[データ通信システムSの構成]
図1は、実施の形態に係るデータ通信システムSの構成を示す図である。データ通信システムSは、複数の通信デバイス1と、中継装置2と、データ管理装置3と、データ取得装置4(4a,4b,4c)とを有する。中継装置2は、通信網N1を介して、複数の通信デバイス1から受信したデバイスデータであるパケットデータをデータ管理装置3に送信することができる。通信網N1は、携帯電話網及びインターネットを含んでおり、中継装置2は、携帯電話回線を利用してパケットデータをデータ管理装置3に送信する。
データ管理装置3は、例えば、通信網N1を用いたサービスを提供する通信キャリアが管理するサーバである。データ管理装置3は、光通信回線等の通信網N2を介して、中継装置2から受信したパケットデータをデータ取得装置4に提供する。データ管理装置3は、データ処理装置30及び課金額決定装置50を有する。データ管理装置3は、一台以上のサーバにより構成されており、データ処理装置30と課金額決定装置50が異なるサーバにより構成されていてもよく、一台のサーバにより構成されていてもよい。
データ取得装置4は、データ処理装置30にアクセス可能なコンピュータである。データ取得装置4は、例えば、通信デバイス1からデータ管理装置3に送信されたパケットデータにアクセスするデータ取得者が使用するPC(Personal Computer)であり、データ取得者は、自身のPCにおいて、通信デバイス1が送信したデータの内容を閲覧することができる。
通信デバイス1は、例えばセンサーを有しており、センサーの出力信号に基づくデータを中継装置2に送信する。通信デバイス1は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等のように比較的近距離での通信に適した無線通信チャネルにより中継装置2との間でデータを送受信する。
通信デバイス1は、自動販売機、車両、オフィス、工場等に設置されており、設置された場所において収集できる各種の情報を含むパケットデータを、中継装置2及びデータ処理装置30を経由して、通信デバイス1が収集した情報を取得する契約をしたデータ取得者がアクセス可能なデータ取得装置4に送信する。通信デバイス1が、例えば自動販売機に設置されている場合、通信デバイス1は、温度、釣銭の残量、商品の在庫、周囲の人の存在等に関する情報を収集し、収集した情報を含むパケットデータを中継装置2に送信する。
通信デバイス1が送信するパケットデータの容量は、スマートフォンやタブレット等の通信端末において送受信される音声や画像のパケットデータの容量に比べて小さく、1つのパケットデータの長さは、例えば100バイト以下である。通信デバイス1が送信するパケットデータには、通信デバイス1ごとに割り当てられた識別情報であるデバイスIDと、収集した情報を含むデバイスデータとが含まれている。
中継装置2は、複数の通信デバイス1から複数のパケットデータを受信する。中継装置2は、受信したパケットデータを一時的に蓄積し、予め設定されたタイミングで、蓄積したパケットデータを通信網N1に送出することにより、パケットデータをデータ処理装置30に転送する。
データ処理装置30は、中継装置2及び通信網N1を介して、複数の通信デバイス1から送信されるパケットデータを収集する。データ処理装置30は、受信したパケットデータをハードディスク等の記憶媒体に蓄積し、データ取得装置4(4a,4b,4c)からの要求に応じて、パケットデータ自体、又はパケットデータに基づいて生成した情報をデータ取得装置4に送信する。このようにすることで、中継装置2が通信網N1を利用するための契約をしている契約者から、通信デバイス1が出力するデータを取得する許可を得たデータ取得者は、データ取得装置4を介して、データ処理装置30にアクセスして中継装置2の契約者により許可されたデータや統計情報を取得することができる。データ処理装置30は、例えばPPM(Privacy Policy Manager)機能を有しており、通信デバイス1が出力するデータをどのデータ取得装置4が取得できるかを制御することができる。
また、データ処理装置30は、収集したパケットデータ、又はパケットデータに基づいて生成された統計情報を取得するデータ取得者に割り当てられた取得者識別情報(以下、取得者IDという)と、データ取得者が使用している複数の通信デバイスそれぞれに割り当てられたデバイス識別情報(以下、デバイスIDという)とに関連付けて、中継装置2からパケットデータを受信した日時、回数、及び受信したパケットデータの量等を課金額決定装置50に通知する。データ処理装置30は、さらに、中継装置2が通信網N1を利用するための契約をしている契約者に割り当てられた契約者識別情報(以下、契約者IDという)と、中継装置2を介してパケットデータをデータ処理装置30に送信する複数の通信デバイスのデバイスIDとに関連づけて、中継装置2からパケットデータを受信した日時、回数、及び受信したパケットデータの量等を課金額決定装置50に通知してもよい。
データ取得装置4は、データ取得者が、コンピュータや携帯端末を用いてアクセスすることができるサーバである。データ取得装置4は、データ取得者の要求に応じて、データを取得する対象の通信デバイス1のデバイスID及びアプリケーションのアプリIDを含むデータ取得要求をデータ処理装置30に送信することで、通信デバイス1が実行可能な複数のアプリケーションの少なくともいずれかが出力するデータをデータ処理装置30から取得することができるようになる。データ取得装置4は、データ処理装置30から受信したデータ又はデータの分析結果をデータ取得者に提供する。
課金額決定装置50は、通信デバイス1が出力したパケットデータを、中継装置2からデータ処理装置30に送信する通信サービスに対する課金額を決定する。また、課金額決定装置50は、データ取得者に関連付けられた中継装置2からデータ処理装置30まで、データ取得者に関連付けられた通信デバイス1のアプリケーションが出力したパケットデータが伝送された量(以下、データ通信量という)についての課金額の課金先を決定する。課金額決定装置50は、例えば所定の単位期間(例えば1ヶ月)ごとに、データ取得者ごとに課金額を決定する。
また、課金額決定装置50は、中継装置2の契約者に対する課金額も決定する。課金額決定装置50は、契約者に関連付けられた中継装置2からデータ処理装置30まで、中継装置2を介してパケットデータを送信する通信デバイス1が送信したパケットデータが伝送された量に基づいて、契約者に対する課金額を決定する。課金額決定装置50は、例えば、所定の単位期間(例えば1ヶ月)ごとに、契約者ごとに課金額を決定する。
ここで、通信デバイス1が自動販売機に設置されている場合、データ取得者は、例えば自動販売機の管理会社、自動販売機の商品を製造する飲料メーカー、マーケティング情報を提供する会社等である。データ取得者は、データ処理装置30及び課金額決定装置50を管理する通信キャリアとの間で、所望の通信デバイス1の所望のアプリケーションが出力するデータを取得するための契約を締結している。課金額決定装置50は、各データ取得者の取得者IDと、各データ取得者が選択した一以上の通信デバイス1のデバイスIDと、各データ取得者が選択した一以上のアプリケーションのアプリIDとを関連付けて記憶している。課金額決定装置50は、所定の期間内に、取得者IDに関連付けられたデバイスID及びアプリIDに対応するアプリケーションが出力したデータの量に基づいて、各データ取得者に対する課金額を決定する。
課金額決定装置50は、決定した課金額を、契約者やデータ取得者に対する請求額を管理しているデータベースに登録する。このようにすることで、通信キャリアは、データ取得者が通信デバイス1から得た情報の量に応じた課金をすることが可能になる。
図2は、データ通信システムSにおけるデータの流れを模式的に示す図である。一つの通信デバイス1は、複数の種類の情報に対応する複数のアプリケーションを実行することができる。図2に示す通信デバイス1は自動販売機に設置されており、温度アプリ11、釣銭管理アプリ12、在庫管理アプリ13及び監視アプリ14を実行することができる。
温度アプリ11は、自動販売機の内部温度を示す温度情報を送信することができる。釣銭管理アプリ12は、自動販売機の釣銭の残高を示す釣銭情報を送信することができる。在庫管理アプリ13は、自動販売機で販売されている商品の在庫数を示す在庫情報を送信することができる。監視アプリ14は、自動販売機から所定の距離内の人を検出した時間を示す人検出情報を送信することができる。
各アプリケーションが送信する情報は、データ処理装置30によって、予め登録されたデータ取得装置4に割り振られる。図2に示す例の場合、温度アプリ11が出力する温度情報は、自動販売機をメンテナンスするデータ取得者のデータ取得装置4aに送信される。釣銭管理アプリ12が出力する釣銭情報は、商品を管理するデータ取得者のデータ取得装置4bに送信される。在庫管理アプリ13が出力する在庫情報は、データ取得装置4b、及びマーケティング情報を提供するデータ取得者のデータ取得装置4cに送信される。監視アプリ14が出力する人検出情報は、データ取得装置4cに送信される。
このような場合、課金額決定装置50は、データ取得装置4aのデータ取得者に対しては、温度アプリ11が出力した温度情報のデータ通信量に応じて課金額を決定する。課金額決定装置50は、データ取得装置4bのデータ取得者に対しては、釣銭管理アプリ12が出力した釣銭情報及び在庫管理アプリ13が出力した在庫情報のデータ通信量に応じて課金額を決定する。また、課金額決定装置50は、データ取得装置4cのデータ取得者に対しては、在庫管理アプリ13が出力した在庫情報及び監視アプリ14が出力した人検出情報のデータ通信量に応じて課金額を決定する。
なお、通信デバイス1が設置される場所は任意であり、例えば自動車内に設置されてもよい。通信デバイス1が自動車内に設置される場合、通信デバイス1は、ガソリン残量、バッテリー残量、走行データ(走行距離、平均速度、燃費及び急ブレーキ回数等)、位置情報及び車体の不具合情報等をデータ処理装置30に送信することができる。
[中継装置2の構成]
続いて、中継装置2及び課金額決定装置50の構成及び動作について詳細に説明する。
図3は、中継装置2の構成を示す図である。中継装置2は、デバイス通信部21と、制御部22と、ネットワーク通信部23と、記憶部24とを有する。
デバイス通信部21は、通信デバイス1が送信したデータを受信するための無線通信インターフェースである。
制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、デバイス通信部21を介して受信したデータを記憶部24に記憶させる。また、制御部22は、記憶部24に記憶させたデータを所定のタイミングで読み出して、読み出したデータを、ネットワーク通信部23を介して通信網N1に送出する。制御部22は、例えば、通信網N1のトラヒック量が所定の閾値よりも小さい時間帯になると、データを通信網N1に送出する。
制御部22は、通信デバイス1から受信したデータの優先度に基づいて、データを送信するタイミングを決定してもよい。例えば、制御部22は、優先度が高いデータを、記憶部24に蓄積することなく通信網N1に送出する。また、制御部22は、優先度が低いデータを、優先度が高いデータと同じタイミングで送信しないように、記憶部24に蓄積させる。制御部22は、予めデータ管理装置3から通知された時間帯に、優先度が低いデータを送信しないようにしてもよい。このようにすることで、制御部22は、通信網N1のトラヒック量が大きくなり過ぎることを抑制しつつ、速やかに送信するべきデータを遅延なく送信することができる。なお、データ通信システムSにおいては、優先度が高いデータを出力するアプリケーションを実行可能な通信デバイス1と通信する中継装置2に対して、通信網N1の基地局側から優先的に通信帯域を割り当ててもよい。このようにすることで、制御部22は、優先度が高いデータを高速に送信することが可能になる。
制御部22は、データ処理装置30を介して受信した、データ取得者により設定された時刻に、通信デバイス1から受信したデータを送信してもよい。データ取得者は、例えば、通信デバイス1やアプリケーションごとに、中継装置2にデータを送信させる時刻を設定することができる。課金額決定装置50が、中継装置2がデータを送信する時間帯ごとに定められた単位データ通信量当たりの課金額に基づいて課金額を決定する場合、このようにすることで、データ取得者に対して、課金額が小さくなる時間帯(例えば、通信網N1が混雑していない時間帯)にデータを送信させるように動機付けることができる。
ネットワーク通信部23は、通信デバイス1から受信したデータを通信網N1に送信するための無線通信インターフェースである。ネットワーク通信部23は、例えばLTE(Long Term Evolution)規格に則って、携帯電話網の基地局との間でデータを送受信することができる。
ネットワーク通信部23は、制御部22の指示に基づいて、データ処理装置30に送信したデータの量のうち、データ処理装置30にデータを送信してから所定の期間が経過するまでに、データ取得装置4から、データを正常に受信したことを示す応答を受信できなかったデータである未受信データの量を未受信データ量としてデータ処理装置30に通知する通知部として機能する。未受信データは、中継装置2からPGW(Packet Data Network Gateway)若しくはMME(Mobility Management Entity)等のコアネットワークまでの通信区間、又はコアネットワークからデータ処理装置30までの通信区間等のように、通信キャリアの設備に起因して通信に失敗したことにより、データ処理装置30が受信できなかったデータである。
ネットワーク通信部23は、データ取得装置4からの応答を受信できなかったデータをデータ処理装置30に送信した時刻をデータ処理装置30に通知する。ネットワーク通信部23は、データ処理装置30にデータを送信してから所定の期間が経過するまでにデータ取得装置4からの応答を受信した場合に、データ送信に成功したことをデータ処理装置30に通知してもよい。この際、ネットワーク通信部23は、1回目の送信時に成功したのか再送した後に成功したのかを通知してもよい。
ネットワーク通信部23がデータ処理装置30に通知する、データの通信が成功したか失敗したかを示す情報は、課金額決定装置50が契約者及びデータ取得者に対する課金額を決定する際に用いられる。課金額決定装置50が、データの通信の成否に基づいて課金額を決定する処理の詳細については後述する。
記憶部24は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部24は、制御部22が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部24は、制御部22の制御に基づいて、通信デバイス1から受信したデータを、通信デバイス1のデバイスID及び通信デバイス1から受信した日時に関連付けて記憶する。
[データ処理装置30の構成]
図4は、データ処理装置30の構成を示す図である。データ処理装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。
通信部31は、第1通信部311、第2通信部312及び第3通信部313を有する。第1通信部311は、通信網N1を介して中継装置2との間でデータを送受信するための通信インターフェースであり、例えば携帯電話網の終端インターフェースを有する。第1通信部311は、携帯電話網の終端装置と接続するためのLAN(Local Area Network)インターフェースを有してもよい。
第2通信部312は、課金額決定装置50との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。第2通信部312は、例えばLANインターフェースである。
第3通信部313は、通信網N2を介してデータ取得装置4との間でデータを送受信するための通信インターフェースを有する。第3通信部313は、例えばLANインターフェースである。
記憶部32は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部32は、中継装置2から送信された複数の通信デバイス1が送信したパケットデータを、通信デバイス1のデバイスIDに関連付けて記憶する。また、記憶部32は、デバイスIDと、中継装置2に割り当てられた中継装置IDと、中継装置2の契約者の契約者IDとを関連づけて記憶している。さらに、記憶部32は、データ取得装置4を介してデータ処理装置30にアクセスするデータ取得者の取得者IDと、データ取得者がデータを取得する対象として登録した通信デバイス1及びアプリケーションのデバイスID及びアプリIDとが関連付けられたデータ提供用データベースを記憶している。記憶部32は、複数のデータ取得者が閲覧する対象となるデータを管理するデータ提供用データベースを記憶していてもよく、データ取得者ごとに作成された個別のデータ提供用データベースを記憶していてもよい。
制御部33は、例えばCPUであり、記憶部32に記憶されたプログラムを実行することにより、データ取得装置4からの要求に応じて、取得者IDに関連付けて記憶されているパケットデータに基づく情報をデータ取得装置4に送信する。
制御部33は、通信制御部331、要求受付部332及び記憶制御部333を有する。
通信制御部331は、中継装置2とデータ取得装置4との間のデータの送受信を制御する。通信制御部331は、データ取得装置4に提供するデータを出力する通信デバイス1と通信可能な中継装置2に対して、通信網N1のゲートウェイのアドレスであるAPN(Access Point Name)を通知することにより、中継装置2からのデータの受信を開始する。
通信制御部331は、要求受付部332がデータ取得装置4から要求を受け付けた場合に、通信網N1を介して受信した、記憶部32に記憶されたデータ提供用データベースを参照して、要求が示すアプリケーションが送信したデータを、データ取得装置4に送信することにより提供する。データ提供用データベースにおいては、データ取得要求を送信したデータ取得装置4に対応する取得者IDと、取得者IDのデータ取得装置4にデータを提供する対象となる通信デバイスのデバイスIDが関連付けられている。データ提供用データベースにおいては、取得者IDのデータ取得装置4にデータを提供する対象となるアプリケーションのアプリIDがさらに関連付けられていてもよい。
通信制御部331は、通信デバイス1が送信したパケットデータに含まれる各種のデータのうち、データ提供用データベースにおいて取得者IDに関連付けられたアプリケーションが出力したデータを抽出して、抽出したデータを、当該取得者IDに対応するデータ取得者に提供する。通信制御部331は、例えば、データ取得者が自身の取得者IDを用いてログインしたデータ取得装置4からのアクセスに応じてデータ取得装置4にデータを提供することで、データ取得者がデータを閲覧できるようにする。通信制御部331は、データをデータ取得装置4に提供すると、提供先のデータ取得装置4に対応する取得者ID、データを送信したアプリケーションのデバイスID及びアプリIDに関連付けて、提供日時や提供したデータの量を課金額決定装置50に通知する。
通信制御部331は、中継装置2から通信デバイス1が実行可能なアプリケーションによるデータ送信を禁止する時間、データの送信間隔、通信デバイス1から受信したデータの有無を送信するモード等を設定してもよい。例えば、通信制御部331は、通信デバイス1が送信したデータを中継する中継装置2に対して、取得者IDに関連付けて記憶部32に記憶されているアプリIDに対応するアプリケーションが出力したデータをデータ処理装置30に送信することを許可するためのメッセージを送信する。
また、通信制御部331は、通信デバイス1が送信したデータを中継する中継装置2に対して、取得者IDに関連付けて記憶部32に記憶されていないアプリIDに対応するアプリケーションが出力したデータをデータ処理装置30に送信することを禁止するためのメッセージを送信する。このようにすることで、データを取得するデータ取得装置4が存在しないにもかかわらず、中継装置2からデータが送信されることを防止できるので、通信網N1のトラヒック量を抑制することができる。
また、通信制御部331は、中継装置2に対して、アプリケーションから受信したデータを通信網N1に送信する優先度をアプリケーションごとに割り当てて、優先度が高いアプリケーションから受信したデータを優先的にデータ処理装置30に送信するように中継装置2に指示を出してもよい。このようにすることで、中継装置2は、優先度が低いアプリケーションから受信したデータを、優先度が高いアプリケーションから受信したデータと同時に送信しないようにすることができるので、通信網N1のトラヒック量を平準化することができる。
要求受付部332は、データ取得装置4から、データを取得する対象の通信デバイス1及びアプリケーションを選択する要求を受け付ける。具体的には、要求受付部332は、第2通信部312を介して、データ処理装置30がデータを収集する対象となっている通信デバイス1及びアプリケーションの一覧をデータ取得装置4に送信する。
データ取得者が、データ取得装置4を介して表示される通信デバイス1及びアプリケーションの一覧から、データを取得したい通信デバイス1及びアプリケーションを選択すると、データ取得装置4は、選択された通信デバイス1及びアプリケーションを特定するための情報(例えば、デバイスID及びアプリID)、並びに取得者IDを含むデータ取得要求をデータ処理装置30に送信する。要求受付部332は、データ取得装置4からデータ取得要求を受信すると、データ取得要求に含まれる取得者ID、デバイスID及びアプリIDを記憶制御部333に通知することにより、記憶部32内のデータ提供用データベースに登録する。
要求受付部332は、複数のデータ取得装置4から、同一の通信デバイス1が実行する同一のアプリケーションを選択する要求を受け付けてもよい。通信制御部331は、要求受付部332が複数のデータ取得装置4から、同一の通信デバイス1が実行する同一のアプリケーションを選択する要求を受け付けた場合に、通信網N1を介して受信したパケットデータのうち、要求が示すアプリケーションが送信したパケットデータを、複数のデータ取得装置4に提供する。
記憶制御部333は、通信制御部331及び要求受付部332からの指示に基づいて、記憶部32にデータを書き込んだり、記憶部32に記憶されたデータを読み出したりする。例えば、記憶制御部333は、要求受付部332からデータ取得要求の通知を受けると、データ取得要求に含まれている取得者IDに関連付けて、デバイスID及びアプリIDを記憶部32に記憶させる。また、記憶制御部333は、通信制御部331から、通信デバイス1が送信したパケットデータをデータ取得装置4に提供したことの通知を受けると、デバイスID及びアプリIDと、取得者IDとを関連付けて記憶部32に記憶させる。
[課金額決定装置50の構成]
図5は、課金額決定装置50の構成を示す図である。課金額決定装置50は、通信部51と、記憶部52と、制御部53とを有する。
通信部51は、データ処理装置30との間でデータを送受信するための通信インターフェースであり、例えばLANインターフェースを有する。
(課金データベース)
記憶部52は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部52は、制御部53が実行するプログラムを記憶している。また、記憶部52は、契約者課金データベース521及び取得者課金データベース522を有している。契約者課金データベース521においては、中継装置2の契約者に割り当てられた契約者IDと、中継装置2の中継装置IDと、中継装置2がデータを受信する通信デバイス1のデバイスIDとが関連付けられている。契約者課金データベース521において、通信デバイス1が実行可能なアプリケーションのアプリIDがさらに関連付けられていてもよい。
図6は、契約者課金データベース521に格納されているレコードの例を示す図である。図6(a)においては、契約者IDと、契約者IDに対応する契約者が通信キャリアと契約している中継装置2の中継装置IDと、中継装置2がパケットデータを受信可能な通信デバイス1のデバイスIDとが関連付けられている。契約者ID00001の契約者は、デバイスIDが1001、1002、1003、1004、1005等の通信デバイス1が出力するデータを中継する中継装置2を契約していることがわかる。
図6(b)においては、契約者ごとに、契約者が契約した中継装置2を介してデータを送信する通信デバイス1による通信の発生日数と、中継装置2を介して受信したデータ通信量とが関連付けられている。通信発生日数は、課金の単位期間である1ヶ月間に通信デバイス1からデータが送信された日の数である。データ通信量は、単位期間内に通信デバイス1から受信したデータの量(例えばバイト数)である。
図6(b)によれば、契約者IDが00001の契約者に関連付けられたデバイスIDが1001の通信デバイス1からデータが送信された日数が30日であることがわかる。契約者IDが00001の契約者が登録している全ての通信デバイス1の通信発生日数の総和は116日であり、この契約者に対する課金額は、例えば116日に相当する金額になる。契約者に対する課金額は、単位期間内に中継装置2から受信した延べデータ量、又は中継装置2からパケットデータを受信するために要した延べ通信時間に応じて決定されるものとしてもよい。
図7は、取得者課金データベース522に格納されているレコードの例を示す図である。取得者課金データベース522においては、データ取得装置4に対応する取得者IDと、デバイスIDと、アプリIDと、1ヶ月間にデータ取得装置4が取得したデータの量(バイト数)である取得データ量とが関連付けられている。図7によれば、取得者IDがS0001のデータ取得者は、デバイスIDが1001の通信デバイス1が実行可能なアプリIDがa51のアプリケーション、及びアプリIDがa52のアプリケーションが出力するデータ、並びにデバイスIDが1002の通信デバイス1が実行可能なアプリIDがa51のアプリケーション、及びアプリIDがa52のアプリケーションが出力するデータを取得できることがわかる。
取得者IDがS0003のデータ取得者と、デバイスIDが1001の通信デバイス1が実行可能なアプリIDがa51のアプリケーション、及びアプリIDがa52のアプリケーションとが関連付けられていることから、複数のデータ取得者が、同一の通信デバイス1の同一のアプリケーションが出力するデータを取得することがわかる。課金額決定装置50は、図7に示すレコードを参照して、取得者IDごとに課金額を決定する。
(課金額決定装置50における処理)
図5に戻って、制御部53は、例えばCPUである。制御部53は、記憶部52に記憶されたプログラムを実行することにより、データ管理部531、特定部532及び課金額決定部533として機能する。
データ管理部531は、取得者課金データベース522内のデータを管理する。例えば、データ管理部531は、データ処理装置30から、データ取得者がデータを取得する対象となる通信デバイス1及びアプリケーションが変更になった場合に、取得者IDに関連付けられたデバイスID及びアプリIDを更新する。データ管理部531は、データ処理装置30から、データ取得装置4にデータを提供した日時や提供したデータ量に関する通知を受けると、取得者課金データベース522における取得データ量を更新する。
特定部532は、契約者IDごとに、所定の単位期間において、データ処理装置30が、契約者IDの契約者が契約している中継装置2からパケットデータを受信した延べ日数、中継装置2が通信した延べ時間、又は中継装置2からデータを受信した延べデータ量を特定する。また、特定部532は、取得者IDごとに、所定の単位期間において、データ処理装置30が、各データ取得者がデータを取得する対象として登録されている通信デバイス1が出力したパケットデータを中継装置2から受信した延べ日数若しくは延べ時間、又は中継装置2からデータを受信した延べデータ量を特定する。特定部532は、さらに、各データ取得者がデータを取得する対象として選択した通信デバイス1のアプリケーションが出力したデータの量を特定してもよい。
例えば、特定部532は、各契約者に対応する通信発生日数を特定するために、図6(b)に示した契約者課金データベース521内のレコードを参照し、デバイスIDごとの通信発生日数に基づいて、各契約者に関連付けてデバイスIDが登録されている複数の通信デバイス1の通信発生日数の総和を算出することにより、延べ通信日数を特定する。図6(b)のレコードに、通信時間も含まれている場合、特定部532は、各契約者に関連付けてデバイスIDが登録されている複数の通信デバイス1の通信時間の総和を算出することにより、延べ通信時間を特定する。図6(b)のレコードに、データ通信量も含まれている場合、特定部532は、各契約者に関連付けてデバイスIDが登録されている複数の通信デバイス1のデータ通信量の総和を算出することにより、延べデータ通信量を特定する。
また、特定部532は、図7に示した取得者課金データベース522内のレコードを参照し、各データ取得者のデータ取得装置4に提供されたデータの量の総和を算出することにより、データ取得者ごとに延べデータ通信量を特定する。例えば、特定部532は、取得者IDがS0001のデータ取得者に対応するデータ通信量が、3000+2000+5200+3400=13600バイトであることを特定する。
課金額決定部533は、特定部532が特定した契約者ごとの延べ通信発生日数、延べ通信時間、又は延べデータ通信量に基づいて、各契約者に対する課金額を決定する。課金額決定部533は、例えば、課金額を算出する単位期間の最終日になると、特定部532が特定した、契約者が契約している中継装置2のデータ通信量に単価を乗算することにより課金額を決定する。課金額決定部533は、契約者に対する請求書を発行する料金管理サーバ(不図示)に、契約者IDと関連付けて課金額を送信する。
また、課金額決定部533は、通信デバイス1からデータ管理装置3までのデータの送信に要した通信料の少なくとも一部を、データ取得者に課金することもできる。この場合、課金額決定部533は、データ取得者に提供されたデータの種別や量に基づいて、データ取得者に対する課金額を決定する。具体的には、課金額決定部533は、取得者課金データベース522において取得者IDに関連付けられているデバイスID及びアプリIDの組み合わせに基づいて、取得者IDに対する課金額を決定する。課金額決定部533は、例えば、課金額を算出する単位期間の最終日になると、取得者IDに関連付けられたデバイスIDの数及びアプリIDの数の少なくともいずれかに基づいて、取得者IDに対する課金額を決定する。このようにすることで、課金額決定部533は、データ取得者が、一部の通信デバイス1が実行可能な一部のアプリケーションが出力するデータのみを取得する場合に、取得するデータの量に応じて課金額を決定することができる。
具体的には、課金額決定部533は、取得者IDに関連付けられたデバイスIDの数に、通信デバイス1の使用単価を乗算することにより課金額を決定してもよく、取得者IDに関連付けられたアプリIDの数に、アプリケーションの使用単価を乗算することにより課金額を決定してもよい。課金額決定部533は、デバイスIDとアプリIDの組み合わせごとに定められた単価を合算することにより課金額を決定してもよい。
また、課金額決定部533は、取得者IDに関連付けられたアプリIDに対応するアプリケーションから所定の期間内にデータを受信した回数や受信したデータ容量(バイト数)に基づいて課金額を決定してもよい。このようにすることで、課金額決定部533は、データ取得者が、通信網N1及び通信網N2を使用して利益を受けた度合いに応じた課金額に決定することができる。
また、課金額決定部533は、通信制御部331から、中継装置2に通知したアプリケーションの優先度の通知を受けて、取得者IDに関連付けられたアプリIDに対応するアプリケーションの優先度に基づいて、データ取得者に対する課金額を決定してもよい。この場合、課金額決定部533は、優先度が高く設定されているアプリケーションから出力されたデータを通信制御部331がデータ取得装置4に提供した回数又はデータ量に対する課金額を、優先度が低く設定されているアプリケーションから出力されたデータに対する課金額よりも高くする。このようにすることで、データ取得者が高い優先度に設定するアプリケーションの数を多くし過ぎないので、通信網N1及び通信網N2のトラヒック量が増えすぎることを防止できる。
課金額決定部533は、契約者に対する課金額を仮決定した後に、データ取得者に対する課金額の一部の額を、契約者に対する仮の課金額から減算することにより、契約者に対する最終的な課金額を決定してもよい。課金額決定部533は、複数のデータ取得者に対する課金額の一部の額の合算値が、契約者に対する仮の課金額よりも大きい場合、合算値から仮の課金額を減算した額を、契約者に対する支払額として決定する。
このようにすることで、契約者は、多くのデータ取得者が取得したいと考えるデータを出力できるアプリケーションを有する通信デバイス1を、適切な場所に設置するように動機付けられることになる。また、通信キャリアにとっては、契約者が多くの通信デバイス1を設置することで、データ処理装置30を介して通信デバイス1が出力するデータを取得するデータ取得者が増えるので、データ取得者への課金額が増えて収益を上げることができる。
また、課金額決定部533は、データ取得者が特定のアプリケーション又は特定の種別のアプリケーション(例えば、通信キャリアが利用を推奨しているアプリケーション)を使用している場合、定額料金から所定の金額を減額したり、定額料金で利用できるデータ通信量を増加させたりしてもよい。また、課金額決定部533は、1台の中継装置2が通信可能な通信デバイス1の台数やアプリケーションの数が所定の数よりも少ない場合に、課金額を減額してもよい。
[通信網の成否に基づく課金]
課金額決定部533は、複数の通信デバイス1のうち所定の期間内のデータ通信量が所定の値を超えた一以上の通信デバイス1のデータ通信量に基づいて、契約者に対する課金額を決定してもよい。例えば、図6(b)に示した例の場合、デバイスIDが1003の通信デバイス1の通信発生日数は3日であり、ほとんど通信されていない。このような場合、デバイスIDが1003の通信デバイス1は故障していた可能性がある。そこで、課金額決定部533は、この通信デバイス1に対応する通信発生日数を除外して特定されるデータ通信量である113日に基づいて課金額を決定する。課金額決定部533は、通信発生日数が所定日数未満で、かつそれぞれの通信におけるデータ量又は発生した複数の通信における合計データ量が所定の量未満であれば、非課金としてもよい。
上記のように通信発生日数が異常に少ないという状況は、例えば、中継装置2と通信網N1との間の無線通信チャネルや通信網N1とデータ処理装置30との間の通信回線における不具合によって、通信デバイス1が出力したデバイスデータがデータ処理装置30に届かない場合にも発生し得る。そこで、課金額決定部533は、複数の通信デバイス1のうち所定の期間内の通信成功率が所定の値を超えた一以上の通信デバイス1のデータ通信量に基づいて、契約者やデータ取得者に対する課金額を決定してもよい。
例えば、課金額決定部533は、課金額を決定する際に、中継装置2から、パケットデータの送信を試みた回数である送信回数をデバイスID及び中継装置IDに関連付けて取得する。そして、課金額決定部533は、中継装置2から取得した送信回数に対する、データ処理装置30が実際に受信して契約者課金データベース521に登録されたパケットデータの数の割合により通信成功率を算出し、通信成功率が所定の値より大きい通信デバイス1に対応するデータ通信量のみを加算する。すなわち、課金額決定部533は、通信成功率が所定の値以下の通信デバイス1に対応するデータ通信量を課金額の算出から除外する。
このようにすることで、データ取得装置4が、予定されたデバイスデータを収集できていないにもかかわらず課金されてしまうことを防止できるので、契約者やデータ取得者が不満を抱くことを防止できる。なお、課金額決定部533は、中継装置2から、パケットデータの送信に失敗した回数を、中継装置2が通信できる状態になった後に取得し、パケットデータを取得できた回数と失敗した回数とに基づいて通信成功率を算出してもよい。本明細書において、データの送信に失敗するとは、送信したデータが送信先に届かなかったことを指し、データの送信に成功するとは、送信したデータが送信先に届いたことを指す。
また、課金額決定部533は、複数の通信デバイス1のうち少なくとも一部の通信デバイス1(例えば、データ取得者が情報を収集する対象の通信デバイス1)に状況を確認するための確認データを送信し、確認データを送信してから所定の時間が経過するまでに確認データに対する応答データが送られてこない通信デバイス1を課金の対象から除外して課金額を決定してもよい。このようにすることで、課金額決定部533は、故障している通信デバイス1を課金の対象から除外することができるので、契約者やデータ取得者が不満を抱くことを防止できる。
このように、課金額決定部533が通信デバイス1の状況を確認するための確認データを送信する場合、課金額決定部533は、確認データを送信してから所定の時間が経過するまでに確認データに対する応答データが送られてこない通信デバイス1に対して、所定の期間の満了日から、直前の通信発生日又は直前の応答データの受信日までの期間を課金の対象から除外して課金額を決定してもよい。このようにすることで、課金額決定部533は、通信デバイス1が動作していなかった期間に対して課金しないので、契約者やデータ取得者が不満を抱くことを防止できる。
課金額決定部533は、ネットワーク通信部23が送信したデータの量と、中継装置2が送信したデータのうち、データ取得装置4に受信されなかったデータの量である未受信データ量とに基づいて、契約者に対する課金額を決定してもよい。課金額決定部533は、例えば中継装置2から通知された未受信データ量を用いることができるが、データ処理装置30において、データ取得装置4からの応答の有無に基づいて特定された未受信データ量を用いてもよい。
課金額決定部533は、ネットワーク通信部23が送信したデータの量に対応する基準課金額から未受信データ量に対応する額を減算することにより、契約者に対する課金額及びデータ取得者に対する課金額の少なくとも一方を決定する。このようにすることで、課金額決定部533は、中継装置2が送信したデータがデータ取得装置4に届いておらず、送信されたデータがデータ取得者の役に立っていない場合に、データ取得装置4に届かなかったデータに対して課金されないので、契約者やデータ取得者が不満を抱くことを防止できる。
この際、課金額決定部533は、中継装置2のネットワーク通信部23から通知された、データの送信に失敗した時刻にさらに基づいて課金額を決定してもよい。例えば、課金額決定部533は、失敗した時刻における通信網N1の混雑度に基づいて課金額を決定する。具体的には、課金額決定部533は、ネットワーク通信部23がデータを送信した時刻が、通信網N1が混雑している時間帯に含まれている場合、その他の時間帯に含まれている場合に比べて、未受信データ量に応じて基準課金額から減算する額を小さくする。このようにすることで、データ取得者に対して、通信網N1が混雑していない時間帯にデータを取得するように動機付けることができる。
課金額決定部533は、中継装置2が、データ処理装置30にデータを送信してから所定の期間が経過するまでにデータ取得装置4からの応答又はデータ管理装置3とデータ取得装置4との間に設けられた装置からの応答を受信できなかった原因に基づいて、課金額を決定してもよい。課金額決定部533は、例えば、通信網N1又は通信網N2の輻輳や障害によってデータの通信に失敗した場合、失敗したデータに対する額を基準課金額から減算する。このようにすることで、通信キャリアが、通信キャリアが管理する通信網N1又は通信網N2に起因して通信に失敗したにもかかわらずユーザに課金されてしまうことを防止できる。これに対して、課金額決定部533は、中継装置2が、データ処理装置30にデータを送信してから所定の期間が経過するまでにデータ処理装置30からの応答を受信できなかった原因がデータ取得装置4にある場合、未受信データ量に対応する額を基準課金額から減算することなく課金額を決定する。このようにすることで、通信キャリアが、データ取得装置4に起因して通信に失敗した場合に収益が減ることを防止できる。
課金額決定部533は、取得者課金データベース522が取得者IDに関連付けて記憶しているアプリIDに対応するアプリケーションが送信したデータにおける未受信データ量に基づいて、データ取得者に対する課金額を決定してもよい。課金額決定部533は、データ取得者がデータを取得する対象として登録している通信デバイス1及びアプリケーションから送信されたデータに基づく基準課金額から、アプリケーションごとに定められた、未受信データ量に対応する額を減算することにより課金額を決定する。課金額決定部533は、例えば、ユーザにより高い優先度に設定された基準課金額が高いアプリケーションからのデータの通信に失敗した場合、ユーザにより低い優先度に設定された基準課金額が低いアプリケーションからのデータの通信に失敗した場合よりも減算する額を大きくする。このようにすることで、重要性が高いアプリケーションが出力したデータを受信できない場合に、データ取得者の不満を軽減することができる。
なお、課金額決定部533は、中継装置2から送信された、通信が失敗したか成功したかに関するデータを、課金の対象から除外してもよい。このようにすることで、課金額決定部533は、データ取得者が利用していないデータに対して課金しないので、契約者やデータ取得者が不満を抱くことを防止できる。
[データ取得者の負担率]
上記の説明においては、課金額決定部533が、データ取得装置4に提供された取得データ量に基づいて、データ取得者に対する課金額を決定するものとしたが、課金額決定部533は、取得データ量と、データ取得装置4が取得したデータの量に対応する通信料を負担する割合である負担率とに基づいて、取得者IDに対応する課金額を決定してもよい。
課金額決定部533は、例えば、要求受付部332がデータ取得装置4からデータを取得するためのデータ取得要求を受け付けた時点における、データ取得要求が示すアプリケーションの利用者数に基づいて負担率を決定し、決定した負担率を取得者課金データベース522に登録する。課金額決定部533は、データ処理装置30を介して、仮決定した負担率をデータ取得装置4に送信した後に、データ取得装置4から負担率を承認する通知を受けたことを条件にして、負担率を取得者課金データベース522に登録することにより有効にしてもよい。
図8は、負担率に基づいて算出された課金対象データ量を含む取得者課金データベース522の一例を示す図である。デバイスIDが1001の通信デバイス1が実行するアプリIDがa51のアプリケーションが出力するデータは、取得者IDがS0001のデータ取得者のデータ取得装置4と、取得者IDがS0003のデータ取得者のデータ取得装置4とに送信されている。この場合、アプリIDがa51のアプリケーションが出力するデータを2人のデータ取得者が取得していることから、取得者IDがS0001のデータ取得者、及び取得者IDがS0003のデータ取得者のそれぞれの負担率は50%になっている。課金対象データ量は、取得データ量に負担率を乗算することにより得られた1500バイトとなっている。
このように、課金額決定部533が、通信デバイス1のアプリケーションが出力するデータを取得するデータ取得者の数に応じて、各データ取得者の負担率を決定することにより、データ取得者が負担する額が小さくなるので、データを取得したいと考えるデータ取得者が増加する。その結果、さらに各データ取得者の負担率が小さくなるという好循環が生まれ、通信キャリア、契約者、及びデータ取得者の三者にメリットが生じることになる。
なお、課金額決定部533は、通信デバイス1のアプリケーションが出力するデータを取得できるデータ取得者の範囲に基づいて課金額を決定してもよい。例えば、中継装置2の契約者は、通信デバイス1から出力されるデータを(1)誰でも取得できるモード、(2)契約者の承認を受けたデータ取得者が取得できるモード、(3)契約者のみが取得できるモード等のいずれかのモードから所望のモードを選択することができる。データ管理装置3は、契約者のデータ取得装置4を介して、設定されたモードを取得し、課金額決定部533は、モードに対応する料金表を参照して課金額を決定してもよい。
また、データ管理装置3は、データ取得装置4から、通信デバイス1からのデータの送信時刻(例えば0時00分に送信するか0時01分に送信するか)、データの送信間隔、又はデータの優先度等の設定を行う要求を受けた場合に、データ送信に関する設定条件ごとにデータ量あたりの料金を表示させてもよい。このようにすることで、データ取得者は、データ取得装置4にアクセスすることで、データ送信に関する設定条件ごとの料金を把握できるので、データ通信システムSにおいて特定の時間に通信トラヒックが急激に大きくなることを回避することが可能になる。
[通信シーケンス]
図9は、データ通信システムSにおける通信シーケンスを示す図である。
まず、通信デバイス1は、収集した情報を送信するタイミングになると(S11においてYES)、送信データを生成して(S12)、中継装置2に対して送信データを送信する。
中継装置2は、送信データを受信すると、受信した送信データを記憶部24に蓄積する(S13)。中継装置2は、予め設定された送信時刻になると(S14においてYES)、記憶部24から読み出した送信データをデータ処理装置30に対して送信する。
データ処理装置30において、制御部33は、送信データを受信すると、受信した送信データを取得者IDに関連付けて記憶部32に登録する(S15)。その後、データ取得装置4にデータを提供するタイミングになると(S16においてYES)、制御部33は、記憶部32に登録されたデータをデータ取得装置4に提供する(S17)。例えば、制御部33は、データ取得装置4からデータ取得要求を受信したことに応じて、データをデータ取得装置4に送信する。制御部33は、予め設定された時刻になったタイミングで、データをデータ取得装置4に送信してもよい。
続いて、制御部33は、データを提供したデータ取得装置4から、データを受信した旨の通知を受信してデータの提供が完了すると(S18においてYES)、データの提供が完了したことを課金額決定装置50に通知する(S19)。その際、制御部33は、データの提供が完了したデータ取得装置4に対応する取得者ID、及び提供したデータの量を示す情報を課金額決定装置50に通知する。その後、記憶部32は、中継装置2を介して、データの提供が完了したことを通信デバイス1に通知する。
課金額決定装置50は、通知されたデータ量を示す情報を契約者課金データベース521及び取得者課金データベース522に登録する。そして、所定のタイミングで、契約者ID及び取得者IDごとに課金額を算出する。
[アプリケーションに基づく課金]
上記の説明においては、課金額決定部533が、契約者に対する課金額を、複数の通信デバイス1における通信発生日数に基づいて決定する例を示した。課金額決定部533は、データ取得装置4がデータを取得しているアプリケーションごとの通信発生日数に基づいて、契約者に対する課金額を決定してもよい。
この場合、記憶部52は、契約者IDと、デバイスIDと、アプリIDとを関連付けて記憶する。そして、特定部532は、所定の期間内の複数の通信デバイス1によるアプリケーションごとのデータ通信量を特定し、課金額決定部533は、アプリケーションごとに特定されたデータ通信量に基づいて課金額を決定する。
図10は、課金額決定部533が、データ取得者がデータを取得する対象として登録されたアプリケーションに基づいて、契約者に対する課金額を決定する際の処理について説明するための図である。図10は、契約者IDが00001の契約者の中継装置2を介してデータを送信するアプリケーションにより出力されたデータがデータ取得装置4に提供された日数を示す契約者課金データベース521のレコードである。
図10においては、デバイスIDと、アプリIDと、通信発生日数とが関連付けられている。図10には、取得者IDが00001のデータ取得者が使用している通信デバイス1のデバイスIDと、それぞれの通信デバイス1において使用されているアプリケーションのアプリIDとが示されている。
図10の例においては、デバイスIDが1001の通信デバイス1が実行するアプリIDが1のアプリケーションにより出力されたデータが送信された日数は30日である。また、デバイスIDが1001の通信デバイス1が実行するアプリIDが2のアプリケーションにより出力されたデータが送信された日数は8日である。課金額決定部533は、図10における通信発生日数欄の数字を加算することにより、取得者IDが00001のデータ取得者に対する課金額の算出に用いられる通信発生日数を199日と算出し、算出した日数に基づいて課金額を決定する。
なお、課金額決定部533は、中継装置2が、キャッシュしておいた複数のアプリケーションから出力されたデータを同時に送信した場合に、送信したデータに含まれるアプリケーションの数に基づいて按分して、複数のアプリケーションそれぞれに課金してもよく、複数のアプリケーションのうち一つの代表アプリケーションに対して課金してもよい。
また、課金額決定部533は、複数の通信サービス(例えばLTE、5G、WiMAX(登録商標)、衛星通信)を利用した場合に、利用した通信サービスによって課金額を変更してもよい。
また、課金額決定部533は、通信デバイス1が実行可能なアプリケーションのうち、データを送信可能なアクティブ状態になっているアプリケーションに対してのみに基づいて課金額を決定してもよい。
[データ通信システムSによる効果]
以上説明したように、データ通信システムSにおいては、取得者課金データベース522において、通信デバイス1が出力するデータを取得するデータ取得者の取得者IDと、データ取得者がデータを取得する対象として登録した通信デバイス1のデバイスID及びアプリケーションのアプリIDとが関連付けられている。そして、課金額決定部533は、データ処理装置30が中継装置2から受信した複数のパケットデータのうち、取得者IDに関連付けて登録された通信デバイス1のアプリケーションから出力されたパケットデータの提供を受けたデータ取得者に対する課金額を決定する。このようにすることで、中継装置2がデータの送信に用いる通信網N1を提供する通信キャリアは、中継装置2の契約者だけでなく、データを取得することにより利益を受けるデータ取得者に対しても課金をすることができる。
(変形例1)
[通信デバイス1が移動する場合]
以上の説明においては、データ取得装置4にデータを提供する対象となる通信デバイス1及び中継装置2は、データ取得装置4からの要求によって決定する例を示した。これに対して、通信デバイス1及び中継装置2が移動する場合に、通信制御部331は、データ取得装置4にデータを提供する対象となる通信デバイス1及び中継装置2の位置に基づいて、データを提供する先のデータ取得装置4を切り替えてもよい。
例えば、通信デバイス1及び中継装置2が、車両に搭載されているとする。そして、データ取得者が、ガソリンスタンドを運営する会社(以下、ガソリンスタンドという)であるとする。ガソリンスタンドは、ガソリンスタンドの位置から所定の範囲内の車両のガソリンの残量を取得し、残量が所定の量よりも少ない車両に対して広告データを送信したいというニーズを持っている。
このような場合、通信制御部331は、アプリケーションが出力したデータを受信した時点での通信デバイス1の位置、又は第1通信部311がデータを受信した時刻に基づいて、データを提供するデータ取得装置4を決定する。そして、第3通信部313は、通信制御部331が決定したデータ取得装置4に対して、アプリケーションが出力したデータを提供する。
例えば、記憶部32は、データ取得装置4に関連付けて登録された位置情報を記憶しており、通信制御部331は、通信デバイス1が搭載された車両の位置から所定の範囲内の位置を示す位置情報に対応するデータ取得装置4を選択する。そして、通信制御部331は、選択したデータ取得装置4に対して、通信デバイス1のアプリケーションが出力したデータとしてガソリン残量を示すデータを提供する。
通信制御部331は、提供したデータを受信したデータ取得装置4から、第3通信部313を介して広告データを受信すると、受信した広告データを、第1通信部311、通信網N1及び中継装置2を介して、ガソリン残量を示すデータを受信した通信デバイス1に送信する。通信デバイス1は、車両のカーナビゲーションシステムと連動しており、受信した広告データをカーナビゲーションシステムのディスプレイ、又は予め登録されたユーザのスマートフォン等の通信端末に表示する。
通信制御部331は、通信デバイス1が実行する複数のアプリケーションが出力する複数のデータを、通信デバイス1の位置からアプリケーションごとに異なる範囲内の位置が登録されたデータ取得装置4に提供してもよい。例えば、通信制御部331は、ガソリン残量を出力するアプリケーションが出力したデータを、通信デバイス1の位置から第1の距離内の位置に登録されたデータ取得装置4に送信し、車内温度を出力するアプリケーションが出力したデータを、通信デバイス1の位置から第1の距離よりも短い第2の距離内の位置に登録されたデータ取得装置4に送信する。このようにすることで、データ取得者は、データ取得者が配信したい広告データの種別に適した範囲内の車両であって、広告データの配信に適した状態の車両に、広告データを配信することが可能になる。
このように、移動する通信デバイス1からのデータをデータ取得装置4に提供する場合、課金額決定部533は、アプリケーションが出力したデータを第1通信部311が受信した時点での通信デバイス1の位置、又は第1通信部311がデータを受信した時刻に関連付けて課金額を決定してもよい。例えば、課金額決定部533は、通信デバイス1の位置がデータ取得装置4に関連付けて登録された位置に近ければ近いほど、課金額を大きくする。また、課金額決定部533は、第1通信部311がデータを受信した時刻が、優先度が高い時間帯(例えば、ガソリンスタンドの利用者数が少ない時間帯)に含まれている場合に、その他の時刻にデータを受信した場合に比べて課金額を大きくしてもよい。
なお、移動する通信デバイス1からのデータを、通信網N1の複数の携帯電話基地局を介してデータ取得装置4に提供する場合、課金額決定部533は、利用した基地局の数に基づいて課金額を決定してもよい。
また、通信デバイス1が移動する場合、通信デバイス1が移動しない場合に比べて、通信デバイス1が送信したデータが送信先に届かない確率が高いので、課金額決定部533は、データの送信に失敗したことに応じて課金額を減額する処理を行わないものとしてもよい。また、課金額決定部533は、通信デバイス1が移動する場合、データの送信に失敗したことに応じて課金額を減額する量を、通信デバイス1が移動しない場合に比べて小さくしてもよい。
また、通信デバイス1が、自身の速度を検出する手段(例えば加速度センサ)を有し、通信デバイス1は、データ管理装置3に自身の速度を通知してもよい。そして、課金額決定部533は、通知された速度が所定の速度以上である場合に、データの送信に失敗したことに応じて課金額を減額する量を小さくしてもよい。さらに、通信デバイス1が自身の位置をデータ管理装置3に通知し、課金額決定部533は、通信デバイス1が電波が届かない場所にいた間に送信したデータが送信先に届かなかった場合に、送信に失敗したデータに対する減額を行わないようにしてもよい。
(変形例2)
[通信の失敗の統計データを算出]
上記の説明においては、データの送信に失敗した場合に課金額を減額する例を示したが、通信キャリアにとっては、データの送信に失敗する確率を減らすことが重要である。そこで、記憶部32は、デバイスIDに関連付けて未受信データが発生した時刻を記憶し、通信制御部331は、記憶された時刻に基づいて、通信デバイス1やアプリケーションごとに、未受信データが発生しやすい時間帯、及び未受信データの発生原因(通信網N1かデータ取得装置4か)に関する統計値を算出してもよい。
通信制御部331は、例えば、所定の時間内にデータの送信に失敗した割合が所定の値以上である通信デバイス1と接続される中継装置2に対して、失敗確率が高い時間帯を通知し、中継装置2に、失敗確率が高い時間帯にデータを送信しないように指示する。通信制御部331は、一つのパケットデータに含まれるデータ量が比較的大きいことなどに起因して失敗確率が高いアプリケーションが出力するデータを、失敗確率が高い時間帯に送信しないように指示してもよい。このようにすることで、データ通信システムSは、送信に失敗する確率を減らすことができるので、契約者やデータ取得者の満足度を高めることができる。
(変形例3)
[基本額と従量加算額]
上記の説明においては、課金額決定部533が、通信制御部331が提供したデータの量や提供回数に基づいて課金額を決定する例について説明したが、他の方法により課金額を決定してもよい。例えば、課金額決定部533は、小さなサイズのパケットデータの送信に対する課金額が含まれる所定の基本額と、所定の量以上のサイズのパケットデータのデータ量に対応する従量額とを合算することにより課金額を決定してもよい。
例えば、課金額決定部533は、センサーから出力されたデータの提供に対する費用は基本額に含めて、カメラから出力された画像の提供に対する費用は従量加算する。このようにすることで、通信網N1及び通信網N2に与える負荷が小さいデータ取得者は、毎月の課金額が変動しないのでサービスを利用しやすくなるとともに、通信キャリアは、通信網N1及び通信網N2に大きな負荷を与えるデータ取得者から多くの費用を受け取ることが可能になる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
例えば、上記の説明においては、通信デバイス1と中継装置2とが物理的に異なる装置であるとして説明したが、通信デバイス1と中継装置2とが一体になっていてもよい。また、通信デバイス1が複数のセンサーを有するものとして説明したが、通信デバイス1と複数のセンサーが別体であり、通信デバイス1が、複数のセンサーが出力した信号を受信し、受信した信号を中継装置2に送信してもよい。
また、上記の説明においては、データ処理装置30と課金額決定装置50とが物理的に異なる装置であるとして説明したが、データ処理装置30と課金額決定装置50とが一体になっていてもよい。