以下、実施形態の自動改札機、および自動改札機制御プログラムを、図面を参照して説明する。実施形態の自動改札機は、鉄道の駅、空港、イベント会場などで使用され、利用者の通過を制御するものである。実施形態の自動改札機は、無線通信のプロトコルが異なる第1利用券と第2利用券が混在して使用される環境で、それらを判別して処理を行うものである。
(第1の実施形態)
[利用券]
図1は、第1利用券TK1と第2利用券TK2とを比較して示す図である。第1利用券TK1は、通信機能を有する券であり、第2利用券TK2は、通信機能を有すると共に、二次元コードなどのコード情報が印刷された券である。
第1利用券TK1は、例えば、基材10と、チップ20と、アンテナ30とを備える。チップ20は、例えば、基材10に漉き込まれたパッシブタイプのIC(integrated circuit)チップである。チップ20は、RFID(Radio frequency identifier)技術によって、後述する自動改札機100との間で情報を送受信する。チップ20は、第1通信プロトコルに従って無線通信を行う。チップ20は、自動改札機100により送信されたコマンド(信号)に応答して、情報を送信するコマンドレスポンス方式に基づいて処理を実行する。
チップ20は、例えば、送受信部22、制御回路24、記憶部26などを備える。送受信部22は、自動改札機100により放射された電波から駆動用電力を取り出す整流回路、自動改札機100により送信された搬送波に含まれる情報を復調する復調部、搬送波に対する副搬送波を生成する発振再生部、情報を副搬送波に重畳するように変調する変調部などを含む。送受信部22は、復調部により復調されたコマンドを制御回路24に出力する。
制御回路24は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、或いはLSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などのハードウェアを含む回路である。制御回路24は、送受信部22により出力されたコマンドの内容に応じて、記憶部26に情報を書き込んだり、記憶部26に書き込まれた情報を読み出したりする。また、制御回路24は、送受信部22およびアンテナ30を用いて、記憶部26に記憶された情報を読み出し、読み出した情報を自動改札機100に送信する。
記憶部26には、制御回路24がプロセッサである場合に実行されるプログラム等、その他の情報が記憶される。図2は、記憶部26に記憶される情報の一例を示す図である。記憶部26には、例えば第1利用券TK1の識別情報、および効力情報が記憶されている。効力情報は、利用者が利用することができる鉄道の利用区間(例えば○○駅から××駅まで)、利用可能な期間(例えば発行日当日のみ有効)、第1利用券TK1の発券駅などの情報である。これらの情報は、第1利用券TK1が発券されるときに発券機(不図示)により記憶部26に記憶される。
また、記憶部26には、利用者が自動改札機100を通過するごとに事後的に情報が書き込まれる。例えば、利用者が駅の入場駅に設置された自動改札機100を通過する場合、制御回路24は、自動改札機100から取得した情報に基づいて、入場駅の情報や入場時刻等を、記憶部26に書込む。利用者が駅の出場駅に設置された自動改札機100を通過する場合、制御回路24は、自動改札機100から取得した情報に基づいて、出場駅の情報や、出場時刻、利用した区間に応じて精算処理がされた結果等を、記憶部26に書込む。
第2利用券TK2は、例えば、基材40と、チップ50と、アンテナ60とを備える。基材40には、例えばQRコード(登録商標)等の二次元コードCDが印刷されている。二次元コードCDは、「画像」の一例である。二次元コードCDには、第2利用券TK2の識別情報が符号化(エンコード)されている。符号化とは、人が情報の内容を直接認識できない状態に、情報を変換することをいう。第2利用券TK2の識別情報は、例えばチップ50に付与されたチップの識別情報と同じであってよい。第2利用券TK2が発券されるときに、発券機により、二次元コードは生成されて、生成された二次元コードは基材40に印刷される。なお、第2利用券TK2には、二次元コードCDに代えて、バーコードなどの一次元コード、その他のコードが用いられてもよい。また、二次元コードCDや一次元コード等は、基材40に直接印刷されるのではなく、それらが印刷されたシールなどが基材40に貼り付けられることで第2利用券TK2に付与されてもよい。
チップ50は、基材40に漉き込まれており、第2通信プロトコルに従って無線通信を行う。チップ50は、自動改札機100により送信されたコマンド(信号)に応答して、情報を送信するコマンドレスポンス方式に基づいて処理を実行する。
チップ50は、例えば、送受信部52、制御回路54、記憶部56などを備える。第2利用券TK2のチップ50の送受信部52、制御回路54、および記憶部56の構成および機能は、第1利用券TK1のチップ20の送受信部22、制御回路24、および記憶部26の構成および機能と同様であるため説明を省略する。
記憶部56には、例えば二次元コードCDに符号化された情報と同一の識別情報、および第2利用券TK2の効力を示す効力情報が記憶されている。これらの情報は、第1利用券TK2が発券されるときに記憶される情報である。また、記憶部56には、利用者が自動改札機100を通過するごとに、第1利用券TK1と同様に事後的に情報が書き込まれる。なお、これらの情報のうち、一部の情報は省略されてもよい。また、識別情報は、チップ50の製造時に記憶部56に記憶されてもよい。
ここで、第1通信プロトコル、および第2通信プロトコルの詳細について説明する。第1通信プロトコルと、第2通信プロトコルとは、少なくとも、情報を符号化する方式や、搬送波に情報を重畳する際の変調方式が異なるプロトコルである。第1通信プロトコルは、例えば、NFC−F(TypeF)と称される通信規格の通信プロトコルである。第2通信プロトコルは、例えば、NFC−A(TypeA)、またはNFC−B(TypeB)と称される通信規格の通信プロトコルである。なお、チップ20とチップ50とは、例えば、同じ周波数帯(例えば13.56[MHz])を使用して通信を行う。
[自動改札機]
図3は、自動改札機100の外観構成を示す図である。自動改札機100は、例えば、表示部110と、扉部120と、第1リーダライタ130と、第2リーダライタ150とを備える。自動改札機100は、図中A方向への利用者の通過を制御する。表示部110は、各種情報を表示する。扉部120は、処理結果に応じて開放状態または閉止状態に制御される。
第1リーダライタ130には、ターゲット領域(位置)TA1が設けられる。ターゲット領域TA1は、第1リーダライタ130の通信可能領域に包含されるように設けられ、利用者が視認して位置が分かるようになっている。利用者が、ターゲット領域TA1に第1利用券TK1を近づけると、第1リーダライタ130と第1利用券TK1とが通信する。これにより、利用者の自動改札機100の通過可否が判定される。
第2リーダライタ150には、ターゲット領域(位置)TA2が設けられる。ターゲット領域TA2は、第2リーダライタ150の通信可能領域に包含されるように設けられ、利用者が視認して位置が分かるようになっている。利用者が、ターゲット領域TA2に第2利用券TK2を近づけると、第2リーダライタ150と第2利用券TK2とが通信する。これにより、利用者の自動改札機100の通過可否が判定される。
図4は、図3の矢印Y方向から見た第1リーダライタ130、および第2リーダライタ150の内部構成図である。第1リーダライタ130は、例えば、アンテナ132と、第1通信部134とを備える。第1リーダライタ130は、第1利用券TK1のチップ20に電波を放射することで非接触給電すると共に、その電波を用いて第1利用券TK1のチップ20と第1プロトコルに従って無線通信を行う。第1リーダライタ130は、ターゲット領域TA1から所定距離以内に翳された第1利用券TK1と無線通信を行う。所定距離とは、数十cm以下の距離であり、より具体的には十cm程度の距離である。
第2リーダライタ150は、例えば、アンテナ152と、第2通信部154と、カメラ(撮像部)170と、ライト172とを備える。第2リーダライタ150は、第2利用券TK2のチップ50に電波を放射することで非接触給電すると共に、その電波を用いて第2利用券TK2のチップ50と第2通信プロトコルに従って無線通信を行う。第2リーダライタ150は、ターゲット領域TA2から所定距離以内に翳された第2利用券TK2と無線通信を行う。所定距離とは、数十cm以下の距離であり、より具体的には十cm程度の距離である。
カメラ170は、利用者によって翳された第2利用券TK2の二次元コードCDを撮像する。ライト172は、カメラ170により撮像動作が行われる際に、第2利用券TK2に光を照射する。例えば、第2リーダライタ150は、利用者により第2利用券TK2が近づけられた場合に、オン信号を出力するセンサを有する。カメラ170は、センサにより出力されたオン信号を取得した場合に、二次元コードCDを撮像する。ライト172は、センサにより出力されたオン信号を取得した場合に、カメラ170の撮像動作と共に、光を照射する。アンテナ152は、カメラ170およびライト172の光軸を囲むように巻き回される。これにより、カメラ170は、アンテナ152によって撮像領域が遮蔽されることなく、二次元コードCDを撮像することができる。
カメラ170は、撮像した画像のデータを制御装置180に出力する。なお、第2リーダライタ150は、画像処理を行って二次元コードCDに符号化された電子情報を取得する画像処理部を備えてもよい。この場合、画像処理部は、画像処理の結果である電子情報を制御装置180に出力する。
図5は、第1通信部134および第2通信部154の機能構成を示す図である。第1通信部134は、例えば、第1発振器136、第1変調部138、第1復調部140、第1記憶部142、第1コントローラ146、および第1電源部148を備える。第1発振器136は、搬送波(例えば13.56MHz)を生成する。第1変調部138は、第1コントローラ146から取得したコマンドを搬送波に重畳するように変調し、不図示の送信回路を介してアンテナ132に変調された情報(コマンド)を含む電波を送信させる。
第1復調部140は、アンテナ132および不図示の受信回路を介して取得した電波に含まれる情報を復調し、復調した情報(コマンド)を第1コントローラ146出力する。
第1記憶部142には、第1通信プログラム144が記憶される。第1通信プログラム144は、第1通信プロトコルに従った無線通信を実現するためのプログラムである。第1コントローラ146は、第1通信部134を統合的に制御する。第1コントローラ146は、第1通信プログラム144を実行し、第1通信プロトコルに従って、第1利用券TK1のチップ20と無線通信を行う。第1コントローラ146は、コマンドを第1利用券TK1のチップ20に送信する。第1コントローラ146は、第1利用券TK1のチップ20からコマンドに対する応答に含まれる情報を取得し、取得した情報を制御装置180に出力する。第1電源部148は、第1通信部134の各部に電力を供給する。
第2通信部154は、例えば、第2発振器156、第2変調部158、第2復調部160、第2記憶部162、第2コントローラ166、および第2電源部168を備える。第2発振器156、第2変調部158、第2復調部160、および第2電源部168の機能および構成は、それぞれ第1発振器136、第1変調部138、第1復調部140、および第1電源部148の機能および構成と同様のため説明を省略する。
第2記憶部162には、第2通信プログラム164が記憶される。第2通信プログラム164は、第2通信プロトコルに従った無線通信を実現するためのプログラムである。第2コントローラ166は、第2通信部154を統合的に制御する。第2コントローラ166は、第2通信プログラム164を実行し、第2通信プロトコルに従って、第2利用券TK2のチップ50と無線通信を行う。第2コントローラ166は、コマンドを第2利用券TK2のチップ50に送信する。第2コントローラ166は、第2利用券TK2のチップ50からコマンドに対する応答に含まれる情報を取得し、取得した情報を制御装置180に出力する。
図6は、制御装置180の機能構成図である。制御装置180は、例えば、認識部182と、通信制御部184と、判定部186と、通過制御部188と、改札機側記憶部190とを備える。
認識部182、通信制御部184、判定部186、および通過制御部188は、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することで実現されてよい。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェアで実現されてもよい。
改札機側記憶部190は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SDカード等の不揮発性の記憶媒体と、RAM(Random Access Memory)、レジスタ等の揮発性の記憶媒体とによって実現される。改札機側記憶部190は、プロセッサが実行するプログラムや、各駅間(または利用距離ごと)の料金が記憶された料金テーブル192を格納する他、自機が設置された駅の識別情報や、自機の識別情報、各駅間の距離等を格納する。
認識部182は、カメラ170により撮像された画像のデータに対してデコード処理を行い、ビット列などで表される、コンピュータが認識可能な情報(電子情報)に変換する。認識部182は、第2利用券TK2に表示された二次元コードCDに符号化された情報を読み取る。認識部182、カメラ170、およびライト172を合わせたものは、「光学読取部」の一例である。
通信制御部184は、認識部182および第1通信部134を動作させており、且つ第2通信部154を休止させた状態において、認識部182により第2利用券TK2に関する情報が認識された場合、第1通信部134の動作を停止させると共に、第2通信部154を動作させる。
判定部186は、第1通信部134、および第2通信部154により出力された情報に基づいて、利用者の自動改札機100の通過可否を判定する。
通過制御部188は、判定部186の判定結果に基づいて、利用者の通過を許可、または禁止する制御を実行する。利用者の通過を禁止する制御をする場合、通過制御部188は、扉部120を閉止状態にさせたり、表示部110に通過の禁止を示す情報を表示させたりする。利用者の通過を許可する制御をする場合、通過制御部188は、扉部120を開放状態にさせたり、表示部110に通過の許可を示す情報を表示させたりする。
図7は、第1通信部134により実行される処理の流れを示すフローチャートである。利用者によって第2利用券TK2が第2リーダライタ150に翳されていない場合、通信制御部184の制御によって、第1通信部134はアクティブ状態に維持されている。アクティブ状態とは、ポーリングを実行している状態、すなわち対応する利用券と無線通信を開始するためのコマンドが重畳された電波を通信部が放射し、応答を受け付ける状態(動作している状態)である。第1通信部134が、通信制御部184により上述したように制御された状態において、以下の処理が実行される。
まず、第1通信部134は、通信制御部184から非アクティブ状態となるように指示されたか否かを判定する(ステップS100)。非アクティブ状態とは、ポーリングを実行していない状態(休止している状態)である。
通信制御部184から非アクティブ状態となるように指示がされていない場合、第1通信部134は、第1利用券TK1と通信が成立したか否かを判定する(ステップS102)。第1通信部134と、第1利用券TK1との通信が成立した場合、第1通信部134は、第1利用券TK1との通信結果を制御装置180に出力する(ステップS104)。第1通信部134と、第1利用券TK1との通信が成立していない場合、ステップS100の処理に戻る。
次に、第1通信部134は、制御装置180から書込み情報を取得し、取得した書込み情報を第1利用券TK1に書き込む(ステップS106)。書込み情報は、第1利用券TK1に保持させる情報(例えば入場駅や、出場駅、入場時刻、出場時刻等)を含む。また、書込み情報は、利用者が利用した区間に応じた金額がチャージ残高(チップ20に記憶された金額)から差し引かれた後のチャージ残高を含んでもよい。
非アクティブ状態となるように指示された場合、第1通信部134は、非アクティブ状態に移行する(ステップS108)。なお、第1通信部134が非アクティブ状態に移行後から第1通信部134がアクティブ状態に移行するまでの間、第2通信部154により第2利用券TK2との通信が行われている。次に、第1通信部134は、通信制御部184からアクティブ状態となるように指示があるまで待機する(ステップS110)。アクティブ状態となるように指示があると、第1通信部134は、アクティブ状態に移行する(ステップS112)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
なお、第1通信部134は、上述した各ステップの処理中に非アクティブ状態となるように指示がされた場合、指示された際に実行していた処理を中止してもよいし、処理を継続して1ルーチンの処理後に処理を中止してもよい。
図8は、第2通信部154により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、第2通信部154は、通信制御部184からアクティブ状態となるように指示があるまで待機する(ステップS200)。アクティブ状態となるように指示された場合、その指示と共に、第2通信部154は、認識部182により認識された二次元コードCDから得られた識別情報を取得する。
通信制御部184からアクティブ状態となるように指示されると、第2通信部154は、第2利用券TK2と通信が成立するまで待機する(ステップS202)。第2利用券TK2との通信が成立していない場合、第2通信部154は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。所定時間が経過していない場合は、ステップS202に戻り、所定時間が経過した場合は、ステップS216に進む。
第2利用券TK2との通信が成立した場合、第2通信部154は、認識部182により認識された二次元コードCDから得られた識別情報と、無線通信によって第2利用券TK2のチップ50から取得した識別情報とが一致するか否かを判定する(ステップS206)。
識別情報が一致していない場合、第2通信部154は、エラー信号を制御装置180に出力する(ステップS208)。この場合、二次元コードCDに符号化された識別情報と、第2利用券TK2の記憶部56に記憶された識別情報とが異なるとき、以下の(1)または(2)の可能性があるためである。
(1)第2利用券TK2が正規の利用券でない可能性がある。例えば、第2利用券TK2が発券される際に、二次元コードCDおよびチップ50に同一の識別情報が付与されるが、識別情報が異なるとき、二次元コードCDまたはチップ50が正規のものでない可能性がある。
(2)カメラ170により撮像された対象物(利用券)と、第2通信部154が無線通信している利用券とが、異なる利用券である可能性がある。例えば、第2利用券TK2と無線通信機能を有するカードとが重ねられた状態で、第2リーダライタ150のターゲット領域TA2に翳され、第2利用券TK2の二次元コードがカメラ170により撮像されたが、第2通信部154は、無線通信機能を有するカードと無線通信を行った場合、識別情報の不一致が生じる場合がある。また、第2利用券TK2が複数重ねられた状態で、第2リーダライタ150のターゲット領域TA2に翳された場合も、上述した識別情報の不一致が生じる場合がある。
なお、上述した第2通信部154から取得した第2利用券TK2の識別情報が、認識部182により認識された第2利用券TK2の識別情報と一致するか否かを判定する処理は、通信制御部184、または判定部186によって行われてもよい。この場合、第2通信部154は、無線通信によって第2利用券TK2から取得した識別情報を制御装置180に出力する。
ステップS206で識別情報と一致する場合、第2通信部154は、第2利用券TK2のチップ50から第2利用券TK2の情報を取得し、取得した情報を制御装置180に出力する(ステップS210)。制御装置180は、第2通信部154から取得した情報に基づいて、利用者の通過の可否を判定し、書込み情報を第2通信部154に出力する。書込み情報は、利用者の通過可否の判定結果や、第2利用券TK2に保持させる情報(例えば入場駅や、出場駅、入場時刻、出場時刻等)を含む。
次に、第2通信部154は、制御装置180から書込み情報を取得し、取得した書込み情報を第2利用券TK2に書き込む(ステップS212)。次に、第2通信部154は、書込み完了通知を制御装置180に出力する(ステップS214)。これにより、通信制御部184は、書込み情報が第2利用券TK2に書込まれたことを認識する。そして、第2通信部154は、非アクティブ状態に移行する(ステップS216)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
図9は、認識部182および通信制御部184により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、認識部182は、利用者に翳された第2利用券TK2の二次元コードCDの画像のデータから正規な電子情報を取得するまで待機する(ステップS300)。正規な電子情報とは、少なくとも第2利用券TK2の二次元コードCDであることが分かる情報である。これに代えて、正規な電子情報とは、QRコードであることを示す情報(QRコードのファインダパターン(切り出しシンボル)、アライメントパターン、タイミングパターン、またはフォーマット情報)であってもよい。
認識部182は、正規な電子情報を取得することができた場合、ステップS302の処理に進む。ステップS302で、正規な電子情報を取得することができた場合、認識部182は、正規な電子情報を取得することができたことを示す情報を通信制御部184に出力する(ステップS302)。
次に、通信制御部184が、認識部182から正規な電子情報を取得することができたことを示す情報を取得すると、第1通信部134に非アクティブ状態となるように指示すると共に、第2通信部154にアクティブ状態となるように指示を行う(ステップS304)。
次に、通信制御部184は、第2利用券TK2から取得した情報に基づく自動改札機100の通過可否の判定が終了したか否かを判定する(ステップS306)。通信制御部184は、第2通信部154から書込み完了通知を取得した場合、通過可否の判定が終了し、第2通信部154から書込み完了通知を取得していない場合、通過可否の判定が終了していないと判定してもよい。
自動改札機100の通過可否の判定が終了していない場合、通信制御部184は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS308)。所定時間が経過していない場合、ステップS306の処理に戻り、所定時間が経過した場合、ステップS310の処理に進む。自動改札機100の通過可否の判定が終了した場合、通信制御部184は、第1通信部134にアクティブ状態となるように指示する(ステップS310)。これにより本フローチャートの1ルーチンの処理が終了する。
図10は、判定部186により実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、判定部186が、第1通信部134から第1利用券TK1の情報を取得することができたか否かを判定する(ステップS400)。第1利用券TK1の情報を取得することができた場合、判定部186は、第1利用券情報フラグをオンに設定する(ステップS402)。第1利用券TK1の情報を取得することができなかった場合、判定部186が、第2通信部154から第2利用券TK2のチップ50に記憶された識別情報と、二次元コードCDに符号化された識別情報とが一致しなかったことを示すエラー信号を取得することができたか否かを判定する(ステップS404)。
エラー信号を取得した場合、ステップS412の処理に進む。エラー信号を取得していない場合、判定部186は、第2通信部154から第2利用券TK2の情報を取得することができたか否かを判定する(ステップS406)。この情報は、識別情報および効力情報を含む情報である。
第2利用券TK2の情報を取得することができた場合、判定部186は、第2利用券情報フラグをオンに設定する(ステップS408)。第2利用券TK2の情報を取得することができなかった場合、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
次に、判定部186は、第1利用券TK1または第2利用券TK2の情報に含まれる情報に基づいて、利用者が自動改札機100を通過することができるか否かを判定する(ステップS410)。具体的には、判定部186は、効力情報の利用可能区間内に当該駅が収まっているか否かを判定する。当該駅とは、自動改札機100が設置された駅である。
利用者が自動改札機100を通過することができない場合、判定部186が、通過を禁止する制御を行う(ステップS412)。利用者が自動改札機100を通過することができる場合、判定部186が、通過を許可する制御を行う(ステップS414)。
次に、判定部186は、書込む書込み情報を生成して、生成した書込み情報を、フラグがオンに設定されている通信部(第1通信部134、または第2通信部154)に出力する(ステップS416)。これにより、第1利用券情報フラグがオンに設定されている場合、書込み情報は、第1通信部134により第1利用券TK1に書込まれる。第2利用券情報フラグがオンに設定されている場合、書込み情報は、第2通信部154により第2利用券TK2に書込まれる。これにより、本フローチャートの1ルーチンの処理は終了する。
ここで、第1利用券TK1と第2利用券TK2は、以下のような使い分けがなされることが想定される。第1利用券TK1は、例えば、定期券としての機能と、電子マネーをチャージしたSF(stored fare)券としての機能を有し、第2利用券TK2は、それらと異なる態様の券(例えば、入場券や回数券など)としての機能を有する。
上記のような使い分けによって、以下のようなメリットが生じる。例えば、仮に、第1利用券TK1をSF券、および回数券として機能させることを想定する。この第1利用券TK1が、利用者により自動改札機に翳されると、自動改札機により、利用者の意思とは異なる処理が行われてしまう場合がある。例えば、利用者は、回数券を利用したかったが、チャージされた金額から料金が差し引かれてしまう場合あるためのである。
これに対して、第1利用券TK1をSF券として機能させ、第2利用券TK2を回数券として機能させるものとする。また、自動改札機100が設置される施設において、第1利用券TK1は、第1リーダライタ130によって処理され、第2利用券TK2は、第2リーダライタ150によって処理される規則とする。この場合、第1リーダライタ130は、第1利用券TK1に含まれる情報で自動改札機100の通過の可否に関する処理を実行し、第2リーダライタ150は、第2利用券TK2に含まれる情報で自動改札機100の通過の可否に関する処理を実行する。これにより、自動改札機100は、利用者の意思に合致した処理を行うことができる。
上述した場合、第1利用券TK1が第1リーダライタ130に翳された場合であっても、第2通信部154により行われているポーリングによる電波により、第1通信部134と第1利用券TK1とによって送受信される電波は干渉を受ける場合がある。
本実施形態では、通信制御部184が、光学読取部(カメラ170、ライト172、および認識部182)により第2利用券TK2の画像にエンコードされた電子情報が取得された場合、第1通信部134の動作を停止させると共に、第2通信部154を動作させることにより、異なる種類の利用券を、より正確に判別して無線通信を行うことができる。
なお、第2利用券TK2の二次元コードCDには、第2利用券TK2の効力情報や、発券駅や、その他の情報が符号化されてもよい。例えば、第2利用券TK2のチップ50に記憶された情報が破損し、第2利用券TK2の情報を取得できない場合、自動改札機100は、二次元コードCDに符号化された情報から第2利用券TK2に関する情報を取得できる。
また、二次元コードCDの情報を改札処理等に用いる場合に、二次元コードCDに符号化された情報を取得することができない場合、自動改札機100は、チップ50に記憶された情報を処理に用いることができる。例えば、上述したステップS406の処理において、第2利用券TK2のチップ50から情報を取得できなかった場合、判定部186は、認識部182から二次元コードCDに符号化された情報を取得し、取得した情報に基づいて、利用者が自動改札機100を通過することができるか否かを判定してもよい。
以上説明した第1の実施形態によれば、第1通信方式によって第1利用券TK1の無線通信部と無線通信を行う第1通信部134と、第1通信方式とプロトコルが異なる第2通信方式によって第2利用券TKの無線通信部と無線通信を行う第2通信部154と、利用者によって提示された第2利用券TK2に表示された画像にエンコードされた電子情報を光学的に取得する光学読取部(170、172、182)と、光学読取部および第1通信部134を動作させており、且つ第2通信部154を休止させた状態において、光学読取部により電子情報が取得された場合、第1通信部134の動作を停止させると共に、前記第2通信部を動作させる通信制御部184と、第1通信部134により第1利用券TK1から得られた情報、または第2通信部154により第2利用券TK2から得られた情報に基づいて、利用者の通過可否を判定する判定部186とを持つことにより、異なる種類の利用券を、より正確に判別して無線通信を行うことができる。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する機能等についての説明は省略する。第1の実施形態の自動改札機100は、第1リーダライタ130と、第2リーダライタ150とが別体として設けられるものとして説明した。これに対して、第2実施形態の自動改札機100Aは、第1リーダライタ130と、第2リーダライタ150とが一体となった統合リーダライタ200を備える。第1利用券TK1を翳すターゲット領域TA1と、第2利用券を翳すターゲット領域TA2は、重複する位置に設けられる。この重複する位置は、第1利用券TK1および第2利用券TK2が翳される位置が共通化された一つの位置である。第2実施形態において、第1実施形態の機能構成と同じ符号が付与された機能構成は、第1実施形態の機能構成と同様である。
図11は、第2実施形態の統合リーダライタ200の一例を示す図である。図11は、図4と同様の方向から見た統合リーダライタ200の内部を見た図である。統合リーダライタ200は、例えば、第1通信部134と、第2通信部154と、カメラ170と、ライト172と、アンテナ202と、切替部204とを備える。統合リーダライタ200には、第1利用券TK1、または第2利用券TK2が翳されるターゲット領域(位置)TA3が設けられる。利用者が、ターゲット領域TA3に第1利用券TK1を近づけると、統合リーダライタ200と第1利用券TK1とは通信する。これにより、利用者の自動改札機100の通過可否が判定される。また、利用者が、ターゲット領域TA3に第2利用券TK2を近づけると、統合リーダライタ200と第2利用券TK2とは通信する。これにより、利用者の自動改札機100の通過可否が判定される。
アンテナ202の構成および機能は、第1実施形態のアンテナ132または152と同様の構成および機能である。アンテナ202は、第1通信部134および第2通信部154により共有される。切替部204は、通信制御部184Aの制御に基づいて、アンテナ202と第1通信部134とを接続状態し、アンテナ202と第2通信部154とを遮断状態にする。また、切替部204は、通信制御部184Aの制御に基づいて、アンテナ202と第2通信部154とを接続状態し、アンテナ202と第1通信部134とを遮断状態にする。
第2実施形態の自動改札機100は、通信制御部184に代えて、通信制御部184Aを備える。通信制御部184Aは、第1実施形態の通信制御部184の機能に加え、更に切替部204を制御する。通信制御部184Aは、第1通信部134がアクティブ状態、または第1通信部134が無線通信している状態である場合、切替部204にアンテナ202と第2通信部154とを遮断状態にさせる。通信制御部184Aは、第2通信部134がアクティブ状態、または第2通信部154が無線通信している状態である場合、切替部204にアンテナ202と第1通信部134とを遮断状態にさせる。
以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する他、第1通信部134および第2通信部154に用いられるアンテナ202が共有されており、第1利用券TK1、および第2利用券TK2が翳されるターゲット領域が共通化されているため、自動改札機100の構成を簡略化させることができる。また、利用者は、券種を気にせずに、ターゲット領域TA3に、第1利用券TK1または第2利用券TK2を翳すことができるため、利用者の利便性が向上する。
前述した第1または第2の実施形態では、第2通信部154が、第2利用券TK2の二次元コードCDに符号化された識別情報と、チップ50に記憶された識別情報との一致を判定するものとして説明した。これに代えて、判定部186が、自動改札機100を利用者が通過することができるか否かを判定する際に識別情報の一致を判定してもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1通信方式によって第1利用券の無線通信部と無線通信を行う第1通信部と、第2利用券TK2の無線通信部と、前記第1通信方式とプロトコルが異なる第2通信方式によって無線通信を行う第2通信部と、利用者によって提示された前記第2利用券に表示された画像にエンコードされた電子情報を光学的に取得する光学読取部と、前記認識部および前記第1通信部を動作させており、且つ前記第2通信部を休止させた状態において、前記光学読取部により前記電子情報が取得された場合、前記第1通信部の動作を停止させると共に、前記第2通信部を動作させる通信制御部と、前記第1通信部により前記第1利用券から得られた情報、または前記第2通信部により前記第2利用券から得られた情報に基づいて、利用者の通過可否を判定する判定部とを持つことにより、異なる種類の利用券を、より正確に判別して無線通信を行うことができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
アンテナを介して、第1利用券の無線通信部と、第1通信方式によって無線通信を行う第1通信部と、
アンテナを介して、第2利用券の無線通信部と、前記第1通信方式とプロトコルが異なる第2通信方式によって無線通信を行う第2通信部と、
利用者によって提示された前記第2利用券に表示された情報がエンコードされた画像から取得される画素パターンを数値化したデータに対して復号処理を行って、前記画像にエンコードされた情報を取得する光学読取部と、
前記光学読取部および前記第1通信部を動作させており、且つ前記第2通信部を休止させた状態において、
前記光学読取部により前記画像にエンコードされた情報が取得された場合、前記第1通信部の動作を停止させると共に、前記第2通信部を動作させる通信制御部と、
前記第1通信部により前記第1利用券から得られた情報、または前記第2通信部により前記第2利用券から得られた情報に基づいて、利用者の通過可否を判定する判定部と、
を備える自動改札機。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。