JP6728787B2 - 感放射線性樹脂組成物、レジストパターン形成方法、重合体及び化合物 - Google Patents
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Description
当該感放射線性樹脂組成物は、[A]重合体、[B]酸発生体及び[C]溶媒を含有する。当該感放射線性樹脂組成物は、好適成分として[D]酸拡散制御体を含有してもよく、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について説明する。
[A]重合体は、酸解離性基、及びこの酸解離性基により保護されたオキソ酸基又はこの酸解離性基により保護されたフェノール性水酸基を含む構造単位(I)を有する。また、[A]重合体は、構造単位(I)が含む酸解離性基以外の酸解離性基を含む構造単位(II)をさらに有することが好ましい。さらに、[A]重合体は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位(III)、フェノール性水酸基を含む構造単位(IV)、構造単位(I)〜(IV)以外のその他の構造単位等をさらに有してもよい。[A]重合体は、上記各構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。以下、各構造単位について説明する。
構造単位(I)は、酸解離性基、及びこの酸解離性基により保護されたオキソ酸基又はこの酸解離性基により保護されたフェノール性水酸基を含み、上記酸解離性基が下記式(1)で表される。
1,1−シクロプロパンジイル基、1,1−シクロブタンジイル基、1,1−シクロペンタンジイル基、1,1−シクロヘキサンジイル基、1,1−シクロヘプタンジイル基、1,1−シクロオクタンジイル基、1,1−シクロデカンジイル基等の2価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
3,3−シクロプロペンジイル基、3,3−シクロブテンジイル基、3,3−シクロペンテンジイル基、4,4−シクロペンテンジイル基、3,3−シクロヘプテンジイル基、4,4−シクロヘプテンジイル基、5,5−シクロヘプテンジイル基等の2価の単環の脂環式不飽和炭化水素基などの2価の単環の脂環式炭化水素基や、
2,2−ノルボルナンジイル基、7,7−ノルボルナンジイル基、2,2−アダマンタンジイル基、3,3−トリシクロデカンジイル基、4,4−トリシクロデカンジイル基等の2価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
5,5−ノルボルネンジイル基、7,7−ノルボルネンジイル基等の2価の多環の脂環式不飽和炭化水素基などの2価の多環の脂環式炭化水素基などが挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、2価の単環の脂環式炭化水素基が好ましい。
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
3,3−オキセタンジイル基、3,3−オキソランジイル基、3,3−オキサンジイル基、4,4−オキサンジイル基、3,3−チアンジイル基、4,4−チアンジイル基等の2価の単環の脂肪族複素環基;
2,2−オキサノルボルナンジイル基、2,2−アザノルボルナンジイル基、2,2−チアノルボルナンジイル基、3,3−ノルボルナンラクトンジイル基、5,5−ノルボルナンラクトンジイル基、3,3−オキサノルボルナンラクトンジイル基、5,5−オキサノルボルナンラクトンジイル基、3,3−ノルボルナンスルトンジイル基、5,5−ノルボルナンスルトンジイル基等の2価の多環の脂肪族複素環基などが挙げられる。上記2価の脂肪族複素環基としては、単環の2価の脂肪族複素環基が好ましく、4,4−オキサンジイル基がより好ましい。
メタンジイル基、エタンジイル基、プロパンジイル基等のアルカンジイル基;
エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等のアルケンジイル基;
エチンジイル基、プロピンジイル基、ブチンジイル基等のアルキンジイル基などが挙げられる。
シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基等の2価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基、テトラシクロドデカンジイル基等の2価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロプロペンジイル基、シクロブテンジイル基等の2価の単環の脂環式不飽和炭化水素基;
ノルボルネンジイル基、トリシクロデセンジイル基等の2価の多環の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
ベンゼンジイル基、トルエンジイル基、キシレンジイル基、ナフタレンジイル基等のアレーンジイル基;
ベンゼンジイルメタンジイル基、ナフタレンジイルシクロヘキサンジイル基等のアレーンジイル(シクロ)アルカンジイル基などが挙げられる。
シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、シクロオクタン構造等の単環の脂環式飽和炭化水素構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の脂環式飽和炭化水素構造;
シクロプロペン構造、シクロブテン構造、シクロペンテン構造、シクロヘキセン構造、シクロオクテン構造等の単環の脂環式不飽和炭化水素構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造、テトラシクロドデセン構造等の多環の脂環式不飽和炭化水素構造;
ベンゼン構造、ナフタレン構造、アントラセン構造、フェナントレン構造等の芳香環構造;
オキセタン構造、オキソラン構造、オキサン構造、チアン構造等の単環の脂肪族複素環構造;
オキサノルボルナン構造、アザノルボルナン構造、チアノルボルナン構造、ノルボルナンラクトン構造、オキサノルボルナンラクトン構造、ノルボルナンスルトン構造等の多環の脂肪族複素環構造などが挙げられる。
シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の1価の単環の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の1価の単環の脂環式不飽和炭化水素などの1価の単環の脂環式炭化水素基や、
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の1価の多環の脂環式飽和炭化水素基;
ノルボルネニル基、トリシクロデセニル基等の1価の多環の脂環式不飽和炭化水素基などの1価の多環の脂環式炭化水素基などが挙げられる。
オキセタニル基、オキソラニル基、オキサニル基、チアニル基等の1価の単環の脂肪族複素環基;
オキサノルボルニル基、チアノルボルニル基、ノルボルナンラクトニル基、オキサノルボルナンラクトニル基、ノルボルナンスルトニル基等の1価の多環の脂肪族複素環基などが挙げられる。
構造単位(II)は、構造単位(I)が含む酸解離性基以外の酸解離性基を含む構造単位である。[A]重合体が構造単位(II)をさらに有することで、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能をより向上できる。構造単位(II)としては、例えば下記式(a−1)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−1)」ともいう)、下記式(a−2)で表される構造単位(以下、「構造単位(II−2)」ともいう)等が挙げられる。下記式(a−1)及び(a−2)中、−CRA2RA3RA4及び−CRA6RA7RA8で表される基は酸解離性基である。
上記式(a−2)中、RA5は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RA6は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。RA7及びRA8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。LAは、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;
エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基;
エチニル基、プロピニル基、ブチニル基等のアルキニル基などが挙げられる。
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の1価の脂環式飽和炭化水素基;
シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基等の1価の脂環式不飽和炭化水素基などが挙げられる。
フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基などが挙げられる。
構造単位(III)は、ラクトン構造、環状カーボネート構造、スルトン構造又はこれらの組み合わせを含む構造単位である(但し、構造単位(I)及び構造単位(II)に該当するものを除く)。[A]重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、現像液への溶解性をより適度なものに調整することができ、その結果、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能及び膜減り抑制性をより向上させることができる。また、当該感放射線性樹脂組成物から形成されるレジスト膜と基板との密着性をより向上させることができる。ここで、ラクトン構造とは、−O−C(O)−で表される基を含む1つの環(ラクトン環)を有する構造をいう。また、環状カーボネート構造とは、−O−C(O)−O−で表される基を含む1つの環(環状カーボネート環)を有する構造をいう。さらに、スルトン構造とは、−O−S(O)2−で表される基を含む1つの環(スルトン環)を有する構造をいう。構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
[A]重合体は、構造単位(I)〜(IV)以外にもその他の構造単位を有してもよい。上記その他の構造単位としては、例えば極性基を含む構造単位、非解離性の炭化水素基を含む構造単位等が挙げられる。上記極性基としては、例えばアルコール性水酸基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、スルホンアミド基等が挙げられる。上記非解離性の炭化水素基としては、例えば直鎖状のアルキル基等が挙げられる。[A]重合体が上記その他の構造単位を有することで、[A]重合体の現像液への溶解性をより適度なものに調整することができる。
[A]重合体は、例えばラジカル重合開始剤等の存在下、各構造単位を与える単量体を適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等の単環の脂環式飽和炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
GPCカラム:例えば東ソー社の「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、及び「G4000HXL」1本
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[B]酸発生体は、露光により酸を発生する物質である。この発生した酸により[A]重合体等が有する酸解離性基が解離してカルボキシ基等が生じ、[A]重合体等の現像液への溶解性が変化するため、当該感放射線性樹脂組成物からレジストパターンを形成することができる。当該感放射線性樹脂組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述の低分子化合物の形態(以下、「[B]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。当該感放射線性樹脂組成物は、[B]酸発生体を1種又は2種以上含有してもよい。
シクロヘキサン構造、シクロヘプタン構造、シクロオクタン構造、シクロノナン構造、シクロデカン構造、シクロドデカン構造等の単環の脂環式飽和炭化水素構造;
シクロヘキセン構造、シクロヘプテン構造、シクロオクテン構造、シクロデセン構造等の単環の脂環式不飽和炭化水素構造;
ノルボルナン構造、アダマンタン構造、トリシクロデカン構造、テトラシクロドデカン構造等の多環の脂環式飽和炭化水素構造;
ノルボルネン構造、トリシクロデセン構造等の多環の脂環式不飽和炭化水素構造などが挙げられる。
ヘキサノラクトン構造、ノルボルナンラクトン構造等のラクトン構造;
ヘキサノスルトン構造、ノルボルナンスルトン構造等のスルトン構造;
オキサシクロヘプタン構造、オキサノルボルナン構造等の酸素原子含有複素環構造;
アザシクロヘキサン構造、ジアザビシクロオクタン構造等の窒素原子含有複素環構造;
チアシクロヘキサン構造、チアノルボルナン構造のイオウ原子含有複素環構造などが挙げられる。
RB7は、置換若しくは非置換の炭素数1〜7の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は置換若しくは非置換の炭素数6若しくは7の芳香族炭化水素基である。b5は、0〜6の整数である。RB7が複数の場合、複数のRB7は同一でも異なっていてもよく、また、複数のRB7は互いに合わせられ構成される環構造を表してもよい。nb2は、0〜3の整数である。RB8は、単結合又は炭素数1〜20の2価の有機基である。nb1は、0〜2の整数である。
フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基等のアリール基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられる。
また、[B]酸発生体としては、下記式(7)で表される構造単位を有する重合体も好ましい。
当該感放射線性樹脂組成物が含有する[C]溶媒としては、少なくとも[A]重合体、[B]酸発生体、及び必要に応じて加えられる任意成分を溶解又は分散できれば特に限定されないが、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。当該感放射線性樹脂組成物は、[C]溶媒を1種又は2種以上含有してもよい。
4−メチル−2−ペンタノール、n−ヘキサノール等の炭素数1〜18の脂肪族モノアルコール系溶媒;
シクロヘキサノール等の炭素数3〜18の脂環式モノアルコール系溶媒;
1,2−プロピレングリコール等の炭素数2〜18の多価アルコール系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテル等の炭素数3〜19の多価アルコール部分エーテル系溶媒などが挙げられる。
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル系溶媒;
ジフェニルエーテル、アニソール等の芳香環含有エーテル系溶媒などが挙げられる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、2−ヘプタノン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−アミルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン等の鎖状ケトン系溶媒;
シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン等の環状ケトン系溶媒;
2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノンなどが挙げられる。
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド等の鎖状アミド系溶媒などが挙げられる。
酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等のモノカルボン酸エステル系溶媒;
プロピレングリコールジアセテート等の多価アルコールカルボキシレート系溶媒;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコール部分エーテルカルボキシレート系溶媒;
シュウ酸ジエチル等の多価カルボン酸ジエステル系溶媒;
ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート系溶媒などが挙げられる。
n−ペンタン、n−ヘキサン等の炭素数5〜12の脂肪族炭化水素系溶媒;
トルエン、キシレン等の炭素数6〜16の芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
当該感放射線性樹脂組成物は、必要に応じ、[D]酸拡散制御体を含有してもよい。[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、当該感放射線性樹脂組成物は、[D]酸拡散制御体を含有することで、貯蔵安定性が向上する。さらに、当該感放射線性樹脂組成物は、[D]酸拡散制御体を含有することで、レジストパターンの解像度が向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化が抑えられることによりプロセス安定性が向上する。[D]酸拡散制御体の当該感放射線性樹脂組成物における含有形態としては、遊離の化合物(以下、「[D]酸拡散制御剤」ともいう)の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。当該感放射線性樹脂組成物は、[D]酸拡散制御体を1種又は2種以上含有してもよい。
当該感放射線性樹脂組成物は、その他の任意成分として、[A]重合体よりもフッ素原子含有率が大きい[E]重合体や、[F]偏在化促進剤、脂環式骨格化合物、界面活性剤、増感剤等を含有していてもよい。
[E]重合体は、[A]重合体よりもフッ素原子含有率(質量%)が大きい重合体である。当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に、レジスト膜中の[E]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表面近傍に偏在化する傾向があり、液浸露光等の際に酸発生体、酸拡散制御体等が液浸媒体に溶出することを抑制することができる。また、この[E]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角を所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制することができる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。このように、当該感放射線性樹脂組成物は、[E]重合体をさらに含有することで、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
構造単位(Va)は、下記式(ff1)で表される構造単位である。[E]重合体は構造単位(Va)を有することでフッ素原子含有率を容易に調整することができる。
[F]偏在化促進剤は、当該感放射線性樹脂組成物が[E]重合体を含有する場合等に、この[E]重合体をより効率的にレジスト膜表面に偏在化させる効果を有するものである。当該感放射線性樹脂組成物に[F]偏在化促進剤を含有させることで、[E]重合体の添加量を従来よりも少なくすることができる。従って、当該感放射線性樹脂組成物のリソグラフィー性能を損なうことなく、レジスト膜から液浸液への成分の溶出をさらに抑制したり、高速スキャンにより液浸露光をより高速に行うことが可能になり、結果としてウォーターマーク欠陥等の液浸由来欠陥を効果的に抑制できる。[F]偏在化促進剤としては、比誘電率が30以上200以下で、1気圧における沸点が100℃以上の低分子化合物を挙げることができる。このような化合物としては、具体的には、ラクトン化合物、カーボネート化合物、ニトリル化合物、多価アルコール等が挙げられる。
脂環式骨格化合物は、当該感放射線性樹脂組成物により形成されるレジストパターンのドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等をさらに改善することができる。脂環式骨格化合物としては、例えば1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル]テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。
界面活性剤は、当該感放射線性樹脂組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等をさらに改善することができる。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加させる作用を示すものであり、当該感放射線性樹脂組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該感放射線性樹脂組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]溶媒及び任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。調製された当該感放射線性樹脂組成物は、例えば孔径0.2μmのフィルター等でろ過してから用いることが好ましい。当該レジスト組成物の固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.5質量%がより好ましく、1質量%がさらに好ましく、2質量%が特に好ましい。一方、当該レジスト組成物の固形分濃度の上限としては、50質量%が好ましく、20質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましく、5質量%が特に好ましい。
当該レジストパターン形成方法は、基板の一方の面側に当該感放射線性樹脂組成物を塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう)と、上記塗工により得られたレジスト膜を露光する工程(以下、「露光工程」ともいう)と、上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「現像工程」ともいう)とを備える。
本工程では、基板の一方の面側に当該感放射線性樹脂組成物を塗工し、レジスト膜を形成する。当該感放射線性樹脂組成物を塗工する基板としては、例えばシリコンウエハ、二酸化シリコン、アルミニウムで被覆されたウエハ等の従来公知のものなどが挙げられる。また、例えば特公平6−12452号公報や特開昭59−93448号公報等に開示されている有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
本工程では、上記塗工で得られたレジスト膜に、フォトマスク等を介して露光光を照射することにより露光する。露光光としては、目的とするパターンの線幅に応じ、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、極端紫外線(EUV)、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線などが挙げられる。露光光としては、これらの中で、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)がより好ましく、ArFエキシマレーザー光がさらに好ましい。
本工程では、現像液を用い、露光工程で露光されたレジスト膜を現像する。これにより、所定のレジストパターンが形成される。上記現像液としては、例えばアルカリ水溶液、有機溶媒含有液等が挙げられる。上記現像液としてアルカリ水溶液を用いた場合、ポジ型のパターンを得ることができる。また、上記現像液として有機溶媒含有液を用いた場合、ネガ型のパターンを得ることができる。本工程で用いる現像液としてでは、膜減り抑制性をより向上させる観点から、アルカリ水溶液が好ましい。
本発明の重合体は、酸解離性基、及びこの酸解離性基により保護されたオキソ酸基又はこの酸解離性基により保護されたフェノール性水酸基を含む構造単位を有する重合体であって、上記酸解離性基が上記式(1)で表される。当該重合体は、上記特定の酸解離性基を含む構造単位を有するので、上述の当該感放射線性樹脂組成物の成分として好適に用いることができる。
本発明の化合物は、上記式(i)で表される。当該化合物は、上記特定の酸解離性基を含む構造単位を当該重合体に与える原料単量体として好適に用いることができる。
東ソー社製のGPCカラム(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本、及びG4000HXL:1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、試料濃度:1.0質量%、試料注入量:100μL、カラム温度:40℃、検出器:示差屈折計の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により各重合体のMw及びMnを測定した。また、各重合体の分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
日本電子社の「JNM−ECX400」を用い、測定溶媒として重クロロホルムを使用して、各重合体における各構造単位の含有割合(モル%)を求める13C−NMR分析を行った。
[合成例1](化合物(M−1)の合成)
500mLの丸底フラスコにマグネシウム5.83g(0.24mol)を入れ、水浴で撹拌を開始した。上記丸底フラスコへ、1,4−ジブロモブタン21.6g(0.1mol)をテトラヒドロフラン100mLに溶解させた溶液をゆっくりと滴下した。この反応液を水浴のまま2時間撹拌し、グリニャール試薬を発生させた。この反応液へ、下記化合物(m−1)20.8g(0.1mol)をテトラヒドロフラン100mLに溶解させた溶液をゆっくりと滴下した。この反応液を水浴のまま2時間撹拌し、その後、50℃で8時間撹拌した。この反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を添加して反応を停止させ、酢酸エチルで反応産物を抽出した。得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で2回洗浄した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄した。洗浄後の有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させることで溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィで精製することで、下記アルコール体(m−2)を17.3g(収率74%)得た。
前駆体を適宜選択し、合成例1と同様の操作を行うことによって、下記式(M−2)〜(M−12)で表される化合物(M−2)〜(M−12)を合成した。
各実施例及び比較例における各重合体の合成で用いた化合物(M−1)〜(M−12)以外の単量体を以下に示す。
化合物(M−1)5.15g(20モル%)、化合物(M’−10)5.38g(30モル%)、及び化合物(M’−1)9.47g(50モル%)を2−ブタノン40gに溶解し、開始剤としてAIBN0.70g(全モノマーに対して5モル%)をさらに添加して単量体溶液を調製した。次いで、20gの2−ブタノンを入れた100mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱した。この三口フラスコに上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。400gのメタノール中に冷却した上記重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を80gのメタノールで2回洗浄した後、さらにろ別し、50℃で17時間乾燥させることで白色粉末状の重合体(A−1)を合成した(収量17.8g、収率89%)。重合体(A−1)のMwは7,500であり、Mw/Mnは1.54であった。13C−NMR分析の結果、重合体(A−1)における化合物(M−1)、化合物(M’−10)及び化合物(M’−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ19.8モル%、30.1モル%及び50.1モル%であった。
表1に示す種類及び使用量の単量体を用い、合成例13と同様の操作を行うことによって、重合体(A−2)〜(A−21)及び(CA−1)〜(CA−4)を合成した。なお、これらの重合体の重合に使用した単量体の合計量は、それぞれ20gである。
化合物(M’−3)44.58g(60モル%)、化合物(M−1)55.42g(40モル%)、開始剤としてAIBN3.76g(全モノマーに対して5モル%)、及びt−ドデシルメルカプタン1.14gをプロピレングリコールモノメチルエーテル100gに溶解した後、窒素雰囲気下、反応温度を70℃に保持し、16時間共重合させた。重合反応終了後、重合溶液を1,000gのn−ヘキサン中に滴下し、重合体を凝固精製した。次いで、上記重合体に再度プロピレングリコールモノメチルエーテル150gを加えた後、メタノール150g、トリエチルアミン34g及び水6gをさらに加え、沸点にて還流させながら8時間加水分解反応を行った。反応終了後、反応溶液から溶媒及びトリエチルアミンを減圧留去し、得られた重合体をアセトン150gに溶解した後、2,000gの水中に滴下して凝固させ、生成した白色粉末をろ過し、50℃で17時間乾燥させることで白色粉末状の重合体(A−22)を得た(収量63.7g、収率72%)。重合体(A−22)のMwは7,400であり、Mw/Mnは1.88であった。13C−NMR分析の結果、重合体(A−22)におけるp−ヒドロキシスチレン及び化合物(M−1)に由来する各構造単位の含有割合は、それぞれ60.2モル%及び39.8モル%であった。
化合物(M’−12)79.9g(70モル%)及び化合物(M’−13)20.91g(30モル%)を100gの2−ブタノンに溶解し、開始剤としてジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート4.77g(全モノマーに対して5モル%)を溶解させて単量体溶液を調製した。次いで、100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、攪拌しながら80℃に加熱した。この三口フラスコに上記調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、上記重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。冷却後の上記重合溶液を2L分液漏斗に移液した後、150gのn−ヘキサンで上記重合溶液を均一に希釈し、その後600gのメタノールを投入して混合した。
実施例1〜29及び比較例1〜5の感放射線性樹脂組成物の調製に用いた[B]酸発生剤、[C]溶媒、[D]酸拡散制御剤及び[F]偏在化促進剤を以下に示す。
各化合物名及び構造式を以下に示す。
B−1:トリフェニルスルホニウム2−(アダマンタン−1−イルカルボニルオキシ)−1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−スルホネート
B−2:トリフェニルスルホニウムノルボルナンスルトン−2−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
B−3:トリフェニルスルホニウム3−(ピペリジン−1−イルスルホニル)−1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−スルホネート
B−4:トリフェニルスルホニウムアダマンタン−1−イルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
C−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
C−2:シクロヘキサノン
各化合物名及び構造式を以下に示す。
D−1:トリフェニルスルホニウムサリチレート
D−2:トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート
D−3:N−(n−ウンデカン−1−イルカルボニルオキシエチル)モルホリン
D−4:2,6−ジi−プロピルアニリン
D−5:トリn−ペンチルアミン
F−1:γ−ブチロラクトン
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)8.5質量部、[C]溶媒としての(C−1)2,240質量部及び(C−2)960質量部、[D]酸拡散制御剤としての(D−1)2.3質量部、[E]重合体としての(E−1)3質量部、並びに[F]偏在化促進剤としての(F−1)30質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−1)を調製した。
表2に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例1と同様に操作し、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
下記方法により、各感放射線性樹脂組成物のArF露光時のLWR性能、解像性、断面形状の矩形性、焦点深度及び膜減り抑制性を評価した。
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT12」)を使用し、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に上記スピンコーターを使用して表3に示す各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、感放射線性樹脂組成物を塗布したシリコンウエハーを23℃で30秒間冷却し、平均厚さ90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、NA=1.3、ダイポール(シグマ0.977/0.782)の光学条件にて、40nmラインアンドスペース(1L1S)マスクパターンを介して露光した。露光後、上記レジスト膜に90℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて上記レジスト膜をアルカリ現像し、水で洗浄した後、乾燥させることでポジ型のレジストパターンを形成した。このレジストパターン形成の際、ターゲット寸法が40nmの1対1ラインアンドスペースのマスクを介して形成した線幅が、線幅40nmの1対1ラインアンドスペースに形成される露光量を最適露光量とした。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(1)と同様に操作して、ネガ型のレジストパターンを形成した。
上記走査型電子顕微鏡を用い、形成したレジストパターンをパターン上部から観察した。線幅を任意のポイントで計50点測定し、その測定値の分布から3シグマ値を求め、これをLWR性能とした。LWR性能(nm)は、その値が小さいほどラインのガタつきが小さく良いことを示し、3.60nm以下の場合は良好、3.60nm超の場合は良好でないと評価できる。
上記最適露光量において解像される最小のレジストパターンの寸法を測定し、この測定値を解像性とした。解像性(nm)は、測定値が小さいほど微細なパターンを形成できることを示し、34nm以下の場合は良好、34nm超の場合は良好でないと評価できる。
上記最適露光量において解像されるレジストパターンの断面形状を観察し、レジストパターンの高さ方向での中間での線幅Lb及びレジストパターンの上部での線幅Laを測定した。断面形状の矩形性は、上記Lbに対するLaの比(La/Lb)が1に近いほどレジストパターンが矩形であり良いことを示す。断面形状の矩形性は、0.9≦(La/Lb)≦1.1の場合は良好、(La/Lb)<0.9の場合及び1.1<(La/Lb)の場合は良好でないと評価できる。
上記最適露光量において解像されるレジストパターンにおいて、深さ方向にフォーカスを変化させた際の寸法を観測し、ブリッジや残渣が無いままパターン寸法が基準の90%〜110%に入る深さ方向の余裕度を測定し、この測定結果を焦点深度とした。焦点深度(nm)は、その値が大きいほど、焦点の位置が変動しても得られるパターンの寸法の変動が小さく、デバイス作製時の歩留まりを高くすることができることを示し、40nm以上の場合は良好、40nm未満の場合は良好でないと評価できる。
12インチのシリコンウエハー表面に、スピンコーター(東京エレクトロン「CLEAN TRACK ACT12」)を使用し、下層反射防止膜形成用組成物(ブルワーサイエンス社の「ARC66」)を塗布した後、205℃で60秒間加熱することにより平均厚さ105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜上に、上記スピンコーターを使用して表3に示す各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、感放射線性樹脂組成物を塗布したシリコンウエハーを23℃で30秒間冷却し、平均厚さ90nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に対し、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社の「NSR−S610C」)を用い、70mJで全面露光を行った後に膜厚測定を実施し、PEB前の膜厚A(nm)を求めた。続いて、90℃で60秒間のPEBを実施した後に、再度膜厚測定を実施し、PEB後の膜厚B(nm)を求めた。さらに、100×(A−B)/A(%)を求めることでPEBによる膜収縮率を算出し、その値を膜減り抑制性とした。膜減り抑制性(%)は、測定値が小さいほどPEBによる膜収縮を抑制できて良いことを示し、20%以下の場合は良好、20%超の場合は良好でないと評価できる。評価結果を下記表3にあわせて示す。
[A]重合体としての(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての(B−1)20質量部、[C]溶媒としての(C−1)4,280質量部及び(C−2)1,830質量部、並びに[D]酸拡散制御剤としての(D−1)3.6質量部を配合し、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過することにより感放射線性樹脂組成物(J−26)を調製した。
表4に示す種類及び含有量の各成分を用いた以外は、実施例26と同様に操作し、各感放射線性樹脂組成物を調製した。
下記方法により、各感放射線性樹脂組成物の電子線露光時のLWR性能、解像性、断面形状の矩形性及び焦点深度を評価した。
8インチのシリコンウエハー表面にスピンコーター(東京エレクトロン社の「CLEAN TRACK ACT8」)を使用し、表4に記載の各感放射線性樹脂組成物を塗布し、90℃で60秒間PBを行った。その後、感放射線性樹脂組成物を塗布した上記シリコンウエハーを23℃で30秒間冷却し、平均厚さ50nmのレジスト膜を形成した。次に、このレジスト膜に簡易型の電子線描画装置(日立製作所社の「HL800D」、出力:50KeV、電流密度:5.0A/cm2)を用いて電子線を照射した。照射後、上記レジスト膜に120℃で60秒間PEBを行った。その後、アルカリ現像液として2.38質量%のTMAH水溶液を用いて上記レジスト膜を23℃で30秒間現像し、水で洗浄し、乾燥させることでポジ型のレジストパターンを形成した。
上記TMAH水溶液の代わりに酢酸n−ブチルを用いて有機溶媒現像し、かつ水での洗浄を行わなかった以外は、上記レジストパターンの形成(3)と同様に操作し、ネガ型のレジストパターンを形成した。
Claims (11)
- 酸解離性基、及びこの酸解離性基により保護されたオキソ酸基又はこの酸解離性基により保護されたフェノール性水酸基を含む第1構造単位、並びに下記式(a−1)又は下記式(a−2)で表される第2構造単位を有する重合体と、
感放射線性酸発生体と、
溶媒と
を含有する感放射線性樹脂組成物であって、
上記酸解離性基が、下記式(1)で表されることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
式(a−2)中、RA5は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RA6は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。RA7及びRA8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。LAは、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。) - 上記式(1)におけるLが、置換又は非置換のメタンジイル基である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるZが、置換若しくは非置換の環員数3〜20の1価の脂環式炭化水素基、又は置換若しくは非置換の環員数6〜20の1価の芳香族炭化水素基である請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるYが、置換又は非置換の環員数3〜20の2価の単環の脂環式炭化水素基である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるZが、置換又は非置換の環員数3〜20の1価の単環の脂環式炭化水素基である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 上記式(1)におけるZが、置換又は非置換の環員数3〜20の1価の多環の脂環式炭化水素基である請求項4に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 基板の一方の面側に請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を塗工する工程と、
上記塗工により得られたレジスト膜を露光する工程と、
上記露光されたレジスト膜を現像する工程と
を備えるレジストパターン形成方法。 - 下記式(1)で表される基、及びこの基により保護されたオキソ酸基又はこの基により保護されたフェノール性水酸基を含む第1構造単位、並びに下記式(a−1)又は下記式(a−2)で表される第2構造単位を有する重合体。
式(a−2)中、RA5は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。RA6は、水素原子又は炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。RA7及びRA8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は炭素数1〜20の1価のオキシ炭化水素基である。LAは、単結合、−O−、−COO−又は−CONH−である。)
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