JP6716334B2 - 情報処理装置、情報処理方法、およびコンピュータプログラム。 - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法、およびコンピュータプログラム。 Download PDF

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Description

本発明は、移動体を測定することにより得られた信号を処理する情報処理装置、情報処理方法、およびコンピュータプログラムに関するものである。
一般に、モータ等の移動体の移動量、角度、位置などを検出するために、光学式のロータリエンコーダが広く利用されている。光学式のロータリエンコーダでは、発光ダイオードやLED等からなる発光素子から、信号の検出に必要なパターンが形成された回転信号板に対して均一光を照射する。そして、パターンを透過した透過光、または信号板からの反射光を、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ等の受光素子で検知する。検知結果から電気信号パターンを作成する。そして、当該電気信号パターンに基づいてエンコーダ出力信号を生成している。尚、エンコーダ出力信号は、機能的区分けとして、相対位置を出力するインクリメンタル方式と、絶対位置を出力するアブソリュート方式が知られている。ここでは、インクリメンタル方式について説明する。
インクリメンタル方式では、内挿処理により高精度な位置検出を実現する技術が知られている。これは、エンコーダ信号の振幅及びオフセットの値が揃っており、互いの位相が90°異なる2相のアナログ正弦波信号が出力されることを前提条件としている。
具体的な内挿処理の方法としては、抵抗分割による方法や、逆正接(arctan)演算による方法が知られている。
逆正接演算を行う方法としては、「CORDIC(COordinate Rotation DIgital Computer)アルゴリズム」と呼ばれる座標データの回転演算処理方法が知られている。CORDICでは、先ず入力信号を2次元座標データとして扱う。そして、この2次元座標データの座標回転を、ビットシフトと加減算という単純な演算の繰返しのみを実行することで逆正接演算を実現することが可能になっている。
ただし、実際のエンコーダ出力信号には、高調波成分が含まれており、理想的な正弦波の信号でない。そのため、エンコーダ出力信号に対して、振幅、オフセット及び位相の誤差を補正しても、厳密な正弦波信号とはならず、内挿処理を行う際に検出誤差が発生していた。
特許文献1に開示されている技術では、このような検出誤差を補正するため、エンコーダの検出変位量(検出角度)を微分した値、つまり、変位速度が一定となるような補正値を生成している。生成された補正値を検出位置毎に設定しておくことにより、検出位置を補正している。また、特許文献2に開示されている技術では、検出誤差の推移が周期的であることを利用し、その検出誤差量を正弦波と近似することによって、検出誤差量を逐次演算し、検出位置を補正している。
特開2009−303358号公報 特開2006−170837号公報
しかしながら、例えば、特許文献1に示される方法では、検出位置の分解能分だけ補正値を用意する必要がある。よって、検出位置の高分解能化にともなって補正値を格納するメモリ領域が膨大になってしまう。一方、特許文献2では、まず、補正値を生成するための演算時間が必要になる。更に、検出誤差の推移が理想的な正弦波と近似できる場合であっても、検出誤差を演算するために用いている位置情報(参照位置)が、誤差を含む検出位置であるので、原理的に検出誤差の演算精度が低くなってしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、検出誤差の補正用のメモリ容量を抑えつつ、高精度に、移動体のエンコーダ信号を処理することを目的とする。
上述の問題点を解決するため、本発明の情報処理装置は、移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角を収束させることにより算出する算出手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、検出誤差の補正用のメモリ容量を抑えつつ、高精度に、移動体のエンコーダ信号を処理することが出来る。
第1実施形態に係るモータ制御装置の制御ブロック図。 第1実施形態に係る変位検出部の構成を示す図。 第1実施形態に係る内挿処理部の構成を示す図。 第1実施形態に係る逆正接演算部の構成を示す図。 第2実施形態に係る逆正接演算部の構成を示す図。 第3実施形態に係る逆正接演算部の構成を示す図。 第4実施形態に係る逆正接演算部の構成を示す図。 第5実施形態に係る変位検出部の構成を示す図。 第5実施形態に係る高調波成分除去フィルタ部の構成を示す図。 モータ制御装置の概略図。 2相エンコーダ出力信号を説明する図。 理想エンコーダ信号波形(正弦波)及び実際のエンコーダ信号波形を例示的に示す図。 モータの実際の変位に対する検出変位量及び検出誤差を例示的に示す図。 第1実施形態、第2実施形態、第5実施形態における高調波歪エンコーダ信号波形を示す図。 第1実施形態における演算結果を示す図。 第2実施形態における演算結果を示す図。 第3実施形態における補正なしの場合の演算結果を示す図。 第3実施形態における高調波歪エンコーダ信号波形を示す図。 第3実施形態における演算結果を示す図。 第5実施形態における演算結果を示す図。
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
(第1実施形態)
本発明に係る情報処理装置の第1実施形態として、モータ制御装置に実装され、エンコーダ信号に重畳される高調波歪を除去可能な情報処理装置について説明する。
(モータ制御装置の構成)
図10は、本実施形態におけるモータ制御装置の概略図である。図10(a)はモータ制御装置1000の全体図を、図10(b)はエンコーダスケール1002の概略平面図を示している。また、モータ制御装置1000は、回転モータ1001のモータ軸の回転角(変位量)を検出する。
検出は、回転スリット円板及び固定スリット円板を有するエンコーダスケール1002と、発光素子(発光ダイオード)と受光素子(フォトダイオード)を有するセンサ部1003とで行われる。回転スリット円板は、回転モータ1001のモータ軸に取付けられ、モータ軸とともに回転する。一方、固定スリット円板及びセンサ部1003は、基板に固定されている。発光素子と受光素子との間には、回転スリット円板と固定スリット円板が位置するよう構成されている。
エンコーダスケール1002には、複数のスリット1005が設けられている。エンコーダスケール1002は、回転モータ1001のモータ軸の回転変位に伴い、モータ軸を回転軸中心として回転する。回転スリット円板が回転することにより、発光素子の光は、透過するか又は遮断されることになる。また、固定スリット円板は、エンコーダの出力信号を2相にするため、固定スリットが2つに分かれている。
センサ部1003には2つの受光素子が設けられており、それぞれの受光素子は、スリット1005を通過し、さらに固定スリットによってA相パターンとB相パターンの二種にわけられた光を検出することにより2相の電気信号パターンを形成する。
図11は、2相エンコーダ出力信号を説明する図である。図11に示すように、光学式エンコーダでは互いに位相が90°異なるA相信号とB相信号が生成される。これらは2相エンコーダ信号を得る場合であるが、複数相エンコーダ信号を得る場合は、固定スリット、受光素子はそれぞれ複数個用意される。なお、エンコーダの検出原理は光学式(透過式)に限られず、反射光を用いた光学式、静電式、磁気式など他の方式を採用することも可能である。また、回転スリット円板はモータ軸ではなく、モータ制御装置1000によって駆動される被駆動体に取り付けられ、被駆動体の移動量を検出するものであってもよい。
モータコントローラ1004は、回転モータ1001の回転駆動を制御する。モータコントローラ1004は、回転モータ1001を駆動する駆動手段、及び、この駆動手段を制御する制御手段を備える。モータコントローラ1004は、目標値であるモータ回転角(目標変位量)と実測値であるモータ検出角度(検出変位量)とを比較する。そして、実測値が目標値に等しくなるようにフィードバック制御する。これは、クローズドループと呼ばれるモータ制御方式であるが、モータ検出角度(検出変位量)は取得するが、目標値と比較することなくモータを駆動するオープンループの制御方式の場合であっても採用可能である。
図1は、本実施形態におけるモータ制御装置の制御ブロック図である。駆動手段101は、上位の制御手段であるモータコントローラ1004からの出力信号に基づいて、所定の駆動信号1を回転モータ1001に供給する。可動部102(被測定体)であるモータ軸は、駆動信号1が入力されることにより、所定の回転角度だけ変位する。変位検出部103は、可動部102の回転角度の変位量(位置変位量)を検出し、検出結果を出力する。
図2は、本実施形態における変位検出部103の構成を示す図である。可動部102に連動したエンコーダ201は、変位量に応じて、図11に示すような、90度位相が異なる正弦波状2相信号のエンコーダ信号を生成し、内挿処理部202へ出力する。このエンコーダ信号は、図12の実際のエンコーダ信号(1相のみ図示)に示すように、理想的な正弦波ではなく、一般的に高調波成分を含んでいる。この高調波成分は、発光素子の光強度分布発生、固定スリットおよび回転スリットによる回折現象などの光学現象が複雑に相俟って発生する。ここで、エンコーダ201としては、例えば光学式のエンコーダが用いられる。しかし、高調波成分が発生および重畳する現象は、磁気式エンコーダにおいても、磁界分布歪や磁気抵抗歪などが原因で発生することが知られており、光学式のエンコーダに限定されるものではない。
図3は、内挿処理部202の構成を示す図である。アナログ/デジタル(A/D)変換器301は、アナログ波状信号であるアナログA相信号4及びアナログB相信号5を、デジタル信号(デジタルA相信号6、デジタルB相信号7)に変換するためのものである。A/D変換前後のエンコーダ信号に含まれるノイズ分を除去するために、フィルタ回路や、ノイズ除去回路が内挿処理部202に搭載される。なお、このフィルタ回路やノイズ除去回路の構成は、公知のものが利用可能であるためここでは詳細な説明は省略する。
オフセット・位相差補正部302では、デジタルA相信号6、デジタルB相信号7の各々について、それぞれの基準値に対してオフセット処理を施す。このオフセット処理によってA相、B相のエンコーダ信号は、0を基準に正負に変動する信号となる。
また、位相差補正では、A相とB相の位相差が90°になるように補正処理を行う。この位相差補正処理では、位相差が90°からの誤差分だけ、一方のエンコーダ信号に回転演算処理を行うものや、A相とB相の和とA相とB相の差を新たな2相信号とすることで、新たな2相信号では90°位相が保証される手法などがある。このようにしてオフセット・位相差補正された調整デジタルA相信号8、調整デジタルB相信号9が得られる。
領域判定部303は、調整デジタルA相信号8、調整デジタルB相信号9から作られるリサージュの象限(領域)を判定する。A相信号、B相信号がともに正の場合は第一象限、A相信号が負、B相信号が正の場合は第二象限、A相信号、B相信号がともに負の場合は第三象限、A相信号が正、B相信号が負の場合は第四象限とする。このとき象限の移動に伴って、エンコーダの位置情報がインクリメントあるいはディクリメントされ、荒い位置情報が得られる。この位置情報は、たとえばエンコーダスリット間隔を360°と規定した場合は、90°単位で位置を取得することが可能である。この荒い位置情報と後述する内挿位置を足したものが、検出変位量となるのだが、本説明では、内挿処理(内挿位置)にのみ着目するため、この荒い位置情報に関しては以降説明を省略する。
また、領域判定部303以降の演算処理は正の値のみで実行できるようにするため、領域判定部303は、調整デジタルA相信号の絶対値であるA相データX10と、調整デジタルB相信号の絶対値であるB相データY11が出力される。
逆正接演算部304は、A相データX10とB相データY11をもとにして逆正接値(arctan)演算を実行して内挿位置を計算し、0°〜90°つまり、1象限内の内挿位置12を出力する。
角度変換部305は、逆正接演算部304により計算された0°〜90°の範囲の内挿位置12を領域判定部303による象限情報(4分割)によって補正する。具体的には、第一象限および第三象限の場合は、内挿位置12がそのまま検出変位量に、第二象限および第四象の場合に、90°−内挿位置が検出変位量となる。(荒い位置情報を考慮する場合は、ここで荒い位置情報を加算する)このようにして、変位検出部103は、エンコーダ信号から内挿処理を施した高精度な角度値を算出していく。ここで、従来の技術のように、逆正接演算部304による角度算出は理想的な正弦波であることを前提とした演算を行うと演算誤差が発生してしまう。これは、エンコーダ信号に含まれている高調波成分が原因であり、検出誤差が発生する。
図12は、理想エンコーダ信号波形(正弦波)及び実際のエンコーダ信号波形を示す図である。また、図13は、図14に示す実際のエンコーダ信号波形が入力されたときの検出変位量と検出誤差を示す図である。なお、検出誤差とは駆動されたモータの実際の変位量と検出変位量の差分である。
図13に示すように、検出誤差の影響により、検出変位量は実際の変位量に対して線形となっていない。つまり、グラフ上で曲線となっている。なお、エンコーダ信号が理想的な正弦波である場合は、変位検出誤差が発生せず、実際の変位量と検出変位量は線形となっている。つまり、グラフ上で直線となる。
また、図13に示す検出誤差の変化から分かるように、検出誤差は、実際の変位量に対して周期的に、つまり、エンコーダ信号の高調波成分の発生量に依存しており、かつ、一つのエンコーダスリット間隔(360[deg])内で4周期分の変動を生じている。そして、約±5[deg]程度の誤差が発生している。ただし、これはエンコーダ信号が図14に示すエンコーダ波形の場合の特性例であり、これに限定されるものではない。尚、上記の傾向は余弦波でも同様である。
以上で説明したように、エンコーダ信号には高調波成分が発生しており、高調波成分を考慮しない演算を行うと検出誤差が発生してしまう。本実施形態では、変位検出部103の検出精度を向上させるため、エンコーダ信号に含まれる高調波成分を考慮した逆正接演算(高調波歪補正CORDIC回転演算手法)を行う。以降、詳細に説明していく。
(高調波成分を考慮した逆正接演算部の構成)
図4に、本実施形態における高調波歪補正可能なCORDIC回転演算を用いた逆正接演算部304の構成図を示す。尚、本実施形態においては、CORDIC演算を用いた説明をしているが、2分探索などの反復計算を用いて回転角を収束させ、求めても良い。第1実施形態で想定されるA相入力信号X(A相データX10)とB相入力信号Y(B相データY11)はそれぞれ、式1で示される。ただし、すでに説明したようにA相データX10とB相データY11は絶対値として入力されるため、実際には正の値のみをとるものとする。

第1実施形態では式1に示すように3次高調波成分までを考慮し、また式1内のa1は基本波成分の係数(強度)を、a3は3次高調波成分の係数(強度)を示しており、A相とB相でそれぞれ同じ場合を対象とする。ここで、逆正接演算を行う。具体的には、本実施形態では、数式1から求められる数式2に示す関係式を満たす回転角θをCORDIC回転演算の手法によって求める。

41は強度情報(a1、a3)であり、既知情報として上位の制御手段から回転方向判別部401に入力される。この強度情報は、例えば、エンコーダ信号をあらかじめFFT(高速フーリエ変換)によって周波数解析し、基本波および3次高調波の強度成分を抽出する方法などで得られる。ただし必ずしも強度成分でなくてもよく、検出誤差が小さくなるような任意値を強度情報に相当する値として選択してもよい。
(θ回転演算)
θ回転演算では、基本回転角θでの回転演算を実施し、これは、基本波成分に対応する座標データを求めるための、回転演算処理である。θ回転演算を構成する選択部402は、一連のCORDIC演算における回転演算の1回目は基準座標データ42の固定値(1,0)を選択し、繰り返し演算となる2回目以降はCORDIC回転演算結果であるθ回転座標データ48が選択される。A相データX10やB相データY11が更新され、新たに逆正接演算を行う場合は、上記繰り返し演算がクリアされる。そして新たなCORDIC演算が開始されるものとなり、再帰的に回転演算1回目として基準座標データ42(1,0)が選択され、以降は回転座標データ48が選択される。
θi回転部404は、θ回転選択座標データ44を回転方向δi47の方向にθiの回転角だけ回転する回転演算回路である。この回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式3に示す回転演算を実行する。

ここで(Xi−1、Yi−1)はθi回転部404の入力座標データであり、(Xi、Yi)はθi回転部404の出力座標データを表す。また、最終的な繰り返し演算回数mにたいして、繰り返し回転演算回数iは0からm−1の値をとる。また、数式3において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1、Y−1)のとなるが、これは回転演算1回目として選択部402で選択される基準座標データ42(1, 0)のことである。また、回転方向δi47は繰り返し回転演算回数iが0の時は1(正回転(左回り))固定であり、以降は回転方向判別部401の判別結果によって1あるいは‐1(逆回転(右回り))が選択される。さらに数式3で示される回転演算回数iに対する回転演算の実回転角θiは数式4で示される。

2θ回転補正部406は、θi回転部404と後述する3θi回転部405の回転演算回数の差が起因の絶対値ズレを補正する補正回路である。具体的には数式5で示す演算を実施する。

ただし、右辺のXin、Yinはθi回転部404の出力である補正前の回転座標データ46であり、左辺のXout、Youtは2θ回転補正部406によって補正された(更新された)回転座標データ48(COSθ,SINθ)である。
ただし、この演算は必ずしもこの回転補正部で実行される必要はなく、同機能を実現する演算回路が後述の回転方向判別部401内に配置されてもよい。
以上の一連操作が、基本的なCORDIC演算(θ回転演算)における、繰り返し回転演算1回に相当する。本実施形態では、この基本的なCORDIC演算(θ回転演算)と同時に、図4に示す3θ回転演算も実行される。
(3θ回転演算)
3θ回転演算では、回転角3θでの回転演算を実施し、これは、3次高調波成分に対応する座標データを求めるための、回転演算処理である。3θ回転演算を構成する選択部403は、一連のCORDIC演算(3θ)における回転演算の1回目は基準座標データ43(1,0)を選択し、繰り返し演算となる2回目以降はCORDIC回転演算結果である3θ回転座標データ49が選択される。A相データX10やB相データY11が更新され、新たに逆正接演算を行う場合は、上記繰り返し演算がクリアされる。そして新たなCORDIC演算が開始されるものとなり、再び回転演算1回目として基準座標データ43(1,0)が選択され、以降は回転座標データ49が選択される。
3θi回転部405では、3θ回転選択座標データ45を回転方向δi47の方向に3θiの回転角だけ回転する。この回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式6に示す回転演算を実行する。

ここで(Xi−1’、Yi−1’)は3θi回転部405の入力座標データであり、(Xi’、Yi’)は3θi回転部405の出力座標データ(回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ))を表す。また、数式3において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1’、Y−1’)のとなるが、これは回転演算1回目として選択部403で選択される基準座標データ43(1,0)のことである。さらに数式6で示される回転演算回数iに対する回転演算の実回転角3θiは数式7で示される。

以上の一連操作が、本発明の特徴の一つであるCORDIC演算(3θ回転演算)における、繰り返し回転演算1回に相当する。ここで求められた回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)がエンコーダ信号に含まれる3次高調波成分に相当する。
以上のように、θ回転演算と3θ回転演算によって回転座標データ48(COSθ,SINθ)、および回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)が得られた。ただし、実際にはCORDIC回転演算の特性により、回転演算を実行するたびに絶対値が大きくなるため、回転座標データ48と回転座標データ49には、ある係数がかかっている。しかし、すでに述べた2θ回転補正部406によって、互いの座標データの係数はそろっている状態である。そのため、以降説明する回転方向判別部での演算結果には直接影響しないため、その係数の表記は省略するものとする。尚、上記では基準座標データ42、43は(1,0)としているが、これは正弦成分がゼロであり、すべての余弦成分が共通であれば、任意の座標データをとっても良い。たとえば(2,0)でもよいし、(0.5,0)でもよい。
(回転方向の判別)
回転方向判別部401には、以下のデータが入力される。θ回転演算と3θ回転演算で得られた回転座標データ48(COSθ,SINθ)、および回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)である。さらに、上位の制御手段から与えられる強度情報41(a1およびa3)とエンコーダ信号入力であるA相データX10とB相データY11も入力される。方向判別部では、方向判別の演算式(判別条件)によって次回の繰り返し回転演算の回転方向δi47が決定される。判別式を数式8に示す。

数式8が真の時、正回転(左回り)となり、δiは1、数式8が偽の時、逆回転(右回り)となり、δiは‐1の値をとる。ただし、数式8は数学的に導出が可能であるため、判別式は数式8に限定されるものではない。たとえば、数式9に示すように、分母を払い、除算を省略した判別式を用いてもよい。数式8の数学的意味を保存しつつ導出可能な式はすべて本実施形態で採用されてもよい。

このように3次高調波成分である(COS3θ,SIN3θ)が判別式に含まれており、これが3次高調波の補正効果を成している。以上のように回転方向δi47が決定されることによって、次回の繰り返し回転演算が実行可能となる。
(内挿位置算出)
以上のθ回転演算、3θ回転演算、回転方向判別を、最終的な繰り返し演算回数m実行されることによって、式2を満足する回転座標データ48、49と回転角情報となるδiデータ列(データの履歴)が得られる。最後の演算行程として偏角演算部407では、δiデータ列に対し数式10に示す演算を行うことによって、回転座標データ48が成す偏角θ、つまり高調波成分が除去された内挿位置12(θ)が求められる。

以上で説明したとおり本実施形態によれば、エンコーダ出力信号に含まれる高調波成分を3次まで除外した偏角算出(逆正接演算)が可能となる。結果として、3次高調波成分による検出誤差が除去(補正)された高精度な検出位置を得ることができる。図13に示すエンコーダ信号を入力した際の本実施形態での演算結果を図15に示す。なお、演算結果は、基本波成分強度a1が1、3次高調波成分強度a3が−0.094の場合となっている。図示の通り、検出誤差が約±0.15[deg]程度と補正しない場合に比べ大幅に誤差が減少している。その結果、検出変位量も理想変位量とほぼ一致している。(グラフ上では重なっている)
これまで説明してきたように、3次高調波成分の演算(3θ回転演算)は、従来のCORDIC演算(θ回転演算に相当する)と同時に演算が行われるものである。そして、方向判別も従来のCORDIC演算のものに対し3次高調波分を追加した判別式に改良されたものであり、演算処理速度としては従来のCORDIC演算(θ回転演算のみの場合)と比較して遜色ない。また、検出誤差の補正用メモリの増加を抑えることも可能となっている。尚、本実施形態は他の形態に適用することも可能である。例えば、上述の説明においては、可動部として回転モータを用いているが、これに代えて直動機構を用いてもよい。また、駆動手段として、モータやピエゾなどのアクチュエータより駆動してもよい。
(第2実施形態)
第2実施形態では、逆正接演算部304の他の構成について説明する。具体的には、5次高調波成分まで考慮した構成であり、5θの回転演算が追加されている。また、方向判別式が異なる。以降の説明では、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。
(高調波成分を考慮した逆正接演算部の構成)
図5に、本実施形態における5次高調波歪まで補正可能なCORDIC回転演算を用いた逆正接演算部304の構成図を示す。第2実施形態で想定されるA相データX10とB相データY11はそれぞれ、数式11で示される。ただし、すでに説明したようにA相データX10とB相データY11は絶対値として入力されるため、実際には正の値のみをとるものとする。

本実施形態では数式11に示すように5次高調波成分までを考慮し、また数式1内のa1は基本波成分の強度を、a3は3次高調波成分の強度を、a5は5次高調波成分を示しており、A相とB相でそれぞれ同じ場合を対象とする。ここで、逆正接演算を行う。具体的には、本実施形態では、数式11から求められる数式12に示す関係式を満たすθをCORDIC回転演算の手法によって求める。

51は強度情報(a1、a3、a5)であり、既知情報として上位の制御手段から回転方向判別部501に入力される。この強度情報は、例えば、エンコーダ信号をあらかじめFFT(高速フーリエ変換)によって周波数解析し、基本波、3次高調波および5次高調波の強度成分を抽出する方法などで得られる。
(θ回転演算)
基本的動作は第1実施形態と同じであるが、4θ回転補正部504が異なっている。
4θ回転補正部504では、θi回転部404と後述する5θi回転部503の回転演算回数の差が起因の絶対値ズレを補正する。具体的には数式13で示す演算を実施する。

ただし、右辺のXin、Yinはθi回転部404の出力である補正前回転座標データ46であり、左辺のXout、Youtは4θ回転補正部504によって補正された(更新された)回転座標データ48(COSθ,SINθ)である。
(3θ回転演算)
基本的動作は第1実施形態と同じであるが、2θ回転補正部505が追加されている。
2θ回転補正部505では、3θi回転部405と後述する5θi回転部503の回転演算回数の差が起因の絶対値ズレを補正する。具体的には数式14で示す演算を実施する。

ただし、右辺のXin、Yinはθi回転部405の出力である補正前回転座標データ52であり、左辺のXout、Youtは2θ回転補正部505によって補正された(更新された)回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)である。
(5θ回転演算)
5θ回転演算を構成する選択部502は、一連のCORDIC演算(5θ)における回転演算の1回目は基準座標データ53(1,0)を選択し、繰り返し演算となる2回目以降はCORDIC回転演算結果である5θ回転座標データ55が選択される。A相データX10やB相データY11が更新され、新たに逆正接演算を行う場合は、上記繰り返し演算がクリアされる。そして、新たなCORDIC演算が開始され、再び回転演算1回目として基準座標データ53(1,0)が選択され、以降は回転座標データ55が選択される。
5θi回転部503では、5θ回転選択座標データ54を回転方向δi47の方向に5θiの回転角だけ回転する。この回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式15に示す回転演算を実行する。

ここで(Xi−1’’、Yi−1’’)は5θi回転部503の入力座標データである。(Xi’’、Yi’’)は5θi回転部503の出力座標データ(回転座標データ55(COS5θ,SIN5θ))を表す。また、式14において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1’’、Y−1’’)となるが、これは回転演算1回目として選択部502で選択される基準座標データ53(1,0)のことである。更に、数式15で示される回転演算回数iに対する回転演算の実回転角5θiは数式16で示される。

以上の一連操作が、本実施形態における5θ回転演算のCORDIC演算における繰り返し回転演算の1回に相当する。ここで、求められた回転座標データ55(COS5θ,SIN5θ)がエンコーダ信号に含まれる5次高調波成分に相当する。
以上のように、θ回転演算と3θ回転演算、および5θ回転演算によって回転座標データ48(COSθ,SINθ)、回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)、および回転座標データ55(COS5θ,SIN5θ)が得られた。ただし、実際にはCORDIC回転演算の特性により、回転演算を実行するたびに絶対値が大きくなるため、回転座標データ48と回転座標データ49と回転座標データ55には、係数がかかっている。しかし、すでに述べた4θ回転補正部504、2θ回転補正部505によって、互いの座標データの係数はそろっている状態である。そのため、以降説明する回転方向判別部での演算結果には直接影響しないため、その係数の表記は省略するものとする。
(回転方向判別)
回転方向判別部501には、θ回転演算と3θ回転演算および5θ回転演算で得られた回転座標データ48(COSθ,SINθ)、回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)、および回転座標データ55(COS5θ,SIN5θ)が入力される。さらに、上位の制御手段から与えられる強度情報51(a1およびa3およびa5)とエンコーダ信号入力であるA相データX10とB相データY11も入力される。方向判別部では、方向判別の演算式によって次回の繰り返し回転演算の回転方向δi47が決定される。判別式を数式17に示す。

数式17が真の時、正回転(左回り)となり、δiは1、式16が偽の時、逆回転(右回り)となり、δiは‐1の値をとる。ただし、第1実施形態と同様に数式17は数学的に導出が可能であるため、判別式は数式17に限定されるものではない。数学的意味を保存しつつ導出可能な式はすべて本発明で採用されてもよい。
このように3次高調波成分(COS3θ,SIN3θ)と5次高調波成分(COS5θ,SIN5θ)が判別式に含まれており、これが5次高調波までの補正効果を成している。
以上のように回転方向δi47が決定されることによって、次回の繰り返し回転演算が実行可能となる。
(内挿位置算出)
以上のθ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算、回転方向判別を、最終的な繰り返し演算回数m実行されることによって、式11を満足する回転座標データ48、49、55が得られる。最後の演算行程として、偏角演算部407では、数式10に示す演算を行うことによって、内挿位置12(θ)が求められる。
以上で説明したとおり第2実施形態によれば、エンコーダ出力信号に含まれる高調波成分を5次まで除外した逆正接演算が可能となる。結果として、3次および5次高調波成分による検出誤差が除去(補正)され、第1実施形態よりさらに高精度な検出位置を得ることができる。第1実施形態と同様、3次高調波成分の演算(3θ回転演算)ならびに5次高調波成分の演算(5θ回転演算)は、従来のCORDIC演算(θ回転演算に相当する)と同時に演算が行われるものである。方向判別は従来のCORDIC演算のものに対し3次高調波分、5次高調波分を追加した判別式に改良されたものであり、演算処理速度としては従来のCORDIC演算(θ回転演算のみの場合)と比較して遜色ない。図13に示すエンコーダ信号を入力した際の第2実施形態での演算結果を図16に示す。なお、演算結果は、基本波成分強度a1が1、3次高調波成分強度a3が−0.094、5次高調波成分強度a5が−0.0023の場合のものである。検出誤差が約±0.02[deg]程度と第1実施形態の3次高調波までの補正時に比べさらに誤差が減少している。
また、第2実施形態では5次高調波までの補正方法を示したが、第1実施形態に対する第2実施形態の構成拡張を同様に実施することで、余弦成分COS(nθ)、正弦成分(nθ)(nは正で奇数)の高調波成分の補正が可能である。具体的には、nθ回転演算までの追加、および回転演算回数を補正する回転補正部の追加、および回転方向判別部における判別式の変更である。このように本発明では、容易に高次の高調波成分除去可能な逆正接演算を提供できる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、逆正接演算部304の他の構成について説明する。第一実施形態との違いは、A相、B相で基本波ならびに高調波成分の強度が異なる場合に応じた逆正接演算を提供することである。第1実施形態では、数式1に示すようにA相とB相における基本波成分強度、および高調波成分強度が同じ場合である。しかし、エンコーダの特性やエンコーダ信号のフィルタ処理、位相差補正処理など影響を受け同じにはならない可能性がある。また、高調波成分の補正精度はこの強度情報の精度にも起因するため、より高精度に強度を与えるためには、A相、B相で別々に強度を設定できるようにした方が都合がよい。よって、本実施形態では、A相、B相で基本波ならびに高調波成分の強度が異なる場合に応じた逆正接演算を提供する。以降の説明では、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。
(高調波成分を考慮した逆正接演算部の構成)
図6に、本実施形態における3次高調波歪まで補正可能なCORDIC回転演算を用いた逆正接演算部304の構成図を示す。第3実施形態で想定されるA相データX10とB相データY11はそれぞれ、式17で示される。ただし、すでに説明したようにA相データX10とB相データY11は絶対値として入力されるため、実際には正の値のみをとるものとする。

本実施形態では数式18に示すようにA相とB相で各成分強度が異なっている。よって、本実施形態では、数式18から求められる数式19に示す関係式を満たすθをCORDIC回転演算の手法によって求める。(逆正接演算を行う)。

61は強度情報(a1、a3、b1、b3)であり、既知情報として上位の制御手段から回転方向判別部601に入力される。この強度情報は、例えば、エンコーダ信号をあらかじめFFT(高速フーリエ変換)によって周波数解析し、各強度成分を抽出する方法などで得られる。
(θ回転演算)
θ回転演算、3θ回転演算に関しては、第1実施形態と同じである。
(回転方向判別)
回転方向判別部601には、θ回転演算と3θ回転演算で得られた回転座標データ48(COSθ,SINθ)、および回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)が入力される。さらに、上位の制御手段から与えられる強度情報61(a1、a3およびb1、b3)とエンコーダ信号入力であるA相データX10とB相データY11が回転方向判別部601も入力される。方向判別部では、方向判別の演算式によって次回の繰り返し回転演算の回転方向δi47が決定される。判別式を数式20に示す。

数式20が真の時、正回転(左回り)となり、δiは1、数式20が偽の時、逆回転(右回り)となり、δiは‐1の値をとる。ただし、第1実施形態と同様に数式20は数学的に導出が可能であるため、判別式は数式20に限定されるものではない。数学的意味を保存しつつ導出可能な式はすべて本実施形態で採用されてもよい。以上のように、回転方向δi47が決定されることによって、繰り返し回転演算が成されていく。
以上で説明したとおり、本実施形態によれば、A相、B相で基本波ならびに高調波成分の強度が異なる場合にも3次高調波成分を除去した逆正接演算の提供が可能である。
図18に示すエンコーダ信号を入力した際の補正無しの演算結果を図17に、第3実施形態での演算結果を図19に示す。尚、図19はA相基本波成分強度a1が0.94、B相基本波成分強度b1が0.90、A相3次高調波成分強度a3が0.055、B相3次高調波成分強度b3が0.11の場合の演算結果である。補正なしの場合、検出誤差が約約±8[deg]であったのに対し、第3実施形態では検出誤差が約±0.2[deg]程度へ大幅に減少している。その結果、検出変位量も理想変位量とほぼ一致している。(グラフ上では重なっている)
本実施形態では、想定するエンコーダ信号の理論式に応じて、回転方向判別部の判別式を変更することによって、容易に対応可能とする。また、本実施形態においても、第2実施形態と同様に高次の高調波成分除去可能な構成に拡張することが可能である。拡張方法は第2実施形態で述べたとおりであり、第3実施形態に対する高次の高調波成分除去構成の説明は省略する。
(第4実施形態)
第4実施形態では、逆正接演算部304の他の構成について説明する。回転方向判別部における演算負荷の軽減するための構成になる。判別式による回転方向決定プロセスは、CORDIC回転演算の一部であり、繰り返し実行される。そのため、この回転方向判別部における演算負荷を軽減すること、具体的には加算減算のみにすることが可能であり、その結果、逆正接演算の演算速度の向上が可能となる。以降の説明では、第1実施形態ならびに第3実施形態と異なる点について主に説明する。
(高調波成分を考慮した逆正接演算部の構成)
図7に、本実施形態における3次高調波歪まで補正可能なCORDIC回転演算を用いた逆正接演算部304の構成図を示す。第4実施形態で想定するA相データX10とB相データY11は第3実施形態と同様であり、式17に示されたとおりである。よって、本実施形態では、第3実施形態と同様に、式18で示される関係式を満たすθをCORDIC回転演算の手法によって求めるものである。(逆正接演算を行う)
(回転演算の初期値生成)
初期値生成部701の構成は、他の実施施形態と大きく異なっている。初期値生成部701には、上位の制御手段から与えられる強度情報61(a1、a3およびb1、b3)とエンコーダ信号入力であるA相データX10とB相データY11が与えられる。初期値生成部701ではこれらの情報をもとに4つの座標データを生成し、これらを後段の回転演算に供給する。具体的には初期座標データ71(Ya1,0)、初期座標データ72(Xb1,0)、初期座標データ73(Ya3,0)、初期座標データ74(Xb3,0)である。
(θ回転演算)
他の実施形態とは異なり、θ回転演算はθ回転演算1ならびにθ回転演算2の2つが構成される。θ回転演算1を構成する選択部702は、一連のCORDIC演算における回転演算の1回目は初期座標データ71(Ya1,0)を選択し、繰り返し演算となる2回目以降はCORDIC回転演算結果であるθ回転座標データ81が選択される。A相データX10やB相データY11が更新され、新たに逆正接演算を行う場合は、上記繰り返し演算がクリアされる。そして、新たなCORDIC演算が開始されるものとなり、再び回転演算1回目として、更新された初期座標データ71(Ya1,0)が選択され、以降は回転座標データ81が選択される。θi回転部706では、θ回転選択座標データ75を回転方向δi47の方向にθiの回転角だけ回転する。この回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して式3に示す回転演算を実行する。ここで、(Xi−1、Yi−1)はθi回転部706入力座標データであり、(Xi、Yi)はθi回転部706の出力座標データを表す。また、最終的な繰り返し演算回数mに対して、繰り返し回転演算回数iは0からm−1の値をとる。また、数式3において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1、Y−1)のとなるが、これは回転演算1回目として選択部702で選択される初期座標データ71(Ya1,0)のことである。また、回転方向δi47は繰り返し回転演算回数iが0の時は1(正回転(左回り))固定であり、以降は回転方向判別部712の判別結果によって1あるいは‐1(逆回転(右回り))が選択される。2θ回転補正部710では、θi回転部706と後述する3θi回転部708ならびに3θi回転部709の回転演算回数の差が起因の絶対値ズレを補正する。具体的には式5で示す演算を実施する。
ただし、右辺のXi、Yiはθi回転部706の出力である補正前回転座標データ79であり、左辺のXi、Yiは2θ回転補正部710によって補正された(更新された)回転座標データ81(Ya1COSθ,Ya1SINθ)である。以上の一連操作が、本実施形態におけるθ回転演算1の繰り返し回転演算1回に相当する。ここで初期座標データ71が初期値として与えられた結果、回転座標データ81(Ya1COSθ,Ya1SINθ)が得られる。この余弦成分Ya1COSθは、後述する回転方向判別部712で用いる判別式の4つの項のうちの1つに対応した演算結果となっている。他の回転演算(θ回転演算2、3θ回転演算1、3θ回転演算2)に関しても同様である。選択部703、選択部704、選択部705によって、各々回転選択座標データ76、回転選択座標データ77、回転選択座標データ78が選択され、さらに、それらがθi回転部707、3θi回転部708、3θi回転部709によって回転演算される。θi回転部707によって回転演算された補正前回転座標データ80は2θ回転補正部711によって補正され回転座標データ82が得られる。以上のようにして、それぞれ回転座標データ82(Xb1COSθ,Xb1SINθ)、回転座標データ83(Ya3COSθ,Ya3SINθ)、回転座標データ84(Xb3COSθ,Xb3SINθ)が得られる。
(回転方向判別)
本実施形態における回転方向判別部712による方向判別の演算式は数式21で示される。これは、数式20の分母を払っており、除算を省略した形である。

他の実施形態と同じく、数式21が真の時、正回転(左回り)となり、δiは1、式20が偽の時、逆回転(右回り)となり、δiは‐1の値をとる。本実施形態の特徴は、数式21に示される左辺の4つの項が、前段の各回転演算の結果(回転座標データ81、82、83、84)に含まれている点である。よって、回転方向判別部712では、単に加減算だけを行い、その正負判定だけで回転方向δi47を決定できる。これは高調波歪補正CORDIC回転処理部が乗算器なしで構成されていることを意味する。よって、この繰り返し回転演算部の高速化につながる。
以上説明したとおり本実施形態によれば、CORDIC回転演算処理部を乗算器なしで構成することが可能となっている。そのうえでエンコーダ出力信号に含まれる高調波成分を3次まで除去した逆正接演算が可能となり、結果3次高調波成分による検出誤差が除去(補正)された高精度な検出位置を得ることができる。本実施形態での演算結果は第3実施形態と同じであり、図19に示す通りになる。また、本実施形態においても、第2実施形態同様に高次の高調波成分除去可能な構成に拡張することが可能である。拡張方法は第2実施形態で述べたとおりであり、本実施形態に対する高次の高調波成分除去構成の説明は省略する。
(第5実施形態)
第5実施形態では、他の実施形態で説明をした高調波成分を考慮したCORDIC回転演算における、高調波歪の除去フィルタとしての応用例を示す。
図8は、第3実施形態における変位検出部の構成の一例を示す図である。
逆正接演算部801は、他の実施形態で述べてきた構成とは異なり、逆正接演算機能を有するが、高調波成分を除去する機能を持たない。通常のCORDICによる逆正接演算の構成である。第1実施形態との大きな相違点は、高調波除去フィルタ部802を有することになる。本実施形態では、逆正接演算部801における高調波成分の演算を行わないため、前段の高調波除去フィルタ部802で高調波成分を除去する処理を行う。
図9に、高調波除去フィルタ部802の構成図を示す。高調波除去フィルタ部802は1実施形態の逆正接演算部304とほぼ同じ構成である。基本動作は、第1実施形態で述べたものと同じである。変更点は、偏角演算部407が除去されており、回転角出力の変わりにθ回転演算の演算結果である回転座標データ48(COSθ,SINθ)が出力されるようになっている部分である。高調波成分除去Xデータ14は回転座標データ48の余弦成分(COSθ)、高調波成分除去Yデータ16は回転座標データ48の正弦成分(SINθ)がそれぞれ対応している。本実施形態における一連の繰り返し回転演算の結果として、基本波成分である回転座標データ48(COSθ,SINθ)と3次高調波成分である回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)を付随的に得ることができる。この効果を利用し、基本波成分だけを抽出、つまり3次高調波成分を除去する信号フィルタとして機能させることが、本実施形態の特徴である。
以上で説明したとおり、本実施形態によれば、A相、B相信号に含まれる3次高調波成分除去するフィルタ機能を有するエンコーダの情報処理装置を提供可能である。図14に示す高調波成分を含むエンコーダ信号を、第5実施形態で信号処理した結果を図20に示す。図20に示す通り、3次高調波成分が除去され、高精度な基本波成分だけの信号が得られていることがわかる。本実施形態においても、他の実施形態の詳細構成をとることも可能である。具体的には、第2実施形態同様に高次の高調波成分除去可能な構成、第3実施形態同様にA相、B相で基本波ならびに高調波成分の強度が異なる場合の構成、並びに第4実施形態と同様に、乗算フリーの構成である。これらは、各実施形態の説明で述べたとおりであり、詳細な説明は省略する。
(その他の実施形態)
上記実施形態ではCORDIC演算アルゴリズムを基本原理として逆正接演算を行っていため、高調波成分の演算のためにもCORDIC演算アルゴリズムを用いる実施形態を述べてきた。しかし、高調波成分の演算には別の手法を用いても、本発明の趣旨から逸脱しない。たとえば、CORDIC回転演算によって得られる基本回転演算結果(θ回転演算による回転座標データ)を、三角関数の3倍角公式を用いて3θ回転演算した回転座標データに変換することが可能である。これら回転座標データを方向判別部に入力し、次回の回転演算方向を決定してもよい。
また、上記実施形態では、単一の回転部を複数回の繰り返し回転演算処理操作を行う再帰処理型の構成をとっている。しかしながら、同じ回転演算部内に複数段の回転部を持ち、それらがパイプライン状に接続されて、回転演算処理操作を行うパイプライン処理型の構成でも実現可能である。尚、上述のモータ制御装置をネットワークカメラや製造装置のステージなどの雲台に利用し、雲台の動作の滑らかさを向上させることができる。ネットワークカメラは、CPU、ROM、RAM、撮像部、雲台、ネットワークインターフェースを備える。
また、上記実施形態では、位置を検出するための2相エンコーダ信号が高調波成分を含む場合を述べてきた。しかしながら、エンコーダ信号に限定されず、高調波成分を含む2相信号全般に適用することも可能である。
例えば、三相ブラシレスモータを駆動した場合の駆動電流から、モータ回転角に対応した2相信号を検出することができる。つまり検出した2相信号からATAN処理によってモータ回転角を算出することが可能である。
この2相信号には、高調波成分が重畳することが知られている。よって、本実施形態を適用することで2相信号の高調波成分の影響を除去し、正確なモータ回転角を検出することが可能となる。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
401 回転方向判別部
402 選択部(θ回転演算)
403 選択部(3θ回転演算)
404 θi回転部
405 3θi回転部
406 2θ回転補正部
407 偏角演算部

Claims (11)

  1. 移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、
    前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角を収束させることにより算出する算出手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
  2. 前記反復計算は、CORDIC演算であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記反復計算において、前記第一の正弦波と前記第二の正弦波との初期値は、ゼロであることを特徴とする請求項1もしく2のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  4. 前記算出手段は、前記CORDIC演算における座標データの絶対値を補正する補正手段を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  5. 前記算出手段は、前記反復計算に含まれるそれぞれの演算を行う複数の演算回路を有し、
    当該複数の演算回路はパイプライン状に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  6. 前記算出手段は、前記反復計算に含まれるそれぞれの演算を行う複数の演算回路を有し、
    当該複数の演算回路は再帰的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  7. 前記第二の余弦波と前記第二の正弦波との少なくともいずれか一方の成分が除去された信号を出力する出力手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  8. 前記出力手段は、前記移動体の位置変位を示すエンコーダ信号として、前記信号を出力することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
  9. 前記算出手段の算出の結果に基づき、前記移動体の位置を制御するモータの回転を制御する制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。
  10. 取得手段が、移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得工程と、
    算出工程が、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角を収束させることにより算出する算出工程と、を有することを特徴とする情報処理方法。
  11. コンピュータを、
    移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、
    前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角を収束させることにより算出する算出手段と、を有することを特徴とする情報処理装置として機能させるためのプログラム。
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