JP6735338B2 - 腸内細菌のButyribacter intestiniおよびその使用 - Google Patents

腸内細菌のButyribacter intestiniおよびその使用 Download PDF

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Description

本発明は、微生物学の分野に属し、具体的に、肥満およびその関連疾患の治療と予防におけるButyribacter(Butyribacter intestini)の使用、そして、Butyribacter intestiniを含む組成物およびその使用に関する。
人体内に大量の共生微生物が存在し、その大半はヒトの腸管に位置し、数は1000万億(1010オーダー)超で、人体細胞の総数の10倍以上である。長い進化の過程において、腸内微生物は人類と良い合作を実現し、人体の栄養、代謝および免疫のいずれにも重要な作用を果たし、多くの研究者は人体の腸内微生物集落を人体の一つの「器官」、または人体の第二のゲノムと見なす傾向があり、それに含まれる莫大な遺伝情報は人類の健康に密接に関連する。糖尿病、冠動脈性心疾患、肥満、結腸癌などの数百種類の疾患の1万近くのサンプルに対する研究・開発によって、一部の特定の種と疾患は顕著な関連を示し、これらの結果は疾患の臨床評価と診断および後期の関与・治療に斬新な方向を提供した。
肥満症は慢性疾患で、多くの要素が肥満につながり、その発病原因はまだ完全に明らかになっていない。同時に、肥満は一連の疾患の誘因でもあり、たとえば高血圧、糖尿病、冠動脈性心疾患、胆嚢病、変形性関節症、睡眠時無呼吸、失調性呼吸、子宮腫瘍、前立腺癌、乳癌や結腸癌などが挙げられる。NIH の報告によれば、現在約9700万のアメリカ人が体重オーバーや過度肥満で、中では過度肥満に関連する2型糖尿病の人数は約1510万人に達し、毎年約20万人が肥満症に関連する疾患で死亡する。
肥満は、通常、生理または生物化学的機能の変化による体脂肪過剰である。脂肪は、通常、中性脂肪、リン脂質およびコレステロールを含む。脂肪の増加はエネルギーの摂取がエネルギーの消耗よりも多いからである。発病の原理から、肥満は(a)単純性肥満(simple obesity)および(b)二次性肥満(second obesity)の2種類がある。単純性肥満は先天性肥満(idiopamic obesity)および後天性肥満(acquired obesity)に分かれ、単純性肥満の患者数は全肥満者数の95%以上を占めている。先天性肥満は大量の脂肪細胞によるもので、かつ小児肥満によく見られる。後天性肥満はより大きいサイズの脂肪細胞によるもので、かつ成人肥満によく見られる。二次性肥満は症状性肥満とも呼ばれ、通常内分泌または新陳代謝の疾患によるものである。
現在、肥満を治療する策略は、ダイエット、トレーニング、行動療法、薬物治療および手術治療(therapetltic operation)と5種類がある。どの策略を使用するかは、主に患者の健康危険因子および体重減少の速度と効果によるが、これらの策略を選択してまたは組み合わせて肥満患者を治療することができる。その体重減少の速度と効果は、たとえば年齢、伸長、家族史や危険因子などの多くの要素に影響される。飲食−トレーニング療法は、低エネルギーで低脂肪の食物を食べて有酸素トレーニングをすることであるが、この方法は普通の大衆に成功しないとされ、かつ長期間にわたってずっと続ける必要がある。体内脂肪を除去する手術は効果がすぐに現れるが、手術のリスク、脂肪除去効果が長く続かないやコストが高いなどと多くの制限がある。
薬物治療は現在臨床において肥満および肥満に関連する疾患(たとえば糖尿病)を治療する主な方法である。薬物治療の機序は、食欲の抑制、エネルギー消耗の増加、脂肪移動の刺激、トリグリセリド合成の低下や脂肪吸収の抑制を含む。現在、主な薬物は、フェニルプロパノールアミン(phenylpropanolamine 、PPA )、オルリスタット(orlistat、XenicalIII)およびシブトラミン(sibutramine 、ReductilTM)である。一部の糖尿病患者の高血糖は飲食および/またはトレーニング療法あるいは上記治療化合物でも適切に制御することができない。これらの患者に対し、外来インスリンを使用するべきである。患者にとって、外来インスリンの使用は高価で苦痛のある方法で、患者に多くの合併症をもたらすこともある。たとえば、断食または不適切なトレーニングのため、インスリン投与量の計算ミスはインスリンの応答(低血糖)につながることがある。また、薬物の使用は薬物に対する局部または全身のアレルギーまたは免疫耐性を生じさせることもある。
現在、本分野では、有効で、副作用の少ない肥満およびその関連疾患を治療・予防する方法と薬物はまだない。
そのため、本分野では、毒性・副作用のない、肥満およびその関連疾患の治療と予防のための新規な薬物の開発が切望されている。
本発明のもう一つの目的は、肥満およびその関連疾患の治療と予防におけるButyribacter intestiniの使用を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、有効で毒性・副作用のない、肥満およびその関連疾患の治療と予防のための薬品、飲料、食品組成物、または動物飼料組成物を提供することである。
本発明のもう一つの目的は、体重および/または血糖を低下させる方法およびその使用を提供することである。
本発明の第一の側面では、Butyribacter intestiniである分離された菌を提供する。
もう一つの好適な例において、前記のButyribacter intestiniの16s rDNAの配列は、配列番号1で示されるものである。
もう一つの好適な例において、前記Butyribacter intestiniは、寄託番号がCGMCC 10984 のButyribacter intestini TF01-11である。
本発明の第二の側面では、(a)安全有効量の本発明の第一の側面に記載の分離された菌および/または分離された菌の代謝産物と、(b)食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体とを含む組成物を提供する。
もう一つの好適な例において、前記組成物は、食品組成物、保健組成物、薬物組成物、飲料組成物、飼料組成物、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の組成物は経口投与製剤である。
もう一つの好適な例において、前記の組成物は液体製剤、固体製剤、半固体製剤である。
もう一つの好適な例において、前記の組成物の剤形は、粉末剤、散剤、錠剤、糖衣剤錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、溶液剤、シロップ剤、ドロップ剤、およびトローチ剤からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記の食品組成物は、乳液製品、溶液製品、粉末製品、または懸濁液製品を含む。
もう一つの好適な例において、前記の食品組成物は、乳製品、粉乳、または液体乳を含む。
もう一つの好適な例において、前記の液体製剤は、溶液製品または懸濁液製品からなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記組成物は、前記組成物の全体積または全重量に対し、1×10〜1×1020cfu/mLまたはcfu/g のButyribacter intestini TF01-11を、好ましくは1×104 〜1×1015cfu/mLまたはcfu/g のButyribacter intestini TF01-11を含有する。
もう一つの好適な例において、前記の組成物に、前記組成物の全重量に対し、0.0001〜99wt%、好ましくは0.1 〜90wt%の前記のButyribacter intestiniおよび/またはButyribacter intestiniの代謝産物が含有される。
もう一つの好適な例において、前記の生成物は、単位剤形(1錠、1カプセルまたは1小瓶)で、1単位剤形あたりの質量は0.05〜5gで、好ましくは0.1 〜1gである。
もう一つの好適な例において、前記の組成物は、ほかのプロバイオティクスおよび/またはプレバイオティクスをさらに含有する。
もう一つの好適な例において、前記のプロバイオティクスは、乳酸菌、ビフィドバクテリウム、ラクトバチルス・アシドフィルス、またはこれらの組み合せからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記のプレバイオティクスは、フラクトオリゴ糖(FOS) 、ガラクトオリゴ糖(GOS) 、キシロオリゴ糖(XOS) 、乳果オリゴ糖(LACT)、大豆オリゴ糖(SOS) 、イヌリン(Inulin)、またはこれらの組み合せからなる群から選ばれる。
本発明の第三の側面では、本発明の第一の側面に記載の分離された菌、または本発明の第二の側面に記載の組成物の使用であって、(a)肥満の予防および/もしくは治療、(b)血中脂質の低下、(c)心血管疾患の予防もしくは治療、ならびに/または(d)糖尿病の予防および/もしくは治療からなる群から選ばれる一または複数の用途に使用される薬物の製造のための使用を提供する。
本発明の第四の側面では、本発明の第一の側面に記載の分離された菌、または本発明の第二の側面に記載の組成物の使用であって、(i)哺乳動物における単球走化性タンパク質-1(MCP-1 )のレベルの低下、ならびに/または(ii)レプチン抵抗性の改善および/もしくは生体内におけるレプチンに対する感受性の向上に使用される薬物または製剤の製造のための使用を提供する。
もう一つの好適な例において、前記薬物または製剤は、さらに、独立にまたは兼ねて、
(iii )哺乳動物の体重増加の抑制、
(iv)哺乳動物の体脂肪比(脂肪重量/体重の比)の低下、
(v )哺乳動物の血中脂質レベルの低下、
(vi)哺乳動物における高密度リポタンパク質(HDLC)のレベルの向上、
(vii )哺乳動物における低密度リポタンパク質(LDLC)のレベルの低下、
からなる群から選ばれる一または複数の用途に使用される。
もう一つの好適な例において、前記哺乳動物は、ヒト、齧歯動物(たとえばラット、マウス)を含む。
もう一つの好適な例において、前記哺乳動物の血中脂質レベルの低下は、総コレステロール(TC)レベルおよび/またはトリグリセリドレベルの低下を含む。
本発明の第五の側面では、本発明の第二に記載の組成物の製造方法であって、
本発明の第一の側面に記載の分離された菌および/または分離された菌の代謝産物を、食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体と混合することによって、本発明の第二に記載の組成物を形成する工程
を有する製造方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の組成物は経口投与製剤である。
本発明の第六の側面では、
(a)適切な培養条件下で本発明の第一の側面に記載の分離された菌を培養することによって、培養産物を得る工程、
(b)任意に、前記培養産物から菌体および/または菌体の代謝産物を分離する工程、ならびに
(c)任意に、前の工程で分離された菌体および/または菌体の代謝産物を食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体と混合することによって、組成物を製造する工程、
を有する生産方法を提供する。
本発明の第七の側面では、体重および/または血中脂質を低下させる方法であって、対象に本発明の第一の側面に記載の分離された菌または本発明の第二の側面に記載の組成物を使用する方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記の使用は経口投与を含む。
もう一つの好適な例において、前記の使用の投与量は0.01〜5g/50kg体重/日、好ましくは0.1 〜2g/50kg体重/日である。
もう一つの好適な例において、前記の対象は、哺乳動物、たとえばヒトを含む。
もちろん、本発明の範囲内において、本発明の上記の各技術特徴および下記(たとえば実施例)の具体的に記述された各技術特徴は互いに組合せ、新しい、または好適な技術方案を構成できることが理解される。紙数に限りがあるため、ここで逐一説明しない。
本発明のButyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の集落の写真および顕微鏡におけるグラム染色の写真(1000倍)を示す。 B. intestini TF01-11(Butyribacter intestini)の菌液を9週間胃内投与した後の各群のマウスの胃内投与前に対する体重増加量を示す。 各群のマウスの体脂肪比を示す。 B. intestiniTF01-11(Butyribacter intestini)の血中脂質に対する影響を示す。 B. intestiniTF01-11(Butyribacter intestini)のレプチン(Leptin、LEP )に対する影響を示す。 B. intestiniTF01-11(Butyribacter intestini)の単球走化性タンパク質-1(MCP-1 )に対する影響を示す。
本発明者は、幅広く深く研究したところ、意外に、Butyribacter intestini(ブチリバクテルインテスティーニ)が肥満およびその関連疾患(たとえば心血管疾患)を予防および治療する作用を有することを見出し、Butyribacter intestiniを含有する活性組成物を実験対象に投与して飼育したところ、当該組成物が体重の増加を抑制し、体脂肪比を向上させ、血中脂質を低下させ、有効に心血管および肥満などの疾患を軽減することができる。これに基づき、本発明を完成させた。
本明細書で用いられるように、用語「含有」は、各種の成分が一緒に本発明の混合物または組成物に使用することができることを表す。そのため、用語「主に〜からなる」および「〜からなる」は、用語「含有」に含まれる。
本明細書で用いられるように、前記「体脂肪比」とは脂肪重量/体重の比の値をいう。
Butyribacter intestiniおよびその使用
一つの好適な例において、前記菌株はButyribacter intestini TF01-11で、寄託番号はCGMCC 10984 で、ヒトの糞便から分離されたものである。Butyribacter intestiniの生理的特性は以下の通りである。Butyribacter intestiniはPYG プレートにおいて嫌気条件、37℃で48h培養した後、集落が灰白色で、不透明で、平滑で、周縁が不規則で、仮根状で、集落の直径が約2mmである。グラム染色、顕微観察によって、TF01-11 はグラム陽性菌で、長桿状で、芽胞がなく、鞭毛を有し、運動可能で、菌体の直径が約0.5 〜1.0 mmで、長さが約2.0 〜8.0 mmである。そして、本発明に記載のButyribacter intestiniはカタラーゼ陰性菌で、生長の温度範囲が30〜42℃で、最適生長温度が37℃で、pH値許容範囲が6.0 〜8.5 で、2%のNaClに耐えることができる。発酵可能な炭水化物は、キシロース、ガラクトース、ラフィノース、グルコース、マルトース、セロビオース、スクロース、デンプンおよびを含み、主に酢酸と酪酸が生成する。
本発明は、肥満およびその関連疾患(たとえば心血管疾患)の治療と予防におけるButyribacter intestiniの使用を提供する。被験者が高脂肪の食物を摂取し、菌株Butyribacter intestini TF01-11は(i)当該被験者の体重増加を抑制する能力、(ii)血中脂質を低下させる能力、および(iii )体脂肪比を向上させる能力を有する。本発明の一つの好適な例によれば、菌株Butyribacter intestini TF01-11で治療された、肥満につながる高脂肪の食物を投与されたC57BL/6J雄マウスは、治療を受けなかった対照群と比べ、体重増加性の幅が軽減されて血中脂質が低下し、そして肥満または心血管疾患に関連する各指標、たとえばレプチン(LEP )や単球走化性タンパク質(MCP-1 )も低下する。そのため、前記菌株は肥満および肥満による疾患、たとえば心血管疾患などの予防と治療に使用することができる。
組成物及びその使用
また、本発明は組成物、好ましくは薬物組成物を提供する。前記組成物は有効量のButyribacter intestiniを含み、一つの好適な例において、前記組成物はさらに乳酸菌、ビフィドバクテリウム、ラクトバチルス・アシドフィルス、またはこれらの組み合せからなる群から選ばれるプロバイオティクス、ならびに/あるいははフラクトオリゴ糖(FOS) 、ガラクトオリゴ糖(GOS) 、キシロオリゴ糖(XOS) 、乳果オリゴ糖(LACT)、大豆オリゴ糖(SOS) 、イヌリン(Inulin)、またはこれらの組み合せからなる群から選ばれるプレバイオティクスを含む。
一つの好適な例において、前記の組成物は液体製剤、固体製剤、半固体製剤である。
一つの好適な例において、前記の液体製剤は、溶液製品または懸濁液製品からなる群から選ばれる。
一つの好適な例において、前記の組成物の剤形は、粉末剤、散剤、錠剤、糖衣剤錠剤、カプセル剤、顆粒剤、懸濁剤、溶液剤、シロップ剤、ドロップ剤、およびトローチ剤からなる群から選ばれる。
本発明の薬物組成物は薬物の錠剤、注射剤またはカプセルのいずれかの形態で投与することができ、前記薬物製剤は賦形剤、薬物的に許容される媒体および担体を含み、これらの物質は投与形態によって選択することができる。本発明における薬物製剤はさらに補助する活性成分を含んでもよい。
乳糖、ブドウ糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶セルロース、ポリビニルピロリドン(PVP )、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウムや鉱物油などはいずれも本発明における薬物組成物の担体、賦形剤や希釈剤などとして使用することができる。
また、本発明の薬物組成物は、さらに、潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁液安定剤、防腐剤、甘味剤や香料などを含んでもよい。本発明の薬物組成物は、薬物組成物の活性成分、すなわち、微生物が胃酸に破壊されずに順調に胃を通過することができるように、様々な公知の方法によって腸溶性コーティング製剤として生産してもよい。
さらに、本発明の微生物は通常の方法によって製造されたカプセルの形態で使用してもよい。たとえば、標準賦形剤と本発明の凍結乾燥された微生物を混合して小球のピルとした後、ピルをゼラチンのカプセルに充填する。また、本発明の微生物と薬物的に許容される賦形剤、たとえば液体ガム、セルロース、ケイ酸塩や鉱物油などを混合して懸濁液または分散液とし、この懸濁液または分散液を軟ゼラチンカプセルに充填してもよい。
本発明の薬物組成物は腸溶性コーティング錠として経口投与で使用してもよい。本出願における用語「腸溶性コーティング」は、すべての通常の薬物的に許容される腸溶性コーティングを含み、これらのコーティングは胃酸に分解されないが、小腸において十分に分解して迅速に本発明の微生物を放出することができる。本発明の腸溶性コーティングは合成胃酸、たとえばpH=1のHCl 溶液において36〜38℃で2時間以上維持し、かつ好ましくは合成腸液、たとえばpH=7.0の緩衝液において1.0 時間内で分解する。
本発明の腸溶性コーティングは1錠あたりに約16〜30mg、好ましくは16〜25mg、より好ましくは16〜20mgでコーティングされる。本発明における腸溶性コーティングの厚さは5〜100 μm、理想の厚さは20〜80μmである。腸溶性コーティングの成分はすでに公開されて既知の通常の重合体が選ばれる。
本発明の好適な腸溶性コーティングは酢酸セルロースのフタル酸エステル重合体またはトリメリット酸エステル重合体とメタクリル酸の共重合体(たとえば、40%以上のメタクリル酸とフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはそのエステル系誘導体を含むメタクリル酸の共重合体)で製造される。
本発明における腸溶性コーティングに使用される酢酸フタル酸セルロースの粘度は約45〜90cpで、アセチル含有量は17〜26%で、フタル酸含有量は30〜40%である。腸溶性コーティングに使用されるトリメリット酸酢酸セルロースの粘度は約5〜21csで、アセチル含有量は17〜26%である。トリメリット酸酢酸セルロースはイーストマン・コダック社によって生産され、本発明における腸溶性コーティング材料に使用することができる。
本発明の腸溶性コーティングに使用されるフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、分子量が一般的に20,000〜130,000 ダルトンで、理想の分子量が80,000〜100,000 ダルトンで、ヒドロキシプロピル含有量は5〜10%で、メトキシ含有量は18〜24%で、フタロイル含有量は21〜35%である。
本発明の腸溶性コーティングに使用されるフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースはHP50で、日本信越化学工業株式会社によって生産される。HP50は6〜10%のヒドロキシプロピル基、20〜24%のメトキシ基、21〜27%のプロピル基を含有し、その分子量は84,000ダルトンである。もう1種類の腸溶性コーティング物質はHP55で、HP55は5〜9%のフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、18〜22%のメトキシ基、27〜35%のフタル酸を含有し、その分子量は78,000ダルトンである。
本発明の腸溶性コーティングは、通常の方法で腸溶性コーティング溶液をコアに噴霧することによって製造される。当該腸溶性コーティング方法に使用される溶媒はアルコール類(たとえばエタノール)、ケトン類(たとえばアセトン)、ハロ炭化水素化合物(たとえばジクロロメタン)、またはこれらの組み合わせである。軟化剤、たとえばフタル酸ジ-n- ブチルやトリ酢酸グリセリンを腸溶性コーティング溶液に入れ、その比率は1部のコーティング物に対して約0.05部または約0.3 部の軟化剤である。噴霧方法は連続に行われることが好ましく、噴霧される材料の量はコーティングに使用される条件によって制御することができる。噴霧の圧力は任意に調整することができるが、一般的に、平均1〜1.5 バールの圧力で理想の結果が得られる。
明細書における「薬物有効量」とは、ヒトおよび/または動物に機能や活性があり、且つヒトおよび/または動物にとって受けられる量である。たとえば、本発明において、1×10〜1×1020cfu/mlまたはcfu/g (特に、1×104 〜1×1015cfu/mlまたはcfu/g 、より特に、1×106 〜1×1011cfu/mlまたはcfu/g )のButyribacter intestiniおよび/またはButyribacter intestiniの代謝産物を含有する製剤を製造することができる。
薬物組成物の製造に使用される場合、用いられるButyribacter intestiniまたはButyribacter intestiniの代謝産物の有効使用量は、使用の様態と治療しようとする疾患の重篤度によって変更することができる。内服に適する投与量の様態は、固体または液体の薬学的に許容される担体と密接に混合した約1×10〜1×1020cfu/mlまたはcfu/g (特に、1×104 〜1×1015cfu/mlまたはcfu/g 、より特に、1×106 〜1×1011cfu/mlまたはcfu/g )の活性Butyribacter intestiniまたは発酵による活性成分を含む。この投与量の方案を調節することにより、最適な治療応答を提供することができる。例えば、治療状況の切望によって、毎日数回に分けた投与量、または比率的に減少する投与量で投与することができる。
前記のButyribacter intestiniまたはButyribacter intestiniの代謝産物は経口投与などの形態によって投与してもよい。固体担体は、澱粉、ラクトース、リン酸水素カルシウム、微晶質セルロース、ショ糖とカオリンを、液体担体は、培地、ポリエチレングリコール、ノニオン性界面活性剤と食用油(例えばトウモロコシ油、落花生油と胡麻油)を含むが、Butyribacter intestiniまたはButyribacter intestiniの代謝産物の特性と所期の特定の投与形態に適するものであればよい。薬物組成物の製造に通常用いられる佐剤も有利的に含まれるが、例えば、矯味剤、色素、防腐剤及びビタミンE、ビタミンC、BHT とBHA のような酸化防止剤などが挙げられる。
製造の容易さ及び投与の面から、好ましい薬物組成物は、固形組成物、特に錠剤及び固体充填或いは液体充填のカプセルである。経口投与が好ましい。
本発明の組成物を前記個体に使用し、毎日1回または複数回投与する。投与量の単位はその形態で分けられる、ヒトまたはほかのすべての哺乳動物の個体に適する投与量を示す。各単位は薬物的に許容される担体と有効治療量の本発明の微生物を含む。投与量は患者の体重および肥満の重篤度、含まれる補充活性成分および使用される微生物によって変わる。また、可能であれば、分けて投与してもよく、かつ必要によって連続に投与してもよい。そのため、前記投与量は本発明の限定にならない。また、本発明における「組成物」は薬品だけでなく、機能性食品および健康食品にしてもよい。一つの好適な例において、前記組成物は、飲料、食品、薬品、動物飼料などを含む。
一つの好適な例において、さらに、有効量のButyribacter intestiniおよび/またはButyribacter intestiniの代謝産物と、残量の食品的に許容される担体とを含む食品組成物を提供し、前記の食品組成物の剤形は固体、乳製品、溶液製品、粉末製品、または懸濁液製品を含む。
一つの好適な例において、前記組成物の配合は、
1×10〜1×1020cfu/mLのButyribacter intestiniおよび/またはButyribacter intestiniの代謝産物と、食品的にまたは薬学的に許容される担体、および/または賦形剤とである。
もう一つの好適な例において、前記組成物の配合は、
1×106 〜1×1011cfu/mLのButyribacter intestiniおよび/またはButyribacter intestiniの代謝産物と、食品的にまたは薬学的に許容される担体、および/または賦形剤とである。
Butyribacter intestiniの生産方法
通常、Butyribacter intestiniは通常の方法で製造することができる。
本発明において、大規模にButyribacter intestiniを生産する方法、具体的に、
(a)適切な培養条件下で前記のButyribacter intestiniを培養することによって、培養産物を得る工程、
(b)任意に、前記培養産物から菌体および/または菌体の代謝産物を分離する工程、ならびに
(c)任意に、前の工程で分離された菌体および/または菌体の代謝産物を食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体と混合することによって、組成物を製造する工程
を含む方法を提供する。
体重および/または血中脂質を低下させる方法
もう一つの好適な例において、前記方法は、本発明の薬物組成物、食品組成物、飲料組成物、またはこれらの組み合わせを摂取することを含む。前記実験対象はヒトである。
もう一つの好適な例において、前記方法は、本発明の薬物組成物、食品組成物、または動物飼料、またはこれらの組み合わせを摂取することを含む。前記実験対象は動物、好ましくはネズミ類、ウサギ類である。
本発明の主な利点は以下の通りである。
(a) 本発明のButyribacter intestiniは顕著に体重、血中脂質、体脂肪比を低下させることができる。
(b) 本発明のButyribacter intestiniは顕著に肥満およびその関連疾患(たとえば心血管疾患)に関連する指標(たとえばコレステロールやトリグリセリド)を低下させることができる。
(c) 本発明のButyribacter intestiniは顕著に総コレステロール、トリグリセリド、低密度リポタンパク質のレベルを低下させることができる。
(d) 本発明のButyribacter intestiniは顕著に高密度リポタンパク質のレベルを向上させることができる。
(e) 本発明のButyribacter intestiniはインスリン抵抗性を改善し、さらにアテローム性動脈硬化や心血管疾患の発生のリスクを低下させることができる。
(f) 本発明のButyribacter intestiniは顕著に単球走化性タンパク質-1(MCP-1 )のレベルを低下させることができる。
(g) 本発明のButyribacter intestiniは有効に肥満症に伴うレプチン抵抗性を改善し、生体内におけるレプチンに対する感受性を向上させることができる。
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例で具体的な条件が示されていない実験方法は、通常、例えばSambrookら、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」(ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版社、1989)に記載の条件、あるいは「微生物学:実験マニュアル」(James CappuccinoとNatalie Sherman編、Pearson Education出版社)に記載の条件、あるいはメーカーのお薦めの条件に従う。
実施例1:Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の選別と同定
1.1 Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の分離
本発明のButyribacter intestini TF01-11 は深▲セン▼市塩田区の一名の17歳の男性の糞便サンプルから分離されたのもので、嫌気条件において約0.2gの糞便サンプルを取り、無菌のPBS に入れた後、勾配希釈を行って塗布し、PYG 培地を使用したが、その主な成分はペプトン5g、カゼインの膵消化物5g、酵母粉10 g、牛肉エキス5g、ブドウ糖5g、K2HPO42g 、Tween 80 1ml、システイン-HCl・H2O 0.5g 、ヘム 5mg、ビタミンK1 1ul、無機塩溶液(1Lあたりの無機塩溶液は、CaCl2・2H2O 0.25g、MgSO4・7H2O 0.5g 、K2HPO41g 、KH2PO41g 、NaHCO310g、NaCl 2g を含む)40ml、レサズリン 1mg、蒸留水950 mlで、pH 6.8〜7.0 で、115 ℃で25 min滅菌された。48hのプレート培養後、単一集落を取って画線分離を行った。
1.2 16S rDNAの同定
1mlのTF01-11 培養の菌液を取り、ゲノムDNA を抽出し、プライマー対8f/1492rで16S rDNAをPCR によって増幅させた。
生成した増幅産物に対して精製、配列決定を行い、1400bpの16S rDNA配列(配列番号1で示される)を得、この配列をデータベースとアラインメントし、TF01-11 の16S rDNAと相同性が最も高い菌はRoseburia intestinalisで、92.18 %の相同性を有する。
配列番号:1
tgcagtcgaa cgaagctcct gcgacagatt ccttcgggat gaagatgctt gagacttagt 60
ggcggacggg tgagtaacgc gtgggtaacc tgccctgtac tgggggacaa cagttagaaa 120
tgactgctaa taccgcataa gcctacggag tcgcatgact cagcaggaaa aattccggtg 180
gtacaggatg ggcccgcgtc tgattagcta gttggtgagg taatggctca ccaaggcgac 240
gatcagtagc cggcttgaga gagtgaacgg ccacattggg actgagacac ggcccaaact 300
cctacgggag gcagcagtgg ggaatattgc acaatggggg aaaccctgat gcagcaacgc 360
cgcgtgagtg aagaagtatt tcggtatgta aagctctatc agcagggaag aaaatgacgg 420
tacctgacta agaagcaccg gctaaatacg tgccagcagc cgcggtaata cgtatggtgc 480
aagcgttatc cggatttact gggtgtaaag ggagcgcagg cggtctggca agtctgatgt 540
gaaaatccgg ggctcaactc cggaactgca ttggaaactg tcagactaga gtgtcggaga 600
ggtaagtgga attcctagtg tagcggtgaa atgcgtagat attaggagga acaccagtgg 660
cgaagggcgg cttactggac gataactgac gctgaggctc gaaagcgtgg ggagcaaaca 720
ggattagata ccctggtagt ccacgccgta aacgatgaat actaggtgtc ggggcacaaa 780
agtgcttcgg tgccgcagca aacgcattaa gtattccacc tggggagtac gttcgcaaga 840
atgaaactca aaggaattga cggggacccg cacaagcggt ggagcatgtg gtttaattcg 900
aagcaacgcg aagaacctta ccagtccttg acatcccgat gaccgacctg taacgaggtc 960
ttctcttcgg agcatcggag acaggtggtg catggttgtc gtcagctcgt gtcgtgagat 1020
gttgggttaa gtcccgcaac gagcgcaacc cctgtcctta gtagccagca gttcggctgg 1080
gcactctagg gagactgccg gggataaccc ggaggaaggt ggggacgacg tcaaatcatc 1140
atgcccctta tgggctgggc tacacacgtg ctacaatggt gctaacaaag tgaagcaagc 1200
tggtgacagt aagcaaatca caaaaatggc atctcagttc ggattgtagt ctgcaactcg 1260
actacatgaa gctggaatcg ctagtaatcg cagatcagaa tgctgcggtg aatacgttcc 1320
cgggtcttgt acacaccgcc cgtcacacca tgggagttgg aaatgcccga agtcagtgac 1380
ccaaccgcaa ggagggagca 1400
1.3 Butyribacter intestine TF01-11 の進化分析
TF01-11 をラクノスピラ科(Lachnospiraceae )のモデル種の16S rDNA配列と多重配列アライメントした後、MEGA 5によって系統樹の作成を行い、最近隣法(Neighbour-joining )によって系統発生樹を構築した。
1.4 Butyribacter intestine TF01-11 の微生物学的特徴
(1)形態学的特徴
Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)は、PYG プレートにおいて嫌気条件、37℃で48h培養した後、集落が灰白色で、不透明で、平滑で、周縁が不規則で、仮根状で、集落の直径が約2mmである(図1)。
(2)顕微的特徴
グラム染色、顕微観察によって、TF01-11 はグラム陽性菌で、長桿状で、芽胞がなく、鞭毛を有し、運動可能で、菌体の直径が約0.5 〜1.0 mmで、長さが約2.0 〜8.0 mmである(図1)。
(3)生理学・生物化学的特徴
TF01-11 はカタラーゼ陰性で、生長の温度範囲が30〜42℃で、最適生長温度が37℃で、pH値許容範囲が6.0 〜8.5 で、2%のNaClに耐えることができる。TF01-11 と近縁の3株のモデル菌(Roseburia intestinalis DSM 14610T、Acetivibrio ethanolgignens ATCC 33324T、Lachnospira multipara DSM 3073T )との酵素反応(API ZYM) および基質の利用状況(API 20A、API 50CH) を比較したところ、表1では、TF01-11 が近縁の3株のモデル菌とAPI 反応において大きな違いが存在することが示された。
(4)TF01-11 と近縁の3株のモデル菌の細胞脂肪酸成分の分析結果は下記表に示す(菌株: 1, TF01-11T; 2, Roseburia intestinalis DSM 14610T; 3, Acetivibrio ethanolgignens ATCC 33324T; 4, Lachnospira multipara DSM 3073T;−, 未検出)。
結果から、当該菌株は新種の菌株であることが明らかになり、Butyribacter intestini TF01-11と名付けた。
実施例2:Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の生物活性の測定
48h培養したTF01-11 の発酵液1mlを取り、12000r/minで5min遠心し、上清液を吸い取り、所定濃度のギ酸水溶液で10倍希釈し(ギ酸の最終濃度9%)、使用に備えた。外標準法によって測定し、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸で標準曲線の作成を行い、ここで、酢酸、酪酸、吉草酸の濃度はそれぞれ517 μL/L 、497 μL/L 、401 μL/L 、467 μL/L であった。島津GC-2014Cガスクロマトグラフ、HP-INNOWax(Cross-Linked PEG)、30 m×0.25mm×0.25umの毛細柱によって分析し、検出器は水素炎イオン化検出器で、GCパラメーターの設定はカラム温度:180 〜200 ℃、気化室温度:240 ℃、検出温度:210 ℃、仕込み量:2μL、キャリアガス流量:N2,50mL/min、水素ガス流量:50mL/min、空気流量:600 〜700 mL/minであった。
結果から、上記方法によって測定されたTF01-11 のSCFA生成量は酢酸2.79mmol/L、酪酸15.09 mmol/Lであったことがわかる。
実施例3:Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の肥満モデルマウスに対する治療作用
実験材料:
マウス:C57BL/6J雄マウス(広東省医学実験動物センターから購入)を購入し、正常飼育のマウスで、6週齢で、計30匹であった。マウスの生長過程は同じ環境で、かつ同様の食物を投与した。
菌株:実施例1に記載の分離されたButyribacter intestini TF01-11菌株
高脂肪飼料(HF):78.8%基礎飼料、1%コレステロール、10%卵黄粉、10%豚脂および0.2 %コール酸塩を含み、南通特洛菲飼料科技有限公司から購入された。
普通維持飼料:広東省医学実験動物センターから購入された。
実験方法:
正常飼育のC57BL/6J成年雄マウスを選び、ランダムに三つの実験群(それぞれ対照群、肥満モデル群およびTF01群)に分かれ、各群に10匹ずつで、SPF(Specific pathogen Free) 環境において自由に餌と水を摂らせた。肥満モデル(Model )群およびTF01群では高脂肪飼料を、対照群では普通維持飼料を投与した。4週間飼育した後、TF01群ではButyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の菌液の胃内投与を開始し、肥満モデル群および対照群では等量の培地を胃内投与し、9週間胃内投与した。
菌投与量は0.15mL/10g体重とし、菌濃度は1×107 cfu/mLとし、濃縮後の濃度は1×108 cfu/mLとし、頻度は1日おきに1回であった。菌液は事前に培養し、新鮮さを保つために毎週活性化し、かつそれぞれ濃度を測定した。
実験期間中は、毎週マウスの体重、状態、摂食量などのデータを記録した。実験の最後の1週間は各群のマウスにブドウ糖負荷(OGTT)試験を行った。実験終了後、マウスを殺処分し、脂肪の重量を記録し、そして血清を取り、ELISA キットによって血中脂質およびタンパク質因子の含有量を検出した。
実験結果:
(1)Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)のマウスの体重増加に対する影響
結果は表1-1 、表1-2 および図2に示す。結果から、Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)は有効に肥満モデルマウスの体重増加を緩和することができたことがわかる(*P<0.05)。
(2)Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の体脂肪比に対する影響
結果は表2及び図3に示す。結果から、Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)は顕著に肥満モデルマウスの体脂肪比を低下させることができたことがわかる(*P<0.05)。
(3)Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)の血中脂肪に対する影響
結果は図4、表3および表4に示す。血中脂質における主要成分はコレステロールおよびトリグリセリドで、血漿におけるコレステロールおよびトリグリセリドのレベルの向上はアテローム性動脈硬化の発生に関連する。結果から、Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)は血中脂肪を低下させ、アテローム性動脈硬化関連疾患(たとえば心血管疾患)の関連指標を低下させることができることがわかる。そして、総コレステロール、トリグリセリドおよび低密度リポタンパク質を低下させる作用は特に顕著で、また顕著に高密度リポタンパク質の含有量を増加させることができる(*P<0.05)。
(4)Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)のレプチン(Leptin、LEP)、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)に対する影響
結果は図5、図6および表5、表6に示す。結果から、Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)は顕著に肥満モデルマウスの血清におけるレプチン(LEP )およびMCP-1 の含有量を低下させることができたことがわかる(*P<0.05)。
結果から、Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)はレプチン抵抗性を改善し、生体内におけるレプチン(LEP) に対する感受性を向上させ、かつプロバイオティクスのButyribacter intestini TF01-11による治療後血清MCP-1 レベルが低下し、インスリン抵抗性の改善に有利で、アテローム性動脈硬化および心血管疾患の発生のリスクを低下させることができることがわかる。
実施例4:Butyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01 )を含む食品組成物
原料の配合は表7に示す。
上記配合の比率で牛乳、白砂糖を混合し、完全に混合するまで撹拌し、予備加熱し、20 MPaの圧力で均質化し、90℃程度で5〜10分間殺菌し、40〜43℃に冷却し、1〜100 ×106 cfu/g のButyribacter intestini TF01-11菌を接種し、Butyribacter intestini TF01-11菌を含む食品組成物を調製した。
実施例5:Butyribacter intestiniを含む薬物組成物
原料の配合は表8に示す。
上記比率で乳糖、酵母粉、ペプトンおよび精製水を均一に混合し、60〜65℃に予備加熱し、20 MPaの圧力で均質化し、90℃程度で20〜30分間殺菌し、36〜38℃に冷却し、Butyribacter intestini TF01-11生菌(1-50×106 cfu/mL)を接種し、pH値が6.0 になるように36〜38℃で発酵させ、遠心し、水分含有量が3%未満になるまで凍結乾燥し、Butyribacter intestini TF01-11菌の凍結乾燥物を調製した。0.5 グラムのButyribacter intestini TF01-11凍結乾燥を量って等量のマルトデキストリンと混合した後、カプセルに入れ、Butyribacter intestini TF01-11菌を含む薬物組成物を調製した。
菌株の寄託
本発明の菌株であるButyribacter intestini(Butyribacter intestini TF01-11)(寄託名称と同様)は、既に2015年6月16日に中国微生物菌種保蔵管理委員会普通微生物センター(CGMCC)に寄託され、住所は中国北京市朝▲陽▼区北辰西路1号院3号で、寄託番号はそれぞれCGMCC 10984である。
各文献がそれぞれ単独に引用されるように、本発明に係るすべての文献は本出願で参考として引用する。また、本発明の上記の内容を読み終わった後、この分野の技術者が本発明を各種の変動や修正をすることができるが、それらの等価の様態のものは本発明の請求の範囲に含まれることが理解されるはずである。

Claims (9)

  1. 配列番号1に記載されている16s rDNAの配列を有しているButyribacter intestiniであることを特徴とする分離された菌。
  2. Butyribacter intestiniは、寄託番号がCGMCC 10984 のButyribacter intestini TF01-11であることを特徴とする請求項1に記載の分離された菌。
  3. (a)安全有効量の請求項1に記載の分離された菌および/または分離された菌の代謝産物と、
    (b)食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体と
    を含むことを特徴とする組成物。
  4. 前記組成物の全体積または全重量に対し、1×10〜1×1020cfu/mLまたはcfu/g のButyribacter intestini TF01-11を、好ましくは1×104 〜1×1015cfu/mLまたはcfu/g のButyribacter intestini TF01-11を含有することを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. ほかのプロバイオティクスおよび/またはプレバイオティクスをさらに含有することを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  6. 請求項1に記載の分離された菌、または請求項3に記載の組成物の使用であって、
    (a)肥満の予防および/もしくは治療、(b)血中脂質の低下、(c)心血管疾患の予防もしくは治療、ならびに/または(d)糖尿病の予防および/もしくは治療からなる群から選ばれる一または複数の用途に使用される薬物の製造のためであることを特徴とする使用。
  7. 請求項1に記載の分離された菌、または請求項3に記載の組成物の使用であって、
    (i)哺乳動物における単球走化性タンパク質-1(MCP-1 )のレベルの低下、ならびに/または(ii)レプチン抵抗性の改善および/もしくは生体内におけるレプチンに対する感受性の向上に使用される薬物または製剤の製造のためであることを特徴とする使用。
  8. 請求項3に記載の組成物の製造方法であって、
    請求項1に記載の分離された菌および/または分離された菌の代謝産物を、食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体と混合することによって、請求項3に記載の組成物を形成する工程
    を有することを特徴とする製造方法。
  9. (a)適切な培養条件下で請求項1に記載の分離された菌を培養することによって、培養産物を得る工程、
    (b)任意に、前記培養産物から菌体および/または菌体の代謝産物を分離する工程、ならびに
    (c)任意に、前の工程で分離された菌体および/または菌体の代謝産物を食品的に許容される担体または薬学的に許容される担体と混合することによって、組成物を製造する工程
    を有することを特徴とする生産方法。
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