以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、自動車やドローン、ロボット等の移動体の移動を支援するための画像情報及び距離情報の取得に好適な構成を有する撮像装置について説明する。但し、本発明に係る撮像素子は、このような用途に限定されるものではない。
図1(a)は、本発明の実施形態に係る撮像装置100の概略構成を示すブロック図である。撮像装置100は、制御部1、撮像光学系2、レンズ制御部3、撮像素子制御部4、画像処理部5、測距演算部6、表示部7、操作部8、記憶部9、撮像素子10及び通信I/F11を備える。撮像光学系2は、複数のレンズ及び絞り12を有する。なお、説明の便宜上、図1(a)に示すように、撮像光学系2の光軸方向をX方向とし、X方向と直交すると共に互いに直交するY方向とZ方向を規定する。Y方向及びZ方向はそれぞれ、撮像素子10における第1の方向(行方向)及び第2の方向(列方向)となり、撮像素子10の構成についての以下の説明では説明が容易であるため「行方向」及び「列方向」の表現を用いる。なお、「行方向」と「列方向」を入れ換えることにより、Y方向(第1の方向)を「列方向」に、Z方向(第2の方向)を「行方向」としてもよい。
撮像光学系2は、被写体像を撮像素子10に結像させる。撮像光学系2は、ミラーを有してもよく、反射系又は反射屈折光学系の構成となっていてもよい。レンズ制御部3は、撮像光学系2におけるレンズ位置を調整することにより焦点位置を制御する。撮像素子10は、具体的には、CMOSセンサ及びその周辺回路から構成されている。撮像素子10は、撮像光学系2により結像された被写体光学像を光電変換することにより、視差画像(第1の画像,第2の画像)を生成するための電気信号と、撮影画像(第3の画像)を生成するための電気信号とを生成する。つまり、撮像素子10は、画像情報の取得と共に、撮像面位相差方式による距離情報の取得が可能となっており、その詳細な構成については後述する。
撮像素子制御部4は、制御部1からの指示に従って撮像素子10を構成する画素に対する電荷の蓄積、画素からの信号の読み出し等を制御し、取得した電気信号を制御部1へ供給する。画像処理部5は、撮像素子10を構成する撮像画素(詳細は後述する)から出力される電気信号を取得し、γ変換やカラー補間等の画像処理を行って撮影画像を生成し、生成した撮影画像に対して被写体認識処理(特徴解析)を行う。また、画像処理部5は、撮像素子10を構成する測距画素(詳細は後述する)から出力される電気信号を取得し、視差画像を生成する。なお、被写体認識処理には、周知の方法を用いることができ、よって、ここでの説明は省略する。
測距演算部6は、画像処理部5が生成した視差画像に基づき、画像処理部5が被写体認識処理により検出した被写体に対する測距演算を行い、距離情報を算出する。但し、このような方法に限定されず、別の方法で距離情報を算出してもよく、例えば、認識処理を介さずに画面全体に対して測距演算を行ってもよい。その場合、取得した視差画像に基づいて測距演算部6が距離情報を各画素で演算して距離画像(デプスマップ)を生成し、撮影画像と距離画像とに基づいて画像処理部5が対象物を検出するようにしてもよい。なお、画像処理部5が生成した視差画像から視差を求めて、デフォーカス量や対象物までの距離を求める方法は周知であるため、ここでの説明を省略する(例えば、米国特許出願公開第2015/0097991号明細書参照)。
なお、被写体の距離情報とは、被写体までの距離、デフォーカス量、視差(位相差、像ズレ量)等の被写体の位置に関する情報であり、奥行情報或いは深さ情報と呼ばれることもある。また、視差の算出方法(測距演算)については、SSDA法や面積相関法等の周知の技術を用いることができ、その詳細についての説明は省略する。制御部1は、CPU(演算処理回路)、ROM、RAM、A/Dコンバータ及びD/Aコンバータ等を有する。CPUがROMに記憶されたコンピュータプログラムをRAMに展開することにより、撮像装置100を構成する各部の動作が制御されることで、撮像装置100の全体的な制御が実現される。
なお、制御部1は、ソフトウェア(プログラム)による実装とハードウェアによる実装のいずれも可能であり、ソフトウェアとハードウェアとの組合せによって実装されていてもよい。また、例えば、撮像装置100を車載カメラとして用いる場合、車載カメラに内蔵されたコンピュータ(マイコン、FPGA等)のメモリにプログラムを格納し、そのプログラムをコンピュータに実行させることで、各部の処理が実現される構成であってもよい。更に、制御部1は、撮像装置100を構成する各部の処理の全部又は一部を論理回路により実現するASIC等の専用プロセッサであってもよい。測距演算部6及び画像処理部5についても同様で、ソフトウェア(プログラム)による実装とハードウェアによる実装のいずれも可能であり、ソフトウェアとハードウェアとの組合せによって実装してもよい。また、例えば、撮像装置100を車載カメラとして用いる場合、車載カメラに内蔵されたコンピュータ(マイコン、FPGA等)のメモリにプログラムを格納し、そのプログラムをコンピュータに実行させることで、各部の処理を実現してもよい。更に、測距演算部6及び画像処理部5として、各部の処理の全部又は一部を論理回路により実現するASIC等の専用プロセッサを設けてもよい。
表示部7は、例えば、液晶表示装置(LCD)等であり、画像処理部5や測距演算部6により求められた画像情報や距離情報等の各種情報を表示する。なお、撮像装置100は表示部7を備えていない構成であっても構わず、例えば、通信I/F11を介して外部の表示装置に撮影画像等を表示可能な構成となっていてもよい。操作部8は、制御部1に対して各種の指令を与えるスイッチやボタン等である。記憶部9は、例えば、撮像装置100に対して着脱自在なフラッシュメモリ等の半導体メモリ等であり、画像情報や距離情報を記憶する。通信I/F11は、外部機器(例えば、撮像装置100が移動体(不図示)等に搭載されている場合には、移動体の制御装置)との通信(データ送受信)を行う。
図1(b)は、撮像素子10の概略構成を説明する正面図であり、一部の領域10aを拡大して示している。自動車等の移動体に搭載されてその進行方向に現れる各種の物体に対する情報を取得する用途に撮像装置100を用いる場合、撮像素子10からの出力信号に基づき、撮影画像内の被写体認識と認識した被写体に対する測距とを正確且つ迅速に行う必要がある。そこで、撮像素子10の撮像面は、行方向(Y方向)と直交する列方向(Z方向)に、測距画素群(第1の行群)と撮像画素群(第2の行群)とが交互に配置された構造を有する。測距画素群は、測距画素(詳細は後述する)が行方向に並べられてなる測距画素行(第1の行)が列方向に複数並べられることで構成されている。同様に、撮像画素群は、撮像画素(詳細は後述する)が行方向に並べられてなる撮像画素行(第2の行)が列方向に複数並べられることで構成されている。測距画素は、撮像光学系2を通して受光した光束を光電変換することにより、視差画像を生成するための電気信号を出力する。撮像画素は、撮像光学系2を通して受光した光束を光電変換することにより、撮影画像を生成するための電気信号を出力する。
次に、測距画素群と撮像画素群の構成及び撮像画素と測距画素の構成の例について説明する。図2(a)は、撮像素子10における測距画素群と撮像画素群の第1の配置パターンを示す正面図であり、行方向では一部(6画素分)を、列方向では1周期分(4画素分)を示している。第1の配置パターンでは、測距画素群と撮像画素群は、図2(a)に示した測距画素群と撮像画素群を一群として、列方向に繰り返して周期的に配置される。なお、ここでの「1周期分」とは、撮像画素群に設けられるカラーフィルタの配置を考慮しない、測距画素群と撮像画素群の1周期分である。したがって、カラーフィルタの配置を考慮すると、列方向の1周期分は整数倍になる。例えば、ベイヤ配列の場合、列方向の1周期分は8画素分(4画素分×2)となる。
第1の配置パターンにおいて、測距画素群は、測距画素21(第1の画素)と測距画素22(第2の画素)とが2行×複数列に配置されて構成されている。それぞれの測距画素行において、測距画素21,22は行方向に交互に配置されている。そして、測距画素21,22は、列方向においても交互に配置されている。こうして、測距画素21,22は、測距画素群において、市松模様状に配置されている。
図2(b)は、図2(a)中の矢視A−Aでの断面図であり、行方向における測距画素21,22の1周期分の断面構造を示している。測距画素21は、光電変換部であるフォトダイオードPDの前面(撮像光学系2側)に、第1の遮光膜31及び第1のマイクロレンズML1が配置された構造を有する。同様に、測距画素22は、光電変換部であるフォトダイオードPDの前面に、第2の遮光膜32及び第2のマイクロレンズML2が配置された構造を有する。第1の遮光膜31において第1のマイクロレンズML1の光軸OA1から行方向に偏心した位置(ここでは右側)には、第1の開口部31aが設けられている。また、第2の遮光膜32において、第2のマイクロレンズML2の光軸OA2から第1の遮光膜31で第1の開口部31aが設けられた方向の逆方向に偏心した位置(ここでは行方向の左側)には、第2の開口部32aが設けられている。測距画素21のフォトダイオードPDは、第1の開口部31aを通過した光を光電変換し、電気信号を出力する。測距画素22のフォトダイオードPDは、第2の開口部32aを通過した光を光電変換し、電気信号を出力する。
撮像画素群は、撮像画素23(第3の画素)が2行×複数列に配置されて構成されている。ここでは、撮像画素23と測距画素21,22を同じ形状(大きさ)に設定している。図2(c)は、図2(a)中の矢視B−Bでの断面図であり、1個の撮像画素23の断面構造を示している。撮像画素23は、光電変換部であるフォトダイオードPDの前面に、第3の遮光膜33、カラーフィルタCF及び第3のマイクロレンズML3が配置された構造を有する。第3の遮光膜33には、第3のマイクロレンズML3の光軸OA3を含む位置に第3の開口部33aが設けられている。なお、カラーフィルタCFの具体的な配置パターンについては後述する。また、撮像装置100では、後述するように、測距画素21,22が設けられている領域での画像情報をその周辺の撮像画素23の画像情報を用いて補完することによって求める。
ここで、第1の開口部31a、第2の開口部32a及び第3の開口部33aと撮像光学系2の射出瞳との関係について説明する。図2(d)は、撮像光学系2の射出瞳上の各領域を説明する正面図である。絞り12の開口120上(撮像光学系2の射出瞳上)には、第1の領域15、第2の領域16及び第3の領域17がある。ここでは、第1の領域15と第2の領域16として楕円形状のものを示しているが、これに限定されず、例えば、円形状又は多角形状のものであってもよい。第1の領域15と第2の領域16を、Z方向幅がY方向幅よりも長い形状とすることで、測距画素21,22から出力される電気信号のS/N比を高めることができる。
第1の領域15を透過した光束(第1の光)は、測距画素21の第1の開口部31aに主に集光し、第2の領域16を透過した光束(第2の光)は、測距画素22の第2の開口部32aに主に集光する。第3の領域17を透過した光束(第3の光)は、撮像画素23の第3の開口部33aに主に集光し、撮像画素23からの出力信号により撮影画像が生成される。換言すれば、第1の遮光膜31は、撮像光学系2の射出瞳の第1の領域15を通過した第1の光よりも第2の領域16を通過した第2の光と第3の領域17を通過した第3の光を多く遮光する。第2の遮光膜32は、前記第2の光よりも前記第1の光と前記第3の光を多く遮光し、第3の遮光膜33は、前記第3の光よりも前記第1の光と前記第2の光を多く遮光する。更に換言すれば、第1の開口部31aは、前記第2の光と前記第3の光よりも前記第1の光を多く透過し、第2の開口部32aは、前記第1の光と前記第3の光よりも前記第2の光を多く透過する。第3の開口部33aは、前記第1の光と前記第2の光よりも前記第3の光を多く透過する。
測距画素21のフォトダイオードPDからの出力信号により第1の画像が生成され、測距画素22のフォトダイオードPDからの出力信号により第2の画像が生成され、こうして、第1の画像と第2の画像とを有する視差画像が生成される。第1の画像と第2の画像とに視差が生じる視差方向は、行方向となる。このとき、測距画素群では、それぞれの測距画素行において、第1の開口部31aと第2の開口部32aとが行方向で隣り合うように配置された測距画素21,22が更に行方向に繰り返して配置されている。そして、列方向でも測距画素21,22が交互に隣接して配置されることにより、測距画素群では測距画素21,22が市松模様状に配置されている。このような構成とすることにより、斜め線を多く含む被写体であっても、ほぼ同数の測距画素21,22で測距誤差が互いに視差方向の逆方向に出て相殺されることで、第1の画像と第2の画像での視差方向のずれが小さくなり、測距誤差を低減させることができる。また、同一の被写体に対して視差画像を高い解像度で取得することができ、列方向での視差量の検出分解能が落ちることはなく、高い精度での測距が可能となる。
図3は、測距画素21,22及び撮像画素23の形状パラメータを説明する図である。撮像素子10において、測距画素21の行方向での長さを1としたときに、測距画素21の重心(図3に丸印で示す)との第1の開口部31aの重心(図3に三角印で示す)までの距離D1は、0.33<D1<0.45、の関係を満たすことが望ましい。同様に、測距画素22の行方向での長さを1としたときに、測距画素22の重心(図3に丸印で示す)との第2の開口部32aの重心(図3に三角印で示す)までの距離D2も、0.33<D2<0.45、の関係を満たすことが望ましい。これにより、射出瞳における第1の領域15と第2の領域16の基線長を長く取って、測距精度を高めることができる。なお、測距画素21の重心と第1の開口部31aの重心とを結ぶ線は、概ね、行方向と平行となるため、ここでは、これらの重心の関係を行方向で規定している。
また、測距画素21の行方向での長さを1としたときに、行方向における第1の開口部31aの幅W1は、0.10<W1<0.34、の関係を満たすことが望ましい。同様に、測距画素22の行方向での長さを1としたときに、行方向における第2の開口部32aの幅W2は、0.10<W2<0.34、の関係を満たすことが望ましい。これにより、射出瞳における基線長を長く取ることができ、測距画素21は射出瞳の第1の領域15からの光を効率的に受光し、測距画素22は射出瞳の第2の領域16からの光を効率的に受光することができるため、測距精度を高めることができる。
図3右下の撮像画素23では、撮像画素23の重心(図3に丸印で示す)と第3の開口部33aの重心(図3に三角印で示す)とが行方向でずれた状態を誇張して示している。撮像画素23の重心と第3の開口部33aの重心との間の距離D3は、撮像画素23行方向での長さを1としたときに、0≦D3<0.050、の関係を満たすことが望ましい。なお、撮像画素23の重心と第3の開口部33aの重心とがずれる方向は行方向に限らず、それぞれの撮像画素23において、撮像画素23の重心と第3の開口部33aの重心とを結ぶ方向で、0≦D3<0.050、の関係が満たされていればよい。これにより、撮像画素23は射出瞳の第3の領域17からの光を効率的に受光することができるため、鮮明な撮影画像を得ることができる。
撮像画素23における第3の開口部33aの行方向における幅W3は、撮像画素23の行方向での長さを1としたときに、0.050<W3<0.34、の関係を満たすことが望ましい。これにより、撮像画素23は、対応する射出瞳からの光を効率的に受光することができるため、鮮明な撮影画像を得ることができる。測距画素21の第1の開口部31aの列方向における幅L1と、撮像画素23の第3の開口部33aの列方向における幅L3とは、L3<L1、の関係を満たしていることが望ましい。同様に、測距画素22の第2の開口部32aの列方向における幅L2と、撮像画素23の第3の開口部33aの列方向における幅L3とは、L3<L2、の関係を満たしていることが望ましい。そして、幅L1、幅L2及び幅L3は、1.1×L3<L1、および、1.1×L3<L2、の関係を満たすことがより望ましい。これにより、測距画素21,22及び撮像画素23はそれぞれ、射出瞳の対応する領域からの光を効率的に受光することができ、測距精度を高めることができ、また、鮮明な撮影画像を得ることができる。
図4(a)は、測距画素の構造の変形例を示す正面図である。図4(b)は、図4(a)中の矢視C−Cの断面図である。測距画素群を構成する複数の測距画素行(図4には2行のみを示す)は、測距画素25,26が市松模様状に配置された構成となっている。測距画素25,26はそれぞれ、測距画素21,22に代わるものであり、測距画素21,22の要素と同じ要素については、同じ符号を付している。
測距画素25,26には、測距画素25,26にまたがる開口部35aを有する遮光膜35が設けられている。開口部35aは、測距画素21の第1の開口部31aと測距画素22の第2の開口部32aとがつながった開口部に相当する。撮像素子10の製造時の遮光膜形成プロセスにおいて、第1の開口部31aと第2の開口部32aに代えて、1つの大きな開口部35aを形成する場合、遮光膜形成プロセスを容易に行うことが可能になる。その際、形状精度を高めることも可能になるため、測距画素間の特性のばらつきを小さく抑えることができ、これにより、高い測距精度を得ることができる。なお、測距画素25と測距画素26の間に、画素間のクロストークを抑制する遮光部材を設けてもよい。
図2及び図4では、測距画素21,22,25,26として、できる限り多くの光量を受光することができるように、カラーフィルタが設けられていない構造のものを例示した。しかし、測距画素の構成は、これに限定されず、カラーフィルタが配置された構造としてもよく、その場合には、感度を落とさないようにするために補色系カラーフィルタを用いることが望ましい。撮像素子10では、測距画素21,22,25,26及び撮像画素23におけるフォトダイオードPDを同じ形状としているため製造が容易である。撮像素子10は、表面照射型であってもよいし、裏面照射型であってもよい。裏面照射型の場合には、測距画素21と測距画素22との間のクロストークを低減するために、測距画素21と測距画素22との境界に遮光部材を設けてもよい。また、測距画素21,22と撮像画素23との境界に遮光部材を設けてもよい。これにより、各画素は、対応する射出瞳からの光を効率的に受光して、測距精度を高め、また、明瞭な撮影画像を取得することが可能になる。これらの遮光部材は、同じ理由で、測距画素25,26を用いた構成にも適用される。
次に、測距画素群における測距画素の他の配置パターン、撮像画素群における撮像画素の配置パターン、測距画素群と撮像画素群の他の配置パターンについて説明する。以下の説明では、測距画素として、図4を参照して説明した測距画素25,26を例示することとする。但し、測距画素25,26に代えて、測距画素21,22が配置されていても構わない。
図5(a)は、撮像画素群と測距画素群の第2の配置パターンを示す図である。なお、図5(a)において、測距画素25が配置されている位置を「A」で示し、測距画素26が配置されている位置を「B」で示し、撮像画素23が配置されている位置を「撮像」で示している。第2の配置パターンでも、1つの測距画素群において、測距画素25,26は市松模様状に配置されている。そして、列方向で撮像画素群を挟む2つの測距画素群では、同じ列での測距画素25,26の列方向での並びが逆転している。
測距画素25,26が市松模様状に配置された1つの測距画素群から測距情報を求めた場合に、測距誤差がゼロにならず、残存誤差が残ることがある。その場合でも、第2の配置パターンとすることにより、2つの測距画素群での残存誤差が視差方向で逆方向に出るため、平均化によって残存誤差を相殺させて低減させることができ、これにより測距精度を高めることができる。
なお、測距画素群を構成する測距画素行の数(行数)と撮像画素群を構成する撮像画素行の数(行数)とを同数とすることにより、撮影画像を生成する際の測距画素群の画素補間を容易に行うことができる。但し、撮像画素群を構成する撮像画素行の数は、複数に限定されるものではなく、単数(つまり、1行)であってもよいし、測距画素群を構成する測距画素行の数よりも多い複数であってもよい。
図5(b)は、撮像画素群と測距画素群の第3の配置パターンを示す図である。なお、測距画素25,26及び撮像画素23の表示方法は、図5(a)の場合と同じである。第3の配置パターンでも、1つの測距画素群において、測距画素25,26は市松模様状に配置されているが、第3の配置パターンでは、1つの測距画素群と1つの撮像画素群とを含む一群が、行方向に半画素分ずつずれながら周期的に列方向に並べられている。このような構成とすることにより、測距画素25,26による測距における視差方向の分解能を高めて、測距精度を高めることが可能となる。行方向でのずれ量は、半画素分に限定されるものではなく、1/3や1/4等のより小さい値にすることができ、これにより更に測距精度を高めることが可能となる。なお、不図示であるが、撮像画素群を行方向にずらすことなく、測距画素群を列方向において交互に行方向にずらした構成としてもよく、第3の配置パターンと同じ効果を得ることができる。
図5(c)は、撮像画素群と測距画素群の第4の配置パターンを示す図であり、列方向では1周期分を示している。なお、「1周期分」の定義は、図2(a)について説明した定義に準ずる。また、測距画素25,26及び撮像画素23の表示方法は、図5(a)の場合と同じである。第4の配置パターンでは、1つの測距画素群は3本の測距画素行を有しており、測距画素群において測距画素25,26は市松模様状に配置されている。第4の配置パターンでは、列方向の上側の測距画素行と中間の測距画素行とを、図5(a)に示した第2の配置パターンにおける下側の測距画素群と同様に用いる。そして、列方向の下側の測距画素行と中間の測距画素行とを、図5(a)に示した第2の配置パターンにおける上側の測距画素群と同様に用いる。このように、測距画素群を構成する1本の測距画素行を共用する構成とすることで、測距誤差を低減させて、測距精度を高めることが可能となる。
図6(a),(b),(c)はそれぞれ、撮像画素群と測距画素群の第5の配置パターン、第6の配置パターン及び第7の配置パターンを示す図であり、列方向では1周期分を示している。なお、測距画素25,26及び撮像画素23の表示方法は、図5(a)の場合と同じである。第5の配置パターン、第6の配置パターン及び第7の配置パターンのそれぞれにおいて、1つの測距画素群は4本の測距画素行を有している。1本の測距画素行は測距画素25,26が行方向に交互に配置された構成を有するが、第5の配置パターン、第6の配置パターン及び第7の配置パターンでは、測距画素25,26の列方向での配列に差がある。
第5の配置パターンでは、測距画素群全体で、測距画素25,26は市松模様状に配置されており、これにより、第1の配置パターンが奏する効果と同等の効果を得ることができる。また、第5の配置パターンでは、第4の配置パターンと同様に、視差像を3セット取得することができるため、更なる測距精度の高精度化が可能となる。第6の配置パターンの測距画素群は、第2の配置パターン(図5(a))に示した2つの測距画素群を列方向で隣接させたものと同等である。よって、第6の配置パターンの測距画素群では、測距画素25,26は、列方向上側の2本の測距画素行で市松模様状に配置され、列方向下側の2本の測距画素行で市松模様状に配置されている。第7の配置パターンでは、列方向中央の2本の測距画素行において測距画素25,26は市松模様状に配置されており、上下の2行ずつの測距画素行で見たときには、測距画素25が列方向で並び、且つ、測距画素26が列方向で並んでいる。第6の配置パターン及び第7の配置パターンのように、測距画素群は、測距画素25,26が市松模様状に配置された領域を少なくとも一部に有する構成となっていれば、第1の配置パターンが奏する効果と同等の効果を得ることができる。また、第6の配置パターンでは、第2の配置パターンと同様に、視差逆のセットを取得することができるため、更なる測距精度の高精度化が可能である。第7の配置パターンでは、列方向に隣接する測距画素25同士、測距画素26同士を加算してS/N比を上げた視差像信号を取得でき、これにより測距精度の高精度化が可能となる。
なお、第5の配置パターン、第6の配置パターン及び第7の配置パターンでも、撮影画像を生成する際の測距画素群の画素補間が容易とするために、測距画素群を構成する測距画素行の数に撮像画素群を構成する撮像画素行の数を合わせている。但し、撮像画素群を構成する撮像画素行の数は、測距画素群を構成する測距画素行の数に限定されるものではない。
図7は、図6(b)に示した測距画素群と撮像画素群の第6の配置パターンでの撮像画素群におけるカラーフィルタの配置パターンを示す図である。撮像画素群において、「G」で示される撮像画素23は、グリーンのカラーフィルタを有する画素を示している。また、「R」で示される撮像画素23はレッドのカラーフィルタを有する画素を、「BL」で示される撮像画素23はブルーのカラーフィルタを有する画素をそれぞれ示している。測距画素25,26の表示方法は、図5(a)の場合と同じである。
撮像画素群では、行方向と列方向を各辺とする所定の領域に含まれる複数の撮像画素23に同色のカラーフィルタを設けることができる。ここでは、(行方向:4個)×(列方向:4個)の16個の撮像画素23を一群として、各群にRGBのカラーフィルタがベイヤ配列となるように設けられたものを示している。但し、一群を構成する画素数はこれに限定されるものではない。同色のカラーフィルタが設けられた一群(=16個)の撮像画素23から電気信号を加算して読み出し、読み出した加算信号から撮影画像を生成し、生成した撮影画像に対して被写体認識処理等の所定の画像処理を行う。これにより、画像処理の演算負荷を軽減させながら、撮像画素群での感度を向上させて、撮影画像の画質を向上させることができる。
また、撮像素子10による撮像では、撮影画像を生成する際に、撮像画素23からの出力信号を用いて、測距画素25,26が配置されている位置に対する画素補間処理を行う。例えば、図7に太線枠で示される(行方向:4個)×(列方向:4個)の16個の測距画素25,26に対して、列方向で隣接する撮像画素群にあって行方向で近接する6群の撮像画素23の出力信号を用いて、画素補間処理を行う。これにより、画素補間処理を容易に行うことができ、その際の演算負荷を軽減させることができる。図7に示した撮像画素群に対するカラーフィルタの配置パターンは、図2に示した第1の配置パターン、図5及び図6に示した第2乃至第5及び第7の配置パターンについても、同様に適用することができる。
上記第1乃至第7の配置パターンは、撮像素子10として測距画素群と撮像画素群とを備えるものである。ここで、測距画素群を構成する測距画素21,22又は測距画素25,26がそれぞれ取得する第1の画像と第2の画像もまた画像情報であることを利用して、撮像素子10を測距画素で構成することにより、距離情報と画像情報を取得することも可能である。そこで、撮像素子10として、測距画素で構成される例について説明する。
図8(a)は、測距画素25,26から構成される撮像素子10の第1の例を示す図である。第1の例では、撮像素子10の全面に測距画素25,26が市松模様状に配置されている。測距画素25,26はカラーフィルタを備えていないため、測距画素25,26により得られる第1の画像と第2の画像はそれぞれモノクロ画像となる。撮像素子10を第1の例の構成のように測距画素25,26のみで構成することにより、高い測距精度を得ることができる。なお、撮影画像には、第1の画像と第2の画像のいずれか一方を用いてもよいし、第1の画像の画像データと第2の画像の画像データとの演算処理によって生成してもよい。また、第1の例では、全面に測距画素25,26が市松模様状に配置されているが、一部に測距画素25,26がそれぞれ列方向に並べて配置された領域を含むように配置されていても構わない。
図8(b)は、測距画素25,26から構成される撮像素子10の第2の例を示す図である。第2の例での測距画素25,26の配置パターンは、図8(a)に示した第1の例の測距画素25,26の配置パターンと同じである。第2の例では、(行方向:2個)×(列方向:2個)の4個の測距画素25,26を一群として、各群にR,G,BLのカラーフィルタがベイヤ配列となるように設けられている。例えば、G(グリーン)のカラーフィルタを有する測距画素25は、図4(b)の断面図に示す測距画素25に図2(c)に示す撮像画素23が有するカラーフィルタCFを設けた構造を有する。第2の例では、測距画素25,26により得られる第1の画像と第2の画像がカラー画像となり、よって、カラー化された画像情報を取得しつつ、測距情報を得ることができる。
次に、本発明の実施形態に係る撮像装置を移動体に搭載した場合のシステム構成について説明する。図9は、撮像装置100を移動体の一例である自動車50に搭載した場合のシステム構成の一例を示す図である。撮像装置100は、例えば、自動車50のフロントガラスの内側上部に取り付けられて前方を所定の画角59で撮影する。そして、撮像装置100は、前述したように撮影画像に対して被写体認識処理を行い、前方(進行方向)に現れる各種の物体を検出し、検出した物体に対する測距を行う。撮像装置100の制御部1は、自動車50が備える制御装置55へ画像情報と距離情報を提供する。なお、移動体に搭載する場合、撮像装置100は、図1に示したレンズ制御部3、表示部7、操作部8及び記憶部9を備えていない構成であっても構わない。
自動車50は、制御装置55、車両情報取得装置51、警報装置52及び制動装置53を備える。車両情報取得装置51は、車速(移動速度)、ヨーレート、舵角(移動方向)、エンジンの回転速度、ギア段等の自動車50の状態を示す少なくとも1つを車両情報(移動体情報)として検知し、検知した車両情報を制御装置55へ供給する。警報装置52は、制御装置55からの指令に従い、警報を鳴らす、カーナビゲーションシステム等の画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与える等により、ユーザに警告を行う。制動装置53は、制御装置55からの指令に従い、エンジンの回転速度制御やギアのシフト制御、ブレーキアシスト(ABS、ESC、自動ブレーキ等)、ハンドルアシスト(自動追従運転、車線逸脱防止等)等の各種の動作を行う。
制御装置55は、車両情報取得装置51から取得した車両情報と撮像装置100から取得した所定の物体に対する距離情報に基づいて、警報装置52と制動装置53の動作を制御するコンピュータである。また、制御装置55は、撮像装置100の制御部1と通信を行い、制御部1に対してホストコンピュータとして機能する。つまり、制御装置55は、制御部1に対して画像情報と距離情報の取得と、取得した画像情報と距離情報の制御装置55への送信を指令する。
図10は、自動車50での動作制御の一例である衝突防止制御のフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理のうち、ステップS11,S13〜S14の処理は、自動車50の制御装置55による制御の下で、撮像装置100の制御部1によって実行される。ステップS12,S15,S16の処理は、自動車50の制御装置55によって実行される。
ステップS11では、制御部1の制御下で、撮像光学系2及び撮像素子10が撮影を行い、画像処理部5が撮影画像及び視差画像を生成する。ステップS12において、制御装置55は、車両情報取得装置51から車両情報を取得する。ステップS13では、制御部1の制御下で、ステップS11で取得した画像情報に基づき画像処理部5が撮影画像に対して被写体認識処理を行う。具体的には、ステップS13では、撮影画像におけるエッジの量や方向、濃度値、色、輝度値等の特徴量を解析することにより、車両や自転車、歩行者、車線、ガードレール、ブレーキランプ等(以下「対象物」という)が検出される。なお、被写体認識処理は、複数のフレーム画像に対して行ってもよいし、複数のフレーム画像のうちの一部(少なくとも1つのフレーム画像)に対して行ってもよい。ステップS14では、制御部1の制御下で、ステップS11で取得した視差画像とステップS13で検出した対象物とに基づいて測距演算部6が対象物の距離情報を演算する。
なお、ステップS12の処理と、一連の処理であるステップS11,S13,14の処理とは、上記の通りに行われてもよいし、並行して行われてもよい。また、ステップS13とステップS14の順番を入れ替えてもよい。その場合、まず、ステップS14では、制御部1の制御下で、ステップS11で取得した視差画像に基づいて測距演算部6が距離情報を各画素で演算して距離画像(デプスマップ)を生成する。そして、ステップS13では、制御部1の制御下で、ステップS11で取得した撮影画像とステップS14で生成した距離画像とに基づいて画像処理部5が対象物を検出する。なお、フォトダイオードPD2からの出力信号により生成された第2の画像とフォトダイオードPD3からの出力信号により生成された第3の画像とから視差を求めて、デフォーカス量や対象物までの距離を求める方法は周知であるため、ここでの説明を省略する。例えば、米国特許出願公開第2015/0097991号明細書に当該方法についての説明がある。
ステップS15において制御装置55は、ステップS14で求められた距離情報に基づき、対象物までの距離が予め定められた設定距離内にあるか否か(設定距離内に対象物(=障害物)が存在するか否か)を判定する。そして、制御装置55は、設定距離内に対象物が存在する場合に、ステップS12で取得した車両情報(特に移動速度及び移動方向)と対象物の位置及び対象物までの距離に基づき、設定距離内の対象物に対する衝突可能性の有無を判定する。なお、路面状況に関する情報の取得が可能な構成を有する自動車50であれば、ステップS15の処理では、路面情報(乾いた路面か濡れた路面か)に応じて設定距離を変える(濡れた路面であれば設定距離を長くする)ようにしてもよい。
制御装置55は、衝突可能性がないと判定した場合(S15でNO)、処理をステップS11へ戻し、衝突可能性があると判定した場合(S15でYES)、処理をステップS16へ進める。ステップS16では、制御装置55の制御下で、警報装置52と制動装置53による衝突回避動作を行う。衝突回避動作としては、警報装置52による運転手に対する警報発令や、制動装置53によるブレーキング、低速ギアへの移行、エンジン出力の抑制等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。制御装置55は、ステップS16の後、処理をステップS11へ戻す。以上のフローにより、正確に対象物(障害物)を検知して、衝突回避或いは衝突時の被害軽減を図ることができる。
ここでは、撮像装置100が取得した画像情報と距離情報に基づく衝突回避制御について説明した。しかし、これに限定されず、先行車への自動追従制御や車線内中央の走行維持制御、車線逸脱防止制御は、ステップS15での判定基準が異なるだけであり、図10のフローチャートに従う同様の手法によって実現することができる。
上記の自動車50のシステム構成では、撮像装置100は自動車50の車両前方のみに装着されているが、撮像装置100を車両後方の撮影が可能な位置に取り付けて、画像情報及び距離情報を自動車50の後退時の運転支援に用いることもできる。また、撮像装置100が取得した画像情報と距離情報は、運転支援に限らず、自律運転にも適用が可能である。更に、撮像装置100は、自動車(乗用車、トラック、バス、特殊車両、自動二輪車等を含む)限らず、画像情報と距離情報に基づく動作制御が可能な各種の移動体、例えば、船舶や鉄道車両、航空機或いは産業用ロボット等への適用が可能である。加えて、撮像装置100は、移動体に搭載される用途に限られることなく定点カメラとしても用いることができ、例えば、交差点監視システム、高度道路交通システム(ITS)等の広く物体認識を利用するシステムに適用することができる。
なお、自動車50のシステム構成において、撮像装置100の撮像光学系2及び撮像素子10以外の各部の機能を自動車50の制御装置55に持たせた構成としても構わない。つまり、撮像装置100の光学系及び撮像素子と制御系とを分離した構成として、制御系の機能を制御装置55の機能に統合したシステム構成としてもよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。更に、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。例えば、上記実施形態では、測距画素と撮像画素のそれぞれに遮光膜を設けることより撮像光学系2の瞳領域を分ける構成としたが、撮像光学系2で撮像素子10に入射する光束を分離する構成としてもよく、その具体例について、図11を参照して説明する。
図11(a)は、撮像光学系2に配置される開口絞り12Aの概略構成を示す正面図である。開口絞り12Aには、第1の領域15を規定する第1の開口部150と、第1の領域15を規定する第1の開口部150、第2の領域16を規定する第2の開口部160、第3の領域17を規定する第3の開口部170が形成されている。
図11(b)は、測距画素41,42の概略構造を示す断面図であり、図2(b)と同様に示されている。図11(c)は、撮像画素43の概略構造を示す断面図であり、図2(c)と同様に示されている。測距画素41では、第1のマイクロレンズML1の光軸OA1から行方向に偏心した位置(ここでは右側)に、第1の光電変換部であるフォトダイオードPD1が設けられている。測距画素42では、第2のマイクロレンズML2の光軸OA2から測距画素41においてフォトダイオードPD1が設けられた方向の逆方向に偏心した位置(ここでは行方向の左側)に、第2の光電変換部であるフォトダイオードPD2が設けられている。撮像画素43では、第3のマイクロレンズML3の光軸OA3を含む位置に、第3の光電変換部であるフォトダイオードPD3が設けられている。開口絞り12Aの第1の開口部150を通過した光束は、測距画素41のフォトダイオードPD1に主に受光され、第2の開口部160を透過した光束は、測距画素42のフォトダイオードPD2に主に受光される。第3の開口部170を透過した光束は、撮像画素43のフォトダイオードPD3に主に受光される。測距画素41,42からの出力信号により視差画像(第1の画像、第2の画像)が生成され、撮像画素43からの出力信号により撮影画像(第3の画像)が生成される。フォトダイオードPD1,PD2の形状、大きさ、位置は、第1の開口部31aと第2の開口部32aの形状、大きさ、位置に準じて設計することができる。フォトダイオードPD3の形状、大きさ、位置は、第3の開口部33aの形状、大きさ、位置に準じて設計することができる。
図11(d)は、測距画素41,42(フォトダイオードPD1,PD2)の感度と光束の入射角度との関係を説明する図である。測距画素41,42による測距精度を高めるためにはフォトダイオードPD1,PD2に入射する光束に対応する撮像光学系2での瞳における基線長を長く取ることが望まれる。しかし、瞳における基線長を長く取ると、フォトダイオードPD1,PD2に対する入射角度が大きくなって入射光量が低下することにより画素信号のS/N比は低下する。そこで、絞り12における第1の領域15及び第2の領域16(第1の開口部150及び第2の開口部160)は、所望する精度での測距を可能とする視差画像を取得することができる位置及び形状に設定されている。その結果、フォトダイオードPD1は光束の入射角が−θ度のときに、フォトダイオードPD2は光束の入射角が+θ度のときにそれぞれ感度が最も大きくなる特性を有する。図11(e)は、撮像画素43(フォトダイオードPD3)の感度と光束の入射角度との関係を説明する図である。撮像画素43は、入射角が零度のときに感度が最も大きくなる特性を有する。撮像光学系2と撮像素子10とをこのような構成とすることによっても、図2を参照して説明した構成と同様に、測距情報と画像情報とを取得することができる。
なお、フォトダイオードPD1,PD2に対する入射角度の増加による画素信号のS/N比の低下が許容範囲内であるならば、開口絞り12Aのような特殊な開口絞りを撮像光学系2の瞳面に配置しなくてもよい。また、図2を参照して説明した実施形態では、開口絞り12Aのような特殊な開口絞りを撮像光学系2の瞳面に配置していなかったが、図2の実施形態において開口絞り12Aのような特殊な開口絞りを撮像光学系2の瞳面に配置してもよい。
また、上記実施形態では、移動体に搭載される撮像装置等について説明してきたが、撮像画像(静止画や動画)の取得を主な用途とする一般的な撮像装置にも本発明を適用することができ、その具体例について図12を参照して説明する。図12(a)は、撮像素子における測距画素群と撮像画素群の第8の配置パターンを示す正面図であり、行方向で一部(6画素分)を、また、列方向でも一部(4画素分)を示している。測距画素群は、測距画素61,62によって構成されており、撮像画素群は撮像画素63により構成されている。一般的な撮像装置では、画質が重要視される。そのため、撮像画素群でのカラーフィルタの配置パターンを考慮しない場合の列方向での1周期分(1つの測距画素群と1つの撮像画素群)は、例えば、測距画素群を2行、撮像画素群を100行に設定することができる。但し、これに限定されるものではなく、所望の画質の撮影画像と測距精度が得られるように、測距画素行の数と撮像画素行の数を設定すればよい。
図12(b)は、図12(a)中の矢視C−Cでの断面図であり、行方向における測距画素61,62の1周期分の断面構造を示している。測距画素61,62において、測距画素21,22(図2参照)と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。測距画素21が第1の開口部31aを有する第1の遮光膜31を備えるのに対して、測距画素61は、第1の開口部71aを有する第1の遮光膜71を備える点で、測距画素21と異なる。同様に、測距画素22が第2の開口部32aを有する第2の遮光膜32を備えるのに対して、測距画素62は、第2の開口部72aを有する第2の遮光膜72を備える点で、測距画素22と異なる。測距画素61,62間には、測距画素61,62間のクロストークを抑制するために遮光膜73が形成されている。測距画素61の第1の開口部71aと測距画素62の第2の開口部72aはそれぞれ、測距画素21の第1の開口部31aと測距画素22の第2の開口部32aよりも、行方向に広い幅を有する。
図12(c)は、図12(a)中の矢視D−Dでの断面図であり、1個の撮像画素63の断面構造を示している。撮像画素63において、撮像画素23(図2参照)と共通する構成については、同じ符号を付して説明を省略する。撮像画素23は第3の遮光膜33を有するが、撮像画素63は遮光膜を有さない点で、撮像画素63は撮像画素23とは異なる。
図12(d)は、撮像光学系2の射出瞳上の各領域を説明する正面図である。絞り12の開口120上(撮像光学系2の射出瞳上)には、第1の領域15a、第2の領域16a及び第3の領域17aがある。第1の領域15aを透過した光束は測距画素61の第1の開口部71aに主に集光し、第2の領域16aを透過した光束は測距画素62の第2の開口部72aに主に集光する。第3の領域17aは、第1の領域15aと第2の領域16aを含む開口120にほぼ対応しており、第3の領域17aを透過した光束は、撮像画素63のPDに集光する。撮影画像を生成する際には、撮像画素群からの出力信号を用いて測距画素群の画素補間が行われる。
第8の配置パターンを有する撮像素子による画像情報と測距情報の取得は、上述した第1の配置パターン等を有する撮像素子10と同様に行うことができる。第8の配置パターンを有する撮像素子を備える撮像装置では、被写体の距離情報として一対の像信号の位相差やフォーカスレンズの駆動量を求め、得られた被写体の距離情報に基づいてフォーカスレンズを駆動する構成とすることができる。このようなオートフォーカスの方法は、例えば米国特許出願公開第2013/0242172号明細書に記載されており、ここでの詳細な説明は省略する。