JP6719388B2 - 皮内投与インフルエンザワクチン組成物 - Google Patents

皮内投与インフルエンザワクチン組成物 Download PDF

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Description

本発明は、皮内投与インフルエンザワクチン組成物、及びインフルエンザの予防又は治療に関する。
インフルエンザウイルスは、オルソミクソウイルス科に属する直径約100nmの粒子サイズを有するRNAエンベロープウイルスであり、内部タンパクの抗原性に基づいて、A、B及びC型に分けられる。A型インフルエンザウイルスは、幅広い哺乳類及び鳥類の動物に感染するが、B及びC型は基本的にヒトのみに感染する。インフルエンザウイルスは、脂質二重層構造を有するウイルスエンベロープに取り囲まれた内部ヌクレオキャプシド又は核タンパク質と会合したリボ核酸(RNA)のコアと、外部糖タンパク質からなる。ウイルスエンベロープの内層は、主としてマトリックスタンパク質で構成され、外層は大部分が宿主由来脂質物質で構成される。インフルエンザウイルスのRNAは、分節構造をとる。
季節性に流行するインフルエンザの原因ウイルスとして、最近はA型のH1N1及びH3N2、並びにB型が報告されている。A型は、ウイルス粒子表面に存在する糖タンパク質であるヘムアグルチニン(hemagglutinin: HA)とノイラミニダーゼ(neuraminidase: NA)の抗原性の違いにより、HAには16種類、NAには9種類の亜型が同定されている。B型にもHAとNAが存在するが、亜型に分類するほどの違いはない。同一の亜型内であってもHAとNA上のアミノ酸置換により抗原性が変化するため、インフルエンザウイルスはヒトの免疫機構から逃れ、規模に変動はあるものの毎年世界中で流行する。
インフルエンザは強い伝播力と高い罹患率を伴う疾患であり、呼吸器・循環器・腎臓の慢性疾患患者、糖尿病などの代謝疾患患者、免疫機能が低下している患者、高齢者が罹患すると、原疾患の増悪とともに、呼吸器に二次的細菌感染症を併発しやすくなることが報告されている(非特許文献1)。また、小児が罹患した場合、中耳炎の合併、熱性けいれん、気管支喘息を誘発する頻度が高いこと、及びインフルエンザ脳炎、脳症等の発症リスクが報告されている(非特許文献2)。このため、インフルエンザ流行時には「超過死亡」が認められており、公衆衛生上及び医療経済の観点から、ワクチンをはじめとした予防対策は重要である。
インフルエンザワクチンは弱毒化生ワクチン、不活化全粒子ワクチン、不活化成分ワクチン(不活化スプリットワクチンや不活化サブユニットワクチン等)の3種類に分類される。弱毒化生ワクチンは米国のみで認可されており、日本では不活化スプリットワクチンのみが使用されている。
現在のインフルエンザワクチンは筋肉内投与、皮下投与に大きく偏っており、またインフルエンザワクチンは供給不足となることが多いことから、近年、皮膚上層部を標的部位とする皮内投与が注目されている。皮膚上層部には真皮樹状細胞やランゲルハンス細胞などの免疫担当細胞が多く存在していることから(非特許文献3)、皮内にワクチンを接種することにより、抗原量の削減等が期待されるからである(非特許文献4、5)。
皮内投与の方法として知られるマントー法は、手技が難しく、その成功率は注射を行う接種者の技量によりバラつきが生じうるため(非特許文献6、7)、ワクチン接種としては一般的に用いられない。
そこで、皮内に投与できる皮内投与用デバイスの開発が進められている(非特許文献8、特許文献1、2、3)。最初に開発に成功した皮内投与用デバイスとしてSoluvia(商標)(Becton, Dickinson and Company社製)が知られている。実際、Soluvia(商標)を用いた皮内投与インフルエンザワクチン(Intanza又はIDflu)は欧米をはじめ各国で承認されているが、ワクチン接種後21日目、28日目において筋肉内投与に比べ同等以上の免疫原性を示すことが分かっており(非特許文献9、10)、皮内投与の有用性が確認されている。
その他、多くの皮内投与インフルエンザワクチン(特許文献4、5)が知られているが、承認されているものはない。
しかしながら、インフルエンザワクチンは接種してから実際に予防効果を発揮するまでに約2〜3週間かかることが知られ、抗体価が十分上がる前に感染する可能性があることから、早い抗体価上昇が望まれる。また、Soluvia(商標)はブタを用いた試験では薬剤の90%以上が皮内投与されていることが示されているが(非特許文献11)、ヒト臨床試験において皮膚上層部に投与されたことを示す膨疹の形成率が50%程度であり、かつ液漏れも確認されていることから(非特許文献9)、高い免疫原性及び薬効用量の低減にはより確実な皮内投与インフルエンザワクチンが望まれる。
EP1092444 US8663163 US8622963 WO2002/074336 WO2006/062637
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本発明の課題は、インフルエンザ感染予防において、インフルエンザワクチン抗原を確実にヒト皮膚上層部に送達することにより、従来のインフルエンザワクチンに比べ、早期かつ高いHI抗体価の誘導、すなわちインフルエンザウイルスに対する感染防御を可能とし、かつ受容性の高い皮内投与インフルエンザワクチン製剤を提供することにある。
そこで本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、針管の針先をヒト皮膚上層部に確実にワクチン製剤を投与できるよう設計された皮内投与用デバイスを用いたインフルエンザワクチンの臨床試験において、ワクチン投与後7日、21日で高いHI抗体価(抗体陽転率、GMT、抗体保有率)かつワクチン組成物中に存在するすべての株で皮下投与に対する優越性(抗体陽転率の差、GMTの比)が確認され、従来のインフルエンザワクチンに比べ、早期かつ高い免疫原性を示すことを見出すとともに、皮膚上層部に投与されたことを示す膨疹形成を高確率で確認した。また、本発明者らは前記試験の安全性試験において、皮下製剤と比較して全身性及び局所反応ともに受容性があり、かつ局所反応については重度の副作用発現率が低いことを見出した。
従って、本皮内投与インフルエンザワクチンは、ワクチン接種後約1週間という早期にインフルエンザの発症防御レベルとして十分な抗体価上昇が確認され、かつ従来の皮下製剤と同様に受容性の高いインフルエンザワクチンとして利用できる。本発明はかかる知見により完成されたものである。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)インフルエンザ抗原を有効成分として含有し、針管の突出長が0.9〜1.4mmである皮内投与デバイスにより投与されることを特徴とするインフルエンザワクチン組成物。
(2)前記ワクチン組成物中に存在するすべての株が、以下のEMA基準の少なくとも1つを満たす、(1)に記載の組成物:
1)20歳以上65歳未満の年齢層において、
i) 抗体陽転率(抗体価が「1回目接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「1回目接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」の被験者の割合(%))が40%を超えること;
ii) GMT(geometric mean titer:幾何平均抗体価)変化率(接種後GMTの1回目接種前値からの増加倍率)が2.5を超えること;及び
iii) 抗体保有率(抗体価が1:40以上の被験者の割合(%))が70%を超えること;
2)65歳以上の年齢層において、
i) 抗体陽転率(抗体価が「1回目接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「1回目接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」の被験者の割合(%))が30%を超えること;
ii) GMT変化率(接種後GMTの1回目接種前値からの増加倍率)が2.0を超えること;並びに
iii) 抗体保有率(抗体価が1:40以上の被験者の割合(%))が60%を超えること。
(3)前記ワクチン組成物中に存在するすべての株が、抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群)及びGMT(幾何平均抗体価)の比(皮内接種群/皮下接種群)について以下の少なくとも一つの非劣性基準を満たす、(1)又は(2)に記載の組成物:
1)抗体陽転率の差:抗体陽転率の差の95%CIの下限が-10%を上回る;及び
2)GMTの比: GMTの比の95%CIの下限が2/3を上回る。
(4)前記ワクチン組成物中に存在する株が、抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群)及びGMTの比(皮内接種群/皮下接種群)について以下の優越性基準の少なくとも1つを満たす、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物:
1)抗体陽転率の差:抗体陽転率の差の95% CIの下限が0%を上回る;及び
2)GMTの比:GMTの比の95% CIの下限が1を上回る。
(5)前記各株がワクチン接種後5日〜14日目で少なくとも1つのEMA基準、非劣性基準又は優越性基準を満たす、(2)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)前記各株あたりのHA含有量が3〜15μgのいずれかである、(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)前記ワクチン組成物が少なくともA型株(H1N1)、A型株(H3N2)及びB型株を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)前記ワクチン組成物がアジュバントを含まない、(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)前記デバイスが、以下の1)及び2)の特徴を有する注射針組立体を含むデバイスである、(1)〜 (8)のいずれかに記載の組成物。
1)a)生体に穿刺可能な針先を有する26〜33Gの針管と、
b)前記針管を保持するハブと、
c)前記針管の周囲に設けられ、前記針管の針先が突出する針突出面を有する調整部と、
d)前記針管の周囲を覆うように配置されて前記針管を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する筒形状の安定部と、
e)前記安定部の外周面に設けられ、皮膚と接触する接触面を有し、前記針管を生体に穿刺する場合に前記接触面が皮膚と接触するまで前記安定部を皮膚に押し付けることで前記針管及び前記安定部の生体への押圧力を案内するガイド部と、を備え、
2)前記ガイド部の前記接触面は、前記安定部における皮膚と接触する端面から所定の距離を保って設けられている。
(10) 前記デバイスが以下a)〜d)を備えたことを特徴とする注射針を含むデバイスである、(1)〜(9)のいずれかに記載の組成物。
a)生体に穿刺可能な針先を有する26〜33Gの針管と、
b)前記針管を保持するハブと、
c)前記針管の周囲に設けられ、前記針管の針先が突出する針突出面を有し、前記針管の針先が前記針突出面から突出する長さは、0.5〜3.0mmの範囲で形成されると共に該針突出面の周縁から前記針管の周面までの最短距離が0.3〜1.4mmの範囲となるように形成された調整部と、
d)前記調整部から所定の間隔を開けて前記針管の周囲に設けられ、前記針管を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する端面を有し、前記針管及び前記調整部の周囲を覆う筒形に形成され、その内壁面から前記調整部の外周面までの距離が4〜6mmの範囲となるように設定され、その内径が9〜13mmの範囲となるように設定されている安定部。
(11)ヒト個体の投与部位において90%以上の膨疹の形成率を示す、(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12)前記投与の部位が、上腕の三角筋部である、(1)〜(11)のいずれかに記載の組成物。
本明細書は本願の優先権の基礎となる日本国特許出願番号2014-263457号の開示内容を包含する。
本発明によれば、インフルエンザ感染予防において、インフルエンザワクチン組成物(抗原)を確実にヒト皮膚上層部に送達することにより、早期かつ高いHI抗体価上昇を可能とし、かつ受容性の高い皮内投与インフルエンザワクチン製剤を提供することができる。
注射針組立体を示す模式図である。 注射針組立体を示す斜視図である。 注射針組立体とシリンジを含む薬剤注射装置の針管を皮膚に穿刺した状態を示す図である。 注射針を示す模式図である。 第I/II相試験で用いた皮内投与用デバイスを示す図である。 注射針組立体(図6B)及びそのプロテクター(図6A)を示す図である。
皮膚は、表皮と、真皮と、皮下組織の一部の3部分から構成される。表皮は、皮膚表面から50〜200μm程度の層であり、真皮は、表皮から皮下組織側に続く1.5〜3.5mm程度の層である。現在の組成物の多くが皮下投与若しくは筋肉内投与であり、皮膚の下層部若しくはそれよりも深い部分に投与されている。本発明の組成物は皮内に投与される。
本明細書における「皮内投与」という用語は、皮膚の真皮への組成物の投与を意味するが、組成物は、真皮だけに局在しない場合もある。真皮の層の厚さは、個体間でいくらか差異が見られ、身体の部位によっても異なる。組成物は、最終的に真皮内のみ若しくは主に真皮内に存在するか、又は表皮内に存在する可能性もある。本明細書において「皮内投与」と「皮膚上層部への投与(接種)」は同義である。
皮膚上層部の厚みは、皮膚の表面から真皮層までの深さに相当し、概ね、0.5〜3.0mmの範囲内にある。従って、組成物を皮膚表面下0.5〜3.0mmの位置に投与することができる。
インフルエンザワクチンの投与部位である三角筋の皮膚上層部の厚みは、小児で0.9〜1.6mm、成人では、遠位部で1.4〜2.6mm、中央部で1.4〜2.5mm、近位部で1.5〜2.5mmであり、三角筋における皮膚上層部の厚みは、小児の場合で0.9mm以上、成人の場合で1.4mm以上であることが確認されている(特許文献2、3)。そのため、三角筋の皮膚上層部におけるワクチン投与において、皮膚表面下0.9〜1.4mmの位置に投与することが好ましい。後記の皮内投与デバイスを用いることによりこの位置への投与が可能になる。
本明細書において、「予防」とは病気及び/又は病態を未然に防ぐことをいい、広くは重症化の防止、症状の軽減化や二次予防も含む。本明細書において、「治療」とは当業者には明らかであるが、症状の緩和や改善を含む意味である。
本発明のインフルエンザワクチンとして弱毒化生ワクチン、不活化全粒子ワクチン、不活化成分ワクチンが挙げられる。生ワクチンは弱毒のウイルスを実際に感染させて免疫を獲得させるもので、強力かつ長期的に免疫記憶を持続させられる利点を持つ反面、安全性の問題が残る。不活化ワクチンは、化学的若しくは物理的にウイルスを失活させてから使用するものである。全粒子ワクチンは抗原物質だけでなく様々な微生物由来物質を含む。不活化成分ワクチンは主に防御免疫に必須となる標的抗原を抽出した成分ワクチン(スプリットワクチンやサブユニットワクチンを含む)である。本発明のインフルエンザワクチンは、好ましくは、不活化全粒子ワクチン又は不活化成分ワクチンであり、最も好ましくは不活化スプリットワクチンである。
本発明において使用するための好適な不活化インフルエンザワクチン組成物の製造は、ワクチン株を培地や培地を含む培地基材(細胞等)又は動物で増殖させたものを必要に応じて検査の上プールし、原液を得る。原液は必要な各種試験を行い、更に原液から濃度調整、安定化剤等を添加する。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(i)インフルエンザウイルス株の培養(好ましくは、発育鶏卵を用いた培養);(ii)培養物からのウイルス含有物質の採取(例えば、尿膜腔液);(iii)採取した物質の精製(例えば、濃縮、精製、ウイルス粒子分解等);(iv)前記精製物の不活化処理;(v)濾過等による望ましくない物質の除去;(vi)希釈・混合;(vii)防腐剤・安定化剤等の添加。
なお、上記ステップは記載順に行われるが、必ずしも連続的である必要はない。
本発明のインフルエンザワクチンは少なくとも3種類の異なったインフルエンザ株(通常、2種類のA株と1種類のB株)を含有し、通常三価以上である。本発明のインフルエンザワクチンは2種以上のインフルエンザウイルス株由来のHA抗原を含み、好ましくは、3又は4種類の株、より好ましくは2種類のA型株並びに1又は2種類のB型株を含む。一態様として国立感染症研究所によりワクチン製造用株に選定された3種のインフルエンザウイルス株(H1N1株、H3N2株、B株)を含有し、更に、もう一種類のB型株を含んでいても良い。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は好ましくはヒトのインフルエンザワクチンウイルス感染予防に有用であり、前記有効成分(ウイルス株)に加え、製薬学的に許容される賦形剤、溶剤、安定化剤、緩衝液、分散剤等を含有しうる。
本発明に係るインフルエンザワクチンは、従来のワクチンに対し同等以下のヘマグルチニン(HA)を含有し、かつ早期抗体価上昇及び高い免疫原性を示す。一回のワクチン投与用量においてそれぞれのインフルエンザ株のHA含量を3〜15μgとし、例えば、6〜15μg、具体的には、6、9若しくは15μg(好ましくは、15μg)のインフルエンザ株HAを含有する。本発明に係るインフルエンザワクチンは、アジュバント又は免疫刺激剤(アジュバント等)を含有しうるが、アジュバント等を含まなくとも早期抗体価上昇及び高い免疫原性を示す。本明細書において、アジュバントとは免疫応答を促す補助剤のことであり、抗原とともに生体に投与されたとき、その抗原に対する免疫応答を非特異的に増強させる物質を意味する。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物の1用量の容量は、0.025ml〜2.5ml、より好ましくは0.05ml〜0.5mlである。例えば、0.1ml用量は、従来の皮下注射インフルエンザワクチン用量の容量の約1/5である。皮内に投与することのできる液体の容量は、場合によっては注射の部位によって決定される。三角筋部への注射では、最大0.1mlが好ましい容量であるが、腰部では、例えば約0.2mlを投与することができる。
本明細書において、「膨疹」とは上記組成物又はワクチン(薬剤等)の接種直後において、薬液等の注入に伴い物理的に皮膚に生じる隆起を差す。皮膚上層部にワクチン等の薬剤が投与された場合、膨疹が形成されることが知られている(臨床免疫20:223-227 1988)。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物の投与によりヒト個体の接種部位に膨疹が形成されるが、膨疹の形成率は80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、更に好ましくは95%以上である。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物の投与回数は、通常、1回又は2回接種/年であるが、それに限定されない。2回接種/年の場合、1-4週の間隔で接種することが望ましい。
季節性不活化インフルエンザワクチンの有効性(免疫原性)の評価基準として米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)の季節性不活化インフルエンザワクチン評価ガイダンス(Guidance for Industry:Clinical data needed to support the licensure of seasonal inactivated influenza vaccines. May 2007)に示された評価基準、欧州医薬品庁(European Medicines Agency、以下、EMA)のインフルエンザワクチン評価ガイダンス(Note for guidance on harmonisation of requirements for influenza vaccines.(CPMP/BWP/214/96)、以下、EMA ガイダンス)に示されたEMA評価基準並びに日本の厚生労働省の評価基準(薬食審査発0527第5号平成22年5月27日「感染症予防ワクチンの臨床試験ガイドライン」)が知られている。
現在、日本における季節性不活化インフルエンザワクチンの免疫原性の評価基準としては、前記FDAの季節性不活化インフルエンザワクチン評価ガイダンスに示された評価基準及び前記EMAガイダンスに示されたEMA評価基準が広く用いられており、特にEMA基準を参考にHI抗体価(免疫原性)が評価されることが多い。本発明に係るインフルエンザワクチン組成物の臨床試験においては、EMA評価基準を参考とした基準を用いて評価している。すなわち20歳以上65歳未満の年齢層の評価に18歳以上60歳未満の年齢層、65歳以上の年齢層の評価に61歳以上の年齢層のEMA基準を採用している。なお、日本における季節性インフルエンザワクチンの用法・用量は6か月〜3歳未満、3歳以上〜13歳未満、13歳以上で分類されている。欧州においてはインフルエンザワクチン組成物中に含まれる各株が上記EMA基準3項目のうち少なくとも1項目以上満たせば承認され得る。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は、EMA基準を参考とした基準の一部分又は全部を満たす。EMA評価基準を参考とした基準とは次の通りである。
1)20歳以上65歳未満の年齢層:
i) 抗体陽転率(抗体価が「1回目接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「1回目接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」の被験者の割合(%))が40%を超えること。
ii) GMT(geometric mean titer:幾何平均抗体価)変化率(接種後GMTの1回目接種前値からの増加倍率)が2.5を超えること。
iii) 抗体保有率(抗体価が1:40以上の被験者の割合(%))が70%を超えること。
2)65歳以上の年齢層:
i) 抗体陽転率(抗体価が「1回目接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「1回目接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」の被験者の割合(%))が30%を超えること。
ii) GMT 変化率(接種後GMTの1回目接種前値からの増加倍率)が2.0を超えること。
iii) 抗体保有率(抗体価が1:40以上の被験者の割合(%))が60%を超えること。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は、当該ワクチン組成物の投与(一株あたりHA含有量が6μg〜15μgのいずれかであり、好ましくは9〜15μg、最も好ましくは12〜15μg)により以下の(A)から(E)のいずれかの基準を満たす。
(A)該ワクチン組成物中のすべての株が上記1)又は2)の年齢層において3つのEMA基準のうち少なくとも1つを満たす。
(B)上記(A)の基準を満たし、且つワクチン組成物中のすべての株が上記1)又は2)の年齢層において3つのEMA基準のうち少なくとも2つを満たす。
(C)上記1)又は2)の年齢層において接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)で該ワクチン組成物中のすべての株が上記(A)又は(B)のEMA基準を満たす。
(D)上記 (C)の基準を満たし、且つ上記1)又は2)の年齢層において接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)で少なくとも1種の株が3つのEMA基準を満たす。
(E)上記(C)又は(D)の基準を満たし、且つ上記1)又は2)の年齢層において接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)で少なくとも2種の株(例えば、H1N1株、H3N2株)が3つのEMA基準を満たす。
上記基準のうち、好ましくは(B)を満たし、より好ましくは(C)を満たし、更に好ましくは(D)を満たし、最も好ましくは(E)を満たす。
なお、20歳以上65歳未満の被験者について基準を満たしたときに、高齢者(65歳以上)についての基準を満たさない、又は高齢者(65歳以上)について基準を満たしたときに、0歳以上65歳未満の被験者について基準を満たさないこともありうる。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は当該ワクチン組成物の投与(一株あたりHA含有量が6μg〜15μgのいずれかであり、好ましくは9〜15μg、最も好ましくは12〜15μg)により当該ワクチン中に存在する各株が、0歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、以下の非劣性基準の一部分又は全部を満たす。
1) 抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群):抗体陽転率の差の95%CIの下限が-10%を上回る
2) GMTの比(皮内接種群/皮下接種群):GMTの比の95%CIの下限が2/3を上回る
(CI:confidence interval(信頼区間))
すなわち、本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は、以下の(A)から(E)のいずれかの基準を満たす。
(A) 該ワクチン組成物中のすべての株が、20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において少なくとも一つの非劣性基準を満たす。
(B) 上記(A)の基準を満たし、且つ20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、すべての株が2つの非劣性基準を満たす。
(C) 20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)ですべての株が上記(A)又は(B)の非劣性基準を満たす。
(D) 上記(C)の基準を満たし、且つ20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)でワクチン組成物中のすべての株が3つのEMA基準のうち少なくとも2つを満たす。
(E)上記(C)又は(D)の基準を満たし、且つ20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)でワクチン組成物中の少なくとも1種、より好ましくは少なくとも2種の株(例えば、H1N1株、H3N2株)が3つのEMA基準を満たす。
上記基準のうち、好ましくは(B)を満たし、より好ましくは(C)を満たし、更に好ましくは(D)を満たし、最も好ましくは(E)を満たす。
本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は当該ワクチン組成物の投与(一株あたりHA含有量が6μg〜15μgのいずれかであり、好ましくは6、9、15μg、最も好ましくは15μg)により当該ワクチン中に存在する各株に対して、以下の優越性基準の一部分又は全部を満たす。
1)抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群):抗体陽転率の差の95% CIの下限が0%を上回る。
2)GMTの比(皮内接種群/皮下接種群):GMTの比の95% CIの下限が1を上回る。
すなわち、本発明に係るインフルエンザワクチン組成物は、以下の(A)から(E)のいずれかの基準を満たす。
(A) 該ワクチン組成物中の株が、20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、少なくとも一つ、好ましくは2つの優越性基準を満たす。
(B) 該ワクチン組成物中のすべての株が、20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、少なくとも一つ、好ましくは2つの優越性基準を満たす。
(C) 20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)で該ワクチン組成物中のすべての株が上記(A)又は(B)の優越性基準を満たす。
(D) 上記(C)の基準を満たし、且つ0歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)でワクチン組成物中のすべての株が3つのEMA基準のうち少なくとも2つを満たす。
(E) 上記(D)の基準を満たし、且つ20歳以上65歳未満、又は高齢者(65歳以上)の年齢層において、接種5日後(Day5)〜14日後(Day14)、好ましくはDay7〜Day10(例えば、Day7、Day10)でワクチン組成物中の少なくとも1種、より好ましくは少なくとも2種の株(例えば、H1N1株、H3N2株)が3つのEMA基準を満たす。
上記基準のうち、好ましくは(B)を満たし、より好ましくは(C)を満たし、更に好ましくは(D)を満たし、最も好ましくは(E)を満たす。
本発明に係る皮内投与デバイスは、針管の突出長が0.9〜1.4mmである皮内投与デバイスである。
本発明に係る皮内投与デバイスは、US8663163(特許第5430646号公報)に記載の注射針若しくは薬剤注射装置、又はUS8622963(特許第55366195号公報)に記載の注射針組立体若しくは薬剤注射装置(本明細書に組み入れられるものとする)を含む皮内投与デバイスである。薬剤注射装置は、注射針又は注射針組立体と薬剤を充填し得るシリンジ9を有する。シリンジ9は皮内注射専用シリンジとも呼ぶ。
例えば、以下の1)及び2)の特徴を有する注射針組立体1を含む皮内投与デバイスAである。
1)
a)生体に穿刺可能な可能な針先を有する26〜33Gの針管2と、
b)前記針管2を保持するハブ3と、
c)前記針管2の周囲に設けられ、前記針管2の針先が突出する針突出面4bを有する調整部4と、
d)前記針管2の周囲を覆うように配置されて前記針管2を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する筒形状の安定部6と、
e)前記安定部6の外周面に設けられ、皮膚と接触する接触面7aを有し、前記針管2を生体に穿刺する場合に前記接触面7aが皮膚と接触するまで前記安定部6を皮膚に押し付けることで前記針管2及び前記安定部6の生体への押圧力を案内するガイド部7と、
を備え、
2)前記ガイド部7の前記接触面7aは、前記安定部6における皮膚と接触する端面6cから所定の距離を保って設けられている。
さらに、本発明に係る皮内投与デバイスは、上記1)及び2)の特徴を有する注射針組立体1及び上記a)の針管2に接続されるシリンジ9を含むことを特徴とする薬剤注射装置を含む皮内投与デバイスAである。
前記針管2の針先が前記針突出面4bから突出する長さ(突出長)Lは、0.9〜1.4mmであり、1.0〜1.2mmであることが好ましい。
前記針管2は、30〜33Gであることが好ましい。
前記針管2の先端部には、針先を鋭角にするための刃面2aが形成されており、該刃面2aの針管2が延びる方向の長さをベベル長BLといい、該ベベル長BLは、0.5〜1.4mmであることが好ましい。さらに好ましくは、皮膚上層部の最薄の厚さである0.9mm(小児)以下、すなわち、ベベル長BLが0.5〜0.9mmの範囲である。
針管2の材料は限定されないが、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、その他の金属が挙げられる。
前記針管2は、少なくとも一部がテーパー構造であることが好ましい。
針管2の筒孔は、ハブ3に連通している。ハブ3はシリンジ9に接続することができればどのような形態でもよい。
調整部4は、円柱状に形成されている。針管2は、調整部4を貫通しており、針管2の軸心と調整部4の軸心が一致している。調整部4は、針管2の周面に密着して固定されている。調整部4の一方の端面は、ハブ3に対向するハブ対向面4aとなっており、他方の端面は、針管2の針先が突出する平らな針突出面4bとなっている。調整部4の針突出面4bは、針管2を皮膚上層部に穿刺するときに、皮膚の表面に接触して針管2を穿刺する深さを規定する。つまり、針管2が皮膚内に穿刺される深さは、針管2の針突出面4bから突出する長さ(以下、「突出長L」という。)によって決定される。調整部4は、針管2が貫通した状態で接着剤用凹部に接着剤5を塗布することにより、針管2の周面に密着して固定してもよいが、固定の方法は接着剤に限定されず、溶接等により固定してもよい。調整部4の前記針突出面4bは、該針突出面4bの周縁から前記針管2の周面までの距離Sが0.3〜1.4mmの範囲に設定されることが好ましい。調整部4は、前記針管2とは別体に形成され、前記針管2の周面に密着して固定されることが好ましい。また、調整部4は、前記針管2とは別体に形成され、前記針管2の周面に密着して固定されることが好ましい。
安定部6は、直径の異なる2つの円筒が軸方向に連なった形状を有している。この安定部6の筒孔には、針管2,ハブ3及び調整部4が配置されている。また、安定部6は、ハブ3に固定される固定部6aと、針管2及び調整部4の周囲を覆う接触部6bとを有している。そして、固定部6aの筒孔には、ハブ3が収納されている。また、この固定部6aの軸方向の一側には、接触部6bが連続して設けられている。
安定部6における接触部6bの外周面には、ガイド部7が一体成形されている。ガイド部7は、安定部6の外周面の周方向に沿って連続して設けられている。そして、ガイド部7は、安定部6の外周面から半径方向の外側に向けて略垂直をなして突出するリング状のフランジとして形成されている。このガイド部7は、皮膚と接触する接触面7aを有している。ガイド部7の接触面7aが皮膚に接触するまで安定部6を押し付けることにより、安定部6及び針管2が皮膚を押圧する力を常に所定値以上に確保することができる。前記押圧力は、0.5〜20Nであることが好ましい。安定部6における皮膚と接触する端面6cと前記調整部4の前記針突出面4bは同一平面上に位置することが好ましい。また、安定部6は、前記ハブ3と一体成形されていることが好ましい。
前記安定部6の内径dを12〜14mmに設定した場合、前記ガイド部7の前記接触面と前記安定部6の前記皮膚と接触する端面との距離をy(ガイド部高さ)とし、前記ガイド部7における前記安定部6からの略垂直方向の長さであるガイド部長さをxとすると、y及びxは、
1.0Ln(x)+1.2<y<3.1Ln(x)+3.2
の関係を満たすことが好ましい。
前記安定部6の内径を11mmに設定した場合において、前記ガイド部7の前記接触面7aと前記安定部6の前記皮膚と接触する端面6cとの距離は、前記ガイド部7における前記安定部6からの略垂直方向の長さであるガイド部7長さxが0.5mmのとき、0.75〜2.6mmの範囲に設定されることが好ましい。
前記安定部6の内壁面から前記調整部4の外周面までの距離Tは、4〜15mmの範囲に設定されることが好ましい。
本発明に係る皮内投与デバイスとして、以下a)〜d)を備えたことを特徴とする注射針1’を含む皮内投与デバイスBも挙げられる。
a)生体に穿刺可能な針先を有する26〜33Gの針管2と、
b)前記針管2を保持するハブ3と、
c)前記針管2の周囲に設けられ、前記針管2の針先が突出する針突出面4bを有し、前記針管2の針先が前記針突出面4bから突出する長さは、0.5〜3.0mmの範囲で形成されると共に該針突出面4bの周縁から前記針管2の周面までの最短距離が0.3〜1.4mmの範囲となるように形成された調整部4と、
d)前記調整部4から所定の間隔を開けて前記針管2の周囲に設けられ、前記針管2を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する端面6cを有し、前記針管2及び前記調整部4の周囲を覆う筒形に形成され、その内壁面から前記調整部4の外周面までの距離Tが4〜6mmの範囲となるように設定され、その内径dが9〜13mmの範囲となるように設定されている安定部6とを備える。
さらに、本発明に係る皮内投与デバイスは、上記a)〜d)を備える注射針1’及び上記a)の針管2に接続されるシリンジ9を含むことを特徴とする薬剤注射装置を含む皮内投与デバイスBである。
皮内投与デバイスBにおいて、針管2、ハブ3、調整部4、安定部6は、上記の皮内投与デバイスAと同様である。
シリンジ9は前記の注射針組立体1又は注射針1’に接続される。シリンジ9は注射針組立体1又は注射針1’のハブ3にコネクターを介して接続される。
注射針組立体1若しくは注射針1’並びにシリンジ9を含む皮内投与デバイスである前記デバイスA及びBは、使用するときにワクチンなどの薬剤を充填させるものでもよく、予め薬剤が充填されたプレフィルドシリンジであってもよい。好ましくは、プレフィルドシリンジである。
前記デバイスの一態様としては、図1と図2に示す注射針組立体1、又は図4に示す注射針1’とこれらに接続するシリンジ9からなるデバイスが挙げられる。図3に注射針組立体1にシリンジを接続したデバイスの模式図を示す。当該デバイスにおける注射針組立体1又は注射針1’は、針管2と針基から構成され、皮内注射に適切な穿刺深さとするための機構を設けて、皮膚に穿刺し、皮内注射を行うための滅菌済み注射針組立体又は注射針である。針基は針ハブ(ハブ3)、シリンジ9を接続するための後部コネクター、及び弾性部材から構成される。針ハブ(ハブ3)は、針管2の皮膚への穿刺深さを規定するストッパー部、注射剤の皮内浸透を阻害せずに皮膚への押し当てを安定させるリミッター部、注射針組立体1又は注射針1’を皮膚に押し当てる力の目安となるフランジ部を有する。前記ストッパー部は調整部4ともいい、リミッター部は安定部6ともいい、フランジ部はガイド部7ともいう。注射針組立体1又は注射針1’は後部コネクター11により皮内注射専用シリンジ9と接続する。後部コネクター11の基端部にめすねじ又はおすねじを設け、皮内注射の注射圧により注射針組立体1又は注射針1’と皮内注射専用シリンジ9の接続部から注射剤が漏れることを防ぐ構造とする。また、注射針組立体1又は注射針1’と皮内注射専用シリンジ9とのルアーテーパー嵌合の間隙に生じるデッドスペース低減のための弾性部材を設ける。皮内注射専用シリンジ9は、主として注射等に使用するための注射筒である。皮内注射専用シリンジ9は、皮膚に垂直に押し当てて注射する際に安定するように外筒を握って親指で押し子を押すための形状とし、皮内注射の注射圧により皮内注射針と皮内注射専用シリンジ9接続部から注射剤が漏れることを防ぐため、筒先部の基部におすねじを設ける。
さらに、本発明の皮内投与デバイスは、注射針組立体1又は注射針1’を保持するためのプロテクター12(図6A)を有していてもよい。注射針組立体1又は注射針1’はプロテクター12中に保持されており注射針組立体1又は注射針1’を保持したプロテクター12はトップフィルム13でふたがされ、中の注射針組立体1又は注射針1’は無菌的に保護される。使用時にトップフィルム13を剥がし、注射針組立体1又は注射針1’の後部コネクターに皮内注射専用シリンジ9を接続し、皮内投与デバイスとして用いる。注射針組立体1及び注射針1’は好ましくはディスポーザブルである。
本発明の皮内投与デバイス1は、US8663163(特許第5430646号公報)及びUS8622963(特許第55366195号公報)の記載に基づいて製造することができる。
前記デバイスの他の態様としては、注射針組立体1又は注射針1’とこれに接続するあらかじめ注射剤が充填された皮内注射専用シリンジ9からなるデバイスが挙げられる。
前記デバイスはワクチン等の各種医薬を皮内投与するのに有用である。
皮内投与は、以下のようにして行う。
ワクチン等の各種医薬が充填された皮内注射専用シリンジ9に、注射針組立体1又は注射針1’の後部コネクターを介して、注射針組立体1又は注射針1’を連結する。医薬を投与しようとする皮膚、例えばワクチンの場合三角筋部の皮膚に押し当て、注射する。この操作により、ワクチン等の医薬を皮内に投与することができる。
本発明に係る皮内投与デバイスにより投与される、各種抗原、タンパク質又は医薬有効成分を含有する組成物、該組成物を個体に投与するステップを含む感染症や癌等の各種疾患の治療又は予防方法、該治療又は予防のための各種抗原の使用等も本発明に包含される。
本明細書における臨床試験は健康成人及び高齢者を対象とした第I/II相試験又は第III相試験をいう。
第I/II相試験における主要評価項目は、HI抗体価とし、製造株別(H1N1株、H3N2株、B株)及び群の年齢別(20歳以上65歳未満、65歳以上)に、抗体陽転率(「HI抗体価が接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「HI抗体価が接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」となった被験者の割合)、GMT変化率(GMTの接種前値からの増加倍率)、抗体保有率(HI抗体価が1:40以上の被験者の割合)を解析する。
第III相試験又は製造販売後臨床試験はDay 21での各ウイルス株(H1N1型、H3N2型、及びB型)に対するHI抗体価の抗体陽転率の差及びGMTの比である。評価方法はDay 21での各ウイルス株(H1N1型、H3N2型、及びB型)に対するHI抗体価の抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群)及びGMTの比(皮内接種群/皮下接種群)を免疫原性の主要評価項目として、皮下注射製剤に対するVN-100の非劣性を検証する。非劣性検証のための非劣性基準は、以下のように設定する。
1)抗体陽転率の差:抗体陽転率の差の95%CIの下限が-10%を上回る
2)GMTの比: GMTの比の95%CIの下限が2/3を上回る
また、非劣性が検証された場合には、副次的に以下の優越性の基準を評価する。
1) 抗体陽転率の差:抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群)の95%信頼区間の下限が0%を上回る
2) GMTの比:GMTの比(皮内接種群/皮下接種群)の95%信頼区間の下限が1を上回る
さらに副次評価項目として、Day 7での各ウイルス株(H1N1型、H3N2型、及びB型)に対するHI抗体価の抗体陽転率の差及びGMTの比など主要評価項目と同様の解析を実施する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の技術的範囲をなんら限定するものではない。
〔実施例1:治験薬の製造〕
国立感染症研究所によりワクチン製造用株に選定された3種のインフルエンザウイルス株を、発育鶏卵の尿膜腔内に投与し、培養後に採取した尿膜腔液をウイルス浮遊液とした。ウイルス浮遊液を濃縮(限外ろ過)、精製(ショ糖密度勾配遠心)、ウイルス粒子分解(エーテル処理)などにより精製したものをHA画分浮遊液とした。HA画分浮遊液をホルマリンで不活化したものを不活化HA画分浮遊液とした。不活化HA画分浮遊液の浸透圧を調整(限外ろ過)し、無菌ろ過したものをワクチン原液とする。3種の株に対しそれぞれ作製したワクチン原液を混合し、さらにリン酸塩緩衝塩化ナトリウム液(phosphate buffered saline: PBS)を加えHA抗原量を規定濃度に調整したものを最終バルクとした。最終バルクをガラス製バイアルに分注したものを製剤(0.1ml)とした。治験薬の製造にはA/California/7/2009(X-179A)株、A/Texas/50/2012(X-223)株、及びB/Massachusetts/2/2012(BX-51B)株を用いた。
〔実施例2:健康成人及び高齢者対象 第I/II相試験における免疫原性及び膨疹形成〕
健康成人及び高齢者を対象に、HA含量として1株当たり6、9、又は15μgの本治験薬を1回又は15μgの本治験薬を2回皮内接種し、用法用量を検討した。併せて、HA含量として1株当たり15μgのインフルエンザHAワクチン皮下注射製剤の1回又は2回接種を対照として、免疫原性を比較した。
治験薬の各群では、HA含量として1株当たり6、9、又は15μgの本治験薬0.1 mLを上腕の三角筋部に図5及び6に示す皮内投与デバイス(US8663163(特許第5430646号公報)、US8622963(特許第55366195号公報))を用いて皮内接種(皮内接種群又は本治験薬接種群)した。一方、HAワクチン皮下接種群では、HA含量として1株当たり15μgの皮下注射製剤0.5mLを上腕伸側の皮下に接種した。
1回目接種から事後検査までを治験薬接種期間とし、本治験薬の1回接種群間を二重盲検とした。1回接種群ではDay 0に、2回接種群ではDay 0及びDay 21に接種した。
治験薬は、各群100名(20歳以上65歳未満:50名、65歳以上:50名)、合計600名に接種された。
主要評価項目は、HI抗体価とし、製造株別(H1N1株、H3N2株、B株)及び群の年齢別(20歳以上65歳未満、65歳以上)に、抗体陽転率(「HI抗体価が接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「HI抗体価が接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」となった被験者の割合)、GMT変化率(GMTの接種前値からの増加倍率)、抗体保有率(HI抗体価が1:40以上の被験者の割合)を解析した。
なお、下記免疫原性評価項目は治験薬接種前(Day 0)、Day 10(1回接種群のみ)、Day 21、Day 42(2回接種群のみ)に採血が行われているが、Day10の実際の平均採血日は次の通りである。
本治験薬 6μg接種群(皮内接種群):平均7.1日
本治験薬 9μg接種群(皮内接種群):平均7.1日
本治験薬 15μg接種群(皮内接種群):平均7.1日
皮下15μg接種群: 平均7.1日
本治験薬 6, 9, 15μg接種群(皮内接種群)及び皮下接種群(合計): 平均7.1日
<試験結果>
1)HI抗体価の抗体陽転率
表1及び表2に製造株別(H1N1株、H3N2株、B株)及び群の年齢別(20歳以上65歳未満、65歳以上)のHI抗体価の抗体陽転率を示した。
Figure 0006719388
Figure 0006719388
1回接種群のDay 21の抗体陽転率では、どちらの年齢層でも、本治験薬の6μg及び9μg接種群は皮下接種群と同程度、本治験薬の15μg接種群は皮下接種群より高い傾向が認められた。Day 10の抗体陽転率でも、65歳以上でのH1N1型を除き、同様の傾向であった。
2)HI抗体価のGMT変化率
表3及び表4に製造株別(H1N1株、H3N2株、B株)及び群の年齢別(20歳以上65歳未満、65歳以上)のHI抗体価のGMT変化率を示した。
Figure 0006719388
Figure 0006719388
1回接種群のDay 21のGMT変化率では、どちらの年齢層でも、本治験薬の6μg及び9μg接種群は皮下接種群と同程度、本治験薬の15μg接種群は皮下接種群より高い傾向が認められた。Day 10のGMT変化率でも、同様の傾向であった。
また、GMT推移は、1回接種群ではいずれの用量、いずれの型に対しても、Day 21がDay 10より上昇していたが、Day 10での本治験薬の15μg接種群は皮下接種群よりも大きな値を示しており、皮内接種での早期抗体価上昇が確認された。なお、2回接種群ではどちらの群も、Day 21とDay 42のGMTは同程度に推移した。
3)HI抗体価の抗体保有率
表5及び表6に製造株別(H1N1株、H3N2株、B株)及び群の年齢別(20歳以上65歳未満、65歳以上)のHI抗体価の抗体保有率を示した。
Figure 0006719388
Figure 0006719388
1回接種群のDay 21の抗体保有率では、A型(H1N1型及びH3N2型)はどちらの年齢層、いずれの接種群も同程度に高かった。B型は20歳以上65歳未満の年齢層ではいずれの接種群も同程度であったが、65歳以上では本治験薬接種群(皮内接種群)は皮下接種群より高かった。
4)年齢別(20歳以上65歳未満、65歳以上)の免疫原性
表1〜6に示すように、いずれの接種群も、20歳以上65歳未満より65歳以上の年齢層で免疫原性が低かったが、どちらの年齢層でも本治験薬の15μg接種群は皮下接種群より高い傾向が認められており、本治験薬接種群(皮内接種群)と皮下接種群との比較の観点では年齢層による違いはなかった。
5)HI抗体価の適合結果(EMA評価基準)
A型(H1N1型、H3N2型)では、どちらの年齢層でもすべての群でDay10, Day21で3項目すべてが適合した。
B型では、20歳以上65歳未満の集団におけるDay21では、すべての群で抗体陽転率及びGMT変化率が基準に適合し、抗体保有率は本治験薬の6μg接種群は基準に適合し、1回接種群での本治験薬の9μg及び15μg接種群で、EMA評価基準の70%をわずかに下回った。65歳以上の集団ではEMA3基準すべてが適合した。一方、Day10では、20歳以上65歳未満の集団において本治験薬の少なくとも15μg接種群で抗体陽転率及びGMT変化率が基準に適合し、65歳以上の集団ではすべての群で抗体陽転率及びGMT変化率が基準を満たしたのに対し、皮下接種群は3項目のいずれも適合しなかった。
なお、2回接種群では本治験薬(15μg)接種群及び皮下接種群ともに、Day 21、Day 42両方でEMA評価基準すべて適合した。
6)膨疹の形成
治験責任医師又は治験分担医師により接種直後の薬液注入に伴い物理的に皮膚に生じる隆起(膨疹)の有無が確認された。その結果、本治験薬接種部位の膨疹の形成率は97.2%(483/497)であり、高確率に皮膚上層部へ接種されたことが確認された。
〔実施例3:健康成人及び高齢者対象 第I/II相試験における免疫原性〕
実施例2と同様に、健康成人及び高齢者を対象に、HA含量として1株当たり6、9、又は15μgの本治験薬を1回又は15μgの本治験薬を2回皮内接種し、用法用量を検討した。併せて、HA含量として1株当たり15μgのインフルエンザHAワクチン皮下注射製剤の1回又は2回接種を対照として、安全性を比較した。
治験薬接種後〜最終接種21日後(事後検査)までに発現した有害事象(有害事象、臨床検査値、体温)を収集した。なお、注射部位やその周辺に現れる有害事象を注射部位有害事象、注射部位有害事象以外の有害事象を全身性有害事象とした。注射部位有害事象のうち注射部位発赤、注射部位腫脹、注射部位硬結、注射部位斑状出血、注射部位疼痛、注射部位熱感、注射部位そう痒感、及び全身性有害事象のうち発熱、悪寒、倦怠感、頭痛、発疹を特定有害事象とした。
<試験結果>
有害事象は600名中531名(本治験薬6μg接種群: 94%[94/100]、本治験薬9μg接種群: 96%[96/100]、本治験薬 15μg 1回接種群: 93%[93/100]、本治験薬 15μg 2回接種群: 96%[96/100]、皮下1回接種群: 72%[72/100]、皮下2回接種群: 80%[80/100])に発現した。注射部位有害事象は本治験薬接種群で高頻度に発現したが、重度の注射部位の発現率は、本治験薬接種群で皮下接種群より低く、いずれも無処置にて22日間以内に回復した。全身性有害事象は本治験薬接種群と皮下接種群とで発現率に大きな違いはなかった。
以上より、治験薬接種期間での安全性では、本治験薬接種群の各用量間で有害事象の発現頻度に大きな違いはなく、インフルエンザHAワクチン皮下注射製剤と比べ、大きな問題は認められなかった。特に、局所反応については重度の副作用発現率が低いことが分かった。
1 注射針組立体
1’ 注射針
2 針管
2a 刃面
3 ハブ
4 調整部(ストッパー部)
4a ハブ対向面
4b 針突出面
5 接着剤
6 安定部(リミッター部)
6a 固定部
6b 接触部
6c 端面
7 ガイド部(フランジ部)
7a 接触面
9 シリンジ
10 皮内投与デバイス
11 後部コネクター
12 プロテクター
13 トップフィルム
BL ベベル長
L 突出長
S 針突出面の周縁から針管の周面までの距離
T 安定部の内壁面から調整部の外周面までの距離
x ガイド部長さ
y ガイド部高さ
d 内径
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願はそのまま引用により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (11)

  1. A型インフルエンザウイルス株由来のHA抗原を有効成分として含有し、針管の突出長が0.9〜1.4mmである皮内投与デバイスにより20歳以上65歳未満の年齢層の被験者に投与され
    前記ワクチン組成物中に存在するすべての株が、以下のEMA基準の少なくとも1つを満たす:
    1)前記20歳以上65歳未満の年齢層において、
    i) 抗体陽転率(抗体価が「1回目接種前に1:10未満かつ接種後に1:40以上」又は「1回目接種前に1:10以上かつ変化率が4倍以上」の被験者の割合(%))が40%を超えること;
    ii) GMT(geometric mean titer:幾何平均抗体価)変化率(接種後GMTの1回目接種前値からの増加倍率)が2.5を超えること;及び
    iii) 抗体保有率(抗体価が1:40以上の被験者の割合(%))が70%を超えること
    ことを特徴とするA型インフルエンザワクチン組成物。
  2. 前記ワクチン組成物中に存在するすべての株が、抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群)及びGMT(幾何平均抗体価)の比(皮内接種群/皮下接種群)について以下の非劣性基準の少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の組成物:
    1)抗体陽転率の差:抗体陽転率の差の95%CIの下限が-10%を上回る;及び
    2)GMTの比:GMTの比の95%CIの下限が2/3を上回る。
  3. 前記ワクチン組成物中に存在する株が、抗体陽転率の差(皮内接種群−皮下接種群)及びGMTの比(皮内接種群/皮下接種群)について以下の優越性基準の少なくとも1つを満たす、請求項1又は2に記載の組成物:
    1)抗体陽転率の差:抗体陽転率の差の95% CIの下限が0%を上回る;及び
    2)GMTの比:GMTの比の95% CIの下限が1を上回る。
  4. 前記各株がワクチン接種後5日〜14日目で少なくとも1つのEMA基準、非劣性基準又は優越性基準を満たす、請求項のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記各株あたりのHA含有量が6〜15μgのいずれかである、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記A型インフルエンザウイルス株がA型株(H1N1)またはA型株(H3N2)である、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記ワクチン組成物がアジュバントを含まない請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記デバイスが、以下の1)及び2)の特徴を有する注射針組立体を含むデバイスである、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
    1)
    a)生体に穿刺可能な針先を有する26〜33Gの針管と、
    b)前記針管を保持するハブと、
    c)前記針管の周囲に設けられ、前記針管の針先が突出する針突出面を有する調整部と、
    d)前記針管の周囲を覆うように配置されて前記針管を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する筒形状の安定部と、
    e)前記安定部の外周面に設けられ、皮膚と接触する接触面を有し、前記針管を生体に穿刺する場合に前記接触面が皮膚と接触するまで前記安定部を皮膚に押し付けることで前記針管及び前記安定部の生体への押圧力を案内するガイド部と、を備え、
    2)前記ガイド部の前記接触面は、前記安定部における皮膚と接触する端面から所定の距離を保って設けられている。
  9. 前記デバイスが以下a)〜d)を備えたことを特徴とする注射針を含むデバイスである、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
    a)生体に穿刺可能な針先を有する26〜33Gの針管と、
    b)前記針管を保持するハブと、
    c)前記針管の周囲に設けられ、前記針管の針先が突出する針突出面を有し、前記針管の針先が前記針突出面から突出する長さは、0.5〜3.0mmの範囲で形成されると共に該針突出面の周縁から前記針管の周面までの最短距離が0.3〜1.4mmの範囲となるように形成された調整部と、
    d)前記調整部から所定の間隔を開けて前記針管の周囲に設けられ、前記針管を生体に穿刺する場合に皮膚と接触する端面を有し、前記針管及び前記調整部の周囲を覆う筒形に形成され、その内壁面から前記調整部の外周面までの距離が4〜6mmの範囲となるように設定され、その内径が9〜13mmの範囲となるように設定されている安定部。
  10. ヒト個体の皮膚上層部において90%以上の膨疹の形成率を示す、請求項1〜のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 前記投与の部位が、上腕の三角筋部である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
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