以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
[一実施形態]
本発明の一実施形態の医療支援システムは、例えば病院等の医療施設において利用されている既存のネットワークと、一般に普及している通常形態の画像取得用機器(例えばデジタルカメラ等の撮像装置又はスマートフォン等の情報端末装置等)とを用いて医療関連情報のデータ共有を実現して、医療業務を支援するためのネットワークシステムの一例である。
具体的には、本実施形態の医療支援システムは、従来のネットワークシステムにおいて実現している機能(「医療画像機器」(*1)を用いて取得された「医療用画像」(*3)等の画像データを含む患者情報等の医療関連情報のデータ共有機能)に加えて、「一般画像機器」(*2)を用いて取得された特定の用途(医療用)に供する情報としての画像、即ち「医療用画像」,「医療用参照画像」(*4)等の画像データを含む患者情報等の医療関連情報のデータ共有を実現して、医療業務を支援するネットワークシステムである。
(*1「医療画像機器」)
ここで、「医療画像機器」とは、特定分野(ここでは医療分野)の現場で使用されることに特化して構成される画像取得用機器であって、例えば、X線撮影装置(CT撮影装置,血管造影撮影装置を含む),MRI装置,超音波断層撮影装置,内視鏡装置,サーモグラフィー装置,顕微鏡撮影装置等の機器が相当する。
これらの医療画像機器は、主に医療分野の施設(例えば病院等)に設置され、医療関係の有資格者(例えば医師,看護師,各種専門技師等のいわゆる医療スタッフを指すものとする。以下、医療従事者という)のみが使用することによって「医療用画像」(後述)を取得するための機器である。
これらの医療画像機器は、医師を含む医療従事者以外の人物が使用することを想定していない。したがって、これらの医療画像機器によって取得される画像は、全て「医療用画像」(後述))として承認されるものである。
(*2「一般画像機器」)
「一般画像機器」とは、従来の「医療画像機器」以外の画像取得用機器であって、かつ一般に普及している通常形態の画像取得用機器(例えばデジタルカメラ等の撮像装置又はスマートフォン等の撮像機能付き情報端末装置等)を主に想定している。
この場合において、当該「一般画像機器」は、
(1)医療施設に常備され、その医療施設に所属する医療従事者が使用する場合と、
(2)医療従事者以外の人物(例えば患者の家族や近親者等の介護者若しくは患者本人等;以下、これらを非医療従事者というものとする)が所有し、その所有者若しくは近親者等の非医療従事者が使用する場合と、
を想定している。
したがって、「一般画像機器」によって取得される画像としては、「医療用画像」(後述)と、「医療用参照画像」(後述)とがある。
(*3「医療用画像」)
「医療用画像」とは、医療従事者としての医師によって発行された「医療オーダー情報」(*5)に従って、医師を含む医療従事者が、所定の医療画像機器を使用して取得された画像情報をいう。この医療用画像は、本実施形態の医療支援システムにおいて取り扱われる患者情報の一部として承認され得る画像情報である。その画像情報には、例えば患部,症状などを画像として表す画像データと、当該画像データに付随する「付随情報」(*7)を含んで形成されているものである。
この医療用画像が取得される際の状況としては、具体的には、次のような状況が考えられる。例えば、
(1)医療従事者としての医師が、自身の診療方針(「医療オーダー情報」(後述)に対応する情報)に基づいて、自身で所定の医療画像機器を使用して画像を取得する場合(例:内視鏡画像,超音波断層画像等)、
(2)医療従事者としての医師が、他の医師の医療オーダー情報(後述)に従って所定の医療画像機器を使用して画像を取得する場合(例:内視鏡画像,超音波断層画像等)、
(3)医師以外の医療従事者(主に専門技師等)が、医療従事者としての医師の医療オーダー情報(後述)に従って所定の医療画像機器を使用して画像を取得する場合(例:X線画像等)、
等がある。
(*4「医療用参照画像」)
「医療用参照画像」とは、医師及び専門技師以外の医療従事者であって医療画像機器を取り扱うための特定資格を有していない一般の医療スタッフ(例えば看護師,介護福祉士等;以下、一般医療スタッフという)や非医療従事者が、医師から受けた「医療オーダー情報」(後述)又は「一般オーダー情報」(*6)に従って、「一般画像機器」を使用して取得された画像情報をいう。
この医療用参照画像は、本実施形態の医療支援システムにおいて取り扱われる患者情報として認められ得る程度の信頼性を備えた参照用の画像情報である。この医療用参照画像は、医師が診断等の医療行為を行う際に、医療用画像を含む正規の患者情報と共に参照される情報となる。
この医療用参照画像は、上述したように、一般医療スタッフや非医療従事者によって取得された画像であることから、正式な患者情報としての「医療用画像」としては承認され得ないものである。しかしながら、この医療用参照画像は、医師が診療等の医療行為の際に参考とする情報としては充分な信頼性を備えているものと認定し得る画像情報である。その画像情報には、医療用画像と同様に、例えば患部,症状などを画像として表す画像データと、当該画像データに付随する付随情報(後述)を含んで形成される。
(*5「医療オーダー情報」)
「医療オーダー情報」とは、例えば、以下に示すようなものである。即ち、通常の場合、医師は、治療,診療,検査等の対象とする患者(以下、対象患者という)に対し診察を行った後には、院内端末装置(例えば病院の診察室(医療施設)等に設置されたPC等の端末装置)を用いて、病院内ネットワークを介して、当該病院等の医療施設に設置されているファイルサーバーにアクセスし、当該ファイルサーバーに蓄積されている電子カルテデータベースの中から、対象患者の電子カルテファイルを読み出し、この電子カルテファイルに対して本日の診察記録等を行う。その際に、当該医師は合わせて、次の検査等の一つ又は複数の指示を出すことがある。
そのために、医師は、当該院内端末装置を用いて所定のオーダー情報指示用メニュー画面を開き、このオーダー情報指示用メニュー画面から所望する検査等に対応する各種の指示情報を作成する。この場合において、特定の対象患者に対する特定の検査等に応じた複数の医療行為としての具体的な作業指示を含む指示情報群を「医療オーダー情報」というものとする。
この医療オーダー情報は、例えば、複数の撮影種別(例えばX線撮影,CT,MRI,内視鏡検査,超音波検査,一般撮影など)の中から所望の撮影項目を選択したり、所望の撮影部位(例えば、胸部,腹部,頭部,肘関節等)を対象患者に応じて選択するほか、例えば、左膝の正面と側面等といった具体的な撮影に関する指示を行う。さらに、必要に応じて細かな指示がある場合には、例えばコメント欄等に詳細指示を記載する。
ここで、医療オーダー情報の詳細な指示の一例としては、次のようなものがある。
例えば、所定の対象患者についての「患部の傷口の経過を観察する画像を撮影する医療オーダー情報」とする場合、その詳細な指示は、
(1)マクロモード(撮影倍率1:2)で撮影する、
(2)肌の色を判断したいので、所定の色票(カラーチャート)を入れて撮影する、
などがある。
また、静止画像の撮影を行う指示のみではなく、例えば動画像の撮影を行う指示や、音声を含む静止画像又は動画像の撮影を行う指示等を行うことも考えられる。
このようして作成された医療オーダー情報は、対象患者の患者情報(患者ID等)に関連付けされた上で、検査を取り扱う対応部署に設置され、当該部署に所属する医療従事者等が使用する端末装置へ転送される。
ここで、医療現場における医療オーダー情報は、「いつ」「どこで」「誰が」「誰に対して」「どの様な装置で」「どの様な検査を」行うのか等の各種情報を含んで形成されるのが普通である。
上記「いつ」については、例えば年月日及び時間等の日時情報が相当する。
上記「どこで」については、院内若しくは関連医療施設等、行われる検査に対応する装置や機器が設置されている場所情報が相当する。
上記「誰が」については、院内における診療部門や検査担当者などが相当する。
上記「誰に対して」については、電子カルテに書かれているような対象患者に関する各種の情報、例えば生年月日,性別,血液型等の対象患者の患者基本属性情報や患者ID等である。こうした情報は、院内システム若しくは医師等から発行されるものであるが、個人情報の取り扱い等を留意すると、全ての情報を医療オーダー情報に含める必要はなく、必要最小限の項目の情報だけでもよい。
「どの様な装置で」については、X線撮影装置,CT,MRI,内視鏡,撮像装置(カメラ),情報端末装置(スマートフォン等)等が相当する。
「どの様な検査を」については、対象患者の部位(例えば胸部,脚部等)に対して、どの程度の範囲で、何枚の画像を取得するか等の情報である。さらに具体的には、例えば、撮像装置や情報端末装置等を用いて所定患部に対する外観の一般撮影を行う場合を例示すると、画像撮影時の構図,患部までの距離,焦点距離(画角),撮影倍率,露出,ピント,絞り,シャッター速度,補助光の有無等の各種の撮影パラメータや、画質(解像度)設定,画像サイズ設定,ファイルフォーマット設定(圧縮画像,非圧縮画像等),撮影枚数の設定などが相当する。なお、これらの情報は、「どのような装置で」の項目情報に含めるようにしてもよい。
このように医療オーダー情報には様々な情報が含まれるが、医療オーダー情報を一覧としてまとめたオーダリングリスト等に従って、検査や処置を実施できるように、表示等を出しながら撮影を促し、当該オーダリングリストに従って、順次撮影していくといった撮影手順等を含めてもよい。この場合、撮り忘れや効率性の点でメリットがある。
なお、上記患者基本属性情報は、「管理用付帯情報」,「診療用付帯情報」,「診療管理情報」等と呼ぶこともできる。
例えば、同じ対象患者であっても、病気や怪我等の症状毎に異なる(スタディが異なる)場合があり、その都度、異なる状況の検査(撮影を含む対応)が必要になる場合がある。したがって、これらを、その都度、区別できるようにすることが必要になる。例えば、年度毎に健診を行うといった場合には、各年度毎に異なるスタディ情報として取り扱うことが考えられる。
以下に説明する実施形態においては、上記説明したような情報を一括して医療オーダー情報として説明しているが、その全ての情報が各状況単位毎に毎度毎度必須の項目となるわけではなく、対応する状況に応じて必要となる一部の情報のみを、適宜採用すればよい。
このように、医療行為的な一つ又は複数の指示をまとめた情報群を医療オーダー情報というものとする。そして、この医療オーダー情報は、医師により作成されるものである一方、この医療オーダー情報を受けて、この医療オーダー情報に含まれる指示を実行するのは医師を含む医療従事者のみである。
簡略に言うと、医療オーダー情報は、医療従事者としての医師が作成し、当該医師から他の医師を含む医療従事者(主に専門技師等)へ宛てて出される一つ又は複数の医療行為としての具体的な作業指示を含む指示情報群である。
(*6「一般オーダー情報」)
「一般オーダー情報」とは、医療従事者としての医師が、特定の用途に供するために作成する情報群(具体的には医療行為的な一つ又は複数の指示をまとめて作成する情報群)のうち主に非医療従事者へ宛てて出される情報群である。一般オーダー情報は、上記医療オーダー情報に準拠する内容を持つ特定用途情報群であって、宛先が異なるものである。
一般オーダー情報は、医師が作成する情報群であり、その情報の内容は、上記医療オーダー情報と何ら異なるものではない場合もある。例えば、医師が出すオーダー情報には、特殊機材を用いることなく、特殊技能や専門知識がなくても、実行し得る指示もある。具体的には、例えば、一般的が外観写真を撮るといった指示などは、一般の非医療従事者であっても、比較的容易に実行し得ることである。
このような指示を含む情報群を、一般の非医療従事者に宛てて、医師が出す情報を、一般オーダー情報というものとしている。
一般に、上記医療オーダー情報は、一般の非医療従事者が受けたとしても、実行することが不可能な内容(機材面や専門知識、資格的な面において)が多い場合がほとんどである。その一方で、一般オーダー情報は、宛先対象として、はじめから一般の非医療従事者を想定しているので、限定的な指示内容のものになる。
したがって、例えば、一般オーダー情報を受信して実行する人物が、一般の非医療従事者ではなく、例えば医師若しくは専門技師等の医療従事者であっても構わない。このように、医師等の医療従事者が一般オーダー情報を受けて実行する場合には、その一般オーダー情報は、医療オーダー情報と呼んでも差し支えない。そして、この場合に取得される情報(例えば画像)は医療用情報(画像)として扱うこともできる。
簡略に言えば、一般オーダー情報と医療オーダー情報との違いは、想定する主な受け手が異なる点にある。想定する受け手が異なるということは、その情報内容についても、受け手に応じて異なるものであるのは当然である。
(*7「付随情報」)
上記「付随情報」とは、各種の画像データに付随する付随情報である。この付随情報は、対応する画像データファイル内の所定の領域に一体に記録される。本発明で取り扱われる医療用画像若しくは医療用参照画像の画像データにおける付随情報は、例えば対応する画像データに関する基本情報(例えば撮影時の機器設定情報,画像フォーマット情報等)のほか、対応する画像データの個別情報(患者情報,対象とする症例,患部に応じて予め設定されている撮影条件情報等)を含むように構成される。なお、付随情報は、対応する画像データファイルに関連付けた別ファイルとして記録するような形態であってもよい。
本実施形態の医療支援システムにおける情報端末装置の医療施設外での使用例としては、遠隔医療や訪問医療あるいは在宅医療を想定することができる。その場合、例えば症状などを記録するために、在宅患者の患部等を撮影し、画像データを取得するといった行為を医療行為のひとつとして行うことが考えられる。
例えば、自宅等の医療施設以外の場所に患者が存在する在宅医療の場合には、必要な医療機器を十分に揃えることができない状況であることが多い。それは、医療機器の多くは、医療施設等に固定して利用される形態の非可搬性の大型装置であるからである。また、可搬性を有する小型の医療機器であっても、医療機器は用途が限定された専用機器であることが多いため、医師や医療スタッフが、常に多種類の医療機器を持ち運ぶことは容易ではない。
したがって、在宅医療を支援するためには、例えば、一般的に普及しているコンシューマ製品(例えばデジタルカメラ等の撮像装置や撮像機能付きスマートフォン等を含む各種の情報端末装置等)を利用ことが考慮される。なぜならば、この種の一般的な撮像機能付き情報端末装置は、近年、患者やその家族等が普通に所有しており、常に携帯しているものであるからである。
そのために、これらの情報端末装置を用いて医療行為に準じた患者の画像を取得しようというときには、上記医療オーダー情報に含まれる情報を利用することができれば、撮影者が非医療従事者であったとしても、取得された画像の信頼性を担保することができるようにもなる。
また、病院等の医療施設において、これらの一般的な撮像機能付き情報端末装置を備えておけば、医師や看護師等の医療従事者が患者宅への訪問時(往診時等)に、これを持ち出して使用することもできる。この場合には、当該情報端末装置を操作するのは医療従事者であるので、取得される画像の信頼性は充分に確保できる。
このような状況を想定した本発明の一実施形態の医療支援システムについての概念を、図1を用いて以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態の医療支援システムの概要構成を示す概念図である。
本実施形態の医療支援システム1は、図1に示すように、複数の情報端末装置10,20と、ファイルサーバー30と、これらを相互に接続するために設けられるネットワーク40等によって主に構成されている。
この場合において、複数の情報端末装置10,20は、それぞれが相互に直接通信が可能であると共に、それぞれがネットワーク40を経由してファイルサーバー30との間でデータ通信を行うことができるように構成されている。
複数の情報端末装置10,20同士の直接通信手段としては、例えば、既存の近距離無線通信手段(Bluetooth:ブルートゥース(登録商標))若しくは有線通信手段(ケーブル接続による相互通信)等が適用される。
また、複数の情報端末装置10,20とファイルサーバー30との間の通信を行うためのネットワーク40は、例えば、インターネット等の既存の一般的なネットワークや、専用回線を用いた専用ネットワーク等を適用することができる。
また、ファイルサーバー30は、例えば既存の病院情報システム(HIS;Hospital Information System)等に含まれるファイルサーバー等に相当するものである。つまり、このファイルサーバー30は、例えば病院等の医療施設に設置され、患者情報等をはじめとした各種の医療情報を蓄積したデータ蓄積装置である。ファイルサーバー30は、病院内の院内ネットワーク及びインターネット等の外部ネットワークを含むネットワーク40に接続されている。
複数の情報端末装置10,20は、それぞれが画像情報を取得することができる撮像機能を備えていると共に、各情報端末装置同士の直接通信機能のほか、ネットワーク40を介した通信機能を具備し、小型でかつ携帯可能に構成される電子機器である。
複数の情報端末装置10,20の具体的な形態としては、例えば通信機能付きの撮像装置(例えばデジタルカメラ等)や、撮像機能付きの通信装置(例えばスマートフォン,タブレット型PC等)を想定している。
図1に示す例では、複数の情報端末装置10,20のうち、符号10で示す情報端末装置を、符号110で示す人物(例えば医療従事者としての医師;以下、医師110というものとする)が使用する情報端末装置としている。以下の説明において、これを第1の情報端末装置であり第1端末10と表記するものとする。また、図1において、第1端末10は、例えばタブレット型PCの形態として図示している。
一方、複数の情報端末装置10,20のうち、符号20で示す情報端末装置を、符号120で示す人物(例えば患者家族等の非医療従事者である人物、患者をケアする人、もちろん、医療従事者であってもよい;以下、わかりやすく患者家族等120というものとする)が使用する情報端末装置としている。以下の説明において、これを第2の情報端末装置であり第2端末20と表記するものとする。また、図1において、第2端末20は、例えば一般的な撮像装置であるデジタルカメラの形態として図示している。
ここで、複数の情報端末装置10,20は、タブレット型PC形態であっても、カメラ形態であっても、また、他の形態、例えばスマートフォン形態であってもよく、いずれの形態であっても、基本的には同様の機能を有しているものとする。
つまり、本実施形態の医療支援システム1に適用し得る情報端末装置(10,20)は、少なくとも撮像機能及び通信機能を備えているものであれば、装置の形態に限られることなく同様に適用することができるものである。したがって、図1に図示される各情報端末装置10,20の形態は、単なる一つの例示である。
なお、図1において、符号130は、診療対象とする人物である患者を示すものとする。また、図1において、符号100は、医師110が存在している場所としての病院等の医療施設を示すものとする。そして、符号200は、患者家族等120及び患者130が存在している場所としての自宅を示すものとする。
ここで、図1において、符号300で示す波線は、医療施設100と自宅200とが隔たった場所に存在していることを表しているものとする。
このように構成される本実施形態の医療支援システム1の作用の概略は、次に示すようなものである。
まず、例えば自宅200等において、通常生活を行っている患者130と、患者家族等120がいるとする。この患者130は、医療施設100に在籍する医師110を掛かり付け医としているものとする。したがって、医療施設100に設置されたファイルサーバー30には、当該患者130に関する患者情報等が蓄積されているものとする。そして、患者130の自宅200は、医療施設100からは遠隔地にあるものとしている。
このような状況下において、例えば、患者家族等120が患者130の何らかの異変に気が附いたとする。そこで、患者家族等120は、自身が所有する手持ちの一般カメラである第2端末20を用いて、患者130の異変部(例えば患部等)の画像を撮影し、医師110に対して医療用参照画像として提供することができれば至便である。
しかしながら、当該第2端末20は、個人所有の一般機器であり、当然のことながら医療画像機器としての認定を受けているものではない。したがって、このような一般機器を用いて取得された画像は、通常の場合は、医療用参照画像として認定されることはない。
そこで、本発明の医療支援システム1では、このような一般機器(第2端末20)を用いて取得した画像を医療用参照画像として、医師110が承認し得るように構成している。
そのための手続きとして、患者家族等120は、次のような手続きを行う。即ち、上述したような状況下において、患者家族等120は、自身の所有する第2端末20を用いて撮影した患者130の画像を医療用参照画像として提供したいので、オーダーを出してもらえれば対応する旨のリクエスト情報を、医師110に対して発信する。この「リクエスト情報」と書いた部分は、「医師への相談情報」、あるいは「医師へのお伺い情報」という書き方も可能だが、本願の趣旨からすると、医師のオーダーをリクエストする形なので、内容は「オーダーリクエスト情報」ということになるが、簡単化してこう表現した。
このリクエスト情報は、例えば患者130の診療に関する相談事項や近況情報等を含む情報である。リクエスト情報は、患者家族等120が第2端末20を用いて、必要に応じて医師110の第1端末10に対して所望のリクエスト情報を発信することができる。これは、身近にいる人が、患者を前にして、何か変化を感じることがあるからで、そうした場合に、いつでも、医師のところまで患者を連れて行って診察してもらうような事ができるとは限らず、また、患者も自覚症状がない場合には、こうした診察を拒否する場合があり得るからである。
このときの状況では、患者130の異変の通知や、患者130の画像を送信するかどうかの相談などが、具体的に考えられる。医師は、その異変に何らかの具体的追加情報を依頼することが考えられ、その不足情報、追加情報を上記家族等120に、依頼する場合がある。「依頼する」という意味で、これを以下、「オーダー情報」として説明する。
第2端末20と第1端末10との通信は、ここで説明している状況下では、両者が互いに隔たった環境下にあるものとしているので、図1に示すように、ネットワーク40を経由して行われる。なお、図示していない状況であるが、第2端末20と第1端末10とが近距離にあって直接通信することができる状況であれば、無線通信又は有線通信による直接通信をしてもよい。
なお、第2端末20を用いて、第1端末10に向けてリクエスト情報を発信するのに際しては、例えば次のような操作が行われる。
まず、患者家族等120は、医師に対して送信すべき所望の情報を含むリクエスト情報を作成することになる。このリクエスト情報の作成は、基本的には第2端末20で行われる。第2端末20が、スマートフォンやタブレット端末等その他、多くの情報端末には、所定の入力操作を受け付けて任意の情報を含むデータファイルを作成することのできる機能があるので、それを利用すればよい。
一方、第2端末20が、一般的なデジタルカメラ等であれば、通常の場合、任意の情報データを作成する情報入力部材等は備えていない。そこで、このような場合には、例えば患者家族120等が別に所有するスマートフォンやタブレットPC等を活用して、リクエスト情報を作成し、作成されたリクエスト情報を第2端末20として利用するデジタルカメラ等に転送し、このデジタルカメラの通信機能を用いて、当該リクエスト情報を第1端末10に向けて送信するといった操作を行えばよい。
また、これとは別に、第2端末20としてのデジタルカメラに対応するアプリケーションソフトウエア、例えば医療用参照画像を取り扱うためのアプリケーションソフトウエアである「医療用参照画像取得アプリ」を用意し、これを使用するという手段も考えられる。
この場合、第2端末20としてのデジタルカメラに対して予め所定の「医療用参照画像取得アプリ」をインストールしておく。このアプリケーションソフトウエアは、例えばリクエスト情報作成モード、リクエスト情報送信モード、一般オーダー情報受信モード,医療用参照画像撮影モード、医療用参照画像転送モード等の特定の用途に特化した動作モードで、デジタルカメラを動作させることができるプログラムソフトウエアである。したがって、これにより、第2端末20としてのデジタルカメラのみを用いても、リクエスト情報を作成することが可能になる。
この場合においては、例えば、第2端末20としてのデジタルカメラを、リクエスト情報作成モードで動作させる。このリクエスト情報作成モードでは、例えば、アプリケーションに含まれるリクエスト情報一覧表(想定されるリクエスト情報の項目リスト等)が表示され、使用者はタッチパネル等を利用して所望の項目を選択するといった操作によって、所望のリクエスト情報を作成する。
ここで、デジタルカメラというカテゴリーの装置、機器を特筆しているのは、撮影に特化した様々な機能を備え、構図、露出、ピント、色などの撮影パラメータが簡単に変更可能で、画角や撮影距離の自由度が大きく、医師からの様々な要求(オーダー情報に入っていてもよい)に応えることができるからである。ストロボやLED照明などを照射した撮影などにも長け、特殊光で、特定の色情報などを取得することもできる。動画の撮影なども医師が必要とする情報を含む場合が多いが、これもデジタルカメラの得意とする機能である。また、音声や心音、呼吸音などを記録するマイク機能なども備えている。もちろん、こうした音声情報だけで良い場合は、ICレコーダを第2端末と利用してもよい。
このようにして作成されたリクエスト情報は、第2端末20から第1端末10へ向けて、直接通信により、若しくはサーバー30を経由して送信することができる。
第2端末20からのリクエスト情報が医師110の第1端末10に到達すると、これを受けて、医師110は、受信したリクエスト情報に応じた一般オーダー情報を発行する。これは、医療従事者以外の一般的な人が一般的な機材で取得する情報で良いから、という意味で「一般オーダー」という名称を用いた。
この場合において、第1端末10には、こうした、医療知識に乏しい一般の人からのリクエストに応えるために特別に設計されたアプリケーションソフトウエアである「一般オーダー情報作成アプリ」が、予めインストールされているものとする。この一般オーダー情報作成アプリには、第1端末10の動作モードとして、専門家でなくとも意味のある情報が取得しやすくガイドした一般オーダー情報作成モードと、こうした一般の人の持ついわゆるコンシューマ機器にこうした専門的なニーズに応えてもらうための情報を送って(あるいは受信して)、相手に正しく伝えるように工夫した一般オーダー情報送信モード等が含まれている。例えば電話やメールやSNS的なやり取りをするには、受信も必要なので、一般オーダー情報通信モードと書いてもよい。
医師110は「リクエスト」を受けると、追加情報依頼の必要性を考慮し、第1端末10を操作して、必要か必要でないかをリクエスト発信相手に伝える。このような場合、相手が反論する場合もあって、やり取りを行う事が重要である(一般オーダー情報通信モード、あるいは(一般オーダー情報送受信モード))。例えば、メールなどテキストベースの情報だけでは、微妙なニュアンスが伝わらず、文章のうまい下手によって正しい判断や応答ができなくなる。したがって、必要なオーダーが出せなくなるおそれもある。
この時、医師の判断で、もっと正確な情報、追加情報を必要とする場合などは、一般の人が一般のコンシューマ機器で取得可能な情報である必要があるので、それを考慮して設計された一般オーダー情報作成アプリを起動させるなどして、所定の操作を行って一般オーダー情報を作成し(一般オーダー情報作成モード)、作成した一般オーダー情報を第2端末20へ向けて送信する(一般オーダー情報送信モード)。
ここでのオーダーは、X線検査など、特別な資格、特別な装置などを必要とするものであってはならず、それを代用するような検査になるような、簡易情報的、補助検査、参考検査な情報をオーダーすることになる。したがって、そうしたオーダーしか選べないようなアイコン設計、メニュー構成によるユーザーインターフェース(UI)で操作されることを想定している。
患者家族等120は、医療関係者でない場合が多いので、一般の人という設定で説明をしている。この一般の人用のオーダー情報を第2端末20を用いて受信する(一般オーダー情報受信モード)が、それは医療用語が医療従事者以外にもわかる一般的な言葉に置き換えられている必要がある。そうでないと、オーダーされても何をどうして良いかわからなくなるだけである。
医師のオーダーは、患者本人であることを確認してから、まず、ここの写真を撮るようにとか、単純なオーダーしか出せないように、「一般オーダー情報作成アプリ」がそもそも工夫されて設計されており、難しいオーダーが出せないようになっている。医師が難しいオーダーを出す場合は、このアプリが難解な言葉を簡単な言葉にしたり、単純な方法にしたりして、誰にでも対応できるようにするが、それも不可能な場合は、オーダーを出さない、あるいは、オーダーで、何もせず、専門家に任せろ、という内容を伝える。
また、作業の単純化の例として、いくつかの設定を少しずつ行わせるというオーダーの工夫などがあり得る。また、全身像の中で部位がわかるように全身と一部拡大を順番で撮影するときの順番などもオーダー情報とする。また、具体的な活用技術の例として、人工知能などがある。医師が仮に医療用語を使っても、それを一般的な用語に変換するような機能が、上記「一般オーダー情報作成アプリ」には含まれており、具体的には用語変換用のデータベースや人工知能による推論エンジンなどが採用される。これは、第1、第2端末のいずれにあっても、これらを結ぶネットワーク上に存在してもよい。
もちろん、カメラなどの機器に、こうした人工知能やデータベース機能があってもよい。以上のような工夫を行っているので、医師の要望(オーダー)は、誰にでも対応できるもの、あるいは、専門家に任せるアドバイスなど、一般の人がすぐに理解できる簡単な指示に置き換えられて表示、または音声等で伝達されるので、そうしたガイドなどを利用、あるいは参考にして、患者家族等120は、そのオーダーに即した対応が可能となり、当該第2端末20を用いて患者130に対する所望の撮影を行うことが可能となる(医療用参照画像撮影モード)。
こうして、医師の要望に応える形で、一般的な機器、装置で第2端末20を用いて撮影された患者130の画像データには、一般オーダー情報に含まれる所定の情報が付随情報として記録される。したがって、これにより、当該画像データは医療用参照画像として承認され得るための所定の形式を備えた画像データとして作成される。
つまり、患者家族等120が患者の状況を心配したり、不安に思ったりして、ほかにどのような情報を送付すればよいかの相談のような感じで、できることがあれば教えて欲しいという。
所望のリクエスト情報(ここに今、使える機器、道具などの情報を追記してもよい)を医師110へ発信し、そのリクエスト情報を受信した医師110がその状況を考慮して、その判断に応じて、しかるべき一般オーダー情報を発行すると、この一般オーダー情報を受信した一般機器(第2端末20)は、医師が必要として、病院内で管理したり、医用情報として評価するに値する医療用参照画像を取得することができるようになる。
そして、こうして取得した医療用参照画像(画像でなくとも音声でもよく、それ以外の体温や体重や血圧のような情報でもよい)は、医師110のオーダーに応えたものと認められ、受け取った医師の判断も加味して医療用参照画像としての所定の品質が確保される。
これには、どのような状況で、どのような患者の情報を、どのような機器をどんな使い方で得たか、といった付随情報があることが好ましいが、それらのいくつかは、先のオーダー情報に含まれていたものを利用すれば効率的である。そして、当該画像データは、第2端末20からファイルサーバー30等へと転送されて、対象とする患者130の患者情報の一部として蓄積される。
このように、この実施例には、以下のような新規な発明が含まれている。リクエスト情報は、正しい判断で、医師が適切にオーダーできるような、患者家族等がその時利用し得る機材、装置、システム、道具などを入力したり選択したりできることが好ましい。
例えば、カメラと定規があれば、傷口に定規を当てて、その大きさの情報を含む画像を撮影することができる。また、通信システムが特定の性能を有し、安定しているなら、ストリーミング画像を利用した診断や、TV会議的な診断も可能となる。
また、その人のスキル情報や、写真を送るとすれば撮影のテクニックの習得レベルなどの情報も有効である。同じ指示でも、絞りを絞って、という表現でオーダーするか、そのカメラのそのダイヤルを操作して、と指示するのでは異なるが、受け取る相手によって、どちらがわかりやすいか、迅速に作業できるかが異なる。
こうしたいくつかのオーダー候補のどれを医師が選択するかは、十分な判断材料がリクエスト情報に含まれていなければ難しい。つまり、上記リクエスト情報は、対象とする患者と当該情報端末機器を利用する利用者本人の情報を含んでもよく、当該情報端末機器を利用する利用者13が利用可能な機材情報を含んでもよく、上記リクエスト情報は、当該情報端末機器を利用する利用者13の技能情報を含んでもよい。この技能は機器や道具(当該端末を含んでもよい)を使いこなす能力の他、性別、年齢や体調、言語能力や文章能力、通信やネットワークなどの設定能力などの技能情報のいずれかで良く、この情報によって医師が要求できる事項に違いが出る可能性がある。
また、オーダー情報も前述のように、一般の人が一般の機材、あるいは道具を用いて、医師の要求(オーダー)に応えられるように、平易な表現で相手に伝わるものでなければならない。それには、図示を伴うグラフィックユーザーインターフェースなどの活用や、照明条件や距離条件を示した具体的指示であったり、専門家になら一言で言えるものを、複数のステップに分けて解説したものであったり、対話形式で進めるガイドとなっていたりする事が、状況や難易度に応じて求められる。
つまり、上記ガイド情報は、上記リクエスト情報に従って変更されたガイド情報と言い直すことができる。つまり、対象となる患者情報と、利用者の利用し得る機材情報を含むリクエスト情報を受信して上記リクエスト情報に応じたガイド情報を作成し、上記ガイド情報に従って取得された追加情報を取得する上記患者に関する情報を取得する患者情報取得方法の提案と言え、それを達成するための装置を含むシステムの発明と言うことができる。これは、第1の端末、第2の端末という表現を省いている表現であるが、同じ機器を使って同様の問題を同様に解決することも可能である。例えば、医師に患者家族が端末を渡すと、そこにリクエストが記録されており、それを見た医師が、同じ機器を上記患者家族に返すと、患者家族は、その端末に表示されたガイドを見ながら(オーダーに応じて)、患者と向き合って情報取得する、という変形例が考えられるからである。
例えば、普通に昼間しか病院に来ることができない患者家族が夜勤の医師と相談するには、そうした解決策があり得る。医師が普通の勤務形態で、患者の病状が夜中に現れる場合も同様の解決方法がとれる。こうした方法は、その考え方を実現するシステム、機器などを提供することによって実現することができる。
なお、図1に示す例では、患者家族等120が第2端末20を使用する例を示しているが、この例示に限られることはなく、第2端末20は、患者130自身が使用する状況であっても同様である。本実施形態の基本的な概略作用は以上である。
このような条件もリクエスト情報に入れておけば、医師が下す判断も変わってくる可能性がある。例えば、背中の写真などは、患者本人が撮影することは困難で、鏡(上記道具に相当)があるかどうかによっても変わってくる。
次に、本実施形態の医療支援システム1の作用を、具体的な使用状況(使用パターン)毎に、簡単に説明する。
図2〜図4は、本実施形態の医療支援システムの作用の概略を、使用状況に応じて示す概念図である。このうち、図2は、本実施形態の医療支援システムの作用の第1使用パターンを説明する概念図である。図3は、本実施形態の医療支援システムの作用の第2使用パターンを説明する概念図である。図4は、本実施形態の医療支援システムの作用の第3使用パターンを説明する概念図である。
([第1使用パターン])
まず、本実施形態の医療支援システム1の使用状況における第1使用パターンは、以下の通りである(図2参照)。ここで、第1使用パターンは、例えば医院(個人経営の小規模医療施設)等、かかりつけ医としての医師と患者(患者家族を含む)と間の繋がりが、比較的強い関係性を有している場合を想定している。
最初に、患者家族等120が第2端末20を用いて、医師110の第1端末10へ向けて直接通信を行ってリクエスト情報を送信する(図2の矢印符号A;リクエスト情報送信モード)。
この場合において、リクエスト情報を受信する端末を、医師110の第1端末10としているが、これに限ることはない。例えば、第1端末10を管理するのは、医療施設100であるものとした場合、当該第1端末10を用いて最初にリクエスト情報を受信するのは、医師110が直接受信するケースのほかに、医療施設100における受付担当者(一般医療従事者;例えば看護師若しくは医療事務の有資格者等)が受信操作を行って、当該受付担当者が医師110へと伝達するといった手続きになる場合もある。ここでは、説明を簡略化するために、医療施設100での受信者の代表例として、医師110を例示している。
なお、第2端末20からのリクエスト情報を第1端末10が受信したとしても、医師110若しくは受付担当者等が当該第1端末10に届いたリクエスト情報を即座に確認するとは限らない。したがって、第2端末20からリクエスト情報を送信した後は、第2端末20は、第1端末10からの応答の待機状態となる。
ここで、第2端末20から発信されるリクエスト情報の内容としては、例えば、図2の符号20aで示すように、標題名「一般オーダーリクエスト」,依頼年月日,宛先医師名,患者名,撮影者名等の基本情報に加えて、コメントとして主訴情報等がある。この主訴情報として、今回のリクエスト情報を送信するに至った理由や、患者130の診療に関する相談事項や近況情報等を具体的に示せばよい。
第2端末20から発信されたリクエスト情報は、第1端末10にて受信される。医師110は、例えば空き時間等に、第1端末10を用いて、受信されたリクエスト情報を確認する。
リクエスト情報を確認した医師110は、第1端末10を用いてファイルサーバー30にアクセスして(図2の矢印符号B)、受信したリクエスト情報の対象患者130に関するカルテデータ等を参照する(図2の矢印符号C)。
医師110は第1端末10を用いて、受信したリクエスト情報に応じた一般オーダー情報を作成する。その後、医師110は、第1端末10を用いて第2端末20と直接接続して、作成した一般オーダー情報を第2端末20へと発信する(図2の矢印符号D)。
ここで、第1端末10において作成される一般オーダー情報の内容としては、例えば、図2の符号20aで示す表示画面のように、標題名「一般オーダー」,発行年月日,患者名,患者ID(Patient ID;患者固有識別情報),撮影者名,発行者名(主治医師名等を含む担当医師や医療機関に関する情報)等の基本情報に加えて、コメントとして主訴に応じた各種の情報(撮影指定部位,必要画像数,撮影手順,撮影条件等)等がある。なお、ここで、撮影条件とは、例えば、撮影フォーマット(ファイル形式),画像のアスペクト比情報等の各種設定や、画面内にスケールを写し込む等の指示情報が含まれる。さらに、撮影条件情報としては、撮影毎に毎回均等な類似の画像が撮影できるようにするための各種の撮影パラメータ等の設定情報等や、サンプル画像のサムネイル画像等も含まれる。
なお、上記設定情報には、例えば、露出情報,ホワイトバランス情報,感度情報,光学系焦点距離情報,被写体までの距離情報,撮影倍率情報,アングル情報等、各種の撮像関連情報等が含まれる。
医療メタデータには、これらに加えてさらに、従来一般的な画像ファイルとして利用されているExif画像データ等に含まれる各種情報(例えば、撮影場所(GPS情報),日時情報,撮影条件情報等)を含めてもよい。
さらに、一般オーダー情報には、医療用参照画像としての承認情報が付与される。図2に示す形態例では、「許可」を表すアイコン表示とチェックを入力した形態の許可表示10bを例示している
第2端末20は、このような一般オーダー情報を受信すると(一般オーダー情報受信モード)、その表示画面に、当該一般オーダー情報の内容を、例えば図2の符号10aに示す形態に準じた形態で表示する(なお、第2端末20の受信表示は不図示(図2の符号10a参照)。
そして、撮影者としての患者家族等120は、患者130に対して、受信した一般オーダー情報に従った撮影を、第2端末20を使用して実行する。
第2端末20は、一般オーダー情報に従った撮影を行う際に、各種の設定等を自動的に行って、適切な撮影動作を容易に実行することができるようにするための所定の撮影動作モードを具備していてもよい。撮影者は、所定の撮影動作モードに切り換えるのみで適切な撮影を行うことができる。ここで、所定の撮影動作モードとして、例えば、「医療用参照画像撮影モード」等とする。この場合における第2端末20の医療用参照画像撮影モードも、例えば対応するアプリケーションを、予め第2端末20にインストールしておけばよい。
このようにして取得された画像データには、一般オーダー情報に含まれる各種の情報が付随情報として記録される。
この場合において、本実施形態の医療支援システム1において扱われる画像データファイルは、従来一般的な画像データファイル(例えばExif(Exchangeable image file format)データ等)に含まれる一般的なメタデータ(一般メタデータという)とは別に、例えば医療的な情報を含む所定のメタデータを有するものとし、これを、特に医療メタデータというものとする。
なお、この医療メタデータは、従来の一般メタデータに対して別ファイルの形態で存在する構成でもよいし、一体に構成される形態であってもよい。しかし、いずれの形態を採るにしても、画像データと医療メタデータとは関連付けられていることが重要である。画像データと医療メタデータとが関連付けられていることにより、それぞれが単独データファイルで存在していたとしても、画像データに対する操作(例えば他の媒体への移動,複写若しくは削除操作)の際には、必ず関連付けされたメタデータを伴って所定の操作がなされることになる。したがって、例えば、医療メタデータのみが単独で存在するようなことはないようにされている。
また、医療メタデータは、上述のようにして、医師110が入力する一般オーダー情報に含まれる情報のほかにも、例えば既存の一般メタデータと重複する項目、例えば撮影時点の日時情報,撮影機器情報(カメラ固有の情報等)等は、自動的に付加される。
また、第1端末10が、特定の患者家族等120の第2端末20からのリクエスト情報を受信するのが初めてのことではなく、過去にも利用実績がある場合には、第1端末10には、既に以前に受けたリクエスト情報が存在しているはずである。
したがって、上述のようにして、第1端末10が第2端末20からのリクエスト情報を受信した時に、例えば対応する患者情報(例えば患者ID等)を自動的に検出することができる。したがって、医師110は、第1端末10が検出した患者情報を利用して、ファイルサーバー30の所望の情報を自動的にかつ迅速に検索することができる。
そして、第2端末20を用いて取得された画像データは、図示を省略しているが、何らかの手段によって、ファイルサーバー30へと転送する(医療用参照画像転送モード)。即ち、例えば、第2端末20からネットワーク40経由でファイルサーバー30へと当該画像データを送信し、当該ファイルサーバー30の所定の領域に記録する。この際、当該画像データは、ファイルサーバー30に記録されている複数の患者情報のうち対象とする患者130に関連する情報として関連付けられる。
また、取得された画像データは、患者家族等120又患者130が、第2端末20を持参の上、医療施設100を訪れて受付部門を通してファイルサーバー30に記録されるか、または、担当の医師110の第1端末10へと提供される。
このようにして、第2端末20によって取得された画像データに対して、一般オーダー情報に含まれる所定の医療メタデータが付与されることによって、当該画像データは、医師110によって承認された医療用参照画像として取り扱うことができる。したがって、医師110は、当該画像データを医療用参照画像として診療の参考とすることができる。
なお、上述した説明では、撮影に関連する各種の情報(撮影条件情報)を、医療メタデータに含めるように説明しているが、これに限られることはない、撮影条件情報については、例えば、画像データファイルとは別個のデータファイルとして作成するようにしてもよい。そして、その撮影条件情報のデータファイルは、対応する画像データファイルに関連付けて記録されるものとする。したがって、例えば画像データが他の装置へと転送される際には、対応する画像データと共に、関連する撮影条件情報データファイルも、必ず同時にセットで転送されるようにする。
このように、画像ファイル内に撮影条件情報をメタデータとして追記するような方法が考えられ、本発明は、こうした新しい画像ファイルを作成する機器、装置、方法などの発案ともなっている。また、撮影条件情報をすべてメタデータに入れる必要はなく、その一部でもよい。また、本発明は、撮影条件情報と関連付けするための情報のメタデータを有する新しい画像ファイルを作成する機器、装置、方法などの発案ともなっている。
また、新しい画像ファイルを作成すると共に、この画像データに対応する医療メタデータを別ファイルとして作成するようにしてもよい。この場合、これら画像ファイルと対応メタデータとは、常にセットで送らない仕様であっても対応は可能である。
即ち、撮影条件情報データファイル送信と、その送信に続いて画像ファイルを送るような仕様としたり(逆でも良い)、撮影条件情報データファイルに関連付けるような送信を医療支援システムが要求して、それに応えて関連画像を送り、支援システム側(ファイルサーバー30等)で、画像ファイルとメタデータとを対応付けるようにしても良い。
また、患者家族等120が一般オーダー情報を受信した第2端末20を用いて、患者130に対する所定の撮影を行う際に、患者130を特定するための本人確認情報を記録しておくようにしてもよい。
この本人確認情報としては、例えば、患者130に向き合って撮影する時に、患者130に対して声がけを行って、患者130に氏名を名乗らせる等の確認を行う。そのために、第2端末20には、その音声を記録するための構成(マイクロフォン及び音声記録部)が設けられている。そして、このとき記録される音声データは、続いて取得される画像データに関連付けされるようにする。
また、音声によるなりすましを避けるために、動画を撮影しておいて、対話確認の様子を記録して証拠にしてもよい。このように、本来なら担当の医師や医療従事者が行うべき確認を端末装置や操作者に委任するので証拠保全が重要となる。したがって、いつの時点の医師のオーダーに基づく本人確認であるか、なども記録した方が良い。また、さらなる厳密性を求める場合は、その時のみ医師の端末と電話等の通信回線、ネットワークなどを利用して、医師や医療従事者と患者を直接対話させ、その記録を行ってもよい。
また、本人確認情報としては、第2端末20に備わる顔認識技術を用いることもできる。ここで、第2端末20は、患者130の家族や近親者若しくは本人所有の情報端末装置を想定している。したがって、第2端末20には、予め患者本人の顔画像を登録しておく。そうして、第2端末20を用いて撮影を行えば、患者130本人を撮影対象としていることが容易に検出することができる。
このように第2端末20は、患者本人を検出したときには、医療用参照画像を撮影しようとしているものと判断して、対応する所定の撮影動作モード(医療用参照画像撮影モード)に自動的に切り換えるといった制御を行うようにしてもよい。
第2端末20において、医療用参照画像撮影モードに切り換えたときには、当該第2端末20の制御部(後述する)は、受信済みの一般オーダー情報に含まれる撮影条件情報等を参照して、新たな医療用参照画像を取得するために最適な撮影パラメータ(露出設定,ホワイトバランス設定,感度設定,焦点距離設定等)を自動設定する制御を行う。また、このときに、構図や撮影アングル,被写体までの距離等の撮影条件情報のガイド表示(アシスト表示)を、表示部に自動的に表示されるようにする。この表示は、例えば表示部におけるライブビュー画像に重畳表示するといった形態等が考えられる。
なお、上述の説明では、リクエスト情報を発信する側の人物であり、撮影者として、患者家族等120を例に挙げて説明しているが、この例に限られることはない。患者130に対峙する撮影者としては、例えば、医師の往診若しくは訪問介護等の状況を考慮しても、同様に適用できる。その場合には、第2端末20を操作する人物としては、患者の自宅を訪問する看護師,介護福祉士等が対応する。
このようにして、一般医療従事者や医療従事者以外の患者家族等が、一般的な情報端末装置(第2端末20)を用いて取得した画像データを、医師110によって承認され得る医療用参照画像として取り扱うようにすることができる。
本実施形態の医療支援システム1の使用状況における第1使用パターンの概略は、以上である。
([第2使用パターン])
次に、本実施形態の医療支援システム1の使用状況における第2使用パターンは、以下の通りである(図3参照)。ここで、第2使用パターンは、基本的には上述の第1使用パターンと略同様である。以下に説明する第2使用パターンでは、一般オーダー情報の作成の詳細は、医師によらずにシステムによる自動処理で行うようにした点が異なる。
最初に、患者家族等120が第2端末20を用いて、リクエスト情報を作成し(リクエスト情報作成モード)、これを医師110の第1端末10へ向けて直接通信を行ってリクエスト情報を送信する(図3の矢印符号A;リクエスト情報送信モード)ことは、上述の第1使用パターンと同様である。また、このとき第2端末20から発信されるリクエスト情報の内容も、上述の第1使用パターンで説明したものと同様である。
第1端末10にて受信されたリクエスト情報を医師110が確認すると、当該医師110は、第1端末10を用いてファイルサーバー30にアクセスして、受信したリクエスト情報の対象患者130に対応する所定の指示情報をファイルサーバー30へ出す(図3の矢印符号B)。
ここで医師110から出される指示情報は、リクエスト情報を含む基本情報と、対象患者130に応じた極めて簡単な指示のみでよい。
医師110の指示情報を受けてファイルサーバー30の制御部(後述する)は、リクエスト情報に応じた一般オーダー情報を作成する。その後、ファイルサーバー30は、第2端末20に宛てて、作成された一般オーダー情報を発信する(図3の矢印符号C)。第2端末20では、この一般オーダー情報を受信する(一般オーダー情報受信モード)。その後、受信した一般オーダー情報に準じて所定の撮影を行う(医療用参照画像撮影モード)。そして、撮影結果の画像データをファイルサーバー30へと転送する(医療用参照画像転送モード)。
ここで、ファイルサーバー30において作成される一般オーダー情報の内容は、上述の第1使用パターンで説明したものと同様である。
そして、この一般オーダー情報を受信した第2端末20の作用もまた、第1使用パターンと同様である。
このようにして、当該第2使用パターンにおいても、一般医療従事者や医療従事者以外の患者家族等が、一般的な情報端末装置(第2端末20)を用いて取得した画像データを、医師110によって承認され得る医療用参照画像として取り扱うようにすることができる点において同様である。
また、第2使用パターンにおいては、一般オーダー情報の作成処理を、ファイルサーバー30による自動処理に任せたことによって、医師の手作業を簡略化することができ、よって医師の負担を軽減することができる。
なお、上述の第2使用パターンの説明では、ファイルサーバー30の制御部が、リクエスト情報に応じて一般オーダー情報を作成するものとして説明しているが、この例に限られることはない。例えば、医師110からの指示情報は、ファイルサーバー30を経由して医療施設100における受付部門に設置されたPC等の情報処理装置(不図示)へと転送されるようにして、一般オーダー情報の作成処理は、この受付部門の情報処理装置と、これを取り扱う受付担当者が行うようにしてもよい。
また、第2使用パターンにおいて自動処理若しくは受付担当者の手によって作成された一般オーダー情報は、作成された後、すぐに第2端末20へ発信されるのではなく、作成後、発信前に、一度、医師110の確認を取得するようにしてもよい。そうすれば、一般オーダー情報の信頼度を、さらに向上させることができる。
本実施形態の医療支援システム1の使用状況における第2使用パターンの概略は、以上である。
([第3使用パターン])
次に、本実施形態の医療支援システム1の使用状況における第3使用パターンは、以下の通りである(図4参照)。ここで、第3使用パターンは、基本的には上述の第1使用パターン等と略同様である。以下に説明する第3使用パターンは、例えば多数の医師と完備した病院システムを備えた大規模病院等の医療施設において運営される場合を想定している。
この種の大規模医療施設では、一般に、まず、受付システムを通してから作業が始まる。また、特定の患者に対応する医師は、複数人の医師で構成されるチームによって組織的に対応するのが一般である。したがって、特定の患者に対して特定の医師が常に対応するわけではない。また、一人の医師が担当する患者数も多数存在する。
したがって、特定の医師の第1端末10に複数の担当患者の関連情報が直接送信されてきてしまっては、受信側の特定の医師は、到底、一人で対応しきれるものではない。このことを考慮して、第3使用パターンは、患者側から発信されるリクエスト情報は、まず、全てが院内システムの受付部門を経由してファイルサーバー30に蓄積されるようにしている(図4の矢印符号A)。
リクエスト情報がファイルサーバー30に入力されたときには、ファイルサーバー30は、リクエスト情報に含まれる情報を参照して複数の担当医師へと同時配信する(図4の矢印符号B)。
なお、図4に示す例示では、複数の担当医師として符号110,110Aとして、二名を示しているが、さらに多くが存在していてもよい。
これら複数の担当医師(110,110A…)は、例えば勤務時間が異なっていたり、他の作業中(例えば手術中等)であったり等の理由により、当該リクエスト情報を確認するタイミングが異なる。したがって、当該リクエスト情報の対象患者に対応する複数の担当医師(110,110A…)のうち、例えば、最初にリクエスト情報を確認できた一人の医師(図4に示す例では符号110Aで示す医師)が一般オーダー情報を作成すればよい。
ここで、医師110Aが一般オーダー情報を作成する手順は、上述の第1使用パターンで説明した手順と同様である。こうして、医師110Aによって作成された一般オーダー情報は、ファイルサーバー30へと転送されて、対象患者に関連付けされて記録される(図4の矢印符号C)。
このとき、リクエスト情報に対応する一般オーダー情報が作成されて、ファイルサーバー30に登録されると、当該ファイルサーバー30は、該当するリクエスト情報を同時配信した他の医師(図4に示す例では医師110が該当する)に対して「処理済み」である旨を表すステイタス(状況状態)情報を送る。これにより、ある一つのリクエスト情報に対して、複数の一般オーダー情報が作成されてしまうといった重複処理を防ぐことができる。
ファイルサーバー30に登録された一般オーダー情報は、受付部門を経た後、対応するリクエスト情報の発信者(第2端末20)に宛てて送信される。
このような構成により、大規模医療施設においても、同様に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
本実施形態の医療支援システム1の使用状況における第3使用パターンの概略は、以上である。
上記のような作用を実現するために、本実施形態の医療支援システム1における情報端末装置(第1端末10,第2端末20)及びファイルサーバー30の主要構成を、以下に説明する。
図5は、本実施形態の医療支援システムにおける情報端末装置の主要構成を示すブロック構成図である。図6は、本実施形態の医療支援システムにおけるファイルサーバーの主要構成を示すブロック構成図である。
まず、本実施形態の医療支援システム1における情報端末装置(10,20)の主要構成を説明する。情報端末装置は、上述したように、医師が使用する第1端末10と、医師以外の人物(例えば医師以外の医療従事者又は患者家族等)が使用する第2端末20とがある。これらは、それぞれの形態が異なっていたとしても、その主要構成は略同様である。したがって、第1端末10と第2端末20とは同じ構成を有するものとして、以下の説明をする。
図5に示すように、情報端末装置(10,20)は、撮像部11と、機器通信部12と、ネットワーク通信部23と、操作部13と、タッチパネル14と、表示部15と、記録部16と、集音部24と、時計部22と、画像処理制御部21等を主に備えて構成されている。
なお、情報端末装置(10,20)の構成要素としては、ここで列挙した以外にも、種々の構成要素を具備している。しかしながら、それらの構成要素は、本発明の要旨には直接関連しない部分であるので、その図示及び説明は省略する。そして、図示及び説明を省略した各種構成要素は、従来一般的な形態の情報端末装置に適用されているものと同様のものが具備されているものとする。
撮像部11は、光学像を形成する光学系と、この光学系により形成される光学的な被写体像を電気的な信号に変換する光電変換素子等を含む回路等によって構成され、撮像機能を実現する構成ユニットである。
なお、撮像部11についての具体的な構成は、従来一般的な形態の撮像ユニットと略同様のものが適用される。この撮像部11は、後述する撮像制御部21aによって制御される。
機器通信部12は、機器同士の間で行われる通信を実現する回路ユニット(例えば近距離無線通信手段等)を含んで構成される構成ユニットである。
ネットワーク通信部23は、ネットワーク40経由でファイルサーバー30との間の通信を実現する回路ユニットを含んで構成される構成ユニットである。
なお、機器通信部12及びネットワーク通信部23に含まれる通信手段は、無線方式の通信手段に限らず、有線方式の通信手段も含まれる。また、機器通信部12及びネットワーク通信部23は、後述する通信制御部21cによって制御される。
これら機器通信部12及びネットワーク通信部23(総称して通信部という)は、第2端末20においては、リクエスト情報を第1端末10若しくはファイルサーバー30へと送信する送信機能と、第1端末10若しくはファイルサーバー30から送られてくる一般オーダー情報を受信する受信機能とを合わせ持っている。
操作部13は、使用者(ユーザ)によって行われる各種の操作を受けて、対応する各種の指示信号を発生させるための操作部材及び回路部を含む構成ユニットである。
タッチパネル14は、表示部15の表示画面上に重畳させた形態で配置される操作部材である。当該タッチパネル14は、使用者(ユーザ)の指等の操作指示を受けて対応する各種の指示信号を発生させる操作部材である。
なお、このタッチパネル14は、上記操作部13に含まれるものであるが、近年、さまざまな電子装置において盛んに適用されている操作部材の一つでもあり、特に重要構成となるものであるので、操作部13とは別に表記している。
操作部13及びタッチパネル14は、後述する操作判定部21bによって、いずれの操作部材が操作されたかが判定される。その判定結果に基づいて、画像処理制御部21は、対応する所定の操作信号を対応する構成ユニットに向けて出力する。
表示部15は、表示パネル及びその駆動回路等(不図示)からなり表示機能を実現する構成ユニットである。表示部15の表示パネルには、撮像部11を用いて取得された画像データに基く画像や、各種設定プログラム等によって生成されるメニュー画像が表示される。この表示部15は、表示制御部21dによって制御される。
記録部16は、各種のデータファイルを記録するための構成ユニットである。この記録部16に記録されるデータファイルとしては、例えば、画像データ及びメタデータ(一般メタデータ,医療メタデータ)を含む画像情報や、所定の撮影を行う際に必要となる設定項目の固有の設定等の各種設定をまとめてファイル化した設定情報(具体的には、例えば医療用参照画像を取得する際に行うべき各種設定をまとめた設定情報等),当該端末装置(10,20)や通信相手の装置(端末又はファイルサーバー等)の装置情報等のほか、その他各種の情報がある。また、記録部16は、集音部24で取得された音声データなども記録する。
時計部22は、いわゆるリアルタイムクロック(Real-Time Clock;RTC)などと呼ばれる内部時計回路である。この時計部22は、例えば画像データファイル等に対して日時情報,時刻情報等を付与したり、制御処理中における所定の指示タイミング間の計時を行ったり、時間的制御等の際に利用される回路部である。
集音部24は、マイクロフォン及びその駆動回路等からなり、音声データを収集するための構成ユニットである。集音部24は、画像処理制御部21によって制御される。集音部24で取得された音声データに基づいて、音声判定部21hによる各種の判定が行われる。集音部24によって取得された音声データは記録部16に記録される。
画像処理制御部21は、本情報端末装置(10,20)を統括的に制御する制御回路と、各種の画像データに基く各種の画像処理を行う画像処理回路である。
この画像処理制御部21は、撮像制御部21aと、操作判定部21bと、通信制御部21cと、表示制御部21dと、記録制御部21eと、画像判定部21fと、音声判定部21h等を備えて構成されている。
撮像制御部21aは、撮像部11を制御して、ライブビュー画像表示用データを取得したり、所定の操作を受けて静止画像データや動画像データを取得する撮像動作を実行する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。
操作判定部21bは、操作部13をからの入力を受けて、入力された操作指示信号を判定する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。この操作判定部21bによる判定結果を受けて、当該画像処理制御部21は、対応する構成ユニットの制御を実行する。
通信制御部21cは、機器通信部12及びネットワーク通信部23を制御する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。この通信制御部21cは、操作部13等からの指示信号を受けて、通信関連の制御、例えば、端末装置同士の間での通信を行うか、ネットワーク40経由でファイルサーバー30との間の通信を行うか等の選択や、選択された通信手段を制御して、対応する各種の通信制御を行う。
表示制御部21dは、表示部15を制御する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。この表示制御部21dは、操作部13等からの指示信号を受けて、表示関連の制御、例えば、表示部15の表示パネルによって表示すべき表示内容の選択や切り換え制御を行う。
記録制御部21eは、記録部16を制御する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。この記録制御部21eは、操作部13等からの指示信号を受けて、記録関連の制御、例えば、記録部16に記録する各種の情報を所定のデータ形式に変換し、所定の記憶媒体(不図示)の所定の領域に記録する制御を行う。
また、記録制御部21eは、一般オーダー関連付け部を有する。この一般オーダー関連付け部は、医師により若しくはファイルサーバー30のオーダー情報作成部31bにより作成された一般オーダー情報に含まれる情報を撮像部11によって取得された画像データに関連付けて医療メタデータ若しくは一般メタデータ(付随情報)として関連付けて、記録部16に引き渡す役目をする構成部である。
なお、記録部16に記録される医療メタデータに含まれる情報には、上述の説明で列挙した各種の情報に加えて、さらに、例えば通信に関する情報(通信情報),患者情報(対象情報),医師に関する情報,医師によるオーダーに関する情報(オーダー情報,依頼情報),患部の治療や検査に関する情報(条件情報),装置に関する情報(装置識別情報(GS1コード,JANコード,装置シリアル番号等)等),カラーチャート(色票)情報,メジャー情報,装置の姿勢や位置に関する情報,医療用画像又は医療用参照画像としての承認情報や真贋情報等のほか、その他の各種情報等も含まれる。
画像判定部21fは、撮像部11によって取得された画像データや、他の端末装置等から転送され入力された画像データ等に基づいて、各画像データを解析することにより得られる各種の情報の判定処理、例えば撮影環境の光源情報,被写体までの距離情報,被写体(例えば顔領域)情報等の判定処理を行う回路部若しくはプログラムソフトウエアである。
音声判定部21hは、集音部24によって取得された音声データに基づいて所定の判定処理を行う構成部である。そのために、音声判定部21hは、姓名判定部及び応答判定部等の処理回路を有する。ここで、姓名判定部は、例えば集音部24によって取得された音声データに、人声を検出すると共に、人声である場合には、姓名を名乗るデータであるかを判定する。また、応答判定部は、同様に、例えば集音部24によって取得された音声データに、人声を検出すると共に、人声である場合に、応答しているデータであるかを判定する。
具体的には、例えば、医療用参照画像撮影モードで患者の撮影を行う際には、上述したように、その撮影前、例えば撮影直前に、本人確認のための声がけなどが行われる。その場合に集音部24によって取得される音声データに基づいて、姓名判定や応答判定などが行われる。
次に、本実施形態の医療支援システム1におけるファイルサーバー30の主要構成を説明する。なお、このファイルサーバー30は、例えば既存の病院情報システム(HIS)等に含まれるファイルサーバー等に相当するものである。
図6に示すように、ファイルサーバー30は、制御部31と、画像データベース32と、オーダー情報等データベース33と、患者情報データベース34と、通信部35等を主に備えて構成されている。
制御部31は、本ファイルサーバー30を統括的に制御する制御回路である。この制御部31は、患者判定部31aと、オーダー情報作成部31bと、撮影条件情報作成部31c等を主に有して構成されている。
患者判定部31aは、情報端末装置(10,20)から転送されてきたリクエスト情報若しくは一般オーダー情報に含まれる患者関連情報等に基づいて、当該リクエスト情報若しくは一般オーダー情報に対応する患者情報への関連付けのための回路部若しくはプログラムソフトウエアである。
オーダー情報作成部31bは、当該ファイルサーバー30に医師がアクセスしてオーダー情報を作成するのに際して、画像データベース32,オーダー情報等データベース33,患者情報データベース34等の各種情報を参照して、オーダー情報の作成を支援する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。
また、オーダー情報作成部31bは、医師からの指示情報を受けてリクエスト情報に応じた一般オーダー情報を作成する回路部若しくはプログラムソフトウエアである(図3の第2使用パターン参照)。
ここで、例えば、画像撮影に関する一般オーダー情報は、患部毎にある程度のフォーマットが規定されている。したがって、医師は、一般オーダー情報作成時に、所望する検査種別(例えば「画像撮影検査」等)と、所望の患部(例えば「顔」,「膝」等)等を選択することで、大まかな形態の一般オーダー情報を作成し得る。
さらに、本実施形態の医療支援システム1においては、例えば、患者情報データベース34から対象患者の電子カルテ情報や検査履歴情報等を参照し、過去に行った検査等のオーダー一覧から今回行う検査等(例えば「画像撮影検査」等)と同様若しくは類似のオーダーがあれば、その情報を読み込んで、新たな一般オーダー情報の作成をさせる等のことを行うことができる。
このように、オーダー情報作成部31bは、医師がオーダー情報(医療オーダー情報,一般オーダー情報のいずれでもよい)を作成する際に、入力作業の省略や効率化を行って、オーダー情報の作成を支援する構成部である。
撮影条件情報作成部31cは、医師からの指示に基づいてオーダー情報作成部31bが作成したオーダー情報が、例えば画像撮影を伴うオーダーである場合に、その画像撮影指示に適切な撮影条件情報を作成する回路部若しくはプログラムソフトウエアである。
この撮影条件情報作成部31cは、オーダー情報作成時に参照した患者情報等に基づいて、過去に行われた同様の「画像撮影検査」時の過去のオーダー情報や、その検査結果(取得され記録されている画像データとその付随情報等)情報等を参照し、今回のオーダー情報に対応する画像撮影時に最適な撮影条件設定情報を作成する。
通常の場合、医師がオーダー情報を作成する時には、医療行為的な指示を出すのみであるが、本実施形態の医療支援システム1においては、医師が作成した医療行為的な指示のみからなるオーダー情報に基づいて、撮影条件情報作成部31cが、画像撮影を行う際の撮影条件情報を作成する。この撮影条件情報は、作成される一般オーダー情報を受けて画像データを撮影する(取得する)ための情報端末装置(10,20)に伝達されて、撮影時に利用される。
一方、画像データベース32は、画像データを蓄積したデータベース部である。この画像データベース32に蓄積された複数の画像データは、固有の患者情報にそれぞれ含まれる各種の画像データ、例えば特定患者の患部や症状を撮影した医療用画像又は医療用参照画像や患者を特定するための顔を含む画像等のほか、特定患部や特定症状の画像を取得する際に参考とするために予め用意されたサンプル画像等がある。
ここで、医療用画像又は医療用参照画像は、具体的には例えば、診察過程中において術前又は術後の経過を記録した画像データや、手術中の患部の状態を記録した画像データ等がある。また、この場合の画像データの形態としては、一般的な撮像装置で記録される画像データのほか、X線画像データ,超音波画像データ,内視鏡画像データ等がある。このうち、X線画像データ,超音波画像データ,内視鏡画像データ等は、医師のオーダー(依頼)を受けて、医療関係の各種有資格が、病院等の医療拠点に設置された専用装置を用いて取得される画像データであり、医師の承認を受けた医療用画像である。
画像データベース32に蓄積されたこれら複数の画像データのうちサンプル画像以外は、それぞれが各対応する医療関連情報(電子カルテ情報や患者情報等)に関連付けされた形態で記録されている。さらに、各画像データには、撮影日時情報等をはじめとしたメタデータと、患者IDや電子カルテ情報に基づいて各種の情報が、さらに付与される医療メタデータとが付随して記録されている。
他方、オーダー情報等データベース33は、医師によって出されるオーダー情報に関する情報を蓄積したデータベース部である。このオーダー情報等データベース33に記録される情報としては、例えば所定の患部や所定の症状に対応させて予め設定されたオーダー仕様書のサンプル情報がある。このオーダー仕様書には、例えば医師名(依頼者名),患者ID,使用装置情報,撮影条件情報等が記載される。
一般に、医師が特定の患者の検査等を行うためには各医療部署に対して、画像データの取得を依頼する際には検査等の対象患者毎に、その患部や症状に合わせたオーダー情報を発行する必要がある。
この場合において、オーダー情報等データベース33が設けられていることによって、医師は新規に作成するべきオーダー情報をゼロベースで作成する必要がなくなるという利点がある。
つまり、医師は、オーダー情報等データベース33に記録されている複数のオーダー仕様書(サンプル)のなかから、今回行う対象患者の患部や症状に合致するものを参考とすることができ、よって、個々の対象患者の症状,患部等に応じてそれぞれに最適なオーダー仕様書を作成することができるようになる。
患者情報データベース34は、例えば患者IDや電子カルテ情報等の患者情報を蓄積したデータベース部である。
通信部35は、ネットワーク40を介して複数の情報端末装置(10,20)との間で相互に各種のデータファイルの送受信を行う回路部若しくはプログラムソフトウエアである。この通信部35は、制御部31に含まれる通信制御部(不図示)によって、所定の通信が実行されるように制御されている。
このように構成された本実施形態の医療支援システム1の作用を、以下に説明する。なお、以下に説明する作用は、上述した各使用パターンのうち、例えば「第2パターン」又は「第3パターン」の作用を基本的に想定している。
まず、本実施形態の医療支援システム1における情報端末装置のうちの第2端末20の作用を説明する。図7,図8は、本実施形態の医療支援システムにおける情報端末装置のうち第2端末20の作用を示すフローチャートである。
本実施形態の医療支援システム1において、第2端末20は、上述したように、例えば医師以外の人物、例えば患者家族が使用する情報端末装置であるものとしている。
まず、第2端末20は、電源オン状態とされて使用可能に起動している状態にあるものとする。
この状態において、第2端末20の画像処理制御部21は、まず、図7のステップS51において、表示制御部21d等を制御して表示部15の表示画面上に、現在設定されている動作モード表示を行う。例えば、ここで表示される動作モード、即ち当該第2端末20によって実行可能な動作モードとしては、例えば通常の撮影モードや再生モード,各種設定モード,他の機器との通信モード等のほか、上述の「医療用参照画像取得アプリ」によって実行される各種の動作モード、例えばリクエスト情報作成モード,リクエスト情報送信モード,一般オーダー情報受信モード,医療用参照画像撮影モード,医療用参照画像転送モード等がある。なお、当該第2端末20の電源オン直後に標準で設定される動作モードは、通常の場合は撮影モードである。
続いて、ステップS52において、画像処理制御部21は、現在設定されている動作モードの確認を行い、現在設定されている動作モードが、医療用参照画像撮影モードであるか否かの確認を行う。ここで、現在設定されている動作モードが医療用参照画像撮影モードである場合には、次のステップS53の処理に進む。また、現在設定されている動作モードが医療用参照画像撮影モード以外の動作モードである場合には、ステップS81の処理に進む。
ステップS53において、画像処理制御部21は、所定のログイン処理を実行する。このログイン処理は、当該第2端末20から医師の第1端末10への直接接続のためのログイン処理、若しくはファイルサーバー30へネットワーク40経由で接続するためのログイン処理を想定している。なお、ログイン処理には、例えば予め医師や病院側のシステムから発行されたID及びパスワードの入力が求められる。この場合における入力手段としては、例えばタッチパネル操作による直接入力であってもよいし、バーコードやQRコード(登録商標)を用いた画像認識入力でもよい。
また、ここでのログイン処理としては、当該第2端末20を用いた医療用参照画像撮影モードによる一連の動作を実行するためのログイン処理としてもよい。つまり、当該第2端末20において、ある特定の動作モードを実行するために、動作モードの実行時に所定のログイン処理を行うようにする。このような動作モードのためのログイン処理を設けることによって、予め医師や病院において認証された端末を用いて、本人確認がなされた人物のみが、当該医療用参照画像撮影モードによる一連の動作を実行させることができるようにすることができる。
ここで、ログイン処理が完了すると、次のステップS54の処理に進む。また、ここでログイン処理が完了しない場合には、上述のステップS52の処理に戻る。
なお、上述のステップS53の処理にて行われるログイン処理の操作手続きとしては、
例えば予め医師や病院等から特定人(患者又は患者家族)に対して発行された情報(例えば診察券番号等の特定情報)を入力する操作である。具体的には、例えば入力操作部材としてのタッチパネルを用いて、表示画面に表示されたテンキーをタッチ操作する操作を行う。また、例えば医師や病院等から予め特定人(患者又は患者家族)に対して発行されたコード情報(診察券番号等の特定情報が含まれているバーコード,QRコード(登録商標)等の形態のコード)を、第2端末20のコード読み取りアプリを用いて読み取る操作などでもよい。
ステップS54において、画像処理制御部21は、リクエスト情報を発信するか否かの確認を行う。ここで、まだリクエスト情報を発信しておらず、かつリクエスト情報を発信しようとする場合には、次のステップS61の処理に進む。また、既にリクエスト情報を発信済みの場合、若しくはリクエスト情報を発信しない場合には、図8のステップS55の処理に進む(図7,図8の丸数字符号11参照)。
上述のステップS54の処理において、リクエスト情報を発信するものとして、ステップS61に進むと、このステップS61において、画像処理制御部21は、動作モードをリクエスト情報作成モードに切り換えて、適宜使用者(ユーザ)により入力されるリクエスト情報のうちの基本情報の入力処理を受け入れる。続いて、ステップS62において、画像処理制御部21は、適宜使用者(ユーザ)により入力されるリクエスト情報のうちのコメント情報の入力処理を受け入れる。
上述のステップS61,S62にて入力されるリクエスト情報は、例えば、患者を特定するための基本情報に加えて、コメントとして付する情報であって、医師に対する患者側の主訴等を含む現在の病状等を相談するための情報提供といったことを想定している。
このようなリクエスト情報を受けた医師が、そのリクエスト情報に応じて一般オーダー情報を発信するか否かは、当該医師の判断によるものである。したがって、患者側からリクエスト情報を医師に向けて発信したとしても、医師からの応答、例えば画像に関する一般オーダー情報の発信等がない場合もあり得る。医師が患者の画像等を不要と考えれば、そのような一般オーダー情報は発信されない。
したがって、上述のステップS61,S62において作成され、後述のように患者側から医師に向けて発信されるリクエスト情報は、医師に対する相談情報としての性格が強いものである。
このようにしてリクエスト情報の入力処理が終了したら、次のステップS63の処理に進む。
ステップS63において、画像処理制御部21は、作成したリクエスト情報の送信処理を実行する否かの確認を行う。ここで、リクエスト情報の送信処理を実行する場合には、次のステップS64の処理に進む。また、リクエスト情報の送信処理を実行しない場合、例えば、リクエスト情報の追加入力を行う等の場合には、ステップS61の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS64において、画像処理制御部21は、動作モードをリクエスト情報送信モードに切り換える。そして、画像処理制御部21の通信制御部21cは、機器通信部12又はネットワーク通信部23を制御して、医師の第1端末10又は院内システムのファイルサーバー30にアクセスして、リクエスト情報の送信処理を実行する。その後、画像処理制御部21は、動作モードを一般オーダー情報受信モードに切り換えて、受信待機状態になる。
次に、ステップS65において、画像処理制御部21は、一般オーダー情報を受信したか否かの確認を行う。この一般オーダー情報は、医師の第1端末10又は院内システムのファイルサーバ−30から、当該第2端末20に向けて発信される情報である。
ここで、一般オーダー情報を受信した場合には、図8のステップS71の処理に進む(図7,図8の丸数字符号12参照)。また、一般オーダー情報を受信していない場合には、ステップS66の処理に進む。
ステップS66において、画像処理制御部21は、時計部22を参照して所定時間経過したか否かの確認を行う。ここで、所定時間が経過した場合には、次のステップS67の処理に進む。また、所定時間が経過しない間は、上述のステップS65の処理に戻り、当該受信確認を繰り返す。
上述のステップS66の処理にて、所定時間の経過が確認されて、ステップS67の処理に進むと、このステップS67において、画像処理制御部21は、オーダー受信待機モードを設定する。このオーダー受信待機モードとは、送信済みのリクエスト情報に対する応答としての一般オーダー情報を受信するための受信待機モードである。第2端末20においては、この受信待機モードを設定することで、常に受信待機状態にありながら、並行して他の所望の作業処理を実行させることができるものとしている。オーダー受信待機モードの設定が完了すると、次のステップS68の処理に進む。
ステップS68において、画像処理制御部21は、ログアウト処理を行うか否かの確認を行う。ここで、ログアウト処理を指示する指示信号が確認された場合には、所定のログアウト処理を実行した後、上述のステップS51の処理に進む。また、ログアウト処理を指示する指示信号が確認されない場合には、上述のステップS54の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、上述のステップS52の処理にて、現在設定されている動作モードが医療用参照画像撮影モード以外の動作モードである場合にステップS81の処理に進むと、このステップS81において、画像処理制御部21は、一般オーダー情報の受信がなされたか否かの確認を行う。ここで、一般オーダー情報の受信が確認された場合には、次のステップS82の処理に進む。また、一般オーダー情報の受信が確認されない場合には、ステップS91の処理に進む。なお、ここで一般オーダー情報の受信が確認される場合とは、上述のステップS67の処理にてオーダー受信待機モードに設定されている場合である。
ステップS82において、画像処理制御部21の表示制御部21dは、表示部15を制御して、所定のログイン警告を表示部15の表示画面に表示する。このログイン警告とは、受信した一般オーダー情報を受信するために、第1端末10又はファイルサーバー30にログインするためのログイン操作を促す表示である。
なお、上述のステップS81の説明では、一般オーダー情報が受信されたという文言を用いて説明している。しかしながら、ステップS81の処理は、実際には、当該情報の実体部分が受信されているわけではない。このステップS81の時点では、例えば、医師又はファイルサーバー30から第2端末20に対して一般オーダー情報が発信された旨の通知を受信した程度のことを意味している。したがって、一般オーダー情報の実体を受信するために、上述のステップS82においてログイン処理を行うようにしている。
第2端末20の使用者(ユーザ)は、適宜ログイン操作を行った後、所定の操作を行って一般オーダー情報を受信する。なお、上述したように、オーダー受信待機モードは、他の動作処理と並行に実行している。したがって、この一般オーダー情報の受信処理を終了したら、他の動作処理に戻るようにすればよい。
即ち、上述のステップS52の処理にて、現在設定されている動作モードが、医療用参照画像撮影モード以外である場合に、ステップS81の処理に分岐したので、上述のステップS82の処理に続く、他の動作がステップS91の処理移行で実行される。
即ち、ステップS91において、画像処理制御部21は、現在設定されている動作モードが、端末認証モードであるか否かの確認を行う。ここで、端末認証モードとは、当該医療支援システム1において第2端末20を使用可能とするための登録手続き等を行なう動作モードである。
なお、この端末認証モードでの登録手続きは、当該医療支援システム1にて情報端末装置(第2端末20)を使用するのに際し、最初に一回行えばよい操作である。登録済みの情報端末装置を二回目以降に使用する際には、最初の登録手続きによって設定され、取得済みのID,パスワードを用いることによって、医療支援システム1において利用可能となる。
ここで、端末認証モードに設定されていることが確認された場合には、次のステップS92の処理に進む。また、端末認証モードではない場合には、ステップS94の処理に進む。
そして、このステップS94において、画像処理制御部21は、その他の動作モードによる処理を実行する。なお、ここで、その他の動作モードとしては、例えば、撮像機能付き通信装置(スマートフォン等のデバイス)であれば電話通信モードやメール送受信モード等がある。また、通信機能付き撮像装置(デジタルカメラ等のデバイス)であれば通常撮影モードや再生モード,メニューモード(設定モード)等がある。
しかしながら、これらその他の動作モードについては、本発明に直接関連しない部分であるので、その詳細説明及び図示は省略する。したがって、その後の処理としては、上述のステップS51の処理に戻るものとしている。
上述したように、端末認証モードに設定されていることが確認されて、ステップS92の処理に進むと、このステップS92において、画像処理制御部21は、ID設定処理やパスワード設定処理等、端末認証に必要な登録手続きに関する処理を実行する。その後、ステップS93の処理に進む。
ステップS93において、画像処理制御部21の操作判定部21bは、操作部13又はタッチパネル14から入力される操作指示信号に応じて、対象患者の患者情報等をファイルサーバー30から取得する処理等を実行する。必要な処理を終えたら、終了指示信号を待って、上述のステップS51の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
他方、上述のステップS54において、リクエスト情報の発信をしない場合に、図8のステップS55に進むと、このステップS55において、画像処理制御部21は、一般オーダー情報の受信がなされたか否かの確認を行う。ここで、一般オーダー情報の受信が確認された場合には、次のステップS71の処理に進む。この場合においては、ログインが維持されている状態にあるので、一般オーダー情報は実体が受信されていることになる。
また、一般オーダー情報の受信が確認されない場合には、ステップS56の処理に進む。ここで、ステップS56の処理に進む場合とは、次のような状況である。即ち、
上述のステップS52の処理にて、医療用参照画像撮影モードであることが確認されており、かつ、
上述のステップS53の処理にて、ログインが完了しており、かつ、
上述のステップS54の処理にて、リクエスト情報の発信を行わないことが確認されており、かつ、
上述のステップS55の処理にて、一般オーダー情報の受信がないことが確認されている、
という状況である。このような状況としては、例えば、既に医療用参照画像撮影モードによる一連の動作(リクエスト情報の送信,一般オーダー情報の受信,医療用参照画像撮影モードでの撮影)が行われており、所望の医療用参照画像としての画像データを取得した状態に、既にある場合などが考えられる。このような場合には、ステップS56の処理に進み、医療用参照画像転送モードでの動作処理が実行される(後述)。
なお、ここで一般オーダー情報の受信が確認される場合とは、上述のステップS67の処理にてオーダー受信待機モードに設定されている場合であることは、上述のステップS81の処理と同様である。
一般オーダー情報の受信が確認されると、第2端末20の画像処理制御部21は、動作モードを医療用参照画像撮影モードへ切り換える。当該第2端末20の使用者(患者家族)は、同第2端末20を用いて、受信済みの一般オーダー情報に応じた所定の撮影動作を実行する。
ステップS71において、画像処理制御部21は、所定の撮影処理が実行されて画像データが取得されたか否かの確認を行う。ここで、画像データの取得が確認された場合には、次のステップS72の処理に進む。また、画像データの取得が確認されない場合(まだ撮影していない場合)には、図7のステップS68の処理に戻る(図7,図8の丸数字符号13参照)。
画像データの取得が確認されると、ステップS72において、画像処理制御部21は、受信済みの一般オーダー情報に含まれるガイド情報(例えば撮影手順や情報表示等)やコメント情報を表示すると共に、撮像部11で取得される画像データを順次表示するライブビュー表示を行う。この場合において、一般オーダー情報の表示とライブビュー表示とは、時系列に表示するようにしてもよいし、重畳表示するようにしてもよいし、適宜操作部材を操作することによって切換表示を行うようにしてもよい。
続いて、ステップS73において、画像処理制御部21は、受信済みの一般オーダー情報に含まれる撮影条件等の情報を加味して、当該第2端末20における撮影パラメータ等の調整処理を実行する。
次に、ステップS74において、画像処理制御部21は、一般オーダー情報に従った撮影(例えば患者の顔画像と患部画像など)が行われたか否かの確認を行う。
ここで、例えば患者の顔画像を、所望の患部画像と共に取得しているのは、同時に撮影される所望の患部画像が患者本人であるか否かの確認を行うためである。このような本人確認画像を、医療参照画像を取得する際に同時に取得することは、例えば一般オーダー情報に含まれるガイド情報等に含まれている各種の指示に基づいて、上述のステップS72の処理等で使用者に通知される。使用者は、このガイド情報に従って撮影を行うので、上述のような本人確認画像を所望の患部画像と共に忘れずに取得することができる。
上述のステップS74の処理にて、画像処理制御部21は、一般オーダー情報に従った撮影が行われたことを確認すると、次のステップS75の処理に進む。また、一般オーダー情報に従った撮影が行われていないことが確認されると、ステップS78の処理に進む。
ステップS75において、画像処理制御部21の記録制御部21eは、取得された画像データの記録処理を実行する。
続いて、ステップS76において、画像処理制御部21の記録制御部21eは、取得された画像データに対して、一般オーダー情報に含まれる各種情報を関連付けするための関連付け処理を実行する。
次に、ステップS77において、画像処理制御部21は、医療用参照画像の画像データを送信する画像送信待機モードを設定する。この画像送信待機モードとは、受信した一般オーダー情報に従って撮影された画像データ(医療用参照画像)を送信するための送信待機モードである。第2端末20においては、この送信待機モードを設定することで、常に送信待機状態にありながら、並行して他の所望の作業処理を実行させることができるものとしている。画像送信待機モードの設定が完了すると、次のステップS78の処理に進む。
なお、上記画像送信待機モードが設定される状況としては、第1端末10又はファイルサーバー30との間の通信を行うことができない環境にある場合などが考えられる。このような場合は、画像送信待機モードを設定しておき、通信環境が整った場所に移動した際に通信を確保し送信を行えばよい。
ステップS78において、画像処理制御部21は、時計部22を参照して所定時間経過したか否かの確認を行う。ここで、所定時間が経過した場合には、図7のステップS68の処理に進む(図7,図8の丸数字符号13参照)。また、所定時間が経過しない間は、上述のステップS72の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
また、上述のステップS55の処理にて、一般オーダー情報の受信が行われずにステップS56の処理に進むと、このステップS56において、画像処理制御部21は、取得した医療用参照画像の画像データの送信処理が実行されたか否かの確認を行う。なお、ここで確認されるのは、送信処理の実行ができるか否かの確認としている。ここで、送信処理の実行が可能である場合には、次のステップS57の処理に進む。
そして、ステップS57において、画像処理制御部21は、動作モードを医療用参照画像転送モードに切り換えた後、所定の画像送信処理を実行する。その後、図7のステップS68の処理に戻る(図7,図8の丸数字符号13参照)。
一方、上述のステップS56の処理にて送信処理の実行ができない場合にも、図7のステップS68の処理に戻る(図7,図8の丸数字符号13参照)。
次に、本実施形態の医療支援システム1における情報端末装置のうちの第1端末10の作用を説明する。図9は、本実施形態の医療支援システムにおける情報端末装置のうち第1端末10の作用を示すフローチャートである。
本実施形態の医療支援システム1において、第1端末10は、上述したように、例えば医師が使用する情報端末装置(さらに具体的にはタブレットPC)であるものとして説明する。
まず、第1端末10の画像処理制御部21は、まず、図9のステップS151において、表示制御部21d等を制御して表示部15の表示画面上に、実行可能な各種のアプリケーションソフトウエアを示す複数のアイコンを表示したりして、様々なアプリケーションを使った業務に対応可能となっている。
例えば、医療施設内外の事務職員や医療従事者や関係者との電話連絡やメール、チャット連絡などが可能になっており、この端末によってスケジュール管理や患者情報の読み出しのみならず、各種情報の検索などがアイコンから選べるようになっている。このようなアプリケーションを駆使して業務記録などの作成が容易にできるようになっている。近年では、ディクテーション用のアプリケーションなどがドキュメント作成に利用されることもあるので、こうした技術にも対応している。
この状態に限らず、外部機器からのアクセスを可能としていることが好ましく、これによって医師は、この端末によって急患に対応したり、他の医療従事者からの問い合わせに応えられるようになっている。ここでは、S151に続く形で表現しているが、S151の中のアプリケーションの一つに以下の待ち受けの機能があるという表現で説明するが、並列にアプリケーションが作動しているという設計でも本願の目的は達成できる。
ステップS152において、画像処理制御部21は、例えば第2端末20からのアクセスがあるか否かの確認を行う。S151のアプリケーションには、このアクセス確認以外の様々な機能があるが、ここでは説明を単純化している。S152以下で本発明の特徴部分が説明可能なので、以下、本願での特徴となる部分について特記した形で説明する。
ステップS152において、第2端末20からのアクセスが確認されると、次のステップS153の処理に進む。また、第2端末20からのアクセスが確認されない場合には、ステップS151の処理に戻る。
なお、第1端末10は、待機状態にある時には、第2端末20からのアクセスが確認されない場合であっても、その他、さまざまな種類の入力指示等を受け得る。しかしながら、それら、その他の入力指示等に対応する作用については、本発明に直接関連しない部分である。したがって、ステップS152の処理においては、第2端末20からのアクセスが確認されない場合には、その他の入力指示等に対応する作用の説明は省略し、便宜的に、ステップS151の処理に戻るようにしている。
続いて、ステップS153において、画像処理制御部21は、第2端末20からのログイン手続き処理(図7のステップS53のログイン処理)が正規のものであるか否か、即ちログインを受諾するか否かの確認を行う。ここで、ログインを受諾する場合には、次のステップS154の処理に進む。また、ログインを受諾しない場合には、ステップS151の処理に戻る。ここで、ログインを受諾しない場合とは、ログイン手続きに含まれる情報、例えばログインIDやパスワードが合致しない等の場合である。
ログインが受諾されてステップS154の処理に進むと、ログインに続く情報の受信を待つが、不意の通信切断や、イレギュラーな情報が来る場合もあるので、所定時間だけ待つという設計にしてもよいし、何らかの警告を出すようにしてもよいがここでは単純化して表現している。
画像処理制御部21は、リクエスト情報を受信するためのリクエスト情報受信モードに切り換わる。そして、送信されてきたリクエスト情報を受信し、当該リクエスト情報が受信されたか否かの確認を行う(図7のステップS54の処理によるリクエスト情報送信に対応する処理)。ここで、リクエスト情報が受信されるまで受信確認処理を繰り返す。そして、リクエスト情報が受信された場合には、次のステップS161の処理に進む。なお、図9のフローチャートには示していないが、リクエスト情報が受信されないまま所定の時間が経過した場合には、当該ループを抜けて上述のステップS151の処理に戻るようにしてもよい。
次に、ステップS161において、画像処理制御部21は、一般オーダー情報作成モードへと切り換えて、使用者の入力指示を待機する。使用者は、上述のステップS154の処理にて受信されたリクエスト情報に応じて、適宜対応する一般オーダー情報を入力する。
続いて、ステップS162において、画像処理制御部21は、適宜使用者により入力される一般オーダー情報のうちの任意のコメントを入力するコメント情報入力処理を受け入れる。
上述のステップS161,S162にて入力される一般オーダー情報は、例えば、患者を特定するための基本情報に加えて、コメントとして付する情報であって、患者家族からのリクエスト情報に応じて、医師が発する情報や、画像撮影指示情報等を含む各種の情報である。
このようにして一般オーダー情報の入力処理が終了したら、次のステップS163の処理に進む。
ステップS163において、画像処理制御部21は、作成した一般オーダー情報の送信処理を実行する否かの確認を行う。ここで、一般オーダー情報の送信処理を実行する場合には、次のステップS164の処理に進む。また、一般オーダー情報の送信処理を実行しない場合、例えば、作成済みの一般オーダー情報に対する追加入力を行う等の場合には、ステップS161の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
ステップS164において、画像処理制御部21は、動作モードを一般オーダー情報送信モードに切り換える。そして、画像処理制御部21の通信制御部21cは、機器通信部12又はネットワーク通信部23を制御して、患者家族の第2端末20又は院内システムのファイルサーバー30にアクセスして、作成した一般オーダー情報の送信処理を実行する。その後、画像処理制御部21は、動作モードを通常の待機状態に切り換える。
なお、第1端末10は、上述した以外にも様々な動作モードで動作し得る。しかしながら、第1端末10におけるその他の動作モードについては、本発明に直接関連しない部分であるので、その説明は省略する。
また、図9で示すフローチャートについても、本発明の作用を説明するのに必要な部分のみを示すのに留め、本発明に直接関係しない部分については、図示及びその説明を省略する。それら、説明を省略した部分の作用については、従来一般的な情報端末装置(本実施形態ではタブレットPCを想定している)と同様の作用を実現し得るものとする。
さらに、第1端末10においても、インストールするアプリケーションソフトウエア次第で、各種さまざまな作用を実現し得ることは、従来の同種の情報端末装置と同様である。
次に、本実施形態の医療支援システム1におけるファイルサーバー30の作用を説明する。図10,図11は、本実施形態の医療支援システムにおけるファイルサーバーの作用を示すフローチャートである。
まず、ファイルサーバー30は起動状態にあり、外部情報端末装置及び内部端末装置等の他の機器からのアクセスを待機する待機状態にあるものとする。
ここで、外部情報端末装置とは、第1端末10,第2端末20等を指すものとする。なお、図10においては、単に外部端末装置と略記している。また、内部端末装置とは、医療施設内の受付部門や診察室等に設置されているPC等を指すものとする(不図示)。したがって、当該ファイルサーバー30は、外部情報端末装置(10,20等)のほかに、内部端末装置からのアクセスも許容する。
ファイルサーバー30が、この状態にあるとき、図10のステップS301において、制御部31の通信部35は、外部情報端末装置(10,20等)からのアクセスが有るか否かの確認を行う。ここで、外部情報端末装置(10,20等)からのアクセスが確認された場合には、次のステップS302の処理に進む。また、外部情報端末装置(10,20等)以外からのアクセスが確認された場合には、図11のステップS331の処理に進む(図10,図11の丸数字符号14参照)。
ステップS302において、制御部31の通信部35は、第2端末20からのアクセスであるか否かの確認を行う。ここで、第2端末20からのアクセスが確認された場合には、所定のログイン処理を実行した後、次のステップS303の処理に進む。また、第2端末20以外(即ち第1端末10)からのアクセスが確認された場合には、所定のログイン処理を実行した後、ステップS321の処理に進む。
ステップS303において、制御部31は、第2端末20からのリクエスト情報が受信されたか否かの確認を行う。ここで、リクエスト情報が受信されたことが確認された場合には、ステップS304の処理に進む。また、リクエスト情報が受信されない場合には、ステップS311の処理に進む。
ステップS304において、制御部31は、受信したリクエスト情報に応じて、対応する医師への確認を行う。ここで行われる処理は、例えば対応する医師の第1端末10へ、受信したリクエスト情報を転送する処理などが相当する。そして、図示を省略しているが、このリクエスト情報を受けた医師は、自身の第1端末10を用いて所定の操作を行うことになる。
次に、ステップS305において、制御部31は、上述のステップS304の処理にて医師から受けた指示情報に基づいて一般オーダー情報を作成する。
続いて、ステップS306において、制御部31は、上述のステップS305の処理にて作成された一般オーダー情報を、上記受信したリクエスト情報の発信元の第2端末20へと送信するか否かの送信指示信号の確認を行う。この送信指示信号は、医師から出される指示信号である。
ここで、一般オーダー情報の送信指示信号が確認された場合には、次のステップS307の処理に進む。また、一般オーダー情報の送信指示信号が確認されない場合には、ステップS308の処理に進む。
ステップS307において、制御部31は、上述のステップS305の処理にて作成された一般オーダー情報を、上記受信したリクエスト情報の発信元の第2端末20へと送信する送信処理を実行する。その後、ステップS301の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。即ち、ファイルサーバー30は、外部装置からのアクセス待機状態となる。
一方、上述のステップS306の処理にて一般オーダー情報の送信指示信号が確認されずに、ステップS308の処理に進むと、このステップS308において、制御部31は、送信許可の可否を確認する。この送信許可の可否とは、例えば、上述のステップS305の処理にて作成された一般オーダー情報に含まれる許可表示10b(図2〜図3参照)へのチェックの有無などによって確認できる情報である。
ここで、送信を許可する旨の情報が確認された場合は、上述のステップS304の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。また、送信を許可する旨の情報が確認されない場合、即ち、許可しない旨の情報がある場合には、ステップS309の処理に進む。
ステップS309において、制御部31は、許可しない理由等を付した情報を、受信したリクエスト情報の発信元となる第2端末20へと送信する。その後、ステップS301の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。即ち、ファイルサーバー30は、外部装置からのアクセス待機状態となる。
一方、上述のステップS301の処理にて外部情報端末装置(10,20等)以外からのアクセスが確認されて、図11のステップS331の処理に進むと、このステップS331において、制御部31は、内部端末装置(不図示;例えば医療施設内の受付部門や診察室等に設置されているPC等の内部端末装置(不図示))からのアクセスがあるか否かの確認を行う。ここで、内部端末装置からのアクセスが確認された場合には、次のステップS332の処理に進む。また、内部端末装置からのアクセスが確認されない場合には、ステップS341の処理に進む。
ステップS332において、制御部31は、所定のログイン手続き処理を実行する。これに応じて、内部端末装置(不図示)は所定のログイン手続き処理を行う。これにより、当該ファイルサーバー30へのログインが完了すると(ログインOKの場合)、制御部31は、内部端末装置からの要求に応じて所定の情報を内部端末装置に転送する。これを受けて、内部端末装置は表示部(不図示)に当該所定の情報を表示する。また、内部端末装置からの情報入力を受けて情報記録処理を行う(例えば電子カルテの更新入力等)。その後、ステップS333の処理に進む。
なお、図示を省略しているが、内部端末装置がファイルサーバー30にログインできない場合には、当該ファイルサーバー30は、以降の処理をキャンセルして、上述のステップS301の処理に戻って待機状態となる。
ステップS333において、制御部31は、内部端末装置からの操作指示を受けて、情報端末装置(10,20)等の登録設定処理などを実行する。
続いて、ステップS334において、制御部31は、アクセス先の装置からのログアウト指示の確認を行う。ここで、ログアウト指示が確認された場合には、所定のログアウト処理の実行後、図10のステップS301の処理に戻り、以降の処理を繰り返す。
一方、上述のステップS331の処理にて、内部端末装置からのアクセスが確認されない場合には、ステップS341の処理に進む。この時点においては、既に、上述のステップS301の処理(図10)にて外部端末装置からのアクセスも確認されていない。
したがって、この場合には、ファイルサーバー30は、他の機器からのアクセスを待機している待機状態にある。
これと同時に、ステップS341において、ファイルサーバー30の制御部31は、例えば、画像データベース32に蓄積された複数の画像データと、患者情報データベース34に記録されている複数の患者情報とに基づいて、各種さまざまな分析などを行って、その分析結果を必要に応じて医師の第1端末へと通知する等の処理を実行する。
具体的には、例えば、特定の患者情報に関連付けられた複数の画像データに関し、経時的な変化などによる病状の進行などについての分析等を行う。このような分析処理は、例えばAI等を利用することで実現し得る。
他方、上述のステップS302の処理にて、第2端末20以外(即ち第1端末10)からのアクセスが確認されて、ステップS321の処理に進むと、このステップS321において、制御部31は、該当情報検索処理を実行する。この該当情報検索処理とは、医師が第1端末10を用いて、必要とする情報、例えば担当患者(この場合はリクエスト情報の発信元の患者等)に関する電子カルテ等の患者情報を検索するために出される指示に応じる処理である。
続いて、ステップS322において、制御部31は、リクエスト情報に応じた画像撮影のための撮影条件設定等を行う。ここでの処理は、医師が第1端末10を用いて操作入力を行って、各種の設定の指示を行う場合と、ファイルサーバー30の制御部31(オーダー情報作成部31b)が自動的に各種設定を行う場合とがある。
次に、ステップS323において、制御部31は、医師の第1端末10から一般オーダー情報を作成する旨の指示があるか否かの確認を行う。ここで、医師からの一般オーダー情報の作成指示が確認された場合には、次のステップS324の処理に進む。また、医師からの一般オーダー情報の作成指示が確認されない場合には、医師がリクエスト情報に応じて一般オーダー情報を発行しないものと判断して、上述のステップS301の処理に戻って待機状態となる。
一方、上述のステップS323の処理にて、医師からの一般オーダー情報の作成指示が確認されてステップS324の処理に進むと、このステップS324において、制御部31は、医師が対応するか否かの確認を行う。この場合において、医師による対応とは、例えば医師が第1端末10を用いてリクエスト情報に対応する一般オーダー情報を作成する際に、各項目への入力を医師自身が行う場合をいうものとする。
ここで、医師が対応する旨の指示信号が確認されたら、次のステップ325に進み、このステップS325において、制御部31は、第1端末10に対して、上記作成された一般オーダー情報を送信する。その後、上述のステップS301の処理に戻って待機状態となる。
一方、医師が対応する旨の指示信号が確認されない場合には、ステップ326に進み、このステップS326おいて、制御部31は、第2端末20に対して、上記作成された一般オーダー情報を送信する。その後、上述のステップS301の処理に戻って待機状態となる。
また、上述のステップS303の処理にてリクエスト情報が受信されずに、ステップS311の処理に進むと、このステップS311において、制御部31は、第2端末20からの画像データを受信したか否かを確認する。また、画像データの受信を確認した場合は、その画像データが所定の条件に適合しているか否かの確認を行う。ここで、第2端末20から送られてくる画像データとは、一般オーダー情報に従って撮影された画像データである。また、その画像データにおける所定の条件とは、一般オーダー情報に従って撮影されていること、例えば所定の画像フォーマットであり、所定の付随情報が附されている等の条件である。
ここで、画像データを受信したことが確認され、かつその画像データが所定の条件に適合していることが確認された場合には、次のステップS312の処理に進む。また、画像データを受信したことが確認されない場合、若しくは画像データを受信したことが確認されても、その画像データが所定の条件を満たしていないことが確認された場合には、ステップS313の処理に進む。
ステップS312において、制御部31は、医療用参照画像として所定の領域(例えば画像データベース32)に、患者情報として記録する。その際、記録される画像データと対応する特定の患者情報との関連付けが行われる。そして、一般オーダー情報に対応する医療用参照画像が記録された旨の通知を、医師の第1端末10へと送信する。その後、上述のステップS301の処理に戻って待機状態となる。
一方、ステップS313において、制御部31は、条件未達理由等を当該画像データを送信してきた第2端末20へ通知する。ここで、条件未達理由とは、上述のステップS311の処理における確認のうち、受信した画像データが、医療用参照画像として採用できない理由、即ち満たしていない所定の条件等である。その後、ステップS301の処理に戻って待機状態となる。
以上説明したように上記一実施形態によれば、通信機能及び撮像機能を有し受信したリクエスト情報に応じた特定用途情報(一般オーダー情報)を送信する第1の情報端末装置(第1端末10)と、少なくとも通信機能を有し入力されたリクエスト情報を送信する第2の情報端末装置(第2端末20)とを具備し、上記第2の情報端末装置は、取得された画像データを記録する際に、当該画像データに対して上記第1の情報端末装置から受信した上記特定用途情報を関連付けて記録することによって、患者情報を共有して医療業務を支援する医療支援システム1を構成している。
この医療支援システム1においては、患者家族等の非医療従事者が第2の情報端末装置(第2端末20)を用いて所定のリクエスト情報を医師の持つ第1の情報端末装置(第1端末10)若しくはファイルサーバー30に送信すると、これを受けて、医師は第1情報端末装置(第1端末10)を用いて受信したリクエスト情報に応じて所定の操作をする。これにより、第1の情報端末装置(第1端末10)若しくはファイルサーバー30において特定用途情報(一般オーダー情報)が作成される。
こうして作成された特定用途情報(一般オーダー情報)は、第2の情報端末装置(第2端末20)へと送信される。これを受けて、患者家族等の非医療従事者が第2の情報端末装置(第2端末20)を用いて画像撮影を行って対象患者の画像データを取得する。ここで、第2の情報端末装置(第2端末20)は、取得した画像データに第1の情報端末装置(第1端末10)若しくはファイルサーバー30から受信した特定用途情報(一般オーダー情報)を関連付けて記録する。これにより、取得された画像データは、医療用参照画像として承認され得る状態になる。
このように、患者家族のリクエスト情報に応じて医師が出す特定用途情報としての一般オーダー情報(医療行為的な複数の指示等からなるオーダー情報に準拠する情報群)に画像撮影指示等を含む情報が含まれている場合に、この一般オーダー情報を受信した第2端末20を用いて画像撮影を行うと、取得した画像データには、一般オーダー情報に含まれる各種の情報が医療メタデータとして関連付けられて記録される。
こうして作成された画像データは、ファイルサーバー30等へと転送されることにより、信頼性のある医療用参照画像として共有される。
したがって、これにより、
遠隔地にある患者家族等は、所定のリクエスト情報を医師へ送信し、特定用途情報(一般オーダー情報)を受信すれば、この特定用途情報(一般オーダー情報)を受信した第2端末20を用いて対象患者を撮影するのみで、高い撮影技術や所定の撮影知識等を有しておらずとも、容易にかつ確実に医師の指示(一般オーダー情報)に応じた患者画像を取得することができると同時に、画像データに医療メタデータを付した形態の医療用参照画像を取得することができる。
本実施形態の医療支援システム1は、医療従事者が取得した患者情報としての画像情報のみならず、医療従事者以外の一般の人物(非医療従事者)が取得した画像情報をも患者情報としての医療用画像若しくは医療用参照画像として取り扱うことができ、医療行為の利便性を向上させることができる。
この場合において、画像撮影時から画像データに一般オーダー情報に含まれる医療用の基本情報等を含む医療メタデータとして関連付けた形態の画像データファイルを作ることができるので、画像データの取り違え等を防ぐことができると同時に、情報の信頼性を向上させることができ、かつ貴重な画像情報の管理が容易になる。
また、第2の情報端末装置(第2端末20)は、取得した画像データに対して、一般オーダー情報に含まれる医療用の基本情報等を含む医療メタデータ(付随情報)として関連付けた形態の画像データファイルを作成するようにしたので、例えば、当該画像データが他のデバイスへと転送された場合にも、付随情報を参照するのみで、どのような画像データであるかを容易に判別することができる。例えば、一般オーダー情報に含まれる固有番号(オーダー番号等と呼称される番号)は、患者IDや検査ID等に関連付けされていることから、患者の特定を容易にすると同時に、一連の検査スタディや特定の疾患/疾病の検査との関連付けが可能となる。
なお、上述の一実施形態においては、情報端末装置(10,20)の一形態として、撮像機能と通信機能とを備えた一般的な携帯の撮像装置(カメラ)や、スマートフォン,タブレット型PC等を例に挙げて説明したが、本発明に適用し得る情報端末装置の形態としては、これらの形態に限られるものではない。
例えば、近年においては、所定の場所(例えば対象患者の自宅や病院等の病室等)にカメラを据え付けて、当該カメラをネットワーク経由で遠隔操作し、所定の時間間隔毎の撮影画像を取得し、取得した撮影画像をネットワーク経由で他の機器(ファイルサーバーなど)へと転送することで、撮影する対象患者等の状況を、遠隔地から常時見守る(監視する)ことができるようにしたカメラシステム(いわゆる見守り(監視)カメラ,ウェッブカメラ等と呼称されるネットワークカメラシステム)が実用化され一般に普及しつつある。
この種のネットワークカメラシステムに含まれるカメラを、本発明の情報端末装置として適用することもできる。
また、上述の一実施形態においては、医療分野で利用されるシステムを例示しているが、この例に限られることはなく、医療分野以外の他の分野、例えば映像分野や科学研究分野等においても、本発明を適用することは容易に可能である。
即ち、各種の分野における専門従事者の作成した特定用途情報を含む付随情報を、所定の手続きを経て、一般者が取得した画像データに関連付けることのできるシステムを構築することは、上記一実施形態と同様に可能である。
その場合において、専門従事者の作成した特定用途情報を含む付随情報を付して得られた画像データを所定のファイルサーバーに記録してデータベース化すれば、個々の画像データの信頼性を確保することができ、各分野における画像データベースの信頼性の向上に寄与することができる。
なお、上述の一実施形態で説明した各処理シーケンスは、その性質に反しない限り、手順の変更を許容し得る。したがって、上述の処理シーケンスに対して、例えば各処理ステップの実行順序を変更したり、複数の処理ステップを同時に実行させたり、一連の処理シーケンスを実行する毎に、各処理ステップの順序が異なるようにしてもよい。即ち、特許請求の範囲,明細書及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップにおいては、発明の本質に影響しない部分について適宜省略することもできることは言うまでもない。
また、ここで説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御や機能は、多くがソフトウエアプログラムにより設定できることが多くあり、そのソフトウエアプログラムをコンピュータが読み取り実行することで上述した制御や機能を実現することができる。そのソフトウエアプログラムは、コンピュータプログラム製品として、予め製品製造過程において上記記憶媒体や記憶部等、具体的には例えばフレキシブルディスク CD−ROM等 不揮発性メモリ等の可搬媒体やハードディスク 揮発性メモリ等の記憶媒体に、その全体あるいは一部を記憶又は記録されている電子データである。また、これとは別に、製品出荷時又は可搬媒体或いは通信回線を介して流通又は提供ができるものである。利用者は、製品出荷後であっても、自ら通信ネットワークやインターネット等を介して、それらのソフトウエアプログラムをダウンロードしてコンピュータにインストールしたり、あるいは記憶媒体からコンピュータにインストールすることで、動作させるようにすることができ、これによって容易に本実施形態の医療支援システム及び情報端末装置を実現することができる。
また、プログラムで構成した部分を適宜、回路に置き換えることも可能である。なお、実施例中で、「部」(セクションやユニット)として記載した部分は、専用の回路や、複数の汎用の回路を組み合わせて構成してもよく、必要に応じて、予めプログラムされたソフトウェアに従って動作を行うマイコン、CPUなどのプロセッサ、あるいはFPGAなどシーケンサを組み合わせて構成されてもよい。また、その制御の一部または全部を外部の装置が引き受けるような設計も可能で、この場合、有線や無線の通信回路が介在する。通信は、ブルートゥースやWiFi、電話回線などで行えばよく、USBなどで行っても良い。専用の回路、汎用の回路や制御部を一体としてASICとして構成してもよい。メカ的に位置制御される部位などは、様々なアクチュエータと、必要に応じて移動用の連結メカニズムによって構成されており、ドライバ回路によってアクチュエータが作動する。このドライブ回路もまた、特定のプログラムに従ってマイコンやASICなどが制御する。こうした制御は各種センサやその周辺回路が出力する情報によって、詳細な補正、調整などが行われても良い。
本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記一実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。