以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(第1の実施形態)
[構成等]
[無線通信システムの構成]
図1は、第1の実施形態における無線通信システム10の構成例を示すブロック図である。無線通信システム10は、1台以上の端末100及び1台以上の基地局200を備える。無線通信システム10は、例えば、5Gの無線通信システムである。端末100と基地局200との間は、無線回線20を介して接続される。
端末100は、例えばスマートフォン、タブレット端末を含む。基地局200は、例えば、BTS(Base Transceiver Station)又はAP(Access Point)を含む。端末100は、車載用の無線通信装置に適用されてもよい。
端末100と基地局200との間では、無線資源を用いて各種データが通信される。各種データは、例えば、低遅延時間を要するデータ(優先データともいう)、低遅延時間を要しないデータ(非優先データともいう)を含む。優先データは、優先呼により通信される。非優先データは、非優先呼により通信される。
各種データは、例えば、車両のブレーキ制御のデータ、金融取引のためのデータ、煙の検知データ、画像データ(例えば動画、静止画)、音声データ、音楽データを含む。例えば、車両のブレーキ制御のデータや金融取引のためのデータは優先データであり、音楽データは非優先データである。
低遅延時間とは、例えば1ms(ミリ秒)以下の通信遅延時間である。低遅延時間であることで、例えば、車両に対する遠隔制御(ブレーキ制御等)、一刻を争う電子商取引(証券取引等)、オンラインゲーム、における通信遅延時間の要求を満たすことができる。
無線資源は、例えば、通信に使用される無線周波数、無線周波数の一部(周波数軸の一部、時間軸の一部、又はその組み合わせ)を含む。周波数軸の一部とは、例えばサブキャリア周波数や複数のサブキャリア周波数の束を指す。時間軸の一部とは、例えばタイムスロットや複数のタイムスロットの束を指す。
無線回線20は、例えば5G回線であり、上り回線21及び下り回線22を含む。上り回線21は、端末100から基地局200に向かう無線回線である。下り回線22は、基地局200から端末100に向かう無線回線である。無線回線20は、様々な公衆回線、携帯電話回線、広域無線回線等を広く含む。
[端末の構成]
図2は、端末100の構成例を示すブロック図である。端末100は、プロセッサ150、メモリ160、第1受信アンテナ101、第1送信アンテナ108、及びビーコンレシーバ109を備える。
プロセッサ150は、メモリ160と協働して、各種処理や制御を行う。具体的には、プロセッサ150は、メモリ160に保持されたプログラムを実行することで、以下の各部の機能を実現する。この各部は、第1無線受信部102、第1パケット復号部103、第1優先呼判定部104、第1無線資源割当部105、第1パケット生成部106、及び第1無線送信部107を含む。
メモリ160は、例えば、各種データ、情報、プログラムを記憶する。メモリ160は、プロセッサ150に内蔵されてもよい。メモリ160は、一次記憶装置とともに、二次記憶装置を含んでもよい。一時記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含む。二次記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disk Memory)、SSD(Solid State Drive)を含む。
第1無線受信部102は、下り回線22及び第1受信アンテナ101を介して、基地局200からのパケット(第1の受信パケット)を受信する。
第1パケット復号部103は、第1の受信パケットを復号して、第1の復号データを得る。第1の復号データは、下り回線22のデータを含む。下り回線22のデータは、メモリ160、記憶装置や表示装置等の外部装置(不図示)、各種ソフトウェアの処理部(不図示)に渡される。
第1優先呼判定部104は、上り回線21のデータが優先データであるか否か、つまり上り回線21のデータを送信するための呼が優先呼であるか否か判定する。優先呼である場合、第1優先呼判定部104は、優先呼である旨を第1無線資源割当部105へ送る。第1優先呼判定部104は、上り回線21のデータを第1パケット生成部106へ送る。
第1無線資源割当部105は、優先呼である旨の通知を受けると、メモリ160を参照し、優先呼に対して、基地局200で上り回線21の優先呼用にリザーブされた無線資源のうち、空いている無線資源を割り当てる。第1無線資源割当部105は、優先呼である旨の通知を受けなかった場合、例えばメモリ160を参照し、非優先呼に対して、基地局200で上り回線21用又は下り回線22の優先呼用にリザーブされていない無線資源のうち、空いている無線資源を割り当てる。尚、第1無線資源割当部105は、優先呼に対して、上り回線21用又は下り回線22の優先呼用にリザーブされていない無線資源のうち、空いている無線資源を割り当ててもよい。第1無線資源割当部105は、割り当てられた無線資源の情報を、第1無線送信部107へ送る。
第1パケット生成部106は、上り回線21のデータを含むパケット(第1の送信パケット)を生成する。第1パケット生成部106は、生成された第1の送信パケットを第1無線送信部107へ送る。
第1無線送信部107は、割り当てられた無線資源の情報と、第1の送信パケットと、を受け取る。第1無線送信部107は、上り回線21及び第1送信アンテナ108を介して、割り当てられた無線資源を用いて、基地局200へ第1の送信パケットを送信する。
ビーコンレシーバ109は、受信アンテナを介して、基地局200からのビーコン信号を受信する。この受信アンテナは、第1受信アンテナ101とは異なる不図示のアンテナでもよいし、第1受信アンテナ101と共用でもよい。
尚、ビーコン信号の通信は、応用分野によっては必ずしも厳しい低遅延時間が要求されない。即ち、ビーコン信号は5G回線で通信する必要は必ずしも無く、別の通信手段で通信されることも有り得るし、同じ5G通信の中で低遅延時間を要しないデータとして扱われることもあり得る。ビーコン信号の通信も厳しい低遅延時間が要求される応用分野では、ビーコン信号が5G回線で低遅延時間が要求されるデータとして扱われることもあり得る。
ビーコン信号は、例えば、基地局200により上り回線21の優先呼に対してリザーブされた無線資源やこの無線資源のうち空いている(未割当の)無線資源の情報を含む。ビーコン信号に含まれる上り回線21の無線資源に係る情報は、メモリ160に送られて保持され、又は第1無線資源割当部105へ送られる。
[基地局の構成]
図3は、基地局200の構成例を示すブロック図である。基地局200は、プロセッサ250、メモリ260、第2受信アンテナ201、第2送信アンテナ213、通信インタフェース205、外部装置インタフェース206、及びビーコントランスミッタ215を備える。
プロセッサ250は、メモリ260と協働して、各種処理や制御を行う。具体的には、プロセッサ250は、メモリ260に保持されたプログラムを実行することで、以下の各部の機能を実現する。この各部は、第2無線受信部202、第2パケット復号部203、折り返し判定部204、データ生成部207、第2優先呼判定部208、第2リザーブ管理部209、第2無線資源割当部210、第2パケット生成部211、第2無線送信部212、及び第1リザーブ管理部214を含む。
メモリ260は、例えば、各種データ、情報、プログラムを記憶する。メモリ260は、プロセッサ250に内蔵されてもよい。メモリ260は、一次記憶装置とともに、二次記憶装置を含んでもよい。一時記憶装置は、例えば、RAM、ROMを含む。二次記憶装置は、例えば、HDD、SSDを含む。
第2無線受信部202は、上り回線21及び第2受信アンテナ201を介して、端末100からのパケット(第2の受信パケット)を受信する。
第2パケット復号部203は、第2の受信パケットを復号して、第2の復号データを得る。第2の復号データは、上り回線21のデータを含む。上り回線21のデータは、例えば、上位装置300、端末100、メモリ260、記憶装置や表示装置等の外部装置400、各種ソフトウェアの処理部(不図示)に送られる。
折り返し判定部204は、上り回線21のデータを受け取り、上り回線21のデータが用いられるアプリケーションに基づいて、上り回線21のデータを上位装置300へ送信するか、上り回線21のデータに基づくデータを端末100へ送信するかを判定する。つまり、基地局200が、アプリケーションレイヤで扱っているデータが優先データであるか否かを判定する。
ここでのアプリケーションは、例えば、ブレーキ制御等のデータを扱う車両制御アプリケーション、電子商取引のデータを扱う電子商取引アプリケーション、ゲームの操作データ等を扱うゲームアプリケーション、を含む。
尚、取得したデータに基づいて、複数の端末100の一部にデータを送信(返信)することを、ここでは「折り返す」とも称する。ここで、基地局200からの下り回線22を介した送信の宛先には、基地局200宛に上り回線21を介して送信した端末100を含む場合もあれば、含まない場合もある。また、折り返し判定部204は、端末100から取得したデータ(パケット)をそのまま折り返すよう判定してもよいし、宛先の端末100が処理を適切に行えるよう、取得した上り回線21のデータに情報処理を施した結果のデータを折り返すよう判定してもよい。このように、データの折り返しにより基地局200がデータを送信する送信先としての端末100は、基地局200により取得されたデータを送信した端末100と、このデータを送信した端末100以外の端末100と、のうち少なくとも1台を含む。
折り返されるデータは、例えばアプリケーションにより定められる。例えば、優先データが折り返しの対象となるが、非優先データが折り返されてもよい。データが折り返して端末100へ送信されることで、データが上位装置300へ送信される一般的な基地局200の通信と比較すると、データ通信の通信遅延時間を短縮できる。
上位装置300とは、5Gにおけるコアネットワークと無線アクセスネットワークとの接続部分に相当する装置である。上位装置300は、例えば、LTE(Long Term Evolution)ではSGW(Serving Gateway)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)ではSGSN(Serving General packet radio service Support Node)に相当する装置を指す。
折り返し判定部204は、データを折り返す場合には、上り回線21のデータをデータ生成部207へ送る。折り返し判定部204は、データを折り返さない場合には、上り回線21のデータを通信インタフェース205へ送る。
通信インタフェース205は、上位装置300との間で通信する。通信インタフェース205による通信方式は、例えば、有線(例えば光回線)又は無線の5Gの通信方式である。
例えば、通信インタフェース205は、上り回線21のデータ(例えば非優先データ)を上位装置300へ送信し、下り回線22のデータ(例えば非優先データ)を上位装置300から受信する。
また、通信インタフェース205は、優先呼の場合でも、端末100へデータを折り返すとともに、上位装置300へ上り回線21のデータを送信してもよい。
外部装置インタフェース206は、外部装置400と接続され、外部装置400からデータを取得(例えば受信)する。外部装置400は、例えばセンサを含む。センサは、例えば煙検知センサを含む。外部装置インタフェース206による通信方式は、例えば、DECT,Bluetooth(登録商標),各種有線通信方式、各種無線通信方式、を含む。
データ生成部207は、外部装置インタフェース206からのデータ又は折り返し判定部204からのデータを取得し、取得されたデータに基づいて下り回線22のデータを生成する。
例えば、データ生成部207は、外部装置400からの煙の検知データを受け取り、煙が検知された旨を含むデータを生成する。例えば、データ生成部207は、端末100からのブレーキ操作のデータを受け取り、他の車両に対するブレーキ操作のデータを生成する。例えば、データ生成部207は、端末100からの金融取引のための入力データを受け取り、入力データに基づく金融取引の許否のデータを生成する。
第2優先呼判定部208は、通信インタフェース205又はデータ生成部207からのデータ(下り回線22のデータ)が優先データであるか否か、つまり下り回線22のデータを送信するための呼が優先呼であるか否かを判定する。優先呼である場合、第2優先呼判定部208は、優先呼である旨を第2リザーブ管理部209へ送る。第2優先呼判定部208は、下り回線22のデータを第2パケット生成部211へ送る。
第2リザーブ管理部209は、下り回線22の優先呼用の無線資源を予め確保(リザーブ)し、リザーブに係る情報をメモリ260に保持して管理する。リザーブに係る情報は、例えば、リザーブされた無線資源の情報を含む。第2リザーブ管理部209は、下り回線22の優先呼に対して、下り回線22用にリザーブされた無線資源を割り当てるよう、第2無線資源割当部210へ指示する。
また、第2リザーブ管理部209は、第2優先呼判定部208から優先呼である旨を受け取る。第2リザーブ管理部209は、例えば、下り回線22の優先呼の発生数をカウントし、カウント値をメモリ260に保持させる。第2リザーブ管理部209は、下り回線22の優先呼の発生履歴に基づいて、下り回線22用の無線資源のリザーブ量を導出(例えば算出)する。無線資源のリザーブ量の導出方法の詳細については後述する。
第2無線資源割当部210は、優先呼である旨の通知を受けると、メモリ260を参照し、優先呼に対して、下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源のうち、空いている無線資源を割り当てる。第2無線資源割当部210は、優先呼である旨の通知を受けなかった場合、上り回線21用又は下り回線22の優先呼用にリザーブされていない無線資源のうち、空いている無線資源を割り当てる。尚、第2無線資源割当部210は、優先呼に対して、上り回線21用又は下り回線22の優先呼用にリザーブされていない無線資源のうち、空いている無線資源を割り当ててもよい。第2無線資源割当部210は、割り当てられた無線資源の情報を、第2無線送信部212へ送る。
第2パケット生成部211は、下り回線22のデータを含むパケット(第2の送信パケット)を生成する。第2パケット生成部211は、生成された第2の送信パケットを第2無線送信部212へ送る。
第2無線送信部212は、割り当てられた無線資源の情報と、第2の送信パケットと、を受け取る。第2無線送信部212は、下り回線22及び第2送信アンテナ213を介して、割り当てられた無線資源を用いて、端末100へ第2の送信パケットを送信する。
第1リザーブ管理部214は、上り回線21の優先呼用の無線資源を予め確保(リザーブ)し、リザーブに係る情報をメモリ260に保持して管理する。
また、第1リザーブ管理部214は、第2無線受信部202から上り回線21に用いられた呼が優先呼である場合、優先呼である旨の情報を受け取る。第1リザーブ管理部214は、例えば、上り回線21の優先呼の発生数をカウントし、カウント値をメモリ260に保持させる。第1リザーブ管理部214は、上り回線21の優先呼の発生履歴に基づいて、上り回線21用の無線資源のリザーブ量を導出(例えば算出)する。無線資源のリザーブ量の導出方法の詳細については後述する。
また、第1リザーブ管理部214は、上り回線21の優先呼用のリザーブされた無線資源やこの無線資源のうち空いている無線資源の情報を、ビーコントランスミッタ215へ送る。
ビーコントランスミッタ215は、送信アンテナを介して、端末100へビーコン信号を送信する。この送信アンテナは、第2送信アンテナ213とは異なる不図示のアンテナでもよいし、第2送信アンテナ213と共用でもよい。ビーコン信号は、第1リザーブ管理部214からの無線資源の情報を含む。
[無線資源のリザーブ量の導出方法]
次に、無線資源のリザーブ量の導出方法の具体例について説明する。ここでは、主に、下り回線22用の無線資源のリザーブ量の導出について説明するが、上り回線21用の無線資源のリザーブ量の導出についても同様である。
第2リザーブ管理部209は、下り回線22における過去の優先呼の発生量の履歴情報に基づいて、下り回線22の優先呼用にリザーブする無線資源の量(リザーブ量)を決定する。
一定期間において、無線資源の量としてx〜x+△xを要する呼量の優先呼が発生する確率をP(x)・△xとする。この一定期間は、例えば下り回線22の優先呼が無線資源を継続して占有する時間であり、例えば5ミリ秒である。尚、「・」は乗算符号を示す。
確率密度関数P(x)は、例えば(式1)に示す正規化された関数で表わされる。
必要とされる無線資源量xの期待値(平均値)C
mは、例えば(式2)で表わされる。
第2リザーブ管理部209により下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源の量をCtとすると、一定期間に下り回線22の優先呼が、リザーブされた無線資源量Ct以上発生した場合、リザーブされた無線資源の量が不足する。リザーブされた無線資源の量が不足する確率(ブロッキング確率)をPBとする。ブロッキング確率PBは、例えば(式3)で表わされ、10−4、10−6、10−8等となる。ブロッキング確率PBは、例えば基地局200のユーザインタフェース(不図示)等により設定され、メモリ260に保持される。このブロッキング確率PBは、ユーザにより許容されるブロッキング確率(許容PB)に相当する。
一例として、確率密度関数P(x)が指数関数分布に従うとする。この場合、確率密度関数P(x)は、例えば(式4)で表わされる。
また、この場合、必要とされる無線資源量xの期待値は、C
m=1/Aで示され、ブロッキング確率は、P
B=e
−ACtで示される。よって、ブロッキング確率P
Bは、例えば(式5)で表される。
従って、確率密度関数P(x)が指数関数分布に従う場合、リザーブされる無線資源の量C
tは、例えば(式6)で表される。
別例として、確率密度関数P(x)が上限有りの一様分布に従うとする。この一様分布では、例えば、0≦x≦1/pではP(x)=pであり、1/p≦xではP(x)=0であるとする。この場合、必要とされる無線資源量xの期待値C
mは、例えば(式7)で表わされる。
また、ブロッキング確率PBは、0≦Ct≦1/pでは1−Ct・pで表わされ、1/p≦Ctでは0で表わされる。
基地局200では、第1リザーブ管理部214が、第2リザーブ管理部209と同様に、上り回線21における過去の優先呼の発生量の履歴情報に基づいて、上り回線21の優先呼用にリザーブする無線資源の量(リザーブ量)を決定する。具体的な上り回線21の優先呼用の無線資源のリザーブ量の導出方法は、下り回線22の優先呼用の無線資源のリザーブ量の導出方法と同様であるので、説明を省略する。
尚、リザーブされた無線資源に空きがない場合にリザーブされていない無線資源を優先呼が使用可能である場合、上記の各式で示されたブロッキング確率PBは、リザーブされていない無線資源においても空きがない状態におけるブロッキング確率、つまりブロッキング確率の最大値と言える。
[動作等]
次に、無線通信システム10の動作例について説明する。
図4は、基地局200の動作例を示すフローチャートである。ここでは、基地局200による無線資源の割当に係る動作を例示するが、端末100による無線資源の割当に係る動作も同様である。
図4の動作を開始する前に、第2リザーブ管理部209は、下り回線22の優先呼用の無線資源をリザーブし、メモリ260にリザーブに係る情報を保持させる。無線資源のリザーブ量は、例えば前述した導出方法により決定される。
まず、第2優先呼判定部208は、下り回線22の優先呼が発生したか否かを判定する(S11)。
下り回線22の優先呼が発生したと判定されると、第2リザーブ管理部209は、優先呼の発生をカウントし(S12)、カウント値をメモリ260に保持する。優先呼の発生のカウント値は、前述した無線資源のリザーブ量の導出に用いられる。
第2無線資源割当部210は、メモリ260に保持された下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源を参照し、発生した優先呼に対して無線資源を割当可能か否かを判定する(S13)。尚、本実施形態では、下り回線22の優先呼用の無線資源をリザーブしているので、下り回線22の優先呼用の無線資源が不足する可能性は極めて小さい。また、第2無線資源割当部210は、下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源に空きがない場合、リザーブされていない無線資源を割り当ててもよい。
優先呼に対して無線資源を割当可能である場合、第2無線資源割当部210は、優先呼に対して無線資源を割り当てる(S14)。
第2無線送信部212は、第2送信アンテナ213を介して、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼の送信パケットを送信する(S15)。
S13において優先呼に対して無線資源を割当不可能である場合、第2リザーブ管理部209は、優先呼に対する無線資源の不足をカウントする(S16)。ここでは、無線資源の不足のカウントは、無線資源の不足頻度を示している。
第2無線資源割当部210は、既に接続された呼(通信中呼、他の呼とも称する)のうち、切断可能な呼が存在するか否かを判定する(S17)。他の呼は、非優先呼や他の優先呼である。
切断可能な他の呼が存在する場合、第2無線資源割当部210は、他の呼を切断する(S18)。基地局200は、他の呼の切断により、発生した優先呼用の無線資源を確保できる。
他の呼を切断すると、基地局200は、S14,S15の処理を行う。
S17において切断可能な他の呼が存在しない場合、発生した優先呼の損失となる(S19)。但し、本実施形態では、優先呼用の無線資源がリザーブされるため、優先呼の損失となる確率は極めて小さいと考えられる。
図4では、他の呼が切断されることを想定したが、他の呼を切断せずに無線資源を確保可能な場合、基地局200は、他の呼を切断せずに、優先呼用の無線資源を確保してもよい。例えば、基地局200は、他の呼の通信順番を後回しにしたり、他の呼の通信速度を下げたりすることで、優先呼用の無線資源を確保してもよい。
尚、第2リザーブ管理部209は、S16において優先呼に対する無線資源の不足をカウントした結果に基づいて、リザーブ量を制御してもよい。ここでの優先呼の発生量に対する優先呼用の無線資源の不足は、実測されたブロッキング確率(実測PB)に相当する。
例えば、第2リザーブ管理部209は、実測PBが所定値以上である場合、優先呼用にリザーブされる無線資源量Ctを大きく(例えば2倍)することで、リザーブ量を増大してもよい。尚、実測PBと比較される所定値は、許容ブロッキング確率PB以上の値である。例えば、第2リザーブ管理部209は、前述した無線資源のリザーブ量を再度導出する際に、設定される許容PBの値を変更し、Ctの値が増大する。これにより、基地局200は、優先呼に対する無線資源の不足を低減できる。
例えば、第2リザーブ管理部209は、実測PBが所定値以下である場合、優先呼用にリザーブされる無線資源量Ctを小さく(例えば1/2倍)することで、リザーブ量を低減してもよい。これにより、基地局200は、他の呼に割当可能な無線資源を増大でき、無線資源の利用効率を向上できる。
リザーブ量の増大や低減等の更新は、任意のタイミングで行われてよい。例えば、優先呼の呼量が増大した場合に、又は定期的に、リザーブ量が更新される。つまり、リザーブ量は時変に決定される。これにより、基地局200は、任意のタイミングにおいて、好適なリザーブ量の無線資源を確保できる。
また、好適なリザーブ量は、基地局200の設置場所や優先呼の発生頻度により異なる。そのため、リザーブ量は、基地局200毎に異なってもよい。各基地局200は、過去の優先呼の発生履歴やブロッキング確率を個別に管理することで、自律分散的に優先呼用の無線資源のリザーブ量を決定できる。従って、基地局200は、各基地局200周辺の環境に合ったリザーブ量を設定できる。
図4では基地局200の動作例として説明したが、端末100の動作例についても同様である。この場合、動作主体として、第2優先呼判定部208の代わりに第1優先呼判定部104が動作し、第2無線資源割当部210の代わりに第1無線資源割当部105が動作し、第2無線送信部212の代わりに第1無線送信部107が動作し、第2送信アンテナ213の代わりに第1送信アンテナ108が動作する。
この場合、端末100は、基地局200の第1リザーブ管理部214により管理され、ビーコントランスミッタ215により送信された上り回線21の優先呼用の無線資源のリザーブ情報を、ビーコンレシーバ109により取得する。このリザーブ情報は、上り回線21の優先呼用にリザーブされた無線資源の情報やこの無線資源の空き情報を含む。そして、上り回線21の優先呼が発生する前に、取得したリザーブ情報をメモリ160が保持する。端末100は、基地局200からのリザーブ情報に基づいて、上り回線21の優先呼に対してリザーブされた無線資源を割当可能である。
[ユースケース]
次に、無線通信システム10が適用されるユースケースについて説明する。
[ユースケース1]
図5は、ユースケース1を説明するための模式図である。ユースケース1では、無線通信システム10は、車両制御に用いられる。ユースケース1では、例えば、基地局200が、信号機、立体交差橋、歩道橋、又は路側に設置され、端末100が、車両1〜3に設置され又は車両1〜3内のユーザに所持される。ここでは、端末100は、車両と連動して動作する。ユースケース1では、優先呼は、車両制御に係るデータを通信するための呼である。車両制御に係るデータは、例えば、ブレーキ操作のデータ、車速のデータ、又は車両位置のデータ、を含む。
例えば、車両1がブレーキ操作により減速すると、端末100は、基地局200から通知された上り回線21の優先呼用にリザーブされた無線資源を用いて、ブレーキ操作が発生した旨を含むデータを、基地局200へ送信する。
基地局200は、ブレーキ操作が発生した旨を含むデータを受信し、ブレーキ操作した車両1が存在する旨を含むデータを、下り回線22の優先呼用のリザーブされた無線資源を用いて、送信する。
端末100(例えば車両1に後続する車両2,3に置かれた端末)は、基地局200が送信したデータを受信可能なエリアに進入すると、ブレーキ操作した車両1が存在する旨を含むデータを受信する。端末100は、この受信されたデータに基づいて、車両2,3の動作を制御(例えばブレーキ制御)する。また、この端末100は、受信された車両制御に係るデータ(例えば車両1がブレーキ操作した旨のデータ)を、車両2,3内のモニタへ表示させてもよい。
このように、無線通信システム10は、上り回線21の優先呼用にリザーブされた無線資源を用いて、ブレーキ操作のデータを低遅延で通信し、下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源を用いて、ブレーキ操作に伴う制御データを低遅延で通信できる。従って、無線通信システム10は、車両制御に係る優先呼の通信要求を満足でき、車両走行の安全性を向上できる。
[ユースケース2]
ユースケース2では、無線通信システム1000は、EC(Electronic Commerce)業界や金融業界での不正検出に用いられる。ユースケース2では、例えば、基地局200が、例えば金融取引に係る取引処理を行うサーバ(サーバ)であり、端末100が、ATM(Automated Teller Machine)端末又はATM機能を有するPC(Personal Computer)(以下、ATM端末等)である。ユースケース2では、優先呼は、金融取引や電子商取引に係るデータを通信するための呼である。金融取引は、株取引を含んでもよい。
例えば、ATM端末等は、カードから取得したデータやユーザからの入力操作に伴い取得したデータ(以下、端末データともいう)を、上り回線21の優先呼用にリザーブされた無線資源を用いて、基地局200へ送信する。端末データは、ユーザの識別データ(例えばカード番号)、金融取引するための認証データ、取引金額のデータを含む。
サーバは、端末データに基づいて、金融取引における不正の有無を検出する。サーバは、検出結果を、下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源を用いて、ATM端末等に送信する。
ATM端末等は、不正取引の有無の検出結果のデータを受信し、不正がある場合には金融取引を停止する。これにより、無線通信システム10は、低遅延でATM端末等とサーバとの間で通信でき、金融取引に係る優先呼の通信要求を満足でき、不正な金融取引を抑制できる。
また、PCが電子商取引(例えば商品の購入)に係るデータを含む端末データをサーバへ送信し、サーバが端末データに基づいて電子商取引における不正の有無を検出してもよい。そして、サーバがこの検出結果をPCへ送信し、PCが、受信した検出結果に基づいて、電子商取引を停止してもよい。
これにより、無線通信システム10は、同一商品の大量購入や同一ユーザによる別拠点からの同時購入に係る電子商取引を、電子商取引における高速処理への阻害を抑制して、安全に実施できる。
[ユースケース3]
ユースケース3では、無線通信システム1000は、災害発生通知に用いられる。ユースケース3では、例えば、基地局200は、センサによるセンシングの対象エリア(例えば火山周辺)に設置される。また、端末100は、センシングデータを収集するセンタ(例えば警察署、消防署、旅館等施設)又は機器(例えば警報器)に設置され、又はセンシングデータを参照するユーザ(例えば警備員)に所持される。端末100は、様々な機器(例えば警報器や電子シャッタ)と連携して動作可能である。センシングデータは、例えば煙の検知データを含む。ユースケース3では、優先呼は、災害発生を通知するための呼である。
例えば、基地局200が、外部装置400としてのセンサから煙の検知データを取得する。基地局200は、下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源を用いて、煙を検知した旨を含むデータを送信する。
端末100は、煙を検知した旨を含むデータを受信することで、例えば警報器と連動して、ユーザに対して煙の発生を通知できる。従って、例えば、センサに煙が検知された場合に、端末100は、火災の拡大を抑制するために、シャッタと連動してシャッタを閉めることができる。また、例えば、基地局200が煙の検知データを火山噴火兆候データとして活用し、火山周辺の端末100へ火山噴火兆候データを通知することで、火山噴火に係るデータをユーザ等に迅速に通知でき、火山周辺の安全性を向上できる。
このように、交通情報を扱う基地局200、金融情報を扱う基地局200、災害情報を扱う基地局200では、データが用いられるアプリケーションを加味して、上位装置300側へデータを送信するか下位装置(例えば端末100)側へデータを送信するかを判別する。この場合、このアプリケーションは、例えば、車両制御アプリケーション、金融取引アプリケーション、災害通知アプリケーション、を含む。無線通信システム10は、上位装置300へデータを送信することを省略することで、通信遅延時間を短縮できる。
[効果等]
このように、無線通信システム10では、基地局200は、優先呼に専有的に割り当てる無線資源を一定量リザーブする。これにより、優先呼が発生した場合に、基地局200が割り当てるべき無線資源が存在しない、又は空いていない確率(ブロッキング確率)を低減できる。これにより、基地局200は、実測ブロッキング確率(実測PB)を許容ブロッキング確率(許容PB)以下に低減できる可能性が高くなる。
また、基地局200は、無線資源のリザーブ量を、過去の一定期間に発生した優先呼の発生量や優先呼の発生量の確率分布に基づいて導出する。無線資源のリザーブ量は、例えば基地局200毎に導出される。また、基地局200は、上り回線21用と下り回線22用とで個別に、無線資源のリザーブ量を決定し、無線資源をリザーブできる。また、基地局200は、無線資源のリザーブ量を時間的に可変できる。
基地局200は、優先呼の発生を履歴として管理更新し、同様な優先呼の発生状況が継続する場合には、実測されるブロッキング確率が許容ブロック確率以下となる無線資源のリザーブ量を設定できる。これにより、基地局200は、無線資源のリザーブ量が過大又は過小となる可能性を低減できるので、優先呼用の無線資源の不足を抑制し、無線資源の利用効率を向上できる。また、基地局200は、優先呼用の無線資源の不足を抑制することで、通信遅延時間を短縮でき、QoS(Quality of Service)を向上できる。
5Gは、より低遅延時間でのデータ転送を要する用途(アプリケーション)にも活用されることが想定される。例えば、安全運転支援における車の操作情報(ブレーキを踏んだ、ハンドルを何度回した、等の情報)のアップロードや、制御情報(自動ブレーキをかける、自動操舵をする、等の情報)のダウンロードが考えられる。車の操作情報や制御情報は、優先データに含まれるので、優先呼により通信される。
低遅延時間を満足するために無線規格としての低遅延時間性能は具備していても、優先呼の発生時に端末100と基地局200との間の無線通信に割り当てられるべき無線資源が、基地局200に接続されている他の呼によって占有されていると、優先呼は呼損となる。
これに対し、本実施形態の端末100、基地局200又は無線通信システム10によれば、好適なリザーブ量でリザーブされた無線資源を優先呼に割り当てできるので、優先呼の呼損を抑制できる。同様に、基地局200は、発生した優先呼に無線資源を割り当てるために、他の呼の通信を切断等する可能性を低減でき、他の呼の通信品質の劣化を抑制できる。
また、上り回線21の優先呼で使用すべき無線資源を基地局200が一括管理するので、無線資源の割り当てのために各端末100同志が連携しなくてよく、無線資源の割当を効率化できる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、無線通信システムが基地局を1つ又は独立した(連携していない)複数の基地局を備えることを例示した。第2の実施形態では、無線通信システムが基地局を複数備え、複数の基地局が連携することを例示する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の事項については、説明を省略又は簡略化する。
[構成等]
[無線通信システムの構成]
図6は、第2の実施形態における無線通信システム10Aの構成例を示すブロック図である。無線通信システム10Aは、1台以上の端末100、複数の基地局200A、及びサーバ500を備える。無線通信システム10Aは、例えば、5Gの無線通信システムである。端末100と基地局200Aとの間は、無線回線20を介して接続される。基地局200Aとサーバ500との間は、例えば光回線30を介して接続される。尚、光回線30の代わりに、有線回線が設けられてもよいし、無線回線が設けられてもよい。
複数の基地局200Aは、各々のカバーエリアが重複(オーバーレイ)して配置されている。そのため、複数の基地局200Aは、近距離に設置され、他の基地局(セル)の無線資源の割当に関与可能である。複数の基地局200Aのセル半径は、各々、同じでも異なってもよい。オーバーレイされて配置される複数の基地局200Aの数は、例えば、3〜4個でもよいし、10個単位でもよい。この複数の基地局200Aは、サーバ500により制御され、無線資源が相互に融通され得る。本実施形態では、端末100は、オーバーレイされて配置された各基地局200Aと通信可能である。
無線回線20を伝送されるデータは、優先データ等であり、第1の実施形態と同様である。
[基地局及びサーバの構成]
図7は、基地局200A及びサーバ500の構成例を示すブロック図である。図7では、基地局200Aは、4つの基地局200A1,200A2,200A3,200A4を含む。尚、基地局200Aの数はこれに限られない。
サーバ500は、プロセッサ550、メモリ560、通信インタフェース570(第1通信インタフェース)、及び外部装置インタフェース580を備える。尚、通信インタフェース570及び外部装置インタフェース580は、図7では図示が省略されており、図8及び図9に示されている。
プロセッサ550は、メモリ560と協働して、各種処理や制御を行う。具体的には、プロセッサ550は、メモリ560に保持されたプログラムを実行することで、基地局制御部510及び連携制御部520の機能を実現する。
メモリ560は、例えば、各種データ、情報、プログラムを記憶する。メモリ560は、プロセッサ550に内蔵されてもよい。メモリ560は、一次記憶装置とともに、二次記憶装置を含んでもよい。一時記憶装置は、例えば、RAMやROMを含む。二次記憶装置は、例えば、HDDやSSDを含む。
また、メモリ560は、第1の実施形態で説明したメモリ260が記憶するデータと同様のデータを記憶する。例えば、メモリ560は、各基地局200Aと端末100との通信に用いられる無線資源のリザーブに係る情報を保持する。無線資源のリザーブに係る情報は、メモリ560において、例えば基地局200A毎に区分されて保持される。無線資源のリザーブに係る情報は、メモリ560において、上り回線21用及び下り回線22用に分けて保持されてもよい。
また、メモリ560は、各基地局200Aの通信実績の情報を保持する。通信実績の情報は、例えば、後述するQCIのパラメータに関連する情報を含む。通信実績の情報は、例えば、優先呼の通信により提供したことのあるサービスの名称、このサービスの優先呼の通信に係る遅延時間(平均値、最長値、等)やPER(平均値、最大値、等)の実績値、このサービスの優先呼の通信における帯域保証の有無、を含む。尚、ここでのサービスは、アプリケーションであってもよい。
通信インタフェース570は、第1の実施形態で説明した通信インタフェース205と同様であり、上位装置300との間で通信する。通信インタフェース570による通信方式は、例えば、有線(例えば光回線)又は無線の5Gの通信方式である。
例えば、通信インタフェース570は、上り回線21のデータ(例えば非優先データ)を上位装置300へ送信し、下り回線22のデータ(例えば非優先データ)を上位装置300から受信する。また、通信インタフェース570は、優先呼の場合でも、基地局200Aを介して端末100へデータを折り返すとともに、上位装置300へ上り回線21のデータを送信してもよい。
外部装置インタフェース580は、第1の実施形態で説明した外部装置インタフェース206と同様であり、外部装置400と接続され、外部装置400からデータを取得(例えば受信)する。外部装置インタフェース580による通信方式は、例えば、DECT,Bluetooth(登録商標),各種有線通信方式、各種無線通信方式、を含む。
また、サーバ500は、不図示であるが、例えば基地局200Aの数と同数(図7では4つ)の通信インタフェース(第2通信インタフェース)を含む。第2通信インタフェースは、基地局200Aに接続される光回線30が接続され、各基地局200Aと通信する。尚、第2通信インタフェースの数は、これに限られない。また、第2通信インタフェースが1つであり、1つの通信インタフェースを介して各基地局200Aと通信可能にされてもよい。
基地局制御部510は、例えば基地局200Aの数と同数の基地局制御部510(図7では4つの基地局制御部510A,510B,510C,510D)を含む。尚、基地局制御部510の数は、これに限られない。
基地局制御部510は、第1の実施形態で説明した基地局200の各部が有する機能の一部を有する。図7では、基地局制御部510が第1リザーブ管理部214A及び第2リザーブ管理部209Aを備えることが記載されており、リザーブ管理部以外のブロックの図示が省略されている。リザーブ管理部以外の部位については、図8や図9に記されている。
連携制御部520は、各基地局制御部510の第1リザーブ管理部214A又は第2リザーブ管理部209Aと連携して動作する。
図8は、基地局200A及び基地局制御部510の第1構成例を示すブロック図である。尚、図8の基地局200Aにおいて、図3に示した基地局200と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
尚、図8では、「基地局x」は、基地局A,B,C,D,・・・のいずれかであることを示している。また、「基地局制御部x」は、基地局制御部A,B,C,D,・・・のいずれかであることを示している。
基地局200Aは、第2受信アンテナ201、第2無線受信部202、第2無線送信部212、第2送信アンテナ213、及びビーコントランスミッタ215を備える。
サーバ500では、基地局制御部510は、第2パケット復号部203、折り返し判定部204、データ生成部207、第2優先呼判定部208、第2リザーブ管理部209A、第2無線資源割当部210、第2パケット生成部211、及び第1リザーブ管理部214Aを含む。
つまり、基地局200Aは、先述の基地局200が通信するためのアンテナやその周辺の構成部を備える。基地局200Aが備える構成部は、基地局制御部510と比較すると、OSI参照モデルの下位層(例えば第1層又は第2層)を扱う。
また、基地局制御部510は、先述の基地局200が通信するための制御や機能を実現する構成部を備える。基地局制御部510が備える構成部は、基地局200Aと比較すると、OSI参照モデルの上位層(例えば第3層以上)を扱う。
図9は、基地局200A及び基地局制御部510の第2構成例を示すブロック図である。尚、図9の基地局200Aにおいて、図3に示した基地局200と同様の構成については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
基地局200Aは、第2受信アンテナ201、第2送信アンテナ213、及びビーコントランスミッタ215を備える。
サーバ500では、基地局制御部510は、第2無線受信部202、第2パケット復号部203、折り返し判定部204、データ生成部207、第2優先呼判定部208、第2リザーブ管理部209A、第2無線資源割当部210、第2パケット生成部211、第2無線送信部212、及び第1リザーブ管理部214Aを含む。
尚、第2無線受信部202及び第2無線送信部212は、RF(Radio Frequency)に係る信号処理を行う。
つまり、基地局200Aは、先述の基地局200が通信するためのアンテナを備える。基地局200Aが備える構成部は、基地局制御部510と比較すると、OSI参照モデルの下位層(例えば第1層)を扱う。
また、基地局制御部510は、先述の基地局200が通信するための制御や機能を実現する構成部を備える。基地局制御部510が備える構成部は、基地局200Aと比較すると、OSI参照モデルの上位層(例えば第2層以上)を扱う。
第2リザーブ管理部209Aは、図3に示した第2リザーブ管理部209の機能を有する。
また、第2リザーブ管理部209Aは、自局に発生した下り回線22の優先呼に対し、メモリ560に予め保持された自局用の優先呼用の無線資源や自局用の他の無線資源のうち、空いている無線資源を割り当てる。自局とは、当該第2リザーブ管理部209Aを有する基地局200A(例えば基地局200A1)である。第2リザーブ管理部209Aは、メモリ560に予め保持された自局用の優先呼用の無線資源や自局用の他の無線資源のうち割当可能な無線資源が存在しない場合、連携制御部520に無線資源の不足が発生した旨を通知する。無線資源の不足が発生した旨の通知には、例えば、自局を識別するための基地局ID、無線資源の不足量が含まれる。
また、第2リザーブ管理部209Aは、連携制御部520から、他局用の優先呼用の無線資源や他局用の他の無線資源のうち、空いている無線資源の情報を取得し、取得した無線資源の少なくとも一部を割り当てる。他局とは、当該第2リザーブ管理部209Aを有する基地局200A以外の基地局200A(例えば基地局200A4)である。
第2リザーブ管理部209Aは、通信インタフェース(不図示)を介して、割り当てられた無線資源の情報を、基地局制御部510に対応する基地局200A(例えば基地局200A1)へ通知する。基地局200Aの第2送信アンテナ213は、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを送信する。
また、第2リザーブ管理部209Aは、第1の実施形態と同様に、優先呼用の無線資源のリザーブ量を導出する。本実施形態では、基地局200A毎に、リザーブ量を導出するためのパラメータの値(例えば(式1)〜(式7)で用いられる値)が決定され、リザーブ量が導出される。
第1リザーブ管理部214Aは、図3に示した第1リザーブ管理部214の機能を有する。
また、第1リザーブ管理部214Aは、自局に発生した上り回線21の優先呼に対し、メモリ560に予め保持された自局用の優先呼用の無線資源や自局用の他の無線資源のうち、空いている無線資源を割り当てる。第1リザーブ管理部214Aは、メモリ560に予め保持された自局用の優先呼用の無線資源や自局用の他の無線資源のうち割当可能な無線資源が存在しない場合、連携制御部520に無線資源の不足が発生した旨を通知する。無線資源の不足が発生した旨の通知には、例えば、自局を識別するための基地局ID、無線資源の不足量が含まれる。
また、第1リザーブ管理部214Aは、連携制御部520から、他局用の優先呼用の無線資源や他局用の他の無線資源のうち、空いている無線資源の情報を取得し、取得した無線資源の少なくとも一部を割り当てる。
第1リザーブ管理部219Aは、通信インタフェース(不図示)を介して、割り当てられた無線資源の情報を、基地局制御部510に対応する基地局200A(例えば基地局200A1)へ通知する。基地局200Aの第2受信アンテナ201は、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを受信する。
また、第1リザーブ管理部214Aは、第1の実施形態と同様に、優先呼用の無線資源のリザーブ量を導出する。本実施形態では、基地局200A毎に、リザーブ量を導出するためのパラメータの値(例えば(式1)〜(式7)で用いられる値)が導出され、リザーブ量が導出される。
連携制御部520は、各基地局200Aの第1リザーブ管理部214A及び第2リザーブ管理部209と連携し、複数の基地局200A間で、空いている優先呼用の無線資源を、優先呼用の無線資源が不足している基地局200Aに割り当てるよう調整する。つまり、連携制御部520は、複数の基地局200Aに対して、優先呼用の無線資源を相互に融通させる。連携制御部520は、例えば、第2リザーブ管理部209A又は第1リザーブ管理部214Aから無線資源の不足が発生した旨の通知を受けると、複数の基地局200A間で、優先呼用の無線資源を調整する。
例えば、一の基地局200A(例えば基地局200A1)(要求基地局ともいう)が端末100と通信する際に、優先呼用の無線資源が不足しているとする。つまり、要求基地局は、空いている無線資源の提供を要求する基地局である。この場合、連携制御部520は、例えばメモリ560を参照して、他の基地局200Aにおいてリザーブされた優先呼用の無線資源の空き状況を判別する。
連携制御部520は、1つ以上の他の基地局200Aから、所定条件(例えば後述する条件(1)〜(5)のいずれか)を満たし、優先呼用の無線資源に空きがある基地局200A(例えば基地局200A4)(提供基地局ともいう)を選定する。つまり、提供基地局は、要求基地局に空いている無線資源を提供する基地局200Aである。連携制御部520は、提供基地局がリザーブし空いている無線資源の少なくとも一部の情報を、要求基地局へ通知する。これにより、要求基地局は、優先呼用の無線資源を追加確保できる。
連携制御部520は、複数の基地局200A間で空いている無線資源を調整する場合、各基地局200Aのサービス品質に応じて、提供基地局を選定してもよい。ここでのサービス品質は、例えば、各基地局200Aで扱う優先呼のデータの種別、サービス内容、許容される通信遅延時間(例えば1m秒)、を含む。
これにより、サーバ500は、例えば、基地局200Aの設置場所によって扱うデータが異なる場合に、要求基地局の特性(例えば高速道路の近くに設置された基地局200Aであり、ブレーキ制御のデータが多い等)に応じて、より適切な提供基地局を選定できる。
連携制御部520は、例えばサービス品質としてQCI(QoS(Quality of Service) Class Identifier)を用いて、提供基地局を選定してもよい。QCIは、3GPPにより開示されており、サービスに対する複数の要求指標をクラス分けした場合のインジケータである。QCIは、複数のパラメータを含む。
図10は、QCIのパラメータ詳細の一例を示す模式図である。
QCIのパラメータは、例えば、QCIの識別番号、リソースタイプ、優先度、許容遅延時間、許容PER(Packet Error Rate)、及びサービス名の情報を含む。リソースタイプは、GBR(Guaranteed Bit Rate)とNon−GBRの情報を含み、帯域保証の有無を示す。つまり、GBRでは帯域保証され、Non−GBRでは帯域保証されない。
基地局200Aは、QCIの情報を端末100から取得する。サーバ500は、通信インタフェース(不図示)により、QCIの情報を基地局200Aから取得する。サーバ500の連携制御部520は、取得されたQCIに基づいて、例えば以下の条件(1)〜(5)のいずれかに従って、提供基地局を選定する。
(1)連携制御部520は、取得されたQCIに含まれる、要求基地局が扱う優先呼のサービス名を取得してもよい。連携制御部520は、メモリ560に保持された各基地局200Aの通信実績を参照し、取得されたサービス名と同じサービス名のトラフィックが所定回数以上あり(例えば最多回数であり)、空いている無線資源を有する基地局200Aを、提供基地局として選定してもよい。
(1)の場合、サーバ500は、同じサービス名のサービスを提供する提供基地局と同様のサービス品質で、要求基地局が通信可能となることが期待できる。
(2)連携制御部520は、取得されたQCIに含まれる、要求基地局が扱う優先呼の許容遅延時間(要求指標)及び許容PER(要求指標)の双方を取得する。連携制御部520は、メモリ560に保持された各基地局200Aの通信実績を参照し、取得された双方の要求指標の値以下の許容遅延時間及び許容PERのトラフィックが所定回数以上あり(例えば最多回数であり)、空いている無線資源を有する基地局200Aを、提供基地局として選定してもよい。
(2)の場合、サーバ500は、提供基地局による通信時の許容遅延時間以下の遅延時間と同様の遅延時間で、且つ、提供基地局による通信時の許容PER以下のPERと同様のPERで、要求基地局が通信可能となることが期待できる。
(3)連携制御部520は、取得されたQCIに含まれる、要求基地局が扱う優先呼の許容遅延時間(要求指標)を取得する。連携制御部520は、メモリ560に保持された各基地局200Aの通信実績を参照し、取得された要求指標の値以下の許容遅延時間のトラフィックが所定回数以上あり(例えば最多回数であり)、空いている無線資源を有する基地局200Aを、提供基地局として選定してもよい。
(3)の場合、サーバ500は、提供基地局による通信時の許容遅延時間以下の遅延時間と同様の遅延時間で、要求基地局が通信可能となることが期待できる。
(4)連携制御部520は、取得されたQCIに含まれる、要求基地局が扱う優先呼の許容PER(要求指標)を取得する。連携制御部520は、メモリ560に保持された各基地局200Aの通信実績を参照し、取得された要求指標の値以下の許容PERのトラフィックが所定回数以上あり(例えば最多回数であり)、空いている無線資源を有する基地局200Aを、提供基地局として選定してもよい。
(4)の場合、サーバ500は、提供基地局による通信時の許容PER以下のPERと同様のPERで、要求基地局が通信可能となることが期待できる。
(5)連携制御部520は、取得されたQCIに含まれる、要求基地局が扱う優先呼のリソースタイプを取得する。連携制御部520は、メモリ560に保持された各基地局200Aの通信実績を参照し、取得されたリソースタイプと同じリソースタイプのトラフィックが所定回数以上あり(例えば最多回数であり)、空いている無線資源を有する基地局200Aを、提供基地局として選定してもよい。
(5)の場合、サーバ500は、帯域保証する提供基地局又は帯域保証しない提供基地局と同様のサービス品質で、要求基地局が通信可能となることが期待できる。
例えば、連携制御部520は、(1)の条件を満たすか否かを最初に判定し、(1)の条件を満たさない場合、(2)〜(5)の順に条件を満たすか否かを判定してもよい。連携制御部520は、(1)〜(5)のいずれの条件も満たさない場合、空いている無線資源を有する任意の基地局200Aを、提供基地局として選定してもよい。
また、例えば、連携制御部520は、(1)〜(5)のいずれの条件を判定するかを判定条件としてメモリ560に予め保持しておき、この判定条件に従って、提供基地局を選定してもよい。
また、連携制御部520は、優先呼用の無線資源の不足の通知を受けていない各基地局制御部510Aに対して、QCIの情報を直接問い合わせてもよい。そして、連携制御部520は、取得されたQCIの任意のパラメータ(例えばリソースタイプ、サービス名)と一致する通信の実行中である場合、この通信中の基地局200Aを提供基地局として選定してもよい。また、連携制御部520は、取得されたQCIの任意のパラメータ(例えば許容遅延時間、許容PER)を満たす通信の実行中である場合、この通信中の基地局200Aを提供基地局として選定してもよい。
このような連携制御部520による複数の基地局200A間での無線資源の融通により、サーバ500は、基地局200Aで扱う優先呼のサービス内容等に応じて、QoE(Quality of Experience)を確保できる。
[動作等]
次に、無線通信システム10Aの動作例について説明する。
図11は、サーバ500の動作例を示すフローチャートである。尚、図11において、図4に示した処理と同様の処理については、同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。図11では、要求基地局が基地局200A1であり、提供基地局が基地局200A4であることを例示する。
まず、一の基地局制御部510(例えば基地局200A1に対応する基地局制御部510A)の第2優先呼判定部208は、一の基地局200A(例えば基地局200A1)において下り回線22の優先呼が発生したか否かを判定する(S11A)。
基地局200A1において下り回線22の優先呼が発生したと判定されると、基地局制御部510Aの第2リザーブ管理部209Aは、基地局200A1での優先呼の発生をカウントし(S12A)、カウント値をメモリ560に保持する。基地局200A1での優先呼の発生のカウント値は、基地局200A1での無線資源のリザーブ量の導出に用いられる。
基地局制御部510Aの第2無線資源割当部210は、メモリ560に保持された基地局200A1の下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源を参照し、基地局200A1で発生した優先呼に対して無線資源を割当可能か否かを判定する(S13A)。
次に、基地局200A1の第2無線資源割当部210は、基地局200A1での下り回線22の優先呼用にリザーブされた無線資源に空きがない場合、基地局200A1のリザーブされていない無線資源を割り当ててもよい。
基地局200A1の優先呼に対して基地局200A1の無線資源を割当可能である場合、基地局制御部510Aの第2無線資源割当部210は、基地局200A1の優先呼に対して無線資源を割り当てる(S14A)。
基地局制御部510Aの第2無線送信部212は、通信インタフェース(不図示)を介して、割り当てられた無線資源を用いて優先呼の送信パケットを送信するよう、基地局200A1へ通知する。基地局200A1は、基地局制御部510Aからの通知に基づいて、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼の送信パケットを端末100等に送信する(S15A)。
S13Aにおいて基地局200A1の優先呼に対して基地局200A1の無線資源を割当不可能である場合、基地局制御部510Aの第2リザーブ管理部209は、優先呼に対する無線資源の不足をカウントする(S16A)。
また、基地局制御部510Aの第2リザーブ管理部209は、基地局200A1の優先呼用の無線資源が不足している旨の情報を、連携制御部520へ送る。
連携制御部520は、基地局200A1の優先呼用の無線資源が不足している旨の情報を受け、他の基地局200A(例えば基地局200A2〜200A4)において、所定条件(例えば先述の条件(1)〜(5))を満たし、無線資源に空きがある基地局200Aが存在するか否かを判定する(S21)。
連携制御部520は、他の基地局200Aのうち、無線資源に空きがあり所定条件を満たす基地局200A(例えば基地局200A4)を、提供基地局として選定する(S22)。
連携制御部520は、選択された提供基地局としての基地局200A4の空いている無線資源を、要求基地局としての基地局200A1の無線資源として確保する(S23)。この場合、メモリ560は、連携制御部520により、基地局200A1用に新たに確保された無線資源の情報を記憶する(S23)。連携制御部520は、基地局200A1用に新たに確保された無線資源の情報を、基地局制御部510Aの第2リザーブ管理部209Aに通知する。
基地局200A1用に新たに無線資源が確保されると、サーバ500は、S14A,S15Aの処理を行う。
S21において他の基地局200Aにおいて無線資源に空きがない場合、基地局制御部510Aの第2無線資源割当部210は、基地局200A1が扱う他の呼のうち、切断可能な呼が存在するか否かを判定する(S17A)。
切断可能な他の呼が存在する場合、基地局制御部510Aの第2無線資源割当部210は、他の呼を切断する(S18A)。基地局200A1は、基地局200A1における他の呼の切断により、基地局200A1で発生した優先呼用の無線資源を確保できる。
基地局200A1における他の呼を切断すると、サーバ500は、S14,S15の処理を行う。
S17Aにおいて基地局200A1における切断可能な他の呼が存在しない場合、基地局200A1で発生した優先呼の損失となる(S19A)。但し、本実施形態では、基地局200A1の優先呼用の無線資源がリザーブされ、更に他の基地局200Aから無線資源が融通されるため、優先呼の損失となる確率は極めて小さいと考えられる。
[効果等]
このように、本実施形態の無線通信システム10Aによれば、第1の実施形態の無線通信システム10と同様の効果を有する。また、無線通信システム10Aでは、サーバ500が、仮想化技術を用いて、複数の基地局200Aを1つに束ねて(連携して)制御することで、複数の基地局200A間で空いている無線資源を融通し合う。サーバ500は、他の基地局200Aにおいて無線資源に空きがあれば、この無線資源を不足している基地局200A用の無線資源として追加確保する。無線通信システム10Aは、仮想化技術により、各基地局200Aが各々実行する出力制御などのデジタル処理を、仮想マシン上に集約して一体的に柔軟に実施できる。
また、連携制御部520が複数の基地局200A間の優先呼用の無線資源の割当を調整するので、端末100から見ると、通信先の基地局200Aは1つに見えており、提供基地局がどの基地局200Aであるかを意識しなくて済む。従って、端末100のユーザの負荷は増大しない。
また、今後、基地局200A毎にトラフィックとして扱うデータの種別が棲み分けされてくると予想される。例えば、交差点に近い位置に設置された基地局200Aでは、車両制御のデータ(例えばブレーキ制御のデータ)を多く扱い、優先呼が多くなる可能性がある。商業施設に近い位置に設置された基地局200Aでは、映像データや音楽データを多く扱い、優先呼が少なくなる可能性がある。従って、基地局200毎の設置場所に応じて、時間が経過するにつれ、基地局200Aが主に扱うサービスやサービスを提供するためのアプリケーションが分かれていく。一方、サービスやアプリケーションの内容に基づいて、許容遅延時間や許容PERが異なる。
これに対し、サーバ500が取得したQCIに基づいて提供基地局を選定することで、要求基地局は、提供基地局と同様のサービス、アプリケーション、要求品質、等を満足する可能性が高い無線資源を取得できる。従って、サーバ500は、不足する優先呼用の無線資源を補うとともに、通信品質の劣化を抑制できる。
尚、第2の実施形態のユースケースとして、第1の実施形態で説明したユースケースが考えられる。また、第2の実施形態のユースケースとして、確保された無線資源量以上の優先呼が突発的に発生したケース(例えば車の多重事故が発生したケース)が考えられる。
(他の実施形態)
以上のように、本開示における技術の例示として、第1,第2の実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせてもよい。
第2の実施形態では、提供基地局が複数選定されてもよい。つまり、複数の提供基地局から1つの要求基地局へ無線資源が融通されてもよい。
第2の実施形態では、サーバ500に外部装置400が接続されることを例示したが、各基地局200Aに接続されてもよい。この場合、外部装置400から得た情報は、サーバ500へ送られて処理される。この場合でも、5Gが要求する低遅延時間を満たすことができる。
第2の実施形態では、提供基地局から要求基地局へ融通される無線資源は、提供基地局の優先呼用にリザーブされた無線資源でもよいし、提供基地局の優先呼用にリザーブされた無線資源ではない提供基地局用の他の無線資源でもよい。
第2の実施形態では、第2リザーブ管理部209Aは、通信中の基地局200Aが用いる優先呼用の無線資源が不足した後、不足している旨を連携制御部520へ通知することを例示した。尚、基地局200Aの優先呼用の無線資源は予め確保されるので、不足後の通知の代わりに、第2リザーブ管理部209Aは、優先呼用の無線資源の使用率(リソース占有率)が所定値(例えば80%、90%)以上となった際に、連携制御部520へ通知してもよい。この通知には、通信中の基地局200Aの優先呼用の無線資源が不足する可能性がある旨の情報が含まれる。
これにより、サーバ500は、例えば無線通信システム10Aにおいて不足の事態が発生し、要求基地局の無線資源が不足する前に、複数の基地局200A間で無線資源を調整し、要求基地局が使用する優先呼用の無線資源が不足することを抑制できる。尚、第1リザーブ管理部214Aについても、第2リザーブ管理部209Aと同様である。
第2の実施形態では、サーバ500は、基地局200A毎に優先呼用の無線資源をリザーブし、必要時にリザーブされた各基地局200Aの優先呼用の無線資源を調整することを例示した。そのため、第2リザーブ管理部209Aは、1つの基地局200Aあたりの優先呼用の無線資源のリザーブ量を削減してもよい。
サーバ500の連携制御部520は、例えば、無線通信システム10Aにおける基地局200Aの数に基づいて、基地局200A用の優先呼用の無線資源のリザーブ量の削減量を決定してもよい。また、サーバ500が備える不図示のUI(User Interface)により、上記リザーブ量の削減量を決定してもよい。尚、基地局200Aの元のリザーブ量(削減前のリザーブ量)は、例えば、第1の実施形態で説明した「無線資源のリザーブ量の導出方法」で導出された量である。
リザーブ量が削減される場合、連携制御部520は、各基地局200Aで発生すると予想される優先呼用の無線資源のリザーブ量の合計が、任意の基地局200Aで発生すると予想される優先呼の通信に必要な無線資源量以上となるように、上記リザーブ量の削減量を決定する。
また、少なくとも1つの要求基地局の優先呼用の無線資源がリザーブされず、連携制御部520が毎回、提供基地局から要求基地局へ優先呼用の無線資源を融通してもよい。
連携制御部520は、決定されたリザーブ量の削減量を、リザーブ量が削減された基地局200Aに対応する基地局制御部510へ通知する。基地局制御部510の第2リザーブ管理部209Aは、リザーブ量の削減量を加味して、優先呼用の無線資源をリザーブする。
これにより、サーバ500は、複数の基地局200A間での優先呼用の無線資源の融通を促進し、無線資源の不足を抑制できる。また、サーバ500は、無線資源のリザーブ量を削減することで、無線資源の利用効率を向上できる。尚、第1リザーブ管理部214Aについても、第2リザーブ管理部209Aと同様である。
第1,第2の実施形態では、無線回線20として5G回線を例示したが、無線回線20は、短い通信遅延時間を要求される他の回線であってもよい。
第1,第2の実施形態では、プロセッサ150,250,550は、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサ150,250,550を用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサ150,250,550の設計の自由度を高めることができる。プロセッサ150,250,550は、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、第1の実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサ150,250,550を構成すると考えることができる。また、プロセッサ150,250,550は、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサ150,250,550が有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。
第1,第2の実施形態では、図2,図3,図7〜図9において端末100、基地局200,200A、及びサーバ500の構成を示したが、各構成は、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアにより実現されてもよい。
(本開示の一態様の概要)
本開示の一態様の無線基地局装置は、プロセッサ250、メモリ260、及びアンテナを備える。メモリ260は、プロセッサ250の制御により、無線通信端末との間でデータが伝送される無線回線20の優先呼に割り当てられる無線資源を、優先呼の発生前に保持する。プロセッサ250は、発生した優先呼に対して、メモリ260に保持された無線資源を割り当てる。アンテナは、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを通信する。
尚、無線基地局装置は、例えば基地局200である。無線通信端末は、例えば端末100である。アンテナは、例えば第2送信アンテナ213である。
これにより、無線基地局装置は、予め優先呼用の無線資源を確保することで、割当可能な無線資源の不足を抑制できる。また、無線基地局装置は、優先呼用の無線資源を確保するために既に接続された他の呼を切断、後回し、データ速度低減等を施すことを抑制できるので、他の呼の切断や切断後の無線資源の再割り当てのプロトコルの実行を抑制できる。従って、無線基地局装置は、優先呼の通信に係る通信遅延時間を短縮できる。また、無線基地局装置は、他の呼が不意に切断されることで、他の呼の通信品質が劣化することを抑制できる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、無線回線20が、無線通信端末へのデータが伝送される下り回線22と無線通信端末からのデータが伝送される上り回線21とを含んでもよい。メモリ260は、上り回線21の優先呼に用いられる無線資源と下り回線22の優先呼に用いられる無線資源とを分けて保持してもよい。プロセッサ250は、下り回線22の優先呼に対して、メモリ260に下り回線22の優先呼用に保持された無線資源を割り当ててもよい。
これにより、無線基地局装置は、通信特性の異なる上り回線21と下り回線22とで、各特性に応じた優先呼用の無線資源を確保できる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、プロセッサ250が、上り回線21の優先呼に割り当てられる無線資源を指定してもよい。アンテナは、指定された無線資源の情報を送信してもよい。尚、アンテナは、例えばビーコントランスミッタ215の送信アンテナである。
これにより、無線基地局装置は、無線通信端末により使用される上り回線21の優先呼用の無線資源を管理でき、無線通信端末同志が連携することなく、容易に上り回線21の優先呼用の無線資源を割り当てできる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、アンテナが、上り回線21を介して第1のデータを受信してもよい。プロセッサ250は、上り回線21を介して受信された第1のデータが用いられるアプリケーションに基づいて、第1のデータを上位装置300へ送信するか、第1のデータに基づく第2のデータを、第1のデータを送信した第1の無線通信端末と第1の無線通信端末以外の1つ以上の第2の無線通信端末とのうちの少なくとも1つへ送信するか、を判定してもよい。尚、第2のデータは、第1のデータと同じでも異なってよい。
これにより、無線基地局装置が、アプリケーションレイヤを加味して、優先呼に係るデータを通信できる。また、例えばコアネットワークに存在する上位装置300にデータを転送せずに無線通信端末へ返信することで、優先呼に係る通信遅延をより低減できる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、外部装置400からデータを取得する外部装置インタフェース206を備えてもよい。プロセッサ250は、外部装置インタフェース206により入力されたデータを送信するための呼が優先呼である場合、優先呼にメモリ260に保持された無線資源を割り当ててもよい。
これにより、無線基地局装置は、外部装置400からのデータの重要性を加味して、このデータを優先呼により低遅延で通信できる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、プロセッサ250が、優先呼の発生量の履歴情報、優先呼が発生する確率分布、及び優先呼に対する無線資源の不足が許容される確率に基づいて、メモリ260に保持される無線資源のリザーブ量を導出してもよい。
尚、優先呼が発生する確率分布は、例えば確率密度関数P(x)である。優先呼に対する無線資源の不足が許容される確率は、例えば許容ブロッキング確率(許容PB)である。
これにより、無線基地局装置は、過去の優先呼に対する無線資源の割当の実績に応じて無線資源のリザーブ量を決定できるので、無線資源のリザーブ量が過大又は過小となることを抑制できる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、プロセッサが、無線資源のリザーブ量を更新してもよい。
これにより、無線基地局装置は、無線回線20における通信特性が変化しても、変化後の通信特性に応じた好適なリザーブ量で、予め無線資源を確保できる。
本開示の一態様の無線基地局装置は、無線資源のリザーブ量が、無線基地局装置毎に異なってもよい。
これにより、各無線基地局装置の設置場所や各無線基地局での優先呼の発生頻度が異なり、通信特性が異なる場合でも、無線基地局装置は、各無線基地局装置に応じた好適なリザーブ量で、無線資源を予め確保できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、無線通信端末と無線基地局装置とを備える。無線基地局装置は、無線通信端末から無線基地局装置へのデータが伝送される上り回線21の優先呼に割り当てられる無線資源の情報を、優先呼の発生前に送信する。無線通信端末は、無線資源の情報を受信して優先呼の発生前にメモリ160に保持し、発生した優先呼に対して、メモリ160に保持された無線資源を割り当て、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを送信する。
これにより、無線通信システム10Aは、予め優先呼用の無線資源を確保することで、割当可能な無線資源の不足を抑制できる。また、無線通信システム10Aは、優先呼用の無線資源を確保するために既に接続された他の呼を切断、後回し、データ速度低減等を施すことを抑制できるので、他の呼の切断や切断後の無線資源の再割り当てのプロトコルの実行を抑制できる。従って、無線通信システム10Aは、優先呼の通信に係る通信遅延時間を短縮できる。無線通信システム10Aは、また、他の呼が不意に切断されることで、他の呼の通信品質が劣化することを抑制できる。
本開示の一態様の無線通信方法は、メモリ260を備える無線基地局装置における無線通信方法である。メモリ260は、無線通信端末との間でデータが伝送される無線回線20の優先呼に割り当てられる無線資源を、優先呼の発生前に保持する。この方法では、発生した優先呼に対して、メモリに保持された無線資源を割り当て、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを通信する。
これにより、無線基地局装置は、予め優先呼用の無線資源を確保することで、割当可能な無線資源の不足を抑制できる。また、無線基地局装置は、優先呼用の無線資源を確保するために既に接続された他の呼を切断、後回し、データ速度低減等を施すことを抑制できるので、他の呼の切断や切断後の無線資源の再割り当てのプロトコルの実行を抑制できる。従って、無線基地局装置は、優先呼の通信に係る通信遅延時間を短縮できる。また、無線基地局装置は、他の呼が不意に切断されることで、他の呼の通信品質が劣化することを抑制できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、複数の無線基地局装置と、複数の無線基地局装置と無線通信端末との通信で用いる無線資源を管理するサーバ500と、を備える。サーバ500は、各無線基地局装置と無線通信端末との間でデータが伝送される無線回線20の優先呼に割り当てられる無線資源を、優先呼の発生前に無線基地局装置毎にメモリに560に保持する。サーバ500は、複数の無線基地局装置のうちの第1の無線基地局装置に発生した優先呼に対して、メモリ560に保持され割当可能な第1の無線基地局装置用の無線資源が不足している場合、複数の無線基地局装置のうちの第2の無線基地局装置用に保持された無線資源を割り当てる。第1の無線基地局装置は、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを通信する。
尚、第1の無線基地局装置は、例えば要求基地局である。第2の無線基地局装置は、例えば提供基地局である。
これにより、無線通信システム10Aは、優先呼用の無線資源が不足している第1の無線基地局装置に対し、他の無線基地局装置の優先呼用の無線資源を融通し、優先呼用の無線資源の不足を抑制できる。従って、無線通信システム10Aは、予め確保されたリザーブ量以上の無線資源を要する優先呼が突発的に発生した場合でも、優先呼用の無線資源を追加確保できる。また、無線通信システム10Aは、無線資源の不足を抑制することで、優先呼の通信に係る通信遅延時間を短縮できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、サーバ500が、第1の無線基地局装置と無線通信端末との間の上り回線21を介して第1の無線基地局装置が取得した第1のデータが用いられるアプリケーションに基づいて、第1のデータを上位装置300へ送信するか、第1のデータに基づく第2のデータを、第1のデータを送信した第1の無線通信端末と第1の無線通信端末以外の1つ以上の第2の無線通信端末とのうちの少なくとも1つへ送信するか、を判定してもよい。
これにより、無線通信システム10Aは、無線基地局装置が複数存在する場合でも、無線通信システム10Aは、アプリケーションレイヤを加味して、優先呼に係るデータを通信できる。また、無線通信システム10Aは、例えばコアネットワークに存在する上位装置300にデータを転送せずに無線通信端末へ返信することで、優先呼に係る通信遅延をより低減できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、無線基地局装置が、無線通信端末から、優先呼に係るサービス品質の分類情報を受信してもよい。サーバ500は、サービス品質の分類情報に基づいて、複数の無線基地局装置から第2の無線基地局装置を選定してもよい。サービス品質の分類情報は、例えばQCIである。
これにより、無線通信システム10Aは、各種サービス品質に応じて効率的に優先呼用の無線資源を調整できる。
本開示の一態様の無線通信システムは、サーバ500が、サービス品質の分類情報に含まれるサービスの識別情報と一致する優先呼のトラフィックが所定数以上ある無線基地局装置を、第2の無線基地局装置として選定してもよい。サービスの識別情報は、例えばQCI識別番号又はサービス名の情報である。
これにより、無線通信システム10Aは、第1の無線基地局装置が提供するサービスと同様のサービスを提供する第2の無線基地局装置用の優先呼用の無線資源を取得できる。従って、第2の無線基地局装置が提供するサービス品質と同様のサービス品質で、第1の無線基地局装置が通信可能となることが期待できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、サーバ500が、サービス品質の分類情報に含まれる帯域保証の有無の情報が一致する優先呼のトラフィックが所定数以上ある無線基地局装置を、第2の無線基地局装置として選定してもよい。帯域保証の有無の情報は、例えばリソースタイプの情報である。
これにより、無線通信システム10Aは、第1の無線基地局装置での優先呼用の無線資源として、所定の第2の無線基地局装置での優先呼用の無線資源を取得できる。この所定の第2の無線基地局装置は、第1の無線基地局装置が帯域保証して通信する場合には帯域保証する第2の無線基地局装置であり、第1の無線基地局装置が帯域保証しないで通信する場合には帯域保証しない第2の無線基地局装置である。従って、第2の無線基地局装置が帯域保証する場合又は帯域保証しない場合と同様のサービス品質で、第1の無線基地局装置が通信可能となることが期待できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、サーバ500が、サービス品質の分類情報に含まれる許容遅延時間以下及び許容エラーレート以下の少なくとも1つを満たす優先呼のトラフィックが所定数以上ある無線基地局装置を、第2の無線基地局装置として選定してもよい。
これにより、無線通信システム10Aは、第1の無線基地局装置での優先呼用の無線資源として、所定の第2の無線基地局装置での優先呼用の無線資源を取得できる。この所定の第2の無線基地局装置は、第1の無線基地局装置が優先呼を通信する際の許容遅延時間や許容エラーレート以下の許容遅延時間や許容エラーレートで通信する第2の無線基地局装置である。従って、第2の無線基地局装置が提供するサービス品質と同様のサービス品質で、第1の無線基地局装置が通信可能となることが期待できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、サーバ500が、複数の無線基地局装置のうちの第1の無線基地局装置に発生した優先呼に対して、割当可能な第1の無線基地局装置用の無線資源が不足する前に、第2の無線基地局装置用に保持された無線資源を割り当ててもよい。
これにより、無線資源を多数要する優先呼が発生する等の不足の事態が発生しても、優先呼用の無線資源の不足が発生するまでにはある程度の時間がかかると推測される。無線通信システム10Aは、無線資源の不足が発生する前に第2の無線基地局装置での優先呼用の無線資源を第1の無線基地局装置用にリザーブしておくことで、突発的に第1の無線基地局装置において優先呼が多数発生しても、通信遅延時間を更に低減できる。
本開示の一態様の無線通信システム10Aは、サーバ500が、各無線基地局装置が要する優先呼用の無線資源のリザーブ量の合計量以上の無線資源を、各無線基地局装置の優先呼用の無線資源として配分してもよい。
これにより、無線通信システム10Aは、各無線基地局装置用の優先呼用の無線資源の割当を調整することで、各無線基地局装置用の優先呼用の無線資源のリザーブ量の合計量が必要量確保されれば、任意の無線基地局装置での優先呼用の無線資源のリザーブ量を削減できる。
本開示の一態様のサーバ500は、複数の無線基地局装置と無線通信端末との通信で用いる無線資源を管理する。サーバ500は、プロセッサ550、メモリ560、及び通信インタフェースを備える。メモリ560は、各無線基地局装置と無線通信端末との間でデータが伝送される無線回線20の優先呼に割り当てられる無線資源を、優先呼の発生前に無線基地局装置毎に保持する。プロセッサ550は、複数の無線基地局装置のうちの第1の無線基地局装置に発生した優先呼に対して、メモリ560に保持され割当可能な第1の無線基地局装置用の無線資源が不足している場合、複数の無線基地局装置のうちの第2の無線基地局装置用に保持された無線資源を割り当てる。通信インタフェースは、優先呼に対する無線資源の割当情報を、第1の無線基地局装置へ通知する。
これにより、サーバ500は、優先呼用の無線資源が不足している1つの無線基地局装置に対し、他の無線基地局装置の優先呼用の無線資源を融通し、優先呼用の無線資源の不足を抑制できる。従って、サーバ500は、任意の無線基地局装置において予め確保されたリザーブ量以上の無線資源を要する優先呼が突発的に発生した場合でも、優先呼用の無線資源を追加確保できる。また、サーバ500は、無線基地局装置が使用する無線資源の不足を抑制することで、優先呼の通信に係る通信遅延時間を短縮できる。
本開示の一態様の無線通信方法は、複数の無線基地局装置と無線通信端末との通信で用いる無線資源を管理して通信する無線通信方法である。この方法では、各無線基地局装置と無線通信端末との間でデータが伝送される無線回線20の優先呼に割り当てられる無線資源を、優先呼の発生前に無線基地局装置毎にメモリ560に保持し、複数の無線基地局装置のうちの第1の無線基地局装置に発生した優先呼に対して、メモリ560に保持され割当可能な第1の無線基地局装置用の無線資源が不足している場合、複数の無線基地局装置のうちの第2の無線基地局装置用に保持された無線資源を割り当て、割り当てられた無線資源を用いて、優先呼のデータを通信する。
これにより、無線通信システム10Aやサーバ500は、優先呼用の無線資源が不足している1つの無線基地局装置に対し、他の無線基地局装置の優先呼用の無線資源を融通し、優先呼用の無線資源の不足を抑制できる。従って、無線通信システム10Aやサーバ500は、任意の無線基地局装置において予め確保されたリザーブ量以上の無線資源を要する優先呼が突発的に発生した場合でも、優先呼用の無線資源を追加確保できる。また、無線通信システム10Aやサーバ500は、無線基地局装置が使用する無線資源の不足を抑制することで、優先呼の通信に係る通信遅延時間を短縮できる。