JP6723759B2 - 潤滑油供給構造およびそれを備えた内燃機関システム - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、軸受台からの潤滑油の漏洩を防止するために、内燃機関から排出される排ガスにより駆動されるタービン側の空間に、圧縮機により圧縮した圧縮空気をシール空気として導くことが開示されている。
本発明の第1態様の潤滑油供給構造は、過給機の軸受部の潤滑に用いられた潤滑油を内燃機関のクランク室へ供給するものであって、前記過給機に接続される上流側流路と、前記クランク室に接続される下流側流路と、前記上流側流路と前記下流側流路とを連結する連結流路と、前記連結流路の内部空間と外部空間とを連通させる筒状の連通部材とを備え、前記連結流路の流路断面積が、前記上流側流路および前記下流側流路の流路断面積よりも大きく、前記連通部材の一端が前記連結流路の上方側に形成される開口穴に接続され、前記連通部材の他端が前記開口穴よりも上方に配置される。
このように、本発明の第1態様の潤滑油供給構造によれば、過給機の軸受部の潤滑に用いられた潤滑油に圧縮空気が混入している場合であっても、圧縮空気が潤滑油とともに内燃機関のクランク室へ導入される不具合を抑制可能とした潤滑油供給構造を提供することができる。
このように、本発明の第2態様の潤滑油供給構造によれば、過給機の軸受部の潤滑に用いられた潤滑油に圧縮空気が混入している場合であっても、圧縮空気が潤滑油とともに内燃機関のクランク室へ導入される不具合を抑制可能とした潤滑油供給構造を提供することができる。
このようにすることで、上流側流路から湾曲部へ流入した潤滑油を下流側流路へ流入させることができるため、上流側流路から流入した潤滑油の一部が湾曲部に滞留することを防止することができる。
このようにすることで、湾曲部において余剰の空気を外部空間へ排出するとともに、潤滑油の流通方向を変更することなく上流側流路から直線部を経て下流側流路まで潤滑油を流通させることができる。潤滑油の流通方向が変更されないため、潤滑油の流通性が向上する。
このようにすることで、過給機の軸受部の潤滑に用いられた潤滑油に圧縮空気が混入している場合であっても、圧縮空気が潤滑油とともに内燃機関のクランク室へ導入される不具合を抑制可能とした内燃機関システムを提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態の舶用ディーゼル機関システムについて図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の舶用ディーゼル機関システム(内燃機関システム)は、船舶の主機として用いられるディーゼル機関(内燃機関)400と、過給機300と、潤滑油戻り流路(潤滑油供給構造)100と、潤滑油供給流路200と、潤滑油供給流路200に設けられる潤滑油ポンプ500と、を備える。
クランク室410で用いられた潤滑油は、潤滑油ポンプ500の動力によりクランク室410の下部に設けられた潤滑油溜まり(図示略)から潤滑油供給流路200を流通し、過給機300の軸受部310の上方に供給される。
ディーゼル機関400の掃気室420には、過給機300の圧縮機320で圧縮された空気が燃焼用空気として供給される。ディーゼル機関400のシリンダ内部での燃料の燃焼により発生した排ガスは、過給機300のタービン330に供給される。
図1および図2に示すように、過給機300は、軸受部310と、圧縮機320と、タービン330と、圧縮機320とタービン330とを連結するとともに軸受部310により支持されるロータ軸340と、を備える。
図3に示すように、軸受台314の内部には、潤滑油タンク313から第1軸受311および第2軸受312に潤滑油を供給するための潤滑油供給穴315が形成されている。
シール空間SAに供給された圧縮空気は、シール空間SAの圧力を高め、第2軸受312に供給された潤滑油がタービン330側へ漏出することを抑制するように作用する。
図4に示す本実施形態の潤滑油戻り流路100は、過給機300の軸受部310から供給される潤滑油LOをディーゼル機関400のクランク室410へ供給する流路である。図4に示すように、潤滑油戻り流路100は、軸線X2に沿って延びる直線状に形成される流路である。図4において、軸線X1は水平面上に配置される軸線であり、軸線X2は軸線X1が配置される水平面に対して傾斜角度θだけ傾斜している。ここで、θは0°以上の値に設定される。
なお、θを0°より大きくすることにより潤滑油LOの自重を利用することができるが、θを0°とした場合であっても、圧縮空気等の作用により、潤滑油LOはディーゼル機関400のクランク室410へ導かれる。
上流側流路110と下流側流路120と連結流路130とは、それぞれ軸線X2を中心軸として円筒状に形成される流路である。
中央部133の上方側(軸線X2よりも鉛直方向の上方側)の縮小部132との連結位置には、開口穴130aが形成されている。
上流側流路110の流路径D1と下流側流路120の流路径D2は、同一の流路径とするのが望ましい。
そのため、連結流路130の各位置での流路断面積は、上流側流路110の各位置での流路断面積および下流側流路120の各位置での流路断面積よりも大きい。
本実施形態の潤滑油戻り流路100によれば、過給機300の軸受部310から上流側流路110に流入する潤滑油LOが、連結流路130に流入してから下流側流路120へ導かれ、その後にディーゼル機関400のクランク室410へ供給される。連結流路130の流路断面積が上流側流路110および下流側流路120の流路断面積よりも大きくなっている。そのため、潤滑油戻り流路100の上方に形成される潤滑油LOが流通しない空間部分の単位流路長あたり体積は、上流側流路110および下流側流路120に比べて連結流路130の方が大きくなる。
このように、本実施形態の潤滑油戻り流路100によれば、過給機300の軸受部310の潤滑に用いられた潤滑油LOに圧縮空気が混入している場合であっても、圧縮空気が潤滑油LOとともにディーゼル機関400のクランク室410へ導入される不具合を抑制することができる。
次に本発明の第2実施形態のディーゼル機関システムおよびそれが備える潤滑油戻り流路(潤滑油供給構造)600について説明する。
本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態のディーゼル機関システムおよびそれが備える潤滑油戻り流路100と同様であるものとする。
それに対して本実施形態のディーゼル機関システムが備える潤滑油戻り流路600は、上流側流路610および下流側流路620を、これらの流路の中心軸よりも上方に突出するように湾曲した湾曲部633を有する連結流路630で連結するものである。
図5に示す本実施形態の潤滑油戻り流路600は、過給機300の潤滑油排出口316から供給される潤滑油LOをディーゼル機関400のクランク室410へ供給する流路である。図5に示すように、潤滑油戻り流路600は、軸線X2に沿って延びる直線状に形成される上流側流路610と、軸線X3に沿って延びる直線状に形成される下流側流路620とを備える。
上流側流路610と下流側流路620とは、それぞれ軸線X2と軸線X3を中心軸として円筒状に形成される流路である。
また、図5に示す潤滑油LOの油量は過給機300およびディーゼル機関400の定常運転状態の一例を示すものである。過給機300およびディーゼル機関400の運転状態により、潤滑油戻り流路600を流通する潤滑油LOの油量は変化する。
図5に示すように、上流側流路610と下流側流路620と連結流路630の流路径は流通方向の位置によらずに一定である。そのため、潤滑油戻り流路600の流通方向の各位置における流路断面積は一定である。
このように、連結流路630は、上流側流路610の中心軸である軸線X2よりも上方に突出するように湾曲した湾曲部633を有しているため、湾曲部633の流路内部の上方側に潤滑油LOが流通しない空間が確保される。
連通管641は、潤滑油LOの流通方向と連通管641が延びる方向との角度差が大きいため、連通管640よりも圧縮空気が排出されにくいが、圧縮空気とともに内部へ導かれる潤滑油LOを減少させることができる。よって、連通管641を設ける場合、連通管640を設ける場合に比べて、外部空間S2に排出される潤滑油LOの量を減少させることができる。
このように、本実施形態の潤滑油戻り流路600によれば、過給機300の軸受部310の潤滑に用いられた潤滑油LOに圧縮空気が混入している場合であっても、圧縮空気が潤滑油LOとともにディーゼル機関400のクランク室410へ導入される不具合を抑制することができる。
次に本発明の第3実施形態のディーゼル機関システムおよびそれが備える潤滑油戻り流路(潤滑油供給構造)700について説明する。
本実施形態は第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態のディーゼル機関システムおよびそれが備える潤滑油戻り流路100と同様であるものとする。
それに対して本実施形態のディーゼル機関システムが備える潤滑油戻り流路700は、上流側流路710および下流側流路720を、これらの流路の中心軸よりも上方に突出するように湾曲した湾曲部731を有する連結流路730で連結するものである。
図6に示す本実施形態の潤滑油戻り流路700は、過給機300の軸受部310から供給される潤滑油LOをディーゼル機関400のクランク室410へ供給する流路である。
上流側流路710と下流側流路720とは、軸線X1を中心軸として円筒状に形成される流路である。
図6に示すように、上流側流路710と下流側流路720と直線部732の流路径は流通方向の位置によらずに一定である。そのため、潤滑油戻り流路700の軸線X2に沿った流通方向の各位置における流路断面積は一定である。
また、本実施形態の連結流路730は、上流側流路710の中心軸である軸線X2よりも上方に突出するように湾曲した湾曲部731を有しているため、湾曲部731の流路内部の上方側に潤滑油LOが流通しない空間が確保される。
連通管741は、潤滑油LOの流通方向と連通管741が延びる方向との角度差が大きいため、連通管740よりも圧縮空気が排出されにくいが、圧縮空気とともに内部へ導かれる潤滑油LOを減少させることができる。よって、連通管741を設ける場合、連通管740を設ける場合に比べて、外部空間S2に排出される潤滑油LOの量を減少させることができる。
また、本実施形態の湾曲部731は、一端が上流側流路710に連結され他端が下流側流路720に連結されている。そのため、上流側流路710から湾曲部731に流入した潤滑油は、湾曲部731の内部で滞留することなく下流側流路720に導かれる。
以上で説明した連通管140,640,641,642,740,741,742の内部に、メッシュ状に形成されるデミスタを配置してもよい。このようにすることで、圧縮空気を通過させつつミスト状の潤滑油を液化して内部空間S1へ向けて落下させ、外部空間S2に潤滑油が排出される不具合を抑制することができる。
110,610,710 上流側流路
120,620,720 下流側流路
130,630,730 連結流路
131 拡大部
132 縮小部
133 中央部
140,141,640,641,642,740,741,742 連通管(連通部材)
200 潤滑油供給流路
300 過給機
310 軸受部
311 第1軸受
312 第2軸受
313 潤滑油タンク
314 軸受台
315 潤滑油供給穴
316 潤滑油排出口
320 圧縮機
321 渦室
330 タービン
340 ロータ軸
400 ディーゼル機関(内燃機関)
410 クランク室
420 掃気室
500 潤滑油ポンプ
633,731 湾曲部
732 直線部
LO 潤滑油
S1 内部空間
S2 外部空間
X1,X2 軸線
Claims (5)
- 過給機の軸受部の潤滑に用いられた潤滑油を内燃機関のクランク室へ供給する潤滑油供給構造であって、
前記過給機に接続される上流側流路と、
前記クランク室に接続される下流側流路と、
前記上流側流路と前記下流側流路とを連結する連結流路と、
前記連結流路の内部空間と圧力が大気圧である外部空間とを連通させる筒状の連通部材と、を備え、
前記連結流路の流路断面積が、前記上流側流路および前記下流側流路の流路断面積よりも大きく、
前記連通部材の一端が前記連結流路の上方側に形成される開口穴に接続され、前記連通部材の他端が前記開口穴よりも上方に配置され、
前記連結流路は、前記上流側流路に連結される拡大部と、前記下流側流路に連結される縮小部と、前記拡大部と前記縮小部との間に配置される中央部と、を有し、
前記中央部の流路径は一定であり、前記拡大部の流路径は前記上流側流路から前記中央部へ向けて漸次拡大しており、前記縮小部の流路径は前記中央部から前記下流側流路へ向けて漸次縮小している潤滑油供給構造。 - 過給機の軸受部の潤滑に用いられた潤滑油を内燃機関のクランク室へ供給する潤滑油供給構造であって、
前記過給機に接続される上流側流路と、
前記クランク室に接続される下流側流路と、
前記上流側流路と前記下流側流路とを連結する連結流路と、
前記連結流路の内部空間と外部空間とを連通させる筒状の連通部材と、を備え、
前記連結流路は、前記上流側流路に連結されるとともに該上流側流路の中心軸よりも上方に突出するように湾曲した湾曲部を有し、
前記連通部材の一端が前記湾曲部の上方側に形成される開口穴に接続され、前記連通部材の他端が前記開口穴よりも上方に配置された潤滑油供給構造。 - 前記湾曲部が、前記下流側流路に連結された請求項2に記載の潤滑油供給構造。
- 前記連結流路が、前記上流側流路および前記下流側流路を連結するとともに直線状に延びる直線部を備える請求項2または請求項3に記載の潤滑油供給構造。
- 前記内燃機関と、
空気を圧縮して前記内燃機関の掃気室へ供給する前記過給機と、
前記過給機の前記軸受部の潤滑に用いられた潤滑油を前記内燃機関の前記クランク室へ供給する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の潤滑油供給構造と、を備える内燃機関システム。
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