JP6735561B2 - O−グリコシル化カルボキシ末端部分(ctp)ペプチド系のインスリンおよびインスリン類似体 - Google Patents

O−グリコシル化カルボキシ末端部分(ctp)ペプチド系のインスリンおよびインスリン類似体 Download PDF

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Description

(1)発明の分野
本発明は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのベータサブユニット(hCGβ)のアミノ酸112−118から142を含むカルボキシ末端部分(CTP)ペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を含むインスリンまたはインスリン類似体であり、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のCTPペプチドが、O−グリコシル化されている、インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物および製剤に関する。具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化インスリン類似体は、in vivoにおいて産生される。更なる実施形態では、前記O−グリコシル化CTP系インスリン類似体は、主にマンノトリオースおよびマンノテトロースのO−グリカンまたは主にマンノースO−グリカンを含む。
(2)関連技術の説明
インスリンは、ほとんどの高等な真核生物、例えば、ヒトにおいて、適切なグルコースレベルを維持するのに必須のペプチドホルモンである。糖尿病は、個体が、インスリンを産生できなくなる、または、インスリン抵抗性になる疾患である。I型糖尿病は、膵臓のインスリン産生ベータ細胞の自己免疫破壊から生じる糖尿病型である。II型糖尿病は、インスリン抵抗性および関連するインスリン不全における、高い血中グルコースにより特徴付けられる代謝障害である。未処置のままでは、I型またはII型の糖尿病を有する個体は、死ぬであろう。治癒しないが、インスリンは、実質的に全ての型の糖尿病において、グルコースを低下させるのに効果的である。残念ながら、その薬理学は、グルコース感受性ではない。したがって、生命を脅かす低血糖をもたらし得る過剰な作用をし得る。矛盾する薬理学は、インスリン治療の特徴である。したがって、低血糖を生じさせることなく、血中グルコースを正常化するのは極端に困難である。さらに、天然のインスリンは、作用の持続時間が短いものであり、基礎的なグルコースの制御に使用するのに適するような修飾を必要とする。インスリン治療における1つの中心となる目的は、1日1回のタイミングで、作用を提供可能なインスリン製剤を設計することである。インスリン投与の作用時間を延長するためのメカニズムとしては、注入部位でのインスリンの溶解性を低下させること、または、糖、ポリエチレングリコール、疎水性リガンド、ペプチドまたはタンパク質を、前記インスリンに共有結合させることがあげられる。
前記インスリンの溶解性を低下させる分子アプローチとしては、(1)亜鉛および/またはプロタミンを含む不溶性懸濁液として前記インスリンを製剤化すること、(2)アミノ酸の置換および/または付加、例えば、カチオン性アミノ酸により、その等電点を向上させて、生理学的pHにおいて分子を不溶性にすること、または、(3)前記インスリンの溶解性を低下させ、血清アルブミンを結合させる疎水性リガンドを含むように、前記インスリンを共有的に修飾することがあげられてきた。これらのアプローチは全て、注入部位での分子の沈着およびその後の再可溶化ならびに活性なホルモン型での血中への分子の輸送を生じさせる、固有の変異性により制限されてきた。前記インスリンの再可溶化が作用のより長い持続時間を提供するとしても、前記インスリンは、血清グルコースレベルに対して依然として応答性でなく、低血糖のリスクが残る。
インスリンは、低活性の一本鎖プロインスリン前駆体から、酵素処理により生合成的に生じる、2つの鎖のヘテロ二量体である。ヒトインスリン類似体は、ジスルフィド結合により互いに結合され、合計51個のアミノ酸を有する、2つのペプチド鎖、「A−鎖ペプチド」(配列番号33)および「B−鎖ペプチド」(配列番号25)からなる。前記B−鎖のC末端領域および前記A−鎖の2つの末端は、インスリン受容体に対する高い親和性結合のための部位を構築する三次元構造で会合する。インスリン分子は、N−グリコシル化を含まない。
インスリン分子は、前記分子の薬物動態学的または薬力学的特性を修飾する努力において、前記分子に種々の部分を結合させることにより修飾されてきた。例えば、アシル化インスリン類似体は、数多くの刊行物に開示されてきた。前記刊行物としては、例えば、米国特許第5,693,609号および同第6,011,007号明細書(特許文献1および2)があげられる。PEG化インスリン類似体は、数多くの刊行物、例えば、米国特許第5,681,811号;同第6,309,633号;同第6,323,311号;同第6,890,518号;同第6,890,518号;および同第7,585,837号明細書(特許文献3〜8)等において開示されてきた。複合糖質化インスリン類似体は、数多くの刊行物、例えば、国際公開第06082184号、同第09089396号、同第9010645号パンフレット、米国特許第3,847,890号;同第4,348,387号;同第7,531,191号および同第7,687,608号明細書(特許文献9〜15)等において開示されてきた。PEG化等についてのグリカン構造を含ませるためのインスリン等のペプチドの再設計は、例えば、米国特許第7,138,371号明細書および米国特許出願公開第20090053167号明細書(特許文献16および17)等の刊行物に開示されてきた。
米国特許第5,693,609号明細書 米国特許第6,011,007号明細書 米国特許第5,681,811号明細書 米国特許第6,309,633号明細書 米国特許第6,323,311号明細書 米国特許第6,890,518号明細書 米国特許第6,890,518号明細書 米国特許第7,585,837号明細書 国際公開第06082184号パンフレット 国際公開第09089396号パンフレット 国際公開第9010645号パンフレット 米国特許第3,847,890号明細書 米国特許第4,348,387号明細書 米国特許第7,531,191号明細書 米国特許第7,687,608号明細書 米国特許第7,138,371号明細書 米国特許出願公開第20090053167号明細書
本発明は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのベータサブユニット(hCGβ)の112−118位から145位において見出されたカルボキシ末端部分(CTP)ペプチド、または、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を含むように修飾され、前記CTPペプチドが、O−グリコシル化されている、インスリンまたはインスリン類似体を提供する。具体的な態様では、前記変異体は、少なくとも2つのO−グリコシル化部位を含む。
本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体(以下、「O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体」の用語は、「CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体」と呼ばれる場合がある。)を含む、組成物および製剤、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を酵母中で製造するための方法、ならびに、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を使用するための方法をさらに提供する。本発明の具体的な態様では、前記CTPペプチドは、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含み、前記アミノ酸配列は、前記タンパク質が真核細胞発現系において発現される場合、O−結合グリコシル化を生じやすい。前記CTPペプチドは、前記インスリン類似体の本来のin vitro活性を損なうことなく、2つの鎖のインスリン類似体における前記B−鎖のN−末端および/またはカルボキシ末端に共有結合されてもよい。さらに、前記CTPペプチドは、天然のプロインスリンC−ペプチドで保持し得ない方法において、高いin vitro活性を保持しながら、一本鎖インスリン類似体を形成するために、前記インスリンのBおよびAの鎖を結合させるのにも使用されてもよい。
したがって、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチド(前記CTPペプチドが、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上のO−グリカンをその上に含む。)または、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含む、前記CTPペプチドの部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体を提供する。本願明細書に開示されるCTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体分子は、前記CTPペプチドのセリンまたはスレオニン残基に、α1−結合において結合された1つ以上のO−グリカンを含む。この場合、前記O−グリカンは、1つ、2つ、3つまたは4つのマンノース残基を含む。この場合、前記マンノース残基の還元端は、前記CTPペプチドのセリンまたはスレオニンに対するα1結合においてである。更なる態様では、前記インスリンまたはインスリン類似体のCTPペプチド上の少なくとも1つのO−グリカンは、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースのO−グリカン構造を含む(図13Bを参照のこと。)。
更なる実施形態では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、そのCTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有し、前記CTPペプチドが、その上に1つ以上のO−グリカンを含むインスリンおよびインスリン類似体を含む組成物を提供する。本発明の具体的な態様では、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有し、前記組成中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースであるインスリンおよびインスリン類似体を含む組成物が提供される(図13Bを参照のこと。)。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体を含み、前記組成中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースであるインスリンおよびインスリン類似体を含む組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、マンノトリオースおよびマンノテトロースが、主なO−グリカンである、O−グリコシル化C−末端ペプチド(CTP)系インスリンまたはインスリン類似体分子を含む組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有し、マンノトリオースが、主なO−グリカンであるインスリンおよびインスリン類似体を含む組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有し、マンノテトロースが、主なO−グリカンであるインスリンおよびインスリン類似体を含む組成物を提供する。
更なる実施形態では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、前記CTPペプチドが、その上に1つ以上のO−グリカンを含む組成物を提供する。本発明の具体的な態様では、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、前記組成中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースである組成物が提供される。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、前記組成中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースである組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、マンノトリオースおよびマンノテトロースが、主なO−グリカンである組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、マンノトリオースが、主なO−グリカンである組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、マンノテトロースが、主なO−グリカンである組成物を提供する。
更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、前記CTPペプチドが、その上に1つ以上のO−グリカンを含む薬学的組成物を提供する。本発明の具体的な態様では、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、前記組成中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースである薬学的組成物が提供される。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、前記組成中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースである薬学的組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、マンノトリオースおよびマンノテトロースが、主なO−グリカンである薬学的組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、マンノトリオースが、主なO−グリカンである薬学的組成物を提供する。更なる態様では、本発明は、O−グリコシル化CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有するインスリンおよびインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含み、マンノテトロースが、主なO−グリカンである薬学的組成物を提供する。
本発明の更なる態様では、GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド;および、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCTPペプチドを有するO−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体であり、前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され;前記インスリンまたはインスリン類似体が、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17個までのアミノ酸置換を含んでもよく、前記CTPペプチドが、前記B−鎖ペプチドのN−末端、前記A−鎖ペプチドのC−末端、前記B鎖ペプチドのC−末端に、ペプチド結合により共有結合され、または、前記CTPペプチドが、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体を産生するために、前記B−鎖ペプチドを前記A−鎖ペプチドに共有結合させる結合性ペプチドである、O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含む組成物が提供される。前記インスリンまたはインスリン類似体は、3つのジスルフィド結合を有する。第1のジスルフィド結合は、配列番号2の6と11位とにおけるシステイン残基間であり、第2のジスルフィド結合は、配列番号3の3位と配列番号2の7位とにおけるシステイン残基間であり、第3のジスルフィド結合は、配列番号3の15位と配列番号2の20位とにおけるシステイン残基間である。更なる態様では、少なくとも2つ、3つまたは4つのO−グリカンが、前記CTPペプチドに結合される。
本発明の更なる態様では、GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド;および、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCTPペプチドを有するO−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体分子であり、前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され;前記インスリンまたはインスリン類似体が、さらに、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17個までのアミノ酸置換を含んでもよく、前記CTPペプチドが、前記B−鎖ペプチドのN−末端、前記A−鎖ペプチドのC−末端、前記B鎖ペプチドのC−末端に、ペプチド結合により共有結合され、または、前記CTPペプチドが、(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体を産生するために、前記B−鎖ペプチドを前記A−鎖ペプチドに共有結合させる結合性ペプチドである、O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体分子と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とを含む薬学的組成物が提供される。前記インスリンまたはインスリン類似体は、3つのジスルフィド結合を有する。第1のジスルフィド結合は、配列番号2の6と11位とにおけるシステイン残基間であり、第2のジスルフィド結合は、配列番号3の3位と配列番号2の7位とにおけるシステイン残基間であり、第3のジスルフィド結合は、配列番号3の15位と配列番号2の20位とにおけるシステイン残基間である。更なる態様では、2つ、3つまたは4つのO−グリカンが、前記CTPペプチドに結合される。
上記実施形態のいずれかの更なる態様では、前記インスリンまたはインスリン類似体は、前記A−鎖ペプチドが、2つのジスルフィド結合により前記B−鎖に共有結合される、A−鎖ペプチドおよびB−鎖ペプチドを含むヘテロ二量体分子、または、結合性ペプチドにより前記B−鎖ペプチドに結合されたA−鎖ペプチドを含み、前記A−鎖および前記B−鎖が、2つのジスルフィド結合により共有結合され、前記CTPペプチドが、前記B−鎖のN−末端または前記A−鎖のC末端に共有結合される、一本鎖分子である。
上記実施形態のいずれかの更なる態様では、前記インスリンまたはインスリン類似体は、前記A−鎖ペプチドが、2つのジスルフィド結合により前記B−鎖に共有結合される、A−鎖ペプチドおよびB−鎖ペプチドを含む一本鎖分子、または、結合性ペプチドにより前記B−鎖ペプチドに結合されたA−鎖ペプチドを含み、前記A−鎖および前記B鎖が、2つのジスルフィド結合により共有結合され、前記CTPペプチドが、構造B−鎖−CTPペプチド−A−鎖を有する一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体を提供するために、前記B−鎖を前記A−鎖に共有結合させる結合性ペプチドである、一本鎖分子である。
上記実施形態のいずれかの更なる態様では、前記アミノ酸置換は、配列番号2に示されたアミノ酸配列を有するA−鎖ペプチドの5、8、9、10、12、14、15、17、18および21位、ならびに/または、配列番号4に示されたアミノ酸配列を有するB−鎖ペプチドの1、2、3、4、5、9、10、13、14、17、20、21、22、23、26、27、28、29および30位から選択される。
上記実施形態のいずれかの更なる態様では、前記A−鎖ペプチドの21位におけるアミノ酸は、Glyであり、前記B−鎖ペプチドは、前記B−鎖ペプチドの30位におけるThrに共有結合されるジペプチドArg−Argを含む。別の態様では、前記B−鎖ペプチドの28および29位におけるアミノ酸はそれぞれ、リジンおよびプロリンである。別の態様では、前記B−鎖ペプチドの28位におけるアミノ酸は、アスパラギン酸である。別の態様では、前記B−鎖ペプチドの3位におけるアミノ酸は、リジンであり、前記B−鎖ペプチドの29位は、グルタミン酸である。
一般的に、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンおよびインスリン類似体は、21個のアミノ酸を含むA−鎖ペプチドおよび30個のアミノ酸を含むB−鎖ペプチドを有する。ただし、具体的な態様では、前記B−鎖ペプチドは、30位におけるスレオニン残基を欠いているか(desB30)、または、他の態様では、前記B−鎖ペプチドの、1から4および/または26から30位における1つ以上のアミノ酸が欠失している。前記O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体および一本鎖のインスリンおよびインスリン類似体の具体的な実施形態では、前記B−鎖ペプチドは、アミノ酸26−30を欠いている(desB26−30)。
上記組成の更なる態様では、前記O−グリカンの占有度は、1モルのC末端ペプチド(CTP)系インスリンまたはインスリン類似体あたりに、少なくとも1モルのO−グリカンである。更なる態様では、前記O−グリカンの占有度は、1モルのC末端ペプチド(CTP)系インスリンまたはインスリン類似体あたりに、少なくとも2モルのO−グリカンである。更なる態様では、前記O−グリカンの占有度は、1モルのC末端ペプチド(CTP)系インスリンまたはインスリン類似体あたりに、少なくとも3モルのO−グリカンである。具体的な態様では、前記O−グリカンの占有度は、1モルのC末端ペプチド(CTP)系インスリンまたはインスリン類似体あたりに、約1から4モルのO−グリカンである。
上記組成の更なる態様では、少なくとも40モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも50モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも60モル%のO−グリカンが、マンのトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも70モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも80モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも90モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも95モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも98モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、または、少なくとも99モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである。
上記組成の更なる態様では、少なくとも40モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであり、少なくとも50モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであり、少なくとも60モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも70モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであり、少なくとも80モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであり、少なくとも90モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであり、少なくとも95モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであり、少なくとも98モル%のO−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり、少なくとも99モル%のO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである。
上記組成の更なる態様では、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、少なくとも1つのO−グリカンを含む。
上記組成の更なる態様では、前記O−グリカンを含むマンノース残基は、α1,2結合により、隣接するマンノース残基に共有結合される。更なる態様では、前記O−グリカンは、β1,2結合における隣接するマンノース残基に結合した検出可能なマンノース残基を欠いており、リン酸原子に共有結合した検出可能なマンノース残基を欠いている。このため、検出可能な、β−結合マンノース残基、ホスホマンノース残基またはβ−結合マンノースおよびホスホマンノースの残基を欠いている組成のO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体が提供される。
本発明は、さらに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。一般的には、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できないか、または、検出できないβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。別の態様では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できないか、または、検出できないホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。更なる態様では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できないか、または、検出できない、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性およびβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。具体的な態様では、前記宿主細胞は、さらに、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できないか、または、検出できない開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。更なる態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できないか、または、検出できない、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性および開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。
したがって、本発明は、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない、酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
別の態様では、本発明は、検出可能なホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない、酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
更なる態様では、本発明は、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない、酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
上記方法の具体的な態様では、前記宿主細胞は、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia minuta(Ogataea minuta、Pichia lindneri)、Pichia種、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces種、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces種、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium種、Fusarium gramineum、Fusarium venenatumおよびNeurospora crassaからなる群から選択される。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が抑制されている、Pichia pastoris宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia pastoris宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子それぞれの発現が抑制される。
本発明は、さらに、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が抑制されている、Pichia pastoris宿主細胞を提供する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia pastoris宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともPNO1遺伝子の発現は、抑制され;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換し;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養し;および、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する。更なる態様では、MMN4L1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、PNO1およびMMN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、MNN4遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、PNO1、MNN4およびMMN4L1の遺伝子の発現が抑制される。
本発明は、さらに、宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現が抑制されている酵母宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が抑制されている、Pichia pastoris宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia pastoris宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子およびPNO1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子それぞれの発現が抑制される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が抑制される。前述の態様のいずれか1つの更なる態様では、前記宿主は、さらに、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現の抑制を含む。
前述の態様のいずれかにおいて、上記言及された遺伝子のいずれかの発現の抑制は、前記遺伝子またはその一部(例えば、遺伝子産物またはプロモータをコードするオープン・リーディング・フレーム)を欠失させるか、または、異種核酸分子を、前記遺伝子産物をコードするオープン・リーディング・フレーム内に挿入することにより、前記遺伝子を破壊することにより達成されてもよい。いずれの場合でも、前記遺伝子は、検出可能な活性、例えば、場合によって、検出可能な、β−マンノシルトランスフェラーゼ、ホスホマンノシルトランスフェラーゼまたはα1,6−マンノシルトランスフェラーゼの活性を有する遺伝子産物の産生ができなくなる。他の態様では、上記言及された1つ以上の遺伝子の発現は、遺伝子転写および/またはmRNA翻訳の阻害剤を使用して抑制される。前記阻害剤としては、制限されず、化合物、1つまたは複数の遺伝子をコードする1つ以上のmRNAに対するアンチセンスDNA、または、1つまたは複数の遺伝子をコードする1つ以上のmRNAに対するsiRNAがあげられる。
具体的な態様では、前記β−マンノシルトランスフェラーゼ、ホスホマンノシルトランスフェラーゼおよび/またはα1,6−マンノシルトランスフェラーゼの活性は、β−マンノシルトランスフェラーゼ、ホスホマンノシルトランスフェラーゼおよび/またはα1,6−マンノシルトランスフェラーゼの活性の1つ以上の化学阻害剤の存在下におけるタイミングで、前記宿主細胞を培養することにより阻害される。例えば、前記宿主細胞は、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の発現が誘導されると同時に、または、同誘導の直前に、前記阻害剤の存在下において培養される。
本発明は、さらに、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。前記宿主細胞は、上記された遺伝的背景を有し得る。例えば、本発明は、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊を含み、CTP系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。別の実施形態では、本発明は、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊を含み、CTP系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞も提供する。更なる実施形態では、本発明は、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊;ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊を含み、CTP系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。前記実施形態において、前記核酸分子は、前記宿主細胞のゲノム内に組み込まれてもよいし、前記宿主細胞中で、染色体外的に、例えば、プラスミドベクター、ミニ−染色体等で存在してもよい。
更なる実施形態では、前記宿主細胞は、さらに、α1,2 マンノシダーゼ活性をコードする核酸分子を含み、前記宿主細胞は、主にまたは唯一、1つのマンノース残基からなるO−グリカンを産生する。このため、前記宿主細胞は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または98%より多くのO−グリコシル化部位がマンノース残基で占有されている、マンノースO−グリカン構造を有するO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生する。更なる実施形態では、前記α1,2 マンノシダーゼ活性は、そのN−末端において、分泌経路に融合タンパク質を向ける異種性細胞標的ペプチドに融合された、α1,2 マンノシダーゼの触媒ドメインを含む融合タンパク質により提供される。
本発明は、さらに、本願明細書に開示された宿主細胞のいずれか1つにより産生される、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を提供する。
本発明は、さらに、本願明細書に開示されたCTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする、オープン・リーディング・フレーム(ORF)を含む核酸分子を提供する。具体的な態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする前記ORFは、前記核酸分子上の第2のORFから下流である。前記核酸分子は、プレ−プロペプチド、例えば、Saccharomyces cerevisiaeのアルファ接合因子をコードして、前記プレ−プロペプチドが前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のN−末端に融合された、融合タンパク質をコードする1つの連続したORFを提供する。更なる態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子は、誘導性プロモータ、例えば、Pichia pastoris AOX1プロモータに操作可能に結合される。具体的な態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードするコドンは、Pichia pastorisにおいて一般的に使用されるコドンに修飾される。更なる実施形態では、前記宿主細胞は、さらに、α1,2 マンノシダーゼ活性をコードする核酸分子を含み、更なる実施形態では、前記活性は、そのN−末端において、分泌経路に融合タンパク質を向ける異種性細胞標的ペプチドに融合された、α1,2 マンノシダーゼの触媒ドメインを含む融合タンパク質である。
糖尿病の処置のための、医薬、組成物または製剤を調製するための、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の使用が、さらに提供される。糖尿病を処置するための、本願明細書に開示された組成物がさらに提供される。例えば、GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;および、HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド;および、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むCTPペプチドを有し、前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され;インスリンまたはインスリン類似体分子が、17個までのアミノ酸置換、および/または、前記分子のN−末端またはC−末端に共有結合される3から35個のアミノ酸のポリペプチドをさらに含んでよい、O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体と、薬学的に許容され得るキャリアまたは塩とである。更なる態様では、2つ、3つまたは4つのO−グリカンが、前記CTPペプチドに結合される。
定義
本願明細書で使用する時、「インスリン」の用語は、動物の身体における炭水化物の代謝に影響を及ぼし、糖尿病の処置に価値のある、膵臓の有効成分を意味する。前記用語は、構造、用途および意図した作用において、天然由来のインスリンと同じまたは類似し、糖尿病の処置に価値のある、合成的およびバイオテクノロジー的に誘導された生成物を含む。
前記「インスリン」または「インスリン分子」の用語は、配列番号2に示されたアミノ酸配列を有するA−鎖ペプチドと、配列番号4に示されたアミノ酸配列を有するB−鎖ペプチドとを含み、前記A鎖の6と11位とのシステイン残基が、ジスルフィド結合において結合され、前記A鎖の7位と前記B鎖の7位とにおけるシステイン残基が、ジスルフィド結合において結合され、前記A鎖の20位と前記B鎖の19位とにおけるシステイン残基が、ジスルフィド結合において結合されている、51個のアミノ酸のヘテロ二量体を指定する総称である。
本願明細書で使用する時、「インスリン類似体」の用語は、天然のA−鎖ペプチドおよび/またはB−鎖ペプチドの1つ以上の(1又は複数の)修飾を含む、任意のヘテロ二量体類似体または一本鎖類似体を含む。修飾としては、制限されず、A4、A5、A8、A9、A10、A12、A13、A14、A15、A16、A17、A18、A19、A21、B1、B2、B3、B4、B5、B9、B10、B13、B14、B15、B16、B17、B18、B20、B21、B22、B23、B26、B27、B28、B29およびB30から選択される位置での天然のアミノ酸についてのアミノ酸の置換;B1−4およびB26−30位のいずれかまたは全ての欠失;または、1つ以上のアシル、ポリエチルグリシン(PEG)または1つ以上の糖類部分;またはそれらの組み合わせの直接的、または、ポリマー性または非ポリマー性のリンカーによるコンジュゲートがあげられる。インスリン類似体の例としては、制限されず、国際公開第20100080606号、同第2009/099763号および同第2010080609号パンフレットに開示された、ヘテロ二量体および一本鎖類似体があげられる。それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。一本鎖インスリン類似体の例としては、制限されず、国際公開第9634882号、同第95516708号、同第2005054291号、同第2006097521号、同第2007104734号、同第2007104736号、同第2007104737号、同第2007104738号、同第2007096332号、同第2009132129号パンフレット;米国特許第5,304,473号および同第6,630,348号明細書;ならびに、Kristensen et al.,Biochem.J.305:981−986(1995)に開示されたものもあげられる。それらの開示はそれぞれ、参照により本願明細書に組み込まれる。
前記「インスリン類似体」の用語は、さらに、インスリン受容体にほとんど検出可能な活性を有さないか、または、同活性を有さないが、前記インスリン受容体における活性を有する1つ以上のアミノ酸修飾または置換を含むように修飾されており、天然のインスリンと比較して、前記インスリン受容体における少なくとも1%、10%、50%、75%または90%の活性を有し、さらに、少なくとも1つのN−結合グリコシル化部位を含む、一本鎖およびヘテロ二量体のポリペプチド分子を含む。具体的な態様では、前記インスリン類似体は、前記インスリン受容体において、天然のインスリンの2×から100×未満の活性を有する、部分アゴニストである。他の態様では、前記インスリン類似体は、前記インスリン受容体、例えば、(参照により本願明細書に組み込まれる)国際公開第2010080607号パンフレットに開示されたIGFB16B17誘導体ペプチドにおける向上した活性を有する。インスリン成長ホルモン受容体における低下した活性および前記インスリン受容体における向上した活性を有するこれらのインスリン類似体は、ヘテロ二量体および一本鎖類似体の両方を含む。
本願明細書で使用する時、前記「一本鎖インスリン」または「一本鎖インスリン類似体」の用語は、前記A−鎖ペプチドまたは機能的類似体および前記B−鎖ペプチドまたは機能的類似体が、2から35個のアミノ酸のペプチドもしくはポリペプチド、または、非ペプチドのポリマー性もしくは非ポリマー性のリンカーにより共有結合され、天然のインスリンと比較して、前記インスリン受容体におけるインスリンの少なくとも1%、10%、50%、75%または90%の活性を有する、構造的に関連するタンパク質群を包含する。前記一本鎖インスリンまたはインスリン類似体は、さらに、3つのジスルフィド結合を含む。第1のジスルフィド結合は、前記A鎖またはその機能的類似体の6と11位とにおけるシステイン残基間であり、第2のジスルフィド結合は、前記A鎖またはその機能的類似体の7位と前記B鎖またはその機能的類似体の7位とにおけるシステイン残基間であり、第3のジスルフィド結合は、前記A鎖またはその機能的類似体の20位と前記B鎖またはその機能的類似体の19位とにおけるシステイン残基間である。
本願明細書で使用する時、「結合性ペプチド」または「C−ペプチド」の用語は、一本鎖プレプロインスリン様分子のB−C−Aのポリペプチド配列における結合部分「C」を意味する。具体的には、天然のインスリン鎖において、前記C−ペプチドは、前記B−鎖の30位におけるアミノ酸と、前記A−鎖の1位におけるアミノ酸とを結合する。前記用語は、天然のインスリンC−ペプチド(配列番号5)、サルのC−ペプチドと、前記B−鎖を前記A−鎖に結合する、3から35個のアミノ酸の任意の他のペプチドとの両方を意味するため、一本鎖インスリン類似体(例えば、米国特許出願公開第20090170750号および同第20080057004号明細書ならびに国際公開第9634882号パンフレットを参照のこと。)および、例えば、国際公開第9516708号パンフレットおよび米国特許第7,105,314号明細書に開示されたインスリン前駆体分子において、前記A−鎖ペプチドに前記B−鎖ペプチドを結合させる任意のペプチドを包含することを意味し得る。本願明細書に示され、2011年12月20日に出願された米国特許仮出願第61/578,052号に開示されたように、前記結合性ペプチドは、前記CTPペプチドでもよい。
本願明細書で使用する時、前記「プレ−プロインスリン類似体前駆体」の用語は、リーダーペプチドを含む融合タンパク質を意味する。前記リーダーペプチドは、前記プレプロ−インスリン類似体前駆体を、前記宿主細胞の分泌経路に向け、前記B−鎖ペプチドまたはB−鎖ペプチド類似体のN−末端に融合される。前記B−鎖ペプチドまたはB−鎖ペプチド類似体は、前記C−ペプチドのN−末端に融合され、次に、そのC−末端において、前記A−鎖ペプチドまたはA−鎖ペプチド類似体のN−末端に融合される。前記融合タンパク質は、前記リーダーペプチドのC−末端と前記B−鎖ペプチドまたはB−鎖ペプチド類似体のN−末端との間に、1つ以上の伸長またはスペーサペプチドを含んでもよい。存在する場合、前記伸長またはスペーサペプチドは、前記B−鎖またはB−鎖類似体のN−末端を、発酵中のプロテアーゼ消化から保護し得る。天然のヒトプレ−プロインスリンは、配列番号6に示されたアミノ酸配列を有する。
本願明細書で使用する時、前記「プロインスリン類似体前駆体」の用語は、前記プレ−プロインスリン類似体前駆体のシグナルまたはプレ−ペプチドが除去されている分子を意味する。
本願明細書で使用する時、前記「インスリン類似体前駆体」の用語は、前記プロインスリン類似体前駆体のプロペプチドが除去されている分子を意味する。前記インスリン類似体前駆体は、前記B−鎖ペプチドまたはB−鎖ペプチド類似体のN−末端において、伸長またはスペーサペプチドを含んでもよい。前記インスリン類似体前駆体は、それがC−ペプチドを含むために、一本鎖分子である。ただし、前記インスリン類似体前駆体は、ヒトインスリンと同様に正確に位置したジスルフィドブリッジ(3つ)を含むであろうし、1つ以上のその後の化学的および/または酵素的プロセスにより、ヘテロ二量体または一本鎖のインスリン類似体に変換されてもよい。
本願明細書で使用する時、前記「リーダーペプチド」の用語は、プレ−ペプチド(前記シグナルペプチド)およびプロペプチドを含むポリペプチドを意味する。
本願明細書で使用する時、前記「シグナルペプチド」の用語は、前駆体型のタンパク質の上のN−末端ペプチドとして存在するプレ−ペプチドを意味する。前記シグナルペプチドの機能は、小胞体内に付着される、発現されたポリペプチドの移行を容易にすることである。前記シグナルペプチドは、通常、このプロセスの経過中に開裂される。前記シグナルペプチドは、前記ポリペプチドを産生するのに使用される有機体に対して、異種または相同でもよい。使用され得る数多くのシグナルペプチドは、酵母のアスパラギン酸プロテアーゼ3(YAP3)シグナルペプチドまたは任意の機能的類似体(Egel−Mitani et al.YEAST 6:127 137(1990)および米国特許第5,726,038号明細書)、ならびに、Saccharomyces cerevisiaeの接合因子α1遺伝子(ScMFα1)遺伝子のシグナルペプチド(Thorner(1981)in The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces cerevisiae,Strathern et al.,eds.,pp 143 180,Cold Spring Harbor Laboratory,NYおよび米国特許第4,870,008号明細書)を含む。
本願明細書で使用する時、前記「プロペプチド」の用語は、それが付着されている前記発現されたポリペプチドを、小胞体からゴルジ体に、さらに、培養培地内への分泌のために、分泌小胞に向かわせる(すなわち、細胞壁を越える、または、少なくとも細胞膜を通る、酵母細胞の細胞周辺腔内へのポリペプチドの移出)機能のペプチドを意味する。前記プロペプチドは、ScMFα1でもよい(例えば、米国特許第4,546,082号および同第4,870,008号明細書を参照のこと。)。代替的に、前記プロ−ペプチドは、合成のプロペプチドでもよく、それは、天然には見出されないプロペプチドと言われ、例えば、制限されず、米国特許第5,395,922号;同第5,795,746号;および同第5,162,498号明細書ならびに国際公開第9832867号パンフレットに開示されたものである。前記プロペプチドは、好ましくは、C−末端におけるエンドペプチダーゼ処理部位、例えば、Lys−Arg配列またはその任意の機能的類似体を含むであろう。
本願明細書で使用する時、前記「インスリン」の用語について、「desB30」または「B(1−29)」の用語は、B30のアミノ酸残基を欠いているインスリンB−鎖ペプチドを意味する。「A(1−21)」は、前記インスリンのA鎖を意味する。
本願明細書で使用する時、「直接N−末端に」は、アミノ酸残基またはペプチド配列が、そのC−末端において、別のアミノ酸残基またはアミノ酸配列のN−末端に、ペプチド結合により直接結合される状態を説明するのを意味する。
本願明細書で使用する時、アミノ酸「修飾」は、アミノ酸の置換または、アミノ酸への/アミノ酸からの化学基の付加および/または除去によるアミノ酸の誘導体化を意味し、ヒトのタンパク質中に一般的に見出される20個のアミノ酸、ならびに、非定型または非天然由来のアミノ酸のいずれかによる置換を含む。非定型アミノ酸の商業的供給元としては、Sigma−Aldrich(Milwaukee、WI)、ChemPep Inc.(Miami、FL)およびGenzyme Pharmaceuticals(Cambridge、MA)があげられる。非定型アミノ酸は、商業的供給元から購入されてもよいし、新たに合成されてもよいし、または、化学的に修飾もしくは天然由来のアミノ酸から誘導体化してもよい。
本願明細書で使用する時、アミノ酸「置換」は、1つのアミノ酸残基の、異なるアミノ酸残基による置換えを意味する。本出願全体を通して、文字および数による特定のアミノ酸位置(例えば、A5位)への全ての言及は、各天然のヒトインスリンのA−鎖(配列番号2)もしくはB−鎖(配列番号4)における前記A−鎖(例えば、A5位)または前記B−鎖(例えば、B5位)のいずれかのその位置、またはその任意の類似体における対応するアミノ酸位置におけるアミノ酸を意味する。
「糖タンパク質」の用語は、1つ以上のオリゴ糖がそれに共有結合される1つ以上の結合基を含む、任意のグリコシル化インスリン類似体、例えば、一本鎖インスリン類似体を含むと意味する。
本願明細書で使用する時、「組換え宿主細胞」(「発現宿主細胞」、「発現宿主系」、「発現系」または単に「宿主細胞」)の用語は、組換えベクターが導入されている細胞を意味することを意図する。このような用語は、特定の対象の細胞だけでなく、このような細胞の子孫も意味することを意図すると理解されるべきである。特定の修飾が、変異または環境影響により、後の世代に生じる場合があるために、このような子孫は、実際には、親細胞と同一ではない場合があるが、それでも、本願明細書で使用する時の前記「宿主細胞」の用語の範囲内に含まれる。組換え宿主細胞は、単離された細胞または培養において増殖した細胞系統でもよいし、または、生きた組織または器官に属する細胞でもよい。宿主細胞は、糖タンパク質を産生するように遺伝子操作されている、酵母、糸状菌、哺乳類細胞、植物細胞、昆虫細胞ならびに原核生物および古細菌でもよい。
糖タンパク質の調製物に存在するグリカンの「モルパーセント」または「モル%」に言及する場合、前記用語は、β−除去により放出され、ついで、糖型組成により影響を受けない方法(例えば、放出されたグリカンプールを、蛍光タグ、例えば、2−アミノベンズアミドにより標識し、ついで、高性能液体クロマトグラフィーまたはキャピラリ電気泳動により分離し、ついで、蛍光強度によりグリカンを定量すること)により定量される、O−結合オリゴ糖のプールに存在する特定のグリカンのモルパーセントを意味する。実施形態では、糖タンパク質の調製物中の特定のグリカンのモルパーセントは、20%と100%との間、好ましくは、25%、30%、35%、40%または45%より高く、より好ましくは、50%、55%、60%、65%または70%より高く、最も好ましくは、75%、80%、85%、90%または95%より高いであろう。
前記「操作可能に結合された」発現制御配列の用語は、前記発現制御配列が、所望の遺伝子を制御するために、所望の遺伝子と連続しており、発現制御配列が、transにおいて、または、所望の遺伝子を制御する距離において作用する、結合を意味する。
前記「発現制御配列」または「調節配列」の用語は、互換的に使用され、本願明細書で使用する時、それらが操作可能に結合されるコード配列の発現に作用するのに必須のポリヌクレオチド配列を意味する。発現制御配列は、転写、転写後イベントおよび核酸配列の翻訳を制御する配列である。発現制御配列としては、適切な転写開始、終了、プロモータおよびエンハンサの配列;効率的なRNA処理シグナル、例えば、スプライシングおよびポリアデニル化シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上させる配列(例えば、リボソーム結合部位);タンパク質の安定性を向上させる配列;および、必要に応じて、タンパク質の分泌を向上させる配列があげられる。このような制御配列の性質は、宿主有機体により異なる。原核生物において、このような制御配列としては、一般的に、プロモータ、リボソーム結合部位および転写終了配列があげられる。前記「制御配列」の用語は、哺乳類において、その存在が発現に必須の全ての成分を含み、存在が有益である更なる成分、例えば、リーダ配列および融合パートナー配列も含み得ることを意図する。
「遺伝子導入する」、「遺伝子導入」、「遺伝子導入すること」等の用語は、異種核酸を真核生物の細胞、高等および下等の両方の真核生物の細胞内に導入することを意味する。歴史的に「形質転換」の用語は、原核生物、酵母または糸状菌の細胞内への核酸の導入を説明するのに使用されてきた。ただし、前記「遺伝子導入」の用語は、任意の原核生物または真核生物の細胞、例えば、酵母および糸状菌の細胞内への核酸の導入を意味するのにも使用される。さらに、原核生物または真核生物の細胞内への異種核酸の導入は、ウイルスもしくは細菌の感染または弾道的DNA移行によっても生じてもよい。前記「遺伝子導入」の用語は、適切な宿主細胞におけるこれらの方法を意味するのにも使用される。
前記「真核生物」の用語は、有核細胞または生物を意味し、昆虫細胞、植物細胞、哺乳類細胞、動物細胞および下等な真核生物の細胞があげられる。
前記「下等な真核生物の細胞」としては、酵母および糸状菌があげられる。酵母および糸状菌としては、制限されず、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia minuta(Ogataea minuta、Pichia lindneri)、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia種、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces種、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces種、Kluyveromyces lactis、Yarrowia lipolytica、Candida albicans、任意のAspergillus種、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium種、Fusarium gramineum、Fusarium venenatum、Physcomitrella patensおよびNeurospora crassaがあげられる。
本願明細書で使用する時、「主に」の用語またはバリエーション、例えば、「主な(the predominant)」または「主な(which is predominant)」は、前記インスリン類似体がPNGaseで処理され、放出されたグリカンが質量分析法、例えば、MALDI−TOF MSまたはHPLCにより分析された後の、O−グリカン合計の最も高いモルパーセント(%)を有するグリカン種を意味すると理解されるであろう。すなわち、「主に」の表現は、任意の他の個々の実体より高いモルパーセントで存在する、個々の実体、例えば、特定の糖型として規定される。例えば、組成が、A種が40モルパーセント、B種が35モルパーセントおよびC種が25モルパーセントからなる場合、前記組成は、主にA種を含み、B種が、次の最も主な種であろう。
本願明細書で使用する時、「薬学的に許容され得るキャリア」の用語は、標準的な薬学的キャリア、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン、例えば、油/水または水/油のエマルジョンおよび種々の種類の湿潤剤のいずれかを含む。前記用語は、米国連邦政府の監督官庁により承認され、または、動物、例えば、ヒトに使用するために米国薬局方に列記された薬剤のいずれかも包含する。
本願明細書で使用する時、「薬学的に許容され得る塩」の用語は、親化合物の生物学的活性を保持し、生物学的または他の方法で望ましくなくない化合物の塩を意味する。本願明細書に開示された多くの化合物は、酸性および/または塩基性の塩を、アミノおよび/またはカルボキシルの基またはそれに類似する基の存在により形成可能である。
薬学的に許容され得る塩基付加塩は、無機または有機の塩基から調製され得る。無機塩基から派生される塩としては、単に例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウムの塩があげられる。有機塩基から派生される塩としては、制限されず、一級、二級および三級のアミンの塩があげられる。
薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機または有機の酸から調製され得る。無機酸から派生される塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等があげられる。有機酸から派生される塩としては、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸等があげられる。
本願明細書で使用する時、「処置すること(treating)」の用語は、特定の障害もしくは症状の予防または特定の障害もしくは症状に関連する兆候の緩和および/または前記兆候の予防もしくは除去を含む。例えば、本願明細書で使用する時、「糖尿病を処置すること」の用語は、一般的に、グルコースの血中レベルを、正常なレベル近くに維持することを意味するであろうし、所定の状況に応じて、血中グルコースレベルを向上または低下させることを含んでもよい。
本願明細書で使用する時、「有効」量または「治療的に有効量」のインスリン類似体は、無毒性であるが、所望の効果を提供するのに十分な量のインスリン類似体を意味する。例えば、1つの所望の効果は、低血糖の予防または処置であろう。「有効」である量は、個体の年齢および全体的な症状、投与方式等に応じて、対象ごとに変動するであろう。このため、正確な「有効量」を特定するのが常に可能ではない。ただし、任意の個々の場合における適切な「有効」量は、ルーチンな実験を使用して、当業者により決定されてもよい。
「非経口」の用語は、消化管を経由せず、一部の他の経路、例えば、経鼻、吸入、皮下、筋肉内、髄腔内または静脈内によることを意味する。
本願明細書で使用する時、「薬物動態学的」の用語は、タンパク質の遊離、吸収、分布、代謝および排出に関連する分野において一般的に使用されるインスリンまたはインスリン類似体のin vivoにおける特性を意味する。このような薬物動態学的特性としては、制限されず、用量、投与間隔、濃度、排出速度、排出速度定数、曲線下面積、分布量、任意の組織または細胞におけるクリアランス、血中でのタンパク質分解的分解、生物学的利用能、血漿への結合、半減期、初回通過消失、排出速度、Cmax、tmax、Cmin、吸収速度および変動があげられる。
本願明細書で使用する時、「薬力学的」の用語は、タンパク質の生理学的作用に関連する分野において一般的に使用されるインスリンまたはインスリン類似体のin vivoにおける特性を意味する。このような薬力学的特性としては、制限されず、最大グルコース注入速度、最大グルコース注入速度に対する時間およびグルコース注入速度曲線下の面積があげられる。
プラスミドpGLY9316のマップを示す。前記プラスミドは、TRP2またはAOX1の遺伝子座を標的とし、S.cerevisiaeのアルファ接合因子シグナル配列を使用する空の発現カセットを含む、ロールイン組込みプラスミドである。 株YGLY26268の構築を示す。 株YGLY26268の構築を示す。 プラスミドpGLY6のマップを示す。プラスミドpGLY6は、URA5遺伝子座を標的とし、一方側において、P.pastorisのURA5遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(PpURA5−5’)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、P.pastorisのURA5遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(PpURA5−3’)を含む核酸分子のそばに隣接する、S.cerevisiaeのインベルターゼ遺伝子または転写ユニット(ScSUC2)を含む組込みベクターである。 プラスミドpGLY40のマップを示す。プラスミドpGLY40は、OCH1遺伝子座を標的とし、lacZリピート(lacZリピート)を含む核酸分子に隣接し、次に、一方側において、OCH1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(PpOCH1−5’)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、OCH1遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(PpOCH1−3’)を含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む核酸分子を含む組込みベクターである。 プラスミドpGLY43aのマップを示す。プラスミドpGLY43aは、BMT2遺伝子座を標的とし、lacZリピート(lacZリピート)を含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む核酸分子に隣接する、K.lactisのUDP−N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)トランスポータ遺伝子または転写ユニット(KlGlcNAcTransp.)を含む核酸分子を含む組込みベクターである。前記隣接する遺伝子は、一方側において、BMT2遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(PpBS2−5’)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、BMT2遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(PpBS2−3’)を含む核酸分子のそばに隣接する。 プラスミドpGLY48のマップを示す。プラスミドpGLY48は、MNN4L1遺伝子座を標的とし、5’端において、P.pastorisのGAPDHプロモータを含む核酸分子(PpGAPDH Prom)に、および、3’端において、S.cerevisiaeのCYC終了配列を含む核酸分子(ScCYC TT)に操作可能に結合され、lacZリピート(lacZリピート)に隣接するP.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む核酸分子に隣接する、UDP−GlcNAcトランスポータのマウス類似体のオープン・リーディング・フレーム(ORF)をコードする核酸分子(MmGlcNAcTransp.)を含む発現カセットを含む組込みベクターである。前記発現カセットは共に、一方側において、P.pastorisのMNN4L1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(PpMNN4L1−5’)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、MNN4L1遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(PpMNN4L1−3’)を含む核酸分子のそばに隣接する。 プラスミドpGLY45のマップを示す。プラスミドpGLY45は、PNO1/MNN4遺伝子座を標的とし、lacZリピート(lacZリピート)を含む核酸分子に隣接し、次に、一方側において、PNO1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(PpPNO1−5’)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、MNN4遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(PpMNN4−3’)を含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む核酸分子を含む組込みベクターである。 プラスミドpGLY3419(pSH1110)のマップを示す。プラスミドpGLY3430(pSH1115)は、lacZリピート(lacZリピート)に隣接し、一方側において、P.pastorisのBMT1遺伝子の5’ヌクレオチド配列(PBS1 5’)に隣接し、他方側において、P.pastorisのBMT1遺伝子の3’ヌクレオチド配列(PBS1 3’)に隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む発現カセットを含む組込みベクターである。 プラスミドpGLY3411(pSH1092)のマップを示す。プラスミドpGLY3411(pSH1092)は、lacZリピート(lacZリピート)に隣接し、一方側において、P.pastorisのBMT4遺伝子の5’ヌクレオチド配列(PpPBS4 5’)に隣接し、他方側において、P.pastorisのBMT4遺伝子の3’ヌクレオチド配列(PpPBS4 3’)に隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む発現カセットを含む組込みベクターである。 プラスミドpGLY3421(pSH1106)のマップを示す。プラスミドpGLY4472(pSH1186)は、lacZリピート(lacZリピート)に隣接し、一方側において、P.pastorisのBMT3遺伝子の5’ヌクレオチド配列(PpPBS3 5’)に隣接し、他方側において、P.pastorisのBMT3遺伝子の3’ヌクレオチド配列(PpPBS3 3’)に隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(PpURA5)を含む発現カセットを含む。 プラスミドpGLY6301のマップを示す。プラスミドpGLY6301は、LmSTT3Dを発現し、P.pastorisにおけるURA6遺伝子座を標的とする組込みプラスミドである。LmSTT3Dをコードする発現カセットは、5’端において、誘導性P.pastorisのAOX1プロモータ配列を有する核酸分子に、および、3’端において、S.cerevisiaeのCYC転写終了配列を有する核酸分子に操作可能に結合された、P.における最適な発現のためにコドン最適化されたLmSTT3D ORFをコードする核酸分子を含む。選択のために、前記プラスミドは、亜ヒ酸抵抗性を付与するために、S.cerevisiaeのARR3遺伝子を含む核酸分子を含む。 ジストログリカン型 O−グリコシル化に対する、ムチン型 O−グリコシル化の比較を示す。 検出可能な、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を欠くように遺伝子操作されたPichia pastoris(GFI株1.0)において産生されるマンノテトロースO−グリカン、または、検出可能な、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を欠いており、α1,2−マンノシルトランスフェラーゼ活性を発現するように遺伝子操作されたPichia pastoris(GFI株2.0)において産生されるマンノースO−グリカンと比較した、野生型のPichia pastorisにおいて典型的に産生されるO−グリカンの構造を示す。GFI株1.0については、マンノース、マンノビオースまたはマンノトリオースのO−グリカンが示されない。 タンパク質上のO−グリカンについて、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない宿主細胞、例えば、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を欠くように遺伝子操作されたPichia pastoris(GFI株1.0)において産生される、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースおよびマンノテトロースのO−グリカンの構造を示す。 O−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体D113901およびD113702(SCI:CペプチドCTP;配列番号45)のQ−TOF分析を示す。上段のパネルは、PNGase(PNG)処理前のO−グリカンプロファイルを示す。下段のパネルは、PNGase処理後のプロファイルを示す。表は、前記類似体についてのO−グリカン占有度および鎖長を示す。 O−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体D113901およびD113702(SCI:CペプチドCTP;配列番号45)のQ−TOF分析を示す。上段のパネルは、PNGase(PNG)処理前のO−グリカンプロファイルを示す。下段のパネルは、PNGase処理後のプロファイルを示す。表は、前記類似体についてのO−グリカン占有度および鎖長を示す。 非糖尿病のC57BL/6マウスにおける経時的な血中グルコースレベルのα−メチル−マンノース(α−MM)の有無による、O−グリコシル化CTPペプチド系類似体D113901およびD113702の効果を示す。 C57BL/6マウスにおける経時的な血漿インスリンレベルのα−MMの有無による、O−グリコシル化CTPペプチド系類似体D113901およびD113702の効果を示す。 C57BL/6マウスにおける、血中グルコース%AOCおよび血漿インスリンAUCのα−MMの有無による、O−グリコシル化CTPペプチド系類似体D113901およびD113702の効果を示す(AUCは、「曲線下面積」を意味する。)。
本発明は、O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体の分子、O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体の分子を含む組成物および薬学的製剤、前記O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体を産生するための方法、ならびに、前記O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体を使用するための方法を提供する。前記O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体は、O−グリコシル化により修飾された、少なくとも1つの薬力学的(PD)または薬物動態学的(PK)な特性を有する。本願明細書に記載されたO−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体を含む組成物および製剤は、糖尿病の処置および治療に有用であり得る。
ヒトまたは哺乳類において産生されるインスリンは、天然には、O−結合グリコシル化を含まないため、本発明では、前記インスリンまたはインスリン類似体は、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのベータサブユニット(hCGβ)の112−118位から145位において見出されたカルボキシ末端部分(CTP)ペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を含むように修飾される。前記CTPペプチドは、そのin vivoクリアランスパターンを変更するために、N−末端またはC−末端において、生物学的に活性な分子を修飾するのに、当該分野において使用されてきた。生物学的に活性な分子の血清半減期を延長させるための前記CTPペプチドの使用は、数多くの米国特許の主題であった(例えば、米国特許第5,705,478号;同第5,712,122号;同第5,759,818号;同第5,585,345号;同第6,225,449号;同第6,635,256号;同第6,987,172号;および同第7,442,376号明細書を参照のこと。)。
本発明の具体的な態様では、前記CTPペプチドは、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含む。前記CTPペプチドは、本願明細書に記載されたように、哺乳類の宿主細胞中でO−グリコシル化される性質を有し、さらに、下等な真核生物中でも、O−グリコシル化され得る。哺乳類の宿主細胞では、前記CTPペプチドは、配列番号1の4、10、15および21位におけるセリン残基においてO−グリコシル化される。
真核生物では、N−結合グリカンおよびO−結合グリカンは、2つの主要な種類のグリコシル化である。N−結合グリコシル化(N−グリコシル化)は、N−アセチルグルコサミン(GlcNac)のアスパラギン(Asn)に対するβ−グルコシルアミン結合により特徴付けられる(Spiro,Glycobiol.12:43R−56R(2002))。コンセンサス配列モチーフAsn−Xaa−Ser/Thrが、N−グリコシル化に必須であることが十分確立されてきた(Blom et al.,Proteomics 4:1633−1649(2004))。O−結合グリコシル化(O−グリコシル化)の大部分の存在型は、ムチン型のものである。前記ムチン型は、UDP−N−アセチル−D−ガラクトサミン:ポリペプチド N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼの酵素により、セリン/スレオニン(Ser/Thr)側鎖のヒドロキシル基に結合される、α−N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)により特徴付けられる(Hang & Bertozzi,Bioorg.Med.Chem.13:5021−5034(2005);Julenius et al.,Glycobiol.15:153−164(2005);図12)。ムチン型O−グリカンは、さらに、ガラクトースおよびシアル酸残基を含み得る。ムチン型O−グリコシル化は、一般的には、哺乳類中で、多くの、分泌され、膜結合したムチンにおいて見出されるが、他の高等な真核生物においても存在する(Hanish,Biol Chem..382:143−149(2001))。病原体および環境被害に対して表皮表面を防御するのに重要な役割を果たす粘液、ゲルの主な成分として、ムチンは、フレームワークの組織化および粘液のレオロジー特性の付与を担う。ムチンにより示された上記特性の範囲を超えて、ムチン型O−グリコシル化は、種々のタンパク質のin vivoにおける機能を調節することも公知である(Hang & Bertozzi,Bioorg.Med.Chem.13:5021−5034(2005))。例えば、ムチン様グリカンは、炎症反応中に、受容体結合リガンドとして機能し得る(McEver & Cummings,J.Chin.Invest.100:485−491(1997))。
別型のO−グリコシル化は、O−マンノース型グリコシル化のそれである(T.Endo,BBA 1473:237−246(1999))。哺乳類の組織では、この型のグリコシル化は、2つの型に細分化され得る。第1の型は、タンパク質のセリンまたはスレオニン残基への1つのマンノースの付加である。これは、稀に発生するが、少数のタンパク質、例えば、IgGの軽鎖において発生することが説明されてきた(Martinez et al,J.Chromatogr.A.1156:183−187(2007))。哺乳類系におけるより一般的な型のO−マンノース型グリコシル化は、ジストログリカン型のそれである。前記ジストログリカン型は、O−結合マンノース β1,2−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ1(POMGnT1)により、α1結合におけるセリン/スレオニン側鎖のヒドロキシル基に結合されるマンノース残基に結合される、β−N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)により特徴付けられる(T.Endo,BBA 1473:237−246(1999);図12)。ジストログリカン型O−グリカンは、さらに、ガラクトースおよびシアル酸残基を含み得る。N−グリコシル化と異なり、前記コンセンサスモチーフは、ムチンまたはジストログリカン O−グリコシル化部位の配列関係において特定されてこなかった。
ムチン型O−グリコシル化は、主に、細胞表面タンパク質および分泌タンパク質において見出される。ジストログリカン型O−グリコシル化は、主に、細胞外マトリクスを含むタンパク質と会合される。ムチン−およびジストログリカン−型O−グリカンは両方とも、末端シアル酸残基を有する場合がある。図12に示されるように、前記末端シアル酸残基は、先行するガラクトース残基とのα2,3結合にある。一部の例では、図12に示されたように、ムチン型O−グリカンは、分岐したα2,6シアル酸残基も有し得る。組換え非ヒト細胞系統から取得された糖タンパク質における前記各型の構造に存在するシアル酸は、N−アセチルノイラミン酸(NANA)およびN−グリコリルノイラミン酸(NGNA)の混合物を含み得る。ただし、哺乳類細胞から取得された糖タンパク質とは対照的に、ヒト細胞から取得された糖タンパク質における各型の構造に存在するシアル酸は、NANAから構成される。このため、哺乳類細胞培養から取得された糖タンパク質の組成は、非ヒト哺乳類細胞において産生される糖タンパク質と会合される構造を有するシアル化O−グリカンを含む。
ヒトおよび哺乳類系とは対照的に、糸状菌、例えば、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisにおいて、O−グリコシル化は、5つまたは6つまでのマンノース残基を含み得るO−グリカンを産生する(例えば、Tanner & Lehle,Biochim.Biophys.Acta 906:81−89(1987);Herscovics & Orlean,FASEB J.7:540−550(1993);Trimble et al.,GlycoBiol.14:265−274(2004);Lommel & Strahl,Glycobiol.19:816−828(2009)を参照のこと。)。図13Aに示される野生型のPichia pastorisは、末端マンノース残基がリン酸化され得る、6つまでのマンノース残基からなるO−マンノース型O−グリカンを産生し得る。Pichia pastorisにおいて、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性およびβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を抑制し、これにより、β結合マンノース残基なしに電荷を含まないO−グリカンをもたらし、O−グリコシル化部位占有度を低下させるタンパク質PMT阻害剤、および、電荷を含まないO−グリカンの鎖長を短くする分泌型α1,2−マンノシダーゼの存在下において、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性およびβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を欠いている前記Pichia pastorisを培養することにより、O−マンノース減少グリカン(またはマンノース減少O−グリカン)が産生され得る(例えば、米国特許出願公開第20090170159号明細書ならびに米国特許第7,259,007号および同第7,465,577号明細書を参照のこと。)。前記コンセンサスモチーフは、糸状菌のO−グリコシル化部位の配列関係において特定されてきていない。
本発明は、インスリンおよびインスリン類似体であって、アミド(ペプチド)結合により、前記インスリンまたはインスリン類似体に共有結合される、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのベータサブユニット(hCGβ)の112−118位から145位において見出される少なくとも1つのカルボキシ末端部分(CTP)ペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を含み、前記CTPペプチドまたはその部分変異体が、O−グリカンによりO−グリコシル化されており、その上の各O−グリカンが、1つ、2つ、3つまたは4つのマンノース残基(それぞれ、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースのO−グリカン構造(図13Bに示される構造)を含むインスリンおよびインスリン類似体を提供する。前記O−グリカンの還元端におけるマンノースは、前記CTPペプチドまたはその部分変異体のセリンまたはスレオニンの残基に、α1結合において共有結合される。各マンノース残基は、さらに、α1,2結合において、先行するマンノース残基の非還元端に、その還元端において結合される。更なる実施形態では、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)の前記配列の、1、2、3、4、10、13、15、21および23位から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つまたは4つの(1又は複数の)O−グリコシル化部位が、O−グリカンにより占有される。具体的な実施形態では、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)の前記配列の4、10、15および21位から選択される少なくとも1つのセリン残基が、O−グリカンにより占有される。具体的な実施形態では、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)の前記配列の4、10、15および21位から選択される少なくとも2つのセリン残基が、O−グリカンにより占有される。具体的な実施形態では、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)の前記配列の4、10、15および21位から選択される少なくとも3つのセリン残基が、O−グリカンにより占有される。具体的な実施形態では、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)の前記配列の4、10、15および21位におけるセリン残基がそれぞれ、O−グリカンにより占有される。
一部の実施形態では、前記CTPペプチドのC−末端および/またはN−末端は、さらに、1つまたは2つの塩基性アミノ酸、例えば、LysまたはArg、Lys−ArgまたはArg−Argを含んでもよい。例えば、具体的な態様では、前記CTPペプチドは、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQK(配列番号91)、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQR(配列番号92)、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQKR(配列番号93)または、SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQRR(配列番号94)のアミノ酸配列を含む。更なる実施形態では、前記CTPペプチドの少なくとも2つのO−グリコシル化部位が、O−グリカンにより占有される。更なる実施形態では、前記CTPペプチドの少なくとも3つのO−グリコシル化部位が、O−グリカンにより占有される。更なる実施形態では、前記CTPペプチドの少なくとも4つのO−グリコシル化部位が、O−グリカンにより占有される。更なる実施形態では、前記インスリンおよびインスリン類似体は、少なくとも1つのカルボキシ末端部分(CTP)ペプチドの一部を含む。ただし、前記CTPペプチドの一部が、少なくとも1つのO−グリコシル化部位を含むという条件である。具体的な実施形態では、その上のO−グリカンは、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースおよび/またはマンノテトロースの構造からなり、フコース、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトースおよび/またはシアル酸(NANAおよび/またはNGNA)残基を欠いている。
更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記B−鎖または前記A−鎖のN−末端に共有結合される。別の実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記A−鎖または前記B−鎖のC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記B−鎖または前記A−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記A−鎖または前記B−鎖のC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記B−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記A−鎖または前記B−鎖のペプチドにおけるC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記A−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記A−鎖またはB−鎖のC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記B−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記B−鎖のC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記A−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記A−鎖のC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記A−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記B−鎖のC−末端に共有結合される。更なる実施形態では、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのC−末端において、前記B−鎖のN−末端に共有結合され、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、そのN−末端において、前記A−鎖のC−末端に共有結合される。上記実施形態の更なる態様では、1、2、3、4、5、6または7から20個のアミノ酸の介在ペプチドは、前記CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体と、前記A−鎖またはB−鎖の末端との間に配置される。上記実施形態では、前記インスリンまたはインスリン類似体は、ヘテロ二量体分子または一本鎖分子でもよい。前記ヘテロ二量体または一本鎖の態様のいずれかにおいて、前記A−鎖およびB−鎖は、ジスルフィド結合により互いに共有結合される。
更なる実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、一本鎖分子であり、前記CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、少なくとも1つのO−グリカンが、前記CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体に結合され、その上の各O−グリカンが、1つ以上のマンノース残基を含む、構造:(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を含む分子を提供するために、前記A−鎖および前記B−鎖を結合させる。更なる実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系一本鎖インスリンまたはインスリン類似体は、さらに、前記B−鎖のN−末端および/または前記A−鎖のC−末端に共有結合された、少なくとも1つのCTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を含む。
前記結合性ペプチドが前記CTPペプチドでない実施形態では、前記結合性ペプチドは、3つのアミノ酸残基から、ヒトインスリン中の天然のC−ペプチドの長さに対応する長さまで変動してもよい。ただし、前記非CTP結合性ペプチドは、通常、前記ヒトのC−ペプチドより短く、典型的には、前記ペプチド鎖中の3から約35、3から約30、4から約35、4から約30、5から約35、5から約30、6から約35または6から約30、3から約25、3から約20、4から約25、4から約20、5から約25、5から約20、6から約25または6から約20、3から約15、3から約10、4から約15、4から約10、5から約15、5から約10、6から約15または6から約10、または、6−9、6−8、6−7、7−8、7−9または7−10個のアミノ酸残基の長さを有するであろう。一本鎖ペプチドは、米国特許出願公開第20080057004号明細書、米国特許第6,630,348号明細書、国際公開第2005054291号、同第2007104734号、同第2010080609号、同第20100099601号および同第2011159895号パンフレットに開示されている。それらの文献はそれぞれ、参照により本願明細書に組み込まれる。さらに、薬学的に許容され得るキャリア、塩またはそれらの組み合わせを含む上記組成物および製剤が提供される。
具体的な実施形態では、前記結合性ペプチドは、式Gly−Z−Gly−Zを含み、式中、Zは、Alaまたはチロシン以外の別のアミノ酸であり、Zは、2−35個のアミノ酸のペプチドである。
具体的な実施形態では、前記結合性ペプチドは、GAGSSSRRAPQT(配列番号56)、GAGSSSSRRA(配列番号57)、GAGSSSSRR(配列番号58)、GGGPRR(配列番号59)、GGGPGAG(配列番号60)、GGGGGKR(配列番号61)またはGGGPGKR(配列番号62)である。
具体的な実施形態では、前記結合性ペプチドは、VGLSSGQ(配列番号63)またはTGLGSGR(配列番号64)である。他の態様では、前記結合性ペプチドは、RRGPGGG(配列番号65)、RRGGGGG(配列番号66)、GGAPGDVKR(配列番号67)、RRAPGDVGG(配列番号68)、GGYPGDVLR(配列番号69)、RRYPGDVGG(配列番号70)、GGHPGDVR(配列番号71)またはRRHPGDVGG(配列番号72)である。
前記O−グリコシル化ヘテロ二量体または一本鎖インスリン類似体の具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体は、少なくともGIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;少なくともHLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド、および、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのベータサブユニット(hCGβ)のアミノ酸112−118から142を含むカルボキシ末端部分(CTP)ペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を有する。この場合、前記CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体の、少なくとも1つのアミノ酸残基は、O−グリカンに共有結合される。前記インスリンまたはインスリン類似体は、前記A−鎖ペプチドおよび/または前記B−鎖ペプチドの天然のアミノ酸配列における、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17個までのアミノ酸置換をさらに含んでもよい。前記CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、ペプチド結合により、前記B−鎖のN−末端、前記A−鎖のC−末端に共有結合され、または、前記CTPペプチドまたは、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体は、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体を産生するために、前記B−鎖を前記A−鎖に共有結合させる結合性ペプチドである。前記インスリンまたはインスリン類似体は、3つのジスルフィド結合を有する。第1のジスルフィド結合は、配列番号90の6と11位とにおけるシステイン残基間であり、第2のジスルフィド結合は、配列番号3の3位と配列番号90の7位とにおけるシステイン残基間であり、第3のジスルフィド結合は、配列番号3の15位と配列番号90の20位とにおけるシステイン残基間である。
本発明は、さらに、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体の1つ以上の種を含む組成物および薬学的組成物を提供する。前記組成物および薬学的組成物は、さらに、薬学的に許容され得るキャリアを含んでもよい。O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体の組成は、主に、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースのO−グリカンを含んでもよい。更なる態様では、主なO−グリカンは、マンノトリオースまたはマンノテトロースである。更なる態様では、主なO−グリカンは、マンノトリオースとマンノテトロースとの組み合わせである。更なる態様では、主なO−グリカンは、ほとんど検出できない、または、検出できないマンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースを伴うマンノースである。
上記組成の更なる態様では、少なくとも40モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも50モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも60モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも70モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも80モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも90モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも95モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも98モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、あるいは、少なくとも99モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである。
上記組成の更なる態様では、少なくとも40モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、少なくとも50モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、少なくとも60モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、少なくとも70モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、少なくとも80モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、少なくとも90モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、少なくとも95モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、少なくとも98モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースまたはマンノテトロースである、あるいは、少なくとも99モル%の前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである。
上記組成の更なる態様では、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の前記O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体は、少なくとも1つのO−グリカンを含む。上記組成の更なる態様では、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の前記O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体は、2つ以上のO−グリカンを含む。上記組成の更なる態様では、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の前記O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体は、3つ以上のO−グリカンを含む。上記組成の更なる態様では、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の前記O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体は、2つ以上のO−グリカンを含む。上記組成の更なる態様では、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の前記O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体は、4つのO−グリカンを含む。
上記組成の更なる態様では、前記組成物中のO−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体の主な種は、1分子のタンパク質(O−グリコシル化CTPペプチド系ヘテロ二量体または一本鎖のインスリンまたはインスリン類似体)あたりに、少なくとも6分子のマンノースを含む。1分子のタンパク質あたりに、6分子のマンノースを含む主な種は、O−グリコシル化部位占有度および鎖長の任意の組み合わせを有してもよい。例えば、1つの部位が、4つのマンノース残基(マンノテトロース)のO−グリカンにより占有される場合、例えば、(i)別の部位が、2つのマンノース残基(マンノビオース)のO−グリカンにより占有されてもよく、または、(ii)2つの他の部位がそれぞれ、1つのマンノースのO−グリカンにより占有されてもよい。別の例として、1つの部位が、3つのマンノース残基(マンノトリオース)のO−グリカンにより占有される場合、例えば、(i)別の部位が、3つのマンノース残基(マンノトリオース)のO−グリカンにより占有されてもよく、または、(ii)2つの他の部位が、O−グリカンにより占有され、1つは、マンノースにより占有され、他は、マンノビオースにより占有されてもよく、または、(iii)3つの他の部位がそれぞれ、1つのマンノース残基のO−グリカンにより占有されてもよい。別の例として、1つの部位が、2つのマンノース残基(マンノビオース)のO−グリカンにより占有される場合、例えば、(i)別の2つの部位がそれぞれ、2つのマンノース残基(マンノビオース)のO−グリカンにより占有されてもよく、または、(ii)2つの他の部位がそれぞれ、O−グリカンにより占有され、1つが、マンノースにより占有され、他が、マンノビオースにより占有されてもよい。
前記O−結合グリカンは、非グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体と比較して、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体に、1つ以上の有益な特性、例えば、制限されず、(i)向上または延長した薬物動態学的(PK)特性、(ii)向上した薬力学的(PD)特性、(iii)低下した副作用、例えば、低血糖、(iv)前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体が糖類応答性または感受性活性を示し得ること、(v)インスリン受容体(IR)に対する親和性と比較したインスリン様成長因子1受容体(IGF1R)に対する低下した親和性の提示、(vi)IR−AまたはIR−Bのいずれかに対する好ましい結合の提示、(vii)前記インスリン受容体に対する向上したオン−レート、低下したオン−レートおよび/または低下したオフ−レートの提示、ならびに/または、(viii)送達経路の変更、例えば、皮下、静脈内または筋肉内の投与に対する、経口、経鼻または肺投与、を付与してもよい。
O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、1つ以上の上記特性を付与してもよく、現在の糖尿病治療を超える顕著な改善を提供する場合がある。例えば、O−グリカンは、治療用タンパク質のPK/PD特性を変化させることが公知である(例えば、米国特許第6,689,365号明細書を参照のこと。)。現在上市されているインスリン治療は、組換えヒトインスリンおよび、インスリン類似体と呼ばれるヒトインスリンの変異した変異体からなる。これらの類似体は、(1又は複数の)アミノ酸変異および配合バッファーの組み合わせにより、変化したin vitroおよびin vivo特性を示す。本願明細書に開示されたように、インスリンに対するO−グリカンの付加は、現在の全てのインスリン治療において欠けている、身体におけるインスリン作用を調節するための別の次元を加える。直接的またはポリマー性もしくは非ポリマー性リンカーによるかのいずれかにおいて、糖類またはオリゴ糖部分にコンジュゲートしたインスリンは、例えば、米国特許第3,847,890号;同第7,317,000号明細書;国際公開第8100354号;同第8401896号;同第9010645号;同第2004056311号;同第2007047977号;同第2010088294号パンフレット;および欧州特許第0119650号明細書)に先に記載されている。本願明細書に開示されたO−グリコシル化インスリン類似体の特徴は、O−グリカンが天然由来の結合においてそれに結合されることであり、前記結合は、O−結合グリコシル化能を有する任意の生物により、in vivoにおいて生じ得る、天然の化学結合である。
30年間にわたって、インスリンの研究者は、既存のインスリン治療を改善する試みにおいて、化学的リンカーまたはex vivoにおける酵素反応を使用して、インスリンに糖類を結合させることを記載してきた。インスリンへの糖部分の化学的結合の概念は、1979年に、Michael Brownleeにより、生理学的血中グルコースレベルの関数として、インスリンの生物学的利用能を調節する機構として、最初に導入された(Brownlee & Cerami,Science 206:1190(1979))。Brownleeの提案における主な制限は、グリコシル化されたインスリン誘導体に相互作用するコンカナバリンの毒性であった。酵母において産生されたインスリンにおけるO−結合マンノースグリカンの存在を記載する文献が報告されているが、このグリカンは、除去されるべき混入物と考えられた(Kannan et al.,Rapid Commun.Mass Spectrom.23:1035(2009);国際公開第9952934号および同第2009104199号パンフレット)。したがって、一実施形態では、本発明は、少なくとも1つのO−グリカンがin vivoにおいて結合される、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体(前駆体型または成熟型において、ヘテロ二量体型において、または、一本鎖型においてのいずれか)を提供する。この場合、前記O−グリカンは、前記O−グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体の少なくとも1つの治療特性を変化させ、例えば、前記インスリンまたはインスリン類似体を少なくとも1つの修飾された薬物動態学的(PK)および/または薬力学的特性(PD);例えば、延長した血清半減期、溶液における改善した安定性、糖類調節インスリンであることが可能である等の特性を有する分子にする。
現在、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisが、商業的に利用可能な組換えインスリンおよびインスリン類似体を産生するのに使用される。これらの3つの生物の中でも、酵母であるSaccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisのみが、タンパク質にO−グリカンを付加する生得的な能力を有する。一般的には、酵母におけるO−グリコシル化は、その上のO−グリカンが、糸状菌型の高いマンノース構造を有する、糖タンパク質の産生をもたらす。過去10年にわたって、グリコシル化パターンが内在性のグリコシル化パターンから変化している酵母株が構築されてきた。例えば、本願明細書に開示された糖鎖操作されたPichia pastoris株を使用して、前記O−グリカンの組成が、予め決定され、制御されてもよい。このため、前記糖鎖操作された酵母のプラットホームは、O−グリコシル化インスリンおよびインスリン類似体を産生するのに十分適している。O−グリコシル化インスリンは、哺乳類細胞の培養において発現されてもよいが、現在、組換え的にインスリンを産生するための実行不可能な手段であると思われる。哺乳類細胞の培養は、通常、最適な細胞生存力および適応性にために、インスリンの添加を必要とするためである。インスリンが正常な哺乳類細胞の発酵プロセスにおいて代謝されるため、分泌されたO−グリコシル化インスリン類似体は、前記細胞によりおそらく使用され、前記O−グリコシル化インスリン類似体の低下した産生をもたらす。哺乳類細胞の培養を使用することに対する更なる不利益は、酵母細胞培養において行われるのと同じ程度にグリカンプロファイルを修飾またはカスタマイズすることが現在できないことである(Sethuraman & Stadheim,Curr.Opin.Biotechnol.17:341(2006))。
本願明細書に記載されたO−グリコシル化インスリン類似体を産生する多くの利益が存在する。遺伝子操作された(または糖鎖操作された)Pichia pastorisは、インスリンについての他の酵母系インスリン産生系の魅力的な特性、例えば、発酵性および収量を提供する。遺伝子操作は、インスリン前駆体のin vivo成熟が、酵素反応および精製の処理工程を省略するのを可能にする。in vivoにおけるO−グリコシル化に関連して、糖鎖操作されたPichia pastorisは、前記酵母細胞が前記グリカンの供給源であるのと同様に、化学合成およびO−グリカン部分の供給源を必要とせず、改善された収率およびより低い商品原価をもたらす場合がある。本願明細書に記載されたように、種々のマンノース鎖長および種々の度合いの部位占有度のO−グリカンを有する、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現する、糖鎖操作されたPichia pastoris株が選択され得る。前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、in vitro反応を使用して合成するのに費用がかかる場合がある。さらに、リンカードメインおよび非天然グリカンは、一部の場合には、O−結合O−グリカンより高い免疫原性であるため、インスリン治療の有効性を低下させる場合がある。最後に、インスリンにおけるO−結合グリカン構造は、スクリーニングされ得るO−グリカン類似体の量をかなり拡張するために、さらに、酵素的または化学的反応により修飾されてもよい。したがって、最適なO−グリカンが、純粋に合成戦略を使用するより、素早く、少ないコストで特定され得る。
I.インスリン類似体
本願明細書に開示された、in vivoにおけるO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の種々の実施形態では、前記インスリン類似体は、アミノ酸残基、例えば、リジンまたはアスパラギン酸への、B28位における置換を含んでもよい。例えば、インスリンリスプロ(HUMALOG)は、前記B−ペプチドのC−末端における最後から2番目のリジンおよびプロリン残基が逆転している、素早く作用するインスリン類似体であり(LysB28ProB29−ヒトインスリン;配列番号2および配列番号73)、インスリン多量体の形成を低下させる。インスリンアスパルト(NOVOLOG)は、B28位におけるプロリンがアスパラギン酸により置換されている、別の素早く作用するインスリン変異体であり(AspB28−ヒトインスリン;配列番号2および配列番号74)、多量体の低下した形成をもたらす。したがって、28位のアミノ酸におけるリジン残基が別のアミノ酸に置き換えられている、本願明細書に開示されたそれらのO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、多量体を形成する能力を低下している場合があるため、速い作用のプロファイルを示す場合がある。一部の実施形態では、B28および/またはB29位における変異は、インスリンポリペプチドにおける他の位置での1つ以上の変異を伴う。例えば、インスリングルリシン(APIDRA)は、B3位におけるアスパラギンがリジン残基により置き換えられており、B29位におけるリジンがグルタミン酸残基により置き換えられている、さらに別の素早く作用するインスリン変異体である(LysB3GluB29−ヒトインスリン;配列番号2および配列番号75)。
種々の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、ヒトインスリンに対してシフトしている等電点を有する。一部の実施形態では、前記等電点のシフトは、1つ以上のアルギニン、リジンまたはヒスチジンを、前記インスリンのA−鎖ペプチドのN−末端および/または前記インスリンのB−鎖ペプチドのC−末端に付加することにより達成される。このようなインスリンポリペプチドの例としては、ArgA0−ヒトインスリン(配列番号:79および配列番号4)、ArgB31ArgB32−ヒトインスリン(配列番号2および配列番号78)、GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン(配列番号77および配列番号78)、ArgA0ArgB31ArgB32−ヒトインスリン(配列番号79および配列番号78)およびArgA0GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン(配列番号80および配列番号78)があげられる。更なる例としては、インスリングラルギン(LANTUS)が、AsnB21がグリシンにより置き換えられており、2つのアルギニン残基が前記B−ペプチドのC−末端に共有結合されている、例示となる長く作用するインスリン類似体である。これらのアミノ酸変更の影響は、前記分子の等電点のシフトであったため、酸性pH(例えば、pH4から6.5)で可溶性であるが、生理学的pHでは不溶性である分子を産生する。インスリングラルギンの溶液が筋肉内に注入される場合、前記溶液のpHが中和され、前記インスリングラルギンは、注入後24時間の期間にわたって、明確なインスリンのピークなしに、前記インスリングラルギンをゆっくり放出する微小沈殿物を形成する。これにより、低血糖を引き起こすリスクを低下させる。このプロファイルは、患者の基礎的なインスリンを提供するのに、1日1回の投与を可能にする。このため、一部の実施形態では、前記インスリン類似体は、A21位におけるアミノ酸がグリシンであるA−鎖ペプチドと、B31およびB32位におけるアミノ酸がアルギニンであるB−鎖ペプチドとを含む。本開示は、これらの変異および、本願明細書に記載された任意の他の変異の全ての、単独および複数の組み合わせを包含する(例えば、GlyA21−ヒトインスリン、GlyA21ArgB31−ヒトインスリン、ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、ArgB31−ヒトインスリン)。
種々の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、前記B−鎖のN−またはC−末端において、1つ以上のアミノ酸を欠いている。例えば、特定の実施形態では、前記B−鎖ペプチドは、少なくとも1つのB1、B2、B3、B26、B27、B28、B29またはB30の残基を欠いている。具体的な実施形態では、前記B−鎖ペプチドは、残基の組み合わせを欠いている。例えば、前記B−鎖は、B1−B2、B1−B3、B1−B4、B29−B30、B28−B30、B27−B30および/またはB26−B30のアミノ酸残基を欠いていてもよい。一部の実施形態では、これらの欠失は、(例えば、des(B29)−インスリンリスプロ、des(B30)−インスリンアスパルト等を産生するのに限定することなく)前述のインスリン類似体のいずれかに適用してもよい。実施形態では、・・・
一部の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、前記A−鎖ペプチドまたはB−鎖のN−またはC−末端において、更なるアミノ酸残基を含んでもよい。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基が、A0、A22、B0および/またはB31位に位置してもよい。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基が、A0位に位置する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基が、A22位に位置する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基が、B0位に位置する。一部の実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基が、B31位に位置する。具体的な実施形態では、前記グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体は、A0、A22、B0またはB31位における任意の更なるアミノ酸残基を含まない。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の1つ以上のアミド化アミノ酸が、酸性アミノ酸または別のアミノ酸により置き換えられている。例えば、グリコシル化位置以外の位置でのアスパラギンは、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸または別の残基により置き換えられていてもよい。同様に、グルタミンは、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸または別の残基により置き換えられていてもよい。具体的には、AsnA18、AsnA21もしくはAsnB3またはそれらの残基の任意の組み合わせが、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸または別の残基により置き換えられていてもよい。GlnA15もしくはGlnB4または両方が、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸または別の残基により置き換えられていてもよい。具体的な実施形態では、前記インスリン類似体は、21位において、アスパラギン酸もしくは別の残基、または、B3位において、アスパラギン酸もしくは別の残基、または、両方を有する。
当業者は、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体におけるさらに他のアミノ酸を、前記分子の生物学的活性を保持したまま、他のアミノ酸により置き換え可能であることを認識するであろう。例えば、制限されず、下記修飾も、当該分野において広く受け入れられる:アスパラギン酸によるB10位のヒスチジン残基の置換え(HisB10からAspB10);アスパラギン酸によるB1位のフェニルアラニン残基の置換え(PheB1からAspB1);アラニンによるB30位のスレオニン残基の置換え(ThrB30からAlaB30);アラニンによるB26位のチロシン残基の置換え(TyrB26からAlaB26);および、アスパラギン酸によるB9位のセリン残基の置換え(SerB9からAspB9)。
種々の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、延長した作用プロファイルを有する。このため、特定の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、脂肪酸によりアシル化されていてもよい。すなわち、前記インスリン類似体上のアミノ基と、前記脂肪酸のカルボン酸基との間で、アミド結合が形成される。前記アミノ基は、前記インスリン類似体のN−末端アミノ酸のアルファ−アミノ基でもよいし、または、前記インスリン類似体のリジン残基のイプシロン−アミノ基でもよい。前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、野生型のヒトインスリンに存在する、3つのアミノ酸の1つ以上においてアシル化されてもよいし、または、前記野生型のヒトインスリン配列内に導入されているリジン残基においてアシル化されてもよい。具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、B1位においてアシル化されてもよい。特定の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、B29位においてアシル化されてもよい。特定の実施形態では、前記脂肪酸は、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、ヘプタデシル酸(C17)およびステアリン酸(C18)から選択される。例えば、インスリンデテミル(LEVEMIR)は、ThrB30が欠失しており(desB30)、C14脂肪酸鎖(ミリスチン酸)がγEリンカーを介して、LysB29に結合されている、長く作用するインスリン変異体である(配列番号2および配列番号81)。インスリンデグルデクは、ThrB30が欠失しており、C16脂肪酸鎖(パルミチン酸)がγEリンカーを介して、LysB29に結合されている、長く作用するインスリン変異体である(配列番号2および配列番号76)。
1つ以上のO−結合グリコシル化部位を含む前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、例えば、A19、B16またはB25位におけるアミノ酸の4−アミノフェニルアラニンへの修飾、または、A5、A8、A9、A10、A12、A13、A14、A15、A17、A18、A21、B1、B2、B3、B4、B5、B9、B10、B13、B14、B16、B17、B18、B20、B21、B22、B23、B26、B27、B28、B29およびB30から選択される位置での1つ以上のアミノ酸置換、または、B1−4およびB26−30位のいずれかもしくは全ての欠失を含む、天然のA−鎖および/またはB−鎖の修飾された誘導体を含む、ヘテロ二量体類似体および一本鎖類似体を含む。インスリン類似体の例は、例えば、国際公開第9634882号、同第95516708号;同第20100080606号、同第2009/099763号および同第WO2010080609号パンフレット、米国特許第6,630,348号明細書ならびに、Kristensen et al.,Biochem.J.305:981−986(1995)に見出され得る。それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。更なる実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、アシル化および/またはペグ化されてもよい。
一部の実施形態では、前記A−ペプチドのN−末端、前記B−ペプチドのN−末端、B29位におけるLysのイプシロン−アミノ基または、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体中の任意の他の利用可能なアミノ基は、一般式:
Figure 0006735561
の脂肪酸部分に共有結合される。
式中、Xは、インスリンポリペプチドのアミノ基であり、Rは、HまたはC1−30アルキル基であり、前記インスリン類似体は、1つ以上のN−結合グリコシル化部位を含む。一部の実施形態では、Rは、C1−20アルキル基、C3−19アルキル基、C5−18アルキル基、C6−17アルキル基、C8−16アルキル基、C10−15アルキル基またはC12−14アルキル基である。特定の実施形態では、前記インスリンポリペプチドは、A1位において、前記部分にコンジュゲートされる。具体的な実施形態では、前記インスリンポリペプチドは、B1位において、前記部分にコンジュゲートされる。具体的な実施形態では、前記インスリンポリペプチドは、B29位におけるLysのイプシロン−アミノ基において、前記部分にコンジュゲートされる。具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のB28位は、Lysであり、LysB28のイプシロン−アミノ基は、前記脂肪酸部分にコンジュゲートされる。具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のB3位は、Lysであり、LysB3のイプシロン−アミノ基は、前記脂肪酸部分にコンジュゲートされる。一部の実施形態では、前記脂肪酸鎖は、8−20個の炭素長である。具体的な実施形態では、前記脂肪酸は、オクタン酸(C8)、ノナン酸(C9)、デカン酸(C10)、ウンデカン酸(C11)、ドデカン酸(C12)またはトリデカン酸(C13)である。特定の実施形態では、前記脂肪酸は、ミリスチン酸(C14)、ペンタデカン酸(C15)、パルミチン酸(C16)、ヘプタデカン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、ノナデカン酸(C19)またはアラキドン酸(C20)である。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:LysB28ProB29−ヒトインスリン(インスリンリスプロ)、AspB28−ヒトインスリン(インスリンアスパルト)、LysB3GluB29−ヒトインスリン(インスリングルリジン)、ArgB31ArgB32−ヒトインスリン(インスリングラルギン)、NεB29−ミリストイル−des(B30)−ヒトインスリン(インスリンデテミル)、AlaB26−ヒトインスリン、AspB1−ヒトインスリン、ArgA0−ヒトインスリン、AspB1GluB13−ヒトインスリン、GlyA21−ヒトインスリン、GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、ArgA0ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、ArgA0GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、des(B30)−ヒトインスリン、des(B27)−ヒトインスリン、des(B28−B30)−ヒトインスリン、des(Bl)−ヒトインスリン、des(Bl−B3)−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−パルミトイル−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−ヒトインスリン、NεB28−パルミトイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。具体的な実施形態では、前記グリコシル化インスリン類似体は、N−結合グリコシル化部位を含むアスパラギン残基に結合される、本願明細書に開示された少なくとも1つのN−グリカンを含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−パルミトイル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB30−ミリストイル−ThrB29LysB30−ヒトインスリン、NεB30−パルミトイル−ThrB29LysB30−ヒトインスリン、NεB29−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−(N−リトコリル(lithocolyl)−γ−グルタミル)−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−オクタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−GlyA21ArgB31ArgB31−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−GlyA21GlnB3ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−ArgA0GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ArgA0GlyA21GlnB3ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−ArgA0GlyA21AspB3ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ミリストイル−ArgA0ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−GlyA21GlnB3ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−ArgA0GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−ArgA0GlyA21GlnB3ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−ArgB0GlyA21AspB3ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−ArgA0ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリンポリペプチド:NεB28−ミリストイル−GlyA21LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−GlyA21GlnB3LysB28ProB30ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−ArgA0GlyA21LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−ArgA0GlyA21GlnB3LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−ArgA0GlyA21AspB3LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−ミリストイル−argA0LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−GlyA21LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−オクタノイル−GlyA21GlnB3LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−ArgA0GlyA21LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−ArgA0GlyA21GlnB3LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−ArgA0GlyA21AspB3LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−ArgA0LysB28ProB29ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−GlyA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlyA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlyA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlyA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−GlyA21GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlyA21GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlyA21−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlyA21−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−AlaA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−AlaA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−AlaA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−AlaA21−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−AlaA21−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−AlaA21GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−AlaA21GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−AlaA21GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlnB3−des(B30)−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−AlaA21−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−AlaA21−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−AlaA21−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−AlaA21−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GlyA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlyA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlyA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlyA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−AlaA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−AlaA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−AlaA21GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−AlaA21GlnB3−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlnB3−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlnB3−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GluB30−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GluB30−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GluB30−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GluB30−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GlyA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlyA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlyA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlyA21GluB30−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GlyA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlyA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlyA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlyA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−AlaA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−AlaA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−AlaA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−AlaA21GluB30−ヒトインスリン、NεB29−トリデカノイル−AlaA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−AlaA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−AlaA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−AlaA21GlnB3GluB30−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−トリデカノイル−GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−テトラデカノイル−GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−GlnB3GluB30−ヒトインスリン、NεB29−ドデカノイル−GlnB3GluB30−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ホルミル−ヒトインスリン、NαB1−ホルミル−ヒトインスリン、NαA1−ホルミル−ヒトインスリン、NεB29−ホルミル−NαB1−ホルミル−ヒトインスリン、NεB29−ホルミル−NαA1−ホルミル−ヒトインスリン、NαA1−ホルミル−NαB1−ホルミル−ヒトインスリン、NεB29−ホルミル−NαA1−ホルミル−NαB1−ホルミル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−アセチル−ヒトインスリン、NαB1−アセチル−ヒトインスリン、NαA1−アセチル−ヒトインスリン、NεB29−アセチル−NαB1−アセチル−ヒトインスリン、NεB29−アセチル−NαA1−アセチル−ヒトインスリン、NαA1−アセチル−NαB1−アセチル−ヒトインスリン、NεB29−アセチル−NαA1−アセチル−NαB1−アセチル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−プロピオニル−ヒトインスリン、NαB1−プロピオニル−ヒトインスリン、NαA1−プロピオニル−ヒトインスリン、NεB29−アセチル−NαB1−プロピオニル−ヒトインスリン、NεB29−プロピオニル−NαA1−プロオピニル−ヒトインスリン、NαA1−プロピオニル−NαB1−プロピオニル−ヒトインスリン、NεB29−プロオピニル−NαA1−プロオピニル−NαB1−プロオピニル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、本開示のO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ブチリル−ヒトインスリン、NαB1−ブチリル−ヒトインスリン、NαA1−ブチリル−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−NαB1−ブチリル−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−NαA1−ブチリル−ヒトインスリン、NαA1−ブチリル−NαB1−ブチリル−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−NαA1−ブチリル−NαB1−ブチリル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ペンタノイル−ヒトインスリン、NαB1−ペンタノイル−ヒトインスリン、NαA1−ペンタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ペンタノイル−NαB1−ペンタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ペンタノイル−NαA1−ペンタノイル−ヒトインスリン、NαA1−ペンタノイル−NαB1−ペンタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ペンタノイル−NαA1−ペンタノイル−NαB1−ペンタノイル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ヘキサノイル−ヒトインスリン、NαB1−ヘキサノイル−ヒトインスリン、NαA1−ヘキサノイル−ヒトインスリン、NεB29−ヘキサノイル−NαB1−ヘキサノイル−ヒトインスリン、NεB29−ヘキサノイル−NαA1−ヘキサノイル−ヒトインスリン、NαA1−ヘキサノイル−NαB1−ヘキサノイル−ヒトインスリン、NεB29−ヘキサノイル−NαA1−ヘキサノイル−NαB1−ヘキサノイル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ヘプタノイル−ヒトインスリン、NαB1−ヘプタノイル−ヒトインスリン、NαA1−ヘプタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ヘプタノイル−NαB1−ヘプタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ヘプタノイル−NαA1−ヘプタノイル−ヒトインスリン、NαA1−ヘプタノイル−NαB1−ヘプタノイル−ヒトインスリン、NεB29−ヘプタノイル−NαA1−ヘプタノイル−NαB1−ヘプタノイル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NαB1−オクタノイル−ヒトインスリン、NαA1−オクタノイル−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−NαA1−オクタノイル−ヒトインスリン、NαA1−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−NαA1−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ノナノイル−ヒトインスリン、NαB1−ノナノイル−ヒトインスリン、NαA1−ノナノイル−ヒトインスリン、NεB29−ノナノイル−NαB1−ノナノイル−ヒトインスリン、NεB29−ノナノイル−NαA1−ノナノイル−ヒトインスリン、NαA1−ノナノイル−NαB1−ノナノイル−ヒトインスリン、NεB29−ノナノイル−NαA1−ノナノイル−NαB1−ノナノイル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−デカノイル−ヒトインスリン、NαB1−デカノイル−ヒトインスリン、NαA1−デカノイル−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−NαB1−デカノイル−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−NαA1−デカノイル−ヒトインスリン、NαA1−デカノイル−NαB1−デカノイル−ヒトインスリン、NεB29−デカノイル−NαA1−デカノイル−NαB1−デカノイル−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ホルミル−NαB1−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ホルミル−NαA1−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ホルミル−NαB1−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ホルミル−NαA1−ホルミル−NαB1−ホルミル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB29−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−アセチル−NαB1−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−アセチル−NαA1−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−アセチル−NαB1−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−アセチル−NαA1−アセチル−NαB1−アセチル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−プロピオニル−NαB1−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−プロピオニル−NαA1−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−プロピオニル−NαB1−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−プロピオニル−NαA1−プロピオニル−NαBl−プロピオニル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ブチリル−NαB1−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ブチリル−NαA1−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ブチリル−NαB1−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ブチリル−NαA1−ブチリル−NαB1−ブチリル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ペンタノイル−NαB1−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ペンタノイル−NαA1−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ペンタノイル−NαB1−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ペンタノイル−NαA1−ペンタノイル−NαB1−ペンタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ヘキサノイル−NαB1−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ヘキサノイル−NαA1−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ヘキサノイル−NαB1−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ヘキサノイル−NαA1−ヘキサノイル−NαB1−ヘキサノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ヘプタノイル−NαB1−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ヘプタノイル−NαA1−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ヘプタノイル−NαB1−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ヘプタノイル−NαA1−ヘプタノイル−NαB1−ヘプタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−NαA1−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−オクタノイル−NαA1−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ノナノイル−NαB1−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ノナノイル−NαA1−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−ノナノイル−NαB1−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−ノナノイル−NαA1−ノナノイル−NαBl−ノナノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB28−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαB1−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−デカノイル−NαB1−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−デカノイル−NαA1−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NαA1−デカノイル−NαB1−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、NεB28−デカノイル−NαA1−デカノイル−NαB1−デカノイル−LysB28ProB29−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
具体的な実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、下記インスリン類似体:NεB29−ペンタノイル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NαB1−ヘキサノイル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NαA1−ヘプタノイル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−プロピオニル−NαA1−プロピオニル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NαA1−アセチル−NαB1−アセチル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ホルミル−NαA1−ホルミル−NαB1−ホルミル−GlyA21ArgB31ArgB32−ヒトインスリン、NεB29−ホルミル−des(B26)−ヒトインスリン、NαB1−アセチル−AspB28−ヒトインスリン、NεB29−プロピオニル−NαA1−プロピオニル−NαB1−プロピオニル−AspB1AspB3AspB21−ヒトインスリン、NεB29−ペンタノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NαB1−ヘキサノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NαA1−ヘプタノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−オクタノイル−NαB1−オクタノイル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−プロピオニル−NαA1−プロピオニル−GlyA21−ヒトインスリン、NαA1−アセチル−NαB1−アセチル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−ホルミル−NαA1−ホルミル−NαB1−ホルミル−GlyA21−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、NαB1−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、NαA1−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−NαB1−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−NαA1−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、NαA1−ブチリル−NαB1−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、NεB29−ブチリル−NαA1−ブチリル−NαB1−ブチリル−des(B30)−ヒトインスリン、の1つの変異および/または化学修飾を含む。
前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、前述の変異および/または化学修飾のいずれか1つを含む、修飾型の非ヒトインスリン(例えば、ブタインスリン、ウシインスリン、ウサギインスリン、ヒツジインスリン等)をさらに含む。これらおよび他の修飾インスリン分子は、米国特許第6,906,028号;同第6,551,992号;同第6,465,426号;同第6,444,641号;同第6,335,316号;同第6,268,335号;同第6,051,551号;同第6,034,054号;同第5,952,297号;同第5,922,675号;同第5,747,642号;同第5,693,609号;同第5,650,486号;同第5,547,929号;同第5,504,188号;同第5,474,978号;同第5,461,031号;および同第4,421,685号明細書;ならびに、米国特許第7,387,996号;同第6,869,930号;同第6,174,856号;同第6,011,007号;同第5,866,538号;および同第5,750,497号明細書において、詳細に記載されている。それらの開示全体は、参照により組み込まれる。
種々の実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、3つの野生型ジスルフィド結合を含む(すなわち、1つは、前記A−鎖の7位と前記B−鎖の7位との間であり、第2は、前記A−鎖の20位と前記B−鎖の19位との間であり、第3は、前記A−鎖の6位と11位との間である。)。
一部の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、インスリン受容体についての親和性を低下させるために、修飾および/または変異される。特定の理論に拘束されないが、修飾(例えば、アシル化)または変異によりインスリン分子の受容体親和性を低下させることは、インスリン分子が血液から除去される速度を低下させ得ると考えられる。一部の実施形態では、in vitroにおける低下したインスリン受容体親和性は、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体についての、優れたin vivo活性になる。
II.インスリンタンパク質の操作および糖鎖設計の統合
a.薬物動態学的(PK)/薬力学的(PD)改善
I型糖尿病のクオリティ・オブ・ライフは、患者における基礎的レベルのインスリンを提供する1日1回のインスリン類似体であるインスリングラルギンの導入により顕著に改善された。I型糖尿病患者が我慢しなければならない、反復的な血中モニタリングおよび皮下注入のために、注入の頻度低下が、糖尿病処置における歓迎される利益であろう。1日1回の注入に合致するために、薬物動態学的プロファイルを改善することは、任意の新たなインスリン治療のために、かなり求められている。実際に、毎月1回のインスリンが、近年動物モデルにおいて報告されてきた(Gupta et al.,Proc.Natl. Acad.Sci.USA 107:13246(2010);米国特許出願公開第20090090258818号明細書)。多くの戦略が、インスリンのPKプロファイルを改善するのに探究されているが、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、他の戦略では達成できない糖尿病患者に対する利益を提供し得る。
b.糖類−応答性または−感受性のO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体
インスリンへの糖部分の化学的結合により、生理学的血中グルコースレベルの関数として、インスリンの生物学的利用能を調節する概念は、まず、1979年に、Michael Brownleeにより導入された(前掲のBrownlee & Cerami)。前記概念の主な制限は、グリコシル化されたインスリン誘導体に相互作用するコンカナバリンAの毒性であった。この最初の報告以来、多くの報告が、グルコース調節インスリンについての可能性のある改善について公開されてきたが、今日においても、in vivoにおけるO−結合グリコシル化を介して、糖を結合させる報告はない(Liu et al.,Bioconjug.Chem.8:664(1997))。
1979年におけるBrownleeの概念以来、数多くの種々の戦略が、血中グルコースレベルが低い場合、インスリンをインスリンリザーバ中に隔離するように進化してきた。これらは、マンノース結合レクチンであるコンカナバリンAを含む。コンカナバリンAは、高い血中グルコース濃度により、結合したインスリン−糖複合体を放出するのが説明された。ごく最近、参照により本願明細書に組み込まれる、米国特許第7,531,191号明細書ならびに国際公開第2010088261号および同第2010088286号パンフレットには全て、外来性の多価糖類結合分子(例えば、レクチンまたは修飾レクチン)に結合したインスリン−糖類コンジュゲートを含む微小粒子が患者に投与され得る系が開示されている。この場合、前記微小粒子から放出されたインスリン−糖類コンジュゲートの量および持続時間は、糖類、例えば、グルコースの血清濃度の関数である。他の戦略は、修飾レクチン、内在性受容体、内在性レクチンおよび/または糖結合タンパク質を使用することを含む。このような例としては、修飾されたConA分子、マンノース結合レクチン、マンノース受容体、マンノース結合タンパク質およびDC−SIGNがあげられる。例えば、米国特許出願公開第2011301083号明細書には、特定のインスリン−コンジュゲートが高親和性の糖類リガンドを含むように修飾される場合、それらは、外来性の多価の糖類結合分子、例えば、ConAが存在しなくても、糖類の濃度変化に応答するPK/PDプロファイルを示すようになされ得ることが開示されている。
糖類−応答性または−感受性のインスリンは、内在性インスリン放出の生理学的脈動に類似し得る1つの治療メカニズムである。膵臓ベータ細胞からのインスリン放出を引き起こす主な刺激は、高い血中グルコースである。類似するメカニズムにおいて、高いグルコース濃度により、循環内の保護されたプールから放出される治療用グリコシル化インスリンは、振動法において機能し得る。O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、in vivoにおいて、糖類−応答性または−感受性のインスリン治療を支持する方法で機能し得る。図15−17に示されたように、非糖尿病マウスに投与されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のPDは、(米国特許出願公開第20110301083号明細書に示されたように)前記マウスに対して、α−メチルマンノースの血清レベル、種々の糖類、例えば、マンノースへの種々のレクチンの結合の阻害剤に感受性であった。
したがって、具体的な実施形態では、前記ヘテロ二量体または一本鎖の、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、糖類、例えば、グルコース、フコース、GlcNAc、ガラクトースまたはα−メチルマンノースの血清濃度に応答性または感受性である、少なくとも1つのPKおよび/またはPDの特性を表わす。更なる実施形態では、天然のA−鎖ペプチドおよびB−鎖ペプチドまたは、1、2、3、4、5個以上のアミノ酸置換および/または欠失を含むそれらの類似体を含む、糖類−応答性または−感受性の、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体が提供される。一般的には、本願明細書において個体に投与された前記糖類−応答性または−感受性の、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のPKおよび/またはPDは、個体における糖類、例えば、グルコース、フコース、GlcNAc、ガラクトースまたはα−メチルマンノースの血清濃度により影響を受ける。前記糖類の血清濃度は、前記個体に糖類を投与することにより影響を受ける場合があり、または、前記個体の生理学的状態により影響を受ける場合がある。
c.長く作用する糖類−応答性または−感受性の、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体
上記されたように、前記糖類−応答性または−感受性インスリンの機能は、さらに、1日あたりの投与回数を減らすのに最適化され得る。例えば、インスリングラルギンの物理化学的特性をさらに含む、糖類−応答性の、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体が、さらに提供される。前記インスリングラルギンは、中性pHにおけるその非溶解性により、基礎的なインスリン治療として作用する。中性pHでの非溶解性の結果は、1日1回の注入を可能にする皮下徐放性製剤における遅い再溶解プロセスである。インスリングラルギンは、前記B−鎖の端部において2つのアルギニン残基を含み、前記A−鎖の端部におけるグリシンをアスパラギンに置換するように修飾された。これらの3つの変化は、前記タンパク質のpIを向上させる。したがって、それは、低いpH配合バッファー中で可溶性であるが、生理学的pHにおいて不溶性である。これらの変化は、本願明細書に開示された糖類−応答性または−感受性の、糖類−応答性O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体に包含されてもよい。インスリングラルギンに類似するpIを有するO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、長く作用する糖類−応答性または−感受性のインスリン治療を提供する場合がある。
h.O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のPDおよびPK
本願明細書に開示された種々の実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の薬物動態学的および/または薬力学的挙動は、糖類、例えば、制限されず、グルコースおよびアルファ−メチル−マンノースの血清濃度におけるバリエーションにより修飾される場合がある。
例えば、薬物動態学的(PK)観点から、血清濃度曲線は、糖類(例えば、グルコース)の血清濃度が向上した場合、または、前記糖類の血清濃度が閾値を超える(例えば、正常なグルコースレベルより高い)場合、上方にシフトする場合がある。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線は、哺乳類に投与された場合、絶食状態下と高血糖状態下とでは実質的に異なる。本願明細書で使用する時、前記「実質的に異なる」の用語は、2つの曲線が、スチューデントのt検定(p<0.05)により決定される場合、統計学的に異なることを意味する。本願明細書で使用する時、前記「絶食状態」の用語は、前記血清濃度曲線が、5名以上の絶食した非糖尿病の個体からのデータを組み合わせることにより取得されたことを意味する。具体的な実施形態では、絶食した非糖尿病の個体は、血液が採取される時点で糖尿病の兆候を表わさず、血液採取時の12時間以内に食事をしていない、ランダムに選択された18−30歳のヒトである。本願明細書で使用する時、前記「高血糖状態」の用語は、前記血清濃度曲線が、高血糖状態(絶食状態下において観察される平均グルコース濃度より少なくとも100mg/dL高いグルコースCmax)が、in vivoまたはin vitroにおける、本願明細書に開示されたグリコシル化インスリン類似体とグルコースとの同時投与により誘導される、5名以上の絶食した非糖尿病の個体からのデータを組み合わせることにより取得されたことを意味する。
本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体とグルコースとの同時投与は、前記O−グリコシル化インスリン類似体が、血清において検出可能なレベルで存在する期間中に、グルコースCmaxが生じることを、単に必要とする。例えば、グルコース注入(または摂取)は、前記グリコシル化インスリン類似体が投与される直前、同投与と同時または同投与の直後に起こるタイミングであり得る。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体とグルコースとは、種々の経路により、または、種々の位置において投与される。例えば、具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、皮下に投与され、一方、グルコースは、経口的または静脈内に投与される。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清Cmaxは、絶食状態と比較して、高血糖状態下においてより高い。さらにまたは代替的に、具体的な実施形態では、前記グリコシル化インスリン類似体の血清の曲線下面積(AUC)は、絶食状態と比較して、高血糖状態下においてより高い。種々の実施形態では、前記グリコシル化インスリン類似体の血清排出速度は、絶食状態と比較して、高血糖状態下においてより遅い。具体的な実施形態では、前記グリコシル化インスリン類似体の血清濃度曲線は、一方が短く、一方が長い半減期の二成分双指数モデルに適合され得る。前記長い半減期は、特に、グルコース濃度に感受性である場合がある。このため、具体的な実施形態では、前記長い半減期は、絶食状態と比較して、高血糖状態下においてより長い。具体的な実施形態では、前記絶食状態は、100mg/dL未満(例えば、80mg/dL、70mg/dL、60mg/dL、50mg/dL等)のグルコースCmaxを含む。具体的な実施形態では、前記高血糖状態は、200mg/dLを超える(例えば、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dL等)のグルコースCmaxを含む。他のPKパラメータ、例えば、平均血清滞留時間(MRT)、平均血清吸収時間(MAT)等が、前述のパラメータのいずれかに代えて、または同パラメータと共に使用され得たことが理解されるであろう。
ヒト、イヌ、ネコおよびラットにおける正常範囲のグルコース濃度は、60から200mg/dLである。当業者は、種々の正常範囲を有する種についての下記値を推定可能であろう(例えば、ミニブタにおける正常範囲のグルコース濃度は、40から150mg/dlである。)。一般的には、50mg/dLを下回るグルコース濃度は、低血糖と考えられ、200mg/dLを超えるグルコース濃度は、高血糖と考えられる。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のPK特性は、グルコースクランプ法を使用して試験されてもよい(実施例を参照のこと。)。本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線は、50および200mg/dL、50および300mg/dL、50および400mg/dL、50および500mg/dL、50および600mg/dL、100および200mg/dL、100および300mg/dL、100および400mg/dL、100および500mg/dL、100および600mg/dL、200および300mg/dL、200および400mg/dL、200および500mg/dL、200および600mg/dL等のグルコース濃度で投与される場合、実質的に異なる場合がある。さらにまたは代替的に、血清Tmax、血清Cmax、平均血清滞留時間(MRT)、平均血清吸収時間(MAT)および/または血清半減期は、前記2つのグルコース濃度において実質的に異なる場合がある。以下に検討されるように、具体的な実施形態では、100mg/dLおよび300mg/dLが、比較グルコース濃度として使用されてもよい。ただし、本開示は、比較グルコース濃度の別のペア、例えば、制限されず、下記ペア:50および200mg/dL、50および300mg/dL、50および400mg/dL、50および500mg/dL、50および600mg/dL、100および200mg/dL、100および400mg/dL、100および500mg/dL、100および600mg/dL、200および300mg/dL、200および400mg/dL、200および500mg/dL、200および600mg/dL等のいずれか1つによるこれらの各実施形態を包含することを理解されたい。したがって、具体的な実施形態では、前記N−グルコシル化インスリン類似体のCmaxは、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合に、より高い。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のCmaxは、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、少なくとも50%(例えば、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)より高い。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のAUCは、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)のより高い方で哺乳類に投与された場合、より高い。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のAUCは、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、少なくとも50%(例えば、少なくとも、例えば、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)より高い。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清排出速度は、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、より遅い。特定の実施形態では、前記N−グリコシル化インスリン類似体の血清排出速度は、前記2つのグルコース濃度(例えば、100 vs 300mg/dLのグルコース)の低い方で哺乳類に投与された場合、少なくとも25%(例えば、少なくとも50%、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)より速い。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線は、一方が短く、一方が長い半減期の二成分双指数モデルを使用して適合され得る。前記長い半減期は、特に、グルコース濃度に感受性である場合がある。このため、具体的な実施形態では、前記長い半減期は、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、より長い。
具体的な実施形態では、前記長い半減期は、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、少なくとも50%(例えば、少なくとも100%、少なくとも200%または少なくとも400%)より長い。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線が、2種類のグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)で取得され;2つの曲線が、一方が短く、一方が長い半減期の二成分双指数モデルを使用して適合され;前記2つのグルコース濃度下において取得された長い半減期が比較される方法が提供される。具体的な実施形態では、この方法は、1つ以上の本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のグルコース感受性を試験または比較するためのアッセイとして使用されてもよい。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体、および、インスリンの非グリコシル化バージョンの血清濃度曲線が同じ条件(例えば、絶食条件)下において取得され;2つの曲線が、一方が短く、一方が長い半減期の二成分双指数モデルを使用して適合され;本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体、および、非グリコシル化バージョンについて取得された長い半減期が比較される方法が提供される。具体的な実施形態では、この方法は、前記非グリコシル化バージョンまたは天然のインスリンより速やかに排出される、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を特定するためのアッセイとして使用されてもよい。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線は、高血糖状態下において哺乳類に投与された場合、前記類似体の非グリコシル化バージョンの血清濃度曲線と実質的に同じである。本願明細書で使用する時、前記「実質的に同じ」の用語は、スチューデントのt−検定(p>0.05)により決定される場合、2つの曲線間に統計学的差異が存在しないことを意味する。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線は、絶食状態下において投与された場合、前記類似体の非グリコシル化バージョンの血清濃度曲線とは実質的に異なる。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の血清濃度曲線は、高血糖状態下において投与された場合、前記類似体の非グリコシル化バージョンの血清濃度曲線と実質的に同じであり、絶食状態下において投与された場合、実質的に異なる。
具体的な実施形態では、前記高血糖状態は、200mg/dLを超える(例えば、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dL等)のグルコースCmaxを含む。具体的な実施形態では、前記絶食状態は、100mg/dL未満(例えば、80mg/dL、70mg/dL、60mg/dL、50mg/dL等)のグルコースCmaxを含む。前述のPKパラメータ、例えば、血清Tmax、血清Cmax、AUC、平均血清滞留時間(MRT)、平均血清吸収時間(MAT)および/または血清半減期のいずれかが比較され得ることが理解されるであろう。
薬力学的(PD)観点から、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の生体活性は、グルコース濃度が向上した場合、または、グルコース濃度が閾値を超える、例えば、正常なグルコースレベルより高い場合に、向上し得る。具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の生体活性は、絶食状態下において投与された場合、高血糖状態と比較してより低い。
具体的な実施形態では、前記絶食状態は、100mg/dL未満(例えば、80mg/dL、70mg/dL、60mg/dL、50mg/dL等)のグルコースCmaxを含む。具体的な実施形態では、前記高血糖状態は、200mg/dLを超える(例えば、300mg/dL、400mg/dL、500mg/dL、600mg/dL等)のグルコースCmaxを含む。
具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のPD特性は、一定のグルコース濃度を維持するのに必要とされるグルコースかん流速度(GIR)を測定することにより試験されてもよい。このような実施形態に基づいて、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の生体活性は、50および200mg/dL、50および300mg/dL、50および400mg/dL、50および500mg/dL、50および600mg/dL、100および200mg/dL、100および300mg/dL、100および400mg/dL、100および500mg/dL、100および600mg/dL、200および300mg/dL、200および400mg/dL、200および500mg/dL、200および600mg/dL等のグルコース濃度で投与された場合、実質的に異なる場合がある。したがって、具体的な実施形態では、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の生体活性は、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、より高い。特定の実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の生体活性は、前記2つのグルコース濃度(例えば、300 vs 100mg/dLのグルコース)の高い方で哺乳類に投与された場合、少なくとも25%(例えば、少なくとも50%または少なくとも100%)より高い。
本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体についてのPD挙動は、最小血中グルコース濃度に達する時間(Tnadir)、血中グルコースレベルが初期値の特定の割合(例えば、初期値の70%または10 T70% BGL)を下回り続ける継続時間等を比較することにより観察され得る。一般的には、本願明細書で検討されたPKおよびPDの特徴のいずれかは、各種の公開された薬物動態学的および薬力学的な方法のいずれかに基づいて決定され得ることが理解されるであろう。(例えば、皮下送達に適した方法について、Baudys et al.,Bioconjugate Chem.9:176−183(1998)を参照のこと。)。前記PKおよび/またはPDの特性は、任意の哺乳類(例えば、ヒト、ラット、ネコ、ミニブタ、イヌ等)において測定されてもよい。
具体的な実施形態では、PKおよび/またはPDの特性は、ヒトにおいて測定される。具体的な実施形態では、PKおよび/またはPDの特性は、ラットにおいて測定される。具体的な実施形態では、PKおよび/またはPDの特性は、ミニブタにおいて測定される。具体的な実施形態では、PKおよび/またはPDの特性は、イヌにおいて測定される。前述のものは、本願明細書に開示された糖類−応答性または−感受性の、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の文脈において記載されたが、同じ特性およびアッセイは、他の糖類、例えば、外来性の糖類、例えば、マンノース、L−フコース、N−アセチルグルコサミン、アルファ−メチルマンノース等の血清濃度に応答性である、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体に適用することも理解されるであろう。一部の態様では、絶食状態と高血糖状態下とにおけるPKおよび/またはPDの特性を比較するのに代えて、前記PKおよび/またはPDの特性は、外来性の糖類の投与の有無により、絶食状態下において比較されてもよい。本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、種々のCmax値の所定の外来性糖類に応答するように設計されてもよいことを理解されたい。
III.O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するための宿主細胞
一般的には、細菌細胞、例えば、E. coliおよび酵母細胞、例えば、Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisが、インスリンおよびインスリン類似体の商業的産生に使用されてきた。例えば、Thin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:6766−6770(1986)、米国特許第4,916,212号;同第5,618,913号;および同第7,105,314明細書には、Saccharomyces cerevisiaeにおけるインスリン産生が開示されている。国際公開第2009104199号パンフレットには、Pichia pastorisにおけるインスリン産生が開示されている。E.coliにおけるインスリン産生は、数多くの刊行物、例えば、Chan et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:5401−5404(1981)および米国特許第5,227,293号明細書に開示されている。酵母細胞においてインスリンを産生することの利点は、インスリン分子が、正確なジスルフィド結合を有する正確に折り畳まれた構成で、宿主細胞から分泌されることである。ついで、前記インスリン分子は、インスリンヘテロ二量体を産生するために、in vitroにおいて酵素的に処理され得る。対照的に、E. coliにおいて産生されたインスリンは、in vivoにおいて処置されない。代わりに、それは、不正確に折り畳まれた構成における封入体に隔離される。前記封入体は、正確な構成のインスリンヘテロ二量体を産生するために、前記細胞から収集され、in vitroにおける一連の反応において処理される。インスリンは、N−結合およびO−結合グリコシル化部位を欠いているために、通常、糖タンパク質とは考えられないが、インスリンがE. coliではなく酵母において産生される場合、合成されたインスリンの小さな個体群が、O−グリコシル化されると思われる。これらのO−グリコシル化分子は、それを除去するための方法が開発されてきた、混入物であると考えられる(例えば、米国特許第6,180,757号明細書および国際公開第2009104199号パンフレットを参照のこと。)。
本発明の具体的な態様では、前記宿主細胞は、酵母細胞または糸状菌の宿主細胞である。酵母および糸状菌の宿主細胞としては、制限されず、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia minuta(Ogataea minuta、Pichia lindneri)、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia種、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces種、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces種、Kluyveromyces lactis、Yarrowia lipolytica、Hansenula polymorpha、任意のKluyveromyces種、Candida albicans、任意のAspergillus種、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Fusarium種、Fusarium gramineum、Fusarium venenatum、Physcomitrella patens、Chrysosporium lucknowense、Trichoderma reeseiおよびNeurospora crassaがあげられる。一般的には、本願明細書におけるO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに選択または選出された宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、検出可能なβ1,2−結合マンノースおよび/またはホスホマンノース活性を示さない。検出可能なβ1,2−結合マンノースおよび/またはホスホマンノース活性を典型的に示す宿主細胞では、前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、検出可能なβ1,2−結合マンノースおよび/またはホスホマンノース活性を示さないように、したがって、検出可能なβ1,2−結合マンノースおよび/またはホスホマンノースの残基を欠いた糖タンパク質を産生するように遺伝子操作される。
具体的な実施形態では、前記宿主細胞は、検出可能なβ1,2−結合マンノースまたはホスホマンノースの残基を欠いた糖タンパク質を産生する、酵母の宿主細胞、例えば、Saccharomyces cerevisiae、Yarrowia lipolytica、メタノール資化性酵母、例えば、Pichia pastorisまたはOgataea minuta、それらの変異体およびそれらの遺伝子操作変異体である。この方法では、糖タンパク質組成は、特定の所望の糖型が前記組成において主であるように産生され得る。
下等な真核生物の宿主細胞、例えば、酵母の使用は、これらの細胞が、比較的均質な組成の糖タンパク質を産生可能であり得るという点でさらに有益である。したがって、前記糖タンパク質の主な糖型は、前記組成における30モル%より高い前記糖型として存在してもよい。具体的な態様では、主な糖型は、前記組成における40モル%、50モル%、60モル%、70モル%より高く、最も好ましくは、80モル%より高い糖タンパク質において存在する。このようなことは、選択された内在性のグリコシル化酵素を除去することにより達成され得る。
本発明の具体的な態様では、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するための宿主細胞としては、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ遺伝子であるPNO1およびMNN4Bの一方または両方の発現を欠失または破壊することにより、検出可能なホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を欠くように遺伝子操作されている、Pichia pastoris株があげられ(例えば、米国特許第7,198,921号および同第7,259,007号明細書を参照のこと。それらの開示は全て、参照により本願明細書に組み込まれる。)。更なる態様では、MNN4A遺伝子の発現を欠失または破壊することも、前記遺伝子操作に含み得る。破壊は、特定の酵素をコードするオープン・リーディング・フレームを破壊すること、または、前記オープン・リーディング・フレームの発現を破壊すること、または、1つ以上のβ−マンノシルトランスフェラーゼおよび/またはホスホマンノシルトランスフェラーゼをコードするRNAの翻訳を、干渉RNA、アンチセンスRNA等を使用して抑制することを含む。前記宿主細胞は、さらに、特定のN−グリカン構造を産生するように修飾された、前述の宿主細胞のいずれか1つを含み得る。
α−マンノシダーゼに抵抗性であるβ−結合マンノース残基を有するO−グリカンの確率を低下または除去するために、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するための、組換え糖鎖操作されたPichia pastoris宿主細胞が、検出可能なα−マンノシダーゼ抵抗性O−グリカンを欠くように遺伝子操作される。前記遺伝子操作は、1つ以上のβ−マンノシルトランスフェラーゼ遺伝子(例えば、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4)を欠失または破壊することにより達成され得る(米国特許第7,465,577号明細書、米国特許第7,713,719号明細書ならびに国際公開第2011046855号パンフレットを参照のこと。各文献は、参照により本願明細書に組み込まれる。)。BMT2ならびに1つ以上のBMT1、BMT3およびBMT4の欠失または破壊も、宿主細胞タンパク質に対する抗体に対する糖タンパク質を含む組成の検出可能な交叉反応を低下または除去する。具体的な態様では、前記宿主細胞は、BMT2、BMT1、BMT3およびBMT4の検出可能な発現を欠いている。
更なる実施形態では、前記宿主細胞は、糖タンパク質上のN−グリカンについて、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない。例えば、酵母において、このようなα1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性は、OCH1遺伝子によりコードされ、OCH1遺伝子の発現の欠失または破壊(och1Δ)は、酵母、例えば、Pichia pastorisまたはSaccharomyces cerevisiaeにおいて、高マンノースまたは高マンノシル化N−グリカンの産生を阻害する(例えば、Gerngross et al、米国特許第7,029,872号明細書;Contreras et al、米国特許第6,803,225号明細書;およびChiba et al、欧州特許第1211310号明細書を参照のこと。それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。)。このため、一実施形態では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するための宿主細胞は、OCH1遺伝子の発現の欠失または破壊(och1Δ)を含み、少なくとも1つのCTPペプチドを有するインスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む。
糖タンパク質の収量は、一部の状況において、哺乳類またはヒトのシャペロンタンパク質をコードする核酸分子を過剰発現させ、または、1つ以上の内在性シャペロンタンパク質をコードする遺伝子を、1つ以上の哺乳類またはヒトのシャペロンタンパク質をコードする核酸分子により置き換えることにより改善され得る。さらに、前記宿主細胞中での哺乳類またはヒトのシャペロンタンパク質の発現が、前記細胞におけるO−グリコシル化を制御するのと思われる。このため、さらに、本願明細書には、シャペロンタンパク質をコードする少なくとも1つの内在性遺伝子の機能が、低下または除去されており、前記シャペロンタンパク質の少なくとも1つの哺乳類またはヒトのホモログをコードするベクターが、前記宿主細胞中で発現される、前記宿主細胞が含まれる。内在性の宿主細胞シャペロンおよび哺乳類またはヒトのシャペロンタンパク質が発現されている宿主細胞も含まれる。更なる態様では、前記下等な真核生物の宿主細胞は、酵母または糸状菌の宿主細胞である。ヒトのシャペロンタンパク質が収量を改善し、組換えタンパク質のO−グリコシル化を低下または抑制するために導入される、前記宿主細胞のシャペロンの使用例は、国際公開第2009105357号および同第2010019487号パンフレット(それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。)に開示されてきた。
一部の実施形態では、前記宿主細胞は、異種性の単一サブユニットのオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする核酸分子をさらに含んでもよい。前記核酸分子は、内在性の宿主細胞ヘテロ−オリゴマー性オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)複合体を含む1つ以上の必須のサブユニットの致死性変異を機能的に抑制可能であり、前記宿主細胞中での糖タンパク質の発現前または同発現と同時のいずれかで、組換え宿主細胞中で過剰発現される。Leishmania major STT3Aのタンパク質、Leishmania major STT3Bのタンパク質およびLeishmania major STT3Dのタンパク質は、Saccharomyces cerevisiaeにおいて、STT3遺伝子座の欠失の致死性表現型を抑制することが示されてきた、単一サブユニットのオリゴサッカリルトランスフェラーゼである(Naseb et al.,Molec.Biol.Cell 19:3758−3768(2008))。Naseb et al.(同上)には、さらに、Leishmania major STT3Dのタンパク質が、WBP1、OST1、SWP1またはOST2の遺伝子座における欠失の致死性表現型を抑制し得たことが示された。Hese et al.(Glycobiology 19:160−171(2009))には、Leishmania major STT3A(STT3−1)、STT3B(STT3−2)およびSTT3D(STT3−4)のタンパク質が、OST2、SWP1およびWBP1の遺伝子座における欠失を、機能的に補完し得ることが教示されている。PCT/US2011/25878号(国際公開第2011106389号パンフレット、同文献は、参照により本願明細書に組み込まれる。)に示されるように、Leishmania major STT3D(LmSTT3D)のタンパク質は、Δstt3変異の致死性表現型ならびに、Δwbp1、Δost1、Δswp1およびΔost2変異の少なくとも1つの致死性表現型を抑制可能である、異種性の単一サブユニットのオリゴサッカリルトランスフェラーゼである。
したがって、異種性の単一サブユニットのオリゴサッカリルトランスフェラーゼをコードする第1の核酸分子;および、少なくとも1つのCTPペプチドを含むインスリンまたはインスリン類似体をコードする第2の核酸分子を含み、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)複合体を含むタンパク質をコードする内在性の宿主細胞遺伝子が発現される、酵母または糸状菌の宿主細胞がさらに提供される。これは、内在性のSTT3遺伝子の発現を含む。酵母におけるそれは、STT3遺伝子である。
一般的には、上記方法および宿主細胞において、前記単一サブユニットのオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、OTase複合体の少なくとも1つの必須のタンパク質における変異の致死性表現型を機能的に抑制可能である。更なる態様では、前記OTase複合体の必須のタンパク質は、STT3遺伝子座、WBP1遺伝子座、OST1遺伝子座、SWP1遺伝子座もしくはOST2遺伝子座またはそれらのホモログによりコードされる。更なる態様では、例えば、前記単一サブユニットのオリゴサッカリルトランスフェラーゼは、Leishmania major STT3Dタンパク質である。
一部の実施形態では、前記宿主細胞は、Pmtp阻害剤の存在下において増殖される。前記阻害剤は、制限されず、ベンジリデンチアゾリジンジオンを含み得る。使用され得るベンジリデンチアゾリジンジオンの例は、5−[[3,4−ビス(フェニルメトキシ)フェニル]メチレン]−4−オキソ−2−チオオキソ−3−チアゾリジン酢酸;5−[[3−(1−フェニルエトキシ)−4−(2−フェニルエトキシ)フェニル]メチレン]−4−オキソ−2−チオオキソ−3−チアゾリジン酢酸;および、5−[[3−(1−フェニル−2−ヒドロキシ)エトキシ)−4−(2−フェニルエトキシ)フェニル]メチレン]−4−オキソ−2−チオオキソ−3−チアゾリジン酢酸である。前記Pmtp阻害剤の使用は、前記A−鎖またはB−鎖のアミノ酸配列内の望ましくない、または、不適切なO−グリコシル化を低下させる場合がある。
したがって、本発明は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示し、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。別の実施形態では、本発明は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示し、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞も提供する。更なる実施形態では、本発明は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性、および、ほとんど検出できない、または、検出できないホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示し、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。実施形態では、前記核酸分子は、宿主細胞のゲノム内に組み込まれてもよいし、または、前記宿主細胞中で、染色体外的に、例えば、プラスミドベクター、ミニ−染色体等で存在してもよい。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊を含み、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。別の実施形態では、本発明は、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊を含み、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞も提供する。更なる実施形態では、本発明は、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊;ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の欠失または破壊を含み、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、下等な真核生物の宿主細胞を提供する。実施形態では、前記核酸分子は、宿主細胞のゲノム内に組み込まれてもよいし、または、前記宿主細胞中で、染色体外的に、例えば、プラスミドベクター、ミニ−染色体等で存在してもよい。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊、および、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、Pichia pastorisの宿主細胞を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子それぞれの発現が抑制される。
本発明は、さらに、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、Pichia pastorisの宿主細胞を提供する。更なる態様では、MMN4L1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、PNO1およびMMN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、MNN4遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、PNO1、MNN4およびMMN4L1の遺伝子の発現が抑制される。
本発明は、さらに、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現の欠失または破壊ならびに、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、酵母宿主細胞を提供する。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊、および、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊、ならびに、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子を含む、Pichia pastorisの宿主細胞を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子およびPNO1遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子それぞれの発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が、欠失または破壊される。前述の態様のいずれか1つの更なる態様では、前記宿主は、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現の欠失または破壊をさらに含む。
本発明は、さらに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。一般的に、本願明細書に開示されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。別の態様では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。更なる態様では、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性およびβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。具体的な態様では、前記宿主細胞は、さらに、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できない開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。更なる態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生するのに使用される前記宿主細胞は、糖タンパク質上のO−グリカンについて、ほとんど検出できない、または、検出できないホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性および開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示す。
したがって、本発明は、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、検出可能なホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
更なる実施形態では、本発明は、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性およびホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、酵母または糸状菌の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
上記方法の具体的な態様では、前記宿主細胞は、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica、Pichia minuta(Ogataea minuta、Pichia lindneri)、Pichia種、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces種、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces種、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium種、Fusarium gramineum、Fusarium venenatumおよびNeurospora crassaからなる群から選択される。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が、欠失または破壊されているPichia種の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia種の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子それぞれの発現が、欠失または破壊される。
本発明は、さらに、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が、欠失または破壊されているPichia種の宿主細胞を提供する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia種の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともPNO1遺伝子の発現が、欠失または破壊され;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む。更なる態様では、MMN4L1遺伝子の発現が、欠失または破壊される。PNO1およびMMN4L1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、MNN4遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、PNO1、MNN4およびMMN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。
本発明は、さらに、宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現が欠失または破壊されている酵母の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現、および、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が抑制されているPichia種の宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia種の宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子およびPNO1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子それぞれの発現が抑制される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が抑制される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が抑制される。前述の態様のいずれか1つの更なる態様では、前記宿主は、さらに、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現の抑制を含む。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が、欠失または破壊されているPichia pastrisの宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia pastrisの宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子それぞれの発現が、欠失または破壊される。
本発明は、さらに、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が、欠失または破壊されているPichia pastrisの宿主細胞を提供する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia pastrisの宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともPNO1遺伝子の発現が、欠失または破壊されており;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換し;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養し;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する。更なる態様では、MMN4L1遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、PNO1およびMMN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、MNN4遺伝子の発現が、欠失または破壊される。更なる態様では、PNO1、MNN4およびMMN4L1の遺伝子の発現が、欠失または破壊される。
本発明は、さらに、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現、および、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現が抑制されているPichia pastorisの宿主細胞を提供する工程;前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、Pichia pastorisの宿主細胞中で製造するための方法を提供する。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子およびPNO1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1遺伝子それぞれの発現が抑制される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が抑制される。更なる態様では、少なくともBMT2遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、2つ以上のBMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子の発現が抑制される。更なる態様では、BMT1、BMT2、BMT3およびBMT4の遺伝子ならびにPNO1、MNN4およびMNN4L1の遺伝子それぞれの発現が抑制される。前述の態様のいずれか1つの更なる態様では、前記宿主は、さらに、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするOCH1遺伝子の発現の抑制を含む。
前述の態様のいずれかにおいて、上記言及された遺伝子のいずれかの発現の欠失または破壊は、前記遺伝子または、前記CTPペプチドの少なくとも1つまたは2つのO−グリコシル化部位を含むその部分変異体を欠失させるか、または、異種核酸分子を、前記β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードするオープン・リーディング・フレーム内に挿入することにより前記遺伝子を破壊することにより達成されてもよい。いずれの場合でも、欠失または破壊された前記遺伝子は、場合によって、β−マンノシルトランスフェラーゼ、ホスホマンノシルトランスフェラーゼまたはα1,6−マンノシルトランスフェラーゼの活性を有するタンパク質産物を産生できなくなる。他の態様では、上記言及された1つ以上の遺伝子の活性は、阻害剤を使用して破壊される。前記阻害剤としては、制限されず、化合物、1つまたは複数の遺伝子をコードする1つ以上のmRNAに対するアンチセンスDNA、または、1つまたは複数の遺伝子をコードする1つ以上のmRNAに対するsiRNAがあげられる。
上記宿主細胞または前記宿主細胞を使用する方法の更なる態様では、前記宿主細胞は、主に1つのマンノース残基を含むO−グリカン、例えば、マンノースO−グリカンを産生するように遺伝子操作される。このため、前記宿主細胞は、さらに、α1,2−マンノシダーゼ活性をコードする核酸分子を含む。更なる態様では、前記核酸分子は、分泌経路にキメラα1,2−マンノシダーゼを向ける異種性の細胞標的ペプチドに操作可能に結合または融合された、α1,2−マンノシダーゼの触媒ドメインを含むキメラα1,2−マンノシダーゼをコードする融合タンパク質をコードする。具体的な態様では、前記α1,2−マンノシダーゼ触媒ドメインに融合された細胞標的ペプチドは、配列番号85によりコードされる、Saccharomyces cerevisiaeのアルファ接合因子プレシグナルペプチド(配列番号86)、または、配列番号41によりコードされるプレ−プロペプチド(配列番号7)である。具体的な態様では、糸状菌のα1,2−マンノシダーゼ触媒ドメインは、前記分泌経路を標的とし、前記宿主細胞からの分泌に融合タンパク質を向ける細胞標的ペプチドに融合される。一般的には、前記α1,2−マンノシダーゼ活性は、それが前記分泌経路を通過する際に、糖タンパク質上のO−グリカンをトリミング可能であり、細胞外で前記糖タンパク質上のO−グリカンをさらにトリミングする場合がある。具体的な態様では、前記α−1,2−マンノシダーゼは、Coccidioides種、Trichoderma種、Saccharomyces種またはAspergillus種から選択される。具体的な態様では、前記α1,2−マンノシダーゼは、Coccidioides immitis、Coccidioides posadasii、Trichoderma reesei、Saccharomyces cerevisieaまたはAspergillus nigerから選択される。更なる態様では、前記α1,2−マンノシダーゼ触媒ドメインは、Trichoderma reesei由来であり、配列番号87に示されたヌクレオチド配列によりコードされてもよい。
本発明の具体的な態様では、さらに、前記宿主細胞を、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子により形質転換する工程;前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を発現するための、培地および条件下において培養する工程;ならびに、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、前記培地から回収する工程を含む、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を、開始α1,6−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする宿主細胞のOCH1遺伝子の発現が、欠失または破壊されている、Pichia pastoris宿主細胞中で製造するための方法が提供される。
プロモータは、遺伝子発現を制御するためのDNA配列エレメントである。具体的には、プロモータは、転写開始位置を特定し、TATAボックスおよび上流のプロモータエレメントを含み得る。選択されるプロモータは、選択される具体的な宿主系において操作可能であることが期待されるであろうものである。例えば、酵母のプロモータは、酵母、例えば、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces lactis、Ogataea minutaまたはPichia pastorisが、宿主細胞である場合に使用される。一方、糸状菌のプロモータは、Aspergillus niger、Neurospora crassaまたはTricoderma reesei等の宿主細胞に使用されるであろう。酵母のプロモータの例としては、制限されず、GAPDH、AOX1、SEC4、HH1、PMA1、OCH1、GAL1、PGK、GAP、TPI、CYC1、ADH2、PHO5、CUP1、MFα1、FLD1、PMA1、PDI、TEF、RPL10およびGUT1のプロモータがあげられる。Romanos et al.,Yeast 8:423−488(1992)には、酵母のプロモータおよび発現ベクターのレビューが提供されている。Hartner et al.,Nucl.Acid Res.36:e76(pub on−line 6 June 2008)には、Pichia pastorisにおける異種タンパク質の微調整発現用のプロモータライブラリが記載されている。
本願明細書に開示された核酸分子に操作可能に結合される前記プロモータは、構成型プロモータまたは誘導型プロモータであり得る。誘導型プロモータ、例えば、AOX1プロモータは、インデューサに対する応答における転写因子の結合に基づく向上または低下した速度において、転写に向かわせるプロモータである。本願明細書で使用する時、転写因子としては、プロモータの調節または制御領域に結合することができ、これにより、転写に影響を及ぼし得る任意の因子があげられる。前記宿主細胞内でのRNA合成または前記転写因子のプロモータ結合能は、前記宿主をインデューサに曝すこと、または、前記宿主細胞培地から、インデューサを除去することにより制御され得る。したがって、誘導型プロモータの発現を調節するために、インデューサは、前記宿主細胞の増殖培地に添加され、または、同培地から除去される。このようなインデューサは、糖、リン酸塩、アルコール、金属イオン、ホルモン、加熱、冷却等を含み得る。例えば、酵母において一般的に使用されるインデューサは、グルコース、ガラクトース、アルコール等である。
選択される転写終了配列は、選択された具体的な宿主細胞において操作可能であるものである。例えば、酵母の転写終了配列は、酵母の宿主細胞、例えば、Saccharomyces cerevisiae、Kluyveromyces lactisまたはPichia pastorisが前記宿主細胞である場合、発現ベクターに使用される。一方、糸状菌の転写終了配列は、Aspergillus niger、Neurospora crassaまたはTricoderma reesei等の宿主細胞に使用されるであろう。転写終了配列としては、制限されず、Saccharomyces cerevisiaeのCYC転写終了配列(ScCYC TT)、Pichia pastorisのALG3転写終了配列(ALG3 TT)、Pichia pastorisのALG6転写終了配列(ALG6 TT)、Pichia pastorisのALG12転写終了配列(ALG12 TT)、Pichia pastorisのAOX1転写終了配列(AOX1 TT)、Pichia pastorisのOCH1転写終了配列(OCH1 TT)およびPichia pastorisのPMA1転写終了配列(PMA1 TT)があげられる。他の転写終了配列は、実施例および当該分野において見出され得る。
遺伝子操作された酵母について、選択性マーカーは、組換え宿主細胞を構築するのに使用されることができ、薬剤抵抗性マーカーおよび、前記酵母の宿主細胞による、必須の細胞栄養素、例えば、アミノ酸の合成を可能にする遺伝子機能を含む。酵母において一般的に使用される薬剤抵抗性マーカーとしては、クロラムフェニコール、カナマイシン、メトトレキサート、G418(ゲネチシン)、Zeocin等があげられる。前記酵母の宿主細胞による、必須の細胞栄養素の合成を可能にする遺伝子機能は、対応するゲノム機能における栄養要求性変異を有する利用可能な酵母株により使用される。一般的な酵母選択性マーカーは、ロイシン(LEU2)、トリプトファン(TRP1およびTRP2)、プロリン(PRO1)、ウラシル(URA3、URA5、URA6)、ヒスチジン(HIS3)、リジン(LYS2)、アデニン(ADE1またはADE2)等を合成するための遺伝子機能を提供する。他の酵母選択性マーカーとしては、亜ヒ酸塩の存在下で増殖される酵母細胞に対して、亜ヒ酸塩抵抗性を付与するS.cerevisiae由来のARR3遺伝子があげられる(Bobrowicz et al.,Yeast,13:819−828(1997);Wysocki et al.,J.Biol.Chem.272:30061−30066(1997))。数多くの適切な組込み部位としては、米国特許第7,479,389号明細書(その開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。)に列挙されたものがあげられ、Saccharomyces cerevisiaeおよび他の酵母または糸状菌について公知の遺伝子座に対するホモログを含む。酵母内にベクターを組み込むための方法は、周知である(例えば、米国特許第7,479,389号、同第7,514,253号明細書、米国特許出願公開第2009012400号明細書および国際公開第2009/085135号パンフレットを参照のこと。それらの開示は全て、参照により本願明細書に組み込まれる。)。挿入部位の例としては、制限されず、Pichia ADE遺伝子;Pichia TRP(例えば、TRP1からTRP2)遺伝子;Pichia MCA遺伝子;Pichia CYM遺伝子;Pichia PEP遺伝子;Pichia PRB遺伝子;およびPichia LEU遺伝子があげられる。Pichia ADE1およびARG4の遺伝子は、Lin Cereghino et al.,Gene 263:159−169(2001)および米国特許第4,818,700号明細書に記載されている(それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。)。HIS3およびTRP1の遺伝子は、Cosano et al.,Yeast 14:861−867(1998)に記載されている。HIS4は、GenBank Accession No.X56180に記載されている。
前記酵母細胞の形質転換は、当該分野において周知であり、例えば、それ自体公知の方法において、プロトプラストの形成後の形質転換により達成されてもよい。前記細胞を培養するのに使用される培地は、酵母生物を増殖させるのに適した任意の従来の培地でもよい。かなりの割合の分泌されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体は、正確に処理された形態において、前記培地中に存在するであろうし、種々の手法、例えば、制限されず、遠心、ろ過により前記培地から前記酵母細胞を分離すること、または、前記インスリン前駆体をイオン交換マトリクスもしくは逆相吸着マトリクスにより捕捉すること、上清もしくはろ液のタンパク質性成分を、塩、例えば、硫酸アンモニウムにより沈殿させ、続けて、各種のクロマトグラフィー法、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等により精製することにより、前記培地から回収されてもよい。
前記分泌されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体分子は、米国特許第5,395,922号明細書および欧州特許第765,395号明細書に記載されているように、N−末端伸長またはスペーサペプチドを含んでもよい前駆体分子でもよい。前記両文献は、参照により本願明細書に組み込まれる。前記N−末端伸長またはスペーサは、シグナルペプチドもしくはプロペプチドと前記B−鎖のN−末端との間に位置するペプチドである。前記分泌経路の通過中に、シグナルペプチドおよびプロペプチドを除去した後に、前記N−末端伸長ペプチドは、N−グリコシル化インスリン前駆体に結合したままである。このため、発酵中に、前記B−鎖のN−末端は、酵母のプロテアーゼのタンパク質分解活性に対して保護され得る。前記N−末端伸長またはスペーサペプチドの存在は、前記タンパク質の化学処理中における、N−末端アミノ基の保護として機能する場合がある。すなわち、それは、BOC(t−ブチルオキシカルボニル)または類似する保護基についての置換基として機能してもよい。前記N−末端伸長またはスペーサは、回収されたO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体から、塩基性アミノ酸(例えば、Lys)に特異的なタンパク質分解酵素により除去されてもよい。したがって、前記末端伸長は、Lys残基において開裂される。このようなタンパク質分解酵素の例は、トリプシン、Achromobacter lyticusのプロテアーゼまたはLysobacter enzymogenesのエンドプロテアーゼLys−Cである。
前記培養培地内への分泌および回収後、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体は、任意選択によるN−末端伸長またはスペーサペプチド、および、前記CTPペプチドが結合性ペプチドでない場合はC−ペプチドを除去するために、種々のin vitro手法に供されて、desB30 O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を産生してもよい。ついで、前記desB30 O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体は、B30位にThrを付加することにより、B30インスリンに変換されてもよい。前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体を、トリプシンまたは、L−スレオニンエステルの存在下におけるLys−Cにより消化することにより、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体を、B30ヘテロ二量体に変換し、続けて、米国特許第4,343,898号または同第4,916,212号明細書に記載されているように、塩基性もしくは酸性の加水分解により、スレオニンエステルのL−スレオニンに変換する。それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体 desB30インスリンは、米国特許第5,750,497号および同第5,905,140号明細書に開示されているように、アシル化誘導体にも変換されてもよい。それらの開示は、参照により本願明細書に組み込まれる。
本発明は、さらに、本願明細書に開示されたCTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする、オープン・リーディング・フレーム(ORF)を含む核酸分子を提供する。具体的な態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードするORFは、前記核酸分子上の第2のORFから下流にあるフレーム内にあり、プレ−プロペプチド、例えば、Saccharomyces cerevisiaeのアルファ接合因子プレ−プロペプチドをコードして、前記プレ−プロペプチドが前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体のN−末端に融合される、融合タンパク質をコードする1つの連続したORFを提供する。更なる態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードする核酸分子は、誘導性プロモータ、例えば、Pichia pastorisのAOX1プロモータに操作可能に結合される。具体的な態様では、前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードするコドンは、Pichia pastorisにおいて一般的に使用されるコドンに修飾される。
前記プロペプチドは、配列番号7に示されたアミノ酸配列を有する、Saccharomyces cerevisiaeのアルファ接合因子プレ−プロペプチドでもよい。前記アミノ酸配列は、配列番号41に示された核酸配列によりコードされてもよい(米国特許第4,546,082号および同第4,870,008号明細書を参照のこと。)。代替的に、前記プロ−ペプチドは、合成のプロペプチド、すなわち、天然に見出されないプロペプチド、例えば、制限されず、米国特許第5,395,922号;同第5,795,746号;および同第5,162,498号明細書ならびに国際公開第9832867号パンフレットに開示されたものでもよい。前記プロペプチドは、好ましくは、そのC−末端においてエンドペプチダーゼ処理部位、例えば、Lys−Arg配列またはその任意の機能的類似体を含むであろう。別の実施形態では、前記プレ−プロペプチドは、QPIDDTESQTTSVNLMADDTESAFATQTNSGGLDVVGLISMAKR(配列番号82)のアミノ酸配列を有するTA57プロペプチドのN−末端に融合した、MKLKTVRSAVLSSLFASQVLG(配列番号26)のアミノ酸配列を有するYps1ssシグナル配列ペプチドを含んでもよい。EEGEPK(配列番号83)のアミノ酸配列を有するN−末端スペーサが、前記プレ−プロペプチドのC−末端アミノ酸に融合されてもよい。前記Yps1ssペプチドは、米国特許第5,639,642号および同第5,726,038号明細書に開示された合成リーダまたはシグナルペプチドである。同文献は、参照により本願明細書に組み込まれる。前記TA57プロペプチドおよびN−末端スペーサは、Kjeldsen et al.,Gene 170:107−112(1996)ならびに米国特許第6,777,207号および同第6,214,547号明細書に記載されている。同文献は、参照により本願明細書に組み込まれる。
VI.持続性放出製剤
特定の実施形態では、持続性方式において(すなわち、可溶性の組換えヒトインスリンより持続性の高い吸収プロファイルを示す方式において)、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体を投与するのが有益である場合がある。これは、典型的なグルコースの変動タイムスケール(すなわち、時間よりむしろ分)に、より密接に関連するタイムスケールにおけるグルコースの変動に応答し得る、持続性レベルのグリコシル化インスリンを提供するであろう。特定の実施形態では、前記持続性放出製剤は、非高血糖状態(すなわち、絶食状態)下における哺乳類に投与された場合、前記グリコシル化インスリンのゼロオーダーの放出を示し得る。持続性の吸収プロファイルを提供する任意の製剤が使用されてもよいことが、理解されるであろう。特定の実施形態では、これは、前記グリコシル化インスリンを、全身性循環内でのその放出特性を遅らせる他の成分と組み合わせることにより達成されてもよい。例えば、PZI(プロタミン亜鉛インスリン)製剤が、この目的に使用されてもよい。一部の場合には、前記亜鉛含量は、約0.05から約0.5mg亜鉛/mgグリコシル化インスリンの範囲である。
このため、特定の実施形態では、本開示の製剤は、約0.05から約10mgプロタミン/mgグリコシル化インスリンまたはインスリン類似体を含む。例えば、約0.2から約10mgプロタミン/mgグリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体、例えば、約1から約5mgプロタミン/mgグリコシル化インスリンまたはインスリン類似体。
特定の実施形態では、本開示の製剤は、約0.006から約0.5mg亜鉛/mgグリコシル化インスリンまたはインスリン類似体を含む。例えば、約0.05から約0.5mg亜鉛/mgグリコシル化インスリンまたはインスリン類似体、例えば、約0.1から約0.25mg亜鉛/mgO−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体。
特定の実施形態では、本開示の製剤は、約100:1から約5:1、例えば、約50:1から20約5:1、例えば、約40:1から約10:1の範囲の比(w/w)における、プロタミンおよび亜鉛を含む。特定の実施形態では、本開示のPZI製剤は、約20:1から約5:1、例えば、約20:1から約10:1、約20:1から約15:1、約15:1から約5:1、約10:1から約5:1、約10:1から約15:1の範囲の比(w/w)における、プロタミンおよび亜鉛を含む。
特定の実施形態では、本開示の製剤は、抗菌性保存剤(例えば、m−クレゾール、フェノール、メチルパラベンまたはプロピルパラベン)を含む。特定の実施形態では、前記抗菌性保存剤は、m−クレゾールである。例えば、特定の実施形態では、製剤は、約0.1から約1.0%v/vのm−クレゾールを含む。例えば、約0.1から約0.5%v/vのm−クレゾール、例えば、約0.15から約0.35%v/vのm−クレゾール。
特定の実施形態では、本開示の製剤は、等張剤としてポリオール(例えば、マンニトール、プロピレングリコールまたはグリセロール)を含む。特定の実施形態では、前記等張剤は、グリセロールである。特定の実施形態では、前記等張剤は、塩、例えば、NaClである。例えば、製剤は、約0.05から約0.5M NaCl、例えば、約0.05から約0.25M NaClまたは約0.1から約0.2M NaClを含んでもよい。
特定の実施形態では、本開示の製剤は、非グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体の量を含む。特定の実施形態では、製剤は、約100:1から1:1、例えば、約50:1から2:1または約25:1から2:1の範囲におけるモル比の、非グリコシル化インスリンまたはインスリン類似体に対するグリコシル化インスリン類似体を含む。
本開示は、小分子製剤の分野において周知の標準的な持続性(延長性とも呼ばれる)放出製剤の使用も包含する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th ed.,Mack Publishing Co.,Easton,PA,1995を参照のこと。)。
本開示は、段階的原理に基づいて、グリコシル化インスリン類似体を送達するためのポンプまたは束縛拡散による装置の使用も包含する。特定の実施形態では、長く作用する製剤は、(さらにまたは代替的に)長く持続するようにインスリンを修飾することにより提供されてもよい。例えば、前記インスリン類似体は、インスリングラルギンまたはインスリンデテミルでもよい。インスリングラルギンは、Asn−A21がグリシンにより置き換えられており、2つのアルギニンが前記B鎖のC−末端に付加されている、例示となる長く作用するインスリン類似体である。これらの変化の作用は、等電点をシフトさせて、pH4において完全に可溶性の溶液を調製することである。インスリンデテミルは、Thr−B30が欠失しており、C14脂肪酸鎖がLys−B29に結合されている、別の長く作用するインスリン類似体である。
下記実施例は、本発明の更なる理解を促すことを意図する。
[実施例]
[実施例1]
この実施例は、CTPペプチドを含むヒトインスリン類似体をコードするプラスミド発現ベクターの構築を実証する。これらの発現ベクターは、Pichia pastorisにおけるタンパク質発現用に設計されている。ただし、言及されたインスリン類似体のA−およびB−鎖ペプチドをコードする核酸分子は、O−グリコシル化糖タンパク質を産生可能な他の宿主細胞、例えば、哺乳類細胞および糸状菌、植物、昆虫または細菌の細胞におけるタンパク質発現用に設計された発現ベクター内に包含され得る。
以下に開示された発現ベクターは、N−末端において、および/または、結合性ペプチドとして、CTPペプチドを含むプレ−プロインスリン類似体前駆体分子をコードする。前記酵母の宿主細胞中での前記プレ−プロインスリン類似体前駆体をコードするベクターの発現中に、前記プレ−プロインスリン類似体前駆体は、シグナルペプチドが除去され、前記分子が、ジスルフィド結合により互いに保持された構造に折りたたまれ、天然のヒトインスリンについてのそれと同じ構成を有する、グリコシル化プロインスリン類似体前駆体に処理される、分泌経路に輸送される。前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体は、前記分泌経路を通って輸送され、ついで、前記プロペプチドが、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体前駆体分子、または、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の一本鎖分子を形成するために除去される、小胞に向けられ、ついで、前記前駆体分子の場合には、前記宿主細胞から分泌され、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体ヘテロ二量体を産生するために、さらに、トリプシンまたはエンドプロテアーゼLys−C消化を使用して、in vitroにおいて処理されてもよい。
プラスミドpGLY9316(図1)は、表1に列記されたインスリン発現プラスミドを生成するのに使用された、空の発現プラスミドである。プラスミドpGLY9316は、Pichia pastorisのAOX1プロモータ(配列番号8)に対して上流に操作可能に結合され、マルチクローニングサイトおよびPichia pastorisのAOX1転写終了配列(配列番号9)に対して下流に操作可能に結合された、S.cerevisiaeのアルファ接合因子シグナル配列およびプロペプチド(配列番号41によりコードされる配列番号7)をコードする核酸分子を含む。前記プラスミドは、さらに、S.cerevisiaeのTEF1プロモータ(配列番号11)およびS.cerevisiaeのCYC転写終了配列(配列番号12)に操作可能に結合された、Zeocin抵抗性選択マーカーをコードする発現カセット(配列番号10)を含む。前記プラスミドベクターは、組込み用のTRP2遺伝子座(配列番号13)またはAOX1プロモータ(配列番号8)を標的とする。表1に示された発現プラスミドを生成するために、列記されたインスリン/CTP類似体をコードする核酸分子を、前記B−鎖ペプチドのN−末端に融合されたS.cerevisiaeのアルファ接合因子シグナル配列およびプロペプチドを含む融合タンパク質をコードするために、S.cerevisiaeのアルファ接合因子シグナル配列およびプロペプチドをコードするオープン・リーディング・フレームを有するフレームにおける前記マルチクローニングサイト内に挿入した。前記インスリン/CTPをコードするコドンを、Pichia pastorisにおける発現用に最適化させた。前記インスリン/CTPをコードする各オープン・リーディング・フレーム(ORF)について、前記ORFの5’端を、GAGTCCTCTT(配列番号54)のヌクレオチド配列に結合させ、前記ORFの3’端を、TAATAGGGCCGGCC(配列番号55)のヌクレオチド配列に結合させた。
表1に列記された子孫インスリン前駆体発現プラスミドを、前記インスリン/CTP類似体をコードする核酸分子を挿入することにより構築し、MlyIおよびFseIにより、発現プラスミドpGLY9316のマルチクローニングサイト中のStuIとFseIとの制限酵素部位間で消化した。
Figure 0006735561
前記プレ−プロインスリン類似体前駆体をコードする発現カセットを含む発現ベクターを、宿主細胞のゲノム内に組み込み、前記プレ−プロインスリン類似体前駆体を前記宿主細胞ゲノム内に組み込まれた前記発現カセットから発現する、酵母の宿主細胞内に形質転換する。前記プレ−プロインスリン類似体前駆体は、それがジスルフィド結合により折りたたまれ、O−グリコシル化される、分泌経路に向かう。ついで、前記プロインスリン類似体前駆体は、前記プロペプチドが除去され、プレ−O−グリコシル化CTPペプチド系プロインスリン類似体前駆体が、前記宿主細胞から、精製されてもよい培養培地内に分泌される、小胞に輸送される。前記結合性ペプチドが、C−末端において1つまたは2つの塩基性アミノ酸残基を有するCTPペプチド(例えば、配列番号91のアミノ酸配列を有するCTP+K)、または、末端Lys、例えば、AAK(配列番号84)を有するCTPペプチド以外の結合性ペプチドであり、前記CTPペプチドが、前記B−鎖のN−末端(N−スペーサ)である場合、前記前駆体は、前記CTPペプチドが前記B−鎖ペプチドのC−末端または前記B−鎖ペプチドのN−末端それぞれにある、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体二量体を提供するために、さらに、in vitro(細胞外)において処理されてもよい。トリプシンまたはエンドプロテアーゼLys−Cによるin vitro処理に基づいて産生された前記ヘテロ二量体インスリン類似体は、B30チロシン残基を欠いているため、前記インスリン類似体は、desB30類似体である。ただし、当該分野において公知のように、desB30インスリン類似体は、天然のインスリンのそれと実質的に異ならないインスリン受容体における活性を有する。前記結合性ペプチドが前記CTPペプチドであるインスリン類似体について、前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体は、一本鎖分子である。
[実施例2]
前記CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の発現およびO−グリコシル化を試験するために、Pichia pastoris株YGLY26268を、図2に模式的に図示されたように構築した。簡潔には、前記株を、以下のように構築した。
酵母株を、(エレクトロポレータの製造メーカーであるBioRadにより推奨される標準的な技術を使用する)エレクトロポレーションにより形質転換した。一般的に、酵母の形質転換は、下記の通りとした。P.pastoris株を、50mLのYPD培地(イーストエキストラクト(1%)、ペプトン(2%)、デキストロース(2%))において、約0.2から6の間の光学密度(「OD」)に、オーバーナイト増殖させた。氷上での30分間のインキュベート後、細胞を、2500−3000rpmでの5分間の遠心により、ペレット化した。培地を除去し、細胞を、氷冷の滅菌した1M ソルビトールで3回洗浄した。その後、0.5mlの氷冷の滅菌した1M ソルビトールに再懸濁した。10μLのDNA(5−20μg)および100μLの細胞懸濁液を、エレクトロポレーションのキュベット中で組み合わせ、氷上で5分間インキュベートした。エレクトロポレーションは、Pichia pastorisプロトコル(2kV、25μF、200Ω)の事前設定に基づくBio−Rad GenePulser Xcellにおいてとし、直ちに、続けて、1mLのYPDSリカバリー培地(1M ソルビトールを添加したYPD培地)を添加した。形質転換された細胞を、室温(26℃)で、4時間からオーバーナイト回復させた。その後、前記細胞を選択培地に播種した。
プラスミドpGLY6(図3)は、URA5遺伝子座を標的とする組込みベクターである。それは、一方側において、P.pastorisのURA5遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号15)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、P.pastorisのURA5遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列((配列番号16)を含む核酸分子のそばに隣接する、S.cerevisiaeのインベルターゼ遺伝子または転写ユニット(ScSUC2;配列番号14)を含む核酸分子を含む。プラスミドpGLY6は、直線化し、前記直線状のプラスミドを、野生型株NRRL−Y 11430内に形質転換して、ScSUC2遺伝子が、二重交叉相同組換えにより、URA5遺伝子座内に挿入された前記数多くの株を産生する。株YGLY1−3を、産生された前記株から選択した。同株は、ウラシルについての栄養要求性である。
プラスミドpGLY40(図4)は、OCH1遺伝子座を標的とし、lacZリピートを含む核酸分子(配列番号18)のそばに隣接し、次に、一方側において、OCH1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号19)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、OCH1遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号20)を含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニット(配列番号17)を含む核酸分子を含む組込みベクターである。プラスミドpGLY40を、SftIにより直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY1−3内に形質転換して、前記lacZリピートのそばに隣接するURA5遺伝子が、二重交叉相同組換えにより、OCH1遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生する。株YGLY2−3を、産生された前記株から選択した。同株は、URA5についての原栄養性である。株YGLY2−3を、5−フルオロオロチン酸(5−FOA)の存在下において対比選択して、URA5遺伝子が失われており、前記lacZリピートのみがOCH1遺伝子座に残っている数多くの株を産生した。これは、ウラシルについての栄養要求性株になる。株YGLY4−3を選択した。
プラスミドpGLY43a(図5)は、BMT2遺伝子座を標的とし、lacZリピートを含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニットを含む核酸分子に隣接する、K.lactisのUDP−N−アセチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)トランスポータ遺伝子または転写ユニット(KIMNN2−2、配列番号21)を含む核酸分子を含む組込みベクターである。前記隣接する遺伝子は、一方側において、BMT2遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号22)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、BMT2遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号23)を含む核酸分子のそばに隣接する。プラスミドpGLY43aを、SftIにより直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY4−3内に形質転換して、KIMNN2−2遺伝子および前記lacZリピートに隣接するURA5遺伝子が、二重交叉相同組換えにより、BMT2遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生した。BMT2遺伝子は、Mille et al.,J.Biol.Chem.283:9724−9736(2008)および米国特許第7,465,557号明細書に開示されている。株YGLY6−3を、産生された前記株から選択した。同株は、ウラシルについての栄養要求性である。株YGLY6−3を、5−FOAの存在下において対比選択して、URA5遺伝子が失われており、前記lacZリピートのみが残っている株を産生した。これは、ウラシルについての栄養要求性株になる。株YGLY8−3を選択した。
プラスミドpGLY48(図6)は、MNN4L1遺伝子座を標的とし、5’端において、P.pastorisのGAPDHプロモータを含む核酸分子(配列番号25)に、および、3’端において、S.cerevisiaeのCYC終了配列を含む核酸分子(配列番号12)に操作可能に結合され、lacZリピートのそばに隣接するP.pastorisのURA5遺伝子を含む核酸分子に隣接する、UDP−GlcNAcトランスポータのマウス類似体のオープン・リーディング・フレーム(ORF)をコードする核酸分子(配列番号24)を含む発現カセットを含む。前記発現カセットは互いに、一方側において、P.pastorisのMNN4L1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号27)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、MNN4L1遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号28)を含む核酸分子のそばに隣接する。プラスミドpGLY48を、SftIにより直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY8−3内に形質転換して、マウスのUDP−GlcNAcトランスポータおよびURA5遺伝子をコードする発現カセットが、二重交叉相同組換えにより、MNN4L1遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生した。MNN4L1遺伝子(MNN4Bとも呼ばれる)は、米国特許第7,259,007号明細書に開示されている。株YGLY10−3を、産生された前記株から選択し、ついで、5−FOAの存在下において対比選択して、URA5遺伝子が失われており、前記lacZリピートのみが残っている、数多くの株を産生した。株YGLY12−3を選択した。
プラスミドpGLY45(図7)は、PNO1/MNN4遺伝子座を標的とし、lacZリピートを含む核酸分子のそばに隣接し、次に、一方側において、PNO1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号29)を含む核酸分子のそばに隣接し、他方側において、MNN4遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号30)を含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニットを含む核酸分子を含む組込みベクターである。プラスミドpGLY45を、SftIにより直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY12−3内に形質転換して、lacZリピートのそばに隣接するURA5遺伝子が、二重交叉相同組換えにより、PNO1/MNN4遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生した。PNO1遺伝子は、米国特許第7,198,921号明細書に開示されている。MNN4遺伝子(MNN4Bとも呼ばれる)は、米国特許第7,259,007号明細書に開示されている。株YGLY14−3を、産生された前記株から選択し、ついで、5−FOAの存在下において対比選択して、URA5遺伝子が失われており、前記lacZリピートのみが残っている、数多くの株を産生した。株YGLY16−3を選択した。
プラスミドpGLY3419(図8)は、一方側において、P.pastorisのBMT1遺伝子の5’ヌクレオチド配列(配列番号31)に隣接し、他方側において、P.pastorisのBMT1遺伝子の3’ヌクレオチド配列(配列番号32)に隣接する、lacZリピートのそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子を含む発現カセットを含む組込みベクターである。プラスミドpGLY3419を直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY16−3内に形質転換して、前記URA5発現カセットが、二重交叉相同組換えにより、BMT1遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生した。株YGLY6698および株YGLY6697を、産生された前記株から選択した。同株は、ウラシル、アデニン、ヒスチジン、プロリン、アルギニンおよびトリプトファンについて原栄養性である。ついで、前記株を、5−FOAの存在下において対比選択して、現在ウリジンについて栄養要求性である数多くの株を産生した。株YGLY6720およびYGLY6719を選択した。
プラスミドpGLY3411(図9)は、lacZリピート(lacZリピート)のそばに隣接し、一方側において、P.pastorisのBMT4遺伝子の5’ヌクレオチド配列(配列番号33)に隣接し、他方側において、P.pastorisのBMT4遺伝子の3’ヌクレオチド配列(配列番号34)に隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子を含む発現カセットを含む組込みベクターである。プラスミドpGLY3411を直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY6720およびYGLY6719内に形質転換して、前記URA5発現カセットが、二重交叉相同組換えにより、BMT4遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生した。株YGLY6749および株YGLY6743を、産生された前記株から選択した。同株は、ウラシル、アデニン、ヒスチジン、プロリン、アルギニンおよびトリプトファンについて原栄養性である。ついで、前記株を、5−FOAの存在下において対比選択して、現在ウリジンについて栄養要求性である数多くの株を産生した。その中から、株YGLY7749およびYGLY6773を選択した。
プラスミドpGLY3421(図10)は、lacZリピートのそばに隣接し、一方側において、P.pastorisのBMT3遺伝子の5’ヌクレオチド配列(配列番号35)に隣接し、他方側において、P.pastorisのBMT3遺伝子の3’ヌクレオチド配列(配列番号36)に隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子を含む発現カセットを含む組込みベクターである。プラスミドpGLY3419を直線化した。前記直線状のプラスミドを、株YGLY7749およびYGLY6773内に形質転換して、前記URA5発現カセットが、二重交叉相同組換えにより、BMT1遺伝子座内に挿入された数多くの株を産生した。株YGLY7760および株YGLY7754を、産生された前記株から選択した。同株は、ウラシル、アデニン、ヒスチジン、プロリン、アルギニンおよびトリプトファンについて原栄養性である。
プラスミドpGLY6301(図11)は、P.pastorisにおけるURA6遺伝子座を標的とする、ロールイン組込みプラスミドである。LmSTT3Dをコードする発現カセットは、5’端において、誘導性P.pastorisのAOX1プロモータ配列(配列番号8)を有する核酸配列に、および、3’端において、S.cerevisiaeのCYC転写終了配列(配列番号12)を有する核酸分子に操作可能に結合された、P.pastorisにおける効果的な発現のためにコドン最適化されたLmSTT3D ORFをコードする核酸分子(配列番号37)を含む。形質転換体を選択するために、前記プラスミドは、S.cerevisiaeのARR3 ORFをコードする発現カセットを含む。前記ORFをコードする核酸分子(配列番号38)は、5’端において、P.pastorisのRPL10プロモータ配列(配列番号39)を有する核酸分子に、および、3’端において、S.cerevisiaeのCYC転写終了配列(配列番号12)を有する核酸配列に操作可能に結合される。前記プラスミドは、さらに、URA6遺伝子座(配列番号40)を標的とする核酸分子を含む。株YGLY7760を、pGLY6301で形質転換して、数多くの株を産生した。その中から、株YGLY26268を選択した。
[実施例3]
種々のO−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体を産生可能な株を、下記のように増殖させ得る。初代培養を、2mLのResearch Cell Bankの関連株を含む500mLのBSGY培地を含む、2つの2.8リットル(L)のバッフル付きFernbachフラスコを植菌することにより調製する。48時間の培養後、前記細胞を、前記バイオリアクタを植菌するために移す。発酵バッチ培地は、培地1リットルあたりに、40gのグリセロール(Sigma Aldrich、St.Louis、MO)、18.2gのソルビトール(Acros Organics、Geel、Belgium)、2.3gの一塩基性リン酸カリウム(Fisher Scientific、Fair Lawn、NJ)、11.9gの二塩基性リン酸カリウム(EMD、Gibbstown、NJ)、10gのイーストエキストラクト(Sensient、Milwaukee、WI)、20gのHy−Soy(Sheffield Bioscience、Norwich、NY)、13.4gのYNB(BD、Franklin Lakes、NJ)および4×10−3gのビオチン(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)を含む。
発酵を、15Lの皿底ガラスのオートクレーブ可能なバイオリアクタおよび40LのSIPバイオリアクタ(それぞれ8L&20Lの開始容量)(Applikon、Foster City、CA)において行い得る。
組換え宿主細胞を増殖させるためのDasGipプロトコルは、実質的に下記の通りである。
接種シードフラスコを、(単独コロニーから単離した)酵母パッチから、0.5Lのバッフル付きフラスコ中の0.1Lの、4% BSGY(マルチトールを含まない)内のアガープレート上に植菌する。シードフラスコを、180rpmおよび24℃で(Innova 44、New Brunswick Scientific)、48時間増殖させる。
培養を、1Lのバイオリアクタ(fedbatch−pro、DASGIP BioTools)において行う。0.54Lの、0.22μmろ過した4% BSGY培地(4滴/LのSigma 204消泡剤を含む)を、容器に充填し、121℃で60分間オートクレーブする。滅菌および冷却後、曝気、振とうおよび温度を、0.7vvm、400rpmおよび24℃にそれぞれ設定する。pHを、30% 水酸化アンモニウムを使用して、6.5に調節し、6.5で制御する。
調製したバイオリアクタの植菌を、シードフラスコからの60mLにより無菌的に行う。振とうを、20% 溶存酸素(DO)飽和を維持するために傾斜させた。前記溶存酸素の急な向上に示された最初のグリセロール充填を消費した後に、5mg/Lのビオチンおよび32.3mg/L(または10.8mg/L)のPMTi−4を含む50% w/w グリセロール溶液により、3.68mL/時間において8時間供給するのを開始した。前記グリセロール供給バッチ段階中に、0.375mLのPTM2塩を、手動で注入した。グリセロール供給バッチの完了後、0.5時間の飢餓期間および誘導段階の開始を続けた。2.5mg/Lのビオチンおよび6.25mL/LのPTM2塩を含む50%v/v メタノール溶液の連続供給を、2.16mL/時間の一定速度で開始する。(メタノールにおける)0.25mLの、1.9mg/mL(1×)または0.63mg/mL(1/3×)のPMTi−4の注入を、誘導の各24時間後に添加した。一般的には、個々の発酵を、誘導の36−110時間以内に収集する。培養液を、8500rpmでの40分間の遠心(Sorvall Evolution RC、Thermo Scientific)により浄化する。得られた上清を、精製に供した。
Figure 0006735561
Figure 0006735561
PMTi−4は、米国特許出願公開第20110076721号明細書において、実施例4の化合物として開示されたPMT阻害剤であり、構造
Figure 0006735561
を有する。
[実施例4]
この実施例では、O−グリコシル化CTP結合性ペプチドを含む一本鎖インスリン分子(SCI:前記CTPペプチドおよび前記a−鎖の結合において、Kを有するCペプチドCTP;配列番号45を参照のこと。)を、上記されたように、1×(Das Gip Run #D113901)または1/3×(Das Gip run #D113702)でのPmti−4の存在下において増殖させたPichia pastorisの宿主細胞中で産生させた。
O−グリコシル化CTPペプチド系一本鎖インスリン(SCI)類似体を精製するために、上清培地を、Sorvall Evolution RC(kendo、Asheville、NC)において、13,000gで15分間の遠心により浄化し、続けて、4.5にpHを調節し、Sartopore2 0.2μm(Sartorius Biotech Inc)を使用してろ過する。ろ液を、Capto MMCカラム、同じpHに調節された多峰性カチオン交換クロマトグラフィー樹脂(GE Healthcare、Piscataway、NJ)に載せる。pH7での溶出後に得られたプールを収集し、RESOURCE RPCカラム(Amersham Biosciences、Piscataway、NJ)、SOURCE 15RPCが充填された逆相カラムクロマトグラフィー、ポリスチレン/ジビニルベンゼン製の硬質の単分散の15μmのビーズに基づく、ポリマー性の逆相クロマトグラフィー媒体に載せる。前記樹脂を、pH3.5において平衡化し、同じpHにおいて、12.5%から20% 2−プロパノールの段階的溶出を使用して溶出した。
四重極飛行時間(Q−TOF)質量分光(MS)分析
タンパク質の品質およびインスリン類似体のグリコシル化を、Agilent Q−TOF 6520質量分光計(Santa Clara、CA)、Agilent 1200 HPLCシステムおよび、脱塩カートリッジを接続したWaters MassPREP(商標)(Milford、MA)を含む、液体クロマトグラフィー−質量分光(LC−MS)システムを使用して分析する。前記質量分光計を、プロファイルフォーマットにおいて、600−2700m/zの収集質量範囲を有するポジティブモードにおいて動作させる。二重エレクトロスプレーイオン化(ESI)ソースの温度を、350℃に設定する。乾燥ガスを、13L/時間に設定した。ネブライザを、45psig(0.41MPa)に設定する。Vcap、FragmentorおよびSkimmerの電圧をそれぞれ、4500、150および30に設定する。インスリン類似体サンプルを、前記LC−MS上に載せ、1mL/分で2分間100% バッファーA(0.1% 水におけるギ酸)を流して脱塩し、ついで、100% バッファーB(0.1% ギ酸、10% 水および90% アセトニトリル)により、0.4mL/分で5分間溶出した。収集したMSデータを、Mass Hunter BioConfirmソフトウェアにより、畳み込みを解く。
図14は、D113901およびD113702のQ−TOF分析を示す。上段のパネルは、主なO−グリコシル化種が、その上に6つのマンノース残基を有する分子に対応し、9899.5位であることを示す。右に移動する連続的な小さい各ピークは、更なるマンノース残基を連続的に有するO−グリコシル化種に対応する。例えば、10509.9位でのピークは、11個のマンノース残基を有する種に対応する。11482.4位でのピークは、17個のマンノース残基を有する種に対応する。下段のパネルは、前記インスリン分子をPNGase(PNG)により処理した後のプロファイルを示す。PNGaseは、糖タンパク質からN−グリカンを除去するであろう。一方、O−グリカンは、PNGase活性に対して抵抗性である。前記下段のパネルは、前記Q−TOF MSプロファイルが、PNGase処理によって変化しないことを示し、前記プロファイルが、O−グリカンを示し、N−グリカンをまったく含まないことを示す。
前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体を産生するのに使用した前記宿主におけるO−グリカンについての最大鎖長が4つのマンノース残基(マンノテトロース)であり、前記CTPペプチドが4つのO−グリコシル化部位を有することを念頭に置くと、主な種の6つのマンノース残基は、下記:(i)1つの部位を占有するマンノテトロースおよび他の3つの部位の1つを占有するマンノビオース、(ii)1つの部位を占有するマンノテトロースおよび他の3つの部位の2つを占有するマンノース、(iii)1つの部位を占有するマンノトリオースおよび他の3つの部位のそれぞれを占有するマンノース残基、(iv)1つの部位を占有するマンノトリオースおよび他の3つの部位の1つを占有するマンノトリオース、(v)1つの部位を占有するマンノトリオース、第2の部位を占有するマンノビオースおよび第3の部位を占有するマンノース、(vi)3つの部位のそれぞれを占有するマンノビオース、または、(vii)2つの部位を占有するマンノビオースおよび他の2つの部位のそれぞれを占有するマンノース、のように、前記4つのO−グリコシル化部位にわたって分布している可能性がある。
図14における表は、前記組成における1モルのタンパク質あたりのモル マンニトールが約2.3から2.5であることを示し、1モルのタンパク質あたりに約2−3モルのO−グリカンが存在することを示す。前記表は、前記組成における主なO−グリカンがマンノトリオースであり、2番目に最も高い存在度の種であるマンノテトロース、ならびに、少量のマンノースおよびマンノビオースを伴うことも示す。前記表は、前記Pmtp阻害剤の3倍の向上は、O−グリカンの存在度またはO−グリカンの鎖長にほとんど影響を及ぼさないことも示す。
表4に、ヒューマリン(組換えヒトインスリン)とN−スペーサCTPを有するD113903とを比較した、上記D113901およびD113702のO−グリカン分析をまとめる。前記表は、α1,2−マンノシダーゼにより処理していない種について、主なO−グリカンがマンノトリオースであり、2番目に最も高い存在度のO−グリカンであるマンノテトロースを伴うことを示す。前記表は、in vitroにおいて、T.reeseiのキメラα1,2−マンノシダーゼにより処理したD113901が、主なO−グリカンの鎖長が1つのマンノース残基であり、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースは検出できなかった組成を提供することも示す。
Figure 0006735561
[実施例5]
前記O−グリコシル化CTPペプチド系インスリン類似体について、糖類応答性または感受性を示す可能性を研究するために、12から13週齢におけるC57BL/6マウスを、皮下(s.c.)注射による、生理食塩水におけるO−グリコシル化CTPペプチド系類似体D113901およびD113702の投与前2時間、絶食させた。同時に、動物に、α−メチルマンノース(α−MM)溶液(生理食塩水における21.5%v/v、10ml/kg)または媒体の腹腔内(i.p.)投与をした。血中グルコースを、血糖計(OneTouch Ultra LifeScan;Milpitas、CA)を使用して、投与後0、次に、30、60、90および120分の時点で測定した。グルコースの曲線にわたる面積(AOC)を、(100%として)時間0のグルコースに正規化した値を使用して算出した。インスリンを、iso−インスリンELISAキットにより測定した。図15、図16および図17に示された結果は、前記分子が、α−MMの血清濃度に応答性または感受性であることを示す。
[実施例6]
主に長さが1つのマンノース残基であるO−グリカンを有する糖タンパク質を産生可能なPichia pastoris株を提供するために、株YGL7760またはYGLY26268を、(I)前記分泌経路にキメラタンパク質を向けるための、N−末端において、S.cerevisiaeのαMATプレシグナルペプチド(aMATTrMan)に融合したT.resseiのα−1,2−マンノシダーゼ触媒ドメイン、および、(2)P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニットをコードする発現カセットを含むプラスミドベクターにより形質転換する。aMATTrManをコードする発現カセットは、5’端において、S.cerevisiaeのαMATプレシグナルペプチドをコードする核酸分子(配列番号86のアミノ酸配列をコードする配列番号85)に融合した、T.resseiの触媒ドメインをコードする核酸分子(配列番号87)を含む。前記核酸分子は、5’端において、P.pastorisのAOX1プロモータを含む核酸分子に、および、3’端において、S.cerevisiaeのCYC転写終了配列を含む核酸分子に操作可能に結合される。前記URA5発現カセットは、lacZリピートを含む核酸分子のそばに隣接する、P.pastorisのURA5遺伝子または転写ユニットを含む核酸分子を含む。前記カセットは、さらに、Pichia pastorisゲノム中の特定の遺伝子座に前記ベクターを向けるヌクレオチド配列を提供する。例えば、2つのタンデムカセットは、一方側において、PRO1遺伝子の5’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号88)を含む核酸分子のそばに隣接し、および、他方側において、PRO1遺伝子の3’領域由来のヌクレオチド配列(配列番号89)を含む核酸分子のそばに隣接してもよい。ゲノムに組み込まれた発現カセットを含む株を選択し、CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体をコードするプラスミドベクターにより形質転換してもよい。
上記された条件下における上記株でのCTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体の発現により、主なO−グリカン構造がマンノースである、O−グリコシル化CTPペプチド系インスリンまたはインスリン類似体が産生される。
配列
前記実施例に開示された一部の株を産生するのに使用した配列は、下記表に提供される。
Figure 0006735561
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本発明は、例証された実施形態に関連して、本願明細書に記載されるが、本発明は、それに限定されないことを理解されたい。当該分野において通常の知識を有するものおよび本願明細書における教示へのアクセスを有するものは、その範囲内で、更なる修飾および実施形態を認識するであろう。したがって、本発明は、本願明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (27)

  1. GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;
    HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド、および、
    SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むカルボキシ末端部分(CTP)ペプチド、
    を有するO−グリコシル化インスリンであるコンジュゲート、および
    薬学的に許容され得るキャリアまたは塩、を含む、
    組成物であって、
    前記O−グリコシル化インスリンであるコンジュゲートは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A鎖)を有する一本鎖のインスリンであり
    前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され、前記組成物中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり;
    および、前記インスリンが、17個までのアミノ酸置換をさらに含んでもよく、そして、前記CTPペプチドは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンを産生するために、前記B−鎖を前記A−鎖に共有結合させる結合性ペプチドである、
    前記組成物。
  2. 組成物が、前記主なO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであるコンジュゲートを含む、請求項1記載の組成物。
  3. 組成物が、50モル%より多くの前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであるコンジュゲートを含む、請求項1記載の組成物。
  4. 組成物が、80モル%より多くの前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであるコンジュゲートを含む、請求項1記載の組成物。
  5. 前記マンノース残基が、α1,2−結合により、隣接するマンノース残基に共有結合される、請求項1記載の組成物。
  6. 組成物が、50、60、70、80、90または95モル%より多くの前記O−グリカンが、マンノースであるコンジュゲートを含む、請求項1記載の組成物。
  7. 前記組成が、検出可能な、β−結合マンノース、ホスホマンノースまたはβ−結合マンノースおよびホスホマンノースを欠いている、請求項1記載の組成物。
  8. (a)多数のコンジュゲートであり、
    該コンジュゲートは、O−グリコシル化インスリンであって
    GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;
    HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド、および
    SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むカルボキシ末端部分(CTP)ペプチド、を含むコンジュゲート、および
    (b)薬学的に許容され得るキャリアまたは塩、
    を含む、薬学的製剤であって
    ここで、
    前記O−グリコシル化インスリンであるコンジュゲートは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A鎖)を有する一本鎖のインスリンであり
    前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され、前記製剤中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり;
    そしてここで、前記インスリン、17個までのアミノ酸置換をさらに含んでもよく、そして、前記CTPペプチドは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンを産生するために、前記B−鎖を前記A−鎖に共有結合させる結合性ペプチドである、薬学的製剤。
  9. 前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであるコンジュゲートを含む、請求項記載の薬学的製剤
  10. 50モル%より多くの前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであるコンジュゲートを含む、請求項記載の薬学的製剤
  11. 80モル%より多くの前記O−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースであるコンジュゲートを含む、請求項記載の薬学的製剤
  12. 前記マンノース残基が、α1,2−結合により、隣接するマンノース残基に共有結合されるコンジュゲートを含む、請求項記載の薬学的製剤
  13. 50、60、70、80、90または95モル%より多くの前記O−グリカンが、マンノースであるコンジュゲートを含む、請求項記載の薬学的製剤
  14. 前記薬学的製剤が、検出可能な、β−結合マンノース、ホスホマンノースまたはβ−結合マンノースおよびホスホマンノースを欠いている、請求項記載の薬学的製剤
  15. (a) GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;
    HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド、および
    SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むカルボキシ末端部分(CTP)ペプチド、を有するO−グリコシル化インスリン、
    および
    (b)薬学的に許容され得るキャリア、
    を含む組成物であって、
    ここで、前記O−グリコシル化インスリンは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A鎖)を有する一本鎖のインスリンであり
    前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され、前記組成物中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり;
    そしてここで、前記インスリン、17個までのアミノ酸置換をさらに含んでもよく、そして、前記CTPペプチドは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンを産生するために、前記B−鎖を前記A−鎖に共有結合させる結合性ペプチドであり、
    ここで、1つ以上のO−グリカンが、糖尿病の処置に使用された場合、前記1つ以上のO−グリカンを有するインスリンの少なくとも1つの薬物動態学的または薬力学的な特性を糖類の血清濃度に感受性にする、組成物
  16. 前記主なO−グリカンが、マンノトリオースおよびマンノテトロースである、請求項15記載の組成物。
  17. 前記マンノース残基が、α1,2−結合により、隣接するマンノース残基に共有結合される、請求項15記載の組成物。
  18. 前記組成が、検出可能な、β−結合マンノース、ホスホマンノースまたはβ−結合マンノースおよびホスホマンノースを欠いている、請求項15記載の組成物。
  19. 糖尿病を処置するための、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物または薬学的製剤
  20. 糖尿病を処置するための、
    GIVEQCCTSICSLYQLENYC(配列番号90)のアミノ酸配列を含むA−鎖ペプチド;
    HLCGSHLVEALYLVCGERGFF(配列番号3)のアミノ酸配列を含むB−鎖ペプチド、および、
    SSSSKAPPPSLPSPSRLPGPSDTPILPQ(配列番号1)のアミノ酸配列を含むカルボキシ末端部分(CTP)ペプチド、を有する、O−グリコシル化インスリンであり、
    ここで、前記O−グリコシル化インスリンであるコンジュゲートは、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A鎖)を有する一本鎖のインスリンであり
    そしてここで、前記CTPペプチドの少なくとも1つのアミノ酸残基が、O−グリカンに共有結合され、前記O−グリコシル化インスリン中の主なO−グリカンが、マンノース、マンノビオース、マンノトリオースまたはマンノテトロースであり
    前記インスリンが、17個までのアミノ酸置換をさらに含んでいてもよく、そして、前記CTPペプチドが、構造(B−鎖)−(CTPペプチド)−(A−鎖)を有する一本鎖のインスリンを産生するために、前記B−鎖を前記A−鎖に共有結合させる結合性ペプチドである、O−グリコシル化インスリン。
  21. 前記O−グリカンが、検出可能な、β−結合マンノース、ホスホマンノースまたはβ−結合マンノースおよびホスホマンノースを欠いている、請求項20記載のO−グリコシル化インスリ
  22. (a)糖タンパク質上のO−グリカンについて、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性;検出可能なホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性、または、検出可能なβ−マンノシルトランスフェラーゼ活性および検出可能なホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性を示さない、酵母または糸状菌の宿主細胞を提供する工程;
    (b)前記宿主細胞を、O−グリコシル化インスリンをコードする核酸分子により形質転換する工程;
    (c)前記形質転換された宿主細胞を、前記宿主細胞中で前記O−グリコシル化インスリンを発現するための、培地および条件下において培養する工程;および、
    (d)O−グリコシル化インスリンを、前記培地から回収する工程を含む、
    酵母または糸状菌の宿主細胞中で、請求項20に記載のO−グリコシル化インスリを製造するための方法。
  23. 前記宿主細胞が、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊を有する、請求項22記載の方法。
  24. 前記宿主細胞が、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊を有する、請求項22記載の方法。
  25. 前記宿主細胞が、β−マンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子、および、ホスホマンノシルトランスフェラーゼ活性をコードする1つ以上の遺伝子の発現の欠失または破壊を有する、請求項22記載の方法。
  26. 前記宿主細胞が、さらに、α1,2−マンノシダーゼをコードする核酸分子を含む、請求項22記載の方法。
  27. 糖尿病を処置するための組成物または製剤を調製するための、請求項20に記載のO−グリコシル化インスリンの使用。
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