JP6728661B2 - 車両用電源装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用電源装置及びその制御方法に関し、より詳細には、内燃機関の始動時の始動用電動機の不具合を解消する始動用電源に、電力を充電するための燃料消費量を削減して燃費を向上する車両用電源装置及びその制御方法に関する。
車両用の内燃機関(以下、エンジンという)の始動時には、エンジンのクランクシャフトを始動用電動機(以下、スタータという)で回転駆動しており、このスタータの電力は、発電機やモータージェネレータなどで発電された電力を蓄える汎用電源から供給されている。この汎用電源は、スタータ以外の電動装置や制御装置にも電力を供給しており、鉛蓄電池を例示できる。
しかし、汎用電源の充電状態によっては、スタータを駆動する分の消費電力が残存しているにも関わらず、始動時の大電流による電圧降下の影響でスタータを駆動できずに、エンジンを始動できない場合があった。
そこで、汎用電源とは別に、スタータに電気的に接続された始動用電源を備えた装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、始動用電源としては、電気二重層コンデンサや汎用電源よりも容量の小さい鉛蓄電池を例示できる。
この装置においては、始動用電源でスタータを始動させた後に、充電用スイッチを閉じて、スタータと始動用電源とを電気的に接続する始動用回路と、発電機と汎用バッテリとを電気的に接続する汎用回路とを接続して、始動用電源を充電している。そして、始動用電源の充電率が所定量以上になると充電用スイッチを開くことで、発電機からの電力をダイオードやDC/DCコンバータなどによる電圧降下や電力損失なしに始動用電源に供給し、次回のエンジン始動に必要な電力を確保している。
しかし、車両の走行中には発電機で発電された電力はスタータ以外の電動装置へと供給されると共に、その供給量に余裕がある場合には汎用バッテリに充電されている。そのため、走行中に発電機で発電された電力を汎用バッテリとは別の始動用電源にも充電するためには、発電機やモータージェネレータの発電量を増加する必要があり、その発電量の増加に伴ってエンジンの燃料消費量が増加するという問題があった。
特開平9−293017号公報
本発明の目的は、内燃機関の始動時の始動用電動機の不具合を解消する始動用電源に電力を充電するための燃料消費量を削減して燃費を向上することができる車両用電源装置及びその制御方法を提供することである。
上記の目的を達成する本発明の車両用電源装置は、内燃機関又は該内燃機関からの動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構に連結された発電機と、車両に搭載された電動装置及び該発電機のそれぞれに第一回路を介して電気的に接続された汎用電源と、該内燃機関の始動時に該内燃機関を回転駆動する始動用電動機に第二回路を介して電気的に接続された始動用電源と、前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続及び切断する接続切断手段とを備えた車両用電源装置において、燃料の噴射の停止により前記内燃機関を停止した走行中に、前記接続切断手段により前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続して前記発電機と前記電動装置と前記汎用電源と前記始動用電源とを並列に接続する制御を行う制御装置を備え、その走行中に前記発電機で発電された電力を前記始動用電源に充電する構成にし、前記始動用電源の充電がその走行中に限定されることを特徴とするものである。
上記の目的を達成する本発明の車両用電源装置の制御方法は、汎用電源に蓄えられた電力を車両に搭載された電動装置に供給し、走行中に内燃機関又は該内燃機関からの動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構からの動力により発電機で発電された電力を、第一回路を経由して該汎用電源及び該電動装置に供給し、該内燃機関の始動時に第二回路を経由して始動用電源に蓄えられた電力を始動用電動機に供給する車両用電源装置の制御方法において、燃料の噴射の停止により前記内燃機関を停止した走行中に、前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続して前記発電機と前記電動装置と前記汎用電源と前記始動用電源とを並列に接続して、その走行中に前記発電機で発電された電力を前記始動用電源に充電し、前記始動用電源の充電をその走行中に限定することを特徴とする方法である。
本発明の車両用電源装置及びその制御方法によれば、燃料の噴射の停止により内燃機関が停止した走行中に第一回路及び第二回路を電気的に接続して、燃料を使用せずにその走行中の運動エネルギーや位置エネルギーを利用した発電機の発電による電力で始動用電源を充電するので、発電機の発電のための内燃機関の駆動による燃料消費量を削減して燃費を向上することができる。
本発明の実施形態からなる車両用電源装置の構成図である。 時間経過に伴う始動キーの状態、車速、エンジン回転数、燃料噴射量、発電機の発電した電力の電流値、汎用電源の出力又は充電した電流値、始動用電源の出力又は充電した電流値の関係を例示する説明図である。 始動時の車両用電源装置の電力の流れを例示する説明図である。 燃料の噴射による走行中で、電動装置の消費電力が小さい場合の車両用電源装置の電力の流れを例示する説明図である。 燃料の噴射による走行中で、電動装置の消費電力が大きい場合の車両用電源装置の電力の流れを例示する説明図である。 燃料の噴射を停止した走行中の車両用電源装置の電力の流れを例示する説明図である。 始動用電源の充電状態を例示した説明図である。 時間経過に伴う始動キーの状態、車速、エンジン回転数、燃料噴射量、発電機の発電した電力の電流値、汎用電源の出力又は充電した電流値、始動用電源の出力又は充電した電流値の関係を例示する説明図である。 燃料の噴射による走行中で、電動装置の消費電力が小さい場合の車両用電源装置の電力の流れを例示する説明図である。 汎用電源の充電状態及び電圧の関係と、始動用電源の充電状態及び電圧の関係とを例示している説明図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態からなる車両用電源装置10を示す。なお、図中の一点鎖線は制御信号を示している。
この車両用電源装置10は、エンジン(内燃機関)20としてディーゼルエンジンを搭載し、そのエンジン20からの駆動力が動力伝達機構30を通じて駆動輪31に伝達される車両に備えられて、車両に搭載されたスタータ(始動用電動機)41や制御装置42などの電動装置40に電力を供給するものである。
この車両用電源装置10は、発電機11、汎用電源12、始動用電源13、及び接続切断手段14を備えて構成されている。また、車両用電源装置10から電力が供給される電動装置40としては、スタータ41や制御装置42の他に、インジェクター、燃料ポンプ、及びアクチュエータなどの駆動系、センサなどの制御系、エアコンディショナーやライトなどを例示できる。
発電機11としては、例えば、その回転軸15が無端状のベルト21によりエンジン20のクランクシャフト22に連結されたオルタネータを例示できる。なお、この発電機11は、PTO機構や減速機構などを介して、動力伝達機構30のトランスミッション34、プロペラシャフト35、及びドライブシャフト37に連結されるものでもよい。また、オルタネータに限定されずに、エンジン20や動力伝達機構30に駆動力の付加が可能なモータージェネレータで構成してもよい。また、この実施形態では、この発電機11として、制御装置42により発電量が変化する、すなわち回生負荷が変化するものを用いたが、回生負荷が一定のものを用いてもよい。
汎用電源12は、第一回路16を経由して発電機11、並びにスタータ41を除く電動装置40に電気的に接続されており、発電機11で発電された電力49を充電したり、自身に蓄えた電力47を電動装置40や制御装置42に供給したりしている。この汎用電源12としては、鉛バッテリを例示できる。
始動用電源13は、第二回路17を通じてスタータ41に電気的に接続されており、エンジン20の始動時に自身に蓄えた電力48をスタータ41に供給している。この始動用電源13としては、その使用電圧範囲の少なくとも一部が、汎用電源12の使用電圧範囲に重なるもの、すなわち、満充電時の電圧が汎用電源12の満充電時の電圧以上、かつ電流値がゼロのときの電圧である開放電圧(OCV)が汎用電源12の開放電圧以下のものが好ましく、さらに、内部抵抗が小さく、始動時の大電流による電圧降下の低いものがより好ましい。このような電源としては、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、鉛バッテリ、鉛カーボンバッテリ、NiMHバッテリ、及びリチウムイオンバッテリを例示できる。
中でも、この始動用電源13としては、リチウムイオンキャパシタがより好ましい。リチウムイオンキャパシタは、電気二重層キャパシタの原理を使いながら負極材料として リチウムイオン吸蔵可能な炭素系材料を使い、そこにリチウムイオンを添加することでキャパシタとバッテリの蓄電原理を併せ持つことにより、エネルギー密度が高く瞬発的な出力が高く、かつ内部抵抗の低い電源である。そのために、始動用電源13として、リチウムイオンキャパシタを用いることで、エンジン20の始動時に大電流の電力48をスタータ41へ確実に供給できる。
接続切断手段14は、通常時には第一回路16及び第二回路17を電気的に切断し、所定の条件下では第一回路16及び第二回路17を電気的に接続して、発電機11、汎用電源12、始動用電源13、及び電動装置40を並列に接続する装置で構成されている。この接続切断手段14は、所定の条件を除いて第一回路16及び第二回路17を電気的に切断することで、始動用電源13の暗電流による放電を抑制しており、例えば、常時開放型(ノーマリーオープン型)の開閉器や継電器を例示できる。また、この接続切断手段14の開閉は、電磁石やアクチュエータで形成された駆動装置18により制御されている。
これらの発電機11、汎用電源12、始動用電源13、及び駆動装置18は、制御装置42により制御されている。具体的には、制御装置42は、発電機11の図示しないスイッチング機構により発電機11の発電を停止したり、発電機11の発電する電力49の電圧を調整することで、回生負荷を調節したりしている。また、制御装置42は、汎用電源12及び始動用電源13のそれぞれの充電状態(SOC)を監視すると共に、電動装置40や制御装置42で消費される消費電力も監視している。加えて、制御装置42は、駆動装置18への制御信号(電流値)を制御して接続切断手段14の開閉を制御している。
さらに、この制御装置42は、運転者により操作される始動キー43、アクセルペダル44の開度を検出する開度センサ45、及びエンジン回転数を検出する回転数センサ46などのセンサ類と接続されており、アイドリングストップからのスタータ41の駆動、エンジン20の気筒23への燃料の噴射量や噴射タイミングの調節、流体継手32のロックアップ、クラッチ33の接続状態及び切断状態、並びにトランスミッション34の変速も制御している。
この制御によって、エンジン20においては、複数(この例では6個)の気筒23内における燃料の燃焼により発生した熱エネルギーにより、クランクシャフト22が回転駆動され、このクランクシャフト22の回転動力は、動力伝達機構30を通じて駆動輪31に伝達される。また、動力伝達機構30においては、クランクシャフト22の回転動力が流体継手32及び湿式多板クラッチ33を通じてトランスミッション34に伝達される。このトランスミッション34で変速された回転動力は、プロペラシャフト35を通じてデファレンシャル36に伝達され、ドライブシャフト37を通じて一対の駆動輪31にそれぞれ駆動力として分配される。
なお、この実施形態では、一つの制御装置42が車両用電源装置10、エンジン20、及び動力伝達機構30を制御する構成としたが、各装置を制御する複数の制御装置を車載用ネットワークで接続した制御ユニットを用いてもよい。
このような車両用電源装置10において、制御装置42が、燃料の噴射の停止によりエンジン20を停止した走行中に、接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を電気的に接続して発電機11、汎用電源12、始動用電源13、及び制御装置42を含む電動装置40を並列に接続する制御を行うように構成され、その走行中に発電機11で発電された電力50を始動用電源13に充電する構成としたことを特徴とする。
燃料の噴射の停止によりエンジン20を停止した走行とは、惰性走行中や制動中のことであり、この実施形態のように、発電機11がエンジン20のクランクシャフト22に連結されている場合には、エンジンブレーキが作動している場合を示す。なお、動力伝達機構30に発電機11を連結した場合には、エンジンブレーキが作動していない場合でも、発電機11を発電できるので、走行中の回生機会を増加することができる。
この車両用電源装置10の制御方法を、図2〜図6に基づいて制御装置42の機能として以下に説明する。図2は時間経過に伴う始動キー43の状態、車速V、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Qe、発電機11の発電した電力の電流値IACG、汎用電源12の出力した電流値IBA1、始動用電源13の出力した電流値IBA2の関係を例示している。図3〜図6は車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
図2の時間t1で、運転者により始動キー43がアクセサリーポジション(以下、ACCという)の位置に回されると、汎用電源12に蓄えられた電力47が電動装置40や制御装置42に供給される。なお、始動キー43の代わりに、始動ボタンを用いてもよい。
次いで、時間t2で、始動キー43がオン(ON)の位置に回されると、始動用電源13から大電流の電力48がスタータ41に供給される。図3は、この時間t2までの車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
次いで、時間t2から時間t3までの間で、スタータ41によってクランクシャフト22が強制的に回転駆動される。このクランクシャフト22の強制的な回転駆動により発電機11が発電を開始して、発電された電力49が汎用電源12、電動装置40、及び制御装置42に供給される。また、クランクシャフト22の回転駆動が回転数センサ46により検知されると、気筒23に燃料を噴射が開始される。また、気筒23への燃料の噴射が開始されて、始動キー43がロック(LOCK)の位置に回されると、始動用電源13からスタータ41への電力48の供給は停止する。
次いで、電動装置40の消費電力が小さい場合、つまり、電動装置40や制御装置42の消費電力が発電機11で発電された電力49で賄える場合は、時間t3から時間t4までの、走行中に発電機11で発電された電力49は、電動装置40や制御装置42に供給される。また、この電力49は、汎用電源12にも供給される。図4は、電動装置40の消費電力が小さい場合の時間t3から時間t4までの車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
一方、電動装置40の消費電力が大きい場合、電動装置40や制御装置42の消費電力が発電機11で発電された電力49で不足する場合は、走行中に発電機11で発電された電力49と、汎用電源12に蓄えられた電力47との両方の電力が電動装置40及び制御装置42に供給される。図5は、電動装置40の消費電力が大きい場合の時間t3から時間t4までの車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
なお、時間t4までの始動時や燃料の噴射による走行中には、接続切断手段14は第一回路16及び第二回路17を切断した状態を維持して、燃料の噴射により発電機11で発電された電力49を充電しないようにしたり、始動用電源13の暗電流による放電を抑制したりしている。
次いで、時間t4でエンジンブレーキが作動して、時間t4から時間t5までの間の気筒23への燃料の噴射が停止されてエンジン20のクランクシャフト22がプロペラシャフト35の回転動力により回転しているときに、制御装置42が駆動装置18へ制御信号を送る。次いで、制御装置42からの制御信号を受信した駆動装置18が接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を接続する。
これにより、エンジンブレーキの作動中に発電機11と始動用電源13とが並列に接続されて、その燃料の噴射が停止された走行中に発電機11で発電された電力50が第一回路16から接続切断手段14を経由して第二回路17に流れて、始動用電源13に充電される。図6は、この時間t4から時間t5までの車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
次いで、時間t5から時間t6まで、車両は停車しており、エンジン20はアイドリングストップ状態に維持される。次いで、時間t6で運転者がアクセルペダルを踏み込むと、制御装置42がスタータ41へ制御信号を送る。次いで、始動用電源13から大電流の電力48がスタータ41に供給される。図3は、時間t6の車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
これ以降の制御は前述した通りであり、時間t7で、気筒23への燃料の噴射が開始さ
れると、始動用電源13からスタータ41への電力48の供給は停止する。
このような制御を行うようにしたので、気筒23への燃料の噴射の停止によりエンジン20が停止した走行中に、接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を電気的に接続して、燃料を使用せずにその惰性走行中や制動中などの運動エネルギーや位置エネルギーを利用した発電機11の発電による電力50で始動用電源13を充電するので、発電機11の発電のためのエンジン20の駆動による燃料消費量を削減して燃費を向上することができる。
なお、始動用電源13の充電は、燃料の噴射の停止によりエンジン20が停止した走行中に限定することが好ましい。つまり、始動用電源13の充電には、燃料を全く使用しないようにすることで、より効果的に燃費を向上することができる。
上記の車両用電源装置10においては、制御装置42を、始動用電源13の充電状態(SOC)がエンジン20の始動時にスタータ41を駆動可能な始動用充電状態Csよりも電力が充電された状態の場合には、燃料の噴射によりエンジン20を駆動した走行中に、接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を電気的に接続して、発電機11、汎用電源12、始動用電源13、及び制御装置42を含む電動装置40を並列に接続する制御を行うように構成され、その走行中に始動用電源13の充電状態が始動用充電状態Csになるまで、始動用電源13に蓄えられた電力48を電動装置40や制御装置42に供給する構成が望ましい。
図7は、始動用電源13の充電状態を例示している。始動用電源13の充電状態には、始動用電源13の種類により適正な運用範囲が設定されており、その運用範囲の上限値Chは、始動用電源13の満放電を0%、満充電を100%とした場合には、50%以上、好ましくは60%以上の状態であり、下限値Clは、50%未満、好ましくは40%以下の状態である。
スタータ41を駆動可能な電力量、すなわちスタータ41で消費される電力量をΔCとすると、始動用充電状態Csは、下限値Clにその電力量ΔCを加算した値になり、スタータ41の消費する電力量ΔCに基づいて設定されている。この始動用充電状態Csは、例えば、50%以上、70%以下の状態である。
また、この燃料の噴射によりエンジン20を駆動した走行中に接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を電気的に接続している間には、制御装置42が発電機11の発電量を低下する制御を行うように構成されることが望ましい。なお、この発電機11の発電量を低下する制御には、発電機11を停止する制御を含む。
この車両用電源装置10の制御方法を、図8〜図10に基づいて制御装置42の機能として以下に説明する。図8は始動キー43の状態、車速V、エンジン回転数Ne、燃料噴射量Qe、発電機11の発電した電力の電流値IACG、汎用電源12の出力した電流値IBA1、始動用電源13の出力した電流値IBA2の関係を例示している。図9は車両用電源装置10の電力の流れを例示している。図10は、一点鎖線が汎用電源12の充電状態及び電圧の関係を例示し、実線が始動用電源13の充電状態及び電圧の関係を例示している。
図8に示すように、時間t5までは図2に示した制御と同様である。時間t5で運転者がアクセルペダルを踏み込むと車両は加速する。このとき、制御装置42が、始動用電源13の充電状態が始動用充電状態Csよりも電力が充電された状態と判定すると、駆動装置18へ制御信号を送る。次いで、制御装置42からの制御信号を受信した駆動装置18
が接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を接続する。また、制御装置42が、電動装置40や制御装置42の消費電力を検出し、その消費電力が始動用電源13からの電力48で賄えると判定すると、発電機11を停止する制御を行う。
この制御により、発電機11、汎用電源12、始動用電源13、及び制御装置42を含む電動装置40が並列に接続されて、燃料の噴射によりエンジン20を駆動した走行中に始動用電源13に蓄えられた電力48が第二回路17から接続切断手段14を経由して第一回路16に流れて、制御装置42を含む電動装置40に供給される。図9は、この時間t5から時間t8までの車両用電源装置10の電力の流れを例示している。
次いで、時間t8から始動用電源13から電動装置40へ供給される電力48は低下していき、一方、汎用電源12から電動装置40へ供給される電力47は増加していく。次いで、時間t9で電力47及び電力48は等しくなる。次いで、時間t10で制御装置42が、始動用電源13の充電状態が始動用充電状態Csになったと判定すると、制御装置42が駆動装置18へ制御信号を送る。次いで、制御装置42からの制御信号を受信した駆動装置18が接続切断手段14により第一回路16及び第二回路17を切断する。また、このとき、制御装置42は、発電機11の発電を開始させる。
図10は、電動装置40の消費電流が10Aの場合を例示している。ここで、時間t5の時点では、汎用電源12の充電状態及び始動用電源13の充電状態はそれぞれ上限値とする。
時間t5から時間t8まで、始動用電源13から電動装置40に電力48が供給されると、始動用電源13の充電状態が上限値Chから充電状態C1まで低下し、その充電状態の低下に伴って始動用電源13の電圧が電圧Uhから電圧U1まで降下していく。その電圧U1は、始動用電源13が電動装置40の消費電流(10A)を供給可能な電圧である。
次いで、時間t8から時間t9になるまでは、つまり、始動用電源13の充電状態が充電状態C1から始動用充電状態Csになり、かつ電圧が電圧U1から始動用電圧Usになるまでは、汎用電源12及び始動用電源13からの両方の電力47、48が電動装置40や制御装置42に供給される。
始動用電源13は、電圧が電圧U1よりも低下すると、出力される電流値IBA2はその低下と共に低下していき、始動用電源13からの電力48のみでは、電動装置40の消費電力を賄えなくなる。そこで、汎用電源12からの電力47でその不足分が補われる。
このように、始動用電源13からの電力48で電動装置40の消費電力を賄えない場合には、始動用電源13からの電力48に加えて、汎用電源12からの電力47が自動的に供給される。さらに、汎用電源12及び始動用電源13の電力でも不足する場合には、その不足分に応じて発電機11を発電するとよい。前述したように、制御装置42は、発電機11のスイッチング機構により発電する電力49の電圧を調整することで、回生負荷、つまり発電量を調節することができる。
上記のような制御を行うので、始動用電源13の充電状態が始動用充電状態Csよりも高い充電状態の場合には、第一回路16及び第二回路17を電気的に接続して、始動用電源13の充電状態C2が始動用充電状態Csになるまで、始動用電源13に蓄えられた電力48を電動装置40に供給できる。これにより、燃料の噴射を停止した走行中に発電機11によって発電された電力50を積極的に利用することができ、発電機11の発電のためのエンジン20の駆動による燃料消費量を削減して燃費を向上することができる。
また、始動用電源13に蓄えられた電力48を電動装置40に供給している間に、発電機11の発電量を低下する、あるいは発電機11を停止するようにしたことで、その間のエンジン20の運転状態を低負荷にできるので、その分、燃料消費量を削減して燃費をより向上することができる。
つまり、始動用電源13の充電状態C2が始動用充電状態Csよりも高い充電状態にあるときには、制御装置42を含む電動装置40に対しては、発電機11、汎用電源12、及び始動用電源13の三つを電力の供給源とすることができ、その三つの電力の供給源のうちの始動用電源13から供給させることで、エンジン20の運転状態を低負荷にすることができる。
10 車両用電源装置
11 発電機
12 汎用電源
13 始動用電源
14 接続切断手段
16 第一回路
17 第二回路
20 エンジン
30 動力伝達機構
31 駆動輪
40 電動装置
41 スタータ(始動用電動機)
42 制御装置

Claims (5)

  1. 内燃機関又は該内燃機関からの動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構に連結された発電機と、車両に搭載された電動装置及び該発電機のそれぞれに第一回路を介して電気的に接続された汎用電源と、該内燃機関の始動時に該内燃機関を回転駆動する始動用電動機に第二回路を介して電気的に接続された始動用電源と、前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続及び切断する接続切断手段とを備えた車両用電源装置において、
    燃料の噴射の停止により前記内燃機関を停止した走行中に、前記接続切断手段により前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続して前記発電機と前記電動装置と前記汎用電源と前記始動用電源とを並列に接続する制御を行う制御装置を備え、
    その走行中に前記発電機で発電された電力を前記始動用電源に充電する構成にし、前記始動用電源の充電がその走行中に限定されることを特徴とする車両用電源装置。
  2. 前記制御装置を、前記始動用電源の充電状態が前記内燃機関の始動時に前記始動用電動機を駆動可能な始動用充電状態よりも電力が充電された状態の場合には、燃料の噴射により前記内燃機関を駆動した走行中に、前記接続切断手段により前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続して前記発電機、前記汎用電源、該始動用電源、及び前記電動装置を並列に接続する制御を行う構成にし、
    その走行中に前記始動用電源の充電状態が前記始動用充電状態になるまで、該始動用電源に蓄えられた電力を前記電動装置に供給する構成にした請求項1に記載の車両用電源装置。
  3. 前記制御装置を、燃料の噴射により前記内燃機関を駆動した走行中の、前記接続切断手段により前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続している間に、前記発電機の発電量を低下する制御を行う構成にした請求項2に記載の車両用電源装置。
  4. 前記制御装置を、前記内燃機関の始動時、及び、燃料の噴射により前記内燃機関を駆動した走行中のうち前記始動用電源の充電状態が前記始動用充電状態よりも電力が充電された状態を除いた走行中に、前記接続切断手段により前記第一回路及び前記第二回路を電気的に切断する制御を行う構成にした請求項2または3に記載の車両用電源装置。
  5. 汎用電源に蓄えられた電力を車両に搭載された電動装置に供給し、走行中に内燃機関又は該内燃機関からの動力を駆動輪に伝達する動力伝達機構からの動力により発電機で発電された電力を、第一回路を経由して該汎用電源及び該電動装置に供給し、該内燃機関の始動時に第二回路を経由して始動用電源に蓄えられた電力を始動用電動機に供給する車両用電源装置の制御方法において、
    燃料の噴射の停止により前記内燃機関を停止した走行中に、前記第一回路及び前記第二回路を電気的に接続して前記発電機と前記電動装置と前記汎用電源と前記始動用電源とを並列に接続して、その走行中に前記発電機で発電された電力を前記始動用電源に充電し、前記始動用電源の充電をその走行中に限定することを特徴とする車両用電源装置の制御方法。
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