JP6732313B2 - 細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法 - Google Patents

細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法に関する。
培養した細胞塊を所望の形状に加工する場合、培養後の細胞塊を所望の形状に切断する等の処理または予め培養後の細胞塊が所望の形状となるように、細胞培養器具を加工することが行なわれている(特許文献1)。
特開平03−007576号公報
特許文献1の製造方法では、フォトリソグラフィ法により細胞培養器具の表面パターニングすることにより、培養後の細胞塊が所望の形状となるように、細胞培養器具を加工している。しかしながら、フォトリソグラフィ法を実施する場合、フォトマスクの形成装置、露光装置等の多種多様な製造設備が必要となる。
そこで、本発明は、簡易な設備で製造可能であり、かつ培養後に所望の形状を有する細胞塊が取得可能な細胞培養器具およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の細胞培養器具(以下、「培養器具」ともいう)は、細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有し、
前記細胞培養基材層は、細胞が接着可能な細胞接着領域と、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域とを有し、
前記細胞接着阻害領域は、前記細胞培養基材の変性物を含む。
本発明の細胞培養器具の製造方法(以下、「製造方法」ともいう)は、細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有する細胞培養器具に光を照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域を形成する阻害領域形成工程を含む。
本発明の細胞培養器具は、簡易な設備で製造可能であり、かつ培養後に所望の形状を有する細胞塊が取得可能である。
図1は、実施形態1の培養器具の構成の一例を示す模式図であり、(A)は、実施形態1の培養器具の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるI−I方向からみた実施形態1の培養器具の模式断面図であり、(C)は、実施形態1の培養器具の平面図である。 図2は、実施形態1の培養器具の製造方法の一例を示す模式図である。 図3は、実施形態2の培養器具の構成の一例を示す模式図であり、(A)は、実施形態2の培養器具の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた実施形態2の培養器具の模式断面図であり、(C)は、実施形態2の培養器具の平面図である。 図4は、実施形態2の培養器具の製造方法の一例を示す模式図である。 図5は、実施形態3の培養器具の構成の一例を示す模式図であり、(A)は、実施形態3の培養器具の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた実施形態3の培養器具の模式断面図であり、(C)は、実施形態3の培養器具の平面図である。 図6は、実施形態3の培養器具の製造方法の一例を示す模式図である。 図7は、実施形態4の培養器具の構成の一例を示す模式図であり、(A)は、実施形態4の培養器具の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた実施形態4の培養器具の模式断面図であり、(C)は、実施形態4の培養器具の平面図である。 図8は、実施形態4の培養器具の製造方法の一例を示す模式図である。 図9は、実施形態4の培養器具の構成の他の例を示す模式図であり、(A)は、実施形態4の他の例の培養器具の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた他の例の培養器具の模式断面図であり、(C)は、実施形態4の他の例の培養器具の平面図である。 図10は、実施例1における細胞培養基材層の一例を示す模式図である。 図11は、実施例1における培養後の細胞を示す写真である。 図12は、実施例1における培養後の細胞を示す写真である。 図13は、実施例2におけるレーザ光の照射部における温度分布を示す写真である。 図14は、実施例3における培養後の細胞を示す写真である。 図15は、実施例4における培養後のiPS細胞の写真であり、(A)は、ディッシュ全面の画像の写真であり、(B)は、拡大写真である。 図16は、実施例5における細胞処理の結果を示す図であり、(A)は、細胞培養器具におけるレーザ光の照射部を示す模式図であり、(B)は、培養器具全体の培養後の細胞を示す写真であり、(C)は、(B)の写真における培養器具の中心領域の拡大写真である。 図17は、実施例6における培養後のiPS細胞の写真であり、(A)は、細胞培養器具におけるレーザ光の照射部を示す模式図であり、(B)は、培養後の細胞を示す写真である。
本発明において、「細胞」は、例えば、単離された細胞、細胞から構成される細胞塊、組織、または臓器を意味する。前記細胞は、例えば、培養細胞でもよいし、生体から単離した細胞でもよい。また、前記細胞塊、組織または臓器は、例えば、前記細胞から作製した細胞塊、細胞シート、組織または臓器でもよいし、生体から単離した細胞塊、組織または臓器でもよい。前記細胞は、細胞外基質(細胞外マトリックス)依存的に接着する細胞が好ましい。
以下、本発明の細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、以下の図1〜図17において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。また、各実施形態は、特に言及しない限り、互いにその説明を援用できる。
(実施形態1)
本実施形態は、細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法の一例である。図1は、実施形態1の培養器具100の構成を示す模式図であり、(A)は、培養器具100の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるI−I方向からみた培養器具100の模式断面図であり、(C)は、培養器具100の平面図である。図1に示すように、培養器具100は、細胞培養基材層11と、容器12とを有する。細胞培養基材層11は、細胞が接着可能な細胞接着領域11aと、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域11bとを有する。細胞培養基材層11において、細胞接着領域11aは、4つの略円状の領域として形成されている。また、細胞培養基材層11において、細胞接着阻害領域11bは、細胞接着領域11a以外の領域として形成されている。容器12は、底面12aと、側壁12bとを有する。細胞培養基材層11は、底面12aの上に積層されている。
細胞培養基材層11は、細胞培養基材を含む層である。前記細胞培養基材は、例えば、細胞の培養時に細胞の足場となる物質を意味する。前記細胞培養基材は、例えば、細胞外基質(細胞外マトリックス)または細胞の足場としての機能を有する物質があげられる。前記細胞外基質は、例えば、エラスチン;エンタクチン;I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、V型コラーゲン、VII型コラーゲン等のコラーゲン;テネイシン;フィブリリン;フィブロネクチン;ラミニン;ビトロネクチン(Vitronectin);コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸等の硫酸化グルコサミノグリカンと、コアタンパク質とから構成されるプロテオグリカン;コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヒアルロン酸等のグルコサミノグリカン;Synthemax(登録商標、ビトロネクチン誘導体)、Matrigel(登録商標、ラミニン、IV型コラーゲン、ヘパリン硫酸プロテオグリカン、エンタクチン/ニドゲン等の混合物)等があげられ、好ましくは、ラミニンである。前記ラミニンは、例えば、ラミニン111、ラミニン121、ラミニン211、ラミニン213、ラミニン222、ラミニン311(ラミニン3A11)、ラミニン332(ラミニン3A32)、ラミニン321(ラミニン3A21)、ラミニン3B32、ラミニン411、ラミニン421、ラミニン423、ラミニン521、ラミニン522、ラミニン523等があげられる。なお、各ラミニンにおける3つの数字は、先頭からそれぞれ、α鎖、β鎖、およびγ鎖の構成サブユニットの名前である。具体例として、ラミニン111は、α1鎖、β1鎖、およびγ1鎖から構成される。また、ラミニン3A11は、α3A鎖、β1鎖、およびγ1鎖から構成される。前記細胞培養基材は、前記タンパク質のペプチド断片または前記糖鎖の断片を含んでもよい。具体例として、前記タンパク質のペプチド断片は、例えば、ラミニンの断片があげられる。前記ラミニンの断片(フラグメント)は、例えば、前述のラミニンの断片があげられ、具体例として、ラミニン211-E8、ラミニン311-E8、ラミニン411-E8、ラミニン511-E8があげられる。前記ラミニン211-E8は、ラミニンのα2鎖、β1鎖、およびγ1鎖の断片から構成される。前記ラミニン311-E8は、ラミニンのα3鎖、β1鎖、およびγ1鎖の断片から構成される。前記ラミニン411-E8は、ラミニンのα4鎖、β1鎖、およびγ1鎖の断片から構成される。前記ラミニン511-E8は、例えば、ラミニンのα5鎖、β1鎖、およびγ1鎖の断片から構成される。
前記細胞培養基材は、光照射により、直接または間接的に変性する。前記直接的な変性は、例えば、前記光照射により、前記細胞培養基材の構造が変化することにより生じる。前記間接的な変性は、例えば、照射された光が他のエネルギーに変換され、前記他のエネルギーにより、前記細胞培養基材の構造が変化することにより生じる。前記他のエネルギーは、例えば、熱である。この場合、前記細胞培養基材は、前記光照射により生じた熱により変性する。
実施形態1の培養器具100において、細胞培養基材層11は、1層であるが、複数層であってもよい。この場合、細胞との接触面(図1(A)において、上側)を形成する細胞培養基材層11が、細胞接着領域11aと、細胞接着阻害領域11bとを有することが好ましい。
細胞培養基材層11は、前記細胞培養基材に加え、他の成分を含んでもよい。前記他の成分は、例えば、緩衝剤、塩、成長因子(細胞増殖因子)、サイトカイン、ホルモン等があげられる。
本実施形態の培養器具100において、細胞培養基材層11は、底面12aの上面のみに配置(形成)されているが、本発明はこれに限定されない。細胞培養基材層11は、例えば、前記細胞と接触可能な領域に配置されればよく、培養器具100において、底面12aの上面に代えて、または加えて、側壁12bの内周面に配置されてもよい。また、細胞培養基材層11は、前記細胞と接触可能な領域の一部に形成されてもよいし、全部に形成されてもよい。前者の場合、細胞培養基材層11は、細胞培養時において、容器12の底面12a上に形成されることが好ましい。
細胞接着領域11aは、細胞培養基材層11において、前記細胞が接着可能な領域である。前記細胞培養基材は、例えば、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、細胞接着領域11aは、例えば、前記細胞培養基材を未変性の状態で含む領域、すなわち、未変性の細胞培養基材を含む領域ということもできる。細胞接着領域11aに含まれる細胞培養基材は、その一部または全部が未変性の状態である。前記細胞培養基材の一部が未変性の状態の場合、例えば、細胞接着領域11aにおける細胞培養基材の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上が、未変性の状態である。前記細胞培養基材における未変性の状態または変性状態の細胞培養基材の割合は、例えば、細胞接着領域11aを回収し、得られた回収物について、非変性電気泳動(native PAGE)を実施し、バンド位置の変化に基づき、決定できる。また、細胞接着領域11aは、例えば、後述の製造方法において、光を照射していない領域ということもできる。本実施形態において、前記細胞培養基材は、光照射により、直接または間接的に変性し、前記細胞との接着能が低下する。このため、細胞接着領域11aは、未変性の状態の細胞培養基材を含む。ただし、本発明は、これに限定されず、前記細胞培養基材は、未変性の状態で細胞との接着が阻害され、光照射により、直接または間接的に変性し、前記細胞との接着能が向上してもよい。この場合、細胞接着領域11aは、変性状態の細胞培養基材を含む。また、前記細胞培養基材は、光照射により、直接または間接的に変性することにより、前記細胞と接着可能となる。
本実施形態において、細胞接着領域11aは、細胞培養基材層11における略円状の領域として形成されているが、本発明はこれに限定されない。細胞接着領域11aの形状は、任意の形状とでき、使用者が求める形状に応じて適宜設計できる。また、本実施形態において、細胞培養基材層11に形成される細胞接着領域11aの数は、4つであるが、本発明はこれに限定されない。細胞接着領域11aの数は、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
細胞接着阻害領域11bは、前記細胞の接着が阻害される領域である。前述のように、前記細胞培養基材は、例えば、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、細胞接着阻害領域11bは、例えば、前記細胞培養基材を変性状態で含む領域、すなわち、前記細胞培養基材の変性物を含む領域ということもできる。前記変性物は、例えば、光分解物、熱変性物等があげられる。細胞接着阻害領域11bに含まれる細胞培養基材は、その一部または全部が変性状態である。前記細胞培養基材の一部が変性状態の場合、例えば、細胞接着阻害領域11bにおける細胞培養基材の50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上が、変性状態である。また、細胞接着阻害領域11bは、例えば、後述の製造方法において、光を照射した領域ということもできる。細胞接着阻害領域11bは、例えば、細胞接着領域11aと比較して、前記細胞の接着が低下している領域である。具体的には、細胞接着阻害領域11bは、例えば、単位面積あたりの細胞の接着数が、細胞接着領域11aにおける単位面積あたりの細胞の接着数と比較して、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上、好ましくは、100%低下している。前記単位面積あたりの細胞数の接着数は、例えば、各領域における細胞培養基材の状態以外の条件を同一とした試験により取得する。前記試験に用いる細胞は、iPS細胞(induced pluripotent stem cells)が好ましい。この場合、前記試験における培養条件は、iPS細胞が未分化状態を維持する条件である。本実施形態において、前記細胞培養基材は、光照射により、直接または間接的に変性し、前記細胞との接着能が低下する。このため、細胞接着阻害領域11bは、変性状態の細胞培養基材を含む。ただし、本発明は、これに限定されず、前記細胞培養基材は、未変性の状態で細胞との接着が阻害され、光照射により、直接または間接的に変性し、前記細胞との接着能が向上してもよい。この場合、細胞接着阻害領域11bは、未変性の状態の細胞培養基材を含む。また、前記細胞培養基材は、光照射を実施しない状態で、前記細胞の接着を阻害する。
容器12は、前記細胞を培養可能である。容器12において、底面12aと、側壁12bとで囲まれた空間が、前記細胞を培養可能な領域(細胞培養領域)であり、例えば、ウェルということもできる。容器12は、細胞培養容器があげられ、具体例として、ディッシュ、プレート、フラスコ(細胞培養フラスコ)等があげられる。容器12の大きさ、容積、材質、接着処理の有無等は、培養器具100で培養する細胞の種類および量に応じて適宜決定できる。
容器12は、前記細胞培養領域を1つ有するが、複数有してもよい。後者の場合、容器12は、例えば、複数のウェルを有するということもできる。また、後者の場合、複数の細胞培養領域のうち、いずれか1つに細胞培養基材層11が形成されてもよいし、複数に細胞培養基材層11が形成されてもよいし、全てに細胞培養基材層11が形成されてもよい。すなわち、容器12は、複数のウェルのうち、いずれか1ウェル、2ウェル以上または全てのウェルに細胞培養基材層11が形成されてもよい。
培養器具100を光学顕微鏡等により観察に供する場合、本発明の培養器具は、実施形態1の培養器具100のように、その底面12aの外周部、すなわち、底面12aの側壁12b側に細胞接着阻害領域11bを形成することが好ましく、前記外周部において、前記光学顕微鏡等により観察した際に適切な観察像が得られない領域(例えば、メニスカスが生じる領域)に、細胞接着阻害領域11bを形成することがより好ましい。細胞接着阻害領域11bをこのような位置に形成することにより、培養器具100を用いて細胞を培養する際に、光学顕微鏡等により適切な観察像が得られない領域において、播種した細胞が目的外の細胞に分化することを防止できる。このため、このような培養器具100によれば、例えば、細胞の管理が容易になる。
本実施形態において、容器12は、蓋を含んでもよい。前記蓋は、例えば、容器12の容器12の上面を着脱可能に覆うことができる。前記蓋は、例えば、底面12aと対向するように配置される。前記蓋は、例えば、前記細胞培養容器の蓋があげられる。
本実施形態において、培養器具100の細胞培養基材層11は、細胞接着領域11aおよび細胞接着阻害領域11bを含むが、細胞接着領域11aのみ、または細胞接着阻害領域11bのみから構成されてもよい。
本実施形態の培養器具100を用いた細胞の培養方法は、例えば、前記細胞の種類に応じて、公知の培養方法により実施できる。また、前記培養方法における培養条件、培地等は、前記細胞の種類に応じて、適宜決定できる。
つぎに、培養器具100の製造方法について、図2に基づき説明する。図2は、培養器具100の製造方法の一例を示す模式図である。本実施形態の培養器具100の製造方法では、未変性の細胞培養基材を用いて、細胞培養基材層11を形成する。そして、本実施形態の製造方法では、形成された細胞培養基材層11に対して、光を照射することにより、細胞接着阻害領域11bが形成される。
まず、本実施形態の製造方法は、図2(A)に示すように、容器12を準備する(準備工程)。容器12は、市販品を購入してもよいし、自家調製してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図2(B)に示すように、容器12の底面12a上に、前記細胞培養基材を含む細胞培養基材層11を形成する(基材層形成工程)。これにより、本実施形態の製造方法は、細胞培養基材層11を有する容器12を準備できる。本実施形態の製造方法において、細胞培養基材層11の形成に用いる細胞培養基材は、未変性の状態の細胞培養基材である。また、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、図2(B)に示すように、形成後の細胞培養基材層11は、細胞接着領域11aから構成される。細胞培養基材層11は、例えば、公知の膜形成方法により形成でき、具体例として、塗布法、印刷法(スクリーン法)、蒸着法、スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法等により実施できる。前記細胞培養基材がタンパク質等の生体高分子の場合、細胞培養基材層11の形成方法は、前記細胞培養基材の変性を抑制できることから、塗布法が好ましい。この場合、細胞培養基材層11は、例えば、未変性の細胞培養基材を含む溶媒を容器12の内部、より具体的には、容器12の底面12aと接触するように導入し、静置することに形成してもよい。前記溶媒は、例えば、水性溶媒があげられ、好ましくは、水である。静置時間は、例えば、30分〜1日である。静置時の温度は、例えば、4〜40℃である。前記細胞培養基材がラミニン511-E8であり、コーティング濃度が0.5μg/cmの場合、前記静置時間は、例えば、1時間以上であり、静置時の温度は、約37℃(35〜39℃)である。そして、前記静置後、前記基材層形成工程では、前記未変性の細胞培養基材を含む溶媒を除去する。前記溶媒の除去後、容器12は、その内部を、前記細胞培養基材を含まない溶媒で洗浄してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図2(C)に示すように、細胞培養基材層11を有する容器12(細胞培養器具)に光Lを照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する(阻害領域形成工程)。より具体的には、前記阻害領域形成工程では、細胞培養基材層11に光Lを照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する。光Lは、細胞培養基材層11に焦点があうように制御されることが好ましい。前記阻害領域形成工程において、細胞培養基材層11上には、前記溶媒が存在することが好ましい。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、例えば、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、光Lは、細胞接着阻害領域11bを形成する領域に対して照射される。光Lの波長は、例えば、紫外光(例えば、10〜360nmまたは10〜340nm)、可視光(例えば、360〜760nmまたは380nm〜740nm)、または赤外光(例えば、760nm〜1000μmまたは780〜1000μm)である。具体例として、前記細胞培養基材がラミニン511-E8であり、細胞培養基材層11に水が積層されている場合、光Lは、例えば、赤外光であり、好ましくは、赤外光において水が吸収する波長または波長領域である。前記水が吸収する波長は、例えば、1470nmである。前記光は、細胞接着阻害領域11bを精密に形成できることから、レーザ光が好ましい。光Lのスポット径(ビーム幅)は、例えば、光Lのエネルギー量に応じて適宜設定でき、光Lのエネルギー量が相対的に少ない場合、スポット径は、相対的に小さく設定し、光Lのエネルギー量が相対的に多い場合、スポット径は、相対的に大きく設定する。光Lのスポット径は、例えば、10〜200μmである。光Lのエネルギー量(出力)は、例えば、細胞培養基材層11における光Lの照射部の細胞培養基材が変性するエネルギー量であり、前記細胞培養基材の種類に応じて、適宜設定できる。光Lのエネルギー量は、細胞培養基材層11に積層する細胞が致死する温度が好ましく、具体例として、細胞培養基材層11における光Lの照射部の細胞培養基材の温度が、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、好ましくは、100℃以上、110℃以上、120℃以上となるエネルギー量である。前記温度の上限は、例えば、200℃である。前記細胞培養基材の温度は、例えば、後述の実施例2の方法に準じて測定できる。光Lの走査速度は、例えば、スポット径および光Lのエネルギー量に応じて適宜設定でき、スポット径の単位面積当たり光エネルギー量が相対的に低い場合、光Lの走査速度は相対的に遅く設定し、スポット径の単位面積当たり光エネルギー量が相対的に高い場合、光Lの走査速度は相対的に速く設定する。具体例として、光Lの走査速度は、例えば、100mm/秒以下である。光Lが赤外線レーザ(1450nm)であり、スポット径が75μmであり、光Lの走査速度が、5mm/秒以下である場合、光Lのエネルギー量は、約0.6W(0.4〜0.8W)である。
そして、本実施形態の製造方法は、図2(D)に示すように、培養器具100が製造される。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能であるため、前記阻害領域形成工程では、光Lを、細胞接着阻害領域11bを形成する領域に対して照射される。ただし、本発明はこれに限定されず、前記阻害領域形成工程では、光Lは、細胞接着領域11aを形成する領域に対して照射されてもよい。この場合は、前記細胞培養基材は、変性状態において、前記細胞と接着可能である。
本実施形態によれば、細胞培養基材層11における細胞接着領域11aおよび細胞接着阻害領域11bの形状および大きさ(面積)を、任意の形状および大きさとできる。このため、本実施形態の培養器具100によれば、細胞接着領域11aおよび細胞接着阻害領域11bの形状および大きさを制御することにより、細胞の培養時に、得られた細胞塊の形状および大きさを使用者が希望する形状および大きさとすることができる。すなわち、本実施形態の培養器具100によれば、培養後に所望の形状を有する細胞塊が取得可能である。本実施形態の培養器具100は、細胞外基質依存的に接着する細胞について、培養後に所望の形状を有する細胞塊を取得するのに特に好適に使用できる。また、前記細胞培養時において、得られる細胞塊の形状および大きさは、前記細胞の分化誘導の重要な要因となっている。本実施形態の培養器具100によれば、細胞接着領域11aおよび細胞接着阻害領域11bの形状および大きさを制御できるため、培養対象の細胞に対して、所望の細胞への分化を誘導できる。また、本実施形態の培養器具100は、レーザ光の照射装置等の光照射装置のみで製造できる。このため、本実施形態の培養器具100は、簡易な設備で製造可能である。これらの効果は、後述の各実施形態においても同様である。
(実施形態2)
本実施形態は、細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法の他の例である。図3は、実施形態2の培養器具200の構成を示す模式図であり、(A)は、培養器具200の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた培養器具200の模式断面図であり、(C)は、培養器具200の平面図である。図2に示すように、培養器具200は、実施形態1の培養器具100の構成に加えて、光熱変換層13を含む。光熱変換層13は、細胞培養基材層11と底面12aとの間に配置されている。すなわち、光熱変換層13および細胞培養基材層11は、底面12aに対してこの順番で積層されている。この点を除き、実施形態2の培養器具200の構成は、実施形態1の培養器具100の構成と同様であり、その説明を援用できる。
光熱変換層13は、光を熱に変換可能な層である。光熱変換層13は、例えば、光を熱に変換可能な分子(光熱変換分子)を含む。前記光熱変換分子は、例えば、後述の培養容器200の製造方法において照射する光Lの波長を吸収する色素構造(発色団)を含んだポリマー(高分子)により構成することが好ましい。前記光熱変換分子は、容器12へのコーティングが容易であることが好ましい。光Lを吸収する色素構造は、例えば、アゾベンゼン、ジアリールエテン、スピロピラン、スピロオキサジン、フルギド、ロイコ色素、インジゴ、カロチノイド(カロテン等)、フラボノイド(アントシアニン等)、キノイド(アントラキノン等)等の有機化合物の誘導体があげられる。前記ポリマーを構成する骨格は、例えば、アクリル系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、ポリ酢酸ビニルやポリ塩化ビニル、ポリオレフィン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、エポキシ系ポリマー等があげられる。具体例として、前記光熱変換分子は、例えば、下記式(1)で表される、ポリ[メチルメタクリラート−co−(ジスパースイエロー 7 メタクリラート)]((C(C2320)があげられる。下記式(1)において、ポリマーにおけるアゾベンゼンの構造は、無置換のアゾベンゼンの他、ニトロ基、アミノ基、メチル基等で修飾した様々なバリエーションの構造を採用してもよい。下記式(1)において、mおよびnは、モル百分率である。mとnとの総和は、例えば、100モル%である。前記mおよびnは、例えば、同じでもよいし、異なってもよい。光熱変換層13は、例えば、1種類の光熱変換分子を含んでもよいし、複数種類の光熱変換分子を含んでもよい。
実施形態2の培養器具200において、光熱変換層13は、1層であるが、複数層であってもよい。この場合、細胞培養基材層11と底面12aとの間に、複数層の光熱変換層13が配置されることが好ましい。また、実施形態2の培養器具200において、光熱変換層13は、細胞培養基材層11と接触するように配置されているが、接触しないように配置されてもよい。この場合、光熱変換層13と細胞培養基材層11とは、熱的に接続されていればよい。具体的には、光熱変換層13と細胞培養基材層11との間には、光熱変換層13で生じた熱を細胞培養基材層11に伝導する熱伝導層が形成されている。前記熱伝導層は、例えば、金属等の熱伝導率の高い分子を含む。
光熱変換層13は、前記光熱変換分子に加え、他の成分を含んでもよい。前記他の成分は、例えば、ポリマーの硬化剤、未重合のモノマー等があげられる。
本実施形態の培養器具200において、光熱変換層13は、底面12aの上面のみに配置(形成)されているが、本発明はこれに限定されない。光熱変換層13は、例えば、細胞培養基材層11と隣接するように配置されればよく、例えば、容器12内に形成されてもよい。この場合、光熱変換層13は、容器12の底面の上面に形成されることが好ましい。
本実施形態の培養器具200において、光熱変換層13は、底面12aの上面のみに配置(形成)されているが、本発明はこれに限定されない。光熱変換層13は、例えば、細胞培養基材層11と熱的に接続されるように配置されればよく、培養器具200において、底面12aの上面に代えて、または加えて、側壁12bの内周面に配置されてもよい。また、光熱変換層13は、細胞培養基材層11の一部と熱的に接続されるように形成されてもよいし、全部と熱的に接続されるように形成されてもよい。前者の場合、光熱変換層13は、細胞培養時において、容器12の底面12a上に形成されることが好ましい。
容器12は、前記細胞培養領域を1つ有するが、複数有してもよい。後者の場合、容器12は、例えば、複数のウェルを有するということもできる。また、後者の場合、複数の細胞培養領域のうち、いずれか1つに細胞培養基材層11および光熱変換層13が形成されてもよいし、複数に細胞培養基材層11および光熱変換層13が形成されてもよいし、全てに細胞培養基材層11および光熱変換層13が形成されてもよい。すなわち、容器12は、複数のウェルのうち、いずれか1ウェル、2ウェル以上または全てのウェルに細胞培養基材層11および光熱変換層13が形成されてもよい。
本実施形態において、培養器具200の細胞培養基材層11は、細胞接着領域11aおよび細胞接着阻害領域11bを含むが、細胞接着領域11aのみ、または細胞接着阻害領域11bのみから構成されてもよい。
つぎに、培養器具200の製造方法について、図4に基づき説明する。図4は、培養器具200の製造方法の一例を示す模式図である。本実施形態の培養器具200の製造方法では、光熱変換層13上に、未変性の細胞培養基材を用いて、細胞培養基材層11を形成する。そして、本実施形態の製造方法では、光熱変換層13に対して、光を照射することで、光熱変換層13により光が熱に変換される。このため、本実施形態の製造方法では、光熱変換層13において発生した熱により、熱が発生した領域と隣接する細胞培養基材層11における細胞培養基材が変性し、細胞接着阻害領域11bが形成される。
まず、本実施形態の製造方法は、図4(A)に示すように、容器12を準備する(準備工程)。容器12は、前述のように、市販品を購入してもよいし、自家調製してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図4(B)に示すように、容器12の底面12a上に、前記光熱変換分子を含む光熱変換層13を形成する(変換層形成工程)。光熱変換層13は、例えば、公知の膜形成方法により形成でき、具体例として、塗布法、印刷法(スクリーン法)、蒸着法、スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法等により実施できる。具体的には、光熱変換層13は、例えば、前記色素構造含有ポリマーを含む原料液、または前記色素構造含有ポリマーを溶剤に溶解させた原料液を、スピンコート法、キャスト法等により容器12の内部、より具体的には、容器12の底面12aと接触させるように導入し、硬化することにより形成できる。前記溶剤は、例えば、1,2−ジクロロエタン、メタノール等の有機溶剤があげられる。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図4(C)に示すように、光熱変換層13上に、前記細胞培養基材を含む細胞培養基材層11を形成する(基材層形成工程)。これにより、本実施形態の製造方法は、細胞培養基材層11および光熱変換層13を有する容器12を準備できる。本実施形態の製造方法において、細胞培養基材層11の形成に用いる細胞培養基材は、未変性の状態の細胞培養基材である。また、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、図4(C)に示すように、形成後の細胞培養基材層11は、細胞接着領域11aから構成される。細胞培養基材層11は、例えば、公知の膜形成方法により形成でき、具体例として、塗布法、印刷法(スクリーン法)、蒸着法、スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法等により実施できる。前記細胞培養基材がタンパク質等の生体高分子の場合、細胞培養基材層11の形成方法は、前記細胞培養基材の変性を抑制できることから、塗布法が好ましい。この場合、細胞培養基材層11は、例えば、未変性の細胞培養基材を含む溶媒を容器12の内部に導入し、静置することに形成してもよい。前記溶媒は、例えば、水性溶媒があげられ、好ましくは、水である。前記未変性の細胞培養基材を含む溶媒の静置時間および静置時の温度等は、前記実施形態1の説明を援用できる。そして、前記静置後、前記基材層形成工程では、前記未変性の細胞培養基材を含む溶媒を除去する。前記溶媒の除去後、容器12は、その内部を、前記細胞培養基材を含まない溶媒で洗浄してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図4(D)に示すように、細胞培養基材層11および光熱変換層13を有する容器12(細胞培養器具)に光Lを照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する(阻害領域形成工程)。具体的には、前記阻害領域形成工程では、光熱変換層13に光Lを照射する、より具体的には、光熱変換層13に合焦した状態で光Lを照射する。光熱変換層13は、前述のように、光を熱に変換する光熱変換分子を含む。このため、光Lを照射された光熱変換層13は、照射された光Lが含む光エネルギーを熱エネルギーに変換する。すると、光熱変換層13において、光Lが照射された領域の温度上昇が生じ、さらに、細胞培養基材層11における、光Lが照射された領域と隣接する領域の温度が上昇し、細胞培養基材層11における前記細胞培養基材の構造が変化する。これにより、前記阻害領域形成工程では、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する。光Lは、光熱変換層13に焦点があうように制御されることが好ましい。前記阻害領域形成工程において、細胞培養基材層11上には、前記溶媒が存在することが好ましい。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、例えば、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、光Lは、細胞接着阻害領域11bを形成する領域と対応(隣接)する光熱変換層13の領域に対して照射される。より具体的には、光Lは、図4(D)において、細胞接着阻害領域11bを形成する領域の直下に存在する、光熱変換層13の対応する領域に対して照射される。
光Lの波長は、光熱変換層13が含む光熱変換分子の吸収波長に応じて適宜設定できる。光Lの波長は、例えば、前記紫外光、前記可視光、または前記赤外光である。具体例として、前記式(1)のポリマーの場合、光Lの波長は、例えば、390〜420nmである。前記光は、細胞接着阻害領域11bを精密に形成できることから、レーザ光が好ましい。光Lのスポット径(ビーム幅)は、例えば、光Lのエネルギー量に応じて適宜設定でき、光Lのエネルギー量が相対的に少ない場合、スポット径は、相対的に小さく設定し、光Lのエネルギー量が相対的に多い場合、スポット径は、相対的に大きく設定する。光Lのスポット径は、例えば、10〜200μmである。光Lのエネルギー量(出力)は、例えば、光熱変換層13における光Lの照射部と対応(隣接)する細胞培養基材層11の細胞培養基材が変性するエネルギー量であり、前記細胞培養基材の種類および前記光熱変換分子の種類に応じて、適宜設定できる。光Lのエネルギー量は、細胞培養基材層11に積層する細胞が致死する温度が好ましく、具体例として、細胞培養基材層11における光Lの照射部の細胞培養基材の温度が、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、90℃以上、好ましくは、100℃以上、110℃以上、120℃以上となるエネルギー量である。前記温度の上限は、例えば、200℃である。前記阻害領域形成工程では、光熱変換層13の温度が、例えば、前記細胞培養基材の温度の例示となるように、光Lを照射してもよい。光Lの走査速度は、例えば、スポット径および光Lのエネルギー量に応じて適宜設定でき、スポット径の単位面積当たり光エネルギー量が相対的に低い場合、光Lの走査速度は相対的に遅く設定し、スポット径の単位面積当たり光エネルギー量が相対的に高い場合、光Lの走査速度は相対的に速く設定する。具体例として、光Lの走査速度は、例えば、100mm/秒以下である。光Lが可視光レーザ(405nm)であり、スポット径が45μmであり、光Lの走査速度が、80mm/秒である場合、光Lのエネルギー量は、約0.5W(0.3〜0.7W)である。
そして、本実施形態の製造方法は、図4(E)に示すように、培養器具200が製造される。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能であるため、前記阻害領域形成工程では、光Lを、細胞接着阻害領域11bを形成する領域と隣接する光熱変換層13に対して照射される。ただし、本発明はこれに限定されず、前記阻害領域形成工程では、光Lは、細胞接着領域11aを形成する領域と隣接する光熱変換層13に対して照射されてもよい。この場合は、前記細胞培養基材は、変性状態において、前記細胞と接着可能である。
本実施形態では、光熱変換層13を利用して、効率よく光エネルギーを熱エネルギーに変換できる。このため、本実施形態では、細胞培養基材層11において、光熱変換層13の光Lが照射された領域と隣接する領域の細胞培養基材を効率よく変性できる。このため、本実施形態によれば、本実施形態の培養器具200を効率よく製造できる。
(実施形態3)
本実施形態は、細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法の他の例である。図5は、実施形態3の培養器具300の構成を示す模式図であり、(A)は、培養器具300の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた培養器具300の模式断面図であり、(C)は、培養器具300の平面図である。図5に示すように、培養器具300は、実施形態2の培養器具200の構成において、光熱変換層13が底面12aの一部に形成されている。また、培養器具300は、細胞接着領域11aの一部が、底面12aと接触している。この点を除き、実施形態3の培養器具300の構成は、実施形態2の培養器具200の構成と同様であり、その説明を援用できる。
つぎに、培養器具300の製造方法について、図6に基づき説明する。図6は、培養器具300の製造方法の一例を示す模式図である。本実施形態の培養器具300の製造方法では、容器12の底面12aの一部と接触するように、光熱変換層13を形成する。つぎに、光熱変換層13上および光熱変換層13が形成されていない底面12a上に未変性の細胞培養基材を用いて、細胞培養基材層11を形成する。そして、本実施形態の製造方法では、光熱変換層13に対して、光を照射することで、光熱変換層13により光が熱に変換する。このため、本実施形態の製造方法では、光熱変換層13において発生した熱により、熱が発生した領域と隣接する細胞培養基材層11における細胞培養基材が変性し、細胞接着阻害領域11bが形成される。
まず、本実施形態の製造方法は、図6(A)に示すように、容器12を準備する(準備工程)。容器12は、前述のように、市販品を購入してもよいし、自家調製してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図6(B)に示すように、容器12の底面12a上に、前記光熱変換分子を含む光熱変換層13を形成する(変換層形成工程)。本実施形態の製造方法では、底面12aの全面に光熱変換層13を形成せず、底面12aの一部に光熱変換層13を形成する。前記光熱変換層13を形成する領域は、所望の領域とでき、具体的には、細胞接着領域11aの形状に応じて適宜設計できる。具体例として、前記光熱変換層13を形成する領域は、例えば、細胞接着領域11aでない領域、すなわち、細胞接着阻害領域11bと略同形状となるように設計できる。このように、前記光熱変換層13を形成する領域を細胞接着阻害領域11bと略同形状となるように設計することで、例えば、後述の阻害領域形成工程において、容器12の底面12b全面に対して光Lを照射することにより、細胞接着阻害領域11bを一度で形成できる。このため、本実施形態の製造方法によれば、本実施形態の培養器具300を短時間で製造できる。光熱変換層13の形成方法は、実施形態2における変換層形成工程の説明を援用できる。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図6(C)に示すように、光熱変換層13上および底面12a上に、実施形態2における基材層形成工程と同様にして、前記細胞培養基材を含む細胞培養基材層11を形成する(基材層形成工程)。これにより、本実施形態の製造方法は、細胞培養基材層11および光熱変換層13を有する容器12を準備できる。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図6(D)に示すように、細胞培養基材層11および光熱変換層13を有する容器12(細胞培養器具)に光Lを照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する(阻害領域形成工程)。具体的には、前記阻害領域形成工程では、光熱変換層13に光Lを照射する、より具体的には、光熱変換層13に合焦した状態で光Lを照射する。光熱変換層13は、前述のように、光を熱に変換する光熱変換分子を含む。このため、光Lを照射された光熱変換層13は、照射された光Lが含む光エネルギーを熱エネルギーに変換する。すると、光熱変換層13において、光Lが照射された領域の温度上昇が生じ、さらに、細胞培養基材層11における、光Lが照射された領域と隣接する領域の温度が上昇し、細胞培養基材層11における前記細胞培養基材の構造が変化する。これにより、前記阻害領域形成工程では、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する。前記阻害領域形成工程において、細胞培養基材層11上には、前記溶媒が存在することが好ましい。本実施形態の製造方法において、光熱変換層13は、細胞接着阻害領域11bを形成する領域と対応(隣接)するように形成されている。このため、本実施形態の製造方法において、光Lは、底面12aの全面に一度に照射してもよいし、底面12aの一部に照射し、照射領域を変更することにより、底面12aの全面を照射してもよいが、本実施形態の培養器具300を短時間で製造できることから、前者が好ましい。光Lの照射条件は、前記実施形態2における光Lの照射条件の説明を援用できる。
そして、本実施形態の製造方法は、図6(E)に示すように、培養器具300が製造される。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能であるため、前記阻害領域形成工程では、光Lを、細胞接着阻害領域11bを形成する領域と隣接する光熱変換層13に対して照射される。ただし、本発明はこれに限定されず、細胞接着領域11aを形成する領域と隣接するように光熱変換層13を形成し、前記阻害領域形成工程では、光Lは、細胞接着領域11aを形成する領域と隣接する光熱変換層13に対して照射されてもよい。この場合は、前記細胞培養基材は、変性状態において、前記細胞と接着可能である。
本実施形態では、光熱変換層13の形成領域を利用して、予め細胞接着阻害領域11bの形成領域を規定できる。このため、本実施形態では、阻害領域形成工程において、光Lを底面12aの全面に照射し、細胞接着阻害領域11bを一度に形成できる。このため、本実施形態によれば、本実施形態の培養器具300を短時間で製造できる。
(実施形態4)
本実施形態は、細胞培養器具および細胞培養器具の製造方法の他の例である。図7は、実施形態4の培養器具400の構成を示す模式図であり、(A)は、培養器具400の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた培養器具400の模式断面図であり、(C)は、培養器具400の平面図である。図7に示すように、培養器具400は、実施形態2の培養器具200の構成において、光熱変換層13と、細胞培養基材層11との間に、遮断層14が形成されている。この点を除き、実施形態4の培養器具400の構成は、実施形態2の培養器具200の構成と同様であり、その説明を援用できる。実施形態4の培養器具400では、光熱変換層13上に、遮断層14が積層されているため、細胞培養基材層11上で培養されている細胞と光熱変換層13との間には、遮断層14が介在する。このため、実施形態4の培養器具400によれば、光熱変換層13と細胞との接触を回避可能であり、これにより、例えば、光熱変換層13の形成に用いた溶剤または光熱変換ポリマーに未結合の側鎖(例えば、前述の色素構造等)もしくは未重合のモノマーの細胞に対する影響を抑制できる。
遮断層14は、細胞培養基材層11と光変換層13との接触を遮断する。遮断層14は、細胞培養基材層11と光変換層13との接触を遮断または遮蔽可能であるため、遮蔽層または隔離層ということもできる。また、遮断層14は、光熱変換層13を容器12との空間に封止するため、封止層ということもできる。さらに、遮断層14は、光熱変換層13で生じた熱を細胞培養基材層11に伝導可能であるため、熱伝導層ということもできる。
本実施形態の培養器具400において、光熱変換層13で生じた熱は、遮断層14を介して、細胞培養基材層11に伝導される。このため、遮断層14は、細胞培養基材層11と光熱変換層13とを熱的に接続している。前記熱的な接続は、例えば、遮断層14の厚みを調整することにより実施してもよいし、遮断層14に、金属等の熱伝導率の高い分子を含有させることにより実施してもよい。
遮断層14は、例えば、容器12を形成する材料と同様の材料から形成できる。具体例として、遮断層14は、例えば、ポリスチレン等のポリスチレン系ポリマー、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート等のポリカーボネート系ポリマー、PET、ポリプロピレン等のポリプロピレン系ポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド等のポリイミド系ポリマー等のプラスチック;ガラス;石英;シリコーン樹脂;セルロース系材料;等から形成できる。
遮断層14の表面は、例えば、細胞培養基材層11との接着性を向上するための処理を行なってもよい。前記処理は、例えば、遮断層14の細胞培養領域側表面を親水化する処理があげられる。具体例として、前記処理は、例えば、プラズマ処理等があげられる。
つぎに、培養器具400の製造方法について、図8に基づき説明する。図8は、培養器具400の製造方法の一例を示す模式図である。本実施形態の培養器具400の製造方法では、遮断層14に、光熱変換層13を形成する(変換層形成工程)。つぎに、本実施形態の培養器具400の製造方法では、光熱変換層13および遮断層14を備える容器12を形成する(容器形成工程)。さらに、本実施形態の製造方法では、遮断層14上に、未変性の細胞培養基材を用いて、細胞培養基材層11を形成する(基材層形成工程)。そして、本実施形態の製造方法では、光熱変換層13に対して、光を照射することで、光熱変換層13により光が熱に変換される。このため、本実施形態の製造方法では、光熱変換層13において発生した熱が、遮断層14を伝導し、熱が発生した領域と隣接する細胞培養基材層11における細胞培養基材が変性し、細胞接着阻害領域11bが形成される。
まず、本実施形態の製造方法は、図8(A)に示すように、遮断層14を準備する(遮断層準備工程)。遮断層14は、市販品を購入してもよいし、自家調製してもよい。遮断層14は、例えば、フィルム、基板等を使用することができる。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図8(B)に示すように、遮断層14の一面に、前記光熱変換分子を含む光熱変換層13を形成する(変換層形成工程)。光熱変換層13は、例えば、公知の膜形成方法により形成でき、具体例として、塗布法、印刷法(スクリーン法)、蒸着法、スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法等により実施できる。具体的には、光熱変換層13は、例えば、前記色素構造含有ポリマーを含む原料液、または前記色素構造含有ポリマーを溶剤に溶解させた原料液を、スピンコート法、キャスト法等により遮断層14と接触させ、硬化することにより形成できる。前記溶剤は、例えば、1,2−ジクロロエタン、メタノール等の有機溶剤があげられる。
さらに、本実施形態の培養器具は、図8(C)に示すように、光熱変換層13および遮断層14を備える容器12を形成する(容器形成工程)。前記容器形成工程は、例えば、容器12の底面に、光熱変換層13および遮断層14の積層体を配置することにより実施してもよいし、光熱変換層13および遮断層14の積層体を用いて、フィルムインサート成型等の射出成型を用いて容器12を成型することにより実施してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図8(D)に示すように、遮断層14上に、前記細胞培養基材を含む細胞培養基材層11を形成する(基材層形成工程)。これにより、本実施形態の製造方法は、細胞培養基材層11、光熱変換層13、および遮断層14を有する容器12を準備できる。本実施形態の製造方法において、細胞培養基材層11の形成に用いる細胞培養基材は、未変性の状態の細胞培養基材である。また、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、図8(D)に示すように、形成後の細胞培養基材層11は、細胞接着領域11aから構成される。細胞培養基材層11は、例えば、公知の膜形成方法により形成でき、具体例として、塗布法、印刷法(スクリーン法)、蒸着法、スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法等により実施できる。前記細胞培養基材がタンパク質等の生体高分子の場合、細胞培養基材層11の形成方法は、前記細胞培養基材の変性を抑制できることから、塗布法が好ましい。この場合、細胞培養基材層11は、例えば、未変性の細胞培養基材を含む溶媒を容器12の内部に導入し、静置することに形成してもよい。前記溶媒は、例えば、水性溶媒があげられ、好ましくは、水である。前記未変性の細胞培養基材を含む溶媒の静置時間および静置時の温度等は、前記実施形態1の説明を援用できる。そして、前記静置後、前記基材層形成工程では、前記未変性の細胞培養基材を含む溶媒を除去する。前記溶媒の除去後、容器12は、その内部を、前記細胞培養基材を含まない溶媒で洗浄してもよい。
つぎに、本実施形態の製造方法は、図8(E)に示すように、細胞培養基材層11、光熱変換層13、および遮断層14を有する容器12(細胞培養器具)に光Lを照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する(阻害領域形成工程)。具体的には、前記阻害領域形成工程では、光熱変換層13に光Lを照射する、より具体的には、光熱変換層13に合焦した状態で光Lを照射する。光熱変換層13は、前述のように、光を熱に変換する光熱変換分子を含む。このため、光Lを照射された光熱変換層13は、照射された光Lが含む光エネルギーを熱エネルギーに変換する。すると、光熱変換層13において、光Lが照射された領域の温度上昇が生じ、さらに、遮断層14における光Lが照射された領域と隣接する領域の温度上昇が生じる。そして、細胞培養基材層11における、遮断層14の温度上昇が生じている領域と隣接する領域の温度上昇が生じ、細胞培養基材層11における前記細胞培養基材の構造が変化する。これにより、前記阻害領域形成工程では、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域11bを形成する。光Lは、光熱変換層13に焦点があうように制御されることが好ましい。前記阻害領域形成工程において、細胞培養基材層11上には、前記溶媒が存在することが好ましい。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、例えば、未変性の状態において、前記細胞と接着可能である。このため、光Lは、細胞接着阻害領域11bを形成する領域と対応する(直下の)光熱変換層13の領域に対して照射される。より具体的には、光Lは、図8(E)において、細胞接着阻害領域11bを形成する領域の直下に存在する、光熱変換層13の対応する領域に対して照射される。
そして、本実施形態の製造方法は、図8(F)に示すように、培養器具400が製造される。本実施形態の製造方法において、前記細胞培養基材は、未変性の状態において、前記細胞と接着可能であるため、前記阻害領域形成工程では、光Lを、細胞接着阻害領域11bを形成する領域と対応する光熱変換層13に対して照射される。ただし、本発明はこれに限定されず、前記阻害領域形成工程では、光Lは、細胞接着領域11aを形成する領域と対応する(直下の)光熱変換層13に対して照射されてもよい。この場合は、前記細胞培養基材は、変性状態において、前記細胞と接着可能である。
本実施形態の培養器具400では、遮断層14を足場として、光熱変換層13を形成しているが、本実施形態の培養器具400は、これに限定されず、他の足場層に対して、光熱変換層13を形成してもよい。図9に、光熱変換層13を他の足場層である支持体層15に形成する他の例を示す。図9は、実施形態4の他の例の培養器具500の構成を示す模式図であり、(A)は、培養器具500の模式斜視図であり、(B)は、(A)におけるII−II方向からみた培養器具500の模式断面図であり、(C)は、培養器具500の平面図である。図9に示すように、培養器具500は、実施形態4の培養器具400の構成において、光熱変換層13と、底面12aとの間に、支持体層15が形成されている。この点を除き、他の例の培養器具500の構成は、実施形態4の培養器具400の構成と同様であり、その説明を援用できる。
支持体層15は、光熱変換層13を形成する足場となる層であり、例えば、基材または基材層ということもできる。支持体層15は、光熱変換層13を形成可能な支持体であればよく、例えば、シート状または板状の支持体があげられる。具体例として、支持体層15は、ポリスチレン等のポリスチレン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド等のポリイミド系ポリマー、ポリカーボネート等のポリカーボネート系ポリマー、もしくはポリオレフィン等のポリオレフィン系ポリマー等の樹脂製フィルム、薄膜、またはプレート;ガラス基板等の板状またはフィルム状のガラス;等があげられる。前記ガラス製の支持体としては、例えば、スライドグラス、プレパラート等を用いてもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
[実施例1]
本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることを確認した。
35mm(直径)ディッシュ(IWAKI社製、Cat. No.: 3000-035)を用いて、図3と類似する培養器具200を製造した。まず、前記式(1)で表されるポリマーにおいて、側鎖の色素構造を修飾したポリマーを、1,2−ジクロロエタン、メタノール等に溶解し、原料液を調製した。得られた原料液を、前記ディッシュにスピンコート法により塗布することにより、光熱変換層13を形成した。
つぎに、光熱変換層13を有するディッシュに対して、0.2μLのiMatrix(株式会社ニッピ社製)を、1.5mLのPBSに希釈した希釈液を用い、添付のプロトコルにしたがって、細胞培養基材層11を形成した。なお、iMatrixは、未変性の状態で、細胞と接着可能なラミニン511-E8を含む。このため、細胞培養基材層11は、細胞接着領域11aから構成されている。
得られたディッシュの光熱変換層13に焦点をあわせ、細胞処理装置(LiLACK、型式 CPD-017、片岡製作所製)を用いて、下記レーザ光照射条件1でレーザ光を照射した。これにより、ラミニン511-E8を変性させ、細胞接着領域11aを細胞接着阻害領域11bに変換することにより、図10に示すように、略円状または略正方形状の細胞接着領域11aを形成した。また、各細胞接着領域11aは、左から、直径1mmの略円状、一辺1mmの略正方形状、直径3mmの略円状、および一辺3mmの略正方形状とした。照射中のレーザ出力は、パワーメータを用いて測定した。
(レーザ光照射条件1)
波長:405nm
レーザ出力:0.5W
レーザの走査速度:80mm/秒
スポット径:45μm
前記レーザ光照射後、ディッシュに、培養液に懸濁したiPS細胞(1231A3株)を、35mm(直径)ディシュにおいて、1×10細胞/1.5mL懸濁液/Dishとなるように播種した。前記培養液は、Stemfit(登録商標)AK02(味の素社製)を使用した。そして、37℃、5%COの湿潤条件下で、7日間培養した。前記培養液は、2日毎に、等量の新たな培養液と交換した。そして、培養後のディッシュについて、その全面を、前記細胞処理装置の位相差顕微鏡を用いてタイリング撮影し、ディッシュ全面の画像を作製した。また、図10に示す細胞接着領域11aのパターンに代えて、細胞接着領域11aの形状が文字列(iPS)となるようにした以外は、同様にして培養およびディッシュ全面の画像を作製した。これらの結果を図11および12に示す。
図11は、図10に示すパターンでレーザ光処理を行なったディッシュにおける培養後のiPS細胞の写真であり、(A)は、ディッシュ全面の写真であり、(B)は、(A)において、各細胞接着領域11aが、直径1mmの略円状の場合の写真であり、(C)は、(A)において、各細胞接着領域11aが、一辺1mmの略正方形状の場合の写真である。図11(A)〜(C)において、矢印で示すように、略円状および略正方形状のいずれの形状においても、培養後のiPS細胞の外縁の形状は、培養前の細胞接着領域11aの外縁形状と一致した。また、図11(A)〜(C)において、矢印に示すように、細胞接着領域11aの大きさによらず、培養後のiPS細胞の外縁の形状は、培養前の細胞接着領域11aの外縁形状と一致した。
つぎに、細胞接着領域11aの形状が文字列(iPS)となるようにした場合の結果を示す。図12は、細胞接着領域11aの形状が文字列(iPS)となるようにレーザ光処理を行なったディッシュにおける培養後のiPS細胞の写真である。図12に示すように、培養後のiPS細胞の外縁の形状は、培養前の細胞接着領域11aの形状(文字列:iPS)と一致した。
これらの結果から、本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることがわかった。
[実施例2]
本発明の製造方法において、光照射時の光熱変換層13の温度を確認した。
前記実施例1と同様にして、光熱変換層13および細胞培養基材層11を有するディッシュを製造した。つぎに、得られたディッシュに対し、前記細胞処理装置を用いて、下記レーザ光照射条件2でレーザ光を照射した。なお、下記レーザ光照射条件2は、別途、レーザ光照射後に細胞が細胞培養基材層11に接着できず、細胞接着時に照射した場合、照射箇所の細胞が致死することを確認している条件である。また、前記レーザ照射時に、光熱変換層13におけるレーザ光の照射部の温度を、赤外線サーモグラフィーカメラ(InfReC H9000、日本アビオニクス製)および5μm顕微鏡レンズを用いて測定した(実施例)。赤外線サーモグラフィーカメラの測定波長は、2〜5.7μm、フレームレートは、200Hz、シャッタースピードは、215μ秒とした。なお、レーザ光照射前の光熱変換層13の温度は、約29℃であった。また、コントロールは、光熱変換層13および細胞培養基材層11を形成せず、ディッシュ底面の温度を測定した以外は同様にして実施した。これらの結果を図13に示す。
(レーザ光照射条件2)
波長:405nm
レーザ出力:0.3、0.4、0.5、0.6、または0.7W
レーザの走査速度:80mm/秒
スポット径:45μm
図13は、光熱変換層13におけるレーザ光の照射部の温度を示す写真である。図13(A)は、実施例の結果を示し、図13(B)は、コントロールの結果を示す。また、図13(A)において、上段は、測定データのうち、37℃以上の領域を示した写真であり、下段は、42℃以上の領域を示した写真である。図13(B)に示すように、光熱変換層13を有さないディッシュの場合、ディッシュ底面の温度の上昇は生じなかった。他方、光熱変換層13を有するディッシュの場合、レーザ照射により光熱変換層13の温度が、レーザ出力依存的に上昇し、0.5W以上の出力において、照射部の最高温度は、140℃前後となった。さらに、光熱変換層13におけるレーザ光の照射部の温度分布およびレーザ光照射後に細胞が接着可能な領域から、光熱変換層13におけるレーザ光の照射部の温度が60℃以上、好ましくは、100℃または110℃となるように、レーザ光を照射することにより、細胞培養基材層11における細胞培養基材を効率よく変性できることが分かった。
[実施例3]
本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることを確認した。
35mm(直径)ディッシュを用いて、図1と類似する培養器具100を製造した。具体的には、実施例1と同様にして、iMatrixの希釈液を調製し、細胞培養基材層11を形成した。
得られたディッシュの細胞基材層11に焦点をあわせ、前記細胞処理装置を用いて、下記レーザ光照射条件3でレーザ光を照射した。これにより、ラミニン511-E8を変性させ、細胞接着領域11aを細胞接着阻害領域11bに変換することにより、直径1mmの略円状または一辺1mmの略正方形状の細胞接着領域11aを形成した。また、照射中のレーザ出力は、パワーメータを用いて測定した。
(レーザ光照射条件3)
波長:1450nm
レーザ出力:0.6W
レーザの走査速度:5mm/秒以下
スポット径:75μm
前記レーザ光照射後、ディッシュに、培養液に懸濁したiPS細胞(1231A3株)を、35mm(直径)ディシュにおいて、1×10細胞/1.5mL懸濁液/Dishとなるように播種した。前記培養液は、Stemfit(登録商標)AK02(味の素社製)を使用した。そして、37℃、5%COの湿潤条件下で、10日間培養した。前記培養液は、2日毎に、等量の新たな培養液と交換した。そして、培養後のディッシュについて、その全面を、前記細胞処理装置の位相差顕微鏡を用いて、細胞接着領域11aを撮像した。これらの結果を図14に示す。
図14は、培養後のiPS細胞の写真であり、(A)は、直径1mmの略円状の細胞接着領域11aの写真であり、(B)は、一辺1mmの略正方形状の細胞接着領域11aの写真である。図14(A)および(B)において、略円状および略正方形状のいずれの形状においても、培養後のiPS細胞の接着面の外縁の形状は、培養前の細胞接着領域11aの外縁形状と一致した。また、図14(A)において矢印で示すように、一部のiPS細胞は、細胞接着領域11aの外縁部(破線)からはみ出し、かつめくれ上がっており、細胞接着阻害領域11bには接着していなかった。
これらの結果から、本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることがわかった。
[実施例4]
本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることを確認した。
35mm(直径)ディッシュを用いて、図3と類似する培養器具200を前記実施例1と同様にして製造した。具体的には、実施例1と同様にして、光熱変換層13を形成後、iMatrixの希釈液を調製し、細胞培養基材層11を形成した。
得られたディッシュの光熱変換層13に焦点をあわせ、前記細胞処理装置を用いて、下記レーザ光照射条件4でレーザ光を照射した。これにより、ラミニン511-E8を変性させ、細胞接着領域11aを細胞接着阻害領域11bに変換することにより、格子状の細胞接着領域11aを形成した。このため、各格子の内部は、細胞接着阻害領域11bである。照射中のレーザ出力は、パワーメータを用いて測定した。
(レーザ光照射条件4)
波長:405nm
レーザ出力:0.5W
レーザの走査速度:80mm/秒
スポット径:45μm
前記レーザ光照射後、ディッシュに、培養液に懸濁したiPS細胞(1231A3株)を、35mm(直径)ディシュにおいて、1×10細胞/Dishとなるように播種した。前記培養液は、Stemfit(登録商標)AK02(味の素社製)を使用した。そして、37℃、5%COの湿潤条件下で、1日間培養した。そして、培養後のディッシュについて、その全面を、前記細胞処理装置の位相差顕微鏡を用いてタイリング撮影し、ディッシュ全面の画像を作製した。これらの結果を図15に示す。
図15は、培養後のiPS細胞の写真であり、(A)は、ディッシュ全面の画像の写真であり、(B)は、(A)において矢印Xで示す囲った領域の拡大写真である。図15(A)および(B)に示すように、培養後のiPS細胞の接着面の外縁の形状は、格子状となっており、培養前の細胞接着領域11aの外縁形状と一致した。また、図15(A)および(B)に示すように、細胞接着阻害領域11bである各格子の内部には細胞はほとんど接着していなかった。
これらの結果から、本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることがわかった。
[実施例5]
本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることを確認した。
35mm(直径)ポリスチレンディッシュ(AGCテクノグラス社製)を用いて、図3と類似する培養器具200を前記実施例1と同様にして製造した。具体的には、まず、実施例1と同様にして光熱変換層13を形成した。つぎに、実施例1のiMatrixの希釈液に代えて、Laminin-521(rhLaminin-521、Thermo Fisher Scientific社製、Cat No. A29248)の希釈液を用い、添付のプロトコルにしたがって、0.5μg/cmとなるように希釈液を導入し、細胞培養基材層11を形成した。なお、Laminin-521の希釈液は、Laminin-521を、カルシウムおよびマグネシウム含有DPSB(Dulbecco's phosphate-buffered saline、DPBS, calcium, magnesium、Thermo Fisher Scientific社製、Cat. No.: 14040141)で希釈し、調製した。
得られたディッシュの光熱変換層13に焦点をあわせ、前記細胞処理装置を用いて、下記レーザ光照射条件5で、図16(A)に示す形状となるようにレーザ光を照射した。これにより、Laminin-521を変性させ、細胞接着領域11aを細胞接着阻害領域11bに変換することにより、格子状の細胞接着阻害領域11bを形成した。このため、各格子の内部領域(約0.3mm×約0.3mmの四角形状の領域)は、細胞接着領域11aである。照射中のレーザ出力は、パワーメータを用いて測定した。
(レーザ光照射条件5)
波長:405nm
レーザ出力:0.5W
レーザの走査速度:80mm/秒
スポット径:45μm
ピッチ:0.3mm
前記レーザ光照射後、ディッシュに、培養液に懸濁したiPS細胞(1231A3株)を、35mm(直径)ディシュにおいて、1×10細胞/1.5mL懸濁液/Dishとなるように播種した。前記培養液は、E8培地(Essential 8(商標)培地、Thermo Fisher Scientific社製、Cat. No.: A1517001)を使用した。そして、37℃、5%COの湿潤条件下で、3日間培養した。前記培養液は、2日毎に、等量の新たな培養液と交換した。そして、培養後のディッシュについて、その全面を、前記細胞処理装置の位相差顕微鏡を用いてタイリング撮影し、ディッシュ全面の画像を作製した。これらの結果を図16に示す。
図16は、細胞処理の結果を示す図であり、(A)は、細胞培養器具におけるレーザ光の照射部を示す模式図であり、(B)は、培養器具全体の培養後の細胞を示す写真であり、(C)は、(B)の写真における培養器具の中心領域の拡大写真である。図16(B)および(C)に示すように、格子状の細胞接着阻害領域11b上には、iPS細胞が、接着していなかった。また、図16(C)において矢印で示すように、格子状の細胞接着阻害領域11bの内部の細胞接着領域11a上には、iPS細胞が、接着していた。
これらの結果から、本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることがわかった。
[実施例6]
本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることを確認した。
35mm(直径)ポリスチレンディッシュ(AGCテクノグラス社製)を用いて、図3と類似する培養器具200を前記実施例1と同様にして製造した。具体的には、実施例1と同様にして、光熱変換層13を形成した。つぎに、実施例1のiMatrixの希釈液に代えて、Matrigelの希釈液を用いて、細胞培養基材層11を形成した。前記Matrigelの希釈液は、Matrigel(登録商標、Corning(登録商標)マトリゲル 基底膜マトリックス グロースファクター リデュースト、Corning社製、Cat. No.: 35623)を、DMEM培地(4.5g/L Glucose、Nacalai Tesque社製、Cat. No.: 08459-64)で50倍希釈し、調製した。
得られたディッシュの光熱変換層13に焦点をあわせ、前記細胞処理装置を用いて、下記レーザ光照射条件6で、図17(A)に示す形状となるようにレーザ光を照射した。これにより、Matrigel中のラミニンを変性させ、細胞接着領域11aを細胞接着阻害領域11bに変換することにより、直線状の細胞接着阻害領域11bを形成した。このため、直線間の領域は、細胞接着領域11aである。照射中のレーザ出力は、パワーメータを用いて測定した。
(レーザ光照射条件6)
波長:405nm
レーザ出力:0.3W
レーザの走査速度:10mm/秒
スポット径:45μm
ピッチ:0.03mm
前記レーザ光照射後、ディッシュに、培養液に懸濁したiPS細胞(1231A3株)を、35mm(直径)ディシュにおいて、5×10細胞/1.5mL懸濁液/Dishとなるように播種した。前記培養液は、mTeSR(商標) Plus(STEMCELL technolocies社製、Cat. No.: 05825)を使用した。そして、37℃、5%COの湿潤条件下で、7日間培養した。前記培養液は、2日毎に、等量の新たな培養液と交換した。そして、培養後のディッシュについて、その全面を、前記細胞処理装置の位相差顕微鏡を用いてタイリング撮影し、ディッシュ全面の画像を作製した。これらの結果を図17に示す。
図17は、細胞処理の結果を示す図であり、(A)は、細胞培養器具におけるレーザ光の照射部を示す模式図であり、(B)は、培養後の細胞を示す写真である。図17(B)に示すように、直線状の細胞接着阻害領域11b上には、iPS細胞が、接着しておらず、細胞接着領域11a上には、iPS細胞が、接着していた。
これらの結果から、本発明の製造方法により、本発明の細胞培養器具を製造できること、および本発明の細胞培養器具を用いて、培養後の細胞塊の形状および大きさを制御できることがわかった。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
この出願は、2018年10月1日に出願された日本出願特願2018−186940を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
<付記>
上記の実施形態および実施例の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有し、
前記細胞培養基材層は、細胞が接着可能な細胞接着領域と、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域とを有し、
前記細胞接着阻害領域は、前記細胞培養基材の変性物を含む、細胞培養器具。
(付記2)
光を熱に変換可能な光熱変換層を有し、
前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置される、付記1記載の細胞培養器具。
(付記3)
前記細胞培養基材層と前記光変換層との接触を遮断する遮断層を有し、
前記遮断層は、前記光熱変換層上に配置され、
前記細胞培養基材層は、前記遮断層上に配置される、付記2記載の細胞培養器具。
(付記4)
前記光熱変換層は、光を吸収する色素構造を含んだポリマーを含む、付記2または3記載の細胞培養器具。
(付記5)
前記細胞接着領域は、未変性の細胞培養基材を含む、付記1から4のいずれかに記載の細胞培養器具。
(付記6)
前記細胞培養基材は、細胞外基質である、付記1から5のいずれかに記載の細胞培養器具。
(付記7)
前記細胞培養基材は、タンパク質またはそのペプチド断片である、付記1から6のいずれかに記載の細胞培養器具。
(付記8)
前記細胞培養基材は、ラミニンまたはその断片である、付記1から7いずれかに記載の細胞培養器具。
(付記9)
細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有する細胞培養器具に光を照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞接着阻害領域を形成する阻害領域形成工程を含む、細胞培養器具の製造方法。
(付記10)
前記細胞培養器具は、光を熱に変換可能な光熱変換層を有し、
前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置され、
前記阻害領域形成工程において、前記光熱変換層に前記光を照射する、付記9記載の製造方法。
(付記11)
前記細胞培養器具は、前記細胞培養基材層と前記光変換層との接触を遮断する遮断層を有し、
前記遮断層は、前記光熱変換層上に配置され、
前記細胞培養基材層は、前記遮断層上に配置される、付記10記載の製造方法。
(付記12)
前記光熱変換層は、光を吸収する色素構造を含んだポリマーを含む、付記10または11記載の製造方法。
(付記13)
前記光は、赤外光であり、
前記阻害領域形成工程において、前記細胞培養基材層に前記赤外光を照射する、付記9から12のいずれかに記載の製造方法。
(付記14)
前記阻害領域形成工程において、前記細胞培養基材の温度が、50℃以上となるように、前記光を照射する、付記9から13のいずれかに記載の製造方法。
(付記15)
前記阻害領域形成工程前において、前記細胞培養基材は、未変性の細胞培養基材である、付記9から14のいずれかに記載の製造方法。
(付記16)
前記光は、レーザ光である、付記9から15のいずれかに記載の製造方法。
(付記17)
前記細胞培養基材は、細胞外基質である、付記9から16のいずれかに記載の製造方法。
(付記18)
前記細胞培養基材は、タンパク質またはそのペプチド断片である、付記9から17のいずれかに記載の製造方法。
(付記19)
前記細胞培養基材は、ラミニンまたはその断片である、付記9から18いずれかに記載の製造方法。
(付記20)
細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有し、
前記細胞培養基材は、光照射により、細胞との接着性が変化する、細胞培養器具。
(付記21)
前記細胞培養基材は、光照射により生じた熱により、前記細胞との接着性を変化される、付記20記載の細胞培養器具。
(付記22)
前記細胞培養基材は、前記細胞との接着が可能であり、光照射により、前記細胞との接着が阻害される、付記20または21記載の細胞培養器具。
(付記23)
光を熱に変換可能な光熱変換層を有し、
前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置される、付記20から22のいずれかに記載の細胞培養器具。
(付記24)
前記光熱変換層は、光を熱に変換可能な光熱変換分子を含み、
前記光熱変換分子は、前記式(1)で表される、付記23記載の細胞培養器具。
(付記25)
前記細胞培養基材層と前記光変換層との接触を遮断する遮断層を有し、
前記遮断層は、前記光熱変換層上に配置され、
前記細胞培養基材層は、前記遮断層上に配置される、付記23または24記載の細胞培養器具。
(付記26)
前記細胞培養基材は、細胞外基質である、付記20から25のいずれかに記載の細胞培養器具。
(付記27)
前記細胞培養基材は、タンパク質またはそのペプチド断片である、付記20から26のいずれかに記載の細胞培養器具。
(付記28)
前記細胞培養基材は、ラミニンまたはその断片である、付記20から27いずれかに記載の細胞培養器具。
(付記29)
細胞培養器具を用いて、細胞を培養する培養工程を含み、
前記細胞培養器具は、付記1から8および20から28のいずれかに記載の細胞培養器具である、細胞の培養方法(細胞の製造方法)。
(付記30)
前記培養工程後、前記細胞を回収する回収工程を含む、付記29記載の培養方法(細胞の製造方法)。
本発明の細胞培養器具は、簡易な設備で製造可能であり、かつ培養後に所望の形状を有する細胞塊が取得可能である。このため、本発明は、細胞、組織等の加工を行なう生命科学分野、医療分野等において、極めて有用である。
100、200、300、400、500 培養器具
11 細胞培養基材層
11a 細胞接着領域
11b 細胞接着阻害領域
12 容器
12a 底面
12b 側壁
13 光熱変換層
14 遮断層
15 支持体層

Claims (18)

  1. 平面状の底面を有する容器と、
    細胞培養基材を含む細胞培養基材層と、
    光を熱に変換可能な光熱変換層とを有し、
    前記光熱変換層は、前記平面状の底面上に配置され、
    前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層上には、細胞が配置されておらず、
    前記細胞培養基材層は、細胞が接着可能な細胞接着領域と、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域とを有し、
    前記細胞接着阻害領域は、前記細胞培養基材の変性物を含む、細胞培養器具。
  2. 細胞培養基材を含む細胞培養基材層と、
    光を熱に変換可能な光熱変換層とを有し、
    前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層上には、細胞が配置されておらず、
    前記細胞培養基材層は、細胞が接着可能な細胞接着領域と、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域とを有し、
    前記細胞接着阻害領域は、前記細胞培養基材の熱変性物を含み、
    前記細胞接着領域と前記細胞接着阻害領域とは、同一平面上に存在する、細胞培養器具。
  3. 前記細胞培養基材層と前記光変換層との接触を遮断する遮断層を有し、
    前記遮断層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層は、前記遮断層上に配置される、請求項1または2記載の細胞培養器具。
  4. 前記光熱変換層は、光を吸収する色素構造を含んだポリマーを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の細胞培養器具。
  5. 前記細胞接着領域は、未変性の細胞培養基材を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の細胞培養器具。
  6. 前記細胞培養基材は、細胞外基質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞培養器具。
  7. 前記細胞培養基材は、タンパク質またはそのペプチド断片である、請求項1から6のいずれか一項に記載の細胞培養器具。
  8. 前記細胞培養基材は、ラミニンまたはその断片である、請求項1から7いずれか一項に記載の細胞培養器具。
  9. 細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有する細胞培養器具に光を照射し、前記細胞培養基材を変性させ、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域を形成する阻害領域形成工程を含み、
    前記細胞培養器具は、平面状の底面を有する容器と、光を熱に変換可能な光熱変換層とを有し、
    前記光熱変換層は、前記平面状の底面上に配置され、
    前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層上には、細胞が配置されておらず、
    前記阻害領域形成工程において、前記光熱変換層に前記光を照射する、細胞培養器具の製造方法。
  10. 細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有する細胞培養器具に光を照射し、前記細胞培養基材を熱変性させ、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域を形成する阻害領域形成工程を含み、
    前記細胞培養器具は、光を熱に変換可能な光熱変換層とを有し、
    前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層上には、細胞が配置されておらず、
    前記阻害領域形成工程において、前記光熱変換層に前記光を照射し
    前記阻害領域形成工程後、前記細胞培養基材層は、細胞が接着可能な細胞接着領域と、前記細胞接着阻害領域とを有し、
    前記細胞接着領域と、前記細胞接着阻害領域とは、同一平面上に存在する、細胞培養器具の製造方法。
  11. 前記細胞培養器具は、前記細胞培養基材層と前記光変換層との接触を遮断する遮断層を有し、
    前記遮断層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層は、前記遮断層上に配置される、請求項9または10記載の製造方法。
  12. 前記阻害領域形成工程において、前記細胞培養基材の温度が、100℃以上となるように、前記光を照射する、請求項9から11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 前記阻害領域形成工程前において、前記細胞培養基材は、未変性の細胞培養基材である、請求項9から12のいずれか一項に記載の製造方法。
  14. 前記光は、レーザ光である、請求項9から13のいずれか一項に記載の製造方法。
  15. 前記細胞培養基材は、細胞外基質である、請求項9から14のいずれか一項に記載の製造方法。
  16. 前記細胞培養基材は、タンパク質またはそのペプチド断片である、請求項9から15のいずれか一項に記載の製造方法。
  17. 前記細胞培養基材は、ラミニンまたはその断片である、請求項9から16のいずれか一項に記載の製造方法。
  18. 細胞培養基材を含む細胞培養基材層を有する細胞培養器具に光を照射し、前記細胞培養基材を熱変性させ、細胞の接着が阻害される細胞接着阻害領域を形成する阻害領域形成工程を含み、
    前記細胞培養基材は、タンパク質またはそのペプチド断片であり、
    前記細胞培養器具は、光を熱に変換可能な光熱変換層とを有し、
    前記細胞培養基材層は、前記光熱変換層上に配置され、
    前記細胞培養基材層上には、細胞が配置されておらず、
    前記阻害領域形成工程において、前記光熱変換層に前記光の照射部の細胞培養基材の温度が、100℃以上となるように、前記光を照射する、細胞培養器具の製造方法。
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