JP6716459B2 - 硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、ケイ素原子に結合したヒドロキシ基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素基」ともいう)を有する有機重合体を含有する硬化性組成物に関する。
分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する有機重合体は、室温においても湿分による反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状の硬化物が得られるという性質を有することが知られている。反応性ケイ素基を有する有機重合体の中で、主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体、ポリイソブチレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる有機重合体は、既に工業的に生産され、シーリング材や接着剤の用途に広く使用されている(特許文献1)。
従来、硬化性組成物とりわけシーラント分野において、基材とシーラントとの十分な接着力を確保するために、プライマーを塗布する必要があった。このようなプライマーの塗布は、各種シーラントと各種基材に合った的確なプライマーの選択が必要であり、しかも煩雑な作業であるため、プライマー処理がなくても基材に強固に接着するシーラント性能が要求されてきた。これまで、シーラント自身に接着性を付与する技術につき種々検討され、例えば、アミノ基含有加水分解性シリコン化合物や、それとエポキシ化合物との反応物の添加が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2等参照。)。しかしながら、これらの技術を用いても、被着体が多孔質基材である場合には、細孔を通って水が浸透しやすいため、特に水の浸漬を受けた場合には容易に界面から剥離を生じてしまうといった問題があった。
上記のような耐水接着性を改善する方法の一つとして、有効成分としてシリコン変性エポキシ樹脂を添加する方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、該技術を用いても、水酸基又は加水分解性基の結合したケイ素原子含有基を有するオキシアルキレン重合体をベースポリマーとする硬化性組成物、例えばビスフェノールA−エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂の変成物等を用いた場合には該オキシアルキレン重合体への相溶性が良くなく、十分な耐水接着性を得られないといった問題があった。
さらに、上記のような問題を改善する方法の一つとして、ポリアルキレングリコール骨格を有するグリシジルエーテル類と、エポキシ基と反応し得る官能基を有するシリコン化合物から得られたシリコン変性エポキシ樹脂を添加する方法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、該技術の製法では、シリコン変性エポキシ樹脂は分子内に少なくても2つ以上の水酸基を有するため、硬化性組成物の貯蔵時にポリマーとのエステル交換が起こり硬化性を落とすため、硬化遅延が生じたり、逆に水酸基による偽架橋反応によって3次元架橋が進み、貯蔵後に増粘し接着性が低下するという課題があった。
特開昭59−24771号公報 特公昭62−35421号公報 特公昭62−28177号公報 特開2004−107652号公報
本発明の課題は、金属・ガラス・塗装面はもとより、特に、モルタル・石材のような多孔質基材に対して、プライマー処理無しでも強固に接着するだけではなく、浸水時においても接着性の劣化を最小限に抑えることが可能で、なおかつ貯蔵安定性も良好な硬化性組成物を提供することである。
本発明者らは、前記の問題を解決するために鋭意検討した結果、反応性ケイ素基含有有機重合体と、特定の構造を有する反応性ケイ素基含有有機重合体とをブレンドすることにより、貯蔵前後で硬化性などの諸物性を保ちつつ、硬化性組成物の強度、とりわけモルタルに対する浸水後の接着性が大幅に向上することを見出した。
すなわち本発明は、
(I)(A)反応性ケイ素基含有有機重合体(下記(B)成分を除く)、及び、(B)芳香環構造および/または水添された芳香環構造を有し、末端に反応性ケイ素基を有し、水酸基を有さない有機重合体を含有することを特徴とする硬化性組成物、
(II)(B)成分がビスフェノール構造を有する 、(I)に記載の硬化性組成物、
(III)(A)成分100重量部に対し、(B)成分を3〜100重量部含有する、(I)または(II)に記載の硬化性組成物、
(IV)(B)成分がビスフェノール類のアルキレンオキシド付加反応物を含有する、(I)〜(III)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
(V)ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加反応物が、ビスフェノールAとプロピレンオキシドとの付加反応物である、(IV)に記載の硬化性組成物、
(VI)ビスフェノールA1モルに対するプロピレンオキシドの反応量が2〜30モルである、(V)に記載の硬化性組成物、
(VII)ビスフェノールA1モルに対するプロピレンオキシドの反応量が2〜15モルである、(V)に記載の硬化性組成物、
(VIII)(A)成分の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体である、(I)〜(VII)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
(IX)(B)成分が、加水分解性の官能基をケイ素原子上に有するケイ素化合物による変性物である、(I)〜(VIII)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
(X)(B)成分が末端に下記一般式(6)または下記一般式(7)で表される構造を有する、(I)〜(IX)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
−O−R−SiR 3−b (6)
(一般式(6)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の2価の炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。bは0または1を表す。)
−W−R10−SiR11 3−c (7)
(一般式(7)中、R10は炭素数1〜20の置換または非置換の2価の炭化水素基を表す。R11は、炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。cは0または1を表す。Wは−O−CO−N(R12)−、−N(R12)−CO−O−、−N(R12)−CO−N(R12)−、−N(R12)−CS−N(R12)−または−S−を表す。R12は、水素、または、ハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表す。)
(XI)(A)成分が、下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する、(I)〜(X)のいずれか1項に記載の硬化性組成物、
−SiR 3−a (1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。aは0または1を表す。)
(XII)(I)〜(XI)のいずれか1項に記載の硬化性組成物を成分として含むシーリング材、
(XIII)(I)〜(XI)のいずれか1項に記載の硬化性組成物を成分として含む接着剤、
(XIV)(I)〜(XI)のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させて得られるコーティング材、
に関する。
本発明の硬化性組成物は、貯蔵前後で硬化性などの諸物性を保ちつつ、金属・ガラス・塗装面はもとより、特に、モルタル・石材のような多孔質基材に対して、プライマー処理無しでも強固に接着するだけではなく、浸水時においても接着性の劣化を最小限に抑えることが可能で、なおかつ貯蔵安定性も良好である。
以下、本発明について詳しく説明する。
(A)反応性ケイ素基含有有機重合体(下記(B)成分を除く)(以下、(A)成分ともいう)としては特に制限はなく、例えば主鎖骨格として一般に知られているオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体、飽和炭化水素系重合体、ポリエステル系重合体等を有する有機重合体を使用することができる。その中でも低温特性、可とう性、その他成分への相溶性の良さから、オキシアルキレン系重合体が特に好ましく、以下の(A)成分の説明では、代表例としてオキシアルキレン系重合体を主鎖骨格とするものについて記述する。
反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体は、下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する。
−SiR 3−a (1)
(一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。aは0または1を表す。)
一般式(1)中のRとしては、具体的には、例えばメチル基、エチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基や、R’がメチル基、フェニル基等である−OSi(R’)で示されるトリオルガノシロキシ基;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基などのフルオロアルキル基;クロロメチル基、1−クロロエチル基などのクロロアルキル基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、1−メトキシエチル基などのアルコキシアルキル基;アミノメチル基、N−メチルアミノメチル基、N,N−ジメチルアミノメチル基などのアミノアルキル基;アセトキシメチル基、メチルカルバメート基、2−シアノエチル基などがあげられる。これらの中では、原料の入手性からメチル基が好ましい。
一般式(1)中のXで表される加水分解性基としては、公知の加水分解性基があげられ、具体的には、例えば、水素、ハロゲン、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基などがあげられる。これらの中では、ハロゲン、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アシルオキシ基が活性が高いため好ましく、加水分解性が穏やかで取扱いやすいことからメトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。またエトキシ基やイソプロペノキシ基は、反応により脱離する化合物がそれぞれエタノール、アセトンであり、安全性の点で好ましい。
一般式(1)で表わされる反応性ケイ素基としては、具体的には、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2−プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基、ジイソプロポキシメチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(エトキシメチル)ジメトキシシリル基が好ましい。これらの中では、ジメトキシメチルシリル基、トリメトキシシリル基が強度の高い硬化物が得られるため好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体は、比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れる。また、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れ、更に接着性にも優れるといった特徴を有する。
(A)成分の主鎖骨格としては具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体などがあげられる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。
特にシーラント、接着剤などに使用される場合には、オキシプロピレンの繰り返し単位を重合体主鎖骨格の50重量%以上、好ましくは80重量%以上有するポリオキシプロピレン系重合体から成るものが非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
(A)成分の主鎖骨格は、発明の効果を損なわない範囲で、オキシアルキレン構造以外の重合体構造を有していてもよい。
(A)成分の主鎖構造は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖を有していてもよい。より高強度の硬化物を得たい場合には、分岐鎖を有することが好ましい。より高伸びの硬化物を得たい場合には、直鎖状であることが好ましい。(A)成分が分岐鎖を有する場合には、分岐鎖数は1〜4個が好ましく、1個がより好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体としては、開始剤の存在下、重合触媒を用いて、環状エーテル化合物の開環重合反応により得られるものが好ましい。
環状エーテル化合物としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これら環状エーテル化合物は1種のみでもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。これら環状エーテル化合物のなかでは、非晶質で比較的低粘度なポリオキシアルキレン系重合体を得られることから、特にプロピレンオキシドを用いることが好ましい。
開始剤としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのアルコール類;数平均分子量が300〜4,000であって、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレントリオールなどのポリオキシアルキレン系重合体などがあげられる。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、特開昭61−215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、特公昭46−27250号、特公昭59−15336号、米国特許3278457号、米国特許3278458号、米国特許3278459号、米国特許3427256号、米国特許3427334号、米国特許3427335号等に示される複合金属シアン化物錯体触媒による重合法、特開平10−273512号に例示されるポリホスファゼン塩からなる触媒を用いる重合法、特開平11−060722号に例示されるホスファゼン化合物からなる触媒を用いる重合法等、があげられ、特に限定されるものではないが、製造コストや、分子量分布の狭い重合体が得られることなどの理由から、複合金属シアン化物錯体触媒による重合法がより好ましい。
(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)は特に限定されないが、狭いことが好ましく、2.0未満が好ましく、1.6以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.4以下が特に好ましい。
(A)成分の数平均分子量は、GPCによるポリスチレン換算で、下限は8,000以上が好ましく、9,000以上がより好ましく、10,000以上が特に好ましい。上限は、50,000以下が好ましく、35,000以下がより好ましく、30,000以下が特に好ましい。(A)成分の数平均分子量が小さいと粘度が低いため硬化性組成物を使用する際の作業性がよくなる。一方で、得られる硬化物が硬くなり、伸び特性が低下する傾向がある。分子量が大きすぎると、反応性ケイ素基濃度が低くなりすぎ、硬化速度が遅くなる可能性がある。また、粘度が高くなりすぎ、取扱いが困難となる傾向がある。
(A)成分の反応性ケイ素基の導入方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。以下に導入方法を例示する。
(i)ヒドロシリル化:先ず、原料となる重合体(前駆重合体と記すこともある)に不飽和結合を導入し、この不飽和結合に対してヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応により付加させる方法である。不飽和結合の導入方法は任意の方法を利用できるが、例えば、水酸基などの官能基を有する前駆重合体に、この官能基に対して反応性を示す基および不飽和基を有する化合物を反応させ、不飽和基含有重合体を得る方法や、不飽和結合を有する重合性モノマーを共重合させる方法がある。
(ii)反応性基含有重合体(前駆重合体)とシランカップリング剤との反応:水酸基、アミノ基、不飽和結合などの反応性基を有する前駆重合体と、その反応性基と反応して結合を形成し得る基および反応性ケイ素基の両方を有する化合物(シランカップリング剤とも呼ばれる)とを反応させる方法である。前駆重合体の反応性基とシランカップリング剤の反応性基の組合せとしては、水酸基とイソシアネート基、水酸基とエポキシ基、アミノ基とイソシアネート基、アミノ基とチオイソシアネート基、アミノ基とエポキシ基、アミノ基とアクリル構造とのマイケル付加、カルボン酸基とエポキシ基、不飽和結合とメルカプト基などが挙げられるがこれらに限らない。
(i)の方法は、反応が簡便で、反応性ケイ素基の導入量の調整や、得られる反応性ケイ素基含有重合体の物性が安定であるため好ましい。(ii)の方法は反応の選択肢が多く、反応性ケイ素基導入率を高めることが容易で好ましい。
(i)の方法で使用されるヒドロシラン化合物の一部を例示する。トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(メトキシメチル)ジクロロシランなどのハロゲン化シラン類;ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシランなどのイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)などがあげられる。
(ii)の方法で使用できるシランカップリング剤としては、不飽和結合と反応する、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルジメトキシメチルシランなどのメルカプトシラン類;水酸基と反応する、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルジメトキシメチルシランなどのイソシアネートシラン類;水酸基、アミノ基、カルボン酸基と反応する、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシメチルシランなどのエポキシシラン類;イソシアネート基、チオイソシアネート基と反応する、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミンなどのアミノシラン類;3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシランなどのヒドロキシアルキルシラン類などがあげられる。上記のシランカップリング剤は一例であり、類似の反応を利用または応用してシリル基を導入することができる。
(A)成分の主鎖骨格中には本発明の効果を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては特に限定されないが、イソシアネート基と活性水素基との反応により生成する基(以下、アミドセグメントともいう)を挙げることができる。
主鎖骨格にウレタン結合やエステル結合を含有する(A)成分を含む硬化性組成物を硬化させた硬化物は、水素結合の作用等により、高い硬度が得られたり、強度が向上するなどの効果が得られる場合がある。一方で、ウレタン結合は熱などにより開裂する可能性もある。そのような特性を本発明の硬化性組成物に付与する目的で、(A)成分にアミドセグメントを導入したり、敢えてアミドセグメントを排除することもできる。アミドセグメントを有するポリオキシアルキレン系重合体は、粘度が高くなる傾向がある。また、アミドセグメントを有するポリオキシアルキレン系重合体は、硬化性が向上する場合もある。
アミドセグメントは下記一般式(2):
−NR−C(=O)− (2)
(一般式(2)中、Rは炭素数1〜10の有機基または水素原子を表す)で表される基である。
アミドセグメントとしては、具体的には、イソシアネート基とヒドロキシ基との反応、または、アミノ基とカーボネートとの反応により生成するウレタン基;イソシアネート基とアミノ基との反応により生成する尿素基;イソシアネート基とメルカプト基との反応により生成するチオウレタン基などを挙げることができる。また、本発明では、上記ウレタン基、尿素基、および、チオウレタン基中の活性水素が、更にイソシアネート基と反応して生成する基も、一般式(2)の基に含まれる。
アミドセグメントと反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の工業的に容易な製造方法を例示すると、末端に活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、過剰のポリイソシアネート化合物を反応させて、ポリウレタン系主鎖の末端にイソシアネート基を有する重合体とした後、あるいは同時に、該イソシアネート基の全部または一部に下記一般式(3):
Z−R−SiR 3−a (3)
(一般式(3)中、R、X、aは前記と同じ。Rは2価の有機基であり、より好ましくは炭素原子数1から20の炭化水素基である。Zは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれた活性水素含有基である)で表されるケイ素化合物のZ基を反応させる方法により製造されるものを挙げることができる。
また、末端に活性水素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体に下記一般式(4):
O=C=N−R−SiR 3−a (4)
(一般式(4)中、R、R、X、aは前記と同じ。)で表される反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物を反応させることにより製造されるものを挙げることができる。
一般式(3)で表されるケイ素化合物としては特に限定はないが、具体的に例示すると、γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、(N−フェニル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エチルアミノイソブチルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン等のヒドロキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;等が挙げられる。また、特開平6−211879号(米国特許5364955号)、特開平10−53637号(米国特許5756751号)、特開平10−204144号(EP0831108)、特開2000−169544号、特開2000−169545号に記載されている様に、各種のα,β−不飽和カルボニル化合物と一級アミノ基含有シランとのMichael付加反応物、または、各種の(メタ)アクリロイル基含有シランと一級アミノ基含有化合物とのMichael付加反応物もまた、一般式(3)で表されるケイ素化合物として用いることができる。
一般式(4)で表される反応性ケイ素基含有イソシアネート化合物としては特に限定はないが、具体的に例示すると、γ−トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−メチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−(メトキシメチル)ジメトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルメチルイソシアネート、トリエトキシメチルシリルメチルイソシアネート、ジメトキシメチルシリルメチルイソシアネート、ジエトキシメチルシリルメチルイソシアネート、(メトキシメチル)ジメトキシシリルメチルイソシアネート等が挙げられる。
(A)成分が主鎖骨格中にアミドセグメントを含む場合、アミドセグメントの数は1分子あたり平均で、1〜10個が好ましく、1.5〜5個がより好ましく、2〜3個がさらに好ましい。1個よりも少ない場合には、硬化性が十分ではない場合があり、10個よりも多い場合には、(A)成分が高粘度となり取り扱い難くなる可能性がある。
硬化性組成物の粘度を低くしたり、作業性を改善することなどを目的とする場合、(A)成分は実質的にアミドセグメントを含まないことが好ましい。
(A)成分は、1つの末端部位に平均して1個より多い反応性ケイ素基を含有していてもよい。通常上記(i)の方法で反応性ケイ素基を導入した場合には1つの末端部位に平均して1個以下に限定される。これに対し、前駆重合体に対し炭素−炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物を反応させ、さらにアルコール末端を不飽和基に変性することにより、1つの末端部位に1個より多い反応性ケイ素を導入することが可能となる。
炭素−炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物として具体的には、(メタ)アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、ブタジエンモノオキシド、1,4−シクロペンタジエンモノエポキシドが反応活性の点から好ましく、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。なお、明細書および請求項において(メタ)アリルはアリルおよび/またはメタリルを表す。
炭素−炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物の添加量は、ポリオキシアルキレン系重合体に対する炭素−炭素不飽和結合の導入量や反応性を考慮して任意の量を使用できる。特に、ポリオキシアルキレン系重合体に含有される水酸基に対するモル比が、下限は0.2以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。上限は、5.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。
前駆重合体に対し炭素−炭素不飽和結合を有するエポキシ化合物を開環付加反応させる際の反応温度は、60℃以上、150℃以下であることが好ましく、110℃以上、140℃以下であることがより好ましい。低ければ反応が殆ど進行しないし、高すぎるとポリオキシアルキレン系重合体の主鎖が分解してしまう虞がある。
上記方法により得られる反応性ケイ素基導入前の不飽和結合を有する重合体構造は、末端部位が下記一般式(5):
Figure 0006716459
(一般式(5)中、R,Rはそれぞれ独立に2価の有機基であり、隣接するそれぞれの炭素原子と結合する原子は、炭素、酸素、窒素のいずれかである。R,Rはそれぞれ独立に水素、または、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。nは1〜10の整数を表す。)で表される構造を有する。
(A)成分1分子中に含まれる反応性ケイ素基を有する末端構造は、平均して0.5個以上であることが好ましく、1.0個以上であることがより好ましく、1.1個以上であることがさらに好ましく、1.5個以上であることが最も好ましい。
(A)成分の反応性ケイ素基の1分子当たりの平均個数は、下限は、1.2個以上が好ましく、1.3個以上がより好ましく、1.5個以上が最も好ましい。上限は、6.0個以下が好ましく、5.5個以下がより好ましく、5.0個以下が最も好ましい。反応性ケイ素基数が1.2個未満の場合は高強度の硬化物が得られなくなる可能性があるため好ましくない。反応性ケイ素基数が6.0個を超える場合は高伸びの硬化物が得られなくなる可能性があるため好ましくない。
(A)成分の反応性ケイ素基の平均個数は、反応性ケイ素基が直接結合した炭素上のプロトンを高分解能H−NMR測定法により定量する方法により求めた平均個数と定義している。本発明における(A)成分中の反応性ケイ素基の平均個数の計算においては前駆重合体に対し、反応性ケイ素基を導入した際に、反応性ケイ素基が導入されなかった前駆重合体および副反応によって得られる、反応性ケイ素基が導入されていない重合体についても、同一の主鎖構造を有する(A)成分の一部とみなして、反応性ケイ素基の一分子中の平均個数を計算する際の母数(分子数)に含めて計算を行う。
本発明の硬化性組成物は、(B)芳香環構造および/または水添された芳香環構造を有し、末端に反応性ケイ素基を有し、水酸基を有さない重合体(以下、(B)成分ともいう)を含有する。(B)成分の芳香環構造および/または水添された芳香環構造としては、例えば、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール(ビスフェノールAD)、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、さらにこれらを水添した化合物等に由来する構造が挙げられる。これらの中では、接着性、及び原料入手性の観点から、ビスフェノール構造が好ましい。
これらの芳香環構造および/または水添された芳香環構造の中でもビスフェノールAに由来する構造を使用することが、硬化性組成物の強度、とりわけモルタルに対する浸水後の接着性が大幅に向上するため好ましい。
また、(B)成分はビスフェノール類のアルキレンオキシ後付加反応物を含有していても良く、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びこれらの混合物と、ビスフェノール型のエポキシ樹脂との反応物が挙げられる。特にビスフェノールAとプロピレンオキシドとの付加反応物が好ましいが、これに特定されるものではない。
また、(B)成分は、アルキレンオキシドに対するビスフェノール基の比率が高いほど、十分な接着性、とりわけ浸水後の接着性の劣化抑制に効果的である。具体的には、ビスフェノール1モルに対するプロピレンオキシドの反応量が2〜30モルであることが好ましく、2〜15モルであることが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物においては、耐水接着性の観点から、(B)成分が、加水分解性の官能基をケイ素原子上に有するケイ素化合物による変性物であることが好ましい。(B)成分が、加水分解性の官能基をケイ素原子上に有することで、硬化物中に架橋構造が形成され、長期に渡って良好な耐水接着性が発現すると考えられる。
(B)成分の反応性ケイ素基の導入方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。以下に導入方法を例示する。
(i)ヒドロシリル化:先ず、原料となる重合体(前駆重合体と記すこともある)に不飽和結合を導入し、この不飽和結合に対してヒドロシラン化合物をヒドロシリル化反応により付加させる方法であり、末端に下記一般式(6)で表される構造を導入することができる。
−O−R−SiR 3−b (6)
(一般式(6)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の2価の炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。bは0または1を表す。)
不飽和結合の導入方法は任意の方法を利用できるが、例えば、水酸基などの官能基を有する前駆重合体に、この官能基に対して反応性を示す基および不飽和基を有する化合物を反応させ、不飽和基含有重合体を得る方法や、不飽和結合を有する重合性モノマーを共重合させる方法がある。
(ii)反応性基含有重合体(前駆重合体)とシランカップリング剤との反応:水酸基、アミノ基、不飽和結合などの反応性基を有する前駆重合体と、その反応性基と反応して結合を形成し得る基および反応性ケイ素基の両方を有する化合物(シランカップリング剤とも呼ばれる)とを反応させる方法である。前駆重合体の反応性基とシランカップリング剤の反応性基の組合せとしては、水酸基とイソシアネート基、アミノ基とイソシアネート基、アミノ基とチオイソシアネート基、アミノ基とアクリル構造とのマイケル付加、不飽和結合とメルカプト基などが挙げられるがこれらに限らない。
(ii)の方法によって、(B)成分の末端に下記一般式(7)で表される構造を導入することができる。
−W−R10−SiR11 3−c (7)
(一般式(7)中、R10は炭素数1〜20の置換または非置換の2価の炭化水素基を表す。R11は、炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。cは0または1を表す。Wは−O−CO−N(R12)−、−N(R12)−CO−O−、−N(R12)−CO−N(R12)−、−N(R12)−CS−N(R12)−または−S−を表す。R12は、水素、または、ハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表す。)
(i)の方法は、反応が簡便で、反応性ケイ素基の導入量の調整や、得られる反応性ケイ素基含有重合体の物性が安定であるため好ましい。(ii)の方法は反応の選択肢が多く、反応性ケイ素基導入率を高めることが容易で好ましい。
(i)の方法で使用されるヒドロシラン化合物の一部を例示する。トリクロロシラン、ジクロロメチルシラン、ジクロロフェニルシラン、(メトキシメチル)ジクロロシランなどのハロゲン化シラン類;ジメトキシメチルシラン、ジエトキシメチルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、(クロロメチル)ジメトキシシラン、(メトキシメチル)ジメトキシシランなどのアルコキシシラン類;トリイソプロペニロキシシラン、(クロロメチル)ジイソプロペニロキシシラン、(メトキシメチル)ジイソプロペニロキシシランなどのイソプロペニロキシシラン類(脱アセトン型)などがあげられる。
(ii)の方法で使用できるシランカップリング剤としては、不飽和結合と反応する、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、メルカプトメチルジメトキシメチルシランなどのメルカプトシラン類;水酸基と反応する、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルトリメトキシシラン、イソシアネートメチルトリエトキシシラン、イソシアネートメチルジメトキシメチルシランなどのイソシアネートシラン類;水酸基、アミノ基、カルボン酸基と反応する、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシメチルシランなどのエポキシシラン類;イソシアネート基、チオイソシアネート基と反応する、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチル)プロピルトリエトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミンなどのアミノシラン類;3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリエトキシシランなどのヒドロキシアルキルシラン類などがあげられる。上記のシランカップリング剤は一例であり、類似の反応を利用または応用してシリル基を導入することができる。
(B)成分の反応性ケイ素基の1分子当たりの平均個数は、下限は、1.2個以上が好ましく、1.3個以上がより好ましく、1.5個以上が最も好ましい。上限は、6.0個以下が好ましく、5.5個以下がより好ましく、5.0個以下が最も好ましい。反応性ケイ素基数が1.2個未満の場合は高強度の硬化物が得られなくなる可能性があるため好ましくない。反応性ケイ素基数が6.0個を超える場合は高伸びの硬化物が得られなくなる可能性があるため好ましくない。
(B)成分の反応性ケイ素基の平均個数は、反応性ケイ素基が直接結合した炭素上のプロトンを高分解能H−NMR測定法により定量する方法により求めた平均個数と定義している。本発明における(B)成分中の反応性ケイ素基の平均個数の計算においては前駆重合体に対し、反応性ケイ素基を導入した際に、反応性ケイ素基が導入されなかった前駆重合体および副反応によって得られる、反応性ケイ素基が導入されていない重合体についても、同一の主鎖構造を有する(B)成分の一部とみなして、反応性ケイ素基の一分子中の平均個数を計算する際の母数(分子数)に含めて計算を行う。
本発明の硬化性組成物において、(B)成分の含有量は、特に限定されないが、(A)成分100重量部に対して3〜100重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。(B)成分の含有量が3重量部未満であると、十分な耐水接着性が発現しないことがあり、100重量部を超えると、硬化物の脆性が極度に低下することがある。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分と(B)成分のシラノール縮合触媒として硬化触媒を含有していても良い。硬化触媒の具体例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、ビス(アセチルアセトナート)ジイソプロポキシチタン、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)などのチタン化合物;ジメチル錫ジアセテート、ジメチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ビス(メチルマレエート)、ジブチル錫ビス(エチルマレエート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジブチル錫ビス(トリデシルマレエート)、ジブチル錫ビス(ベンジルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ビス(エチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ビス(ノニルフェノキサイド)、ジブテニル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(エチルアセトアセトナート)、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ビス(アセチルアセトナート)等の4価の有機錫化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテートなどの有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)などのジルコニウム化合物類が挙げられる。また、カルボン酸および/またはカルボン酸金属塩を硬化触媒として使用することもできる。また、国際公開第2008/078654号に記載されているようなアミジン化合物も使用できる。アミジン化合物の例として、1−(o−トリル)ビグアニド、1−フェニルグアニジン、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。一部のアミジンは室温で固体のものもあるが、分散しにくいといった課題がある場合は、それぞれの化合物に適した溶剤や可塑剤等を用いてあらかじめ分散や溶解させておくという手段も使うことができる。作業環境を考えると、高沸点溶剤が好ましい。
上記に挙げた硬化触媒のうち、ジブチル錫系硬化触媒は硬化性や接着性等のバランスが良好で、最も汎用に使用されている。しかし近年、ジブチル錫系硬化触媒は人体への悪影響が懸念されており、そのような場合はジオクチル錫系硬化触媒を使用することができる。ジオクチル錫系硬化触媒としては、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ビスアセチルアセトナートや、ジオクチル錫塩とケイ酸エチルとの反応物が工業的に入手可能であり好ましい。また非錫触媒としてチタン触媒は活性が高いことから、速硬化が求められる工業用接着剤や電気電子用接着剤の場合は好ましい。チタン触媒の中でも、ジイソプロポキシチタンビス(エチルアセトセテート)は硬化性と配合物の貯蔵安定性に優れることから特に好ましい。この触媒はTyzor PITAという商品名で販売されており入手も容易で好適に使用できる。
本発明の硬化性組成物が硬化触媒を含有する場合、その配合量としては、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、0.05〜15重量部がより好ましく、0.1〜10重量部が最も好ましい。硬化触媒の配合量がこの範囲であれば、硬化性組成物は優れた硬化性を有し、また適度な硬化時間を有するため作業性に優れたものとなる。
本発明の硬化性組成物は、可塑剤を含有していても良い。可塑剤は、硬化性組成物の粘度やスランプ性を調整する機能、得られる硬化物の引張り強度、伸び特性などの機械的な特性を調整する機能を有するものである。
可塑剤の具体例としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート、ジブチルセバケート、コハク酸ジイソデシル等の非芳香族二塩基酸エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシリノール酸メチル等の脂肪族エステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;トリメリット酸エステル類;塩素化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油;プロセスオイル類;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオールあるいはこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエーテル類等があげられる。
これらの中でも、(A)、(B)成分との相溶性、機械物性、コスト等の点から、ポリプロピレングリコールや、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート等が好ましい。
これらの可塑剤は、1種類のみを配合してもよく、複数種を組み合わせて配合してもよい。また低分子可塑剤と高分子可塑剤を併用してもよい。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合することも可能である。
本発明の硬化性組成物が可塑剤を含有する場合、その配合量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が特に好ましい。可塑剤の配合量が30重量部を超えると硬化物の強度低下や接着性が低下する傾向がある。
また、これらの可塑剤以外に、高分子可塑剤を添加することもできる。高分子可塑剤の添加により、重合体成分を分子中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を添加した場合に比較して、硬化性組成物は、初期特性を長期にわたり維持できること、得られた硬化物にアルキド塗料を塗布した場合の乾燥性(塗装性ともいう)を改良できるなどの効果が発現する。
高分子可塑剤としては、特に限定されず、ビニル系モノマーを種々の方法で重合して得られるビニル系重合体;ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のポリアルキレングリコールのエステル類;セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリクロロプレン等が挙げられる。
これらの高分子可塑剤のなかでも、(A)、(B)成分との相溶性が高く、得られる硬化物の耐候性、耐熱性が良好なことからビニル系重合体が好ましく、この中でもアクリル系重合体および/又はメタクリル系重合体がより好ましく、ポリアクリル酸アルキルエステルなどのアクリル系重合体がさらに好ましい。
ポリアクリル酸アルキルエステルの製造方法としては、特に限定されないが、分子量分布が狭く、低粘度化が可能なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移動ラジカル重合法がより好ましい。また、SGOプロセスと呼ばれる特開2001−207157号などに開示されているアクリル酸アルキルエステル系化合物を高温、高圧下で連続塊状重合する方法が特に好ましい。
高分子可塑剤の数平均分子量は、500〜15,000が好ましく、800〜10,000がより好ましく、1,000〜8,000がさらに好ましく、1,000〜5,000が特に好ましく、1,000〜3,000が最も好ましい。高分子可塑剤の分子量が低すぎると得られる硬化物から熱や降雨により可塑剤が経時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、埃付着などによる汚染の原因となる可能性が有り、アルキド塗装性に劣る傾向がある。一方、分子量が高すぎると硬化性組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる傾向がある。
高分子可塑剤の分子量分布は特に限定されないが、狭いことが好ましく、1.80未満、1.70以下が好ましく、1.60以下がより好ましく、1.50以下がさらに好ましく、1.40以下が特に好ましく、1.30以下が最も好ましい。
数平均分子量はポリエーテル系重合体の場合は末端基分析法で、その他の重合体の場合はGPC法で測定される。また、分子量分布(Mw/Mn)はGPC法(ポリスチレン換算)で測定される。
高分子可塑剤は、分子中に反応性ケイ素基の有無を問わないが、反応性ケイ素基を有する高分子可塑剤を添加した場合は、高分子可塑剤が硬化反応に取り込まれ、得られた硬化物からの可塑剤の移行を防止できることから好ましい。
反応性ケイ素基を有する高分子可塑剤を配合する場合、反応性ケイ素基の数は1分子あたり平均して1個以下であることが好ましく、0.8個以下であることがより好ましい。
高分子可塑剤は、1種類のみを添加してもよく、複数種を組み合わせて添加してもよい。また、低分子可塑剤と高分子可塑剤を併用してもよい。なおこれらの可塑剤は、(A)、(B)成分の製造時に添加してもよい。
高分子可塑剤の添加量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が特に好ましい。30重量部を超えると硬化物の機械強度が不足する傾向がある。
本発明の硬化性組成物には、アミノシランを添加することができる。アミノシランとは、分子中に反応性ケイ素基とアミノ基を有する化合物であり、通常、接着付与剤と称される。これを使用することで、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩化ビニル、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。他にも物性調整剤、無機充填材の分散性改良剤等として機能し得る化合物である。
アミノシランの反応性ケイ素基の具体的な例としては、既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が好ましい。
アミノシランの具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(2−(2−アミノエチル)アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−エチルアミノ)−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシメチルシラン、N−フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(2−アミノエチル)アミノメチルトリメトキシシラン、N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等のアミノ基含有シラン類;N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等のケチミン型シラン類を挙げることができる。
これらのうち良好な接着性を確保するためには、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。アミノシランは1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランは他のアミノシランに比べて刺激性があることが指摘されており、このアミノシランを減量する代わりに、γ−アミノプロピルトリメトキシシランを併用することで刺激性を緩和させることができる。
本発明の硬化性組成物がアミノシランを含有する場合、その配合量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して1〜20重量部程度が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。アミノシランの配合量が1重量部未満であると十分な接着性が得られない場合がある。一方、アミノシランの配合量が20重量部を超えると、硬化物がもろくなって十分な強度が得られなくなり、また硬化速度が遅くなる場合がある。
本発明の硬化性組成物には、アミノシラン以外の接着付与剤を使用することができる。アミノシラン以外の接着付与剤の具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、(イソシアネートメチル)トリメトキシシラン、(イソシアネートメチル)ジメトキシメチルシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類等を挙げることができる。
これらのうち、良好な接着性を確保するためには、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
また、上記シラン類を部分的に縮合した縮合体も使用できる。さらに、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等も接着付与剤として用いることができる。
本発明の硬化性組成物において、接着付与剤は、各種被着体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩化ビニル、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合には、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕著である。接着付与剤としては上記に挙げたシラン化合物以外の化合物も用いることが出来る。具体例としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。接着付与剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着体に対する接着性を改善することができる。
本発明の硬化性組成物が接着付与剤を含有する場合、その含有量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対し、0.01〜20重量部程度が好ましく、0.1〜10重量部程度がより好ましく、1〜7重量部程度が特に好ましい。接着付与剤の含有量がこの範囲を下回ると、接着性が十分に得られない場合がある。一方、接着付与剤の含有量がこの範囲を上回ると実用的な深部硬化性が得られない場合がある。
本発明の硬化性組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂は添加量に応じて触媒活性を低下させる場合があるため、エポキシ樹脂の添加量は少ないことが好ましい。エポキシ樹脂の使用量としては、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して、5重量部以下が好ましく、0.5重量部以下がより好ましく、実質的に、含有していないことが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物には酸化防止剤(老化防止剤)を使用することができる。酸化防止剤を使用すると硬化物の耐熱性を高めることができる。酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、モノフェノール系、ビスフェノール系、ポリフェノール系が例示できるが、特にヒンダードフェノール系が好ましい。同様に、チヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB944LD,CHIMASSORB119FL(以上いずれもBASFジャパン株式会社製);MARK LA−57,MARK LA−62,MARK LA−67,MARK LA−63,MARK LA−68(以上いずれも株式会社ADEKA製);サノールLS−770,サノールLS−765,サノールLS−292,サノールLS−2626,サノールLS−1114,サノールLS−744(以上いずれも三共株式会社製)に示されたヒンダードアミン系光安定剤を使用することもできる。酸化防止剤の具体例は特開平4−283259号公報や特開平9−194731号公報にも記載されている。
本発明の硬化性組成物が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物には光安定剤を使用することができる。光安定剤を使用すると硬化物の光酸化劣化を防止できる。光安定剤としてベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が例示できるが、特にヒンダードアミン系が好ましい。光安定剤の具体例は特開平9−194731号公報にも記載されている。
本発明の硬化性組成物が光安定剤を含有する場合、その使用量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物に光硬化性物質を併用する場合、特に不飽和アクリル系化合物を用いる場合、特開平5−70531号公報に記載されているようにヒンダードアミン系光安定剤として3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いるのが組成物の保存安定性改良のために好ましい。3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としてはチヌビン622LD,チヌビン144,CHIMASSORB119FL(以上いずれもBASFジャパン株式会社製);MARK LA−57,LA−62,LA−67,LA−63(以上いずれも株式会社ADEKA製);サノールLS−765,LS−292,LS−2626,LS−1114,LS−744(以上いずれもBASFジャパン株式会社製)などが例示できる。
本発明の硬化性組成物には紫外線吸収剤を使用することができる。紫外線吸収剤を使用すると硬化物の表面耐候性を高めることができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系、置換トリル系及び金属キレート系化合物等が例示できるが、特にベンゾトリアゾール系が好ましい。
本発明の硬化性組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その使用量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、0.2〜5重量部であることがより好ましい。フェノール系やヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を併用することが好ましい。
本発明の硬化性組成物には充填剤を添加することができる。充填剤としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスミクロバルーン、フェノール樹脂や塩化ビニリデン樹脂の有機ミクロバルーン、PVC粉末、PMMA粉末など樹脂粉末の如き充填剤;ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物が充填剤を含有する場合、その含有量は(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して1〜250重量部であり、10〜200重量部であることが好ましい。
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華などから選ばれる充填剤が好ましく、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対し、1〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で破断伸びが大きい硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、重質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーンなどから選ばれる充填剤を、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して5〜200重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。なお、一般的に炭酸カルシウムは、比表面積の値が大きいほど硬化物の破断強度、破断伸び、接着性の改善効果は大きくなる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。炭酸カルシウムを使用する場合、表面処理微細炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムなどの粒径が大きい炭酸カルシウムを併用することが望ましい。表面処理微細炭酸カルシウムの粒径は0.5μm以下が好ましく、表面処理は脂肪酸や脂肪酸塩で処理されていることが好ましい。また、粒径が大きい炭酸カルシウムの粒径は1μm以上が好ましく表面処理されていないものを用いることができる。
硬化性組成物の作業性(キレなど)向上や硬化物表面を艶消し状にするためには、有機バルーン、無機バルーンの添加が好ましい。これらの充填剤は表面処理することもでき、1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用することもできる。バルーンの粒径は、作業性(キレなど)向上の観点からは0.1mm以下であることが好ましく、硬化物表面を艶消し状にする観点からは5〜300μmであることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は硬化物の耐薬品性が良好であるなどの理由により、サイジングボード、特に窯業系サイジングボード、など住宅の外壁の目地や外壁タイルの接着剤、外壁タイルの接着剤であって目地に接着剤がそのまま残るものなどに好適に用いられるが、外壁の意匠とシーリング材の意匠が調和することが望ましい。特に、外壁としてスパッタ塗装、着色骨材などの混入により高級感のある外壁が用いられるようになっている。本発明の硬化性組成物に直径が0.1mm以上、好ましくは0.1〜5.0mm程度の鱗片状または粒状の物質が配合されていると、硬化物はこのような高級感のある外壁と調和し、耐薬品性が優れるためこの硬化物の外観は長期にわたって持続するすぐれた硬化性組成物となる。粒状の物質を用いると砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感がある表面となり、鱗片状物質を用いると鱗片状に起因する凹凸状の表面となる。
鱗片状または粒状の物質の好ましい直径、配合量、材料などは特開平9−53063号公報に記載されているように次の通りである。
直径は0.1mm以上、好ましくは0.1〜5.0mm程度であり、外壁の材質、模様等に合わせて適当な大きさのものが使用される。0.2〜5.0mm程度や0.5〜5.0mm程度のものも使用可能である。鱗片状の物質の場合には、厚さが直径の1/10から1/5程度の薄さ(0.01〜1.00mm程度)とされる。鱗片状または粒状の物質は、シーリング主材内に予め混合されてシーリング材として施工現場に運搬されるか、使用に際して、施工現場にてシーリング主材内に混合される。
鱗片状または粒状の物質は、硬化性組成物100重量部に対して、1〜200重量部程度が配合される。配合量は、個々の鱗片状または粒状の物質の大きさ、外壁の材質、模様等によって、適当に選定される。
鱗片状または粒状の物質としては、ケイ砂、マイカ等の天然物、合成ゴム、合成樹脂、アルミナ等の無機物が使用される。目地部に充填した際の意匠性を高めるために、外壁の材質、模様等に合わせて、適当な色に着色される。
また、同様の目的でバルーン(好ましくは平均粒径が0.1mm以上のもの)を用いれば砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感がある表面になり、かつ軽量化を図ることができる。バルーンの好ましい直径、配合量、材料などは特開平10−251618号公報に記載されているように次の通りである。
バルーンは、球状体充填剤で内部が中空のものである。このバルーンの材料としては、無機系の、あるいは有機系の、またはこれらを複合させるなどしたバルーンを使用することができる。具体例としては、ガラス、シラス、シリカなどの無機系の材料、および、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン、サランなどの有機系の材料があげられるが、これらのみに限定されるものではなく、無機系の材料と有機系の材料とを複合させたり、また、積層して複数層を形成させたりすることもできる。また、使用するバルーンは、同一のバルーンを使用しても、あるいは異種の材料のバルーンを複数種類混合して使用しても差し支えがない。さらに、バルーンは、その表面を加工ないしコーティングしたものを使用することもできるし、またその表面を各種の表面処理剤で処理したものを使用することもできる。例えば、有機系のバルーンを炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどでコーティングしたり、無機系のバルーンを接着付与剤で表面処理することなどが挙げられる。
砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感がある表面を得るには、バルーンは粒径が0.1mm以上であることが好ましい。0.2〜5.0mm程度や0.5〜5.0mm程度のものも使用可能である。0.1mm未満のものでは、多量に配合しても硬化性組成物の粘度を上昇させるだけで、ざらつき感が発揮されない場合がある。バルーンの配合量は目的とする砂まき調あるいは砂岩調のざらつき感の程度によって容易に定めることができる。通常、粒径が0.1mm以上のものを硬化性組成物中の容積濃度で5〜25vol%の範囲となる割合で配合することが望ましい。バルーンの容積濃度が5vol%未満であるとざらつき感がなく、また25vol%を超えると、シーリング材や接着剤の粘度が高くなり作業性が悪く、硬化物のモジュラスも高くなり、シーリング材や接着剤の基本性能が損なわれる傾向にある。シーリング材の基本性能とのバランスが特に好ましい容積濃度は8〜22vol%である。
バルーンを用いる際には特開2000−154368号公報に記載されているようなスリップ防止剤、特開2001−164237号公報に記載されているような硬化物の表面を凹凸状態に加えて艶消し状態にするためのアミン化合物、特に融点35℃以上の第1級および/または第2級アミンを添加することができる。
バルーンの具体例は特開平2−129262号、特開平4−8788号、特開平4−173867号、特開平5−1225号、特開平7−113073号、特開平9−53063号、特開平10−251618号、特開2000−154368号、特開2001−164237号、国際公開第97/05201号などの各公報に記載されている。
本発明の硬化性組成物がシーリング材硬化物粒子を含む場合も硬化物は表面に凹凸を形成し意匠性を向上させることができる。シーリング材硬化物粒子の好ましい直径、配合量、材料などは特開2001−115142号公報に記載されているように次の通りである。
直径は0.1〜1mmが好ましく、0.2〜0.5mm程度がより好ましい。配合量は硬化性組成物中5〜100重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。材料は、ウレタン樹脂、シリコーン、変成シリコーン、多硫化ゴム等を挙げることができシーリング材に用いられるものであれば限定されないが、変成シリコーン系のシーリング材が好ましい。
また、本発明の硬化性組成物には、シリケートを用いることができる。このシリケートは、架橋剤として作用し、本発明の硬化性組成物の硬化物の復元性、耐久性、および、耐クリープ性を改善する機能を有する。また更に、接着性および耐水接着性、高温高湿条件での接着耐久性を改善する効果も有する。シリケートとしてはテトラアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物が使用できる。シリケートを使用する場合、その使用量は(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して0.1〜20重量部であり、0.5〜10重量部であることが好ましい。
シリケートの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート)、および、それらの部分加水分解縮合物等があげられる。
テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物は、復元性、耐久性、および、耐クリープ性の改善効果がテトラアルコキシシランよりも大きい為により好ましい。
テトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物としては、例えば、通常の方法でテトラアルコキシシランに水を添加し、部分加水分解させて縮合させたものがあげられる。また、オルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物は、市販のものを用いることができる。このような縮合物としては、例えば、メチルシリケート51、エチルシリケート40(いずれもコルコート(株)製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には粘着性付与樹脂を添加することができる。粘着性付与樹脂としては、特に限定されないが、常温で固体、液体を問わず通常使用されるものを使用することができる。具体例としては、スチレン系ブロック共重合体、その水素添加物、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂(例えば、カシューオイル変性フェノール樹脂、トール油変性フェノール樹脂等)、テルペンフェノール樹脂、キシレン−フェノール樹脂、シクロペンタジエン−フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、キシレン樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、スチレン共重合体樹脂、石油樹脂(例えば、C5炭化水素樹脂、C9炭化水素樹脂、C5C9炭化水素共重合樹脂等)、水添石油樹脂、テルペン系樹脂、DCPD樹脂石油樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
スチレン系ブロック共重合体およびその水素添加物としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)等が挙げられる。粘着性付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物が粘着性付与樹脂を含有する場合、その含有量は(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して、5〜1,000重量部であり、10〜100重量部であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物には溶剤または希釈剤を添加することができる。溶剤または希釈剤としては、特に限定されないが、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、エステル、ケトン、エーテル等を使用することができる。溶剤または希釈剤を使用する場合、硬化性組成物を屋内で使用した時の空気への汚染の問題から、溶剤の沸点は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、250℃以上が特に好ましい。溶剤または希釈剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。物性調整剤を用いることにより、本発明の硬化性組成物を硬化させた時の硬度を上げたり、逆に硬度を下げ、破断伸びを出したりし得る。物性調整剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
特に、加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物は硬化物の表面のべたつきを悪化させずに硬化物のモジュラスを低下させる作用を有する。特にトリメチルシラノールを生成する化合物が好ましい。加水分解により分子内に1価のシラノール基を有する化合物を生成する化合物としては、特開平5−117521号公報に記載されている化合物をあげることができる。また、ヘキサノール、オクタノール、デカノール等のアルキルアルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノール等のRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物、特開平11−241029号公報に記載されているトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールあるいはソルビトール等のヒドロキシ基数が3以上の多価アルコールの誘導体であって加水分解によりトリメチルシラノールなどのRSiOHを生成するシリコン化合物を生成する化合物をあげることができる。
本発明の硬化性組成物が物性調整剤を含有する場合、その含有量は、(A)、(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、0.5〜10重量部であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添加しても良い。垂れ防止剤としては特に限定されないが、例えば、ポリアミドワックス類;水添ヒマシ油誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙げられる。また、特開平11−349916号公報に記載されているような粒子径10〜500μmのゴム粉末や、特開2003−155389号公報に記載されているような有機質繊維を用いると、チクソ性が高く作業性の良好な硬化性組成物が得られる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物がチクソ性付与剤を含有する場合、その含有量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部である。
本発明の硬化性組成物においてはエポキシ基を含有する化合物を使用できる。エポキシ基を含有する化合物を使用すると硬化物の復元性を高めることができる。エポキシ基を含有する化合物としてはエポキシ化不飽和油脂類、エポキシ化不飽和脂肪酸エステル類、脂環式エポキシ化合物類、エピクロルヒドリン誘導体およびそれらの混合物等が例示できる。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、ビス(2−エチルヘキシル)−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカーボキシレート(E−PS)、エポキシオクチルステアレ−ト、エポキシブチルステアレ−ト等があげられる。これらのなかではE−PSが特に好ましい。
本発明の硬化性組成物がエポキシ基を含有する化合物を含有する場合、その含有量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して0.5〜50重量部である。
本発明の硬化性組成物には、ポリリン酸アンモニウム、トリクレジルホスフェートなどのリン系可塑剤、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、および、熱膨張性黒鉛などの難燃剤を添加することができる。難燃剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物が難燃剤を含有する場合、その含有量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して5〜200重量部であり、10〜100重量部であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物または硬化物の諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。このような添加物の例としては、たとえば、硬化性調整剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤、防蟻剤、防かび剤などがあげられる。これらの各種添加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本明細書にあげた添加物の具体例以外の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開2001−72854号の各公報などに記載されている。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、硬化剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合する2成分型として調製することもできる。作業性の点からは、1成分型が好ましい。
本発明の硬化性組成物が1成分型の場合、すべての配合成分が予め配合されるため、水分を含有する配合成分は予め脱水乾燥してから使用するか、また配合混練中に減圧などにより脱水するのが好ましい。本発明の硬化性組成物が2成分型の場合、反応性ケイ素基を有する重合体を含有する主剤に硬化触媒を配合する必要がないので配合剤中には若干の水分が含有されていてもゲル化の心配は少ないが、長期間の貯蔵安定性を必要とする場合には脱水乾燥するのが好ましい。脱水、乾燥方法としては粉状などの固状物の場合は加熱乾燥法または減圧脱水法、液状物の場合は減圧脱水法または合成ゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、生石灰、酸化マグネシウムなどを使用した脱水法が好適である。かかる脱水乾燥法に加えて、n−プロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルシリケート、エチルシリケート、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を添加し、水と反応させて脱水してもよい。また、3−エチル−2−メチル−2−(3−メチルブチル)−1,3−オキサゾリジンなどのオキサゾリジン化合物を配合して水と反応させて脱水してもよい。また、イソシアネート化合物を少量配合してイソシアネート基と水とを反応させて脱水してもよい。アルコキシシラン化合物やオキサゾリジン化合物、および、イソシアネート化合物の添加により、貯蔵安定性が向上する。
脱水剤、特にビニルトリメトキシシランなどの水と反応し得るケイ素化合物の使用量は、(A)、(B)成分の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、0.5〜10重量部であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物の調製法には特に限定はなく、例えば上述した成分を配合し、ミキサーやロールやニーダーなどを用いて常温または加熱下で混練したり、適した溶剤を少量使用して成分を溶解させ、混合したりするなどの通常の方法が採用されうる。
本発明の硬化性組成物は、好ましくは常温(23℃)で液状であり、大気中に暴露されると水分の作用により、三次元的に網状組織を形成し、ゴム状弾性を有する固体へと硬化する。
本発明の硬化性組成物は、粘着剤、建造物・船舶・自動車・道路などのシーリング材、接着剤、型取剤、防振材、制振材、防音材、発泡材料、塗料、吹付材などに使用できる。本発明の硬化性組成物を硬化して得られる硬化物は、柔軟性および接着性に優れることから、これらの中でも、シーリング材または接着剤、特にホットメルト接着剤ではない接着剤として用いることがより好ましい。
また、太陽電池裏面封止材などの電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材などの電気絶縁材料、弾性接着剤、コンタクト型接着剤、スプレー型シール材、クラック補修材、タイル張り用接着剤、粉体塗料、注型材料、医療用ゴム材料、医療用粘着剤、医療機器シール材、食品包装材、サイジングボード等の外装材の目地用シーリング材、コーティング材、プライマー、電磁波遮蔽用導電性材料、熱伝導性材料、ホットメルト材料、電気電子用ポッティング剤、フィルム、ガスケット、各種成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面(切断部)の防錆・防水用封止材、自動車部品、電機部品、各種機械部品などにおいて使用される液状シール剤等の様々な用途に利用可能である。更に、単独あるいはプライマーの助けを借りてガラス、磁器、木材、金属、樹脂成形物などの如き広範囲の基質に密着しうるので、種々のタイプの密封組成物および接着組成物としても使用可能である。また、本発明の硬化性組成物は、内装パネル用接着剤、外装パネル用接着剤、タイル張り用接着剤、石材張り用接着剤、天井仕上げ用接着剤、床仕上げ用接着剤、壁仕上げ用接着剤、車両パネル用接着剤、電気・電子・精密機器組立用接着剤、ダイレクトグレージング用シーリング材、複層ガラス用シーリング材、SSG工法用シーリング材、または、建築物のワーキングジョイント用シーリング材、アスファルトを併用した防水材としても使用可能である。
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(合成例1)
分子量約3,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、末端が水酸基である数平均分子量約15,000(送液システムとして東ソー社製HLC−8120GPCを用い、カラムは東ソー社製TSK−GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)の2官能ポリプロピレンオキシド重合体を得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレンジオールの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)36ppmを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン1.8重量部をゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端がジメトキシメチルシシリル基であり1分子あたりのケイ素基が平均1.6個、数平均分子量が15,000である反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体(ポリマーA−1)を得た。
(合成例2)
芳香環構造を有するジオール(ADEKA社製、商品名:BPX−55、分子量1104、OHV2.53mmol/g)100重量部にトルエン3重量部を加え、110℃減圧下で1.5時間共沸脱水を行った。90℃に温度を下げた後、メルカプト錫系触媒であるネオスタンU−360(日東化成(株)製)30ppmを添加し、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、商品名:A−LINK35)51.9重量部を加え反応させた。FT−IRでイソシアネート基のピーク(2272cm−1)の消失を確認して反応を終了させ、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)を得た。
(合成例3)
合成例2におけるBPX−55の代わりに、BPX−33(ADEKA社製、分子量817、OHV3.48mmol/g)100重量部を使用したこと以外は合成例2と同様にして、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−2)を得た。
(合成例4)
合成例2におけるBPX−55の代わりに、BPX−21(ADEKA社製、分子量640、OHV5.06mmol/g)100重量部を使用したこと以外は合成例2と同様にして、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−3)を得た。
(合成例5)
合成例2におけるBPX−55の代わりに、BPX−2000(ADEKA社製、分子量2778、OHV1.01mmol/g)100重量部を使用したこと以外は合成例2と同様にして、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−4)を得た。
(合成例6)
合成例2におけるBPX−55の代わりに、AC006(伊藤製油社製、芳香族含有ひまし油系ポリオール、OHV1.01mmol/g)100重量部を使用したこと以外は合成例2と同様にして、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−5)を得た。
(合成例7)
合成例2におけるBPX−55の代わりに、AC009(伊藤製油社製、芳香族含有ひまし油系ポリオール、OHV3.91mmol/g)100重量部を使用したこと以外は合成例2と同様にして、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−6)を得た。
(実施例1)
合成例1で得られた、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン系重合体(ポリマーA−1)90重量部、合成例2で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)10重量部、充填剤として、表面処理膠質炭酸カルシウム(白石工業社製、白艶華CCR)、脱水剤として、ビニルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、A−171)、接着付与剤として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、A−1120)、硬化触媒として、ジブチル錫ジアセトアセトネート(日東化成社製、ネオスタンU220H)をそれぞれ所定量ずつ配合して混練し、硬化性組成物を得た。
(実施例2)
実施例1における反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン系重合体(ポリマーA−1)を60重量部、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)を40重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例3)
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例3で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−2)を10重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例4)
実施例2におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例3で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−2)を40重量部使用したこと以外は、実施例2と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例5)
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例4で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−3)を10重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例6)
実施例2におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例4で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−3)を40重量部使用したこと以外は、実施例2と同様にして硬化性組成物を得た。
比較例3
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例5で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−4)を10重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
比較例4
実施例2におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例5で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−4)を40重量部使用したこと以外は、実施例2と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例9)
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例6で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−5)を10重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例10)
実施例2におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例6で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−5)を40重量部使用したこと以外は、実施例2と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例11)
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例7で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−6)を10重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
(実施例12)
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)の代わりに、合成例7で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−6)を40重量部使用したこと以外は、実施例2と同様にして硬化性組成物を得た。
(比較例1)
実施例1におけるトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−1)を添加せずに、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン系重合体(ポリマーA−1)を100重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物を得た。
以上の実施例及び比較例の配合比を表1に示す。
Figure 0006716459
以上のようにして得られた硬化性組成物を用いて、JIS5758に準じてH型試験片を被着体としてモルタルを用い、プライマーなしで作製した。得られた試験片を用いて、室温で7日、さらに50℃で7日養生した後、及び、更に50℃温水に7日間浸漬した直後に、50mm/分の速度で引張試験を行った。結果を表1に示す。また、比較例として、トリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体を添加しなかった場合の結果も併せて示す。
表1において、CF、AFはそれぞれ凝集破壊(cohesive failure)、界面破壊(Adhesive failure)を示す。凝集破壊とは、引張試験において試験片の破断時に破断箇所が被着体との接着面ではなく硬化物部分である場合である。界面破壊とは、上記破断箇所が被着体との接着面である場合である。また、MFとは、引張試験時に基材破壊(material failure)してしまったことを示す。破壊モードが凝集破壊、界面破壊の場合にはそれぞれの破壊モードの頭文字の後に破断面積における占有割合を示している。たとえば、凝集破壊100%の場合にはC100と、凝集破壊と界面破壊が50%ずつ発生している場合にはC50A50と表記している。また、Tbは破断強度であり、この値が大きいほど接着強度が高いことを示す。表1に示したように、実施例1〜6と9〜12では、比較例に比べ良好な耐水接着強度を示していることがわかる。また、(B)成分の、ビスフェノールA1モルに対するプロピレンオキシドの反応量が30モルを超えるBPX−2000を使用した場合は、上記のような効果は得られなかった。
(合成例8)
分子量約3,000のポリオキシプロピレンジオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテートグライム錯体触媒にてプロピレンオキシドの重合を行い、末端が水酸基である数平均分子量約15,000(送液システムとして東ソー社製HLC−8120GPCを用い、カラムは東ソー社製TSK−GEL Hタイプを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量)の2官能ポリプロピレンオキシド重合体を得た。続いてこの水酸基末端ポリオキシプロピレンジオールの水酸基に対して1.2倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)36ppmを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン1.8重量部をゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端がジメトキシメチルシシリル基であり1分子あたりのケイ素基が平均1.6個、数平均分子量が28,000である反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン重合体(ポリマーA−2)を得た。
(合成例9)
ビスフェノールA型アルキレンオキサイド付加ジグリシジルエーテル(ADEKA社製、商品名:アデカレジンEP4000、分子量640)100重量部をナスフラスコに入れ、窒素気流下でアミノプロピルトリメトキシシラン112重量部を加えた。80℃に昇温し、そのまま1時間攪拌を続けた。NMRにより、エポキシ基が完全に消失したことを確認して、末端がトリメトキシシリル基であり、分子内に水酸基を有している芳香環構造含有有機化合物(B−7)を得た。芳香環構造含有有機重合体(B−7)は水酸基を有しているため、本発明の硬化性組成物に用いられる(B)成分には該当しない。
(合成例10)
BPX−33(ADEKA社製、分子量817、OHV3.48mmol/g)100重量部を反応容器に加え、続いてこの水酸基に対して1.1倍当量のNaOMeのメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、さらに3−クロロ−1−プロペンを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。次に得られたアリル基末端ポリオキシプロピレン100重量部に対して白金ジビニルジシロキサン錯体(白金換算で3重量%のイソプロパノール溶液)100ppmを加え、撹拌しながら、ジメトキシメチルシラン23.2重量部をゆっくりと滴下した。その混合溶液を90℃で2時間反応させた後、未反応のジメトキシメチルシランを減圧下留去する事により、末端にジメトキシメチルシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−8)を得た。
(比較例2)
合成例8で得られた、反応性ケイ素基含有ポリオキシプロピレン系重合体(ポリマーA−2)70重量部、合成例9で得られたトリメトキシシリル基を有する芳香環構造含有有機重合体(B−7)30重量部、可塑剤としてジイソノニルフタレート90重量部、充填剤として膠質炭酸カルシウム(竹原化学工業社製、NeolightSP)160重量部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、LM2200)54重量部、酸化チタン(石原産業社製、R820)5重量部、チクソ性付与剤(Arkema社製、craylarrac SL)5重量部、紫外線吸収剤(BASF社製、チヌビン770)1重量部、光安定剤(BASF社製、チヌビン326)1重量部、脱水剤としてビニルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、A−171)3重量部、接着付与剤として、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、A−1120)3重量部、硬化触媒として、ジブチル錫ジアセトアセトネート(日東化成社製、ネオスタンU220H)0.5重量部をそれぞれ所定量ずつ配合して混練しカートリッジに充填し1液型硬化性組成物を得た。1液型硬化性組成物を50℃のオーブンに4週間貯蔵した。比較例2の硬化性組成物は4週間の貯蔵後に、目視で確認できるぐらいのダマが発生した。
(実施例13)
比較例2における芳香環構造含有有機重合体(B−7)の代わりに、合成例2で得られた芳香環構造含有有機重合体(B−1)を30重量部使用したこと以外は、比較例2と同様にして1液型硬化性組成物を作製し評価を行った。
(実施例14)
比較例2における芳香環構造含有有機重合体(B−7)の代わりに、合成例10で得られた芳香環構造含有有機重合体(B−8)を30重量部使用したこと以外は、比較例2と同様にして1液型硬化性組成物を作製し評価を行った。
本発明の硬化性組成物は、貯蔵後に硬化させた場合も良好な接着性を示す硬化物となる。このことを検証する為に、カートリッジ内に密封した状態で50℃で4週間貯蔵した後の硬化性組成物を用いて、JIS5758に準じてH型試験片を被着体としてモルタルを用い、プライマーなしで作製した。得られた試験片を用いて、室温で7日、さらに50℃で7日養生した後、及び、更に50℃温水に7日間浸漬した後に50mm/分の速度で引張試験を行った。またB型粘度計を用いて10回転での粘度を貯蔵前後で測定し、粘度変化率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006716459
実施例13は比較例2と比較して50℃温水に浸漬した後の接着強度が高く、実施例14は比較例2と比較して50℃温水に浸漬した後の接着強度維持率が高いことが分かった。この要因としては、比較例2では実施例13、14と比べて、貯蔵後の粘度変化率が高く、3次元架橋が進行しており、接着界面との濡れ性が不十分であることが考えられる。

Claims (10)

  1. (A)反応性ケイ素基含有有機重合体(下記(B)成分を除く)、及び、
    (B)ビスフェノール構造および/または水添されたビスフェノール構造を有し、末端に反応性ケイ素基を有し、水酸基を有さない有機重合体であって、ビスフェノールA1モルに対するプロピレンオキシドの反応量が2〜30モルであるビスフェノールAとプロピレンオキシドとの付加反応物を含有する有機重合体
    を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A)成分100重量部に対し、(B)成分を3〜100重量部含有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. ビスフェノールA1モルに対するプロピレンオキシドの反応量が2〜15モルである、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. (A)成分の主鎖骨格がポリオキシアルキレン系重合体である、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. (B)成分が、加水分解性の官能基をケイ素原子上に有するケイ素化合物による変性物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. (B)成分が末端に下記一般式(6)または下記一般式(7)で表される構造を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
    −O−R−SiR 3−b (6)
    (一般式(6)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の2価の炭化水素基を表す。Rは炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。bは0または1を表す。)
    −W−R10−SiR11 3−c (7)
    (一般式(7)中、R10は炭素数1〜20の置換または非置換の2価の炭化水素基を表す。R11は、炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。cは0または1を表す。Wは−O−CO−N(R12)−、−N(R12)−CO−O−、−N(R12)−CO−N(R12)−、−N(R12)−CS−N(R12)−または−S−を表す。R12は、水素、または、ハロゲン置換されていてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表す。)
  7. (A)成分が、下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
    −SiR 3−a (1)
    (一般式(1)中、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の炭化水素基を表す。Xはそれぞれ独立に水酸基または加水分解性基を表す。aは0または1を表す。)
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を成分として含むシーリング材。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を成分として含む接着剤。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させて得られるコーティング材。

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