JP6724279B2 - ストレスマネジメント支援システム - Google Patents
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Description
メンタルヘルス対策として有効な手段は、カウンセリングやコミュニケーションの練習などである。その中でも特に有効な手法は、ストレスコーピング、認知行動療法、アサーションなどであり、これらは必要に応じてカウンセリング中に実施される。
しかし、被雇用者等のメンタルヘルス対策のため、全ての使用者等がカウンセラーと嘱託契約を締結してカウンセリングを実施することは、カウンセリング費用が高額である、地方ではカウンセラーが不足している等の理由から、現実には困難である。
しかし、係る従来技術では、被験者(ユーザー)はディスプレイ上の指示を読み取り、ディスプレイに対して文章或いはクリックにより回答する方式であり、被験者はディスプレイに対して長時間向かい合わなければならず、当該被験者のメンタル面に対して良くない影響が懸念される。
また、従来のソフトウェアでは質問や被験者の回答に対する応答が画一的であるため、被験者の千変万化する心の状態に対応して、精神科医やカウンセラーが行う様に被験者に対応した適切な質問、回答に対する適切な判断をすることは困難である。
物事の捉え方(認知)を把握しておくことにより、アサーションで発した言葉が、どの様な認知が発した言葉であるのかが入力できる。それにより、被験者(M)が、自らの言葉と認知との関係を自覚することが出来る。
本発明のストレスマネジメント支援システム(100)は、例えば会社内に設置される産業用の用途のみならず、病院その他の医療施設にも設置することが出来る。本発明のストレスマネジメント支援システム(100)を医療施設内に設置した場合には、集団認知行動療法をする際に、前記アンドロイド(AN)に司会役或いは事例を示す役割(通常はカウンセラーが担当)を担当させることが出来る。
その結果、カウンセラーが使用者等の職場に常駐していなくても、当該職場に人工知能(10)を備えた人型ロボット(AN:アンドロイド)を設置することにより、当該アンドロイド(AN)が「高ストレス者」や「コミュニケーションなどで悩んでいる」に該当する従業者等に対してカウンセリングを行い、ストレスコーピング、認知行動療法、アサーションを実行して、従業者等に対して効果的なメンタルヘルスケアやトレーニングを実施することが出来る。その結果、うつ病発症の予防や復職に際してのメンタルヘルスケアやトレーニングをすることも可能となる。
そして前記アンドロイド(AN)には、所定の条件を充足する従業者(例えば、残業時間が法定労働時間を大幅に超えて深刻な状態に陥る可能性の高い従業者等や、アンドロイドANによるカウンセリングにより症状の改善が見られず服薬などによる治療が必要と判断された従業者等)には、産業医や精神科医の面接を強く勧奨することにより、適切な時期に専門医に受診させることで疾病の予防につながり、病状の改善を図ることが出来る。このことは、自死の予防など心の健康のみならず、脳・心疾患の発症予防にも寄与する。
また、同一被験者(M)であっても、時々刻々、心の状態や健康状態が変動するが、人工知能(10)を備えたアンドロイド(AN)の高い学習機能により、千変万化する心の状態に対応して被験者(M)に最適なカウンセリングを実行することが可能である。
アメリカの心理学者アルバート・メラビアンは、話し手が聞き手に与える影響がどのような要素で形成されているかについて、次のような研究結果を報告した。その内容は、視覚情報(見た目、身だしなみ、表情、視線など)55%、聴覚情報(声の質、大きさ、テンポ)38%、言語情報(話す言葉そのものの意味)7%であった。つまり、コミュニケーションにおいて相手に与える影響の中で「言語情報」は1割にも満たず、相手に与える印象は「非言語」の部分が9割以上を占めているということになる。
被験者の表情、脈拍、声色というパラメータを加味してカウンセリングやトレーニングに必要な各種判断を行うことは、従来のソフトウェアでは困難である。しかし、高い学習機能を有する人工知能(10)なら、被験者(M)の表情、脈拍、声色という「非言語の部分」に該当するパラメータを加味した判断が可能である。そして本発明によれば、学習能力を持つ人工知能を使った認知行動療法やアサーショントレーニングが実現され、被験者(M)に対して適切な認知行動療法やアサーショントレーニングを行うことが出来る。
本発明によれば、状況に応じてさまざまなストレスコーピング(ストレスに対する対処行動)を選択できるようになり、歪んだ認知を修正して現実的な認知ができるようになり、コミュニケーション能力が向上し、ストレス対処能力が向上し、メンタルヘルス上の重大な問題が発生する頻度が減少し、被験者のメンタルヘルスのみならず健全で生産的な人間関係の形成にも大いに寄与することが出来る。
その結果、被験者(M)のコミュニケーション能力が向上し、被験者(M)のストレス対処能力が向上することにより、被験者(M)の受けるストレスを和らげたり、または自己肯定感(自分の自信)を高めたりして、精神的な平穏を維持する能力や健全で生産的な人間関係を形成する能力を高くすることが出来る。
従来の質問紙やディスプレイ画面上による調査では、自分が「高ストレス者」に該当しない様に被験者自身が回答をコントロールしていることも多々あるが、本発明によれば、「重症化した人」などを「カウンセリング不要」と判断してしまうこと(いわゆる「取りこぼし」)を少なくすることが出来る、というメリットもある。
なお、本発明において、認知行動療法の後にアサーションを行う様にすれば、被験者(M)は予め自らの物事の捉え方(認知)或いはその傾向を把握しておくことにより、アサーションにおいて発した言葉が、どの様な認知がもたらしたものであるのかを判断することが可能になる。その結果、被験者(M)は、言葉と認知との関係を自覚することが出来て、コミュニケーション能力の向上に繋げることが出来る。
最初に図1を参照して、図示の実施形態の概要を説明する。
図示の実施形態では、アンドロイドAN(人型ロボット)は、被験者Mと対面する様に配置されている。そして、アンドロイドANはコントロールユニット10を備えている。構成を明確化するため、図1では、コントロールユニット10はアンドロイドANとは別体に表示している。
図示の実施形態では、コントロールユニット10は、いわゆる「人工知能(AI)」で構成されている。そのため、アンドロイドANのコントロールユニット10は、通常のPC等の情報処理機器に比較して、格段に高い学習能力を有している。
計測装置1は、被験者Mの表情を読み取る機能を有する画像センサ(映像センサ、図2の符号S1)、被験者Mの音声を聞き取る音声センサ(図2の符号S2)、被験者Mの脈拍、血圧、体温をそれぞれ計測するセンサ(図2の符号S3、S4、S5)を包含している。ここで、被験者Mの表情、音声等からその疲労度を計測(推測)することが出来る。
図1において、被験者M側には入出力装置2が配置され、入出力装置2は計測装置1を介してコントロールユニット10に接続されている。図示の実施形態では、例えば前記ストレスチェックテストを実施する際に、被験者Mは入出力装置2を用いてストレスチェックテストの回答(ストレスチェックテスト入力データ)を入力することが出来る。
アンドロイドAN(のコントロールユニット10)により対話形式でストレスコーピング、認知行動療法、アサーションを実行するに際して、その場で被験者Mの表情、音声、脈拍、血圧、体温(被験者Mの各種パラメータ)が、計測装置1が包含する各種センサにより、検知又は計測される。
図1の符号Aで示す領域内は、計測装置1により計測、検知され、入力された情報を表示している。
図1において、アンドロイドANとコントロールユニット10は、情報ラインLで連結された状態で表現されており、計測装置1による計測された各種情報は情報ラインLを介してコントロールユニット10に送信され、処理される。換言すれば、アンドロイドANとコントロールユニット10が必要な情報の授受を行っている。
過去のデータとしては、図1のカッコB内に示す通り、例えば、被験者Mの健康診断結果、過去の労働時間、ストレスチェックテスト結果、SOC(首尾一貫感覚)検査の結果、コミュニケーションスキル、過去のカウンセリングの履歴(ストレスコーピング、アサーション、認知行動療法の過程)がある。
また、被験者Mの個人的なデータとして、出退勤時刻(タイムカード)、睡眠時間(ただし、被験者本人から提供がある場合)に関するデータが保存されている(図1のカッコB内)。
人工知能により構成されたコントロールユニット10の高い学習機能により、過去の履歴(例えば、カウンセリングの履歴等)、各種テストの結果、アサーション、認知行動療法の過程に基づいて、当該被験者Mに対して適切な質問やトレーニングの内容等を、情報ラインL及びアンドロイドANにより、当該被験者Mに対して出力し、最適なカウンセリング(例えばストレスコーピング、アサーション、認知行動療法)を、被験者Mに提供することが出来る。
また、同一の被験者Mであっても、時々刻々、心の状態や健康状態が変動するが、人工知能により構成されたコントロールユニット10は、千変万化する被験者Mの心の状態に対応して、被験者Mに対して必要な出力(図1の符号Cで示す領域参照)を行うことが出来る。
また、人工知能で構成されたコンロールユニット10によれば、カウンセリングを行う中で被験者のストレス対処行動の傾向を把握し(行動傾向テスト)、認知のクセについても把握することで、被験者Mの状況に適合したストレスコーピングのアドバイス等を提供することが出来る。
認知行動療法としては、「コラム法」と「行動と(それに伴う)気分の日記」がある。コラム法は、7コラム(スタンダード)と3コラム(簡易版)がある。7コラムでは第1〜第7までの7つのコラムを、3コラムでは第1〜第3までの3つのコラムを被験者Mが記入する。7コラムの例を挙げると、第1のコラムに「そのときの状況:上司にメールをしたが返信がない」、第2のコラムに「そのときの気分や感情:悲しい70点・不安30点」、第3のコラムに「そのとき瞬間的に浮かんだ考えやイメージ(自動思考):上司は自分を嫌っている」、第4のコラムに「根拠:最近、声をかけられなくなった」、第5のコラムに「自動思考と矛盾する事実:他の同僚も似たようなことがあったと言っていた」、第6のコラムに「バランスの良い別の考え方:上司は自分にだけメールの返信をしないわけではなく、自分にだけ声をかけないわけではなく、他の人にもそうだから忙しいのかもしれない」、第7のコラムに「考え方を変えた時のこころの変化(今の気分):悲しい20点、不安10点、スッキリ70点」となる。一方、簡易版3コラムでは、第1のコラム「そのときの状況:上司にメールをしたが返信がない」、第2のコラム「そのとき瞬間的に浮かんだ考えやイメージ(自動思考):上司は自分を嫌っている」、第3のコラム「そのときの気分や感情:悲しい70点・不安30点」を記入する。このように、捉え方次第で気分が左右されるため、「できごと」に対しての捉え方が現実的な認知なのかどうかを点検し、歪んだ認知であることが分かれば現実的な内容に捉えなおす練習をしていくことで、認知再構成が行われる。
また、「行動と気分の日記」には、気分の良くなった行動とそのときの気分を「日記」に入力し、寝る前に1日を振り返る時間をもつ。寝る前に気分が良かったことを思い出す理由は、眠る前に良いことを思い出すことと質の良い眠りは関連すると言われているからである。自分はどのような行動をすると気分が良くなるのかを蓄積していき、行動パターンを分析していくことは成功体験を蓄積することにつながる。
換言すれば、人工知能で構成されたコンロールユニット10は、ストレスコーピング、認知行動療法、アサーションの全てに適用することが出来る。また、カウンセリングにおける状況設定及びカウンセリングの双方に適用することが出来る。
ストレスチェックテストの上述した構成項目について点数化して、被験者Mが高ストレス者か否か、または予備軍かどうかを判定することが出来る。図示の実施形態では、選定或いは抽出された高ストレス者や予備軍について、カウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)を実行する。ただし、予備軍の選定、抽出に際しては、被験者Mの画像センサ、音声センサ、脈拍センサ等の計測結果、被験者Mの過去のデータ等も参酌される(図2参照)。
上述した様に、人間と類似する外観を有するアンドロイドANのコントロールユニット10を適用する図示の実施形態であれば、コミュニケーション能力のトレーニングに好適である。従来のソフトウェア(いわゆる「アプリ」を含む)によるトレーニングはディスプレイ上に表示された文章に従って被験者Mが応答するが、ディスプレイの画面に対して対話形式のカウンセリングを行うと、被験者(M)は「虚しさ」を感じてしまう。それに対して、アンドロイド(AN)と対話形式で行うカウンセリングでは、その様な「虚しさ」を被験者(M)は感じない。そして、人間ではなく、アンドロイド(AN)に話すため、話しにくい内容であっても、相手にどう思われるかなどを気にせず自己開示しやすいというメリットもある。上述した様な理由により、図示の実施形態の様にアンドロイドANと対話形式で実行されるトレーニングの方が、コミュニケーション能力のトレーニングの効果が高くなる。
さらに、図示の実施形態では、アンドロイドAN自体の表情や声色を変化させることが出来る。そのため、被験者Mに対して、表情を読み取るトレーニング、音声に含まれる感情を読み取るトレーニングを実行することが可能である。
ただし、体温、脈拍、その他のセンサが無くても、図示の実施形態を用いて心のチェック、カウンセリング、トレーニングを行うことも可能である。
明確には図示されていないが、図示の実施形態に係るストレスマネジメント支援システム100は、産業用(例えば会社内に設置)のみならず、病院その他の医療・福祉施設にも設置することが出来る。図示の実施形態に係るストレスマネジメント支援システム100を病院その他の医療・福祉施設に設置した場合には、例えば、集団認知行動療法に際して、司会役或いは事例を示す役割(通常はカウンセラーが担当)を、前記アンドロイドANが担当する。
図2において、アンドロイドANのコントロールユニット10は、データ処理ブロック10A、画像処理ブロック10B、音声処理ブロック10C、パラメータ処理ブロック(自律神経系)10D、ストレス・疲労度判定ブロック10E、セラピーブロック10F、コーピングブロック10G、認知行動療法ブロック10H、アサーションブロック10I、記憶ブロック10Jを含んでいる。
以下、機能ブロックの各々における機能を説明する。ここで、以下に述べる機能ブロックの機能は、公知技術或いは市販のソフトウェア技術を適用し、公知の人工知能(AI)で構成することにより実行可能である。
データ処理ブロック10Aにより処理されたデータは、信号ラインSL2を介して、ストレス・疲労度判定ブロック10Eに送信される。
上述した様に、計測装置1は、画像センサS1、音声センサS2、脈拍センサS3、血圧センサS4、体温センサS5を包含している。
画像処理ブロック10Bにより処理されたデータは、信号ラインSL4を介して、ストレス・疲労度判定ブロック10Eに送信される。
音声処理ブロック10Cにより処理されたデータは、信号ラインSL6を介して、ストレス・疲労度判定ブロック10Eに送信される。
パラメータ処理ブロック10Dにより処理されたデータは、信号ラインSL10を介して、ストレス・疲労度判定ブロック10Eに送信される。
また、ストレス・疲労度判定ブロック10Eは、上述した各種データに基づいて、カウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)を必要とする(カウンセリングを実行する対象となる)高ストレス者を特定(選定、抽出)する機能を有している。
また、ストレス・疲労度判定ブロック10Eは、信号ラインSL11を介して、記憶ブロック10Jから被験者Mの過去のデータ(健診データ、ストレスチェックテスト結果、カウンセリングの履歴等)を取得する。
ストレス・疲労度判定ブロック10Eの判定結果は、信号ラインSL12を介して、セラピーブロック10Fに送信される。
セラピーブロック10Fからの指令信号は、信号ラインSL13、SL14、SL15を介して、コーピングブロック10G、認知行動療法ブロック10H、アサーションブロック10Iのそれぞれに送信される。
被験者Mとのストレスコーピングに際して、コーピングブロック10Gは、アンドロイドAN側に配置したアンドロイド出力装置3に、信号ラインSL16を介して、ストレスコーピング(カウンセリング)の内容(アンドロイドANの音声、アンドロイドANの表情の制御信号を含む)を出力し、以て、被験者Mと対話形式のカウンセリングを行う。
ここで、コーピングブロック10Gは、カウンセリングの内容や、検出した各種データから総合的に判断して被験者Mにストレス対処方法のアドバイスを行うとともに、心身の疲労度を告知し、長時間労働の警告を行い、さらに産業医面談を勧奨する機能を有している。
コーピングブロック10Gが実行するカウンセリングに際して、被験者Mの発する音声を検知する音声センサ、被験者Mの表情を検知する画像センサの検出結果を参照することにより、被験者Mの心の状態に対応して、アンドロイドANの音声、表情を変化させる。上述した通り、アンドロイドANは、その音声、表情を状況に応じて変化させることが出来るからである。
さらにコーピングブロック10Gは、アンドロイド出力装置3から、信号ラインSL17を介して、被験者Mのカウンセリング(ストレスコーピング)の内容、被験者Mの音声、表情のデータ、その他を取得し、信号ラインSL18を介して、取得したデータを記憶ブロック10Jに送信する機能を有している。
被験者Mとの認知行動療法に際して、認知行動療法ブロック10Hは、信号ラインSL19を介して、コーピングブロック10Gと同様に、アンドロイドAN側に配置したアンドロイド出力装置3に認知行動療法(カウンセリング)の内容を出力し、アンドロイドANの音声、表情を変化させて、被験者Mとの対話形式のカウンセリングを行う。そして、認知行動療法(カウンセリング)により被験者Mの認知を修正するとともに、被験者Mに心身の疲労度を告知し、長時間労働の警告を行い、さらに産業医面談を勧奨する機能を有している。
さらに認知行動療法ブロック10Hは、信号ラインSL20を介して被験者Mのカウンセリング(認知行動療法)の内容、被験者Mの音声、表情のデータ、その他を取得し、取得したデータを信号ラインSL21経由で記憶ブロック10Jに送信する機能を有している。
被験者Mとのアサーションに際して、アサーションブロック10Iは、信号ラインSL22を介して、コーピングブロック10G、認知行動療法ブロック10Hと同様に、アンドロイドAN側に配置したアンドロイド出力装置3にカウンセリングの内容(アンドロイドANの音声、表情の制御信号を含む)を出力し、被験者Mのカウンセリングを行い、カウンセリングによって被験者Mのコミュニケーション向上のためのトレーニングを施すとともに、被験者Mに心身の疲労度を告知し、長時間労働の警告を行い、さらに産業医面談を勧奨する機能を有している。
さらにアサーションブロック10Iは、信号ラインSL23経由でアンドロイド出力装置3から被験者Mのカウンセリング(アサーション)の内容、被験者Mの音声、表情のデータ、その他を取得し、取得したデータを信号ラインSL24経由で記憶ブロック10Jに送信する機能を有している。
記憶ブロック10Jに保存されたデータは、信号ラインSL18、SL21、SL24を介して、コーピングブロック10G、認知行動療法ブロック10H、アサーションブロック10Iからのデータを取得して、時々刻々更新される。
記憶ブロック10Jに保存されたデータは、必要に応じてストレス・疲労度判定ブロック10E、コーピングブロック10G、認知行動療法ブロック10H、アサーションブロック10I等に送信される。
図示の実施形態では、被験者MがアンドロイドANと対面することにより、各種チェック、カウンセリング、トレーニングが行われる。そのため、図3のフローチャートにおけるステップS1では、被験者MとアンドロイドANが対面しているか否かを確認する。
被験者MとアンドロイドANが対面していれば(ステップS1が「Yes」)、ステップS2に進む。
当該ストレス・疲労度の判定は、図2を参照して詳述した様に、コントロールユニット10の各データ処理機能ブロック(10A〜10D)、記憶ブロック10Jからの取得データに基づき、ストレス・疲労度判定ブロック10Eで実行される。
当該カウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)が必要か否かの判断は、図2を参照して詳述した様に、ストレス・疲労度判定ブロック10Eからの取得データに基づき、セラピーブロック10Fで実行される。
ステップS3の判断の結果、アンドロイドANによるカウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)が必要であれば(ステップS3が「Yes」)、ステップS4に進む。
一方、ステップS3の判断の結果、アンドロイドANによるカウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)が必要でない場合(ステップS3が「No」)、ステップS5に進む。
アンドロイドANによる被験者Mのカウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)は、被験者Mのデータ(ストレスチェックテストデータ、画像データ、脈拍データ、その他)、被験者Mの過去のデータ(健診データ、ストレスチェックテスト結果、カウンセリングの履歴、その他)を参照して、被験者Mに対応した内容で実行される。そして、カウンセリングの際、千変万化する被験者Mの心の状態に対応して、アンドロイドANの音声、表情を変化させて行われる。
カウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)に際して、その結果等を参照して、被験者Mに疲労度を告知し、長時間労働の警告を行い、産業医面談を勧奨する。
カウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)は、図2を参照して詳述した様に、コーピングブロック10G、認知行動療法ブロック10H、アサーションブロック10Iにより実行される。
ただし図示の実施形態において、アサーションの後に認知行動療法を行うことも可能である。
ステップS6の判断の結果、被験者Mのカウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)が終了した場合(ステップS6が「Yes」)、ステップS5に進む。
被験者Mのカウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)が終了していない場合には(ステップS6が「No」)ステップS3に戻り、カウンセリングを継続する。
ステップS5(ステップS3が「No」或いはステップS6が「Yes」)では、カウンセリング(ストレスコーピング、認知行動療法、アサーション)の結果を出力し、或いは、カウンセリングが不要である旨を出力する。
そして、当該被験者Mに対するストレスマネジメントの手順を終了する。
さらに、例えば、深刻な状態のうつ病に罹患した従業者等や、アンドロイドAN(人型ロボット)によるカウンセリングにより症状の改善が見られない従業者等には、精神科医(例えば産業医)の面接を勧奨することにより、適切な時期に専門医に受診させて病状の改善を図ることが出来る。
また、人工知能の高い学習機能により、被験者(M)の心の状態における変化に対応して、適切なカウンセリングを実行することが出来る。
さらに、学習機能を有する人工知能でコントロールユニット10を構成することにより、被験者Mの表情、脈拍、声色というパラメータを加味した判断が可能である。
そして被験者Mのコミュニケーション能力が向上すれば、被験者Mのストレス対処能力も向上するので、被験者Mは自らが受けるストレスを和らげて、精神的な平穏を維持する能力を高くすることが出来る。
2・・・入出力装置
10・・・コントロールユニット
100・・・ストレスマネジメント支援システム
AN・・・アンドロイド(人型ロボット)
M・・・被験者
S1・・・映像センサ
S2・・・音声センサ
S3・・・脈拍センサ
S4・・・血圧センサ
S5・・・体温センサ
Claims (3)
- 表情を読み取る機能を有する映像センサと、音声を聞き取る音声センサと、ストレスチェックテスト入出力装置と、人工知能を備えた人型ロボットを備え、前記人工知能は対話形式でストレスコーピング、認知行動療法、アサーションのうちの少なくとも1つを含むカウンセリングを実行し、前記カウンセリングの効果を視覚化して確認できる機能を有していることを特徴としているストレスマネジメント支援システムであって、
前記人工知能は、前記ストレスチェックテストの結果、前記映像センサによる画像データ及び音声センサによる音声データに基づいて、被験者のストレスの程度、疲労度を判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記カウンセリングの内容を決定し、
前記決定に基づいて、前記人型ロボットの音声、表情を変化させて、前記対話形式で前記カウンセリングを行う
ストレスマネジメント支援システム。 - 体温、脈拍、その他のセンサにより被験者の各種パラメータを計測する装置を有しており、前記人工知能は、前記計測装置による計測結果を参照して、前記カウンセリングの内容を決定する機能を有している請求項1のストレスマネジメント支援システム。
- 表情を読み取る機能を有する映像センサと、音声を聞き取る音声センサと、ストレスチェックテスト入出力装置と、人工知能を備え、前記人工知能は対話形式でストレスコーピング、認知行動療法、アサーションのうちの少なくとも1つを含むカウンセリングを実行し、前記カウンセリングの効果を視覚化して確認できる機能を有していることを特徴としているストレスマネジメント支援システムであって、
前記人工知能は、前記ストレスチェックテストの結果、前記映像センサによる画像データ及び音声センサによる音声データに基づいて、被験者のストレスの程度、疲労度を判定し、
前記判定の結果に基づいて、前記カウンセリングの内容を決定し、
前記決定に基づいて、前記対話形式で前記カウンセリングを行う
ストレスマネジメント支援システム。
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