<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態に係る電子機器1について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る電子機器1は、例えば、ノートブック型のPC(Personal Computer;パーソナルコンピュータ)である。なお、電子機器1は、デスクトップ型PC、タブレット端末装置、スマートフォンなど、いずれの形態の電子機器であってもよい。
電子機器1は、システムの動作状態として少なくとも通常動作状態(パワーオン状態)と待機状態との間を遷移可能である。通常動作状態とは、特に制限なく処理の実行が可能な動作状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているS0状態に相当する。待機状態は、システム処理の少なくとも一部が制限されている状態である。例えば、待機状態は、少なくとも表示部の表示がOFF(画面OFF)となる状態であり、通常動作状態よりも電力の消費量が低い動作状態である。待機状態は、スタンバイ状態、スリープ状態等であってもよく、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイや、ACPIで規定されているS3状態(スリープ状態)等に相当する状態であってもよい。また、待機状態には、ハイバネーション状態やパワーオフ状態等が含まれでもよい。ハイバネーション状態は、例えば、ACPIで規定されているS4状態に相当する。パワーオフ状態は、例えば、ACPIで規定されているS5状態(シャットダウンした状態)相当する。
以下では、システムの動作状態が待機状態から通常動作状態へ遷移することを起動と呼ぶことがある。待機状態では、一般的に通常動作状態よりも動作の活性度が低いため、電子機器1のシステム処理を起動させることは、電子機器1におけるシステム処理の動作を活性化させることになる。
図1は、本実施形態に係る電子機器1の概要を説明する図である。電子機器1は、後述する近接センサを備えており、電子機器1の近傍に存在する人物を検出する。この人物の存在を検出する処理のことを、HPD(Human Presence Detection)処理とも呼ぶことがある。電子機器1は、電子機器1の近傍に存在する人物を検出し、検出結果に基づいて電子機器1の動作状態を制御する。例えば、電子機器1は、図1(A)に示すように、電子機器1へ人物が接近したこと(Approach)を検出した場合、自動でシステム処理を起動する。また、電子機器1は、図1(B)に示すように、電子機器1の前に人物が存在している状態(Presence)では、システム処理を待機状態へ遷移させないように制限し、通常動作状態を継続させる。そして、電子機器1は、図1(C)に示すように、電子機器1から人物が離脱したこと(Leave)を検出した場合には、システム処理を待機状態へ遷移させる。
(電子機器の外観構成)
図2は、本実施形態に係る電子機器1の外観の構成例を示す斜視図である。
電子機器1は、第1筐体10、第2筐体20、及びヒンジ機構15を備える。第1筐体10と第2筐体20は、ヒンジ機構15を用いて結合されている。第1筐体10は、第2筐体20に対して、ヒンジ機構15がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。回転軸の方向は、ヒンジ機構15が設置されている側面10c、20cに対して平行である。
第1筐体10は、Aカバー、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体20は、Cカバー、システム筐体とも呼ばれる。以下の説明では、第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、ヒンジ機構15が備わる面を、それぞれ側面10c、20cと呼ぶ。第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、側面10c、20cとは反対側の面を、それぞれ側面10a、20aと呼ぶ。図示において、側面20aから側面20cに向かう方向を「後」と呼び、側面20cから側面20aに向かう方向を「前」と呼ぶ。後方に対して右方、左方を、それぞれ「右」、「左」と呼ぶ。第1筐体10、第2筐体20の左側面をそれぞれ側面10b、20bと呼び、右側面をそれぞれ側面10d、20dと呼ぶ。また、第1筐体10と第2筐体20とが重なり合って完全に閉じた状態(開き角θ=0°の状態)を「閉状態」と呼ぶ。閉状態において第1筐体10と第2筐体20との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と呼ぶ。また、閉状態に対して第1筐体10と第2筐体20とが開いた状態のことを「開状態」と呼ぶ。
図2に示す電子機器1の外観は開状態の例を示している。開状態は、第1筐体10の側面10aと側2筐体20の側面20aとが離れた状態である。開状態では、第1筐体10と第2筐体20とのそれぞれの内面が表れ、電子機器1は通常の動作を実行可能とすることが期待される。開状態は、第1筐体10の内面と第2筐体20の内面とがなす開き角θが所定の角度以上になった状態であり、典型的には100〜130°程度となる。なお、開状態となる開き角θの範囲は、ヒンジ機構15よって回動可能な角度の範囲等に応じて任意に定めることができる。
第1筐体10の内面には、表示部110が設けられている。表示部110は、液晶ディスプレイ(LCD: liquid crystal display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。また、第1筐体10の内面のうち表示部110の周縁の領域に、撮像部120と近接センサ130とが設けられている。撮像部120は、表示部110の周縁の領域のうち側面20a側に配置されている。近接センサ130は、表示部110の周縁の領域のうち側面20c側に配置されている。
撮像部120は、開状態において、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の画角内の物体の像を撮像する。所定の画角とは、撮像部120が有する撮像素子と撮像素子の撮像面の前方に設けられた光学レンズとによって定める撮像画角である。
近接センサ130は、電子機器1の近傍に存在する物体(例えば、人物)を検出する。例えば、近接センサ130は、赤外線を発光する発光部と、発光した赤外線が物体の表面に反射して戻ってくる反射光を受光する受光部とを含んで構成される赤外線距離センサである。近接センサ130は、所定のサンプリング周期(例えば、1Hz)で、受光部が受光した光を検出し、受光した結像位置に基づいて距離を算出する三角測距方式や、発光から受光までの時間差等を距離に換算するToF(Time of Flight)方式等を用いて、物体(例えば、人物)との距離に応じて検出信号を出力する。
図3は、近接センサ130のセンサ検出範囲を示す模式図である。開状態において、第1筐体10の内面に配置されている近接センサ130は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)における物体(例えば、人物)を検出する。検出視野角FoV(Field of View)は、近接センサ130が検出可能な角度を示す。検出限界距離KLaは、近接センサ130が検出可能な限界距離を示す。この検出視野角FoV(例えば、25°〜30°)と検出限界距離KLa(例えば、120cm)とによる範囲が、近接センサ130が検出可能なセンサ検出範囲である。
なお、近接センサ130は、発光ダイオードが発光する赤外線を用いたセンサであってもよいし、発光ダイオードが発光する赤外線よりも波長帯域が狭い光線を発光する赤外線レーザを用いたセンサであってもよい。また、近接センサ130は、赤外線距離センサに限定されるものでなく、物体との距離を検出するセンサであれば、超音波センサまたはUWB(Ultra Wide Band)レーダを用いたセンサ等の他の方式を用いたセンサであってもよい。
図2に戻り、第2筐体20の内面には、キーボード151及びタッチパッド153が入力デバイスとして設けられている。なお、入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153に代えて、または加えて、タッチセンサが含まれてもよいし、マウスや外付けのキーボードが接続されてもよい。タッチセンサが設けられた構成の場合、表示部110の表示面に対応する領域が操作を受け付けるタッチパネルとして構成されてもよい。また、入力デバイスには、音声が入力されるマイクが含まれてもよい。
なお、第1筐体10と第2筐体20とが閉じた閉状態では、第1筐体10の内面に設けられている表示部110、撮像部120、及び近接センサ130は、第2筐体20の内面に覆われて、機能を発揮できない状態である。第1筐体10と第2筐体20とが完全に閉じた状態では、開き角θは0°となる。
(電子機器のハードウェア構成)
図4は、本実施形態に係る電子機器1のハードウェアの構成例を示す概略ブロック図である。電子機器1は、表示部110、撮像部120、近接センサ130、動きセンサ140、入力デバイス150、EC(Embedded Controller)200、システム処理部300、通信部350、記憶部360、入出力端子370、及び電源部400を含んで構成される。表示部110は、システム処理部300により実行されるシステム処理により生成された表示データを表示する。
撮像部120は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の画角内の物体の像を撮像し、撮像した画像をシステム処理部300へ出力する。例えば、電子機器1に接近した人物の顔面が撮像部120の画角内に含まれるとき、撮像部120は、人物の顔画像を撮像し、撮像した顔画像をシステム処理部300へ出力する。撮像部120は、赤外線カメラであってもよいし、通常のカメラであってもよい。赤外線カメラは、撮像素子として赤外線センサを備えるカメラである。通常のカメラは、撮像素子として可視光線を受光する可視光センサを備えるカメラである。
近接センサ130は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)に存在する物体(例えば、人物)を検出し、検出結果を示す検出信号をEC200へ出力する。
入力デバイス150は、ユーザの入力を受け付ける入力部であり、例えばキーボード151及びタッチパッド153を含んで構成されている。入力デバイス150は、キーボード151及びタッチパッド153に対する操作を受け付けることに応じて、操作内容を示す操作信号をEC200へ出力する。
電源部400は、電子機器1の各部の動作状態に応じて各部へ電力を供給するための電源系統を介して電力を供給する。電源部400は、DC(Direct Current)/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、AC(Alternate Current)/DCアダプタもしくは電池パックから供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。DC/DCコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。例えば、電源部400は、EC200から入力される各部の動作状態に応じて制御信号に基づいて各電源系統を介して各部に電力を供給する。
EC200は、CPU、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)ロジック回路などを含んで構成されたマイクロコンピュータである。EC200のCPUは、自部のROMに予め記憶した制御プログラムを読み出し、読み出した制御プログラムを実行して、その機能を発揮する。EC200は、システム処理部300とは独立に動作し、システム処理部300の動作を制御し、その動作状態を管理する。また、EC200は、近接センサ130と、入力デバイス150と電源部400に接続されている。
例えば、EC200は、近接センサ130から検出結果を示す検出信号を取得し、検出結果に基づいてシステム処理部300の動作状態を制御する。また、EC200は、電源部400と通信を行うことにより、バッテリーの状態(残容量など)の情報を電源部400から取得するとともに、電子機器1の各部の動作状態に応じた電力の供給を制御するための制御信号などを電源部400へ出力する。また、EC200は、入力デバイス150から操作信号を取得し、取得した操作信号のうちシステム処理部300の処理に関連する操作信号についてはシステム処理部300へ出力する。例えば、EC200は、HPD処理に関する機能構成として、人物検出部210、及び動作制御部220を備えている。
人物検出部210は、所定のサンプリング周期(例えば、1kHz)で近接センサ130が検出する検出結果に基づいて、電子機器1の前方(正面ともいうことがある)に存在する人物を検出する。例えば、人物検出部210は、近接センサ130から取得する検出信号に基づいて、電子機器1の前方の所定の範囲内に存在する人物との距離を検出する。所定の範囲とは、人物検出部210が人物を検出する範囲として設定された人物検出範囲である。人物検出範囲は、検出対象とする視野角を示す検出視野角と、検出対象とする距離を示す最大検出距離とにより定まる範囲である。
例えば、人物検出範囲は、近接センサ130のセンサ検出範囲に相当する。具体的には、人物検出範囲における検出視野角は、例えば、近接センサ130の検出視野角FoV(図3参照)に相当する。また、人物検出範囲における最大検出距離は、例えば近接センサ130の検出限界距離KLa(図3参照)に相当する。なお、人物検出範囲は、近接センサ130のセンサ検出範囲のうちの一部の範囲として、最大検出距離または最短検出距離に制限を設けてもよい。つまり、人物検出部210は、近接センサ130のセンサ検出範囲のうち予め設定された範囲を人物検出範囲として人物を検出してもよい。
例えば、人物検出部210は、近接センサ130から取得する検出信号に基づいて、人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が存在するか否かを検出するとともに、物体(例えば、人物)が存在する場合には近接センサ130から物体(例えば、人物)までの距離を検出する。なお、以下の説明では、人物検出部210が物体(例えば、人物)を検出することを、単に、人物を検出するとも記載する。即ち、人物検出部210が人物を検出するとは、人物検出部210が人物を検出することも、人物以外の物体を検出することも含む。具体的には、人物検出部210は、近接センサ130から取得する人物との距離に応じた検出信号を取得した場合には、人物検出範囲内に人物が存在すること、及び人物までの距離を検出する。一方、人物検出部210は、近接センサ130から人物との距離に応じた検出信号を取得できなかった場合には、人物検出範囲内に人物が存在しないことを検出する。
また、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出しない状態から人物を検出した場合、電子機器1の前方に人物が接近したものと判定し、電子機器1への人物の接近を検出する。また、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出した後、継続して人物を検出している場合には、電子機器1の前方に人物が存在しているものと判定する。また、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出している状態から人物を検出しなくなった場合、電子機器1の前方に存在していた人物が離れたものと判定し、電子機器1からの人物の離脱を検出する。
動作制御部220は、人物検出部210により人物検出範囲内に人物が検出された場合、システム処理部300によるシステム処理を起動させる。具体的には、動作制御部220は、人物検出部210が人物検出範囲内に人物を検出しない状態から人物を検出した場合(即ち、電子機器1への人物の接近を検出した場合)、システム処理を起動させる。より具体的には、動作制御部220は、システム処理部300によるシステム処理を起動させる場合、電源部400に対して、電子機器1の各部の動作に必要な電力を供給するための制御信号を出力する。その後、動作制御部220は、システム処理部300にシステム処理の起動を指示するための起動信号を出力する。システム処理部300は、起動信号を取得すると、システム処理を起動して通常動作状態へ遷移させる。
また、動作制御部220は、人物検出部210が人物検出範囲内に人物を継続して検出している場合、システム処理部300によるシステム処理を待機状態に遷移させないように制限し、通常動作状態を継続させる。なお、動作制御部220は、人物検出部210が人物検出範囲内に人物を継続して検出している場合であっても、所定の条件(例えば、無操作の時間が予め設定された時間継続した場合)によって、通常動作状態から待機状態へ遷移させてもよい。
また、動作制御部220は、人物検出部210が人物検出範囲内に人物を検出している状態から人物を検出しなくなった場合(即ち、電子機器1からの人物の離脱を検出した場合)、システム処理部300によるシステム処理を通常動作状態から待機状態に遷移させる。より具体的には、動作制御部220は、システム処理部300にシステム処理を通常動作状態から待機状態へ遷移させる指示をするための待機信号を出力する。システム処理部300は、待機信号を取得すると、システム処理を通常動作状態から待機状態へ遷移させる。その後、動作制御部220は、電源部400に対して、待機状態では不要な電力の供給を停止させるための制御信号を出力する。
制御時間設定部230は、システム処理を通常動作状態から待機状態へ遷移させる際の遷移待機時間に関する設定を行う。この遷移待機時間とは、人物検出部210により人物が検出されなくなってから(即ち、人物の離脱を検出してから)システム処理の動作状態を待機状態へ遷移させるまでの時間(つまり、遷移させるトリガに対して実際に遷移させる指示を行うまでの待機時間)のことを指す。例えば、制御時間設定部230は、遷移待機時間を「0秒」に設定してもよいし(即ち、待機しない)、予め設定された遷移待機時間(例えば、60秒)に設定してもよい。例えば、遷移待機時間が60秒に設定されている場合には、動作制御部220は、人物検出部210が人物の離脱を検出した場合、60秒待機した後に待機状態へ遷移させる。待機中に人物検出部210が人物を検出した場合には、動作制御部220は、待機状態へ遷移させることを中止する。
このように、動作制御部220は、制御時間設定部230により設定された遷移待機時間に基づいて、通常動作状態から待機状態へ遷移させる。なお、この遷移待機時間を設定する方法としては、遷移待機時間の値を設定する項目が設けられていて直接的に設定することが可能であってもよいし、他の設定項目(例えば、OSの処理による「画面OFF時間」の設定)と連動して自動で設定されてもよい。遷移待機時間の具体例については後述する。動作制御部220は、内部に時間を計測するタイマを備えており、当該タイマを用いて、遷移待機時間などを計測する。
また、動作制御部220は、待機状態へ遷移させる場合に、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に黒表示になるように移行させてもよい。徐々に黒表示になるように移行させるとは、徐々に画面輝度を低下させることに相当する。例えば、動作制御部220は、表示部110に表示された表示データに黒データを重畳して表示させる指示をするマスク信号をシステム処理部300へ出力する。この黒データとは、全画面領域が黒のデータであり、且つ透過度の設定が可能なデータである。このとき、動作制御部220は、透過度を100%から0%へ徐々に変化させた黒データの表示を指示する。そして、システム処理部300は、動作制御部220から出力されたマスク信号に応じて透過度を100%から0%へ徐々に変化させた黒データを表示データに重畳して表示部110に表示させる。これにより、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に黒表示になる(徐々に画面輝度が低下する)。なお、動作制御部220は、透過度を徐々に変化させた黒データのマスク信号を出力するのに代えて、表示部110の表示輝度(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)の場合にはバックライト輝度)を徐々に低下させて黒表示にしてもよい。
システム処理部300は、CPU302、GPU(Graphic Processing Unit)304、メモリコントローラ306、I/O(Input−Output)コントローラ308、システムメモリ310、及び認証処理部312を含んで構成され、オペレーティングシステム(OS:Operating System)によるシステム処理によって、OS上で各種のアプリケーションソフトウェアの処理が実行可能である。CPU302とGPU304をプロセッサと総称することがある。
前述したように、システムの動作状態として少なくとも通常動作状態(パワーオン状態)と待機状態との間を遷移可能である。待機状態には、スタンバイ状態、スリープ状態、ハイバネーション状態およびパワーオフ状態が含まれる。
スタンバイ状態は、プロセッサの処理能力を通常動作状態よりも低くし、動作中のシステムメモリ310の内容を保持しながら通信部350、記憶部360および表示部110など周辺デバイスの消費電力を通常動作状態よりも少なくする動作状態である。
スリープ状態は、システムメモリ310とEC200とその配下にあるデバイス以外のデバイスへの給電を停止し、プロセッサによるプログラムの実行を伴わない動作モードである。
ハイバネーション状態は、スリープ状態においてプロセッサ11から即座にアクセス可能とする補助記憶装置にシステムメモリ310に記憶していた情報を全て退避させ、その後、システムメモリ310への給電をさらに停止するモードである。従って、ハイバネーション状態から起動処理を開始する際、CPU302は、補助記憶装置に退避された情報をシステムメモリ310に記憶する。
パワーオフ状態は、EC200とその配下にあるデバイス以外のデバイスへの給電を停止した状態である。
CPU302は、EC200が近接センサ130の検出結果に基づいて行うHPD処理によりシステムの動作状態を遷移させる。例えば、CPU302は、動作状態が待機状態であって、EC200から起動信号が入力された場合、待機状態から通常動作状態に遷移させる。例えば、動作状態がスリープ状態、ハイバネーション状態またはパワーオフ状態であるとき、電源部400から電力の供給を受け、かつEC200から起動信号が入力されると、CPU302は、起動処理を開始する。CPU302は、起動処理において、システムメモリ310、記憶部360などの最小限のデバイスの検出と初期化を行う(プリブート)。CPU302は、記憶部360からシステムファームウェアをシステムメモリ310にロードし、通信部350、表示部110などその他のデバイスの検出と初期化を行う(ポスト処理)。初期化には、初期パラメータの設定などの処理が含まれる。なお、スリープ状態から通常動作状態への遷移(レジューム)においては、ポスト処理の一部が省略されることがある。CPU302は、起動処理が完了した後、OSによるシステム処理の実行を開始する(起動)。例えば、CPU302は、動作状態がスタンバイ状態であって、EC200から起動信号が入力されると、実行を停止していたソフトウェアの実行を再開する。
なお、CPU302は、OSによるシステム処理の実行を開始すると、OSの利用を許可する前にログイン認証処理を実行し、ログイン認証処理でログインを許可するまで、以降のシステム処理の実行を一旦停止する。ログイン認証処理は、電子機器1を使用する人物が予め登録された正規のユーザであるか否かを判定するユーザ認証処理である。ログイン認証には、パスワード認証、顔認証、指紋認証などがある。ここでは、顔認証処理の場合を例に説明する。CPU302は、撮像部120で撮像された人物の顔画像に基づく顔認証処理の実行を認証処理部312に指示する。CPU302は、認証処理部312による認証結果が成功であった場合、ログインを許可し、一旦停止していたシステム処理の実行を再開する。一方、認証処理部312による認証結果が失敗であった場合、ログインを許可せず、システム処理の実行を停止したままにする。
また、CPU302は、上述したHPD処理によって動作状態を遷移させる他に、OSの処理としても動作状態を遷移させる。例えば、CPU302は、通常動作状態において無操作の時間が予め設定された時間継続した場合に、OSの処理により通常動作状態から待機状態へ遷移させる。予め設定された時間とは、無操作の時間が継続した場合に待機状態に遷移させることを判定するための閾値であり、OSのシステム設定の中で設定可能である。例えば、無操作の時間が継続した場合に、表示部110の表示がOFF(画面OFF)となる状態へ遷移させることを判定する「画面OFF時間」や、スリープ状態へ遷移させることを判定する「スリープ時間」などがあり、それぞれ選択肢の中からユーザが任意に選択して設定できる。選択肢には、時間の選択肢(例えば、「1分」、「2分」、「4分」、「10分」、「30分」、「1時間」、・・・など)に加えて、画面OFFへの遷移を禁止する設定またはスリープ状態への遷移を禁止する設定(例えば、「なし」)なども含まれる。
GPU304は、表示部110に接続されている。GPU304は、CPU302の制御に基づいて画像処理を実行して表示データを生成する。GPU304は、生成した表示データを表示部110に出力する。なお、CPU302とGPU304は、一体化して1個のコアとして形成されてもよいし、個々のコアとして形成されたCPU302とGPU304の相互間で負荷が分担されてもよい。プロセッサの数は、1個に限られず、複数個であってもよい。
メモリコントローラ306は、CPU302とGPU304によるシステムメモリ310、記憶部360などからのデータの読出し、書込みを制御する。
I/Oコントローラ308は、通信部350、表示部110およびEC200からのデータの入出力を制御する。
システムメモリ310は、プロセッサの実行プログラムの読み込み領域ならびに処理データを書き込む作業領域として用いられる。
認証処理部312は、CPU302から顔認証処理の実行の指示を受け取ると、撮像部120で撮像された人物の顔画像に基づいて顔認証処理を実行する。撮像部120で撮像された人物の顔画像とは、電子機器1の前方から接近する人物の顔画像である。顔認証処理は、顔検出処理と顔照合処理とを含む。顔検出処理は、撮像部120から入力される画像信号から顔が表されている領域である顔領域を定める処理である。顔照合処理は、顔領域から顔の特徴を表す複数の顔特徴点(例えば、口、目、鼻、など)の位置を求め、顔領域の位置と大きさがそれぞれ所定の位置と大きさとなるように正規化し、正規化した顔特徴点の分布を画像特徴量として定める過程と、定めた画像特徴量と所定の人物の顔画像に係る画像特徴量と照合し、照合に成功した画像特徴量に係る人物を特定する過程を有する。記憶部360には、アカウント毎に、そのアカウントでログインする正規ユーザとしての認証情報が設定されている。認証情報には、そのユーザの顔画像の画像特徴量が含まれる。認証情報には、さらにそのユーザを示すユーザ情報を対応付けて記憶される。ユーザ情報は、例えば、ユーザ名、ユーザID(Identifier)、など電子機器1のユーザを特定できる情報であればよい。
認証処理部312は、撮像部120で撮像された人物の顔画像と、設定されているユーザの認証情報とを照合した結果が一致と判断できる場合に顔認証に成功したと判定する。一方、認証処理部312は、例えば、電子機器1を使用する人物以外の人物が前を単に横切った場合には、撮像部120で撮像された画像から顔領域が検出されない。認証処理部312は、顔認証の成否を示す認証情報をCPU302及びEC200に出力する。
通信部350は、無線または有線による通信ネットワークを介して他の機器と通信可能に接続し、各種のデータの送信および受信を行う。例えば、通信部350は、イーサネット(登録商標)等の有線LANインターフェースやWi−Fi(登録商標)等の無線LANインターフェース等を含んで構成されている。なお、通信部350は、USB(Universal Serial Bus)インターフェースやBluetooth(登録商標)インターフェースを含んで構成されてもよい。
記憶部360は、HDD(Hard Disk Drive)、セキュアNVRAM(Non−Volatile RAM)、ROM(Read Only Memory)などの記憶媒体を含んで構成される。HDDは、OS、デバイスドライバ、アプリケーションなどの各種のプログラム、その他、プログラムの動作により取得した各種のデータを記憶する。セキュアNVRAMには、各ユーザの認証に用いる認証データを記憶する。認証データには、各ユーザの識別情報と、認証情報とを対応付けて記憶する。セキュアNVRAMには、I/Oコントローラ308から経由したOSの動作環境からはアクセスできないように保護(ロック)される。但し、CPU302のパワーオン、リセット時にロックを解除し、プリブートの終了時にシステムファームウェアを実行してロックを開始する。
入出力端子370は、外部機器と接続するための外部接続端子である。例えば、入出力端子370は、通信部350が通信制御を行う有線LANインターフェースに対応したLAN端子やUSB通信インターフェースに対応したUSB端子などであってもよい。また、入出力端子370は、表示部110に表示する表示データを外部の表示装置(外部ディスプレイ装置やプロジェクタ装置など)に接続するためのHDMI(High−Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子であってもよい。入出力端子370は、EC200またはシステム処理部300と接続されている。
次に、本実施形態に係る処理の動作について説明する。
(人物接近検出時の起動処理の動作)
まず、電子機器1が人物の接近を検出したことによりシステム処理を起動する起動処理の動作について説明する。図5は、本実施形態に係る起動制御の一例を示すフローチャートである。ここでは、電子機器1は、開状態で机の上等に置かれており、待機状態であるものとする。
(ステップS101)人物検出部210は、近接センサ130から取得する検出信号に基づいて、電子機器1への人物の接近を検出したか否かを判定する。人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出しない状態から人物を検出した場合、電子機器1への人物の接近を検出したと判定する。また、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出しない状態のままである場合、電子機器1への人物の接近を検出していないと判定する。そして、人物検出部210は、電子機器1への人物の接近を検出していないと判定した場合(NO)、再びステップS101の処理を行う。一方、人物検出部210は、電子機器1への人物の接近を検出したと判定した場合(YES)、ステップS103の処理に進む。
(ステップS103)動作制御部220は、システム処理部300によるシステム処理を起動させる。具体的には、動作制御部220は、システム処理部300によるシステム処理を起動させる場合、電源部400に対して、電子機器1の各部の動作に必要な電力を供給するための制御信号を出力する。また、動作制御部220は、CPU302にシステム処理の起動を指示するための起動信号を出力する。CPU302は、起動信号を取得すると、起動処理を開始する。そして、ステップS105の処理に進む。
(ステップS105)CPU302は、ログイン認証を実行する。例えば、CPU302は、撮像部120で撮像された人物の顔画像を用いた顔認証によるログイン認証処理を実行する。具体的には、CPU302は、撮像部120で撮像された人物の顔画像に基づく顔認証処理の実行を認証処理部312に指示し、認証処理部312から認証結果を取得する。そして、ステップS107の処理に進む。
(ステップS107)CPU302は、認証結果が成功であるか否かを判定する。CPU302は、認証結果が成功の場合には(YES)、ステップS109の処理に進む。一方、CPU302は、認証結果が失敗の場合には(NO)、ステップS113の処理に進む。
(ステップS109)CPU302は、認証結果が成功の場合にはログイン成功である旨を通知し(例えば、表示部110に表示)、起動処理を継続する。そして、ステップS111の処理に進む。
(ステップS111)CPU302は、起動処理を終了し、通常動作状態に遷移する。
(ステップS113)認証結果が失敗の場合にはログイン失敗である旨を通知し(例えば、表示部110に表示)、ステップS105の認証処理に戻る。なお、CPU302は、連続して所定の回数の認証処理に失敗した場合には、認証処理を中止し、ログイン認証処理の実行が不可の状態に遷移させてもよい。
(人物離脱検出時の待機状態遷移処理の動作)
次に、電子機器1からの人物の離脱を検出したことによりシステム処理を通常動作状態から待機状態へ遷移させる待機状態遷移処理の動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る待機状態遷移処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、電子機器1は、開状態で机の上等に置かれており、通常動作状態であるものとする。また、待機状態へ遷移させる際に待機しない場合(遷移待機時間が0秒に相当)について説明する。
(ステップS151)人物検出部210は、近接センサ130から取得する検出信号に基づいて、電子機器1からの人物の離脱を検出したか否かを判定する。例えば、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出している状態から人物を検出しなくなった場合、電子機器1からの人物の離脱を検出したと判定する。一方、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出している状態のままである場合、電子機器1からの人物の離脱を検出していないと判定する。そして、人物検出部210は、電子機器1からの人物の離脱を検出していない場合(NO)、再びステップS151の処理を行う。一方、人物検出部210は、電子機器1からの人物の離脱を検出した場合(YES)、ステップS153の処理に進む。
(ステップS153)動作制御部220は、システム処理部300によるシステム処理を通常動作状態から待機状態へ遷移させる。具体的には、動作制御部220は、CPU302にシステム処理を待機状態へ遷移させる指示をするための待機信号を出力する。CPU302は、待機信号を取得すると、通常動作状態から待機状態へ遷移させる。また、動作制御部220は、電源部400に対して、待機状態では不要な電力の供給を停止させるための制御信号を出力する。
ここで、電子機器1を使用している人物は、常に電子機器1の正面にきちんと留まっているとは限らず、体勢が自由に動きがちである。そのため、電子機器1からの人物の離脱を検出する際に、電子機器1を使用しているにも関わらず、体勢が変化すること等によって人物が離脱したと誤検出してしまう可能性がある。そこで、電子機器1は、人物の離脱を検出してから待機状態へ遷移させるまでの遷移待機時間を所定の時間(例えば、60秒)に設定することにより、仮に誤検出があったとしてもすぐに待機状態へ遷移させるのではなく、所定の時間待機してそれでも人物が検出されない場合に待機状態へ遷移させる。これにより、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、その後に人物が検出された場合には、そのまま通常動作状態を継続するため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。また、電子機器1は、待機状態へ遷移させる場合に、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に黒表示になるように移行させ、待機状態へ遷移することを事前に通知する。これにより、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、待機状態へ遷移することをユーザが事前に気づけるように通知するため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
図7を参照して、遷移待機時間及び事前通知を用いる待機状態遷移処理の具体例を説明する。図7は、本実施形態に係る待機状態遷移処理における遷移待機時間及び事前通知を説明する図である。この図において横軸を時間の経過を示す時間軸tとしている。時刻t10より前は、人物検出部210が人物を検出している状態、即ち人物が存在している状態(Presence)であり、電子機器1は通常動作状態である。時刻t10において、人物検出部210が人物の離脱(Leave)を検出すると、動作制御部220は、タイマを用いて離脱の検出からの経過時間を計測する。例えば、動作制御部220は、時刻t10から時刻t20までの時間T1をタイマを用いて計測する。以下では、この時間T1を計測するタイマを、「T1タイマ」と呼ぶ。時間T1では、動作制御部220は、システム処理の動作状態については何ら指示を行わない。そのため、通常動作状態が継続される。
時間T1が経過すると、動作制御部220は、タイマを用いて時刻t20から時刻t30までの時間T2を計測する。以下では、この時間T2を計測するタイマを、「T2タイマ」と呼ぶ。時間T2において、動作制御部220は、事前通知処理として、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に透過度を下げた黒表示にするマスク信号を出力する。これにより、時刻t20から時刻t30までの時間T2において、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に黒表示になる(徐々に画面輝度が低下する)。そして、時刻t30において、表示部110は、画面OFF(透過度0%の黒表示)の状態になる。
時間T2が経過した後、動作制御部220は、タイマを用いてさらに時刻t30から時刻t40までの時間T3を計測する。以下では、この時間T3を計測するタイマを、「T3タイマ」と呼ぶ。時間T3が経過した後に、動作制御部220は、システム処理の動作状態を通常動作状態から待機状態へ遷移させる。
また、動作制御部220は、時間T1の間(例えば、時刻t11)または時間T2の間(例えば、時刻t21)において、タイマの計測を中断する計測中断条件(第1条件の一例)が満たされた場合、タイマの計測を中断してリセットする。計測中断条件には、例えば、人物検出部210により人物が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの間に、人物検出部210により人物検出範囲内に人物が検出されることが含まれる。例えば、動作制御部220は、時間T1の間または時間T2の間において、人物検出部210が人物の接近(Approach)を検出した場合、タイマの計測を中断してリセットする。この場合、動作制御部220は、システム処理の動作状態については何ら指示を行わない。そのため、通常動作状態が継続される。
また、計測中断条件には、人物検出部210により人物が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの間に、入力デバイス150がユーザの操作に伴う入力を受け付けることが含まれてもよい。例えば、動作制御部220は、時間T1の間または時間T2の間において、入力デバイス150に対するユーザの操作(または、入出力端子370に接続されたマウスや外付けのキーボードに対するユーザの操作)などの入力を受け付けた場合も、動作制御部220は、タイマの計測を中断してリセットしてもよい。この場合も時間T1の間または時間T2の間に人物の接近を検出した場合と同様に、動作制御部220は、システム処理の動作状態については何ら指示を行わない。そのため、通常動作状態が継続される。
図8は、図7に示す時間T1〜T3の設定例を示すデータテーブルである。このデータテーブルは、例えばEC200内のROMに格納されている。図示するデータテーブルには、画面OFF時間と、時間T1と、時間T2と、時間T3とが関連付けられて設定されている。画面OFF時間は、前述したように、通常動作状態において無操作の時間が継続したときにOSの処理により待機状態へ遷移させることを判定する閾値である。画面OFF時間は、OSのシステム設定の中で設定されている値が援用される。
時間T1は、短時間設定(Fast)、通常時間設定(Medium)、及び長時間設定(Slow)の3種類の値が設定される。画面OFF時間の設定値をDOT(Display Off Timer)とすると、3種類の時間T1は、それぞれDOTに所定の割合を乗算した値が以下のように設定されている。
・短時間設定(Fast)の時間T1=DOT×0.125
・通常時間設定(Medium)の時間T1=DOT×0.25
・長時間設定(Slow)の時間T1=DOT×0.5
例えば、DOT=「4分」に設定されている場合には、時間T1は、短時間設定(Fast)では30秒、通常時間設定(Medium)では60秒、長時間設定(Slow)では120秒となる。短時間設定(Fast)、通常時間設定(Medium)、及び長時間設定(Slow)の3種類の中からユーザは任意の設定を選択可能である。
また、時間T2は10秒に設定されている。また、時間T3は、5秒に設定されている。
なお、図8に示す時間T1〜T3の設定例は一例であって、この設定に限られるものでではない。例えば、時間T1の設定値としてDOTに乗算する割合の値は、他の値であってもよい。また、時間T1は、画面OFF時間の設定値(DOT)用いずに固定値が設定されてもよい。また、時間T2及び時間T3についても、他の値が設定されてもよい。また、時間T1を設けずに時間T2及び時間T3のみが設定されてもよいし、時間T1及び時間T3を設けずに時間T2のみが設定されてもよい。時間T1、時間T2、及び時間T3のうちのいずれか一つのみが設定されてもよい。
図9は、遷移待機時間が設定されている場合の待機状態遷移処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップS201)人物検出部210は、近接センサ130から取得する検出信号に基づいて、電子機器1からの人物の離脱を検出したか否かを判定する。例えば、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出している状態から人物を検出しなくなった場合、電子機器1からの人物の離脱を検出したと判定する。一方、人物検出部210は、人物検出範囲内に人物を検出している状態のままである場合、電子機器1からの人物の離脱を検出していないと判定する。そして、人物検出部210は、電子機器1からの人物の離脱を検出していない場合(NO)、再びステップS201の処理を行う。一方、人物検出部210は、電子機器1からの人物の離脱を検出した場合(YES)、ステップS203の処理に進む。
(ステップS203)動作制御部220は、T1タイマの計測を開始し、ステップS205の処理に進む。
(ステップS205)動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間T1未満であるか否かを判定する。動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間T1未満であると判定した場合(YES)、ステップS207の処理に進む。一方、動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間T1未満ではない(即ち、時間T1に達した)と判定した場合(NO)、ステップS211の処理に進む。
(ステップS207)動作制御部220は、計測中断条件が満たされたか否かを判定する。動作制御部220は、人物検出部210が人物の接近(Approach)を検出した場合、または入力デバイス150がユーザの操作に伴う入力を受け付けた場合、計測中断条件が満たされたと判定する。動作制御部220は、計測中断条件が満たされたと判定した場合(YES)、ステップS209の処理に進む。一方、動作制御部220は、計測中断条件が満たされていないと判定した場合(NO)、ステップS205の処理に戻る。
(ステップS209)動作制御部220は、計測中断条件が満たされた場合、T1タイマをリセットして、ステップS201の処理に戻る。
(ステップS211)動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間T1に達した場合、T2タイマの計測を開始し、ステップS213の処理に進む。
(ステップS213)動作制御部220は、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に透過度を下げた黒表示にするマスク信号を出力し、表示部110の画面輝度を徐々に低下させる。そして、ステップS215の処理に進む。
(ステップS215)動作制御部220は、T2タイマの計測時間が時間T2未満であるか否かを判定する。動作制御部220は、T2タイマの計測時間が時間T2未満であると判定した場合(YES)、ステップS217の処理に進む。一方、動作制御部220は、T2タイマの計測時間が時間T2未満ではない(即ち、時間T2に達した)と判定した場合(NO)、ステップS221の処理に進む。
(ステップS217)動作制御部220は、計測中断条件が満たされたか否かを判定する。動作制御部220は、人物検出部210が人物の接近(Approach)を検出した場合、または入力デバイス150がユーザの操作に伴う入力を受け付けた場合、計測中断条件が満たされたと判定する。動作制御部220は、計測中断条件が満たされたと判定した場合(YES)、ステップS219の処理に進む。一方、動作制御部220は、計測中断条件が満たされていないと判定した場合(NO)、ステップS215の処理に戻る。
(ステップS219)動作制御部220は、計測中断条件が満たされた場合、T1タイマ及びT2タイマをリセットして、ステップS201の処理に戻る。
(ステップS221)動作制御部220は、T2タイマの計測時間が時間T2に達した場合、表示部110を透過度0%の黒表示にするマスク信号を出力し、表示部110を画面OFFにさせる。そして、ステップS223の処理に進む。
(ステップS223)動作制御部220は、T3タイマの計測を開始し、ステップS225の処理に進む。
(ステップS225)動作制御部220は、T3タイマの計測時間が時間T3未満であるか否かを判定する。動作制御部220は、T3タイマの計測時間が時間T3未満であると判定した場合(YES)、再びステップS225の処理を行う。一方、動作制御部220は、T3タイマの計測時間が時間T3未満ではない(即ち、時間T3に達した)と判定した場合(NO)、ステップS227の処理に進む。
(ステップS227)動作制御部220は、システム処理の動作状態を通常動作状態から待機状態に遷移させ、ステップS229の処理に進む。
(ステップS229)動作制御部220は、T1タイマ、T2タイマ、及びT3タイマをリセットして、待機状態遷移処理を終了する。
以上説明してきたように、本実施形態に係る電子機器1において、システム処理部300(処理部の一例)は、システム処理を実行する。表示部110は、システム処理部300により実行されるシステム処理により生成された表示データを表示する。人物検出部210(物体検出部の一例)は、人物検出範囲(所定の検出範囲の一例)内に存在する物体(例えば、人物)を検出する。動作制御部220は、人物検出部210により人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出されている状態から物体(例えば、人物)が検出されなくなった場合、待機状態(システム処理の少なくとも一部が制限された第1動作状態の一例)へ遷移させる。また、動作制御部220は、待機状態へ遷移させる場合、表示部110に表示された表示データが徐々に視認できなくなるように徐々に黒表示になるように移行させる。
これにより、電子機器1は、人物の離脱を検出した場合に、画面輝度を徐々に低下させてから待機状態に遷移させることにより、待機状態に遷移することをユーザに事前に通知することができる。そのため、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、待機状態に遷移してしまう前に、待機状態に遷移することをユーザに認識させることができるとともに、待機状態に遷移する前にユーザが何らかの対処をすることも可能となるため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
また、動作制御部220は、人物検出部210により人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出されている状態から物体(例えば、人物)が検出されなくなった場合、物体(例えば、人物)が検出されなくなってから所定の時間(例えば、遷移待機時間)が経過した後、待機状態へ遷移させる。
これにより、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、すぐにではなく所定の時間(例えば、遷移待機時間)が経過した後に待機状態へ遷移させるため、その間にユーザが何らかの対処をすることも可能となるため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
また、動作制御部220は、人物検出部210によりにより人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出されなくなったことに応じて遷移待機時間の計測を開始し、上記所定の時間(例えば、遷移待機時間)が経過する前に、人物検出部210により人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出された場合、待機状態へ遷移させることを中止し遷移待機時間の計測をリセットする。
これにより、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合には、所定の時間が経過する前に、電子機器1の正面の使用位置に姿勢を戻すことや、手をかざすことなどによって、待機状態に遷移することを防ぐことができる。よって、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
また、動作制御部220は、待機状態へ遷移させた後、人物検出部210により人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出された場合、システム処理を起動させ、通常動作状態(待機状態よりもシステム処理の動作を活性化させた第2動作状態の一例)へ遷移させる。
これにより、電子機器1は、電子機器1への人物の接近を検出することにより自動でシステム処理を起動させることができるため、利便性がよい。
制御時間設定部230は、人物検出部210により物体(例えば、人物)が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの所定の時間(例えば、遷移待機時間)を設定する。例えば、制御時間設定部230は、上記遷移待機時間を、システム処理(OSの処理)において、ユーザによる入力を受け付けない状態が続いた場合に表示部の表示をオフにするまでの時間(例えば、画面OFF時間)よりも短い時間に設定する。
これにより、電子機器1は、HPD処理を用いることにより電子機器1から人物が離れたことを検出できるため、OSの処理において設定されている画面OFF時間よりも短い時間で、電子機器1が使用されない状態になったことを判断して待機状態へ遷移させることができる。よって、電子機器1は、セキュリティを向上させることができる。
なお、制御時間設定部230は、上記遷移待機時間を、システム処理(OSの処理)において、ユーザによる入力を受け付けない状態が続いた場合に表示部の表示をオフにするまでの時間(例えば、画面OFF時間)よりも短い時間に設定してもよい。例えば、人物検出部210により物体(例えば、人物)が検出されていない状態であって、且つ電子機器1が使用されている状態(例えば、ユーザによる入力を受け付けているような状態)では、制御時間設定部230は、遷移待機時間を画面OFF時間よりも短い時間に設定してもよい。
なお、電子機器1は、人物検出範囲内に人物を検出しているとき、即ち、正面にユーザが存在しているときには、ユーザによる入力を受け付けない状態が続いて画面OFF時間を超えたとしても、待機状態へ遷移させなくてもよい。これにより、電子機器1の正面にユーザが居るときには、操作をしていなくても待機状態へ遷移することなく通常動作状態が続くため、利便性が良い。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子機器1の基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるため、本実施形態において特徴的な処理について説明する。本実施形態では、電子機器1は、第1の実施形態で図7を参照して説明した時間T1の間または時間T2の間において計測中断条件(第1条件の一例)が満たされた場合に、次回の遷移待機時間を増加させる。
図10は、本実施形態に係る待機状態遷移処理における遷移待機時間及び事前通知を説明する図である。この図において、図7と異なるのは時間T1の設定である。本実施形態では、時間T1は、「T1=T1×W」で定義される。Wは、時間T1の増加係数である。Wは、初期値は「1」であり、計測中断条件が満たされると増加する(例えば、W=「1.5」)。つまり、時間T1の間または時間T2の間において計測中断条件が満たされると、離脱の検出が誤検出であった可能性が高い。そのため、電子機器1は、次に人物の離脱を検出したときには、時間T1を1.5倍に変更し、待機状態へ遷移するまでの待機時間が長くして、待機状態へ遷移しにくくする。
図11は、本実施形態に係る待機状態遷移処理の一例を示すフローチャートである。この図において、図9の各処理と同様の処理には同一の符号を付しており、その説明を省略する。ステップS200A、S205A、S220A、S231Aの処理が図9の処理と異なる。
ステップS200Aでは、動作制御部220は、増加係数Wを「1」に設定し、ステップS201の処理に進む。また、ステップS205Aでは、動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間「T1×W」(W=1)未満であるか否かを判定する。動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間「T1×W」(W=1)未満であると判定した場合(YES)、ステップS207の処理に進む。一方、動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間「T1×W」(W=1)未満ではない(即ち、時間「T1×W」(W=1)に達した)と判定した場合(NO)、ステップS211の処理に進む。
また、動作制御部220は、ステップS207またはステップS217において計測中断条件が満たされたと判定した場合(YES)、ステップS209またはステップS219でタイマをリセットした後、ステップS220Aで増加係数Wを「1.5」に変更してからステップS201の処理に戻る。これにより、次にステップS205Aの処理を行うときには、動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間「T1×W」(W=1.5)未満であるか否かを判定する。そして、動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間「T1×W」(W=1.5)未満であると判定した場合(YES)、ステップS207の処理に進む。一方、動作制御部220は、T1タイマの計測時間が時間「T1×W」(W=1.5)未満ではない(即ち、時間「T1×W」(W=1.5)に達した)と判定した場合(NO)、ステップS211の処理に進む。
また、動作制御部220は、ステップS227で待機状態に遷移させ、ステップS229でタイマをリセットした後に、増加係数Wを「1」に戻してから、待機状態遷移処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1において、システム処理部300(処理部の一例)は、システム処理を実行する。人物検出部210(物体検出部の一例)は、人物検出範囲(所定の検出範囲の一例)内に存在する物体(例えば、人物)を検出する。動作制御部220は、人物検出部210により人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出されている状態から物体(例えば、人物)が検出されなくなった場合、待機状態(システム処理の少なくとも一部が制限された第1動作状態の一例)へ遷移させる。制御時間設定部230は、人物検出部210により物体(例えば、人物)が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの時間(例えば、遷移待機時間)を、第1条件(例えば、計測中断条件)に基づいて変更する。
これにより、電子機器1は、人物の離脱が検出されてから待機状態に遷移させるまでに時間を設けるため、人物の離脱を誤検出した場合であっても、待機状態に遷移する前にユーザが何らかの対処をすることが可能となるため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
ここで、第1条件(例えば、計測中断条件)には、人物検出部210により物体(例えば、人物)が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの間に、人物検出部210により人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出されることが含まれてもよい。
これにより、電子機器1は、人物の離脱が検出されてから待機状態に遷移させるまでに人物が検出されたことに基づいて、待機状態に遷移させるまでの遷移待機時間を設定するため、人物の離脱を誤検出した場合であっても、待機状態に遷移する前にユーザが何らかの対処をすることが可能となるため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
なお、電子機器1は、ユーザによる入力を受け付ける入力デバイス150(入力部の一例)を備えている。そして、第1条件(例えば、計測中断条件)には、人物検出部210により物体(例えば、人物)が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの間に、入力デバイス150が入力(例えば、操作に伴う入力)を受け付けることが含まれてもよい。
これにより、電子機器1は、人物の離脱が検出されてから待機状態に遷移させるまでにユーザによる入力を受け付けたことに基づいて、待機状態に遷移させるまでの遷移待機時間を設定するため、人物の離脱を誤検出した場合であっても、待機状態に遷移する前にユーザが何らかの対処をすることが可能となるため、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
例えば、制御時間設定部230は、第1条件(例えば、計測中断条件)が満たされた場合、遷移待機時間を増加させる。そして、動作制御部220は、制御時間設定部230により設定された遷移待機時間が経過した後、待機状態へ遷移させる。
これにより、電子機器1は、人物の離脱が検出されてから待機状態に遷移させるまでに人物が検出された場合またはユーザによる入力を受け付けた場合、人物の離脱が誤検出であったものと判断し、次に人物の離脱が検出されたときには、待機状態に遷移させるまでの遷移待機時間を増加させるので、ユーザが何らかの対処をすることが可能な時間を長くすることができる。よって、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
なお、電子機器1は、人物の離脱が検出されてから待機状態に遷移させるまでに人物が検出された場合またはユーザによる入力を受け付けた場合、1度だけ、或いは所定の回数までは遷移待機時間を増加させてもよいし、その都度遷移待機時間を増加させてもよい。電子機器1は、繰り返し遷移待機時間を増加する場合には、増加量を変更してもよい。
また、動作制御部220は、人物検出部210によりにより人物検出範囲内に物体(例えば、人物)が検出されなくなったことに応じて遷移待機時間の計測を開始し、制御時間設定部230により設定された時間が経過する前に、第1条件(例えば、計測中断条件)が満たされた場合、待機状態へ遷移させることを中止し遷移待機時間の計測をリセットする。
これにより、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合には、所定の時間が経過する前に、電子機器1の正面の使用位置に姿勢を戻すことや、手をかざすこと、或いはユーザによる入力を受け付けることなどによって、待機状態に遷移することを防ぐことができる。よって、電子機器1は、人物の離脱を誤検出した場合であっても、誤検出にともなうユーザへの影響を抑制することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
本実施形態に係る電子機器1の基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるため、本実施形態において特徴的な処理について説明する。本実施形態では、電子機器1は、通信接続するネットワークの種類に関する条件に応じて遷移待機時間を設定する。ネットワークの種類とは、例えば、OSのシステム設定の中のネットワーク設定で選択されるプライベートネットワーク、パブリックネットワークなどのことである。プライベートネットワークは、家庭内や会社内などプライベートな空間に設置されている電子機器間で相互に通信を行うネットワークに接続するときに選択される設定である。一方、パブリックネットワークは、公衆無線LANやホテルなどの公共施設が提供するネットワークなど、第三者が参加しているネットワークに接続するときに選択される設定である。
制御時間設定部230は、OSのネットワーク設定で設定されているネットワークの種類を示す情報が含まれるネットワーク設定情報をシステム処理部300から取得する。そして、制御時間設定部230は、人物検出部210により人物が検出されなくなってから(即ち、人物の離脱を検出してから)システム処理の動作状態を待機状態へ遷移させるまでの遷移待機時間を、ネットワークの種類に関する条件(第1条件の一例)に基づいて設定する。例えば、制御時間設定部230は、プライベートネットワークが設定されているときの遷移待機時間より、パブリックネットワークが設定されているときの遷移待機時間の方を短い時間に設定する。
図12は、本実施形態に係る遷移待機時間の設定処理の一例を示すフローチャートである。この図に示す処理は、図7及び図10に示す時間T1をネットワークの種類に関する条件に応じて設定する処理の例を示している。
(ステップS301)制御時間設定部230は、ネットワーク設定情報をシステム処理部300から取得し、ステップS303の処理に進む。
(ステップS303)制御時間設定部230は、取得したネットワーク設定情報を参照して、設定されているネットワークの種類を判定する。制御時間設定部230は、プライベートネットワークが設定されていると判定した場合、ステップS305の処理に進む。一方、制御時間設定部230は、パブリックネットワークが設定されていると判定した場合、ステップS307の処理に進む。
(ステップS305)制御時間設定部230は、プライベートネットワークが設定されている場合には、遷移待機時間のうちの時間T1(図7及び図10参照)を60秒に設定する。
(ステップS307)制御時間設定部230は、パブリックネットワークが設定されている場合には、遷移待機時間のうちの時間T1(図7及び図10参照)を10秒に設定する。
なお、時間T1が図8に示すように画面OFF時間に基づいて設定される場合には、画面OFF時間の設定値をDOTとして、以下のように設定されてもよい。
・プライベートネットワーク:DOT×(1/4)
・パブリックネットワーク:DOT×(1/24)
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1において、制御時間設定部230は、人物検出部210により物体(例えば、人物)が検出されなくなってから待機状態へ遷移させるまでの時間(例えば、遷移待機時間)を、通信接続するネットワークの種類に関する条件(第1条件(例えば、計測中断条件)の一例)に基づいて設定する。
これにより、電子機器1は、パブリックネットワークで利用している場合にはセキュリティを優先し、人物の離脱を検出したときの待機状態への遷移をプライベートネットワークで利用している場合よりも早めることができる。また、プライベートネットワークで利用している場合には、セキュリティよりもユーザの利便性を考慮して、人物の離脱を検出してもすぐには待機状態へ遷移しないようにすることができる。
なお、遷移後の待機状態は、通信ネットワークの接続環境に関する条件に応じて、制限される処理が異なってもよい。通信ネットワークの接続環境に関する条件とは、例えば、通信接続するネットワークの種類に関する条件である。電子機器1は、通信接続するネットワークの種類に関する条件に応じて、遷移させる動作状態を異ならせてもよい。例えば、電子機器1は、プライベートネットワークが設定されている場合には、画面OFFのみに遷移させ、スリープ状態のような次回の起動時に認証処理が行われる待機状態までは遷移させないようにしてもよい。
図13は、ネットワークの種類に応じて遷移させ動作状態を変更する処理の一例を示すフローチャートである。この図に示す処理は、図7及び図10に示す時間T1、時間T2及び時間T3のどこまでを有効にするかをネットワークの種類に関する条件に応じて設定する処理の例を示している。
(ステップS311)制御時間設定部230は、ネットワーク設定情報をシステム処理部300から取得し、ステップS313の処理に進む。
(ステップS313)制御時間設定部230は、取得したネットワーク設定情報を参照して、設定されているネットワークの種類を判定する。制御時間設定部230は、プライベートネットワークが設定されていると判定した場合、ステップS315の処理に進む。一方、制御時間設定部230は、パブリックネットワークが設定されていると判定した場合、ステップS317の処理に進む。
(ステップS315)制御時間設定部230は、プライベートネットワークが設定されている場合には、T1タイマ及びT2タイマを有効にし、T3タイマを無効にする。即ち、動作制御部220は、人物検出部210が人物の離脱を検出した場合、時間T1及び時間T2(図7及び図10参照)までの処理により徐々に画面輝度を低下させて画面OFFにさせる。
(ステップS317)制御時間設定部230は、パブリックネットワークが設定されている場合には、T1タイマ、T2タイマ、及びT3タイマを有効にする。即ち、動作制御部220は、人物検出部210が人物の離脱を検出した場合、時間T1、時間T2、及び時間T3(図7及び図10参照)までの処理により徐々に画面輝度を低下させて画面OFFにさせた後、待機状態に遷移させる。
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1において、待機状態(第1動作状態の一例)は、通信ネットワークの接続環境に関する条件に応じて、制限される処理が異なる。
これにより、電子機器1は、通信ネットワークの接続環境のセキュリティの度合いに応じた制御を行うことができる。例えば、電子機器1は、パブリックネットワークで利用している場合にはセキュリティを優先し、人物の離脱を検出したときには待機状態へ遷移させるため、認証処理により第三者による使用を防ぐことができる。一方、電子機器1は、プライベートネットワークで利用している場合には、第三者による使用の可能性が低いことから、人物の離脱を検出したときには画面OFFの状態に遷移させるため、次に使用するときに認証処理を行う手間を省くことができる。
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
上記第1の実施形態では、HPD処理によりシステムの動作状態を制御する際の具体的な構成例について説明した。しかしながら、どのように使用しているかによって、人物の検出を正しくできない場合や、使用しているときに人物を検出できるとは限らない状況も考えられる。そこで、本実施形態では、所定の条件に基づいてHPD処理の有効/無効を切替える構成について説明する。例えば、本実施形態では、人物を検出できない条件または検出しにくい条件などではHPD処理を無効にする。
図14は、本実施形態に係る電子機器1Aのハードウェアの構成例を示す概略ブロック図である。この図において、図4に示す各部に対応する構成には同一の符号を付している。この図14に示す電子機器1Aは、動きセンサ140を備える点、及びEC200が使用形態検出部215を備える点が、図4に示す電子機器1の構成と相違する。なお、電子機器1Aの外観構成は、図1に示す構成と同様である。
動きセンサ140は、第1筐体10に設けられた加速度センサ141と、第2筐体20設けられた加速度センサ142とを含んで構成されている。加速度センサ141は、第1筐体10の物理的な動き量や動き方向、傾きなどに応じた検出信号を出力する。加速度センサ142は、第2筐体20物理的な動き量や動き方向、傾きなどに応じた検出信号を出力する。なお、動きセンサ140は、加速度センサに代えてまたは加えて、ジャイロセンサ、傾斜センサ、地磁気センサ等を含んで構成されてもよい。
使用形態検出部215は、動きセンサ140から出力される検出信号を取得し、取得した検出信号に基づいて、第1筐体10と第2筐体20との開き角θを検出するとともに、開き角θに基づいて開状態であるかまたは閉状態であるかを判定する。また、使用形態検出部215は、動きセンサ140から取得した検出信号に基づいて、第1筐体10及び第2筐体20のそれぞれの姿勢(例えば、重力方向に対する角度)を検出してもよい。
さらに、使用形態検出部215は、動きセンサ140から取得した検出信号に基づいて検出した開き角θまたは姿勢に基づいて、電子機器1Aの使用形態を示す使用モードを判定してもよい。ここで、使用形態を示す使用モードとは、電子機器1Aの使い方に応じて定まる開き角θまたは姿勢いずれか一方または両方の違いにより分類されるモードである。例えば、使用モードには、クローズモード、ラップトップモード、レイフラットモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモード、及びブックモードがある。
図15は、電子機器1Aの使用モードの例を示す図である。この図では、図1に示す各部対応する部分には同一の符号を付している。第1筐体10の表示部110が設けられている面の反対面を裏面10eとして図示している。また、第2筐体20のキーボード151及びタッチパッド153が設けられている面の反対面を裏面20eとして図示している。
図15(A)は、閉状態を示すクローズモードを例示する。クローズモードでは、開き角θは、典型的には0°であるが、実際には一例として0°≦θ<10°などである。例えば、使用形態検出部215は、開き角θが0°であることを検出した場合、電子機器1Aの使用モードをクローズモードと判定する。クローズモードでは、第1筐体10の表示部110と第2筐体20のキーボード151及びタッチパッド153とが対向し、それらを利用することができない。それらを利用するには、第1筐体101を第2筐体102から開く操作が要求される。従って、クローズモードでは、使用形態検出部215は、人物検出部210、動作制御部220、及び近接センサ130の動作が停止されてもよい。
図15(B)は、開状態のうちの一つの使用形態を示すラップトップモードを例示する。ラップトップモードでは、開き角θは、一例として10°<θ<170°である。例えば、使用形態検出部215は、開き角θが10°<θ<170°であることを検出した場合、電子機器1Aの使用モードをラップトップモードと判定する。ラップトップモードでは、表示部110、キーボード151、及びタッチパッド153が使用可能である。
図15(C)、は、開状態のうちの一つの使用形態を示すレイフラットモードを例示する。レイフラットモードでは、開き角θは、典型的には180°であるが、実際には一例として170°≦θ<190°などである。例えば、使用形態検出部215は、開き角θが180°であることを検出した場合、電子機器1Aの使用モードをレイフラットモードと判定する。レイフラットモードでは、表示部110、キーボード151、及びタッチパッド153が使用可能である。
図15(D)、図15(E)は、それぞれ、開状態のうちの一つの使用形態を示すテントモード、スタンドモードを例示する。テントモード、スタンドモードともに、開き角θは、一例として190°≦θ<360°である。テントモードとスタンドモードでは、第1筐体10の天地方向が異なる。例えば、使用形態検出部215は、開き角θが190°≦θ<360°であって、第1筐体10の側面の中で、側面10c(ヒンジ機構15が設置されている面)が、他の側面よりも天を向いていると判定した場合、使用モードをテントモードと判定する。他方、使用形態検出部215は、開き角θが190°≦θ<360°であって、第1筐体10の側面の中で、側面10a(第1筐体10の回動により第2筐体20の側面20aから離れる面)が、他の側面よりも天を向いていると判定した場合、使用モードをスタンドモードと判定する。テントモード、スタンドモードともに、表示部110が利用可能である。但し、キーボード151およびタッチパッド153は、必ずしも使用可能でなくてもよい。
図15(F)は、開状態のうちの一つの使用形態を示すタブレットモードを例示する。タブレットモードでは、第1筐体10の裏面10eと第2筐体20の裏面20eとが対向する。開き角θは、一例として360°である。例えば、使用形態検出部215は、開き角θが360°であることを検出した場合、電子機器1Aの使用モードをタブレットモードと判定する。タブレットモードは、表示部110をユーザの顔に向けながら手で保持して使用できる使用モードである。タブレットモードでは、表示部110が使用可能であり、タッチパネルとして構成されていることが望ましい。つまり、ユーザによる操作入力は、表示部110の表示面に設けられたタッチセンサが受け付ける。キーボード151、及びタッチパッド153は、使用不可能であってもよい。
図16は、電子機器1Aの使用モードの他の例を示す図である。この図は、開状態のうちの一つの使用形態を示すブックモードを例示する。ブックモードは、第1筐体10が第2筐体20に対して開いた開状態であって、第1筐体10の側面の中で側面10bもしくは側面10dが他の側面より天を向く姿勢での使用モードである。開き角θは、開状態と判定される範囲であればいずれの角度であってもよい。例えば、使用形態検出部215は、開き角θが10°<θ≦360°であって、側面10bもしくは側面10dが他の側面より天を向く姿勢であることを検出した場合、電子機器1Aの使用モードをブックモードと判定する。
ブックモードでは、表示部110が使用可能であるが、他のモードの表示部110が使用可能なモードとは、表示部110を視認する際の向きが異なる。図示するようにブックモードでは、表示部110の表示画面が、画面の長辺方向が縦方向、短辺方向が横方向となる向き(即ち、縦向き)となる。ここで、縦方向とは、垂直方向に対応する方向であり、例えば、垂直方向±45°の範囲に含まれる方向である。一方、横方向とは、水平方向に対応する方向であり、例えば、水平方向±45°の範囲に含まれる方向である。
上述した使用モードのうちラップトップモード、レイフラットモード、テントモード、及びスタンドモードでは、表示部110の表示画面が、画面の長辺方向が横方向、短辺方向が縦方向となる向き(即ち、横向き)となる。なお、タブレットモードの場合には、ユーザの持ち方によって、表示画面は縦向きにも横向きにもなり得る。例えば、タブレットモードで表示画面が縦向きなるようにユーザが保持したときの形態は、ブックモードで開き角θを360°にしたときの形態に相当する。
(HPD処理の有効/無効を切替える処理)
動作制御部220は、HPD処理によりシステムの動作状態を制御する処理を行うか否かを、所定の条件に基づいて制御する。ここで所定の条件とは、例えば第1筐体10と第2筐体20との開き角θに基づく条件である。例えば、動作制御部220は、使用形態検出部215により検出された開き角θに基づいて、HPD処理の有効/無効を切替える。
図17は、開き角θに基づいてHPD処理の有効/無効を切替える条件の一例を示す図である。図示する例では、開き角θが70°≦θ≦140°の範囲ではHPD処理が有効であり、それ以外の範囲ではHPD処理が無効である。ここで、開き角θが70°≦θ≦140°の範囲にある状態とは、ユーザが電子機器1Aを一般的なラップトップモードで使用する場合には開き角θが概ねこの範囲内になるであろうと考えられる状態である。この範囲を開き角θが超えると、センサ検出範囲にユーザが入らなくなり、HPD処理が困難となる。
図18は、本実施形態に係るHPD処理の有効/無効の切替え処理の一例を示すフローチャートである。この図を参照して、HPD処理の有効/無効の切替え処理の動作について説明する。
(ステップS401)動作制御部220は、所定の条件を満たしたか否かを判定する。例えば、動作制御部220は、使用形態検出部215により検出された開き角θが、70°≦θ≦140°を超えるか否かを判定する。動作制御部220は、開き角θが、70°≦θ≦140°を超えると判定した場合(YES)、ステップS403の処理に進む。また、動作制御部220は、開き角θが、70°≦θ≦140°であると判定した場合(NO)、ステップS405の処理に進む。
(ステップS403)動作制御部220は、HPD処理を無効にし、HPD処理によりシステムの動作状態を制御する処理を実行しない。
(ステップS405)動作制御部220は、HPD処理を有効にし、HPD処理によりシステムの動作状態を制御する処理を実行する。
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1Aにおいて、動作制御部220は、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、所定の条件(第2条件)に基づいて制御する。これにより、電子機器1Aは、人物を検出できない条件または検出しにくい条件では、HPD処理を無効にするため、人物の接近や離脱の誤検出によりシステム処理の動作状態を制御してしまうことを抑制することができる。
例えば、使用形態検出部215(角度検出部の一例)は、第1筐体10と第2筐体20との開き角θ(開き角度)を検出する。そして、上記所定の条件(第2条件)には、使用形態検出部215により検出された開き角θに基づく条件が含まれる。つまり、動作制御部220は、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、開き角θに基づいて制御する。これにより、電子機器1Aは、開き角θによって人物を検出できない条件または検出しにくい条件では、HPD処理を無効にするため、人物の接近または離脱を誤検出することによりシステム処理の動作状態を不適切に制御してしまうことを抑制することができる。
例えば、開き角θが70°未満や140°以上であって、センサ検出範囲が電子機器1Aを使用する人物の存在する範囲と乖離しているような場合には、電子機器1Aは、HPD処理を無効にするため、システム処理の動作状態を不適切に制御してしまうことを抑制することができる。
なお、HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)には、電子機器1Aの姿勢に基づく条件が含まれてもよい。動作制御部220は、使用形態検出部215により検出された第1筐体10の姿勢または第2筐体20の姿勢と開き角θとに基づいて判定された使用モードに基づいて、HPD処理の有効/無効を切替えてもよい。例えば、テントモードやスタンドモードでは、電子機器1Aに動画や静止画を表示させながら正面の近傍から離れた場所に移動することも考えられる。例えば、料理のレシピ動画や静止画を表示させながら料理をする場合には、料理をしながら必要に応じてレシピを確認するため、常に電子機器1Aの正面にいるわけではない。このような場合に、電子機器1Aは、テントモードやスタンドモードではHPD処理を無効にするため、料理の最中に正面から離れて料理をしていても、待機状態に遷移しないで料理のレシピ動画や静止画の表示を継続することができる。また、タブレットモードでは、主に電子機器1Aが通常動作状態で動作していることが期待される。従って、電子機器1Aは、タブレットモードではHPD処理を無効にすることにより、人物が必ずしも正面に存在し続けなくとも、通常動作状態を継続することができる。
電子機器1Aの姿勢と開き角θとに基づいて判定された使用モードを条件とするHPD処理の有効/無効の切替え処理の動作では、図18に示すフローチャートのステップS401において、動作制御部220は、所定の条件として、使用モードがテントモード、スタンドモード、またはタブレットモードであるか否かを判定する。動作制御部220は、テントモード、スタンドモード、またはタブレットモードであると判定した場合(YES)にはHPD処理を無効にし(ステップS403)、テントモード、スタンドモード、またはタブレットモードではないと判定した場合(NO)にはHPD処理を有効にする(ステップS405)。
また、動作制御部220は、使用形態検出部215により検出された電子機器1Aの表示部110の表示画面の向きが縦方向であるか横方向であるに基づいて、HPD処理の有効/無効を切替えてもよい。例えば、表示画面が縦方向の場合は、タブレットモードで表示画面が縦方向になるように手で保持している場合、またはブックモードであるため、主に電子機器1Aが通常動作状態で動作していることが期待される。従って、動作制御部220は、表示画面が縦方向の場合にはHPD処理を無効にし、表示画面が横方向の場合にはHPD処理を有効にしてもよい。
また、表示画面の姿勢、センサ検出範囲の検出視野角FoVの広さ等によっては、電子機器1を使用するユーザを検出できない場合がある。そのため、動作制御部220は、使用形態検出部215により検出された電子機器1Aの姿勢(表示部110の表示画面の姿勢)に基づいて、HPD処理の有効/無効を切替えてもよい。つまり、動作制御部220は、電子機器1Aの姿勢(表示部110の表示画面の姿勢)がユーザを検出できる姿勢であると判断した場合にはHPD処理を有効にし、ユーザを検出できる姿勢ではないと判断した場合にはHPD処理を無効にしてもよい。
なお、電子機器1Aは、HPD処理を無効にした場合には、人物検出部210、使用形態検出部215、動作制御部220、及び近接センサ130の動作を停止させてもよく、消費電力を低減することができる。なお、電子機器1Aは、HPD処理を無効にした場合には、通常動作状態において無操作の時間が画面OFF時間継続した場合にOSの処理により待機状態へ遷移させてもよい。
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
第4の実施形態では、所定の条件(第2条件)に基づいてHPD処理の有効/無効を切替える処理の一例として、所定の条件(第2条件)が、電子機器1Aの開き角θまたは姿勢に基づく条件である例を説明した。本実施形態では、HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)が他の条件である場合の例について説明する。なお、本実施形態では、第4の実施形態で説明した図14に示す電子機器1Aの構成を用いて説明するが、第1〜3の実施形態で説明した図4に示す電子機器1にも適用することができる。
(外部装置との入出力を条件とする例)
HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)には、外部装置との入力または出力の有無に基づく条件が含まれてもよい。例えば、動作制御部220は、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、外部装置との入力または出力の有無に基づいて制御する。
外部装置とは、例えば、入出力端子370に接続されたマウスや外付けのキーボードなどである。なお、マウスや外付けのキーボードなどは、Bluetooth(登録商標)インターフェースを用いて無線で通信部350に接続されてもよい。また、外部装置とは、電子機器1Aと一体となっていない装置であり、入出力端子370に接続された表示装置(例えば、外部モニタ、ヘッドマウントディスプレイなど)または投影装置(例えば、プロジェクタ)などであってもよい。例えば、EC200は、入出力端子370に接続されたマウスや外付けのキーボードなどからの入力を受け付ける。また、システム処理部300が外部装置を表示データの出力先に設定した場合、EC200は、表示データの出力先が外部装置に設定されたことを示す設定情報をシステム処理部300から取得する。なお、外部装置とは、マイクまたはスピーカなどであってもよい。
外部装置との入出力を条件とするHPD処理の有効/無効の切替え処理の動作では、図18に示すフローチャートのステップS401において、動作制御部220は、所定の条件として、外部装置との入力または出力の有無を判定する。動作制御部220は、外部装置との入力または出力があると判定した場合(YES)にはHPD処理を無効にし(ステップS403)、外部装置との入力または出力が無いと判定した場合(NO)にはHPD処理を有効にする(ステップS405)。
具体的には、例えば電子機器1Aの正面でなくとも操作が可能なマウスや外付けのキーボードをユーザが操作している場合、常に電子機器1Aの正面にユーザが存在するとは限らない。そのため、ユーザが電子機器1Aを使用しているにもかかわらず、人物の離脱が誤検出されてしまう可能性がある。そこで、動作制御部220は、マウスや外付けのキーボードからの入力を受け付けた場合、人物の離脱が起きていないと判断できるため、HPD処理を無効にする。これにより、電子機器1Aは、HPD処理により人物の離脱を誤検出して待機状態へ遷移してしまうことを防止することができる。なお、動作制御部220は、内蔵のキーボード151またはタッチパッド153からの入力を受け付けた場合も同様に、HPD処理を無効にしてもよい。これは、内蔵のキーボード151またはタッチパッド153を使用している状況では、人物の離脱が起きていないと判断できるからである。
また、例えば外部モニタやプロジェクタなどに表示データを出力している場合は、プレゼンテーションを行う状況や、多人数で大画面を視聴している状況が考えられるため、常に電子機器1Aの正面にユーザが存在するとは限らない。そのため、ユーザが電子機器1Aを使用しているにもかかわらず、人物の離脱が誤検出されてしまう可能性がある。そこで、動作制御部220は、表示データの出力先が外部装置に設定さている場合、HPD処理を無効にする。これにより、電子機器1Aは、HPD処理により人物の離脱を誤検出してしまうことを防止することができる。
また、電子機器1Aは、HPD処理を無効にした場合には、人物検出部210、使用形態検出部215、動作制御部220、及び近接センサ130の動作を停止させてもよく、消費電力を低減することができる。
(リモート操作を条件とする例)
HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)には、システム処理の動作が通信ネットワークを介して接続される他の機器によるリモート操作(遠隔操作)に基づく動作であるか否かに基づく条件が含まれる。リモート操作とは、手元の機器(例えば、コンピュータ)からネットワークで接続された他の機器(例えば、コンピュータ)のデスクトップ環境を操作すること、所謂、リモートデスクトップのことである。例えば、動作制御部220は、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、リモート操作であるか否かに基づいて制御する。
リモート操作を条件とするHPD処理の有効/無効の切替え処理の動作では、図18に示すフローチャートのステップS401において、動作制御部220は、所定の条件として、リモート操作であるか否かを判定する。動作制御部220は、リモート操作であると判定した場合(YES)にはHPD処理を無効にし(ステップS403)、リモート操作ではないと判定した場合(NO)にはHPD処理を有効にする(ステップS405)。
リモート操作では、ユーザが電子機器1Aの正面に存在しないことが前提となるため、人物の接近や離脱を検出する必要性がない。そのため、電子機器1Aは、リモート操作時はHPD処理を無効にすることにより、関係のない人物の近接や離脱による誤検出を防止することができる。また、電子機器1Aは、HPD処理を無効にした場合には、人物検出部210、使用形態検出部215、動作制御部220、及び近接センサ130の動作を停止させてもよく、消費電力を低減することができる。
(全画面表示を条件とする例)
HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)には、表示部110への表示が全画面表示に設定されているか否かに基づく条件が含まれてもよい。例えば、動作制御部220は、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、全画面表示に設定されているか否かに基づいて制御する。
全画面表示とは、表示部110の表示画面全体に表示させることをいう。システム処理部300は、システム処理に基づく処理において、表示部110への表示を全画面表示にするか否かを切替え可能である。例えば、OS上で動作する動画再生アプリケーションには、動画の再生時に全画面表示を選択する操作アイコンが表示され、その操作アイコンに対してユーザが操作すると、システム処理部300は、動画再生アプリケーションの処理(即ち、システム処理に基づく処理)により再生する動画を表示部110の表示画面全体に表示させる。動作制御部220は、全画面表示が選択されているか否かの情報をシステム処理部300から取得する。
全画面表示を条件とするHPD処理の有効/無効の切替え処理の動作では、図18に示すフローチャートのステップS401において、動作制御部220は、所定の条件として、全画面表示に設定されているか否かを判定する。動作制御部220は、全画面表示に設定されていると判定した場合(YES)にはHPD処理を無効にし(ステップS403)、全画面表示に設定されていないと判定した場合(NO)にはHPD処理を有効にする(ステップS405)。
全画面表示では、ユーザが画面を見ている状況が予想され、主に電子機器1Aが通常動作状態で動作していることが期待される。従って、電子機器1Aは、全画面表示ではHPD処理を無効にすることにより、人物が必ずしも正面に存在し続けなくとも、通常動作状態を継続することができる。
(OSの待機状態への遷移に関する設定を条件とする例)
HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)には、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされているか否かについての条件が含まれてもよい。例えば、システム処理部300は、予め設定された設定情報に基づいてシステム処理の少なくとも一部が制限された動作状態(待機状態)へ遷移させる。
予め設定された設定情報とは、例えば、OSのシステム設定の中で設定可能な画面OFF時間の設定である。この画面OFF時間の設定において画面OFFへの遷移を禁止する設定(例えば、「なし」)に設定されている場合、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされていることになる。なお、スリープ状態へ遷移させることを判定するスリープ時間の設定においてスリープ状態への遷移を禁止する設定(例えば、「なし」)に設定されている場合、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされていることとしてもよい。
動作制御部220は、OSの待機状態への遷移に関する設定(画面OFF時間の設定、スリープ時間の設定など)を示す設定情報を、システム処理部300から取得する。そして、動作制御部220は、取得した設定情報に基づいて、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされているか否かに基づいて制御する。
OSの待機状態への遷移に関する設定を条件とするHPD処理の有効/無効の切替え処理の動作では、図18に示すフローチャートのステップS401において、動作制御部220は、所定の条件として、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされているか否かを判定する。動作制御部220は、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされていると判定した場合(YES)にはHPD処理を無効にし(ステップS403)、待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされていないと判定した場合(NO)にはHPD処理を有効にする(ステップS405)。
これにより、電子機器1Aは、OSで待機状態へ遷移させることを禁止する設定がされているにもかかわらず、人物の離脱を検出することにより待機状態へ遷移させてしまうことを防止できる。
(システム処理の動作状態を条件とする例)
HPD処理の有効/無効を切替える所定の条件(第2条件)には、システム処理の動作状態に基づく条件が含まれてもよい。システムの動作状態に基づく条件とは、例えば、システムが何をトリガにして起動した状態であるかの条件を含む。例えば、音声入力をトリガとして起動した状態では、ユーザが電子機器1Aから離れた場所にいることが想定されるため、HPD処理によりシステムの動作状態を制御することは好ましくない。そこで、動作制御部220は、人物検出部210の検出結果(即ち、HPD処理)に基づいてシステム処理の動作状態を制御する処理を行うか否かを、音声入力をトリガとして起動した状態であるか否かに基づいて制御する。動作制御部220は音声入力をトリガとして起動した状態であるか否かの情報をシステム処理部300から取得する。
システム処理の動作状態を条件とするHPD処理の有効/無効の切替え処理の動作では、図18に示すフローチャートのステップS401において、動作制御部220は、例えば、所定の条件として、音声入力をトリガとして起動した状態であるか否かを判定する。動作制御部220は、音声入力をトリガとして起動した状態であると判定した場合(YES)にはHPD処理を無効にし(ステップS403)、音声入力以外をトリガとして起動した状態であると判定した場合(NO)にはHPD処理を有効にする(ステップS405)。
これにより、電子機器1Aは、音声入力をトリガとして起動した状態ではHPD処理を無効にすることにより、人物が必ずしも正面に存在し続けない状況であっても、通常動作状態を継続することができる。
なお、システムの動作状態に基づく条件とは、HPD処理を行なうことができない動作状態であるか否かの条件であってもよい。そもそもHPD処理を行なうことができない動作状態では、HPD処理を無効にする必要がある。HPD処理を行なうことができない動作状態とは、ハイバネーション状態、パワーオフ状態(シャットダウン状態)、最初に電源を入れてからセットアップ画面による設定が終了してプリインストールされているソフトウェアが実行可能になるまでのOOBE(Out of Box Experience)の期間、再起動後のログイン前の状態などである。動作制御部220は、システム処理部300からシステムの動作状態を示す情報を取得し、HPD処理を行なうことができない動作状態であると判定した場合には、HPD処理を無効にする。これにより、電子機器1Aは、そもそもHPD処理を行なうことができない動作状態ではHPD処理を無効にすることにより、HPD処理にかかわる各部の動作を停止させ、消費電力を低減することができる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の各実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
上記実施形態では、システム処理部300と独立に動作するEC200は、センサハブ、チップセット、などのいずれの処理部であってもよく、EC200以外の処理部がEC200に代えて上述の処理を実行してもよい。このEC200等の処理部と近接センサ130の電力消費量の合計は、通例、システム処理部300の電力消費量よりも格段に少ない。
また、上述した待機状態には、処理中の内容が視認できないように予め設定された画像(例えば、ロック画面用の画像)が表示部110に表示されている状態(所謂、画面ロックの状態)が含まれてもよい。また、システム処理の動作を活性化させるとは、システム処理の起動に限られず、表示部110の画面ロックの状態からの解除、表示部110への表示の開始もしくは既に表示させている表示画面の輝度の増加、所定のアプリケーションプログラムの実行開始、などであってもよい。
なお、上述した電子機器1(1A)は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した電子機器1(1A)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した電子機器1(1A)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD−ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に電子機器1(1A)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
また、上述した実施形態における電子機器1(1A)が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。