータPを15binに設定した場合に、白抜け部分が見られず、また、ノイズが少ないという結果が得られた。すなわち、第2実施例では、パラメータPを15binに設定した場合に最も画質が良いという結果が得られた。
上記実施例の他に、合計20例ほどの実験を行った。いずれの実験においても、散乱フラクションRFの差分値Qが最大となるパラメータPにおいて、得られる放射能画像5の画質が最もよくなるという結果が得られた。
(実施形態の効果)
本発明の実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、散乱推定方法は、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得するステップと、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとから放射能画像5(放射能画像50)を生成するステップと、放射能画像5(放射能画像50)と吸収係数データとから放射能画像5(放射能画像50)における放射線の単一散乱分布を推定するステップと、放射能画像5(放射能画像50)の散乱線指標値SFに基づいて、単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定するステップと、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布(グラフSD)を、陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるステップとを含む。これにより、多重散乱分布を直接推定することなく、単一散乱分布を用いて多重散乱分布を模擬することができる。また、単一散乱分布を平滑化する際に用いるコンボリューションカーネルを、経験的に決定されるパラメータPを用いるのではなく、放射能画像5(放射能画像50)の散乱線指標値SFによって決定することができる。したがって、放射能画像5(放射能画像50)に適切なコンボリュ―ションカーネルを用いて単一散乱分布から多重散乱分布を模擬することができる。その結果、散乱推定にかかる時間を短縮することが可能であるとともに、散乱補正に起因する画質の低下を抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、散乱線指標値SFは、散乱フラクションRFであり、コンボリューションカーネルを決定するステップは、コンボリューションカーネルを特徴づける複数のパラメータPを用いて平滑化を行った放射能画像5(放射能画像50)の各々の散乱フラクションRFの比較結果に基づいて、コンボリューションカーネルを決定する。これにより、コンボリューションカーネルのパラメータPを変動させて平滑化した放射能画像5(放射能画像50)の各々の散乱フラクションRFを比較することにより、容易にコンボリューションカーネルを決定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、複数のパラメータPの変化に伴う散乱フラクションRFの変化の大きさに基づいて、コンボリューションカーネルを決定する。これにより、より容易にコンボリューションカーネルを決定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、放射能画像5(放射能画像50)と吸収係数データとから、単一散乱分布を推定するステップは、単一散乱シミュレーション法により単一散乱分布を推定する。これにより、放射能画像5(放射能画像50)と吸収係数データとから、容易に放射線の単一散乱分布を推定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コンボリューションカーネルは、分散に関するパラメータPによって特定される重み付け分布を規定し、単一散乱分布の平滑化は、コンボリューションカーネルを用いた加重平均フィルタによって行う。これにより、分散に関するパラメータPによって重み付け分布を変化させたコンボリューションカーネルを用いて、放射線の単一散乱分布から放射線の多重散乱分布を模擬することができる。その結果、多重散乱分布を直接推定する場合と比較して、処理時間を短縮することが可能となる。また、実際に測定したデータを用いてコンボリューションカーネルのパラメータPを決定しているため、経験的にパラメータPを決定する方法と比較して、適切なコンボリュ―ションカーネルを用いて多重散乱分布を模擬できる。その結果、散乱補正の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、画像処理装置2は、制御部20と、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得する画像データ取得部21とを備え、制御部20は、陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとから放射能画像5(放射能画像50)を生成し、放射能画像5(放射能画像50)と吸収係数データとから単一散乱分布を推定し、放射能画像5(放射能画像50)の散乱線指標値SFに基づいて、単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定し、単一散乱分布にコンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布(グラフSD)を、陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるように構成されている。これにより、多重散乱分布を直接推定することなく、単一散乱分布を用いて多重散乱分布を模擬することができる。また、単一散乱分布を平滑化する際に用いるコンボリューションカーネルを、経験的に決定されるパラメータPを用いるのではなく、放射能画像5(放射能画像50)の散乱線指標値SFによって決定することができる。したがって、放射能画像5(放射能画像50)に適切なコンボリュ―ションカーネルを用いて単一散乱分布から多重散乱分布を模擬することができる。その結果、散乱推定にかかる時間を短縮することが可能であるとともに、散乱補正に起因する画質の低下を抑制することができる。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
なお、今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、放射能画像5(放射能画像50)と吸収係数データとから、単一散乱分布を推定するステップにおいて、単一散乱シミュレーション法により単一散乱分布を推定したが、本発明はこれに限られない。たとえば、放射能画像5(放射能画像50)と吸収係数データとから、単一散乱分布を推定するステップは、モンテカルロシミュレーション法により単一散乱分布を推定するように構成してもよい。このように構成しても、単一散乱シミュレーション法を用いて単一散乱分布を推定する場合と同様に、容易に放射線の単一散乱分布を推定することができる。なお、モンテカルロシミュレーションとは、乱数を用いたシミュレーションを反復することより、近似解を得る方法である。また、単一散乱分布を推定することができれば、どのような手法を用いてもよい。
また、上記実施形態では、散乱フラクションRFの差分値Qに基づいてコンボリュ―ションカーネルのパラメータPを決定する例を示したが、本発明ではこれに限られない。たとえば、散乱フラクションRFの微分値に基づいてコンボリュ―ションカーネルのパラメータPを決定するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、散乱フラクションRFの差分値Qのグラフ7(グラフ70)において、最大値(極大値)となるパラメータPを用いてコンボリュ―ションカーネルを決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。最大値(極大値)近傍のパラメータPを用いてコンボリュ―ションカーネルを決定してもよい。また、散乱フラクションRFの差分値Qの逆数をプロットして得られるグラフの最小値(極小値)、または最小値(極小値)近傍のパラメータPを用いてコンボリュ―ションカーネルを決定してもよい。
また、本実施形態では、ステップS2〜ステップS5の処理を行うことによりパラメータPを決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図10に示すように、ステップS2〜ステップS5の処理を繰り返し行うように構成されていてもよい。すなわち、ステップS7において、コンボリュ―ションカーネルの最適化が所定回数行われているか判定する。コンボリュ―ションカーネルの最適化が所定回数行われていない場合、ステップS2に進む。コンボリュ―ションカーネルの最適化が所定回数行われている場合、ステップS6へ進む。なお、所定回数とは、コンボリュ―ションカーネルの最適化において変化が見られなくなる回数であり、たとえば、3回または4回である。このように構成すれば、散乱補正の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、ステップS2〜ステップS5の処理を行うことによりパラメータPを決定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図11に示すように、最初の繰り返しにおいてパラメータPを決定し、後の繰り返しではパラメータPを決定するステップを省略してもよい。このように構成すれば、処理時間を短縮しつつ、散乱補正の精度を向上させることができる。
また、上記実施形態では、陽電子放射断層撮影計測データおよび吸収係数データを取得して(放射能画像50)を生成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、あらかじめ生成された放射能画像5(放射能画像50)と、放射能画像5(放射能画像50)の生成に用いた吸収係数データとを取得し、それらを用いて散乱推定を行うように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、陽電子放射断層撮影を行った後にデータを取得し、画像を再構成する際に散乱推定を行う場面を想定しているが、本発明はこれに限られない。たとえば、陽電子放射断層撮影装置1で撮影を行いながら、リアルタイムで散乱推定を行ってもよい。
また、上記実施形態では、吸収係数データとして、被写体Oの形態データを変換したデータを取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像データ取得部21が、被写体Oの形態データを取得し、制御部20にいて吸収係数データに変換するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、散乱フラクションRFをプロットしたグラフ6(グラフ60)および散乱フラクションRFの差分値Qをプロットしたグラフ7(グラフ70)を作成する例を示したが、本発明はこれに限られない。グラフ6(グラフ60)およびグラフ7(グラフ70)を作成することなく、散乱フラクションRFの差分値Qが最大値(極大値)となるパラメータPを決定するように構成されていてもよい。
また、上記第1および第2実施例では、パラメータPの範囲を5.0bin〜20binの値に設定してパラメータPを変動させたが、本発明はこれに限られない。被写体Oの大きさに合わせた範囲に設定するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、コンボリュ―ションカーネルのパラメータPとして、ガウシアン関数の標準偏差(σ)を用いたが、本発明はこれに限られない。たとえば、ガウシアン関数の半値全幅(FWHM)を用いてもよい。また、パラメータPとして、ガウシアン関数の半値半幅(HWHM)を用いてもよい。また、パラメータPとして、ガウシアン関数の1/10値幅(FWTM)を用いてもよい。
1 陽電子放射断層撮影装置
2 画像処理装置
3 表示部
5、50 放射能画像
6、60 散乱フラクションのグラフ
7、70 散乱フラクションの差分値のグラフ
20 制御部
21 画像データ取得部
22 記憶部
P パラメータ
Q 散乱フラクションの差分値
SF 散乱線指標値
RF 散乱フラクション
2 画像処理装置
3 表示部
5、50 放射能画像
6、60 散乱フラクションのグラフ
7、70 散乱フラクションの差分値のグラフ
20 制御部
21 画像データ取得部
22 記憶部
P パラメータ
Q 散乱フラクションの差分値
SF 散乱線指標値
RF 散乱フラクション
Claims (7)
- 陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得するステップと、
前記陽電子放射断層撮影計測データと前記吸収係数データとから、放射能画像を生成するステップと、
前記放射能画像と前記吸収係数データとから、前記放射能画像における放射線の単一散乱分布を推定するステップと、
前記放射能画像の散乱線指標値に基づいて、前記単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定するステップと、
前記単一散乱分布に前記コンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布を、前記陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるステップとを含む、散乱推定方法。 - 前記散乱線指標値は、散乱フラクションであり、
前記コンボリューションカーネルを決定するステップは、
前記コンボリューションカーネルを特徴づける複数のパラメータを用いて平滑化を行った前記放射能画像の各々の散乱フラクションの比較結果に基づいて、前記コンボリューションカーネルを決定する、請求項1に記載の散乱推定方法。 - 前記コンボリューションカーネルを決定するステップは、
前記複数のパラメータの変化に伴う前記散乱フラクションの変化の大きさに基づいて、前記コンボリューションカーネルを決定する、請求項2に記載の散乱推定方法。 - 前記放射能画像と前記吸収係数データとから、前記単一散乱分布を推定するステップは、単一散乱シミュレーション法により前記単一散乱分布を推定する、請求項1に記載の散乱推定方法。
- 前記放射能画像と前記吸収係数データとから、前記単一散乱分布を推定するステップは、モンテカルロシミュレーション法により前記単一散乱分布を推定する、請求項1に記載の散乱推定方法。
- 前記コンボリューションカーネルは、分散に関する前記パラメータによって特定される重み付け分布を規定し、前記単一散乱分布の前記平滑化は、前記コンボリューションカーネルを用いた加重平均フィルタによって行う、請求項2に記載の散乱推定方法。
- 制御部と、
陽電子放射断層撮影計測データと吸収係数データとを取得する画像データ取得部とを備え、
前記制御部は、
前記陽電子放射断層撮影計測データと前記吸収係数データとから放射能画像を生成し、
前記放射能画像と前記吸収係数データとから単一散乱分布を推定し、
前記放射能画像の散乱線指標値に基づいて、前記単一散乱分布を平滑化するためのコンボリューションカーネルを決定し、
前記単一散乱分布に前記コンボリューションカーネルを適用して平滑化された散乱分布を、前記陽電子放射断層撮影計測データにフィッティングさせるように構成されている、画像処理装置。
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