実施形態1.
以下、本発明の第1の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明によるメンタルケア支援システムの第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、メンタルケア支援システムは、x個の生体センサ1−1〜1−xと、y個の行動センサ2−1〜2−yと、w個の環境センサ3−1〜3−wと、感情分析部4と、行動分析部5と、環境分析部6と、精神症状分析部7と、療法データベース(DB)8と、療法選択部9と、患者DB10と、実行方法選択部11とを備える。
生体センサ1−1〜1−xと感情分析部4、行動センサ2−1〜2−yと行動分析部5と、環境センサ3−1〜3−wと環境分析部6は、それぞれ、有線または無線により通信可能に接続される。
本実施形態では、感情分析部4、行動分析部5、環境分析部6、精神症状分析部7、療法DB8、療法選択部9、患者DB10および実行方法選択部11が、一つの装置(メンタルケア支援装置)に含まれている場合について説明する。なお、各部は、同一の装置に備えられていなくてもよい。例えば、各部が機能ごとに別々の装置で実現されていてもよい。
生体センサ1−1〜1−xは、患者の生体情報を計測して、計測結果を感情分析部4へ送る。
行動センサ2−1〜2−yは、患者の行動情報を計測して、計測結果を行動分析部5へ送る。
環境センサ3−1〜3−wは、患者周辺の環境情報を計測して、計測結果を環境分析部6へ送る。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報をもとに患者の感情を分析し、分析結果である感情分析結果を精神症状分析部7へ送る。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報をもとに患者の行動を分析し、分析結果である行動分析結果を精神症状分析部7へ送る。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報をもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果である環境分析結果を精神症状分析部7へ送る。
精神症状分析部7は、感情分析部4から送られた感情分析結果と行動分析部5から送られた行動分析結果と環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者の精神症状の分析および分類を行い、症状分析の結果(以下、症状分析結果という。)を療法選択部9へ送る。
療法DB8は、患者の精神症状や治療状況と、それらに適した療法とを対応付けた療法対応情報を記憶するデータベースである。
療法選択部9は、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す情報(以下、療法情報という。)を実行方法選択部11へ送る。
患者DB10は、患者の薬品に対する嗜好を示す情報(以下、薬品嗜好情報という。)を記憶するデータベースである。
実行方法選択部11は、患者DB10に格納された薬品嗜好情報をもとに、療法選択部9から送られた療法情報が示す療法の患者向けの実行方法を選択し、当該実行方法を示す情報を生成する。実行方法選択部11は、メンタルケア支援システムと通信可能な表示装置(図示せず)などに、実行方法を示す情報を出力してユーザ、例えば、患者に提示する。なお、実行方法の提示方法は、その他の方法であってもよい。例えば、実行方法を示す情報を電子メールで送信してもよい。
なお、感情分析部4、行動分析部5、環境分析部6、精神症状分析部7、療法選択部9および実行方法選択部11は、例えば、プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。
また、本実施形態では、療法DB8および患者DB10がメンタルケア支援システムに含まれる場合について説明したが、療法DB8および患者DB10は、メンタルケア支援システムの外部に設置されていてもよい。
また、生体センサ1−1〜1−x、行動センサ2−1〜2−yおよび環境センサ3−1〜3−wがメンタルケア支援システムに含まれる場合について説明したが、生体センサ1−1〜1−x、行動センサ2−1〜2−yおよび環境センサ3−1〜3−wは、メンタルケア支援システムの外部に設置されていてもよい。
次に、本実施形態の動作を説明する。
図2は、メンタルケア支援システムの第1の実施形態の動作を示すフローチャートである。
生体センサ1−1〜1−xは、患者の生体情報を計測して、計測結果を感情分析部4へ送る(ステップA1)。
行動センサ2−1〜2−yは、患者の行動情報を計測して、計測結果を行動分析部5へ送る(ステップA2)。
環境センサ3−1〜3−wは、患者周辺の環境情報を計測して、計測結果を環境分析部6へ送る(ステップA3)。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報をもとに患者の感情を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB1)。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報をもとに患者の行動を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB2)。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報をもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB3)。
精神症状分析部7は、感情分析部4から送られた感情分析結果と、行動分析部5から送られた行動分析結果と、環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者の精神症状の分析および分類を行い、症状分析結果を療法選択部9へ送る(ステップC1)。
療法選択部9は、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を実行方法選択部11へ送る(ステップD1)。
実行方法選択部11は、患者DB10に格納された薬品嗜好情報をもとに、療法選択部9から送られた療法情報が示す療法の患者向けの実行方法を選択し、ユーザに提示する(ステップE1)。
なお、ステップA1〜B1と、ステップSA2〜B2と、ステップA3〜B3とはそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。
次に、具体例を用いて、本実施形態の動作を説明する。ここでは、メンタルケア支援システムがうつ病の療法選択支援に適用される場合を例にする。
本具体例では、メンタルケア支援システムは、3つの生体センサ1−1〜1−3と接続される。生体センサ1−1は、患者の心拍数を取得する心拍センサである。生体センサ1−2は、患者の脳波を取得する脳波センサである。生体センサ1−3は、患者の皮膚表面電気活動を取得する皮膚表面電気活動センサである。なお、生体センサは、メンタルケア支援システムにいくつ接続されていてもよい。
また、メンタルケア支援システムは、2つの行動センサ2−1、2−2と接続される。行動センサ2−1は、患者の腕部の動作を取得する加速度センサである。行動センサ2−2は、患者の移動を取得する位置センサである。なお、行動センサは、メンタルケア支援システムにいくつ接続されていてもよい。
また、メンタルケア支援システムは、2つの環境センサ3−1、3−2と接続される。環境センサ3−1は、患者周囲の明るさを取得する明度センサである。環境センサ3−2は、患者周囲の音の大きさを取得する音量センサである。なお、環境センサは、メンタルケア支援システムにいくつ接続されていてもよい。
感情分析部4は、生体センサ1−1(心拍センサ)、生体センサ1−2(脳波センサ)、生体センサ1−3(皮膚表面電気活動センサ)から送られた情報から患者の感情を、例えば以下のように分析する。
・心拍センサから取得した患者の心拍数を示す情報と、脳波センサから取得した脳波を示す情報とをもとに、「ストレス度」を分析する。例えば、「非運動時の心拍数の大きさ」、「脳波のガンマ波の大きさ」は、それぞれストレスが高いと上昇する傾向にあるため、「非運動時の心拍数の平均値」と「脳波のガンマ波の大きさの平均値」との重み付け和を「ストレス度」とする。
・皮膚表面電気活動センサから取得した患者の皮膚表面電気活動を示す情報をもとに、患者の皮膚表面電気活動の急激な変異が起こる頻度を認識し、「感情の高ぶりやすさ」を分析する。例えば、予め決められた閾値(5マイクロジーメンス等)を超える変異が一定時間内(2秒以内等)に発生することを「感情の高ぶり」と定義し、1時間に「感情の高ぶり」が発生する平均回数を「感情の高ぶりやすさ」とする。
行動分析部5は、患者の腕部に装着した行動センサ2−1(加速度センサ)と、患者に装着した行動センサ2−2(位置センサ)とから送られた情報をもとに、患者の行動を、例えば以下のように分析する。
・加速度センサから取得した患者の腕部の加速度を示す情報をもとに、患者の腕部動作を認識し、「自傷行動の頻度」を分析する。例えば、1日あたりの自傷行為の平均回数を「自傷行為の頻度」とする。
・位置センサから取得した患者の位置情報をもとに、「引きこもり度」を分析する。例えば、1日で起床している時間中の「自宅内で過ごす平均時間」と「就寝場所に留まっている平均時間」との重み付け和を「引きこもり度」とする。
環境分析部6は、環境センサ3−1(明度センサ)と環境センサ3−2(音量センサ)とから送られた情報から患者周囲の環境を、例えば以下のように分析する。
・明度センサから取得した患者周囲の明度を示す情報および患者周囲の音量示す情報から、「患者周囲のにぎやかさ」を分析する。例えば、1日で起床している時間中の「平均的な患者周囲の明度」と「平均的な患者周囲の音量」との重み付け和を「患者周囲のにぎやかさ」とする。
精神症状分析部7は、感情分析部4から送られた「ストレス度」と「感情の高ぶりやすさ」、行動分析部5から送られた「自傷行動の頻度」と「引きこもり度」、および環境分析部6から送られた「患者周囲のにぎやかさ」をもとに、患者の精神症状を、例えば以下のように分析する。
・「ストレス度」と「引きこもり度」から「憂うつ度の深さ」を分析する。例えば、「ストレス度」と「引きこもり度」との重み付け和を「憂うつ度の深さ」とする。
・「感情の高ぶりやすさ」と「自傷行為の頻度」から「激越性」を分析する。例えば、「感情の高ぶりやすさ」と「自傷行為の頻度」との重み付け和を「激越性」とする。
・「患者周囲のにぎやかさ」を、そのまま患者がどの程度にぎやかな環境に曝されているかの指標として用いる。
なお、各値に対応する重みは予めメンタルケア支援システムが備える記憶部(図示せず)に格納しておけばよい。
療法DB8は、精神症状ごとの療法選択について、例えば、以下の(1)〜(4)に示すように記述された療法対応情報を記憶する。
(1)「激越性」が大きい場合は症状が重篤であるので、抗精神病薬と抗うつ薬の双方を用いた薬物療法を選択する。
(2)(1)に当てはまらず「憂うつ度の深さ」が大きい場合は、「激越性」が大きいときほどではないが症状が大きいので抗うつ薬を用いた薬物療法を選択する。
(3)(1)または(2)に当てはまり且つ「患者周囲のにぎやかさ」が大きい場合は、にぎやかな患者が患者の負担となっている可能性があるので、患者ににぎやかな環境から離れるよう勧める療法も追加で選択する。
(4)(2)に当てはまらない場合、すなわち「激越性」も「憂うつ度の深さ」も小さい場合は、センサで検出された情報からは重い症状が見られないので、既に患者が治療中であれば現状の療法を維持することを選択する。まだ患者が治療中でなければカウンセリング等で様子を見ることを選択する。
患者DB10は、患者の薬品に対する嗜好(味、形状(錠剤・カプセル・粉末など)、薬品摂取自体に対する好悪など)が記述された薬品嗜好情報を記憶する。
実行方法選択部11は、療法選択部9が選択した療法において使用される薬剤の種類(抗精神病薬、抗うつ薬など)と患者DB10が記憶する薬品嗜好情報とをもとに、具体的に患者に使用する薬剤の種類を選択する。
次に、図2を参照して、本具体例におけるメンタルケア支援システムの動作を詳細に説明する。
まず、生体センサ1−1〜1−3にあたる心拍センサ、脳波センサおよび皮膚表面電気活動センサは、それぞれ、患者の生体情報である心拍数、脳波および皮膚表面電気活動を計測して、計測結果を感情分析部4へ送る(ステップA1)。
行動センサ2−1、2−2にあたる加速度センサおよび位置センサは、それぞれ、患者の行動情報である腕部の動作および患者の位置を計測して、計測結果を行動分析部5へ送る(ステップA2)。
環境センサ3−1、3−2にあたる明度センサおよび音量センサは、それぞれ、患者周辺の環境情報である明度および音量を計測して、計測結果を環境分析部6へ送る(ステップA3)。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−3から送られた生体情報をもとに、患者の感情として「ストレス度」と「感情の高ぶりやすさ」とを分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB1)。
行動分析部5は、行動センサ2−1、2−2から送られた行動情報をもとに、患者の行動として「自傷行為の頻度」と「引きこもり度」とを分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB2)。
環境分析部6は、環境センサ3−1、3−2から送られた環境情報をもとに、患者周辺の環境として「患者周囲のにぎやかさ」を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB3)。
精神症状分析部7は、感情分析部4から送られた感情分析結果と、行動分析部5から送られた行動分析結果と、環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者の精神症状の分析および分類を行い、症状分析結果を療法選択部9へ送る(ステップC1)。
療法選択部9は、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を実行方法選択部11へ送る(ステップD1)。
実行方法選択部11は、患者DB10に格納された薬品嗜好情報をもとに、療法選択部9から送られた療法情報が示す療法の患者向けの実行方法を選択し、ユーザに提示する(ステップE1)。
なお、生体センサ1−1〜1−xが計測する「心拍数」、「皮膚表面電気活動」および「脳波」は、生体情報の一例であり、生体センサ1−1〜1−xは、「体温」、「音声情報」、「表情」、「発汗」、「まばたき(頻度と速度)」、「筋電位」など、その他の生体情報を計測するようにしてもよい。
また、行動センサ2−1〜2−yが計測する「動作」および「位置」は、行動情報の一例であり、行動センサ2−1〜2−yは、「歩数」、「姿勢」、「コンピュータや携帯の使用履歴」、「発言音声の記録」など、その他の行動情報を計測するようにしてもよい。
また、環境センサ3−1〜3−wが計測する「明度」および「音量」は、環境情報の一例であり、環境センサ3−1〜3−wは、「気温」、「湿度」など、その他の環境情報を計測するようにしてもよい。
また、感情分析部4の分析結果である「ストレス度」および「感情の高ぶりやすさ」は、感情分析結果の一例であり、感情分析部4は、「特定の感情(怒り、悲しみ等)へのなりやすさ」、「不安感の大きさ」、「感情の不安定さ」など、その他の感情分析結果を生成するようにしてもよい。
また、行動分析部5の分析結果である「自傷行為の頻度」および「引きこもり度」は、行動分析結果の一例であり、行動分析部5は、「体のこわばりの多さ」、「コミュニケーションの頻度」「発言内容中のネガティブな発言の頻度」、「運動の多さ」など、その他の行動分析結果を生成するようにしてもよい。
また、環境分析部6の分析結果である「患者周囲のにぎやかさ」は、環境分析結果の一例であり、環境分析部6は、「不快指数」など、その他の環境分析結果を生成するようにしてもよい。
また、精神症状分析部7の分析結果である「憂うつ度の深さ」、「激越度」および「患者周囲のにぎやかさ」は、分析結果の一例であり、精神症状分析部7は、例えば、「発言内容中のネガティブな発言の頻度」や「不安感の大きさ」等から「思考のネガティブさ」を分析するようにしてもよい。また、「コミュニケーションの頻度」や「不安感の大きさ」等から「孤独への不安感」を分析するようにしてもよい。また、「コミュニケーション中のストレス度」や「コミュニケーション中の特定の感情(怒り、悲しみ等)へのなりやすさ」から「コミュニケーション不満度」を分析するようにしもよい。
また、本具体例において療法対応情報に記述されている療法選択の基準は、一例であり、その他の基準であってもよい。例えば、「思考のネガティブさ」が高い場合はカウンセリングとして思考を改める点を重視する論理療法や認知療法を選択する基準であってもよい。また、「孤独への不安感」が高い場合はカウンセリングとして相手の話しを傾聴する点を重視する精神対話を選択する基準であってもよい。また、「コミュニケーション不満度」が高い場合はカウンセリングとしてコミュニケーションの改善を重視する交流分析を選択する基準であってもよい。また、「不快指数」が高い場合は適度な室温・湿度の場所で過ごす時間を延ばすよう指導することを薦める基準であってもよい。
また、本具体例において薬品嗜好情報に記述されている患者の薬剤に対する嗜好の情報は、一例であり、その他の情報が記述されていてもよい。また、実行方法選択部11による薬剤種別の選択は、一例であり、その他の選択方法を用いてもよい。例えば、薬品嗜好情報に患者がカウンセラーとの対話を好むか否かが記述されていて、実行方法選択部11は、その薬品嗜好情報の記述内容をもとに、論理療法か認知療法かを選択するようにしてもよい。その際、実行方法選択部11は、患者がカウンセラーとの対話を好むと判断した場合には、カウンセラーとの対話による論理療法を選択する。また、カウンセラーとの対話を好まないと判断した場合には、自身の行動や思考の記録による認知療法を選択する。
以上に説明したように、本実施の形態では、センサによる計測結果から患者の症状を分析している。そのため、患者に対して負担をかけることなく、また、カウンセラーや精神科医などの専門家による問診などを必要とせずに、患者の症状の分類を行うことが可能となる。
また、本実施の形態は、感情、行動および環境と多面的に患者の症状の分析をしている。そのため、患者の症状を質的に分類することで適切な療法を選択することが可能となる。
実施形態2.
以下、本発明の第2の実施形態を図面を参照して説明する。
図3は、本発明によるメンタルケア支援システムの第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、第2の実施形態のメンタルケア支援システムは、図1に示す第1の実施形態のメンタルケア支援システムの構成に加えて、問診部12を備える。
問診部12は、問診結果の入力を受け付け、問診結果を感情分析部4と行動分析部5と環境分析部6へ送る。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の感情を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の行動を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。
なお、生体センサ1−1〜1−x、行動センサ2−1〜2−y、環境センサ3−1〜3−w、精神症状分析部7、療法DB8、療法選択部9、患者DB10および実行方法選択部11は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
次に、本実施形態の動作を説明する。
図4は、メンタルケア支援システムの第2の実施形態の動作を示すフローチャートである。
なお、ステップA21〜A23、C2、D2、E2の処理は、第1の実施形態のステップA1〜A3、C1、D1、E1の処理と同様であるため、説明を省略する。
問診部12は、問診結果の入力を受け付け、問診結果を感情分析部4と行動分析部5と環境分析部6へ送る(ステップA24)。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の感情を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB21)。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の行動を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB22)。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB23)。
なお、ステップA21、A22、A23、A24はそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。また、ステップB21、B22、B23はそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。
次に、具体例を用いて、本実施形態の動作を説明する。ここでは、メンタルケア支援システムがうつ病の療法選択支援に適用される場合を例にする。
生体センサ1−1〜1−3、行動センサ2−1〜2−2、環境センサ3−1〜3−2、精神症状分析部7、療法選択部9、患者DB10、実行方法選択部11の具体例は、第1の実施形態の具体例と同様のものであるとする。
問診部12は、例えば、患者が「ストレスを感じているか」、「感情の高ぶりを経験したか」、「自傷行為があったか」、「外出頻度はどの程度か」、「にぎやかな場所への外出はどの程度か」等についての問診結果を入力するための、コンピュータや携帯電話上で動作するアプリケーションである。
感情分析部4は、心拍センサ、脳波センサ、皮膚表面電気活動センサおよび問診部12から送られた情報をもとに、患者の感情を、例えば以下のように分析する。
・心拍センサから取得した患者の心拍数を示す情報、脳波センサから取得した脳波を示す情報および問診結果をもとに、「ストレス度」を分析する。例えば、「非運動時の心拍数の平均値」、「脳波のガンマ波の大きさの平均値」および「『ストレスを感じているか』という問診内容に対する返答」との重み付け和を「ストレス度」とする。
・皮膚表面電気活動センサから取得した患者の皮膚表面電気活動を示す情報をもとに、患者の皮膚表面電気活動の急激な変異が起こる頻度を分析する。そして、患者の皮膚表面電気活動の急激な変異が起こる頻度および問診結果をもとに、「感情の高ぶりやすさ」を分析する。例えば、予め決められた閾値(5マイクロジーメンス等)を超える変異が一定時間内(2秒以内等)に発生することを「感情の高ぶり」と定義し、1時間に「感情の高ぶり」が発生する平均回数と「『感情の高ぶりを経験したか』という問診内容に対する返答」との重み付け和を「感情の高ぶりやすさ」とする。
行動分析部5は、腕部の加速度センサと位置センサおよび問診部12から送られた情報とをもとに患者の行動を、例えば以下のように分析する。
・加速度センサから取得した患者の腕部の加速度をもとに、患者の腕部動作を認識する。そして、腕部動作および問診結果をもとに、「自傷行動の頻度」を分析する。例えば、1日あたりの自傷行為の平均回数と「『自傷行為があったか』という問診内容に対する返答」との重み付け和を「自傷行為の頻度」とする。
・位置センサから取得した患者の位置情報および問診結果をもとに「引きこもり度」を分析する。例えば、1日で起床している時間中の「自宅内で過ごす平均時間」と「就寝場所に留まっている平均時間」と「『外出頻度はどの程度か』という問診内容に対する返答」との重み付け和を「引きこもり度」とする。
環境分析部6は、明度センサ、音量センサおよび問診部12から送られた情報をもとに、患者周囲の環境を、例えば以下のように分析する。
・明度センサから取得した患者周囲の明度を示す情報と、音量センサから取得した患者周囲の音量を示す情報と、問診結果とをもとに、「患者周囲のにぎやかさ」を分析する。例えば、1日で起床している時間中の「平均的な患者周囲の明度」と「平均的な患者周囲の音量」と「『にぎやかな場所への外出はどの程度か』という問診内容に対する返答」との重み付け和を「患者周囲のにぎやかさ」とする。
次に、図4を参照して、本具体例におけるメンタルケア支援システムの動作を詳細に説明する。
なお、本具体例におけるステップA21〜A23、C2、D2、E2の処理は、第1の実施形態の具体例におけるステップA1〜A3、C1、D1、E1の処理と同様であるため説明を省略する。
問診部12は、問診結果の入力を受け付け、問診結果を感情分析部4と行動分析部5と環境分析部6へ送る(ステップA24)。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−3から送られた生体情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに、患者の感情として「ストレス度」と「感情の高ぶりやすさ」とを分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB21)。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−2から送られた行動情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに、患者の行動として「自傷行為の頻度」と「引きこもり度」とを分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB22)。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−2から送られた環境情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに、患者周辺の環境として「患者周囲のにぎやかさ」を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る(ステップB23)。
なお、生体センサ1−1〜1−xが計測する生体情報、行動センサ2−1〜2−yが計測する行動情報、環境センサ3−1〜3−wが計測する感情情報、感情分析部4の分析内容、行動分析部5の分析内容、環境分析部6の分析内容、精神症状分析部7の分析内容、療法対応情報の記述内容、薬品嗜好情報の記述内容、実効方法選択部11の選択基準は、本具体例で挙げたもの以外のものであってもよい。
また、問診部12は、本具体例で挙げた問診内容の他に、感情分析部4の分析内容、行動分析部5の分析内容、環境分析部6の分析内容に合わせた問診内容を含む問診結果の入力を受け付けるようにしてもよい。
以上に説明したように、本実施の形態では、センサによる計測結果と問診結果を組み合わせて患者の症状を分析している。そのため、より詳細に患者の症状を質的に分類することができる。従って、第1の実施形態に比べて、より詳細に適切な療法を選択することが可能となる。
実施形態3.
以下、本発明の第3の実施形態を図面を参照して説明する。
図5は、本発明によるメンタルケア支援システムの第3の実施形態の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、第3の実施形態のメンタルケア支援システムは、図1に示す第1の実施形態のメンタルケア支援システムの構成に加えて、療法効果分析部13と、療法実行分析部14と、療法再選択部15とを備える。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報から患者の感情を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。感情分析部4は、メンタルケア支援システムがある患者に対し2度目以降に療法選択を行う場合には、分析結果を療法効果分析部13へ送る。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報から患者の行動を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。行動分析部5は、メンタルケア支援システムがある患者に対し2度目以降に療法選択を行う場合には、分析結果を療法効果分析部13と療法実行分析部14へ送る。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報から患者周辺の環境を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。環境分析部6は、メンタルケア支援システムがある患者に対し2度目以降に療法選択を行う場合には、分析結果を療法実効分析部14へ送る。
療法選択部9は、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を療法再選択部15と実行方法選択部11へ送る。
療法効果分析部13は、感情分析部4から送られた感情分析結果と行動分析部5から送られた行動分析結果とをもとに、患者に実行した療法の効果の分析を行い、分析結果を療法再選択部15へ送る。
療法実行分析部14は、行動分析部5から送られた行動分析結果と環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者が療法に沿った行動を実行したかを分析し、分析結果を療法再選択部15へ送る。
療法再選択部15は、療法選択部9から送られた療法情報と、療法効果分析部13から送られた療法の効果の分析結果と、療法実行分析部14から送られた患者の療法実行の分析結果とをもとに、患者にふさわしい療法を選択し、実行方法選択部11へ送る。
なお、療法効果分析部13、療法実行分析部14および療法再選択部15は、例えば、プログラムに従って動作するコンピュータのCPUによって実現される。
実行方法選択部11は、患者DB10を用いて療法再選択部15から送られた療法の患者向けの実行方法を選択し、ユーザに提示する。
なお、生体センサ1−1〜1−x、行動センサ2−1〜2−y、環境センサ3−1〜3−w、精神症状分析部7、療法DB8、患者DB10および実行方法選択部11は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
次に、本実施形態の動作を説明する。
図6は、メンタルケア支援システムの第3の実施形態の動作を示すフローチャートである。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し初めて療法選択を行う際に、本発明の第1の実施形態と同様に動作する。つまり、図2に示すフローチャートに沿って動作する。
しかし、療法選択部9は、図2に示すステップD1において、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を療法再選択部15と実行方法選択部11へ送る。このとき、療法再選択部15は、療法選択部9から送られた療法情報を、前回の療法情報として記憶する。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し2度目以降に療法選択を行う際に、図6に示すフローチャートに沿って、次のように動作する。
なお、図6に示すステップA31〜A33の処理は、図2に示すステップA1〜A3の処理と同様であるため、説明を省略する。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報をもとに患者の感情を分析し、分析結果を療法効果分析部13へ送る。(ステップB31)。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報をもとに患者の行動を分析し、分析結果を療法効果分析部13と療法実行分析部14へ送る(ステップSB32)。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報をもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果を療法実効分析部14へ送る(ステップB33)。
療法効果分析部13は、感情分析部4から送られた感情分析結果と行動分析部5から送られた行動分析結果とをもとに、患者に実行した療法の効果の分析を行い、分析結果を療法再選択部15へ送る(ステップF31)。
療法実行分析部14は、行動分析部5から送られた行動分析結果と環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者が療法に沿った行動を実行したかを分析し、分析結果を療法再選択部15へ送る(ステップF32)。
療法再選択部15は、記憶する前回の療法情報と、療法効果分析部13から送られた療法の効果の分析結果と、療法実行分析部14から送られた患者の療法実行の分析結果とをもとに、患者にふさわしい療法を選択し、選択した療法を示す情報を実行方法選択部11へ送る(ステップG3)。
実行方法選択部11は、患者DB10に格納された薬品嗜好情報をもとに、療法再選択部15から送られた療法情報が示す療法の患者向けの実行方法を選択し、ユーザに提示する(ステップE3)。
なお、ステップA31〜B31と、ステップA32〜B32と、ステップA33〜B33とはそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。また、ステップF31とステップF32とはそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。
次に、具体例を用いて、本実施形態の動作を説明する。ここでは、メンタルケア支援システムがうつ病の療法選択支援に適用される場合を例にする。
生体センサ1−1〜1−3、行動センサ2−1〜2−2、環境センサ3−1〜3−2、感情分析部4、環境分析部6、精神症状分析部7、療法選択部9、患者DB10、実行方法選択部11の具体例は、第1の実施形態の具体例と同様のものであるとする。
行動分析部5は、本具体例では、第1の実施形態の具体例に示す「自傷行為の頻度」、「引きこもり度」に加え、位置センサの情報から「患者の外出先」の情報を分析する。
療法効果分析部13は、感情分析部4から送られた「ストレス度」と「感情の高ぶりやすさ」、行動分析部5から送られた「自傷行動の頻度」と「引きこもり度」から患者に対して施した療法の効果を、例えば以下のように分析する。
・第1の実施形態と同様に「ストレス度」と「引きこもり度」とをもとに「憂うつ度の深さ」を計算し、「前回療法選択時からの憂うつ度の深さの変化」を分析する。
・第1の実施形態と同様に「感情の高ぶりやすさ」と「自傷行為の頻度」とをもとに「激越性」を計算し、「前回療法選択時からの激越性の変化」を分析する。
療法実行分析部14は、行動分析部5から送られた「患者の外出先」と、環境センサから送られた「患者周囲のにぎやかさ」とをもとに、患者に対して施した療法に指示された行動を患者が実行したか否かを、例えば以下のように分析する。
・「患者の外出先」と「患者周囲のにぎやかさ」とをもとに、「患者のにぎやかな場所への移動の多さ」を分析する。例えば、ゲームセンター等のいくつかのにぎやかな施設・場所に対してにぎやかさを示す「にぎやか場所スコア」を予め設定しておき、「患者の外出先」が示す外出先の「にぎやか場所スコア」の合計と「患者周囲のにぎやかさ」との重み付け和を、「患者のにぎやかな場所への移動の多さ」とする。
療法DB8に格納された療法対応情報に、第1の実施形態の具体例における記述内容に加え、療法再選択部15に入力するための情報として、例えば、以下の(1)〜(4)に示すような療法再選択の基準が記述されている。
(1)「前回療法選択時からの激越性の変化」において激越性の上昇が確認された場合は症状の重篤化が進んでいるので、抗精神病薬と抗うつ薬の双方を用いた薬物療法を選択する。前回療法選択時も抗精神病薬と抗うつ薬の双方を用いた薬物療法を選択していた際に、前回選択した抗精神病薬・抗うつ薬とは異なる抗精神病薬・抗うつ薬による薬物療法を選択する。
(2)(1)に当てはまらず「前回療法選択時からの憂うつ度の深さの変化」において憂うつ度の深さの上昇が確認された場合は、「激越性」が上昇しているときときほどではないが症状が悪化しているので抗うつ役を用いた薬物療法を選択する。前回療法選択時も抗うつ薬を用いた薬物療法を選択していた際に、前回選択した抗うつ薬とは異なる抗うつ薬による薬物療法を選択する。
(3)前回療法選択時に患者ににぎやかな環境から離れるよう勧める療法を選択していて、(1)または(2)に当てはまりかつ「患者のにぎやか場所への移動の多さ」が大きい場合は、患者が療法に従った行動をとらず精神症状が悪化したということなので、引き続き患者ににぎやかな環境から離れるよう勧める療法を継続し、より強く患者ににぎやかな環境からはなれるよう指導することを推奨する。
(4)前回療法選択時に患者ににぎやかな環境から離れるよう勧める療法を選択していて、(1)または(2)に当てはまりかつ「患者のにぎやか場所への移動の多さ」が小さい場合は、患者が療法に従った行動をとったにも関わらず精神症状が悪化したということなので、患者ににぎやかな環境から離れるよう勧める療法には効果がないのでやめることを推奨する。
(5)(2)に当てはまらず(すなわち「激越性」も「憂うつ度の深さ」も悪化していない場合)は、センサで検出された情報からは症状の悪化が見られないので現状の療法の維持を選択する。
患者DB10は、例えば、第1の実施形態の具体例と同様に、患者の薬品に対する嗜好(味、形状(錠剤・カプセル・粉末など)、薬品摂取自体に対する好悪など)が記述された薬品嗜好情報を記憶する。
実行方法選択部11は、例えば、療法再選択時には療法再選択部15が選択した療法において使用される薬剤の種類(抗精神病薬、抗うつ薬など)と患者DB10に記述された患者の薬品に対する嗜好とをもとに、具体的に患者に使用する薬剤の種類を選択する。
次に、図2および図6を参照して、本具体例におけるメンタルケア支援システムの動作を詳細に説明する。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し初めて療法選択を行う際に、第1の実施形態の具体例と同様に、図2に示すフローチャートに沿って動作する。
しかし、療法選択部9は、図2に示すステップD1において、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を療法再選択部15と実行方法選択部11へ送る。このとき、療法再選択部15は、療法選択部9から送られた療法情報を、前回の療法情報として記憶する。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し2度目以降に療法選択を行う際に、図6に示すフローチャートに沿って、次のように動作する。
まず、3個の生体センサ1−1〜1−3にあたる心拍センサ、脳波センサおよび皮膚表面電気活動センサは、それぞれ、患者の生体情報である心拍数、脳波および皮膚表面電気活動を計測して、計測結果を感情分析部4へ送る(ステップA31)。
2個の行動センサ2−1、2−2にあたる加速度センサおよび位置センサは、それぞれ、患者の行動情報である腕部の動作および患者の位置を計測して、計測結果を行動分析部5へ送る(ステップA32)。
2個の環境センサ3−1、3−2にあたる明度センサおよび音量センサは、それぞれ、患者周辺の環境情報である明度および音量を計測して、計測結果を環境分析部6へ送る(ステップA33)。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−3から送られた生体情報をもとに、患者の感情として「ストレス度」と「感情の高ぶりやすさ」とを分析し、分析結果を療法効果分析部13へ送る。(ステップB31)。
行動分析部5は、行動センサ2−1、2−2から送られた行動情報をもとに、患者の行動として「自傷行為の頻度」、「引きこもり度」および「患者の外出先」を分析し、分析結果を療法効果分析部13と療法実行分析部14へ送る(ステップB32)。
環境分析部6は、環境センサ3−1、3−2から送られた環境情報をもとに、患者周辺の環境として「患者周囲のにぎやかさ」を分析し、分析結果を療法実効分析部14へ送る(ステップB33)。
療法効果分析部13は、感情分析部4から送られた感情分析結果と行動分析部5から送られた行動分析結果とをもとに、患者に実行した療法の効果の分析を行い、分析結果を療法再選択部15へ送る(ステップF31)。
療法実行分析部14は、行動分析部5から送られた行動分析結果と環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者が療法に沿った行動を実行したかを分析し、分析結果を療法再選択部15へ送る(ステップF32)。
療法再選択部15は、記憶する前回の療法情報と、療法効果分析部13から送られた療法の効果の分析結果と、療法実行分析部14から送られた患者の療法実行の分析結果とをもとに、患者にふさわしい療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を実行方法選択部11へ送る(ステップG3)。
実行方法選択部11は、患者DB10に格納された薬品嗜好情報と、療法再選択部15から送られた療法情報とをもとに、患者向けの実行方法を選択し、ユーザに提示する(ステップE3)。
なお、生体センサ1−1〜1−xが計測する生体情報、行動センサ2−1〜2−yが計測する行動情報、環境センサ3−1〜3−wが計測する感情情報、感情分析部4の分析内容、行動分析部5の分析内容、環境分析部6の分析内容、精神症状分析部7の分析内容、療法対応情報の記述内容、薬品嗜好情報の記述内容、実効方法選択部11の選択基準は、本具体例で挙げたもの以外のものであってもよい。
また、本具体例で挙げた療法効果分析部13の分析結果である「前回療法選択時からの憂うつ度の深さの変化」、「前回療法選択時からの激越性の変化」は、一例であり、療法効果分析部13は、その他の分析をしてもよい。例えば、療法効果分析部13は、第1の実施形態に示す精神症状分析部7の分析例である「思考のネガティブさ」、「孤独への不安感」、「コミュニケーション不満度」などの前回療法選択時からの変化を分析してもよい。
また、本具体例で挙げた療法実行分析部14の分析結果である「患者のにぎやかな場所への移動の多さ」は一例であり、療法実行分析部14は、その他の分析をしてもよい。例えば、実行分析部14は、前回選択した療法で選択した薬物を摂取しているか否かを分析してもよい。また、実行分析部14は、前回選択した療法で指定した内容やカウンセリングで指導した内容を実行しているか否かを分析してもよい。
また、本具体例において療法対応情報に記述されている療法再選択の基準は、一例であり、その他の基準であってもよい。例えば、「思考のネガティブさ」が悪化している場合は現在行っているカウンセリング療法(論理療法や認知療法等から選択)と異なるカウンセリング療法を選択する基準であってもよい。また、「孤独への不安感」が悪化している場合はカウンセリング等の対話の時間を延ばす基準であってもよい。
以上に説明したように、本実施の形態では、センサ情報から療法の患者への効果と患者の療法行動の実行を分析している。そのため、患者が療法行動を実行したか否かを確認しながら療法の再提案を行うことができる。
実施形態4.
以下、本発明の第4の実施形態を図面を参照して説明する。
図7は、本発明によるメンタルケア支援システムの第4の実施形態の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、第4の実施形態のメンタルケア支援システムは、図3に示す第2の実施形態のメンタルケア支援システムの構成に加えて、図5に示す療法効果分析部13と、療法実行分析部14と、療法再選択部15とを備える。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の感情を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。感情分析部4は、メンタルケア支援システムがある患者に対し2度目以降に療法選択を行う場合には、分析結果を療法効果分析部13へ送る。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の行動を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。行動分析部5は、メンタルケア支援システムがある患者に対し2度目以降に療法選択を行う場合には、分析結果を療法効果分析部13と療法実行分析部14へ送る。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果を精神症状分析部7へ送る。環境分析部6は、メンタルケア支援システムがある患者に対し2度目以降に療法選択を行う場合には、分析結果を療法実効分析部14へ送る。
なお、生体センサ1−1〜1−x、行動センサ2−1〜2−y、環境センサ3−1〜3−w、精神症状分析部7および療法選択部9は、第2の実施形態と同様であるため説明を省略する。
また、療法効果分析部13、療法実行分析部14、療法再選択部15および実行方法選択部11は、第3の実施形態と同様であるため説明を省略する。
次に、本実施形態の動作を説明する。
図8は、メンタルケア支援システムの第4の実施形態の動作を示すフローチャートである。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し初めて療法選択を行う際に、本発明の第2の実施形態と同様に動作する。つまり、図4に示すフローチャートに沿って動作する。
しかし、療法選択部9は、図4に示すステップD2において、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を療法再選択部15と実行方法選択部11へ送る。このとき、療法再選択部15は、療法選択部9から送られた療法情報を、前回の療法情報として記憶する。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し2度目以降に療法選択を行う際に、図8に示すフローチャートに沿って、次のように動作する。
なお、ステップA41〜A44の処理は、第2の実施形態のステップA21〜A24の処理と同様であるため、説明を省略する。また、ステップF41〜F42、G4、E4の処理は、第3の実施形態のステップF31〜F32、G3、E3の処理と同様であるため、説明を省略する。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−xから送られた生体情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の感情を分析し、分析結果を療法効果分析部13へ送る。(ステップB41)。
行動分析部5は、行動センサ2−1〜2−yから送られた行動情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者の行動を分析し、分析結果を療法効果分析部13と療法実行分析部14へ送る(ステップB42)。
環境分析部6は、環境センサ3−1〜3−wから送られた環境情報と問診部12から送られた問診結果とをもとに患者周辺の環境を分析し、分析結果を療法実効分析部14へ送る(ステップB43)。
なお、ステップA41、ステップA42、ステップA43、ステップA44はそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。また、本実施の形態におけるステップB41、ステップB42、ステップB43はそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。さらに、本実施の形態におけるステップF41、ステップF42はそれぞれ独立した処理であり、並列に実行することができる。
次に、具体例を用いて、本実施形態の動作を説明する。ここでは、メンタルケア支援システムがうつ病の療法選択支援に適用される場合を例にする。
生体センサ1−1〜1−3、行動センサ2−1〜2−2、環境センサ3−1〜3−2、精神症状分析部7、療法DB8、療法選択部9、患者DB10、実行方法選択部11、療法効果分析部13、療法実行分析部14、療法再選択部15の具体例は、第3の実施形態の具体例と同様のものであるとする。
感情分析部4および環境分析部6の具体例は、第2の実施形態の具体例と同様のものであるとする。
問診部12は、例えば、患者が「ストレスを感じているか」、「感情の高ぶりを経験したか」、「自傷行為があったか」、「外出頻度はどの程度か」、「にぎやかな場所への外出はどの程度か」、「普段どこへ外出しているか」等についての問診結果を入力するための、コンピュータや携帯電話上で動作するアプリケーションである。
行動分析部5は、第2の実施形態の具体例に示す「自傷行為の頻度」、「引きこもり度」に加え、例えば、位置センサの情報および「『普段どこへ外出しているか』という問診内容に対する返答」から「患者の外出先」の情報を分析する。
次に、図4および図8を参照して、本具体例におけるメンタルケア支援システムの動作を詳細に説明する。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し初めて療法選択を行う際に、第2の実施形態の具体例と同様に、図4に示すフローチャートに沿って動作する。
しかし、療法選択部9は、図4に示すステップD2において、精神症状分析部7から送られた症状分析結果と、療法DB8に格納された療法対応情報とをもとに、患者の治療に向いた療法を選択し、選択した療法を示す療法情報を療法再選択部15と実行方法選択部11へ送る。このとき、療法再選択部15は、療法選択部9から送られた療法情報を、前回の療法情報として記憶する。
メンタルケア支援システムは、ある患者に対し2度目以降に療法選択を行う際に、図8に示すフローチャートに沿って、次のように動作する。
本具体例におけるステップA41〜A44の処理は、第2の実施形態の具体例におけるステップSA21〜A24の処理と同様であるため説明を省略する。
感情分析部4は、生体センサ1−1〜1−3から送られた生体情報と、問診部12から送られた問診結果とをもとに、患者の感情として「ストレス度」と「感情の高ぶりやすさ」を分析し、分析結果を療法効果分析部13へ送る。(ステップB41)。
行動分析部5は、行動センサ2−1、2−2から送られた行動情報と、問診部12から送られた問診結果とをもとに、患者の行動として「自傷行為の頻度」と「引きこもり度」および「患者の外出先」を分析し、分析結果を療法効果分析部13と療法実行分析部14へ送る(ステップB42)。
環境分析部6は、環境センサ3−1、3−2から送られた環境情報と、問診部12から送られた問診結果とをもとに、患者周辺の環境として「患者周囲のにぎやかさ」を分析し、分析結果を療法実効分析部14へ送る(ステップB43)。
療法効果分析部13は、感情分析部4から送られた感情分析結果と、行動分析部5から送られた行動分析結果とをもとに、患者に実行した療法の効果の分析を行い、分析結果を療法再選択部15へ送る(ステップF41)。
療法実行分析部14は、行動分析部5から送られた行動分析結果と、環境分析部6から送られた環境分析結果とをもとに、患者が療法に沿った行動を実行したかを分析し、分析結果を療法再選択部15へ送る(ステップF42)。
療法再選択部15は、療法効果分析部13から送られた療法の効果の分析結果と、療法実行分析部14から送られた患者の療法実行の分析結果とをもとに、患者にふさわしい療法を選択し、実行方法選択部11へ送る(ステップG41)。
実行方法選択部11は、患者DB10を用いて療法再選択部15から送られた療法の患者向けの実行方法を選択し、ユーザに提示する(ステップE41)。
なお、生体センサ1−1〜1−xにより計測する生体情報、行動センサ2−1〜2−yにより計測する行動情報、環境センサ3−1〜3−wにより計測する感情情報、感情分析部4の分析内容、行動分析部5の分析内容、環境分析部6の分析内容、精神症状分析部7の分析内容、療法DB8の記述内容、患者DB10の記述内容、実効方法選択部11の選択基準は、本具体例で挙げたもの以外のものであってもよい。
また、問診部12は、本具体例で挙げた問診内容の他に、感情分析部4の分析内容、行動分析部5の分析内容、環境分析部6の分析内容に合わせた問診内容を含む問診結果の入力を受け付けるようにしてもよい。
以上に説明したように、本実施の形態では、センサによる計測結果と問診結果を組み合わせて療法の患者への効果と患者の療法行動の実行を分析している。そのため、第3の実施形態に比べて、より詳細に療法の患者への効果と患者の療法行動の実行を分析することができ、より詳細に適切な療法を再選択することができる。
図9は、本発明によるメンタルケア支援システムの主要部を示すブロック図である。図9に示すように、メンタルケア支援システムは、患者の生体情報を計測する生体センサ201−1〜201−x(図1に示す生体センサ1−1〜1−xに相当。)と患者の行動情報を計測する行動センサ202−1〜202−y(図1に示す行動センサ2−1〜2−yに相当。)と患者周囲の環境情報を計測する環境センサ203−1〜203−w(図1に示す環境センサ1−1〜1−wに相当。)とから送られた計測結果をもとに、患者の感情、患者の行動および患者の周囲の環境を判断し、患者の症状の分析を行い、患者の症状を質的に分類する分析手段101(図1に示す感情分析部4、行動分析部5、環境分析部6および精神症状分析部7に相当。)と、分析手段101の分析および分類の結果に応じて患者に対する療法を選択する療法選択手段102(図1に示す療法選択部9に相当。)と、選択した療法の実行方法を提示するための情報を生成する実行方法選択手段103(図1に示す実行方法選択部11に相当。)とを備える。
上記の実施形態には、以下のようなメンタルケア支援システムも開示されている。
(1)患者の精神症状および治療状況と、精神症状および治療状況に適した療法とを対応付けた療法対応情報を記憶する療法データベース(図1に示す療法DB8に相当。)を備え、分析手段101は、生体セン201−1〜201−xから送られた生体情報から患者の感情を分析する感情分析手段(図1に示す感情分析部4に相当。)と、行動センサ202−1〜202−yから送られた行動情報から患者の行動を分析する行動分析手段(図1に示す行動分析部5に相当。)と、環境センサ203−1〜203−wから送られた環境情報から患者周辺の環境を分析する環境分析手段(図1に示す環境分析部6に相当。)と、感情分析手段から送られた感情分析結果と、行動分析手段から送られた行動分析結果と、環境分析手段から送られた環境分析結果とをもとに、患者の精神症状の分析および分類を行い、分析および分類の結果を示す症状分析結果を生成する精神症状分析手段(図1に示す精神症状分析部7に相当。)とを含み、療法選択手段102は、療法対応情報と精神症状分析手段から送られた症状分析結果とをもとに、患者の症状の治療に向いた療法の選択を行うメンタルケア支援システム。
そのような構成によれば、感情、行動および環境と多面的に患者の症状の分析をすることができる。従って、患者の症状を質的に分類することで適切な療法を選択することが可能となる。
(2)問診結果を入力する問診手段(図3に示す問診部12に相当。)を備え、感情分析手段は、生体センサ201−1〜201−xから送られた生体情報と問診手段から送られた問診結果とをもとに患者の感情を分析し、行動分析手段は、行動センサ202−1〜202−yから送られた行動情報と問診手段から送られた問診結果とをもとに患者の行動を分析し、環境分析手段は、環境センサ203−1〜203−wから送られた環境情報と問診手段から送られた問診結果とをもとに患者周辺の環境を分析し、精神症状分析手段は、感情分析手段から送られた感情分析結果と、行動分析手段から送られた行動分析結果と、環境分析手段から送られた環境分析結果とをもとに、患者の精神症状の分析および分類を行い、分析および分類の結果を示す症状分析結果を生成し、療法選択手段102は、療法対応情報と精神症状分析手段から送られた症状分析結果とをもとに、患者の症状の治療に向いた療法の選択を行うメンタルケア支援システム。
そのような構成によれば、各センサによる計測結果と問診結果を組み合わせて患者の症状を分析することができる。従って、より詳細に患者の症状を質的に分類することができ、より詳細に適切な療法を選択することが可能となる。
(3)感情分析手段から送られた感情分析結果と行動分析手段から送られた行動分析結果とをもとに患者に実行した療法の効果の分析を行う療法効果分析手段(図5に示す療法効果分析部13に相当。)と、行動分析手段から送られた行動分析結果と環境分析手段から送られた環境分析結果とをもとに患者が療法に沿った行動を実行したかを確認する療法実行分析手段(図5に示す療法実行分析部14に相当。)と、療法効果分析手段から送られた療法の効果の分析結果と、療法実行分析手段から送られた患者の療法実行の分析結果とをもとに、患者の症状の治療に向いた療法を再選択する療法再選択手段(図5に示す療法再選択部15に相当。)とを備えたメンタルケア支援システム。
そのような構成によれば、患者が療法行動を実行したか否かを確認しながら療法の再提案を行うことができるので、より適切な療法を選択することができる。
(4)患者の薬品に対する嗜好を示す薬品嗜好情報を記憶する患者データベース(図1に示す患者DB10に相当。)を備え、実行方法選択手段103は、薬品嗜好情報をもとに、療法選択手段102が選択した療法の患者向けの実行方法を選択し、選択した実行方法を提示するための情報を生成するするメンタルケア支援システム。
そのような構成によれば、患者の薬品に対する嗜好に合わせて、療法の実行方法を選択することができるので、より適切な療法を選択することができる。
また、上記の実施形態には、以下のようなメンタルケア支援装置も開示されている。
(5)患者の生体情報を計測する生体センサ201−1〜201−xと患者の行動情報を計測する行動センサ202−1〜202−yと患者周囲の環境情報を計測する環境センサ203−1〜203−wと通信可能であって、生体センサ201−1〜201−xと行動センサ202−1〜202−yと環境センサ203−1〜203−wとから送られた計測結果をもとに、患者の感情、患者の行動および患者の周囲の環境を判断し、患者の症状の分析を行い、患者の症状を質的に分類する分析手段101と、分析手段101の分析および分類の結果に応じて患者に対する療法を選択する療法選択手段102と、選択した療法の実行方法を提示するための情報を生成する実行方法選択手段103とを備えるメンタルケア支援装置。